JP3921705B2 - 多価フェノール系化合物およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多価フェノール系化合物およびそれの感光剤分野への適用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、フェノール性水酸基を有する化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化し、半導体微細加工用のレジスト組成物における感光剤として用いることは公知である。すなわち、キノンジアジド基を有する化合物とノボラック樹脂を含む組成物を金属などの基体上に塗布し、これに300〜500nmの光を照射すると、キノンジアジド基が分解してカルボキシル基を生じ、アルカリ不溶の状態からアルカリ可溶の状態になることを利用して、かかる組成物はポジ型レジストとして用いられる。こうしたポジ型レジストは、解像力に優れるという特徴を有することから、半導体用の各種集積回路の製作に利用されている。
【0003】
そして、半導体産業における集積回路は近年、高集積化に伴い、微細化の一途をたどっており、今やサブミクロンのパターン形成が要求されるに至っている。そのなかでもリソグラフィープロセスは、集積回路製造時の重要な地位を占めており、そこに用いるポジ型レジストとして、感度、解像度、γ値、プロファイル(パターン形状)などの諸性能に優れ、かつスカム(現像残渣)のないものが要望されている。ところがポジ型レジストにおいては、例えば、感度と解像度とが相反する傾向にあり、両者の性能を両立させることは一般に困難である。
【0004】
特開平 2-285351 号公報(= USP 5,173,389) や特開平 2-269351 号公報(= USP 5,290,656) には、複数のベンゼン環を有するポリヒドロキシ化合物のキノンジアジドスルホン酸エステルを感光剤としたポジ型レジスト組成物が提案されている。しかしながら、これらの公報に具体的に記載される感光剤を用いて調製したポジ型レジスト組成物は、感度、解像度、γ値、プロファイル、スカムがないことなどの諸性能、特に感度および、感度と解像度の両立という観点から、必ずしも満足できるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的の一つは、感度、解像度、γ値、プロファイルなどの諸性能のバランスに優れ、かつスカムのないポジ型レジスト組成物を与えるのに好適な感光性化合物を製造し、提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、かかる化合物を用いて、諸性能に優れたポジ型レジスト組成物を提供することにある。
【0007】
本発明のさらにもう一つの目的は、上記感光性化合物の前駆体として有用な多価フェノール化合物を製造し、提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、フェノール性水酸基を3個有する特定構造の化合物を見出し、そしてこの化合物をキノンジアジドスルホン酸エステル化し、感光剤として用いることにより、諸性能に優れたレジスト組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、次式(I)で示される多価フェノール系化合物を提供するものである。
【0010】
【0011】
式中、R1 およびR2 の一方は−OQ3 を表し;
R3 およびR4 の一方は水素を表し;
R1 およびR2 の他方、R3 およびR4 の他方ならびにR5 のうち一つは、炭素数6以下のアルキル、炭素数6以下のシクロアルキル、炭素数6以下のアルケニル、炭素数6以下のアルコキシまたはハロゲンを表し、残りは互いに独立に、水素、炭素数6以下のアルキル、炭素数6以下のシクロアルキル、炭素数6以下のアルケニル、炭素数6以下のアルコキシまたはハロゲンを表し;
Q1 、Q2 およびQ3 は互いに独立に、水素または1,2−ナフトキノンジアジド−4−もしくは−5−スルホニルを表す。
【0012】
式(I)において、Q1 、Q2 およびQ3 の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルである化合物は、紫外線などの放射線に感応する感光剤として有用であり、一方、Q1 、Q2 およびQ3 がすべて水素である化合物は、かかる感光剤の前駆体として有用である。そこで、本発明はさらに、式(I)で示され、Q1 、Q2 およびQ3 の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルである化合物を有効成分とする感光剤を提供し、また、この感光剤をアルカリ可溶性ノボラック樹脂とともに含有するポジ型レジスト組成物をも提供する。
【0013】
式(I)において、Q1 、Q2 およびQ3 がすべて水素である化合物は、例えば、カテコールと、式(II)
【0014】
【0015】
(式中、R1 およびR2 の一方は水酸基を表し;
R3 およびR4 の一方は水素を表し;
R1 およびR2 の他方、R3 およびR4 の他方ならびにR5 のうち一つは、炭素数6以下のアルキル、炭素数6以下のシクロアルキル、炭素数6以下のアルケニル、炭素数6以下のアルコキシまたはハロゲンを表し、残りは互いに独立に、水素、炭素数6以下のアルキル、炭素数6以下のシクロアルキル、炭素数6以下のアルケニル、炭素数6以下のアルコキシまたはハロゲンを表す)
で示されるヒドロキシベンジルアルコール系化合物とを、酸触媒の存在下で反応させることにより、製造できる。式(I)で示され、Q1 、Q2 およびQ3 がすべて水素である化合物を、簡単のため、以下「トリヒドロキシ化合物(I)」と呼ぶことがある。
【0016】
また、式(I)において、Q1 、Q2 およびQ3 の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルであるエステルは、上記トリヒドロキシ化合物(I)を、塩基の存在下で1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルハライドと反応させることにより、製造できる。式(I)で示され、Q1 、Q2 およびQ3 の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルであるエステルを、簡単のため、以下「エステル(I)」と呼ぶことがある。
【0017】
【発明の実施の形態】
式(I)および(II)において、R1 、R2 、R3 、R4 および/またはR5 で表されるアルキルは、好ましくは炭素数4以下の直鎖または分枝状のものであり、同じくシクロアルキルは、好ましくは炭素数5または6のものである。またアルケニルは、ビニルやアリルなどであることができ、アルコキシは、メトキシやエトキシなどであることができ、そしてハロゲンは、塩素、臭素、ヨウ素などであることができる。式(I)において、Q1 、Q2 および/またはQ3 で表される1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルは、次のいずれかの式で示される基を意味する。
【0018】
【0019】
式(I)のなかでは、R2 が−OQ3 である化合物が好ましく、なかでもR1 およびR4 がそれぞれメチルであり、そしてR3 およびR5 がそれぞれ水素である化合物が好ましい。
【0020】
式(I)において、Q1 、Q2 およびQ3 がすべて水素であるトリヒドロキシ化合物(I)は、前述のとおり、前記式(II)で示されるヒドロキシベンジルアルコール系化合物をカテコールと反応させることにより製造できる。この際、式(II)のヒドロキシベンジルアルコール系化合物に対して、カテコールをやや過剰に、例えば1〜3のモル比で用いるのが好ましい。この反応は酸触媒の存在下で行われる。酸触媒は、無機酸および有機酸のいずれでもよく、例えば、塩酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。好ましくは塩酸、硫酸またはp−トルエンスルホン酸が、さらに好ましくはp−トルエンスルホン酸が用いられる。酸触媒は、式(II)のヒドロキシベンジルアルコール系化合物に対して、一般的には0.01〜0.5モル倍程度、好ましくは0.05〜0.3モル倍程度使用される。
【0021】
また、この反応は通常、溶媒中で行われ、反応溶媒としては、低級アルコール類、芳香族炭化水素類、水などが用いられ、なかでも低級アルコール類、それもメタノールが好ましく用いられる。反応溶媒、例えば低級アルコール類は、カテコールの量を基準に、一般的には0.5〜5重量倍程度、好ましくは0.5〜2重量倍程度使用される。この反応は、一般に大気圧下、10℃から沸点までの任意の温度、好ましくは20〜60℃の範囲の温度で行われる。
【0022】
こうした反応により、トリヒドロキシ化合物(I)が得られる。例えばメタノール中で反応を行った場合は、反応液を水と混合することにより、トリヒドロキシ化合物(I)を析出させることができる。 このトリヒドロキシ化合物(I)を、後述するようにキノンジアジドスルホン酸エステル化して半導体製造用のレジスト組成物における感光剤とする場合は、水への溶解度が9g/100g以下である溶媒と混合し、水洗分液することにより、金属分を低減させておくのが好ましい。ここで、水への溶解度が9g/100g以下とは、20℃の水100gに溶ける最大量が9g以下であることを意味する。ここで用いる溶媒は、20℃において、トリヒドロキシ化合物(I)の溶解度が1g/100g以上であるのが好ましい。かかる溶媒としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミルのような酢酸エステル類、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトン類が挙げられ、なかでも酢酸エチルが好ましく用いられる。
【0023】
反応によって得られた、またはさらに後処理、例えば前述のような金属低減化処理を施したトリヒドロキシ化合物(I)を含む溶液からは、濃縮、晶析など、任意の操作を施すことにより、トリヒドロキシ化合物(I)を取り出すことができる。晶析によりトリヒドロキシ化合物(I)を取り出す場合、晶析溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミルのような酢酸エステル類、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトン類、あるいはこれらとベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類との混合溶媒などが挙げられる。なかでも、酢酸エチルからの、または酢酸エチルとトルエンの混合溶媒からの晶析が好ましく採用される。
【0024】
かくして得られるトリヒドロキシ化合物(I)は、例えばキノンジアジドスルホン酸エステル化して、感光剤とすることができる。エステル化にあたっては、1,2−キノンジアジド骨格を有する各種のスルホン酸誘導体を用いることができるが、好ましくは、1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルハライドが用いられ、エステル(I)とされる。エステル化反応において、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルハライドは、エステル(I)の目的とするエステル化度にもよるが、トリヒドロキシ化合物(I)に対し、通常1〜3のモル比で用いられる。
【0025】
このエステル化反応は、塩基の存在下で行われる。エステル化反応に用いる塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのような無機塩基、エチルアミン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンのようなアミン類が挙げられる。塩基は、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルハライドに対し、通常1.05〜1.5のモル比、好ましくは1.05〜1.2、さらに好ましくは1.1〜1.2のモル比で用いられる。
【0026】
エステル化反応は通常、溶媒中で行われる。反応溶媒としては、エーテル類、ラクトン類、脂肪族ケトン類などが挙げられ、なかでも、ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、アセトン、2−ヘプタノンなどが好ましい。これらをそれぞれ単独で、または2種類以上組み合わせて用いることができるが、とりわけ1,4−ジオキサンが好ましい。 反応溶媒は、トリヒドロキシ化合物(I)と1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルハライドの合計量を基準に、通常は2〜6重量倍の範囲で、好ましくは3〜5重量倍の範囲で使用される。
【0027】
反応終了後は、酢酸のような酸で中和し、固形物を濾過したあと、濾液を薄い酸水溶液、例えば0.1〜2重量%程度の濃度の酢酸水溶液と混合すれば、目的物であるエステル(I)が析出してくる。これを濾過、洗浄および乾燥することにより、エステル(I)を取り出すことができる。
【0028】
エステル(I)を感光剤として用いる場合、 式(I)におけるQ1 、Q2 およびQ3 のいずれか一つがキノンジアジドスルホニルとなったもの(モノエステル)、それらのいずれか二つがキノンジアジドスルホニルとなったもの(ジエステル)、およびそれらのすべてがキノンジアジドスルホニルとなったもの(トリエステル)のうち、2種以上の混合物であってもよい。
【0029】
こうしてエステル化された化合物は、近ないし中程度の紫外線や、エキシマーレーザー等を含む遠紫外線のような放射線に感応する感光剤として、有利に使用することができる。この感光剤は、アルカリ可溶性ノボラック樹脂と組み合わせて、ポジ型レジスト組成物とした場合に、高い効果を発揮する。
【0030】
このポジ型レジスト組成物は、エステル(I)を感光剤として含むほか、必要に応じて別の芳香族ヒドロキシ化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルを、追加の感光剤として含んでいてもよい。併用される感光剤は、フェノール性水酸基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する芳香族ヒドロキシ化合物の1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルであることができ、例えば、次式(III) 〜(VI)で示される芳香族ヒドロキシ化合物を1,2−キノンジアジドスルホニルハライドと反応させて得られるエステルなどが挙げられる。
【0031】
【0032】
式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は互いに独立に、水素、水酸基、炭素数6以下のアルキル、炭素数6以下のシクロアルキルまたは炭素数6以下のアルコキシを表し、R19およびR20は互いに独立に、水素、炭素数6以下のアルキル、炭素数6以下のシクロアルキルもしくは炭素数6以下のアルコキシを表すか、または水酸基、炭素数6以下のアルキル、炭素数6以下のシクロアルキルおよび炭素数6以下のアルコキシからなる群より選ばれる1種以上の置換基を有していてもよいフェニルを表す;
【0033】
【0034】
式中、R21およびR22は互いに独立に、水素、水酸基または炭素数6以下のアルキルを表し、R23、R24、R25およびR26は互いに独立に、水素もしくは炭素数6以下のアルキルを表すか、 またはR23とR24が各末端で一緒になり、そしてR25とR26が各末端で一緒になって、それぞれが結合する炭素原子とともに炭素数6以下のシクロアルカン環を形成する;
【0035】
【0036】
式中、R31、R32、R33およびR34は互いに独立に、水素または炭素数6以下のアルキルを表し、mおよびnは互いに独立に0以上の整数を表すが、m+n≧2であり、Yは -C(R35)(R36)- または -C(R37)(R38)-Ar-C(R39)(R40)- を表し、 ここにR35、R36、R37、R38、R39およびR40は互いに独立に、水素、炭素数6以下のアルキルまたは炭素数6以下のシクロアルキルを表し、Arは炭素数6以下のアルキルで置換されていてもよいヒドロキシベンゼンの2価残基を表す;
【0037】
【0038】
式中、R41およびR42は互いに独立に、水素、炭素数6以下のアルキルまたは炭素数10以下のアリールを表し、pおよびqは互いに独立に0〜3の整数を表すが、p+q≧2である。
【0039】
フェノール性水酸基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有するトリヒドロキシ化合物(I)以外の芳香族ヒドロキシ化合物、例えば上記式(III) 〜(VI)で示される化合物の、1,2−キノンジアジドスルホン酸エステルは、 かかる芳香族ヒドロキシ化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルクロリドのような1,2−キノンジアジドスルホニルハライドとを、エステル(I)の合成のところで例示したような塩基の存在下、同じくエステル(I)の合成のところで例示したような有機溶媒中で反応させることによって、製造できる。
【0040】
前記式(III) で示される芳香族ヒドロキシ化合物は、例えば、式(IIIa)
【0041】
【0042】
(式中、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は前記と同じ意味を表す)で示される化合物および、式(IIIb)
【0043】
【0044】
(式中、R11、R12、R13およびR14は前記と同じ意味を表す)
で示される化合物を、塩酸やp−トルエンスルホン酸のような酸触媒の存在下で反応させることにより、製造できる。
【0045】
エステル(I)とともに他の感光剤を用いる場合、両者の混合割合は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定される。また、エステル(I)を含む感光剤は、ポジ型レジスト組成物中の全固形分の量を基準に、10〜50重量%の範囲で含有するのが好ましい。
【0046】
ポジ型レジスト組成物を構成するアルカリ可溶性ノボラック樹脂は、フェノール性水酸基を少なくとも1個有する化合物とアルデヒドとを、酸触媒の存在下に縮合させて得られるものであって、その種類は得に限定されず、レジスト分野で用いられる各種のものであることができる。ノボラック樹脂の原料となるフェノール系化合物としては、メタクレゾール、パラクレゾール、オルトクレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、 2,3,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、t−ブチルハイドロキノンなどが挙げられる。またノボラック樹脂のもう一方の原料であるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキサール、サリチルアルデヒドなどが挙げられる。特にホルムアルデヒドは、約37重量%の水溶液として工業的に量産されており、好適に用いられる。
【0047】
こうしたフェノール系化合物の1種または2種以上と、アルデヒドの1種または2種以上とを、酸触媒の存在下で縮合させることにより、ノボラック樹脂が得られる。触媒としては、有機酸、無機酸、二価金属塩などが用いられ、具体例としては、シュウ酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸亜鉛などが挙げられる。縮合反応は常法に従って行うことができ、例えば60〜120℃の範囲の温度で2〜30時間程度行われる。また、反応は無溶媒で行っても、適当な溶媒中で行ってもよい。
【0048】
得られるノボラック樹脂は、レジストの現像残渣を少なくするなどの目的で、例えば分別などの操作を施して、 そのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(UV254nmの検出器を使用)によるパターンにおいて、ポリスチレン換算分子量で900以下の成分の面積比が、未反応のフェノール系化合物のパターン面積を除く全パターン面積に対して25%以下、さらには20%以下となるようにしておくことが好ましい。分別を行う場合は、ノボラック樹脂を、良溶媒、例えば、メタノールやエタノールのようなアルコール類、アセトンやメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、エチルセロソルブのようなグリコールエーテル類、エチルセロソルブアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、テトラヒドロフランのような環状エーテル類などに溶解し、この水溶液を水中に注いで高分子量成分を沈殿させる方法、あるいはこの溶液を、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような貧溶媒と混合して分液する方法などが採用できる。
【0049】
こうした分別操作を施して高分子量成分を多くしたノボラック樹脂に、分子量900以下のアルカリ可溶性フェノール系化合物を加えることも有効である。ここで用いる分子量900以下のアルカリ可溶性フェノール系化合物としては、分子構造中にフェノール性水酸基を少なくとも2個有するものが好ましく、例えば特開平 2-275955 号公報(= EP-A-358,871)や特開平 2-2560 号公報に記載のものなどが挙げられる。分子量900以下のアルカリ可溶性フェノール系化合物を用いる場合は、ポジ型レジスト組成物中の全固形分の量を基準として、3〜40重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
【0050】
レジスト液の調製は、感光剤およびノボラック樹脂、あるいは必要に応じてさらに分子量900以下のアルカリ可溶性フェノール系化合物を、溶剤に混合溶解することにより行われる。ここで用いる溶剤は、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発したあとに均一で平滑な塗膜を与えるものが好ましい。このような溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートやエチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、ピルビン酸エチルや酢酸n−アミル、乳酸エチルのようなエステル類、2−ヘプタノンやシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類、その他、特開平 2-220056 号公報に記載のもの、特開平 4-362645 号公報に記載のもの、特開平 4-367863 号公報に記載のものなどが挙げられる。溶剤としては、それぞれの化合物を単独で、または2種類以上混合して用いることができる。
【0051】
こうして得られるレジスト液ないしレジスト組成物は、必要に応じてさらに、ノボラック樹脂以外の樹脂や染料などを、添加物として少量含有することもできる。
【0052】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特にことわらないかぎり重量基準である。
【0053】
実施例1: 1,2−ジヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)ベンゼン〔化合物a〕の製造
四つ口フラスコに、カテコール440部、パラトルエンスルホン酸38部およびメタノール440部を仕込んで40℃に調温した。そこへ、4−ヒドロキシメチル−2,5−ジメチルフェノール304部を仕込み、その後同温度でさらに1時間攪拌した。反応終了後、水2000部を仕込み、20℃まで冷却したあと濾過し、水1000部で洗浄した。 得られた濾過物を、酢酸エチル1600部に60℃で仕込んで溶解させ、さらにイオン交換水400部を仕込んで攪拌し、分液した。次にイオン交換水400部での洗浄を4回行ったあと、オイル層を濃縮した。濃縮マスにトルエン400部を加えて20℃まで冷却し、濾過後、トルエン200部で洗浄した。得られた濾過物を45℃で一昼夜減圧乾燥して、1,2−ジヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)ベンゼン〔化合物aとする〕を183.5部得た。
【0054】
質量分析: MS 244
1H−NMR(ジメチルスルホキシド) δ(ppm) :
2.04 (s, 6H); 3.60 (s, 2H);
6.36 (d, J = 7.9 Hz, 1H); 6.43 (s, 1H);
6.54 (s, 1H); 6.60 (d, J = 7.9 Hz, 1H);
8.63 (brs, 2H); 8.84 (brs, 1H).
【0055】
実施例2: 1,2−ジヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルベンジル)ベンゼン〔化合物b〕の製造
実施例1における4−ヒドロキシメチル−2,5−ジメチルフェノール304部に代えて、4−ヒドロキシメチル−2,3,5−トリメチルフェノール332部を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、1,2−ジヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−2,3,6−トリメチルベンジル)ベンゼン〔化合物bとする〕を195.6部得た。
【0056】
質量分析: MS 258
【0057】
実施例3: 化合物aのキノンジアジドスルホン酸エステル化
四つ口フラスコに、実施例1で得られた化合物aを2.4部、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドを8.0部、および1,4−ジオキサンを52部仕込み、25℃に調温した。そこにトリエチルアミン3.6部を滴下し、その後3時間反応させた。反応終了後、酢酸0.9部で中和し、濾過した。その濾液を1%酢酸水溶液600部と混合し、1時間攪拌後濾過し、イオン交換水で洗浄した。得られた濾過物を45℃で一昼夜減圧乾燥して、感光剤9.1部を得た。これを感光剤Aとする。
【0058】
主成分の分析値
質量分析: MS 940
【0059】
実施例4: 化合物aの別のモル比でのキノンジアジドスルホン酸エステル化
四つ口フラスコに、実施例1で得られた化合物aを2.4部、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドを5.4部、および1,4−ジオキサンを39部仕込み、25℃に調温した。そこにトリエチルアミン2.4部を滴下し、その後3時間反応させた。反応終了後、酢酸0.6部で中和し、濾過した。その濾液を1%酢酸水溶液600部と混合し、1時間攪拌後濾過し、イオン交換水で洗浄した。得られた濾過物を45℃で一昼夜減圧乾燥して、感光剤6.8部を得た。これを感光剤A′とする。
【0060】
主成分の分析値
質量分析: MS 708
【0061】
実施例5: 化合物bのキノンジアジドスルホン酸エステル化
実施例4における化合物aに代えて、実施例2で得られた化合物bを2.6部用い、1,4−ジオキサンの量を40部とし、そして反応終了後に酢酸で中和したあとの濾液を混合した1%酢酸水溶液の量を500部とした以外は、実施例4と同様の操作を行って、感光剤を7.0部得た。これを感光剤Bとする。
【0062】
主成分の分析値
質量分析: MS 722
【0063】
参考例: ノボラック樹脂の製造
四つ口フラスコに、メタクレゾール148.5部、パラクレゾール121.5部、メチルイソブチルケトン252部、10%シュウ酸水溶液37.0部および90%酢酸水溶液84.8部を仕込み、100℃の油浴で加熱攪拌しながら、37%ホルマリン129.5部を40分かけて滴下し、その後さらに15時間反応させた。次に水洗、脱水して、ノボラック樹脂を42.3%含有するメチルイソブチルケトン溶液466部を得た。GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は 4,400であった。
【0064】
この溶液450部を底抜きセパラブルフラスコに仕込み、さらにメチルイソブチルケトン909.6部およびn−ヘプタン996.1部を加えて、60℃で30分間攪拌したあと、静置し、分液した。分液で得られた下層のマスに、2−ヘプタノン380部を加え、メチルイソブチルケトンおよびn−ヘプタンをエバポレーターにより除去して、ノボラック樹脂の2−ヘプタノン溶液を得た。GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は 9,000であり、ポリスチレン換算分子量で900以下の範囲の面積比は、全パターン面積に対して14%であった。
【0065】
適用例1〜3
表1に示す感光剤とともに、参考例で得たノボラック樹脂の2−ヘプタノン溶液を固形分換算で15部、添加剤として4,4′−(2−ヒドロキシベンジリデン)ジ−2,6−キシレノールを3.9部、および2−ヘプタノンを用い、2−ヘプタノンが合計で50部となるように混合し、溶解した。この液を孔径0.2μm のフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。
【0066】
常法により洗浄したシリコンウエハーに、回転塗布機を用いて上記レジスト液を、乾燥後の膜厚が1.1μm となるように塗布し、ホットプレートにて90℃で1分間ベークした。次いで、365nm(i線)の露光波長を有する縮小投影露光器〔(株)ニコン製品、“NSR 1755I 7A"、NA=0.5〕を用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。これを、現像液“SOPD"〔住友化学工業(株)製品〕で1分間現像して、ポジ型パターンを得た。それぞれのポジ型パターンについて、以下のようにして評価し、結果を表1に示した。
【0067】
実効感度: 0.50μm のラインアンドスペースパターンが1:1になる露光量で表示した。
【0068】
解像度: ラインアンドスペースパターンが1:1になる露光量(実効感度)で、膜減りなく分離するラインアンドスペースパターンの寸法を、走査型電子顕微鏡で測定した。
【0069】
γ値: 露光量の対数に対する規格化膜厚(=残膜厚/初期膜厚)をプロットし、その傾きθを求め、tan θをγ値とした。
【0070】
スカム: 走査型電子顕微鏡でスカム(現像残渣)の有無を観察した。
【0071】
また、それぞれのポジ型パターンのうち、実効感度における0.45μm ラインアンドスペースパターンのプロファイル(断面形状)を走査型電子顕微鏡で観察したところ、いずれのパターンも垂直に切れていた。
【0072】
【表1】
* 感光剤X:4,4′−メチレンビス〔2−(4−ヒドロキシベンジル)−3,6−ジメチルフェノール〕と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドとのモル比1:2の縮合物
【0073】
【発明の効果】
本発明による式(I)の化合物のうち、Q1 、Q2 およびQ3 の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルであるエステル(I)は、レジスト組成物における感光剤として有用であり、またQ1 、Q2 およびQ3 がすべて水素であるトリヒドロキシ化合物(I)は、かかる感光剤の前駆体として有用である。そして、エステル(I)を含むポジ型レジスト組成物は、半導体微細加工用として、感度、解像度、γ値およびプロファイルに優れ、また現像残渣がないなど、レジスト諸性能のバランスがとれたものとなる。
Claims (6)
- R1およびR4がそれぞれメチルであり、R3およびR5がそれぞれ水素である請求項1記載の化合物。
- Q1、Q2およびQ3がすべて水素である請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
- Q1、Q2およびQ3の少なくとも一つが1,2−ナフトキノンジアジド−4−または−5−スルホニルである請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
- 請求項4記載の化合物を有効成分とする感光剤。
- 請求項5記載の感光剤およびアルカリ可溶性ノボラック樹脂を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
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