JP6877862B2 - リチウムイオン二次電池用正極およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極およびこのリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池に関するものである。
近年、ノート型パソコン、タブレット端末、スマートフォン等の携帯電話等、携帯端末の普及が著しい。これら携帯端末の電源として用いられている二次電池には、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などが用いられている。携帯端末は、より快適な携帯性が求められて小型化、薄型化、軽量化および高性能化が急速に進み、その結果、携帯端末は様々な場で利用されるようになっている。また、二次電池に対しても、携帯端末に対するのと同様に、小型化、薄型化、軽量化および高性能化が要求されている。
二次電池は、通常、電極、電解液及びその他の電池部材を備える。また、電極は、通常、集電体と、この集電体上に形成された電極活物質層とを備える。さらに、電極活物質層は、バインダー(結着材)及び電極活物質を含み、二次電池の高性能化のために、電極活物質層に含まれる各成分の検討が行われている(例えば、特許文献1〜5参照)。
電極活物質層のうち正極に設けられるものは、正極活物質層と呼ばれる。正極活物質層は、例えば、導電性カーボン等の導電助剤と正極活物質の混合物に、水や有機溶媒等の溶媒にバインダーとなる重合体を分散又は溶解させた液状の組成物を混合して正極用スラリーを得、この正極用スラリーを集電体に塗布し、乾燥して製造される。
特許文献5においては、前記の溶媒として有機溶媒を用いる場合において、正極活物質層の充填性を高めるためにカーボンナノチューブを含む導電性カーボンを用いることが検討されている。
特開2002−56896号公報 特許第3601250号公報 特開2010−177079号公報 特開2011−192644号公報 特開2012−243696号公報
しかし、本発明者の検討によれば、正極活物質層の形成を行う場合に特許文献5で使用されている種類のカーボンナノチューブを用いると、柔軟性が低いために成膜の際にクラックが生じ厚膜化が困難であり、また、正極活物質層の集電体への結着性が低いことが分かった。また、この正極活物質層を含む正極を用いたリチウムイオン二次電池の保存特性やサイクル特性、レート特性等の電池性能は十分なものではなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブを含むスラリーを用いて形成され、優れた電池性能を有するリチウムイオン二次電池を得ることができるリチウムイオン二次電池用正極およびこのリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定のカーボンナノチューブを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、
(1) 正極活物質、結着材および導電助剤を含む正極であって、前記導電助剤は平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.20であるカーボンナノチューブを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極、
(2) 水溶性高分子を含むことを特徴とする(1)記載のリチウムイオン二次電池用正極、
(3) 前記カーボンナノチューブの外径は、3〜30nmであることを特徴とする(1)または(2)記載のリチウムイオン二次電池用正極、
(4) 前記正極活物質の一次粒子の平均粒子径は、0.1〜100μmであることを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池用正極、
(5) 前記結着材は、アクリル酸エステルモノマー単位または/およびメタクリル酸エステルモノマー単位を有する重合体であって、乳化重合することにより得られる前記重合体を含むことを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池用正極、
(6) 前記結着材は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と、アクリル酸エステルモノマー単位または/およびメタクリル酸エステルモノマー単位とを有する粒子状結着材であって、乳化重合することにより得られる前記粒子状結着材を含み、前記粒子状結着材の平均粒子径は50〜2000nmであることを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池用正極、
(7) 前記結着材は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を有するヨウ素価が20mg/100mg以下である水素化ジエン系ポリマーを含むことを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池用正極、
(8) 前記水素化ジエン系ポリマーにおけるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、前記水素化ジエン系ポリマーに含まれる全単量体単位中、10〜40重量%であることを特徴とする(7)に記載のリチウムイオン二次電池用正極、
(9) (1)〜(8)の何れかに記載のリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池
が提供される。
本発明によれば、カーボンナノチューブを含むスラリーを用いて形成され、優れた電池性能を有するリチウムイオン二次電池を得ることができるリチウムイオン二次電池用正極およびこのリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池が提供される。
以下、本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池について説明する。本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、正極活物質、結着材および導電助剤を含む正極であって、前記導電助剤は平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.20であるカーボンナノチューブを含むことを特徴とする。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。また、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」を意味する。さらに、「(メタ)アクリロニトリル」は「アクリロニトリル」及び「メタクリロニトリル」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」を意味する。さらに、「正極活物質」とは正極用の電極活物質を意味し、「負極活物質」とは負極用の電極活物質を意味する。また、「正極活物質層」とは正極に設けられる電極活物質層を意味し、「負極活物質層」とは負極に設けられる電極活物質層を意味する。
(正極活物質)
本発明のリチウムイオン二次電池用正極に用いる正極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出可能な活物質が用いられ、リチウムイオン二次電池用正極用電極活物質(正極活物質)は、無機化合物からなるものと有機化合物からなるものとに大別される。
無機化合物からなる正極活物質としては、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、リチウムと遷移金属とのリチウム含有複合金属酸化物などが挙げられる。上記の遷移金属としては、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo等が使用される。
遷移金属酸化物としては、MnO、MnO2、V25、V613、TiO2、Cu223、非晶質V2O−P25、MoO3等が挙げられ、中でも得られる二次電池のサイクル安定性と容量からMnO、V25、V613、TiO2が好ましい。
遷移金属硫化物としては、TiS2、TiS3、非晶質MoS2、FeS等が挙げられる。リチウム含有複合金属酸化物としては、層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、スピネル構造を有するリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物などが挙げられる。
層状構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としては、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)、Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物、Ni−Mn−Alのリチウム複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム複合酸化物、LiMaO2とLi2MbO3の固溶体である、xLiMaO2・(1−x)Li2MbO3 (0<x<1、Maは平均酸化状態が3+である一つ以上の遷移金属、Mbは平均酸化状態が4+である一つ以上の遷移金属)等が挙げられる。二次電池のサイクル特性を向上させるという観点からは、LiCoO2、を用いることが好ましく、二次電池のエネルギー密度を向上させるという観点からは、LiMaO2とLi2MbO3の固溶体が好ましい。また、LiMaO2とLi2MbO3の固溶体としては、特に、xLiMaO2・(1−x)Li2MbO3(0<x<1、Ma=Ni,Co,Mn,Fe,Ti等、Mb=Mn、Zr、Ti等)が好ましく、中でもxLiMaO2・(1−x)Li2MnO3(0<x<1、Ma=Ni,Co,Mn,Fe,Ti等)が好ましい。また、容量が高く、入手しやすいという観点から、Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物を用いることが好ましい。
スピネル構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としては、マンガン酸リチウム(LiMn24)のMnの一部を他の遷移金属で置換したLia[Mn2-xMdx]O4(ここでMdは平均酸化状態が4+である1つ以上の遷移金属、Md=Ni,Co,Fe,Cu,Cr等、0<x<1、0≦a≦1)等が挙げられる。スピネル構造を有するリチウム含有金属酸化物の中でも、MnをFeで置換したLiaFexMn2-x4-z(0≦a≦1、0<x<1、0≦z≦0.1)は、コストが安価であることから好ましく、MnをNiで置換したLiNi0.5Mn1.54などは構造劣化の因子と考えられているMn3+を全て置換することができ、Ni2+からNi4+への電気化学反応をすることから高い作動電圧で、かつ、高い容量を有することができるので、好ましい。
オリビン型構造を有するリチウム含有複合金属酸化物としては、LiyMcPO4(式中、Mcは平均酸化状態が3+である1つ以上の遷移金属、Mc=Mn,Co,Fe等、0≦y≦2)であらわされるオリビン型燐酸リチウム化合物が挙げられる。Mn,CoまたはFeは他の金属で一部置換されていてもよく、置換しうる金属としてはCu,Mg,Zn,V,Ca,Sr,Ba,Ti,Al,Si,B及びMoなどが挙げられる。
その他、Li2MeSiO4(ここでMeは、Fe,Mn)等のポリアニオン構造を有する正極活物質や、ペロブスカイト構造を有するLiFeF3、斜方晶構造を有するLi2Cu24などが挙げられる。
有機化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレンなどの導電性高分子を用いることもできる。電気伝導性に乏しい、鉄系酸化物は、還元焼成時に炭素源物質を存在させることで、炭素材料で覆われた電極活物質として用いてもよい。また、これら化合物は、部分的に元素置換したものであってもよい。正極活物質は、上記の無機化合物と有機化合物の混合物であってもよい。
上述した正極活物質の中でも、LiCoO2(以下、「LCO」ともいう。)、LiFePO4(以下、「LFP」ともいう。)、Co−Ni−Mnのリチウム複合酸化物(以下、「NMC」ともいう。)を用いることが好ましい。
本発明で用いる正極活物質の一次粒子の体積平均粒子径(以下、「一次平均粒子径」ということがある。)は、電池の他の構成要素との兼ね合いで適宜選択されるが、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.5〜80μm、さらに好ましくは0.8〜50μmである。正極活物質の一次平均粒子径が大きすぎると、薄膜電極の作製が困難となる。また、正極活物質の一次平均粒子径が小さすぎると、所望の目付け量とすることができない。
(導電助剤)
本発明に用いる導電助剤は、カーボンナノチューブを含む。
(カーボンナノチューブ)
本発明に用いるカーボンナノチューブは、少量の添加で容量の高いリチウムイオン二次電池を得られることから単層カーボンナノチューブ(SWCNT)が好ましい。また、本発明に用いるカーボンナノチューブは、平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>3σ/Av>0.20を満たす。ここでいう平均直径(Av)、直径分布(3σ)は、それぞれ透過型電子顕微鏡でカーボンナノチューブ100本の直径を測定した際の平均値、並びに標準偏差(σ)に3を乗じたものである。なお、本明細書における標準偏差は、標本標準偏差である。
平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.20を満たすカーボンナノチューブを用いることにより、カーボンナノチューブが少量であっても、優れた導電性を示すリチウムイオン二次電池用正極を得ることができる。得られるリチウムイオン二次電池用正極の特性の観点から、0.60>(3σ/Av)>0.25がより好ましく、0.60>(3σ/Av)>0.50がさらに好ましい。(3σ/Av)の値が大きすぎると、リチウムイオン二次電池用正極における抵抗値の分布が大きくなるため、電池特性に悪影響を及ぼす。
(3σ/Av)は、カーボンナノチューブの直径分布を表し、この値が大きいほど直径分布が広いことを意味する。本発明において直径分布は正規分布を取るものが好ましい。ここで言う直径分布は、透過型電子顕微鏡を用いて観察できる、無作為に選択された100本のカーボンナノチューブの直径を測定し、その結果を用いて、横軸に直径、縦軸に頻度を取り、得られたデータをプロットし、ガウシアンで近似することで得られるものとする。異なる製法で得られたカーボンナノチューブなどを複数種類組み合わせることでも(3σ/Av)の値を大きくすることはできるが、その場合正規分布の直径分布を得ることは難しい。即ち、本発明においては、単独のカーボンナノチューブ又は単独のカーボンナノチューブに、その直径分布に影響しない量の他のカーボンナノチューブを配合したものを用いるのが好ましい。
カーボンナノチューブの平均直径(Av)は、高い導電性を付与するといった観点から、0.5nm以上、15nm以下であることが好ましく、1nm以上、10nm以下であることが、より好ましい。
本発明に用いるカーボンナノチューブは、0.60>(3σ/Av)>0.20を満たすカーボンナノチューブであれば特に制限なく使用することができるが、日本国特許第4,621,896号公報(欧州公開特許第1787955号)、及び日本国特許第4,811,712号公報(米国公開特許第2009−297846号)に記載されているスーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブ(以下、「SGCNT」ということがある)が好ましく、さらにスーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブの中でもBET比表面積が600m2/g以上のカーボンナノチューブが、正極活物質層への改質効果が高いためさらに好ましい。
本発明に用いるカーボンナノチューブは、ラマン分光法においてRadial Breathing Mode(RBM)のピークを有するカーボンナノチューブであるのが好ましい。なお、三層以上の多層のカーボンナノチューブのラマンスペクトルには、RBMが存在しない。
また、本発明に用いるカーボンナノチューブはG/D比が1以上、20以下、カーボンナノチューブ合成時における構造体の長さが100μm以上、5000μm以下のカーボンナノチューブであることがより好ましい。これは例えば上述のスーパーグロース法により得ることができる。
スーパーグロース法によって製造されるカーボンナノチューブのG/D比の範囲については、1以上、20以下の範囲になる。これは、実際に製造したもののG/D比を測定結果から得られたばらつきの範囲に基づく。
また、カーボンナノチューブ合成時における構造体の長さが100μm以上、5000μm以下のカーボンナノチューブを用いることで、得られるエラストマー組成物はより優れた導電性を発揮する。
このように、G/D比が1以上、20以下、カーボンナノチューブ合成時における構造体の長さが100μm以上、5000μm以下のカーボンナノチューブを用いることにより、少量でも優れた導電性を得ることができる。
また、カーボンナノチューブの比表面積は、600m2/g以上であることが好ましく、カーボンナノチューブが主として未開口のものにあっては、600m2/g以上であり、カーボンナノチューブが主として開口したものにあっては、1300m2/g以上であることが改質効果に優れるため好ましい。
また、カーボンナノチューブの重量密度は、0.002g/cm3〜0.2g/cm3であることがより好ましい。重量密度が0.2g/cm3以下であれば、カーボンナノチューブを構成するカーボンナノチューブ同士の結びつきが弱くなるので、カーボンナノチューブを溶媒などに攪拌した際に、均質に分散させることが容易になる。つまり、重量密度が0.2g/cm3以下とすることで、均質な分散液を得ることが容易となる。また重量密度が0.002g/cm3以上であれば、カーボンナノチューブの一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取り扱いが容易になる。
本発明に用いるカーボンナノチューブの量は、正極活物質100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜3重量部である。カーボンナノチューブの量が多すぎると、電池容量の向上効果を得ることができず、また、正極用スラリーの粘度調整が困難となる。また、カーボンナノチューブの量が少なすぎると、所望の容量や特性を有する電池を得ることができない。
また、カーボンナノチューブを導電助剤として用いることにより、正極活物質同士の電気的接触を向上させることができ、特にリチウムイオン二次電池に用いる場合に初期放電特性を改善することができる。
また、導電助剤として、上述のカーボンナノチューブと導電性カーボンとを併用してもよい。導電性カーボンとしては、導電性を有する、炭素の同素体からなる粒子が挙げられ、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維等を用いることができる。また、例えば、黒鉛等の炭素粉末、各種金属のファイバー及び箔などを用いることもできる。ここで、導電性カーボンは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極に導電性カーボンを用いる場合の導電性カーボンの量は、スラリー粘度の安定性を向上させる観点から、正極活物質100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜8重量部である。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極に導電性カーボンを用いる場合のカーボンナノチューブと導電性カーボンの量の比率は、正極活物質層の導電性が高くなる観点及び正極用スラリーの粘度の安定性が向上する観点から、重量基準で好ましくは10:0〜1:9、より好ましくは10:0〜5:5、さらに好ましくは10:0〜8:2である。
導電助剤は炭素の同素体からなる粒子が多いことから、表面疎水性を示すものが多い。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極に用いる導電助剤の量(カーボンナノチューブと導電性カーボンとを合わせた量)は、スラリー粘度の安定性を向上させる観点から、正極活物質100重量部に対して、0.2〜10重量部、好ましくは0.4〜8重量部である。
(結着材)
本発明に用いる結着材は、通常、正極活物質層に含まれ、正極活物質、導電助剤及び集電体を結着させる作用を奏する。結着材を含むことにより、リチウムイオン二次電池用正極では、正極活物質及び導電助剤を強固に保持できるので、リチウムイオン二次電池用正極からの正極活物質の脱離を抑制できる。また、結着材は通常は正極活物質層に含まれる正極活物質及び導電助剤以外の粒子をも結着し、正極活物質層の強度を維持する役割も果たしうる。また、結着材は、その形状が粒子形状であるため、結着性が特に高く、容量低下及び充放電の繰り返しによる劣化を顕著に抑えることができる。
本発明に用いる結着材としては、アクリル酸エステルモノマー単位または/およびメタクリル酸エステルモノマー単位を有する重合体、ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる重合体が好ましく用いられる。
ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる重合体を用いる場合には、結着材を構成する重合体中にニトリル基を有する重合単位を含むことで、正極活物質層を形成するための正極用スラリー中における正極活物質の分散性が向上し、スラリーを長期間安定状態で保存することができる。この結果、均一な正極活物質層の製造が容易になる。また、リチウムイオンの伝導性が良好となるため、電池内における内部抵抗を小さくし、電池の出力特性を向上させることができる。
ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる重合体を用いる場合には、結着材を構成する重合体における、直鎖アルキレン構造単位の炭素数は4以上であり、好ましくは4〜16、さらに好ましくは4〜12の範囲である。
ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる重合体を用いる場合においては、結着材を構成する重合体中に、非極性の直鎖アルキレン構造単位を導入することで、正極を形成するためのスラリー(正極用スラリー)中に必要に応じて添加される導電性付与剤の分散性が向上し、均一な正極の製造が容易になる。また、電極内に均一に導電性付与剤が分散することにより、導電ネットワークが取りやすくなることで内部抵抗が低減し、結果としてこの電極を用いた電池のサイクル特性、出力特性が向上する。また、所定以上の鎖長の直鎖アルキレン構造単位を導入することで、正極の電解液に対する膨潤性が適正化され、電池特性の向上が図られる。
ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる重合体としては、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位とを有する重合体などが挙げられ、単独で使用してもよいし、これらを併用してもよい。
ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる結着材が、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体である場合には、共役ジエン単量体単位の二重結合を水素化することによりヨウ素価が20mg/100mg以下である水素化ジエン系ポリマーを得ることができる。
また、ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる結着材が、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位とを有する重合体である場合には、ヨウ素価は0mg/100mgである。
結着材のヨウ素価は、耐電位性を向上させる観点から、20mg/100mg以下であり、好ましくは1〜18mg/100mg、より好ましくは5〜15mg/100mgである。結着材のヨウ素価が大きすぎると、結着材に含まれる不飽和結合により酸化電位での安定性が低く電池の高温サイクル特性に劣る。また逆に、結着材のヨウ素価が小さすぎると、結着材の柔軟性が低下する。その結果、電極を捲回・プレス時に電極の欠け、粉落ち等により正極活物質の一部が脱離しうる。粉落ち等が発生すると、脱離した塊(正極活物質)がセパレーターの破損・正極/負極間のショート等の原因となり、安全性、長期特性に劣る。ヨウ素価はJIS K6235;2006に従って求められる。
本発明に用いる結着材におけるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量(ニトリル含量)は、カーボンナノチューブの添加量が少なくても高い導電性が付与できる観点から、全単量体単位中、好ましくは1.0〜40重量%、より好ましくは5.0〜35重量%である。結着材中のニトリル含量が多すぎると、結着材の結着材としての柔軟性が低下し、正極活物質層を形成する際にクラックが発生しやすくなる。また、ニトリル含量が少なすぎると、結着材が正極活物質の表面を被覆するため、電池性能(容量やレート特性)が低下する。ニトリル含量は、重合の際に用いるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の量を変えることにより調整することができる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、JIS K 6364のミルオーブン法に従い、発生した窒素量を測定してアクリロニトリル分子量からその結合量を換算し、定量することができる。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成する単量体としては、ニトリル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物であれば限定されず、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられ、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体として、これらの複数種を併用してもよい。
共役ジエン単量体単位を形成するジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどの炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの好ましくは炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
本発明に用いる結着材における共役ジエン単量体単位の含有量は、結着材の結着材としての柔軟性向上の観点から、全単量体単位中、好ましくは60〜99重量%、より好ましくは65〜95重量%である
(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどのフッ素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの非共役ジエン化合物;エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン化合物;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性化合物;などが挙げられる。その中でも、電解液に溶出せずに正極用スラリーの溶媒として用いられるN−メチルピロリドン(NMP)への溶解性を示すこと、正極の柔軟性が向上し、捲回セルを作製したときに正極の剥がれを抑制することができ、該正極を用いた二次電池の特性(サイクル特性等)に優れることから、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が4以上のアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルがより好ましく、非カルボニル性酸素原子に結合するアルキル基の炭素数が6以上20以下のアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルがさらに好ましい。
本発明に用いる結着材における(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位の含有量は、全単量体単位中、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位の含有量が多すぎると、結着材が正極活物質の表面を被覆するため、電池性能(容量やレート特性)が低下する。また、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合単位の含有量が少なすぎると、結着材の結着材としての柔軟性が低下し、正極活物質層を形成する際にクラックが発生しやすくなる。
また、本発明に用いる結着材中に親水性基を導入してもよい。親水性基の導入は、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基およびこれらの塩などを有する単量体を重合して行われる。
カルボン酸基を有する単量体としては、モノカルボン酸及びその誘導体やジカルボン酸、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。
モノカルボン酸誘導体としては、2−エチルアクリル酸、イソクロトン酸、α―アセトキシアクリル酸、β−trans−アリールオキシアクリル酸、α−クロロ−β−E−メトキシアクリル酸、β−ジアミノアクリル酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸誘導体としては、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸などマレイン酸メチルアリル、マレイン酸ジフェニル、マレイン酸ノニル、マレイン酸デシル、マレイン酸ドデシル、マレイン酸オクタデシル、マレイン酸フルオロアルキルなどのマレイン酸エステル;が挙げられる。
また、加水分解によりカルボキシル基を生成する酸無水物も使用できる。
ジカルボン酸の酸無水物としては、無水マレイン酸、アクリル酸無水物、メチル無水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸などが挙げられる。
その他、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸ジシクロヘキシル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジブチルなどのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸のモノエステルおよびジエステルも挙げられる。
スルホン酸基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などが挙げられる。
リン酸基を有する単量体としては、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどのエチレン性不飽和アルコール;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、マレイン酸ジ−2−ヒドロキシエチル、マレイン酸ジ−4−ヒドロキシブチル、イタコン酸ジ−2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸のアルカノールエステル類;一般式CH2=CR1−COO−(Cn2nO)m−H(mは2ないし9の整数、nは2ないし4の整数、R1は水素またはメチル基を表す)で表されるポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシフタレート、2−ヒドロキシエチル−2’−(メタ)アクリロイルオキシサクシネートなどのジカルボン酸のジヒドロキシエステルのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−3−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−4−ヒドロキシブチルエーテル、(メタ)アリル−6−ヒドロキシヘキシルエーテルなどのアルキレングリコールのモノ(メタ)アリルエーテル類;ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコール(メタ)モノアリルエーテル類;グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリル−2−クロロ−3−ヒドロキシプロピルエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルエーテルなどの、(ポリ)アルキレングリコールのハロゲン及びヒドロキシ置換体のモノ(メタ)アリルエーテル;オイゲノール、イソオイゲノールなどの多価フェノールのモノ(メタ)アリルエーテル及びそのハロゲン置換体;(メタ)アリル−2−ヒドロキシエチルチオエーテル、(メタ)アリル−2−ヒドロキシプロピルチオエーテルなどのアルキレングリコールの(メタ)アリルチオエーテル類;などが挙げられる。
本発明に用いる結着材における親水性基を有する単量体単位の含有量は、保存安定性が高い観点から、全単量体単位中、好ましくは10重量%以下、より好ましくは0.5〜7重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。親水性基を有する単量体単位の含有量が多すぎると、製造安定性及び保存安定性が低下する。また、親水性基を有する単量体単位の含有量が少なすぎると、結着材の結着性が不足し、得られるリチウムイオン二次電池のサイクル特性が悪化する。
これらの中でも、正極活物質同士の密着性及び正極活物質層と後述する集電体との密着性に優れることから、親水性基は、カルボン酸基またはスルホン酸基であることが好ましく、特に正極活物質から溶出することがある遷移金属イオンを効率良く捕捉するという理由からカルボン酸基であることが好ましい。
また、本発明に用いる結着材は、上記単量体単位以外に、これらの単量体単位を形成する単量体と共重合可能な他の単量体単位を含有していてもよい。このような他の単量体単位を導く他の単量体としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが例示される。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルであって、アルキル基の炭素数が1〜18のもの;アクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸メトキシエチルなどのアクリル酸アルコキシアルキルエステルおよびメタクリル酸アルコキシアルキルエステルであって、アルコキシアルキル基の炭素数が2〜12のもの;アクリル酸α−シアノエチル、アクリル酸β−シアノエチル、メタクリル酸シアノブチルなどのアクリル酸シアノアルキルエステルおよびメタクリル酸シアノアルキルエステルであって、シアノアルキル基の炭素数が2〜12のもの;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルおよびメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであって、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜12のもの;アクリル酸フルオロベンジル、メタクリル酸フルオロベンジルなどのフッ素置換ベンジル基含有アクリル酸エステルおよびフッ素置換ベンジル基含有メタクリル酸エステル;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピルなどのフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルおよびフルオロアルキル基含有メタクリル酸エステル;マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和多価カルボン酸ポリアルキルエステル;アクリル酸ジメチルアミノメチル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノ基含有α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
フッ素含有ビニル単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
これらの共重合可能な他の単量体は、複数種類を併用されうる。結着材に含有される、これらの他の単量体単位の含有量は、全単量体単位中に、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の量である。
ニトリル基を有する重合単位及び炭素数4以上の直鎖アルキレン構造を含んでなる結着材が、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体である場合には、共役ジエン単量体単位の二重結合の水素化を行う。この場合には、結着材を構成する各単量体を共重合した後、水素添加することにより、ヨウ素価が20mg/100mg以下であるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体を得ることができる。
各単量体を共重合する方法に格別な制限はないが、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの乳化剤を用いて約50〜1000nmの平均粒子径を有する共重合体のラテックスを得る乳化重合法や、ポリビニルアルコールなどの分散剤を用いて約0.2〜200μmの平均粒子径を有する共重合体の水分散液を得る懸濁重合法(微細懸濁重合法も含む)などを好適に用いることができる。これらのなかでも、重合反応制御が容易なことから乳化重合法がより好ましい。
結着材が粒子状結着材である場合、水分散液中に分散している場合における粒子状結着材の平均粒子径(分散粒子径)は、100〜5000nm、好ましくは170〜4500nm、より好ましくは200〜3000nmである。また、粒子状結着材の平均粒子径が小さすぎると、得られるリチウムイオン二次電池の抵抗が増加する。
上記乳化剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部、特に好ましくは1.5〜3.0重量部である。乳化剤の使用量が多すぎると、メタノール抽出量、すなわち不純物が多くなるおそれがあり、逆に、乳化剤の使用量が少なすぎるとラテックスの安定性が低下して乳化重合反応を行うことができなくなる場合がある。
乳化重合においては、乳化剤以外の重合開始剤、分子量調整剤等の従来公知の重合副資材を使用することができる。これら重合副資材の添加方法は特に限定されず、重合初期に一括添加する方法、分割して添加する方法、連続して添加する方法などいずれの方法でも採用することができる。
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。
重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。
重合開始剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1.5重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;α−メチルスチレンダイマー;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。
分子量調整剤の使用量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.2〜0.7重量部の範囲である。
乳化重合の媒体は、通常、水が使用される。水の量は、全単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは100〜300重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じてキレート剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体などの、共重合により得られた結着材を水素添加する方法は公知の方法によればよく、油層水素化法、水層水素化法のいずれも可能であるが、結着材のメタノール抽出量(不純物量)を低くできることから、油層水素化法が好ましい。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体に対して水素添加を行うことにより水素化ジエン系ポリマーを得ることができる。
以下、油層水素化法、水層水素化法について説明するが、アクリロニトリルーブタジエン共重合体(以下、「ニトリルゴム」ともいう。)に対して水素添加を行う場合について説明する。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体の製造を油層水素化法で行う場合には、次の方法により行うことが好ましい。
まず、乳化重合により調製したニトリルゴム(a)のラテックスを塩析により凝固させ、濾別および乾燥を経て、有機溶媒に溶解する。次いで、有機溶媒に溶解させたニトリルゴム(a)について水素添加反応(油層水素化法)を行い、水素化物とし、有機溶媒として水溶性のアセトンなどを用いた場合には、得られた水素化物溶液を大量の水中に注いで凝固、濾別および乾燥を行うことにより、水素化されたアクリロニトリルーブタジエン共重合体(以下、「水素化NBR」ともいう。)が得られる。
上記ラテックスの塩析による凝固では、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなど公知の凝固剤を使用することができるが、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムなどのマグネシウム塩を採用すると、メタノール抽出量をより一層低減することができるので好ましい。凝固剤の使用量は、水素化するニトリルゴム(a)の量を100重量部とした場合に、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは10〜50である。凝固温度は10〜80℃が好ましい。
油層水素化法の溶媒としては、ニトリルゴム(a)を溶解する液状有機化合物であれば特に限定されないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、シクロヘキサノンおよびアセトンなどが好ましく使用される。
油層水素化法の触媒としては、公知の選択的水素化触媒であれば限定なく使用でき、パラジウム系触媒およびロジウム系触媒が好ましく、パラジウム系触媒(酢酸パラジウム、塩化パラジウムおよび水酸化パラジウムなど)がより好ましい。これらは2種以上併用してもよいが、ロジウム系触媒とパラジウム系触媒とを組み合わせて用いる場合には、パラジウム系触媒を主たる活性成分とすることが好ましい。これらの触媒は、通常、担体に担持させて使用される。担体としては、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミナ、珪藻土、活性炭などが例示される。触媒使用量は、水素化するニトリルゴム(a)の量に対して、好ましくは10〜5000重量ppm、より好ましくは100〜3000重量ppmである。
油層水素化法の水素化反応温度は、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃であり、水素圧力は、好ましくは0.1〜30MPa、より好ましくは0.2〜20MPaであり、反応時間は、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜25時間である。
あるいは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と共役ジエン単量体単位とを有する重合体の製造を水層水素化法で行う場合には、乳化重合により調製したニトリルゴム(a)のラテックスに、必要に応じて水を加えて希釈し、水素添加反応を行うことが好ましい。
ここで、水層水素化法には、水素化触媒存在下の反応系に水素を供給して水素化する(I)水層直接水素化法と、酸化剤、還元剤および活性剤の存在下で還元して水素化する(II)水層間接水素化法とがある。
(I)水層直接水素化法においては、水層のニトリルゴム(a)の濃度(ラテックス状態での濃度)は、凝集を防止するために40重量%以下とすることが好ましい。
また、用いる水素化触媒としては、水で分解しにくい化合物であれば特に限定されない。水素化触媒の具体例として、パラジウム触媒では、ギ酸、プロピオン酸、ラウリン酸、コハク酸、オレイン酸、フタル酸などのカルボン酸のパラジウム塩;塩化パラジウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムなどのパラジウム塩素化物;ヨウ化パラジウムなどのヨウ素化物;硫酸パラジウム・二水和物などが挙げられる。これらの中でもカルボン酸のパラジウム塩、ジクロロ(ノルボルナジエン)パラジウムおよびヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウムが特に好ましい。水素化触媒の使用量は、適宜定めればよいが、水素化するニトリルゴム(a)の量に対して、好ましくは5〜6000重量ppm、より好ましくは10〜4000重量ppmである。
水層直接水素化法における反応温度は、好ましくは0〜300℃、より好ましくは20〜150℃、特に好ましくは30〜100℃である。反応温度が低すぎると反応速度が低下するおそれがあり、逆に、高すぎるとニトリル基の水素添加などの副反応が起こる可能性がある。水素圧力は、好ましくは0.1〜30MPa、より好ましくは0.5〜20MPaである。反応時間は反応温度、水素圧、目標の水素化率などを勘案して選定される。
水層直接水素化法においては、反応終了後、ラテックス中の水素化触媒を除去する。その方法として、例えば、活性炭、イオン交換樹脂などの吸着剤を添加して攪拌下で水素化触媒を吸着させ、次いでラテックスをろ過または遠心分離する方法を採ることができる。あるいは、水素化触媒を除去せずにラテックス中に残存させることも可能である。
(II)一方、水層間接水素化法では、水層のニトリルゴム(a)の濃度(ラテックス状態での濃度)は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜40重量%とする。
水層間接水素化法で用いる酸化剤としては、酸素、空気、過酸化水素などが挙げられる。これら酸化剤の使用量は、炭素−炭素二重結合に対するモル比(酸化剤:炭素−炭素二重結合)で、好ましくは0.1:1〜100:1、より好ましくは0.8:1〜5:1の範囲である。
水層間接水素化法で用いる還元剤としては、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、酢酸ヒドラジン、ヒドラジン硫酸塩、ヒドラジン塩酸塩などのヒドラジン類またはヒドラジンを遊離する化合物が用いられる。これらの還元剤の使用量は、炭素−炭素二重結合に対するモル比(還元剤:炭素−炭素二重結合)で、好ましくは0.1:1〜100:1、より好ましくは0.8:1〜5:1の範囲である。
水層間接水素化法で用いる活性剤としては、銅、鉄、コバルト、鉛、ニッケル、鉄、スズなどの金属のイオンが用いられる。これらの活性剤の使用量は、炭素−炭素二重結合に対するモル比(活性剤:炭素−炭素二重結合)で、好ましくは1:1000〜10:1、より好ましくは1:50〜1:2である。
水層間接水素化法における反応は、0℃から還流温度までの範囲内で加熱することにより行い、これにより水素化反応が行われる。この際における加熱範囲は、好ましくは0〜250℃、より好ましくは20〜100℃、特に好ましくは40〜80℃である。
水層での直接水素化法、間接水素化法のいずれにおいても、水素化に続いて、塩析による凝固、濾別、乾燥を行うことが好ましい。塩析は、前記油層水素化法におけるラテックスの塩析と同様に、メタノール抽出量をより一層低減することができるという点より、上述したマグネシウム塩を用いることが好ましい。また、凝固に続く濾別および乾燥の工程はそれぞれ公知の方法により行うことができる。
リチウムイオン二次電池用正極中の結着材の含有量は、リチウムイオン二次電池用正極から正極活物質層の一部が脱落(粉落ち)することを防止し、正極の柔軟性を向上させることができるため、該正極を用いたリチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上する観点から、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜8重量%、特に好ましくは0.8〜3重量%である。
(水溶性高分子)
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、水溶性高分子を含んでいてもよい。ここで、水溶性高分子とは、25℃において、高分子0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が0.5重量%未満の高分子をいう。水溶性高分子の具体例としては、増粘剤が挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマーおよびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリ(メタ)アクリル酸およびこれらのアンモニウム塩並びにアルカリ金属塩;(変性)ポリビニルアルコール、アクリル酸又はアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸又はマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体などのポリビニルアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、変性ポリアクリル酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体水素化物などが挙げられる。なお、本発明において、「(変性)ポリ」は「未変性ポリ」又は「変性ポリ」を意味する。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極に用いる水溶性高分子の量は、正極活物質100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜8重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。水溶性高分子の量が多すぎると、正極活物質層の柔軟性が低下し、割れたり欠けたりし易くなる。また、水溶性高分子の量が少なすぎると、スラリーの粘度が低く塗工しづらく、電極の容量が小さくなるため、電池として実用し難い。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極に用いる水溶性高分子の1%水溶液の粘度は、10〜3000mPa・s、好ましくは20〜2000mPa・s、より好ましくは50〜1000mPa・sである。水溶性高分子の1%水溶液の粘度が大きすぎると正極用スラリーを所望の粘度とすることが難しくなる。また、水溶性高分子の1%水溶液の粘度が小さすぎると正極の目付け量を所望の値とすることが難しくなる。
(添加剤)
本発明のリチウムイオン二次電池用正極には、さらに各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、等を挙げることができる。
(集電体及び電極活物質層)
正極活物質、導電助剤及び結着材、並びに必要に応じて含まれる水溶性高分子等の任意の成分は、上述したように、通常、正極活物質層に含まれる。正極活物質層は、通常、集電体の表面に設けられる。この際、正極活物質層は、集電体の片面に設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。
集電体は、電気導電性を有し且つ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されない。耐熱性を有するとの観点から、集電体の材料としては金属が好ましく、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などが好ましい。中でも、正極用としてはアルミニウムが特に好ましい。集電体の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
集電体の形状は特に制限されないが、厚さ0.001mm〜0.5mm程度のシート状のものが好ましい。
集電体は、正極活物質層の接着強度を高めるため、表面に予め粗面化処理して使用することが好ましい。粗面化方法としては、例えば、機械的研磨法、電解研磨法、化学研磨法などが挙げられる。機械的研磨法においては、通常、研磨剤粒子を固着した研磨布紙、砥石、エメリバフ、鋼線などを備えたワイヤーブラシ等が使用される。また、正極活物質層の接着強度や導電性を高めるために、集電体の表面に中間層を形成してもよい。
正極活物質層の厚みは、負荷特性及びエネルギー密度共に高い特性を示す観点から、通常5〜300μm、好ましくは10〜250μmである。
このような低い水分量は、水溶性高分子中の構造単位の組成を適宜調整することにより達成しうる。特に、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を上述した比率で水溶性高分子に含ませることにより、水分量を低減することができる。
(二次電池用正極の製造方法)
本発明の二次電池用正極は、例えば、二次電池用正極を製造するための正極用スラリーを用意し、正極用スラリーを、集電体上に塗布し、乾燥することを含む製造方法により、製造しうる。
正極用スラリーは、正極活物質、カーボンナノチューブを含む導電助剤、結着材、及び水、並びに、必要に応じて用いられる水溶性高分子等の任意の成分を含む液状の組成物である。正極用スラリーにおける正極活物質、導電助剤、結着材及び水溶性高分子等の任意の成分の比率は、上述の比率とすることができる。
また、正極用スラリーは、溶媒として水を含む。また、必要に応じて、水と有機溶媒とを組み合わせた混合溶媒を用いてもよい。正極用スラリーにおいて、通常は、正極活物質、導電助剤及び結着材は溶媒に分散した状態となり、また、水溶性高分子は溶媒に溶解した状態となる。
正極用スラリーの粘度は、正極用スラリーの経時安定性及び塗工性の観点から、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上であり、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは20,000mPa・s以下である。前記粘度は、B型粘度計を用いて25℃、回転数60rpmで測定した時の値である。
正極用スラリーのpHは、正極用スラリーの安定性を高めることができ、また、集電体の腐食抑制効果を奏する観点から、pH7〜12、好ましくはpH8〜11.5である。
正極用スラリーのpHを調整する方法としては、例えば、正極用スラリーの調製前に正極活物質を洗浄して正極用スラリーのpHを調整する方法、作製した正極用スラリーに炭酸ガスをバブリングしてpHを調整する方法、pH調整剤を使って調整する方法などが挙げられる。中でも、pH調整剤を用いることが好ましい。
pH調整剤の種類は特に限定されないが、酸性を示す水溶性物質であることが好ましい。強酸及び弱酸のいずれを使用してもよい。
弱酸性を示す水溶性物質の例としては、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基など酸基を有する有機化合物が挙げられる。これらの中でも、特にカルボン酸基を有する有機化合物が好ましく用いられる。カルボン酸基を有する化合物の具体例としては、琥珀酸、フタル酸、マレイン酸、無水琥珀酸、無水フタル酸、無水マレイン酸などが挙げられる。これらの化合物は、乾燥することにより二次電池内において影響が少ない酸無水物にすることができる。また、強酸性を示す水溶性物質の例としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸などが挙げられる。
前記のpH調整剤の中でも、正極用スラリーの乾燥工程において分解または揮発するものであることが好ましい。この場合、得られた正極にpH調整剤が残留しない。このようなpH調整剤としては、例えば、酢酸、塩酸などが挙げられる。また、pH調整剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤の量は、正極合剤100重量部に対して、0.001〜0.5重量部が好ましい。ここで正極合剤とは、正極活物質、導電助剤、結着材及び水溶性高分子等の任意の成分を含めた、正極活物質層を構成する材料の合計量である。pH調整剤の量が少なすぎると、pH調整剤に酸を用いた際は十分にアルカリを中和できず、腐食が抑制で汚い。逆に、pH調整剤の量が多すぎると、サイクル特性などの電池等特性が低下する。
正極用スラリーは、正極活物質、導電助剤、結着材及び溶媒、並びに必要に応じて用いられる水溶性高分子等の任意の成分を混合して得られる。この際、混合方法、混合順序に制限は無い。また、正極用スラリーは、水溶性高分子を用いているので、いずれの混合方法及び混合順序であっても、正極活物質、導電助剤及び結着材を高度に分散させることが可能である。
正極用スラリーにおける溶媒としては、結着剤組成物を均一に溶解または分散し得るものであれば特に制限されず、水および有機溶媒のいずれも使用できる。有機溶媒としては、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの環状脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどのケトン類;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素など塩素系脂肪族炭化水素;芳酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどのエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのアシロニトリル類;テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で使用しても、これらを2種以上混合して混合溶媒として使用してもよい。これらの中でも特に、電極活物質や後述する導電助剤の分散性に優れ、沸点が低く揮発性が高い溶媒が、短時間でかつ低温で除去できるので好ましい。アセトン、トルエン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、キシレン、水、若しくはN−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、トルエン等に加えて、これらの混合溶媒が好ましい。
また、正極用スラリーの溶媒として水を用いる場合、また、必要に応じて、水と有機溶媒とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合においては、正極用スラリーは、正極活物質、導電助剤、結着材、溶媒及び水溶性高分子並びに必要に応じて用いられる任意の成分を混合して得られる。正極用スラリーにおいて、正極活物質、導電助剤及び結着材は溶媒に分散した状態となり、また、水溶性高分子は溶媒に溶解した状態となる。
混合装置としては、例えば、ビーズミル、ボールミル、ロールミル、サンドミル、顔料分散機、擂潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどを使用してもよい。中でも高濃度での分散が可能なことから、ボールミル、ロールミル、顔料分散機、擂潰機、プラネタリーミキサーを使用することが特に好ましい。
また、正極用スラリーのpHの調整は、正極用スラリーの製造工程中であれば何時行っても、何回行っても構わないが、正極用スラリーを所望の固形分濃度まで調整した後に、pH調整剤によりpHを調整することが好ましい。正極用スラリーを所定の固形分濃度まで調整した後にpHの調整を行うことにより、正極活物質の溶解を防止しながらpHの調整を容易に行うことができる。
正極用スラリーを調製後、この正極用スラリーを集電体上に塗布する。正極用スラリーは、集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。正極用スラリーは分散性に優れるので、均一な塗布が容易である。また、塗工前に正極用スラリーをろ過することで、更に均一な正極活物質層を作製できる。
塗布方法に制限は無く、例えば、ドクターブレード法、ジップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などの方法が挙げられる。正極用スラリーを塗布することにより、集電体の表面に、正極用スラリーの膜が形成される。この際、正極用スラリーの膜の厚みは、目的とする正極活物質層の厚みに応じて適宜に設定しうる。
その後、乾燥により、正極用スラリーの膜から溶媒等の液体を除去する。これにより、正極活物質、導電助剤及び結着材、並びに必要に応じて用いられる水溶性高分子等の任意の成分を含む正極活物質層が集電体の表面に形成され、本発明のリチウムイオン二次電池用正極が得られる。
乾燥温度及び乾燥時間は、特に制限されない。例えば、120℃以上で1時間以上加熱処理してもよい。乾燥方法としては、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。
集電体の表面に正極活物質層を形成した後で、金型プレス又はロールプレスなどを用い、正極活物質層に加圧処理を施すことが好ましい。加圧処理により、正極の空隙率を低くすることができる。空隙率は、好ましくは5〜15%、より好ましくは7〜13%である。空隙率が大きすぎると、充電効率及び放電効率が低くなる。また、空隙率が小さすぎると、体積容量が低くなり、正極活物質層が集電体から剥がれ易くなる。
さらに、正極活物質層が硬化性の重合体を含む場合は、正極活物質層の形成後にこの重合体を硬化させてもよい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用正極の別の製造方法の例としては、粉体成型法が挙げられる。粉体成型法においては、まず正極を製造するための正極用スラリーを調製し、その正極用スラリーから正極活物質、導電助剤及び結着材、並びに必要に応じて用いられる水溶性高分子等の任意の成分を含む複合粒子を調製する。次に、複合粒子を集電体上に供給し、所望により更にロールプレスして成形することにより正極活物質層を形成して正極を得る。この際、正極用スラリーとしては、上述したものと同様の正極用スラリーを用いてもよい。
(リチウムイオン二次電池)
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液及びセパレーターを備える。また、本発明のリチウムイオン二次電池においては、正極が、本発明のリチウムイオン二次電池用正極である。本発明のリチウムイオン二次電池に水溶性高分子を含む正極を用いている場合には、高温環境における保存特性に優れ、また通常は、出力特性及び高温環境におけるサイクル特性にも優れる。
(電解液)
リチウムイオン二次電池用の電解液としては、例えば、非水溶媒に支持電解質を溶解した非水電解液が用いられる。支持電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C49SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO22NLi、(C25SO2)NLiなどが挙げられる。中でも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すLiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。解離度の高い支持電解質を用いるほど、リチウムイオン伝導度が高くなるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導度を調節することができる。
電解液における支持電解質の濃度は、支持電解質の種類に応じて、通常0.5〜2.5モル/Lの濃度で用いることができる。支持電解質の濃度が低すぎても高すぎても、イオン導電度が低下する可能性がある。
非水溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されない。非水溶媒の例を挙げると、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などのカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチルなどのエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物類;支持電解質としても使用されるイオン液体などが挙げられる。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いので、カーボネート類が好ましい。非水溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。一般に、非水溶媒の粘度が低いほどリチウムイオン伝導度が高くなり、誘電率が高いほど支持電解質の溶解度が上がるが、両者はトレードオフの関係にあるので、溶媒の種類や混合比によりリチウムイオン伝導度を調節して使用するのがよい。また、非水溶媒は全部あるいは一部の水素をフッ素に置き換えたものを併用あるいは全量用いてもよい。
また、電解液には添加剤を含有させてもより。添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)などのカーボネート系;エチレンサルファイト(ES)などの含硫黄化合物;フルオロエチレンカーボネート(FEC)などのフッ素含有化合物が挙げられる。添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、上記電解液の代わりとして、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどの高分子電解質;前記高分子電解質に電解液を含浸したゲル状高分子電解質;LiI、Li3Nなどの無機固体電解質;などを用いてもよい。
(負極)
負極としては、通常、集電体と、集電体の表面に形成された負極活物質層とを備えるものを用いる。負極の集電体としては、例えば、正極の集電体と同様のものを用いてもよい。中でも、負極用の集電体としては、銅が好ましい。また、負極として集電体を用いず、例えばリチウム、シリコンなどの金属やそれらの合金を用いてもよい。
負極活物質層は、負極活物質及びバインダーを含む層である。バインダーは必要なければ用いなくても良い。負極活物質としては、例えば、アモルファスカーボン、グラファイト、天然黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、ピッチ系炭素繊維等の炭素質材料;ポリアセン等の導電性高分子;ケイ素、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ニッケル等の金属又はこれらの合金;前記金属又は合金の酸化物又は硫酸塩;金属リチウム;Li−Al、Li−Bi−Cd、Li−Sn−Cd等のリチウム合金;リチウム遷移金属窒化物;シリコン等が挙げられる。また、負極活物質として、当該負極活物質の粒子の表面に、例えば機械的改質法によって導電助剤を付着させたものを用いてもよい。また、負極活物質は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
負極活物質の粒子の粒子径は、通常、本発明の二次電池の他の構成要素との兼ね合いで適宜選択される。中でも、初期効率、負荷特性、サイクル特性等の電池特性の向上の観点から、負極活物質の粒子の50%体積累積粒子径は、好ましくは1〜50μm、より好ましくは15〜30μm以上である。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、二次電池の容量を大きくでき、また、負極の柔軟性、及び、集電体と負極活物質層との結着性を向上させることができる観点から、好ましくは90〜99.9重量%、より好ましくは95〜99重量%である。
負極活物質層に用いられるバインダーとしては、例えば、正極活物質層において用いた結着材と同様のものを用いてもよい。また、例えば、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリロニトリル誘導体等の重合体;アクリル系軟質重合体、ジエン系軟質重合体、オレフィン系軟質重合体、ビニル系軟質重合体等の軟質重合体などを用いてもよい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、負極活物質層には、必要に応じて、負極活物質及びバインダー以外の成分が含まれていてもよい。その例を挙げると、水溶性高分子が挙げられる。水溶性高分子は本発明の二次電池用正極の正極活物質層に含まれていてもよい任意の成分などが挙げられる。また、これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
負極の厚みは、集電体と負極活物質層との合計で、負荷特性及びエネルギー密度の両方を良好にできる観点から、通常5〜300μm、好ましくは10〜250μmである。
負極は、例えば、本発明のリチウムイオン二次電池用正極と同様に、負極活物質、バインダー及び溶媒を含む負極用の正極用スラリーを用意し、その正極用スラリーの層を集電体に形成し、その層を乾燥させて製造してもよい。溶媒としては、例えば水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などが挙げられる。
(セパレーター)
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂や、芳香族ポリアミド樹脂を含んでなる微孔膜または不織布;無機セラミック粉末を含む多孔質の樹脂コート;などを用いてもよい。具体例を挙げると、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)、及びこれらの混合物あるいは共重合体等の樹脂からなる微多孔膜;ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂からなる微多孔膜;ポリオレフィン系の繊維を織ったもの又はその不織布;絶縁性物質粒子の集合体等が挙げられる。これらの中でも、セパレーター全体の膜厚を薄くしリチウムイオン二次電池内の活物質比率を上げて体積あたりの容量を上げることができるため、ポリオレフィン系の樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
セパレーターの厚さは、リチウムイオン二次電池内でのセパレーターによる抵抗が小さくなり、またリチウムイオン二次電池を製造する時の作業性に優れる観点から、通常0.5〜40μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは1〜25μmである。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
リチウムイオン二次電池の具体的な製造方法としては、例えば、正極と負極とをセパレーターを介して重ね合わせ、これを電池形状に応じて巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口する方法が挙げられる。さらに、必要に応じてエキスパンドメタル;ヒューズ、PTC素子などの過電流防止素子;リード板などを入れ、電池内部の圧力上昇、過充放電を防止してもよい。リチウムイオン二次電池の形状は、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、角形、扁平型など、何れであってもよい。電池容器の材質は、電池内部への水分の侵入を阻害するものであればよく、金属製、アルミニウムなどのラミネート製など特に限定されない。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下に挙げる実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。実施例及び比較例における評価は以下のように行った。
<レート特性>
5セルのリチウムイオン二次電池を、0.2Cの定電流法によって、4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電の操作を行った。さらに、4.2V、0.2Cレートで充電を行い、0.2Cおよび1.5Cレートで放電を行った。そのとき、各放電レート時の放電容量を、C0.2、C1.5、と定義し、放電レート特性=C1.5時の放電容量/C0.2時の放電容量×100(%)で示す容量変化率を求め、以下の基準により判定した。
A:80%以上
B:75%以上80%未満
C:70%以上75%未満
D:70%未満
この値が大きいほど放電レート特性に優れることを示す。評価結果を表1に示した。
<保存特性>
5セルのリチウムイオン二次電池を25℃雰囲気下、4.2Vに充電し、0.2Cの定電流法によって3.0Vまでの放電容量(=初期容量C0)を測定した。さらに、0.2Cの定電流法によって4.2Vに充電後、60℃、28日間保存した。その後、25℃雰囲気下で、一度、0.2Cで3.0Vまで放電、更に4.2Vに充電し、0.2Cの定電流法によって高温保存後の放電容量(=容量C1)を測定した。次に、△C=C1/C0×100(%)で示す容量変化率を算出した。容量変化率が高いほど高温保存特性に優れることを示す。算出した容量変化率を下記の基準により評価し、結果を表1に示した。
A:90%以上
B:80%以上90%未満
C:80%以上70%未満
D:50%未満
<60℃サイクル特性>
5セルのリチウムイオン二次電池を60℃雰囲気下、1.0Cの定電流法によって4.2Vに充電し、3.0Vまで放電する充放電を30回繰り返し、容量維持率(=30サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)を算出した。算出した容量維持率を表1及び表1に示した。容量維持率が高いほど高温サイクル特性に優れることを示す。
(実施例1)
(1−1.カーボンナノチューブの製造)
特許4621896号公報に記載のスーパーグロース法で得たカーボンナノチューブ(以下、「SGCNT」と略記)を用いた。
具体的には次の条件において、SGCNT−1を成長させた。
炭素化合物:エチレン;供給速度50sccm
雰囲気(ガス)(Pa):ヘリウム、水素混合ガス;供給速度1000sccm
圧力1大気圧
水蒸気添加量(ppm):300ppm
反応温度(℃):750℃
反応時間(分):10分
金属触媒(存在量):鉄薄膜;厚さ1nm
基板:シリコンウェハー
得られたSGCNT−1は、BET比表面積1,050m2/g、ラマン分光光度計での測定において、単層CNTに特長的な100〜300cm-1の低周波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のスペクトルが観察された。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に100本のSGCNT−1の直径を測定した結果、平均直径(Av)が3.3nm、直径分布(3σ)が1.9、(3σ/Av)が0.58であった。
(1−2.結着材の製造)
攪拌装置を備えたステンレス製耐圧反応器に、シードラテックス(スチレン38部、メチルメタアクリレート60部及びメタクリル酸2部を重合して得られる、粒子径70nmの重合体粒子のラテックス)を固形分にて3部、アクリロニトリル(以下、「AN」ともいう。)20部、1,3−ブタジエン(以下、「BD」ともいう。)80部、およびイオン交換水100部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.5部、を添加し、攪拌した。4%過硫酸カリウム水溶液10部を投入したのち、先の分散液を2時間かけて添加して重合した。添加終了後、反応温度を維持したまま1時間反応を継続した。重合転化率は97%であった。反応系を室温まで冷却して、重合反応を停止し、減圧して未反応単量体を除去した。イオン交換水を添加し、固形分濃度を45%、分散液のpHを7.5に調整することにより、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(以下、「NBR」ともいう。)の分散液を得た。なお、分散液のpHの調整は、10%アンモニア水溶液を添加することにより行った。
次に水素添加反応を行った。即ち、得られた重合体に対して水を用いて全固形分濃度を12重量%に調整した400ミリリットル(全固形分48グラム)の溶液を、撹拌機付きの1リットルオートクレーブに投入し、窒素ガスを10分間流して重合体中の溶存酸素を除去した後、水素添加反応触媒として、酢酸パラジウム75mgを、Pdに対して4倍モルの硝酸を添加した水180mlに溶解して、添加した。系内を水素ガスで2回置換した後、3MPaまで水素ガスで加圧した状態でオートクレーブの内容物を50℃に加温し、6時間水素添加反応(「第一段階の水素添加反応」という)させた。
次いで、オートクレーブを大気圧にまで戻し、更に水素添加反応触媒として、酢酸パラジウム25mgを、Pdに対して4倍モルの硝酸を添加した水60mlに溶解して、添加した。系内を水素ガスで2回置換した後、3MPaまで水素ガスで加圧した状態でオートクレーブの内容物を50℃に加温し、6時間水素添加反応(「第二段階の水素添加反応」という)させた。
その後、内容物を常温に戻し、系内を窒素雰囲気とした後、エバポレータを用いて、固形分濃度が40%となるまで濃縮して結着材Aの水分散液を得た。なお、得られた結着材Aのヨウ素価は8であった。また、粒子径測定機(コールターLS230:コールター社製)を用いて、測定した結着材Aの平均粒子径(分散粒子径)は、280μmであった。
上記結着材Aを含む水溶液を、イオン交換水で希釈して、濃度を40%に調整した。
(1−3.正極の製造)
正極活物質として一次平均粒子径2.4μmのLiCoO2(以下、「LCO」とも記す。)を100部、導電助剤としてカーボンナノチューブ(SGCNT−1)を3部、水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロースの5%水溶液(第一工業製薬株式会社製「セロゲン5A」;1%水溶液の濃度が5mPa・s)を固形分相当で2部、結着材Aを固形分相当で3部及びイオン交換水を混合した。これらをプラネタリーミキサーにより混合し、正極用スラリーAを調製した。
この際、イオン交換水の量は、正極用スラリーAの全固形分濃度が40%となる量とした。
上記の正極用スラリーAを、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔上に、乾燥後の目付け量が12mg/cm2程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、アルミニウム箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して、正極活物質を有する正極原反を得た。この正極原反をロールプレスで圧延して、厚み60μmの正極活物質層を有する正極を得た。こうして得られた正極の体積抵抗率を測定した。
(1−4.負極の製造)
ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質として比表面積4m2/gの人造黒鉛(平均粒子径:24.5μm)を100部、負極水溶性高分子としてカルボキシメチルセルロースの1%水溶液(第一工業製薬株式会社製「BSH−12」)を固形分相当で1部加え、イオン交換水で固形分濃度55%に調整した後、25℃で60分混合した。次に、イオン交換水で固形分濃度52%に調整した。その後、さらに25℃で15分混合し混合液を得た。
上記混合液に、スチレン−ブタジエン共重合体(ガラス転移点温度が−15℃)を含む40%水分散液を固形分相当量で1.0部、及びイオン交換水を入れ、最終固形分濃度が50%となるように調整し、さらに10分間混合した。これを減圧下で脱泡処理して、流動性の良い負極用スラリーを得た。
上記の負極用スラリーを、コンマコーターで、集電体である厚さ20μmの銅箔の上に、乾燥後の目付け量が6mg/cm2程度になるように塗布し、乾燥させた。この乾燥は、銅箔を0.5m/分の速度で60℃のオーブン内を2分間かけて搬送することにより行った。その後、120℃にて2分間加熱処理して負極原反を得た。この負極原反をロールプレスで圧延して、厚み40μmの負極活物質層を有する負極を得た。
(1−5.セパレーターの用意)
単層のポリプロピレン製セパレーター(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm、乾式法により製造、気孔率55%)を、5×5cm2の正方形に切り抜いた。
(1−6.リチウムイオン二次電池)
電池の外装として、アルミニウム包材外装を用意した。上記(1−2.正極の製造)で得られた正極を、4×4cm2の正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミニウム包材外装に接するように配置した。正極の正極活物質層の面上に、上記(1−4.セパレーターの用意)で得られた正方形のセパレーターを配置した。さらに、上記(1−3.負極の製造)で得られた負極を、4.2×4.2cm2の正方形に切り出し、これをセパレーター上に、負極活物質層側の表面がセパレーターに向かい合うよう配置した。さらに、ビニレンカーボネート(VC)を1.5%含有する、濃度1.0MのLiPF6溶液を充填した。このLiPF6溶液の溶媒はエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC/EMC=3/7(体積比))である。さらに、アルミニウム包材の開口を密封するために、150℃のヒートシールをしてアルミニウム外装を閉口し、リチウムイオン二次電池を製造した。
得られたリチウムイオン二次電池について、サイクル特性、保存特性、レート特性及び高温サイクル特性の評価を行った。
(実施例2)
前記(1−1.カーボンナノチューブの製造)において、実施例1の金属触媒の鉄薄膜層の厚みを、5nmにした以外は同様の手法によりカーボンナノチューブの製造を行い、SGCNT−2を得た。得られたSGCNT−2は、BET比表面積620m2/g、ラマン分光光度計での測定において、単層CNTに特長的な100〜300cm-1の低周波数領域にラジアルブリージングモード(RBM)のスペクトルが観察された。また、透過型電子顕微鏡を用い、無作為に100本のSGCNT−2の直径を測定した結果、平均直径(Av)が5.9nm、直径分布(3σ)が3.3、(3σ/Av)が0.56であった。
また、前記(1−2.結着材の製造)において、攪拌装置を備えたステンレス製耐圧反応器に、シードラテックスを固形分にて3部、アクリロニトリル20部、1,3−ブタジエン78部、メタクリル酸1部(以下、「MAA」ともいう。)、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、「2EHA」ともいう。)1部およびイオン交換水100部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.5部を添加し攪拌した以外は、実施例1と同様に粒子状結着材の製造を行い、粒子状結着材Bの水分散液を得た。なお、得られた結着材Bのヨウ素価は12であった。また、粒子径測定機(コールターLS230:コールター社製)を用いて、測定した結着材Bの平均粒子径(分散粒子径)は、280μmであった。
上記結着材Bを含む水溶液を、イオン交換水で希釈して、濃度を40%に調整した。
前記(1−3.正極の製造)において、導電助剤としてSGCNT−1に代えてSGCNT−2を1部用い、結着材として結着材Aに代えて結着材Bを1部用い、用いる水溶性高分子の量を1部として正極用スラリーBを調製した。正極用スラリーBを用いて正極を作製した以外は、実施例1と同様に(1−3.正極の製造)を行い、正極を得た。
その後、実施例1と同様に前記(1−4.負極の製造)〜(1−6.リチウムイオン二次電池)を行うことにより、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
(実施例3)
前記(1−3.正極の製造)において、導電助剤としてSGCNT−1の単独使用に代えて、SGCNT−1を2部及びカーボンブラック(電気化学社製「HS−100」)を1部を併用し、用いる結着材Aの量を1部、用いる水溶性高分子の量を1部として正極用スラリーEを調製した。正極用スラリーEを用いて正極を作製した以外は、実施例1と同様に(1−3.正極の製造)を行い、正極を得た。
その後、実施例1と同様に前記(1−4.負極の製造)〜(1−6.リチウムイオン二次電池)を行うことにより、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
(実施例4)
前記(1−3.正極の製造)において、水溶性高分子としてセロゲン5Aに代えて、カルボキシメチルセルロースの5%水溶液(ダイセルファインケム株式会社製「CMCダイセル2200」;1%水溶液の粘度が2000mPa・s)を用いて正極用スラリーDを調製し、正極用スラリーDを用いて正極を作製した以外は、実施例1と同様に(1−3.正極の製造)を行い、正極を得た。
その後、実施例1と同様に前記(1−4.負極の製造)〜(1−6.リチウムイオン二次電池)を行うことにより、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
(実施例5)
前記(1−2.結着材の製造)において、攪拌装置を備えたステンレス製耐圧反応器に、シードラテックスを固形分にて3部、アクリロニトリル35部、1,3−ブタジエン65部およびイオン交換水100部、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム0.5部を添加し攪拌した以外は、実施例1と同様に結着材の製造を行い、結着材Cの水分散液を得た。なお、得られた結着材Cのヨウ素価は15であった。また、粒子径測定機(コールターLS230:コールター社製)を用いて、測定した結着材Cの平均粒子径(分散粒子径)は、280μmであった。
上記結着材Cを含む水溶液を、イオン交換水で希釈して、濃度を40%に調整した。
前記(1−3.正極の製造)において、結着材として結着材Aに代えて結着材Cを1部用いて正極用スラリーEを調製した。正極用スラリーEを用いて正極を作製した以外は、実施例1と同様に(1−3.正極の製造)を行い、正極を得た。
その後、実施例1と同様に前記(1−4.負極の製造)〜(1−6.リチウムイオン二次電池)を行うことにより、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
(比較例1)
前記(1−3.正極の製造)において、導電助剤としてSGCNT−1に代えて、CVD法により得られた単層カーボンナノチューブであるHiPCO(Unidym社製、平均直径(Av)に対する直径分布(3σ)の比(3σ/Av)が0.18、外径16nm)を3部用いて正極用スラリーFを調製した。正極用スラリーFを用いて正極を作製した以外は、実施例1と同様に(1−3.正極の製造)を行い、正極を得た。
その後、実施例1と同様に前記(1−4.負極の製造)〜(1−6.リチウムイオン二次電池)を行うことにより、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
(比較例2)
前記(1−3.正極の製造)において、導電助剤としてSGCNT−1に代えて、CVD法により得られたVGCF−H(昭和電工社製、平均直径(Av)に対する直径分布(3σ)の比(3σ/Av)が0.42、外径150nm)を3部用いて正極用スラリーGを調製した。正極用スラリーGを用いて正極を作製した以外は、実施例1と同様に(1−3.正極の製造)を行い、正極を得た。
その後、実施例1と同様に前記(1−4.負極の製造)〜(1−6.リチウムイオン二次電池)を行うことにより、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
(比較例3)
前記(1−3.正極の製造)において、用いる導電助剤を、カーボンブラック(電気化学社製「HS−100」)3部とした以外は、実施例1と正極用スラリーの調製を行い、正極用スラリーHを得た。この正極用スラリーHを用いた以外は、実施例1と同様に(1−3.正極の製造)を行い、正極を得た。
その後、実施例1と同様に前記(1−4.負極の製造)〜(1−6.リチウムイオン二次電池)を行うことにより、リチウムイオン二次電池を製造し、評価した。
Figure 0006877862
表1に示すように、正極活物質、結着材および導電助剤を含む正極であって、導電助剤は平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.20であるカーボンナノチューブを含むリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池のサイクル特性、保存特性、レート特性及び高温サイクル特性はいずれも良好であった。

Claims (7)

  1. 正極活物質、結着材および導電助剤を含む正極であって、
    前記結着材は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を有するヨウ素価が20mg/100mg以下である水素化ジエン系ポリマーを含み、
    前記導電助剤は平均直径(Av)と直径分布(3σ)とが0.60>(3σ/Av)>0.50であり、比表面積が600m /g以上であり、高純度であり、平均直径(Av)が3〜30nmであるカーボンナノチューブを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
  2. 水溶性高分子を含むことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 前記正極活物質の一次粒子の平均粒子径は、0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 前記結着材は、アクリル酸エステルモノマー単位または/およびメタクリル酸エステルモノマー単位を有する重合体であって、乳化重合することにより得られる前記重合体を含むことを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 前記結着材は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と、アクリル酸エステルモノマー単位または/およびメタクリル酸エステルモノマー単位とを有する粒子状結着材であって、乳化重合することにより得られる前記粒子状結着材を含み、
    前記粒子状結着材の平均粒子径は50〜2000nmであることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 前記水素化ジエン系ポリマーにおけるα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、前記水素化ジエン系ポリマーに含まれる全単量体単位中、10〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 請求項1〜の何れか一項に記載のリチウムイオン二次電池用正極を用いたリチウムイオン二次電池。
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