JP2011210461A - 非水電解液二次電池用炭素材料、負極材及び非水電解液二次電池 - Google Patents
非水電解液二次電池用炭素材料、負極材及び非水電解液二次電池 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】
高容量、且つ充放電負荷特性の良好な非水電解液二次電池用負極材を提供する。また、当該材料の製造方法によれば、その工程数が少ない故、安定して効率的且つ安価に製造することができる
【解決手段】
炭素材料(A)に2層以上の高分子層を積層した非水電解液二次電池用炭素材料であって、少なくとも水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層、及び非水溶性高分子(C)を含む組成物からなる層を順に積層するにより課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
リチウムイオン二次電池の負極材料としては、コストと耐久性の面で、黒鉛材料や非晶質炭素が使用されることが多い。しかしながら、非晶質炭素材料は、実用化可能な材料範囲での可逆容量の小ささ故、また黒鉛材料は、高容量化のために負極材料を含む活物質層を高密度化すると、材料破壊により初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化に至らないといった問題点があった。
前記炭素材料負極表面には通常、非水系電解液との反応によりSEI(Solid Electrolyte Interphace)と呼ばれる保護皮膜が形成され、負極の化学的安定性が保たれている。しかしながら、上記SEI被膜生成や副反応生成物としてガスが発生することにより、初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化に至らないといった問題点があった。特に、リチウム一次電池で一般的に使用されるプロピレンカーボネート(PC) は高沸点溶媒であり、低温でも高いイオン電導度を
発現できるという点で好ましい有機溶媒であるにも関わらず、黒鉛系電極を用いた場合には、Liイオンに溶媒和したPCが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化がおこり、さらに溶媒と電極の分解反応が激しいため、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離が行えないので、十分な容量が得られないといった問題点があった。
例えば、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン又はスチレンブタジエンラバーなどの溶液中にピッチコークス粒子などの炭素材料を分散させ、分散液をスプレードライする方法(特許文献1)、5〜50℃の水に対する溶解度、及び−10℃〜60℃のエチルメチルカーボネートに対する溶解度が0.01g以下の有機被覆層を有する非水系電解液二次電池用負極材料(特許文献2)が開示されている。
特許文献5に記載の技術においては、非水電解液に溶解・膨潤しにくい非水溶性高分子を炭素材料の反応活性面に直接被覆しないため、Liが出入りできる活性面減少や、抵抗が増加は抑制できたものの、非水電解液に溶解・膨潤しにくい非水溶性高分子が電解液に対して溶解しやすい水溶性高分子とは異なる位置に添着されているため、特許文献3、4と同様に負極電極塗布スラリー調液の際に混練などの機械処理を行うことにより、特に水系スラリー作製の際には顕著に、被覆樹脂が剥離・損傷するため、十分な性能が発現しないという問題があった。
<炭素材料(A)>
・炭素材料(A)の種類
炭素材料(A)の例としては、黒鉛から非晶質のものにいたるまで種々の黒鉛化度の炭素材料が挙げられる。
理論上372mAh/gの高い充放電容量を有することができるため、さらに他の負極活物質を用いた場合よりも、高電流密度での充放電特性の改善効果が著しく大きいので好ましい。
黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛の何れを用いてもよい。黒鉛としては、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。また、黒鉛化度の大きいものが好ましく、具体的には、X線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が、3.37Å(0.337nm)未満のものが好ましい。
素質粒子や、黒鉛粒子を適当な有機物で集合させ再黒鉛化した粒子でも良い。更に、前記複合粒子中にSn、Si、Al、BiなどLiと合金化可能な金属を含んでいても良い。
本発明における炭素材料(A)は以下の物性を示すものが好ましい。なお、本発明における測定方法は特に制限はないが、特段の事情がない限り実施例に記載の測定方法に準じる。
(1)炭素材料(A)の表面官能基量
本発明の非水電解液二次電池用炭素材料である炭素材料(A)は、下記式1で表される、表面官能基量O/C値が1%以上、7%以下であることが好ましく、2%以上6.5%以下では更に好ましく、2.6%以上6%以下であると最も好ましい。この表面官能基量O/C値が小さすぎると、水溶性高分子(B)との親和性が低下し、負極表面と被覆材の相互作用が弱くなり、被覆材がはがれやすくなる傾向があり、大きすぎるとO/C値の調整が困難となり、製造処理を強く長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下、コストの上昇を招く虞がある。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度 × 100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
炭素材料(A)の粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が
通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この粒径範囲を超えると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、また、これ以下であると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる。
本発明の炭素材料(A)のBET法で測定した比表面積については、通常4m2/g以
上11m2/g以下を満たすことが好ましい。通常4m2/g以上、好ましくは5m2/
g以上である。また、通常11m2/g以下、好ましくは9m2/g以下、より好ましくは8m2/g以下である。比表面積がこの範囲を下回ると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性出力特性に劣り、一方、比表面積がこの範囲を上回ると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造で
きない可能性がある。
なおBET比表面積の測定方法は、比表面積測定装置を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。
炭素材料(A)のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(
菱面体晶) に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は0.20以上であることが好ましい。3R/2Hがこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く虞がある。
本発明の炭素材料(A)のタップ密度は、0.7g/cm3以上が好ましく、1g/cm3以上がより好ましい。また、1.3g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
本発明において、タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、炭素材料を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
炭素材料(A)のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は通常0.15以上であることが好ましい。また、0.4以下であることが好ましく、0.3以下ではより好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く虞がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く虞がある。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の炭素材料(A)は、その原料として、黒鉛化されている炭素粒子であれば特に限定はないが、天然黒鉛、人造黒鉛、並びにコークス粉、ニードルコークス粉、樹脂の黒
鉛化物の粉体等が挙げられる。これらのうち、天然黒鉛が好ましく、中でも球形化処理を施した球状黒鉛が特に好ましい。
うことにより製造されることが好ましい。この際には、機械処理のエネルギーにより黒鉛表面の酸化反応を進行させ、黒鉛表面に酸性官能基を導入することができるよう、活性雰囲気下で行うことが好ましい。例えば前述の装置を用いて処理する場合は、回転するローターの周速度を30〜100m/秒にするのが好ましく、40〜100m/秒にするのがより好ましく、50〜100m/秒にするのが更に好ましい。また、処理は、単に炭素質物を通過させるだけでも可能であるが、30秒以上装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、1分以上装置内を循環又は滞留させて処理するのがより好ましい。
本発明の水溶性高分子(B)とは、水に溶解する高分子であれば特に制限はないが、具体的に以下のような条件を満たすものが好ましい。
水溶性高分子(B)は、25℃の水100gに対し、0.01g以上溶解するものが好ましく、0.1g以上溶解するものがより好ましく、0.3g以上溶解するものが更に好ましい。
水溶性高分子(B)の重量平均分子量は特に制限されないが、通常100以上、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは5000以上、通常5000万以下、好ましくは4000万以下、更に好ましくは3000万以下である。重量平均分子量は当業者の通常使用する測定方法を用いて測定することができる。
の充放電不可特性が低下させる虞がある。また、特に水に水溶性高分子(B)を溶解、もしくは吸水ゲル化してから添着させる、いわゆる湿式添着法を用いる場合には、水への溶解度がこれ以下である高分子を用いると、製造効率が低下する虞がある。一方で、水への溶解度、及び水溶液や吸水ゲルの粘度が上記範囲内である高分子は、炭素材料(A)の黒鉛表面に存在する含酸素官能基と特に強く相互作用できるため、水溶性高分子(B)を炭素材料(A)に被覆した際に、安定な被覆状態を保つことができる。
受容原子)を含む官能基を有することを特徴としており、具体的には、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エステル基などの含酸素官能基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基などの含硫黄官能基、アミノ基やアミド基、イミド基などの含窒素官能基、燐酸基などの含燐官能基、もしくは電気陰性度の高いハロゲンなどを含む置換基が挙げられる。この中でも、カルボキシル基、水酸基、カルボニル基、アミノ基やアミド基、イミド基を有するものが好ましい。
法を用いる場合には、水溶性高分子(B)の粒径は特に制限されないが、通常5mm以下、好ましくは1mm以下である。この値以上の場合には、水溶性高分子(B)の溶解効率が低下する場合がある。本湿式添着法にて、水溶性高分子(B)を炭素材料(A)に添着する場合、水溶性高分子(B)水溶液の濃度は、水溶液の粘度が10000cP以下であることが好ましく、5000cP以下であることがより好ましく、3000cP以下であることが、更に好ましい。この範囲を超えると炭素材料(A)の細孔に水溶性高分子(B)水溶液が十分に浸透せず、添着された樹脂が不均一になる虞がある。本湿式添着法においては、水溶性高分子(B)は水に完全に溶解する高分子だけでなく、浸水性成分を導入して、一部を水へ可溶化させることにより水への分散性を付与させた高分子を水に分散させて適用することが出来る。一方、溶媒を介さない、もしくは溶媒に対して完全に溶解させないミクロ結晶ドメインが残留する状態で添着させる、いわゆる乾式添着法を用いる場合には、水溶性高分子(B)の粒子の大きさが重要となる。具体的に、乾式添着法を用いる場合の水溶性高分子(B)の粒径は、通常5μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。粒経が大き過ぎると、炭素材料(A)に対する添着性が劣化してしまう。
鉛表面および細孔内に十分な水溶性高分子(B)が添着されず電解液の副反応を十分に抑制できないため不可逆容量が低減されず、また、水溶性高分子(B)添着量が多すぎると、負極活物質量が減少することによる可逆容量の低減を招くという理由でやはり好ましくない。ここで述べる水溶性高分子(B)の添着量は、一般的な上記湿式添着法や上記乾式添着法を用いて炭素材料(A)に水溶性高分子(B)を添着する場合においては、炭素材料(A)に加えた水溶性高分子(B)の使用量と定義する。
本発明の非水溶性高分子(C)は、水に溶解しなければ特に制限はないが、本発明でいう水に溶解しないとは、具体的には25℃の水100gに対する溶解度が通常0.01g以下である。更に0.005g以下であるものがより好ましい。
具体的には、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などの含オレフィン性不飽和結合ポリマー、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。この中でも、物理的強度と柔軟性の両方を兼ね備えた含オレフィン性不飽和結合ポリマーが好ましく、入手の容易性からスチレン−ブタジエンゴムが更に好ましい。上記非水溶性高分子を2種類以上組み合わせて用いても良い。
ると、混練などの機械処理を伴う水系スラリーの作製において、水溶性高分子(B)添着層が剥離・損傷することなく保護する効果が低減し、また、非水溶性高分子(C)添着量が多すぎると、負極活物質量が減少することによる可逆容量の低減や抵抗の増大による充放電不可逆容量の低減を招くという理由でやはり好ましくない。ここで述べる非水溶性高分子(C)の添着量は、一般的な上記湿式添着法や上記乾式添着法を用いて炭素材料(A)に非水溶性高分子(C)を添着する場合においては、炭素材料(A)に加えた非水溶性高分子(C)の使用量と定義する。
以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは100%被覆されている状態をいう。この被覆率が小さすぎると、
電極を作製する際に行う混練などの機械処理を伴う水系スラリーの作製において、有機物添着層(B)が剥離・損傷する虞があり、その結果、充電時においてSEI被膜生成やガス生成反応といった電解液との過剰な反応を十分に抑制することができなくなり、初期サイクル時にみられる充放電不可逆容量が増大する
傾向がある。
非水溶性高分子(C)の積層前後において、水溶性高分子(B)に含まれ、且つ非水溶性高分子(C)に含まれない元素(X)の、下記式2で表される表面官能基量(X/C値)の減少率を求めることにより、下記式3から算出することができる。マーカー元素(X)をしては、特に制限はないが、例えば、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン元素、Li、Na、Kなどのアルカリ金属、Mg、Caなどのアルカリ土類金属、Al、Ti、Zr、Cu、Ni、Feなどの金属、Si、N、S、P、Bなどの非金属などを用いることができる。これらはもともと水溶性高分子(B)の置換基として含まれていても、マーカーとして上記元素を含む化合物を水溶性高分子(B)に混合してもよい。
X/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるX元素のスペクトルのピーク面積に基づいて求めたX原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度 × 100
本発明における表面官能基量(X/C値)はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
式3
(下層(B)表面に対して上層(C)が積層している割合)={(下層(B)のみ添着した場合のX/C値)−(下層(B)に上層(C)を積層させた場合のX/C値)}/(下層(B)のみ添着した場合のX/C値)×100
本発明の非水電解液二次電池用炭素材料(D)は、負極活物質粒子でありリチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な炭素材料(A)に、少なくとも2層以上の有機物層を積層した非水電解液二次電池用炭素材料であって、水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層、及び非水溶性高分子(C)を含む組成物からなる層を順に積層した構造をとるように非水電解液二次電池用炭素材料(D)が製造されれば、本発明の負極材料を製造する方法は特に制限されない。水溶性高分子(B)を含む組成物の炭素材料(A)への添着、更に水溶性高分子(B)を含む組成物を含む層への非水溶性高分子(C)を含む組成物の積層の態様は特に制限されないが炭素材料(A)の細孔の内部(細孔部)や外面(外周部)に、水溶性高分子(B)が添着された態様が好ましい。 本発明でいう積層(若しくは添
着)とは、下層を被覆する状態であり、下層表面に対して、上層が通常10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは100%被覆されている状態をいう。
炭素材料(A)への水溶性高分子(B)の添着手法は、炭素材料(A)に、水溶性高分子(B)が添着された構造をとるように製造されれば、特に制限されない。例えば、添着の態様は特に制限されないが炭素材料(A)の細孔の内部(細孔部)や外面(外周部)に、水溶性高分子(B)が添着された態様が好ましく、具体的には以下の2つの手法が挙げられる。
炭素材料(A)への水溶性高分子(B)の添着の手法(i)は 、例えば、水溶性高分
子(B)を水に溶解させ、ミキサーにて炭素材料(A)と混合した後、窒素雰囲気下で、乾燥する工程が挙げられる。
水溶性高分子(B)水溶液の濃度は特に制限は無いが、せん断速度40s−1における水溶液の粘度が10000cP以下であることが好ましく、5000cP以下であることがより好ましく、2000cP以下であることが、更に好ましい。この範囲を超えると炭素材料(A)の細孔に水溶性高分子(B)水溶液が十分に浸透せず、添着された樹脂が不均一になる虞がある。
。
また、炭素材料(A)への水溶性高分子(B)の添着の別の手法(ii)としては、例えば、水溶性高分子が黒鉛表面への吸着性を有することを利用して、過剰な水溶性高分子(B)水溶液中に炭素材料(A)を入れて攪拌し、ろ過により余分な水溶性高分子(B)水溶液を除去した後、窒素雰囲気下で、乾燥することにより炭素材料(A)に水溶性高分子(B)を添着する工程も挙げられる。
水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層が添着された炭素材料(A)に非水溶性高分子(C)を含む組成物が積層された構造をとるように製造されれば、具体的な積層方法は特に制限されない。
以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは100%被覆されている状態をいう。
非水溶性高分子(C)を含む組成物を、非水溶性高分子(C)が溶解可能な溶媒に溶解、及び水などの非溶解性溶媒に分散させ、ミキサーにて水溶性高分子(B)を添着した炭素材料(A)と混合した後、窒素雰囲気下で、乾燥する工程が挙げられる。
む被覆膜上における非水溶性高分子(C)を含む組成物の積層被覆性が向上する。一方、水溶性高分子(B)の混合量が多すぎると、非水溶性高分子(C)被覆層の耐水性や機械的強度が低下することにより、混練などの機械処理を伴う水系スラリーの作製において、水溶性高分子(B)添着層を剥離・損傷しないよう保護する効果が低下する虞がある。
上記製造方法で得られた非水電解液二次電池用炭素材料(D)は、以下のような特性を持つ。
本発明のように炭素材料(A)に、水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層、及び非水溶性高分子(C)を含む組成物からなる層が順に積層されていない一般的な前記炭素材料負極表面には通常、非水系電解液との反応によりSEI(Solid Electr
olyte Interphace)と呼ばれる保護皮膜が形成され、負極の化学的安定
性が保たれている。しかしながら、上記SEI被膜生成や副反応生成物としてガスが発生することにより、初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化に至らないといった問題点があった。特に、リチウム一次電池で一般的に使用されるプロピレンカーボネート(PC)は高沸点溶媒であり、低温でも高いイオン電導度を発現できるという点で好ましい有機溶媒であるにも関わらず、黒鉛系電極を用いた場合には、Liイオンに溶媒和したPCが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化がおこり、さらに溶媒と電極の分解反応が激しいため、リチウムの黒鉛層間への挿入・脱離が行えないので、十分な容量が得られないといった問題点があった。
本発明の非水電解液二次電池用炭素材料である炭素材料(D)は、下記式1で表される表面官能基量O/C値は、通常1%以上、30%以下であることが特徴であり、2%以上20%以下では更に好ましく、2.6%以上15%以下であると最も好ましい。この表面官能基量O/C値が小さすぎると、炭素材料(C)表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応性が低下し、充放電不可特性が低下する虞があり、大きすぎると、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く虞がある。また、水系結着材を使用して電極を作製する場合、炭素材料(D)表面と水系結着材との親和性が低下することにより、炭素材料(D)表面への水系結着材の分散性が低下し、電極強度の低下やバインダーの偏在による充放電不可特性低下の虞がある。
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
炭素材料(D)の粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、d50が
通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下、また通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。この粒径範囲を超えると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、また、これ以下であると、表面積が大きくなりすぎ電解液との活性を抑制することが難しくなる。
本発明の炭素材料(D)のBET法で測定した比表面積については、通常1m2/g以
上8m2/g以下を満たすことが好ましい。通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g
以上である。また、通常8m2/g以下、好ましくは7m2/g以下、より好ましくは6m2/g以下である。比表面積がこの範囲を下回ると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性出力特性に劣り、一方、比表面積がこの範囲を上回ると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない可能性がある。
炭素材料(D)のX線構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(
菱面体晶) に対するHexagonal(六方体晶)の結晶の存在比(3R/2H)は0.20以上であることが好ましい。3R/2Hがこの範囲を下回ると、高速充放電特性の低下を招く虞がある。
を算出できる。
本発明の炭素材料(D)のタップ密度は、0.7g/cm3以上が好ましく、1g/cm3以上がより好ましい。また、1.3g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
炭素材料(D)のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は0.15以上であることが好ましい。また、0.4以下であることが好ましく、0.3以下ではより好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く虞がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く虞がある。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
上述した本発明の非水電解液二次電池用炭素材料(D)は、何れか一種を単独で、又は二種以上を任意の組成及び組み合わせで併用して、リチウム二次電池の負極材料として好適に使用することができるが、一種又は二種以上を、他の一種又は二種以上のその他炭素材料(E)と混合し、これをリチウム二次電池の負極材料として用いても良い。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した鱗片状黒鉛や球形化した黒鉛を用いることができる。天然黒鉛の体積基準平均粒径は、通常6μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。天然黒鉛のBET比表面積は、通常3m2/g以上、好ましくは、4m2/g以上、また、通常10m2/g以下、好ましくは8m2/g以下の範囲である。
非晶質被覆黒鉛としては、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質前駆対を被覆、焼成した粒子や、天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質をCVDにより被覆した粒子を用いることができる。
非水電解液二次電池用炭素材料(D)とその他炭素材料(E)との混合に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機
、Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
本発明の非水電解液二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の非水電解液二次電池用炭素材料(D)とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
ぎると可撓性に劣る。また、バインダ中のオレフィン性不飽和結合の割合が小さ過ぎると強度向上効果が薄れ、大き過ぎると可撓性に劣る。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、通常150重量%以下、好ましくは120重量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
このスラリーを、集電体である厚さ18μmの銅箔上に、負極材料が14.5±0.3mg/cm2付着するように、ドクターブレードを用いて幅5cmに塗布し、室温で風乾を行った。更に110℃で30分乾燥後、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.70±0.03g/cm3になるよう調整し電極シートを得た
。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、通常5μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能が得られにくい。
本発明の非水電解液二次電池、特にリチウム二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウム二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
ましいのは、不飽和結合を有さない樹脂である。正極活物質を結着する樹脂として不飽和結合を有する樹脂を用いると酸化反応時に分解される恐れがある。これらの樹脂の重量平均分子量は通常1万以上、好ましくは10万以上、また、通常300万以下、好ましくは100万以下の範囲である。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、SUSなどが用いられるが、何ら限定されない。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラ
ヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシ
ド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
上述のように作製した電池は以下の様な性能を示すものである。
負荷逆容量は、通常、50mAh/g以下、好ましくは40mAh/g以下、より好ましくは35mAh/g以下である。負極密度が高すぎると、負極活物質の割れが生じて反応活性表面が増大し、負荷逆容量が増大する傾向がある。
放電負荷特性は、通常、60以上、好ましくは70以上、より好ましくは75以上である。負極密度が高すぎると電解液の移動が阻害されて放電負荷特性が低下する傾向があり、負極密度が低すぎても活物質同士の接触性が低下して電気伝導度が低下する傾向がある。
(測定方法)
(1)表面官能基量
表面官能基量はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定する。
粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材料0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
BET比表面積の測定方法は、例えば大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。具体的には、試料(炭素材料)0.4gをセルに充填し、350℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、He70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により比表面積を算出する。
X線構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に炭素材料を配向しないように充填し、X線回折装置(例えば日本電子製、JDX−3500)で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出する。
タップ密度は、粉体密度測定器である(株)セイシン企業社製「タップデンサーKYT−4000」を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開
き300μmの篩を通して、炭素材料を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
ラマンスペクトルは、ラマン分光器:「日本分光社製ラマン分光器」で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の不可逆容量を測定した。
0.16mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、更に、5mVの一定電圧で充電容量値が350mAh/gになるまで充電し、負極中にリチウムを
ドープした後、0.33mA/cm2の電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行なった。このときの充電容量(350mAh/g)と放電容量の差を不可逆容量として算出した。
水溶性高分子水溶液の粘度はブルックフィールド社製「デジタル粘度計HBDV−II+Pro」のスピンドルCPE−41を用いて測定した。付属のコーンにサンプルを2.5g入れ、25℃、せん断速度40s−1において、30秒間スピンドルを回転させたときの粘度を水溶性高分子水溶液の粘度として定義する。
本実施例では、水溶性高分子を添着する前の炭素材料(本明細書では炭素材料(A)に相当)は以下の材料を使用する。
球状天然黒鉛(A):前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cがそれぞれ15.9μm、1.08g/cm3、8.2m2/g、3.07%である球状天然黒鉛
球状天然黒鉛(B):前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cがそれぞれ18.5μm、1.08g/cm3、6.8m2/g、2.93%である球状天然黒鉛
球状天然黒鉛(C):前記測定法で測定した、粒径d50、タップ密度、比表面積、O/Cがそれぞれ19.3μm、1.10g/cm3、6.3m2/g、2.62%である球状天然黒鉛
本発明の水溶性高分子が添着された炭素材料を負極材料として用い、活物質層密度1.70±0.03g/cm3の活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材料20.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を20.00±0.02g(固形分換算で0.200g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン0.50±0.05g(固形分換算で0.2
g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(容量比=1:5:4)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、上記電解液を使用した2016コイン型電池を作製した。
球状天然黒鉛(A)100gに、1%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液(第一工業製薬製、水溶液粘度500cP)50gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。更に、上記サンプル100gにカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩とスチレン・ブタジエンゴム水溶液をそれぞれ1%溶解、及び分散させたものを50g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
1%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液50gを5%ポリアクリル酸水溶液(和光純薬工業(株)製一級試薬、重量平均分子量:5000、水溶液粘度<100cP)20gに変えた以外は、実施例1と同様に行いサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
1%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液50gを5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gに変えた以外は、実施例1と同様に行いサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
実施例2で得られたサンプルを150℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
実施例2で得られたサンプルを200℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
実施例2で得られたサンプルを250℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
実施例2で得られたサンプルを400℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
球状天然黒鉛(B)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。更に、上記サンプル100gにカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩とスチレン・ブタジエンゴム水溶液をそれぞれ1%溶解、及び分散させたものを50g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
実施例8で得られたサンプルを150℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
実施例10
実施例8で得られたサンプルを200℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
実施例8で得られたサンプルを250℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
実施例12
実施例8で得られたサンプルを400℃で3時間加熱処理してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
球状天然黒鉛(A)をそのまま用いて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
比較例2
球状天然黒鉛(B)をそのまま用いて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
球状天然黒鉛(B)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
球状天然黒鉛(C)をそのまま用いて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
比較例5
球状天然黒鉛(C)100gに、2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液75gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液75gを5%ポリアクリル酸水溶液(和光純薬工業(株)製一級試薬、重量平均分子量:5000、水溶液粘度<100cP)20gに変えた以外は、比較例5と同様に行いサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液75gを5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gに変えた以外は、比較例5と同様に行いサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
球状天然黒鉛(C)100gに、5%ポリアクリル酸水溶液20g(和光純薬工業(株)製一級試薬、重量平均分子量:5000、水溶液粘度<100cP)を添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。更に、上記サンプル100gに1%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50g添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
5%ポリアクリル酸水溶液20gを5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gに変えた以外は、比較例8と同様に行いサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
球状天然黒鉛(B)100gに、2%ポリアクリルアミド、1%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩、1%スチレン・ブタジエンゴム水溶液50gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。(実施例8で積層させた水溶性高分子と非水溶性高分子を混合して一段階で添着したサンプルに当る。)これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、不可逆容量を測定した。結果を表2、表3に示す。
球状天然黒鉛(A)100gに、5%ポリアクリルアミド水溶液(重量平均分子量:1600万)20gを添加し、ミキサーで20分攪拌した後、110℃、3時間、窒素雰囲気化で乾燥してサンプルを得た。これについて、前記測定法で粒径d50、タップ密度、比表面積、O/C、N/C、不可逆容量を測定した。結果を表2から表4に示す。
なお、上記実施例、比較例で用いた材料の一覧を表1に示す。
CMC:カルボキシルメチルセルロースNa塩、PAA:ポリアクリル酸、PAAmd:ポリアクリル
アミド、SBR:スチレン・ブタジエンゴム。
実施例1から実施例12はそれぞれ、炭素材料(A)に水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層、及び非水溶性高分子(C)を含む組成物からなる層を順に積層し、それを負極材として用いることにより、混練などの機械処理を伴う水系スラリーの作製における水溶性高分子(B)被覆層の剥離・損傷を防ぐことが可能となった。その結果、水溶性高分子(B)の有するLiイオンの溶媒和促進効果が保持されたため、電解液と炭素材料表面の接触を防ぎ、且つリチウムイオンの溶媒和を促進されることによる不可逆容量低下効果が顕著に見られた。一方で、高分子材料を添着していない比較例1、2、4では、非常に大きな不可逆容量が観測された。また、比較例3、及び比較例5から比較例9では、炭素材料(A)Liイオンの溶媒和促進効果を有する水溶性高分子(B)を添着したものの、非水溶性高分子(C)を含む組成物からなる層を有しないために、混練などの機械処理を伴う水系スラリーの作製において水溶性高分子(B)被覆層の剥離・損傷による水溶性高分子(B)の有するLiイオンの溶媒和促進効果の低下により、不可逆容量が増大した。さらに、比較例10では水溶性高分子(B)、及び非水溶性高分子(C)を積層させずに混合して一層で添着したことにより不可逆容量が増大した。
Claims (9)
- 炭素材料(A)に2層以上の高分子層を積層した非水電解液二次電池用炭素材料であって、少なくとも水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層及び非水溶性高分子(C)を含む組成物からなる層を順に積層してなる非水電解液二次電池用炭素材料(D)。
- 水溶性高分子(B)及び非水溶性高分子(C)の添着量が、それぞれ炭素材料(A)に対して0.01%以上10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池用炭素材料(D)。
- 水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層が、積層された炭素材料(A)のBET比表面積をSAB、炭素材料(A)のBET比表面積をSAAとしたとき、下記式3で表されるBET比表面積の低下率(%)が10%以上80%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池用炭素材料(D)。
式3
BET比表面積の低下率(%):(SAA-SAB)/SAA×100 - 水溶性高分子(B)を含む組成物からなる層の表面における非水溶性高分子(C)の被覆率が10%以上100%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用炭素材料(D)。
- 水溶性高分子(B)がカルボキシルメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、及びそのアルキル金属塩、アルキル土類金属塩、アンモニウム塩から選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用炭素材料(D)。
- 非水溶性高分子(C)がスチレン・ブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用炭素材料(D)。
- 炭素材料(D)のBET比表面積が1m2/g以上、8m2/g以下であり、タップ密
度が0.7g/cm3以上、1.3g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用炭素材料(D)。 - 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、該活物質層が、請求項1から7のいずれか1項に記載の炭素材料を含有することを特徴とする、非水電解液二次電池用負極。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が、請求項8に記載の非水電解液二次電池用負極であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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