JP5582478B2 - 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

生体状態推定装置及びコンピュータプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP5582478B2
JP5582478B2 JP2011522881A JP2011522881A JP5582478B2 JP 5582478 B2 JP5582478 B2 JP 5582478B2 JP 2011522881 A JP2011522881 A JP 2011522881A JP 2011522881 A JP2011522881 A JP 2011522881A JP 5582478 B2 JP5582478 B2 JP 5582478B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
pulse wave
time
time series
state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011522881A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011007886A1 (ja
Inventor
悦則 藤田
由美 小倉
慎一郎 前田
重行 小島
直輝 落合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Delta Tooling Co Ltd
Original Assignee
Delta Tooling Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Delta Tooling Co Ltd filed Critical Delta Tooling Co Ltd
Priority to JP2011522881A priority Critical patent/JP5582478B2/ja
Publication of JPWO2011007886A1 publication Critical patent/JPWO2011007886A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5582478B2 publication Critical patent/JP5582478B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/02Detecting, measuring or recording pulse, heart rate, blood pressure or blood flow; Combined pulse/heart-rate/blood pressure determination; Evaluating a cardiovascular condition not otherwise provided for, e.g. using combinations of techniques provided for in this group with electrocardiography or electroauscultation; Heart catheters for measuring blood pressure
    • A61B5/024Detecting, measuring or recording pulse rate or heart rate
    • A61B5/0245Detecting, measuring or recording pulse rate or heart rate by using sensing means generating electric signals, i.e. ECG signals
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/16Devices for psychotechnics; Testing reaction times ; Devices for evaluating the psychological state
    • A61B5/18Devices for psychotechnics; Testing reaction times ; Devices for evaluating the psychological state for vehicle drivers or machine operators
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16HHEALTHCARE INFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR THE HANDLING OR PROCESSING OF MEDICAL OR HEALTHCARE DATA
    • G16H40/00ICT specially adapted for the management or administration of healthcare resources or facilities; ICT specially adapted for the management or operation of medical equipment or devices
    • G16H40/60ICT specially adapted for the management or administration of healthcare resources or facilities; ICT specially adapted for the management or operation of medical equipment or devices for the operation of medical equipment or devices
    • G16H40/63ICT specially adapted for the management or administration of healthcare resources or facilities; ICT specially adapted for the management or operation of medical equipment or devices for the operation of medical equipment or devices for local operation
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16HHEALTHCARE INFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR THE HANDLING OR PROCESSING OF MEDICAL OR HEALTHCARE DATA
    • G16H50/00ICT specially adapted for medical diagnosis, medical simulation or medical data mining; ICT specially adapted for detecting, monitoring or modelling epidemics or pandemics
    • G16H50/50ICT specially adapted for medical diagnosis, medical simulation or medical data mining; ICT specially adapted for detecting, monitoring or modelling epidemics or pandemics for simulation or modelling of medical disorders
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/40Detecting, measuring or recording for evaluating the nervous system
    • A61B5/4029Detecting, measuring or recording for evaluating the nervous system for evaluating the peripheral nervous systems
    • A61B5/4035Evaluating the autonomic nervous system

Description

本発明は、生体信号測定装置から得られる人の生体信号の時系列波形を用いて生体の状態を推定する技術に関する。
運転中の運転者の生体状態を監視することは、近年、事故予防策等として注目されている。本出願人は、特許文献1〜3において、シートクッション部に圧力センサを配置し、臀部脈波を採取して分析し、入眠予兆現象を判定する手法を開示している。
具体的には、脈波の時系列波形を、それぞれ、SavitzkyとGolayによる平滑化微分法により、極大値と極小値を求める。そして、5秒ごとに極大値と極小値を切り分け、それぞれの平均値を求める。求めた極大値と極小値のそれぞれの平均値の差の二乗をパワー値とし、このパワー値を5秒ごとにプロットし、パワー値の時系列波形を作る。この時系列波形からパワー値の大域的な変化を読み取るために、ある時間窓Tw(180秒)について最小二乗法でパワー値の傾きを求める。次に、オーバーラップ時間Tl(162秒)で次の時間窓Twを同様に計算して結果をプロットする。この計算(移動計算)を順次繰り返してパワー値の傾きの時系列波形を得る。一方、脈波の時系列波形をカオス解析して最大リアプノフ指数を求め、上記と同様に、平滑化微分によって極大値を求め、移動計算することにより最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形を得る。
そして、パワー値の傾きの時系列波形と最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形が逆位相となっており、さらには、パワー値の傾きの時系列波形で低周波、大振幅の波形が生じている波形を、入眠予兆を示す特徴的な信号と判定し、その後に振幅が小さくなったポイントを入眠点と判定している。
また、特許文献4として、内部に三次元立体編物を挿入した空気袋(エアパック)を備え、このエアパックを人の腰部に対応する部位に配置し、エアパックの空気圧変動を測定し、得られた空気圧変動の時系列データから人の生体信号を検出し、人の生体の状態を分析するシステムを開示している。また、非特許文献1及び2においても、腰腸肋筋に沿うようにエアパックセンサを配置して人の生体信号を検出する試みが報告されている。腰部付近の脈波は、心拍に伴う下行大動脈を流れる血流の循環変動、すなわち心房の動き及び大動脈の揺動を示すものである。なお、以下においては、このような背部(腰部)から採取される、心房の動き及び大動脈の揺動による生体信号を「心部揺動波」と称する。この心部揺動波を利用した場合、特許文献1及び2の臀部脈波を利用する場合よりも、心拍変動に即した人の状態変化をより正確に捉えることができる。
特開2004−344612号公報 特開2004−344613号公報 WO2005/092193A1公報 特開2007−90032号公報 WO2005/039415A1号公報
「非侵襲型センサによって測定された生体ゆらぎ信号の疲労と入眠予知への応用」、落合直輝(外6名)、第39回日本人間工学会 中国・四国支部大会 講演論文集、平成18年11月25日発行、発行所:日本人間工学会 中国・四国支部事務局 「非侵襲生体信号センシング機能を有する車両用シートの試作」、前田慎一郎(外4名)、第39回日本人間工学会 中国・四国支部大会 講演論文集、平成18年11月25日発行、発行所:日本人間工学会 中国・四国支部事務局
特許文献1〜4及び非特許文献1〜2の技術は、上記したように、パワー値の傾きの時系列波形と最大リアプノフ指数の傾きの時系列波形が逆位相となり、かつ、パワー値の傾きの時系列波形で低周波、大振幅の波形が生じた時点をもって入眠予兆現象と捉えている。この手法によれば、人がシートに着席すれば、入眠予兆現象を捉えることができる。しかし、この入眠予兆現象は、上記のような特徴的な信号を検出したからといって必ずしも眠気を伴うというものではない。もちろん、人によってあるいは体調によってはこの入眠予兆現象の出現時が眠気を自覚したタイミングと一致する場合もある。
例えば、上記した入眠予兆信号の検出は、この信号を捉えたならば音、シートバック部の傾動、振動などによって警告を発するシステムと組み合わせることで、運転者の居眠りを抑制する効果が期待される。実際、このような警告システムは、本出願人によって開発され、種々実験を行っており、その中で居眠りの抑制効果が確認されている。しかし、上記した入眠予兆信号を検出したタイミングで警告を発した場合、眠気を伴わない運転者にとっては警告のタイミングが早過ぎると感じてしまう場合があることがわかった。つまり、上記手法により検出される入眠予兆信号の発生時点は、そのタイミングで警告を発することで居眠り抑制効果に役立っているにも拘わらず、運転者自身が感じる眠気のタイミングと合わず、この警告を装置の誤作動と感じてしまう場合もあることがわかった。そこで、このような運転者からは、眠気を自覚するタイミングに合わせて警告が動作するようなシステムが要望されており、その要請に応える技術を本出願人は、特願2009−107197号として提案してる。
特願2009−107197号では、エアパックにより検出した胴部の脈波(心部揺動波)の周波数変動時系列波形、その時系列波形の傾き時系列波形(周波数傾き時系列波形)を利用することで、人の状態変化を人の自覚により近いタイミングで捉えることを見出したが、人の状態変化の判定手法が、教師データとの比較など、パターンマッチングを主としており、判定の迅速性の点で改良の余地が残されていた。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、人の状態変化の判定をより敏感に検出して迅速に判定結果を出力できる生体状態推定装置及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の生体状態推定装置は、生体信号測定装置から得られる脈波の時系列波形を分析して人の状態を推定する状態推定部を備えた生体状態推定装置であって、前記状態推定部は、前記脈波の時系列波形における周波数の時系列波形を求める脈波周波数演算手段と、前記脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算手段と、任意に設定した第1時間帯における前記周波数傾き時系列波形と前記第1時間帯よりも後の第2時間帯における前記周波数傾き時系列波形と間の記述関数を求め、得られた記述関数から人の状態を判定する状態判定手段とを有することを特徴とする。
また、本発明のコンピュータプログラムは、生体信号測定装置から得られる脈波の時系列波形を分析して人の状態を分析する生体状態推定装置の記憶部に設定される状態推定部を構成するコンピュータプログラムであって、前記脈波の時系列波形における周波数の時系列波形を求める脈波周波数演算手段と、前記脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算手段と、任意に設定した第1時間帯における前記周波数傾き時系列波形と前記第1時間帯よりも後の第2時間帯における前記周波数傾き時系列波形と間の記述関数を求め、得られた記述関数から人の状態を判定する状態判定手段とを有することを特徴とする。
前記状態判定手段は、前記記述関数を、予め種々の状態変化毎に求めて記憶させた基本記述関数と比較し、前記記述関数に最も近似した基本記述関数を抽出して、当該基本記述関数に対応する状態変化から人の状態を特定する構成とすることができる。
前記状態判定手段は、前記記述関数のゲインを予め設定した閾値と比較して人の状態を特定する構成とすることができる。
前記状態判定手段は、前記記述関数における所定周波数の複数のゲイン同士を比較して、時間経過に伴うゲインの変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲインの変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定する構成とすることができる。
前記状態判定手段は、さらに、前記周波数傾き時系列波形から隣り合う振幅の変動比及び生体減衰力を求め、前記記述関数に該変動比及び生体減衰力を加えて人の状態を判定する構成とすることができる。前記状態判定手段は、前記記述関数における所定周波数の複数のゲイン同士、変動比同士、生体減衰力同士をそれぞれ比較して、時間経過に伴うゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定する構成とすることができる。
さらに、前記脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の平均値を求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の平均値の時系列変化を周波数変動時系列波形として出力する周波数変動時系列解析演算手段を有し、前記状態判定手段が、前記周波数変動時系列解析演算手段により得られた前記周波数変動時系列波形の変化量が増加、減少、停滞のいずれであるかにより、心拍数の増加、減少、停滞のいずれであるかを判定する心拍数判定手段を備え、前記心拍数判定手段により判定される心拍数の状態と前記ゲインの変化との組み合わせで人の状態を判定する構成とすることが好ましい。
前記脈波周波数演算手段は、前記脈波の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める手段と、前記脈波の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める手段とのうち、いずれか少なくとも一方の手段を備える構成とすることができる。
前記脈波周波数演算手段は、前記脈波の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第1脈波周波数演算手段と、前記脈波の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第2脈波周波数演算手段とを備えてなり、前記周波数傾き時系列解析演算手段は、前記第1脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算手段と、前記第2脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算手段とを備えてなり、さらに、前記第1周波数傾き時系列解析演算手段により得られた前記周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第1絶対値処理手段と、前記第2周波数傾き時系列解析演算手段により得られた前記周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第2絶対値処理手段とを有し、前記状態判定手段が、前記第1絶対値処理手段及び第2絶対値処理手段によりそれぞれ得られる絶対値同士を時系列に比較する絶対値判定手段を備えてなる構成とすることが好ましい。
前記絶対値判定手段は、前記第2絶対値処理手段により得られる絶対値に対し、前記第1絶対値処理手段により得られる絶対値が高い値の場合に副交感神経優位の状態と判定し、第1絶対値処理手段により得られる絶対値が低い値の場合に交感神経優位の状態と判定し、いずれの絶対値も所定値よりも高い場合には活性状態と判定し、いずれの絶対値も所定値よりも低い場合に機能低下状態と判定する構成とすることができる。
さらに、前記第1絶対値処理手段により得られた絶対値を積分して第1積分曲線を求める第1積分曲線演算手段と、前記第2絶対値処理手段により得られた絶対値を積分して第2積分曲線を求める第2積分曲線演算手段とを有し、前記状態判定手段が、前記第1積分曲線演算手段及び第2積分曲線演算手段によりそれぞれ得られる各積分曲線を比較する積分曲線判定手段とを備えてなる構成とすることが好ましい。
前記積分曲線判定手段は、前記第2積分曲線に対し、前記第1積分曲線が高い値で推移する場合に副交感神経優位の状態と判定し、前記第1積分曲線が低い値で推移する場合に交感神経優位の状態と判定し、第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも高い値で推移する場合には活性状態と判定し、第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも低い値で推移する場合には機能低下状態と判定する構成とすることができる。
前記周波数変動時系列解析演算手段によって得られる周波数変動時系列波形から、ある時間幅における周波数の平均値を所定時間毎に求める周波数平均値算出手段と、飲酒前において前記周波数平均値算出手段により求めた周波数の平均値と飲酒後において前記周波数平均値算出手段により求めた周波数の平均値との差分を算出する周波数差分算出手段とを有し、前記状態判定手段が、予め記憶部に記憶された周波数の平均値の差分と呼気アルコール濃度との関係を規定した呼気アルコール濃度対応テーブルを読み込み、前記周波数差分算出手段により求められた周波数の平均値の差分に対応する呼気アルコール濃度を推定する構成とすることが好ましい。
さらに、前記生体信号測定装置から得られる脈波の時系列波形を2階微分して加速度脈波を算出し、得られた加速度脈波を周波数解析してパワースペクトルの振幅ピーク値を求める加速度脈波解析手段を有し、前記振幅ピーク値と前記記述関数のゲインとの関係から人の状態を推定する構成とすることができる。前記振幅ピーク値と前記記述関数のゲインとの関係から、人体支持部材に支持されているときの、人体支持部材に対する人の状態を推定する構成とすることができる。
前記生体信号測定装置として、人の胴部の脈波を検出可能な部位に対応して配置されるエアパックと、前記エアパックの空気圧変動を検出するセンサとを備えてなるものを用いた構成とすることが好ましい。
本発明は、脈波(心部揺動波)の周波数傾き時系列波形を求め、任意に設定した第1時間帯における周波数傾き時系列波形と第1時間帯よりも後の第2時間帯における周波数傾き時系列波形と間の記述関数(等価伝達関数)を求める構成である。これにより、第1時間帯における周波数傾き時系列波形が第2時間帯においてどのように変化して出力されたかがわかる。従って、人の種々の状態変化に対応した記述関数を予め記憶しておけば、実際の状態判定時において周波数傾き時系列波形の記述関数を求め、記憶された記述関数と比較することにより、人の状態を特定することができる。すなわち、本発明によれば、人の状態変化を記述関数によって定量的に捉えることが可能となり、人の状態変化をより敏感に検出して迅速に出力できる。
また、上記の記述関数による判定手法に加えて、周波数傾き時系列波形から隣り合う振幅の変動比及び生体減衰力を求めることにより、人の状態判定をより細かく捉えることができる。また、脈波の周波数変動時系列波形から求められる心拍数の増減変化を加味することにより、人の状態をさらに細分化して捉えることができる。
さらに、脈波周波数の時系列波形を、脈波の時系列波形を平滑化微分して求めた極大値を用いた場合と、脈波の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いた場合との2つのデータを求め、その2つのデータから周波数傾き波形を求めてそれぞれを絶対値処理すると、人の疲労度合い(交感神経優位の状態、副交感神経優位の状態等)を簡易に区別して推定できる。すなわち、極大値を用いた手法(ピーク検出法)は低周波成分だけでなく高周波成分を含む脈波を検出しているのに対し、ゼロクロス地点を用いた場合(ゼロクロス法)は脈波の低周波成分を検出している。従って、両者が一致している時は、高周波成分が少ないことを意味し、乖離している時は、高周波成分が多く含まれていることを意味している。高周波成分は、交感神経代償作用が機能して交感神経優位の中での緊張した状態に対応しており、これが疲労の蓄積と関係している。
図1は、本発明の一の実施形態に係る生体信号測定装置をシートに組み込んだ状態を示した図である。 図2は、上記実施形態に係る生体信号測定装置をより詳細に示した図である。 図3は、エアパックユニットを示した図であり、(a)は正面方向から見た断面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は(a)のA−A線断面図である。 図4は、エアパックユニットの分解斜視図である。 図5(a),(b)は、試験例で用いたエアパックユニットのサイズを説明するための図である。 図6は、上記実施形態に係る生体状態推定装置の構成を示した図である。 図7は、上記実施形態に係る生体状態推定装置の詳細な構成を示した図である。 図8は、生体信号測定装置により検出した脈波(心部揺動波)のピーク値を用いて、周波数変動時系列波形、周波数変動時系列波形の基線、周波数変動の傾き時系列である周波数傾き時系列波形、及び積分曲線を求める方法を説明するための図である。 図9は、生体信号測定装置により検出した脈波(心部揺動波)のゼロクロス地点を用いて、周波数変動時系列波形、周波数変動時系列波形の基線、周波数変動の傾き時系列である周波数傾き時系列波形、及び積分曲線を求める方法を説明するための図である。 図10は、シート着座状態での人の状態推定試験の被験者Aの結果であり、(a)は、脳波計による前頭前野のθ波、β波、α波の分布率の時系列波形を示し、(b)は、指尖容積脈波から求めたHF成分及びLF/HF成分の時系列波形を示し、(c)は、指尖容積脈波を用いて求めたパワー値の傾き(指尖脈波パワー値傾き)と最大リアプノフ指数の傾き(指尖脈波リアプノフ傾き)の時系列波形を示し、(d)は、エアパック脈波を用いて求めた周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形を示し、(e)は、ピーク検出法により求めた周波数傾き時系列波形とゼロクロス法により求めた周波数傾き時系列波形とを絶対値処理した解析結果を示し、(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示した図である。 図11は、シート着座状態での人の状態推定試験の被験者Aの結果であり、(a)は、脳波計による前頭前野のθ波、β波、α波の分布率の時系列波形を示し、(b)は、指尖容積脈波から求めたHF成分及びLF/HF成分の時系列波形を示し、(c)は、指尖容積脈波を用いて求めたパワー値の傾き(指尖脈波パワー値傾き)と最大リアプノフ指数の傾き(指尖脈波リアプノフ傾き)の時系列波形を示し、(d)は、エアパック脈波を用いて求めた周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形を示し、(e)は、ピーク検出法により求めた周波数傾き時系列波形とゼロクロス法により求めた周波数傾き時系列波形とを絶対値処理した解析結果を示し、(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示した図である。 図12は、シート着座状態での人の状態推定試験の被験者Aの結果であり、(a)は、脳波計による前頭前野のθ波、β波、α波の分布率の時系列波形を示し、(b)は、指尖容積脈波から求めたHF成分及びLF/HF成分の時系列波形を示し、(c)は、指尖容積脈波を用いて求めたパワー値の傾き(指尖脈波パワー値傾き)と最大リアプノフ指数の傾き(指尖脈波リアプノフ傾き)の時系列波形を示し、(d)は、エアパック脈波を用いて求めた周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形を示し、(e)は、ピーク検出法により求めた周波数傾き時系列波形とゼロクロス法により求めた周波数傾き時系列波形とを絶対値処理した解析結果を示し、(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示した図である。 図13は、シート着座状態での人の状態推定試験の被験者Aの結果であり、(a)は、脳波計による前頭前野のθ波、β波、α波の分布率の時系列波形を示し、(b)は、指尖容積脈波から求めたHF成分及びLF/HF成分の時系列波形を示し、(c)は、指尖容積脈波を用いて求めたパワー値の傾き(指尖脈波パワー値傾き)と最大リアプノフ指数の傾き(指尖脈波リアプノフ傾き)の時系列波形を示し、(d)は、エアパック脈波を用いて求めた周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形を示し、(e)は、ピーク検出法により求めた周波数傾き時系列波形とゼロクロス法により求めた周波数傾き時系列波形とを絶対値処理した解析結果を示し、(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示した図である。 図14は、エアパック脈波の周波数傾き時系列波形の各種状態における被験者A〜Dの記述関数を示した図である。 図15(a),(b)は、 人の状態をゆらぎ成分の変動比と生体減衰力から判定する手法について説明するための図である。 図16(a)〜(f)は、30歳代男性被験者の60分間昼寝実験結果を示した図である。 図17(a)〜(f)は、30歳代男性被験者の夜間睡眠実験結果を示した図である。 図18 は、覚醒時、睡眠時、中途覚醒時の各状態におけるゼロクロス法を用いた周波数傾き時系列波形の300秒間の振幅の平均値を示した図である。 図19(a)〜(c)は、ゼロクロス法を用いた周波数傾き時系列波形における、睡眠パターンの睡眠段階1及び2、睡眠段階3及び4、レム睡眠における各サイクルごとの記述関数を示した図である。 図20は、周波数平均値算出手段と周波数差分算出手段とを備えた状態推定部の構成を示した図である。 図21は、飲酒の状態推定試験における被験者の呼気アルコール濃度の変化を示した図である。 図22(a)は、被験者Aの場合の指尖容積脈波とエアパック脈波のそれぞれ計測開始300秒間分のデータでの原波形を示し、図22(b)は指尖容積脈波の300秒間分の周波数解析結果を示し、図22(c)はエアパック脈波の300秒間分の周波数解析結果を示した図である 図23は、被験者Aの指尖容積脈波及びエアパック脈波の300秒毎の卓越周波数の変遷を示した図である。 図24は、ピーク検出法による被験者Aのエアパック脈波の周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形を示した図である。 図25は、ゼロクロス法による被験者Aのエアパック脈波の周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形を示した図である。 図26は、周波数差分算出手段によって得られた差分値と呼気アルコール濃度との相関で示した図である。 図27(a),(b)は、図25(a)で得られた周波数傾き時系列波形のゆらぎ度合を評価するために計測の前半と後半部分での周波数傾き時系列波形の記述関数を導出した結果を示した図である。 図28は、被験者Eの周波数傾き時系列波形の記述関数を示した図である。 図29は、被験者Fの周波数傾き時系列波形の記述関数を示した図である。 図30は、振動(乗り心地)に関する人の状態推定試験における被験者のエアパック脈波の原波形を示した図であり、(a)は両除振機能ONの場合、(b)はノーズダイブ機能OFFの場合、(c)は両除振機能OFFの場合のデータである。 図31は、図30(a)〜(c)の各原波形をゼロクロス法を用いて処理して得た周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形であり、(a)は両除振機能ONの場合、(b)はノーズダイブ機能OFFの場合、(c)は両除振機能OFFの場合のデータである。 図32は、図30(a)〜(c)の各原波形をピーク検出法を用いて処理して得た周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形であり、(a)は両除振機能ONの場合、(b)はノーズダイブ機能OFFの場合、(c)は両除振機能OFFの場合のデータである。 図33は、図31及び図32のゼロクロス法を用いた周波数傾き時系列波形とピーク検出法を用いた周波数傾き時系列波形をそれぞれ絶対値処理して示したデータであり、(a)は両除振機能ONの場合、(b)はノーズダイブ機能OFFの場合、(c)は両除振機能OFFの場合のデータである。 図34は、図33(a)〜(c)の絶対値処理したデータを積分した図であり、(a)は両除振機能ONの場合、(b)はノーズダイブ機能OFFの場合、(c)は両除振機能OFFの場合のデータである。図34(d)は、体への負担度を示した図である。 図35は、心拍変動をウェーブレット解析したデータを示したものであり、(a)は両除振機能ONの場合、(b)はノーズダイブ機能OFFの場合、(c)は両除振機能OFFの場合のデータである。 図36は、図31(a)〜(c)の各図のAの時間帯の周波数傾き時系列波形とBの時間帯の周波数傾き時系列波形との記述関数を示した図であり、(a)は両除振機能ONの場合、(b)はノーズダイブ機能OFFの場合、(c)は両除振機能OFFの場合のデータである。 図37(a),(b)は、マットレスに関する人の好みに関する試験における記述関数と官能評価の結果を示した図である。 図38は、記述関数と官能評価による好みの順番に負の相関があった被験者群について、縦軸を記述関数のゲイン、横軸を加速度脈波の周波数の振幅ピーク値として被験者の好みの順番に評価結果をまとめた図である。 図39は、記述関数と官能評価による好みの順番に正の相関があった被験者群について、縦軸を記述関数のゲイン、横軸を加速度脈波の周波数の振幅ピーク値として被験者の好みの順番に評価結果をまとめた図である。 図40は、他の実施形態に係る生体信号測定装置の一例を示した図である。 図41は、他の実施形態に係る生体信号測定装置の他の例を示した図である。 図42は、図40又は図41に示した生体信号測定装置をシートに組み込む過程を説明するための図である。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る生体状態推定装置60の分析対象である脈波、ここでは心部揺動波(人の上体の背部から検出される心房の動き及び大動脈の揺動に伴う生体信号)を採取する生体信号測定装置1を組み込んだ自動車用のシート500の外観を示した図である。この図に示したように、生体信号測定装置1は、シートバック部510に組み込まれて用いられる。ここで、生体信号測定装置1によって採取される信号には、生体信号成分以外のノイズ信号がより少ないことが望ましい。そこで、本実施形態の生体信号測定装置1は、以下に説明するように、自動車の走行中等の振動環境下においても、センサの出力信号自体に含まれるノイズ信号を少なくできるような工夫がなされている。
生体信号測定装置1は、エアパックユニット100と、ビーズ発泡樹脂弾性部材20とを有して構成されている。エアパックユニット100は、収容体15と、該収容体15に収容した2つのエアパック10を備えて構成される。各エアパック10は、3つの小空気袋111が縦方向に連接されている一方、そのそれぞれは空気の流通がないように形成されている。各小空気袋111内には、復元力付与部材としての三次元立体編物112が配置されている。
本実施形態では、このようなエアパック10が左右に配置される。左右に配置することにより、着座者の背への当たりが左右均等になり、違和感を感じにくくなる。また、左右のエアパック10,10のいずれか一方を構成するいずれかの小空気袋111にセンサ取付チューブ111aが設けられ、その内側に空気圧変動を測定するセンサ111bが固定されている。なお、センサ取付チューブ111aは密閉されている。小空気袋111は、このような生体信号による空気圧変動に敏感に反応させるために、大きさは、幅40〜100mm、長さ120〜200mmの範囲が好ましい。小空気袋111の素材は限定されるものではないが、例えば、ポリウレタンエラストマー(例えば、シーダム株式会社製、品番「DUS605−CDR」)からなるシートを用いて形成することができる。センサ111bとしては、小空気袋111内の空気圧を測定できるものであればよく、例えば、コンデンサ型マイクロフォンセンサを用いることができる。
小空気袋111を3つ連接した場合の全体の大きさとしては、自動車のシート500のシートバック部510に用いる場合、幅40〜100mm、全長400〜600mmの範囲とすることが好ましい。長さが短い場合、シートバック部510において、着座者が、腰部付近の一部分のみに異物感を感じるため、400mm以上の長さとして、できるだけ、着座者の背全体に対応させることが好ましい。
空気圧変動を検出するセンサ111bは、本実施形態では、着座者の左側に配置されるエアパック10を構成する中央の小空気袋111に設けている。この小空気袋111の位置は、着座者の背部から採取される心房の動き及び大動脈(特に、「下行大動脈」)の揺動に伴う脈波(心部揺動波)を検知可能な領域に相当する。この心部揺動波を検知可能な領域は、着座者の体格により一律ではないが、身長158cmの日本人女性から身長185cmの日本人男性までの様々な体格の被験者20名で測定したところ、該小空気袋111(幅60mm、長さ160mm)をシートバック部510の中心寄りの側縁と下縁の交差部P(図2及び図3参照)が、シートクッション部520の上面からシートバック部510の表面に沿った長さL:220mm、シートバック部510の中心からの距離M:80mmとなるように設定したところ、上記全ての被験者において大動脈の脈波を検知できた。小空気袋111の大きさが、幅40〜100mm、長さ120〜200mmの範囲の場合、交差部Pの位置を、シートクッション部520の上面からシートバック部510の表面に沿った長さで150〜280mm、シートバック部510の中心から60〜120mmの範囲に設定することが好ましい。
上記した2つのエアパック10をシートバック部510において容易に所定の位置に設定できるようにユニット化しておくことが好ましい。従って、図2〜図4に示したような収容体15にエアパック10を装填したエアパックユニット100として構成とすることが好ましい。収容体15は、両側にエアパック10を収容する袋状のエアパック収容部151を有し、2つのエアパック収容部151間に接続部152を有している。
2つのエアパック収容部151には、それぞれエアパック10が挿入される。また、エアパック収容部151には、エアパック10とほぼ同じ大きさの三次元立体編物40を、エアパック10の裏側エアパック12の背面側に重ねて挿入することが好ましい(図3(d)参照)。三次元立体編物40を配置することにより、エアパック10が該三次元立体編物40によっていわば浮くように支持されるため、シートバック部510からの外部振動が伝わりにくくなる。すなわち、三次元立体編物40を配置することにより、高周波小振幅の外部振動が入力された場合には、三次元立体編物40のパイルと空気圧の変動から、エアパック内にバネ定数の低い、バネ・マス・ダンパ系が作られる。そして、それが三次元立体編物40を内蔵したエアパック10において、低・高周波入力に対するフィルタ(ローパスフィルタ・ハイパスフィルタ)として作用し、該外部振動を減衰する。
接続部152は、2つのエアパック部151を所定間隔をおいて支持できるものであればよく、幅60〜120mm程度で形成される。接続部152も、袋状に形成し、その内部に三次元立体編物45を挿入することが好ましい(図3(d)及び図4参照)。これにより、該接続部152を通じて入力される振動も、該三次元立体編物45を挿入することにより効果的に除振でき、センサ111bを備えたエアパック10への外部振動の伝達を抑制できる。
なお、上記したように、小空気袋111は、例えば、ポリウレタンエラストマー(例えば、シーダム株式会社製、品番「DUS605−CDR」)からなるシートを用いて形成されるが、収容体15も同じ素材を用いて形成することが好ましい。また、小空気袋111、エアパック収容部151及び接続部152内に装填される各三次元立体編物は、例えば、特開2002−331603号公報に開示されているように、互いに離間して配置された一対のグランド編地と、該一対のグランド編地間を往復して両者を結合する多数の連結糸とを有する立体的な三次元構造となった編地である。
一方のグランド編地は、例えば、単繊維を撚った糸から、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織(細目)によって形成され、他方のグランド編地は、例えば、短繊維を撚った糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する編み目構造に形成されている。もちろん、この編地組織は任意であり、細目組織やハニカム状以外の編地組織を採用することもできるし、両者とも細目組織を採用するなど、その組み合わせも任意である。連結糸は、一方のグランド編地と他方のグランド編地とが所定の間隔を保持するように、2つのグランド編地間に編み込んだものである。このような三次元立体編物としては、例えば、以下のようなものを用いることができる。なお、各三次元立体編物は、必要に応じて複数枚積層して用いることもできる。
(1)製品番号:49076D(住江織物(株)製)
材質:
表側のグランド編地・・・300デシテックス/288fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸と700デシテックス/192fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸との撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸と350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントとの組み合わせ
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(2)製品番号:49013D(住江織物(株)製)
材質:
表側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(3)製品番号:69030D(住江織物(株)製)
材質:
表側のグランド編地・・・450デシテックス/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/144fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸と350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメントとの組み合わせ
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(4)旭化成せんい(株)製の製品番号:T24053AY5−1S
ビーズ発泡樹脂弾性部材20は、シートバック部510の表皮部材とエアパック10を収容した収容体15(エアパックユニット100)との間に配設され、2つのエアパック10の全長に相当する長さを有し、2つのエアパック10の頂部間の長さに相当する幅を有している。従って、長さが400〜600mm、幅が250〜350mm程度の大きさのものを用いることが好ましい。これにより、2つのエアパック10が共に覆われるため、2つのエアパック10の凹凸を感じにくくなる。
ビーズ発泡樹脂弾性部材20は、平板状に形成されたビーズ発泡体と、その外面に貼着される被覆材とから構成されている。ビーズ発泡体としては、ポリスチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか少なくとも一つを含む樹脂のビーズ法による発泡成形体が用いられる。なお、発泡倍率は任意であり限定されるものではない。被覆材は、ビーズ発泡体の外面に接着により貼着され、高い伸度と回復率を有する素材であり、好ましくは、伸度200%以上、100%伸長時の回復率が80%以上である弾性繊維不織布が用いられる。例えば、特開2007−92217号公報に開示された熱可塑性エラストマー弾性繊維が相互に溶融接着された不織布を用いることができる。具体的には、KBセーレン(株)製、商品名「エスパンシオーネ」を用いることができる。
また、ビーズ発泡樹脂弾性部材20の外面を覆う被覆材として、例えば、熱可塑性ポリエステルからなる不織布を用いることもできる。具体的には、帝人(株)製のポリエチレンナフタレート(PEN)繊維(1100dtex)から形成した2軸織物(縦:20本/inch、横:20本/inch)を用いることができる。
ビーズ発泡樹脂弾性部材20を構成するビーズ発泡体としては、厚さ約5〜6mm程度のものを用いることができ、その外面に、厚さ約1mm以下の上記した弾性繊維不織布や熱可塑性ポリエステルからなる不織布を貼着して形成される。なお、本実施形態では、ビーズ発泡樹脂弾性部材20の表皮部材511に対向する面とその反対面に、上記のエスパンシオーネ(商品名)を貼着している。これにより、生体信号の伝達性が向上する。
本実施形態において人体支持手段を構成するシート500のシートバック部510は、表皮部材511と該表皮部材511の背面側に配設されるクッション支持部材512とを備えてなり、該表皮部材511とクッション支持部材512との間にエアパック10を保持した収容体15(エアパックユニット100)とビーズ発泡樹脂弾性部材20が組み込まれる。この際、クッション支持部材512側にまずエアパック10を保持した収容体15(エアパックユニット100)が配置され、その表面側にビーズ発泡樹脂弾性部材20が配置された上で、表皮部材511により被覆される。なお、クッション支持部材512は、例えば、三次元立体編物をシートバック部510の左右一対のサイドフレームの後端縁間に張って形成することもできるし、合成樹脂板から形成することもできる。表皮部材511は、例えば、三次元立体編物、合成皮革、皮革、あるいはこれらの積層体などを左右一対のサイドフレームの前縁間に張って設けることができる。
このように、本実施形態においては、表皮部材511の裏面側に所定の大きさのビーズ発泡樹脂弾性部材20が積層して配置され、さらにその後方に左右一対のエアパック10を保持した収容体15(エアパックユニット100)が配置される構成であるため、着座者が背にエアパック10の凹凸を感じることなくなり、生体信号を測定するためのエアパック10を有する構成でありながら、座り心地が向上する。なお、上記した説明では、ビーズ発泡樹脂弾性部材20を1枚用いたのみであるが、複数枚重ねて配置することも可能である。
次に、生体状態推定装置60の構成について図6に基づいて説明する。生体状態推定装置60には、生体信号測定装置1により検出された脈波である心部揺動波(以下、場合により「エアパック脈波」という)の時系列波形から人の状態を分析する状態推定部610が組み込まれている。なお、本実施形態で用いた生体信号測定装置1は、上記のようにノイズ対策を施しているため、検出信号へのノイズの混入は少ないが、特に、自動車走行中のような動的環境下では検出信号に脈波以外のノイズが含まれることが多くなる。従って、その場合には、状態推定部610で処理する前の前処理として、検出信号を脈波が含まれている所定周波数でフィルタリングするなどして処理し、この前処理した検出信号をエアパック脈波の時系列波形として用いることが好ましい。
本実施形態では、状態推定部610を、生体状態推定装置60の記憶部に設定したコンピュータプログラムから構成している。すなわち、状態推定部610は、脈波周波数演算手段(脈波周波数演算手順)611と、周波数傾き時系列解析演算手段(周波数傾き時系列解析演算手順)612と、周波数変動時系列解析演算手段(周波数変動時系列解析演算手順)613と、状態判定手段(状態判定手順)614とを備えて構成される。なお、コンピュータプログラムは、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD−ROMなどの記録媒体へ記憶させて提供することもできるし、通信回線を通じて伝送することも可能である。
脈波周波数演算手段(脈波周波数演算手順)611は、生体信号測定装置1から得られるエアパック脈波の時系列波形における周波数の時系列波形を求める。この時系列波形の求め方には2種類あり、一方は交感神経機能の指標として用いられるLF/HF(なお、LFは0.05−0.20Hzの周波数成分、HFは0.20−0.35Hzの周波数成分である)に関するもので、他方は副交感神経機能の指標として用いられるHFに関するものである。
第1は、エアパック脈波の時系列波形を平滑化微分して極大値(ピーク)を用いて時系列波形を求める方法(以下、「ピーク検出法」という)である。ピーク検出法は、基本的にはHFの機能に相当する時系列波形である。例えば、SavitzkyとGolayによる平滑化微分法により極大値を求める。次に、例えば5秒ごとに極大値を切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形の極大値(波形の山側頂部)間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する(図8の[1]のステップ)。そして、この5秒毎に得られる周波数Fをプロットすることにより、周波数の時系列波形を求める(図8の[2]のステップ)。
第2は、エアパック脈波の時系列波形において、正から負に切り替わる地点(以下、「ゼロクロス地点」という)を用いて時系列波形を求める方法(以下、「ゼロクロス法」という)である。このゼロクロス法は、脈波の周波数の基本成分を捉えるもので、LF/HFの発現の強弱のレベルを示す。この方法では、まず、ゼロクロス地点を求めたならば、それを例えば5秒毎に切り分け、その5秒間に含まれる時系列波形のゼロクロス地点間の時間間隔の逆数を個別周波数fとして求め、その5秒間における個別周波数fの平均値を当該5秒間の周波数Fの値として採用する(図9の[1]のステップ)。そして、この5秒毎に得られる周波数Fをプロットすることにより、周波数の時系列波形を求める(図9の[2]のステップ)。
周波数傾き時系列解析演算手段(周波数傾き時系列解析演算手順)612は、脈波周波数演算手段611によって、ピーク検出法又はゼロクロス法を用いて得られたエアパック脈波の周波数の時系列波形から、所定の時間幅の時間窓を設定し、時間窓毎に最小二乗法により該エアパック脈波の周波数の傾きを求め、その時系列波形を出力する構成である。周波数傾き時系列解析演算手段612により得られる周波数傾き時系列波形は、交感神経及び副交感神経の発現のバランスを捉えた生体のゆらぎを示すものとして出力される。具体的には、まず、ある時間窓Tw1における周波数の傾きを最小二乗法により求めてプロットする(ピーク検出法は図8の[3],[5]のステップ、ゼロクロス法は図9の[3],[5]のステップ)。次に、オーバーラップ時間Tl(ピーク検出法は図8の[6]のステップ、ゼロクロス法は図9の[6]のステップ)で次の時間窓Tw2を設定し、この時間窓Tw2における周波数の傾きを同様に最小二乗法により求めてプロットする。この計算(移動計算)を順次繰り返し、エアパック脈波の周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する(ピーク検出法は図8の[8]のステップ、ゼロクロス法は図9の[8]のステップ)。なお、時間窓Twの時間幅は180秒に設定することが好ましく、オーバーラップ時間Tlは162秒に設定することが好ましい。これは、本出願人による上記特許文献3(WO2005/092193A1公報)において示したように、時間窓Twの時間幅及びオーバーラップ時間Tlを種々変更して行った睡眠実験から、特徴的な信号波形が最も感度よく出現する値として選択されたものである。
周波数変動時系列解析演算手段(周波数変動時系列解析演算手順)613は、脈波周波数演算手段611により得られたエアパック脈波の周波数の時系列波形(ピーク検出法は図8の[2]のステップ、ゼロクロス法は図9の[2]のステップ)に、所定の時間幅の時間窓(好ましくは180秒)を設定し、周波数の平均値を求める(ピーク検出法は図8の[3],[4]のステップ、ゼロクロス法は図9の[3],[4]のステップ)。次に、所定のオーバーラップ時間(好ましくは162秒)で設定した所定の時間窓(好ましくは180秒)毎にエアパック脈波の周波数の平均値を求める移動計算を行い、プロットする。そして、時間窓毎にプロットされた周波数の平均値の時系列変化を周波数変動時系列波形として出力する(ピーク検出法は図8の[7]のステップ、ゼロクロス法は図9の[7]のステップ)。
ここで、ピーク検出法は、脈波の低周波成分に高周波成分がのった状態を検出しているのに対し、ゼロクロス法は低周波成分を検出している。すなわち、両者が一致している時は、高周波成分が少ないことを意味し、乖離している時は、高周波成分が多く含まれていることを意味している。脈波の高周波成分は、交感神経の代償作用の発現と関連しており、交感神経が優位となり、主に緊張状態、我慢状態に対応しており、これが疲労の蓄積やエネルギ代謝の増減に関係する。従って、ピーク検出法及びゼロクロス法のそれぞれにより求めた周波数傾き時系列波形を絶対値処理して両者を比較することにより、交感神経系が亢進した緊張状態や我慢状態にあるか、副交感神経優位のリラックス状態にあるかの大雑把な状態判定を行うことができる。その一方、周波数傾き時系列波形から記述関数を求める場合、並びに、周波数変動時系列波形から心拍数の増減等を求める場合には、ゼロクロス法により得られる周波数の時系列波形を用いることが好ましい。これは、記述関数の算出目的が、活動代謝にあるか、安静代謝の中での変化の状態にあるか、あるいは、睡眠代謝の中での活性度合・機能の低下状態にあるかを判別したいことにあるためである。
状態判定手段(状態判定手順)614は、記述関数算出手段(記述関数算出手順)614aを有している。記述関数算出手段614aは、任意に設定した第1時間帯における周波数傾き時系列波形と第1時間帯よりも後の第2時間帯における周波数傾き時系列波形と間の記述関数(等価伝達関数)を求める手段である。つまり、第1時間帯における周波数傾き時系列波形を入力関数とし、第2時間帯における周波数傾き時系列波形を出力関数として、両者間の記述関数を求めることにより、第1時間帯と第2時間帯における人の状態変化を捉えるものである。第1時間帯及び第2時間帯は、各時間帯における周波数傾き時系列波形の関数を求めることができる時間幅であればよく限定されるものではないが、より迅速かつ正確に計算するためには半周期分から3周期分(約3分間から約20分間)が好ましいが、半周期よりも短い時間幅から計算することも可能である。なお、周期には個人差もあるため、予め、個人毎に第1時間帯及び第2時間帯の時間幅を設定できるようにすることが好ましい。但し、状態変化をうながしたり、疲労低減のための交感神経の代償作用が大きく機能する流動状態の時間帯の関数は除外することが好ましい。
状態判定手段614は、記述関数算出手段614aにより得られた記述関数から人の状態を判定する。図14は、後述の試験例により得られた被験者4名の種々の状態における記述関数を示したものである。例えば、被験者Aの記述関数は、眠気を感じている状態の中で活性化したときのものであり、被験者Bの記述関数は睡眠状態に移行時の状態変化を示す。また、被験者Cの記述関数は安静状態における2つの時間帯間の変化を示し、被験者Dの記述関数は漫然状態における2つの時間帯間の変化を示す。従って、このように各種な状態変化の記述関数を基本記述関数として予め記憶させておくことで、実際に測定した際に得られた記述関数を、予め記憶された基本記述関数と比較していずれの記述関数に近似しているかにより、状態変化を特定することができる。
図14から、記述関数は、ゲインが低い値であるときは副交感神経が優位で休息、リラックス状態を示し、逆にその値が大きくなるほど身体が活性、緊張状態であることを示していることがわかる。そこで、状態判定手段614は、ゲインが予め設定した閾値よりも高いか否かにより、活性・緊張状態にあるかリラックス状態にあるか、あるいは休息睡眠状態か機能低下状態かを判定する手法を採用することもできる。また、その際には、副交感神経機能の影響の大きい低周波数帯と交感神経機能の影響の大きい高周波数帯とに分けて設定する(図14の例では、0.005Hzを境として分ける)ことが好ましい。所定周波数におけるゲインとは、例えば、低周波数帯又は高周波数帯におけるピーク周波数のゲイン、あるいは、低周波数帯及び高周波数帯の各ゲインの平均値を採用することができる。ピーク周波数のゲインとは、例えば、図14の例では、被験者Aの記述関数では、低周波数帯のピーク周波数0.004Hzのゲイン=約1.6、高周波数帯のピーク周波数0.01Hzのゲイン=約1.9、被験者Bの記述関数では、低周波数帯のピーク周波数0.004Hzのゲイン=約0.36、高周波数帯のピーク周波数0.006Hzのゲイン=約0.33、被験者Cの記述関数では、低周波数帯のピーク周波数0.002Hzのゲイン=約7.9、高周波数帯のピーク周波数0.008Hz=約5.5を採用することができる。
所定周波数をいずれにするかは任意であり、例えば、個人毎にいくつかのデータを予め測定し、その中から特徴の出やすい周波数を設定することもできる。また、低周波数帯、高周波数帯の設定も個人毎に予め測定して定めておくことが好ましい。
また、コンピュータの記憶部には、ゲインについての閾値が1以上設定して判定する構成としてもよい。記述関数算出手段614aにより求められる記述関数は、ゲインが高いほど自律神経活動が増し、ゲインが低いほど自律神経活動が機能低下の状態となる。そこで、例えば、図14の例では、低周波数帯及び高周波数帯の両方においてゲインが5以上の場合には交換神経と副交感神経のバランスのとれた活性状態、低周波数帯と高周波数帯のうちの一方の周波数帯のゲインが5以上で他方の周波数帯のゲインが2以下の場合には副交感優位の状態、低周波数帯と高周波数帯のうちの一方の周波数帯のゲインが5以上で他方の周波数帯のゲインが2〜5の間の場合には我慢している状態、いずれの周波数帯もゲイン2〜5の間の場合には疲労が進行して交感神経の代償作用が機能している状態、いずれの周波数帯も2以下の場合には副交感優位で睡眠状態に至っているなどとと判定するように閾値(この場合、ゲイン2とゲイン5に設定)を設定しておく。これにより、状態判定手段614は、記述関数算出手段614aによってゲインが求められると、このような人のより詳細な状態(活性状態、安静状態、睡眠状態等)を迅速に判定できる。
また、状態判定手段614は、周波数変動時系列解析演算手段613により得られた周波数変動時系列波形の変化量が増加、減少、停滞のいずれであるかにより、心拍数の増加、減少、停滞のいずれであるかを判定する心拍数判定手段614bを備えた構成とすることが好ましい。例えば、図10(e)に示した周波数変動時系列波形は、300秒〜500秒にかけては右下がりに推移しているが、500秒〜800秒にかけてはほぼ水平に推移している。また、800秒〜1500秒にかけては右上がりに推移し、1500秒〜1750秒にかけては右下がりに推移している。周波数変動時系列波形は、右上がりの推移が心拍数の増加、右下がりの推移が心拍数の減少、水平が心拍数の停滞に対応するため、状態判定手段614は、周波数変動時系列波形の変化傾向から心拍数の状態を判定する。右下がり、右上がり、又は停滞の波形か否かの判定は、例えば、停滞状態と判定する波形の傾き角度(例えば、プラスマイナス15度以内)を設定しておき、それよりも大きく変化した場合に右下がり又は右上がりと判定するように設定できる。
状態判定手段614は、心拍数判定手段614bにより、判定された心拍数の状態と上記した記述関数とを組み合わせて人の状態をより細かく判定する構成とすることが好ましい。
具体的には、心拍数が増加傾向と判定された場合であって、心拍数が増加している間における2以上の記述関数同士を比較したときに記述関数のゲインが増大傾向の場合には良好状態ないしは眠気に抵抗している状態あるいは元気な状態への回復過程と判定し、減少傾向の場合には眠気が発生している状態と判定する。心拍数が減少傾向と判定された場合であって、記述関数のゲインの変化が増大傾向の場合には交換神経活動により眠気に抵抗している状態と判定し、減少傾向の場合には入眠間近の状態と判定する。心拍数が停滞傾向と判定された場合であって、記述関数のゲインの変化が増大傾向の場合には交感神経代償作用が働き出した状態と判定し、減少傾向の場合には漫然状態ないしはうつらうつらした状態と判定する。
また、状態判定手段614は、さらに、周波数傾き時系列波形から隣り合う振幅の変動比及び生体減衰力を求め、記述関数に該変動比及び生体減衰力を加えて人の状態を判定する構成とすることができる。ここで、変動比とは、人の生体ゆらぎを示す周波数傾き時系列波形の振幅の減衰比又は増幅比のことであり、生体減衰力とは、代謝に伴って自然減する指標である。そこで、状態判定手段614では、上記の記述関数のゲイン同士の比較に加え、変動比同士、生体減衰力同士をそれぞれ比較して、時間経過に伴ってゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定するようにすることが好ましい。なお、変動比及び生体減衰力については、後述の試験例においてさらに詳細に説明する。
上記した説明では、記述関数を用いて人の状態を判定する手法と、記述関数と心拍数を用いて人の状態を判定する手法を示しているが、これに加えて、交感神経の亢進状態か副交感神経優位の状態かを把握するさらに別の手法を併用することが人の状態のより正確な判定のためには好ましい。本実施形態では次の手法を採用している。
すなわち、図7に示したように、脈波周波数演算手段611として、上記のピーク検出法を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第1脈波周波数演算手段611aと、ゼロクロス法を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第2脈波周波数演算手段611bとを設定する。また、周波数傾き時系列解析演算手段612として、第1脈波周波数演算手段611aにより得られた脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算手段612aと、第2脈波周波数演算手段611bにより得られた脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算手段612bとを設定する。さらに、第1周波数傾き時系列解析演算手段612aにより得られた周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第1絶対値処理手段615aと、第2周波数傾き時系列解析演算手段612bにより得られた周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第2絶対値処理手段615bとを設定する。
そして、状態判定手段614として、第1絶対値処理手段615a及び第2絶対値処理手段615bによりそれぞれ得られる絶対値同士を時系列に比較する絶対値判定手段614cを設定する。
上記のように、ピーク検出法は、低周波成分に高周波成分が付加された脈波を検出しているのに対し、ゼロクロス法は脈波の低周波成分を検出しており、両者が一致している時は、高周波成分が少ないことを意味し、乖離している時は、高周波成分が多く含まれていることを意味している。従って、各絶対値処理手段615a,615bにより得られたデータを比較することで、交感神経系が亢進した緊張状態や我慢状態にあるか、副交感神経優位のリラックス状態あるいは機能低下状態や休息・睡眠状態にあるかの状態判定を行うことができる。このため、絶対値判定手段614cは、第1絶対値処理手段615aにより得られる絶対値に対し、第2絶対値処理手段615bにより得られる絶対値が高い値の場合に交感神経優位の状態と判定し、第1絶対値処理手段615aにより得られる絶対値が高い値の場合に副交感神経優位の状態と判定するように設定される。例えば、図10(e),(f)の例では、800秒付近までは交感神経優位の傾向にあり、1500秒以降は副交感神経優位の傾向にあり、その間においては、両者がほぼ同程度で交感神経優位の状態から副交感神経優位の状態に切り替わる段階であることがわかる。
交感神経と副交感神経のいずれが優位の傾向にある時間帯かをより明確に判定するために、第1絶対値処理手段615aにより得られた絶対値を積分して第1積分曲線を求める第1積分曲線演算手段616aと、第2絶対値処理手段615bにより得られた絶対値を積分して第2積分曲線を求める第2積分曲線演算手段616bとを設定し、状態判定手段614に、第1積分曲線演算手段616a及び第2積分曲線演算手段616bによりそれぞれ得られる各積分曲線を比較する積分曲線判定手段614dを設定することが好ましい。
これにより、積分曲線判定手段614dは、第2積分曲線に対し、第1積分曲線が高い値で推移する場合に交感神経優位の状態と判定し、第1積分曲線が低い値で推移する場合に副交感神経優位の状態と容易に判定できる。いずれの絶対値も所定値よりも高い場合、すなわち、第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも高い値で推移する場合には活性状態と判定し、いずれの絶対値も所定値よりも低い場合、すなわち第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも低い値で推移する場合には機能低下状態あるいは睡眠・休息状態と判定するように設定することが好ましい。なお、「所定値」は、予め個人毎に測定して設定することができる。
(試験例)
(シート着座状態での人の状態推定試験)
健康な50歳代の日本人男性3名と30歳代の日本人男性1名(被験者A〜D)をそれぞれ上記シート500に着座させ、静的条件下で30分間の居眠り検知実験を行った。同時に光学式指尖容積脈波計及び脳波計を装着し、指尖容積脈波及び脳波の測定も行った。結果を図10〜図13に示す。図10〜図13において、(a)は、脳波計による前頭前野のθ波、β波、α波の分布率の時系列波形を示し、(b)は、指尖容積脈波から求めたHF成分及びLF/HF成分の時系列波形を示し、(c)は、指尖容積脈波を用いて求めた従来技術の項で説明したパワー値の傾き(指尖脈波パワー値傾き)と最大リアプノフ指数の傾き(指尖脈波リアプノフ傾き)の時系列波形を示し、(d)は、上記実施形態のシート500に装着した生体信号測定装置1から得られるエアパック脈波を用いて求めた周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形を示し、(e)は、ピーク検出法により求めた周波数傾き時系列波形とゼロクロス法により求めた周波数傾き時系列波形とを絶対値処理した解析結果を示し、(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示した図である。
まず、図10は、被験者Aの実験結果を示す。図10(a)は全領域で、眠気を感じて睡眠に移行している可能性を示唆する。図10(b)は自律神経活動の変遷を示し、図中b1、b2、b3のバースト波は入眠予兆現象を示唆する。図10(c)は指尖脈波の傾き時系列波形を示す。図中、c1、c3、c4は、入眠予兆現象を示し全領域にわたって、漫然状態乃至うつらうつら状態にあったことが示唆される。なお、c2では、マイクロスリープに陥った可能性が考えられる。
図10(d)はエアパック脈波の周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形を示す。実験開始から800秒まで、周波数変動時系列波形は減少傾向となっており、眠気を伴ったリラックス状態に入っていることが推測される。その後、850秒以降については周波数変動時系列波形が上昇傾向になっていることから、覚醒移行状態に入っていると考えられる。また周波数傾き時系列波形の図中d1では、振幅値が小さくなる傾向が得られた。その後d2では振幅値が大きくなった。これは、活性化を捉えられていることが考えられる。ただし、d3では周波数傾きの振幅値が生じているが周波数変動の大幅な減少を伴わず、睡眠状態には至っていないと考える。このことは被験者のコメントとも一致した。
図10(e)はゼロクロス法とピーク検出法からの周波数傾き時系列波形に絶対値処理を適用した結果を示し、図10(f)はそれらの積分曲線を示す。ピーク検出法はHF、ゼロクロス検出法はLF/HFを捉えているとみると図10(b)とほぼ同様な傾向が現れていることも確認できた。
図11は被験者Bの実験結果を示す。図11(a)は脳波分布率変動波形を示す。実験開始後800秒からのβ波の上昇が確認され睡眠状態になったものと考えられる。図11(b)は指尖容積脈波から求めた自律神経系の変動波形を示し、図中b4で示すバースト波群は入眠予兆現象の発現を示す。実験開始600秒から副交感神経が優位なことから睡眠に移行される状態にあると思われる。さらに、950秒から副交感神経が大幅に亢進し、交感神経も低下していることから、本格的な睡眠状態に入ったものと思われる。
図11(c)は指尖容積脈波から求めた傾き時系列波形を示す。図中c3で示される領域は低周波−大振幅−逆位相となっているから、入眠予兆現象の発現を示す。その後、c4で若干の変化はみとめられるが睡眠状態に移行していったものと考えられる。
図11(d)はエアパック脈波周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形を示す。エアパック脈波周波数変動は、実験開始から450秒までは上昇傾向となり、その後800秒までは急激に減少しており、その後緩やかな減少傾向となった。また、1200秒から1400秒の間に一時的な上昇が確認され、何らかの状態変化が考えられる。実験開始から450秒までは眠気への抵抗で周波数変動が上がったことが考えられ、その後800秒までは眠気を受け入れたために脈波周波数変動が急激に減少したことが考えられる。800秒から睡眠に入っている状態を示している。
図11(e)はゼロクロス法とピーク検出法からの周波数傾き時系列波形に絶対値処理を適用した波形を示し、図11(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示す。ゼロクロス法と図11(b)で示すLF/HF、ピーク検出法と図11(b)で示すHFはそれぞれ近似する傾向が認められる。
図12は被験者Cの実験結果を示す。なお、被験者Cは昼寝から目覚めた直後にコーヒーを飲んで本実験に臨んだ結果である。図12(a)は脳波分布率波形である。θ波が実験開始直後から低下傾向にあり、覚醒状態に誘導されているものと考えられる。800秒から1500秒に掛けてα波の大幅な上昇が認められる。この時期に実験開始直前に飲んだカフェインの効果が生じたものと考えられる。これは被験者からのコメントがあった。1150秒以降はα波とθ波が安定しておりリラックス状態に誘導されていることが示唆される。
図12(b)で示す指尖容積脈波からの自律神経系の変動波形より、実験開始から800秒までは交感神経優位な状態になっており交感神経の代償作用が機能して疲労感を軽減しているものと考えられる。800秒から1100秒の間は交感神経にバースト波が2回立っており、カフェインの影響が認められる。1100秒以降は交感・副交感神経のバランスが良い状態になっている。
図12(c)は指尖容積脈波の傾き時系列波形を示す。800秒から1200秒の間でパワー値の波形に変動があり、この間にカフェインの効果が示唆される。
図12(d)の周波数傾き時系列波形から図中のd5とd6の間で状態変化が認められる。d5は振幅も小さく交感神経の代償作用の発現が認められ、d6では振幅も大きく周期も低周波に移行し、d5の緊張状態からd6のリラックス状態に変化したものと考えられる。周波数変動の波形からは1000秒から1300秒にかけて周波数変動の上昇傾向にあり、急激な活性化が示唆される。その後緩やかな減少傾向をたどりリラックス状態に誘導されたものと考えられる。
図12(e)は周波数傾きの絶対値処理波形を示し、図12(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示す。図中e1ではピーク検出法による周波数傾きの絶対値処理波形が優位な状態となり、図12(b)に示される副交感神経優位な状態がここで示されているものと考えられる。これは図12(b)の傾向と一致した。
図13は被験者Dの実験結果を示す。図13(a)は脳波の分布率を示し、900秒から1100秒にかけてθ波の減少とα波の上昇が認められる。この急激な上昇は、開眼から閉眼に状態が変化したものと考えられる。1100秒以降はリラックス状態にあると考えられる。
図13(b)は指尖容積脈波から求めた自律神経系の状態を表す。b5に示されるバースト波は以後の交感神経の低下と副交感神経の上昇から入眠予兆と思われる。ただしb6、b7のバースト波以降は交感神経と副交感神経がバランスが良い状態になっており、図13(a)と合わせて考えると900秒移行は睡眠に至っていないことが示唆される。つまり900秒以降は閉眼状態でリラックス状態にあることが考えられる。なお600秒から800秒の間に軽い睡眠があったことが考えられる。
図13(c)は指尖容積脈波から求めた傾き時系列波形を示す600秒から900秒の間に状態変化が生じ、900秒以降は安定状態を示している。この600秒から900秒の間のリアプノフ指数の低下は眠気ないし、軽度の睡眠を示唆する。
図13(d)の周波数変動の時系列波形より、500秒から800秒までの減少傾向に対して、800秒から1000秒の間で一時的な上昇傾向が認められる。この時600秒から800秒の間の一時的な変化がマイクロスリープないし軽い睡眠を示唆する。1000秒以降の周波数変動の減少傾向に対しては、周波数変動の傾き時系列波形の振幅の大幅な増加からこの状態では睡眠に至っていないことが示唆される。
図13(e)は周波数傾き絶対値波形を示し、図13(f)は、(e)において絶対値処理したものを積分した積分曲線を示すが、1000秒を境にして、状態が変化したことが示唆される。全域にわたって副交感神経優位な状態にあるが、400秒前後と1000秒前後に交感神経優位な状態が認められる。これは図13(b)のb4、b5、b6に相当するものと考えられる。
図14はエアパック脈波の周波数傾き時系列波形の各種状態における記述関数の比較を示す。被験者Aは図10(d)のd1からd2への変化の様子を表し、覚醒状態のなかで活性化したときの記述関数を表す。被験者Bは図11(d)のd3からd4への状態変化の記述関数を示す。この記述関数は睡眠状態に移行時の状態変化を表す。被験者Cは図12(d)のd5からd6への状態変化を表し、安静状態での記述関数を示す。被験者Dは図13(d)のd7からd8への状態変化の記述関数を示し、漫然状態の様子を示す。なお、記述関数のゲインに適宜の閾値を設定して、各被験者の状態を推定できることは上記した通りである。
ここで、人の状態をゆらぎ成分の変動比と生体減衰力から判定する手法について説明する。図15(a)は、図10(d)に示したエアパック脈波の周波数傾き時系列波形の拡大図であり、周波数傾き時系列波形は人のゆらぎ成分を示すものである。変動比は、隣り合う振幅X1、X2・・・の比(小さくなっていく場合には「減衰比」、大きくなっていく場合には「増幅比」であるが、両者を併せて「変動比」とする)から求められ、生体減衰力は人の活動の基準となるエネルギーであり、体調の悪いときは小さく、体調の良いときは大きくなり、人の活動による代謝によって自然減していくものと定義する。そして、縦軸をXi、横軸をXi+1としてプロットした図15(b)に示したグラフにおいて、変動比は図15(b)の(1)式で求められ、生体減衰力は図15(b)の(2)式で求められる。
そこで、状態判定手段614では、上記の記述関数のゲイン同士の比較に加え、変動比同士、生体減衰力同士をそれぞれ比較して、時間経過に伴ってゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定するようにすることが好ましい。
(マットレスにおける睡眠時の人の状態推定試験)
(実験方法)
本試験では、マットレスに上記実施形態で説明したエアパック10(以下、「エアパックセンサ」)を組み込み背部脈波(エアパック脈波)を採取して、昼寝と夜間睡眠について睡眠の質を検証できるか否かについて試験した。解析に用いる生体信号は精密脳波計による脳波、光学式指尖容積脈波計による指尖容積脈波、エアパックセンサによる背部脈波である。
・昼寝実験
30歳代の日本人男性3名について60分間の睡眠実験を実施した。実験環境は室温25℃±1℃、湿度50±10%である。実験時期は5月下旬〜6月上旬で、実験の時間帯は14時〜15時である。
・夜間睡眠実験
被験者は30歳代の男性1名である。実験環境は室温20℃±1℃、湿度40±10%である。実験時期は5月下旬で、実験の時間帯は23時〜翌朝7時の間である。
(実験結果)
・昼寝実験
図16は30歳代男性被験者の60分間昼寝実験結果を示す。図16は上から(a)脳波から求めた睡眠深度、(b)指尖容積脈波から求めたパワー値の傾き時系列波形及び最大リアプノフ指数の傾き時系列波形、(c)指尖容積脈波から求めたHF、LF/HF変動、(d)ゼロクロス法による背部脈波の周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形、(e)ゼロクロス法とピーク検出法による背部脈波の周波数傾き時系列波形の絶対値処理時系列波形、(f)ゼロクロス法とピーク検出法による背部脈波の周波数傾き時系列波形の積分曲線を示す。
昼寝の基本サイクルが20分間であると仮定して、図16(a)について検討した。a1,a2示される中途覚醒からの睡眠パターンを(1),(2),(3),(4)各群に分割してみた。(1),(2)群は、疲労回復のための睡眠で、(3)群は起床の準備のためで、(4)群は疲労回復した後の睡眠と考えた。図16(b)では、周期と振幅および位相に着目した。図に示すように(1),(2),(3),(4)群に分割した。(1)群は同位相、逆位相が混在し、周期も比較的短周期で振幅も小さい。(2)群は、長周期、大振幅、逆位相の波形が中心となり、(3)群では中周期、逆位相から同位相への移行期にあり、振幅は中程度のものが中心となっている。また、(4)群で(3)群が同位相になった。図16(c)では、LF/HFのバースト波とHFの基線の高低差で(1),(2),(3),(4)群に分割した。(1),(2)群はLF/HFのバースト波で分断されているが、HFの基線は同一レベルで、やや(2)群が高くなっている。LF/HFについても同様である。(3)群はHF,LF/HFともに低下し、(4)群でHF,LF/HFが再上昇している。図16(d)では、周波数傾き時系列波形の振幅と周期と高周波成分の有無で区別し、さらに周波数変動の時系列波形の周期成分と、上昇、下降の傾向および停滞運動で5群に区別した。図16(e)では、ピーク検出法とゼロクロス法の絶対値処理した波形群の類似性で5群に区別した。図16(f)では、積分曲線の微分係数で6群に分割した。
・夜間睡眠実験
図17は30歳代男性被験者の夜間睡眠実験結果を示す。図17は上から(a)脳波から求めた睡眠深度、(b)指尖容積脈波から求めたパワー値の傾き時系列波形及び最大リアプノフ指数の傾き時系列波形、(c)指尖容積脈波から求めたHF、LF/HF変動、(d)ゼロクロス法による背部脈波の周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形、(e)ゼロクロス法とピーク検出法による背部脈波の周波数傾き時系列波形の絶対値処理時系列波形、(f)ゼロクロス法とピーク検出法による背部脈波の周波数傾き時系列波形の積分曲線を示す。
図17(a)の睡眠深度と睡眠パターンから、大きく(1)〜(6)群に分割した。その中で(1)群をさらに3つに細分し、(3)群を7つに細分した。(5)群は3つに細分し、(6)群は2 つに細分した。図17(b)は、末梢循環系の変動の様子を捉えたものであるが、周期と振幅,位相に着目し、大きく(1)〜(6)群に分割した。その中で(1)群を5つに細分した。(3)群については5つに細分した。(5)群は3つに細分した。
図17(c)も末梢循環系の様子を捉えたもので、HFの基線の変化の周期性とLF/HFのバースト波の出現密度の差で(1)〜(6)群に分割した。その中で(1)群を3つに細分し、(2)群を2つに細分し、(3)群を5つに細分し、(5)群を3つに細分し、(6)群を2つに細分した。
図17(d)は背部脈波から求めた周波数変動の変化の様子から、(1)停滞、(2)上昇、(3)下降、(4)上昇、(5)停滞と変動、(6)上昇と変動の(1)〜(6)群に分割した。その中で(1)群は3つに細分し、(3)群は2つに細分し、(6)群は4つに細分した。
図17(e)は背部脈波から求めた周波数傾き時系列波形の低周波成分と、基本となる低周波成分に対して高周波成分がのっている量を表したものであるが、大きく(1)〜(5)群に分割した。さらに、(1)群は9つに細分し、(2)群は3つに細分し、(3)群は4つに細分した。
図17(f)は周波数傾き時系列波形の低周波成分の変化の様子で、(1)〜(3)群に分割した。(1)群は8つに細分し、(2)群は4つに細分し、(3)群は4つに細分した。
(考察)
図18 は、覚醒時、睡眠時、中途覚醒時の各状態におけるゼロクロス法を用いた周波数傾き時系列波形の300秒間の振幅の平均値を示す。図19はゼロクロス法を用いた周波数傾き時系列波形における、睡眠パターンの睡眠段階1及び2、睡眠段階3及び4、レム睡眠における各サイクルごとの記述関数を導出したものである。
ゼロクロス法を用いた周波数傾き時系列波形の振幅の平均値は、睡眠深度が深くなるにつれて小さくなり、レム睡眠で睡眠段階1と同程度になり、中途覚醒時は安静時の約2倍となった。
そして、記述関数では、浅い睡眠段階1及び2は、睡眠サイクルが進むにつれて伝達率の共振峰(ピーク周波数)が低周波側にずれていき、ゲインは小さくなっていった。深い睡眠段階3及び4は、睡眠のサイクルが進むにつれて伝達率の共振峰が高周波側にずれていき、ゲインは大きくなった。また、脳波、指尖容積脈波で区分した状態変化は、背部脈波から算出した各種時系列波形、曲線群で近似の傾向を示した。これらのことから、記述関数のゲインの大小、共振峰の位置に任意の閾値を設定することにより、睡眠段階を速やかに特定できることがわかる。
(飲酒に関する人の状態推定試験)
本発明の生体状態推定装置60は、生体状態の一つの指標として、エアパック脈波から飲酒の程度を推定できる構成とすることが好ましい。飲酒の程度は、呼気アルコール濃度や血中アルコール濃度で測定することができるが、それらを測定する専用の検出計を用いることなく、エアパック脈波を利用して推定できる構成とすることが好ましい。このため、図20に示したように、状態推定部610には、さらに、周波数変動時系列解析演算手段613によって得られる周波数変動時系列波形から、ある時間幅における周波数の平均値を所定時間毎に求める周波数平均値算出手段617と、飲酒前において周波数平均値算出手段617により求めた周波数の平均値と飲酒後において周波数平均値算出手段617により求めた周波数の平均値との差分を算出する周波数差分算出手段618とを設定することが好ましい。
(実験装置)
エアパック脈波の採取には、上記シート500を用いて測定した。エアパック脈波の計測と同時に指尖容積脈波(株式会社アムコ製フィンガークリッププローブSR−5C)と呼気アルコール濃度(東海電子株式会社製ALC−mini)の計測を行った。
(実験方法)
健康な20歳代から40歳代の成人男性を被験者として実験を行った。被験者には、あらかじめ飲酒実験とは別の日にエタノールパッチテストを行い、被験者A〜D、Fは活性型(NN型)、被験者Eは低活性型(ND型)であることを確認した。なお、被験者の体重および身長は、被験者A は体重71kg、身長167cm、被験者Bは体重68kg、身長178cm、被験者Cは体重65kg、身長171cm、被験者Dは体重59kg、身長166cm、被験者Eは体重76kg、身長178cm、被験者Fは体重64kg、身長167cmの被験者である。非侵襲センサであるエアパックセンサと比較用センサによる生体信号の計測は、飲酒前に1200 秒間の計測を1回行い、その後、飲酒(ビール:500ml)をして、飲酒後に最も血液中のアルコール濃度が高くなるとされている1200−2400秒後の1200秒間に1回目の計測を行った。その後、被験者A、E、F については時間経過による変化を見るために、一定時間を空けて5400−6600秒後、9600−10800秒後の2回、計4回測定を行った。被験者は飲酒開始時間より、最低3時間以上食事をしていない状態とし、空腹状態に近い状態を再現した。また通常の飲酒状態を模擬するため、飲酒時に適量のおつまみを摂取した。また実験中には、これ以外には水分補給のみを行い、他のものの飲食は行わないようにした。生体信号の計測前後には、呼気アルコール濃度を計測した。その変動の様子を図21に示す。
(実験結果)
図22(a)〜(c)に被験者Aの場合の指尖容積脈波とエアパック脈波のそれぞれ計測開始300秒間分のデータでの原波形と300秒間分の周波数解析結果を示す。また図23に被験者Aのそれぞれの脈波の300秒毎の卓越周波数の変遷を示す。指尖容積脈波とエアパック脈波の卓越周波数のピーク位置はほぼ一致しており、同等の周波数特性を有した脈波が得られていることがわかる。
図24にピーク検出法による被験者Aのエアパック脈波の周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形を示す。また図25にゼロクロス法による被験者Aのエアパック脈波の周波数変動時系列波形と周波数傾き時系列波形を示す。周波数変動時系列波形については、周波数解析と同様、飲酒の影響により高周波側にシフトしていることがわかる。また600秒以降の領域では、600秒以前の傾向とずれてきているのがわかる。これは被験者が時間とともにシートへの着座による疲労が増加してきており、その影響が無視できなくなったためであると考えられる。
一方、周波数傾き時系列波形において、ピーク検出法では飲酒前後ではそれほど大きな差は生じていないが、ゼロクロス法では飲酒によって時系列波形が大きく変動していることがわかる。ピーク検出法では、得られた脈波の極大値から周波数を導出するが、この周波数は外的要因などによる脈波の波形の乱れの影響も受ける。一方、ゼロクロス法では、ゼロクロス地点で周波数を導出するため、脈波全体が受けている大局的な変化を捉えるのに適していると考えられる。飲酒による人体への影響度合は、血中アルコール濃度に相関性があることが知られており、大局的な変化を捉えるゼロクロス法の方が飲酒検知には適していると考えられる。
(考察)
図26は、ゼロクロス法で得られたエアパック脈波の周波数変動のうち、着座疲労の影響が少ない0−600秒間での平均値を周波数平均値算出手段617によって導出し、周波数差分算出手段618によってその平均値と飲酒前の値との差分値を求め、得られた差分値を呼気アルコール濃度との相関で示したものである。被験者Aは、飲酒に伴って、呼気アルコール濃度と差分値が上昇している[(1)→(2)]。その後、呼気アルコール濃度が先に減少を初め[(2)→(3)]、その後遅れて差分値が減少してことがわかる[(3)→(4)]。また、被験者E、Fは、最初は被験者Aと同様の傾向を示しているが、(4)のところで被験者Aとは異なって差分値が減少していない。これは被験者E、Fは完全には酔いが醒めていない可能性を示唆している。被験者Eは、呼気アルコール濃度では4回目の計測時に0mg/lとなっているが、エアパック脈波周波数変動の平均の差分値からは、まだアルコールの影響が残っている可能性を示唆している。
今回用いた呼気アルコール濃度計は、検出限界が0.05mg/lであり、それ以下の呼気アルコール濃度は検出できない。しかしながら、エアパック脈波は血液中のアルコール濃度の影響度合を直接計測していると考えられる。呼気アルコール濃度と血中アルコール濃度は相関性があることが知られているが、呼気アルコール濃度に対して、血中アルコール濃度は2000倍であると言われている。このため今回得られたエアパック脈波周波数変動の平均の差分値では、呼気アルコール濃度より精度の良い検知が出来る可能性があることを示唆していると考えられる。
このことから、コンピュータの記憶部に、予め、図26に示したような呼気アルコール濃度対応テーブルを記憶させておく。その結果、例えば、被験者Aが飲酒後に差分値0.1と算出された場合、呼気アルコール濃度約0.05mg/lに相当することがわかる。同様に、被験者Eが、差分値0.05と算出された場合、呼気アルコール濃度が約0.11mg/lと推定できる。一方、被験者Fの場合、例えば、差分値が0.05と算出された場合には、呼気アルコール濃度が0.02mg/l又は0.08mg/lのいずれかと推定され、一つの値には定まらないが、0.02mg/l〜0.08mg/lの間であることは推定できる。
また、図27は、図25(a)で得られた周波数傾き時系列波形のゆらぎ度合を評価するために計測の前半と後半部分での周波数傾き時系列波形の記述関数を導出した結果を示したものである。図27(a)では、(1) 飲酒前と(4)飲酒後3回目の計測で呼気アルコール濃度が法定基準以下に下がってはいるが、飲酒からそれほど時間の立っていない状態との比較を行っている。一方、図27(b)では、飲酒後の呼気アルコール濃度変化している途中の比較[(2)、 (3)]を行った。
図27(a)では、(1)飲酒前と比較して、(4)飲酒後3回目はピークが下がり、周波数も低下している。これは周波数傾き時系列波形の変化が小さくなり、また、その変化も遅くなっていることを示唆していると考えられる。このことは呼気アルコール濃度が検出限界以下になっても、即座に飲酒前の状態に戻るのではなく、アルコールの影響がある程度残っており、被験者に機能低下が起きている可能性が考えられる。また図27(b)では、(2)飲酒後1回目と比較して、(3)飲酒後2回目は飲酒により高周波側に移動した波形が低周波側に移動している。つまり、呼気アルコール濃度の低下に伴い、ゆらぎ度合は低周波側に寄っているが伝達率は上昇している。従って、(2)、(3)はゆらぎの様子は異なるが、機能低下には至っておらず、疲労が進行していく様子に近似している。したがって、被験者Aは飲酒により一時的に活性化し、その後、(1),(3),(4)という経過で機能低下が生じていったと推察される。
図28及び図29は被験者E、Fの周波数傾き時系列波形の記述関数を示す。被験者Eは、飲酒による影響が強く出ているのは段階(2)のときで、段階(3)、(4)については、飲酒により 活性状態に誘導されたままとなっている。これは被験者の体力に依存するものと推察される。被験者Fは呼気アルコール濃度が0.27mg/lである段階(2)で飲酒による影響が強く表れており、一時的な機能低下が生じている。その後、呼気アルコール濃度の低下に伴い、段階(3)、(4)で活性状態に移行している。被験者Fについていえば、飲酒後1200秒から2400秒の間は呼気アルコール濃度が0.18mg/lと0.27mg/lにあり、おおよそ爽快期(0.10〜0.25mg/l)からほろ酔い期(0.25〜0.50mg/l)に相当する。
従って、記述関数を求め、複数の記述関数のピーク周波数、ゲインの大小を比較することにより、アルコールの影響を判定することが可能であることがわかる。また、E、Fは、飲酒後3回目の計測でも、記述関数からは機能低下の段階に至っていないと判断できることから、呼気アルコール濃度の低下にもかかわらず、まだ爽快期を抜けきっていないと思われる。そのため、まだ血液中ではアルコールの影響が抜けきっていない可能性があると考えられる。以上のことから、周波数傾き時系列波形の記述関数は、飲酒の有無の判定とアルコールの影響が残っているかどうかを判定する指標として使用できる。
(振動(乗り心地)に関する人の状態推定試験)
(実験方法)
(株)デルタツーリング製、救急車用防振架台「メディックマスター(登録商標)」をワンボックスカーの荷台に搭載してストレッチャーを支持させ、そのストレッチャーに被験者(40歳代、男性)を仰向けに寝かせて一般道を走行し、振動に関する状態推定を行った。
この救急車用防振架台は、上下方向の除振機能だけでなく、前後方向の除振機能(ノーズダイブによる頭部に作用する力の緩和機能)を兼ね備えたものであり、実験では、上下及び前後の除振機能が共に機能する状態(両除振機能機能ON)、前後の除振機能をロックし、上下の除振機能のみを機能させた状態(ノーズダイブ機能OFF)、上下及び前後のいずれの除振機能も機能しない状態(両除振機能OFF)の3つの条件で走行した。被験者の背部には、上記実施形態で説明したエアパック10(「エアパックセンサ」)を配置し、背部脈波を採取してそれぞれについて人の状態推定を行った。
まず、両除振機能ON、ノーズダイブ機能OFF、両除振機能OFFの各場合において、停止中と走行中の被験者の背部脈波(エアパック脈波)の原波形は図30(a)〜(c)に示したとおりであった。図30(a)の「両除振機能ON」の場合は、被験者に大きな振動が加わっていないが、「ノーズダイブ機能OFF」の場合には、図30(b)の287秒前後のように大きな振動が付加される場合がある。これは、ブレーキ操作などによって前後への振動が大きく影響したものである。図30(c)の「両除振機能OFF」の場合には、上下振動、前後振動のいずれも大きな振動が影響していることがわかる。
図31(a)〜(c)は、図30(a)〜(c)の各原波形をゼロクロス法を用いて処理して得た周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形であり、図32(a)〜(c)は、図30(a)〜(c)の各原波形をピーク検出法を用いて処理して得た周波数傾き時系列波形と周波数変動時系列波形である。そして、図33(a)〜(c)は、図31及び図32のゼロクロス法を用いた周波数傾き時系列波形とピーク検出法を用いた周波数傾き時系列波形をそれぞれ絶対値処理して示したデータであり、図中、「交感神経」の表示はゼロクロス法を用いたデータを示し、「副交感神経」の表示はピーク検出法を用いたデータのことを示している。
図33(a)では、測定時間中のほぼ全てにおいて、交感神経と副交感神経のバランスがよく、リラックスした状態であることがわかる。図33(b)では、1000秒前後で副交感神経優位な状態になっていることから疲れによる眠気が生じ、その後、交感神経、副交感神経共に振幅が小さくなっていることからきつい状態を眠ることによって逃避しようとしたことがわかる。図33(c)では、測定時間中のほぼ全域に亘って交感神経、副交感神経共に振幅が小さく、体が硬直したような状態になっていることが示唆される。
図34(a)〜(c)は、図33(a)〜(c)の絶対値処理したデータを積分した図である。これらの図から、図34(a)の場合には、ゼロクロス法を用いて算出した積分曲線とピーク検出法を用いて算出した積分曲線との差が全域に亘って小さく、両者のバランスがとれていることが明確にわかる。これに対し、図34(b),(c)の場合には、図34(a)よりも2つの積分曲線の差が次第に大きくなっており、疲労の蓄積度合いが大きいことがわかる。図34(b)は1000秒前後で急激に苦しくなり、微分係数が低下し、睡眠移行あるいは機能低下が生じている。そのため後半の疲労度が特に大きい。図34(c)は、700秒前後で痛みに対する抵抗を示している。体を硬直させて痛みに耐えているが、1250秒以降は耐えきれずに疲労度合いが増加していることがわかる。また、図34(a)〜(c)のうち、1000秒前後からは上記のように睡眠移行や機能低下が生じているが、それより前の機能低下が生じる前の時間帯では被験者が振動による力を受けて反応することによって生じた疲労の蓄積度合いを示している。この疲労の蓄積度合いを体への負担度として示したのが図34(d)であり、この図から「両除振機能ON」の場合が極めて負担度が小さいことがわかる。
図35(a)〜(c)は、心拍変動をウェーブレット解析したデータを示したものであり、図35(a)におけるHFとLF/HFとのバランスと比べ、図35(b)は寝て痛みから逃げようとし、(c)では、痛みに対して交感神経が絶えず反応していることがわかる。そのため両者のバランスの乱れが大きい。従って、「両除振機能ON」にすることで、疲労が生じにくいと言える。従って、エアパック脈波を用いた図33及び図34の解析結果がこれと同様の結果が得られていることがわかる。
図36は、図31(a)〜(c)の各図のAの時間帯の周波数傾き時系列波形とBの時間帯の周波数傾き時系列波形との記述関数を示した図である。この図から、「両除振機能OFF」の場合には、ピーク周波数0.008Hzにおけるゲインが突出し、緊張と眠気が同時に作用していることがわかる。「両除振機能ON」と「ノーズダイブ機能OFF」は、いずれの場合もゲインは小さいが、それでも、「ノーズダイブ機能OFF」の場合は「両除振機能ON」の場合よりもゲインが全般に高い傾向にあり、交感神経が作用し、痛みに耐えていることがわかる。ここでも、「両除振機能ON」の場合は、被験者は、休息がとれ、楽な状態で走行できていることがわかる。
従って、図36の記述関数を用いることにより、振動下における人の状態判定を行うことができることがわかる。また、この記述関数による状態判定に加えて、図33及び図34に示した絶対値処理、積分曲線等を用いることで、振動に対する人の状態をより精密に判定することができる。
(マットレスに関する人の好みに関する試験)
スプリングの仕様のみが異なるクッション特性が近似したA〜Dの4種類のマットレスに被験者を座位、仰臥位で支持し、被験者がいずれのマットレスを好みと感じるかについて試験を行い、人の好みと記述関数との関係について調べた。具体的には、20歳代から50歳代の男性9名、女性4名の合計13名の被験者を90秒間仰臥位で寝かせ、指尖容積脈波計を用いて指尖容積脈波を測定した。
そして、指尖容積脈波の時系列波形を2階微分して加速度脈波を算出し、得られた加速度脈波を周波数解析してパワースペクトルの振幅ピーク値を求めた。なお、状態推定部610には、加速度脈波解析手段(図示せず)を設定し、この加速度脈波解析手段により、加速度脈波と振幅ピーク値を求めるようにした。また、指尖容積脈波から、ピーク検出法を用いて周波数傾き時系列波形を算出し、入力となる前半領域20秒間と出力となる後半領域20秒間を抜き出し、前半領域の値に対する後半領域の値の比を記述関数として求めた。なお、周波数傾き時系列波形を求める際の時間窓は、この試験例では8秒とし、移動計算の際には7.6秒をオーバーラップ時間として設定した。マットレスについて感じる人の好みは、生体信号の中でも、随意コントロール可能な呼吸のゆらぎとして表れるという仮定のもと、呼吸のゆらぎである0.03〜0.05Hzの周波数帯を抽出するためである。
記述関数と官能評価の結果を図37(a),(b)に示す。横軸は官能評価の結果であり、1は4条件の中で最も好みのマットレス、4は好みではないマットレスであることを示している。縦軸は記述関数のゲインを示す。記述関数のゲインと官能評価の関係は、正の相関を示すグループ(図37(a)参照)と負の相関を示すグループ(図37(b)参照)とに分かれた。これは、被験者が心理的にマットレスの適、不適を判定する基準の差の表れと考えられる。身体が活性状態、つまり「これがあるから好き」という状態であると記述関数は高くなるが、逆に、ゆらぎが少なく身体の負担が少ない、つまり、何も感じない状態であると記述関数は少なくなる。すなわち、マットレスを選ぶ際に、時間軸で変化があることを基準にマットレスを選ぶ人と時間軸で変化が無いことを基準にマットレスを選ぶ人に分かれるということが考えられる。
図38及び図39は、縦軸を記述関数のゲイン、横軸を加速度脈波の周波数の振幅ピーク値として被験者の好みの順番に評価結果をまとめたものである。図38は記述関数と官能評価による好みの順番に負の相関があった被験者群(好きな順で記述関数が大きかった人たちのグループ)を示す。図39は記述関数のゲインと官能評価による好みの順番に正の相関があった被験者群(好きに順で記述関数が小さかったグループ)を示す。
ここで、図38の負の相関グループは一番好き(官能評価1位)と評価したものが記述関数が大きくなる傾向があり、横軸との相関のばらつきが一番大きい。そして、順位が下がるにつれてばらつきが小さくなる傾向を示している。これは、このグループは好きなもののときに体の反応が敏感になり、逆に好きでないものに対しては反応が鈍くなることを示している。
図39の正の相関グループは、一番嫌い(官能評価4位)と二番目に嫌い(官能評価3位)の記述関数のゲインが高く、横軸とのばらつきも大きい。逆に評価が良いものは記述関数のゲインが低くなっている。これは、このグループは好きなものより嫌いなものに対して体が敏感に反応することを示している。このように記述関数を用いた解析手法により、「好き」という感覚を基準として体が反応するタイプと、「嫌い」という間隔を基準として体が反応するタイプに分けることができる。すなわち、記述関数を用いた解析手法によって、人を支持している物(例えば、マットレス、椅子)に対する好悪という人の精神的な状態を客観的に判断することが可能であると言える。
なお、生体信号測定装置としては、上記したエアパック10を用いたものに限らず、図40に示したものを用いることもできる。図40に示した生体信号測定装置200は、三次元立体編物210、三次元立体編物支持部材215、フィルム216、板状発泡体221,222、振動センサ230を有して構成される。
三次元立体編物210は、図1等に示した生体信号測定装置1と同様のものを用いることができる。三次元立体編物210は、厚み方向の荷重−たわみ特性が、測定板上に載置して直径30mm又は直径98mmの加圧板で加圧した際に、荷重100Nまでの範囲で、人の臀部の筋肉の荷重−たわみ特性に近似したバネ定数を備えることが好ましい。具体的には直径30mmの加圧板で加圧した際の当該バネ定数が0.1〜5N/mmの範囲、又は、直径98mmの加圧板で加圧した際の当該バネ定数が1〜10N/mmであるものを用いることが好ましい。人の臀部の筋肉の荷重−たわみ特性に近似していることにより、三次元立体編物と筋肉とが釣り合い、生体信号が伝播されると、三次元立体編物が人の筋肉と同様の振動を生じることになり、生体信号を大きく減衰させることなく伝播できる。
板状発泡体221,222は、ビーズ発泡体により構成することが好ましい。ビーズ発泡体としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか少なくとも一つを含む樹脂のビーズ法による発泡成形体が用いることができる。ビーズ発泡体からなる板状発泡体221,222は、個々の微細なビーズを構成している発泡により形成された球状の樹脂膜の特性により、微小な振幅を伴う生体信号を膜振動(横波)として伝播する。この膜振動(横波)が三次元立体編物に弦振動として伝わり、これらの膜振動(横波)と弦振動が重畳され、生体信号は、膜振動(横波)と弦振動が重畳されることによって増幅された機械振動として、後述する振動センサ230により検出される。従って、生体信号の検出が容易になる。
板状発泡体221,222をビーズ発泡体から構成する場合、発泡倍率は25〜50倍の範囲で、厚さがビーズの平均直径以下に形成されていることが好ましい。例えば、30倍発泡のビーズの平均直径が4〜6mm程度の場合では、板状発泡体221,222の厚さは3〜5mm程度にスライスカットする。これにより、板状発泡体221,222に柔らかな弾性が付与され、振幅の小さな振動に共振し、フィルム上を伝わる横波に減衰が生じにくくなる。なお、板状発泡体221,222は、本実施形態のように、三次元立体編物210を挟んで両側に配置されていても良いが、いずれか片側、好ましくは、シートバック側のみに配置した構成とすることもできる。
ここで、三次元立体編物210は、幅40〜100mm、長さ100〜300mmの範囲の短冊状のものが用いられる。この大きさのものだと、三次元立体編物210に予備圧縮(連結糸に張力が発生する状態)を生じやすくなり、人と三次元立体編物210との間で平衡状態が作りやすい。本実施形態では、人が背部が当接した際の違和感軽減のため、脊柱に対応する部位を挟んで対象に2枚配設するようにしている。三次元立体編物210を簡単に所定位置に配置するようにするため、図21に示したように、三次元立体編物210は三次元立体編物支持部材215に支持させた構成とすることが好ましい。三次元立体編物支持部材215は、板状に成形され、脊柱に対応する部位を挟んで対称位置に、縦長の配置用貫通孔215a,215aが2つ形成されている。三次元立体編物支持部材215は、上記板状発泡体221,222と同様に、板状に形成されたビーズ発泡体から構成することが好ましい。三次元立体編物支持部材215をビーズ発泡体から構成する場合の好ましい発泡倍率、厚さの範囲は上記板状発泡体221,222と同様である。但し、生体信号により膜振動(横波)をより顕著に起こさせるためには、三次元立体編物210,210の上下に積層される板状発泡体221,222の厚さが、三次元立体編物支持部材215の厚さよりも薄いことが好ましい。
三次元立体編物支持部材215に形成した配置用貫通孔215a,215aに、2つの三次元立体編物210,210を挿入配置した状態で、三次元立体編物210,210の表側及び裏側にフィルム216,216を積層する。なお、配置用貫通孔215a,215aの形成位置(すなわち、三次元立体編物210,210の配設位置)は、心房と大動脈(特に、「下行大動脈」)の拍出に伴う動きによって生じる揺れ及び大動脈弁の動き(心部揺動波)を検知可能な領域に相当する位置とすることが好ましい。この結果、三次元立体編物210,210は、上下面が板状発泡体221,222によりサンドイッチされ、周縁部が三次元立体編物支持部材215によって取り囲まれており、板状発泡体221,222及び三次元立体編物支持部材215が共振箱(共鳴箱)の機能を果たす。
また、三次元立体編物支持部材215よりも、三次元立体編物210,210の方が厚いものを用いることが好ましい。つまり、三次元立体編物210,210を配置用貫通孔215a,215aに配置した場合には、三次元立体編物210,210の表面及び裏面が、該配置用貫通孔215a,215aよりも突出するような厚さ関係とする。これにより、フィルム216,216の周縁部を配置用貫通孔215a,215aの周縁部に貼着すると、三次元立体編物210,210は厚み方向に押圧されるため、フィルム216,216の反力による張力が発生し、該フィルム216,216に固体振動(膜振動(横波))が生じやすくなる。一方、三次元立体編物210,210にも予備圧縮が生じ、三次元立体編物の厚さ形態を保持する連結糸にも反力による張力が生じて弦振動が生じやすくなる。なお、フィルム216,216は、三次元立体編物210,210の表側及び裏側の両側に設けることが好ましいが、いずれか少なくとも一方に設けた構成とすることも可能である。フィルム216,216としては、例えば、ポリウレタンエラストマーからなるプラスチックフィルム(例えば、シーダム株式会社製、品番「DUS605−CDR」)等を用いることができる。
振動センサ230は、上記したフィルム216,216を積層する前に、いずれか一方の三次元立体編物210に固着して配設される。三次元立体編物210は一対のグランド編地と連結糸とから構成されるが、各連結糸の弦振動がグランド編地との節点を介してフィルム216,216及び板状発泡体221,222に伝達されるため、振動センサ230は感知部230aを三次元立体編物210の表面(グランド編地の表面)に固着することが好ましい。振動センサ230としては、マイクロフォンセンサ、中でも、コンデンサ型マイクロフォンセンサを用いることが好ましい。本実施形態では、マイクロフォンセンサを配置した部位(すなわち、三次元立体編物210を配置した配置用貫通孔215a)の密閉性を考慮する必要がないため、マイクロフォンセンサのリード線の配線は容易に行うことができる。生体信号によって生じる人の筋肉を介した体表面の振動は、三次元立体編物210だけでなく、板状発泡体221,222、フィルム216にも伝播され、それらが振動(弦振動、膜振動(横波))して減衰を防止しつつ重畳されて増幅する。よって、振動センサ230は、三次元立体編物210に限らず、振動伝達経路を構成する板状発泡体221,222及びフィルム216に、その感知部230aを固定することもできる。
生体信号測定装置200としては、図40に示したものに限定されず、例えば、図41(a)に示したように、2つの三次元立体編物210,210の両方を覆うことのできる大きさのフィルム217を少なくとも一方に用いても良い。また、図41(b)に示したように、略長方形の三次元立体編物を両端縁から中央部に向かって折り曲げ、重なり合った部分の中央部を縫い合わせたランバーサポート218を配置するようにしてもよい。ランバーサポート218は、三次元立体編物支持部材215に面ファスナ等を用いて固定される。ランバーサポート218をこのようにして設けることにより、狭いスペース中でストローク感を高めるのに寄与する。
上記した生体信号測定装置200は、例えば、図42に示したように、自動車用シート1000のシートバックフレーム1100に被覆される表皮1200の内側に配置される。なお、配置作業を容易にするため、生体信号測定装置200を構成する三次元立体編物210、三次元立体編物支持部材215、フィルム216、板状発泡体221,222、振動センサ230等は予めユニット化しておくことが好ましい。
上記した生体信号測定装置200によれば、生体信号により、筋肉の荷重−たわみ特性に近似する荷重−たわみ特性をもつ板状発泡体221,222やフィルム216に膜振動(横波)が生じると共に、人の筋肉の荷重−たわみ特性に近似した荷重−たわみ特性を有する三次元立体編物210に弦振動が生じる。そして、三次元立体編物210の弦振動は再びフィルム216等の膜振動(横波)に影響を与え、これらの振動が重畳して作用する。その結果、生体信号に伴って体表面から入力される振動は、減衰することなく弦振動と膜振動(横波)との重畳によって増幅された固体振動として直接振動センサ230により検出されることになる。
図1等に示したエアパック10内の空気圧変動を検出する生体信号測定装置1の場合、体積と圧力が反比例関係にあるため、密閉袋の体積を小さくしないと圧力変動を検出しにくい。これに対し、図40〜図42に示した生体信号測定装置200によれば、空気圧変動ではなく、上記のように、機械的増幅デバイス(三次元立体編物210、板状発泡体221,222、フィルム216又はフィルム217)に伝播される増幅された固体振動を検出するものであるため、その容積(体積)が検出感度の観点から制限されることはほとんどなく、心部揺動波という振幅の小さな振動を感度良く検出できる。このため、多様な体格を有する人に対応できる。従って、図40〜図42に示した生体信号測定装置200は、乗物用シートのように、多様な体格を有する人が利用し、さらに多様な外部振動が入力される環境下においても感度良く生体信号を検出できる。
1,200 生体信号測定装置
10 エアパック
15 収容体
100 エアパックユニット
20 ビーズ発泡樹脂弾性部材
40,45 三次元立体編物
500 シート
510 シートバック部
511 表皮部材
512 クッション支持部材
520 シートクッション部
60 生体状態推定装置
610 状態推定部
611 脈波周波数演算手段
611a 第1脈波周波数演算手段
611b 第2脈波周波数演算手段
612 周波数傾き時系列解析演算手段
612a 第1周波数傾き時系列解析演算手段
612b 第2周波数傾き時系列解析演算手段
613 周波数変動時系列解析演算手段
614 状態判定手段
614a 記述関数算出手段
614b 心拍数判定手段
614c 絶対値判定手段
614d 積分曲線判定手段
615a 第1絶対値処理手段
615b 第2絶対値処理手段
616a 第1積分曲線演算手段
616b 第2積分曲線演算手段

Claims (31)

  1. 生体信号測定装置から得られる脈波の時系列波形を分析して人の状態を推定する状態推定部を備えた生体状態推定装置であって、
    前記状態推定部は、
    前記脈波の時系列波形における周波数の時系列波形を求める脈波周波数演算手段と、
    前記脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算手段と、
    任意に設定した第1時間帯における前記周波数傾き時系列波形と前記第1時間帯よりも後の第2時間帯における前記周波数傾き時系列波形と間の記述関数を求め、得られた記述関数から人の状態を判定する状態判定手段と
    を有することを特徴とする生体状態推定装置。
  2. 前記状態判定手段は、前記記述関数を、予め種々の状態変化毎に求めて記憶させた基本記述関数と比較し、前記記述関数に最も近似した基本記述関数を抽出して、当該基本記述関数に対応する状態変化から人の状態を特定する請求項1記載の生体状態推定装置。
  3. 前記状態判定手段は、前記記述関数のゲインを予め設定した閾値と比較して人の状態を特定する請求項1記載の生体状態推定装置。
  4. 前記状態判定手段は、前記記述関数における所定周波数の複数のゲイン同士を比較して、時間経過に伴うゲインの変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲインの変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定する請求項1〜3のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  5. 前記状態判定手段は、さらに、前記周波数傾き時系列波形から隣り合う振幅の変動比及び生体減衰力を求め、前記記述関数に該変動比及び生体減衰力を加えて人の状態を判定する請求項1〜3のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  6. 前記状態判定手段は、前記記述関数における所定周波数の複数のゲイン同士、変動比同士、生体減衰力同士をそれぞれ比較して、時間経過に伴うゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定する請求項5記載の生体状態推定装置。
  7. さらに、前記脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の平均値を求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の平均値の時系列変化を周波数変動時系列波形として出力する周波数変動時系列解析演算手段を有し、
    前記状態判定手段が、前記周波数変動時系列解析演算手段により得られた前記周波数変動時系列波形の変化量が増加、減少、停滞のいずれであるかにより、心拍数の増加、減少、停滞のいずれであるかを判定する心拍数判定手段を備え、
    前記心拍数判定手段により判定される心拍数の状態と前記ゲインの変化との組み合わせで人の状態を判定する請求項1〜4のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  8. 前記脈波周波数演算手段は、前記脈波の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める手段と、前記脈波の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める手段とのうち、いずれか少なくとも一方の手段を備える請求項1〜6のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  9. 前記脈波周波数演算手段は、前記脈波の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第1脈波周波数演算手段と、前記脈波の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第2脈波周波数演算手段とを備えてなり、
    前記周波数傾き時系列解析演算手段は、前記第1脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算手段と、前記第2脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算手段とを備えてなり、
    さらに、前記第1周波数傾き時系列解析演算手段により得られた前記周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第1絶対値処理手段と、前記第2周波数傾き時系列解析演算手段により得られた前記周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第2絶対値処理手段とを有し、
    前記状態判定手段が、前記第1絶対値処理手段及び第2絶対値処理手段によりそれぞれ得られる絶対値同士を時系列に比較する絶対値判定手段を備えてなる請求項1記載の生体状態推定装置。
  10. 前記絶対値判定手段は、前記第2絶対値処理手段により得られる絶対値に対し、前記第1絶対値処理手段により得られる絶対値が高い値の場合に副交感神経優位の状態と判定し、第1絶対値処理手段により得られる絶対値が低い値の場合に交感神経優位の状態と判定し、いずれの絶対値も所定値よりも高い場合には活性状態と判定し、いずれの絶対値も所定値よりも低い場合に機能低下状態と判定する請求項9記載の生体状態推定装置。
  11. さらに、前記第1絶対値処理手段により得られた絶対値を積分して第1積分曲線を求める第1積分曲線演算手段と、前記第2絶対値処理手段により得られた絶対値を積分して第2積分曲線を求める第2積分曲線演算手段とを有し、
    前記状態判定手段が、前記第1積分曲線演算手段及び第2積分曲線演算手段によりそれぞれ得られる各積分曲線を比較する積分曲線判定手段とを備えてなる請求項9記載の生体状態推定装置。
  12. 前記積分曲線判定手段は、前記第2積分曲線に対し、前記第1積分曲線が高い値で推移する場合に副交感神経優位の状態と判定し、前記第1積分曲線が低い値で推移する場合に交感神経優位の状態と判定し、第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも高い値で推移する場合には活性状態と判定し、第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも低い値で推移する場合には機能低下状態と判定する請求項11記載の生体状態推定装置。
  13. 前記周波数変動時系列解析演算手段によって得られる周波数変動時系列波形から、ある時間幅における周波数の平均値を所定時間毎に求める周波数平均値算出手段と、
    飲酒前において前記周波数平均値算出手段により求めた周波数の平均値と飲酒後において前記周波数平均値算出手段により求めた周波数の平均値との差分を算出する周波数差分算出手段とを有し、
    前記状態判定手段が、予め記憶部に記憶された周波数の平均値の差分と呼気アルコール濃度との関係を規定した呼気アルコール濃度対応テーブルを読み込み、前記周波数差分算出手段により求められた周波数の平均値の差分に対応する呼気アルコール濃度を推定する構成である請求項7記載の生体状態推定装置。
  14. さらに、前記生体信号測定装置から得られる脈波の時系列波形を2階微分して加速度脈波を算出し、得られた加速度脈波を周波数解析してパワースペクトルの振幅ピーク値を求める加速度脈波解析手段を有し、
    前記振幅ピーク値と前記記述関数のゲインとの関係から人の状態を推定する請求項1〜4のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  15. 前記振幅ピーク値と前記記述関数のゲインとの関係から、人体支持部材に支持されているときの、人体支持部材に対する人の状態を推定する請求項14記載の生体状態推定装置。
  16. 前記生体信号測定装置として、人の胴部の脈波を検出可能な部位に対応して配置されるエアパックと、前記エアパックの空気圧変動を検出するセンサとを備えてなるものを用いた請求項1〜15のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  17. 生体信号測定装置から得られる脈波の時系列波形を分析して人の状態を分析する生体状態推定装置の記憶部に設定される状態推定部を構成するコンピュータプログラムであって、
    前記脈波の時系列波形における周波数の時系列波形を求める脈波周波数演算手段と、
    前記脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する周波数傾き時系列解析演算手段と、
    任意に設定した第1時間帯における前記周波数傾き時系列波形と前記第1時間帯よりも後の第2時間帯における前記周波数傾き時系列波形と間の記述関数を求め、得られた記述関数から人の状態を判定する状態判定手段と
    を有することを特徴とするコンピュータプログラム。
  18. 前記状態判定手段は、前記記述関数を、予め種々の状態変化毎に求めて記憶させた基本記述関数と比較し、前記記述関数に最も近似した基本記述関数を抽出して、当該基本記述関数に対応する状態変化から人の状態を特定する請求項17記載のコンピュータプログラム。
  19. 前記状態判定手段は、前記記述関数のゲインを予め設定した閾値と比較して人の状態を特定する請求項17記載のコンピュータプログラム。
  20. 前記状態判定手段は、前記記述関数における所定周波数の複数のゲイン同士を比較して、時間経過に伴うゲインの変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲインの変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定する請求項17〜19のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  21. 前記状態判定手段は、さらに、前記周波数傾き時系列波形から隣り合う振幅の変動比及び生体減衰力を求め、前記記述関数に該変動比及び生体減衰力を加えて人の状態を判定する請求項17〜19のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  22. 前記状態判定手段は、前記記述関数における所定周波数の複数のゲイン同士、変動比同士、生体減衰力同士をそれぞれ比較して、時間経過に伴うゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が増大傾向の場合には機能回復・活性化・緊張過程と判定し、ゲイン・変動比・生体減衰力の逆数の各変化が減少傾向の場合には機能低下・休息・リラックス過程と判定する請求項21記載のコンピュータプログラム。
  23. さらに、前記脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の平均値を求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の平均値の時系列変化を周波数変動時系列波形として出力する周波数変動時系列解析演算手段を有し、
    前記状態判定手段が、前記周波数変動時系列解析演算手段により得られた前記周波数変動時系列波形の変化量が増加、減少、停滞のいずれであるかにより、心拍数の増加、減少、停滞のいずれであるかを判定する心拍数判定手段を備え、
    前記心拍数判定手段により判定される心拍数の状態と前記ゲインの変化との組み合わせで人の状態を判定する請求項17〜20のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  24. 前記脈波周波数演算手段は、前記脈波の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める手段と、前記脈波の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める手段とのうち、いずれか少なくとも一方の手段を備える請求項17〜22のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  25. 前記脈波周波数演算手段は、前記脈波の時系列波形を平滑化微分して極大値を求め、この極大値を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第1脈波周波数演算手段と、前記脈波の時系列波形において、正から負に切り替わるゼロクロス地点を求め、このゼロクロス地点を用いて脈波の周波数の時系列波形を求める第2脈波周波数演算手段とを備えてなり、
    前記周波数傾き時系列解析演算手段は、前記第1脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第1周波数傾き時系列解析演算手段と、前記第2脈波周波数演算手段により得られた前記脈波の周波数の時系列波形において、所定のオーバーラップ時間で設定した所定の時間窓毎に前記周波数の傾きを求める移動計算を行い、時間窓毎に得られる前記周波数の傾きの時系列変化を周波数傾き時系列波形として出力する第2周波数傾き時系列解析演算手段とを備えてなり、
    さらに、前記第1周波数傾き時系列解析演算手段により得られた前記周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第1絶対値処理手段と、前記第2周波数傾き時系列解析演算手段により得られた前記周波数傾き時系列波形を絶対値処理する第2絶対値処理手段とを有し、
    前記状態判定手段が、前記第1絶対値処理手段及び第2絶対値処理手段によりそれぞれ得られる絶対値同士を時系列に比較する絶対値判定手段を備えてなる請求項17記載のコンピュータプログラム。
  26. 前記絶対値判定手段は、前記第2絶対値処理手段により得られる絶対値に対し、前記第1絶対値処理手段により得られる絶対値が高い値の場合に副交感神経優位の状態と判定し、第1絶対値処理手段により得られる絶対値が低い値の場合に交感神経優位の状態と判定し、いずれの絶対値も所定値よりも高い場合には活性状態と判定し、いずれの絶対値も所定値よりも低い場合に機能低下状態と判定する請求項25記載のコンピュータプログラム。
  27. さらに、前記第1絶対値処理手段により得られた絶対値を積分して第1積分曲線を求める第1積分曲線演算手段と、前記第2絶対値処理手段により得られた絶対値を積分して第2積分曲線を求める第2積分曲線演算手段とを有し、
    前記状態判定手段が、前記第1積分曲線演算手段及び第2積分曲線演算手段によりそれぞれ得られる各積分曲線を比較する積分曲線判定手段とを備えてなる請求項25記載のコンピュータプログラム。
  28. 前記積分曲線判定手段は、前記第2積分曲線に対し、前記第1積分曲線が高い値で推移する場合に副交感神経優位の状態と判定し、前記第1積分曲線が低い値で推移する場合に交感神経優位の状態と判定し、第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも高い値で推移する場合には活性状態と判定し、第1及び第2積分曲線が共に所定値よりも低い値で推移する場合には機能低下状態と判定する請求項27記載のコンピュータプログラム。
  29. 前記周波数変動時系列解析演算手段によって得られる周波数変動時系列波形から、ある時間幅における周波数の平均値を所定時間毎に求める周波数平均値算出手段と、
    飲酒前において前記周波数平均値算出手段により求めた周波数の平均値と飲酒後において前記周波数平均値算出手段により求めた周波数の平均値との差分を算出する周波数差分算出手段とを有し、
    前記状態判定手段が、予め記憶部に記憶された周波数の平均値の差分と呼気アルコール濃度との関係を規定した呼気アルコール濃度対応テーブルを読み込み、前記周波数差分算出手段により求められた周波数の平均値の差分に対応する呼気アルコール濃度を推定する構成である請求項23記載のコンピュータプログラム。
  30. さらに、前記生体信号測定装置から得られる脈波の時系列波形を2階微分して加速度脈波を算出し、得られた加速度脈波を周波数解析してパワースペクトルの振幅ピーク値を求める加速度脈波解析手段を有し、
    前記振幅ピーク値と前記記述関数のゲインとの関係から人の状態を推定する請求項17〜20のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  31. 前記振幅ピーク値と前記記述関数のゲインとの関係から、人体支持部材に支持されているときの、人体支持部材に対する人の状態を推定する請求項30記載のコンピュータプログラム。
JP2011522881A 2009-07-16 2010-07-16 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム Expired - Fee Related JP5582478B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011522881A JP5582478B2 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009168125 2009-07-16
JP2009168125 2009-07-16
JP2011522881A JP5582478B2 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
PCT/JP2010/062126 WO2011007886A1 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011007886A1 JPWO2011007886A1 (ja) 2012-12-27
JP5582478B2 true JP5582478B2 (ja) 2014-09-03

Family

ID=43449496

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011522881A Expired - Fee Related JP5582478B2 (ja) 2009-07-16 2010-07-16 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5582478B2 (ja)
WO (1) WO2011007886A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5751475B2 (ja) * 2011-02-28 2015-07-22 株式会社デルタツーリング 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
JP5892678B2 (ja) * 2011-05-14 2016-03-23 株式会社デルタツーリング 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
JP6209395B2 (ja) * 2013-02-27 2017-10-04 株式会社デルタツーリング 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
JP6098257B2 (ja) * 2013-03-15 2017-03-22 富士通株式会社 信号処理装置、信号処理方法及び信号処理プログラム
WO2014147828A1 (ja) * 2013-03-22 2014-09-25 トヨタ自動車株式会社 運転支援装置、運転支援方法、情報提供装置、情報提供方法、ナビゲーション装置及びナビゲーション方法
JP6209396B2 (ja) * 2013-04-17 2017-10-04 株式会社デルタツーリング 運転支援装置及びコンピュータプログラム
JP6460560B2 (ja) 2013-12-07 2019-01-30 株式会社デルタツーリング 音・振動情報収集機構及び音・振動情報センシングシステム
KR101878567B1 (ko) * 2016-11-15 2018-07-13 가톨릭대학교 산학협력단 심전도 기반의 운전 능력 평가 방법

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005000119A1 (ja) * 2003-06-27 2005-01-06 Soiken Inc. 疲労度評価方法、疲労度評価装置、およびデータベース
JP2005218595A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 精神ストレス評価方法および装置
JP2006149470A (ja) * 2004-11-25 2006-06-15 Delta Tooling Co Ltd 快適感評価方法及び快適感評価装置
JP2006227014A (ja) * 2006-02-20 2006-08-31 Denso Corp 睡眠支援装置、プログラム、及び記録媒体
JP2008264138A (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Delta Tooling Co Ltd 睡眠状態判定装置、睡眠状態判定方法及びコンピュータプログラム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005218696A (ja) * 2004-02-06 2005-08-18 Aruze Corp 遊技機

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005000119A1 (ja) * 2003-06-27 2005-01-06 Soiken Inc. 疲労度評価方法、疲労度評価装置、およびデータベース
JP2005218595A (ja) * 2004-02-05 2005-08-18 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 精神ストレス評価方法および装置
JP2006149470A (ja) * 2004-11-25 2006-06-15 Delta Tooling Co Ltd 快適感評価方法及び快適感評価装置
JP2006227014A (ja) * 2006-02-20 2006-08-31 Denso Corp 睡眠支援装置、プログラム、及び記録媒体
JP2008264138A (ja) * 2007-04-18 2008-11-06 Delta Tooling Co Ltd 睡眠状態判定装置、睡眠状態判定方法及びコンピュータプログラム

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN7014001713; 人間工学 第43巻特別号, 20070602, 192-193 *

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2011007886A1 (ja) 2012-12-27
WO2011007886A1 (ja) 2011-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5582478B2 (ja) 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
JP5669287B2 (ja) 飲酒検知システム及びコンピュータプログラム
JP5553303B2 (ja) 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
JP5704651B2 (ja) 生体状態推定装置、生体状態推定システム及びコンピュータプログラム
US9622708B2 (en) Biological body state estimation device and computer program
JP5429946B2 (ja) 生体状態分析装置及びコンピュータプログラム
JP5044230B2 (ja) 生体信号分析装置、シート及び生体信号分析方法
JP6460560B2 (ja) 音・振動情報収集機構及び音・振動情報センシングシステム
JP5561552B2 (ja) 生体信号測定装置及び生体状態分析システム
JP5892678B2 (ja) 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
JP5327584B2 (ja) 生体状態分析装置、コンピュータプログラム及び記録媒体
JP5751475B2 (ja) 生体状態推定装置及びコンピュータプログラム
JP5236424B2 (ja) 脈波検出装置及び生体状態分析装置
JP5679556B2 (ja) 飲酒状態検知装置、コンピュータプログラム及び記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140611

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140707

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5582478

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees