JP2003252912A - 単分散微粒子 - Google Patents

単分散微粒子

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JP2003252912A
JP2003252912A JP2002053805A JP2002053805A JP2003252912A JP 2003252912 A JP2003252912 A JP 2003252912A JP 2002053805 A JP2002053805 A JP 2002053805A JP 2002053805 A JP2002053805 A JP 2002053805A JP 2003252912 A JP2003252912 A JP 2003252912A
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JP2002053805A
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Mikio Konno
幹男 今野
Jiyunchiyou Ko
順超 顧
Takeshi Wakiya
武司 脇屋
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ソープフリー重合により得られる粒子径が1
μm以上且つ粒子径の揃った単分散性粒子を提供する。 【解決手段】 ソープフリー重合により得られる単分散
微粒子であって、重合性単量体と溶媒との混合液に、カ
チオン性官能基を有するラジカル開始剤とアニオン性官
能基を有するラジカル開始剤とを添加し、重合すること
により得られうる粒径が1μm以上且つ粒径分布(Cv
値)が10%以下である単分散粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単分散微粒子に関
する。
【0002】
【従来の技術】粒径が1μm以上の単分散性ポリマー粒
子は、分析装置用カラム充填剤、液晶ディスプレイ用ス
ペーサー、回路接続用導電粒子の基材粒子など、粒子形
態を利用した応用がなされている。
【0003】そして、従来よりこれらの粒子は、乳化重
合あるいは懸濁重合により広い粒径分布の粒子を合成し
た後、分球等によって必要な粒径の粒子を得る方法が用
いられている。しかし、上記重合方法では、必要としな
い粒径の粒子が多量に生成するため、製造効率が極めて
悪いのみならず、分球工程においても、極めて時間がか
かること、分球による狭粒径分布化には限界があるこ
と、また、分球に溶媒を大量の溶媒を使用する場合もあ
り環境への負荷も大きい等の問題があった。
【0004】このため分球を要しない単分散微粒子の重
合方法として、分散重合あるいはシード重合法が知られ
ている。特開2000−109508号公報では、1μ
m以上の粒径の揃った種粒子を用い、シード重合により
粒径を大きくするという工程を経て製造する方法が開示
されている。しかし、上記の方法では、単分散粒子の製
造は可能であるが、種粒子を製造する工程とシード重合
する工程が全く異なるため、2段階の工程を必要とし、
製造上の効率が極めて悪いという問題があった。
【0005】さらに、上記いずれの重合方法により得ら
れた粒子も、粒子表面もしくは内部に、分散安定剤、乳
化剤、界面活性剤等を含有しており、これら不純物が電
子材料分野や医療用分野では不具合の原因となる。そし
てこれら不純物の除去には多大な時間を必要とするだけ
でなく、完全に除去することは実質上困難であった。
【0006】上記不純物の問題を改善するため、ソープ
フリー重合を用いた粒子製造方法として、例えば、アニ
オン性またはカチオン性のラジカル開始剤を用いた析出
重合によるポリスチレン粒子の製造方法、スチレン等の
ラジカル重合性単量体とp−スチレンスルホン酸ナトリ
ウム等のイオン性単量体と水溶性のラジカル開始剤を用
いた析出重合によるポリスチレン粒子の重合方法等が一
般的に知られている。
【0007】しかしながら、これらの方法では1μm以
上の粒子を得ることはできない。すなわち、ソープフリ
重合では、ラジカル開始剤またはイオン性単量体の添加
量により一義的に決定された表面電位及びそれに伴った
粒径の粒子が生成するが、単分散性を維持できる粒径は
1μm未満のものであった。このため、粒径を大きくす
る目的で、重合反応系中に、新たに重合性単量体を添加
する方法があるが、初期に生成した粒子径は、多少は大
きくなるものの、主に新粒子が発生し粒子数が増加する
のみであり、単分散性は悪くなってしまう。また、塩化
ナトリウム等の電解質を添加することにより析出した粒
子の凝集性を向上させ、粒径を1μm以上にする方法も
一般的に用いられているが、単分散性の良好な粒子は得
られない。
【0008】上述の如く、これまでは1μm以上且つ粒
子径分布が非常に狭く、粒子表面もしくは内部に、分散
安定剤、乳化剤、界面活性剤等を含有しない単分散微粒
子を得ることはできなかったのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、ソープフリー重合により得られる粒子径が1μm以
上且つ粒子径の揃った単分散性粒子を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の本発明は、ソープフリー重合により
得られる単分散微粒子であって、重合性単量体と溶媒と
の混合液に、カチオン性官能基を有するラジカル開始剤
(以下、カチオン性ラジカル開始剤と記す)とアニオン
性官能基を有するラジカル開始剤(以下、アニオン性ラ
ジカル開始剤と記す)とを添加し、重合することにより
得られうる粒径が1μm以上且つ粒径分布が10%以下
である単分散粒子を提供する。また、請求項2記載の本
発明は、ソープフリー重合により得られる単分散微粒子
であって、溶媒と重合性単量体との混合液に、カチオン
性官能基とアニオン性官能基とを有するラジカル開始剤
(以下、両性ラジカル開始剤と記す)を添加し、重合す
ることにより得られうる粒径が1μm以上且つ粒径分布
が10%以下である単分散粒子を提供する。また、請求
項3記載の本発明は、溶媒が緩衝溶液である請求項1又
は2記載の単分散微粒子を提供する。また、請求項4記
載の本発明は、カチオン性官能基がアミノ基、イミダゾ
ール基、ピリジン基、アミジノ基からなる群より選ばれ
た少なくとも1つであり、アニオン性官能基がスルホン
酸基及び/又はカルボキシル基からなる請求項1〜3い
ずれか一項に記載の単分散微粒子を提供する。また、請
求項5記載の本発明は、重合反応系中に、重合性単量体
を後添加する請求項1〜4いずれか一項に記載の単分散
微粒子を提供する。また、請求項6記載の本発明は、重
合性単量体を2種以上用いる請求項1〜5いずれか一項
に記載の単分散微粒子を提供する。
【0011】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
における重合性単量体としては、単官能モノマーで水に
著しく溶解しないものであれば特に限定されず、例え
ば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のス
チレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビ
ニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル
類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸
2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、
エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオ
ロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が
挙げられる。
【0012】また、重合性の単量体は、上記のもの以外
に、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有単量
体、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウ
ムなどのスルホン酸基含有ビニル系単量体、ヒドロキシ
エチルメタクリレートなどの水酸基含有ビニル系単量
体、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートな
どの非イオン性官能基含有ビニル系単量体、ビニルベン
ジルアミン、3−アクリルアミド−3−メチルブチルト
リメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミドプ
ロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルア
ミノエチルメタクリレート四酸化物塩等の陽イオン性ビ
ニル単量体を必要に応じて用いることができる。これら
の単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を用いて
もよく、さらにこれら単量体が塩になった物でも良い。
尚、ここで言う(メタ)アクリレートとはアクリレート
又はメタクリレートを意味する。
【0013】上記官能基を有する単量体は、重合時にお
ける粒子の表面電荷の極性を考慮して使用されることが
好ましい。
【0014】又、分子内にエチレン性不飽和基を2個以
上有する単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、
ジビニルトルエン、エチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、
テトラエチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリア
クリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)
アクリレート等が挙げられる。尚、ここでいう(メタ)
アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを
意味する。これらの単量体は単独で用いられてもよく、
2種類以上が併用されてもよい。
【0015】本発明における重合開始剤は、上記カチオ
ン性ラジカル開始剤とアニオン性ラジカル開始剤とを併
用して用いる、あるいは両性ラジカル開始剤を用いるも
のである。
【0016】上記重合開始剤は、特に限定されず、通常
の乳化重合及びソープフリー重合で従来公知のものを用
いることができ、有機過酸化物、アゾ化合物、無機過酸
化物等が挙げられる。
【0017】本発明におけるカチオン性ラジカル開始剤
としては、特に限定されず、例えば、アミノ基、ピリジ
ン基、イミダゾール基、アミジノ基、ピリミジン基等を
含有しているものが好ましく、具体的には、2,2’−
アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシ−
ブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス
[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、及びこ
れらの塩等が例挙げられる。これらは単独で用いられて
もよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0018】本発明におけるアニオン性ラジカル開始剤
としては、特に限定されず、例えば、スルホン酸基、カ
ルボキシル基等を含有しているものが好ましく、具体的
には、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等
のカルボキシル含有アゾ化合物、及びこれらの塩、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等
の過硫酸塩、過酸化水素水等が挙げられる。さらに好ま
しくは、カルボキシル基を含有するアゾ化合物である。
これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用さ
れてもよい。
【0019】上記アニオン性ラジカル開始剤とカチオン
性ラジカル開始剤とを併用する場合は、双方の開始剤に
より重合されたポリマー数が近い方が安定な粒子を形成
しやすいことから、10時間半減期温度差10℃以内で
ある組み合わせが好適に用いられる。具体的には、10
時間半減期温度が61℃である2,2’−アゾビス[2
−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及び10
時間半減期温度が69℃である4,4’−アゾビス(4
−シアノペンタン酸)の組み合わせ等が挙げられる。
【0020】本発明における両性ラジカル開始剤とは、
開始剤中にアニオン性官能基とカチオン性官能基とを有
する物であり、好ましくは、開始剤が解離後にアニオン
性官能基とカチオン性官能基とを有するものである。こ
の様な開始剤としては、例えば、特開平11−3105
65号公報に記載されているカルボキシル基を末端に有
するアゾアミジン化合物が挙げられ、具体的には2,
2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)
アミジノプロパン等が挙げられる。尚、上記両性ラジカ
ル開始剤は、上記アニオン性ラジカル開始剤及び/又は
カチオン性ラジカル開始剤と併用しても良い。
【0021】本発明において、重合性単量体に対する重
合開始剤の添加量は、特に限定されず、通常使用される
範囲で用いられ、0.05〜10重量%であることが好
ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。開
始剤の添加量が0.05重量%未満であると、添加した
重合性単量体が充分に消費せず、残留単量体が多くなる
ことがあり、また、開始剤の添加量が10重量%を超え
ると、重合初期の粒子数が増加し、粒子の粒径が小さく
なることがある。
【0022】本発明における溶媒としては、特に限定さ
れず、析出重合に用いられる従来公知の溶媒を用いるこ
とが可能であり、例えば、水、アルコールを主とした単
独又は混合溶媒が挙げられる。
【0023】上記溶媒としては、重合性単量体は溶解す
るが、生成重合体は溶解しないものを用いることが好ま
しい。この様な溶媒としては、使用する重合性単量体に
応じて適宜選択することができるが、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール等のアルコール類;メチ
ルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、2
−ブタノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の炭化
水素;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル等の有機溶媒、
水が好適に用いられる。これらは単独で用いられてもよ
く、2種以上を併用してもよい。より好ましくは、上記
有機溶媒と水との混合溶媒である。
【0024】上記溶媒としては、緩衝作用を有する緩衝
溶液であることが特に好ましい。緩衝溶液を用いること
により、重合性単量体を後添加する際の新粒子の発生を
抑制する効果が高いためである。
【0025】上記緩衝液としては、特に限定されず、使
用するpHにより従来公知の緩衝液が利用可能である。
例えば、塩酸−フタル酸水素カリウム(pH2.2〜
3.8)、クエン酸−リン酸水素二ナトリウム(pH
2.2〜8.0)、塩酸−(バルビタールナトリウム+
酢酸ナトリウム)(pH2.6〜9.2)、コハク酸−
四ホウ酸ナトリウム(pH3.0〜5.8)、酢酸−酢
酸ナトリウム(pH3.4〜5.9)、クエン酸二水素
ナトリウム−水酸化ナトリウム(pH3.8〜6.
0)、クエン酸二水素カリウム−四ホウ酸ナトリウム
(pH3.8〜6.0)、フタル酸水素カリウム−水酸
化ナトリウム(pH4.0〜6.2)、クエン酸二水素
カリウム−水酸化ナトリウム(pH5.0〜6.7)、
マレイン酸−(Tris+水酸化ナトリウム)(pH
5.1〜8.5)、リン酸二水素カリウム−リン酸二水
素ナトリウム(pH5.3〜8.0)、リン酸二水素カ
リウム−四ホウ酸ナトリウム(pH5.8〜9.2)、
リン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム(pH5.8
〜8.0)、塩酸−コリジン(pH6.5〜8.4)、
塩酸−バルビタールナトリウム(pH6.8〜9.
6)、塩酸−Tris(pH7.2〜9.1)、塩酸−
四ホウ酸ナトリウム(7.5〜9.2)、ホウ酸−炭酸
ナトリウム(pH7.4〜11.0)、ホウ酸−四ホウ
酸ナトリウム(pH6.8〜9.1)、塩酸−アミノメ
チルプロパンジオール(pH7.8〜9.7)、リン酸
−酢酸−ホウ酸−水酸化ナトリウム(pH1.8〜1
2)、クエン酸−リン酸二水素ナトリウム−ホウ酸−塩
酸−水酸化ナトリウム−バルビタールナトリウム(pH
2.4〜pH12)等が例示される。尚、上記緩衝液
は、組み合わせて広いpH領域に用いうるようにしたも
のを用いてもよく、また、上記同種イオン緩衝液同士
を、複数混合して用いてもよい。
【0026】また、使用する緩衝液は、重合系により適
宜選択することが可能であり、例えば、開始剤の解離常
数、等電位点等によって決めることが好ましい。
【0027】上記緩衝液の濃度は、重合条件により異な
るが、好ましくは1〜100mM、より好ましくは5〜
50mMである。1mMより低い場合は充分な緩衝作用
を発揮しにくくなり、50mMより大きい場合は、重合
したラテックスの凝集が起こることがある。
【0028】本発明において、溶媒への重合性単量体の
添加量は特に限定されるものではないが、収量や粒子径
分布を考慮すると、1重量%から50重量%であること
が望ましい。単量体の含有量が1重量%未満であると、
仕込みに対する収量が著しく少なく生産性の面から好ま
しくないことがあり、また、単量体の含有量が50重量
%を超えると、十分制御された粒子径分布のものが得ら
れにくいことがある。
【0029】本発明の単分散微粒子の重合においては、
粒子を構成するポリマーの分子量を制御するため、必要
に応じて、連鎖移動剤等を添加しても良い。また、蛍
光、磁性、着色等の機能を付与するため、金属微粒子、
金属酸化物微粒子、金属錯体、色素、顔料等を添加して
も良い。
【0030】本発明における単分散性微粒子は、初期の
重合においても、粒径1μm以上且つ粒子径分布が10
%以下である微粒子を得ることができ、さらに初期の重
合により微粒子を形成した後、新たに重合反応系に重合
性単量体を後添加することによって、粒子径分布を保っ
たまま粒子径を大きくすることができる。尚、上記初期
の重合とは、重合性単量体を1回目に投入した時の重合
を言う。従来法では、重合性単量体を新たに添加する
と、主に新粒子が発生し粒子数が増加するのみであり、
単分散性が悪くなっていた。すなわち、本発明において
は、初期に生成する粒子同士の凝集、合着による粒径分
布の拡大を抑制し、かつ、新たに生成する微細な重合体
が新たな微粒子を形成する前に微粒子表面に速やかに吸
着させるため、カチオン性ラジカル開始剤及びアニオン
性ラジカル開始剤を併用する、又は両性ラジカル開始剤
を用い粒子の表面電位を制御することにより可能となっ
たのである。
【0031】上記単分散微粒子は、後添加する重合性単
量体が、1)初期の重合性単量体と同じ場合、均一な組
成を有した粒子が得られ、また、2)初期の重合性単量
体と異なる場合、2層以上の層構造を有する粒子(多層
構造粒子)を得ることができる。
【0032】上記重合性単量体を後添加する場合、その
方法、時期は、目的とする粒子組成、層構造によって異
なり、例えば、a)初期の重合性単量体が消費しきる前
に逐次的又は連続的に添加することによりグラジュエン
トに変化する層構造が得られ、また、b)初期の重合性
単量体が消費した後に添加することにより、明確な層構
造を有する粒子を得ることができる。
【0033】上記重合性単量体を後添加する場合、添加
する単量体の量は初期の重合で投入した未反応の単量体
との総和が反応液中50重量%以下となるように添加す
ることが好ましい。50重量%を超えて添加すると新粒
子が発生することがある。また、重合性単量体を後添加
する際、新たに溶媒を添加しても良く、重合開始剤を添
加しても良い。
【0034】本発明において、重合は、通常の方法に従
い行うことができる。すなわち、攪拌機、窒素導入管及
び還流冷却器を備えたセパラブルフラスコ等の反応容器
中に、所定量の溶媒、重合性単量体、及び開始剤を入
れ、一定時間窒素ガス等の不活性ガスを吹き込み雰囲気
を置換した後、昇温することにより重合を開始し、重合
反応系を一定温度・時間維持し重合を完了させる。この
際、重合開始剤は、水に溶解した状態で添加することが
好ましい。重合温度は、使用する重合性単量体や重合開
始剤の種類及び濃度等を考慮し適宜選択することができ
るが、通常60〜90℃の範囲である。また、重合時間
も、重合条件等により異なるが、通常12〜36時間程
度で重合反応は完結する。
【0035】上記重合反応系中に重合性単量体を後添加
する場合、例えば、初期の重合性単量体が消費しきる前
もしくは消費された後に、あらかじめ窒素ガスで溶存酸
素を除去した重合性単量体を窒素気流下で添加し、重合
を継続させる。重合時間は、重合性単量体を後添加する
量、回数によっても異なるが、ラジカル開始剤を後添加
しない場合は、通常12〜36時間程度、ラジカル開始
剤を後添加する場合は、後添加後12〜36時間で重合
は完結する。
【0036】重合後の微粒子は、通常遠心分離等により
媒体と分離することができる。分離した微粒子は、アル
コールまたは水により繰り返し洗浄することにより精製
することができる。洗浄後は、噴霧乾燥または減圧乾燥
等により粉体として単離することができる。
【0037】本発明における単分散微粒子の粒子経は、
1μm以上である。また、粒径分布(Cv値)は、10
%以下であり、好ましくは5%以下である。Cv値が1
0%を超えると、粒径のばらつきが顕著となり、単分散
性が低下する。上記Cv値とは、各粒径測定法により得
られる平均粒子径と、標準偏差値を用いて次式で示され
る値である。Cv(%)=(標準偏差/平均粒子径)×
100上記粒径測定方法としては、特に限定されず、例
えば、粒度分布計、電子顕微鏡(SEM)写真の画像解
析等を用いることが可能である。
【0038】(作用)本発明のソープフリー重合は、従
来不可能であった粒径が1μm以上、且つ粒径分布(C
v値)が10%以下の単分散粒子を得ることを可能とし
た。すなわち、発明者らはソープフリー重合の重合反応
機構を鋭意検討することにより、微粒子の表面状態(表
面電位等)を制御し、重合初期に生成する粒子同士の凝
集、合着による粒径分布の拡大を抑制し、かつ、新たに
生成する微細な重合体が新たな微粒子を形成する前に微
粒子表面に速やかに吸着させることが可能となったので
ある。具体的には、ソープフリー重合の開始剤として、
カチオン性ラジカル開始剤及びアニオン性ラジカル開始
剤を併用する方法、両性ラジカル開始剤を用いる方法に
より達成できた。さらに、重合溶媒として、緩衝溶液を
使用することにより、生成する微粒子表面の電荷をさら
に安定に保つことが可能となったのである。これらによ
り、重合中新たに精製したオリゴマーは、新粒子を形成
することなく、初期の重合時に形成された粒子に吸着さ
れるため、初期の粒子が成長し粒子径が大きくなるので
ある。また、新粒子が形成しないため、粒子径分布も、
初期の重合時に決まった粒子径分布を維持し、粒子径分
布が非常に狭い単分散微粒子を得ることができたのであ
る。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明の態
様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。
【0040】(実施例1)4ツ口セパラブルカバー、攪
拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた
1000mL容セパラブルフラスコに、スチレン1.1
mol、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボ
キシエチル)アミジノプロパン四水和物(VA−05
7、和光純薬社製)5mmol、及びあらかじめアンモ
ニア及び塩化アンモニウムでpH9.4に調製した緩衝
液373mL(10mM)を秤量した後、300r.
p.m.で攪拌し窒素雰囲気下70℃で24時間重合を
行い、粒径3μm、Cv値2.0%のポリスチレン粒子
を得た。尚、粒径分布はSEM写真を画像解析すること
によって得た。
【0041】(実施例2)4ツ口セパラブルカバー、攪
拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた
2000mL容セパラブルフラスコに、スチレン1.1
mol、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボ
キシエチル)アミジノプロパン四水和物(VA−05
7,和光純薬社製)5mmol、及びあらかじめアンモ
ニア及び塩化アンモニウムでpH9.4に調製した緩衝
液373mL(10mM)を秤量した後、300r.
p.m.で攪拌し窒素雰囲気下70℃で8時間重合を行
った。これに、上記緩衝液373mL及びスチレン1.
1molを添加し8時間重合を行った。またさらに、上
記緩衝液373mL及びスチレン1.1molを添加
し、24時間重合することにより、粒径5μm、Cv値
2.3%のポリスチレン粒子を得た。
【0042】(比較例1)4ツ口セパラブルカバー、攪
拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた
1000mL容セパラブルフラスコに、スチレン0.5
mol、p−スチレンスルホン酸ナトリウム5.5mm
ol、過硫酸カリウム6mmol、及び蒸留水470m
L(10mM)を秤量した後、200rpmで攪拌し窒
素雰囲気下70℃で24時間重合を行い、粒径0.55
μm、Cv値1.5%のポリスチレン粒子を得た。尚、
粒径分布はSEM写真を画像解析することによって得た
【0043】
【発明の効果】本発明の単分散微粒子は、1μm以上且
つ粒子径分布(Cv値)が10%以下の単分散性が非常
に高い微粒子であるため、分析装置用カラム充填剤、液
晶ディスプレイ用スペーサー、回路接続用導電粒子の基
材粒子等の電子材料分野や医療用分野に好適に使用され
る。また、本発明の単分散微粒子は、粒子表面もしくは
内部に、分散安定剤、乳化剤、界面活性剤等を含有しな
いため、不純物の混在が問題となるような電子材料分野
や医療用分野にも好適に使用される。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ソープフリー重合により得られる単分散
    微粒子であって、重合性単量体と溶媒との混合液に、カ
    チオン性官能基を有するラジカル開始剤とアニオン性官
    能基を有するラジカル開始剤とを添加し、重合すること
    により得られうる粒径が1μm以上且つ粒径分布(Cv
    値)が10%以下であることを特徴とする単分散粒子。
  2. 【請求項2】 ソープフリー重合により得られる単分散
    微粒子であって、溶媒と重合性単量体との混合液に、カ
    チオン性官能基とアニオン性官能基とを有するラジカル
    開始剤を添加し、重合することにより得られうる粒径が
    1μm以上且つ粒径分布が10%以下であることを特徴
    とする単分散粒子。
  3. 【請求項3】 溶媒が緩衝溶液であることを特徴とする
    請求項1又は2記載の単分散微粒子。
  4. 【請求項4】 カチオン性官能基がアミノ基、イミダゾ
    ール基、ピリジン基、アミジノ基からなる群より選ばれ
    た少なくとも1つであり、アニオン性官能基がスルホン
    酸基及び/又はカルボキシル基からなることを特徴とす
    る請求項1〜3いずれか一項に記載の単分散微粒子。
  5. 【請求項5】 重合反応系中に、重合性単量体を後添加
    することを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載
    の単分散微粒子。
  6. 【請求項6】 重合性単量体を2種以上用いることを特
    徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の単分散微粒
    子。
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