JP5722304B2 - 有害生物防除組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、有害生物防除組成物に関するものである。さらに詳しくは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効主成分とした農園芸作物における有害生物防除組成物に関するものである。
農園芸作物を安定して供給するために、害虫や病気の防除は必須である。現在それらの病害虫を防除するために、経済性や防除効果が優れているという理由から、化学合成農薬が広く使われている。しかしながら、化学合成農薬は継続して使用され続けると、対象病害虫が薬剤抵抗性を発達させてしまう場合がある。また近年、消費者の農薬に対する意識が高まり、人体や環境に対して安全性の高い農薬が求められている。
そのような状況の中で、近年において、化学合成農薬とは異なる作用機作による有害生物防除組成物が報告されている。
特許文献1には、水溶性高分子を有効成分として含有する有害生物防除剤が開示され、該有害生物防除剤には、更に、ジアルキルスルホサクシネート系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリカルボン酸系界面活性剤、及びアルキルベンゼンスルホン酸塩より選択される界面活性剤を含有してもよいことが開示されている。この防除剤は、野菜や果樹に寄生するハダニ類やアブラムシ類などの微小な有害生物に対して、直接もしくは水で50〜100倍に希釈して散布することにより、有害生物を窒息死させ物理的に防除する有害生物防除剤として記載されている。また有効成分濃度については、水溶性高分子の濃度で100〜10000ppm、好ましくは500〜5000ppmであると記載されているが、実施例では、水溶性高分子の濃度が2000ppm又は5000ppmの希釈液を用いてダニの防除試験を行ったことが開示されている。しかしながら、このような高濃度での散布を行った場合、それにより引き起こされる薬害が懸念される。更に、希釈倍率が低いことなどから、水による希釈液の調製が頻繁で煩雑となり、作業性が悪くなることが課題として挙げられる。
特許文献2には、炭素数8〜10の中鎖脂肪酸トリグリセライドを有効成分とした農園芸用殺虫殺菌剤が開示され、適当な界面活性剤又は担体と混合することもできることが開示されている。更に特許文献2には、炭素数8〜10の中鎖脂肪酸トリグリセライドは、ハダニ類やアブラムシ類、ホコリダニ類、アザミウマ類、コナジラミ類などの微小な有害虫の皮膚に対して格別な浸透力を有し、体液のバランスを破壊して死滅に至らしめると推察されること、及び、該殺虫殺菌剤は物理的に作用して防除する組成物であることが記載されている。
しかしながら、特許文献2には散布液中の有効成分濃度についての記載は無く、実施例では、上記の殺虫殺菌剤をある程度高い濃度で使用している。具体的には、該組成物を水に100〜500倍で希釈し、1800ppm、2250ppm、4500ppm又は9000ppmの有効成分濃度で散布を行った例が記載されている。このような高濃度での散布の場合、薬剤使用量が多いこと、また希釈液調製作業が煩雑であることが課題として挙げられる。更に、疎水性が比較的高い中鎖脂肪酸トリグリセライドを高濃度で使用するため、対象作物への薬害が懸念される。
特許文献3には、特定の脂肪酸エステルとノニオン界面活性剤を含有する殺虫殺ダニ組成物が開示され、該組み合わせが、他の脂肪酸エステルと比較して、効果の高い殺虫殺ダニ効果を有することが記載されている。より具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンモノリノレート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノ・ジオレート、グリセリンジ・トリオレート、グリセリンモノ・ジリノレート、グリセリンモノ・ジリシノレート、グリセリンジアセトモノラウレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、ジグリセリンラウレート、ジグリセリンオレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノオレート、テトラグリセリンオレート、ヘキサグリセリンラウレート、デカグリセリンラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、及びプロピレングリコールモノオレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸エステル、及びノニオン界面活性剤との組み合わせを含有する殺虫殺ダニ組成物が開示されている。この組成物について、希釈液中の有効成分濃度は0.02〜10重量%が好ましい旨記載されている。実施例においては、ナミハダニに対して、該組成物を1000倍に希釈して有効成分濃度70〜90mg/100mlという低濃度の水希釈液で、有効であったことが開示されているが、ワタアブラムシ、オンシツコナジラミ及びスリップスに対しては、該組成物を500倍に希釈して、有効成分濃度140〜180mg/100mlの濃度で有効であった試験例が開示されている。すなわち、該殺虫殺ダニ組成物において、対象有害生物種において著しい防除効力差が認められることが課題である。
特開平7−126105号公報 特開平11−29411号公報 特開平10−251104号公報
従来の技術による澱粉や脂肪酸誘導体を有効成分とした有害生物防除剤は、一般に有効成分の高濃度散布を要するものであった。このため、希釈液調製作業が煩雑であることや、作物に対する薬害が引き起こされる懸念があることが課題であった。更に散布薬剤量が多く、薬剤コスト面において不利であった。さらに対象害虫によって防除効力に差があることも課題として挙げられ、希釈低濃度溶液による一度の防除剤散布により、複数種類の有害生物を同時防除できる有害生物防除剤が望まれていた。
本発明の目的は、人に対する安全性が担保された有効成分により、低濃度で農園芸有害生物の防除を達成できる有害生物防除剤を提供することである。更に、対象有害生物種によって防除効果に差が生じない有害生物防除剤を提供することである。特に農業上の重要有害生物であるハダニ類及びアブラムシ類において、低濃度散布において両者に対して十分な防除効力を有する有害生物防除剤を提供することにある。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、食品添加物として広く使用されているポリグリセリン脂肪酸エステルに着目し、この中でも、HLBが5以下且つ常温で液体のポリグリセリン脂肪酸エステルが、農園芸における有害生物に対して低濃度でも高い効果があることを見出して、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は下記(1)〜(19)の構成を有する発明に関するものである。
(1) HLBが5以下であり、且つ常温で液体のポリグリセリン脂肪酸エステル及びノニオン界面活性剤含有する有害生物防除組成物。
(2) ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンの重合度が6〜10である上記(1)に記載の有害生物防除組成物。
(3) ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が不飽和脂肪酸のω−9脂肪酸を含む上記(1)または(2)に記載の有害生物防除組成物。
(4) ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、オレイン酸、エルカ酸、及びリシノール酸からなる群から選択される一種または二種以上を含有する上記(1)または(2)に記載の有害生物防除組成物。
(5) ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が70%以上である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
(6) ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、エルカ酸デカグリセリル、縮合リシノール酸ポリグリセリルの群から選ばれる少なくとも一つである上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
(7) ノニオン界面活性剤が、0.1質量%水溶液における表面張力(20℃)が23mN/m以下であり、且つ、HLBが13以上であるノニオン界面活性剤である上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
(8) ノニオン界面活性剤が、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンである上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
(9) 組成物中におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が30〜98質量%であり、ノニオン界面活性剤の含有量が2〜30質量%である上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
(10) 組成物が、農園芸における有害生物を防除するための乳剤である上記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
(11) 有害生物が、ダニ目、半翅目及びアザミウマ目からなる群から選ばれる動物目に属する生物の一種または二種以上である上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
(12) 上記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物を水で希釈して得られた散布液。
(13) 上記(12)に記載の散布液を、有害生物もしくは有害生物の発生する作物に直接散布することを特徴とする有害生物の防除方法。
(14) 散布液におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの濃度が300〜2000ppmである上記(13)に記載の有害生物の防除方法。
(15) 有害生物が、ダニ目、半翅目、及びアザミウマ目からなる群から選ばれる動物目に属する生物の一種または二種以上である上記(13)又は(14)に記載の有害生物の防除方法。
(16) ポリグリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンの重合度が2〜10であり、脂肪酸エステルの脂肪酸が脂肪鎖中に少なくとも1つの不飽和結合を有するC8〜C24の脂肪酸であり、ポリグリセリン中の水酸基のエステル化率が60〜100%であり、HLBが0ないし5であるポリグリセリン脂肪酸エステルであり、ノニオン界面活性剤が、HLBが12以上で、かつ、0.1質量%溶液における20℃での表面張力が30mN/m以下あるノニオン界面活性剤であり、組成物の総量に対して、該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量が30〜98質量%、該ノニオン界面活性剤の含量が2〜40質量%であり、該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が40〜100質量%であり、残部0〜60質量%が、任意の添加成分であり、有害生物が農園芸における有害生物であり、組成物が乳剤である上記(1)に記載の有害生物防除組成物。
(17) ノニオン界面活性剤が、HLBが12以上のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンであり、その含量が、組成物の総量に対して、2〜35質量%であり、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が50〜100質量%であり、残部0〜50質量%が、任意の添加成分であり、該添加成分が、前記ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン以外のノニオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、常温液体の動植物油及び水溶性固体担体からなる群から選択される少なくとも一種であ上記(1)又は(16)に記載の有害生物防除組成物。
(18) 前記ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン以外のノニオン界面活性剤又は陰イオン界面活性剤の何れか一方若しくは両者が組成物の総量に対して0〜30質量%であり、常温液体の動植物油が0〜50質量%であり、前記界面活性剤と前記の動植物油の合計が0ないし50質量%である上記(17)に記載の有害生物防除組成物。
(19) 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの、構成脂肪酸がオレイン酸、エルカ酸、及びリシノール酸からなる群から選択される少なくとも一種であり、
前記ノニオン界面活性剤が、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンであり、
組成物中において、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が30〜98質量%及び該ノニオン界面活性剤の含有量が2〜30質量%であり、任意の添加成分が0〜60質量%である請求項1に記載の農園芸用有害生物防除組成物。
本発明有害生物防除組成物は、農園芸作物に対する有害生物、特に、ハダニ類及びアブラムシ類等の微小有害生物に対して、優れた防除効果を示すと共に、その有効成分は、食品添加物として使用実績があり、人体に対する安全性が保証されているポリグリセリン脂肪酸エステルであるため、本発明有害生物防除組成物の安全性は極めて高い。また、本発明有害生物防除組成物は、公知の組成物と比較してより低濃度で有害生物を防除することが可能である。このため農作物に対する薬害の危険性を軽減できる。更に、当該有害生物防除組成物は少量の使用でも十分な有害生物防除効果を有するため、薬剤コスト面でも有利である。また、希釈液調製が容易であり、作業性を向上させることが出来る。加えて、当該有害生物防除組成物は、ハダニ類及びアブラムシ類等の複数の微小有害生物に対して、また、幼虫、若虫及び成虫等の各段階において、優れた防除効果を示すものであり、多様な微小有害生物の防除に適用できると共に、一度の散布によりこれら複数の有害生物を同時防除することを可能とする。
本発明は、HLBが5以下であり、且つ、常温で液体のポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有し、さらにノニオン界面活性剤を含有する有害生物防除組成物(以下、本明細書において「本発明有害生物防除組成物」又は「本発明組成物」とも言う。)が、他の脂肪酸エステルを有効成分として用いた場合より、優れた防除効果を示すという知見に基づいて完成されたものである。
本明細書において「有害生物防除組成物」とは、ハダニ類やアブラムシ類などの微小害虫(微小有害生物ともいう)に対し直接的に作用し、例えば微小有害生物の運動を妨げること、または微小生物の気門を封鎖することなどにより、物理的にそれらの有害生物を致死させ、防除する組成物のことを示す。
本明細書において「常温で液体」とは、20℃で流動性を有する液体を意味する。
20℃で流動性を有する液体か否かの判定は、日本国の「危険物の規制に関する規則」第69条の2に規定される液状確認試験に従うものとする。
液状確認試験の具体的な方法は下記の通りである。
内径30mm及び高さ120mmの平底円筒型のガラス製試験管を用意し、試験管の底から高さ55mm及び85mmの位置に線(A線及びB線)を引く。温度20℃及び大気圧下において、垂直に置いた該試験管に対象物をA線の高さまで入れた後、該試験管を水平に倒す。このときの、該試験管を水平に倒してから、対象物の移動面の先端がB線を通過するまでの時間を測定し、その時間が90秒以内(20℃)であれば液体と判定する。本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、上記時間が5秒以内(20℃)のものが好ましい。
HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)とは、界面活性剤の親水性と親油性の程度を表し、0から20までの数値で表現される指標である。HLBが低いと親油性が高い界面活性剤であり、HLBが高いと親水性が高い界面活性剤であることを示す。そのためHLBが低い界面活性剤は、疎水性の系になじみやすく、HLBが高い界面活性剤は、親水性の系になじみやすくなる。つまり、界面活性剤が水/油の系に対してどちらの系にとけ込みやすいかを示した指標であるといえる。
該ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値は、Griffinの経験式である以下の算出法で導かれる数値を適用する。尚、下記のけん化価及び酸価は、食品添加物や医薬部外品原料規格の一般試験法に準じて分析した値を用いる。
HLB値=20(1−S/A)
S:界面活性剤のエステルのけん化価、A:界面活性剤を構成する脂肪酸の酸価
本発明に使用されるHLBが5以下であり、且つ、常温で液体であるポリグリセリン脂肪酸エステル(以下、本明細書において「該ポリグリセリン脂肪酸エステル」とも言う。)は、食品添加物として用いられている物質であり、ホイップクリーム、コーヒーホワイトナー、マーガリン、ショートニング、チョコレート、乳飲料、機能性油脂などの乳化剤として広く使われているものを用いることができる。このため、本発明有害生物防除組成物は、人の摂食における安全性が担保された原材料を主成分とするものである。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの鎖長(重合度)が2以上のポリグリセリンに、脂肪酸が複数結合した脂肪酸エステルである。
本発明で使用する、常温で液体であり、且つ、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下に示すものが挙げられる。ジグリセリンジオレイン酸エステル(HLB:約4)、ジグリセリントリオレイン酸エステル(HLB:約3)、ジグリセリンテトラオレイン酸エステル(HLB:約2)、テトラグリセリルトリオレイン酸エステル(HLB:約5)、テトラグリセリルテトラオレイン酸エステル(HLB:約4)、テトラグリセリルペンタオレイン酸エステル(HLB:約2)、テトラグリセリルヘキサオレイン酸エステル(HLB:約2)、ヘキサグリセリルペンタオレイン酸エステル(HLB:約5)、ヘキサグリセリルヘキサオレイン酸エステル(HLB:約4)、ヘキサグリセリルヘプタオレイン酸エステル(HLB:約4)、ヘキサグリセリルオクタオレイン酸エステル(HLB:約4)、デカグリセリルヘプタオレイン酸エステル(HLB:約5)、デカグリセリルオクタオレイン酸エステル(HLB:約5)、デカグリセリルノナオレイン酸エステル(HLB:約4)、デカグリセリルデカオレイン酸エステル(HLB:約4)、デカグリセリルウンデカオレイン酸エステル(HLB:約3)、デカグリセリルドデカオレイン酸エステル(HLB:約3)、デカグリセリンエルカ酸エステル(HLB:約3.5)、又は、ヘキサグリセリル縮合リシノール酸エステル(HLB:約3)等のポリグリセリル縮合リシノール酸エステル。
上記したポリグリセリン脂肪酸エステルは、SYグリスター(商品名、阪本薬品工業株式会社製)等で市販されている。
該ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは5以下が好ましく、下限値は0以上である。本発明においてはHLBが0〜5であるポリグリセリン脂肪酸エステルであれば特に限定されない。好ましいHLBは2〜5であり、より好ましくは3〜5である。
一方、HLBが10以上の(親水性側である)ポリグリセリン脂肪酸エステルを主薬効性成分として含む場合は、後述する比較例に示すように、低濃度における散布試験において、ハダニ類やアブラムシ類に対する十分な防除効果を発揮しない。
例えば、ヘキサグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB:約11)、デカグリセリンモノカプリン酸エステル(HLB:約16)、ジグリセリンモノオレイン酸エステル(HLB:約8)、又は、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル(HLB:約10)を主薬効性成分として含む場合あまり好ましい効果は示さない。
しかしながら、本願においては、これらの成分を、その他の添加剤などとして本発明組成物に含むことを排除するものでは無い。
本発明に使用するポリグリセリン脂肪酸エステルは、重合度が2以上のポリグリセリンと脂肪酸とのエステルであって、HLBが上記の範囲で、かつ、常温で液体であれば使用が可能である。より効果的に対象有害生物の防除効果を発揮するものとして、ポリグリセリンの重合度が2〜20、好ましくは4〜12、より好ましくは6〜10のものが望ましい。
本発明で使用するポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸としては、飽和又は不飽和脂肪酸のいずれも使用できる。該構成脂肪酸の好ましい炭素数は8〜30であり、より好ましくは12〜24であり、更に好ましくは16〜24である。
該構成脂肪酸としては、脂肪酸鎖中に1つ以上の不飽和結合を持つ不飽和脂肪酸が好ましい。好ましい該不飽和脂肪酸としては、不飽和結合を1つ有する炭素数8〜24の、ω−3脂肪酸、ω−6脂肪酸又はω−9脂肪酸が挙げられる。また、それらの不飽和脂肪酸の中でもω−9脂肪酸が好ましい。これら不飽和脂肪酸のω−9脂肪酸の代表的なものとしては、炭素数18〜24のω−9脂肪酸を挙げることができ、具体的にはオレイン酸、エルカ酸及びリシノール酸(好ましくは縮合リシノール酸)が挙げられる。これらの脂肪酸は、効果的に対象有害生物の防除効果を発揮する該ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸として好ましい。
該ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける結合している脂肪酸の数は、該ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBが上記範囲内である限り特に限定されないが、ポリグリセリンの有する水酸基のエステル化率(ポリグリセリンの全水酸基数に対する脂肪酸でエステル化されている水酸基の割合)で、60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上である。
エステル化率が70%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンテトラオレイン酸エステル(エステル化率:100%)、テトラグリセリルペンタオレイン酸エステル(エステル化率:83%)、テトラグリセリルヘキサオレイン酸エステル(エステル化率:100%)、ヘキサグリセリルヘキサオレイン酸エステル(エステル化率:75%)、ヘキサグリセリルヘプタオレイン酸エステル(エステル化率:88%)、ヘキサグリセリルオクタオレイン酸エステル(エステル化率:100%)、デカグリセリルノナオレイン酸エステル(エステル化率:75%)、デカグリセリルデカオレイン酸エステル(エステル化率:83%)、デカグリセリルウンデカオレイン酸エステル(エステル化率:92%)、デカグリセリルドデカオレイン酸エステル(エステル化率:100%)等が挙げられる。
該ポリグリセリン脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、ヘキサグリセリルヘキサオレイン酸エステル、ヘキサグリセリルヘプタオレイン酸エステル、ヘキサグリセリルオクタオレイン酸エステル、デカグリセリルヘプタオレイン酸エステル、デカグリセリルオクタオレイン酸エステル、デカグリセリルノナオレイン酸エステル、デカグリセリルデカオレイン酸エステル、デカグリセリルウンデカオレイン酸エステル、デカグリセリルドデカオレイン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステル、又は、ヘキサグリセリル縮合リシノール酸エステル等のポリグリセリル縮合リシノール酸エステルが挙げられ、ヘキサグリセリルペンタオレイン酸エステル、デカグリセリルデカオレイン酸エステル、デカグリセリルエルカ酸エステル又はポリグリセリル縮合リシノール酸エステル(例えばヘキサグリセリル縮合リシノール酸エステル)がより好ましく、デカオレイン酸デカグリセリルが特に好ましい。
該ポリグリセリン脂肪酸エステルは、単独で使用することができ、2種以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを混合して使用することもできる。
好ましい該ポリグリセリン脂肪酸エステルをまとめると、下記の通りである。
(i)常温で液体であり、且つ、HLBが2〜5であるポリグリセリン脂肪酸エステル。
(ii)HLBが3〜5である上記(i)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(iii)ポリグリセリンの重合度が2〜20の上記(i)又は(ii)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(iv)ポリグリセリンの重合度が6〜10である上記(iii)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(v)ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸(以下該構成脂肪酸という)の炭素数が8〜30である上記(i)〜(iv)の何れか一項に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(vi)該脂肪酸が、不飽和結合を1つ有する炭素数8〜24の不飽和脂肪酸である上記(v)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(vii)該構成脂肪酸が、炭素数18〜24のω−9脂肪酸である上記(vi)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(viii)該構成脂肪酸が、オレイン酸、エルカ酸及びリシノール酸からなる群から選択される少なくとも一つである上記(vii)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(ix)リシノール酸が縮合リシノール酸である上記(viii)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(x)ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が70%以上である上記(i)〜(ix)のいずれか一項に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(xi)ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ヘキサグリセリルペンタオレイン酸エステル、デカグリセリルデカオレイン酸エステル、デカグリセリルエルカ酸エステル、ポリグリセリル縮合リシノール酸エステルの群から選ばれる少なくとも一つである上記(i)〜(iv)のいずれか一項に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(xii)ポリグリセリル縮合リシノール酸エステルがヘキサグリセリル縮合リシノール酸エステルである上記(xi)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
(xiii)ポリグリセリン脂肪酸エステルがデカオレイン酸デカグリセリルである上記(i)に記載のポリグリセリン脂肪酸エステル。
本発明における有害生物防除組成物中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、30〜98質量%が適しており、好ましくは35〜95質量%、より好ましくは50〜90質量%、最も好ましくは70〜90質量%である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が低すぎる場合は、低濃度に希釈したときの有害害虫に対する防除効果が不十分であり、また、逆に高すぎる場合は、界面活性剤の使用量が少なすぎるため、水への希釈時に十分な水中での懸濁ができなくなる。本発明組成物は、有効成分である該ポリグリセリン脂肪酸エステルを高含有量で含むことから、水で希釈して散布液を調製する作業の頻度が少なく、作業性が良好である。
本発明有害生物防除組成物には、該ポリグリセリン脂肪酸エステルの対象有害生物への防除効果を十分に発揮させるために、ノニオン界面活性剤を使用することが必要である。
本発明有害生物防除組成物に使用するノニオン界面活性剤(以下、「該ノニオン界面活性剤」とも言う。)としては、農薬製剤に通常使用されるノニオン界面活性剤がいずれも使用できる。本発明で該ポリグリセリン脂肪酸エステルと併用する好ましいノニオン界面活性剤としては、ポリC2−C4(好ましくはC2−C3)アルキレンエーテル基を有するノニオン界面活性剤(以下ポリエーテルノニオン界面活性剤との言う)を挙げることができる。その具体例として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合物、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン等のノニオンイオン性界面活性剤が挙げられる。これらの中でポリエーテル変性オルガノポリシロキサンは、該ポリグリセリン脂肪酸エステルとの併用で優れた有害生物防除効果を示すことから該ノニオン界面活性剤としてより好ましい。
本発明で使用するノニオン界面活性剤は、単独でも使用でき、また、2種以上を混合して使用してもよい。
該ノニオン界面活性剤のHLBの範囲は、通常11〜20(場合により11〜18)であり、12〜20が好ましく、より好ましくは12〜18程度である。13以上が更に好ましい。
また、該ノニオン界面活性剤の表面張力(20℃、0.1質量%水溶液)は、通常32mN/m以下であり、更に好ましくは30mN/m以下であり、最も好ましくは23mN/m以下である。また、該表面張力の下限は特に限定されないが、通常18mN/m以上が好ましい。従って、該表面面張力の好適な範囲は18〜30mN/mであり、最適には18〜23mN/mである。
該表面張力が18〜30mN/mであり、かつ、HLBが12〜18である該ノニオン界面活性剤は、より好ましい。
これらノニオン界面活性剤の中でも、0.1質量%水溶液における表面張力(20℃)が23mN/m以下であり、尚且つ、HLBが13以上あるノニオン界面活性剤は、本発明組成物を水で希釈して散布施用する際に、対象害虫を効果的に防除する効果が優れることから、特に、好ましい。
上記のHLB及び表面張力の範囲を満たすポリエーテル変性オルガノポリシロキサンは本発明においてより好ましいノニオン界面活性剤である。
本明細書における表面張力は、Wilhelmy法(プレート法)により測定される数値を用いる。測定の原理は下記の通りである。白金プレートが液体の表面に接触すると、液体がプレートに対してぬれ上がる。この際に、プレートの周囲に沿って表面張力がはたらき、プレートを液中に引き込む力が生じる。この引力を測定し、表面張力を測定する方法である。具体的には、供試ノニオン界面活性剤の0.1質量%水溶液を測定サンプルとし、20℃の温度における上記で示したWilhelmy法の自動表面張力測定機(例えば、DY−300自動表面張力計、協和界面科学社製)で測定を行うことにより表面張力が求められる。このような方法で測定した表面張力の値は、引っ張り力が低ければ表面での引力が少なく、液体の分子と分子の間の「分子間力」が弱いことになる。ノニオン界面活性剤は水溶液の表面張力を低くする性質を有する。このためこれを含む水溶液が他の物質表面に付着した時、該表面での「ぬれ性」が向上する。その結果、該ノニオン界面活性剤を含む本発明組成物の希釈液を、対象有害生物表面や散布対象農作物の表面に付着し易くする。
本明細書におけるノニオン界面活性剤のHLBは、多価アルコールの脂肪酸エステルに関するHLB値の算出式として知られている、Griffinの算出式による以下の方法で導出される値を適用する。
HLB値=E/5
E:界面活性剤中のアルキレンオキサイド基(好ましくはエチレンオキサイド基)の重量分率
該ノニオン界面活性剤、好ましくは、前記好ましいHLB及び表面張力の範囲(例えばHLBが12以上で、前記表面張力が30mN/m以下)に入るノニオン界面活性剤は、水で希釈されると水に素早く溶解し、その希釈液を作物へ散布するときの作物表面での水を拡げる効果を強めることができる。一方、該ノニオン界面活性剤は、水希釈液中で該ポリグリセリン脂肪酸エステルをミセル化する能力は低い傾向がある。そのため本発明組成物の水希釈液は、該ポリグリセリン脂肪酸エステルの水中でのミセルが脆弱になる傾向がある。その結果、本発明組成物の水希釈液中のミセルは、会合等が生じやすい不安定な状態になる。そのため、本発明有害生物防除組成物の有効成分である、HLB値が5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルは、疎水性の強いものに集まる傾向が強くなる。この現象を利用することで、本発明組成物を水に希釈して散布をすると、疎水性の強い対象害虫の表面に該ポリグリセリン脂肪酸エステルが集まり、付着しやすくなる。その中でも対象害虫の気門周辺に効率的に該ポリグリセリン脂肪酸エステルが付着する傾向があるため、該ポリグリセリン脂肪酸エステルによる気門封鎖等の作用が発揮されやすくなり、効果的な物理的防除を達成することが可能になる。
すなわち、該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の組み合わせについては、意外なことに互いの相溶性が低い化合物同士の組み合わせを有する組成物が、より優位な有害生物防除効果を示す。
従って、本発明組成物において、該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤(好ましくはHLB12以上、上記表面張力30mN/m以下のポリエーテルノニオン界面活性剤、特にポリエーテル変性オルガノポリシロキサン)との組み合わせは好ましい。
該ノニオン界面活性剤として好ましいポリエーテル変性オルガノポリシロキサンとしては、ポリC2−C4アルキルエーテル変性ポリC1−C3アルキルポリシロキサンが好ましい。該ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンにおける、ポリエーテルの重合度は、平均値で2〜40程度、好ましくは2〜10程度であり、ポリシロキサンの重合度は平均値で2〜20、好ましくは2〜10程度、より好ましくは3〜10程度である。
該好ましいポリエーテル変性オルガノポリシロキサンの一例を構造式で示すと、下記の通りである。
Figure 0005722304
m+n(ポリシロキサン重合度):1〜10、m=0〜9、n=1〜10
a(エチレンオキサイド重合度):1〜20
b(プロピレンオキサイド重合度):0〜20
Rは酸素原子又はC1−C4アルキレン基、
R’はフェニル置換を有しても良いC1〜C4のアルキル基。
より好ましいポリエーテル変性オルガノポリシロキサンは、0.1質量%水溶液における表面張力(20℃)及び/又はHLBが上記の好ましい範囲に含まれるものが好ましい。また、上記構造式で表されるポリエーテル変性オルガノポリシロキサンとしては、ポリシロキサン重合度m+nが1〜5で、mが0〜4で、nが1〜5であり、エチレンオキサイド重合度aが1〜10であり、且つ、プロピレンオキサイド重合度bが0〜5のものが好ましい。
また、2種類以上のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを混合することにより、前記物性に適合させたものを調製し、使用することもできる。
本発明で使用するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンは、一般に市販されており、市場より容易に入手することができる。例えば、KF−640(商品名、信越化学社製、HLB:13.5、表面張力:21mN/m)、KF−643(商品名、信越化学社製、HLB:14、表面張力:21mN/m)、KF−351A(商品名、信越化学社製、HLB:12、表面張力:26mN/m)等が市販されており、これら市販品を使用することができる。または2種類以上を混合して使用することもできる。
本発明においてより好ましいノニオン界面活性剤は、0.1質量%水溶液における表面張力(20℃)が23mN/m以下(例えば20〜23mN/m)であり、且つHLBが13以上(例えば13〜15)の物性のものである。この物性に相当するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンとして、前記KF−640、KF−643が挙げられる。ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンを混合することにより前記物性に適合させたものを調製し、使用することもできる。
上記のより好ましい表面張力及びHLBを有するポリエーテル変性オルガノポリシロキサンと前記のHLB5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとの組合せは本発明におけるより好ましい組合わせである。
本発明組成物中における、該ノニオン界面活性剤の含有量は、通常2〜40質量%であり、好ましくは2〜35質量%、より好ましくは2〜30質量%であり、更に好ましくは5〜30質量%である。また、場合により10〜20質量%が最も好ましい。
なお、本明細書において、本発明の「組成物中における」含量の記載は、特に断らない限り、何れも本発明組成物の総量に対する割合を意味する。
本発明組成物中におけるポリグリセリン脂肪酸エステルとノニオン界面活性剤の含有量は、ポリグリセリン脂肪酸エステルが対象害虫への物理的な防除効果を十分に発揮する範囲で任意に使用することができる。効率的な防除効果を有する組成物とするには、当該組成物中において、ポリグリセリン脂肪酸エステルを30〜98質量%及びノニオン界面活性剤を2〜30質量%含有する組成が好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルを35〜95質量%及びノニオン界面活性剤を5〜20質量%含有する組成がより好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びノニオン界面活性剤の合計含量が、本発明組成物の総量に対して、通常50〜100質量%、好ましくは60〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくくは、70〜100質量%の時、本発明組成物はより優れた有害生物防除効果を発揮する。
また、本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステルとノニオン界面活性剤との好ましい含量割合は、ノニオン界面活性剤(好ましくはポリエーテルノニオン界面活性剤、より好ましくはポリエーテル変性オルガノポリシロキサン)1質量部に対して、通常ポリグリセリン脂肪酸エステルを2〜20質量部、好ましくは2〜10質量部、より好ましくは3〜8質量部、更に好ましくは3〜7質量部の割合である。
本発明有害生物防除組成物は、本発明における優れた物理的な防除効果を無くさない範囲内で、任意の添加成分を含むことができる。例えば、該添加成分としては、乳剤に使用しうる添加成分を何れも使用することができる。具体的には、陰イオン性界面活性剤、常温で液体の動植物油、または水溶性の固形担体などの添加成分を使用することが出来る。また、本発明で必須の構成成分とするノニオン界面活性剤が、例えばHLB12以上のポリエーテルノニオン界面活性剤又はポリエーテル変性オルガノポリシロキサン等の場合には、該必須の構成成分とするノニオン界面活性剤以外のノニオン界面活性剤(以下任意成分としてのノニオン界面活性剤ともいう)も、任意成分に含まれる。
上記陰イオン系界面活性剤としては、農薬に一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフエート、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ステアロイル乳酸カルシウム等が挙げられる。陰イオン系界面活性剤は、本発明組成物に対して、0〜15質量%、好ましくは0〜10質量%の範囲内で使用することができる。
上記該陰イオン系界面活性剤と、上記任意成分としてのノニオン界面活性剤との合計含量は、本発明組成物の総量に対して、通常0〜30質量%である。
上記の常温で液体の動植物油としては、食品、食品添加物、農薬等に一般的に使用されている動植物油が好ましい。それらとしては、例えば太白胡麻油、胡麻油、大豆油及び菜種油等の常温で液体の植物油が挙げられ、太白胡麻油がより好ましい。常温で液体の動植物油、より好ましくは太白胡麻油は、本発明組成物に対して、0〜50質量%、好ましくは0〜40質量%の範囲内で使用することができる。
上記の水溶性の固形担体としては、多孔質デキストリン等が挙げられる。
これら任意の添加成分の含有量は、本発明組成物の総量に対して、0〜60質量%の範囲であり、好ましくは0〜40質量%の範囲内であり、場合により、0〜30質量%である。
また、上記任意成分としてのノニオン界面活性剤又は陰イオン界面活性剤の何れか一方若しくは両者と、前記の動植物油の、本発明組成物の総量に対する合計含量は0ないし50質量%程度が好ましく、好ましくは0〜40質量%の範囲内であり、場合により、0〜30質量%である。
本発明有害生物防除組成物の剤型は、水を実質的に含有しない常温で油状の剤型が好ましく、通常乳剤(emulsifiable concentrate)である。
本発明有害生物防除組成物の好ましい態様(embodiment)を下記に例示する。なお、%は質量%を示す。
(I)本発明組成物の総量に対して、HLBが5以下であり、且つ常温で液体のポリグリセリン脂肪酸エステルを30〜98%、該ノニオン界面活性剤を2〜30%及び任意の添加成分を0〜60%含む有害生物防除組成物。
(II)該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量が35%〜95%であり、該ノニオン界面活性剤の含量が5〜30%である上記(I)に記載の有害生物防除組成物。
(III)該ノニオン界面活性剤の含量が5〜20%含む上記(II)に記載の有害生物防除組成物。
(IV)該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が本発明組成物の総量に対して、50〜100%であり、残部は任意の添加成分である上記(I)〜(III)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(V)該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量が50%〜90%であり、該ノニオン界面活性剤の含量が10〜30%であり、残部は任意の添加成分であり、かつ、該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が60〜100%である上記(I)に記載の有害生物防除組成物。
(VI)該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量が70%〜90%であり、該ノニオン界面活性剤の含量が10〜25%であり、残部は任意の添加成分である上記(I)〜(III)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(VII)該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が本発明組成物の総量に対して、70〜100%であり、残部は任意の添加成分である上記(I)〜(V)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(VIII)該ポリグリセリン脂肪酸エステルが前記(i)〜(xiii)のいずれか一項に記載のポリグリセリン脂肪酸エステルである上記(I)〜(VII)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(IX)ノニオン界面活性剤のHLBが11〜20である上記(I)〜(VIII)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(X)該HLBが12以上である上記(IX)に記載の有害生物防除組成物。
(XI) 該HLBが12〜18である上記(X)に記載の有害生物防除組成物。
(XII) 該HLBが13以上である上記(X)又は(XI)に記載の有害生物防除組成物。
(XIII)該ノニオン界面活性剤の0.1質量%水溶液における表面張力(20℃)が18〜30mN/mである上記(IX)〜(XII)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(XIV)該ノニオン界面活性剤がポリエーテルノニオン界面活性剤である上記(IX)〜(XIII)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(XV)該ノニオン界面活性剤がポリエーテル変性オルガノポリシロキサンである上記(IX)〜(XIV)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(XVI)ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンが、ポリC2−C4アルキルエーテル変性ポリC1−C3アルキルポリシロキサンである上記(XV)に記載の有害生物防除組成物。
(XVII)ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンにおけるポリエーテルが、重合度が平均値で2〜40程度であり、ポリシロキサンの重合度は平均値で2〜20である上記(XV)又は(XVI)に記載の有害生物防除組成物。
(XVIII)該ノニオン界面活性剤が上記(X)〜(XVII)の何れか一項に記載のノニオン界面活性剤の時、それぞれに対応して、任意の添加成分としてのノニオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、動植物油及び水溶性固体担体からなる群から選択される少なくとも一種の任意成分を含んでも良い、上記(X)〜(XVII)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(XIX)ノニオン界面活性剤が、HLBが12以上のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンであり、その含量が、組成物の総量に対して、2〜35質量%であり、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が50〜100質量%であり、残部0〜50質量%が、任意の添加成分であり、該添加成分が、前記ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン以外のノニオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、常温液体の動植物油及び水溶性固体担体からなる群から選択される少なくとも一種であ上記(I)又は(XVIII)に記載の有害生物防除組成物。
(XX) 前記ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン以外のノニオン界面活性剤又は陰イオン界面活性剤の何れか一方若しくは両者が組成物の総量に対して0〜30質量%であり、常温液体の動植物油が0〜50質量%であり、前記界面活性剤と前記の動植物油の合計が0ないし50質量%である上記(XIX)に記載の有害生物防除組成物。
(XXI)該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤との含量割合が、該ノニオン界面活性剤1質量部に対して、該ポリグリセリン脂肪酸エステルが2〜20質量部の割合である上記(I)〜(XVIII)の何れか一項に記載の有害生物防除組成物。
(XXII)該ノニオン界面活性剤1質量部に対する該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量割合が2〜10質量部である上記(XXI)に記載の有害生物防除組成物。
(XXIII)剤形が乳剤である上記(I)〜(XXII)のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
本発明組成物における該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の好ましい具体的な組合せ例としては、以下のものが挙げられる。すなわち、デカグリセリルデカオレイン酸エステル(HLB:約4)とポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(HLB:約14)の組合せ、デカグリセリルデカオレイン酸エステル(HLB:約4)とポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(HLB:約14)及びステアロイル乳酸カルシウムの組合せ、デカグリセリルエルカ酸エステル(HLB:約4)とポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(HLB:約14)の組合せ、デカグリセリルエルカ酸エステル(HLB:約4)とポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(HLB:約14)及びステアロイル乳酸カルシウムの組合わせ、ポリグリセリル縮合リシノール酸エステル(HLB:約3)とポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(HLB:約14)の組合せ、ポリグリセリル縮合リシノール酸エステル(HLB:約3)とポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(HLB:約14)及びステアロイル乳酸カルシウムの組合せ、を挙げることができる。
本発明有害生物防除組成物の製造方法を以下に示すが、これに限定されるものではない。
HLBが5以下であり且つ常温で液体のポリグリセリン脂肪酸エステルを撹拌バネの付いた撹拌釜に入れ、そこに該ノニオン界面活性剤を加え、必要によりその他の任意成分を入れ、これらの原料を均一に混合することにより、本発明有害生物防除組成物を調製することができる。なお、原料の添加順序は任意でよい。また、30〜100℃に加熱して混合することにより、速やかに均一な混合物が調製されるため望ましい。
本発明組成物は、通常、散布に際して、水で希釈して散布液とする農薬製剤(乳剤)として用いられる。該散布液(以下本発明散布液という)を、有害生物が寄生している植物の葉面に、十分な量において、散布することにより、農園芸用作物における有害生物を防除することができる。該散布液中における該ポリグリセリン脂肪酸エステルの濃度は、通常、300〜2000ppm、好ましくは300〜1000ppm程度である。該散布液は、本発明組成物を、該散布液中における該ポリグリセリン脂肪酸エステルの濃度が上記の範囲になるように水で希釈及び調整することにより、得ることができる。
具体的に、本発明散布液の調製方法及び有害生物の防除方法を下記に説明する。
本発明組成物1質量部に対し、水100〜2000質量部を加え、良く攪拌し、均一な混合液とすることにより散布液を得ることができる。該散布液を、常法に従い、有害生物もしくは有害生物の発生している作物に対して、ハンドスプレー、肩掛け式噴霧器、動力噴霧器、ブームスプレーヤー、スピードスプレーヤー等を用いて、十分な量を散布することにより、該有害生物を防除することができる。
本発明有害生物防除組成物は、有効成分が有害生物に直接作用することにより防除するものである。本発明の対象有害生物であるアブラムシ類・ハダニ類等は葉の裏側などの薬液が届きづらい場所に生息するため、本発明の散布液が対象有害生物に直接散布されるよう、葉の裏表に十分な量の散布を行うのが望ましい。
本発明組成物は、物理的防除製剤であるにもかかわらず、上記のように、有効成分である該ポリグリセリン脂肪酸エステルを低濃度で含有する散布液としても、十分な有害生物防除効果を達成することができる。
本発明有害生物防除組成物は、果樹、茶樹、野菜及び花卉等の農作物に発生する有害生物の防除に対して用いられる。
本発明有害生物防除組成物が対象とする有害生物としては、例えば、ダニ目、半翅目及びアザミウマ目などの動物目に属する、農作物に害を与えるダニ及び昆虫等が挙げられ、特にハダニ類及びアブラムシ類に対して優れた防除効果を有する。ダニ目に属する生物としてはハダニ類、サビダニ類及びホコリダニ類が挙げられる。ハダニ類としてはナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ及びリンゴハダニなどが挙げられ、サビダニ類としては、トマトサビダニ及びミカンサビダニなどが挙げられ、ホコリダニ類としてはチャノホコリダニなどが挙げられる。半翅目に属する生物としてはアブラムシ類、コナジラミ類及びカイガラムシ類などが挙げられる。アブラムシ類としてはワタアブラムシ及びモモアカアブラムシなどが挙げられ、コナジラミ類としてはオンシツコナジラミ及びタバココナジラミなどが挙げられ、カイガラムシ類としてはクワシロカイガラムシなどが挙げられる。アザミウマ目に属する生物としてはミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ及びチャノキイロアザミウマなどが挙げられる。また、野菜や花卉や果樹に発生するうどんこ病などの菌類による病害の防除にも本発明組成物は効果的である。
本発明組成物は、水に希釈して散布した際、対象有害生物の皮殻表面、特に気門周辺に該ポリグリセリン脂肪酸エステルが付着し、対象有害生物の気門を封鎖する等の作用により、物理的に有害生物の防除を達成するものである。従って、本発明組成物は、複数種の有害生物(例えばハダニ類とアブラムシ類等)に対して、また、幼虫、若虫及び成虫等の各段階の有害生物に対して、同等の防除効果を有し、更に、一度の散布により複数の有害生物を同時に防除することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本明細書において上付きのRTMは登録商標を示す。
実施例1
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)82.5質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−640、HLB=13.5、表面張力=21mN/m)17.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例2
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)80質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を40℃の湯槽で均一に溶解させ、混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例3
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例4
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)86.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)7.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)1質量部を40℃の湯槽で均一に溶解させ、混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例5
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)84.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)0.5質量部を40℃の湯槽で均一に溶解させ、混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例6
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)75質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)20質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例7
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)70質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)20質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)10質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例8
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)82.5質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製;商品名 ペグノールRTMST−9、HLB=13、表面張力=30mN/m)10質量部、及び、ジオクチルスルホサクシネート(竹本油脂株式会社製;商品名 ニューカルゲンEP−70G、表面張力=28mN/m)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例9
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製;商品名 ペグノールRTMST−9、HLB=13、表面張力=30mN/m)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例10
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、26mN/m)2.5質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製;商品名 ペグノールRTMST−9、HLB=13、表面張力=30mN/m)5質量部、及び、ジオクチルスルホサクシネート(竹本油脂株式会社製;商品名 ニューカルゲンEP−70G)5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例11
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)35質量部、太白胡麻油(商品名、竹本油脂株式会社製)35質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)15質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例12
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)36.25質量部、太白胡麻油(商品名、竹本油脂株式会社製)36.25質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)10質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を40℃の湯槽で均一に溶解させ、混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例13
ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター PO−5S、HLB=4.9、エステル化率=62.5%)42.5質量部、デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名SYグリスターDAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)40質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例14
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−640、HLB=13.5、表面張力=21mN/m)17.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例15
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−640、HLB=13.5、表面張力=21mN/m)15質量部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)2.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例16
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−640、HLB=13.5、表面張力=21mN/m)12.5質量部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例17
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)80質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を40℃の湯槽で均一に溶解させ、混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例18
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例19
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)5質量部、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製;商品名 ペグノールRTMST−9、HLB=13、表面張力=30mN/m)12.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例20
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製;商品名 ペグノールRTMST−9、HLB=13、表面張力=30mN/m)10質量部、及び、ジオクチルスルホサクシネート(竹本油脂株式会社製;商品名 ニューカルゲンEP−70G)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例21
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−640、HLB=13.5、表面張力=21mN/m)12.5質量部、及び、ジオクチルスルホサクシネート(竹本油脂株式会社製;商品名 ニューカルゲンEP−70G)5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例22
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−640、HLB=13.5、表面張力=21mN/m)12.5質量部、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製;商品名 ペグノールRTMST−9、HLB=13、表面張力=30mN/m)5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例23
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−640、HLB=13.5、表面張力=21mN/m)7.5質量部、ジオクチルスルホサクシネート(竹本油脂株式会社製;商品名 ニューカルゲンEP−70G)5質量部、及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(東邦化学工業株式会社製;商品名 ペグノールRTMST−9、HLB=13、表面張力=30mN/m)5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例24
デカオレイン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター DAO−7S、HLB=3.2、エステル化率=83.3%)35質量部、太白胡麻油(商品名、竹本油脂株式会社製)35質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)15質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例25
エルカ酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター NE−750、HLB=3.2)80部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例26
エルカ酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター NE−750、HLB=3.2)82.5部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例27
エルカ酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター NE−750、HLB=3.2)35部、太白胡麻油(商品名、竹本油脂株式会社製)35質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力26mN/m)5質量部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)15質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例28
エルカ酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター OE−750、HLB=3.7)82.5部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=14.5、表面張力=26mN/m)17.5部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例29
エルカ酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター OE−750、HLB=3.7)80部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=14.5、表面張力=26mN/m)7.5部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を40℃の湯槽で均一に溶解させ、混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例30
エルカ酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター OE−750、HLB=3.7)82.5部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=14.5、表面張力=26mN/m)7.5部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例31
エルカ酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター OE−750、HLB=3.7)35部、太白胡麻油(商品名、竹本油脂株式会社製)35質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)15質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例32
縮合リシノール酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター CR−500、HLB=3)82.5部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)17.5部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例33
縮合リシノール酸ポリグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター CRS−75、HLB=3)80質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を40℃の湯槽で均一に溶解させ、混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例34
縮合リシノール酸ポリグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター CRS−75、HLB=3)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力21mN/m)10質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力26mN/m)7.5質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例35
縮合リシノール酸ポリグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター CRS−75、HLB=3)35質量部、太白胡麻油(商品名、竹本油脂株式会社製)35質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)15質量部を混合して本発明有害生物防除組成物を得た。
実施例36
縮合リシノール酸ポリグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター CRS−75、HLB=3)32.5質量部、太白胡麻油(商品名、竹本油脂株式会社製)35質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)5質量部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)15質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を混合して40℃の湯槽で均一に溶解させ、本発明有害生物防除組成物を得た。
比較例1
モノオレイン酸ヘキサグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター MO−5S、HLB=11.6)82.5部、及び、水道水17.5部を混合して比較例組成物を得た。
比較例2
モノカプリン酸デカグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター MCA−750、HLB=16)82.5部、及び、水道水17.5部を混合して比較例組成物を得た。
比較例3
モノオレイン酸ジグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SフェイスO−201P、HLB=8)82.5部、及び、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム混合物(東邦化学工業株式会社製;商品名 ソルポールRTM355、HLB=11、表面張力=32mN/m)17.5部を混合して比較例組成物を得た。
比較例4
モノラウリン酸テトラグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター ML−310、HLB=10.3)80質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力=21mN/m)10質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部、及び、ステアロイル乳酸カルシウム(株式会社武蔵野化学研究所製;商品名 ベルフ)2.5質量部を混合して比較例組成物を得た。
比較例5
モノラウリン酸テトラグリセリル(阪本薬品工業株式会社製;商品名 SYグリスター ML−310、HLB=10.3)82.5質量部、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−643、HLB=14、表面張力21=mN/m)10質量部、及び、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン(信越化学工業株式会社製;商品名 KF−351A、HLB=12、表面張力=26mN/m)7.5質量部を混合して比較例組成物を得た。
比較例6
市販されている粘着くんRTM液剤(商品名、住友化学株式会社製;ヒドロキシプロピルデンプン 5%)を比較例6の組成物として使用した。
比較例7
市販されているサンクリスタルRTM乳剤(商品名、サンケイ化学株式会社製;脂肪酸グリセリド 90%)を比較例7の組成物として使用した。
比較例8
市販されているエコピタRTM液剤(商品名、協友アグリ株式会社製;還元澱粉糖化物 60%)を比較例8の組成物として使用した。
比較例9
市販されているアカリタッチRTM乳剤(商品名、石原バイオサイエンス株式会社製;プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル乳剤 70%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル 9%)を比較例9の組成物として使用した。
試験例1
5葉期のナスの葉上にナミハダニが寄生したインゲン葉片を置き、ナスにナミハダニを定着させた。ナミハダニの定着を確認した後、寄生しているナミハダニの成虫数を計測した。実施例で得られた組成物および比較例の組成物を1000倍に希釈して散布液を調製し、十分な量(約100mL/苗)の散布液をナスに散布した。また、比較例6〜比較例8の各組成物を、ハダニ類に対する各市販製剤の登録濃度で希釈した散布液を、同様にナスに散布した。散布後、25℃の恒温室内にナスを静置し、5日後に生存成虫数を計測した。比較のため、ナスにナミハダニを定着させ、散布処理を行わなかった場合の、5日間の静置前後におけるナミハダニの生存成虫数を計測した。以下の計算式により、各実施例及び比較例の組成物を使用したときの補正密度指数を求め、結果を表1にまとめた。
補正密度指数 =(処理区の処理後成虫数/処理区の処理前成虫数)×(無処理区の処理前成虫数/無処理区の処理後成虫数)×100
表1:試験例1の結果一覧
試料 処理濃度 処理前成虫数 処理5日後成虫数 補正密度指数
実施例1 1000倍希釈 45 4 6.8
実施例2 1000倍希釈 39 2 3.9
実施例3 1000倍希釈 40 2 3.8
実施例4 1000倍希釈 83 13 12.0
実施例5 1000倍希釈 78 12 11.8
実施例6 1000倍希釈 62 1 1.2
実施例7 1000倍希釈 58 6 7.9
実施例14 1000倍希釈 63 0 0.0
実施例15 1000倍希釈 67 11 12.6
実施例16 1000倍希釈 74 7 7.2
実施例18 1000倍希釈 34 1 2.3
実施例23 1000倍希釈 57 8 10.8
実施例25 1000倍希釈 42 1 1.8
実施例26 1000倍希釈 40 1 1.9
実施例28 1000倍希釈 5 7 9.4
実施例29 1000倍希釈 39 4 7.9
実施例30 1000倍希釈 55 6 8.4
比較例1 1000倍希釈 55 28 39.0
比較例2 1000倍希釈 45 31 52.8
比較例4 1000倍希釈 39 30 59.0
比較例5 1000倍希釈 39 29 57.0
比較例6 100倍希釈 69 9 10.0
1000倍希釈 102 44 33.1
比較例7 300倍希釈 82 9 8.4
1000倍希釈 81 58 54.9
比較例8 100倍希釈 116 31 20.5
1000倍希釈 93 53 43.7
比較例9 1000倍希釈 94 19 15.5
無処理 82 107 100.0
試験例1の結果、本発明の各実施例の組成物は、水による1000倍希釈液の施用において、比較例1〜5の各組成物による同濃度の施用と比較して、ナミハダニに対して著しく高い防除効果を示した。また、既に日本において農薬として登録され、実際の微小有害生物防除に適用されている、比較例6及び8の100倍希釈液、比較例7の300倍希釈液、並びに比較例9の1000倍希釈液と比較して、本発明の各実施例組成物の1000倍希釈液は、同等又はそれ以上の高い防除効果を示した。また本発明の各実施例組成物は、比較例6〜8の1000倍希釈液と比較して著しく高い防除効果を示した。
試験例2
3葉期のキュウリにワタアブラムシの成虫を放虫し、ワタアブラムシを定着させた。ワタアブラムシの密度増加を確認した後、寄生しているワタアブラムシの成虫及び幼虫の数を計測した。実施例で得られた組成物および比較例の組成物を1000倍に希釈して散布液を調製し、十分な量(100mL/苗)の散布液をキュウリに散布した。また、比較例6〜比較例8の各組成物を、アブラムシ類に対する各市販製剤の登録濃度で希釈した散布液を、同様にキュウリに散布した。組成物散布後、25℃の恒温室内にキュウリを静置し、2日後に生存虫数(成虫及び幼虫)を計測した。比較のため、キュウリにワタアブラムシを定着させ、散布処理を行わなかった場合の、2日間の静置前後におけるワタアブラムシの生存虫数を計測した。以下の計算式により、各実施例及び比較例の組成物を使用したときの補正密度指数を求め、結果を表2にまとめた。
補正密度指数 =(処理区の処理後虫数/処理区の処理前虫数)×(無処理区の処理前虫数/無処理区の処理後虫数)×100
表2:試験例2の結果一覧
試料 処理濃度 処理前虫数 処理2日後虫数 補正密度指数
実施例1 1000倍希釈 102 50 19.1
実施例2 1000倍希釈 225 19 3.3
実施例3 1000倍希釈 32 8 9.8
実施例11 1000倍希釈 150 74 19.3
実施例14 1000倍希釈 132 3 0.9
実施例15 1000倍希釈 56 28 19.5
実施例16 1000倍希釈 116 49 16.5
実施例17 1000倍希釈 303 3 0.4
実施例18 1000倍希釈 64 18 11.0
実施例19 1000倍希釈 23 4 6.8
実施例22 1000倍希釈 50 22 17.2
実施例25 1000倍希釈 174 8 1.8
実施例28 1000倍希釈 109 37 13.3
実施例29 1000倍希釈 150 2 0.5
実施例30 1000倍希釈 182 63 13.5
実施例31 1000倍希釈 180 68 14.8
実施例33 1000倍希釈 163 5 1.2
実施例35 1000倍希釈 149 42 11.0
比較例2 1000倍希釈 95 125 51.4
比較例3 1000倍希釈 124 144 52.8
比較例6 100倍希釈 126 130 40.3
1000倍希釈 98 153 64.3
比較例7 300倍希釈 61 4 2.6
1000倍希釈 113 106 36.6
比較例8 100倍希釈 75 8 4.2
1000倍希釈 86 141 64.0
比較例9 1000倍希釈 130 226 67.9
無処理区 − 91 233 100.0
試験例2の結果、水による1000倍希釈液の施用において、本発明の各実施例の組成物は、比較例2、3及び6〜9の組成物による1000倍希釈液の施用と比較して、ワタアブラムシに対する著しく高い防除効果を示した。また、既に日本において農薬として登録され、実際の微小有害生物防除に適用されている、比較例6の100倍希釈液と比較しても、本発明の各実施例組成物の1000倍希釈液は、著しく高い防除効果を示した。
試験例1および試験例2で示されたように、比較例1〜5におけるHLBが6以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた組成物は、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた本発明の実施例組成物と異なり、有害生物防除効果が低いものであった。この結果の理由は不明であるが、本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、有害生物の皮殻に対して特別な親和性を示し、有害生物の気門を封鎖して窒息死させるのではないかと推察される。
また、比較例9の組成物はナミハダニに対しては1000倍希釈の施用において高い防除効果を示した一方、同濃度でのワタアブラムシに対する防除効果は低く、対象有害生物によって防除効果に差があることが認められた。したがって比較例9の組成物は、1000倍希釈液の散布による、ナミハダニとワタアブラムシの同時防除は困難であると考えられる。これに対し、本願に係る実施例組成物は、水による1000倍希釈液で、有害生物に対して満足できる防除効果を示した。更に、ナミハダニとワタアブラムシに対して防除効果の差はほとんどなく、これら複数の対象有害生物を、実施例組成物の1000倍希釈液の一度の散布により、同時に防除し得るものであることが確認された。すなわち本願に係る有害生物防除組成物は、顕著に優れた有害生物防除効果を有すると共に、散布作業の省力化を達成できるものである。
試験例3
実施例および比較例の組成物を下記表3に示す濃度に希釈して散布液を調製し、イチゴ(品種:とちおとめ、開花期直前)及びナス(品種:千両二号、8葉期苗)に対して、十分な量(約100mL/苗)の散布液を散布した。散布7日後に、各作物に対する薬害(葉における斑点又は変色の有無)を調査した。その結果を表3に示した。
表3:試験例3の結果一覧
試料 処理濃度 イチゴ ナス
実施例2 500倍希釈 − −
1000倍希釈 − −
実施例3 500倍希釈 − −
1000倍希釈 − −
実施例6 500倍希釈 − −
1000倍希釈 − −
実施例14 500倍希釈 − −
1000倍希釈 − −
比較例9 500倍希釈 + +
1000倍希釈 + −
評価基準: 葉上に変化なし:− 葉上に斑点もしくは変色が認められる:+
試験例3の結果より、本願の実施例の組成物は、イチゴおよびナスに対して薬害が認められず、比較例9と比較して薬害の危険性が低いことが確かめられた。
試験例4
実施例1、14、16及び28並びに比較例3及び9の組成物を水により1000倍に希釈して散布液を調製し、各散布液をキュウリ葉上に寄生しているワタアブラムシの成虫に対して散布した。散布後、顕微鏡(株式会社キーエンス製;商品名マイクロスコープVHX−200)にて、該組成物のワタアブラムシへの付着状況を調査した。それら組成物の虫体に対する付着状況を、5段階の指数で評価した。それらの付着指数評価結果を表4に示した。
表4:試験例4の結果一覧
試料 処理濃度 付着指数
実施例1 1000倍希釈 4
実施例14 1000倍希釈 5
実施例16 1000倍希釈 5
実施例28 1000倍希釈 5
比較例3 1000倍希釈 1
比較例9 1000倍希釈 2
評価基準:付着指数
1:油滴の付着がほとんど観察されない。
2:小さい油滴の付着がわずかに観察される。
3:小さい油滴の付着が多く観察される。
4:小さい油滴に混じり、大きな油滴の粒子の付着も観察される。
5:大きな油滴の付着が多く観察される。
試験例4の結果より、実施例1、14、16及び28の組成物を使用した試験では、ワタアブラムシの体表周囲へ多くの油滴が集まり、付着していることが確認された。一方、比較例3及び9の組成物を使用した試験では対象害虫皮殻への油滴の付着が少ないことが観察により確認された。本願に係る実施例組成物は、その水希釈液の散布における対象害虫の観察により、害虫皮殻への有効成分の良好な付着性を示すことが認められた。このような現象によって、本発明組成物は、低濃度の散布液であっても、ハダニ類及びアブラムシ類等の有害生物に対して高い防除効果を示すものと推察される。
本発明に係る有害生物防除組成物は、水に希釈して調製される散布液を作物に散布することにより、微小有害生物を致死させる作用を有する。したがって本発明有害生物防除組成物は、農園芸植物における有害微小生物の防除のための農薬組成物として利用される。本発明に係る有害生物防除組成物は、人体に対する安全性が担保されたポリグリセリル脂肪酸エステルを有効成分とし、低濃度での施用において十分な有害生物防除効果を示す。更に本発明有害生物防除組成物は、有害生物種に対する防除効果の差が少ないことから、多様な対象生物に適用できると共に、一度の施用において複数種類の対象生物の同時防除が可能な農園芸有害生物防除用農薬として利用され得る。

Claims (16)

  1. HLBが5以下であり、且つ常温で液体のポリグリセリン脂肪酸エステル及びノニオン界面活性剤を含有し、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、オレイン酸、エルカ酸、及びリシノール酸からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記ノニオン界面活性剤が、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンである、有害生物防除組成物。
  2. ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンの重合度が6〜10である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
  3. ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が70%以上である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
  4. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、エルカ酸デカグリセリル、縮合リシノール酸ポリグリセリルの群から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の有害生物防除組成物。
  5. ノニオン界面活性剤が、0.1質量%水溶液における表面張力(20℃)が23mN/m以下であり、且つ、HLBが13以上であるノニオン界面活性剤である請求項1〜のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
  6. 組成物中におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が30〜98質量%であり、ノニオン界面活性剤の含有量が2〜30質量%である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
  7. 組成物が、農園芸における有害生物を防除するための乳剤である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
  8. 有害生物が、ダニ目、半翅目及びアザミウマ目からなる群から選ばれる動物目に属する生物の一種または二種以上である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
  9. 請求項1に記載の有害生物防除組成物を水で希釈して得られた散布液。
  10. 請求項に記載の散布液を、有害生物もしくは有害生物の発生する作物に直接散布することを特徴とする有害生物の防除方法。
  11. 散布液におけるポリグリセリン脂肪酸エステルの濃度が300〜2000ppmである請求項10に記載の有害生物の防除方法。
  12. 有害生物が、ダニ目、半翅目、及びアザミウマ目からなる群から選ばれる動物目に属する生物の一種または二種以上である請求項10又は11に記載の有害生物の防除方法。
  13. ポリグリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンの重合度が2〜10であり、脂肪酸エステルの脂肪酸が脂肪鎖中に少なくとも1つの不飽和結合を有するC8〜C24の脂肪酸であり、ポリグリセリン中の水酸基のエステル化率が60〜100%であり、HLBが0ないし5であるポリグリセリン脂肪酸エステルであり、
    ノニオン界面活性剤が、HLBが12以上で、かつ、0.1質量%溶液における20℃での表面張力が30mN/m以下あるノニオン界面活性剤であり、
    組成物の総量に対して、該ポリグリセリン脂肪酸エステルの含量が30〜98質量%、該ノニオン界面活性剤の含量が2〜40質量%であり、該ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が40〜100質量%であり、残部0〜60質量%が、任意の添加成分であり、
    有害生物が農園芸における有害生物であり、
    組成物が乳剤である請求項1に記載の有害生物防除組成物。
  14. ノニオン界面活性剤が、HLBが12以上のポリエーテル変性オルガノポリシロキサンであり、その含量が、組成物の総量に対して、2〜35質量%であり、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルと該ノニオン界面活性剤の合計含量が50〜100質量%であり、
    残部0〜50質量%が、任意の添加成分であり、
    該添加成分が、前記ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン以外のノニオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、常温液体の動植物油及び水溶性固体担体からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1又は13に記載の有害生物防除組成物。
  15. 前記ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン以外のノニオン界面活性剤又は陰イオン界面活性剤の何れか一方若しくは両者が組成物の総量に対して0〜30質量%であり、
    常温液体の動植物油が0〜50質量%であり、
    前記界面活性剤と前記の動植物油の合計が0ないし50質量%である請求項14に記載の有害生物防除組成物。
  16. 前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの、構成脂肪酸がオレイン酸、エルカ酸、及びリシノール酸からなる群から選択される少なくとも一種であり、
    前記ノニオン界面活性剤が、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサンであり、
    組成物中において、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が30〜98質量%及び該ノニオン界面活性剤の含有量が2〜30質量%であり、任意の添加成分が0〜60質量%である請求項1に記載の農園芸用有害生物防除組成物。
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