JP5742819B2 - 静電潜像現像用トナー - Google Patents
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Description
本発明の静電潜像現像用トナーは、複写機、プリンタ、デジタル印刷機、簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置(たとえば図2に示す画像形成装置)において用いられる乾式現像剤または液体現像剤である。本発明の静電潜像現像用トナーは、少なくともトナー粒子を含み、さらに静電潜像現像用トナーに一般に使用される他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、たとえばキャリア、外添剤を挙げることができる。
本発明の静電潜像現像用トナーに含まれるトナー粒子は、樹脂と顔料とを含み、さらにトナー粒子に一般に使用される他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、たとえば離型剤、分散剤、荷電制御剤、他の着色剤(後述の第1顔料、第2顔料、第3顔料、第4顔料、第5顔料以外のもの)等を挙げることができる。以下、このようなトナー粒子を構成する各構成要素について説明する。
本発明のトナー粒子に含まれる顔料は、第1顔料と第2顔料と第3顔料とを含み、該第1顔料は、カーボンブラックであり、該第2顔料は、C.I.Pigment Brown(C.I.ピグメントブラウン)23および/またはC.I.Pigment Brown 25であり、該第3顔料は、ニグロシンである。
第1顔料は、カーボンブラックである。カーボンブラックは着色力が高く、所望の黒色の画像濃度を得る上で必要である。
第2顔料は、C.I.Pigment Brown 23および/またはC.I.Pigment Brown 25である。このように第2顔料は、特定のカラーインデックス名で示されるブラウン顔料である。このようなブラウン顔料は、極めて着色力が高く、色相も黒色に近似するとともに、高い電気抵抗を有するため、カーボンブラックに対し後述の第3顔料と併用することにより上記のような優れた効果を示す。すなわち、電気抵抗を調整するためにカーボンブラックに対してこのブラウン顔料を高濃度で含有しても画像濃度が低下したり、色相が異なってしまうことがないため、電気抵抗の調整を十分に行なうことができ、以って画像濃度および色相を満足させるとともに、転写不良の問題を防止できるという優れた効果が示される。
第3顔料は、ニグロシンである。この第3顔料は、高い電気抵抗を有し、色相の調整に寄与し、さらに上記の第1顔料および第2顔料の分散性を向上させるという特有の作用を有するものである。したがって、この第3顔料が第1顔料および第2顔料と併用されることにより、上記のような第2顔料が有する好適な作用を十分に引き出すことができるのである。すなわち、第1顔料であるカーボンブラックに対して、第2顔料および第3顔料を併用したことにより、画像濃度および色相を満足させるとともに、転写不良の問題をも防止できるという極めて優れた効果が示される。
本発明の静電潜像現像用トナーは、上述の通り、第1顔料を顔料の全量に対して30〜50質量%含み、第2顔料を顔料の全量に対して30〜50質量%含み、第3顔料を顔料の全量に対して15〜30質量%含むことが好ましい。これにより、画像濃度および色相を満足させるとともに、高温高湿の環境下に長期間晒した場合であっても転写不良の問題を防止するという優れた効果をより効果的に示すことができる。
第4顔料は、C.I.Pigment Blue(C.I.ピグメントブルー)15:3および/またはC.I.Pigment Blue 15:4である。このように第4顔料は、特定のカラーインデックス名で示されるシアン顔料である。このようなシアン顔料は、主として色相を調整することを目的として使用することができる。
第5顔料は、C.I.Pigment Yellow(C.I.ピグメントイエロー)74、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、およびC.I.Pigment Yellow 185からなる群より選ばれる少なくとも1種のイエロー顔料である。このように第5顔料は、特定のカラーインデックス名で示されるイエロー顔料である。このようなイエロー顔料は、主として色相を調整することを目的として使用することができる。
通常、色相は、JIS Z 8729で規定されているL*a*b*表色系の均等色空間において、L*軸、a*軸、b*軸の各値により表わすことができる。黒色画像の理想的な色相としては、オフセット枚葉印刷色標準 Japan Color色再現印刷 2001により示されている色相(用紙種:コート紙、態様:ブラック網点面積率100%部位)を挙げることができる。
本発明のトナー粒子に含まれる樹脂は、この種の用途に用いられる樹脂として従来公知の樹脂を特に限定することなく使用することができる。たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル系共重合樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アニリン樹脂、ユリア樹脂、ケイ素樹脂、イミド樹脂等を挙げることができる。本発明の静電潜像現像用トナーが、乾式現像剤であっても、湿式現像剤であっても、トナー粒子に含まれる樹脂として、上記したような樹脂を用いることができる。
離型剤として、ワックスを好ましく用いることができる。本発明の静電潜像現像用トナーに使用可能なワックスとしては、以下に示す公知のものが挙げられる。すなわち、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス;エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス、が例示される。
本発明に係るトナー粒子は、特に限定されるものではなく、従来のトナー製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナー粒子を作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法により作製することが可能である。
本発明の静電潜像現像用トナーは、外添剤を含むことが好ましい。トナー粒子に外添剤を添加することで、静電潜像現像用トナーの流動性を向上することができる。外添剤としては、公知の外添剤を使用することができ、シリカ、チタニア、酸化アルミ等の疎水化処理を行なった無機酸化物粒子を用いることができる。外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーには、必要に応じてキャリアを含有させてもよい。静電潜像現像用トナーを乾式現像剤として用いる場合、キャリアとしては、特に制限されるものではなく、公知のキャリアを使用することができる。具体的には、特開昭62−39879号公報や特開昭56−11461号公報等に記載される樹脂コートキャリアが好ましく用いられる。
本実施形態の静電潜像現像用トナーは、コアシェル構造のトナー粒子と、樹脂コートキャリアとを含む、乾式現像剤である。
コアシェル構造のトナー粒子の製造方法としては、乳化重合法や懸濁重合法などの重合方法により予め樹脂粒子を形成し、この樹脂粒子を凝集、融着させて粒子形成を行う方法が好ましい。
(1)コア用樹脂粒子分散液の作製工程
(2)顔料粒子分散液の作製工程
(3)コア用樹脂粒子の凝集・融着工程(コア粒子の作製工程)
(4)第1熟成工程
(5)シェル化工程
(6)第2熟成工程
(7)冷却工程
(8)洗浄工程
(9)乾燥工程
(10)外添剤処理工程、を順に行なう。
この工程では、コア用の樹脂粒子を形成するスチレン単量体とアクリル酸エステル単量体を界面活性剤とともに水系媒体中に投入して分散させ、重合開始剤を添加して重合を行って、スチレンアクリル共重合体からなるコア用の樹脂微粒子を形成する。樹脂微粒子の体積平均粒径は50〜300nmが好ましい。好適なスチレン単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が例示される。
この工程では、水系媒体中に界面活性剤とともに顔料を投入して分散させ、顔料粒子の分散液を作製する。顔料粒子の体積平均粒径は50〜200nmが好ましい。
この工程では、水系媒体中で前述の樹脂粒子と顔料粒子を凝集させ、凝集させると同時にこれら粒子を融着させてコア粒子を作製する。この工程での顔料粒子の添加量は、固形分換算でトナー粒子全量(後段で添加される材料も含む)に対して10〜40質量%であることが好ましい。この工程では、樹脂粒子と顔料粒子とを混合させた水系媒体中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を凝集剤として添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度で加熱して凝集を進行させ、同時に樹脂粒子同士を融着させる。
この工程では、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することによりコア粒子の形状を所望の形状にするまで熟成を行う。この工程でも、加熱温度を高めに設定し、処理時間を長めに設定することにより、表面が平滑なコア粒子を作製することが可能である。
この工程では、第1熟成工程で形成されたコア粒子の分散液中に、シェル形成用樹脂粒子を添加してコア粒子表面を当該樹脂粒子で被覆することによりシェルを形成する。本実施形態では、この工程でポリエステル分子鎖末端にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させた変性ポリエステルの樹脂粒子を添加して、当該変性ポリエステルを含有するシェルを形成する。ここで用いられる好適なポリエステル分子としては、ポリエステル分子鎖(ポリエステルセグメントともいう)に、スチレンアクリル共重合分子鎖(スチレンアクリル共重合体セグメントともいう)を分子結合させた構造のポリエステル分子が例示できる。その中でもスチレンアクリル共重合体セグメントの含有割合が5質量%以上30質量%以下のものが好ましい。ここで、スチレンアクリル変性ポリエステル分子中に占めるスチレンアクリル共重合体セグメントの含有割合は「スチレンアクリル変性量」とも呼ばれ、スチレンアクリル変性ポリエステル分子に占めるスチレンアクリル共重合体セグメントの比率(質量比)である。具体的には、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を合成する際に使用される重合性単量体全質量に対するスチレンアクリル共重合体形成に使用される重合性単量体質量の比をいうものである。「スチレンアクリル変性量」を上記範囲とすることにより、上述したシェルの形成がより確実に行える様になる。
この工程では、上記シェル化工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより、コア表面へのシェルの被覆を強化するとともに、トナー粒子の形状が所望の形状になるまで熟成を行う。
この工程では、トナー粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、好ましくは1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
この工程では、上記工程で所定温度まで冷却されたトナー粒子分散液からトナー粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのケーキ状集合体にしたトナー粒子表面から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するために洗浄を行なう。洗浄処理は、ろ液の電気伝導度がたとえば10μS/cmレベルになるまで水洗処理を行うものである。ろ過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタプレス等を使用するろ過法等、公知の処理方法があり、特に限定されるものではない。
この工程では、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理し、乾燥したトナー粒子を得る。この工程で使用される乾燥機としては、スプレイドライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機等の公知の乾燥機が挙げられ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機等を使用することも可能である。また、乾燥処理されたトナー粒子に含有される水分量は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここで、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
この工程は、トナー粒子に乾燥処理を施した後に、必要に応じ外添剤を添加、混合してトナー粒子表面へ外添剤を付加する。外添剤は、個数平均1次粒径が5nm以上150nm以下の単分散球状粒子の外添剤が好ましく用いられる。本明細書においては、外添剤を付加する前のトナー粒子を「トナー母体粒子」とし、外添剤を付加した後のトナー粒子を「外添剤付加トナー粒子」として両者を区別する場合がある。なお、本明細書において、トナー粒子の質量は、「トナー母体粒子」の質量とする。
コア用樹脂粒子の凝集・融着工程(3)では、凝集剤を用いて樹脂粒子や顔料粒子等を凝集させることが好ましい。本実施形態で使用可能な凝集剤は特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。たとえば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩等の1価の金属の塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の2価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属の塩等がある。具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられ、これらの中で特に好ましくは2価の金属の塩である。2価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
コア用樹脂粒子分散液の作製工程(1)において、ビニル系重合性単量体を用いて樹脂粒子を形成する場合、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用することができる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。すなわち、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等の過酸化物系重合開始剤、が例示される。
本実施形態では、コア用樹脂粒子の凝集・融着工程(3)において、水系媒体中に分散させた樹脂粒子、顔料粒子等を凝集、融着させてトナー粒子を作製する。この工程において、トナー粒子の材料を水系媒体中に安定して分散させておく分散安定剤を使用することが好ましい。分散安定剤としては、たとえば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等のものがある。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用できる。
本実施形態では、コア用樹脂粒子分散液の作製工程(1)において、水系媒体中に分散させた重合性単量体を重合する。この工程においては、重合性単量体の油滴を水系媒体中に均一に分散させるために界面活性剤を使用することが好ましい。ここで用いられる界面活性剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤には、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等がある。
本実施形態の静電潜像現像用トナーは、二成分現像剤であり、トナー粒子とともに樹脂コートキャリアを含む。樹脂コートキャリアは、磁性芯材粒子(以下、芯材粒子ともいう)の表面に樹脂を被覆して形成され、キャリア体積平均粒径が25μm以上50μm以下であることが好ましい。樹脂コートキャリアは、キャリア表面に形成された樹脂コート層によりトナー粒子へ良好な帯電付与性能を安定的に発現することが可能である。
(1)芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程
(2)樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱しながら機械的衝撃力を加え、芯材粒子表面に樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程
(3)チャンバーを室温まで冷却する工程、を順に行なう。
図2は、本発明に係る静電潜像現像用トナーを二成分系の乾式現像剤とした時に使用可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。
実施例1においては、第1の実施形態の乾式現像剤、すなわちコアシェル構造を有するトナー粒子と樹脂コートキャリアとからなる乾式現像剤を作製した。
ゾルゲル法により、以下の手順により外添剤粒子1としてシリカ粒子を作製した。撹拌装置、滴下ロート、温度計を備えた反応容器に、
メタノール 625質量部
水 40質量部
28質量%アンモニア水 50質量部
を投入してアンモニア水を含有したメタノール−水混合溶媒を作製した。当該混合溶媒の温度を35℃に調整して、撹拌を行いながら、
テトラメトキシシラン 800質量部
5.4質量%アンモニア水 420質量部
をそれぞれ上記混合溶媒中に滴下した。これら化合物の滴下開始は同時に行い、テトラメトキシシランを3.5時間で滴下し、5.4質量%アンモニア水を5時間で滴下した。
次に、上記の外添剤粒子とともにトナー母体粒子へ添加する外添剤粒子2として、市販品の金属酸化物粒子(個数平均1次粒径7nm、BET値300、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理したシリカ粒子)を用意した。
(コア用樹脂粒子Aの作製)
(1)第一段重合
撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、アニオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム2質量部とイオン交換水2900質量部を投入して界面活性剤水溶液を作製した。当該界面活性剤水溶液を窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら温度を80℃に昇温させた。
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 270質量部
メタクリル酸 65質量部
滴下後、78℃にて1時間加熱、撹拌して重合反応(第一段重合)を行うことにより、「樹脂微粒子A1」の分散液を作製した。
(2)第二段重合
次に、撹拌装置、温度センサ、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器へイオン交換水1100質量部とラウリル硫酸ナトリウム2質量部を投入して界面活性剤水溶液を作製して90℃に加温した。加温後、上記界面活性剤水溶液中へ上記で作製した「樹脂微粒子A1」を固形分換算で28質量部と下記単量体混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散装置(商品名:「クレアミックス」、エム・テクニック(株)製)を用いて4時間混合分散処理して、体積平均粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 60質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
ペンタエリスリトールテトラベヘネート 51質量部
からなる。離型剤としてのエステル結合を有するワックスであるペンタエリスリトールテトラベヘネートは、上記単量体と連鎖移動剤であるn−オクチルメルカプタンを溶解させた後に添加し、85℃に加温して溶解させた。上記乳化粒子分散液中に、過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を90℃で2時間加熱、撹拌することにより重合反応(第二段重合)を行い、「樹脂微粒子A2」の分散液を作製した。
次に、上記「樹脂微粒子A2」の分散液中に過硫酸カリウム(KPS)2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にして下記化合物を含有する単量体混合液を1時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 100質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
からなる単量体混合液を滴下後、80℃の温度下で3時間加熱、撹拌することにより重合反応(第三段重合)を行った。その後、28℃まで冷却して、「コア用樹脂粒子A」の分散液を作製した。
以下の手順により、ポリエステル分子鎖末端にスチレンアクリル共重合体分子鎖を分子結合させたスチレンアクリル変性ポリエステル樹脂を含有するシェル用樹脂粒子の分散液を作製した。すなわち、窒素導入装置、脱水管、撹拌装置及び熱電対を取り付けた反応容器へ、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
テレフタル酸 154質量部
フマル酸 45質量部
オクチル酸スズ 2質量部
を投入し、温度230℃で8時間の重縮合反応を行い、さらに、8kPaで1時間重縮合反応を継続後、160℃に冷却した。この様にしてポリエステル分子を形成した。
スチレン 142質量部
n−ブチルアクリレート 35質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 10質量部
滴下後、温度160℃を維持した状態で1時間の付加重合反応を行った後、200℃に昇温させ、10kPaで1時間保持した。この様にして、スチレンアクリル共重合体分子鎖の含有割合が20質量%の「スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂B1」を作製した。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解した溶液を撹拌しながら、
第1顔料:カーボンブラック(商品名:「Mogul L」、キャボット社製) 160質量部
第2顔料:C.I.Pigment Brown 25(商品名:「PV Fast Brown HFR」、クラリアントジャパン社製) 140質量部
第3顔料:ニグロシン(商品名:「ヌービアンブラックTH−827」、オリヱント化学工業社製) 60質量部
第4顔料:C.I.Pigment Blue 15:3(フタロシアニンブルー顔料)(商品名:「Fastogen Blue GNPT」、DIC社製) 12質量部
第5顔料としてC.I.Pigment Yellow 180(商品名:「Toner Yellow HG、クラリアントジャパン社製) 28質量部
を徐々に添加した。次いで、撹拌装置(商品名:「クレアミックス、エム・テクニック社製)を用いて分散処理を行うことにより、顔料粒子Cの分散液を調製した。
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
コア用樹脂粒子Aの分散液 296質量部(固形分換算)
イオン交換水 1500質量部
顔料粒子Cの分散液 72質量部(固形分換算)
を投入した。さらに、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解した分散安定剤溶液を添加し、液温を30℃にした後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
シェル用樹脂粒子Bの分散液 32質量部(固形分換算)
を添加し、シェル用樹脂粒子Bが凝集粒子表面に付着するまで加熱撹拌を続けた。そして、反応溶液を少量取り出し、これを遠心分離して上澄みが透明になった時点で塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子の成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温を90℃にして加熱撹拌を行って粒子の融着を進行させた。この状態で粒径分布測定装置(商品名:「FPIA−2100」、シスメックス社製)による測定で平均円形度が0.965になるまで粒子の融着を進行させた。
上記にて作製したトナー母体粒子100質量部に対し、上記にて準備した外添剤粒子1を1.0質量部と外添剤粒子2を1.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサ(商品名:「FM10B」、三井三池化工(株)製)の撹拌羽根周速を40m/秒、処理温度30℃、処理時間20分に設定して外添処理を行った。外添処理を行った後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、外添処理トナー粒子を作製した。
以下の手順により、樹脂コートキャリアを作製した。
樹脂コートキャリア用の磁性芯材粒子として、体積平均粒径が35μmのフェライト粒子(市販品)を用意した。このフェライト粒子は、マンガン含有量がMnO換算で21.0モル%、マグネシウム含有量がMgO換算で3.3モル%、ストロンチウム含有量がSrO換算で0.7モル%、鉄含有量がFe2O3換算で75.0モル%のものであった。なお、体積平均粒径は湿式分散器を備えた市販のレーザ回折式粒度分布測定装置(商品名:「HELOS」、シンパテック社製)により測定したものである。
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にドデシル硫酸ナトリウム1.7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を用意した。この界面活性剤水溶液を窒素気流下で230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。この界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にして下記化合物よりなる単量体混合液を2時間かけて滴下した。すなわち、
シクロヘキシルメタクリレート 400質量部
メタクリル酸メチル 400質量部
からなる単量体混合液を滴下後、80℃の温度下で2時間加熱と撹拌処理を行い、重合反応を行うことによりコート用樹脂粒子の分散液を作製した。上記分散液をスプレイドライヤで乾燥処理してコート用樹脂粒子を作製した。
上記した体積平均粒径35μmのフェライト粒子3000質量部と上記にて作製したコート用樹脂粒子120質量部を図1に示すキャリア製造装置へ投入し、水平回転翼の周速を4m/秒に設定して、22℃の温度下で15分間混合撹拌を行った。混合撹拌を行った後、120℃に加熱した状態下で40分間撹拌処理を行って体積平均粒径35μmの樹脂コートキャリアを作製した。
上記にて作製した外添処理トナー粒子と樹脂コートキャリアを用いて、現像剤に含まれるトナー粒子の濃度が7.0質量%となるように、実施例1の現像剤を調製した。
第1顔料、第2顔料、第3顔料および第4顔料(その他の顔料を含むものもある)として以下の表1に記載したものを用い、かつ各顔料の添加量(添加割合)を表1に記載したものとすることを除き、実施例1と同様にして現像剤を作製した。いずれの実施例および比較例も、トナー粒子中の顔料の総含有量は実施例1と同様に18質量%であった。
CB1:カーボンブラック(商品名:「Mogul L」、キャボット社製)
CB2:カーボンブラック(商品名:「MA77」、三菱化学社製)
BR1:C.I. Pigment Brown 25(商品名:「PV Fast Brown HFR」、クラリアントジャパン社製)
BR2:C.I. Pigment Brown 23(商品名:「Cromophtal Brown 5R」、BASF社製)
NS1:ニグロシン(商品名:「ヌービアンブラックTH−827」、オリヱント化学工業社製)
NS2:ニグロシン(商品名:「ボントロンN−09」、オリヱント化学工業社製)
C1:C.I.Pigment Blue 15:3(商品名:「Fastogen Blue GNPT」、DIC社製)
C2:C.I.Pigment Blue 15:4(商品名:「Fastogen Blue GNPS-G」、DIC社製)
Y1:C.I.Pigment Yellow 180(商品名:「Toner Yellow HG」、クラリアントジャパン社製)
Y2:C.I.Pigment Yellow 185(商品名:「PALIOTOL YELLOW D 1155」、BASF社製)
Y3:C.I.Pigment Yellow 74(商品名:「セイカファーストイエロー2054」、大日精化工業社製)
Y4:C.I.Pigment Yellow 155(商品名:「Toner Yellow 3GP」、クラリアントジャパン社製)
M1:C.I. Pigment Red 122(商品名:「FASTOGEN Super Magenta RTS」、DIC社製)
なお、表1中、空欄(「−」)は、該当物を含んでいないことを示す。
各実施例および各比較例のトナー母体粒子の体積平均粒径を粒径分布測定装置(商品名:「FPIA−2100」、シスメックス社製)により測定した。測定結果を表2に示す。
図2に示す画像形成装置に対応する市販の複合機(商品名:bizhub PRO C6500、コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を使用して、温度25℃、相対湿度55%RHの環境下で、実施例および比較例の各現像剤をブラックトナーとして使用し、他の色のトナーは使用せずに、各現像剤1種類につき2万枚の連続プリントを実施し、画像を作成した。連続プリントで作成する画像は、A4サイズの記録材(コート紙)上に、人物顔写真画像、相対反射濃度0.4のハーフトーン画像、白地画像、相対反射濃度1.3のベタ画像を4等分に出力させたものにした。なお、ハーフトーン画像およびベタ画像の相対反射濃度はマクベス反射濃度計(商品名:「RD918」、サカタインクスエンジニアリング社製)による測定値である。そして、2万枚の連続プリント終了時に図3に示す画像を記録材(コート紙)上に付着量が3.0g/m2となるように10枚連続でプリントしこれを以下の評価に用いた。
上記で得られた10枚のプリントのソリッドパターンの画像濃度を反射濃度計(商品名:「X−Rite model 404]、X−Rite社製)により測定し、以下の3段階のランク評価を行なった。
A:画像濃度が1.8以上
B:画像濃度が1.7以上1.8未満
C:画像濃度が1.7未満
画像濃度が高いものほど、画像濃度が高いことを示す。その結果を表2に示す。
マクベス反射濃度計(商品名:「RD918」、サカタインクスエンジニアリング社製)を用いて、プリント作成を行なっていない記録材(コート紙)の濃度を20箇所で測定し、その平均値を白紙濃度とした。次に、上記で得られた10枚のプリントの白地画像の濃度を20箇所で測定し、その平均濃度から上記で測定した白紙濃度を引いた値をカブリ濃度し、以下の3段階のランク評価を行なった。
A:カブリ濃度が0.005未満
B:カブリ濃度が0.005以上0.01未満
C:カブリ濃度が0.01以上
カブリ濃度が低いものほど、転写性に優れていること(すなわち転写不良の問題が低減されていること)を示している。その結果を表2に示す。
色彩色差計(商品名:「CM−3700d」、コニカミノルタ社製)を用いて、上記で得られた10枚のプリントのソリッドパターンの色相評価を行なった。具体的には、この単色ソリッドパターンとJapan Color 2007チャート(紙の種類:コート紙、態様:ブラック単色ベタ部)との色差ΔEを算出し、その平均値を求め、以下の3段階のランク評価を行なった。色差ΔEは、JIS Z 8729で規定されているL*a*b*表色系の均等色空間における、L*軸、a*軸、b*軸の差をそれぞれ二乗したものの和
の平方根とした。
A:色差ΔEが3未満
B:色差ΔEが3以上6未満
C:色差ΔEが6以上
色差ΔEが小さいものほど、色相に優れていることを示している。その結果を表2に示す。
<イエロートナーの作製>
(顔料粒子Yの分散液の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解した溶液を撹拌しながら、
イエロー顔料としてC.I.Pigment Yellow 180(商品名:「Toner Yellow HG、クラリアントジャパン社製) 400質量部
を徐々に添加した。次いで、撹拌装置(商品名:「クレアミックス、エム・テクニック社製)を用いて分散処理を行うことにより、顔料粒子Yの分散液を調製した。その後、顔料粒子Cの分散液に替えて顔料粒子Yの分散液を用いたこと以外は、ブラックトナーと同様の方法で外添処理トナー粒子を作製した。
図2に示す画像形成装置に対応する市販の複合機(商品名:bizhub PRO C6500、コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を使用して、温度25℃、相対湿度55%RHの環境下で、上記作製のイエロートナーを使用して1000枚の連続プリントを実施した後、実施例および比較例の各現像剤をブラックトナーとして使用して1000枚の連続プリントを実施し、画像を作成した。連続プリントで作成する画像は、A4サイズの記録材(コート紙)上に、人物顔写真画像、相対反射濃度0.4のハーフトーン画像、白地画像、相対反射濃度1.3のベタ画像を4等分に出力させたものにした。そして、2000枚(イエロー1000枚+ブラック1000枚)の連続プリント終了時に、イエロートナーでベタ画像を出力した上に、ブラックトナーにて図3に示す画像を重ね合わせるように、記録材(コート紙)上に付着量が各2.0g/m2となるように10枚連続でプリントしこれを以下の評価に用いた。
マクベス反射濃度計(商品名:「RD918」、サカタインクスエンジニアリング社製)を用いて、イエロートナーのみで画像形成したイエローベタ画像の濃度を20箇所で測定し、その平均値を画像濃度aとした。次に、上記で得られた10枚のプリントのブラックトナーをのせていない部位の画像の濃度を20箇所で測定し、その平均値(画像濃度b)から上記で測定した画像濃度aを引いた値をカブリ濃度し、以下の3段階のランク評価を行なった。
A:カブリ濃度が0.005未満
B:カブリ濃度が0.005以上0.01未満
C:カブリ濃度が0.01以上
カブリ濃度が低いものほど、転写性に優れていること(すなわち転写不良の問題が低減されていること)を示している。その結果を表2に示す。
各実施例および各比較例の画像形成装置による画像形成時に採用したプロセス条件およびプロセスの概略は以下の通りである。
システム速度:40cm/s
感光体:負帯電OPC
帯電電位:−700V
現像電圧(現像ローラ印加電圧):−450V
1次転写電圧(転写ローラ印加電圧):+600V
2次転写電圧:+1200V
現像前コロナCHG:針印加電圧−3〜5kVで適宜調整。
Claims (4)
- トナー粒子を含み、
前記トナー粒子は、樹脂と顔料とを含み、
前記顔料は、第1顔料と第2顔料と第3顔料とを含み、
前記第1顔料は、カーボンブラックであり、
前記第2顔料は、C.I.Pigment Brown 23および/またはC.I.Pigment Brown 25であり、
前記第3顔料は、ニグロシンである、静電潜像現像用トナー。 - 前記顔料は、さらに第4顔料および/または第5顔料を含み、
前記第4顔料は、C.I.Pigment Blue 15:3および/またはC.I.Pigment Blue 15:4であり、
前記第5顔料は、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180、およびC.I.Pigment Yellow 185からなる群より選ばれる少なくも1種のイエロー顔料である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記第1顔料は、前記顔料の全量に対して30〜50質量%含まれ、
前記第2顔料は、前記顔料の全量に対して30〜50質量%含まれ、
前記第3顔料は、前記顔料の全量に対して15〜30質量%含まれる、請求項1または2に記載の静電潜像現像用トナー。 - 前記トナー粒子は、コアシェル構造を有し、
前記コアシェル構造は、前記顔料を含むコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆するシェル樹脂とを有する、請求項1〜3のいずれかに記載の静電潜像現像用トナー。
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