JP6460560B2 - 音・振動情報収集機構及び音・振動情報センシングシステム - Google Patents

音・振動情報収集機構及び音・振動情報センシングシステム Download PDF

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Description

本発明は、音・振動情報収集機構、及び、該音・振動情報収集機構を用いた音・振動情報センシングシステムに関する
本出願人は、特許文献1及び2等において、1Hz近傍の自律神経機能を反映する振動波形(以後、心部揺動波、Aortic Pulse Wave(APW)と呼ぶ)を、背部の体表面に生じる振動によって捉え、その時系列波形から周波数の時系列波形を求め、さらに、周波数傾きの時系列波形、周波数変動の時系列波形を求めてこれらを周波数解析して人の状態を判定する手段を開示している。心部揺動波(APW)を非拘束で検出できるため、乗物用シートに適用することで、運転者の運転中の生体情報を得る手段として優れており、運転者の入眠予兆現象、切迫睡眠現象等を検出することができる。
上記のAPWあるいは心拍などは、自律神経機能を反映する生体信号であるためこれを分析することで上記のように人の状態を判定できるのであるが、これらの自律神経機能を反映する生体信号は、数Hz以下、例えば、ULF帯域(極低周波帯域)からVLF帯域(超低周波帯域)に属する極めて低い周波数であり、乗物のフロアから入力される外部振動に埋もれやすい。そのため、生体信号の抽出には、上記の周波数傾きの時系列波形を用いるなどして、外部振動の影響を除外していかなくてはならない。周波数傾きの時系列波形などにより生体信号を抽出できるとしても、センサから検出される出力信号データが生体信号を抽出するのにより適したものであることが望ましい。
この点に鑑み、特許文献3として、本出願人は、生体信号検出センサに配設された三次元立体編物をビーズ発泡体に形成した孔部内に配置し、三次元立体編物の弦振動を利用すると共に、さらにビーズ発泡体を三次元立体編物の片面又は両面に積層してその膜振動も併用して生体信号を増幅させ、振動センサによって生体信号をできるだけ高感度で検出する装置を提案している。
WO2010/123125号公報 WO2011/007886号公報 特開2011−152242号公報
しかしながら、生体信号の検出は、人の状態のより正確な判定のために、さらに高感度で検出することが常に望まれている。
一方、聴診器を用いた低周波数音、高周波数音及び雑音の聞き分けによる心音と心雑音による診断は、医師が行う「現状の観測技術」として発達してきた。また、近年は種々のハイテク装置の発達により、心臓・血管系の病態異常やエージングも詳細に科学されるようになってきた。しかし、いずれにしても、これらの診察、検査は、病院で医師の指示の下で実行されるべきもので、健常者であっても病院に通わざるを得ず、手間がかかる。そのため、手軽に行える日常の健康管理の道具とし普及しているのは、体重計、体脂肪計、血圧計が主であり、心臓・血管系の音や振動の情報(本明細書では、心臓・血管系の動きによって生じる生体音と可聴域に至らない振動を含めて「音・振動情報」いう)を、病院での検診によらずに知る手段はあまり普及していない。なお、腕・手・指に装着して使用する心拍計などは市販されているが、使用者の年齢や心身状況等によっては装着作業自体が困難な場合もある。
また、例えば、自動車のディーゼルエンジンでは、所定周波数以下、例えば、数百Hz以下、特に200Hz以下、さらには、100Hz以下の周波数帯の音・振動情報が生じる。従って、このような低周波領域の音・振動情報を正確に検出できれば、エンジンの不具合の判断に役立つ。この点は、ディーゼルエンジンに限らず、その他の機械、装置においても同様である。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、生体信号、特に、心臓・血管系の音・振動情報を、体幹から非拘束で感度よく抽出することができる音・振動情報収集機構、この音・振動情報収集機構を備え、生体信号をより高い精度で解析可能な音・振動情報センシングシステム並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とし、さらには、生体信号のような低周波の音・振動情報を感度よく抽出できることを利用して、生体信号以外の低周波の音・振動情報の収集にも応用可能な技術を提供することを課題とする。
本発明者は上記した課題を解決するため鋭意検討を重ね、従来、外部振動の影響をできるだけ排除し、生体信号のみを増幅させることに重点をおいていたが、100Hz以下(心音は主に25〜50Hz(I音:25〜45Hz、II音:50Hz近傍)の生体信号である心臓・血管系の音・振動情報を、固有振動子によって強調させることに着目した。また、生体信号を強調可能な外部振動を取り入れることによって、検出される出力波形の振幅をより増大させることにも着目し、本発明を完成するに至った。また、本発明者は、生体信号のような低周波の音・振動情報を強調する技術は、種々の検出対象における僅かな音・振動情報の検出にも応用できると考えた。
すなわち、本発明は、検出対象から所定周波数以下の低周波の音・振動情報を収集する音・振動情報収集機構であって、固有振動数が収集対象の前記音・振動情報の周波数帯域内である固有振動子を備え、この固有振動子により前記音・振動情報を強調して共鳴搬送波を生成する共鳴層と、前記共鳴搬送波を検出するセンサとを有してなる音・振動情報収集機構を提供する。
前記検出対象側に配置され、前記音・振動情報が伝播される第一層と、前記固有振動子及び前記センサを配置可能な孔部又は溝部からなる配置用スペースが形成された共鳴用の筐体と、前記配置用スペースを被覆するフィルムとを備え、前記共鳴層として機能する第二層とを有してなる構成とすることが好ましい。
前記検出対象が生体であり、前記音・振動情報が生体信号であることが好ましい。
前記生体信号が、心臓・血管系の音・振動情報であり、前記固有振動子の固有振動数が、前記心臓・血管系の音・振動情報に含まれる心音I音又は心音II音の周波数を含む周波数帯域内であることが好ましい。
前記生体の体幹背部側に配置され、前記心臓・血管系の音・振動情報に含まれる心音I音又は心音II音を、10〜40Hzの周波数帯域に減衰された音・振動情報として検出する構成であることが好ましい。
前記固有振動子の固有振動数が、20〜30Hzであることが好ましい。
前記生体の体幹背部側に配置され、前記心臓・血管系の音・振動情報が伝播される第一層と、前記固有振動子及び前記センサを配置可能な孔部又は溝部からなる配置用スペースが形成された共鳴用の筐体と、前記配置用スペースを被覆するフィルムとを備え、前記共鳴層として機能する第二層とを有し、人体支持手段に設けられる外部から入力される音・振動を減衰させる支持層に、前記第二層側が支持されるものであることが好ましい。
さらに、前記第二層を挟んで前記第一層の反対側に配置され、外部から入力される音・振動を減衰させる第三層が一体に設けられてなることが好ましい。
前記第三層は、前記固有振動子の固有振動数に対応しない周波数の音・振動を減衰させる特性を有することが好ましい。
前記第二層の共鳴用の筐体が、ビーズ発泡体を用いて形成されたものであることが好ましい。
前記第二層の固有振動子及び前記第一層が、立体布帛からなることが好ましい。
前記第三層が、立体布帛からなることが好ましい。
前記立体布帛が、三次元立体編物であることが好ましい。
前記第一層のばね定数、及び前記第二層の固有振動子のばね定数が、人体の筋肉のばね定数に近似していることが好ましい。
前記第一層のばね定数、及び前記第二層の固有振動子のばね定数が、人体の筋肉のばね定数に近似しており、前記第三層のばね定数が、前記第一層及び前記第二層の固有振動子のばね定数よりも高いことが好ましい。
前記第二層は、その機械的フィルタとしての遮断周波数が収集対象の前記生体信号の周波数の2倍以上に設定されていることが好ましい。
人の体幹を支持する人体支持手段に付設されて用いられることが好ましい。
また、本発明は、検出対象から所定周波数以下の低周波の音・振動情報を収集して解析する音・振動情報センシングシステムであって、前記いずれかの音・振動情報収集機構と、前記音・振動情報収集機構の共鳴層において生成される共鳴搬送波を、前記音・振動情報機構に付設されたセンサを介して受信し、受信した前記共鳴搬送波を所定のフィルタリング周波数でフィルタリングするフィルタリング手段を有してなる演算手段とを備えることを特徴とする音・振動情報センシングシステムを提供する。
前記演算手段に設定される前記フィルタリング手段は、前記音・振動情報収集機構における固有振動子の固有振動数を通過帯域幅内に含む遮断周波数に設定されていることが好ましい。
前記フィルタリング手段は、所定の通過帯域幅のバンドパスフィルタであり、前記音・振動情報収集機構による検出対象が生体であって、収集対象の音・振動情報が心臓・血管系の音・振動情報である場合、その中心周波数が20〜30Hzの範囲内に設定されていることが好ましい。
前記演算手段は、前記フィルタリング手段によってフィルタリングされた前記共鳴搬送波の信号波形を用いて、検出対象の状態を解析する状態解析手段を備えることが好ましい。
前記音・振動情報収集機構による検出対象が生体であって、収集対象の音・振動情報が心臓・血管系の音・振動情報である場合、前記状態解析手段は、前記フィルタリング手段によってフィルタリングされた前記共鳴搬送波の信号波形を検波によって整流し、自律神経機能を反映する5Hz以下の低周波の生体信号を求める手段を含むことが好ましい。
前記状態解析手段は、前記5Hz以下の低周波の生体信号を求めた後、その生体信号の時系列波形を、0.1〜1Hzの通過帯域幅のバンドパスフィルタでフィルタリングする手段をさらに有することが好ましい。
前記音・振動情報収集機構の共鳴層において生成される共鳴搬送波、又は、前記フィルタリング手段によりフィルタリングされた前記共鳴搬送波を、可聴音として再生する可聴音再生部をさらに有する構成とすることが好ましい。この場合、前記共鳴搬送波に対し、所定の振幅の閾値を設定し、閾値以上の波形成分をカットする整形処理を行い、整形処理した波形にハイパスフィルタを施し、このハイパスフィルタにより処理した波形を用いて、前記可聴音再生部により再生することが好ましい。
また、本発明は、体幹から生体信号を収集して解析する音・振動情報センシングシステムにおいて、前記いずれかの音・振動情報収集機構の共鳴層において生成される共鳴搬送波を、前記音・振動情報収集機構に設けられたセンサを介して受信するコンピュータに、受信した前記共鳴搬送波を所定のフィルタリング周波数でフィルタリングするフィルタリング手順を実行させることを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
前記フィルタリング手順は、前記音・振動情報収集機構における固有振動子の固有振動数を通過帯域幅内に含むようにフィルタリングする手順を前記コンピュータに実行させることが好ましい。
前記コンピュータに、前記フィルタリング手順の実行によってフィルタリングされた前記共鳴搬送波の信号波形を用いて、さらに検出対象の状態を解析する状態解析手順を実行させることが好ましい。
前記音・振動情報収集機構による検出対象が生体であって、収集対象の音・振動情報が心臓・血管系の音・振動情報である場合、前記状態解析手順は、前記フィルタリング手順によってフィルタリングされた前記共鳴搬送波の信号波形を検波によって整流し、自律神経機能を反映する5Hz以下の低周波の生体信号を求める手順を前記コンピュータに実行させることが好ましい。
前記状態解析手順は、前記5Hz以下の低周波の生体信号を求めた後、その生体信号の時系列波形を、0.1〜1Hzの通過帯域幅のバンドパスフィルタでフィルタリングする手順をさらに前記コンピュータに実行させることが好ましい。
本発明によれば、音・振動情報収集機構を構成する共鳴層が固有振動子を有している。固有振動子は、その固有振動数が検出対象の音・振動情報の周波数帯域内に、検出対象が生体であれば、例えば体幹から収集される生体信号の周波数帯域内となるように設定されている。このため、検出対象の音・振動情報が入力されると、検出対象が生体であれば生体信号、特に、心臓・血管系の音・振動情報が入力されると、入力された音・振動情報は、この固有振動子の振動波形に、共鳴現象やうなり現象によって合成され、それによって強調された共鳴搬送波が出力されることになる。この強調された共鳴搬送波をセンサで検出する構成であるため、解析対象の生体信号に代表される低周波の音・振動情報を従来より高感度で検出することが可能となる。また、外部振動が入力される動的環境下においては、固有振動子の固有振動数に対応した所定周波数帯域の外部振動を取り入れることによって固有振動子が外部入力によって振動することになるため、固有振動子の振動波形と、検出対象の生体信号等の低周波の音・振動情報との合成波(共鳴搬送波)は、共鳴現象やうなり現象によって振幅がより大きくなり、体幹からの生体信号、特に、心臓・血管系の音・振動情報等の検出対象の低周波の音・振動情報をさらに顕著に検出することが可能となる。その結果、共鳴搬送波を所定のフィルタリング周波数でフィルタリングし、さらに所定の解析を行って求められる自律神経機能を反映するAPWや心拍などの数Hz以下の生体信号をより精度よく求めることができる。
また、本発明の音・振動情報収集機構は、検出対象に接するように、検出対象が生体信号であれば、人の体幹背部に接するように配置するだけで非拘束で音・振動情報を検出できる。従って、ベッドや椅子(家具用・事務用椅子、自動車などの乗物のシート等を含む)などの人体支持手段において、ベッドの体幹対応部、椅子の背もたれなどに付設すれば、人がベッドや椅子に体を預けるだけで心臓・血管系の音・振動情報を検出することができる。
なお、音・振動情報センシングシステムを構成する音・振動情報収集機構とその解析を行うコンピュータからなる演算手段とは、物理的に近距離にセットされていて、生体信号等の検出対象の音・振動情報の測定現場でそのまま解析することももちろん可能であるが、遠距離にセットされている場合でも、両者を、有線又は無線の通信手段(携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末などの携帯型無線端末による通信を含む)を介して接続し、データのやり取りを行う構成とすることもできる。それにより、例えば、寝たきりの高齢者や外出困難な患者などの心臓・血管系の音・振動情報の遠隔地での取得が可能となり、遠隔医療に寄与できる。また、自動車などの乗物の運転席のシートに音・振動情報収集機構を付設することにより、運転時における心臓・血管系の音・振動情報を容易に取得できる。この場合も、演算手段を車内にセットして車内のディスプレイ(専用のディスプレイのほか、ナビゲーション装置のディスプレイ、乗員の保持する携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末などの携帯型無線端末のディスプレイ)に表示させて、運転者がその解析結果を車内で把握できる構成としてもよいし、これに代えて、あるいはこれと併用して、音・振動情報収集機構と演算手段とを、有線又は無線の通信手段(携帯電話、スマートフォン、ウェアラブル端末などの携帯型無線端末による通信を含む)を介して接続することで、運転状況の管理者が運転者の心臓・血管系の音・振動情報をリアルタイムで把握し、解析することができる。また、検出対象が自動車のエンジン、その他の機械や装置などの場合には、走行中や起動中のそれらの故障等を、リアルタイムで解析可能となる。
図1は、本発明の一の実施形態に係る音・振動情報センシングシステムの構成を説明するための図である。 図2(a)は、音・振動情報収集機構の構造を説明した斜視図であり、図2(b)は断面図である。 図3(a),(b)は、音・振動情報収集機構の作用を説明するための図である。 図4は、音・振動情報収集機構の作用を説明するための図である。 図5(a)は、第一層の三次元立体編物及び第二層の固有振動子を構成する三次元立体編物の荷重−範囲特性を示し、(b)は第三項の三次元立体編物の荷重−変位特性を示し、(c)はビーズ発泡体の荷重−変位特性を示し、(d)は音・振動情報収集機構(3S.R.)の荷重−変位特性を示した図である。 図6(a)は座位の体圧分布の一例を示し、(b)は臥位の体圧分布の一例を示した図である。 図7は、人の臀部に荷重を付加して測定した荷重−変位特性を示した図である。 図8は、共鳴層の振動モデルを示した図である。 図9(a),(b)は、固有振動子を構成する三次元立体編物(3DNO)の周波数応答を求めるためのボード線図であり、(c)は、固有振動子を構成する三次元立体編物(3DNO)の振動モデルを示した図である。 図10は、三次元立体編物の固有振動数と負荷との関係を示した図である。 図11(a),(b)は、音・振動情報収集機構を構成する各部材のボード線図である。 図12(a)は背部支持ネットの荷重−変位特性を示し、図12(b)はSバネの荷重−変位特性を示した図である。 図13は、音・振動情報センシングシステムの構成を模式的に示した図である。 図14は、1/3オクターブバンドフィルタを説明するための図であり、(a)は中心周波数、上下限周波数及びバンド幅を求める計算式を示し、(b)は実施形態で使用した1/3オクターブバンドフィルタの周波数特性を示した図である。 図15は、生体からの音・振動情報と固有振動子の振動とにより生成される共鳴搬送波を説明するためのブロック図である。 図16(a)は、アンプ及びスピーカーを備えた可聴音再生部の構成を模式的に示した図であり、図16(b)は、共鳴搬送波の整形処理、ハイパスフィルタによる処理を説明するための図である。 図17(a)は、動的環境下の座位姿勢での実験における加振機の励振波形を示した時系列信号であり、(b)はその周波数解析結果を示した図である。 図18(a)〜(i)は、静的環境下の座位姿勢での実験において、図15に示したブロック図の各段階で出力される時系列信号を示した図である。 図19(a)〜(h)は、動的環境下の座位姿勢での実験において、図15に示したブロック図の各段階で出力される時系列信号を示した図である。 図20(a)は、図18(a)及び図18(c)の周波数解析結果を示した図であり、図20(b)は、図19(b)の周波数解析結果を示した図であり、図20(c)は、図20(b)の縦軸のレンジを変えて拡大して示した図である。図20(d)は、図20(a),(b),(c)と同じ時間帯で静的・動的環境下で捉えたPCGの周波数解析結果を示した図である。 図21は、図18(d)及び図19(c)に示した時系列信号RC1の周波数解析結果を示した図である。 図22(a)は、静的環境下におけるRC1、RC2を用いて求めたAPWの時系列波形の周波数解析結果を示した図であり、図22(b)は、動的環境下におけるRC1、RC2を用いて求めたAPWの時系列波形の周波数解析結果を示した図である。 図23(a)〜(d)は、固有振動子が外部振動入力により機能し、合成波を作る過程を示した図である。 図24(a)及び(b)は、APWの周期と心電図の周期の位相ずれ量と周期の相関性を示した図である。 図25は、仰臥姿勢での実験結果を示し、(a)は、心音の時系列波形であり、(b)は、RC1の時系列波形であり、(c)は、APWの時系列波形である。 図26は、仰臥姿勢での実験結果を示し、(a)は心電図、(b)は心音、(c)は指尖容積脈波、(d)は加速度脈波、(e)はRC1、(f)はAPWのデータを示した図である。 図27(a),(b)は、心房収縮期、心室収縮期、心室拡張期に至る心拍動の全周期に関する関連事象と、共鳴搬送波から得られたAPWとの時間軸におけるずれ時間を示した図である。 図28(a),(b)は、末梢へ伝達する時間である加速度から求められた加速度脈波とAPWとのずれ時間の分散度合いを比較した図である。 図29は、心電図のRRIとAPWの周期を被験者15名分全員のデータを用いて、解析時間20秒間又は180秒間のデータの解析結果を比較した図である。 図30(a)〜(d)は、静的環境、2つの動的環境において、外部振動と共鳴搬送波との関係をより詳細に説明するための実験結果を示した図である。 図31は、フィルタリング手段において、19〜23Hzのバンドパスフィルタでフィルタリングした共鳴搬送波RC2を用いて状態解析手段によって求めたAPWの時系列波形の一例を示した図である。 図32は、図31で求めたAPWの時系列波形にさらに1.0〜1.30Hzのバンドパスフィルタをかけた時系列波形を示した図である。 図33は、自動車用シートに音・振動情報収集機構を組み込んだ状態を正面から示した模式図である。 図34(a)〜(c)は音・振動情報収集機構のバリエーションを示した図である。 図35(a)〜(c)は音・振動情報収集機構のバリエーションを示した図である。 図36は、音・振動情報収集機構を組み込むのに適したシートの一例を示した図である。 図37は、解析事例1の検出波形からAPW波形を示した図である。 図38は、解析事例1における心音図とのずれ分布図を示した図である。 図39(a)はAPWと心音I音とのピーク時間間隔の比較であり、図39(b)はピーク時間間隔の一致度の分布を示した図である。 図40は、解析事例2におけるAPWピーク点間隔と心電図の比較を示した図である。 図41は、解析事例2におけるヒヤリハットが生じた際の代表事例に係るデータを示した図である。 図42は、解析事例2におけるベイズ推定によるヒヤリハット発生確率を示した図である。 図43は、ピーク傾き時系列波形の平均振幅値の比較を示した図である。 図44(a)は、解析事例3における睡眠段階を示し、図44(b)は、傾き時系列波形を示した図である。 図45は、APWの定量化基準の例を示した図である。 図46は、ゼロクロス傾き時系列波形の周波数解析結果を示した図である。 図47は、定量化点数の平均値と標準偏差を示した図である。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る音・振動情報センシングシステム1を示した構成図である。図1は、自動車用シート2のシートバック部に、音・振動情報収集機構10を設置し、これを演算手段20で解析するイメージを示している。すなわち、本実施形態は、検出対象が生体(人)であり、その体幹から生体信号を検出する例である。
音・振動情報収集機構10は、図2(a),(b)に示したように、上層側から順に、第一層11、第二層12及び第三層13が積層された三層構造からなり、第一層11を生体信号の検出対象である人体側に位置させて用いられる。従って、人体の体幹からの生体信号、特に、心室、心房、大血管の振動に伴って発生する生体音(体幹直接音ないしは生体音響信号)を含む心臓・血管系の音・振動情報は、生体信号入力系である第一層11にまず伝播される。
第一層11は、生体音響信号伝播層として、人体との接触面積を広げる役目を果たし、所定の面積を有する立体布帛を用いて構成される。立体布帛は、織物、編物等から構成できるが、好ましくは三次元立体編物を用いて構成される。三次元立体編物は、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されている。各グランド編地は、例えば、繊維を撚った糸から、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織(細目)に形成したり、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する編地組織に形成したりすることができる。連結糸は、一方のグランド編地と他方のグランド編地とが所定の間隔を保持するように、三次元立体編物に所定の剛性を付与している。従って、面方向に張力が付与されることにより、三次元立体編物を構成する対向するグランド編地の糸、あるいは、対向するグランド編地間を連結する連結糸を弦振動させることが可能となる。
それにより、生体信号である心臓・血管系の音・振動によって弦振動が生じ、三次元立体編物の面方向に伝播される。このとき、第一層11を構成する三次元立体編物は、人の荷重がかかって張力が付与され、これにより連結糸が振動しやすい状態となる。第一層11は、体幹との接触面積を大きくするため、幅が人の体幹の幅とほぼ同等かそれよりも左右それぞれ数cm狭い程度で、長さが胸部から腰部付近に相当する位置に至る大きさを有するものが好ましい。例えば、幅300〜350mm、長さ400〜550mmの大きさとすることができる。
三次元立体編物のグランド編地を形成する糸又は連結糸の素材としては、種々のものを用いることができるが、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維が挙げられる。上記素材は単独で用いてもよいし、これらを任意に併用することもできる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン系繊維、あるいはこれらの繊維を2種類以上組み合わせたものである。また、グランド糸又は連結糸の糸形状も限定されるものではなく、丸断面糸、異形断面糸、中空糸等のいずれでもよい。さらに、カーボン糸、金属糸等を使用することもできる。
なお、第一層11を構成する三次元立体編物の上記した弦振動を利用した心臓・血管系の音・振動の伝播特性は、三次元立体編物の厚さ、グランド編地の編地組織、連結糸のグランド編地への編み込み方、グランド編地を形成する糸や連結糸の太さや素材等によって種々調整することができる。
使用可能な三次元立体編物としては、例えば、以下のようなものを用いることができる。
(a) 製品番号:49013D(住江織物(株)製)、厚さ10mm
材質:
表側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(b)製品番号:AKE70042(旭化成(株)製)、厚さ7mm
(c)製品番号:T28019C8G(旭化成(株)製)、厚さ7mm
第二層12は、第一層11から伝播される生体信号、特に心臓・血管系の音・振動を共鳴現象又はうなり現象によって強調させる共鳴層として機能する。第二層12は、共鳴箱としての筐体121、固有振動子122、フィルム123を有して構成される。筐体121は、ビーズ発泡体により構成することが好ましい。ビーズ発泡体としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか少なくとも一つを含む樹脂のビーズ法による発泡成形体が用いることができる。ビーズ発泡体からなる筐体121は、個々の微細なビーズを構成している発泡により形成された球状の樹脂膜の特性により、微小な振幅を伴う音・振動を膜振動として伝播する。
筐体121をビーズ発泡体から構成する場合、発泡倍率は25〜50倍の範囲で、厚さがビーズの平均直径以下に形成されていることが好ましい。例えば、30倍発泡のビーズの平均直径が4〜6mm程度の場合では、筐体121の厚さは3〜5mm程度にスライスカットする。これにより、筐体121に柔らかな弾性が付与され、振幅の小さな振動に共振した固体振動を生じやすくなる。
固有振動子(調和振動子)122は、立体布帛、好ましくは三次元立体編物から構成される。三次元立体編物は、上記の第一層11を構成する三次元立体編物と同様のものを用いることができ、例えば幅40〜100mm、長さ100〜300mmの範囲の短冊状のものが用いられる。固有振動子122を構成する三次元立体編物は、端部が振動溶着等により厚みが薄くなるように加工されていることが好ましい。それにより、面方向に張力が作用し、弦振動が生じやすくなる。なお、このような端部加工をすることが好ましいことは上記の第一層11を構成する三次元立体編物も同様である。固有振動子122は、本実施形態では、背部が当接した際の違和感の軽減のため、脊柱に対応する部位を挟んで対象に2枚配設するようにしている。ビーズ発泡体からなる筐体121は、所定の面積の略長方形に形成され、脊柱に対応する部位を挟んで対称位置に、縦長の孔部又は溝部からなる配置用スペース、本実施形態では配置用貫通孔121a,121aが2つ形成されており、この配置用貫通孔121a,121aに、2つの固有振動子122,122が挿入配置される。
固有振動子122,122の表側及び裏側にフィルム123,123が積層されている。すなわち、配置用貫通孔121a,121aの周縁部にフィルム123,123の周縁部を貼着することにより積層されている。この結果、筐体121の配置用貫通孔121a,121a及びフィルム123,123に取り囲まれた内部に三次元立体編物からなる固有振動子122,122が収容されることになり、これらが共鳴層の機能を果たす。なお、フィルム123,123は、固有振動子122,122毎に対応して配設するのではなく、2つの固有振動子122,122の両方とも覆うことのできる大きさのものを用いるようにしてもよい。また、フィルム123,123としては、例えば、ポリウレタンエラストマーからなるプラスチックフィルム(例えば、シーダム株式会社製、品番「DUS605−CDR」)を用いることができる。
また、筐体121よりも、固有振動子122,122の方が厚いものを用いることが好ましい。それにより、フィルム123,123の周縁部を配置用貫通孔121a,121aの周縁部に貼着すると、固有振動子122,122は厚み方向に押圧されるため、フィルム123,123の反力による張力が発生し、該フィルム123,123に膜振動が生じやすくなる。一方、固有振動子122,122にも予備圧縮が生じ、三次元立体編物の厚さ及び形態を保持する連結糸にも反力による張力が生じて弦振動が生じやすくなる。
ここで、固有振動子122,122は、その固有振動数が、体幹からの収集対象である生体信号、本実施形態では、心臓・血管系の音・振動情報の周波数を含む周波数帯域内に存在するように設定されている。具体的には、体幹から収集される心生体信号は、100Hz以下の周波数帯域であるため、固有振動子122,122は固有振動数が100Hz以下となるように構成されている。生体信号のうち、心臓・血管系の音・振動情報に含まれる心音は25〜50Hz(I音:25〜45Hz、II音:50Hz近傍)であるが、後述の試験例から明らかなように、体幹背部から収集される場合、これらの音・振動情報は、骨格、筋肉、皮膚、などにより減衰され、10〜40Hzの周波数帯域、特に20Hz近傍の信号波形となる。そこで、固有振動子122,122は、固有振動数が20〜30Hzの範囲内に設定されていることが好ましく、特に20Hz近傍に設定されている構成とすることがより好ましい。また、近年の自動車においては、車両のサスペンション、ボディ剛性及びシート剛性等の改良により、ボディからシート上の人へ入力され、内臓共振を生じさせるような10Hz以上の高周波の振動は、40Hz以上の帯域で発生する。20〜30Hzの周波数帯の振動も従来車よりも抑制され、それらが生体信号を埋もれさせるような大きなノイズとして入力されることも抑制されている。特に、20Hz付近の、車両の中の人にゴツゴツ感を与える振動が生じにくくなっている。そこで、この20〜30Hzの範囲、好ましくは20Hz近傍に固有振動数を有する固有振動子を用いれば、この周波数帯の外部振動の入力によって固有振動子が作用しても、大きく作用し過ぎるということはなく、逆に、20〜30Hzの範囲の固有振動子122の固有振動に、10〜40Hzの周波通帯域の心臓・血管系の音振動情報が、共鳴現象あるいはうなり現象によって合成され、当該生体信号が強調されることになる。
固有振動子122,122に、その固有振動数近傍の音・振動情報が入力されると、共鳴現象あるいはうなり現象により、その音・振動情報が強調される。従って、体幹背部から第一層11を経由して伝播される心臓・血管系の音・振動情報は、固有振動子122,122の作用によって強調される(本明細書では、この強調された信号波形を「共鳴搬送波」とする)。また、固有振動子122,122には、後述の第三層13を介して外部振動が入力される。人体支持手段であるベッドの体幹背部に対応する領域に、本実施形態の音・振動情報収集機構10を配置した場合のような静的環境においては、外部振動の影響は小さいものの、人の体動に伴うベッドの振動が外部振動となって入力される。自動車用シート2の場合には、走行中の振動が上記のように外部振動となって入力される。これらの外部振動が第三層13を介して入力された場合、固有振動子122,122に作用して共鳴搬送波はより大きな振幅で捉えることが可能となる(後述の試験例参照)。
第二層12内において、本実施形態では、一方の固有振動子122とフィルム123との間に、マイクロフォンセンサ14が配設されている。このマイクロフォンセンサ14は、上記の共鳴搬送波を検出するセンサとして機能する。
第三層13は、第二層12を介して第一層11の反対側に積層され、外部からの音・振動入力を低減するものである。外部振動は、例えば、本実施形態のように、音・振動情報収集機構10を自動車用シート2のシートバックに組み込んだ場合、車体フロアからバックフレーム2aを介して入力される振動であり、バックフレーム2a側に第三層13を配置することにより、バックフレーム2aと共鳴層である第二層12との間に空間を作り、外部振動を機械的にフィルタリングして、所定以上の高周波数帯の音・振動情報を伝わり難くする。第三層13は、このように所定以上の高周波数帯、好ましくは100Hzを超える高周波の外部振動を除振する機能を有する外部振動入力系(外部振動伝播層)であるが、第三層13としては、このようなフィルタリング機能を果たすために、第一層11と同様に三次元立体編物を用いることが好ましい。なお、三次元立体編物は、グランド編地の編目密度、グランド糸の太さや素材、連結糸の配設密度、連結糸の太さや素材などを調整することにより、必要な除振性能をもたせることができる。本実施形態では、第一層11として用いた三次元立体編物、第二層12の固有振動子122として用いた三次元立体編物のいずれよりも、連結糸の配設密度を高くした三次元立体編物を第三層13として用いることにより、所定以上の高周波振動を伝わり難くしている。第三層13は、上記のように検出対象である生体信号よりも高周波の周波数帯の音・振動情報を除振するが、固有振動子122の固有振動数に対応しない周波数の外部からの音・振動を減衰させるものであることが好ましい。上記の例では、固有振動子122は、固有振動数が20〜30Hzの周波数帯内のいずれか、好ましくは20Hz近傍に設定されるため、30Hz以上の音・振動情報を減衰(遮断も含む)させることができるように調製されていることが好ましい。
ここで、本実施形態の音・振動情報収集機構10を構成する第一層11、第三層13及び第二層12の固有振動子122として用いた三次元立体編物の特性、第二層12の筐体121の特性をさらに具体的に説明する。本実施形態で使用した第一層11を構成する三次元立体編物及び第二層12の固有振動子122を構成する三次元立体編物は、いずれも厚さ10mmのもの(上記の 製品番号:49013D(住江織物(株)製))からなり、第三層13は厚さ7mmのもの(上記の製品番号:AKE70042(旭化成(株)製))から構成される。それらの荷重−変位特性を図5(a),(b)に示す。測定は、(株)島津製作所製オートグラフを用い直径98mmの加圧板で50mm/minの移動速度で図2(b)のZ方向に100Nまで荷重を加えることにより行った。図5(a)は第一層11及び第二層12の固有振動子122を構成する厚さ10mmの三次元立体編物の荷重−変位特性を示し、ばね定数は28kN/mである。図5(b)は、第三層13の厚さ7mmの三次元立体編物の荷重−変位特性を示し、ばね定数は81kN/mである。図5(c)は、第二層12で用いた厚さ5mmのビーズ発泡体からなる筐体121を10枚重ねで図2(b)のZ方向に荷重を200Nまで加えて得られた荷重−たわみ特性を示し、10枚重ねで127kN/mであり、1枚あたりでは、1270kN/mであった。ビーズ発泡体から成る筐体121は、このようにばね定数が高いため、三次元立体編物からなる固有振動子122の変位規制と、人の荷重がかかった際の底付き防止の機能を果たす。図5(d)は、第一層11、第二層12及び第三層13の3層組み合わせた音・振動情報収集機構10全体の荷重−変位特性を示す。3層構造になることによりばね定数は20kN/mとなり、3つのばね要素が直列配列で機能していることがわかる。
図6は、座位、臥位状態における背部体幹の体圧分布を示す。体圧分布は、ニッタ(株)製、圧力分布測定システム(商品名:BIG−MAT)を用いて計測した。被験者は、身長172cm、体重52kgの健常な男性(図6(a)の座位状態)と、身長178cm、体重76kgの健常な男性(図6(b)の臥位状態)であり、計測時間は1分間である。図中の丸印で示された位置が被験者の左第5肋間腔近傍であり、心臓心尖部にあたる。丸印で示された直径98mmの範囲の圧力値が、マイクロフォンセンサ14が挿入されている部位にかかる荷重となり、この被験者の場合、座位で15N、臥位で35Nであった。心音の第I音は、心臓の収縮初期における僧帽弁及び三尖弁の閉鎖によって生み出される音であり、心尖部でもっとも大きな音がするため、この部位の近くにマイクロフォンセンサ14を設けることが好ましい。
図7は、オートグラフに直径98mmの加圧板を装着し、50mm/minの移動速度で100Nまで、人の臀部に荷重を付加した際の計測結果である。座位及び臥位における臀部の変形により生じる反力は、図7に示される値に近似することが知られている。人の筋肉の動ばね定数を求めるために使う振幅値は、体動による人側の変動量を用いる。そこで、座位、臥位の状態で生じる人側の反力を、それぞれ姿勢変動時の最小値、最大値に相当すると仮定し、かつ、第一層11のたわみ量と同じだけ人側もたわむとする。そして、図5(a)から、座位の15Nから臥位の35Nに変化した場合の第一層11のたわみ量を求めると0.7mmであり、この0.7mmを体動による人側のたわみの変動値と仮定する。この変動値0.7mmを用いて、座位の15N、臥位の35Nのポイントで図7から筋肉の動ばね定数を求めると、それぞれ22kN/m、32kN/mとなり、第一層11の三次元立体編物のばね定数28kN/mに近似していることがわかる。従って、28kN/mと81kN/mのばね定数を持つ三次元立体編物の積層構造からなる本実施形態の音・振動情報収集機構10は、座位、臥位のいずれの姿勢においても、人に柔らかな感覚を与えながら、第三層13の三次元立体編物により底付きを防ぐ機能を有する。
共鳴層である第二層12は、微弱な信号である体幹背部からの心臓・血管系の音・振動情報を捉えるために、その機械的フィルタとしての遮断周波数が、心音のI音(25〜40Hz)、II音は(50Hz近傍)の2倍よりやや高めの100Hz以上となるように設定することが好ましい。例えば105〜130Hzの間に設定することが好ましい(本実施形態では115Hz)。これにより、100Hz以下の体幹の音・振動情報の計測環境が整備される。
図8は、共鳴層である第二層12の振動モデルを示した図である。第二層12は、固有振動子122を構成する三次元立体編物の連結糸の弦振動を生じさせるばねKと空気ばねKを通して、共鳴箱内(ビーズ発泡体からなる筐体121とフィルム123で取り囲まれた空間内)の空気maを振動させる。
共鳴箱の筐体121を構成するビーズ発泡体の遮断周波数は、図5(c)より求められる上記のばね定数k(1270kN/m)と、ビーズ発泡体からなる筐体121の質量m(3.4g)を次式(1)に代入することで与えられ、96Hzとなる。
・・・(1)
固有振動子122を構成する三次元立体編物は、共鳴箱内で空気圧変動を生じさせるが、その周波数応答は、正弦波状変位加振を加えた場合のボード線図である図9から求められる。なお、減衰比は、先行研究(金子成彦、三好竜介:「シートに取り付けた脈波測定用エアパックセンサーのモデリング」、日本機械学会福祉工学シンポジウム 2008 講演会講演論文集、08−28(2008)、185−188)の実験値・解析値から得られたζ=0.7と0.1を用い、被験者の体重のかかり方次第で、減衰比は0.1〜0.7の間を動くと仮定した。三次元立体編物からなる固有振動子122の固有振動数fは式(1)で求められる。図10に、負荷に対応する固有振動数を示した。被験者の体重のかかり方によって負荷質量mが変動するが、固有振動数fも負荷質量mによって変動することがわかる。なお、このときの負荷質量mは、図6に示した圧力値のことをいう。
固有振動子122の作用により強調された信号波形に対して、後述の演算手段20のフィルタリング手段210では、所定の周波数帯でフィルタをかけ、信号波形を単純化させる。この、フィルタリング手段210は、上記のように、体幹背部から収集される音・振動情報は、骨格、筋肉、皮膚などにより減衰され、20Hz近傍の信号波形となるため、好ましくは、20〜30Hzの範囲内に中心周波数を有する所定の通過帯域幅のバンドパスフィルタとする。より好ましくは、20Hz近傍を中心周波数とした所定の帯域幅に設定する。例えば、20Hzを中心周波数として、通過帯域幅を10〜30Hzに設定できる。また、例えば座位における負荷が15N(図6(a)参照)の場合、そのときの固有振動子122の固有振動数を中心周波数とした、より狭い帯域幅を設定することもできる。例えば、1/3オクターブバンドパスフィルタをかけて、19〜23Hzの帯域幅でフィルタリングすることができる。なお、フィルタリング手段210の通過帯域幅は、負荷荷重によって異なり、例えば、18〜24Hz等となる場合もある。
一方、固有振動子122を構成する三次元立体編物の連結糸に弦振動を生じさせる弦のn倍の振動数(fs)は、次式(2)で与えられる。
・・・(2)

(n=1,2,3・・・、lは弦構造体の弦の長さ(10mm)、Tは弦構造体の張力(0.9〜1.6kg)、ρ=弦の線密度(0.2×10−6kg/m))
第二層12を構成する固有振動子122を弦とする音・振動情報収集機構10の遮断周波数は、荷重値が15Nから35Nに変化すると、第一層11の三次元立体編物と第二層12の固有振動子122を構成する三次元立体編物の張力が変化し、式(2)より、106〜141Hzとなる。
なお、第二層12内の空気の遮断周波数(fv)は次式(3)により与えられる。
・・・(3)

(γ:比熱比(1.4)、P:圧力(0.101325MPa)、S:断面積(0.35×10 )、m:空気の密度(1.293kg/m )×V、V:容積(5.95×10−6))
図11は、音・振動情報収集機構10を構成する各部材のボード線図を示す。減衰比は、上記先行研究の実験値・解析値から得られたζ=0.7と0.1を用いている。図11より、本実施形態の音・振動情報収集機構10は、骨格・筋肉・皮膚・衣服を介して伝達される100Hz以下の生体信号、特に、心臓・血管系の音・振動情報を収集するのに適している。これに図9に示した固有振動子122のボード線図を重ねて見ると、心臓・血管系の20Hz近傍の音・振動情報を切り出しやすい機械的フィルタとしての特性を有していることがわかる。このような機械的特性をもつ音・振動情報収集機構10に、100Hz以下の生体信号(本実施形態では10〜40Hzの心臓・血管系の音・振動情報)が入力されると、第一層11を構成する三次元立体編物の弦振動、第二層12の筐体121を構成するビーズ発泡体の膜振動、及び、筐体121に取り囲まれた共鳴箱内部の空気の振動により作られる振動波形に、三次元立体編物からなる固有振動子122の振動波形が合成される。すなわち、音・振動情報収集機構10は、100Hz以下の周波数成分を観測するのに適した機械的なローパスフィルタであり、これに、固有振動数が20Hz近傍に設定された固有振動子122の作用が組み合わさって、20Hz近傍の入力信号を強調し、上記の共鳴搬送波として、マイクロフォンセンサ14が検出する。なお、本実施形態で採用したマイクロフォンセンサ14は、高い精度で生体信号を計測するため、低周波数帯域の計測可能範囲を0.1Hz程度まで広げてある。
ここで、図3及び図4は、上記音・振動情報収集機構10に第三層13を介して外部振動が入力される場合の作用を説明するための模式図である。第一層11及び第二層12を構成する各三次元立体編物は、上記のように筋肉のばね定数に近似するばね定数を有し、第三層13はより高いばね定数を有している。その一方、音・振動情報収集機構10全体としては、三次元立体編物からなるばね要素の直接配列となっているため、各個別の三次元立体編物よりもさらに低いばね定数となっている。外部振動がバックフレーム2aを介して入力されると、音・振動情報収集機構10全体が振動させられるが、第三層13のばね定数が、人体側に配置される第一層11及び第二層12のばね定数よりも高いため、高周波の音をよく遮断する。また、図1に示したように、バックフレーム2aには、胸部に対応する付近に背部支持ネット2bが掛け渡され、腰部に対応する付近にSバネ2cが掛け渡されている。図12(a)は背部支持ネット2bの荷重−変位特性を示し、図12(b)はSバネ2cの荷重−変位特性を示しているが、このように、いずれも第三層13よりもばね定数が低く設定されており、バックフレーム2aを介した振動を減衰させることができる構造である。この背部支持ネット2b、Sバネ2c及び第三層13が外部振動入力系を構成し、第三層13を中心としたこれらの作用により、第二層12に入力される外部振動が所定周波数にフィルタリングされる。
演算手段20は、図13に示したように、音・振動情報収集機構10のマイクロフォンセンサ14により収集される、生体信号、特に、心臓・血管系の音・振動情報が上記のように強調されてなる共鳴搬送波を含む信号波形を受信して演算処理する手段であり、コンピュータから構成され、フィルタリング手段210及び状態解析手段220を有して構成される。
演算手段20のコンピュータプログラムがフィルタリング手順を実行して実現されるフィルタリング手段210は、上記の共鳴搬送波を含むマイクロフォンセンサ出力信号をフィルタリング処理する。ここで、心拍数により差が生じ、かつ周期が25〜45Hzの間にある心音のI音と、大動脈ないし肺動脈の拡張期圧が高いため強い音となって周期が50Hz近傍にあるII音は、共に、筋肉、骨格、皮膚、衣服を経由して20Hz近傍の信号波形となる。フィルタリング手段210はバンドパスフィルタから構成されるが、心音I音、心音II音を含む収集対象の音・振動情報の周波数が、このように20Hz近傍の信号波形となるため、上限及び下限の遮断周波数は、例えば、10〜30Hzで設定でき、さらには、例えば、1/3オクターブバンドパスフィルタをかけて(図14(a),(b)参照)、19〜23Hzのより狭い帯域幅で設定できる。より狭い帯域幅でフィルタリングすることにより、心音I音、心音II音の音・振動情報をより顕在化した周期で捉えることもできる。
図15は、音・振動情報センシングシステム1における信号処理過程を示したブロック図である。音・振動情報収集機構10の機械的フィルタリング機能によって、収集された100Hz以下の心臓・血管系の音・振動情報を含む生体信号は、共鳴層である第二層12において固有振動子122の振動によって上記のように合成されて強調された共鳴搬送波(Resonance Carrier:Carrier using Resonance effect、以下場合により「RC」とする)となっており、この共鳴搬送波がマイクロフォンセンサ14により検出される(マイクロフォンセンサ14で検出された共鳴搬送波を「RC0」とする)。RC0は、フィルタリング手段210において、中心周波数20Hzの10〜30Hzのバンドパスフィルタにかけられる(10〜30Hzのバンドパスフィルタにかけられた共鳴搬送波を「RC1」とする)。さらに、フィルタリング手段210において、RC0又はRC1に対して、19〜23Hzの1/3オクターブバンドパスフィルタをかけ、共鳴搬送波「RC2」として求めることにより、20Hz近傍の固有振動数を備えた固有振動子122の生体信号との合成作用を顕著に示すことができる。
なお、フィルタリング手段210を経て出力される体幹の音・振動情報による信号は、ノイズとの差であるS/N比が小さい場合には、中心周波数をシフトさせて適切な周波数となるように調整される。
演算手段20のコンピュータプログラムが状態解析手順を実行して実現される状態解析手段220は、フィルタリング手段210によりフィルタリングされた上記共鳴搬送波RC0、RC1又はRC2の時系列波形を演算処理して、例えば、1Hz近傍の自律神経機能を反映する振動波形(心部揺動波、Aortic Pulse Wave(APW)と呼ぶ)を求め、心周期情報をこのAPWにより捉える。なお、APWは心弾動図(ballistocardiogram、以後はBCGと呼ぶ)に近似する情報を含む。状態解析手段220は、より具体的には、共鳴搬送波RC0、RC1又はRC2が低周波の自律神経機能を反映する振動波形を含む搬送波となっているため、それを検波回路によって全波整流し、そのピーク値を結んで包絡線を求めて復調して低周波の生体信号であるAPWを抽出する。なお、抽出したAPWは、自律神経機能を反映する生体信号であるため、例えば、「従来の技術」の項で説明した特許文献1及び2に記載した手段により、周波数傾きの時系列波形、周波数変動の時系列波形を求めてこれらを周波数解析して人の状態(入眠予兆や切迫睡眠等の出現時期、疲労度、飲酒状態か否か)等の判定に用いられる。
(検証実験)
本実施形態の音・振動情報センシングシステム1を用い、ストレスの少ない環境下で、心音、心電図、指尖容積脈波、共鳴搬送波(RC)、APWを計測して比較した。なお、音・振動情報センシングシステム1は、図16(a)に示したようなアンプ及びスピーカーを備えた可聴音再生部(例えば、BOSE Corporation製、Companion 5 multimedia speaker syastem)を備えた構成とすることができる。それにより、共鳴搬送波(RC)をアンプに入力して増幅させ、スピーカーから出力させることで、可聴音として計測できる。アンプに入力される共鳴搬送波(RC)は、マイクロフォンセンサ14の出力信号であるRCを用いてもよいが、フィルタリング手段210によりフィルタリングされて得られたRC1、RC2を用いると、より可聴しやすい音となる。
但し、共鳴搬送波をそのままアンプ、スピーカーからなる可聴音再生部で再生した場合には、人の胸部側から可聴した25〜50Hzを主体とする心音と比較すると、RC0,RC1,RC2のいずれを用いても、体幹の筋肉、体液などにより減衰された20Hz主体の音となるため、音がぼやけた感じとなり、通常可聴する心音とは別の音と把握される可能性がある。低音域を再生できるより高性能なアンプ、スピーカーを用いれば可聴しやすくなるが、再生した音がぼやけた感じになることにあまり変わりはない。
そこで、図16(b)に示したように、共鳴搬送波(RC0,RC1又はRC2)に波形の整形処理とハイパスフィルタをかける処理を施す。波形の整形処理は、好ましくは共鳴搬送波を増幅回路にて増幅させて増幅波形を求め、この増幅波形に対して施す。具体的には、増幅波形の振幅の正負両側に閾値を適宜に設定し、振幅のピークを中心とした閾値以上の波形を切り取る。共鳴搬送波は20Hz主体の連続入力の波形であるため、ピーク付近をカットすると、カットされた波形成分間で高周波の波形成分が生成される。20Hzを主体とする共鳴搬送波の場合、その約2倍の約40Hz以上の高周波成分がのることになり、20Hz主体の波形と40Hz以上の波形の合成波となる。この合成波にハイパスフィルタをかける。ハイパスフィルタは、遮断周波数を例えば40Hzに設定し、40Hz未満の低周波数成分をカットし、40Hz以上の高周波成分を主体とする波形(心音再生波形)とする。図16(b)から明らかなように、この心音再生波形(図16(b)の最下図の破線)は、心音(図16(b)の実線)の周期が一致している。そしてこの心音再生波形を、図16(a)に示したようなアンプとスピーカーから構成される可聴音再生部で再生すると、擬似心音が可聴できる。擬似心音は、40Hz以上の周波数成分が主体であるため、胸部側から聞いた心音に近いクリアな音として把握できる。また、40Hz以上の周波数成分が主体であるため、20Hz主体の波形を音として再生する場合と比較して、アンプ、スピーカーとして高性能なものを用いる必要がない。
A.実験方法
(1)静的・動的環境下における座位姿勢での実験(活性状態)
音・振動情報収集機構10を(株)デルタツーリング製の6軸加振機上にセットされた自動車用シートのシートバック部に取り付けて被験者を着座させ、被験者の体幹背部から生体信号である音・振動情報の計測を行った。音・振動情報収集機構10がノイズに強いことを検証するために、静的環境下及び動的環境下で測定する。動的環境下では、山陽自動車道を普通車で80〜100km/hで走行したときのシート取り付け部のフロアに発生する上下方向加速度波形を加振機の励振波形とした。図17(a),(b)に、励振波形時系列信号と周波数解析結果を示す。体幹背部からの音・振動情報は、音・振動情報収集機構10に内蔵されたマイクロフォンセンサ14の出力を用いて、図15のブロック図で示した信号処理を行って捉える。被験者は健常な20歳代から40歳代の健常な男性である。
比較のための医学的指標として、心音(PCG)、心電図(ECG)、指尖容積脈波(PPG)の計測を行った。心音センサ・心音脈波アンプは日本光電工業(株)製TA-701T、AS-101D、心電図は日本光電工業(株)製BSM-2301を用い、被験者の胸部から測定し、指尖容積脈波センサは(株)アムコ製フィンガークリッププローブSR-5Cをそれぞれ用いて測定した。各生体信号は、サンプリング周波数200Hzにて5分間データロガーに記録した。
(2)仰臥姿勢での実験(安静状態)
生体状態を判定する簡易スクリーニング用の装置としての有用性を検証するため、被験者をベッドに仰臥状態で寝かせ、本実施形態の音・振動情報収集機構10を背部に当接するように用いて、静かな環境下で、体幹背部から生体信号を検出した。また、生体信号の検出結果を、上記座位姿勢の場合と同様に、心音、心電図、指尖容積脈波と比較した。各生体信号は、サンプリング周波数200Hzにて5分間データロガーに記録した。S/N比は、音・振動情報収集機構10に内蔵されたマイクロフォンセンサ14の部位にかかる圧力値に相当する錘を載せた状態と、被験者を仰臥させた状態との比較で求めた。被験者は20歳代から30歳代の健常な男性被験者15名である。なお、被験者15名の身長、体重、BMIは次のとおりであった。
被験者A・・・身長:1.53m、体重:52kg、BMI:22.2
被験者B・・・身長:1.72m、体重:59kg、BMI:19.9
被験者C・・・身長:1.74m、体重:70kg、BMI:23.1
被験者D・・・身長:1.74m、体重:65kg、BMI:21.5
被験者E・・・身長:1.75m、体重:78kg、BMI:25.5
被験者F・・・身長:1.74m、体重:60kg、BMI:19.8
被験者G・・・身長:1.67m、体重:64kg、BMI:22.9
被験者H・・・身長:1.73m、体重:70kg、BMI:23.4
被験者I・・・身長:1.70m、体重:63kg、BMI:21.8
被験者J・・・身長:1.71m、体重:57kg、BMI:19.5
被験者K・・・身長:1.70m、体重:55kg、BMI:19.0
被験者L・・・身長:1.69m、体重:60kg、BMI:21.0
被験者M・・・身長:1.67m、体重:58kg、BMI:20.8
被験者N・・・身長:1.79m、体重:69kg、BMI:21.5
被験者O・・・身長:1.65m、体重:75kg、BMI:27.5
B.実験結果と考察
(1)静的・動的環境下における座位姿勢での実験(活性状態)
図18及び図19は、図15に示したブロック図の各段階で出力される時系列信号を示す。このうち、図18は、静的環境下における時系列信号を示し、図19は、動的環境下における時系列信号を示す。図20〜図22は、時系列信号を周波数解析した結果を示す。
図18(a)に示される生体信号は、マイクロフォンセンサを被験者の体に直接貼り付けて計測したデータであり、図18(b)及び図19(a)に示される生体信号は、心音センサを被験者の体に直接貼り付けて計測したデータである。ここで用いたマイクロフォンセンサの感度では、図20(a)に示したように、パワースペクトルが小さく、心音成分を捉えきれていない。
一方、本実施形態の音・振動情報収集機構10の共鳴搬送波(RC0)の時系列波形を周波数解析した場合、BCGに相当する1Hz近傍の圧力変動成分は、図20(a),(b)において矢印aで示したように、5Hz以下の周波数帯で発生する体動や外邪振動入力に起因するノイズで判別しにくい。しかし、10Hz以上の周波数成分を分析対象とすると、図20(a),(b),(c)矢印bで示すように心音センサで計測した信号に相当するものが捉えられることがわかる。図20(d)は、図20(a),(b),(c)と同じ時間帯で静的・動的環境下で捉えたPCGを示す。このPCGの周波数分析結果から、25〜45Hz の心音I音と50Hz 近傍の心音II音を捉えていることがわかる(図20の矢印aで示される周波数帯)。従って、これらPCGとRC0の周波数の違いは、PCGにおいて25〜45Hz の心音I音と50Hz 近傍の心音II音が、筋肉、骨格、皮膚、衣服を経由して20Hz近傍の信号(RC0)として捉えることができることを示唆している。なお、図20(d)の矢印bの波形は、動的環境下で生ずるノイズと考えられる。また、他の2名の被験者のデータも同じ傾向を示した。
上記の点を前提として、図18及び図19のデータをさらに考察する。まず、図18(c)及び図19(b)に示される時系列信号RC0は、図20(a),(c)の矢印bに示されるように、心音成分に相当する音・振動情報を捉えているが、固有振動子122で強調されたマイクロフォンセンサ14から出力信号であるRC0をそのまま用いただけでは、呼吸成分と温度ドリフト変化分並びに計測誤差による5Hz以下に現れる図20(a)〜(c)の矢印aで示される低周波ノイズ及び外部振動入力により、図18(c)及び図19(b)の時系列波形においては心音成分が埋もれてしまう。
図18(d)及び図19(c)は、フィルタリング手段210においてRC0に10〜30Hzのバンドパスフィルタをかけた時系列信号RC1であり、図21はその周波数解析結果である。このRC1の時系列波形を、図18(b)及び図19(a)の心音センサの時系列波形と比較すると、ほぼ同じタイミングで時系列波形の振幅の増減変動が生じており、10〜30Hzのバンドパスフィルタをかけることによって、心音のI音、II音に相当する信号を10〜30Hz近傍の周波数帯域を持つ信号として捉えていることがわかる。
図18(e)及び図19(d)は、フィルタリング手段210においてRC1に、図21において矢印で示した19〜23Hzのバンドパスフィルタをかけて共鳴搬送波RC2としたものである。RC2にすると、歪みの少ない単音に近いものになることがわかる。特に、ノイズの大きい環境下では、バンドパスフィルタの範囲を固有振動子122が機能している20Hz近傍に狭め、RC2を捉えることにより歪の少ない波形となる。
図18(f)及び図19(e)は、状態解析手段220において、RC1を用いて求めたAPWの時系列波形であり、図18(g)及び図19(f)は、RC2を用いて求めたAPWの時系列波形である。これらのAPWの時系列波形の周期は、図22に示すように1Hz近傍に存在しており、静的環境下、動的環境下のいずれであるかに拘わらず、心電図、指尖容積脈波から捉えた心拍変動と高い相関性を持つことがわかる。なお、図18の静的状態と図19の動的状態の時系列波形を比較すると、各バンドパスフィルタをかけたRC1、RC2の時系列波形の振幅、並びに、それらから求めたAPWの時系列波形の振幅共に、静的状態よりも動的状態の方が大きく、外部振動によって固有振動子122の作用が大きくなることがわかる。
図23は、固有振動子122が外部振動入力により機能し、合成波を作る過程を示したものである。図23(a)は入力される外部振動の時系列波形を示し、図23(b)は外部振動入力により機能する固有振動子122が作る波形と心臓・血管系の音・振動波形との合成波であるRC0の時系列波形を示す。外部振動入力が大きい時間帯、すなわち外部振動の時系列波形の振幅が大きい時間帯に合成波の振幅も大きくなっていることがわかる。図23(c)は、フィルタリング手段210において19〜23HzのバンドパスフィルタでフィルタリングされたRC2の時系列波形を示し、RC2もRC1と同様の傾向を有している。図23(d)は、RC2から求めたAPWであり、心電図のR−R間隔(RRI)とその周期が一致している。
次に、図19(d)に示した動的環境下でのマイクロフォンセンサ14からの出力信号に19〜23Hzのバンドパスフィルタをかけて得られた時系列波形の生成過程について説明する。まず、振幅と振動数の異なる二つの単振動、「x1=acosω1t」、「x2=bcosω2t」が合成されると仮定する。合成の結果は、次式(4)となる。
・・・(4)
「ω2=ω1+Δω」と考え、式(4)を変形させると、式(5)となり、この式(5)で表される合成波が、図19(d)の時系列波形である。
・・・(5)
図18(g)及び図19(f)に示したRC2から演算処理して求めたAPWの周期は、「Δω/2」の周期のずれとフィルタリング操作による位相のずれにより、図18(h),(i)及び図19(g),(h)に示した心電図及び心音図から求められる周期とは、位相ずれが発生することになる。図24に位相ずれ量と周期の相関性を示す。
図24(a)から、静的・動的環境下における座位姿勢において、覚醒状態であるときの心電図のRRIとAPWの位相ずれ量は0.15秒以内であり、図24(b)から、心電図のRRIとAPWの周期との相関係数は、静的でRs=0.596、動的でRd=0.645であり、生体信号として高い相関性を示した。
(2)仰臥姿勢での実験(安静状態)
外乱の入りにくい安静臥位状態での計測結果の代表例を図25に示す。音・振動情報収集機構10の出力波形を演算手段20のフィルタリング手段210によって10〜30HzのバンドパスフィルタをかけたRC1の時系列波形(図25(b))は、心音センサで採取した心音のI音、II音の波形(図25(a))と同期していることがわかった。フィルタリング手段210によって処理されたRC1を、さらに演算手段20の状態解析手段220によって全波整流、検波によって演算処理し、APWの波形を求めたのが図25(c)である。得られたAPWの波形は1Hz近傍の波形であり、心臓、血管の動きである心弾動(BCG)に近似するものである。なお、図25(a)の矢印Aは期外収縮と考えられる波形であるが、その波形の出現時点は、図25(b)の符号B、図25(c)の符号Cで示したように、RC1の波形及びAPWの波形の双方で変化が生じていた。なお、このRC1の出力信号は、図16に示したアンプ及びスピーカーを介して72.8dBの音として出力することができた。
図26〜図28は、実験結果の代表事例を示したものである。このうち、図26は、外乱の入りにくい安静臥位状態での心電図(a)、心音(b)、指尖容積脈波(c)、指尖容積脈波二階微分波形(d)、RC1の波形(e)、APWの波形(f)による心周期の時相を比較した図である。この事例では心拍数は61回/分である。RC1の出力波形は、心音センサで採った心音のI音、II音と同期し、この出力波形は、全波整流、検波により、1Hz近傍の低周波振動波形であるAPWに変換された。なお、指尖容積脈波は健常な青年の脈波伝播時間分に相当する0.2秒の遅れで一致していた。
図27は、心房収縮期、心室収縮期、心室拡張期に至る心拍動の全周期に関する関連事象と、共鳴搬送波(RC1)の波形から得られたAPWとの時間軸におけるずれ時間を調べたものであり、(a)は心電図のR点と、APWの波形でR点に対応するγ点とのずれ時間(R−γ)、(b)は心電図のU点と、APWの波形でU点に対応するδ点とのずれ時間(U−δ)を示している。図27から、いずれもずれ時間が0.1秒であり、これは共鳴搬送波の1/2波形分に相当し、機械的判定による誤差の範囲内に収まっている。
図28は、末梢へ伝達する時間である加速度から求められた加速度脈波とAPWとのずれ時間の分散度合いを比較したものである。(a)は加速度脈波のa点とAPWのγ点とのずれ時間(a−γ)の分散度合いを、(b)は加速度脈波のe点とAPWのδ点とのずれ時間(e−δ)の分散度合いを示したものである。指尖の動脈で触れる脈拍は、左室から大動脈への血液駆出のピークに遅れること、ほとんどのデータは約0.2〜0.3秒以内となっており、この被験者のデータは、健常な青年の脈波伝播速度と言えるものであった。
図29は、心電図のRRIとAPWの周期を被験者15名分全員のデータを用いて、解析時間20秒間又は180秒間のデータの解析結果を比較した図である。被験者15名分のそれぞれのデータの計測時間20秒間又は180秒間の相関係数の平均値は、R20=0.9、p20=0.0026、R180=0.89、p180=3.6×10−39となった。本実験環境下で得られたS/N比は19dBであった。
被験者が健常で安静臥位状態にある場合、RRIとAPWの周期で相関性のないデータ数は、図中、「白抜きの三角形」で示したデータ群であり、180秒間で一人あたり、1〜2拍発生するものであった。これらのデータ群を除いて相関係数を求めるとR180=0.99となった。従って、計測時間は20秒間で信頼性が確保されると考えられる。また、被験者15名のBMI値は19.0から27.5までの範囲にあり、この範囲内の被験者の場合にはAPWとRRIは有意な相関関係があった。すなわち、計測によるストレスを感じにくい安静臥位状態で計測されたAPWは、心電図のRRIに近い周期特性を得ることができ、かつ、20秒間の計測で心周期の情報を速やかに捉えることが可能であることがわかった。
以上の実験結果から、心臓・血管系が発振する25〜50Hz近傍の音・振動情報が、食道、肺動脈、体幹の筋肉、骨格、皮膚、衣服を経由することで、体幹背部からは20Hz近傍を中心周波数とする音・振動情報として取得でき、その中心周波数に対応した固有振動数に設定された固有振動子122を用いた音・振動情報収集機構10、並びに、この音・振動情報収集機構10と、中心周波数である20Hz近傍を含んだ通過帯域幅でフィルタリングする演算手段20とを備えた音・振動情報センシングシステム1を用いることにより、心音I音、II音に代表される心周期情報を正確に捉え、かつ、1Hz近傍の低周波振動波形であるAPW等の自律神経機能に関する情報を正確に捉えることができる。また、外部振動が入力される動的環境下では、固有振動子の振幅が外部振動によって大きくなるため、それにより、心臓・血管系の音・振動情報と固有振動子の振動との合成波の振幅が大きくなる。そのため、この合成波はノイズに対する強靱性が高く、動的環境下でも正確な心周期情報を捉えることができる。従って、本発明より得られたAPWは、心電図、心音図の周期特性代替指標となり、非拘束で行う車両走行中の測定に適したものであり、特に、乗物の運転者の走行中の生体状態の解析に有用であると言える。また、通常であれば、医師による病院での検診などで聴診器を体表面の心臓付近に直接当接しなければ採取できない微弱な心臓・血管系の音・振動情報を、本発明では、共鳴搬送波(RC)並びにAPWとして、ベッドなどの寝具や自動車用シートなどの椅子に人が支持されている状態で、人の背中側から非侵襲、非拘束で捉えることができる。
C.条件の異なる動的環境における座位姿勢での実験
上記「静的・動的環境下における座位姿勢での実験(活性状態)」に関し、動的環境における加振機の励振条件を上記と異ならせた実験を行って比較した。すなわち、米国ミシガン州のフリーウェイ走行を模擬した、衝撃性振動の発生する振動加速度レベルの高い励振波形を加振機で再現した。図30は、静的環境下、2つの動的環境下の実験結果を比較して示した図であり、図30(a)〜(d)において、いずれも、左側のグラフが、静的環境下(Static)での実験結果を、中央のグラフが、山陽自動車道を普通車で80〜100km/hで走行したときのシート取り付け部のフロアに発生する上下方向加速度波形で励振したとき(State 1)の実験結果を、右側のグラフが、米国ミシガン州のフリーウェイ走行を模擬した波形で励振したとき(State 2)の実験結果を示す。
また、図30(a)は上下振動入力に対してシートバック部の装着面に作用する加速度を示し、図30(b)はマイクロフォンセンサに入力されるシートバック部の装着面の加速度由来の音波形である。図30(c)は、図30(b)の波形に被験者の心臓・血管系の音・振動情報が合成されたもの、すなわち、演算手段20のフィルタリング手段210によって10〜30Hzの周波数帯でフィルタリング処理された共鳴搬送波(RC1).の波形であり、(d)は、(c)の波形を用いて、状態解析手段220により検波して出力されたAPWの波形データである。
図30より、外部振動入力の20〜30Hzのパワースペクトルと心臓・血管系の音・振動情報の合成波形及びそれを処理したAPWが心周期特性を捉えており、外部振動のパワースペクトルがAPWに重畳され、増幅された出力が得られることがわかる。従って、図30からも心臓・血管系の音・振動情報と固有振動子の振動との合成波が外乱に対してロバスト性が高いことがわかる。また、振動加速度レベルの低いState 1よりも、振動加速度レベルの高いState 2の20〜30Hzの外部振動を取り入れた方が、APWの周期特性をより大きな振幅で捉えることができていた。
ここで、図31は、フィルタリング手段210において、19〜23Hzのバンドパスフィルタでフィルタリングした共鳴搬送波RC2を用いて状態解析手段220によって求めたAPWの時系列波形(「APW0」とする)の一例を示す。図32は、このAPW0の時系列波形にさらに1.0〜1.30Hzのバンドパスフィルタをかけた時系列波形(「APW1」とする)である。バンドパスフィルタの遮断周波数はこれに限られるものではなく、例えば1.17〜1.30Hzのバンドパスフィルタとすることもできる。いずれにしても、APW0に通過帯域幅0.1〜1HzのバンドパスフィルタをかけたAPW1は、より正確に心周期情報を反映した波形となる。すなわち、状態解析手段220は、このような共鳴搬送波からAPW0を求めた後、さらに、このAPW0に通過帯域幅0.1〜1HzのバンドパスフィルタをかけてAPW1を求める手段を有する構成とすることが好ましい。
本発明の音・振動情報収集機構は、人体支持手段である寝具(ベッド、ふとんなど)、シート(乗物用シート、事務用椅子、マッサージチェア、ソファなど)において、人の背部に対応する範囲に組み込んで用いることができ、音・振動情報収集機構を組み込んだ状態で人体支持手段を提供することもできる。
上記した説明では、音・振動情報収集機構10は、第二層12の筐体121に固有振動子122,122を配置し、それにフィルム123,123を積層し、その外側にそれぞれ三次元立体編物から構成される第一層11、第三層13が積層されている(図1及び図2参照)。これに対し、図34(a)〜(c)及び図35(a)〜(c)に示したように、第二層12にビーズ発泡体を積層したり、ウレタンパッドを積層したり、音・振動情報収集機構10の上記機能を損なわない範囲で種々の応用が可能である。なお、図34及び図35は、図33のA−A線に相当する断面図である。
また、音・振動情報収集機構10を、人体支持手段においてコイルスプリング、Sバネなどの金属スプリング上に配置することも可能であるが、例えば、図36に示したように、シートバック部100を構成する背部フレーム110に、自動車のシートベルトで用いられるポリエステル繊維で織られてなる帯状支持部材120を配設し、この帯状支持部材120によって音・振動情報収集機構10を支持するようにすることもできる。また、この帯状支持部材120に代えて背部フレーム120に三次元立体編物を張設し、該三次元立体編物に音・振動情報収集機構10を支持させるようにしたり、あるいは、帯状支持部材120の表面に三次元立体編物を積層した上で音・振動情報収集機構10を支持させるようにしたりすることもできる。
なお、このような金属スプリング、帯状支持部材、三次元立体編物等の音・振動情報収集機構10の支持層は、外部から入力される音・振動を減衰させる機能を有する。またそれらのばね定数の調整によって、生体信号を埋もれさせる100Hz以上、好ましくは40Hz以上の高周波振動を遮断する機能をもたせることが可能である。従って、音・振動情報収集機構10を配設する人体支持機構が、このような支持層を備える場合、音・振動情報収集機構10において高周波の外部振動を減衰させる第三層13を設けない構成とすることも可能である。
以下、本発明の音・振動情報収集機構及び音・振動情報センシングシステムを用いた各種解析事例について説明する。
・解析事例1
(共鳴搬送波を用いたAPWの臥位状態での検出、及び心音との相関に関する解析)
20歳代から30歳代の健常な男性被験者13名について、臥位状態で15分間の計測を行った。音・振動情報収集機構10は背部に当接し、比較指標として、被験者の胸部より心音の計測を行った。心音センサ・心音脈波アンプは日本光電工業(株)製TA-701T、AS-101Dである。
図37は測定結果を示し、(a)はマイクロフォンセンサ14のセンシング波形であり、(b)はフィルタリング手段210を構成する10〜30Hzのバンドパスフィルタでフィルタリングされた共鳴搬送波RC1のデータであり、(c)は全波整流した波形であり、(d)は状態解析手段220より出力されたAPWの波形である。(e)は心音計の波形である。
図37(e)の心音図中で矢印で示す波形はI音とII音を示す。このI音及びII音と、図37(b)のRC1の出力データのb1音及びb2音とが同期している。同様に、I音及びII音と、図37(d)のAPWの波形のd1点及びd2点(直流成分)とが同期している。
図38(a)は、心音図のI音,II音に対するb1,b2音のずれ時間の分布を、図38(b)は、心音図のI音,II音に対するd1点,d2点のずれ時間分布を示した図である。いずれも横軸は心音II音とのずれであり、縦軸は心音I音とのずれである。
図39(a)は、被験者AのAPWのピーク時間間隔と心音I音のピーク値の時間間隔の比較を示し、横軸は計測時間(分)を、縦軸はピーク間の時間(秒)を示す。式6で表される正規化相互相関関数によりピーク時間間隔の一致度を求めたところ89.62%であった。
図39(b)は、被験者13人の正規化相互相関関数の一致度を示した図であり。最も高い場合で98%、最も低い場合で78.8%であり、平均値は87.7%であった。
これらのことから、フィルタリング手段210を構成する10〜30HzのバンドパスフィルタでフィルタリングされたRC1と、RC1を用いて算出したAPWは、その周期について心音I音と高い一致度を示した。
・・・(6)

(I(i,j)=APWのピーク間時間、T(i,J)=心音I音のピーク間時間)
・解析事例2
(共鳴搬送波を用いたヒヤリハットに関する解析事例)
まず、20歳代から30歳代の男性被験者17名について、安静仰臥位にて解析事例1と同様に、フィルタリング手段210を構成する10〜30Hzのバンドパスフィルタでフィルタリングされた共鳴搬送波RC1のデータからAPWの波形を求め、これを、心電図(日本光電工業(株)製BSM-2301 )から算出したR−R間隔(以下、「RRI」)との相関を確認した。
縦軸にAPWのピーク点の間隔をとり、横軸にRRIをとった17名分の比較結果を図40に示す。なお、プロット点の大きさは度数である。そして、APWのピーク点の間隔とRRIとの関係について、被験者毎の相関関数を算出した結果、相関係数r=0.874±0.075(Mean±SD)であった。また、相関の検定を各被験者で行った結果、全被験者でp<0.05であったことから、両者には相関関係があると言える。
次に、音・振動情報収集機構10を自動車用座席に設置し、ヒヤリハットに関する走行実験を行った。被験者は30歳代から50歳代の健常な男性6名である。なお、ヒヤリハット状態の発生時刻の履歴を残すために、(株)デルタツーリング製のスリープバスター(登録商標)をステアリング横のインパネ上に設置した。運転者には走行中スリープバスター(登録商標)を注視する行為を禁止した。
解析はヒヤリハットが発生した22例に対して行った。解析対象範囲はヒヤリハットが発生した時間までとした。音・振動情報収集機構10から採取した音響情報を信号処理し、APWに変換した。このAPWのピーク点もしくは基線とのダウンクロス点を用い、それぞれ脈拍数を求め、周波数に変換し、その3分間の変化度合を90%ラップ、つまり18秒毎に算出し、時系列波形を算出した(以降、ピーク点による波形をピーク傾き時系列波形、ダウンクロス点による波形をゼロクロス傾き時系列波形と呼ぶ)。次に、ヒヤリハットが発生した状態とそれ以前の状態のゼロクロス・ピーク傾き時系列波形の振幅を算出し、振幅の前後の変動比によるヒヤリハット発生確率をベイズ推定を用いて算出した。変動比は、指尖容積脈波を用いた藤田ら(藤田悦則他:「指尖容積脈波情報を用いた入眠予兆現象計測法の開発」,人間工学,Vol.41,No.4,203-212,2005 )の手法を応用したものである。ベイズ推定は以下の式7より算出される。なお、H2:ヒヤリハット状態、H1:覚醒状態、D:対象データである。また、「H2:ヒヤリハット状態」は、「ヒヤリハット発生直前の15分間」と定義した。
・・・(7)
図41にヒヤリハット時を含めた30分間のゼロクロス傾き時系列波形とピーク傾き時系列波形の代表例を示す。なお、ヒヤリハット発生箇所は網掛け部分であり、この部分で一瞬寝たとの申告を得た事例である。この例では、ヒヤリハットが生じる12分前から1分前にかけて、ゼロクロス傾き時系列波形の振幅が減衰しており、ピーク傾き時系列波形は前半部より振幅が増大していることがわかる。このゼロクロス傾き時系列波形を絶対値処理した波形は交感神経活動の指標と言われるLF/HF、ピーク傾き時系列波形を絶対値処理した波形は副交感神経活動の指標と言われるHFの変化に近いことが示唆されている(前田慎一郎他: 「非拘束センサによるドライバの状態推定技術の開発」,日本機械学会第11 回「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集,No.09-30,2009)。
このことから、ヒヤリハット直前数分間の運転者の状態は、交感神経活動の低下と副交感神経活動の賦活が生じており、状態を変化させるような揺らぎが無く、眠気に抵抗できない状態であった可能性が示唆される。ヒヤリハットが発生した22例について、ヒヤリハット発生直前の傾き時系列波形の減衰、増大傾向を調べたところ、次のとおりであった。
(1)ピーク傾き時系列波形について「増大又は変化無し」の傾向を示す場合
ゼロクロス傾き時系列波形が「減衰」傾向:18例
ゼロクロス傾き時系列波形が「増大又は変化無し」:1例
(2)ピーク傾き時系列波形について「減衰」の傾向を示す場合
ゼロクロス傾き時系列波形が「減衰」傾向:3例
ゼロクロス傾き時系列波形が「増大又は変化無し」:0
次に、ベイズ推定を利用して発生確率を求めた。図42はゼロクロス(左図)、ピーク(右図)の両傾き時系列波形の振幅変動比をパラメータにして、ヒヤリハット発生確率を求めたものである。振幅変動比が増大方向で大きいものを10とし、減衰方向で大きいものを1としている。図42の左図より、ゼロクロス傾き時系列波形の振幅変動が急増、ないし急減するような変化が現れた時、ヒヤリハットの発生確率が高いことがわかった。図42の右図より、ピーク傾き時系列波形は変動比が小さい時にヒヤリハット発生確率が高いことがわかった。これは、図43に示した「ヒヤリハット状態前(H2前)と、ヒヤリハット状態中(H2中)のピーク傾き時系列波形の平均振幅値を比較した図」より、H2中(ヒヤリハット状態中=「ヒヤリハット発生直前の15分間」)の振幅がH2前(ヒヤリハット状態前=「ヒヤリハット発生直前の15分間より前の時間帯)の振幅より大きく、H2の時間帯は既に振幅増大が生じた後であるため、H2中の振幅変動が小さくなったことが要因と考えられる。これらの点から、上記のヒヤリハット発生直前の各傾き時系列波形の減衰、増大傾向の調査結果は妥当であると言える。
この解析事例により、共鳴搬送波を用いたAPWのゼロクロス傾き時系列波形が急増又は急減しているときにヒヤリハット発生確率が高くなることわかる。従って、APWのゼロクロス傾き時系列波形が急増又は急減しているときを基準としてヒヤリハットの検出警告を出力することが可能である。
・解析事例3
(共鳴搬送波を用いた覚醒状態と睡眠状態との判別法に関する解析事例)
覚醒状態と睡眠状態の生体信号を計測するために、安静仰臥位で1時間の睡眠実験を行った。被験者の背部に音・振動情報収集機構10を設置し、共鳴搬送波RC1からAPWの波形を求めた。同時に脳波と主観評価を計測した。被験者には測定開始から30分間は眠らないように指示をし、30分経過後は寝てもよいと指示をした。主観評価は測定開始30分の間に行い、5分経過ごとに眠気の度合いを評価した。被験者は20歳代から30歳代の健常な男性13名(年齢28.31±2.81歳)である。また、Rechtschaffen & Kales によって標準化された睡眠段階判定法に基づいて、覚醒状態は、覚醒の状態が合計70%かつ最も割合が多い18.9分間、睡眠段階はノンレム睡眠の第1〜4段階の状態が60%以上かつ最も割合が多い18.9分間と定義した。共鳴搬送波RC1から得られたAPWについて、ピーク検出法及びゼロクロス検出法((前田慎一郎他: 「非拘束センサによるドライバの状態推定技術の開発」,日本機械学会第11 回「運動と振動の制御」シンポジウム講演論文集,No.09-30,2009)を用い、ゼロクロス点とピーク点それぞれの脈拍数を算出した。その脈拍数の3分間の変化度合いの時系列波形をそれぞれゼロクロス点の傾き時系列波形とピーク点の傾き時系列波形として算出した。結果を図44に示す。
図44(a)は30歳代男性被験者(以下、「被験者A」)の睡眠段階判定法による睡眠段階を示し、図44(b)は、被験者Aの共鳴搬送波RC1から得られたAPWによるゼロクロス点とピーク点の傾き時系列波形を示している。
被験者Aの主観評価では計測開始から25分まで目が覚めており、30分以降は終始睡眠をしていたとなっている。図44(a)からは、前半の30分は覚醒の状態が続いており、後半の30分はレム睡眠、ノンレム睡眠の第1段階から第2段階までの状態が続いていることがわかる。従って、上記の覚醒状態、睡眠状態の定義から、7.2〜26.1分は覚醒状態、41.1〜60分は睡眠状態であると判定した。図44(b)の覚醒状態と睡眠状態の時間帯のゼロクロス点の傾き時系列波形の振幅の変化は覚醒状態では振幅が一度増大しその後減少した。睡眠状態では振幅が徐々に増大したが、周期の長さが覚醒状態と同じような傾向であると見てとれる。以上のことから、覚醒状態と睡眠状態は同様に、大小振幅が入り混じり、周期は長短周期が入り混じることがわかった。
ここで、覚醒状態と睡眠状態を判別するためにゼロクロス点の傾き時系列波形に対し、周波数解析(高速フーリエ変換、以下、FFTと呼ぶ)を行った。この結果に対し、定量化点数法(内川竜一他:「生理指標(APW)を用いた乗り心地の定量化」,設計工学会中国支邪研究発表講演会,No.28 P46-51 2011)を用いて、覚醒状態と睡眠状態を判別することを試みた。この定量化点数は、周波数傾き時系列波形に対し、FFTを行い、対数表示した波形を、0.003Hz、0.01Hz、0.015Hzを中心とした3つの区間に分割し近似線を引き、これに対し、図45に示した定量化基準を用いて、点数化するものである。
図46は被験者Aの覚醒状態と睡眠状態の時間帯のAPWのゼロクロス点の傾き時系列波形に対し、FFT(両軸対数表示)を行った結果を示し、上記定量化基準を用いて点数化すると覚醒状態は3点であり、睡眠状態は9点であった。以上より、覚醒状態と睡眠状態はゼロクロス点の傾き時系列波形の振幅の変動の仕方に差があり、定量化点数法を用いることで状態判別が可能であることがわかる。
図47は各被験者の覚醒状態と睡眠状態の定量化点数のそれぞれの平均値を示す。これについてt−検定を行った結果、p=2.89×10−5で、p<0.05であり、覚醒状態と睡眠状態の定量化点数に有意な差があった。
なお、上記した実施形態では、本発明をいずれも生体からの音・振動情報の検出に用いている。100Hz以下の低周波の音・振動情報を主体とする生体信号の収集を感度よく行うことができることからもわかるように、本発明は、各種機械、装置において所定周波数以下、例えば、数百Hz以下、特に200Hz以下、さらには、100Hz以下の音・振動情報、例えば、自動車のディーゼルエンジンのエンジン音のような低周波の音・振動情報の検出、解析に適用することも有益である。これらの音・振動情報を取得し、解析によってそれらの状態(異常の有無)を容易かつより正確に判断することが可能となる。この場合、音・振動情報収集機構の第一層を検出対象であるエンジン側に接するように配置し、共鳴層を構成する第二層から、上記と同様に共鳴搬送波を検出することにより目的の音・振動情報を検出することができる。なお、第三層は、外部振動の規制のため、必要に応じて設けることができる。
1 音・振動情報センシングシステム
10 音・振動情報収集機構
11 第一層
12 第二層
121 ビーズ発泡体
122 三次元立体編物
123 フィルム
13 外部振動伝播層
14 マイクロフォンセンサ
20 演算手段
210 フィルタリング手段
220 状態解析手段

Claims (22)

  1. 固有振動数が、検出対象から収集する所定周波数以下の低周波の音・振動情報の周波数帯域内である固有振動子を備え、この固有振動子により前記音・振動情報を強調して共鳴搬送波を生成する共鳴層と、前記共鳴搬送波を検出するセンサとを有する音・振動情報収集機構であって、
    前記検出対象側に配置され、前記音・振動情報が伝播される第一層と、
    前記第一層に積層され、前記固有振動子及び前記センサを配置可能な孔部又は溝部からなる配置用スペースが形成された共鳴用の筐体と、前記配置用スペースを被覆するフィルムとを備え、前記共鳴層として機能する第二層と
    を有してなる音・振動情報収集機構。
  2. 前記検出対象が生体であり、前記音・振動情報が生体信号である請求項記載の音・振動情報収集機構。
  3. 前記生体信号が、心臓・血管系の音・振動情報であり、前記固有振動子の固有振動数が、前記心臓・血管系の音・振動情報に含まれる心音I音又は心音II音の周波数を含む周波数帯域内である請求項記載の音・振動情報収集機構。
  4. 前記生体の体幹背部側に配置され、前記心臓・血管系の音・振動情報に含まれる心音I音又は心音II音を、10〜40Hzの周波数帯域に減衰された音・振動情報として検出する請求項記載の音・振動情報収集機構。
  5. 前記固有振動子の固有振動数が、20〜30Hzである請求項記載の音・振動情報収集機構。
  6. 前記第一層が、前記生体の体幹背部側に配置され、人体支持手段に設けられる外部から入力される音・振動を減衰させる支持層に、前記第二層側が支持されるものである請求項2〜5のいずれか1に記載の音・振動情報収集機構。
  7. さらに、前記第二層を挟んで前記第一層の反対側に配置され、外部から入力される音・振動を減衰させる第三層が一体に設けられてなる請求項2〜6のいずれか1に記載の音・振動情報収集機構。
  8. 前記第三層は、前記固有振動子の固有振動数に対応しない周波数の音・振動を減衰させる特性を有する請求項記載の音・振動情報収集機構。
  9. 前記第三層が、立体布帛からなる請求項7又は8記載の音・振動情報収集機構。
  10. 前記第二層の共鳴用の筐体が、ビーズ発泡体を用いて形成されたものである請求項1〜9のいずれか1に記載の音・振動情報収集機構。
  11. 前記第二層の固有振動子及び前記第一層が、立体布帛からなる請求項1〜10のいずれか1に記載の音・振動情報収集機構。
  12. 前記第一層のばね定数、及び前記第二層の固有振動子のばね定数が、人体の筋肉のばね定数に近似している請求項記載の音・振動情報収集機構。
  13. 前記第一層のばね定数、及び前記第二層の固有振動子のばね定数が、人体の筋肉のばね定数に近似しており、
    前記第三層のばね定数が、前記第一層及び前記第二層の固有振動子のばね定数よりも高い請求項又は記載の音・振動情報収集機構。
  14. 前記第二層は、その機械的フィルタとしての遮断周波数が収集対象の前記生体信号の周波数の2倍以上に設定されている請求項6〜8のいずれか1に記載の音・振動情報収集機構。
  15. 検出対象から所定周波数以下の低周波の音・振動情報を収集して解析する音・振動情報センシングシステムであって、
    請求項1〜14のいずれか1に記載の音・振動情報収集機構と、
    前記音・振動情報収集機構の共鳴層において生成される共鳴搬送波を、前記音・振動情報収集機構に付設されたセンサを介して受信し、受信した前記共鳴搬送波を所定のフィルタリング周波数でフィルタリングするフィルタリング手段を有してなる演算手段と
    を備えることを特徴とする音・振動情報センシングシステム。
  16. 前記演算手段に設定される前記フィルタリング手段は、前記音・振動情報収集機構における固有振動子の固有振動数を通過帯域幅内に含む遮断周波数に設定されている請求項15記載の音・振動情報センシングシステム。
  17. 前記フィルタリング手段は、所定の通過帯域幅のバンドパスフィルタであり、前記音・振動情報収集機構による検出対象が生体であって、収集対象の音・振動情報が心臓・血管系の音・振動情報である場合、その中心周波数が20〜30Hzの範囲内に設定されている請求項16記載の音・振動情報センシングシステム。
  18. 前記演算手段は、前記フィルタリング手段によってフィルタリングされた前記共鳴搬送波の信号波形を用いて、検出対象の状態を解析する状態解析手段を備える請求項15〜17のいずれか1に記載の音・振動情報センシングシステム。
  19. 前記音・振動情報収集機構による検出対象が生体であって、収集対象の音・振動情報が心臓・血管系の音・振動情報である場合、前記状態解析手段は、前記フィルタリング手段によってフィルタリングされた前記共鳴搬送波の信号波形を検波によって整流し、自律神経機能を反映する5Hz以下の低周波の生体信号を求める手段を含む請求項18記載の音・振動情報センシングシステム。
  20. 前記状態解析手段は、前記5Hz以下の低周波の生体信号を求めた後、その生体信号の時系列波形を、0.1〜1Hzの通過帯域幅のバンドパスフィルタでフィルタリングする手段をさらに有する請求項19記載の音・振動情報センシングシステム。
  21. 前記音・振動情報収集機構の共鳴層において生成される共鳴搬送波、又は、前記フィルタリング手段によりフィルタリングされた前記共鳴搬送波を、可聴音として再生する可聴音再生部をさらに有する請求項20記載の音・振動情報センシングシステム。
  22. 前記共鳴搬送波に対し、所定の振幅の閾値を設定し、閾値以上の波形成分をカットする整形処理を行い、整形処理した波形にハイパスフィルタを施し、このハイパスフィルタにより処理した波形を用いて、前記共鳴搬送波を前記可聴音として前記可聴音再生部により再生する請求項21記載の音・振動情報センシングシステム。
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