JP5724119B2 - テトラヒドロピラン−4−オン及びピラン−4−オンの製法 - Google Patents
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Description
(b)含水金属触媒を脱水処理させた無水金属触媒の存在下、疎水性有機溶媒中で反応させることを特徴とする、式(1):
で示されるテトラヒドロピラン-4-オンの製法を提供するものである。
式中、R1は、アルキル基を表す、なお、二つのR1は互いに結合して環を形成していてもよい、
で示される1,1-ジアルコキシブタン-3-オンと式(5):
式中、R2は、アルキル基を表す、
で示されるギ酸エステルとを、有機溶媒中で反応させて、式(3):
式中、R1は、前記と同義である、
で示される5,5-ジアルコキシ-3-オキソペンタナールの塩又はその等価体の塩を得、更に、これに酸を反応させて、式(2’):
で示されるピラン-4-オンを主成分とする粗生成物を製造する環化反応工程、
(a)非プロトン性溶媒とアルコール溶媒の混合溶媒中、又は
(b)含水金属触媒を脱水処理させた無水金属触媒の存在下、疎水性溶媒中で反応させて式(1):
で示されるテトラヒドロピラン-4-オンを製造する還元反応工程、
の二つの工程を含んでなることを特徴とする、テトラヒドロピラン-4-オンの製造方法に関する。
式中、R1は、前記と同義である、
で示される5,5-ジアルコキシ-3-オキソペンタナールの塩又はその等価体の塩に、酸を反応させることを特徴とする、式(2’):
で示されるピラン-4-オンの製法に関する。
式中、R1は、前記と同義である、
で示される1,1-ジアルコキシブタン-3-オンと式(5):
式中、R2は、前記と同義である、
で示されるギ酸エステルとを、有機溶媒中で反応させることを特徴とする、式(3):
式中、R1は、前記と同義である、
で示される5,5-ジアルコキシ-3-オキソペンタナールの塩又はその等価体の塩の製法に関する。
式中、R1は、前記と同義である、
で示される1,1,5,5-テトラアルコキシペンタン-3-オンを環化反応させることを特徴とする、式(2’):
で示されるピラン-4-オンの製法に関する。
で示されるピラン-4-オンを、水素と、金属触媒の存在下、非プロトン性溶媒とアルコール溶媒の混合溶媒中、反応させることを特徴とする式(2”):
で示されるジヒドロピラン-4-オンの製法に関する。
(a)金属触媒の存在下、非プロトン性溶媒とアルコール溶媒の混合溶媒中、又は
(b)含水金属触媒を脱水処理させた無水金属触媒の存在下、疎水性有機溶媒中で反応させることにより、式(1):
で示されるテトラヒドロピラン-4-オンを製造する方法である。
式中、R1は、前記と同義である、
で示される5,5-ジアルコキシ-3-オキソペンタナール又はその等価体、或いはそれらの塩に酸を反応させて環化反応を行うことを特徴とする第3の発明により得ることができる。
式中、R1は、前記と同義である、
で示される1,1-ジアルコキシブタン-3-オン又はその等価体と式(5):
式中、R2は、アルキル基を表す、
で示されるギ酸エステルとを、有機溶媒中で反応させることを特徴とする第4の発明により得ることができる。
式中、R1は、前記と同義である、
で示される1,1,5,5-テトラアルコキシペンタン-3-オン又はその等価体を環化反応させることを特徴とする第5の発明によっても得ることができる。
本発明の環化反応工程は、塩基の存在下、式(4)で示される1,1-ジアルコキシブタン-3-オン又はその等価体と式(5)で示されるギ酸エステルとを、有機溶媒中で反応させて、式(3)で示される5,5-ジアルコキシ-3-オキソペンタナールの塩又はその等価体の塩を得、更に、これに酸を反応させて、式(2’)で示されるピラン-4-オンを主成分とする粗生成物を製造する工程である。環化反応は前記と同様に行われる。
本発明の還元反応工程は、金属触媒の存在下、式(2’)で示されるピラン-4-オンを主成分とする粗生成物と水素とを、
(a)非プロトン性溶媒とアルコール溶媒の混合溶媒中、又は
(b)含水金属触媒を脱水処理させた無水金属触媒の存在下、疎水性溶媒中で反応させて、式(1)で示されるテトラヒドロピラン-4-オンを製造する工程である。還元反応は前記と同様に行われる。
攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積500mlのガラス製フラスコに、ナトリウムメトキシド37g(0.68mol)及びトルエン200mlを加え、液温を15℃以下に保ちながら、1-メトキシ-1-ブテン-3-オン50g(0.50mol)とギ酸メチル60g(1.0mol)の混合液をゆるやかに滴下した。滴下終了後、攪拌しながら、15℃以下にて1時間、室温にて3時間反応させた。その後、反応溶液を減圧下で濃縮し、濃縮液にメタノール50mlを加え、液温を15℃以下に保ちながら、98%硫酸60g(0.6mol)をゆるやかに滴下して、攪拌しながら、室温にて5時間反応させた。反応終了後、50%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後に析出した固体を濾過し、得られた濾液を濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して、橙色液体として、1,1,5,5-テトラメトキシペンタン-3-オン18.5gを得た(単離収率:18%)。
1,1,5,5-テトラメトキシペンタン-3-オンの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.76(4H,d,J=5.6Hz)、3.36(12H,s)、4.79(2H,t,J=5.6Hz)
攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積10mlのガラス製フラスコに、参考例1と同様な方法で合成した1,1,5,5-テトラメトキシペンタン-3-オン1.0g(4.8mmol)を加え、氷浴中、12mol/l塩酸1.2ml(14.1mmol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温にて4時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、ピラン-4-オンが0.45g生成していた(反応収率:97%)。
攪拌装置及び滴下漏斗を備えた内容積10mlのガラス製フラスコに、参考例1と同様な方法で合成した1,1,5,5-テトラメトキシペンタン-3-オン1.0g(4.8mmol)を加え、氷浴中、98%ギ酸5ml(130mmol)をゆるやかに滴下した。滴下終了後、室温にて19時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、ピラン-4-オンが0.45g生成していた(反応収率:97%)。
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積1000mlのガラス製フラスコに、ナトリウムメトキシド81.7g(1.51mol)及びアセトニトリル400mlを加え、氷浴中、液温を12℃以下に保ちながら、1,1-ジメトキシブタン-3-オン100g(0.76mol)とギ酸メチル68.2g(1.14mol)の混合液をゆるやかに滴下した。滴下終了後、17〜22℃にて4時間反応させ、5,5-ジメトキシ-3-オキソペンタナール(その等価体を含む)のナトリウム塩を含む反応液を得た。
攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた内容積1000mlのガラス製フラスコに、ナトリウムメトキシド81.7g(1.51mol)及びアセトニトリル400mlを加え、氷浴中、液温を12℃以下に保ちながら、1,1-ジメトキシブタン-3-オン100g(0.76mol)とギ酸メチル68.2g(1.14mol)の混合液をゆるやかに滴下した。滴下終了後、17〜22℃にて4時間反応させ、5,5-ジメトキシ-3-オキソペンタナール(その等価体を含む)のナトリウム塩を含む反応液を得た。この反応液の一部を濾過し、得られた固体を減圧下で乾燥させ、薄黄色固体として、5,5-ジメトキシ-3-オキソペンタナール(その等価体を含む)のナトリウム塩を得た。
5,5-ジメトキシ-3-オキソペンタナール(その等価体を含む)のナトリウム塩は、以下の物性値で示される新規な化合物である。
1H-NMR(DMSO-d6,δ(ppm));2.61(1H,brs)、2.86(1H,brs)、3.41(6H,s)、4.81(1H,t,J=5.7Hz)、5.27(1H,d,J=10.5Hz)、9.00(1H,d,J=10.5Hz)0
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び水素を充填した風船を備えた内容積20mlのガラス製フラスコに、ピラン-4-オン577mg(6.0mol)、5質量%パラジウム/炭素120mg(50%wet品;パラジウム原子として0.03mmol)、トルエン5ml及びエタノール1mlを加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で3時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、テトラヒドロピラン-4-オン513mgが生成していた(反応収率:85.4%)。
実施例3で得られた濾液を減圧下で濃縮し、濃縮物にトルエン300mlを加えて共沸脱水させた(この操作を4回繰り返した)。この溶液に、酢酸エチル500ml及び飽和塩化ナトリウム水溶液500mlを加えて攪拌させた。攪拌終了後、有機層と水層を分液した後、水層を酢酸エチル500mlで2回抽出し、抽出液と有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮した後、更にトルエン300mlを加えて不溶物を濾過した。再び濾液を濃縮し、茶色液体として、ピラン-4-オンを主成分とする粗生成物36.1gを得た。
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び水素を充填した風船を備えた内容積20mlのガラス製フラスコに、ピラン-4-オン3.0g(31.2mmol)、5質量%パラジウム/炭素0.6g(50%含水品;パラジウム原子として0.14mmol)、トルエン30ml及びエタノール3mlを加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で1時間反応させた。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して、無色液体として、ジヒドロピラン-4-オン1.0gを得た(単離収率;33%)。
ジヒドロピラン-4-オンの物性値は以下の通りであった。
1H-NMR(CDCl3,δ(ppm));2.57〜2.63(2H,m)、4.50(2H,dd,J=7.6Hz,6.8Hz)、5.41(1H,d,J=6.1Hz)、7.35(1H,d,J=6.1Hz)
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び水素を充填した風船を備えた内容積20mlのガラス製フラスコに、参考例1で合成したジヒドロピラン-4-オン500mg(5.1mmol)、5質量%パラジウム/炭素100mg(50%含水品;パラジウム原子として0.02mmol)、トルエン5ml及びエタノール0.5mlを加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で3時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、テトラヒドロピラン-4-オン361mgが生成していた(反応収率:71%)。
攪拌装置、温度計、還流冷却器及びDean-Stark装置を備えた内容積50mlのガラス製容器に、5質量%パラジウム/炭素(50%含水品)0.2g及びトルエン30mlを加え、常圧下、攪拌しながら30分間還流させた(共沸脱水)。次いで、水素を充填した風船を備えた後、ピラン-4-オン1.0g(10.4mmol)を加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で12時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、テトラヒドロピラン-4-オン807mgが生成していた(反応収率:77%)。
攪拌装置、温度計、還流冷却器及びDean-Stark装置を備えた内容積50mlのガラス製容器に、5質量%パラジウム/炭素(50%含水品)0.2gを水1mlに懸濁させた液及びトルエン30mlを加え、常圧下、攪拌しながら60分間還流させた(共沸脱水)。次いで、水素を充填した風船を備えた後、ピラン-4-オン1.0g(10.4mmol)を加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で12時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、テトラヒドロピラン-4-オン825mgが生成していた(反応収率:79%)。
攪拌装置、温度計、還流冷却器及び水素を充填した風船を備えた内容積50mlのガラス製容器に、5質量%パラジウム/炭素(50%含水品)0.2g、ピラン-4-オン1.0g(10.4mmol)及びトルエン30mlを加え、水素雰囲気下、攪拌しながら室温で12時間反応させた。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフィーで分析(内部標準法)したところ、テトラヒドロピラン-4-オン86mgが生成していた(反応収率:7%)。
Claims (5)
- 金属触媒が、パラジウムを含む金属触媒である、請求項1記載のテトラヒドロピラン-4-オンの製法。
- 金属触媒が、パラジウム/炭素、パラジウム/硫酸バリウム、水酸化パラジウム/白金、白金/炭素、硫化白金/炭素、パラジウム-白金/炭素、酸化白金及びラネーニッケルからなる群より選ばれる少なくともひとつである、請求項1記載のテトラヒドロピラン-4-オンの製法。
- 混合溶媒中のアルコール溶媒が5〜95容量%の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載のテトラヒドロピラン-4-オンの製法。
- 芳香族炭化水素類が、トルエンであり、アルコール溶媒が、メタノール又はエタノールである、請求項1〜4のいずれかに記載のテトラヒドロピラン-4-オンの製法。
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