JP5736776B2 - ビニル重合体粉体、硬化性樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Description
特に、エポキシ樹脂からなる樹脂組成物はガラス転移温度が高く、絶縁性、難燃性、接着性に優れる素材であり、半導体の封止材料、各種の絶縁材料、接着剤等に使われている。
しかしながら、エポキシ樹脂組成物は硬化に時間がかかり、粘度の温度依存性が高いため、硬化するまでの温度上昇により粘度が顕著に低下することから、高精度な塗布・パターン形成が困難な状況にある。
また、エポキシ樹脂組成物を銅張積層板、ダイボンドフィルム等のフィルム用接着剤として使用する場合、常温で一定の膜厚に揃えて塗布したものを加熱硬化する際に、エポキシ樹脂組成物の粘度低下が激しく起こってエポキシ樹脂組成物が流れ出て接着剤の膜厚が変動するという問題が生じる場合がある。
このように、特に電子材料分野においては、年々高まる高精度加工の要求により、使用するエポキシ樹脂組成物には温度上昇しても粘度低下しないことや早期に形状が安定化することへの要望が極めて強い。
しかしながら、ゴム状粒子はゲル化性を付与する能力としては不充分であり、また粒子のガラス転移温度が低いために粒子同士の融着が強く、エポキシ樹脂のような液状物の中で一次粒子に分散させることは困難である。またゴム状粒子のイオン純度(イオン濃度)については特に考慮されていない。
また、本発明の要旨とするところは、本粉体及び硬化性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」という。)を第2の発明とする。
更に、本発明の要旨とするところは、本樹脂組成物を硬化して得られる硬化物(以下、「本硬化物」という。)を第3の発明とする。
本粉体のアセトン可溶分が30質量%以上であれば、本樹脂組成物に充分なゲル化性を付与することができ、高温においてもエポキシ樹脂の流動が抑制される。
また、本粉体のアセトン可溶分は、後述するエポキシ樹脂の粘度が極めて低い場合でも高いゲル化性を付与できることから、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。特に、低粘度で使用される用途では、少ない添加量で高いゲル化性を付与できることが要求されるため、アセトン可溶分が多いほど幅広い用途に使用できる。
本発明において、アセトン可溶分は、後述するアセトン可溶分の測定法により得られたものをいう。
本粉体のアセトン可溶分のMwは、後述するエポキシ樹脂の粘度が極めて低い場合でも高いゲル化性を付与できることから、40万以上が好ましく、60万以上がより好ましく、80万以上が更に好ましく、100万以上が最も好ましい。また、一定温度で効率的にゲル状態にできることから、1000万以下がより好ましく、500万以下が更に好ましい。
本発明においてゲル状態は、後述する測定法により得られたゲル化温度及びゲル化性能で評価することができる。
また、本発明において、Mwは後述するMwの測定法により得られたものをいう。
本粉体中のアルカリ金属イオンの含有量は、5ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。硬化性樹脂組成物は様々な用途に用いられるが、半導体ウェハーに直接触れる用途では、高い電気特性が要求される。また電子機器の薄型化に伴い、僅かなイオン性不純物の存在が絶縁不良を生じる場合もある。
従って、アルカリ金属イオンの含有量が上記の範囲内であれば、幅広い用途に使用できる。また、プレゲル剤を多量に必要とする用途でも使用できる。
本発明において、本粉体中のアルカリ金属イオンの含有量はNaイオン及びKイオンの合計量であり、後述するアルカリ金属イオンの含有量の測定法により得られたものをいう。
また、ファインピッチ化や薄膜化への対応が可能であることから、本粉体の体積平均一次粒子径(Dv)は、8μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。
本発明において、本粉体の単分散性は、本粉体の体積平均一次粒子径(Dv)と個数平均一次粒子径(Dn)との比(Dv/Dn)で示される。本粉体のDv/Dnとしては3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。本粉体の単分散性が高い(Dv/Dnが1に近い)ほど、本樹脂組成物のゲル化が短時間で急速に進行し、本樹脂組成物の貯蔵安定性との両立がし易くなる傾向にある。
本発明において、本粉体中の硫酸イオンの含有量は、後述する硫酸イオンの含有量の測定法により得られたものをいう。
従って、ビニル単量体の重合時には、硫酸エステルやスルホン酸化合物等の使用量を減らすことが好ましい。
本重合体の重合方法としては、真球状粒子を得やすいこと及び粒子モルフォロジーを制御しやすいことから、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、膨潤重合法、ミニエマルション重合法、分散重合法及び微細懸濁重合法が好ましい。この中では、分散性に優れ、ファインピッチ化にも対応した粒子径を持つ重合体が得られることから、ソープフリー乳化重合法がより好ましい。
本重合体は、本樹脂組成物の粘度が上昇せず流動性に優れることから、真球状の粒子が好ましい。
本重合体は、コアシェル粒子として知られる、2段階以上の同心円状のモルフォロジーを有することが好ましい。
本重合体の内部モルフォロジーを制御するための、工業的に実用性の高い手法としては、例えば、異なる組成のビニル単量体混合物を多段階で、逐次的に滴下重合する方法が挙げられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM)により本重合体の切片を観察して、同心円状の構造の有無を確認する方法、又は凍結破断された本重合体の切片を走査型電子顕微鏡(クライオSEM)で観察して、同心円状の構造の有無を確認する方法が挙げられる。
本単量体を乳化重合する際には、重合開始剤及び乳化剤を用いる。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム及びアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。乳化剤としては、アンモニウム塩型アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
更に、本重合体の内部モルフォロジーを制御するため、異なる組成のビニル単量体混合物を2段階以上で乳化重合することが好ましい。
本単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−8−イル−メタクリレート、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のアクリル酸類;(メタ)アクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、1−ビニルイミダゾール等のビニル単量体;モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノプロピルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジプロピルイタコネート、ジブチルイタコネート等のイタコン酸エステル;モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノプロピルフマレート、モノブチルフマレート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジプロピルフマレート、ジブチルフマレート等のフマル酸エステル;及びモノメチルマレート、モノエチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジプロピルマレート、ジブチルマレート等のマレイン酸エステルが挙げられる。
これらの単量体の中では、ラジカル重合が容易であり、且つ乳化重合が容易であることから、(メタ)アクリレート、官能基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸類が好ましい。
尚、塩化ビニルや塩化ビニリデンのようなハロゲン原子を含有する単量体は、金属腐食を引き起こす場合があることから、用いないことが好ましい。
本単量体を3段階以上で逐次重合する場合には、本重合体の物性の観点から、内層の重合に(メタ)アクリレート、最外層の重合に(メタ)アクリレート、官能基含有(メタ)アクリレート、アクリル酸類を用いることが好ましい。
尚、本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを示す。
これらの中では、アルカリ金属イオンを含有しない重合開始剤が好ましく、過硫酸アンモニウム及びアゾ化合物がより好ましい。また、塩化物イオンを含有しないアゾ化合物を過硫酸アンモニウムと併用することが、本粉体中の硫酸イオン(SO4 2−)の含有量を低減できることから更に好ましい。
高分子乳化剤としては、例えば、高分子カルボン酸ナトリウム塩、高分子ポリカルボン酸アンモニウム塩、高分子ポリカルボン酸が挙げられる。
反応性乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシアルキレンアルケニルエーテルが挙げられる。
これらの中では、アルカリ金属イオンを含有しない乳化剤が好ましく、ジアルキルスルホコハク酸塩及びポリオキシアルキレン誘導体がより好ましい。また、ジアルキルスルホコハク酸塩とポリオキシアルキレン誘導体を併用することが、スルホン酸化合物等の使用量を低減できることから更に好ましい。
これらの連鎖移動剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
噴霧乾燥法は、重合体のエマルションを微小液滴状に噴霧し、これに熱風を当てて乾燥するものである。
乾燥機容量は、実験室で使用するような小規模なスケールから、工業的に使用するような大規模なスケールまでのいずれでも使用することができる。
乾燥用加熱ガスの供給部である入口部、また、乾燥用加熱ガス及び粉体の排出口である出口部の位置も、通常用いられている噴霧乾燥の装置と同様であってよい。
また、必要に応じて、酸化防止剤や添加剤等を加えて噴霧乾燥してもよい。
硬化性樹脂としては熱硬化性樹脂及び活性エネルギー線硬化性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、オキセタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びポリイミド樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、本発明においては、硬化性樹脂として、目的に応じて熱硬化と活性エネルギー線硬化のハイブリッド硬化(デュアルキュア)タイプのものを使用することができる。
これらの中で硬化性樹脂としては、絶縁性が高く電気特性に優れ電子材料分野に好適であることから、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂及びオキセタン樹脂が好ましい。
本発明においては、エポキシ樹脂としては、本樹脂組成物にゲル化性を付与する点で、常温で液体のエポキシ樹脂か、又は常温で固体であるが加熱時に硬化が充分に進行する前に液体化するエポキシ樹脂を主成分とするものが好ましい。
本樹脂組成物中の本粉体の配合率としては1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましい。本粉体の配合率が1質量%以上で充分なゲル状態を実現することができ、用途・加工方法による染み出しやパターン乱れ等が生じる可能性を抑制することができる。また、本粉体の配合率としては50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。本粉体の配合率が50質量%以下で本樹脂組成物のペースト粘度が上昇するのを抑制し、用途によって加工性・作業性が低下する可能性を抑制することができる。
また、所望のゲル化性を発現させるために、ゲル化温度の異なる複数の本粉体を併用してもよい。
フィラーとしては、例えば、銀粉、金粉、ニッケル粉、銅粉等の導電性フィラー;及び窒化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等の絶縁フィラーが挙げられる。フィラーの配合量は添加目的に応じて適宜必要量配合できる。
球状のシリカは、本樹脂組成物のゲル化性及び粘度特性を損なわない範囲で、公知のものを用いることができる。具体的には、粗粒子をカットしたシリカ;分散性、高流動性及び高充填の点から、ホースフィールズのパッキングモデルに準拠して様々な粒子径のシリカを配合したシリカ粒子を用いることができる。
難燃剤は、本発明の目的を逸脱しない範囲であれば、リン系、ハロゲン系、無機系難燃剤等、公知のものを用いればよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が挙げられる。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、フェノール系/イオウ系、又はフェノール系/リン系のように2種以上を併用することが好ましい。
耐候性、耐光性、耐熱性等が求められる用途では2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン及びイソホロンジアミンが好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の熱硬化触媒として用いられている公知のものを使用することができ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物とエポキシ樹脂のアダクト;トリフェニルホスフィン等の有機リン化合物;テトラフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のボレート類;及びジアザビシクロウンデセン(DBU)が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
硬化促進剤が使用される場合、硬化促進剤は、通常、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜8質量部、好ましくは0.5〜6質量部が添加される。
潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、カルボヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジヒドラジド、ヘキサデカンジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、アミキュアVDH及びアミキュアUDH(いずれも商品名、味の素(株)製)、クエン酸トリヒドラジド等の有機酸ヒドラジド及び各種のアミンアダクト系化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
硬化剤又は硬化触媒の使用量は、エポキシ樹脂の場合と同様である。また、オキセタン樹脂にエポキシ樹脂を併用してもよい。
本樹脂組成物を得るための混練装置としては、例えば、らいかい機、アトライタ、プラネタリミキサ、ディゾルバー、三本ロール、ボールミル及びビーズミルが挙げられる。また、これらは2種以上を併用することができる。
本樹脂組成物に添加剤等を配合する場合、配合する順番は特に問わないが、本発明の効果を充分に発揮するために、本粉体はできるだけ最後に混練することが好ましい。また、混練による剪断発熱等で、系内の温度が上がるような場合には、混練中に温度を上げない工夫をすることが好ましい。
熱安定剤等は、予め水溶液の状態で本重合体のエマルションに配合し、前記した条件で噴霧乾燥して用いることもできる。
また、半導体IC電極とパッケージ基板電極とを金属結合又は圧接接続する前にパッケージ基板上に塗布するような先供給アンダーフィルとしては、一般的に液状とフィルム状があるが、それぞれの形状に応じて、ディスペンサーやスクリーン印刷のどちらにも使用することができる。
このような目的で使用される封止用シート状物としては、剥離フィルムに保護された状態で、その形状がロール状、短冊状、ラベル状等様々であり、ワイヤーボンドタイプ、フリップチップ、ウエハーレベルCSP、モジュール等の封止に使用できるようなものが挙げられる。
また、その厚みとしては、例えば、30〜500μmが挙げられる。
この場合の本樹脂組成物の配合としては、例えば、用いるベース樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、マレイミド樹脂が挙げられる。
フィラーとしては、Ag、Au、Cu、Ni等の導電性タイプ;SiO2、Al2O3、BN等の絶縁性タイプが挙げられる。希釈剤としては、例えば、ブチルセルソルブ、ブチルセルソルブアセテート等の溶剤タイプ;反応性希釈剤(低粘度エポキシ)等の無溶剤タイプが挙げられる。
硬化性樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合、硬化条件としては、例えば、80〜180℃で10分〜5時間程度である。
また、硬化性樹脂として活性エネルギー線硬化性樹脂を使用する場合、使用する活性エネルギー線としては、例えば、電子線、紫外線、ガンマ線及び赤外線が挙げられる。また、活性エネルギー線の硬化条件としては、紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。
紫外線照射量としては50〜1,000mJ/cm2程度である。電子線で硬化させる場合、公知の電子線照射装置を使用することができ、電子線照射量としては10〜100kGy程度である。
本実施例における各評価項目は、以下の方法により実施した。
ビニル重合体のエマルションをイオン交換水で希釈し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製LA−910W)を用い、エマルション粒子径として体積平均一次粒子径(Dv)及び個数平均一次粒子径(Dn)を測定した。
屈折率は仕込みモノマー組成から算出される屈折率を用いた。粒子がコアシェル構造等の多層構造を持つ場合には、各層毎の屈折率を算出し、層毎の質量比で全体平均を算出して用いた。
いずれも平均径としてはメジアン径を用いた。また、Dv及びDnの値より単分散性(Dv/Dn)を求めた。下記の基準で単分散性を評価した。
A:1.5以下
B:1.5を超え、2.0以下。
C:2.0を超え、3.0以下。
D:3.0を超える
ビニル重合体エマルションの試料濃度は、装置に付属の散乱光強度モニターにおいて適正範囲となるよう適宜調整した。
ビニル重合体粉体1gをアセトン50gに溶解させ、70℃で6時間還流及び抽出した後、遠心分離装置((株)日立製作所製、CRG SERIES)を用いて、4℃にて14,000rpmで30分間遠心分離した。分離したアセトン可溶分をデカンテーションで取り除き、アセトン不溶分を真空乾燥機にて50℃で24時間乾燥させて質量を測定した。アセトン可溶分(%)は以下の式にて算出した。
(アセトン可溶分)=(1−アセトン不溶分の質量)×100
上記のアセトン可溶分の測定で得られたアセトン可溶分からアセトンを留去してアセトン可溶分の固形物を得た。この固形物についてゲルパーミエーションクロマトグラフィを用いて下記の条件で質量平均分子量(Mw)を測定した。また、併せて数平均分子量(Mn)も測定した。
装置 :東ソー(株)製HLC8220
カラム:東ソー(株)製TSKgel SuperHZM−M(内径4.6mm×長さ15cm)
本数;4本、排除限界;4×106
温度 :40℃
キャリアー液:テトラヒドロフラン
流量 :0.35ml/分
サンプル濃度 :0.1%
サンプル注入量:10μl
標準 :ポリスチレン
ビニル重合体粉体20gをガラス製耐圧容器に量り取り、これにメスシリンダーを用いてイオン交換水200mlを加え、しっかり蓋をして強く振り混ぜて均一に分散させ、ビニル重合体粉体の分散液を得た。この後、得られた分散液を95℃のギヤーオーブン内に20時間静置してビニル重合体粉体中のイオン分の抽出を行なった。
次いで、ガラス容器をオーブンから取り出して冷却した後、ギヤーオーブン加熱後の分散液を0.2μmセルロース混合エステル製メンブレンフィルター(アドバンテック東洋(株)製、型番:A020A025A)で濾過し、濾液を100mlサンプル瓶2本に100mlづつ小分けし、各サンプル瓶を用いてビニル重合体粉体中のアルカリ金属イオン及び硫酸イオンの含有量を下記の条件でそれぞれ測定した。尚、アルカリ金属イオンの含有量はNaイオン及びKイオンの合計量を測定した。
ICP発光分析装置:Thermo社製IRIS「Intrepid II XSP」
定量法:濃度既知試料(0ppm、0.1ppm、1ppm及び10ppmの4点)による絶対検量線法
測定波長:Na;589.5nm及びK;766.4nm
イオンクロマトグラフ:日本ダイオネクス(株)製「IC−20型」
分離カラム:IonPac AS12A
定量法:硫酸イオン濃度4ppmの既知試料1点による絶対検量線法
エポキシ樹脂組成物を調製後、直ちに25℃に調温し、BM型粘度計(東京計器(株)製B型粘度計、ローターNo.4、回転数6rpm)を用いて粘度を測定し、エポキシ樹脂組成物の初期粘度とした。
エポキシ樹脂組成物中のビニル重合体粉体の分散状態を、粒ゲージを用いてJIS K−5600に準拠して測定し、下記の基準で分散性を評価した。
A:1μm以下
B:1μmを超え、10μm以下。
C:10μmを超え、20μm以下。
D:20μmを超える
エポキシ樹脂組成物を動的粘弾性測定装置(ユービーエム(株)製「Rheosol G−3000」、パラレルプレート直径40mm、ギャップ0.4mm、周波数1Hz、捻り角度1度)を用い、開始温度40℃、終了温度200℃及び昇温速度4℃/分の条件で粘弾性の温度依存性を測定した。
また、測定開始時に10以上である、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”との比(G”/G’=tanδ)が測定開始後昇温して10となる温度を求めた。
ビニル重合体粉体を含まないエポキシ樹脂組成物を試料に用いた場合、この温度を硬化温度(TA)とし、ビニル重合体粉体を含むエポキシ樹脂組成物を試料に用いた場合、この温度をゲル化温度(TB)とし、下記の基準でゲル化温度を評価した。
A:硬化温度より低い温度でゲル化する(TA>TB)
D:硬化温度に達するまでゲル化しない(TA≦TB)
上記のビニル重合体粉体を含むエポキシ樹脂組成物のゲル化温度の測定において、ゲル化温度−20℃での貯蔵弾性率G’をG’A、ゲル化温度+20℃での貯蔵弾性率G’をG’B(到達弾性率)とし、その比率(G’B/G’A)を求めて、下記の基準でゲル化性能を評価した。
尚、G’の数値で「7.07E−03」とあるのは、「7.07×10−3」を意味する。
A:1000以上
B:100以上、1000未満。
C:10以上、100未満。
D:10未満
エポキシ樹脂組成物の−10℃における貯蔵安定性を、前記の初期粘度の測定と同様にBM型粘度計を用いて24時間貯蔵後の粘度を測定し、下式により増粘率を算出した。
[増粘率]=(([24時間貯蔵後の粘度]/[初期粘度])−1)×100(%)
A:10以下
B:10を超えて、100以下。
C:100を超える
E:測定不能
エポキシ樹脂組成物の硬化物の試験片(長さ30mm、幅30mm及び厚さ3mm)を190℃で6時間アニールした後、温度23℃及び湿度50%下にて24時間以上調湿した後、比誘電率の測定装置(アジレント・テクノロジー(株)製、RF impedance/material analyzer HP4291B(商品名)、誘電率測定用電極;HP16453A、マイクロメータ((株)ミツトヨ製))を用いて、周波数1GHzにおける比誘電率を測定した。
ビニル重合体粉体を含まないエポキシ樹脂組成物の比誘電率をεrB、ビニル重合体粉体を含むエポキシ樹脂組成物の比誘電率をεrAとし、下式により増加率を求め、下記の基準で評価した。
[増加率]=((εrA/εrB)−1)×100(%)
A:1.0以下
B:1.0を超えて、2.5以下。
C:2.5を超えて、3.0以下。
D:3.0を超える
下記の実施例1〜11及び比較例1〜4に従い、ビニル重合体エマルション(L1)〜(L14)及びビニル重合体粉体(P1)〜(P15)を製造した。実施例1〜11及び比較例1〜4では下記の原料を使用した。
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル:花王(株)製、商品名「エマルゲンA−90」
メチルメタクリレート :三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルM」
n−ブチルメタクリレート:三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルB」
n−ブチルアクリレート :三菱化学(株)製
アリルメタクリレート :三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルA」
i−ブチルメタクリレート:三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルIB」
メタクリル酸 :三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルMAA」
2−ヒドロキシエチルメタクリレート:三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルHO」
アルキルメタクリレート :三菱レイヨン(株)製、商品名「アクリエステルSL」
n−オクチルメルカプタン:片山化学(株)製(試薬特級品)
2,2’−アゾビス[N−(2カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート:和光純薬(株)製、製品名「VA−057」(10時間半減期温度57℃)
2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル):和光純薬(株)製、商品名「V−65」(10時間半減期温度51℃)
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート:日本油脂(株)製、商品名「パーオクタO」
マックスブレンド攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプ及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコにイオン交換水624.0gを投入し、120rpmで攪拌しながら窒素ガスのバブリングを30分間行なった。
別途、メチルメタクリレート226.7g及びn−ブチルメタクリレート173.3gを混合して第1段目の重合に用いる単量体混合物(M1)を用意した。
単量体混合物(M1)の内の40.0gを上記フラスコ内に投入した後、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。次いで、予め調製した過硫酸アンモニウム0.32g及びイオン交換水16.0gの水溶液を一括投入して60分間保持し、シード粒子を形成させた。
上記のシード粒子が形成されたフラスコ内に、残りの単量体混合物(M1)360.0g、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸アンモニウム4.0g及びイオン交換水200.0gをホモジェナイザー(IKA社製「ウルトラタラックスT−25」、25000rpm)で乳化処理して得られた混合物を150分かけて滴下して1時間保持し、第1段目の重合を終了した。
得られたビニル重合体エマルション(L1)を、大川原化工機(株)製L−8型スプレードライヤーを用い、下記条件で噴霧乾燥処理してビニル重合体粉体(P1)を得た。得られたビニル重合体粉体(P1)のアセトン可溶分、アセトン可溶分のMw、Mn及びイオン性不純物の含有量の評価結果を表2に示す。
噴霧方式:回転ディスク式
ディスク回転数:25,000rpm
熱風温度
入口温度:145℃
出口温度:65℃
乳化剤1 :ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸アンモニウム
乳化剤2 :ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル
MMA :メチルメタクリレート
n−BMA:n−ブチルメタクリレート
n−BA :n−ブチルアクリレート
AMA :アリルメタクリレート
IBMA :i−ブチルメタクリレート
MAA :メタクリル酸
HEMA :2−ヒドロキシエチルメタクリレート
SLMA :アルキルメタクリレート
n−OM :n−オクチルメルカプタン
VA−057:2,2’−アゾビス[N−(2カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ヒドレート
V−65 :2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
パーオクタO:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
実施例2〜10、及び比較例1〜4は、表1に示す原料組成及び重合条件とする以外は、実施例1と同様にしてビニル重合体エマルション(L2)〜(L9)、(L11)〜(L14)を得た。得られた重合体エマルションの粒子径の評価結果を表1に示す。
マックスブレンド攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプ及び窒素導入管を備えた2リットルのセパラブルフラスコにイオン交換水980.0gを投入し、120rpmで攪拌しながら窒素ガスのバブリングを30分間行なった後、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。
次いで、メチルメタクリレート682.06g、アルキルメタクリレート(SLMA)17.94g、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸アンモニウム7.0g、「パーオクタO」1.40g、イオン交換水350.0gを、ホモジェナイザー(IKA社製「ウルトラタラックスT−25」、25000rpm)で乳化処理して得られた混合物を、反応容器に一括投入して300分間保持し、ビニル重合体エマルション(L10)を得た。得られたビニル重合体エマルション(L10)の粒子径の評価結果を表1に示す。
得られたビニル重合体エマルション(L10)は、実施例1と同様に噴霧乾燥処理して、ビニル重合体粉体(P11)を得た。
ビニル重合体粉体(P5)の製造では、ビニル重合体エマルション(L2)50%及びビニル重合体エマルション(L5)50%の混合エマルションを使用し、ビニル重合体粉体(P10)の製造では、ビニル重合体エマルション(L2)50%及びビニル重合体エマルション(L12)50%の混合エマルションを使用した。それ以外は、実施例1と同様にしてビニル重合体粉体を製造した。
得られたビニル重合体粉体(P2)〜(P15)のアセトン可溶分、アセトン可溶分のMw、Mn及びイオン性不純物の含有量の評価結果を表2に示す。
ビニル重合体粉体(P16)として、F351(ガンツ化成(株)製)を用いた。アセトン可溶分、アセトン可溶分のMw、Mn及びイオン性不純物の含有量の評価結果を表2に示す。
表3に示す、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「エピコート828」(商品名))100部、及びビニル重合体粉体(P1)10部を計量し、遊星運動式真空ミキサー((株)シンキー製、「泡取り練太郎」ARV−200(商品名))を使用して、2,000Paの減圧下で自転回転数1,000rpm及び公転回転数2,000rpmで2分混練・脱泡を行ない、混練物を得た。得られた混練物を3本ロールミル(EXAKT社製、「M−80E」)を使用し、ロール回転数200rpm、ロール間隔20μm・10μmで1パス、10μm・5μmで1パス、5μm・5μmで1パス処理した。
その後、表3に示す、硬化剤(新日本理化(株)製、酸無水物系硬化剤「リカシッドMH−700」(商品名))85部、及び硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール)1部を加え、再び遊星運動式真空ミキサー((株)シンキー製、「泡取り練太郎」ARV−200(商品名))を使用して、2,000Paの減圧下で自転回転数1,000rpm及び公転回転数2,000rpmで1分混練・脱泡を行ない、エポキシ樹脂組成物(C1)を得た。
得られたエポキシ樹脂組成物(C1)について初期粘度、分散性、ゲル化温度、弾性率、貯蔵安定性の評価を実施した。評価結果を表3に示す。
その後、再び遊星運動式真空ミキサー((株)シンキー製、「泡取り練太郎」ARV−200(商品名))を使用して、2,000Paの減圧下で自転回転数1,000rpm及び公転回転数2,000rpmで1分混練・脱泡する操作を「二次混練」という。
長さ300mm×幅300mm×厚さ5mmの強化ガラス板2枚の、それぞれの強化ガラス板の片面にPETフィルム(東洋紡(株)製、商品名:TN200)を貼り、PETフィルム面が向き合うように並べ、強化ガラス板の間に厚み3mmのテフロン(登録商標)製のスペーサーを挟んで型を作製した。この型の中にエポキシ樹脂組成物(C1)を流し込んでクランプで固定し、80℃で2時間予備硬化を行なった後、120℃で6時間硬化を行ない、型から取り出して厚さ3mmの硬化物を作製した。得られた硬化物は180℃で6時間かけてアニール処理を施し、25℃で24時間以上調温した。
得られた硬化物から長さ30mm×幅30mm×厚さ3mmの試験片を切り出し、比誘電率の評価を実施した。評価結果を表3に示す。
エポキシ樹脂組成物(C1)の代わりに、表3に示すエポキシ樹脂組成物(C2)〜(C17)を使用した。それ以外は、実施例12と同様にしてエポキシ樹脂組成物(C2)〜(C17)の評価を実施した。
また、エポキシ樹脂組成物(C1)の代わりにエポキシ樹脂組成物(C2)〜(C17)を使用したこと以外は、実施例12と同様にして硬化物を作製し、評価を実施した。評価結果を表3に示す。
表4に示す、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「エピコート828」(商品名))100部、及びビニル重合体粉体(P2)10部を用いて一次混練後、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール)2部を加えて二次混練した。それ以外は、実施例12と同様にしてエポキシ樹脂組成物(C18)を得た。実施例12と同様にして評価を実施した。評価結果を表4に示す。
得られた硬化物を用い、実施例12と同様にして比誘電率の評価を実施した。評価結果を表4に示す。
表4に示すように、実施例23からビニル重合体粉体(P2)を除いたエポキシ樹脂組成物(C19)を使用した。それ以外は、実施例23と同様にして評価を実施した。また、実施例23と同様にして硬化物を作製した。評価結果を表4に示す。
表5に示す、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「エピコート828」(商品名))100部、及びビニル重合体粉体(P2)10部を用いて一次混練後、硬化剤(日本化薬(株)製、酸無水物系硬化剤「カヤハードMCD」(商品名))49部、及び硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール)1.25部を加えて二次混練した。それ以外は、実施例12と同様にしてエポキシ樹脂組成物(C20)を得た。実施例12と同様にして評価を実施した。評価結果を表5に示す。
得られた硬化物を用い、実施例12と同様にして比誘電率の評価を実施した。評価結果を表5に示す。
表5に示すように、実施例24からビニル重合体粉体(P2)を除いたエポキシ樹脂組成物(C21)を使用した。それ以外は、実施例24と同様にして評価を実施した。また、実施例24と同様にして硬化物を作製した。評価結果を表5に示す。
表6に示す、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「エピコート828」(商品名))100部、及びビニル重合体粉体(P2)10部を用いて一次混練後、硬化剤(ジャパンエポキシレジン(株)製、アミン系硬化剤「JERキュアW」(商品名))25部を加えて二次混練した。それ以外は、実施例12と同様にしてエポキシ樹脂組成物(C22)を得た。実施例12と同様にして評価を実施した。評価結果を表6に示す。
得られた硬化物を用い、実施例12と同様にして比誘電率の評価を実施した。評価結果を表6に示す。
表6に示すように、実施例25からビニル重合体粉体(P2)を除いたエポキシ樹脂組成物(C23)を使用した。それ以外は、実施例25と同様にして評価を実施した。また、実施例25と同様にして硬化物を作製した。評価結果を表6に示す。
表7に示す、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、「RE303S−L」(商品名))100部、及びビニル重合体粉体(P2)10部を用いて一次混練後、硬化剤(新日本理化(株)製、酸無水物系硬化剤「リカシッドMH−700」(商品名))94部、及び硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール)1.1部を加えて二次混練した。それ以外は、実施例12と同様にしてエポキシ樹脂組成物(C24)を得た。実施例12と同様にして評価を実施した。評価結果を表7に示す。
得られた硬化物を用い、実施例12と同様にして比誘電率の評価を実施した。評価結果を表7に示す。
表7に示すように、実施例26からビニル重合体粉体(P2)を除いたエポキシ樹脂組成物(C25)を使用した。それ以外は、実施例26と同様にして評価を実施した。また、実施例26と同様にして硬化物を作製した。評価結果を表7に示す。
表8に示す、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、「NC3000」(商品名))100部、硬化剤(新日本理化(株)製、酸無水物系硬化剤「リカシッドMH−700」(商品名))57部、及びビニル重合体粉体(P2)10部を用いて一次混練後、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール)0.68部を加えて二次混練した。それ以外は、実施例12と同様にしてエポキシ樹脂組成物(C26)を得た。実施例12と同様にして評価を実施した。評価結果を表8に示す。
得られた硬化物を用い、実施例12と同様にして比誘電率の評価を実施した。評価結果を表8に示す。
表8に示すように、実施例27からビニル重合体粉体(P2)を除いたエポキシ樹脂組成物(C27)を使用した。それ以外は、実施例27と同様にして評価を実施した。また、実施例27と同様にして硬化物を作製した。評価結果を表8に示す。
表9に示す、ナフタレン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学(株)製、「HP4032」(商品名))100部、硬化剤(新日本理化(株)製、酸無水物系硬化剤「リカシッドMH−700」(商品名))105部、及びビニル重合体粉体(P2)10部を用いて一次混練後、硬化促進剤(四国化成工業(株)製、2−エチル−4−メチルイミダゾール)1.55部を加えて二次混練した。それ以外は、実施例12と同様にしてエポキシ樹脂組成物(C28)を得た。実施例12と同様にして評価を実施した。評価結果を表9に示す。
得られた硬化物を用い、実施例12と同様にして比誘電率の評価を実施した。評価結果を表9に示す。
表9に示すように、実施例28からビニル重合体粉体(P2)を除いたエポキシ樹脂組成物(C29)を使用した。それ以外は、実施例28と同様にして評価を実施した。また、実施例28と同様にして硬化物を作製した。評価結果を表9に示す。
これらのビニル重合体粉体を配合したエポキシ樹脂組成物(C1、C5、C15)のゲル化温度は、76℃、83℃、ゲル化せず、であり、ゲル化温度はアセトン可溶分の減量に伴って順を追って低くなり、アセトン可溶分が5%未満では、ゲル化しないことがわかる。また、粘度変化を指標にした、エポキシ樹脂組成物(C1、C5、C15)のゲル化性能(G’B/G’A)は+1150、+270、ゲル化せず、である。このことから、ビニル重合体粉体中のアセトン可溶分の含有量が、ゲル化温度やゲル化性能に対して支配的であることがわかる。
これらのビニル重合体粉体を配合したエポキシ樹脂組成物(C2、C14)の到達弾性率(G’B)は、6.81と3.80×10−4であり、分子量に応じて低くなっている。このことから、ビニル重合体粉体のアセトン可溶分の分子量がゲル化の程度に対して支配的であることがわかる。
これらのビニル重合体粉体を配合したエポキシ樹脂組成物(C2、C12)の硬化物の比誘電率は、3.04と3.14であり、アルカリ金属イオンの含有量に応じて高くなっている。
また、ビニル重合体粉体(P16)のアルカリ金属イオンの含有量は341ppmであり、ビニル重合体粉体(P16)を配合したエポキシ樹脂組成物(C16)の硬化物の比誘電率は3.32と高く、電気的特性が大きく低下していることから、電子材料分野には適さない。
これらのビニル重合体粉体を配合したエポキシ樹脂組成物(C2、C3)のゲル化温度は84℃と80℃であり、溶解度パラメーターの低いものほど溶解速度が速くなっている。これより、ビニル重合体粉体の溶解度パラメーターは、ゲル化挙動に影響を与えることがわかる。
ビニル重合体粉体の溶解度パラメーターは、公知の方法により求めることができる。例えば、Fedorsの式やHansenの式を用いて求めることができる。
これらから得られるビニル重合体粉体(P2、P9、P13)を配合したエポキシ樹脂組成物(C2、C9、C13)の、粒ゲージによる分散性の評価は、1μm未満、7μm、28μmである。ビニル重合体の一次粒子径が小さくなることにより、ビニル重合体粉体の一次粒子への分散性が低下しており、ビニル重合体の一次粒子径が大きいほど一次粒子への分散が良好であることがわかる。
これより、一次粒子径は、分散性だけでなく、初期粘度、貯蔵安定性、及びゲル化性能に影響を与えることがわかる。
ビニル重合体粉体(P6)〜(P8)を配合したエポキシ樹脂組成物(C6)〜(C8)は、ゲル化温度が82℃、90℃、112℃となる。このことから、均一構造のビニル重合体においても、溶解度パラメーターが低いものほど、溶解速度が速いことがわかる。つまり、溶解度パラメーターを調整することで(メタクリル酸の導入量を調整することで)、ゲル化温度を変えられ、用途に応じてゲル化温度を選択することが可能となる。
エポキシ樹脂組成物(C8)は、ゲル化温度が112℃と高いため、「ゲル化温度+20℃(132℃)」では、エポキシ樹脂組成物の硬化が開始し、到達弾性率G’Bは測定できていない。
ビニル重合体粉体(P4)を配合したエポキシ樹脂組成物(C4)の比誘電率は3.02で、ビニル重合体粉体(P2)を配合したエポキシ樹脂組成物(C2)の比誘電率3.04より低く、ビニル重合体粉体を配合していないエポキシ樹脂組成物(C17)と同等であることがわかる。
これより、ビニル重合体粉体がアルカリ金属イオンを含まず、硫酸イオンをできるだけ低減することで、ビニル重合体粉体を配合したエポキシ樹脂の硬化物の電気的特性を良好にし、電子材料分野に好適となることがわかる。
このように、粒子径分布が広い場合、小粒子径のビニル重合体に由来する凝集粉体が分散しきれずブツとなるため、ファインピッチ化への対応には不適当である。
また、ビニル重合体粉体(P2、P10、P12)の粒子径分布は1.18、2.50、1.19であり、これらを配合したエポキシ樹脂組成物(C2、C10、C12)のゲル化性能(G’B/G’A)は+1110、+81、+540である。これより、粒子径分布が広くなると、ゲル化性能を低下させることがわかる。
本発明は、特願2009−024751及び特願2009−193366を基礎とする優先権主張出願に係り、これらの基礎出願に含まれる総ての事項をその内容として含むものである。
Claims (11)
- アセトン可溶分が30質量%以上で、アセトン可溶分の質量平均分子量が10万以上で、アルカリ金属イオンの含有量が10ppm以下で、体積平均一次粒子径(Dv)が200nm以上であるビニル重合体粉体。
- 硫酸イオン(SO4 2−)の含有量が20ppm以下である請求項1に記載のビニル重合体粉体。
- 体積平均一次粒子径(Dv)と個数平均一次粒子径(Dn)との比(Dv/Dn)が3.0以下である、請求項1に記載のビニル重合体粉体。
- 体積平均一次粒子径(Dv)が8μm以下である、請求項1に記載のビニル重合体粉体。
- 請求項1に記載のビニル重合体粉体及び硬化性樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
- 硬化性樹脂がエポキシ樹脂である請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項5に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
- 請求項5に記載の硬化性樹脂組成物を用いた半導体封止材料。
- 請求項5に記載の硬化性樹脂組成物を用いたシート状物品。
- 過硫酸アンモニウム及びアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種の重合開始剤と、アンモニウム塩型アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤から選ばれる少なくとも1種の乳化剤とを用いて、ビニル単量体を乳化重合し、
得られたビニル重合体のエマルションを噴霧乾燥する、請求項1に記載のビニル重合体粉体の製造方法。 - 過硫酸アンモニウム及びアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種の重合開始剤と、アンモニウム塩型アニオン系乳化剤及びノニオン系乳化剤から選ばれる少なくとも1種の乳化剤とを用いて、異なる組成のビニル単量体混合物を2段階以上で乳化重合し、
得られたビニル重合体のエマルションを噴霧乾燥する、請求項1に記載のビニル重合体粉体の製造方法。
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