JP5736928B2 - キャパシタ用導電下地塗料、キャパシタ用電極、並びに電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタ - Google Patents

キャパシタ用導電下地塗料、キャパシタ用電極、並びに電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタ Download PDF

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Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極の導電下地塗料、これを用いたキャパシタ用電極、並びに電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタに関するものである。
電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタの内部抵抗の低減には、集電体と活物質層間の接触抵抗の低減、特に、耐久試験後の接触抵抗の上昇抑制及び電子の導通性向上が重要である。しかしながら、例えばアルミニウムを集電体とした電極においては、高温保存などの耐久性試験後にアルミニウムの表面に高抵抗の不働態被膜が形成され、導電性が低下する。
アルミニウム表面の導電性改良には、例えば特許文献1には、真空蒸着法にてアルミニウム材の表面に炭素膜を形成した集電体を用い、その上に活物質を被覆することが記載されている。
また特許文献2には、集電体の表面に導電材を接合させ、更に導電材表面に凹凸を形成した集電体が提案されている。具体的には、集電体の表面への黒鉛やチタンカーバイドの吹き付けが検討されている。しかしこれらは導電材の固着が不十分なため、集電体と活物質層との密着性の向上が望まれる。また、アルミ表面への被覆状態が完全とは言えず、不働態被膜の成長抑制効果は少ない。
特許文献3は、密着性の改善のため、アルミニウムで構成された集電体表面に、樹脂被覆した炭素含有粒子を付着させた後、炭化水素含有物質を含む空間にアルミニウムを配置して加熱することが記載され、アルミニウム表面には炭素含有粒子とアルミニウムの炭化物よりなる炭素被覆アルニミウム材が提案されている。しかし、この方法では、アルミニウム集電体の製造コストが上昇してしまう。
また、従来から、電気二重層キャパシタの生産性向上や内部抵抗の低減を目的として、分極性多孔質シートと集電体との接着性がよく、電気抵抗値の低い導電接着剤が提案されている。
例えば、特許文献4には、導電接着剤の組成が合成ゴム、炭素材として鱗片状黒鉛とカーボンブラックよりなる導電接着剤が提案されており、導電接着剤が分極性多孔質シートの空孔内に進入することで、密着性と内部抵抗の低減を達成するものである。本手法はキャパシタの生産性向上に寄与するものである。
しかしこの手法を集電体に適用する場合には、接触抵抗の低減を更に考慮する必要があり、また、耐久性向上には、不働態被膜の成長抑制効果の検討が必要である。また、集電体の薄手化はセル中に占める電極層の占有面積の増加、電極層面積の増加による内部抵抗の低下、さらには、生産費用の低減にも繋がり、導電下地層としては薄くとも緻密で、均一な膜が形成されることが望まれる。
特許文献5では、集電体の薄手化のために、導電性カーボンとして黒鉛化カーボンブラックを用いるアンカーコート材料が提案されている。また、強度には優れるが、内部抵抗の上昇や信頼性が低下しやすいアルミニウムプレーン箔にアンカーコート材を用いることで、集電体の薄膜化や低抵抗化、信頼性向上に寄与することが提案されている。しかし、この手法においても、アルミ表面へのカーボンブラックの被覆状態が完全とは言えず、不働態被膜の成長抑制効果は少なく改善が必要である。
特許文献6では、集電体上に導電接着剤層を形成する工程と活物質を導電接着剤層の上に形成する工程を含み、導電接着剤層は炭素粒子及び結着剤を含有してなり、表面粗さRaと厚さdとの比Ra/dが0.03以上1以下である電極が提案されている。この方法によれば、電極強度に優れ、内部抵抗を低減し、出力密度を高める電極を作製できるが、アルミ表面の不働態被膜の成長を抑制するためには、導電下地層の緻密化や被覆状態の改善が必要である。
特開2000−164466号公報 特開2006−286427号公報 国際公開2010/086961A1 特許第4371979号明細書 特開2006−210883号公報 特開2010−108971号公報
上記状況を鑑み、本発明は、電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極における集電体と活物質間の接触抵抗低減及び電子の導通性向上に寄与し、集電体と活物質含有層の密着性の向上に効果があり、膜厚10μm程度以下で均一に塗工可能な導電下地塗料、これを用いた電気二重層キャパシタ用電極及びリチウムイオンキャパシタ用電極、並びに電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタを提供することを課題とする。
本発明は、次のものに関する。
<1> 集電体及び活物質を含んでなる電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極の導電下地被膜を形成する導電下地塗料であり、
前記導電下地塗料は、薄片化黒鉛及びカルボキシメチルセルロースの塩を含み、
前記薄片化黒鉛は、50質量%レーザー回折径(X50dif)が12μm以下、50質量%ストークス径(X50st)が5.5μm以下、薄片化指数(X50dif/X50st)が2.84.8であるキャパシタ用電極の導電下地塗料。
<2> 更に、カーボンブラックを含み、
前記薄片化黒鉛及びカーボンブラックの総含有率が、75〜90質量%の範囲であり、
前記薄片化黒鉛と前記カーボンブラックの質量比率(薄片化黒鉛:カーボンブラック)が、97:3〜1:8の範囲である前記<1>に記載の導電下地塗料。
<3> 前記カーボンブラックの50質量%レーザー回折径(X50dif)が、0.3μm以下である、前記<1>又は<2>に記載の導電下地塗料。
<4> 更に、300℃で0.5時間後の質量減耗率が5%以下の熱可塑性樹脂を含む前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の導電下地塗料。
<5> 前記熱可塑性樹脂の含有率が、5〜15質量%の範囲である前記<4>に記載の導電下地塗料。
<6> 前記集電体がアルミニウムを含んで構成される前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の導電下地塗料。
<7> 集電体と、
前記集電体上に設けられた、前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の導電下地塗料により形成される導電下地被膜と、
前記導電下地被膜上に設けられた、活物質を含む活物質含有層と、
を有する電気二重層又はリチウムイオンキャパシタ用電極。
<8> 前記導電下地被膜は、被膜密度が、0.85g/mL〜1.2g/mLであり、体積固有抵抗が0.25Ωcm以下である前記<7>に記載のキャパシタ用電極。
<9> 前記導電下地被膜の被膜平滑度が、0.02μm〜1.0μmである前記<7>又は<8>に記載のキャパシタ用電極。
<10> 前記導電下地被膜の平均厚みが、0.5μm〜10μmである前記<7>〜<9>のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極。
<11> 前記集電体が、アルミニウムを含んで構成される前記<7>〜<10>のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極。
<12> 前記集電体が、アルミニウムの圧延箔、エッチング箔、又は穴あき箔で構成される前記<11>に記載のキャパシタ用電極。
<13> 前記活物質が、活性炭である前記<7>〜<12>のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極。
<14> 正極電極と、負極電極と、電解質とを有し、
前記正極電極及び負極電極の少なくとも一方が、前記<7>〜<13>のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極であるリチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタ。
本発明によれば、電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極における集電体と活物質間の接触抵抗低減及び電子の導通性向上に寄与し、集電体と活物質含有層の密着性の向上に効果があり、膜厚10μm程度で均一に塗工可能な導電下地塗料、これを用いた電気二重層キャパシタ用電極及びリチウムイオンキャパシタ用電極、並びに電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタを提供することができる。
図1(A)は、薄片化黒鉛とカーボンブラックとを含む導電下地塗料の断面模式図であり、図1(B)は、図1(A)の導電下地塗料により形成された導電下地被膜の断面模式図である。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<導電下地塗料>
本発明の導電下地塗料は、集電体及び活物質を含んでなる電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極の導電下地被膜を形成するのに用いられる。前記導電下地塗料は薄片化黒鉛を含み、前記薄片化黒鉛は、50質量%レーザー回折径(X50dif)が12μm以下、50質量%ストークス径(X50st)が5.5μm以下、薄片化指数(X50dif/X50st)が2.2〜5.0である。
電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタは、瞬間電圧低下補償装置や自動搬送機、またハイブリッド建機などへの採用が進むに従い、電気二重層キャパシタ用電極やリチウムイオンキャパシタ用電極に対して、更なる内部抵抗の低減、信頼性の向上、コスト低減などの要求が高まっている。
また、高温での使用時や高出力の使用において、内部抵抗の上昇を抑制することが望まれている。内部抵抗の上昇は、例えば集電体がアルミニウムから構成される場合、充放電により集電体表面には不働態被膜が形成されことに起因する部分が大きい。すなわち、これらの改善には不働態被膜と活物質含有層の接触抵抗低減、及び不働態被膜からの電子の導通性の向上、また、アルミニウム箔表面に形成される不働態被膜の成長を抑制することが重要である。
本発明では、前記特定形状の薄片化黒鉛を含む導電下地塗料により形成した導電下地被膜を、集電体と活物質含有層との間に設けることで、集電体と活物質間の接触抵抗を低減し、集電体表面に形成される不働態被膜からの電子の導通性を向上させ、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタの初期の内部抵抗の低減、特に、耐熱試験後の内部抵抗上昇を大幅に抑制することを明らかにした。
前記特定形状の薄片化黒鉛とは、具体的には、50質量%レーザー回折径(X50dif)が12μm以下、50質量%ストークス径(X50st)が5.5μm以下、薄片化指数(X50dif/X50st)が2.2〜5.0の薄片化黒鉛である。
ここで、50質量%レーザー回折径(X50dif)とは、レーザー回折・散乱法を用いて測定され、重量累積粒度分布曲線を小粒径側から描いた場合に、重量累積が50%となる粒子径に対応する。レーザー回折法を用いた粒度分布測定は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製SALD−2100、日機装株式会社のマイクロトラックシリーズMT3300)を用いて行なうことができる。
また、50質量%ストークス径(X50st)とは、液相沈降法において終末沈降速度から求まる粒径である。50質量%ストークス径(X50st)測定は、遠心沈降式粒度分布計(例えば、島津製作所製SA−CP−4L)を用いて行うことができる。
本発明では、50質量%レーザー回折径(X50dif)と、50質量%ストークス径(X50st)とにより薄片化黒鉛の大きさを特定するとともに、薄片化指数(X50dif/X50st)により薄片化黒鉛のアスペクト比を数値化して特定の範囲内とすることで、集電体と活物質間の接触抵抗の低減を図り、集電体表面に形成される不働態被膜からの電子の導通性を向上させ、且つ集電体と活物質含有層の密着性を向上させる。
ここで、薄片化指数(X50dif/X50st)は、粒子の薄片化度を評価する指標であり、粒子が塊状に近づけば1に近くなり、薄片化が進めば1より大きくなる。なお、発明者らの検討の結果、薄片化指数(X50dif/X50st)とアスペクト比とは、(X50dif/X50st)が2.2の場合にはアスペクト比は約5程度、(X50dif/X50st)が3.0の場合にはアスペクト比は10程度、(X50dif/X50st)が5.0の場合にはスペクト比は50程度、の関係にある。
50質量%レーザー回折径(X50dif)が12μm以下、50質量%ストークス径(X50st)が5.5μm以下の大きさの薄片化黒鉛を用いると、膜厚を薄くしても抵抗値の低い塗膜が得られる。
更に、本発明では、前記薄片化黒鉛の薄片化指数(X50dif/X50st)を2.2〜5.0の範囲内とすることで、薄くとも低抵抗な塗膜を形成でき、集電体表面に形成される不働態被膜からの電子の導通性が向上し、耐熱試験後の内部抵抗の上昇抑制、また密着性向上にも効果があることを見出した。この理由を以下のように推測するが、当該推測によって本発明は限定されない。
図1(A)は、前記薄片化黒鉛10とカーボンブラック20とを含む導電下地塗料の断面模式図であり、図1(B)は、集電体30の上に、図1(A)の導電下地塗料により形成された導電下地被膜の断面模式図である。なお、本発明においては、導電下地塗料は少なくとも前記薄片化黒鉛10を含んでいればよく、カーボンブラック20の含有は任意である。より好適にはカーボンブラック20を含有する場合である。
導電下地被膜中において、薄片化黒鉛10が前記範囲内の大きさ及び薄片化指数を有する場合には、薄片化黒鉛10が密な状態で配向し積層され、集電体30と活物質(不図示)間の接触抵抗が低減するものと考えられる。
本発明の導電下地塗料は結晶性の良い薄片化黒鉛10が密な状態で配向し積層され、さらに、電気化学的に安定なバインダーで集電体30表面と密着性の良好な炭素被膜を形成する。集電体30と下地被膜との界面は、薄片化された黒鉛で緻密に形成されており、集電体30表面への電解液の進入が少ない被膜を形成できる。その結果、集電体30がアルミニウムで構成される場合、充放電や高温保存により、電解液中の微量水分の分解や、不純物の存在により生じる電解液の分解により生じるアルミニウム表面の不働体被膜の成長を抑制できると考えている。
さらに考察すると、炭素被膜は集電体表面に形成させる不働態被膜の欠陥部からの電子の移動を容易にする効果がある。特に、不働態被膜の欠陥部からの電子の移動は、不働態被膜上に塗布される炭素被膜中のπ電子の移動が関係する。すなわち、炭素被膜に使用される炭素材料は、炭素の六角網面が発達して積層された、結晶性の良好な黒鉛を薄片化させて使用することでさらに効果的となる。
本発明の導電下地塗料は、結晶性の良い薄片化黒鉛が緻密に配向、積層されて炭素被膜を形成し、この炭素被膜はπ電子の移動が容易な構造になっている。そのため、不働態被膜の欠陥部からの電子の移動が容易になり、内部抵抗の低い、耐熱試験後においても、内部抵抗の上昇が抑制できると推察する。
以下、本発明の導電下地塗料に用いられる材料について、詳細に説明する。
〔薄片化黒鉛〕
本発明における薄片化黒鉛は、上記範囲内の大きさ及び薄片化指数を有するものであれば、鱗状黒鉛・鱗片状黒鉛・土状黒鉛で分類される天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛のいずれであってもよい。このなかでも、c軸方向の結晶性が発達しており、適度の乾式粉砕により薄片化が進み、アスペクトの高い、すなわち薄片度の大きい薄片状黒鉛が得られることから、結晶性の良い鱗状黒鉛又は鱗片状黒鉛が好適である。
黒鉛の結晶性はラマン分光分析でのR値が0.45以下であることが好ましい。R値とは、ラマンスペクトルで観測されるGバンド(1580cm−1付近のピーク)とDバンド(1350cm−1付近のピーク)の面積比(I/I)である。測定には波長514nmのArレーザー光を用いる。面積の測定に当たってはGバンド付近とDバンド付近の2つのピーク曲線の形がローレンツ関数に近似すると仮定し、測定したラマンスペクトルをフィッテングさせて書き直し、面積I、Iを求めR値を算出する。
ラマンスペクトルで観測されるDバンド(1350cm−1付近のピーク)は炭素の非晶質構造に対応し、前記複合粒子では主に炭素性物質に帰属させることができる。また、Gバンド(1580cm−1付近のピーク)は黒鉛結晶構造に対応し、前記本複合粒子では主に黒鉛性物質に帰属させることができる。
尚、1350cm−1付近のピークとは、例えば1300cm−1〜1400cm−1に観測されるピークを意味する。また1580cm−1付近のピークとは、例えば1530cm−1〜1630cm−1に観測されるピークを意味する。
前記R値が大きくなるほど、黒鉛の結晶子の大きさが小さくなり、黒鉛のエッジ面が多くなって、黒鉛の導電性は低下する。したがって黒鉛のラマン分光分析でのR値は0.45以下が好ましく、0.40以下がより好ましい。R値が上記範囲となるように薄片化黒鉛を調整することで抵抗値のより低い塗膜が得られる。
薄片化黒鉛における50質量%レーザー回折径(X50dif)は、膜厚を薄くしても抵抗値の低い塗膜が得られる観点から、12μm以下であり、0.3μm〜12μmであることが好ましく、1μm〜10μmであることがより好ましく、1.5μm〜8μmであることが更に好ましい。
薄片化黒鉛における50質量%ストークス径(X50st)は、膜厚を薄くしても抵抗値の低い塗膜が得られる観点から、5.5μm以下であり、0.08μm〜5.5μmであることが好ましく、0.3μm〜4.5μmであることがより好ましく、0.5μm〜3.5μmであることが更に好ましい。
薄片化黒鉛における薄片化指数(X50dif/X50st)は、抵抗値の低い塗膜が得られかつ密着性を向上させる観点から、2.2〜5.0であり、2.5〜4.5であることが好ましく、2.8〜4.0であることが更に好ましい。
黒鉛の薄片化処理法は特に限定されない。しかし、薄片化しやすい鱗状黒鉛又は鱗片状黒鉛を粉砕した場合、薄片化された黒鉛粒子の周辺に、粉砕カスである微粒子が付着したり、粉砕過程において黒鉛粒子の層間にクラックなどが入ったものの薄片化が進んでいない鱗片状黒鉛粒子が混在したりすることがある。このような状態の鱗片状黒鉛を塗料化し、塗膜を形成した場合、均一な薄膜が形成されにくく、粒子間の結着性が低下する場合がある。また、塗膜中に薄片化黒鉛が高密度で充填されにくくなり、電極評価をした場合は、耐久試験後の内部抵抗の上昇抑制が不十分になる傾向にある。
そこで、薄片化処理法としては、以下の方法が好適である。すなわち、乾式粉砕で微粒子化された黒鉛を、更に湿式で粉砕・分散し、粒子表面に付着している微粒子を再分散させ、また黒鉛を形成する炭素の六角網面間(層間)にクラックを入れ、網面間の結合力が弱くなった部分を更に広げて、薄片化することが好ましい。この薄片化処理は、水を介在して行なうと、黒鉛の潤滑性が向上し、炭素網面間(層間)での薄片化が一層進むこととなる。
特に、カルボキシメチルロースの塩の溶液中に、黒鉛を分散させて薄片化処理することが好適である。カルボキシメチルセルロースの塩は、薄片化させた鱗片状黒鉛等の表面に吸着し、鱗片状黒鉛等の水中での分散安定性を高める。また、カルボキシメチルセルロースの塩は、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタの非水系電解液に溶解せず、また電気化学的に安定なため、電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極の導電下地塗料に使用する分散剤として好適である。
前記カルボキシメチルセルロースの塩としては、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩又はアンモニウム塩が好ましく、特に、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を用いた場合は、薄片化黒鉛や導電助剤の分散安定性が良好であり、塗料が一部乾燥しても、水への再溶解性が良く、塗工前の攪拌により未溶解物が少ない塗料が作製できる。
黒鉛を分散したカルボキシメチルロース塩溶液における固形分及び粘度は、原料黒鉛の薄片化、黒鉛表面に付着している黒鉛微粒子の再分散を進める観点から、以下の範囲内に調製することが好ましい。
前記固形分は、15質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、20質量%〜30質量%の範囲内であることがより好ましく、22質量%〜28質量%の範囲内であることが更に好ましい。
また、前記粘度は、100〜700mPa.sの範囲内であることが好ましく、100〜600mPa.sの範囲内であることがより好ましく、150〜450mPa.sの範囲内であることが更に好ましい。
薄片化処理は、セラミックビーズを媒体とした粉砕機を用い、装置に合わせ最適な条件を検討することで実施できる。
〔カーボンブラック〕
本発明の導電下地塗料は、更にカーボンブラックを含むことが好ましい。
黒鉛は炭素原子の六角網面が積み重なって、3,354Åの距離をファン・デア・ワールス力で結ばれている。六角網面に垂直に配向しているπ結合は、π電子が六角網面を自由電子のように運動するため、黒鉛は径方向(c軸方向)において高い導電性を有する。一方で、網面間の結合力が弱いため、径方向(c軸方向)に比べて厚み方向での導電性は低い。ここで、導電下地被膜がカーボンブラックを含有する場合には、積層した薄片化黒鉛の間隙にカーボンブラックが分散されて存在するため、薄片化処理された黒鉛粒子のエッジ面からの導電パスが有効に活用され、厚み方向での導電性が向上するものと考えられる。
前記カーボンブラックの50質量%レーザー回折径X50difは、0.3μm以下であることが好ましく、0.05μm〜0.2μmがより好ましく、0.05μm〜0.15μmが更に好ましい。50質量%レーザー回折径(X50dif)が0.3μm以下の場合には、カーボンブラックが、薄片化黒鉛の間隙に均一に分散され、薄片化処理された黒鉛の配向への影響が少ない。
前記薄片化黒鉛及びカーボンブラックの総含有率は、75〜90質量%の範囲内であることが好ましく、80〜90質量%の範囲内であることがより好ましく、84〜89質量%の範囲内であることが更に好ましい。
導電下地被膜としての密着性と導電下地塗料としての分散性を考慮すると、導電下地被膜中の炭素材料は90質量%以下であることが好適であり、また、被膜の抵抗値や接触抵抗の低減効果、及び高温保存時の耐久性向上を考慮すると75質量%以上であることが好適である。
また、前記薄片化黒鉛と前記カーボンブラックの質量比率(薄片化黒鉛:カーボンブラック)は、カーボンブラックが均一的に配合されて更に被膜抵抗と接触抵抗の低減を図る観点から、97:3〜1:8の範囲内であることが好ましく、9:1〜1:8の範囲内であることがより好ましく、8:2〜4:6の範囲内であることがより好ましく、7:3〜5:5の範囲内であることが更に好ましい。
前記カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックが導電助剤として優れている。但し、ケッチェンブラックを用いる場合には、比表面積が大きく凝集し易いため、アセチレンブラックの場合よりも配合量を少なくして充分な分散を行うことが望ましい。
〔熱可塑性樹脂〕
本発明の導電下地塗料は、更にバインダー樹脂として熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂としては、300℃で0.5時間後の質量減耗率が5%以下の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極の導電下地塗料に使用する熱可塑性樹脂は、200℃程度の乾燥において、物性面で変化が少なく、密着性、柔軟性に優れていることが好ましく、この指標として、300℃で0.5時間後の重量減耗率が5%以下であることが望ましい。
熱可塑性樹脂における、300℃で0.5時間後の重量減耗率の測定方法は、以下の通りである。
熱可塑性樹脂1gをアルミ容器に取り分け、300℃の酸化雰囲気の電気炉中に0.5時間置き、加熱前後での重量減少率を算出する。
更なる密着性向上の点からは、導電下地塗料における前記熱可塑性樹脂の含有率は、5〜15質量%の範囲内であることが好ましく、7〜13質量%の範囲内であることがより好ましく、8〜11質量%の範囲内であることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリルニトル・アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系エラストマー、スチレン・ブタジエン共重合体などのスチレンブタジエン系エラストマー、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリブタジエンなどが使用できる。熱可塑性樹脂は、単一種で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、集電体に導電下地被膜を設け、その上に活物質層を形成する場合、活物質層の密度を上げるためにプレス処理を行なうが、導電下地被膜に使用するバインダー樹脂を熱可塑性樹脂にすることで、プレスでの被膜の変形に対しても密着性が低下せず、また、活物質層と導電下地被膜界面からの界面剥離も防止できる。
〔溶媒〕
本発明の導電下地塗料では、塗布のための溶媒を含んでいてもよい。例えば、水のほかに、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール類が挙げられ、塗工性やペーストの粘度の経時安定性より、水にイソプロピルアルコールやアンモニア水を添加することも効果がある。環境安全性やペーストの保存安定性の観点からは、水または水に前記アルコール類やアンモニア水を添加することが好ましい。
〔用途〕
本発明の導電下地塗料は、集電体及び活物質を含んでなる電気二重層キャパシタ用電極やリチウムイオンキャパシタ用電極の導電下地被膜を形成するための塗料として好適に用いることができる。本発明の導電下地塗料により形成された導電下地被膜を有するキャパシタ用電極では、集電体と活物質間の接触抵抗が低減され、内部抵抗の低減、特に高温での使用においても内部抵抗の上昇や電極抵抗の上昇を抑制できる。また、活物質層との密着性を向上する。
本発明の導電下地塗料により形成された導電下地被膜は、膜厚が薄くとも、比較的粒径の大きい薄片状の黒鉛が配向されて、高密度で充填されているため、集電体と導電下地被膜との界面、及び導電下地被膜と活物質含有層との界面において電子の移動が容易になり、黒鉛粒子間の接触抵抗も少なくなることで電極電気抵抗が著しく低減される。また、集電体上を導電下地被膜が緻密な状態で被覆しているため、集電体表面での電解液の分解を少なくでき、不働体被膜の成長抑制により内部抵抗の上昇抑制が可能になり、且つ集電体と活物質含有層の密着性が向上する。この効果は、集電体の構成材料の種類によらず得られるものである。
特に、集電体がアルミニウムを含んで構成される場合に、本発明の導電下地塗料は、アルミニウム表面に形成される不動態膜に起因した触抵抵抗の上昇を効果的に抑えることが明らかとなった。
アルミニウム表面に形成される不動態膜は、10nm程度の被膜であり、この被膜中には電流が通過できる微細欠陥部分が数多く存在する。黒鉛は炭素の六角網面が積層した構造で、六角網面に垂直に配向しているπ結合は、六角網面を自由電子のように運動する。アルミニウム箔表面に薄片化黒鉛を含む被膜を形成することで、黒鉛構造に存在するπ電子により、アルミニウム箔表面に形成される不動態膜中の微細欠陥部分からの電子の移動時を容易にし、接触抵抗を大幅に低減するものと推測される。
また、活物質として活性炭を用いた電気二重層キャパシタ用電極やリチウムイオンキャパシタ用電極に、本発明の導電下地塗料を用いると、電気抵抗値の高い活性炭層と平滑で抵抗値の低い導電下地被膜の密着性が良好であり、導電下地被膜はπ電子を自由に移動し易い、結晶性の良い薄片化黒鉛で構成されているため、導電下地被膜と活物質含有層間の電子の導通が容易になり、接触抵抗が大幅に低減される。
<キャパシタ用電極>
本発明の電気二重層キャパシタ用電極及びリチウムイオンキャパシタ用電極は、集電体と、前記集電体上に設けられた、前記導電下地塗料により形成される導電下地被膜と、前記導電下地被膜上に設けられた、活物質を含む活物質含有層とを有する。
〔導電下地被膜〕
本発明に係る導電下地被膜は、上記導電下地塗料により形成されてなる。導電下地被膜の抵抗値を低減し、集電体と活物質間の接触抵抗を低減し、且つ集電体と活物質含有層の密着性を向上させる観点から、導電下地被膜の被膜密度は、0.85〜1.2g/mLであることが好ましく、0.9〜1.2g/mLであることがより好ましく、0.95〜1.2g/mLであることが更に好ましい。
本発明の導電下地塗料では炭素材料の分散が良好であり、乾燥過程で薄片化黒鉛の配向が進み、緻密な被膜を形成する。
導電下地被膜の被膜密度は、後述の実施例の方法に準じて測定した値である。
被膜の体積固有抵抗は、0.25Ωcm以下であることが好ましく、0.1Ωcm以下であることがより好ましく、0.06Ωcm以下であることが更に好ましい。
本発明の導電下地塗料から緻密な被膜が形成されるため、被膜の抵抗値が低くなり、集電体と活物質との接触抵抗が低くなる。
導電下地被膜の体積固有抵抗は、後述の実施例の方法に準じて測定した値である。
導電下地被膜の被膜平滑度は、0.02μm〜1.0μmであることが好ましく、0.1μm〜0.8μmであることがより好ましく、0.15μm〜0.6μmであることが更に好ましい。平滑性の高い導電下地被膜は、薄片化黒鉛が均一に分散していることを示すものであり、活物質層の膜厚制御を容易にする効果がある。本発明の導電下地塗料を用いれば、上記範囲内の被膜平滑度を有する導電下地被膜を形成することができる。
導電下地被膜の被膜平滑度は、後述の実施例の方法に準じて測定した表面粗さを表す。
前記導電下地被膜の平均厚みは、製造コストの観点からは薄いほど望ましく、本発明の導電下地塗料を用いれば緻密な被膜が形成されるため、薄くとも均一な膜を形成することができる。具体的には、平均膜厚が0.5μm〜10μmの導電下地被膜であっても、均一な膜とすることができる。
〔集電体〕
集電体を構成する材料については、当分野において通常用いられるものを特に限定なく適用することができる。本発明においては、上述の通り、アルミニウムを含んで構成される集電体の場合であっても、本発明の導電下地塗料により形成された導電下地被膜を設ければ、接触抵抗が大幅に低減される。
アルミニウムを含んで構成される集電体としては、アルミニウムの圧延箔、エッチング箔、及び穴あき箔が挙げられる。アルミニウムの圧延箔としては、純度99.99%以上の高純度アルミニウム箔を用いることが好ましい。
また、静電容量は電極面積に比例するため、アルミニウム箔の表面をエッチングにより粗面化したエッチング箔や、アルミニウム箔をパンチ加工などにより穴を開けた穴あき箔
を用いることが好適である。エッチングは一般的に塩酸液に浸漬する化学エッチングや、塩酸水溶液中でアルミニウムを陽極として電解する電気化学的エッチングを適用することができる。
〔活物質含有層〕
活物質含有層は活物質を含有する。活物質は電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタで用いられる通常のものを特に制限なく適用することができる。特に、前記活物質として活性炭を持いた場合は、導電下地皮膜と活物質含有層間の導電下地被膜と活物質含有層間の電子の導通が容易になり、接触抵抗を大幅に低減される。さらに不働体被膜の成長抑制により耐久試験後の内部抵抗の上昇や容量の低下を抑制できる。
<キャパシタ>
本発明のキャパシタは、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタであり、正極電極と、負極電極と、電解質とを有する。そして、前記正極電極及び負極電極の少なくとも一方が、前記電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ電極である。本発明の電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタでは、集電体と活物質間の接触抵抗が低減し、且つ集電体と活物質含有層の密着性が向上した電極を用いるため、内部抵抗の低減が図られる。
例えば、電気二重層キャパシタとしては、正極及び負極の両方に活性炭を活物質として含むものが挙げられる。電解液(電解質と溶媒で構成)としては、電気二重層キャパシタで用いられる通常のものを適用することができ、例えば、前記電解質としては1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2,3、4−テトラメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム類、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等の第四級アンモニウム類、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、メチルトリエチルホスホニウム等の第四級ホスホニウム類等を挙げることができる。また、前記溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート類、γブチルラクトンなどのラクトン類、スルホラン類、アセトニトリルなどのアセトニトリル類などを挙げることができる。
本発明の電気二重層キャパシタは、正極及び負極の少なくとも一方において、集電体と活物質含有層との間に、本発明の導電下地塗料により形成されてなる導電下地被膜を備える。好ましくは正極及び負極が共に本発明に係る導電下地被膜を有する場合である。
また、リチウムイオンキャパシタとしては、活性炭を活物質として含む正極と、リチウムをドープ可能な例えば炭素材料などから構成される負極と、を有するものが挙げられる。電解液(電解質と溶媒で構成)としては、リチウムイオンキャパシタで用いられる通常のものを適用することができ、例えば、前記電解質としてはLiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LiN(CSO)等のリチウム塩等を挙げることができる。また、前記溶媒としてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート類、γブチルラクトンなどのラクトン類、スルホラン類、アセトニトリルなどのアセトニトリル類などを挙げることができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極及び負極の少なくとも一方において、集電体と活物質含有層との間に、本発明の導電下地塗料により形成されてなる導電下地被膜を備える。好ましくは、少なくとも活性炭を活物質として含む正極に本発明に係る導電下地被膜を備える場合であり、より好ましくは、正極及び負極が共に本発明に係る導電下地被膜を備える場合である。
以下に、この発明の実施例について説明するが、この発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<黒鉛原料の調製>
(鱗片状黒鉛A)
結晶性が高い鱗片状黒鉛(ブラジル産、50質量%レーザー回折径(X50dif)が25μm)をボールミルで乾式粉砕後、ジェットミルで粉砕・分級し、50質量%レーザー回折径(X50dif)が2μm、4μm、8μm、12μm、15μmの試料をそれぞれ調製した。この原料黒鉛を薄片化黒鉛としての鱗片状黒鉛Aとした。
(鱗状黒鉛B)
結晶性の比較的高い鱗状黒鉛(スリランカ産、50質量%レーザー回折径(X50dif)が18μm)をボールミルで乾式粉砕後、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の水溶液中に投入し、さらにボールミルで湿式粉砕を行った。その後、遠心分離機で精密分級し、50質量%レーザー回折径(X50dif)が0.38μm、4.1μmの試料をそれぞれ調製した。この原料黒鉛を薄片化黒鉛としての鱗状黒鉛Bとした。
(土状黒鉛C)
結晶性の低い土状黒鉛(中国産、50質量%レーザー回折径(X50dif)が5μm)をジェットミルで粉砕、分級し、50質量%レーザー回折径(X50dif)が2μmの試料を調製した。この原料黒鉛を土状黒鉛Cとした。
<導電下地塗料の粒度分布及び薄片化指数>
レーザー回折式粒度分布計(島津製作所製SALD−2100)を用いて50質量%レーザー回折径(X50dif)を測定した。屈折率は2.00−0.1iを用いた。また遠心沈降式粒度分布計(島津製作所製SA−CP−4L)を用いて50質量%ストークス径(X50st)を測定した。黒鉛粒子の50質量%レーザー回折径と50質量%ストークス径との比(X50dif/X50st)を黒鉛粒子の薄片化指数として使用した。
<黒鉛粒子のアスペクト比の測定>
調製した導電下地塗料を、ドクターブレードコーターを用いて、ガラス板上に塗工し、105℃で20分間の熱風乾燥し、厚さ30μmの導電下地被膜を作製した。
ガラス板に塗布された被膜の平面および断面を電子顕微鏡で観察した。被膜の平面像および断面像より黒鉛の代表径と厚さを測定した。測定は、黒鉛粒子10個について行い、代表径と厚さとの比(代表径/厚さ=アスペクト比)より、黒鉛粒子10個の平均アスペクト比を求めた。
<導電下地塗料の調製>
(分散処理1による導電下地塗料の調製)
表1及び表2に示す配合(表中の数値は質量基準)で、下記方法により導電下地塗料を調製した。
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(CMC−Na)を純水に溶解した水溶液中に、上記調製した黒鉛原料と、導電助剤としてケッチェンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製、商品名:EC600JD、50質量%レーザー回折径(X50dif):17.0μm)又はアセチレンブラック(電気化学工業社製、商品名:HS−100、50質量%レーザー回折径(X50dif):1.6μm)の少なくとも一方を配合し、ボールミルで6時間から24時間、粉砕処理及び分散処理を行なった。
なお、EC600JDの50質量%レーザー回折径は17.0μmとなり、一次粒子径34nmに比べて大きな値を示す。これは、一次粒子がストラクテャーを形成して二次粒子となり、この二次粒子がレーザー回折径として測定されるためと推測される。また、HS−100の一次粒子も48nmであるが、同様の現象により50質量%レーザー回折径は1.6μmとなる。
その後、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)系エマルション(日本ゼオン社製、商品名:MB−400B、300℃で0.5時間後の質量減耗率が2.8%)を配合し、30分間攪拌した。黒鉛の均一分散には、分散時間、固形分、粘度の調整が重要であり、本実施例では固形分は15質量%〜30質量%の範囲、粘度は100〜400mPa.sの範囲となるように調整し、原料黒鉛の薄片化、黒鉛表面に付着している黒鉛微粒子の再分散を進めた。
(分散処理2による導電下地塗料の調製)
表1及び表2に示す配合で、下記方法により導電下地塗料を調製した。
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を純水に溶解した水溶液中に、上記調製した黒鉛原料と、導電助剤として前記ケッチェンブラック又は前記アセチレンブラックを配合し、ディスパーで1時間分散後、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)系エマルション(日本ゼオン社製、商品名:MB−400B、300℃、0.5時間後の質量減耗率が2.8%)を配合して30分間攪拌した。
<導電下地塗料の粘度評価>
作製した塗料の粘度は、BL型粘度計で、回転数30rpmにて測定した。測定温度は25℃とした。粘度の測定に際しては、塗料をプロペラ型の攪拌翼を有する攪拌機を用い、1000prmの攪拌条件で30分間攪拌してから行った。
<導電下地被膜の作製及び塗布性の評価>
調製した導電下地塗料を、ドクターブレードコーターを用い、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗工した。その後、105℃で20分間の熱風乾燥し、厚さ0.5μm、2μm、4μm、6μm、10μm、12μmの導電下地被膜をそれぞれ作製した。導電下地被膜の厚さは、定圧マイクロメータにより5箇所を測定した平均値である。
得られた導電下地被膜を目視で観察し、均一に塗布されているものを○、塗布ムラが僅かに発生しているものを△、塗布ムラが発生しているものを×として、塗布性を確認した。
<導電下地被膜の表面粗さ>
調製した導電下地塗料を、ドクターブレードコーターを用い、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗工した。その後、105℃で20分間の熱風乾燥し、厚さ3〜10μmの導電下地被膜を作製した。
表面粗さ形状測定機を用いて、作製した導電下地被膜の中心線平均粗さを計測した。測定の際、触針径は2μmを用い、測定速度0.3mm/s、測定長さ4mm、カットオフ値0.8mmとした。
<導電下地被膜の密度評価>
調製した導電下地塗料を、ドクターブレードコーターを用い、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗工した。その後、105℃で20分間の熱風乾燥し、厚さ20μmの導電下地被膜を作製した。
乾燥後の導電下地被膜付きアルミニウム箔をφ20mmの大きさに打ち抜き、電極重量を測定した。アルミニウム箔の重量を差し引き、被膜の密度を算出した。
<導電下地被膜の体積固有抵抗値の評価>
調製した導電下地塗料をガラス板上に塗工した後、105℃で20分間の熱風乾燥し、厚さ20μmの導電下地被膜を作製した。このガラス板上の導電下地皮膜のシート抵抗値を四端針法にて測定した。膜厚を測定して体積固有抵抗を算出した。
<導電下地被膜のピール強度の測定>
調製した導電下地塗料を、ドクターブレードコーターを用い、厚さ20μmのアルミニウム箔上に塗工した。その後、105℃で20分間の熱風乾燥し、厚さ3〜10μmの導電下地被膜を作製した。作製した導電下地被膜の表面に18mm幅のメンディングテープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810)を貼り、荷重2kgのローラーで押さえた。その後、メンディングテープを90°の角度で引き剥がし、導電下地皮膜の剥離強さを測定した。
<導電下地被膜の電気抵抗値の測定>
調製した導電下地塗料を、厚さ20μmのアルミニウムプレーン箔又は50μmのアルミエッチング箔上に、ドクターブレードコーターを用いて塗工した後、110℃で15分乾燥して、2〜10μmの厚さの導電下地被膜を形成した。
乾燥後の導電下地被膜付きアルミニウム箔をφ13mmの大きさに打ち抜き、これをAg板上に置いた後、Ag板とは反対側からφ8mmのAg棒で挟み込み、Ag棒に500gの加重をかけた。Ag板とAg棒間の抵抗値を測定することで、導電下地塗料を塗布したAl箔の厚み方向の抵抗値を測定した。
<電極の作製と電気抵抗値の測定>
調製した導電下地塗料を、厚さ20μmのアルミニウムプレーン箔又は50μmのアルミエッチング箔上に、ドクターブレードコーターを用いて塗工した後、110℃で15分乾燥して、2〜20μmの厚さの導電下地被膜を形成した。この導電下地被膜上に、活物質ペーストとして、日立粉末冶金製EDLC用活性炭ペーストGA−1000を塗布し、110℃で15分乾燥して、膜厚110μmの活性炭電極を作製した。ここで評価に用いた電極の背面には導電下地被膜を形成せず、アルミニウムの面とした。
乾燥後の活性炭電極をφ13mmの大きさに打ち抜き、これをAg板上に置いた後、Ag板とは反対側からφ8mmのAg棒で挟み込み、Ag棒に500gの加重をかけた。Ag板とAg棒間の抵抗値を測定することで、活性炭電極の厚み方向の抵抗値を測定した。
また、導電下地塗料を塗布していないAl箔上に活性炭ペーストを塗布して電極を作製して同様に電極抵抗値を測定し、比較を行った。電極評価としては、下地材付き活性炭電極抵抗が0.85Ω以下を○、0.85〜1.0Ωを△、1.0Ω以上を×とした。

塗料配合組成中のカッコ内の数値は、乾燥被膜とした場合の配合比率を示す。

塗料配合組成中のカッコ内の数値は、乾燥被膜とした場合の配合比率を示す
比較例1〜3、実施例1〜3、参考例4、5は形状及び粒径の異なる黒鉛原料を用い、塗料化を行なった導電下地塗料の評価結果である(表1)。
比較例1は塗料中に分散している黒鉛の粒径が比較的小さく、薄片化指数(X50dif/X50st)も小さい、すなわち使用している黒鉛のアスペクト比が小さく塊状化した黒鉛を使用した例である。
比較例1では、空隙の多い被膜になるため被膜密度が低く、その結果、粒子間の接触面積が低くなって導電パスが少なくなり、皮膜の体積固有抵抗が高くなる。また、塗工性の結果から、用いた黒鉛の50質量%レーザー回折径(X50dif)が2.0μmにもかかわらず、膜厚4μm未満の被膜では均一なものが得られず、被膜の体積固有抵抗も高い。
また、比較例2は、薄片化処理を進めていない分散処理2の方法で調製した例であり、薄片化指数(X50dif/X50st)が小さく、すなわちアスペクト比の小さい形状になっているため、被膜密度が低くなり、被膜の体積固有抵抗も高い。
比較例3では、用いた黒鉛の薄片化指数(X50dif/X50st)は2.1であり、50質量%レーザー回折径(X50dif)が15.0μmである。比較例3では膜厚10μm以下での均一塗工ができず、結果表面粗さが粗くなっている。
これに対して、実施例1〜3、参考例4、5は、薄片化処理した塗料で、50質量%レーザー回折径(X50dif)及び薄片化指数(X50dif/X50st)を制御した例である。検討結果より、10μm以下での均一塗工を考えると、50質量%レーザー回折径(X50dif)は12μm以下、50質量%ストークス径(X50st)は5.4μm以下、薄片化指数(X50dif/X50st)は2.2以上が必要なことを見出した。
更に、膜厚0.5μmでの均一塗工の検討を行なったところ、50質量%レーザー回折径(X50dif)が0.38μm、50質量%ストークス径(X50st)が0.08μm、薄片化指数(X50dif/X50st)が4.75である薄片化黒鉛を用いた実施例1において、膜厚0.5μmでの均一塗工が可能なことを確認した。
また、実施例1〜3、参考例4、5は塗膜密度も0.85以上と高い数字を示し、塗膜の体積固有抵抗も0.1Ωcm以下と低い値を示した。
また、カーボンブラックが均一に分散されているため、カーボンブラックの50質量%レーザー回折径(X50dif)は0.3μm以下となっている。そのため、得られる被膜では、薄片化処理された黒鉛が高密度に配向され、またカーボンブラックが均一に分散され、塗膜の表面粗さも1.0μm以下であった。本実施例の導電下地塗料は、薄膜で均一な塗膜が形成でき、生産性向上、品質安定化にも寄与できる。
比較例4、実施例6〜11は、カーボンブラックと黒鉛の比率を変えて効果を確認した例である(表2)。
比較例4は導電助剤としてカーボンブラックのみを用いており、被膜密度も低く、また被膜の体積固有抵抗値も高い値を示す。
これに対して、少なくとも本発明に係る薄片化黒鉛を含む実施例6〜11は、被膜密度が高く、また被膜の体積固有抵抗値も低い値を示す。特に、カーボンブラックと薄片化黒鉛の質量比率(薄片化黒鉛:カーボンブラック)が、97:3〜1:8の範囲にある実施例7、8、10及び11で、体積固有抵抗も低下している。また、体積固有抵抗は、実施例3で示した薄片化黒鉛:カーボンブラックの質量比率が3:1程度のときに最小になることを確認した。
実施例11は、カーボンブラックとしてケッチェンブラックとアセチレンブラックを併用した例であり、導電助剤の最適化により塗膜の体積固有抵抗値の更なる低減が可能となる。
下記表3の実施例12、参考例13、実施例14〜17、比較例6〜8は、実施例3,参考例5,実施例6,7,8,9、比較例2〜4の導電下地塗料をそれぞれ50μm厚さのアルミニウムエッチング箔に塗布した電極の作製初期、及び85℃で200h保存後の、内部抵抗の測定結果である。比較例5は、50μm厚さのアルミニウムエッチング箔に導電下地塗料を塗布せずに評価したときの結果である。
また、実施例18、比較例10,11は、実施例3、比較例2、4の導電下地塗料をそれぞれ20μm厚さのアルミニウムプレーン箔に塗布して評価した結果である。比較例9は、20μm厚さのアルミニウムプレーン箔に導電下地塗料を塗布せずに評価したときの結果である。
<初期の内部抵抗の測定>
表3に記載の導電下地塗料を塗布し、更に活性炭を塗布した電極をφ16mmに打ち抜き、これを2枚用いて正極及び負極とし、宝泉製2極アルミ製フラットセルを使用して内部抵抗を測定した。電解液は1.8N−TEMA−BF4/PC(富山薬品工業社製)、セパレータは膜厚40μmのセルロース系セパレータ(日本高度紙社製、商品名TF40)、測定条件は0〜2.5V、電流密度10mA/cmで評価した。ここで評価に用いた電極の背面には導電下地被膜を形成せず、アルミニウムの面とした。
<初期の内部抵抗の低減率の評価>
導電下地塗料を塗布しない場合(比較例5、9)を基準として、内部抵抗の低減率を下記式より求めて評価した。
内部抵抗の低減率(%)
=(比較例5又は9の内部抵抗−測定試料の内部抵抗)/比較例5又は9の内部抵抗×100
<85℃保存後の内部抵抗の測定>
初期評価後のセルを用いて85℃で200h保存した。保存後のセルの内部抵抗を上記方法により測定した。
<85℃保存後の内部抵抗の上昇率の測定>
初期の内部抵抗を基準として、85℃で200h保存後の内部抵抗の上昇率を下記式より求めて評価した。
内部抵抗の上昇率(%)=(保存後の内部抵抗/初期の内部抵抗×100)−100

エッチング箔を用いた導電下地被膜のない比較例5では、初期の内部抵抗が3Ωであるが、85℃で200h保存することで内部抵抗が43%上昇する。
これに対して、実施例3、参考例、実施例6〜9の導電下地塗料を塗布した実施例12、参考例13、実施例14〜17では、初期の内部抵抗が7〜20%低減している。また、85℃で200h保存した後の内部抵抗上昇も19%以下に抑えられており、本発明の導電下地塗料は初期の内部抵抗の低減及び85℃保存後の内部抵抗の上昇の抑制に著しい効果が認められた。
比較例6〜8は薄片化が進んでいない黒鉛や、薄片化されているが粒径が大きい黒鉛やカーボンブラックのみを用いた導電下地被膜を用いた例である。比較例6〜8では、初期の内部抵抗は10〜13%に低減できるが、85℃で200h保存した後の内部抵抗が22〜27%上昇し、85℃保存後の内部抵抗上昇の抑制効果が減少している。
これらの結果より、本発明に係る導電下地被膜は薄片状の黒鉛が緻密に積層し、密度が高い被膜になることで、85℃保存後の内部抵抗上昇が抑制されることが確認できた。
また、プレーン箔を用いた導電下地被膜のない比較例9では、初期の内部抵抗が5.5Ωであるが、85℃で200h保存することで内部抵抗が256%上昇する。
これに対して、実施例3の導電下地塗料を塗布した実施例18は、初期の内部抵抗が38%低減し、85℃で200h保存した後の内部抵抗上昇も50%まで抑えられ、初期の内部抵抗の低減及び85℃保存後の内部抵抗の上昇の抑制に著しい効果が認められた。
比較例10〜11は、薄片化が進んでいない黒鉛や、薄片化されているが粒径が大きい黒鉛やカーボンブラックのみを用いた導電下地被膜を用いた例である。比較例10〜11では、初期の内部抵抗は29%低減できるが、85℃で200h保存した後の内部抵抗上昇が151〜159%になり、85℃保存後の内部抵抗の上昇の抑制効果が減少している。
なお、この評価に用いた電極は、電極の背面には導電下地被膜を形成せず、アルミニウムの面としているが、実際のキャパシタ用電極においてアルミニウム箔の両面に導電下地被膜を形成して使用するものであり、85℃×200h保存後の内部抵抗上昇率などの特性は更に改善される。
これらの結果より、本発明の導電下地塗料は、エッチング箔又はプレーン箔において、内部抵抗の低減、及び85℃保存後の内部抵抗の上昇の抑制に、著しい効果を示すことを確認した。
10 前記薄片化黒鉛
20 カーボンブラック
30 集電体

Claims (14)

  1. 集電体及び活物質を含んでなる電気二重層キャパシタ用電極又はリチウムイオンキャパシタ用電極の導電下地被膜を形成する導電下地塗料であり、
    前記導電下地塗料は、薄片化黒鉛及びカルボキシメチルセルロースの塩を含み、
    前記薄片化黒鉛は、50質量%レーザー回折径(X50dif)が12μm以下、50質量%ストークス径(X50st)が5.5μm以下、薄片化指数(X50dif/X50st)が2.84.8であるキャパシタ用電極の導電下地塗料。
  2. 更に、カーボンブラックを含み、
    前記導電下地塗料における、前記薄片化黒鉛と前記カーボンブラックとを合算した量の占める割合(総含有率が、75〜90質量%の範囲であり、
    前記薄片化黒鉛と前記カーボンブラックの質量比率(薄片化黒鉛:カーボンブラック)が、97:3〜1:8の範囲である請求項1に記載の導電下地塗料。
  3. 更に、カーボンブラックを含み、
    前記カーボンブラックの50質量%レーザー回折径(X50dif)が、0.3μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の導電下地塗料。
  4. 更に、300℃で0.5時間後の質量減耗率が5%以下の熱可塑性樹脂を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の導電下地塗料。
  5. 前記熱可塑性樹脂の含有率が、5〜15質量%の範囲である請求項4に記載の導電下地塗料。
  6. 前記集電体がアルミニウムを含んで構成される請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の導電下地塗料。
  7. 集電体と、
    前記集電体上に設けられた、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の導電下地塗料により形成される導電下地被膜と、
    前記導電下地被膜上に設けられた、活物質を含む活物質含有層と、
    を有する電気二重層又はリチウムイオンキャパシタ用電極。
  8. 前記導電下地被膜は、被膜密度が、0.85g/mL〜1.2g/mLであり、体積固有抵抗が0.25Ωcm以下である請求項7に記載のキャパシタ用電極。
  9. 前記導電下地被膜の被膜平滑度が、0.02μm〜1.0μmである請求項7又は請求項8に記載のキャパシタ用電極。
  10. 前記導電下地被膜の平均厚みが、0.5μm〜10μmである請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極。
  11. 前記集電体が、アルミニウムを含んで構成される請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極。
  12. 前記集電体が、アルミニウムの圧延箔、エッチング箔、又は穴あき箔で構成される請求項11に記載のキャパシタ用電極。
  13. 前記活物質が、活性炭である請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極。
  14. 正極電極と、負極電極と、電解液とを有し、
    前記正極電極及び負極電極の少なくとも一方が、請求項7〜請求項13のいずれか1項に記載のキャパシタ用電極であるリチウムイオンキャパシタ又は電気二重層キャパシタ。
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