JP6951624B2 - リチウムイオン二次電池用電極、及びその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に使用される電極に関する。
近年、モバイル機器の高性能化に伴い、内蔵するリチウムイオン二次電池の高出力、高エネルギー密度化が求められている。リチウムイオン二次電池は正極、負極、電解液、及びセパレータで構成されており、該電池の高出力化には、構成要素の低抵抗化が必須である。その低抵抗化の主な対象は、正極および負極であるため、電極を構成する電極活物質粒子粉末、導電材、バインダー、及び集電体等の材料に対して種々の検討がなされてきた。
従来、リチウムイオン二次電池の電極を作製するために、非水溶媒の電極形成用スラリーを集電体上に塗布して、乾燥、機械的圧着を経て、電極活物質含有層を集電体上に形成するという方法が採用されている。その際、バインダーとしては、結着性の高いポリフッ化ビニリデン(PVDF)が用いられている。しかしながらPVDFは水に溶けないため、電極形成用スラリーとして使用する溶媒の環境負荷やコスト面で不満があった。その為近年、負極側ではバインダーとしてスチレンブタジエンラテックス(SBR)、粘度調整剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を併用する水系バインダーを含む水溶媒の電極形成用スラリーを出発として電極を作製する方法が主流になってきている。しかし、このSBRとCMCのバインダーシステムを正極に適応すると、ブタジエンの二重結合が正極の高電位の環境下では酸化劣化しやすい。そのため、正極側のバインダーには依然としてPVDFが使用されることが多い。
一方、コストや環境負荷の面で正極側にも水系バインダーシステムを適用したいという声は未だ多い。そのため、特許文献1では、バインダーとしてのポリビニルアルコール系樹脂とフッ素系樹脂との混合物と、粘度調整剤としてセルロース誘導体を併用する水系のバインダーシステムが正極に適用されている。
また、バインダーを全く用いずに電極活物質粒子粉末を電極集電体上に加工する試みもなされている。例えば特許文献2には、正極活物質としてのプルシャンブルー型シアノ架橋金属錯体を正極用集電体の金属表面に電解析出させた、薄膜状電極が挙げられている。
一方で、バインダーや集電体用の金属を用いずに、複数の繊維からなるネットワークで電極活物質粒子粉末を固定するという手法もある。例えば非特許文献1には、繊維径11nm、繊維長370μmのカーボンナノチューブと、電極活物質粒子粉末と溶媒に超音波で分散させ、ろ過、乾燥することによって得られる、不織布状の電極が挙げられている。
しかしながら、特許文献1に挙げられているバインダーシステムから得られる電極は、電極を構成する物質の中では絶縁性のバインダーが用いている以上、電極の高抵抗化は避けられないという問題があった。特許文献2に挙げられている電極は、電解析出させるためのコストが高いこと、薄膜状であるために活物質を多く電極上に設けることができず、エネルギー密度が上げられないという問題があった。非特許文献3で報告されている電極は、ろ過装置のフィルター上のケーキを乾燥して、電極として回収するという製造方法上、高面積の電極を大量に製造することは困難であるという問題がある。また、導電性を確保するために得られた不織布状の電極と金属支持体を接合させる場合、互いに機械的圧着しても、その接合強度が十分に得られない。従って、十分な電池特性が得られるとは言い難い問題がある。
特開2016−54134号公報 WO2012/127790公報
Kei Hasegawa、Suguru Noda著 Journal of Power Sources 2006年 321巻 155−162頁
これらの課題を鑑みて、本発明は水溶媒の電極形成用スラリーを出発として得られるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を提供することである。また、エネルギー密度や出力密度が高いリチウムイオン二次電池用電極を提供することにある。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
すなわち、本発明は、電極活物質含有層と集電体を含むリチウムイオン二次電池用電極であって、電極活物質含有層における活物質粒子粉末:導電材:その他の成分の重量比が94〜98:1.75〜5:0〜1、前記導電材の少なくとも一部が繊維状の導電材、電極活物質含有層の厚みが10〜50μm、親水化処理がなされた集電体、電極活物質含有層の剥離強度が0.5N/m以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極である(本発明1)。
また、本発明は、前記電極活物質含有層における繊維状の導電材が多層カーボンナノチューブである本発明1に記載のリチウムイオン二次電池用電極である(本発明2)。
また、本発明は、親水基を有する繊維状の導電材を含有する電極形成用スラリーを、親水性を付与した集電体上に塗布することを特徴とする本発明1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法である(本発明3)。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、PVDFやSBRといった絶縁性のバインダーを含まず、繊維状の導電材を含有するために、電気抵抗が低い。また、電極活物質含有層における電極活物質粒子粉末の重量比が高いため、電極活物質含有層の重量当たりの容量が高いリチウムイオン二次電池、即ち、エネルギー密度が高いリチウムイオン二次電池が得られる。さらには、集電体に対し電極活物質含有層の剥離強度が高いため、大電流にも耐えることができるリチウムイオン二次電池、即ち、出力密度が高いリチウムイオン二次電池が得られる。
(a)電極21、(b)電極1、(c)電極11、及び(d)電極12の電極活物質含層表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真 インピーダンス測定で得られたナイキスト線図 インピーダンス測定結果のフィッティングに用いた等価回路図
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層と集電体を含んでいる。集電体として金属箔を用いることが好ましい。金属箔は加工性に優れ、且つ柔軟性にも優れており、円筒型、角型、ラミネート型といった多様な形の電池に適している。電極活物質含有層と集電体の密着性を高めるために、集電体である金属箔表面にカーボンが蒸着されていても構わない。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質層における活物質粒子粉末、導電材、及びその他の成分が、重量比で94〜98:1.75〜5:0〜1である。該活物質粒子粉末の重量比が94〜98と高いため、重量当たりの容量が高いリチウムイオン二次電池が得られる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層における正極活物質粒子粉末として、層状構造のコバルト酸リチウムLiCoO、同構造のニッケル酸リチウムLiNiO、スピネル構造のマンガン酸リチウムLiMn、オリビン構造のリン酸鉄リチウムLiFePO、或いはそれらの固溶体Li(Ni,Mn,Co)Oが挙げられる。また、負極活物質粒子粉末として、層状構造のグラファイトC、スピネル構造のチタン酸リチウムLiTi12、ダイヤモンド構造のシリコンSi、等が挙げられる。但し、本発明はこれら列記した活物質粒子粉末で限定されるものではない。Liを可逆的に吸蔵及び放出できるものであれば特に制限されず、公知のものも使用することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層の導電材として、カーボンブラック、酸化チタン、酸化ルテニウム等が挙げられる。但し、本発明はこれら列記した導電材で限定されるものではない。電子伝導性を補うことができるものであれば特に制限されず、公知のものを使用することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層の導電材の少なくとも一部が繊維状の導電材である。繊維状とは細い糸状のことであり、アスペクト比が10000〜10であるものを指す。繊維径は5nm以上100nm未満であるものが好ましい。さらに、活物質粒子の表面に密着して接触面積を上げる観点から、繊維状の導電材は柔軟性を有することが好ましい。活物質粒子の表面もしくは活物質粒子間に、繊維状の導電材が網のように広がっているものが好ましい。繊維状の導電材の網状ネットワークで活物質を固定することによって、電極活物質層の強度が上がり、リチウムイオン二次電池の充放電に伴う膨張収縮でも活物質が脱落し難くなる
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層のその他の成分として、電極形成用スラリー作製を目的として添加するものを指す。電極形成用スラリー粘度を調整するための増粘剤、導電材を分散させるための分散剤などの高分子材料が該当する。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、PDVFやSBRといった絶縁性バインダーを含まない。他の絶縁性バインダーとして、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アミドなどのアクリル樹脂、ポリウレタンなどのウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、エチレンビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレート、エチレン−メタクリル酸アイオノマー樹脂、グリオキザール樹脂、フェノール樹脂、メタクリル樹脂などが挙げられる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層における空気中室温から400℃までの熱重量減少率が1重量%以下であることが好ましい。空気中室温から400℃までの温度範囲では、活物質や導電材はほとんど酸化されないものの、高分子化合物は熱分解もしくは燃焼する。室温から400℃までの熱重量減少率が1重量%よりも大きい場合、電気化学反応に不要な成分が多く、重量当たりの容量が低くなるので好ましくない。なお、室温から150℃までの温度範囲で脱水反応も起こるが、水分を含有する電極は、リチウムイオン二次電池にした場合に副反応を起こすので好ましくなく、水分に由来する熱重量減少率は実質0である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層の厚みが10〜50μmである。該厚みが10μm未満である電極を用いたリチウムイオン二次電池は、集電体上の活物質粒子粉末の総重量が少なく、電極における活物質粒子粉末の割合が低下する。即ち、エネルギー密度に欠けた二次電池が得られるので好ましくない。電極活物質含有層の厚みが50μmを超える電極は、後述する剥離強度が低くなり、大電流にも耐えることができるリチウムイオン二次電池が得られるとは言い難く、好ましくない。より好ましくは15〜45μmであり、さらにより好ましくは17〜43μmである。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、集電体の親水化処理がされている。親水化処理とは後述するように、電極作製用スラリーとなじみをよくするための処理である。集電体表面に親水基を付与する操作である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、活物質含有層の機械的強度が高く、且つ集電体と活物質含有層との接着力が強いため、剥離強度が0.5N/m以上である。より好ましい剥離強度は0.6N/m以上であり、更に好ましいのは0.7N/m以上である。剥離強度が0.5N/m未満である電極は、集電体と活物質層との接着度が弱いことから、例えば円筒型のセルを作製するために捲回する、セルの形に打ち抜くなどの電極の加工時に、活物質層の一部が剥離するので好ましくない。電極の剥離強度は高ければ高いほど良いが、上限は5N/m程度である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質含有層における繊維状の導電材が多層カーボンナノチューブであることが好ましい。カーボンナノチューブはコスト面で有利なことから多層であることが好ましい。カーボンナノチューブは柔軟性を持ち、網状ネットワークで活物質粒子を固定することで機械的強度の高い電極が得られる。
次に、本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法について説明する。前述の通り、電極は電極活物質含有層と集電体を含んでおり、集電体上に活物質含有層を形成させる。また、活物質含有層は、活物質(正極活物質もしくは負極活物質)、導電材、その他の成分で構成されている。該導電材の少なくとも一部が繊維状であり、活物質の表面には該繊維状導電材が均一に付着しており、これにより各粒子同士、粒子と集電体とが接合されている。このため、粒子間及び粒子と集電体との間の導電パスが確保され、また、集電体上に前記繊維状導電材で活物質層が強固に固定されるため、良好な充放電特性を得ることができる。以下、上述した集電体、活物質、導電材の前処理方法を始めとし、電極の製造方法について説明する。
<集電体、及び該前処理>
本発明に用いる集電体は、正極側であればアルミニウム箔を、負極側であれば銅箔を用いるのが一般的である。集電体は表面処理によって親水化されているものが好ましい。集電体表面が親水化されていることによって、電極形成用スラリーの乾燥時に水素結合が形成されやすくなり、接着力が高い電極を得ることができる。集電体表面の親水化処理は、例えばオゾン(O)雰囲気下で紫外線(UV)照射する方法(UV/O処理)などが挙げられる。
<活物質、及び該前処理>
本発明に用いる活物質は、正極側に用いる場合は前述の遷移金属とリチウムを含む複合酸化物などが、負極側に用いる場合は黒鉛、非晶質炭素、ハードカーボン、及びシリコンなどLiと合金化する材料が例示される。活物質の挙動粒子径は1μm以上30μm以下が好ましく、2μm以上25μm以下が更に好ましい。活物質の挙動粒子径が1μm未満の場合、電極内における単位体積あたりの活物質の粒子数が多くなり、剥離強度が低下するため好ましくない。活物質の挙動粒子径が30μmを超える場合、電池の高容量化が困難となる。水洗等で不純物を予め低減させ、電極形成用スラリーのpHが高くならないようにすることが好ましい。
<導電材、及び該前処理>
本発明に用いる導電材は、ストラクチャ構造を呈するカーボンブラックや繊維状構造を呈するカーボンナノファイバが好ましく、特にその一種であるカーボンナノチューブ(CNT)が好ましく用いられる。
本発明の電極の特性を満たすものであれば、用いるカーボンナノチューブの製造方法を限定しないが、好ましいものとしてWO2016/076393に記載の製造方法が挙げられる。
導電材としてカーボンナノチューブを用いる場合、カーボンナノチューブの最表層に官能基が形成されるなどの欠陥が生じても内側のチューブによって導電性が確保され易いため、2層以上の多層カーボンナノチューブが好ましい。カーボンナノチューブの層数は透過型電子顕微鏡(TEM)で確認することができる。
導電材としてカーボンナノチューブを用いる場合、カーボンナノチューブのウォール平行部分のチューブ外径に対して90%以下のチューブ外径となる、くびれ部分を有するものが好ましい。ここで規定するくびれ部分とはカーボンナノチューブの成長過程で発生する結晶不連続部を指し、小さな機械的エネルギーで容易に切断できる易破断箇所となる。後述する方法で測定される、易破断箇所の存在割合が40%以上であるものがさらに好ましい。易破断箇所の存在割合が、40%よりも少ない場合には、カーボンナノチューブが分散しにくく、分散させるために過度の機械的エネルギーを加えたときには、グラファイト網面の結晶構造破壊につながり、カーボンナノチューブの特徴である電気伝導性などの特性が低下する。より高い分散性を得るためには、易破断箇所の存在割合は、45%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、55%以上がさらにより好ましい。
易破断箇所の存在割合は、カーボンナノチューブの0.1%分散液を作製し、その分散液を試料台にのせて乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM)で2万倍にて撮影した画像を用いて判断した。具体的には、前記画像を100nm四方の区画に区切り、100nm四方の区画にカーボンナノチューブの占める面積が10%〜80%である有効区画を300区画選択した際に、1区画中にくびれ部分を少なくとも1箇所確認できる区画が該有効区画中に占める割合を、易破断箇所の全体に占める割合(易破断箇所の存在割合)とした。100nm四方の区画中、カーボンナノチューブの占める面積が10%以下の場合には、カーボンナノチューブの存在量が少なすぎるため、測定が困難である。また、100nm四方の区画中、カーボンナノチューブの占める面積が80%以上の場合には、カーボンナノチューブが多くなるためカーボンナノチューブが重なりあってしまい、平行部分とくびれ部分を区別するのが困難であり正確な測定が困難となる。
カーボンナノチューブを分散させるには単繊維化と短尺化が必要である。グラファイト網面の結晶性が高く、切れにくいカーボンナノチューブを分散させるためには、連続したチューブ壁面を物理的に破壊して切断する必要があり、チューブの分断に至るまでの間にカーボンナノチューブ全体の結晶構造が必要以上に破壊され、カーボンナノチューブの特徴である電気伝導性などの特性が低下してしまう恐れがある。切れやすい、結晶不連続面やくびれ部分などの易破断部が多いカーボンナノチューブを用いた場合には、易破断部が優先的に衝撃を吸収して切断されるために、分散完了までに必要な機械的エネルギーが小さく、切断部以外のグラファイト網面へのダメージは少ないので好ましい。毛玉状の凝集体を形成しているカーボンナノチューブは、例えばビーズミルなどで凝集体全体に物理的衝撃を受けた場合に、凝集体が抱える内部空隙によってダメージを緩和しつつ、複数個所でカーボンナノチューブが切れて短尺化されやすいため、容易に凝集体構造が崩れて分散し易いので好ましい。
導電材としてカーボンナノチューブを用いる場合、示差熱分析の第一発熱ピークの温度(TDTA)が530℃以上であるものが好ましい。カーボンナノチューブの示差熱分析において、第一発熱ピークを示す温度では、カーボンナノチューブの燃焼分解が起こる。従って、示差熱分析の第一発熱ピーク温度が低いカーボンナノチューブほど燃焼分解しやすいカーボンナノチューブであると考えられる。カーボンナノチューブの合成に使用した触媒が残っている場合、金属粒子周辺が選択的に酸化され、燃焼し易いためにTDTAが低くなる傾向がある。また、カップスタック型のような、チューブの末端が多く露出しているカーボンナノチューブもまた、酸化および燃焼が一気に進行するためにTDTAが低くなる傾向がある。
本発明に用いる導電材は、BET法によって求められる比表面積が100m/g超750m/g未満であるものが好ましい。比表面積が100m/g以下の場合、広範囲に導電性を付与しにくいため好ましくない。また、比表面積が750m/g以上の場合、凝集し易く、電極形成用スラリー中で分散した状態を保つのが難しいので好ましくない。より好ましい範囲は105m/g超600m/g未満であり、さらに好ましい範囲は110m/g超500m/g未満である。
本発明に用いる導電材は、JIS K6217−4に準拠して測定されるフタル酸ジブチル(DBP)吸収量Dが100ml/100g以上600ml/100g以下であるものが好ましい。DBP吸収量Dが100ml/100g未満の導電材は、広範囲に導電性を付与しにくいため好ましくない。DBP吸収量Dが600ml/100gを超える場合、凝集体がほぐれ難く、分散させることが難しいので好ましくない。より好ましい範囲は125ml/100g以上550ml/100g以下であり、さらに好ましい範囲は150ml/100g以上500ml/100g以下である。
本発明に用いる導電材は、水素受容性を有する酸素含有基(たとえば水酸基など)を多く有するものが好ましい。水素受容性官能基を有することによって、水素結合が形成されやすくなり、結着力が高い電極を得ることができる。水素受容性官能基の多さは親水性に繋がるため、水蒸気吸着量を測定することによって、水素受容性官能基量を見積もることができる。具体的には、相対圧P/P=0.3における水蒸気吸着量をBET比表面積で除することによって求められる、単位面積当たりの水蒸気吸着量が0.95×10−3mg/m以上であるものが好ましい。より好ましくは1.00×10−3mg/m以上、更に好ましいのは1.05×10−3mg/m以上である。単位面積当たりの水蒸気吸着量は、導電材を酸化処理することによって調整できる。水蒸気吸着量が高すぎる場合は導電性が低くなるので好ましくない。
本発明に用いる導電材は、粒状であれば一次粒子の平均短軸径が5nm以上100nm未満であるものが、繊維状であれば単繊維の平均繊維径が5nm以上100nm未満であるものが好ましい。短軸径あるいは繊維径が5nm未満の導電材は、凝集しやすいので好ましくない。繊維径が100nm以上の導電材は、活物質の曲面に沿うための柔軟性に乏しく、柔軟なネットワークが形成できないので好ましくない。短軸径あるいは繊維径のより好ましい範囲は7nm以上75nm未満である。
なお、導電材はサイズが小さいほど分散が困難であるため、予め分散させた分散液で用いることが好ましい。以下、カーボンナノチューブを用いた分散液を例に挙げて説明する。
<カーボンナノチューブ分散液、及び該製造方法>
カーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブと、分散剤と、分散媒とを含む。
カーボンナノチューブ分散液は、カーボンナノチューブの含有量が5重量%以上であるものが好ましい。5重量%に満たない低濃度の分散液は、電極スラリー作製時、所望するカーボンナノチューブ量に伴う分散媒の量が多くなり、固形分濃度が低下し、塗布しにくくなるので好ましくない。カーボンナノチューブの含有量が30重量%を超えるカーボンナノチューブ分散液を作製することは、必要とする分散剤が多くなるため、工業的には困難である。カーボンナノチューブの含有量は、6重量%以上27重量%以下の分散液がより好ましく、7重量%以上25重量%以下の分散液がさらに好ましく利用できる。
カーボンナノチューブ分散液に用いる分散媒は、水素供与性を有するプロトン性溶媒が好ましく、特に水素受容性(ルイス塩基性)も併せ持つプロトン性溶媒が好ましい。具体的には水、エタノールやイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール、アンモニア、1級アミド、カルボン酸などが挙げられる。水素供与性を有する溶媒を用いることによって、水素結合がカーボンナノチューブ表面に形成されやすくなり、結着力が高い電極を得ることができる。最も好ましい分散媒は水である。
カーボンナノチューブ分散液に用いる分散剤は、水素受容性を有する酸素含有基(たとえば水酸基など)を多く有するものが好ましい。具体的にはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアセタール(PBAc)などが挙げられる。分散剤の含有量は、カーボンナノチューブに対して30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましい。カーボンナノチューブに対して分散剤が30重量%を超える場合、形成される電極における活物質および導電材の含有量が少なくなるので好ましくない。
カーボンナノチューブ分散液は、分散液中でのカーボンナノチューブの挙動粒子径としての動的光散乱粒子径(D50)が400nm以下であることが好ましい。動的光散乱粒子径(D50)が400nmを超える分散液は、分散不良であり、カーボンナノチューブが凝集体を形成して沈降しやすく、分散安定性に欠ける。分散処理によって一時的に動的光散乱粒子径(D50)を小さくしても、分散液中である程度カーボンナノチューブが毛玉状に再凝集してしまうため、下限は100nm程度である。分散液中でのカーボンナノチューブの挙動粒子径としての動的光散乱粒子径(D50)は、より好ましくは120〜390nm、さらにより好ましくは150〜380nmである。
カーボンナノチューブ分散液は、分散剤の種類や量、カーボンナノチューブ含有量にもよるが、ずり速度383s−1における分散液の粘度が5Pa・s以上300mPa・s以下であるものが好ましい。本発明における分散液とは、容器から掬い取った跡が、時間を置くことで滑らかな表面に戻るようなものを指す。粘度が5Pa・s未満である場合、カーボンナノチューブが十分に分散していないおそれがあるので好ましくない。用途にもよるが、粘度が300mPa・sよりも高い場合、ハンドリング性が悪くなるおそれがあるので好ましくない。より好ましい分散液の粘度は250mPa・s以下であり、さらに好ましくは200mPa・s以下、さらにより好ましくは10Pa・s以上120mPa・s以下である。
カーボンナノチューブ分散液は、分散媒にカーボンナノチューブと、分散剤と、必要に応じて分散剤を加えた後、分散させる方法であれば適宜選択して製造することができる。具体的にはビーズミル、ジェットミル、超音波分散機などを使用すればよい。
<電極スラリーの製造方法>
本発明の電極作製時に用いる、電極形成用分散媒としては、水素供与性を有するプロトン性溶媒が好ましく、特に水素受容性(ルイス塩基性)も併せ持つプロトン性溶媒が好ましい。具体的には水、エタノールやイソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール、アンモニア、1級アミド、カルボン酸などが挙げられる。水素供与性を有する溶媒を用いることによって、水素結合が形成されやすくなり、結着力が高い電極を得ることができる。最も好ましい電極形成用分散媒は水である。
本発明の電極を形成するためのスラリーは、前述した活物質と導電材に電極形成用分散媒を添加して混合することによって作製する。作製した導電材分散液を用いても構わない。混合のための装置としては、スクリュー型ニーダー、リボンミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー等が挙げられる。
<電極活物質含有層の製造方法>
前記スラリーを集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、ダイコーター法など公知の方法を挙げることができる。活物質層側と集電体側の双方に親水基を付与した状態で接合し、乾燥させる方法が挙げられる。塗布・乾燥後のシートを圧延処理する場合は、平板プレス、カレンダーロール等を用いればよい。各工程を経て、リチウムイオン二次電池の電極を製造することができる。
次に、リチウムイオン二次電池の作製方法について述べる。本発明に係る電極を用いたリチウムイオン二次電池は、負極と正極とが、セパレータを介して対向するように配置し、電解液を注入することにより得ることができる。リチウムイオン二次電池の構造は、特に限定されないが、帯状に成型された正極と負極とが、セパレータを介して渦巻状に巻回された巻回電極群を、電池ケースに挿入し、封口した構造や、平板状に成型された正極と負極とが、セパレータを介して順次積層された積層式極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。リチウムイオン二次電池は、例えば、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角形電池などとして使用される。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微多孔性フィルム又はそれらを組み合わせたものを使用することができる。なお、作製するリチウムイオン二次電池の正極と負極が直接接触しない構造にした場合は、セパレータを使用する必要はない。
リチウムイオン二次電池に使用する電解液及び電解質としては、公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用できる。好ましくは、電気伝導性の観点から有機電解液が好ましい。有機電解液としては、一般にエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性高誘電率溶媒や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、メチルアセテート等の酢酸エステル類あるいはプロピオン酸エステル類等の非プロトン性低粘度溶媒が挙げられる。これらの非プロトン性高誘電率溶媒や非プロトン性低粘度溶媒を適当な混合比で併用することが望ましい。さらには、イミダゾリウム、アンモニウム、及びピリジニウム型のカチオンを用いたイオン性液体を使用することができる。対アニオンは特に限定されるものではないが、BF -、PF -、(CFSO-等が挙げられる。イオン性液体は前述の非水電解液溶媒と混合して使用することができる。
これらの溶媒の溶質としては、例えばリチウム塩であるLiPF、(CFSONLi、LiBF、LiClO、LiAsF、CFSOLi、CSOLi、CFCOLi、(CFCONLi、CSOLi、C17SOLi、(CSONLi、(CSO)(CFSO)NLi、(FSO)(CFSO)NLi、((CFCHOSONLi、(CFSOCLi、(3,5―(CFBLi、LiCF、LiAlCl、CBOLiなどが挙げられ、これらのうちのいずれか1種又は2種以上が混合して用いられる。
高分子固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、リン酸エステル重合体、ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含む重合体等が挙げられる。なお、上記以外の電池構成上必要な部材の選択についてはなんら制約を受けるものではない。
<作用>
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極において、電極活物質含有層中にPVDFやSBRといった絶縁性バインダーを使用しないにも関わらず、電極活物質の含有量を高くしても、剥離強度が高い理由については以下の様に推察している。
結晶性が高い炭素材料は、炭素のみからなるグラフェンシートが集合したものとして説明されるが、このグラフェンシートの末端や欠損部は通常水素で終端されているものの活性が高く、周囲の環境によって官能基に置換されやすい。例えばグラフェンシートが筒状に形成されたカーボンナノチューブを水中で分散処理した場合、カーボンナノチューブが切断されて短尺化されると、切断面の活性によって水由来の水酸基で末端が修飾される。従って、くびれがあるカーボンナノチューブほど水中で発生する活性面が多いので親水基が付き易い。
繊維状のカーボンナノチューブを導電材として用いること、また、カーボンナノチューブ上の親水基が、他のカーボンナノチューブ上の親水基や集電体表面の親水基と水素結合を形成することによって、複数のカーボンナノチューブが集電体に固定されたネットワークを構成し、活物質粒子がバインダーによる結着力がなくても活物質層から脱落することなく保持される。リチウムイオン二次電池の長期使用における劣化要因の一つに、活物質粒子が電極内導電経路から物理的に外れてしまうことが挙げられる。中でも集電体から電極活物質含有層が剥離すると、大量の活物質粒子が導電経路から離れてしまうので致命的である。本発明において、PVDFやSBRなどのバインダー樹脂を含まないにも関わらず、集電体と活物質との接着力が強い現象は、集電体と活物質層の界面に、水素結合が形成されたことによるものと推察している。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極を使用したリチウムイオン二次電池は、従来のバインダー添加電極を用いたリチウムイオン二次電池と比較して、極めて電極内の抵抗が低く、サイクル特性、レート特性が向上するため、自動車用、具体的にはハイブリッド自動車用、プラグインハイブリッド自動車用、電気自動車用や、系統インフラの電力貯蔵用など産業用として利用することができる。
以下、本発明の具体的な実施の例を以下に示すが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。つまり、各相の同定にはX線回折法、フーリエ変換赤外分光光法、ラマン分光法が適応されたり、ICP発光分光分析法や蛍光X線法から構成元素量を算出することもできる。
活物質、導電材および電極の評価は以下のように行った。
(A)活物質粒子粉末の挙動粒子径の測定:
レーザー回折散乱式粒度分布測定器の湿式測定ユニット(セイシン企業(株)製、商品名:SKレーザーマイクロンサイザー LMS−2000e)にて測定を行った。なお、測定にあたり、予め試料を界面活性剤で濡らした後、純水で分散させ挙動粒子径を評価した。
(B)導電材の短軸径もしくは繊維径の測定:
導電材粉末をイソプロピルアルコールに添加して周波数38W、出力120Wの超音波分散機で1時間分散させて作製した、導電材の0.1%分散液を試料台にのせて乾燥させ、透過型顕微鏡(日本電子(株)社製 JEM−1200EXII型)により2万倍で撮影した画像を、A像くん(旭化成エンジニアリング(株)社製)を用いて、粒状の導電材については一次粒子の短軸径を、繊維状の導電材については繊維径を、各500個分測定し、幾何平均径(M)を以下の式により求めた。
Figure 0006951624
(C)カーボンナノチューブ粉末の単位面積あたりの水蒸気吸着量の測定:
試料を120℃で真空乾燥させた後、マイクロトラック・ベル(株)製BELSORP−aqua3を用いて水蒸気吸着等温線を、(株)マウンテック製Macsorb model−1201を用いてBET比表面積をそれぞれ測定した。相対圧P/P=0.3のときカーボンナノチューブへの単分子層吸着が完全に終了していると規定し、この水蒸気吸着量をBET比表面積で除することによって、単位面積あたりの水蒸気吸着量を求めた。
(D)カーボンナノチューブ分散液の粘度測定:
カーボンナノチューブ分散液の粘度は、E型粘度計(東機産業(株)製TVE−35H)を用いて、ずり速度383s−1における粘度を測定した。
(E)電極表面の観察方法:
電極サンプルの小片を試料台に固定し、SEM(日本電子(株)製、JSM7600F)を用いて10kVで観察した。PDVFあるいはSBRの有無は電極断面を分析することによって判断することができる。(The TRC News No.117(2013))。
(F)電極の剥離強度試験:
電極を1cm×8cmの短冊状に切り出し、アセトンを用いて1cm×1cm分だけ活物質層を除去したものを測定用電極試料とした。測定には(株)イマダ製MX2−500N−Lを用いた。この測定用電極試料の活物質層表面に両面テープの片面を貼り、もう一方をSUS板に固定してから、活物質を除去した集電箔のみの部分を、SUS板に対して180度の方向に100mm/分の速度で引っ張り、移動距離3〜5cmにおける引っ張り力(N)の平均値から、剥離強度(N/cm)を算出した。ここで、引っ張り力(N)から剥離強度(N/cm)を得る計算式は、以下の式である。
剥離強度(N/cm)=引張り力(N)/測定用電極試料の幅(cm)
(G)電極の体積抵抗率の測定:
電極を5cm×5cmサイズに切り出し、(株)協和理研製直流四点探針システムK−705RSを用いて電極の体積抵抗率を測定した。測定点はランダムに5点選び,各測定値の平均値を電極の体積抵抗率とした。
(H)電極の空気気流下の熱分解性試験による電極活物質層の各相の定量化:
リガク(株)製TG8120を用い、15mg分に切り出した電極を、空気雰囲気下にて昇温速度10℃/minで600℃まで昇温した。室温から400℃までの活物質含有層における重量減少率を算出し、電極活物質層におけるその他の成分に由来する重量減少率とみなした。
(I)電池作製、及び該電池の電気化学測定:
電気化学測定は、対極Liのハーフセルに対し、エスペック(株)製恒温器SU−221を用いて室温環境下で行った。
(ハーフセルの作製)
まず、露点−80℃以下の乾燥アルゴン雰囲気下で、コインセル用キャップとケースの間に、14mmφの電極と14mmφの金属リチウム箔とをセパレータ(セルガード#2500)を介して積層させた。次に、この積層体に、電解液(EC(エチレンカーボネート)とDMC(ジメチルカーボネート)を3:7の割合で混合したものを溶媒とし、これに電解質としてLiPFを1mol/Lの濃度で溶解したもの)を適量加えて、宝泉(株)手動コインセルカシメ機を用いてかしめることにより、ハーフセルとした。
(正極の初期充放電特性およびレート特性評価)
作製したハーフセルを充放電装置北斗電工製HJ1020Msd8にセットし、2.8Vから4.3Vの範囲において正極へのLi挿入脱離を行った。充電は0.2Cで定電流充電(CC充電)を行い、放電は0.2C、0.5C、1C、3C、5C、10Cの順に3回毎に放電レートを変えた定電流放電(CC放電)を行った。これらの各レートにおける平均放電容量を0.2Cでの平均放電容量で割ることによって、放電容量維持率を算出した。
(正極のサイクル特性評価)
作製したハーフセルを充放電装置北斗電工製HJ1020Msd8にセットし、2.8Vから4.3Vの範囲において正極へのLi挿入脱離を行った。充放電は1Cで定電流充電(CC充電)および定電流放電(CC放電)を行った。そして、この充放電を300回繰り返し、300サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で割ることによって、300サイクル容量維持率を算出した。
(インピーダンス評価)
Biologic製VSP−300を用い、測定周波数200kHz〜1mHzの範囲で測定を行った。測定制御?データ解析用ソフトウェアとしてBio−Logic社製EC−Labを使用した。得られたナイキスト線図を図3の等価回路によってフィッティングすることによって、界面抵抗(Rsf)、電荷移動抵抗(Rct)を算出した。くわえて、低周波領域における実インピーダンスと角周波数の関係からリチウムイオンの拡散係数(DLi)を次式により算出した。
Figure 0006951624
ここで、R(8.3144JK−1mol−1)およびF(96485C)はそれぞれガスおよびファラデー定数、Tは絶対温度(297K)、Aは電極の有効面積、nは電極活物質層(1)中の移動電子数濃度であり、CLiは電極活物質層中のリチウム濃度(0.0655molcm−3)であり、σはWarburg係数であり、低角周波数の逆数平方根(ω−1/2)に対する実数インピーダンスの勾配対として算出される。
<実施例及び比較例に係る電極の作製>
下記の実施例及び比較例における正極活物質粒子粉末として、(A)挙動粒子径がおよそ8μmで球状のLi(Ni,Mn,Co)O(Ni:Co:Mn=5:2:3)と、(B)挙動粒子径がおよそ10μmで塊状のLi(Ni,Mn,Co)O(Ni:Co:Mn=1:1:1)を用いた。
下記の実施例及び比較例で用いた導電材の特性と、該導電材を用いた分散液の構成について表1に示す。
Figure 0006951624
以下の方法で電極を作製した。
[実施例1]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=95:5になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2mil(50.8μm)のアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層厚みが33μm、活物質層密度が3g/cmの電極1を得た。この電極1について、空気気流下の熱分解性試験を行ったところ、活物質層の400℃までにおける重量減少率は0.32重量%であった。なお、プレスの具体的な回数は上記の密度となるように制御した。
[実施例2]
活物質Bと導電材aとを重量比でA:a=95:5になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させることによって、活物質層厚みが11μm、活物質層密度が3g/cmの電極2を得た。
[実施例3]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=95:5になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層の厚みが27μm、活物質層密度が3g/cmの電極3を得た。
[参考例1]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=97:3になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層の厚みが32μm、活物質層密度が3g/cmである電極11を得た。
[参考例2]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=98:2になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層の厚みが33μm、活物質層密度が3g/cmである電極12を得た。
[比較例1]
活物質Aと導電材d、及びバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを重量比でA:d:PVDF=90:5:5になるようN−メチルピロリドン(NMP)を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層の厚みが32μm、活物質層密度が3g/cmの電極21を得た。
[比較例2]
活物質Aと導電材a、及びバインダーであるポリアクリル酸(PAA)とを重量比でA:a:PAA=95:2:3になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層の厚みが32μm、活物質層密度が3g/cmの電極22を得た。
[比較例3]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=95:5になるよう水を加えて混練したスラリーを未処理のアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させることによって、活物質層の厚みが32μm、活物質層密度が3g/cmの電極23を得た。
[比較例4]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:b=98:2になるようNMPを加えて混練したが、スラリーが高粘度化し、塗布できなかった。
[比較例5]
活物質Aと導電材cとを重量比でA:c=98:2になるよう水を加えて混練したが、スラリーが高粘度化し、塗布できなかった。
[比較例6]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=99:1になるよう水を加えて混練したが、スラリーが高粘度化し、塗布できなかった。
[比較例7]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=90:10になるよう水を加えて混合したところ、粘度が低いスラリーとなり、アプリケーターで塗布する前にAl箔上にスラリーが広がってしまったため、塗布できなかった。
[比較例8]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=95:5になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層の厚みが29μm、活物質層密度が2g/cmの電極28を得た。なお、プレスの具体的な回数は上記の密度となるように制御した。
[比較例9]
活物質Aと導電材aとを重量比でA:a=95:5になるよう水を加えて混練したスラリーを、予めUV/Oで処理したアルミニウム箔上に2milのアプリケーターを用いて塗布し、120℃で24時間真空乾燥させ、26MPa、50秒間のプレスを数回行った後に70℃で乾燥させることによって、活物質層の厚みが33μm、活物質層密度が2g/cmの電極29を得た。なお、プレスの具体的な回数は上記の密度となるように制御した。
作製した電極について、剥離強度を測定した。作製条件と電極特性を併せて表2に示す。
Figure 0006951624
作製した電極のうち、電極1、11、12、21および22について、体積抵抗率、表面抵抗(Rsf)、電荷移動抵抗(Rct)、Li拡散抵抗(DLi)の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006951624
活物質と導電材以外の成分が分散剤のみである電極1、11、12に対し、バインダーを添加した電極21、22の体積抵抗率および表面抵抗の値は高かった。
さらに、電極1、11、12、21および22について、初期放電特性、サイクル特性、およびレート放電特性の評価を行った。電極23についてはサイクル特性のみ評価を行った。結果を表4に示す。なお、放電容量については、活物質のみの重量から算出した活物質重量あたりの初期放電容量と、活物質以外の成分も含む電極活物質層の全重量から算出した電極活物質層全重量あたりの初期放電容量とを示している。サイクル特性、およびレート放電特性は電極活物質層全重量あたりの初期放電容量から算出している。
Figure 0006951624
導電材としてアセチレンブラックを、バインダーとしてPVDFを用いた電極21は、初期特性およびサイクル特性では電極1、11、12と同等だったものの、レート特性は悪かった。電極の抵抗が高いことによって、高レートで電流を流すことが困難になったことを反映していると思われる。電極1、11および12を比較すると、導電材の量が多いほどサイクル特性ならびにレート特性が良い傾向を示した。集電体を予め親水化しないことによって水素結合を形成させにくくした電極23は、水素結合を形成させた電極1に対して300サイクル維持率が低かった。このことから、水素結合によって剥離強度が向上し、サイクル特性が改善されたものと推察される。
さらに(G)電極の体積抵抗率の測定に基づいて、電極1、21、22、23について、該抵抗率を測定した。電極1は7.57±0.63×10−4Ωcm、電極21は(6.08±0.58)×10−3Ωcm、電極22は(2.39±0.31)×10−3Ωcm、電極23は(8.24±3.25)×10−3Ωcmであった。集電体を予め親水化しないことによって水素結合を形成させにくくした電極23は、水素結合を形成させた電極1に対して明らかに抵抗率が高かった。このことから、水素結合は、剥離強度だけでなく、電極内の抵抗率を下げる効果ももたらしたと考えられる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極は、電極活物質層における活物質の含有量が高く、剥離強度も高く、電極の抵抗も低いため、リチウムイオン二次電池をはじめとするエネルギー用途における様々な分野での適用や蓄電デバイスの材料としても好適である。

Claims (3)

  1. 電極活物質含有層と集電体を含むリチウムイオン二次電池用電極であって、電極活物質含有層における活物質粒子粉末:導電材:その他の成分の重量比が94〜98:1.75〜5:0〜1、前記導電材の少なくとも一部が繊維状の導電材、電極活物質含有層の厚みが10〜50μm、親水化処理がなされた集電体、電極活物質含有層の剥離強度が0.5N/cm以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極。
  2. 前記電極活物質含有層における繊維状の導電材が多層カーボンナノチューブである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極。
  3. 親水基を有する繊維状の導電材を含有する電極形成用スラリーを、親水性を付与した集電体上に塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
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