以下、本発明を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図1〜図4を参照して、第一実施形態に係る印刷装置1の概略構成について説明する。以下の説明では、図1及び図2の右上側、左下側、右下側、左下側、上側、下側を、それぞれ印刷装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。なお、図3及び図4は、カバー5が閉じられた状態にある筐体2の縦断面図を示しているが、カバー5の図示は省略している。
印刷装置1は、長尺状のロールシート3A(図2参照)に種々のキャラクタ(文字、数字、及び図形等)を印刷する装置である。図1に示すように、印刷装置1は、前後方向に長く、上面が弧状に丸みをおびた直方体の形状をしている。印刷装置1は、印刷装置1の本体をなす筐体2と、筐体2の上面の一部を覆うカバー5を備えている。筐体2の前面には、左右方向に移動可能なカットレバー9が設けられている。カットレバー9はカッターユニット8(図3及び図4参照)に連結されている。ユーザがカットレバー9を左右方向に移動させると、カッターユニット8が左右に移動し、印刷後のロールシート3Aが切断される。筐体2の前端部の上面には、電源スイッチを含む入力キー7が設けられている。
入力キー7の後側には、板状の透明樹脂製のトレー6が立設されている。トレー6の後側には、カバー5の前端部と筐体2とによって形成された左右方向に長い排出口21が設けられている。トレー6は、排出口21から排出される印刷後のロールシート3A(図2参照)を受ける。トレー6の後側には、カバー5が設けられている。カバー5は、印刷装置1の後端部の左右方向を支点として開閉自在である。
なお、筐体2の背面部には一方の側端部に電源コード10(図3参照)が接続されるコネクタが備えられている。また、背面部の他方の側端部にはパーソナルコンピュータ(図示略、以下「PC」という。)等と接続されるUSB(Universal Serial Bus)ケーブルが接続されるコネクタが備えられている。
図2に示すように、カバー5を開いた印刷装置1の内部の後部には、シート収納部4が設けられている。シート収納部4は、側面視で円弧状に下方に凹んでいる(図3参照)。シート収納部4には、ロールシート3Aが巻回されたロールシートホルダ3がその軸線を左右方向に向けて収納される。ロールシート3Aは、例えば、自己発色性を有する長尺状の感熱シート(いわゆる、サーマルペーパー)や、該感熱シートの片面に粘着剤を介して剥離紙が張り合わされた長尺状のラベルシート等で構成され、印刷が行われる面を内側にしてテープスプール(図示略)に巻回されている。ロールシート3Aのテープスプールは、シート収納部4の左右に立設された支持部41によって回転可能に支持されている。巻回されたロールシート3Aの外側の面の左端部には、後述する光学センサ95(図4参照)によって読み取られるセンサマーク303が、所定の間隔ごと(例えば、1mm毎)に印刷されている。カバー5が開位置(図2参照)にある場合、ロールシートホルダ3は着脱可能である。
筐体2において、シート収納部4の左前方には、レバー11が設けられている。レバー11の右側には、左右方向に長いローラホルダ25が設けられている。ローラホルダ25は、プラテンローラ26、接続ローラ27、及び搬送ローラ28(図4参照)を回転可能に保持する。ローラホルダ25は、レバー11の上下方向への回動に連動して、後端の支点を中心に上下方向に移動する。レバー11は、図示しない巻きバネによって、常に上方に付勢されている。カバー5が開位置(図2参照)から閉位置(図1参照)に移動すると、レバー11にカバー5によって下方に押圧され、レバー11が前記巻きバネの付勢力に抗して下方に回動する。レバー11が下方に回動すると、ローラホルダ25が下方に移動し、プラテンローラ26と搬送ローラ28とが、ロールシート3Aをサーマルヘッド31に向けて押圧する(図3及び図4参照)。この場合、印刷装置1は印刷可能な状態になる。
カバー5が閉位置(図1参照)から開位置(図2参照)に移動すると、レバー11は、前記巻きバネの付勢力によって上方に回動する。レバー11が上方に回動すると、ローラホルダ25が上方に移動し、プラテンローラ26と搬送ローラ28とが、サーマルヘッド31及びロールシート3Aから離間する。この場合、印刷装置1は、印刷不能な状態になる。
図3及び図4に示すように、シート収納部4の前側(図4の紙面左側)から前方斜め下方向(図4の紙面左斜め下方向)に向けて、ロールシート3Aの搬送経路22が設けられている。搬送経路22は、搬送ローラ28とサーマルヘッド31との間、及びプラテンローラ26とサーマルヘッド31との間を介して、印刷装置1の上面に設けられた排出口21まで延びている。なお、排出口21は、カバー5の前端部と筐体2によって形成されるが、図3では、カバー5の図示を省略しているため、筐体2において排出口21が形成される部位を図示している。
本実施形態では、ロールシート3Aがシート収納部4から排出口21に搬送されながら印刷が行われる。以下の説明では、ロールシート3Aに印刷が行われながら搬送される方向を「搬送方向の下流」といい、その逆方向を「搬送方向の上流」という。
図3に示すように、搬送経路22の前後方向略中央には、プラテンローラ26、搬送ローラ28、接続ローラ27、及びサーマルヘッド31が設けられている。図4に示すように、サーマルヘッド31は、前後方向(図4の紙面左右方向)に延びる板状の形状をしている。サーマルヘッド31は、前端のやや後側に、発熱する発熱部311を備えている。サーマルヘッド31は、発熱部311を発熱させることで、プラテンローラ26と発熱部311との間に挟まれたロールシート3Aに印刷を行う。以下の説明では、ロールシート3Aに印刷が行われるプラテンローラ26と発熱部311との間の位置を、印刷ポイント23という。
サーマルヘッド31の上側には、プラテンローラ26が、サーマルヘッド31の発熱部311に対向して設けられている。プラテンローラ26は、サーマルヘッド31に向かって付勢されている。また、プラテンローラ26は、左右方向を軸線として回転可能にローラホルダ25に軸支されている。プラテンローラ26は、図示しないギアを介してモータ209(図6参照)と接続されており、モータ209の駆動に伴って回転する。プラテンローラ26は、プラテンローラ26とサーマルヘッド31との間でロールシート3Aを挟んで回転することで、ロールシート3Aを搬送方向の下流側又は上流側に搬送する。
プラテンローラ26の後側には接続ローラ27が設けられている。接続ローラ27の径は、プラテンローラ26及び搬送ローラ28より小さい。接続ローラ27は、左右方向を軸線として回転可能にローラホルダ25に軸支されている。接続ローラ27は、プラテンローラ26と搬送ローラ28とに接触しており、プラテンローラ26からの動力を搬送ローラ28に伝達する。言い換えると、接続ローラ27は、プラテンローラ26と搬送ローラ28とを接続する役割をしている。接続ローラ27は、プラテンローラ26との接触面を介して伝達されるプラテンローラ26の回転力によって回転する。このとき、接続ローラ27は、プラテンローラ26の回転に対して逆回転する。
プラテンローラ26の後側、すなわち、プラテンローラ26に対して搬送方向の上流側には、搬送ローラ28が設けられている。搬送ローラ28は、発熱部311より後側(すなわち、搬送方向の上流側)に延びるサーマルヘッド31の部位に対向して設けられている。搬送ローラ28の径は、プラテンローラ26の径より小さく、接続ローラ27の径より大きい。搬送ローラ28は、左右方向を軸線として回転可能にローラホルダ25に軸支されており、接続ローラ27と接触している。搬送ローラ28は、接続ローラ27との接触面を介して伝達される接続ローラ27の回転力によって回転する。このとき、搬送ローラ28は、接続ローラ27の回転に対して逆回転する。このため、搬送ローラ28は、プラテンローラ26と同一の方向に回転する。搬送ローラ28は、プラテンローラ26が接触するロールシート3Aの面と同じ側の面(図4の紙面上側の面)に接触し、サーマルヘッド31との間でロールシート3Aを挟む。そして、搬送ローラ28は、プラテンローラ26の回転する方向と同一の方向に回転することで、ロールシート3Aを搬送方向の下流側又は上流側に搬送する。
搬送ローラ28とロールシート3Aとの間の摩擦力は、サーマルヘッド31とロールシート3Aとの間の摩擦力より大きくなっており、一例として、以下のような材料で形成されている。搬送ローラ28の外周面は、例えば、弾性力を有する合成樹脂(ゴム等)で形成されている。また、サーマルヘッド31は、例えば、弾性力を有しない部材(金属、プラスチック、及びセラミック等)で形成されている。この場合、サーマルヘッド31は、搬送ローラ28の外周面より、いわゆる摩擦係数が小さい。このため、ロールシート3Aは、サーマルヘッド31上を滑り易い。よって、ロールシート3Aを搬送する場合に、サーマルヘッド31とロールシート3Aとの間の摩擦力の影響を受けにくくすることができ、搬送ローラ28が主体となってロールシート3Aを搬送することができる。よって、サーマルヘッド31とロールシート3Aとの間の摩擦力の影響を受けてロールシート3Aの搬送を正常に行えないことを防止することができる。なお、同様に、プラテンローラ26とロールシート3Aとの間の摩擦力は、発熱部311を含むサーマルヘッド31とロールシート3Aとの間の摩擦力より大きくなっている。また、上記の弾性力の有無は、摩擦力の違いを説明するための一例であり、例えば、搬送ローラ28とサーマルヘッド31とを摩擦力が異なる弾性力を有しない部材で構成してもよい。
図4に示すように、ロールシート3Aを搬送方向の下流側に搬送する場合、プラテンローラ26は矢印26Aの方向に回転し、接続ローラ27は矢印27A(プラテンローラ26の逆回転)の方向に回転し、搬送ローラ28は矢印28A(プラテンローラ26と同じ方向)に回転する。同様に、ロールシート3Aを搬送方向の上流側に搬送する場合、プラテンローラ26は矢印26Bの方向に回転し、接続ローラ27は矢印27Bの方向に回転し、搬送ローラ28は矢印28Bの方向に回転する。
接続ローラ27及び搬送ローラ28の後斜め上方、且つ搬送経路22を搬送されるロールシート3Aの上方には、光学センサ95が設けられている。本実施形態では、光学センサ95は、反射型のセンサであるとする。光学センサ95は、光学センサ95の発光部からの光をロールシート3Aの面に当てて、その反射光をフォトトランジスタ等を用いた光学センサ95の受光部により受光する。これによって、光学センサ95に接続されたCPU201(図6参照)は、ロールシート3Aに印刷されたセンサマーク303(図2参照)と、個々のセンサマーク303の間の非印刷部とを読み取ることができる。なお、搬送経路22を搬送されるロールシート3Aの下側には、光学センサ95に対向して反射板97が設けられている。ロールシート3Aが搬送経路22に配置されていない場合、光学センサ95が発した光が、反射板97に反射され、光学センサ95の受光部で受信される。これによって、CPU201は、搬送経路22にロールシート3Aが配置されていないことを検出できる。
印刷ポイント23と排出口21(図3参照)との間には、カッターユニット8が設けられている。カッターユニット8は、ロールシート3Aの搬送経路22の下側に配置されており、搬送経路22に向けて上方に尖った刃先81を備えている。また、搬送経路22の上側には、搬送経路22の幅方向に延びるように固定された金属板82が刃先81に対向して設けられている。ユーザがカットレバー9を左右方向に移動させると、カッターユニット8が左右方向に移動し、刃先81と金属板82との間でロールシート3Aが挟まれて切断される。以下の説明では、ロールシート3Aが切断される位置を切断ポイント24という。
図5を参照して、本実施形態で得られる印刷済みのロールシート3Aの一例について説明する。図5において、紙面左側の端部をロールシート3Aの先端301とし、紙面右側の端部をロールシート3Aの後端302とする。図5に示す印刷済みのロールシート3Aには、文字「DEFG」が印刷されている。印刷装置1にて印刷が実行される際には、先端301側の文字「D」から後端302側の文字「G」に向けて順に印刷される。ロールシート3Aの先端301には、余白が形成されておらず、文字「D」が先端301に接するように印刷されている。同様に、後端302にも、余白が形成されておらず、文字「G」が後端302に接するように印刷されている。
図6を参照して、印刷装置1の電気的構成について説明する。図6に示すように、印刷装置1は、印刷装置1の制御を行うCPU201を備えている。CPU201には、ROM202、フラッシュメモリ203、RAM204、CGROM205、入力キー7、駆動回路206,207,208、及び通信インターフェイス(以下、通信I/F)210が接続されている。
ROM202には、印刷装置1のCPU201が実行する各種プログラム(例えば、図7のメイン処理のプログラム等)が記憶されている。フラッシュメモリ203には、種々のデータが記憶される。RAM204には、種々の一時データが記憶される。CGROM205には、種々のキャラクタをロールシート3Aに印刷するための印刷用のドットパターンデータが記憶されている。
前述したように、入力キー7は、印刷装置1の上面に設けられている(図1参照)。ユーザは、入力キー7を操作して、CPU201に指示を入力することができる。駆動回路206は、サーマルヘッド31の発熱部311を駆動するための電子回路である。CPU201は、駆動回路206を介して、発熱部311の発熱を制御し、ロールシート3Aに印刷を行うことができる。駆動回路207は、モータ209を駆動するための電子回路である。モータ209は直流モータである。モータ209は、プラテンローラ26を回転させることができる。プラテンローラ26が回転すると、接続ローラ27と搬送ローラ28とが回転する。CPU201は、駆動回路207を介してモータ209を制御して、シート収納部4に収納されたロールシートホルダ3から延びるロールシート3Aを搬送することができる。駆動回路208は、光学センサ95を駆動するための電子回路である。CPU201は、駆動回路208を介して、光学センサ95を制御し、センサマーク303(図2参照)と非印刷部とを検出することができる。通信I/F210は、前記USBケーブルを介して外部の図示しないPCと通信を行うためのインターフェイスである。ユーザは、PCを使用して、印刷装置1に印刷を実行させることができる。
図7を参照して、印刷装置1のCPU201によって実行されるメイン処理について説明する。メイン処理が行われることによって、例えば、図5に示す前後に余白のない、印字済みのロールシート3Aを得ることができる。以下の説明において、各処理のステップを「S」と略記する。ロールシート3Aの位置は、図4に示すように、ロールシート3Aがプラテンローラ26と発熱部311との間に挟まれ、且つロールシート3Aが搬送ローラ28とサーマルヘッド31とに挟まれる位置(以下、第一位置という。)にあるとする。図4では、ロールシート3Aは、カッターユニット8の刃先81によって一度切断されている。このため、ロールシート3Aの先端301は、切断ポイント24に位置している。
図7に示すように、メイン処理では、まず、印刷を実行するためのデータである印刷データが取得されたか否かが判断される(S1)。例えば、ユーザは、図示しないPCのエディタを使用して、図5に示すロールシート3Aを印刷するためのデータを入力したとする。そして、ユーザが、印刷の指示をPCに入力すると、印刷データがPCから印刷装置1に送信され、印刷装置1のCPU201によって取得される(S1)。印刷データが取得されていない場合(S1:NO)、処理はS1に戻る。
印刷データが取得された場合(S1:YES)、CPU201は、モータ209を制御して、プラテンローラ26と搬送ローラ28とを回転させてロールシート3Aを搬送方向の上流側に搬送し、ロールシート3Aの位置を第一位置(図4参照)から第二位置(図8参照)に変化させる(S2)。図8に示すように、第二位置は、ロールシート3Aがプラテンローラ26と発熱部311との間に挟まれず、且つロールシート3Aが搬送ローラ28とサーマルヘッド31とに挟まれる位置である。このため、ロールシート3Aの先端301は、サーマルヘッド31の発熱部311とプラテンローラ26との間でロールシート3Aを挟んで印刷を行う印刷ポイント23より上流側に位置する。さらに、ロールシート3Aは、印刷ポイント23の上流側で、搬送ローラ28とサーマルヘッド31とに挟まれて保持される。
なお、S2でロールシート3Aが第二位置に搬送される際には、CPU201は、光学センサ95を使用してセンサマーク303及び非印刷部を検出し、ロールシート3Aを搬送した長さである搬送量を算出する。そして、CPU201は、算出した搬送量が、予めROM202に記憶されている所定の搬送量に達した場合に、搬送を停止する。所定の搬送量は、例えば、切断ポイント24から印刷ポイント23までの距離より大きく、切断ポイント24から搬送ローラ28とサーマルヘッド31とでロールシート3Aを挟むポイントまでの距離より小さい範囲で設定されている。後述するS4で印刷される場合や、S5で搬送が停止される場合もS2と同様に、算出された搬送量に基づいて、印刷が開始されたり(S4)、搬送方向の下流側への搬送が停止されたりする(S5)。
S2が実行された後、CPU201は、モータ209を制御して、プラテンローラ26と搬送ローラ28とを回転させて、第二位置にあるロールシート3Aの搬送方向の下流側への搬送を開始する(S3)。ロールシート3Aの搬送は、後述するS5で搬送が停止されるまで実行される。ロールシート3Aが搬送方向の下流側へ搬送される場合には、まず、搬送ローラ28によってロールシート3Aが下流側に搬送され、ロールシート3Aの先端301がプラテンローラ26と発熱部311の間(つまり、印刷ポイント23)に導かれる。そして、ロールシート3Aは、プラテンローラ26と搬送ローラ28とによってさらに下流側に搬送される。
S3でロールシート3Aの搬送が開始された後、CPU201は、ロールシート3Aを搬送方向の下流側に搬送しながら、サーマルヘッド31の発熱部311を発熱させて印刷を行う(S4)。これによって、例えば、図5に示す文字「DEFG」が印刷される。このとき、ロールシート3Aの先端301には文字「D」が印刷され、余白は形成されない。
次いで、ロールシート3Aの搬送が停止され(S5)、メイン処理が終了される。S5では、図5の文字「DEFG」のうち、最後の文字「G」に後端が、切断ポイント24に位置するところで、ロールシート3Aの搬送が停止される。そして、ユーザがカットレバー9を操作することで、カッターユニット8が、文字「G」の後端でロールシート3Aを切断する。これによって、図5に示すように、ユーザは、先端301及び後端302に余白のないロールシート3Aを得ることができる。
以上のように、本実施形態の印刷装置1が構成され、メイン処理が実行される。本実施形態では、ロールシート3Aを印刷ポイント23より上流側に搬送した場合でも(図8参照)、ロールシート3Aを正常に下流側に搬送することができる。また、ロールシート3Aを正常に下流側に搬送できるので、ロールシート3Aの先端301をプラテンローラ26と発熱部311との間(つまり、印刷ポイント23)に導くことができる。よって、ロールシート3Aの先端301に印刷を行うことができる。このため、余白無し印刷を実行することができる。
また、接続ローラ27は、プラテンローラ26との接触面を介して伝達されるプラテンローラ26の回転力によって回転し、搬送ローラ28は、接続ローラ27との接触面を介して伝達される接続ローラ27の回転力によって回転する。この場合、プラテンローラ26と搬送ローラ28との回転方向は同一となり、さらに、プラテンローラ26がロールシート3Aを搬送する速度と、搬送ローラ28がロールシート3Aを搬送する速度とが確実に同じ速度になる。このため、ロールシート3Aを正常に搬送することができる。
また、発熱部311から上流側に延びるサーマルヘッド31と搬送ローラ28との間でロールシート3Aを挟んで搬送することができる。このため、第二位置(図8参照)にあるロールシート3Aを搬送方向の下流側に搬送する場合、ロールシート3Aは、サーマルヘッド31に沿って搬送される。よって、ロールシート3Aの先端301をサーマルヘッド31に沿わせて搬送し、確実にプラテンローラ26と発熱部311との間(印刷ポイント23)に導くことができる。
なお、余白無し印刷について説明したが、本実施形態は、余白の長さを任意に設定した印刷を実行することも可能である。特に、本実施形態は、印刷ポイント23より上流側にロールシート3Aを搬送した後に印刷を実行することができるので、従来の場合に比べて短い余白(例えば、1mmの余白)を形成することも可能である。
本実施形態において、ロールシート3Aが本発明の「印刷媒体」に相当し、サーマルヘッド31が本発明の「印刷ヘッド」に相当する。プラテンローラ26が本発明の「第一ローラ」に相当し、搬送ローラ28が本発明の「第二ローラ」に相当する。接続ローラ27が本発明の「第三ローラ」に相当し、搬送ローラ28に対向するサーマルヘッド31の部位が本発明の「第一物体」に相当する。モータ209が本発明の「駆動手段」に相当する。図7のS2の処理を行うCPU201が本発明の「第一搬送制御手段」に相当し、図7のS3〜S5の間にロールシート3Aを搬送方向の下流側に搬送する処理を行うCPU201が本発明の「第二搬送制御手段」に相当する。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、光学センサ95を用いて、センサマーク303を検出することで、搬送量を算出し、ロールシート3Aを搬送していたが、これに限定されない。例えば、光学センサ95を設けず、搬送量に応じて予め設定されたパルスをモータ209に供給することで、モータ209を駆動させ、ロールシート3Aを搬送してもよい。
また、ロールシート3Aは感熱シートであったが、これに限定されない。例えば、ロールシート3Aは、感熱シートでなくてもよい。この場合、例えば、インクリボンを収納可能に印刷装置1を構成し、印刷ポイント23において、ロールシート3Aとインクリボンとを挟み、発熱部311でインクリボンを加熱して、ロールシート3Aに対してキャラクタを印刷してもよい。
また、印刷データが取得された後(S1:YES)、S2でロールシート3Aが第一位置から第二位置に搬送されていたが、これに限定されない。例えば、印刷が実行され(S4)、ロールシート3Aの搬送が停止され(S5)、ユーザの操作によって、ロールシート3Aが切断された後に、S2の処理を実行してもよい。つまり、印刷が終了された後に、ロールシート3Aを搬送方向の上流側に搬送し、第二位置に配置してもよい。この場合、次回の印刷の際に、印刷データが取得されると(S1:YES)、ロールシート3Aは既に第二位置にあるので、すぐに下流側に搬送され(S3)、印刷が行われ(S4)、搬送が停止される(S5)。このため、印刷データが取得されてからロールシート3Aを第一位置から第二位置に搬送する場合に比べて、印刷データが取得されてから印刷が終了されるまでの時間を短縮することができる。よって、ユーザの利便性が向上する。
また、ユーザが手動でカットレバー9を操作し、カッターユニット8でロールシート3Aを切断していたが、これに限定されない。例えば、CPU201の処理によってカッターユニット8が動作するように印刷装置1を構成し、印刷が実行され(S4)、搬送が停止された後に(S5)、CPU201がカッターユニット8を動作させ、ロールシート3Aを切断してもよい。この場合、ロールシート3Aの切断を自動的に行えるので、ユーザの利便性が向上する。また、ロールシート3Aの切断が自動で行われた後に、CPU201が、切断後のロールシート3Aを第一位置から第二位置に自動的に搬送してもよい。
また、搬送ローラ28とサーマルヘッド31との間でロールシート3Aを挟んでいたが、これに限定されない。例えば、搬送ローラ28と、サーマルヘッド31以外の物体との間でロールシート3Aを挟み、搬送してもよい。以下、この変形の一例について説明する。
図9に示す第二実施形態について説明する。第二実施形態では、第一実施形態の場合と比較して、サーマルヘッド31の後方向(図8及び図9の紙面右方向)の長さが短い。そして、サーマルヘッド31の搬送方向上流側に、対向ローラ29が設けられている。対向ローラ29は、筐体2によって左右方向に軸支され、回転可能に構成されている。搬送ローラ28と対向ローラ29とは互いに対向し、搬送ローラ28と対向ローラ29との間でロールシート3Aを挟み、ロールシート3Aを搬送方向の上流側又は下流側に搬送する。このとき、対向ローラ29は、搬送ローラ28の回転によって搬送されるロールシート3Aの移動に伴って回転する。
例えば、ロールシート3Aを搬送方向の上流側に搬送する場合、プラテンローラ26は矢印26Bの方向に回転し、搬送ローラ28は矢印28Bの方向に回転する。この場合、ロールシート3Aは、搬送方向の上流側(図9の紙面右方向)に移動する。対向ローラ29は、搬送方向の上流側に移動するロールシート3Aとの接触面を介して伝達される力によって矢印29Bの方向に回転する。同様に、ロールシート3Aを搬送方向の下流側に搬送する場合、対向ローラ29は、矢印29Aの方向に回転する。第二実施形態では、対向ローラ29が回転可能であるので、ロールシート3Aをスムーズに搬送できる。
次に、図10に示す第三実施形態について説明する。第三実施形態は、第二実施形態をさらに変形した実施形態である。第三実施形態では、搬送ローラ28は、その左側(図10の紙面奥行き側)の端部に、ギア281を備えている。また、対向ローラ29は、その左側の端部にギア291を備えている。ギア281とギア291とは、搬送経路22を搬送されるロールシート3Aより左側で、互いに噛合している。
モータ209によって、プラテンローラ26が回転すると、接続ローラ27を介して搬送ローラ28が回転し、ギア281が回転する。対向ローラ29は、ギア281とギア291とを介して伝達される搬送ローラ28の回転力によって回転する。そして、対向ローラ29は、搬送ローラ28と協働し、ロールシート3Aを搬送方向の上流側又は下流側に搬送する。例えば、ロールシート3Aを搬送方向の上流側に搬送する場合、搬送ローラ28の矢印28Bへの回転によって、対向ローラ29が矢印29Bの方向に回転する。つまり、対向ローラ29は、搬送ローラ28の逆回転をする。同様に、ロールシート3Aを搬送方向の下流側に搬送する場合、対向ローラ29は矢印29Aの方向に回転する。第三実施形態では、対向ローラ29も積極的に回転するので、よりスムーズにロールシート3Aが搬送される。
以上、第二実施形態及び第三実施形態の場合でも、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第二実施形態及び第三実施形態において、搬送ローラ28とロールシート3Aとの間の摩擦力を、対向ローラ29とロールシート3Aとの間の摩擦力より大きくなるように構成してもよい。この場合、対向ローラ29とロールシート3Aとの間の摩擦力の影響を受けにくくすることができ、摩擦力の大きい搬送ローラ28が主体となって、ロールシート3Aを搬送することができる。このため、仮に、対向ローラ29の回転速度が搬送ローラ28より遅い場合でも、搬送ローラ28が主体となってロールシート3Aを正常に搬送することができる。