JP5733499B2 - 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、人の上体から得られる生体信号の時系列波形を用いて生体の状態を推定する技術に関する。
運転中の運転者の生体状態を監視することは、近年、事故予防策等として注目されている。本出願人は、特許文献1〜3において、シートクッション部に圧力センサを配置し、臀部脈波を採取して分析し、入眠予兆現象を判定する手法を開示している。
具体的には、脈波の時系列波形を、それぞれ、SavitzkyとGolayによる平滑化微分法により、極大値と極小値を求める。そして、5秒ごとに極大値と極小値を切り分け、それぞれの平均値を求める。求めた極大値と極小値のそれぞれの平均値の差の二乗をパワー値とし、このパワー値を5秒ごとにプロットし、パワー値の時系列波形を作る。この時系列波形からパワー値の大域的な変化を読み取るために、ある時間窓Tw(180秒)について最小二乗法でパワー値の傾きを求める。次に、オーバーラップ時間Tl(162秒)で次の時間窓Twを同様に計算して結果をプロットする。この計算(移動計算)を順次繰り返してパワー値の傾きの時系列波形を得る。一方、脈波の時系列波形をカオス解析して最大リアプノフ指数を求め、上記と同様に、平滑化微分によって極大値を求め、移動計算することにより最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形を得る。
そして、パワー値の傾きの時系列波形と最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形が逆位相となっており、さらには、パワー値の傾きの時系列波形で低周波、大振幅の波形が生じている波形を、入眠予兆を示す特徴的な信号と判定し、その後に振幅が小さくなったポイントを入眠点と判定している。
また、特許文献4として、内部に三次元立体編物を挿入した空気袋(エアパック)を備え、このエアパックを人の背部に対応する部位に配置し、エアパックの空気圧変動を測定し、得られた空気圧変動の時系列データから人の生体信号を検出し、人の生体の状態を分析するシステムを開示している。また、非特許文献1及び2においても、腰腸肋筋に沿うようにエアパックセンサを配置して人の生体信号を検出する試みを報告している。このエアパックの空気圧変動は、心臓の動きに伴う下行大動脈の揺れによるものであり、特許文献1及び2の臀部脈波を利用する場合よりも、心臓の動きにより近い状態変化を捉えることができる。
特開2004−344612号公報 特開2004−344613号公報 WO2005/092193A1公報 特開2007−90032号公報
「原著・指尖容積脈波情報を用いた入眠予兆現象計測法の開発」藤田悦則(外8名)、人間工学 Vol41、No.4(’05) 「非侵襲型センサによって測定された生体ゆらぎ信号の疲労と入眠予知への応用」、落合直輝(外6名)、第39回日本人間工学会 中国・四国支部大会 講演論文集、平成18年11月25日発行、発行所:日本人間工学会 中国・四国支部事務局 「非侵襲生体信号センシング機能を有する車両用シートの試作」、前田慎一郎(外4名)、第39回日本人間工学会 中国・四国支部大会 講演論文集、平成18年11月25日発行、発行所:日本人間工学会 中国・四国支部事務局
特許文献1〜4及び非特許文献1〜3の技術は、上記したように、パワー値の傾きの時系列波形と最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形が逆位相となり、かつ、パワー値の傾きの時系列波形で低周波、大振幅の波形が生じた時点をもって入眠予兆現象と捉えている。
また、本出願人は、特願2009−237802として次のような技術も提案している。すなわち、生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形から周波数の時系列波形を求め、この周波数の時系列波形から求められる周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形を用いた技術であり、周波数傾き時系列波形の正負、周波数傾き時系列波形の積分波形の正負、周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形とを重ねて出力した場合における逆位相の出現(逆位相の出現が入眠予兆を示す)等を組み合わせて人の状態を判定する技術である。
本出願人は、上記のように生体信号を用いた人の状態を把握する技術を提案しているが、人の状態をより正確に把握する技術の提案が常に望まれている。また、人の状態を把握する手法が複数あれば、それらを併用することにより、さらに、正確に人の状態を把握することが可能となる。本発明は上記に鑑みなされたものであり、生体信号を新たな分析方法を用いて分析し、人の状態を把握する技術を提供することを課題とする。
ここで、心疾患の一つである心房細動において、心・循環系のゆらぎの特性が切り替わるところは、0.0033Hzと言われており、0.0033Hzのゆらぎを調整するためのゆらぎが、0.0033Hz近傍以下に存在すると言われている。生体信号に内在する低周波のゆらぎを算出する周波数傾き時系列波形を求め、それを周波数解析したところ、0.0033Hzよりも低周波の0.0017Hz、0.0033Hz近傍の0.0035Hzを中心にしたゆらぎが生じていることが確認できた。また、これらこの2つ以外に、0.0053Hzを中心としたゆらぎが生じていることが確認できた。
そこで、本発明者は上記した知見から、0.0035Hzの信号(以下、「疲労受容信号」という)を基本として、これを通常の活動状態における疲労の進行度合いを示す信号とし、0.0053Hzの信号(以下、「活動調整信号」という)を、活動時において脳や自律神経系の制御による影響の度合いが出現する信号とし、0.0033Hzよりも低周波の0.0017Hzの信号(以下、機能調整信号)を、体の変調や機能低下を制御する信号とし、これらの信号のパワースペクトルの時系列変化から人の状態を判定することに着目し、本発明を完成するに至った。
また、生体信号としては、指尖容積脈波ではなく、心房と大動脈の揺れ具合を捉えることに着目した。これは、大動脈の壁は、動脈の中でも弾力性に富んでおり、心臓から直接送り出される血液の高い圧力を受け止めることができ、また、心臓の左心室からでたばかりのところには逆流防止の弁である大動脈弁がある。このため、心房と大動脈の揺れ具合を捉えた生体信号を解析することで、生体の定常性維持のための脳と自律神経系の負のフィードバック機構の調節環をよく捉えることができ、それにより、自律神経の活動だけでなく脳機能の活性化状態を併せて把握し、より正確に生体状態を推定できるからである。
すなわち、本発明の生体状態推定装置は、生体信号測定手段により人の上体から採取した生体信号を用いて、人の状態を推定する生体状態推定装置であって、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形から、周波数の時系列波形を求める周波数演算手段と、前記周波数演算手段により得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算手段と、前記周波数傾き時系列解析演算手段から得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求めるスペクトル時系列変化演算手段と、前記スペクトル時系列変化演算手段により得られたパワースペクトルの時系列変化から、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する周波数成分を抜き出し、前記3つの周波数成分のパワースペクトルの値の合計を100とした際の前記3つの各周波成分の割合を時系列に算出して分布率波形として求める分布率波形演算手段と、前記分布率波形演算手段により得られた分布率波形における前記3つの各周波成分の波形変化パターンを特定し、特定した波形変化パターンを、予め記憶部に記憶している波形変化パターンと人の状態との相関データに照らし、人の状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
前記周波数演算手段が、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第1周波数演算手段を有し、前記周波数傾き時系列演算手段が、前記第1周波数演算手段により得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算手段を有し、前記スペクトル時系列変化演算手段が、前記第1周波数傾き時系列解析演算手段から得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成であることが好ましい。
また、前記周波数演算手段が、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第2周波数演算手段を有し、前記周波数傾き時系列演算手段が、前記第2周波数演算手段により得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算手段を有し、前記スペクトル時系列変化演算手段が、前記第2周波数傾き時系列解析演算手段から得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成であることが好ましい。
前記判定手段は、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっている時間帯を、眠気関連現象出現期と判定する構成であることが好ましい。前記判定手段は、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっていると共に、前記活動調整信号の分布率に上昇が生じた時間帯を入眠予兆現象出現期と判定する構成であることが好ましい。前記分布率波形演算手段に用いる前記機能調整信号の周波数が0.0017Hzであり、前記疲労受容信号の周波数が0.0035Hzであり、前記活動調整信号の周波数が0.0053Hzであることが好ましい。
本発明のコンピュータプログラムは、生体信号測定手段により人の上体から採取した生体信号を用いて、人の状態を推定する生体状態推定装置に設定されるコンピュータプログラムであって、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形から、周波数の時系列波形を求める周波数演算ステップと、前記周波数演算ステップにより得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算ステップと、前記周波数傾き時系列解析演算ステップから得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求めるスペクトル時系列変化演算ステップと、前記スペクトル時系列変化演算ステップにより得られたパワースペクトルの時系列変化から、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する周波数成分を抜き出し、前記3つの周波数成分のパワースペクトルの値の合計を100とした際の前記3つの各周波成分の割合を時系列に算出して分布率波形として求める分布率波形演算ステップと、前記分布率波形演算ステップにより得られた分布率波形における前記3つの各周波成分の波形変化パターンを特定し、特定した波形変化パターンを、予め記憶部に記憶している波形変化パターンと人の状態との相関データに照らし、人の状態を判定する判定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
前記周波数演算ステップが、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第1周波数演算ステップを有し、前記周波数傾き時系列演算ステップが、前記第1周波数演算ステップにより得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算ステップを有し、前記スペクトル時系列変化演算ステップが、前記第1周波数傾き時系列解析演算ステップから得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成であることが好ましい。
また、前記周波数演算ステップが、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第2周波数演算ステップを有し、前記周波数傾き時系列演算ステップが、前記第2周波数演算ステップにより得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算ステップを有し、前記スペクトル時系列変化演算ステップが、前記第2周波数傾き時系列解析演算ステップから得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成であることが好ましい。
前記判定ステップは、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっている時間帯を、眠気関連現象出現期と判定する構成であることが好ましい。前記判定ステップは、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっていると共に、前記活動調整信号の分布率に上昇が生じた時間帯を入眠予兆現象出現期と判定する構成であることが好ましい。前記分布率波形演算ステップに用いる前記機能調整信号の周波数が0.0017Hzであり、前記疲労受容信号の周波数が0.0035Hzであり、前記活動調整信号の周波数が0.0053Hzであることが好ましい。
本発明は、人の上体から採取した生体信号の時系列波形から周波数の時系列波形を求め、さらに、周波数傾きの時系列波形を求めて周波数解析する手段を有する。より好ましくは、周波数変動の時系列波形を求めて周波数解析する手段を有する。周波数解析の際には、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する各周波数のパワースペクトルを求める。そして、各パワースペクトルの時系列変化から人の状態を判定する。疲労受容信号は、通常の活動状態における疲労の進行度合いを示すため、これに併せて、機能調整信号や活動調整信号の優性度合いをそれらの分布率として比較することにより、人の状態(リラックス状態、疲労状態、交感神経優位の状態、副交感神経優位の状態など)をより正確に判定することができる。
図1は、本発明の一の実施形態において用いた生体信号測定手段を示した図である。 図2は、上記実施形態に係る生体信号測定手段の他の態様を示した図である。 図3は、上記生体信号測地手段をシートに組み込む過程を示した図である。 図4は、本発明の一の実施形態に係る生体状態推定装置の構成を示した図である。 図5は、生体信号測定手段により検出した生体信号のピーク値又はゼロクロス地点を用いて、周波数傾き時系列波形を求める方法を説明するための図である。 図6(a)は、睡眠導入実験において、22名の被験者の眠気の無い状態(活性状態)の心部揺動波の原波形を連結したデータの周波数分析結果と、眠気がある状態の心部揺動波の原波形を連結したデータの周波数分析結果を示したものである。図6(b)は、図6(a)に示す眠気の有無の状態別で採取したAPWのゼロクロス検出法、ピーク検出法によって作られた時系列波形の周波数分析した結果を示した図である。 図7(a),(b)は、図6(a)のAPWを傾き時系列波形にしたものを周波数分析した結果を示した図であり、(a)はピーク検出法を利用したもので、(b)はゼロクロス法を利用したものである。 図8は、ピストン・クランク機構に例えた心臓モデル図である。 図9は、ピストン・クランク機構に例えた心臓モデルに関し、大動脈に発生する力の求め方を示した図である。 図10は、図6(a)で示した心部揺動波の連結データを周波数分析し、周波数スペクトルの超低周波数帯域(0〜0.007Hz)を示した図である。 図11は、指尖容積脈波とAPWの周波数分析結果を示した図である。 図12(a)〜(d)は、睡眠導入実験での心部揺動波を状態別に周波数分析した結果を示した図である。 図13(a)〜(c)は、第1周波数傾き時系列解析演算手段から得られるゼロクロス法(0x検出法)を適用した周波数の傾き時系列波形の分析結果を示した図である。 図14(a)〜(c)は、第2周波数傾き時系列解析演算手段から得られるピーク検出法を適用した周波数の傾き時系列波形の分析結果を示した図である。 図15(a)はAPW とAPW をゼロクロス検出処理した波形とゼロクロス検出法による傾き時系列波形の比較を示し、図15(b)は0.0017Hz と0.0035Hz と0.0053Hzのサイン波の合成波とゼロクロス検出法による傾き時系列波形の比較を示し、図15(c)は合成波とゼロクロス検出法による傾き時系列波形の周波数分析結果の比較を示した図である。 図16(a)はAPWとAPWをピーク検出処理した波形とピーク検出法による傾き時系列波形の比較を示し、図16(b)は0.0017Hz と0.0035Hz と0.0053Hz のサイン波の合成波とピーク検出法による傾き時系列波形の比較を示し、図16(c)は合成波とピーク検出法による傾き時系列波形の周波数分析結果の比較を示した図である。 図17(a)〜(c)は、0.0017Hz と0.0033Hz と0.0053Hz の3の周波数成分の分布率の求め方を説明するための図である。 図18(a)〜(c)は、30歳代男性被験者の睡眠導入実験の解析結果を示した図である。 図19は、脳波分布率と心部揺動波の分布率の一致度を説明するための図である。 図20は、睡眠導入実験の代表事例の被験者について、心部揺動波の上記3つの周波数成分の分布率の波形と各被験者の状態との関係を示した図である。 図21は、覚醒状態におけるゼロクロス法による傾き時系列波形のパターンを示した図である。 図22は、図20と図21の結果と人の状態との相関を示した図である。 図23は、図20と図21の結果と人の状態との相関を示した図である。 図24は、心部揺動波(APW)の原波形から判定する方法を示した図である。 図25は、APWのゼロクロス検出法の波形及びピーク検出法の波形と、脳波及び自律神経活動との比較を示した図である。 図26(a),(b)は、図25のAPWのゼロクロス検出法の波形及びピーク検出法の波形を周波数分析して人の状態を判定する方法を説明するための図である。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る生体状態推定装置60の分析対象である生体信号、ここでは心部揺動波(人の上体の背部から検出される心房の動き及び大動脈の揺動に伴う生体信号)を採取する生体信号測定手段1を示した図であり、図3は、該生体信号測定手段1を自動車用のシート100に組み込む過程を示した図である。まず、この生体信号測定手段1について説明する。生体信号測定手段1は、三次元立体編物10、三次元立体編物支持部材15、フィルム16、板状発泡体21,22、振動センサ30を有して構成される。
三次元立体編物10は、例えば、特開2002−331603号公報に開示されているように、互いに離間して配置された一対のグランド編地と、該一対のグランド編地間を往復して両者を結合する多数の連結糸とを有する立体的な三次元構造となった編地である。
一方のグランド編地は、例えば、単繊維を撚った糸から、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織(細目)によって形成され、他方のグランド編地は、例えば、短繊維を撚った糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する編み目構造に形成されている。もちろん、この編地組織は任意であり、細目組織やハニカム状以外の編地組織を採用することもできるし、両者とも細目組織を採用するなど、その組み合わせも任意である。連結糸は、一方のグランド編地と他方のグランド編地とが所定の間隔を保持するように、2つのグランド編地間に編み込んだものである。本実施形態では、三次元立体編物の固体振動、特に、連結糸の弦振動を検出するものであるため、連結糸はモノフィラメントから構成することが好ましいが、採取する生体信号の種類に応じて共振周波数を調整するため、連結糸もマルチフィラメントから構成することもできる。
また、三次元立体編物10は、厚み方向の荷重−たわみ特性が、測定板上に載置して直径30mm又は直径98mmの加圧板で加圧した際に、荷重100Nまでの範囲で、人の臀部の筋肉の荷重−たわみ特性に近似したバネ定数を備えることが好ましい。具体的には直径30mmの加圧板で加圧した際の当該バネ定数が0.1〜5N/mmの範囲、又は、直径98mmの加圧板で加圧した際の当該バネ定数が1〜10N/mmであるものを用いることが好ましい。人の臀部の筋肉の荷重−たわみ特性に近似していることにより、三次元立体編物と筋肉とが釣り合い、心拍、呼吸、心房や大動脈の揺動などの生体信号が伝播されると、三次元立体編物が人の筋肉と同様の振動を生じることになり、生体信号を大きく減衰させることなく伝播できる。
このような三次元立体編物としては、例えば、以下のようなものを用いることができる。なお、各三次元立体編物は、必要に応じて複数枚積層して用いることもできる。
(1)製品番号:49076D(住江織物(株)製)
材質:
表側のグランド編地・・・300デシテックス/288fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸と700デシテックス/192fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸との撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸と350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントとの組み合わせ
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(2)製品番号:49011D(住江織物(株)製)
材質:
グランド編地(縦糸)・・・600デシテックス/192fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸
グランド編地(横糸)・・・300デシテックス/72fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸
連結糸・・・・・・・・・800デシテックス/1fのポリエチレンテレフタレートモノフィラメント
(3)製品番号:49013D(住江織物(株)製)
材質:
表側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(4)製品番号:69030D(住江織物(株)製)
材質:
表側のグランド編地・・・450デシテックス/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸と350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントとの組み合わせ
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(5)旭化成せんい(株)製の製品番号:T24053AY5−1S
板状発泡体21,22は、ビーズ発泡体により構成することが好ましい。ビーズ発泡体としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか少なくとも一つを含む樹脂のビーズ法による発泡成形体が用いることができる。ビーズ発泡体からなる板状発泡体21,22は、個々の微細なビーズを構成している発泡により形成された球状の樹脂膜の特性により、微小な振幅を伴う生体信号を膜振動として伝播する。この膜振動が三次元立体編物に弦振動として伝わり、これらの膜振動と弦振動が重畳され、生体信号は、膜振動と弦振動が重畳されることによって増幅された機械振動として、後述する振動センサ30により検出される。従って、生体信号の検出が容易になる。
板状発泡体21,22をビーズ発泡体から構成する場合、発泡倍率は25〜50倍の範囲で、厚さがビーズの平均直径以下に形成されていることが好ましい。例えば、30倍発泡のビーズの平均直径が4〜6mm程度の場合では、板状発泡体21,22の厚さは3〜5mm程度にスライスカットする。これにより、板状発泡体21,22に柔らかな弾性が付与され、振幅の小さな振動に共振した固体振動を生じやすくなる。なお、板状発泡体21,22は、本実施形態のように、三次元立体編物10を挟んで両側に配置されていても良いが、いずれか片側、好ましくは、シートバック側のみに配置した構成とすることもできる。
ここで、三次元立体編物10は、幅40〜100mm、長さ100〜300mmの範囲の短冊状のものが用いられる。この大きさのものだと、三次元立体編物10に予備圧縮(連結糸に張力が発生する状態)を生じやすくなり、人と三次元立体編物10との間で平衡状態が作りやすい。本実施形態では、人が背部が当接した際の違和感軽減のため、脊柱に対応する部位を挟んで対象に2枚配設するようにしている。三次元立体編物10を簡単に所定位置に配置するようにするため、図1に示したように、三次元立体編物10は三次元立体編物支持部材15に支持させた構成とすることが好ましい。三次元立体編物支持部材15は、板状に成形され、脊柱に対応する部位を挟んで対称位置に、縦長の配置用貫通孔15a,15aが2つ形成されている。三次元立体編物支持部材15は、上記板状発泡体21,22と同様に、板状に形成されたビーズ発泡体から構成することが好ましい。三次元立体編物支持部材15をビーズ発泡体から構成する場合の好ましい発泡倍率、厚さの範囲は上記板状発泡体21,22と同様である。但し、生体信号により膜振動をより顕著に起こさせるためには、三次元立体編物10,10の上下に積層される板状発泡体21,22の厚さが、三次元立体編物支持部材15の厚さよりも薄いことが好ましい。
三次元立体編物支持部材15に形成した配置用貫通孔15a,15aに、2つの三次元立体編物10,10を挿入配置した状態で、三次元立体編物10,10の表側及び裏側にフィルム16,16を積層する。本実施形態では、配置用貫通孔15a,15aの周縁部にフィルム16,16の周縁部を貼着して積層する。なお、配置用貫通孔15a,15aの形成位置(すなわち、三次元立体編物10,10の配設位置)は、心房と大動脈(特に、「下行大動脈」)の拍出に伴う動きによって生じる揺れ及び大動脈弁の動きを検知可能な領域に相当する位置とすることが好ましい。この結果、三次元立体編物10,10は、上下面が板状発泡体21,22によりサンドイッチされ、周縁部が三次元立体編物支持部材15によって取り囲まれており、板状発泡体21,22及び三次元立体編物支持部材15が共振箱(共鳴箱)の機能を果たす。なお、大動脈の壁は、動脈の中でも弾力性に富んでおり、心臓から直接送り出される血液の高い圧力を受け止めることができ、また、心臓の左心室からでたばかりのところには逆流防止の弁である大動脈弁がある。このため、三次元立体編物の位置を上記の位置にすると、生体の定常性維持のための脳と自律神経系の負のフィードバック機構の動きをよく捉えることができる。
また、三次元立体編物支持部材15よりも、三次元立体編物10,10の方が厚いものを用いることが好ましい。つまり、三次元立体編物10,10を配置用貫通孔15a,15aに配置した場合には、三次元立体編物10,10の表面及び裏面が、該配置用貫通孔15a,15aよりも突出するような厚さ関係とする。これにより、フィルム16,16の周縁部を配置用貫通孔15a,15aの周縁部に貼着すると、三次元立体編物10,10は厚み方向に押圧されるため、フィルム16,16の反力による張力が発生し、該フィルム16,16に固体振動(膜振動)が生じやすくなる。一方、三次元立体編物10,10にも予備圧縮が生じ、三次元立体編物の厚さ形態を保持する連結糸にも反力による張力が生じて弦振動が生じやすくなる。なお、フィルム16,16は、三次元立体編物10,10の表側及び裏側の両側に設けることが好ましいが、いずれか少なくとも一方に設けた構成とすることも可能である。
三次元立体編物10,10の連結糸は、一対のグランド編地間に掛け渡されるため、いわばコイル状に巻かれた長い弦となり、上下の節点に共振箱(共鳴箱)の機能を果たすフィルム16,16及び板状発泡体21,22が配設されている。心拍変動に代表される生体信号は、低周波であるため、このような長い弦と多数の節点を備えた共振システムにより増幅される。つまり、連結糸の弦振動が多数の節点を介してフィルム16,16の膜振動及び板状発泡体21,22のビーズの膜振動を起こさせ、これらが重畳して作用し、増幅される。なお、三次元立体編物の連結糸の節点間の間隔、すなわち、連結糸の配置密度は高いほど好ましい。
また、フィルム16,16を板状発泡体21,22側に予め貼着して一体化しておき、板状発泡体21,22を三次元立体編物支持部材15に積層するだけで、フィルム16,16を三次元立体編物10,10の表側及び裏側に配置できる構成とすることも可能である。但し、三次元立体編物10,10に予備圧縮を付与するためには、上記のように、フィルム16,16を三次元立体編物支持部材15の表面に固着することが好ましい。また、図1のように、三次元立体編物10毎に対応してフィルムを配設するのではなく、図2に示したように、2つの三次元立体編物10,10を両方とも覆うことのできる大きさのフィルム16を用いるようにしてもよい。
フィルム16,16としては、例えば、心拍変動を捉えるには、ポリウレタンエラストマーからなるプラスチックフィルム(例えば、シーダム株式会社製、品番「DUS605−CDR」)を用いることが好ましい。但し、フィルム16,16は固有振動数が合致すれば共振による膜振動を生じるため、これに限るものではなく、採取する対象(心拍、呼吸、心房や大動脈の揺動等)に応じた固有振動数を有するものを使用することが好ましい。例えば、後述の試験例で示したように、伸縮性の小さい素材、例えば、熱可塑性ポリエステルからなる不織布(例えば、帝人(株)製のポリエチレンナフタレート(PEN)繊維(1100dtex)から形成した2軸織物(縦:20本/inch、横:20本/inch))を用いることも可能である。また、例えば、伸度2 0 0 % 以上、1 0 0 % 伸長時の回復率が8 0 % 以上である弾性繊維不織布( 例えば、K B セーレン( 株) 製、商品名「エスパンシオーネ」) を用いることも可能である。
振動センサ30は、上記したフィルム16,16を積層する前に、いずれか一方の三次元立体編物10に固着して配設される。三次元立体編物10は一対のグランド編地と連結糸とから構成されるが、各連結糸の弦振動がグランド編地との節点を介してフィルム16,16及び板状発泡体21,22に伝達されるため、振動センサ30は感知部30aを三次元立体編物10の表面(グランド編地の表面)に固着することが好ましい。振動センサ30としては、マイクロフォンセンサ、中でも、コンデンサ型マイクロフォンセンサを用いることが好ましい。本実施形態では、マイクロフォンセンサを配置した部位(すなわち、三次元立体編物10を配置した配置用貫通孔15a)の密閉性を考慮する必要がないため、マイクロフォンセンサのリード線の配線は容易に行うことができる。本実施形態では、上記したように、生体信号に伴う人の筋肉を介した体表面の振動は、三次元立体編物10だけでなく、板状発泡体21,22、フィルム16にも伝播され、それらが振動(弦振動、膜振動)して重畳されて増幅する。よって、振動センサ30は、三次元立体編物10に限らず、振動伝達経路を構成する板状発泡体21,22及びフィルム16に、その感知部30aを固定することもできる。なお、本実施形態では、三次元立体編物10、三次元立体編物支持部材15、板状発泡体21,22、フィルム16が生体信号を機械的に増幅させるため、これらが機械的増幅デバイスを構成する。
上記した生体信号測定手段1は、例えば、図3に示したように、自動車用シート100のシートバックフレーム110に被覆される表皮120の内側に配置される。なお、配置作業を容易にするため、生体信号測定手段1を構成する三次元立体編物10、三次元立体編物支持部材15、フィルム16、板状発泡体21,22、振動センサ30等は予めユニット化しておくことが好ましい。
上記した生体信号測定手段1は、三次元立体編物10と三次元立体編物10の周辺に積層される板状発泡体21,22とを備えた機械的増幅デバイス、好ましくは、三次元立体編物10と板状発泡体21,22との間にフィルム16が配設された機械的増幅デバイスを有し、この機械的増幅デバイスに振動センサが取り付けられた構成である。心拍、呼吸、心房や大動脈の揺動などの人の生体信号による体表面の微小振動は、板状発泡体21,22、フィルム16及び三次元立体編物10に伝播されるが、板状発泡体21,22及びフィルム16では膜振動を生じ、三次元立体編物には糸の弦振動を生じさせる。
さらに言えば、三次元立体編物10は、一対のグランド編地間に連結糸が配設されてなるが、人の筋肉の荷重−たわみ特性に近似した荷重−たわみ特性を備えている。従って、三次元立体編物10を含んだ機械的増幅デバイスの荷重−たわみ特性を筋肉のそれに近似させたものにして、それを筋肉に隣接して配置されることで、筋肉及び三次元立体編物間の内外圧差が等しくなり、心拍、呼吸、心房や大動脈の揺動などの生体信号を正確に伝えることができ、これにより、三次元立体編物10を構成する糸(特に、連結糸)に弦振動を生じさせることができる。また、三次元立体編物10に積層された板状発泡体21,22、好ましくはビーズ発泡体は、ビーズの有する柔らかな弾性と小さな密度により各ビーズに膜振動が生じやすい。フィルム16は、周縁部を固定し、人の筋肉の荷重−たわみ特性に近似する三次元立体編物で弾性支持することにより、所定の張力が生じるため、膜振動が生じやすい。すなわち、生体信号測定手段1によれば、心拍、呼吸、心房や大動脈の揺動などの生体信号により、筋肉の荷重−たわみ特性に近似する荷重−たわみ特性をもつ機械的増幅デバイス内の板状発泡体21,22やフィルム16に膜振動が生じると共に、人の筋肉の荷重−たわみ特性に近似した荷重−たわみ特性を有する三次元立体編物10に弦振動が生じる。そして、三次元立体編物10の弦振動は再びフィルム16等の膜振動に影響を与え、これらの振動が重畳して作用する。その結果、生体信号に伴って体表面から入力される振動は、弦振動と膜振動との重畳によって増幅された固体振動として直接振動センサ30により検出されることになる。
本発明で使用する生体信号測定手段1としては、従来のように密閉袋内の空気圧変動を検出する構成としたものを用いることも可能であるが、体積と圧力が反比例関係にあるため、密閉袋の体積を小さくしないと圧力変動を検出しにくい。これに対し、上記した生体信号測定手段1によれば、空気圧変動ではなく、上記のように、機械的増幅デバイス(三次元立体編物10、板状発泡体21,22、フィルム16)に伝播される増幅された固体振動を検出するものであるため、その容積(体積)が検出感度の観点から制限されることはほとんどなく、心拍、呼吸、心房や大動脈の揺動等に伴う振幅の小さな振動を感度良く検出できる。このため、多様な体格を有する人に対応できる。従って、上記生体信号測定手段1は、乗物用シートのように、多様な体格を有する人が利用し、さらに多様な外部振動が入力される環境下においても感度良く生体信号を検出できる。また、密閉構造を作る必要がないため、製造工程が簡素化され、製造コストも下げることができ、量産に適している。
なお、上記した生体信号測定手段1は、シート100の表皮120の内側に組み込んでいるが、表皮120の表面に後付で取り付けるシート用クッションに組み込むようにしてもよい。但し、後付で取り付ける場合は、三次元立体編物が体重により予備圧縮が生じやすいように、シートと三次元立体編物との間に、硬い面を設けることが、例えば、面剛性の高い三次元立体編物、あるいは、ポリプロピレンなどの合成樹脂製の厚さ1〜2mm程度のプレートを挿入するなどすることが好ましい。例えば、柔らかい圧縮特性をもつシートの場合、三次元立体編物が予備圧縮されず、そのために生体信号が反射されずに吸収されてしまうが、上記のような硬い面を設けることにより、このようなシート側の圧縮特性のばらつきが吸収され、振幅の大きな生体信号がとりやすくなる。
次に、生体状態推定装置60の構成について図4に基づいて説明する。生体状態推定装置60は、周波数演算手段として、第1周波数演算手段610と第2周波数演算手段620を有し、周波数傾き時系列演算手段として第1周波数傾き時系列解析演算手段630と第2周波数傾き時系列解析演算手段640を有している。また、スペクトル時系列変化演算手段650と、分布率波形演算手段660と、判定手段670を有して構成される。生体状態推定装置60は、コンピュータから構成され、周波数演算ステップを構成する第1周波数演算ステップと第2周波数演算ステップ、周波数傾き時系列演算ステップを構成する第1周波数傾き時系列解析演算ステップと第2周波数傾き時系列解析演算ステップ、スペクトル時系列変化演算ステップ、分布率波形演算ステップ、判定ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムが設定されている。なお、コンピュータプログラムは、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD−ROM、メモリカードなどの記録媒体へ記憶させて提供することもできるし、通信回線を通じて伝送することも可能である。
第1及び第2周波数演算手段610,620は、生体信号測定手段1の振動センサ30から得られ出力信号の時系列データ、好ましくは、フィルタリング処理(例えば、体動などにより生じた0.01Hz以下の低周波成分を除去するフィルタリング処理)された所定の周波数領域の時系列データにおける周波数の時系列波形を求める。このうち、第1周波数演算手段610は、交感神経機能の指標として用いられるLF/HFに関するもので、第2周波数演算手段620は、副交感神経機能の指標として用いられるHFに関するものである。
具体的には、第1周波数演算手段610は、生体信号測定手段1の振動センサから得られる出力信号の時系列波形において、正から負に切り替わる地点(以下、「ゼロクロス地点」という)を用いて周波数の時系列波形を求める方法(以下、「ゼロクロス法」という)である。このゼロクロス法は、生体信号の周波数の基本成分を捉えるものであり、周波数調節における負のフィードバック機構である中枢における調節機能の作用により周波数平衡状態となっているか否かを示すもので、LF/HFの発現の強弱レベルを示す。この方法では、まず、ゼロクロス地点を求めたならば、それを例えば5秒毎に切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形のゼロクロス地点間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する(図5の[1]のステップ)。そして、この5秒毎に得られる周波数Fをプロットすることにより、周波数の時系列波形を求める(図5の[2]のステップ)。
第2周波数演算手段620は、生体信号測定手段1の振動センサから得られる出力信号の時系列波形を平滑化微分して極大値(ピーク)を用いて時系列波形を求める方法(以下、「ピーク検出法」という)である。ピーク検出法は、基本的にはHFの機能に相当する時系列波形である。例えば、SavitzkyとGolayによる平滑化微分法により極大値を求める。次に、例えば5秒ごとに極大値を切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形の極大値(波形の山側頂部)間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する(図5の[1]のステップ)。そして、この5秒毎に得られる周波数Fをプロットすることにより、周波数の時系列波形を求める(図5の[2]のステップ)。
第1及び第2周波数傾き時系列解析演算手段630,640は、第1及び第2周波数演算手段610,620によって、ゼロクロス法又はピーク検出法を用いて得られた生体信号測定手段1の振動センサの出力信号の周波数の時系列波形から、所定の時間幅の時間窓を設定し、時間窓毎に最小二乗法により振動センサの出力信号の周波数の傾きを求め、その時系列波形を出力する構成である。具体的には、まず、ある時間窓Tw1における周波数の傾きを最小二乗法により求めてプロットする(図5の[3],[5]のステップ)。次に、オーバーラップ時間Tl(図5の[6]のステップ)で次の時間窓Tw2を設定し、この時間窓Tw2における周波数の傾きを同様に最小二乗法により求めてプロットする。この計算(移動計算)を順次繰り返し、エアパック信号の周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する(図5の[8]のステップ)。なお、時間窓Twの時間幅は180秒に設定することが好ましく、オーバーラップ時間Tlは162秒に設定することが好ましい。これは、本出願人による上記特許文献3(WO2005/092193A1公報)において示したように、時間窓Twの時間幅及びオーバーラップ時間Tlを種々変更して行った睡眠実験から、特徴的な信号波形が最も感度よく出現する値として選択されたものである。
また、上記したように、心房細動のゆらぎの特性は0.0033Hzで切り替わり、0.0033Hzのゆらぎを調整するためのゆらぎが、0.0033Hz近傍以下に存在すると言われている。従って、0Hzと0.0033Hzの中間である0.0017Hzを中心としたゆらぎの状態を見ると、ばらつきが生じたとしても0.0033Hz以下に生じるゆらぎの状態の概要が現れると考えられる。0.0017Hzの波形の1/4周期にあたる時間は147秒である。90%ラップ状態で波形をスムージングするとして、前後の10%の時間を加算すると、147/0.8=約180秒となり、この点からも180秒とすることが好ましいと言える。ここに、180秒、3 分間で変化していく様子、変化の傾向、微分係数、傾きを時系列波形として捉える。そして180 秒間の平均値である傾きを、スムージングさせるために180 秒間の時間を90%ラップさせて、18 秒毎にプロットしていき時系列波形を作り、この傾きの時系列波形を使って解析を行う。この傾き時系列波形は恒常性のゆらぎを捉えるもので、心拍変動の制御の程度を時系列波形として大局的に評価するものである。
なお、第1周波数傾き時系列解析演算手段630は、ゼロクロス法を用いた第1周波数演算手段610の周波数の時系列波形から周波数傾き時系列波形を求める手段であり、第2周波数傾き時系列解析演算手段640は、ピーク検出法を用いた第2周波数演算手段620の周波数の時系列波形から周波数傾き時系列波形を求める手段である。ゼロクロス法(0x検出法)を用いた第1周波数傾き時系列解析演算手段630により得られる周波数傾き時系列波形は、交感神経及び副交感神経の発現のバランスを捉えた生体のゆらぎを示すものであり、ピーク検出法を用いた第2周波数傾き時系列解析演算手段640により求めた時系列波形は、副交感神経の状態を捉えた生体のゆらぎを示すものである。
スペクトル時系列変化演算手段650は、第1周波数傾き時系列解析演算手段630から得られる周波数傾き時系列波形、第2周波数傾き時系列解析演算手段640から得られる周波数傾き時系列波形をそれぞれ周波数解析し、上記した機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する各周波数のパワースペクトルを求める手段である。
分布率波形演算手段660は、スペクトル時系列変化演算手段650により得られたパワースペクトルの時系列変化から、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する周波数成分を抜き出し、この3つの周波数成分のパワースペクトルの値の合計を100とした際の3つの各周波成分の割合を時系列に算出し、その時系列変動波形を分布率波形として求める。ここで、本実施形態では、上記したように、0.0017Hzを機能調整信号とし、0.0035Hzを疲労受容信号とし、0.0053Hzを活動調整信号とした。この周波数の妥当性については、後述の試験例でさらに詳述する。
判定手段670は、分布率波形演算手段660により得られた分布率波形における上記した3つの各周波成分の波形変化パターンを特定し、特定した波形変化パターンを、予め記憶部に記憶している波形変化パターンと人の状態との相関データに照らし、人の状態を判定する。
波形変化パターンとしては、機能調整信号(0.0017Hz)と疲労受容信号(0.0035Hz)とが逆位相となって現れるパターン、機能調整信号(0.0017Hz)と疲労受容信号(0.0035Hz)とが逆位相となって現れ、かつ、活動調整信号(0.0053Hz)が所定以上の分布率となっているパターンが挙げられる。これらの波形変化パターンは、予め生体状態判定装置1の記憶部(ハードディスク等)に記憶されている。記憶部には、波形変化パターンと人の状態との相関データも記憶されている。判定手段670が、測定中の所定時間帯における3つの信号の波形変化パターンを、記憶されている波形変化パターンと比較し、いずれのパターンに相当するかを特定する。そして、上記相関データから、特定した波形変化パターンに対応する人の状態を判定する。
試験例
(試験内容)
図1に示した生体信号測定手段1を、(株)デルタツーリング製、シートクッションである商品名「ツインランバー」の背部の裏側に積層し、屋内に設置した自動車用シートに取り付け、被験者を着座させ、座位姿勢での心房や大動脈の揺動による生体信号(以下、「心部揺動波」というが、「APW」と略記する場合もある)を採取し、睡眠導入実験を行った。なお、生体信号測定手段1を構成する板状発泡体21,22及び三次元立体編物支持部材15は、ビーズの平均直径が約5mmで、厚さ3mmにスライスカットしたビーズ発泡体を用いた。三次元立体編物10は、住江織物(株)製、製品番号:49011Dで、厚さ10mmのものであった。フィルム16は、シーダム株式会社製、品番「DUS605−CDR」を用いた。
睡眠導入実験は、人通りの無い屋内の隔離された空間で、実験開始30分間は眠気に耐えて覚醒状態を維持することを義務付けた。その後、30分間以降は各自に意志に任せ、眠たい人は眠りに入り、まだ頑張り続けられる人は頑張っても良いというものである。ただし、入眠すると即起床させた。
睡眠導入実験では、心部揺動波の採取に併行して、従来の医学的指標、脳波・心電図・指尖容積脈波の採取も行った。脳波は、脳波測定器(「日本光電工業(株)、EEG−9100、ニューロファックスμ」を使用し、指尖容積脈波は、指尖容積脈波計((株)アムコ製、フィンガークリッププローブ SR−5C)を装着して測定した。
図6(a)は、睡眠導入実験において、22名の被験者の眠気の無い状態(覚醒期)の心部揺動波の原波形を連結したデータの周波数分析結果と、眠気のある状態(入眠に対する抵抗時期)の心部揺動波の原波形を連結したデータの周波数分析結果を示したものである。
覚醒期では0.6Hzと1.2Hzにピークがあることから、0.6Hzと1.2Hzが、心臓の運動と脈波の成分であり、これらにより心拍数が制御されていると考えられる。ところが、疲労が進行し、眠気が生じると、交感神経の代償作用により、心臓の運動が安定し、脈波と心臓の1.2Hzの運動が優位になる。より高周波で制御することにより心臓を動かすためのエネルギーが最小限ですむ。つまり、疲れているときに長く身体の機能を維持しようするため、消費するエネルギーを少なすることで恒常性を維持していると考えられる。心臓の運動と脈波の成分が表れるAPWは、心拍数の1/3〜1/2の周波数成分を中心とする帯域(0.5次)、心拍数の帯域(1次)、及び、心拍数の2倍の成分(2次)の3つで主に構成されている。これは、カオス性の低下を示す。低次元カオスはエネルギー消費が少なくなるため、力学的エネルギーの消費が最小限に抑えられる。
図6(b)は、図6(a)に示す眠気の有無の状態別で採取したAPWのゼロクロス検出法、ピーク検出法によって作られた時系列波形の周波数分析した結果を示す。心拍数成分に連動するピーク検出法によるものを0.25Hz(1/4Hz)以上に配し、心拍数の1/3〜1/2成分(1/8〜1/12Hz)を主体とする成分を示す。ゼロクロス検出法によるものは0.25Hz以下に配した。図6(a)の傾向に連動している様子がよくわかる。
図7(a),(b)は、図6(a)のAPWを傾き時系列波形にしたものを周波数分析した結果を示し、(a)はピーク検出法を利用したもので、(b)はゼロクロス法を利用したものである。図6(a),(b)と比較して、眠気の無い状態と眠気のある状態との間での差は少ないものの、図6(a),(b)との連動の傾向は維持されている。
なお、心臓の運動と大動脈で発生する脈波(心部揺動波(APW))の運動について、図8に示したような心臓モデルを想定し、ピストン・クランク機構に例えて、大動脈に発生する力を求めると、図9に示したようになる。すなわち、心室の拡張と収縮を周期として変化を繰り返す項と、その半分の周期を持つ項の和から求められ、図6(a)の1次・2次慣性力成分と一致する。
図10は図6(a)で示した心部揺動波の連結データを周波数分析し、周波数スペクトルの超低周波数帯域(0〜0.007Hz)を示したものである。覚醒期に対し、入眠に対する抵抗期(眠気ありの状態)では低周波成分が小さくなっており、超低周波領域でも全体の変化を反映していることがわかる。図10から、0.0015Hz、0.0023Hz、0.003Hzで変動があることがわかるが、このことから、心・循環系動態の切り替えポイントが0.0035Hz以下にあると言える。心房細動の切り替えポイントが上記したように0.0033Hzであることからもその可能性は高い。
図11は、指尖容積脈波とAPWの周波数分析結果を示す。指尖容積脈波は二次慣性力による高周波成分に特徴があり、APWは低周波成分(矢印a)に示す帯域に特徴があることがわかる。
図12は睡眠導入実験での心部揺動波を状態別に周波数分析した結果を示す。覚醒から入眠に至るにつれ心拍成分の1/2の周波数帯域のパワースペクトルが小さくなり、心拍成分のスペクトルのピークが低周波へ移行し、覚醒した後の眠気のある状態ではまたもとの状態に戻っている。状態が変わると同時に、心・循環系の動態を変えていることが示唆される。ここでも0.5次、1次、2次成分がよく表れている。
図13及び図14は睡眠導入実験での心部揺動波の周波数の傾き時系列波形を周波数分析した結果である。図13は、第1周波数傾き時系列解析演算手段630から得られるゼロクロス法(0x検出法)を適用した周波数の傾き時系列波形の分析結果であり、図14は、第2周波数傾き時系列解析演算手段640から得られるピーク検出法を適用した周波数の傾き時系列波形の分析結果である。
図13(a)及び図14(a)は、睡眠導入実験の被験者22名の各被験者のスペクトルを示し、図13(b)及び図14(b)は、図13(a)及び図14(a)のスペクトルを0.0001Hzごとに積算した結果を示す。図13(c)及び図14(c)は睡眠導入実験の被験者36名分の周波数の傾き時系列波形を1つのデータに連結した後、周波数分析した結果である。図6の心部揺動波の原波形の周波数分析結果と比較して、周波数の傾き時系列波形の周波数分析結果の方がパワースペクトルの分別感度が高いことがわかる。
図13(a),(b)及び図14(a),(b)から、バラツキの中心を最低周波数の帯域で求めると0.0017Hzとなり、次の帯域では0.0033Hzに中心があり、次の帯域では0.0053Hzに中心があるとして境界線を引いてみた。すると、図13(c),図14(c)でも同様の傾向がみられた。すなわち、0.0017Hz、0.0035Hz、0.0053Hzの三つ周波数帯を中心とする極超低周波帯域において変動が認められることがわかる。また、0.0017Hz〜0.0053Hzの帯域で変動するゆらぎは、体調や疲労の進行度合いに応じて変化しており、これらの変化の仕方により、人の状態を捉えられると考えられる。つまり心臓の恒常性維持機能は3分間を中心とした非常に低周波の周波数帯の中でバラツキを持って存在する可能性が示唆された。
ここで逆に、3 つの周波数(0.0017Hz、0.0033Hz、0.0053Hz)からAPW が求められるかを検討する。図15(a)はAPW とAPW をゼロクロス検出処理した波形とゼロクロス検出法による傾き時系列波形の比較を示す。図15(b)は0.0017Hz と0.0035Hz と0.0053Hzのサイン波の合成波とゼロクロス検出法による傾き時系列波形の比較を示す。図15(c)は合成波とゼロクロス検出法による傾き時系列波形の周波数分析結果の比較を示す。図16(a)はAPWとAPWをピーク検出処理した波形とピーク検出法による傾き時系列波形の比較を示す。図16(b)は0.0017Hz と0.0035Hz と0.0053Hz のサイン波の合成波とピーク検出法による傾き時系列波形の比較を示す。図16(c)は合成波とピーク検出法による傾き時系列波形の周波数分析結果の比較を示す。0.0017Hz と0.0033Hz と0.0053Hz のサイン波の合成波とAPW の傾き時系列波形は近似していることから、0.0017Hz、0.0033Hz、0.0053Hzは恒常性維持のための制御の程度をよく示していると考えられる。
次に、3の周波数成分の分布率の求め方を具体的に説明する。まず、図17(a)に示したように、第1周波数傾き時系列解析演算手段630又は第2周波数傾き時系列解析演算手段640により、ゼロクロス法(0x検出法)又はピーク検出法を用いた周波数傾き時系列波形を求める。次に、スペクトル時系列変化演算手段640により、図17(b)に示したように、各周波数のスペクトルの時系列変化を求め、スペクトログラムを求める。次に、分布率波形演算手段660が、パワースペクトルの時系列変化であるスペクトログラムから、0.0017Hz、0.0035Hz、0.0053Hzの3つの周波数成分を抜き出し、図17(c)に示したように、3成分の各パワースペクトルの値の合計を100としてそれぞれの割合の変動率を分布率として求める。
図18は、30歳代男性被験者の睡眠導入実験の解析結果である。図18(a)は、脳波のθ波(4〜7Hz)、α波(8〜13Hz)、β波(18〜30Hz)の分布率の時系列変化を示した図である。図18(b)は指尖容積脈波をウエーブレット解析して求めた交感神経と副交感神経の出現度合いを示した図である。図18(c)は、心部揺動波を測定し、ゼロクロス法(0x検出法)による周波数傾き時系列波形を求め、この時系列波形から上記のようにして求めた0.0017Hz、0.0035Hz、0.0053Hzの分布率の時系列変化示した図である。
図18(a)から、実験開始後33分からα波に乱れが生じ、34分から低下傾向を示し、θ波が20%を超えて急激に上昇していることから、この時点で眠気が発現し、45分経過時点ではα波が50%を下回り、θ波が20%を超え、その後安定的に推移している。よって、脳波の分布率の時系列変化から45分で入眠したと判断できる。これを図18(b)で見ると、実験開始後32分を境にして交感神経優位な状態から副交感神経優位な状態に移行し、39分には入眠予兆を示す交感神経のバースト波が生じており、脳波による判定とほぼ同様の傾向を示している。
一方、図18(c)では、実験開始後34分に0.0053Hzの分布率が一番小さくなり、0.0017Hzと0.0035Hzの分布率が逆位相となっている。また、42分付近で0.0053Hzの急上昇が見られる。これを図18(a),(b)に照らすと、0.0017Hzと0.0035Hzの分布率の逆位相は入眠予兆現象を示すものであると言える。また、図18(b)から明らかなように、入眠予兆現象時にLF/HF(交感神経)の一過性の上昇が見られることから、図18(c)における0.0053Hzの急上昇は、交感神経活動を反映しているものと考えられる。
図18(a)の脳波の分布率の変動と図18(c)の心部揺動波の3つの周波数成分の分布率の変動をさらに比較すると、α波とθ波の急激な変化を繰り返し示している32分から44分にかけて、0.0017Hzはθ波と、0.0035Hzはα波と、0.0053Hzはβ波と同じ傾向を示した。一次元テンプレートマッチングを用い、図18(a)の脳波の分布率の変動と図18(c)の心部揺動波の3つの周波数成分の分布率の変動の一致度を示す指標(Mk)を次式:
Mk=Σ(G(i)−T(j))/N
により求めた。
なお、G(i)は比較検証データである心部揺動波の分布率を与え、T(i)はテンプレート波形である脳波分布率を与えた。結果を図19に示す。この指標Mkは、値が小さいほど一致度が大きいが、図19から、0.0017Hzがθ波に、0.0035Hzがα波に、0.0053Hzがβ波に近似していることがわかる。
また、睡眠導入実験の22名の被験者の脳波の分布率と心部揺動波の上記3つの周波数成分の分布率とを比較し、脳波のθ波及びα波の上昇、心部揺動波の0.0017Hz及び0.0035Hzの上昇が共に現れた箇所を調べた。その結果、θ波の上昇時に、0.0017Hzの上昇は16箇所に現れ、0.0035Hzの上昇は7箇所に現れた。α波の上昇時には、0.0017Hzの上昇は5箇所に現れ、0.0035Hzの上昇は13箇所に現れた。このことからも、θ波と0.0017Hzの相関性が高く、α波と0.0035Hzの相関性が高い。α波は安静時やリラックス状態で出現するとされており、0.0035Hzのゆらぎは副交感神経活動に連動していると考えられるが、このことは、図18(b)において副交感神経優位の時間帯において、図18(c)では、0.0035Hzの分布率が高いことからもわかる。
次に、睡眠導入実験の代表事例の被験者について、心部揺動波の上記3つの周波数成分の分布率の波形と各被験者の状態について分析した。3つの周波数成分はゼロクロス法(0x検出法)とピーク検出法(peak検出法)によりそれぞれ算出し、ゼロクロス法(0x検出法)とピーク検出法(peak検出法)の少なくとも一方の分布率波形において、0.0017Hzと0.0035Hzが逆位相になっている時間帯とその時間帯における被験者の状態を比較した。結果を図20に示す。
図20から、0.0017Hzと0.0035Hzが逆位相になっている時間帯では、被験者がウトウトしていたり、入眠していたりする人数が相対的に多くなっている。
また、逆位相の時間帯において、0.0017Hzが0.0035Hzよりも分布率が高い場合(APW(1))、0.0035Hzが0.0017Hzよりも分布率が高い場合(APW(2))、0.0017Hzの分布率が高い時間帯と0.0035Hzの分布率が高い時間帯とが連続的に生じた場合(APW(3))、0.0017Hzと0.0035Hzの逆位相が生じていてかつ0.0053Hzが上昇が生じた場合(APW(4))について、その後入眠に至ったか否かを調べた。
その結果、図20に示したように、APW(1)が55.6%、APW(2)が66.7%、APW(3)が50%、APW(4)が72.2%であった。従って、APW(1)の波形変化パターンを「弱い眠気」の状態、APW(2)の波形変化パターンを「強い眠気」の状態、APW(3)の波形変化パターンを「眠気に抵抗」している状態、APW(4)の波形変化パターンを「入眠予兆」の状態とした相関データを記憶部に記憶させておく。判定手段670は、波形変化パターンを特定したならば、上記の波形変化パターンのいずれに該当するかを特定し、人の状態を判定する。
なお、図20に示したように、3つの周波数成分はゼロクロス法(0x検出法)とピーク検出法(peak検出法)のいずれで算出した場合も眠気、入眠予兆の判定は可能であり、いずれを用いてもよいが、感度の高さに個人差もあるため、個人毎にいずれを用いるかを設定してもよい。また、常に両方を用い、両者ともに逆位相が現れた場合に、眠気、入眠予兆現象と判定するようにすることもできる。但し、本発明の生体信号測定手段を自動車などに配置して居眠り検知に利用する場合、いずれか一方において逆位相が現れただけでも、眠気、入眠予兆と判定するようにすると、居眠りの予防により効果的と考えられる。
一方、図21は、覚醒状態におけるゼロクロス法による傾き時系列波形のパターンを示した図であり、波形と心理判定(覚醒しているか、軽い眠気を感じているか)との比較を示している。
図22は、図20における心理判定(APW(+))の中で、「覚醒」と判定されたものを「Awake」、「ウトウト・眠気」及び「入眠」と判定されたものを「Sleep」とし、図21における心理判定(APW(−))の中で、「覚醒」と判定されたものを「Awake」、「軽い眠気」と判定されたものを「Sleep」として相関を示したものである。その結果、X(カイ2乗値)=30.98であり、自由度1の場合のP=5%の値である3.841より大きいので、APW(−)とAPW(+)の間には有意差があるといえる。
図23は、図20における心理判定(APW(+))の中で、APW(1)(2)(3)(4)の中で入眠に至った事例と入眠に至らなかった事例の数、及び、図21における心理判定(APW(−))の中で、入眠に至った事例と入眠に至らなかった事例をまとめたものである。その結果、X(カイ2乗値)=26.97であり、自由度2の場合のP=5%の値である5.991より大きいので、APW(−)とAPW(1)(2)(3)とAPW(4)の間には有意差があるといえる。
図24は、心部揺動波(APW)の原波形から判定する方法を示した図である。すなわち、遷移状態(眠気が生じた状態と入眠予兆現象を発現した状態)と定常状態(覚醒状態)をAPWの原波形の周波数分析結果のパワースペクトルの高さの比から判定したものである。遷移状態は、心拍変動の平均周波数をf0 とした場合、1/3f0〜1/2f0 の周波数のピーク値をf0 のピーク値で割った値が50%以上の場合と定義した。この結果、定常状態と遷移状態の判定は、バラツキはあるもののAPWの原波形からも同定できる。
図25は、APWのゼロクロス検出法の波形及びピーク検出法の波形と、脳波及び自律神経活動との比較を示したものであり、図26(a),(b)は、図25のAPWのゼロクロス検出法の波形及びピーク検出法の波形を周波数分析し、睡眠状態のパワースペクトルを基準として、その30%超えを眠気・入眠予兆現象、100%超えを定常(覚醒)状態としたものである。その結果、これらの波形から定常状態と遷移状態を判定できると判断でき、特に、ゼロクロス検出法の波形を用いると、より正確に判定できる。
本発明は、自動車などの乗物のシートに生体信号測定手段を配置して、乗員の眠気などの状態を推定する場合に限らず、家庭内に配置される椅子、事務用椅子等に生体信号測定手段を配置して状態推定を行うことに適用することもできる。また、ベッドなどの寝具に生体信号測定手段を配置し、背部の大動脈の揺動を捉え、上記した生体信号測定装置により解析して、人の状態推定を行うことに適用することもできる。これにより、寝ている人(特に、病人、介護を要する人)の健康状態を表示手段のモニタに示される画面により容易に把握することができる。
1 生体信号測定手段
10 三次元立体編物
15 三次元立体編物支持部材
15a 配置用貫通孔
16 フィルム
21,22 板状発泡体
30 振動センサ
100 シート
110 シートバックフレーム
120 表皮
60 生体状態推定装置
610 第1周波数演算手段
620 第2周波数演算手段
630 第1周波数傾き時系列解析演算手段
640 第2周波数傾き時系列解析演算手段
650 スペクトル時系列変化演算手段
660 分布率波形演算手段
670 判定手段

Claims (12)

  1. 生体信号測定手段により人の上体から採取した生体信号を用いて、人の状態を推定する生体状態推定装置であって、
    前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形から、周波数の時系列波形を求める周波数演算手段と、
    前記周波数演算手段により得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算手段と、
    前記周波数傾き時系列解析演算手段から得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求めるスペクトル時系列変化演算手段と、
    前記スペクトル時系列変化演算手段により得られたパワースペクトルの時系列変化から、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する周波数成分を抜き出し、前記3つの周波数成分のパワースペクトルの値の合計を100とした際の前記3つの各周波成分の割合を時系列に算出して分布率波形として求める分布率波形演算手段と、
    前記分布率波形演算手段により得られた分布率波形における前記3つの各周波成分の波形変化パターンを特定し、特定した波形変化パターンを、予め記憶部に記憶している波形変化パターンと人の状態との相関データに照らし、人の状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする生体状態推定装置。
  2. 前記周波数演算手段が、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第1周波数演算手段を有し、
    前記周波数傾き時系列演算手段が、前記第1周波数演算手段により得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算手段を有し、
    前記スペクトル時系列変化演算手段が、前記第1周波数傾き時系列解析演算手段から得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成である請求項1記載の生体状態推定装置。
  3. 前記周波数演算手段が、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第2周波数演算手段を有し、
    前記周波数傾き時系列演算手段が、前記第2周波数演算手段により得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算手段を有し、
    前記スペクトル時系列変化演算手段が、前記第2周波数傾き時系列解析演算手段から得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成である請求項1又は2記載の生体状態判定装置。
  4. 前記判定手段は、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっている時間帯を、眠気関連現象出現期と判定する請求項1〜3のいずれか1に記載の生体状態判定装置。
  5. 前記判定手段は、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっていると共に、前記活動調整信号の分布率に上昇が生じた時間帯を入眠予兆現象出現期と判定する請求項4記載の生体状態判定装置。
  6. 前記分布率波形演算手段に用いる前記機能調整信号の周波数が0.0017Hzであり、前記疲労受容信号の周波数が0.0035Hzであり、前記活動調整信号の周波数が0.0053Hzである請求項1〜5のいずれか1に記載の生体状態判定装置。
  7. 生体信号測定手段により人の上体から採取した生体信号を用いて、人の状態を推定する生体状態推定装置に設定されるコンピュータプログラムであって、
    前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形から、周波数の時系列波形を求める周波数演算ステップと、
    前記周波数演算ステップにより得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算ステップと、
    前記周波数傾き時系列解析演算ステップから得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求めるスペクトル時系列変化演算ステップと、
    前記スペクトル時系列変化演算ステップにより得られたパワースペクトルの時系列変化から、予め定めた機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する周波数成分を抜き出し、前記3つの周波数成分のパワースペクトルの値の合計を100とした際の前記3つの各周波成分の割合を時系列に算出して分布率波形として求める分布率波形演算ステップと、
    前記分布率波形演算ステップにより得られた分布率波形における前記3つの各周波成分の波形変化パターンを特定し、特定した波形変化パターンを、予め記憶部に記憶している波形変化パターンと人の状態との相関データに照らし、人の状態を判定する判定ステップと
    をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
  8. 前記周波数演算ステップが、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第1周波数演算ステップを有し、
    前記周波数傾き時系列演算ステップが、前記第1周波数演算ステップにより得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算ステップを有し、
    前記スペクトル時系列変化演算ステップが、前記第1周波数傾き時系列解析演算ステップから得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成である請求項7記載のコンピュータプログラム。
  9. 前記周波数演算ステップが、前記生体信号測定手段により得られる生体信号の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて生体信号の周波数の時系列波形を求める第2周波数演算ステップを有し、
    前記周波数傾き時系列演算ステップが、前記第2周波数演算ステップにより得られた前記生体信号の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算ステップを有し、
    前記スペクトル時系列変化演算ステップが、前記第2周波数傾き時系列解析演算ステップから得られる周波数傾き時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルの時系列変化を求める構成である請求項7又は8記載のコンピュータプログラム。
  10. 前記判定ステップは、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっている時間帯を、眠気関連現象出現期と判定する請求項〜9のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  11. 前記判定ステップは、前記分布率波形の波形変化パターンとして、前記機能調整信号と前記疲労受容信号とが逆位相となっていると共に、前記活動調整信号の分布率に上昇が生じた時間帯を入眠予兆現象出現期と判定する請求項10記載のコンピュータプログラム。
  12. 前記分布率波形演算ステップに用いる前記機能調整信号の周波数が0.0017Hzであり、前記疲労受容信号の周波数が0.0035Hzであり、前記活動調整信号の周波数が0.0053Hzである請求項7〜11のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
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