JP2009215227A - カリックスアレーン系化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明はカリックスアレーン系化合物の製造方法に関し、更に詳しくは、高い収率でカリックスアレーン系化合物を得るカリックスアレーン系化合物の製造方法に関する。
カリックスアレーン系化合物は、一般にはフェノール、レゾルシノール等のフェノール系化合物とアルデヒド系化合物の縮合により得られる環状オリゴマーである。近年、カリックスアレーン系化合物は、ホスト−ゲスト化学の分野においてクラウンエーテル、シクロデキストリンに次ぐ、第三の包接化合物として注目されている。
カリックスアレーン系化合物は、通常一分子内に多くの水酸基を有し、熱的安定性に優れ、高いガラス転移温度と高融点を有すること、また構造によっては成膜性を有することから、優れた機能性材料として注目されている。例えば、p−メチルカリックス[6]アレーンヘキサアセテートを用いた電子線ネガ型フォトレジストへの応用(例えば、非特許文献1参照)や、カリックス[4]レゾルシンアレーン、架橋剤、光酸発生剤に基づくアルカリ現像型のネガ型フォトレジストへの応用(例えば、非特許文献2参照)等が報告されている。また、カリックスアレーン系化合物を高性能な光硬化材料へ応用することを目的とした、ラジカル重合性官能基、カチオン重合性官能基の導入、及び高解像度のレジスト材料への応用を目的とした保護基の導入によるカリックスアレーン系誘導体の合成及びその光反応特性についての評価が報告されている(例えば、非特許文献3、4参照)。また、種々のカチオン重合性官能基を有するp−アルキルカリックス[n]アレーン誘導体の合成とその光カチオン重合についての検討が報告されている(例えば、非特許文献5参照)。
また、カリックスアレーン系化合物の中でもレゾルシノール系化合物とアルデヒド系化合物との縮合物であるカリックスレゾルシノールアレーン系化合物については、大きなゲストの包接を目的とした検討が種々なされており、レゾルシノール環の化学修飾により空孔をより大きく、深くした誘導体が数多く合成されている(例えば、特許文献1参照)。
カリックスアレーン系化合物は、熱力学的支配による生成物と考えられてはいるものの、どのような反応機構によって生成しているか明確に判明されていない。そのため、カリックスアレーン系化合物の収率の向上について問題を有している。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、カリックスアレーン系化合物の反応機構を解明し、高い収率でカリックスアレーン系化合物を得るカリックスアレーン系化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、カリックスアレーン系化合物の生成反応の際に、副生成物として固形物が生成することに着目し、固形物を用いてカリックスアレーン系化合物を製造することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すカリックスアレーン系化合物の製造方法が提供される。
[1]下記一般式(1)で表される化合物群より選択される少なくとも一種の第一の化合物と、下記一般式(2)で表される化合物群より選択される少なくとも一種の第二の化合物を、酸性条件下で反応させることで得られる固形物を単離する工程(1)と、単離した前記固形物を酸性条件下で反応させて、下記一般式(3)で表されるカリックスアレーン系化合物を得る工程(2)と、を含むカリックスアレーン系化合物の製造方法。
[2]前記工程(2)で、更に前記一般式(1)で表される化合物を加える前記[1]に記載のカリックスアレーン系化合物の製造方法。
[3]前記第一の化合物が、レゾルシノールである前記[1]又は[2]に記載のカリックスアレーン系化合物の製造方法。
[4]前記第二の化合物が、1,5−ペンタンジアールである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のカリックスアレーン系化合物の製造方法。
本発明のカリックスアレーン系化合物の製造方法は、カリックスアレーン系化合物の反応機構を解明し、高い収率でカリックスアレーン系化合物を得ることができるカリックスアレーン系化合物の製造方法を提供するという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
本発明のカリックスアレーン系化合物の製造方法は、一般式(1)で表される化合物群より選択される少なくとも一種の第一の化合物(以下、「第一の化合物」と記載する)と、一般式(2)で表される化合物群より選択される少なくとも一種の第二の化合物(以下、「第二の化合物」と記載する)を、酸性条件下で反応させることで得られる固形物を単離する工程(1)と、単離した固形物を酸性条件下で反応させる工程(2)と、を含む方法である。
一般式(1)中、Xとして表される基は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、qは、相互に独立に、0又は1を示し、nは、1〜12の整数を示す。
一般式(2)中、Rとして表される基は、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、mは、1〜6の整数を示す。
1.固形物を単離する工程(工程(1))
固形物を単離する工程(工程(1))は、第一の化合物と第二の化合物を酸性条件下で反応させて得られる固形物を単離する工程である。酸性条件下での反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
固形物を単離する工程(工程(1))は、第一の化合物と第二の化合物を酸性条件下で反応させて得られる固形物を単離する工程である。酸性条件下での反応は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
第一の化合物として、具体的には、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、2−ブチルレゾルシノール等が挙げられる。これらの中でも、特にレゾルシノール及び2−メチルレゾルシノールが好ましい。なお、第一の化合物は、一種単独で使用することが好ましい。
また、第二の化合物として、具体的には、1,3−プロパンジアール、1,5−ペンタンジアール、1,7−ヘプタンジアール、1,8−オクタンジアール、1,9−ノナンジアール、1,10−デカンジアール等が挙げられる。これらの中でも、1,3−プロパンジアール、1,5−ペンタンジアール、及び1,8−オクタンジアールが好ましく、1,3−プロパンジアール、及び1,5−ペンタンジアールが更に好ましい。なお、第二の化合物は、一種単独で使用することが好ましい。
酸性条件としては、例えば、塩酸や硫酸を使用すれば良い。また、溶媒としては、例えば、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒等を好適に用いることができる。
第二の化合物に対する第一の化合物の使用割合(第一の化合物/第二の化合物)は、0.01〜100であることが好ましく、0.1〜20であることが更に好ましく、4〜5であることが特に好ましい。
溶媒の使用量に特に制限はないが、反応溶液中の第一の化合物の濃度が0.05〜10mol/Lとなる量であることが好ましく、0.1〜5mol/Lとなる量であることが更に好ましく、1〜3mol/Lとなる量であることが特に好ましい。第一の化合物の濃度がこの範囲外であると、固形物が得られ難い傾向にある。
反応温度は、0〜80℃であることが好ましく、30〜70℃であることが更に好ましく、40〜60℃であることが特に好ましい。反応温度が0℃未満であると、反応が進行しない場合がある。一方、反応温度が80℃超であると、固形物の数平均分子量が小さい場合がある。また、反応時間は、0.25〜48時間であることが好ましく、0.5〜24時間であることが更に好ましく、1〜6時間であることが特に好ましい。反応時間が0.25時間未満であると、反応が十分進行していない場合がある。一方、反応時間が48時間超であると、固形物が得られない場合がある。
第一の化合物と第二の化合物を酸性条件下で反応させて得られる固形物を単離する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、重曹等の塩基性水溶液を加えて反応を停止させた後、濾別をし、濾液をエーテル等の溶媒に加えて再沈殿させる方法がある。
単離した固形物は、第一の化合物や第二の化合物との反応により生じるポリマー等が考えられる。ポリマーの構造は特に限定されるものではなく、例えばラダー状のポリマー等がある。また、その形状は結晶状のものだけではなく、ゲル状のものも含まれる。
固形物の、サイズ排除クロマトグラフィー(以下、「SEC」と記載する)によるポリスチレン換算の数平均分子量(以下、「Mn」と記載する)は、1,500〜100,000であることが好ましく、3,000〜30,000であることが更に好ましく、10,000〜20,000であることが特に好ましい。
固形物の熱分解温度は特に制限されないが、通常、20〜600℃であり、好ましくは100〜400℃であり、更に好ましくは200〜350℃である。また、固形物は水、メタノール、ジメチルホルムアミド、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液等の極性溶媒に室温で可溶であり、アセトン、シクロヘキサノン等の溶媒に一部可溶であり、酢酸エチル、アニソール、クロロホルム、ヘキサン等の有機溶媒に不溶である。
2.カリックスアレーン系化合物を得る工程(工程(2))
カリックスアレーン系化合物を得る工程(工程(2))は、単離した固形物を酸性条件下で反応させて、一般式(3)で表されるカリックスアレーン系化合物を得る工程である。また、反応させる際に、一般式(1)で表される化合物を加えると、カリックスアレーン系化合物の収量が向上するために好ましい。なお、この反応は、溶媒の存在下で行うことがより好ましい。
カリックスアレーン系化合物を得る工程(工程(2))は、単離した固形物を酸性条件下で反応させて、一般式(3)で表されるカリックスアレーン系化合物を得る工程である。また、反応させる際に、一般式(1)で表される化合物を加えると、カリックスアレーン系化合物の収量が向上するために好ましい。なお、この反応は、溶媒の存在下で行うことがより好ましい。
一般式(3)中、R1〜R6として表される基は、相互に独立に、炭素数1〜8の置換又は非置換のアルキレン基を示し、X1〜X12として表される基は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルケニル基、炭素数2〜10の置換若しくは非置換のアルキニル基、炭素数7〜10の置換若しくは非置換のアラルキル基、炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルコキシ基、又は置換若しくは非置換のフェノキシ基を示し、qは、相互に独立に、0又は1を示す。
酸性条件としては、例えば、塩酸や硫酸を使用すれば良い。また、溶媒としては、固形物を可溶であれば良く、例えば、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒等を用いることができる。
反応させる際に加える第一の化合物として、具体的には、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、2−ブチルレゾルシノール等が挙げられる。これらの中でも、特にレゾルシノール及び2−メチルレゾルシノールが好ましい。なお、反応させる際に加える第一の化合物は、「1.固形物を単離する工程」で第一の化合物と第二の化合物の反応に用いた第一の化合物と同一であることが好ましい。
第一の化合物を加える場合、固形物に対する第一の化合物の質量割合(第一の化合物/固形物)は、2.5〜25%であることが好ましく、5〜20%であることが更に好ましく、10%であることが特に好ましい。質量割合が2.5%未満であると、カリックスアレーン系化合物の収率の向上が不十分な場合がある。一方、質量割合が25%超であると、カリックスアレーン系化合物からの第一の化合物の分離が困難になる場合がある。
反応温度は、−20〜200℃であることが好ましく、25〜100℃であることが更に好ましく、60〜90℃であることが特に好ましい。反応温度が−20℃未満であると、カリックスアレーン系化合物が得られない場合がある。一方、反応温度が200℃超であると、カリックスアレーン系化合物が分解する場合がある。また、反応時間は、0.25時間以上であることが好ましく、0.5時間以上であることが更に好ましく、1時間以上であることが特に好ましい。反応時間が0.25時間未満であると、反応が十分進行していない場合がある。
溶媒の使用量は特に制限されるものではないが、固形物1gに対して、通常0.1〜100mLであり、好ましくは0.3〜20mLであり、更に好ましくは0.5〜10mLである。
ここで、カリックスアレーン系化合物の反応機構について図1を用いて説明する。図1は、カリックスアレーン系化合物を得る工程での反応溶液中に存する化合物の経時変化を示すクロマトグラムである。図1から、反応初期においては、下記式(4)で表される化合物である1,1,5,5−テトラ(2,4−ジヒドロキシベンゼン−1−イル)ペンタン(以下、「TDBP」と記載する)が生成し、固形物が徐々に消費されていくことがわかる。次いで、TDBPが消費されていき、カリックスアレーン系化合物が生成していることがわかる。このことから、カリックスアレーン系化合物の生成における反応機構において、TDBPが反応中間体として存在することがわかる。
生成したカリックスアレーン系化合物は、その分子内にフェノール性水酸基を有しているために、機能性官能基を導入することができる。導入した機能性官能基の種類により、カリックスアレーン系化合物を電子線ネガ型フォトレジスト、アルカリ現像型のネガ型フォトレジスト、光硬化材料等へ応用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[赤外吸収スペクトルの測定]:サーモエレクトロン社製の商品名「Nicolet 380」を使用して赤外吸収スペクトルを測定した。
[核磁気共鳴スペクトルの測定]:日本電子社製の商品名「JNM−2500」を使用して核磁気共鳴スペクトルを測定した。
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)]:東ソー社製のカラム(商品名「HLC−8220」)を使用し、流量:0〜600mL/min、溶出溶媒:DMF、カラム温度:40℃の分析条件で、ポリスチレンを標準とするサイズ排除クロマトグラフィー(以下、「SEC」と記載する)により測定した。
[分子量分布(Mw/Mn)]:測定した数平均分子量と重量平均分子量の値から算出した。
[熱分解温度(℃)]:セイコーインスツルメンツ社製の商品名「SSC/5200 DSC120」を使用し、窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で測定した。
(合成例1)
50mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、レゾルシノール2.2g、エタノール4.5mL、塩酸1.5mLを加えた。氷冷下で、1,5−ペンタンジアール(50%水溶液)1.0gを滴下し、80℃にて5分間攪拌した。重曹を加えて反応を停止した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、過剰分の重曹と塩を濾別した。濾液をエーテル中に加え、濾過することでエーテルに不溶な固体を回収した。回収した固体を24時間減圧下にて乾燥し、粉末状の黄色の固形物1.75gを単離した。単離した固形物の数平均分子量(以下、「Mn」と記載する)は3480であり、分子量分布(以下、「Mw/Mn」と記載する)は1.27であった。
50mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、レゾルシノール2.2g、エタノール4.5mL、塩酸1.5mLを加えた。氷冷下で、1,5−ペンタンジアール(50%水溶液)1.0gを滴下し、80℃にて5分間攪拌した。重曹を加えて反応を停止した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、過剰分の重曹と塩を濾別した。濾液をエーテル中に加え、濾過することでエーテルに不溶な固体を回収した。回収した固体を24時間減圧下にて乾燥し、粉末状の黄色の固形物1.75gを単離した。単離した固形物の数平均分子量(以下、「Mn」と記載する)は3480であり、分子量分布(以下、「Mw/Mn」と記載する)は1.27であった。
単離した固形物の赤外吸収スペクトルの測定結果を記載する。
IR(film法、cm−1):3363(νOH)、2936、2863(νC−H)、1618、1506(νC=C(aromatic))
IR(film法、cm−1):3363(νOH)、2936、2863(νC−H)、1618、1506(νC=C(aromatic))
(合成例2〜8)
反応温度を表1に記載した温度としたこと以外は、合成例1と同様にして各固形物を得た。得られた各固形物の収量、Mn、熱分解温度を表1に記載する。
反応温度を表1に記載した温度としたこと以外は、合成例1と同様にして各固形物を得た。得られた各固形物の収量、Mn、熱分解温度を表1に記載する。
(合成例9)
エタノールを22.5mL加えたことと、反応温度を40℃としたこと以外は合成例1と同様の条件で固形物の合成を行い、表2に記載した反応時間において、反応母液を取り、SEC測定を行うことで、各反応時間における固形物のMnを測定した。測定したMnの値を表2に記載する。
エタノールを22.5mL加えたことと、反応温度を40℃としたこと以外は合成例1と同様の条件で固形物の合成を行い、表2に記載した反応時間において、反応母液を取り、SEC測定を行うことで、各反応時間における固形物のMnを測定した。測定したMnの値を表2に記載する。
(合成例10)
50mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、レゾルシノール2.2g、エタノール22.5mL、塩酸1.5mLを加えた。氷冷下で、1,5−ペンタンジアール(50%水溶液)1.0gを滴下し、40℃にて75分間攪拌した。重曹を加えて反応を停止した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、過剰分の重曹と塩を濾別した。濾液をエーテル中に加え、濾過することでエーテルに不溶な固体を回収した。回収した固体を24時間減圧下にて乾燥し、粉末状の黄色の固形物1.34gを単離した。単離した固形物のMnは4200であり、Mw/Mnは1.46であった。熱分解が開始する温度(以下、「Td i」と記載する)は97.0℃であり、5%減少温度(以下、「Td 5%」と記載する)は198.6℃であり、10%減少温度(以下、「Td 10%」と記載する)は240.6℃であった。
50mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、レゾルシノール2.2g、エタノール22.5mL、塩酸1.5mLを加えた。氷冷下で、1,5−ペンタンジアール(50%水溶液)1.0gを滴下し、40℃にて75分間攪拌した。重曹を加えて反応を停止した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、過剰分の重曹と塩を濾別した。濾液をエーテル中に加え、濾過することでエーテルに不溶な固体を回収した。回収した固体を24時間減圧下にて乾燥し、粉末状の黄色の固形物1.34gを単離した。単離した固形物のMnは4200であり、Mw/Mnは1.46であった。熱分解が開始する温度(以下、「Td i」と記載する)は97.0℃であり、5%減少温度(以下、「Td 5%」と記載する)は198.6℃であり、10%減少温度(以下、「Td 10%」と記載する)は240.6℃であった。
単離した固形物の赤外吸収スペクトルの測定結果を記載する。
IR(film法、cm−1):3383(νOH)、2937、2865(νC−H)、1616、1506(νC=C(aromatic))
IR(film法、cm−1):3383(νOH)、2937、2865(νC−H)、1616、1506(νC=C(aromatic))
(実施例1)
25mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、合成例10で単離した固形物1.3g、エタノール4.5mL、塩酸1.5mLを加えた。80℃にて48時間攪拌し、黄色の懸濁溶液を得た。反応終了後、反応母液をメタノールに注ぎ、沈殿物を濾取した後、メタノールにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して、黄色の固体0.20gを得た。得られた黄色の固体は、未反応固形物とカリックスアレーン系化合物との混合物であった。この黄色の固体のMnは4200であり、Mw/Mnは1.46であった。Td iは95.4℃であり、Td 5%は364.9℃であり、Td 10%は377.3℃であった。
25mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、合成例10で単離した固形物1.3g、エタノール4.5mL、塩酸1.5mLを加えた。80℃にて48時間攪拌し、黄色の懸濁溶液を得た。反応終了後、反応母液をメタノールに注ぎ、沈殿物を濾取した後、メタノールにて洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して、黄色の固体0.20gを得た。得られた黄色の固体は、未反応固形物とカリックスアレーン系化合物との混合物であった。この黄色の固体のMnは4200であり、Mw/Mnは1.46であった。Td iは95.4℃であり、Td 5%は364.9℃であり、Td 10%は377.3℃であった。
得られた黄色固体の赤外吸収スペクトルと核磁気共鳴スペクトルの測定結果を記載する。
IR(film法、cm−1):3385(νOH)、2933、2902、2859(νC−H)、1688、1504、1440(νC=C(aromatic))
1H NMR(500MHz、DMSO−d6):δ(ppm)=0.85〜2.07(b,36H,−CH2CH2CH2−)、4.10〜4.16(m,12H,>CH)、6.00〜7.26(m,25H,aromatic H)、8.93〜9.35(m,24H,OH)
IR(film法、cm−1):3385(νOH)、2933、2902、2859(νC−H)、1688、1504、1440(νC=C(aromatic))
1H NMR(500MHz、DMSO−d6):δ(ppm)=0.85〜2.07(b,36H,−CH2CH2CH2−)、4.10〜4.16(m,12H,>CH)、6.00〜7.26(m,25H,aromatic H)、8.93〜9.35(m,24H,OH)
(実施例2)
50mLの三口ナスフラスコを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にてカリックスアレーン系化合物の合成を行い、表3に記載した反応時間において、反応母液を取り、GPC測定を行うことで、各反応時間における固形物、カリックスアレーン系化合物、1,1,5,5−テトラ(2,4−ジヒドロキシベンゼン−1−イル)ペンタン(以下、「TDBP」と記載する)、レゾルシノールのSEC測定によるピーク面積割合を測定した。測定したピーク面積割合を表3に記載する。
50mLの三口ナスフラスコを用いたこと以外は、実施例1と同様の条件にてカリックスアレーン系化合物の合成を行い、表3に記載した反応時間において、反応母液を取り、GPC測定を行うことで、各反応時間における固形物、カリックスアレーン系化合物、1,1,5,5−テトラ(2,4−ジヒドロキシベンゼン−1−イル)ペンタン(以下、「TDBP」と記載する)、レゾルシノールのSEC測定によるピーク面積割合を測定した。測定したピーク面積割合を表3に記載する。
(実施例3)
25mLのナスフラスコに、合成例10で単離した固形物1.0g、レゾルシノール1.0g、塩酸1.5mLを加えた。80℃にて54時間攪拌し、実施例1と同様に処理して、黄色の固体0.57gを得た。得られた黄色の固体には、未反応固形物が混在せず、カリックスアレーン系化合物が定量的に得られた。
25mLのナスフラスコに、合成例10で単離した固形物1.0g、レゾルシノール1.0g、塩酸1.5mLを加えた。80℃にて54時間攪拌し、実施例1と同様に処理して、黄色の固体0.57gを得た。得られた黄色の固体には、未反応固形物が混在せず、カリックスアレーン系化合物が定量的に得られた。
(実施例4)
10mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、合成例10で単離した固形物0.5g、エタノール3.0mL、塩酸1.0mLを加えた。更にレゾルシノール0.25gを加えて80℃にて48時間攪拌した。沈殿物を濾別し、メタノール7.0mLで2度洗浄した。得られた沈殿物を減圧下にて乾燥し、黄色の固体0.04gを得た。得られた黄色の固体のMw/Mnは1.01であり、SEC測定によるピーク面積割合は、未反応固形物が79.0%であり、カリックスアレーン系化合物が20.7%であり、レゾルシノールが0.0%であった。
10mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、合成例10で単離した固形物0.5g、エタノール3.0mL、塩酸1.0mLを加えた。更にレゾルシノール0.25gを加えて80℃にて48時間攪拌した。沈殿物を濾別し、メタノール7.0mLで2度洗浄した。得られた沈殿物を減圧下にて乾燥し、黄色の固体0.04gを得た。得られた黄色の固体のMw/Mnは1.01であり、SEC測定によるピーク面積割合は、未反応固形物が79.0%であり、カリックスアレーン系化合物が20.7%であり、レゾルシノールが0.0%であった。
(実施例5〜9)
表4に記載した量のレゾルシノールを加えたこと以外は実施例4と同様にして、黄色の固体を得た。得られた黄色の固体の、収量、Mw/Mn、並びに未反応固形物、カリックスアレーン系化合物、及びレゾルシノールのSEC測定によるピーク面積割合を表4に記載する。
表4に記載した量のレゾルシノールを加えたこと以外は実施例4と同様にして、黄色の固体を得た。得られた黄色の固体の、収量、Mw/Mn、並びに未反応固形物、カリックスアレーン系化合物、及びレゾルシノールのSEC測定によるピーク面積割合を表4に記載する。
(実施例10)
10mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、合成例10で単離した固形物0.5g、エタノール3.0mL、塩酸1.0mLを加えた。更にレゾルシノール1.0gを加えて80℃で反応を行い、各反応時間における化合物の経時変化をSECにて測定し、図2に結果を示す。なお、図2は、実施例10における反応溶液中に存する化合物の割合の経時変化を示すクロマトグラムである。
10mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、合成例10で単離した固形物0.5g、エタノール3.0mL、塩酸1.0mLを加えた。更にレゾルシノール1.0gを加えて80℃で反応を行い、各反応時間における化合物の経時変化をSECにて測定し、図2に結果を示す。なお、図2は、実施例10における反応溶液中に存する化合物の割合の経時変化を示すクロマトグラムである。
(実施例11)
100mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、レゾルシノール4.4g、エタノール9.0mL、塩酸3.0mLを加えた。氷冷下で、1,5−ペンタンジアール(50%水溶液)4.0gを滴下し、80℃にて攪拌した。ゲルが生じて攪拌が不可能になってから更に5分間加熱した。反応終了後、乳鉢にてゲルを粉砕し、ジメチルホルムアミド及びメタノールにて洗浄を行い、茶色固形物8.1gを単離した。25mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、単離した茶色固形物0.5g、レゾルシノール1.0g、エタノール4.5mL、塩酸1.5mLを加えた。80℃にて48時間攪拌した後、メタノール10mLにて2度洗浄し、黄色固体のカリックスアレーン系化合物0.24gを得た。得られたカリックスアレーン系化合物には、微量の未反応固形物が混在していた。また、得られたカリックスアレーン系化合物のMnは2410であり、Mw/Mnは1.01であった。
100mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、レゾルシノール4.4g、エタノール9.0mL、塩酸3.0mLを加えた。氷冷下で、1,5−ペンタンジアール(50%水溶液)4.0gを滴下し、80℃にて攪拌した。ゲルが生じて攪拌が不可能になってから更に5分間加熱した。反応終了後、乳鉢にてゲルを粉砕し、ジメチルホルムアミド及びメタノールにて洗浄を行い、茶色固形物8.1gを単離した。25mLのナスフラスコに攪拌子を入れ、単離した茶色固形物0.5g、レゾルシノール1.0g、エタノール4.5mL、塩酸1.5mLを加えた。80℃にて48時間攪拌した後、メタノール10mLにて2度洗浄し、黄色固体のカリックスアレーン系化合物0.24gを得た。得られたカリックスアレーン系化合物には、微量の未反応固形物が混在していた。また、得られたカリックスアレーン系化合物のMnは2410であり、Mw/Mnは1.01であった。
本発明は、電子線ネガ型フォトレジスト、アルカリ現像型のネガ型フォトレジスト、光硬化材料等へ応用することが可能なカリックスアレーン系化合物を高収率で製造することができるため、コストの削減が期待できる。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される化合物群より選択される少なくとも一種の第一の化合物と、下記一般式(2)で表される化合物群より選択される少なくとも一種の第二の化合物を、酸性条件下で反応させることで得られる固形物を単離する工程(1)と、
単離した前記固形物を酸性条件下で反応させて、下記一般式(3)で表されるカリックスアレーン系化合物を得る工程(2)と、を含むカリックスアレーン系化合物の製造方法。
- 前記工程(2)で、更に前記一般式(1)で表される化合物を加える請求項1に記載のカリックスアレーン系化合物の製造方法。
- 前記第一の化合物が、レゾルシノールである請求項1又は2に記載のカリックスアレーン系化合物の製造方法。
- 前記第二の化合物が、1,5−ペンタンジアールである請求項1〜3のいずれか一項に記載のカリックスアレーン系化合物の製造方法。
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JP2011053369A (ja) * | 2009-08-31 | 2011-03-17 | Jsr Corp | ネガ型感放射線性樹脂組成物 |
JP2013018927A (ja) * | 2011-07-14 | 2013-01-31 | Jsr Corp | 重合開始剤およびその製造方法並びにスターポリマーおよびその製造方法 |
-
2008
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