JP2009123346A - 二次電池用電極の製造方法および電極集電体製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系の電極合材層形成用組成物を用いて導電性のよい二次電池を構築可能な二次電池用電極(典型的には正極)を安定して製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明によると、電極活物質を含む電極合材層が電極集電体に保持された構成の二次電池用電極を製造する方法が提供される。その方法は、導電性金属を主体とする基材を用意することS10、実質的にバインダ成分を含有しないカーボン膜を前記基材の表面に形成することS20、該カーボン膜に親水化処理を施して親水化カーボン膜を備える電極集電体を得ることS30、電極活物質と水系媒体とを含む電極合材層形成用組成物を用意することS40、および、前記組成物を前記親水化カーボン膜の上から前記電極集電体に付与して電極合材層を形成することS50を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池等の二次電池の構成要素として用いられる二次電池用電極の製造方法ならびに該二次電池用電極の構成要素として用いられる電極集電体の製造装置に関する。
正極と負極との間をリチウムイオンが行き来することによって充電および放電するリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)は、軽量で高出力が得られることから、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末の電源として今後益々の需要増大が見込まれている。この種の二次電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)に保持された構成の電極を備える。例えば、正極に用いられる電極活物質(正極活物質)の代表例としては、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(以下、「リチウム遷移金属酸化物」ともいう。)が挙げられる。また、正極に用いられる電極集電体(正極集電体)の代表例としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金を主体とするシート状または箔状の部材が挙げられる。
かかる構成を有する正極を製造するにあたって正極集電体に正極活物質を保持させる代表的な方法の一つとして、正極活物質の粉末等を適当な媒体に分散させた組成物(正極合材層形成用組成物)を正極集電体(アルミニウム箔等)に塗布し、これを熱風乾燥機等に通過させて乾燥させることにより正極活物質を含む層(正極合材層)を形成する方法が挙げられる。かかる方法に使用する正極合材層形成用組成物としては、環境負荷の軽減、材料費の低減、設備の簡略化、廃棄物の減量、取扱性の向上等の種々の観点から、上記媒体(正極活物質粉末等の分散媒)が水系媒体である水系の組成物(すなわち、上記媒体を構成する溶媒が水系溶媒である組成物)が好ましい。
リチウム遷移金属複合酸化物を含む水系の組成物は、該酸化物を構成するリチウムイオンが水系媒体中に溶出することによりアルカリ性を呈するものとなりやすい。かかる水系組成物をアルミニウム箔等の集電体に付与する操作を伴うリチウム二次電池用正極の製造に関し、特許文献1には、集電体の表面に電気伝導性を有する保護被膜を設けることで該集電体のアルカリによる腐食等を防止する技術が記載されている。集電体の腐食防止に関する他の従来技術文献として特許文献2および特許文献3が挙げられる。
特開2003−157852号公報 特開2003−157836号公報 特開2000−156328号公報
特許文献1には、上記集電体の表面に設ける電気伝導性保護被膜の一つとして、カーボンブラック等のカーボン粒子と該カーボン粒子を結着するバインダ(PVDF,CMC等)とを有する保護被膜が記載されている。しかし、このようなバインダ成分(典型的には非導電性の有機高分子材料からなる。)の使用は上記保護被膜の導電性を低下させ、ひいては電池性能を低下させる要因となり得る。
本発明は、水系の電極合材層形成用組成物を用いて、より導電性のよい二次電池を構築可能な電極(典型的には正極)を安定して製造することのできる二次電池用電極製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、上記目的に関連して、かかる製造方法において好適に用いられる電極集電体を効率よく製造することのできる電極集電体製造装置を提供することを目的とする。
本発明者は、実質的にバインダ成分を含まないカーボン質の被膜(カーボン膜)を形成し、さらに該カーボン膜に対して水系組成物の付与適性を高める処理を施すことにより上記課題を解決し得ることを見出して本発明を完成した。
本発明によると、電極活物質を含む電極合材層が電極集電体に保持された構成の二次電池用電極(例えば、リチウムイオン電池等のリチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池用の電極、典型的には正極)を製造する方法が提供される。その方法は、導電性金属を主体とする基材を用意(製造、購入等)することを含む。また、前記基材の表面に、実質的にバインダ成分を含有しないカーボン膜を形成する(例えば、該基材にカーボンを物理蒸着または化学蒸着することにより好ましく形成され得る。)ことを含む。さらに、前記カーボン膜に対し、該カーボン膜の表面を改質して親水性を高める親水化処理(典型的には、水酸基、カルボキシル基等のような酸素(O)を含む極性官能基を上記カーボン膜に導入する処理)を施して、該親水化処理により親水化されたカーボン膜(親水化カーボン膜)を備える電極集電体を得ることを含む。この製造方法は、また、上記電極活物質と水系媒体とを含む電極合材層形成用組成物を用意(調製、購入等)し、該組成物を前記親水化カーボン膜の上から前記電極集電体に付与して電極合材層を形成することを含む。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池ならびに電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、上記「親水化処理」とは、当該処理を施すことにより処理前よりもカーボン膜の親水性を高めることをいう。該カーボン膜の該親水性が高められたことは、例えば、親水化処理前に比べて水の静止接触角が小さくなることによって把握され得る。また、「電極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る物質をいう。
上記のように実質的にバインダ成分を含有しないカーボン膜(例えば、カーボンをターゲットに用いた一般的なスパッタリング法により形成されたカーボン膜)は、導電性や耐薬品性(例えば、アルカリ性水溶液に対する耐腐食性)に優れる一方、かかるカーボン膜の上から単純に水系の電極合材層形成用組成物を付与すると、該水系組成物が上記カーボン膜に均一に付着し難いため得られる電極合材層の厚さや密度が不均一になりやすい、電極合材層とカーボン膜との密着性(接合強度)が低く該合材層が電極集電体から浮き上がったりさらには剥落したりしやすい、等の不都合が生じがちである。かかる事象は、上記カーボン膜の表面が一般に疎水性であることに起因するものと考えられる。本発明に係る電極製造方法では、上記カーボン膜を形成した後、そのカーボン膜にまず親水化処理を施すことにより該カーボン膜の水系組成物に対する「濡れ性」を向上させたうえで、その親水化処理されたカーボン膜(親水化カーボン膜)に水系の電極合材層形成用組成物を付与する。このことによって、良好な導電性が実現されるとともに、例えば電極活物質としてリチウムニッケル系複合酸化物を用いた電極合材層形成用組成物のようにアルカリ性となりやすい水系組成物を上記電極集電体に付与する場合であっても、該電極集電体を構成する導電性金属(基材)と上記水系組成物との反応(アルカリ腐蝕反応等)が防止される。したがって、電池性能に優れたリチウム二次電池用電極を安定して(品質安定性よく)製造することが可能となる。
ここに開示される方法の好ましい一態様では、前記親水化処理が、前記カーボン膜にオゾン(O)を供給することを含む処理である。このようにオゾンを供給する処理(オゾン処理)を行うことにより、前記カーボン膜に酸素原子(O)を適切に付加して、酸素を含む極性官能基(例えば水酸基、カルボキシル基)を効率よく導入することができる。このことによって上記カーボン膜の親水性をより効果的に向上させることができる。
また、前記親水化処理として、前記カーボン膜に水素(H)を付加し、次いで酸素(O)を付加する処理を好ましく採用することができる。このことによって、水酸基やカルボキシル基等の親水性向上効果の高い極性官能基をより効率よく(例えば、より高密度に)導入することができる。したがって、上記カーボン膜の親水性をより効果的に向上させることができる。
ここに開示されるいずれかの方法は、前記基材を構成する導電性金属がアルミニウムまたはアルミニウム合金である場合に特に好ましく適用され得る。アルミニウムまたはアルミニウム合金は、リチウム二次電池その他の非水電解質二次電池の電極集電体(特に正極集電体)として好ましい種々の特性を有する一方、アルカリ性の水系組成物による腐食を受けやすい性質がある。したがって、電極集電体の基材がアルミニウムまたはアルミニウム合金製である電極(典型的には正極)の製造においては、基材表面に該基材の腐食を防止するカーボン膜を形成した後に上記水系組成物を付与するという本発明の構成を採用することによる効果が特によく発揮され得る。
また、ここに開示されるいずれかの方法は、前記電極活物質として、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物(例えば、該複合酸化物を構成する主たる遷移金属元素がニッケル、コバルトおよびマンガンから選択されるいずれかである酸化物)を使用する態様で好ましく実施され得る。例えば、前記リチウム遷移金属複合酸化物がリチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物からなる群から選択される一種または二種以上である場合に好ましく適用され、上記リチウム遷移金属複合酸化物がリチウムニッケル系複合酸化物(すなわち、該酸化物を構成する主たる遷移金属元素がニッケルであるリチウム遷移金属複合酸化物)である場合に特に好ましく適用され得る。このようなリチウムニッケル系複合酸化物を構成するリチウムは特に水系媒体に溶出しやすいためである。したがって、耐アルカリ性に優れたカーボン膜を形成した電極集電体に上記水系組成物を付与するという本発明の構成を採用することによる効果が特によく発揮され得る。
本発明によると、また、二次電池用電極(例えば、リチウムイオン電池等のリチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池用の電極、典型的には正極)の製造に用いられる電極集電体を製造するための電極集電体製造装置が提供される。その装置は、内部を減圧可能に構成された真空チャンバと、導電性金属を主体とする長尺状の基材(典型的にはシート状)を前記真空チャンバ内に流通させる基材搬送機構と、を備える。ここで、前記真空チャンバの内部には、前記基材の表面にカーボンを蒸着してカーボン膜を形成するカーボン膜形成部と、前記カーボン膜にオゾン(O)を供給して該カーボン膜に酸素を含む極性官能基を導入するオゾン処理部と、が設けられている。そして、前記基材搬送機構は、前記カーボン膜形成部を経て前記オゾン処理部へと前記基材を連続的に流通させ得るように構成されている。
かかる構成の電極集電体製造装置によると、上記真空チャンバ内において、基材表面にカーボンを蒸着(物理蒸着、化学蒸着のいずれでもよい。)する処理および該蒸着により形成されたカーボン膜(典型的には疎水性表面を有する。)の親水性を向上させる処理(典型的には、酸素(O)を含む極性官能基を導入する処理)を含む一群の処理を適切に実施することができる。したがって、上記親水化処理されたカーボン膜(親水化カーボン膜)を表面に有する電極集電体を効率よく製造することができる。このような装置により製造された電極集電体は、電極活物質と水系媒体とを含む電極合材層形成用組成物(特に、該電極活物質としてリチウムニッケル系複合酸化物のようなリチウム遷移金属複合酸化物を用いた水系組成物)を付与して二次電池用の電極(例えば、リチウムイオン電池用の正極)を製造する用途に好適である。ここに開示されるいずれかの二次電池用電極製造方法は、上記装置により製造された電極集電体を用いて好適に実施され得る。
ここに開示される電極集電体製造装置の好ましい一態様では、前記真空チャンバの内部に、前記カーボン膜に水素(H)を付加する水素化処理部がさらに設けられている。そして、前記基材搬送機構は、前記カーボン膜形成部から前記水素化処理部を経て前記オゾン処理部へと前記基材を連続的に流通させ得るように構成されている。かかる構成の装置によると、上記カーボン膜にまず水素(H)を導入し、次いで酸素(O)を導入することにより、水酸基やカルボキシル基等の親水性向上効果の高い極性官能基をより効率よく(例えば、より高密度に)形成することができる。
本発明によると、また、ここに開示されるいずれかの方法により製造された二次電池用電極(ここに開示されるいずれかの電極集電体製造装置により得られた電極集電体を用いて製造された二次電池用電極であり得る。)を用いて構築された二次電池(例えばリチウムイオン電池)が提供される。かかる二次電池は、上記二次電池用電極を少なくとも一方の電極(好ましくは正極)に用いて構築されていることから、より良好な電池性能を示す(例えば、内部抵抗が低い、高出力特性がよい、耐久性が高い、の少なくとも一つを満たす)ものであり得る。
このような二次電池は、例えば自動車等の車両に搭載される電池として好適である。したがって本発明によると、ここに開示されるいずれかの二次電池(複数の二次電池が接続された組電池の形態であり得る。)を備える車両が提供される。特に、軽量で高出力が得られることから、上記二次電池がリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)であって、該リチウム二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が好適である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、電極活物質の製造方法、電極合材層形成用組成物の調製方法、セパレータや電解質の構成および製法、リチウム二次電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される電極製造方法は、親水化処理が施されたカーボン膜(親水化カーボン膜)を基材表面に備える電極集電体に、電極活物質を含有する水系の電極合材層形成用組成物を付与して電極合材層を形成するものであればよく、使用する基材の組成(材質)や形状に特に制限はない。上記基材としては、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄等の金属または該金属を主成分とする合金)からなるものを好ましく使用することができ、特にアルミニウム製(アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金(アルミニウム合金)から構成されることをいう。)の基材の使用が好ましい。ここに開示される電極製造方法は、正極および負極のいずれの製造にも適用することができる。特に正極の製造方法として好適である。
上記電極活物質が、該活物質と水系媒体とを含む水系の電極合材層形成用組成物を調整した場合に該組成物の液性がアルカリ性となりやすい性質を有する電極活物質である場合には、ここに開示される発明の適用効果が特によく発揮されるので好ましい。そのような電極活物質として、例えば、リチウム二次電池の電極活物質(典型的には正極活物質)として使用されるリチウム遷移金属複合酸化物(例えば、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物等)が挙げられる。
ここに開示されるいずれかの方法により製造された電極は、種々の形態の二次電池(例えばリチウム二次電池)に備えられる電極(典型的には正極)として好ましく利用され得る。上記電極製造方法において使用する基材の形状は、得られた電極を用いて構築される二次電池の形状(例えば直方体状、扁平形状、円筒状)等に応じて異なり得るため特に制限はなく、例えばシート状、板状、メッシュ状、棒状等の種々の形態であり得る。本発明の方法により得られた電極を用いて構築される二次電池の好ましい一態様として、捲回型の電極体を備える二次電池(例えばリチウム二次電池)が挙げられる。この態様において、アルミニウム箔等の箔状(シート状)金属からなる基材の表面に親水化カーボン膜を設けてなる電極集電体が好ましく使用され得る。なお、種々の形状の基材自体の作製は、二次電池の製造分野において従来公知の集電体の作製と同様にして行うことができ、本発明を特徴付けるものではない。
特に限定することを意図したものではないが、以下では主としてアルミニウム製の箔状基材(アルミニウム箔)を用いてリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)用の正極を製造する場合を例として、図1および図2に示すフローチャートを参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、ここに開示されるリチウム二次電池用電極製造方法では、基材として例えば厚さ10μm〜30μm程度の金属箔(ここではアルミニウム箔)を用意し(ステップS10)、その基材の表面に、実質的にバインダ成分を含まないカーボン膜を形成する(ステップS20)。該カーボン膜は、少なくとも非導電性の有機高分子材料を含有しないカーボン膜であることが好ましく、実質的に有機成分を含まないカーボン膜であることがより好ましい。実質的にカーボンのみからなるカーボン膜が特に好ましい。かかるカーボン膜の構造は特に限定されず、例えばアモルファスであってもグラファイト構造であってもこれらが混在した構造であってもよい。
このようなカーボン膜を基材表面に形成する方法としては、公知の蒸着法、例えば物理蒸着法(PVD法、例えばスパッタリング法)、化学蒸着法(CVD法、例えばプラズマCVD法)等を好ましく採用することができる。かかる蒸着法によるカーボン膜の形成(カーボンの蒸着)は、典型的には減圧条件下(例えば、圧力0.01Pa〜100Pa程度の不活性ガス雰囲気下、不活性ガスと水素等の非酸化性ガスとの混合ガス雰囲気下または大気雰囲気下)で行われる。ここに開示される技術において基材表面にカーボン膜を製造する方法として、例えば、カーボンをターゲットに用いたスパッタリング法を好ましく採用することができる。
上記カーボン膜の厚さは、上記基材を一様に覆い得る程度の厚さであればよく、特に限定されない。例えば、該カーボン膜の厚さを概ね0.005〜2μm程度とすることができ、通常は概ね0.05〜0.1μm程度の厚さとすることが好ましい。上記カーボン膜の厚さが大きすぎると、この電極を用いて構築される電池のエネルギー密度が低下傾向となることがあり、また該カーボン膜の強度が不足しやすくなることがある。なお、カーボン膜の厚さは該カーボン膜の形成条件(例えば蒸着条件)等を調整することにより任意に制御することができる。
また、基材表面のうち上記カーボン膜を形成する範囲(領域)は、少なくとも後述する電極合材層形成用組成物が付与される範囲を包含するように設定することが好ましい。例えば、箔状基材の片面のみ(該片面の一部であってもよく全範囲であってもよい。)に上記組成物が付与される場合には該片面の全範囲に亘って上記カーボン膜を形成する態様を、また該基材の両面に上記組成物が付与される場合には該片面の全範囲に亘って上記カーボン膜を形成する態様を好ましく採用することができる。
このようにして形成されたカーボン膜は、一般に極性官能基を実質的に有しないため疎水性であって、その表面は水をはじく性質(すなわち撥水性)を示す。このような疎水性のカーボン膜に水系の正極合材層形成用組成物を付与すると、上記カーボン膜の該水系組成物に対する濡れ性が低いため、付与された水系組成物の厚さ(ひいては乾燥後に得られる合材層の厚さ)が場所によって不均一になりがちである。また、上記水系組成物がカーボン膜に馴染みにくいため、乾燥後に得られる合材層のカーボン膜への密着性(アンカー効果等が寄与する接合強度)が不足し、該合材層が部分的に電極集電体から浮き上がったり剥落しやすくなったりすることがある。本発明の製造方法によると、かかる疎水性カーボン膜(典型的には、少なくとも該カーボン膜の表面)の親水性を高める処理(改質処理)を行い、しかる後に水系の電極合材組成物を付与することにより、均一で密着性のよい(接合強度の高い)電極合材層を備えたリチウム二次電池用電極(例えば正極)が得られる。このような電極によると、より安定した性能のリチウム二次電池が構築され得る。
すなわち図1に示すように、本発明に係る電極製造方法では、上記カーボン膜を形成するステップS20に引き続いて該カーボン膜の親水化処理を行う(ステップS30)。かかる親水化処理の典型例として、上記カーボン膜に極性官能基を導入する処理を好ましく採用することができる。上記極性官能基の好適例として、酸素(O)を含む極性官能基(水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、ケト基等)が挙げられる。特に、水酸基およびカルボキシル基から選択される少なくとも一種を導入可能な親水化処理を行うことが効果的である。上記酸素を含む極性官能基を導入する親水化処理は、酸素を含む化学種(例えば、酸素ガス(O)、オゾン(O)、酸化物イオン(O2−)、酸素ラジカル、酸素プラズマ等)を上記カーボン膜に供給することを含む処理であり得る。かかる化学種は、例えば、上記カーボン膜に対して紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理等を適用する(典型的には、酸素を含む雰囲気下で上記処理を行う)ことによって該カーボン膜に供給され得る。また、ここに開示される技術では、上記酸素を含む極性官能基を導入する処理として、上記カーボン膜にオゾンを供給する処理(オゾン処理)を好ましく採用することができる。かかるオゾンの供給は、例えば、酸素ガス(O)を含む雰囲気下で紫外線を照射してOからOを発生させることにより好ましく行うことができる。なお、例えば酸素ガスを含む雰囲気下(典型的には大気中)で上記コロナ放電処理を行うことによっても、上記カーボン膜にオゾンを供給することができる。あるいは、該カーボン膜にオゾンガスを吹き付けてもよい。
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記親水化処理(図1に示すステップS30)として、図2に示すように、上記疎水性カーボン膜(例えばスパッタリング等の蒸着法により形成されたままのカーボン膜)にまず水素を付加し(ステップS32)、次いで、その水素が付加されたカーボン膜に上述のような酸素を含む化学種(典型的にはオゾン)を供給するオゾン処理を行う(ステップS34)。このことによって、水酸基やカルボキシル基等の親水性向上効果の高い極性官能基をより効率よく導入することができる。
このような親水化処理(ステップS30)を行うことにより、アルミニウム箔の表面(例えば、該アルミニウム箔の両面の全範囲)に親水化カーボン膜が設けられた電極集電体(典型的には正極集電体)を得る(ステップS40)。したがって、以上のステップは、電極集電体の製造方法あるいは電極集電体を用意(製造)する工程として把握され得る。
このような電極集電体(典型的には、リチウムイオン電池用の正極集電体)の製造方法は、例えば、図3に模式的に示す概略構成を備えた装置を用いて好適に実施することができる。すなわち、この電極集電体製造装置70は、真空チャンバ71と、該チャンバに長尺シート状の基材(ここでは長尺状のアルミニウム箔)322を流通させる基材搬送機構78とを備える。図3に示す例では、巻出ロール782から巻き出される基材322が真空チャンバ71の一端(図3の左端)から導入され、その基材322が真空チャンバ71内を通り抜けて他端(図3の右端)から外部に送り出されるように、上記基材搬送機構78(図3に示す例では巻出ロール782および二対の送りロール784,786)が設けられている。
真空チャンバ71は、内部のガス雰囲気および圧力を任意に調整可能に構成されており、その内部には、図3の左端(すなわち、基材322の搬送経路における上流側)から順に、基材322にカーボンを蒸着して該基材の表面(ここでは両面)カーボン膜324を形成するカーボン膜形成部72と、その基材表面に形成されたカーボン膜324(典型的には疎水性であって、実質的にバインダ成分を含有しない。)に水素を付加する水素化処理部74と、その水素付加されたカーボン膜にオゾンを供給して該カーボン膜に酸素を含む極性官能基(好ましくは、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方)を導入するオゾン処理部76と、が設けられている。カーボン膜形成部72は、例えば、ターゲット724にカーボンを用いてアルゴン(Ar)ガス雰囲気下でスパッタリングを行うことにより基材322の表面にカーボン膜(カーボンスパッタ膜)324を形成可能な構成とすることができる。水素化処理部74は、例えば、カーボン膜324が形成された基材322に水素ガス(H)を供給しつつ(例えば、H/Arガス雰囲気下において)プラズマ処理を行うことでカーボン膜324に水素を付加可能に構成された平行平板型プラズマ装置を備えるものであり得る。オゾン処理部76は、例えば、カーボン膜324が設けられた基材322に酸素を含むガス(酸素ガス(O)、空気等)を供給可能なガス供給部と該酸素含有ガスに紫外線を照射することでオゾン(O)を発生させ得る紫外線照射装置(典型的には紫外線ランプ)とを備えた構成とすることができる。
かかる構成の装置70を使用して、カーボン膜形成部72、水素化処理部74およびオゾン処理部76を稼動させつつ、基材搬送機構78によって長尺状の基材322を図3の右方向へと走行させる。このようにカーボン膜形成部72から水素化処理部74を経てオゾン処理部76へと基材322を連続的に流通させることにより、基材322の両面に親水化カーボン膜326が設けられた電極集電体32を得ることができる。すなわち、ここに開示される装置によると、長尺状の基材(アルミニウム箔)322を真空チャンバ71に一度通過させるだけで該基材322に親水化カーボン膜326が設けられた電極集電体32が連続的に得られるので、該集電体32を効率よく製造することができる。
上記のような親水化処理を行うことによりカーボン膜の水系組成物に対する濡れ性が改善されることを確認するため、以下の実験を行った。すなわち、基材としての厚さ15μmのアルミニウム箔に、一般的なスパッタリング装置を用いて雰囲気圧力0.3Pa、スパッタ電力10kWの条件でカーボンをターゲットとしてスパッタリングを行うことにより、該基材の表面に実質的にカーボンのみからなるカーボン膜(膜厚約0.1μmのカーボンスパッタ膜)を形成した。次いで、上記圧力下において、一般的な平行平板型プラズマエッチング装置を使用して、HとArとを2:98の体積比で含む混合ガスを45ml/分の流量で供給しつつ上記カーボン膜の水素化処理(水素ガス存在下でのプラズマ処理)を行った。さらに、上記圧力下において、その水素化処理されたカーボン膜に酸素ガス(O)を1.0sccm(standard cc/min)の流量で供給しつつ紫外線を照射することでOを発生させ、該Oをカーボン膜に供給するオゾン処理を行った。そして、スパッタリングにより形成された直後のカーボン膜およびオゾン処理後のカーボン膜(親水化カーボン膜)にそれぞれ水滴を付着させたところ、スパッタリング直後のカーボン膜に比べて上記親水化カーボン膜では水に対する濡れ性が明らかに改善されていることが確認された。
続いて、図1に戻って、このように表面に親水化カーボン膜が設けられた電極集電体を用いて電極を製造する工程につき説明する。すなわち、上述のようにして得られた電極集電体に、上記親水化カーボン膜の上から、電極(ここでは正極)活物質と水系媒体とを含む水系の電極合材層形成用組成物を付与(典型的には塗布)する(ステップS50)。上記正極活物質(典型的には粒子状)としては、リチウムと一種または二種以上の遷移金属元素とを構成金属元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物を主成分とするものが好ましく用いられる。かかるリチウム遷移金属複合酸化物の好ましい代表例として、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物が例示される。
ここで「リチウムマンガン系複合酸化物」とは、LiMnのようにリチウムおよびマンガンのみを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウムおよびマンガン以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、リチウムおよびマンガン以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)をマンガンよりも少ない割合(原子数換算。リチウムおよびマンガン以外の金属元素を二種以上含む場合にはそれらの合計量としてマンガンよりも少ない割合)で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。そのような複合酸化物は、例えば下記一般式(1)で表すことができる。
LiMn2−x ・・・(1)
上記式(1)中のAは、ニッケル(Ni),コバルト(Co),アルミニウム(Al),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。
同様に、リチウムコバルト系複合酸化物とは、リチウムおよびコバルト以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Ni,Mn,Al,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味であり、リチウムニッケル系複合酸化物とは、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(例えば、Co,Mn,Al,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素)を含む複合酸化物をも包含する意味である。
ここに開示される技術は、例えば、リチウムニッケル系複合酸化物またはリチウムコバルト系複合酸化物を主成分とする正極活物質を備えるリチウムイオン電池に好ましく適用することができる。特に好ましい適用対象として、リチウムニッケル系複合酸化物を主成分とする正極活物質を備えるリチウムイオン電池用正極が挙げられる。
このようなリチウム遷移金属複合酸化物としては、例えば、従来公知の方法で調製・提供されるリチウム遷移金属複合酸化物粉末(以下、活物質粉末ということもある。)をそのまま使用することができる。例えば、原子組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定のモル比で混合し、適当な手段で焼成することによって該酸化物を調製することができる。また、焼成物を適当な手段で粉砕、造粒および分級することにより、所望する平均粒径および/または粒径分布を有する二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物粉末を得ることができる。ここに開示される方法は、例えば、平均粒径が凡そ5μm〜25μmの範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属複合酸化物粉末を用いて好ましく実施することができる。このようなリチウム遷移金属複合酸化物粉末の調製方法自体は本発明を何ら特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
上記正極合材層形成用組成物は、上述のようなリチウム遷移金属複合酸化物粉末(活物質粉末)と必要に応じて使用される他の正極合材層形成成分とを水系溶媒中で混合することにより調製され得る。これにより、上記水系溶媒および必要に応じて使用される他の正極合材層形成成分を含む水系媒体に上記活物質粉末が分散した水系の正極合材層形成用組成物が得られる。ここで「水系溶媒」とは、水または水を主体とする混合溶媒を指す概念である。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。
上記正極合材層形成用組成物は、正極活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物および水系溶媒の他に、一般的な正極の製造において正極合材層形成用の組成物に用いられる一種または二種以上の材料(上記「他の正極合材層形成成分」)を必要に応じて含有することができる。そのような材料の代表例として導電材およびバインダが挙げられる。上記導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素粉末、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。また、上記バインダとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等の水溶性または水分散性のポリマーを用いることができる。
特に限定するものではないが、正極合材層形成用組成物の固形分濃度(不揮発分、すなわち正極合材層形成成分の割合)は、例えば凡そ40〜60質量%程度であり得る。該固形分(すなわち正極合材層形成成分)に占める正極活物質の含有割合は、少なくとも凡そ50質量%であることが好ましく、例えば凡そ75〜99質量%であり得る。通常は、この割合を凡そ80〜95質量%程度とすることが適当である。導電材を含む組成では、例えば、正極活物質を凡そ80〜90質量%、導電材を凡そ5〜15質量%の割合で含む組成とすることができる。
このような正極合材層形成用組成物を正極集電体に付与(典型的には塗布)する操作は、該正極集電体として上述のように表面に親水化カーボン膜が設けられたものを用いる点以外は従来の一般的なリチウム二次電池用正極の作製を同様にして行うことができる。例えば、適当な塗布装置(スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター等)を使用して、上記親水化カーボン膜の上から上記正極集電体に所定量の上記正極合材層形成用組成物を層状に塗布することにより製造され得る。該組成物の塗布量(集電体の単位面積当たりの塗布量)は特に限定されず、正極および電池の形状や用途に応じて適宜異なり得る。例えば、上述のような捲回型の電極体(捲回電極体)を備えるリチウム二次電池の構築に使用されるシート状の正極を作製する場合には、箔状集電体(例えば、厚さ10〜30μm程度のアルミニウム箔等の金属箔を好ましく用いることができる。)の表面に上記組成物を、固形分換算の塗布量(すなわち、乾燥後の質量)が例えば凡そ6.0mg/cm〜6.5mg/cm程度となるように塗布するとよい。塗布後、適当な乾燥手段で塗布物を乾燥(典型的には70〜200℃)することによって(図1に示すステップS60)、正極集電体の表面に正極合材層が形成されたシート状正極を得ることができる(ステップS70)。なお、乾燥後、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、正極合材層の厚みや密度を適宜調整することができる。
ここに開示される正極製造方法を適用して好ましく製造されるリチウム二次電池用のシート状正極(正極シート)の断面構造を図4に模式的に示す。この正極シート30は、アルミニウム箔からなる基材322の両面に親水化カーボン膜326を有する正極集電体32と、該集電体32の両面に形成された正極合材層35とを備える。この正極合材層35は、リチウムニッケル系複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物(正極活物質)と水系媒体とを含む正極合材層形成用組成物(例えば、式LiMnで表されるリチウムマンガン酸化物87質量部、アセチレンブラック10質量部およびカルボキシメチルセルロース3質量部をイオン交換水と混合して調製された組成物)を、親水性カーボン膜326の上から正極集電体32の両面に塗布し、乾燥させて形成されたものである。
ここで、上記正極合材層形成用組成物が塗布される基材322の表面には親水化カーボン膜326が設けられているので、例えば正極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物のように該活物質を含む水系の正極合材層形成用組成物の液性がアルカリ性となり得る材料を用いる場合であっても、上記親水化カーボン膜326が保護被膜としての役割を果たすことにより、該組成物とアルミニウム等からなる基材322との反応(典型的には、アルカリ腐蝕反応)を防止することができる。また、このカーボン膜322には親水化処理(例えば、水酸基やカルボキシル基のような親水性の高い極性官能基を導入する改質処理)が施されているので、該カーボン膜326の正極合材層形成用組成物に対する濡れ性が改善されている。このことによって、該組成物をカーボン膜326上に均一に塗布することができ(「はじき」の防止による塗布厚の均一化)、また正極集電体32との密着性(結着性)のよい正極合材層35を形成することができる。したがって、品質安定性に優れた正極シート30を安定して効率よく製造することができる。
本発明の方法により提供される二次電池用電極(例えば正極)は、上記のように品質安定性に優れることから、種々の形態の二次電池の構成要素または該電池に内蔵される電極体の構成要素として好ましく利用され得る。例えば、ここに開示されるいずれかの方法により製造された正極と、負極(本発明を適用して製造された負極であり得る。)と、該正負極間に配置される電解質と、典型的には正負極間を離隔するセパレータ(固体状またはゲル状の電解質を用いた電池では省略され得る。)とを備えるリチウム二次電池の構成要素として好ましく使用され得る。かかる電池を構成する外容器の構造(例えば金属製の筐体やラミネートフィルム構造物)やサイズ、あるいは正負極集電体を主構成要素とする電極体の構造(例えば捲回構造や積層構造)等について特に制限はない。
以下、本発明の方法を適用して製造されたシート状正極30(図4参照)を用いて構築されるリチウムイオン電池の一実施形態につき、図5および図6に示す模式図を参照しつつ説明する。
図示するように、本実施形態に係るリチウムイオン電池10は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)のケース11を備える。このケース(外容器)11は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体12と、その開口部を塞ぐ蓋体13とを備える。ケース11の上面(すなわち蓋体13)には、捲回電極体20の正極と電気的に接続する正極端子14および該電極体の負極と電気的に接続する負極端子15が設けられている。ケース11の内部には、例えば長尺シート状の正極(正極シート)30および長尺シート状の負極(負極シート)40を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)50とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体20が収容される。
正極シート30および負極シート40は、それぞれ、長尺シート状の電極集電体の両面に電極活物質を主成分とする電極合材層が設けられた構成を有する。これらの電極シート30,40の幅方向の一端には、いずれの面にも上記電極合材層が設けられていない電極合材層非形成部分が形成されている。上記積層の際には、正極シート30の正極合材層非形成部分と負極シート40負極合材層非形成部分とがセパレータシート50の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート30と負極シート40とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体20の捲回方向に対する横方向において、正極シート30および負極シート40の電極合材層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分22(すなわち正極シート30の正極合材層形成部分と負極シート40の負極合材層形成部分と二枚のセパレータシート50とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極合材層の非形成部分)30Aおよび負極側はみ出し部分(すなわち負極合材層の非形成部分)40Aには、正極リード端子31および負極リード端子41がそれぞれ付設されており、上述の正極端子14および負極端子15とそれぞれ電気的に接続される。
なお、かかる捲回電極体20を構成する正極シート30以外の構成要素は、従来のリチウムイオン電池の電極体と同様でよく、特に制限はない。例えば、負極シート40は、長尺状の負極集電体の上にリチウムイオン電池用負極活物質を主成分とする負極合材層が付与されて形成され得る。負極集電体には銅箔その他の負極に適する金属箔が好適に使用される。負極活物質は従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物(リチウムチタン複合酸化物等)、リチウム遷移金属複合窒化物等が挙げられる。例えば、集電体としての長尺状銅箔の表面の所定領域に常法によって黒鉛を主体とする負極合材層(例えば黒鉛98質量%、スチレンブタジエンラバー1質量%、カルボキシメチルセルロース1質量%)を形成することによって好適な負極シート40が得られる。
また、正負極シート30,40間に使用されるセパレータシート50の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、厚さ5〜30μm(例えば25μm)程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(すなわちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
そして、ケース本体12の上端開口部から該本体12内に捲回電極体20を収容するとともに適当な液状電解質あるいは固体(もしくはゲル状)電解質、ここでは適当な非水系電解液(例えばLiPF等のリチウム塩(支持塩)を適当量含むジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒のような非水電解液)をケース12内に配置(注液)し、上記開口部を蓋体13との溶接等により封止して、本実施形態に係るリチウムイオン電池10の構築(組み立て)が完成する。なお、ケース11の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
本発明に係る二次電池(例えばリチウムイオン電池)は、上記のとおり品質安定性に優れることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図7に模式的に示すように、かかる二次電池(組電池の形態であり得る。)10を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供する。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
一実施形態に係る電極製造方法の一例を示すフローチャートである。 図1に示す親水化処理の一例を示すフローチャートである。 一実施形態に係る電極集電体製造装置の概略構成を模式的に示す説明図である。 本発明の方法により製造された電極の一例を示す断面図である。 捲回電極体の一例を模式的に示す正面図である。 一実施形態に係る二次電池を模式的に示す斜視図である。 本発明の二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
符号の説明
1 車両(自動車)
10 リチウムイオン電池(二次電池)
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
322 基材
324 カーボン層
326 親水化カーボン層
35 正極合材層
40 負極シート(負極)
70 電極集電体製造装置
71 真空チャンバ
72 カーボン膜形成部
74 水素化処理部
76 オゾン処理部
78 基材搬送機構

Claims (12)

  1. 電極活物質を含む電極合材層が電極集電体に保持された構成の二次電池用電極を製造する方法であって:
    導電性金属を主体とする基材を用意すること;
    前記基材の表面に、実質的にバインダ成分を含有しないカーボン膜を形成すること;
    前記カーボン膜に、該カーボン膜の表面を改質して親水性を高める親水化処理を施して、親水化カーボン膜を備える電極集電体を得ること;
    前記電極活物質と水系媒体とを含む電極合材層形成用組成物を用意すること;および、
    前記組成物を前記親水化カーボン膜の上から前記電極集電体に付与して電極合材層を形成すること;
    を包含する、二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記カーボン膜は、前記基材にカーボンを物理蒸着または化学蒸着することにより形成される、請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記親水化処理は、前記カーボン膜に酸素を含む極性官能基を導入する処理である、請求項1または2に記載の二次電池用電極の製造方法。
  4. 前記親水化処理は、前記カーボン膜にオゾンを供給することを含む処理である、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
  5. 前記親水化処理は、前記カーボン膜に水素を付加し、次いで酸素を付加することを含む処理である、請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
  6. 前記導電性金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
  7. 前記電極活物質としてリチウム遷移金属複合酸化物を使用する、請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
  8. 前記リチウム遷移金属複合酸化物はリチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物およびリチウムマンガン系複合酸化物からなる群から選択される一種または二種以上である、請求項7に記載のリチウム二次電池用電極の製造方法。
  9. 電極活物質を含む電極合材層が電極集電体に保持された構成の二次電池用電極を構築するための電極集電体を製造する装置であって、
    内部を減圧可能に構成された真空チャンバと、
    導電性金属を主体とする長尺状の基材を前記真空チャンバ内に流通させる基材搬送機構と、を備え、
    前記真空チャンバの内部には、前記基材の表面にカーボンを蒸着してカーボン膜を形成するカーボン膜形成部と、前記カーボン膜にオゾンを供給して該カーボン膜に酸素を含む極性官能基を導入するオゾン処理部と、が設けられており、
    前記基材搬送機構は、前記カーボン膜形成部を経て前記オゾン処理部へと前記基材を連続的に流通させるように構成されている、電極集電体製造装置。
  10. 前記真空チャンバの内部には、前記カーボン膜に水素を付加する水素化処理部がさらに設けられており、
    前記基材搬送機構は、前記カーボン膜形成部から前記水素化処理部を経て前記オゾン処理部へと前記基材を連続的に流通させるように構成されている、請求項9に記載の電極集電体製造装置。
  11. 請求項1から8のいずれか一項に記載の方法により製造された二次電池用電極を用いて構築された二次電池。
  12. 請求項11に記載の二次電池を備える車両。
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