JP2023068812A - 頭部生体信号検出装置及び生体状態推定装置 - Google Patents

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悦則 藤田
Yoshinori Fujita
由美 小倉
Yumi Ogura
竜一 内川
Ryuichi Uchikawa
大地 馬場
Daichi Baba
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Abstract

【課題】 簡易な構造で、脳血流の様子を反映する頭部生体信号を捉えることができ、脳血流の変動に基づいた睡眠段階の評価を可能とする。【解決手段】 センサ支持部材20により、頭部生体信号検出センサ10が、三次元立体編物11における一対のグランド編地間の対向間隔が無負荷時よりも狭くなるように連結糸にたわみを生じさせて頭部に支持される。それにより、体動等による頭部の動きに伴って生じる頭部生体信号検出センサの三次元立体編物を構成する糸や繊維等の微振動が確率共鳴が生じさせ、頭部生体信号を検出することができる。【選択図】 図2

Description

本発明は、頭部生体信号を検出し、さらに、検出した頭部生体信号を用いて人の状態を推定する頭部生体信号検出装置及び生体状態推定装置に関する。
本発明者らは、特許文献1~4において、人の背部の体表面に生じる振動を非拘束で捉え、その振動を解析して人の状態を推定する技術を提案している。人の背部の体表面に生じる振動は、心臓と大動脈等の生体内の振動が伝播したものであり、心房及び心室の収縮期及び拡張期の情報や、循環の補助ポンプとなる血管壁の弾力情報及び反射波の情報を含んでいる。
特許文献1では、体表面を介して伝播する振動(生体信号)から抽出した1Hz近傍の背部体表脈波の時系列波形に所定の時間幅を適用してスライド計算を行って周波数傾きの時系列波形を求め、その変化の傾向から、例えば、振幅が増幅傾向にあるか、減衰傾向にあるかなどによって生体状態の推定を行っている。また、生体信号を周波数解析し、予め定めたULF帯域(極低周波帯域)からVLF帯域(超低周波帯域)に属する機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する各周波数のパワースペクトルを求め、各パワースペクトルの時系列変化から人の状態を判定することも開示している。
特許文献2~3では、恒常性維持機能レベルを判定する手段を開示している。また、特許文献4では、生体信号の音・振動情報に対応した固有振動数を含む固有振動子を備えた共鳴層を具備する音・振動情報収集機構を開示している。
特開2011-167362号公報 特開2014-117425号公報 特開2014-223271号公報 特開2016-26516号公報
特許文献1~4に開示した体表面に生じる振動を非拘束で捉えるセンサは、三次元立体編物、三次元立体編物を取り囲むフィルム、マイクロフォン等からなり、人の体に接触させておくだけで体表面を介した生体信号を取得できる。すなわち、人の体に取り付ければ、医師等が何らの操作をしなくても生体信号データが得られる。
ところで、脳血流、脳代謝、脳脊髄液の異常は、脳機能に深刻な影響を及ぼす。脳血流が完全に止まると、酸素の供給がなくなり、脳細胞の代謝が止まり、5~10秒後に意識消失が起こる。
脳血流は、4つの主要な動脈、すなわち、2本の頸動脈と2本の椎骨動脈により供給される。これらの動脈は、頭部において前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、前・後交通動脈に連なり、脳底にウイリス動脈輪を形成する。また、前大脳動脈、中大脳動脈及び後大脳動脈は分岐して軟膜動脈となり、脳表面を走行する。従って、心臓を出発点とする動脈音は、脊柱と頭蓋の連結部に伝わり、さらに脳表面を走行する軟膜動脈から頭蓋に伝わる。よって、これらの動脈音は、頭蓋を介して捕捉できる可能性がある。
脳血流は、血圧60~140mmHgの範囲内で自動調整されるが、血圧が60mmHg以下に低下すると脳血流は急激に減少する。また、脳表の動脈は、侵害受容性C繊維、副交感神経性血管拡張神経、交感神経性血管収縮神経の支配を受けており、例えば、C繊維による血管拡張は、髄膜炎、てんかんあるいは片頭痛における頭痛期に生じる充血に関わっている。
脳循環の脳血流量は環境条件が変わっても動脈血圧がある程度以上に保たれていればあまり変化しないが、脳内の血流の配分は、脳の活動により著しく変化し、活動の高まっている皮質領域に多量の血液が送られる。
脳血流は、その自動調整機能により、脳幹部での内頸動脈と椎骨動脈との交通が生じ、脳灌流の安全性が確保されている。例えば、片方の内頸動脈が部分的に閉塞しても、他の交通動脈の血流が増加し、影響を受けた部位における脳の灌流が改善される。脳血流は、動脈圧と静脈圧の差である灌流圧とその血管抵抗で決まる。脳循環は、硬い頭蓋骨の中にあり、脳灌流は頭部圧(Intracranial pressure:ICP)の変化に多大な影響を受ける。ICPは脳実質と頭蓋骨の間で液体に満たされたスペースの圧である。例えば、頭部外傷により脳出血や脳浮腫が生じたり、あるいは脳腫瘍が増大したりすると、ICPが増加する。ICPの増大は、血管を圧迫し、脳血流を減少させる。血管の圧迫は減衰比を小さくし血管弾性が大きくなり、減衰の小さい低周波成分だけの減衰自由振動波形となる。血流の増加は、減衰比を大きくし血管弾性が小さくなり、減衰の大きい振幅の小さい高調波成分が重畳した低周波と高周波の各成分が入り混じった減衰の大きい減衰自由振動波形となる。ICPは通常頭蓋骨外の静脈圧より高く、有効な脳灌流圧は平均動脈圧からICPを引いた値となる。仮に、ICPが上昇して体血圧が低い場合には、脳灌流圧と脳血流が減少する。一方、うとうと状態で、副交感神経機能が亢進し、末梢血管が拡張すると、脳血流が増える。
また、睡眠時や覚醒度低下時においては、全身の動作や平衡を制御する役割を担う脳幹への血液供給の変動は小さいものの、運動野への血液供給は大きく減少する。
さらに、小脳は、身体のバランス制御において、身体の末梢と前庭器官からの情報を用い、典型的なフィードバック制御回路として姿勢の予測的な修正を行う機能を担っていると考えられ、急に運動の方向を変えるときのような、極めて速い動作の際に身体の平衡を保つ役割を果たしている。そして小脳は神経系による運動制御に関するダンピングシステムとなり、動作を減衰させる。よって、小脳はあらゆるレベルの筋制御に関与している。また、大脳基底核における神経伝達物質は、行動、睡眠・覚醒、自律神経系機能に関与している。
これらの機能は、眠気がある状態で損なわれる機能であり、眠気に伴う血液供給の変動要因となる。このように脳血流の変動を捉えることにより、睡眠に関連した状態を評価できる。
一方、ヒトの睡眠段階判定の国際基準は、覚醒期(Stage W)、浅眠期(Drowsiness)+軽睡眠初期(Very light sleep)=Stage 1、軽睡眠期(Light sleep ; Stage 2)、中程度睡眠期(Moderately deep sleep : Stage 3 )、深睡眠期(Deep sleep : Stage 4)、REM睡眠期(Stage REM)に分類される。これらの評価は、脳波と関連づけて評価され、脳波以外の生体信号で睡眠段階を評価することは一般的には行われていない。また、脳波計は、脳が発生する微弱な電気活動を増幅して記録したもので、頭部に電極を付設する必要があり、家庭、職場での測定は困難で、通常、医療機関等の専門の検査機関で測定される。
このように、睡眠段階の評価は脳波を用いるのが一般的であるが、脳血流の変動は、上記のように脳の状態変化に直接関連しているものの、睡眠の評価には用いられていない。睡眠は脳の神経活動との関連性が高いため血流変動としては、胸部や背部で測定されたデータよりも、頭蓋骨を介して頭部表面に伝わる振動を捉えた方が、脳の状態変化を相対的に高い精度で捉えられると考えられる。なお、脳血流の測定手段として、NO法(平均血流)、熱電対法(定性的)、microsphere法(定量的局所血流測定)、radioautography法(定量的局所血流測定)、水素ガスクリアランス法があるが、これらは、医療機関や専門の検査機関のみで実施されており、脳血流の変動を把握することは容易ではない。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、簡易な構造で、脳血流の様子を反映する頭部生体信号を捉えることができ、それにより、脳血流の変動に基づいた睡眠段階の評価を可能とし、さらに、頭部生体信号を分析することで、睡眠段階以外の身体の状態変化の推定も可能な頭部生体信号検出装置及び生体状態推定装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは、まず、上記の特許文献1~4に開示の三次元立体編物とマイクロフォン等を用いた生体信号検出装置を応用することを考えた。しかし、特許文献1~4に開示されているものは、いずれも、胴体、特に背部に当接し、心臓や大動脈の動きが比較的伝達されやすい体表面でそれらの音・振動を捕捉している。もちろんこの胴体の体表面の音・振動も微弱であり、特許文献1~4のものはそのような微弱信号の捕捉に優れていることは確かであるが、頭部の音・振動は頭蓋骨で取り囲まれているため、頭部表面に伝わる信号としては胴体の体表面よりもさらに微弱なものとなり、特許文献1~4の構造をそのまま用いただけでは頭部の生体信号を捉えることは困難であった。そこで、本発明者らは、三次元立体編物を構成する連結糸のたわみを利用することで、確率共鳴による検出感度を上げることに着目し、それにより頭部生体信号を捕捉できると考え、本発明を完成するに至った。
また、本発明者は、このようにして捕捉した頭部生体信号を解析したところ、睡眠段階の評価に用いる脳波の周波数と同じ周波数の頭部生体信号の変動傾向が、睡眠段階に応じた脳波の周波数の変動傾向と同様であることを見出した。
すなわち、本発明の生体信号検出装置は、
間隔をおいて対向する一対のグランド編地と、前記一対のグランド編地間に編み込まれ、前記一対のグランド編地間の対向間隔を保つ連結糸を有する三次元立体編物、前記三次元立体編物を被覆する収容フィルム及び前記三次元立体編物を介して伝播される音・振動を検出するマイクロフォンを有し、当接面を頭部の表面に接触させて配置され、脳血流によって生じる音・振動である頭部生体信号を検出する頭部生体信号検出センサと、
前記当接面を前記頭部の表面に接触させ、前記一対のグランド編地間の対向間隔が無負荷時よりも狭くなるように前記連結糸にたわみを生じさせて、前記頭部生体信号検出センサを前記頭部に支持させるセンサ支持部材と
を有し、
装着時の頭部の動きによって生じる前記三次元立体編物又は前記収容フィルムの微振動がノイズとして作用し、前記頭部生体信号との間で確率共鳴現象を生じさせ、前記頭部生体信号が前記マイクロフォンにより検出される構成であることを特徴とする。
前記センサ支持部材は、前記一対のグランド編地間の対向間隔が無負荷時を基準として40~95%の間隔となるように前記連結糸にたわみを生じさせて、前記頭部生体信号検出センサを前記頭部に支持させる装着状態維持構造を有していることが好ましい。
前記センサ支持部材が帽子型であり、クラウンの内周面に、前記頭部生体信号検出センサが取り付けられ、前記クラウンの下端縁に、前記装着状態維持構造として、頭部周囲に密接してその位置を保持する締め付け構造が設けられていることが好ましい。
前記締め付け構造が、頭部周囲方向に伸縮力を発揮する弾性部材及び長さ調整可能な帯状部材のうちのいずれか少なくとも一方を備えて構成されることが好ましい。
前記クラウンが、三次元立体編物から形成されていることが好ましい。
前記頭部生体信号検出センサは、
前記マイクロフォンが、前記収容フィルムの外側に取り付けられていると共に、
前記マイクロフォンをカバーする合成樹脂製のケースと、前記ケース内で前記マイクロフォンへの外乱の混入抑制機能を果たす外乱混入抑制部材と
を有し、
前記収容フィルムにおける前記マイクロフォンが取り付けられる面と反対側の面が前記当接面を構成していることが好ましい。
前記外乱混入抑制部材がゲルであることが好ましい。
また、本発明の生体状態推定装置は、前記頭部生体信号検出装置から得られる頭部生体信号を受信して分析し、人の所定の状態を、その状態が生じたタイミングと共に推定してその推定結果を出力する頭部生体信号分析部を有することを特徴とする。
前記頭部生体信号分析部は、脳の活動状態に関する指標を、その指標の生じたタイミングと共に出力する脳活動状態分析部を有することが好ましい。
前記脳活動状態分析部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる前記頭部生体信号を周波数解析し、前記頭部生体信号の主要な周波数帯を時系列に求め、その主要な周波数帯により、覚醒期、浅眠期から深睡眠期、及びREM睡眠期を含む各睡眠段階を特定する睡眠段階特定部を有することが好ましい。
前記脳活動状態分析部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる前記頭部生体信号の時系列波形中、前後の振幅と比較して、所定以上の振幅となる波形成分を特定し、その波形成分を、覚醒度の変化を示す指標と推定する覚醒度変化指標推定部を有することが好ましい。
前記頭部生体信号分析部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる前記頭部生体信号の時系列波形から、心尖拍動成分及び心音成分の少なくとも一方を含む、心臓の動きにより生じる心拍関連生体信号を抽出し分析する心拍関連生体信号分析部を有することが好ましい。
前記睡眠段階特定部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる時系列波形における振幅が大きくなるタイミングを、呼吸の周期と比較し、呼吸の周期と一致するか否かにより睡眠段階を特定する構成であることが好ましい。
本発明の頭部生体信号検出装置は、センサ支持部材により、頭部生体信号検出センサが、三次元立体編物における一対のグランド編地間の対向間隔が無負荷時よりも狭くなるように連結糸にたわみを生じさせて頭部に支持される構成である。この連結糸のたわみによる弾性力(反力)の作用により、体動等による頭部の動きに伴って生じる頭部生体信号検出センサの三次元立体編物を構成する糸や繊維並びに三次元立体編物を被覆する収容フィルムの微振動が、連結糸にたわみのない無負荷時の状態で頭部に当接させた場合と比較して生じやすくなる。その結果、確率共鳴が生じやすくなって検出感度が上がり、頭部生体信号を検出することができる。
頭部生体信号は、心臓から内頸動脈及び外頸動脈等を経由して脳に伝わる脳血流によって生じる音・振動であり、頭部生体信号を分析することにより、脳血流の様子、及びそれに伴って生じる身体の状態変化を推定することができる。特に、本発明では、頭部生体信号の時系列波形と睡眠段階との関連性を新たに見出し、それにより、頭部生体信号を捕捉することで、睡眠段階の評価が可能となった。よって、本発明の頭部生体信号検出装置を用いることにより、医療機関等で精密な検査を受ける前段階として、家庭内や職場等において、日常的に、睡眠段階の推定、あるいは、脳血流に関与する健康状態を把握することが可能となる。
図1は、本発明の頭部生体信号検出装置を被験者に装着した状態を示した図である。 図2(a)は、頭部生体信号検出装置を帽子型センサ支持部材のクラウンの下端縁側から見た図であり、図2(b)は、頭部生体信号検出センサを帽子型センサ支持部材のクラウンの頂部付近から取り外し、マイクロフォンが取り付けられた側の面をクラウンの下端縁側に向けた図であり、図2(c)は、帽子型センサ支持部材に設けた締め付け構造を説明するための図であり、図2(d)は、頭部生体信号検出センサをマイクロフォンが取り付けられた側の面から見た図である。 図3は、頭部生体信号検出センサと帽子型センサ支持部材の配設位置及びそれらの構成を説明するための断面図である。 図4は、生体状態推定装置の構成を模式的に示した図である。 図5は、被験者が仰臥位姿勢で行った睡眠実験の結果を示した図であり、(a)は心電図波形、(b)は指尖容積脈波の波形、(c)は呼吸波形、(d)は頭部生体信号の時系列波形、(e)は胸部生体信号の時系列波形、(f)は背部生体信号の時系列波形、(g)は腰部生体信号の時系列波形、(h)は臀部生体信号の時系列波形である。 図6は、被験者が仰臥位姿勢で行った睡眠実験1の結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図7は、被験者が左側臥位姿勢で行った睡眠実験1の結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図8は、被験者が右側臥位姿勢で行った睡眠実験1結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図9は、被験者が座位姿勢で行った睡眠実験1の結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図10は、被験者が仰臥位姿勢で行った睡眠実験2の結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図11は、被験者が左側臥位姿勢で行った睡眠実験2の結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図12は、被験者が右側臥位姿勢で行った睡眠実験2の結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図13は、被験者が座位姿勢で行った睡眠実験2の結果を示した図であり、(a)は、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図14(a)~(d)は、睡眠実験1の各姿勢における周波数解析結果を示した図である。 図15(a)~(d)は、睡眠実験2の各姿勢における周波数解析結果を示した図である。 図16は、被験者が仰臥位姿勢で行った睡眠実験3の結果を示した図であり、(a)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は頭部生体信号の時系列波形であり、(c)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図17は、被験者が左側臥位姿勢で行った睡眠実験3の結果を示した図であり、(a)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は頭部生体信号の時系列波形であり、(c)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図18は、被験者が右側臥位姿勢で行った睡眠実験3の結果を示した図であり、(a)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は頭部生体信号の時系列波形であり、(c)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図19は、被験者が座位姿勢で行った睡眠実験3の結果を示した図であり、(a)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~20Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図であり、(b)は頭部生体信号の時系列波形であり、(c)は、(b)に示した頭部生体信号について、0~10Hzの周波数帯での周波数解析結果を時系列に示した図である。 図20は、側臥位、右側臥位、左側臥位、座位の各姿勢で行った図16~図19に示した各睡眠実験における頭部生体信号の全測定時間のデータを対象とした周波数解析結果を示した図である。 図21(a)~(e)は、仰臥位で行った睡眠実験1のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図22(a)~(e)は、左側臥位で行った睡眠実験1のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図23(a)~(e)は、右側臥位で行った睡眠実験1のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図24(a)~(e)は、座位で行った睡眠実験1のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図25(a)~(e)は、仰臥位で行った睡眠実験2のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図26(a)~(e)は、左側臥位で行った睡眠実験2のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図27(a)~(e)は、右側臥位で行った睡眠実験2のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図28(a)~(e)は、座位で行った睡眠実験2のデータを用いた脳活動状態分析部による分析結果の一例を示した図である。 図29(a)~(d)は、心拍関連生体信号分析部の分析手法を説明するための図であり、(a)は心電図の波形を示し、(b)は(a)と同時間帯における頭部生体信号の時系列波形を示し、(c)は心拍関連生体信号分析部において(b)の頭部生体信号を用いて得られた心尖拍動波形を示した図であり、(d)は心音波形を示した図である。 図30(a)~(d)は、心拍関連生体信号分析部の分析手法を説明するための図であり、(a)は心電図の波形を示し、(b)は(a)と同時間帯における胸部生体信号の時系列波形を示し、(c)は心拍関連生体信号分析部において(b)の胸部生体信号を用いて得られた心尖拍動波形を示した図であり、(d)は心音波形を示した図である。 図31(a)~(d)は、心拍関連生体信号分析部の分析手法を説明するための図であり、(a)は心電図の波形を示し、(b)は(a)と同時間帯における臀部生体信号の時系列波形を示し、(c)は心拍関連生体信号分析部において(b)の臀部生体信号を用いて得られた心尖拍動波形を示した図であり、(d)は心音波形を示した図である。 図32(a)~(c)は、データを採取した3回分の頭部生体信号、胸部生体信号及び臀部生体信号の周波数解析結果を示した図である。 図33は、睡眠実験2における安静覚醒時の仰臥位、座位のデータを用いた心拍関連生体信号分析部による他の分析事例を説明するための図である。 図34は、睡眠実験2における安静覚醒時の左側臥位、右側臥位のデータを用いた心拍関連生体信号分析部による他の分析事例を説明するための図である。 図35は、図33に示した各データの周波数解析結果を示した図である。 図36は、図34に示した各データの周波数解析結果を示した図である。 図37は、頭部生体信号(Parietal APW)を用いた安静覚醒時における仰臥位、座位、左側臥位及び右側臥位のSTFT図である。 図38は、頭部生体信号から求めた心尖拍動波形(Parietal CAB)を用いた安静覚醒時における仰臥位、座位、左側臥位及び右側臥位のSTFT図である。 図39は、頭部生体信号(Parietal APW)を用いた安静覚醒時における仰臥位、座位、左側臥位及び右側臥位のコレログラムである。 図40は、頭部生体信号から求めた心尖拍動波形(Parietal CAB)を用いた安静覚醒時における仰臥位、座位、左側臥位及び右側臥位のコレログラムである。 図41は、頭部生体信号から求めた心音波形(Parietal CAS)を用いた安静覚醒時における仰臥位、座位、左側臥位及び右側臥位のコレログラムである。 図42は、睡眠実験4において、座位で測定した覚醒期のデータの一部を示し、心電図、呼吸、頭部生体信号、胸部生体信号、臀部生体信号の各時系列波形を示した図である。 図43は、睡眠実験4において、左側臥位で測定した第1段階のデータの一部を示し、心電図、呼吸、頭部生体信号、胸部生体信号、臀部生体信号の各時系列波形を示した図である。 図44は、睡眠実験4において、図43とは異なる測定日に右側臥位で測定した第1段階のデータの一部を示し、心電図、呼吸、頭部生体信号、胸部生体信号、臀部生体信号の各時系列波形を示した図である。 図45は、睡眠実験4において、図44と同じ測定日に右側臥位で測定した第2段階のデータの一部を示し、心電図、呼吸、頭部生体信号、胸部生体信号、臀部生体信号の各時系列波形を示した図である。 図46は、睡眠実験4において、図45とは異なる測定日に右側臥位で測定した第2段階のデータの一部を示し、心電図、呼吸、頭部生体信号、胸部生体信号、臀部生体信号の各時系列波形を示した図である。 図47は、睡眠実験4において、図46と同じ測定日に左側臥位で測定した第3段階のデータの一部を示し、心電図、呼吸、頭部生体信号、胸部生体信号、臀部生体信号の各時系列波形を示した図である。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。
(頭部生体信号検出装置)
まず、図1~図3に基づき、本実施形態で用いた頭部生体信号検出装置1の構成を説明する。本実施形態の頭部生体信号検出装置1は、頭部生体信号検出センサ10とセンサ支持部材20とを有して構成される。
頭部生体信号検出センサ10は、三次元立体編物11,収容フィルム12及びマイクロフォン13を有している。
三次元立体編物11は、互いに離間して配置された一対のグランド編地11a,11a同士を連結糸11bで結合することにより形成されている。各グランド編地11a,11aは、例えば、繊維を撚った糸から、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織(細目)に形成したり、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する編地組織に形成したりすることができる。連結糸11bは、一方のグランド編地11aと他方のグランド編地11aとが所定の間隔を保持するように、三次元立体編物11に所定の剛性を付与している。従って、面方向に張力が付与されることにより、三次元立体編物11を構成する対向するグランド編地11a,11aの糸、あるいは、対向するグランド編地11a,11a間を連結する連結糸11bを弦振動させることが可能となる。それにより、生体信号である心臓・血管系の音・振動によって弦振動が生じ、三次元立体編物11の面方向に伝播される。
三次元立体編物11のグランド編地11a,11aを形成する糸又は連結糸11bの素材としては、種々のものを用いることができるが、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維が挙げられる。上記素材は単独で用いてもよいし、これらを任意に併用することもできる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表されるポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン系繊維、あるいはこれらの繊維を2種類以上組み合わせたものである。また、グランド編地11a,11aを構成する糸又は連結糸11bの糸形状も限定されるものではなく、丸断面糸、異形断面糸、中空糸等のいずれでもよい。さらに、カーボン糸、金属糸等を使用することもできる。
使用可能な三次元立体編物11としては、例えば、以下のようなものを用いることができる。
(a) 製品番号:49013D(住江織物(株)製)、厚さ10mm
材質:
表側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
裏側のグランド編地・・・450デシテックス/108fのポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸の2本の撚り糸
連結糸・・・・・・・・・350デシテックス/1fのポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
(b)製品番号:AKE70042(旭化成(株)製)、厚さ7mm
(c)製品番号:T28019C8G(旭化成(株)製)、厚さ7mm
三次元立体編物11は、収容フィルム12により被覆されている。収容フィルム12は、本実施形態では、合成樹脂製の2枚のフィルムを三次元立体編物11の表面及び裏面を被覆するように配置し、両者の周縁部を溶着等により固着することにより形成されている。これにより、三次元立体編物11は、収容フィルム12内に密閉的に収容される。
収容フィルム12の外側には、ケース14が取り付けられ、そのケース14内にマイクロフォン13が配設されている。ケース14内であって、マイクロフォン13の周囲は、外乱混入抑制部材としてのゲル15が充填されている。ケース14は、合成樹脂製で、マイクロフォン13に伝播される音響振動の外部への拡散を防ぐ機能を有し、ゲル15により、外部振動がマイクロフォン13によって捕捉されることを抑制する。なお、マイクロフォン13には、検出した音響振動データを搬送するコード13aが接続されている。また、ノイズ対策の点からは、このようなケース14及びゲル15を設けることが好ましいが、頭部上に配置されるため少しでも軽量化することを優先し、これらを設けずに、収容フィルム12内にマイクロフォン13を装填した構成とすることも可能である。
センサ支持部材20は、頭部生体信号検出センサ10を頭部の所定の位置に支持する部材である。頭部生体信号検出センサ10は、三次元立体編物11を収容した収容フィルム12のうち、マイクロフォン13を内臓するケース14が積層された面と反対面が、頭部に当接する当接面10aとなる。よって、センサ支持部材20は、この当接面10aが頭部に当接するように頭部生体信号検出センサ10を所定の位置に支持する。
本実施形態では、センサ支持部材20として、帽子型のものを用いている。すなわち、クラウン21とつば部22を有する構成である。本実施形態では、クラウン21の前縁側のみにつば部22を有するキャップ型であるが、クラウン21の周縁部の全周につば部22が形成されたハット型等、クラウン21の内部に頭部生体信号検出センサ10を配置できるものであれば帽子の種類は限定されない。
本実施形態の帽子型のセンサ支持部材(以下、「帽子型センサ支持部材」)20のクラウン21内における頭部生体信号検出センサ10の配設位置としては、当接面10aの一部が、好ましくは中央付近が頭頂部に当接する位置に設けられる。そして、帽子型センサ支持部材20を被験者が被り、頭部生体信号を検出する際には、頭部生体信号検出センサ10を構成する収容フィルム12に収容された三次元立体編物11において、一対のグランド編地11a,11a間の対向間隔が無負荷時よりも狭くなるように連結糸11bにたわみを生じさせる。このたわみによる一対のグランド編地11a,11a間の対向間隔は、収容フィルム12内に収容された状態の三次元立体編物11の無負荷時における一対のグランド編地11a,11a間の対向間隔を基準として40~95%の間隔が好ましく、70~90%の間隔がより好ましい。
三次元立体編物11にこのようなたわみを生じさせ、頭部生体信号の測定中にその状態を維持するため、帽子型センサ支持部材20には、このたわみを生じた状態を維持できる装着状態維持構造が設けられている。本実施形態では、装着状態維持構造として、クラウン21の下端縁21aであるスベリ(ピン皮)が設けられる部位に、頭部周囲に密接してその位置を保持する締め付け構造23が設けられている。
締め付け構造23としては、クラウン21の下端縁21aに沿って配設された帯状や紐状のゴム等の弾性部材、同じく、下端縁21aに沿って配設される例えば2本の帯状部材であって、2本の帯状部材の係合位置を異ならせることで、2本の帯状部材を合わせた長さを調整可能な構造(図2(c)参照)等を採用することができる。弾性部材と帯状部材を併用したものであってもよい。
帽子型センサ支持部材20を構成するクラウン21は、一般的な帽子を形成するための布材で形成することもできるが、上記の頭部生体信号検出センサ10を構成する三次元立体編物11と同じ素材から形成されていることが好ましい。クラウン21を三次元立体編物から構成することにより、外部からの不要な音・振動の頭部生体信号検出センサ10への入力を軽減することができる。
頭部生体信号は、脳血流によって生じる音・振動であるが、脳血流は、頭蓋骨内の血管を伝わるものであり、その音・振動は微小である。そのため、頭部の表面からこの音・振動を検出することは困難であるが、本実施形態では、上記のように、頭部生体信号検出センサ10を構成する三次元立体編物11にたわみを持たせ、締め付け構造23によりそれを維持して測定する。それにより、体動等による頭部の動きに伴う三次元立体編物11を構成する糸や繊維並びに収容フィルム12に微振動が生じやすくなり、それがノイズとして作用する。その結果、このノイズが脳血流によって生じる音・振動である頭部生体信号との間で確率共鳴が生じ、頭部生体信号を検出することができる。
ここで、図5(a)~(h)は、順に、心電図、指尖容積脈波、呼吸、頭部生体信号、胸部生体信号、背部生体信号、腰部生体信号、臀部生体信号の各時系列波形を示すが、本実施形態の頭部生体信号検出装置1によれば、帽子型センサ支持部材20を有することにより、上記のように確率共鳴現象を効率的に利用することができ、図5(d)に示したように、他の部位の生体信号と同様に、頭蓋骨の外方に当接されるにも関わらず、頭部生体信号を感度よく検出することができている。なお、図1の符号1000は、頭部生体信号検出センサ10と同様の構成の生体信号検出センサを示すが、この生体信号検出センサ1000を胸部に当接して得られる信号が胸部生体信号であり、背部に当接して得られる信号が背部生体信号であり、腰部に当接して得られる信号が腰部生体信号であり、臀部下に敷いて得られる信号が臀部生体信号である。
(生体状態推定装置)
次に、生体状態推定装置100について説明する。本実施形態の生体状態推定装置100は、図4に示したように、頭部生体信号分析部110を有している。頭部生体信号分析部110は、頭部生体信号検出センサ10からの頭部生体信号を受信して分析し、人の所定の状態を、その状態が生じたタイミングと共に推定してその推定結果を出力する。
頭部生体信号分析部110は、脳活動状態分析部120及び心拍関連生体信号分析部130を有する。
脳活動状態分析部120は、睡眠段階特定部121及び覚醒度変化指標推定部122を有している。睡眠段階特定部121は、頭部生体信号検出センサ10からの頭部生体信号を周波数解析し、頭部生体信号の主要な周波数帯を時系列に求め、その主要な周波数帯により、覚醒期、浅眠期から深睡眠期、及びレム睡眠期を含む各睡眠段階を特定する。例えば、図16(b)は、頭部生体信号検出センサ10から得られる頭部生体信号の時系列波形の一例であるが、これを周波数解析した結果が、図16(a)及び図16(c)に示したグラフである。図16(a)は、図16(b)に示した頭部生体信号の時系列波形について、解析区間を128点(0.128秒)とし、解析区間の始点を12点(0.012秒)ずつスライドさせ、各解析区間の周波数解析結果を時系列に示したものである。図16(c)は、図16(b)に示した頭部生体信号の時系列波形について、解析区間を512点(0.512秒)とし、解析区間の始点を51点(0.051秒)ずつスライドさせ、各解析区間の周波数解析結果を時系列に示したものである。いずれも、X軸は時間、Y軸は周波数、Z軸は振幅(ゲイン)である。この周波数解析結果における主要な周波数帯の時間変化に基づき、睡眠段階を特定する。主要な周波数帯とは、ゲインが相対的に高い周波数帯のことであり、例えば、図16(a)の80~140秒付近では、3~20Hzが主要な周波数帯となる。
睡眠段階は、脳波を用いた国際基準に従って、覚醒期(Stage W)、浅眠期(Drowsiness)+軽睡眠初期(Very light sleep)=Stage 1、軽睡眠期(Light sleep ; Stage 2)、中程度睡眠期(Moderately deep sleep : Stage 3 )、深睡眠期(Deep sleep : Stage 4)、REM睡眠期(Stage REM)に分類したものである。
ここで、脳波は、α波:8~13Hz、β波:14~30Hz、θ波:4~7Hz、δ波:0.5~3Hzと分類される。睡眠の深さに応じて、これらの脳波の出現の仕方が変化することから眠りの深さを知ることができるが、本実施形態では、脳波計によって脳波を測定するのではなく、頭部生体信号検出センサ10からの頭部生体信号を用いて睡眠段階の推定を行う。本実施形態の頭部生体信号検出センサ10は、後述のように、頭蓋骨の内側の脳血流の情報を捉えている。頭蓋骨の内側の脳血流の状態は、心臓から内頸動脈及び外頸動脈を経て脳内の血管を流れる血液の状態であり、脳が活動する際のエネルギーとなる酸素の供給スピードが反映されており、覚醒度、眠気に関連する。よって、その音・振動の情報から眠りの深さを知ることが可能であると考えられる。
そこで、睡眠段階特定部121により、頭部生体信号検出センサ10から得られる頭部生体信号の時系列波形の主要な周波数帯の変動を求めたところ、上記のように、本発明者は、各脳波の周波数帯とほぼ同じ周波数帯の変化と被験者の状態変化とが、脳波を用いた睡眠段階の判定とほぼ同じであることを見出した。
(睡眠実験)
同じ被験者により、実験日を異ならせて、睡眠実験1~3を行った。
睡眠実験1では、実験前日の就寝前に飲酒(日本酒100cc)し、翌日午前の実験開始時において、疲労感の自覚のない状態で実験を行った。睡眠実験2,3では、実験前日に就寝前の飲酒をせずに、翌日午前の実験開始時において、疲労感の自覚のある状態で実験を行った。また、睡眠実験1~3のいずれも、仰臥位、左側臥位、右側臥位、座位と、姿勢を変化させて行った。実験は、各姿勢において頭部生体信号検出装置1から頭部生体信号を取得し、それを睡眠段階特定部121により、上記のように周波数解析し、その結果を時系列で示した。なお、睡眠実験1,2の結果である図6~図13の各図における(a)は0~20Hzの周波数帯を時系列変化を示し、(b)は0~10Hzの周波数の時系列変化を示す。
(睡眠実験1)
図6は、仰臥位での睡眠実験データであり、安静状態(疲労感のない状態)から覚醒度の低い(覚低状態)となっている。図6の頭部生体信号の周波数解析結果の時系列波形は、α波(安静)、α波断続(弛緩)、低振幅速波が見られ、他の睡眠段階よりも速い周波数の波が種々混じって出現しており、覚醒期(Stage W)を示している。
図7は、右側臥位での睡眠実験データである。覚醒度の低い時期から、第1段階(Stage 1)に移行している。
覚醒期から第1段階に移行するときの脳波的特徴は、覚醒期のα波の振幅が低下し、連続度が次第に悪くなり、とぎれとぎれにしか現れなくなり、ついには全く消失し、第1段階特有の低振幅パターンになる。これと同時に中心部、前頭部、頭頂部 (側頭部) などに振幅の小さいθ波が、単独であるいはいくつか連続して現れはじめ、20Hz前後の低振幅速波も出現し、脳波は全体としてさざ波を打っているような波形となる。第1段階は、α波が消失し、平坦波形、低振幅θ波、速波、頭蓋頂鋭波を有することで、比較的低振幅で、種々の周波数の波が混じり、特に2~7Hz(6~7Hzはθ波)の範囲の波が優勢な脳波パターンが出現する。これは、眠気を覚えてうとうとしている時期に相当する。
第1段階は比較的短く1~7分で、第1段階の後半期には頭蓋頂鋭波が出現することがあるが、高振幅の2~7Hzの波と複合して出現する。
覚醒期から第1段階へ移行するときには、α波が50%以下に減少したときをもって第1段階と判定する。
図7の頭部生体信号の周波数解析結果の時系列波形は、上記の覚醒期から第1段階に移行する時期、並びに、第1段階における脳波的特徴とほぼ同様の特徴を示している。
次に、睡眠の第1段階から第2段階(Stage 2)に遷移する際、脳波の場合、第1段階の中で、第2段階への移行時期にはさざ波を打っているような波形が現れ、その後、頭蓋頂部に振幅の大きいこぶのような頭蓋頂鋭波が出現する。頭蓋頂鋭波は、単発で出現することが多いが、2~3個連続して出現することもある。第2段階は、睡眠紡錘波と頭蓋頂鋭波に似たK複合波の出現、および高振幅徐波が存在しないことが判定基準である。K複合波は頭蓋頂部で0.5秒以上持続する。そして、14Hz前後のこぶ・錘混合期から頭蓋頂鋭波が消失して、14Hzの紡錘波だけが安定して出現するようになる。眠りが深くなると10~12Hzの紡錘波も現れる。若年者に比べて高齢者の紡錘波は振幅が小さくなる。紡錘波やK複合波に加えて背景脳波として低振幅のθ波、δ波などを含む。
図8(a),(b)の頭部生体信号の周波数解析結果の時系列波形は、左側臥位での睡眠実験データであるが、上記の第1段階から第2段階への移行期を経て、第2段階に至っった際の脳波的特徴とほぼ同様の特徴が出現しており、図8(a),(b)より、睡眠段階が推定できることがわかる。
図9は、座位での睡眠実験データであり、REM睡眠期が主となっている。REM睡眠期の脳波的特徴としては、比較的低振幅の各周波数混合の脳波とθ波帯域の鋸波が出現し、α波の出現も増えてくる。ただし、覚醒時のα波の周波数よりも1~2Hz低くなる。図9の頭部生体信号の周波数解析結果の時系列波形は、このREM睡眠における脳波の周波数の変化と同様の傾向を示しており、これにより、REM睡眠期と推定できる。
なお、第3段階(Stage 3)の脳波的特徴は、2Hz以下の振幅が1.5倍前後に大きくなった徐波が20~50%を占める。第2段階の自発性K複合波と区別される。紡錘波は10Hz前後と周波数が低下していく。
第4段階(Stage 4)の脳波的特徴は、2Hz以下のより大きな振幅を示す徐波が50%を超えて出現するようになる。これら高振幅徐波は大脳の機能低下状態を表すものと考えられている。
なお、睡眠実験1~3では、被験者の状態が第3段階、第4段階に移行することはなかったが、第3段階、第4段階の判定も、第3段階、第4段階の脳波的特徴を、頭部生体信号の周波数解析結果の時系列波形に適用して行うことができることはもちろんである。
(睡眠実験2)
図10~図13は、睡眠実験2における頭部生体信号の周波数解析結果の時系列波形を示す。
図10は、仰臥位での睡眠実験データであり、安静状態(疲労感のある状態)となっている現象を示し、覚醒期(Stage W)の特徴を示している。
図11は、左側臥位での睡眠実験データであり、上記において説明した眠気を覚えてうとうとしている時期である第1段階(Stage 1)の特徴を示している。但し、同じ第1段階の特徴を示している睡眠実験1の図7のデータと比較して、ゲイン(振幅)が小さい。これは、疲労感があったため、第1段階の中でも、相対的に眠りが深いものと推測できる。
図12は、右側臥位での睡眠実験データであり、上記において説明した第1段階から第2段階(Stage 2)の特徴を示しているが、同様に第1段階から第2段階の特徴を示す睡眠実験1の図8のデータよりもゲイン(振幅)が小さい。これも、同じ第2段階であっても、より眠りが深かい状態であったことが推測できる。
図13は、座位での睡眠実験データであり、これは、覚醒期(Stage W)の特徴を示している。図11及び図12において、第1段階、第2段階の中でも比較的眠りが深かったため、疲労が回復した安静状態となっていると言える。
図14(a)~(d)は、睡眠実験1の仰臥位、左側臥位、右側臥位、座位の頭部生体信号の時系列波形全体の周波数解析結果を示した図である。図14(a)の仰臥位では、0.5~7Hzのδ波、θ波のゲインが相対的に大きい一方で、8~12Hzのα波のゲインも相対的に大きく、安静状態での覚醒期の特徴を示している。図14(b)の左側臥位では4~7Hzのθ波が主体であり、第1段階の特徴を示しており、図14(c)の右側臥位は、0.5~3Hzのδ波が主体で、第2段階の特徴を示している。図14(d)の座位では、θ波のゲインが大きく、8Hz付近のα波も出現していることから、REM睡眠期の特徴を示している。
図15(a)~(d)は、睡眠実験2の仰臥位、左側臥位、右側臥位、座位の頭部生体信号の時系列波形全体の周波数解析結果を示した図である。図15(a)~(c)に示した仰臥位、左側臥位、右側臥位は、それぞれ、安静状態の覚醒期、第1段階、第2段階の特徴を示す周波数解析結果であった。図15(d)の座位の周波数解析結果では、0.5~7Hzのδ波、θ波のゲインが相対的に大きいと共に、10Hz近傍のα波のゲインも相対的に大きく、覚醒期の特徴を示していた。
(睡眠実験3)
図16~図19は、睡眠実験3の結果を示す。図16は、仰臥位における睡眠実験のデータであるが、被験者は、300秒以降うとうとし始めたが、それ以前は覚醒している。但し、図16(b)の上欄に「高」「低」と記載したように、覚醒度が高い状態と低い状態が出現している。測定開始から50秒付近、80~140秒付近、160~260秒付近は、図16(a)より、主要な周波数帯はα波、β波であり、図16(a),(c)の時系列波形によって覚醒度が高い状態であることがわかる。60~80秒、90~110秒、260~280秒付近は、10Hz前後のα波が主体となっており、覚醒度が低くなっていることがわかる。300秒以降の「うとうと」状態では、図16(c)に示したように、2~7Hzのθ波、δ波が混じり、眠気を催していることがわかる。
図17は、左側臥位における睡眠実験データである。図17(a),(c)より、実験開始後80秒付近まで、α波が主体であるが、その後、α波が減っている。150秒付近では、β波が出現しており、一時的に覚醒したことが読み取れる。150秒付近以降は、δ波、θ波が主体となっており、第2段階の睡眠に至っていると推定できる。
図18は、右側臥位における睡眠実験のデータであり、100秒付近、240秒付近、270秒付近、350秒付近において12~14Hzの紡錘波が出現していると共に、ほぼ同じタイミングで、2~7Hzのθ波、δ波も出現しており、100秒以降は第2段階に相当すると推定できる。
図19は、座位姿勢での睡眠実験データである。測定開始後、20秒以降はα波が主体の安静状態が続き、170秒付近、200秒付近、210秒付近において、図19(c)に示したように、2~7Hzのθ波、δ波が混じり、第1段階に至っている。260秒付近では、紡錘波が出現し、その後、第2段階に移行していると推定できる。
図20は、図16~図19の各(b)図に示した仰臥位、右側臥位、左側臥位、座位の頭部生体信号の時系列波形全体の周波数解析結果を示した図である。この図に示したように、仰臥位では、0.5~7Hzのδ波、θ波のゲインが相対的に大きい一方で、8~12Hzのα波のゲインも相対的に大きい。よって、覚醒している時間が長い一方で、うつらうつらするタイミングも所定時間あったことがわかる。右側臥位は、0.5~3Hzのδ波が主体であり、第2段階の睡眠の時間が長いことがわかる。左側臥位では4~7Hzのθ波が主体であり、左側臥位は、右側臥位よりも眠りが浅いものの、第1段階から第2段階の睡眠が主体である。座位も、4~7Hzのθ波が主体であるが、ゲインは、左側臥位よりも小さく、14Hz以上のβ波も他のゲインが他の姿勢よりも高い。よって、座位でも第1段階から第2段階の睡眠時間が相対的に長いが、覚醒する頻度も相対的に高い。
覚醒度変化指標推定部122は、頭部生体信号検出センサ10から得られる頭部生体信号の時系列波形中、前後の振幅と比較して、所定以上の振幅となる波形成分を特定し、その波形成分を、覚醒度の変化を示す指標と推定する。例えば、図16(b)の仰臥位の実験データでは、45秒付近、50秒付近、130秒付近、160秒付近、210秒付近、280~290秒付近、305秒付近、320~340秒付近等において、振幅が一時的に大きくなっている波形成分が出現している。それらの波形成分の多くは、前後の振幅と比較して1.5倍以上の振幅となっている。図16(b)の上欄に記載の「高」、「低」、「うとうと」の状態表現は、被験者の自己申告による覚醒度を示したものである。但し、この仰臥位での睡眠実験は、上記のように主として覚醒状態であったため、被験者が自己申告をなし得たものである。
この時系列波形において、48秒から50秒付近の大きな振幅が出現したタイミングでは、覚醒度が「高」から「低」に変化したタイミングとほぼ一致する。130秒付近の大きな振幅の出現したタイミングでも同様である。280~290秒付近の大振幅が断続的に出現した際は、その前後において、覚醒度が「低」から「うとうと」状態へと変化しており、その後、320~340秒付近では、「うとうと」状態が連続している。このように、図16(b)の時系列波形における波形成分の振幅の大きさにより、例えば、上記のように、前後の波形成分の振幅と比較して1.5倍以上の振幅の波形成分が出現した場合に、覚醒度の変化を示す指標と捉えることができる。
よって、本実施形態によれば、脳活動状態分析部120において、睡眠段階特定部121により睡眠段階を推定でき、覚醒度変化指標推定部122により覚醒度の変化のタイミングを特定することができる。すなわち、本実施形態では、頭部生体信号検出センサ10から得られる頭部生体信号のデータを用いることで、脳波計を用いることなく、睡眠段階を推定することでき、また、覚醒度の変化のタイミングも推定することができる。
ここで、図21~図28は、脳活動状態分析部120において、頭部生体信号の波形に短時間フーリエ変換を適用し、その解析結果である時間、周波数パワースペクトルの変動の程度を示す画像データ(STFT図)を作成する場合、及び、コレログラムを求める場合について説明する。
図21~図24は、仰臥位、左側臥位、右側臥位、座位姿勢で行った睡眠実験1のデータを用いた脳活動状態分析部120による分析結果の一例を示したものであり、図25~図28は、仰臥位、左側臥位、右側臥位、座位姿勢で行った睡眠実験2のデータを用いた脳活動状態分析部120による分析結果の一例を示したものである。図21~図28においては、それぞれにおいて特徴的な時間帯を3箇所抜き出して解析している。また、図21~図28の各(a)図は、頭部生体信号と同時に測定した心電図の波形を示し、各(b)図は、頭部生体信号の波形を示し、各(c)図は、中心周波数を10HzとしたSTFT図であり、各(d)図は、各(c)図において、中心周波数を5HzとしたSTFT図であり、各(e)図は、コレログラムである。
例えば、図21の覚醒期と図22の第1段階におけるSTFT図を比較すると、両者の画像的特徴が異なることがわかる。両者のコレログラムを比較しても、自己相関係数(ACF)の値やグラフの形状が異なることがわかる。一方、図21及び図25の睡眠実験1,2の覚醒期同士を比較した場合には、STFT図及びコレログラム共に、図形やグラフの形状に共通性が見られる。図22及び図26の第1段階同士の比較でも、少なくともSTFT図は共通性が見られる。よって、これらの画像データやグラフの形状等を類型化することで、睡眠段階の判定に用いることが可能である。上記の周波数解析結果の時系列波形による判定に、STFT図やコレログラムを用いた判定を併用し、睡眠段階の判定を行えば、判定精度がより高くなる。
心拍関連生体信号分析部130は、検出した頭部生体信号の時系列波形から心尖拍動成分及び心音成分の少なくとも一方を含む、心臓の動きにより生じる心拍関連生体信号を抽出して分析する。
本発明者は、特願2021-107109号として、人の背部や胸部から得られた生体信号を周波数解析し、心尖拍動に起因する振動と心音に起因する振動との境界周波数(Boundary Frequency:BF)を求める手段を提案している。人の背部や胸部から得られる生体信号は、種々の生体音、体内振動の集合体である一方、心尖拍動は、心音の波形に隠れた振動であり、従来それらを分離することは困難であった。しかしながら、上記出願において、本発明者が見出した心尖拍動と波形と心音の波形とを区別する境界周波数を用いることで、両者を分離可能とし、一つの生体信号データから心尖拍動と心音のそれぞれ関連する生体状態の推定を可能としている。
本実施形態の心拍関連生体信号分析部130は、頭部生体信号検出センサ10から得られる頭部生体信号の時系列波形を周波数解析し、特願2021-107109号に開示した手法により上記の境界周波数を求め、心尖拍動波形と心音波形を求める。図29(b)は頭部生体信号の時系列波形の一例を示し、図29(c)は、境界周波数を求めた後に得られた心尖拍動波形を示し、図29(d)は心音波形を示している。なお、図29(a)は、同じタイミングで測定した心電図の波形である。
一方、図30(b)は、本実施形態の頭部生体信号検出センサ10と同様の構成の検出センサ(図1の符号1000で示したセンサ)を胸部に当接して得られた胸部生体信号を示し、この胸部生体信号から境界周波数を求め、心尖拍動波形及び心音波形を求めたデータが図30(c),(d)である。図31(b)は、図30(b)と同様に、検出センサを臀部に当接して得られた臀部生体信号を示し、この臀部生体信号から境界周波数を求め、心尖拍動波形及び心音波形を求めたデータが図31(c),(d)である。なお、図30(a)及び図31(a)は、図29(a)と同じ心電図の波形である。
また、図32(a)~(c)は、頭部、胸部、臀部の各生体信号の時系列波形の周波数解析結果を示した図である。図中、「Parietal」は頭部生体信号の周波数解析結果を示し、「Front」は、胸部生体信号の周波数解析結果を示し、「Pelvis」は臀部生体信号の周波数解析結果を示している。なお、図32(a)~(c)は、異なる時間帯のデータを用いて算出したものである。
図29(c),(d)の頭部生体信号から求めた心尖拍動波形及び心音波形は、図30(c),(d)及び図31(c),(d)の胸部生体信号及び臀部生体信号から求めた各心尖拍動波形及び心音波形に近似している。また、図32(a)~(c)の3つのデータにおいては、胸部生体信号に対し、頭部生体信号及び臀部生体信号のゲインの大小が必ずしも一致していない部分がある。頭部生体信号及び臀部生体信号は、心臓から離れているため、何らかの減衰の影響があったり、頭部の場合、頭蓋振動による減衰も影響していたりする可能性がある。また、骨盤と頭蓋骨の形状や大きさの違いも影響している可能性がある。しかしながら、図32(a)~(c)の頭部生体信号、胸部生体信号及び臀部生体信号の周波数解析結果は全体としては同様の傾向を示している。
よって、頭部生体信号を検出することで、心尖拍動成分及び心音成分の少なくとも一方を含む、心臓の動きにより生じる心拍関連生体信号を抽出することができる。
図33~図41は、心拍関連生体信号分析部130による他の分析事例を説明するための図である。いずれも睡眠実験2における安静覚醒時の仰臥位、座位、左側臥位、右側臥位の各頭部生体信号の一部のデータを用いて分析したものである。図33及び図34は、心電図(ECG)、指尖容積脈波(PPG)、頭部生体信号(Parietal APW)、頭部生体信号から求めた心尖拍動波形(Parietal CAB)、頭部生体信号から求めた心音波形(Parietal CAS)の時間波形の一部を示した図であり、図35及び図36は図33及び図34の各データの周波数解析結果を示した図である。図37は、頭部生体信号(Parietal APW)のSTFT図であり、図38は、頭部生体信号から求めた心尖拍動波形(Parietal CAB)のSTFT図である。図39は、頭部生体信号(Parietal APW)のコレログラムであり、図40は、頭部生体信号から求めた心尖拍動波形(Parietal CAB)のコレログラムであり、図41は、頭部生体信号から求めた心音波形(Parietal CAS)のコレログラムである。
なお、図33~図41のうち、図33及び図34の心電図(ECG)、指尖容積脈波(PPG)以外の図は、いずれも頭部生体信号検出センサ10から得られた頭部生体信号を用いた図である。頭部生体信号は、脳血流に伴う頭蓋内の音・振動情報であることから、これらの図並びに上記の図6~図13等に示した周波数解析結果の時系列波形等、頭部生体信号に基づいて得られる解析図を総称して本明細書では「脳音図(Phono Encephalo Graphy)」と称する。以下、場合により、「脳音図」の表現を用いて説明する。
まず、図33及び図34の時間波形で示した脳音図を比較すると、心尖拍動波形では、座位のデータにおいて基線より下の陰性波が大きく出力されている。これは、座位においては重力の影響があることを示している。また、仰臥位の心尖拍動波形では、10Hz近傍の高調波成分が作用しているのに対し、左側臥位、右側臥位では、そのような高調波成分は見られない(図35及び図36の周波数解析結果を参照)。図35及び図36の周波数解析結果を比較した場合、座位及び右側臥位では1Hz近傍の振幅が高く振り子運動の発生が見られるが、仰臥位及び左側臥位では1Hz近傍の振幅が高くない。よって、これらの脳音図から、心臓の左側が重い左室肥大の傾向があると推定できる。
図40のコレログラムで示した心尖拍動波形を比較すると、座位及び右側臥位では、心臓の振り子運動が捉えられているが、仰臥位及び左側臥位と比較すると、高調波成分が載っておらず、減衰も速やかに生じている。仰臥位及び左側臥位のデータでは、あまり心臓が動いておらず、特に仰臥位ではより高調波成分が載っているように読み取れる。よって、このコレログラムによっても被験者の左室肥大の傾向を推定できる。
図41のコレログラムで示した心音波形では、座位及び右側臥位では、心音のI音、II音に各時相の形状が類似しており、I音、II音が比較的明確に捉えられ、I音を捉えた後、血流に応じた減衰が生じていることも読み取れる。これに対し、仰臥位及び左側臥位ではII音の把握が困難で、特に左側臥位では、ノイズの影響が大きく、減衰の発生が読み取れない。これも、心臓のうちの重い部分が下側となった姿勢で現れる兆候であり、左室肥大を示すものである。
一方、図39の頭部生体信号の時間波形のコレログラムは、図40の心尖拍動波形及び図41の心音波形の両方の特徴が含まれており、座位、右側臥位において、血流及び心臓の収縮に対応した動きが捉えられているのに対し、左側臥位では、変化が少ない。よって、この図39によっても左室肥大の傾向を捉えることができる。
図37及び図38のSTFT図でも姿勢により、出現する周波数帯に違いが見られる。図37及び図38共に、座位姿勢では低周波数帯が優勢である。これに対し、仰臥位では高周波数の出現が比較的多いことが読み取れる。右側臥位と左側臥位を比較した場合には、右側臥位の方が、低周波数帯がより強く出ている。よって、STFT図を用いて場合も、所定の心疾患の所見を推定できる。
よって、心拍関連生体信号分析部130は、図33及び図34の時間波形を用いた推定、図35及び図36の周波数解析(FFT)の図を用いた推定、図37及び図38のSTFT図を用いた推定、及び図39~図41のコレログラムを用いた推定について、心室肥大などの各心疾患に対応する脳音図の現れ方をデータベースとしてコンピュータに記憶させておくことで、パターンマッチングやAIを用いて特定し、心疾患の推定を行うことができる。また、心拍関連生体信号分析部130は、図33及び図34の時間波形を用いた推定、図35及び図36の周波数解析(FFT)の図を用いた推定、図37及び図38のSTFT図を用いた推定、及び図39~図41のコレログラムを用いた推定を、1種のみ用いるのではなく、複数種類の推定結果を考慮した上で最終的な推定結果を出力する構成とすることもできる。
このように、心拍関連生体信号を頭部生体信号から抽出できるということは、本実施形態の頭部生体信号検出装置1が、頭蓋骨の内側の脳血流の情報を捉えていることを示すものでもある。すなわち、上記のように、頭蓋骨の内側の脳血流の状態は、心臓から内頸動脈及び外頸動脈を経て脳内の血管を流れる血液の状態であり、脳が活動する際のエネルギーとなる酸素の供給スピードが反映されている。そのため、頭部生体信号を解析することで脳血流の情報を捉えることができ、脳血流の変動を来す睡眠段階の変化、覚醒度の変化の推定を行うことができる。
また、上記のように、頭部圧(Intracranial pressure:ICP)は脳実質と頭蓋骨の間で液体に満たされたスペースの圧であり、頭部外傷により脳出血や脳浮腫が生じたり、あるいは脳腫瘍が増大したりすると、ICPが増加し、血管を圧迫して脳血流を減少させる。血管の圧迫は減衰比を小さくし血管弾性が大きくなり、減衰の小さい低周波成分だけの減衰自由振動波形となる。血流の増加は、減衰比を大きくし血管弾性が小さくなり、減衰の大きい振幅の小さい高調波成分が重畳した低周波と高周波の各成分が入り混じった減衰の大きい減衰自由振動波形となる。よって、脳出血等の異常を来していれば、頭部生体信号も正常とは異なる兆候を示す。従って、頭部生体信号分析部110の脳活動状態分析部120には、頭部生体信号の時系列波形を分析し、波形成分の振幅変動が正常状態よりも極めて大きく変動したり、周波数分析によって正常状態とは異なる周波数帯のゲインが大きくなっていたりした場合に、脳出血等の異常を来していると推定する脳疾患推定部123(図4参照)を設けることも可能である。
(睡眠実験4)
上記各睡眠実験1~3においては、睡眠段階特定部121として、頭部生体信号の時系列波形の周波数解析を行うことにより、主要な周波数帯の変化傾向を求めて睡眠段階の特定を行う手段を採用しているが、頭部生体信号の時系列波形から睡眠段階を特定することも可能である。
図42~図47は、睡眠実験1~3の被験者と同じ被験者により行った睡眠実験4の測定結果を示すデータである。睡眠実験4では、心電図(ECG)、呼吸(Respiration)、頭部生体信号(Parietal APW)、胸部生体信号(Front APW)、臀部生体信号(Pelvis APW)を同時に測定し、図42~図47ではそれらの測定結果を掲載している。また、実験中、血圧も測定している。
図42は、座位での安静状態の覚醒期のデータを示し、図43は、左側臥位での第1段階のデータを示し、図44は、右側臥位での第1段階のデータを示し、図45及び図46はいずれも右側臥位での第2段階のデータを示し、図47は、左側臥位での第3段階のデータを示す。ここでの第1段階か第2段階かの判定は、被験者が音を認識できたか否かという自己申告(音を認識できた場合が第1段階、認識できない場合が第2段階)と、観察者から見てうとうとしている状態(第1段階)か、うとうとしている状態を過ぎてより深い眠りに入った状態(第2段階)かの外見的様子とを加味して判定した。第2段階か第3段階は、上腕血圧を測定する際に受ける腕への加圧により眠りから覚めようとする反応があるか否かによって判定した(反応がある場合が第2段階、反応がない場合が第3段階)。
これらのデータを比較すると、図42の安静状態の覚醒期では、呼吸が3~4秒間に1回と安定して推移していると共に、頭部生体信号の波形がほぼ一定の周期及び振幅で変化している。胸部生体信号及び臀部生体信号の波形も周期、振幅共に安定している。
図43の第1段階では、呼吸の周期はほぼ4秒に1回と安定している。頭部生体信号は、図42の覚醒期と比較して振幅が小さくなり、また、振幅の大きな変化が生じるタイミングが、呼吸と呼吸の間のタイミング(457.5~458.5秒付近、461.5~462.5秒付近)となっている。図44の第1段階のデータでも、頭部生体信号の振幅が大きくなるタイミングは、呼吸のタイミングからずれている。図45及び図46の第2段階のデータでも、頭部生体信号の振幅が大きくなるタイミングは呼吸のタイミングからずれている。
これに対し、図47の第3段階では、503~504秒付近、507~508秒付近、511~512秒付近の呼吸のタイミングに、頭部生体信号の振幅が大きくなっており、両者のタイミングがほぼ一致している。
以上より、呼吸のタイミングと頭部生体信号の振幅変化が大きく現れるタイミングがほぼ一致する場合には、第3段階と判定し、両者のタイミングがずれる場合には第1段階乃至第2段階と判定することが可能である。よって、睡眠段階特定部121において、頭部生体信号の振幅変化が所定以上か否かを判定するための閾値を設定すると共に、頭部生体信号の所定以上の振幅変化が生じたタイミングと呼吸のタイミングとのずれ幅の閾値を設定することで、第1段階乃至第2段階であるか第3段階であるかの判定を行うことができる。
また、胸部生体信号は、図42の安静状態の覚醒期の波形を基準にすると、図45及び図46の第2段階の波形は周期が顕著に長くなっている。この点、図43及び図44の第1段階の波形は、図42の覚醒期の波形の周期と比較してさほど長くはなっていない。よって、同時に測定した胸部生体信号のデータを活用できる場合には、覚醒期における胸部生体信号の周期に対してどの程度長くなるかの閾値を設定することで、第1段階と第2段階の区別を睡眠段階特定部121により判定することができる。
なお、臀部生体信号のデータは、覚醒期の波形に対し、第1段階、第2段階及び第3段階の波形は振幅が小さくなる傾向があり、その差を利用して覚醒期を過ぎて第1段階に入ったか否かの判定に利用できるが、第1段階、第2段階及び第3段階の各データ間では顕著な差がない。よって、睡眠段階特定部121において呼吸の周期との関係で睡眠段階を特定する場合には、頭部生体信号のデータを利用することが好ましく、それに胸部生体信号のデータを併用すれば、さらに正確な睡眠段階の特定を行うことができる。
もちろん、睡眠段階特定部121は、この頭部生体信号の時系列波形から睡眠段階を特定する手段(より好ましくは胸部生体信号の時系列波形を併用して特定する手段)と、上記睡眠実験1~3で説明した頭部生体信号の時系列波形の周波数解析を行うことにより、主要な周波数帯の変化傾向を求めて睡眠段階の特定を行う手段とを併用することが可能であり、それにより、睡眠段階の特性精度を高めることができる。
なお、上記の生体状態推定装置100は、頭部生体信号検出装置1によって取得される頭部生体信号を処理して、上記のように睡眠段階等を推定するコンピュータ(パーソナルコンピュータ、機器に組み込まれるマイクロコンピュータ等も含む)から構成される。そして、頭部生体信号分析部110を構成する脳活動状態分析部120及び心拍関連生体信号分析部130、並びに、脳活動状態分析部120を構成する睡眠段階特定部121、覚醒度変化指標推定部122及び脳疾患推定部123として機能させる手順を実行するコンピュータプログラムが、記憶部(当該コンピュータ(生体状態推定装置100)に内蔵のハードディスク等の記録媒体のほか、リムーバブルの各種記録媒体、通信手段で接続された他のコンピュータの記録媒体等も含む)に記憶されている。なお、生体状態推定装置100は、頭部生体信号分析部110を構成する脳活動状態分析部120及び心拍関連生体信号分析部130、並びに、脳活動状態分析部120を構成する睡眠段階特定部121、覚醒度変化指標推定部122及び脳疾患推定部123を実現するコンピュータプログラムが組み込まれた1以上の記憶回路を有する電子回路を用いて実現することもできる。
また、コンピュータプログラムは、記録媒体に記憶させて提供することができる。コンピュータプログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体は特に限定されないが、例えば フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD-ROM、メモリカードなどの記録媒体が挙げられる。また、通信回線を通じてコンピュータプログラムをコンピュータに伝送してインストールすることも可能である。
1 頭部生体信号検出装置
10 頭部生体信号検出センサ
11 三次元立体編物
12 収容フィルム
13 マイクロフォン
14 ケース
15 ゲル
20 センサ支持部材(帽子型センサ支持部材)
21 クラウン
23 締め付け構造
100 生体状態推定装置
110 頭部生体信号分析部
120 脳活動状態分析部
121 睡眠段階特定部
122 覚醒度変化指標推定部
123 脳疾患推定部
130 心拍関連生体信号分析部

Claims (13)

  1. 間隔をおいて対向する一対のグランド編地と、前記一対のグランド編地間に編み込まれ、前記一対のグランド編地間の対向間隔を保つ連結糸を有する三次元立体編物、前記三次元立体編物を被覆する収容フィルム及び前記三次元立体編物を介して伝播される音・振動を検出するマイクロフォンを有し、当接面を頭部の表面に接触させて配置され、脳血流によって生じる音・振動である頭部生体信号を検出する頭部生体信号検出センサと、
    前記当接面を前記頭部の表面に接触させ、前記一対のグランド編地間の対向間隔が無負荷時よりも狭くなるように前記連結糸にたわみを生じさせて、前記頭部生体信号検出センサを前記頭部に支持させるセンサ支持部材と
    を有し、
    装着時の頭部の動きによって生じる前記三次元立体編物又は前記収容フィルムの微振動がノイズとして作用し、前記頭部生体信号との間で確率共鳴現象を生じさせ、前記頭部生体信号が前記マイクロフォンにより検出される構成であることを特徴とする頭部生体信号検出装置。
  2. 前記センサ支持部材は、前記一対のグランド編地間の対向間隔が無負荷時を基準として40~95%の間隔となるように前記連結糸にたわみを生じさせて、前記頭部生体信号検出センサを前記頭部に支持させる装着状態維持構造を有している請求項1記載の頭部生体信号検出装置。
  3. 前記センサ支持部材が帽子型であり、クラウンの内周面に、前記頭部生体信号検出センサが取り付けられ、前記クラウンの下端縁に、前記装着状態維持構造として、頭部周囲に密接してその位置を保持する締め付け構造が設けられている請求項2記載の頭部生体信号検出装置。
  4. 前記締め付け構造が、頭部周囲方向に伸縮力を発揮する弾性部材及び長さ調整可能な帯状部材のうちのいずれか少なくとも一方を備えて構成される請求項3記載の頭部生体信号検出装置。
  5. 前記クラウンが、三次元立体編物から形成されている請求項3又は4記載の頭部生体信号検出装置。
  6. 前記頭部生体信号検出センサは、
    前記マイクロフォンが、前記収容フィルムの外側に取り付けられていると共に、
    前記マイクロフォンをカバーする合成樹脂製のケースと、前記ケース内で前記マイクロフォンへの外乱の混入抑制機能を果たす外乱混入抑制部材と
    を有し、
    前記収容フィルムにおける前記マイクロフォンが取り付けられる面と反対側の面が前記当接面を構成している請求項1~5のいずれか1に記載の頭部生体信号検出装置。
  7. 前記外乱混入抑制部材がゲルである請求項6記載の頭部生体信号検出装置。
  8. 請求項1~7のいずれか1に記載の頭部生体信号検出装置から得られる頭部生体信号を受信して分析し、人の所定の状態を、その状態が生じたタイミングと共に推定してその推定結果を出力する頭部生体信号分析部を有することを特徴とする生体状態推定装置。
  9. 前記頭部生体信号分析部は、脳の活動状態に関する指標を、その指標の生じたタイミングと共に出力する脳活動状態分析部を有する請求項8記載の生体状態推定装置。
  10. 前記脳活動状態分析部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる前記頭部生体信号を周波数解析し、前記頭部生体信号の主要な周波数帯を時系列に求め、その主要な周波数帯により、覚醒期、浅眠期から深睡眠期、及びREM睡眠期を含む各睡眠段階を特定する睡眠段階特定部を有する請求項9記載の生体状態推定装置。
  11. 前記脳活動状態分析部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる前記頭部生体信号の時系列波形中、前後の振幅と比較して、所定以上の振幅となる波形成分を特定し、その波形成分を、覚醒度の変化を示す指標と推定する覚醒度変化指標推定部を有する請求項9又は10記載の生体状態推定装置。
  12. 前記頭部生体信号分析部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる前記頭部生体信号の時系列波形から、心尖拍動成分及び心音成分の少なくとも一方を含む、心臓の動きにより生じる心拍関連生体信号を抽出し分析する心拍関連生体信号分析部を有する請求項8~11のいずれか1に記載の生体状態推定装置。
  13. 前記睡眠段階特定部は、前記頭部生体信号検出装置から得られる時系列波形における振幅が大きくなるタイミングを、呼吸の周期と比較し、呼吸の周期と一致するか否かにより睡眠段階を特定する請求項10記載の生体状態推定装置。
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