JP4429812B2 - Aba型グリセリン変性シリコーン - Google Patents

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本発明は、新規なABA型グリセリン変性シリコーンに関する。該グリセリン変性シリコーンは界面活性を有し、塗料添加剤、農薬展着剤として有用である。
除草、害虫駆除、病害予防の目的で農作物へ農薬を散布するとき、農作物への農薬の付着状態が不均一であると薬効が低下する。散布してからできるだけ短時間に、均一に農薬を農作物に付着させ、雨が降る前に薬効成分を葉内部へ浸透させる目的で、界面活性剤を含む展着剤が使用される。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル等の他、低毒性であり界面活性が高いという特性からシリコーン界面活性剤が使用されている。この活性剤の中で主鎖がトリシロキサン骨格を有するポリエーテル変性シリコーンが最も界面活性力が高く、すでに農薬用展着剤として実用化されている(特許文献1)。また、上記シリコーンはpHが酸性あるいは塩基性では界面活性が低下するという欠点があったが、シロキサン鎖の構造を変更することで改良されている(特許文献2)。
一方、炭化水素油や植物抽出液をベースとしたスプレー剤は害虫の気孔を塞ぐことによって駆除する効果と、農薬の葉内部への浸透性を向上させる効果があることが知られている(非特許文献1)。しかしながら、炭化水素油、特に植物抽出液は表面張力が高く、また疎水性の葉表面への濡れ性が劣るためアルキル変性シリコーンを添加して表面張力を低下させることが提案されている(特許文献3)。R. E. Gaskinらは“SPRAY OILS−BEYOND 2000(Published by University of Western Sydney)媒の中でアルキルシリコーンを使用した場合に植物抽出液の拡展性が著しく向上し、害虫駆除に効果があることを報告している。
さらに、最近の報告では3個以上の水酸基を有するシリコーン類および2個の水酸基を有しポリオキシエチレン基を有するシリコーン類が表面張力低下能を有するとしており、水酸基を有する官能基として糖類を例示している(特許文献4)。
特公平6−55642 号公報 特開平2000-327787号公報 欧州特許公開0648413A1号公報 特表2003-533558号公報 J. Agric. Food Chem., 34(2), 235 "SPRAY OILS−BEYOND 2000"、ウェスタンシドニー大学、2002年
しかし、上記従来のシリコーン系展着剤は、界面活性能の点でさらなる改良が必要である。そこで、本発明は従来の展着剤よりも高い界面活性を有するシリコーン系界面活性剤を提供することを目的とする。
即ち、本発明は構成単位AとBが、A‐B‐Aで結合されてなるグリセリン変性シリコーン、
但し、Aは下記式(1)で表されるオルガノシロキサン残基であり、
Figure 0004429812

Bは下記式で表されるグリセリン誘導体残基であり、
Figure 0004429812
式中、R1は、互いに独立に、ハロゲンで置換されていてよい炭素数1〜10の、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基であり、Xは0〜100の整数であり、αは1又は2であり、R2は、互いに独立に、炭素数2〜11のアルキレン基であり、sは1〜11の整数である。
上記グリセリン変性シリコーンは、界面活性作用を有し、農薬、塗料等に添加されて、それらを基材上に広く且つ均一に広げる。
本発明のA‐B‐Aで表されるグリセリン変性シリコーンにおいて、Aは下記式(1)で表されるオルガノシロキサン残基である。
Figure 0004429812
上式(1)において、R1は、互いに独立に、ハロゲンで置換されていてよい炭素数1〜10の、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基である。これらの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;トリフロロプロピル基やノナフロロオクチル基などのように一部の水素がハロゲンに置換された基、が挙げられ、好ましくはメチル基及びブチル基である。
xは0以上100以下の整数であり、好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜10である。αは1又は2である。該オルガノシロキサン残基は、本発明のシリコーンの製法に関して後述するように、例えば、末端にSiH基を有するα‐オルガノハイドロジェンシロキサンから誘導することができる。
本発明のA‐B‐Aで表されるグリセリン変性シリコーンにおいて、Bは下記式(2)で表されるグリセリン誘導体残基である。
Figure 0004429812
式中、R2は、互いに独立に、炭素数2〜11のアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ウンデセン基が挙げられる。好ましくはR2は炭素数2〜5のアルキレン基であり、より好ましくは3、即ち、プロピレン基である。また、sは1以上11以下の整数であり、好ましくは1〜7であって、さらに好ましくは2〜4である。
上記xとsの組合わせは、上記範囲内において任意であってよいが、例えば、農薬展着剤用途としては、αが1の場合、xが3でsが3又は4である組合わせが、塗料添加剤用途にはαが1の場合、xが20〜60でsが3又は4の組合わせが、特に好適である。
該グリセリン誘導体残基は、末端に不飽和結合、特にアリル基を有するグリセリン誘導体から誘導することができる。該グリセリン誘導体残基のポリグリセリン骨格は、総てのグリセリンの末端OH基で重合した直鎖状のものであっても、2級炭素に結合されたOH基で重合した分岐を含んだものであってもよい。
好ましくは、Bは下記式で表される直鎖ポリグリセリン誘導体残基である。
Figure 0004429812

上式で、R2はプロピレン基であり、Sは1〜8である。
本発明のABA型シリコーンは、末端にSiH基を有するα‐オルガノハイドロジェンシロキサンと、1分子中に2個の脂肪族不飽和結合を有するグリセリンもしくはポリグリセリンとを付加反応させることによって作ることができる。末端にSiH基を有するα‐オルガノハイドロジェンシロキサンとしては、上で述べたオルガノシロキサン残基AにHが結合した、AHで表される化合物があげられる。例えば、下記に示す、MDHM、M M H、MD3MH、M D9MHを使用することができる。但し、本明細書において、(H3C)3SiO1/2基をMと表記し、(H3C)2SiO基をDと表記し、MおよびD中のメチル基の1つが水素である単位をMHおよびDHと表記する。またメチル基の1つを置換基Rで置換した単位をそれぞれMRおよびDRと表記する。
Figure 0004429812
1分子中に2個の脂肪族不飽和結合を有するグリセリンもしくはポリグリセリンとしては、上述のBにおけるR2の一部、好ましくは末端、が不飽和結合になっているものを使用することができ、例えば下記のトリグリセリン誘導体、テトラグリセリン誘導体が好ましく、下記ものを使用することができる。
Figure 0004429812
該分子中に2個の脂肪族不飽和結合を有するグリセリン誘導体は、水酸化カリウムなどのアルカリ触媒存在下、グリセリンもしくは、ジグリセリン、トリグリセリン等のポリグリセリンと、アリルグリシジルエーテルとを反応させることで得ることができる。反応温度は60〜120℃に制御することが好ましい。反応後、アルカリ触媒を中和した後、低沸分を留去することによって、目的の物を得ることができる。
上記α−オルガノハイドロジェンシロキサンと、不飽和基を有するグリセリン誘導体とを、SiH基/CH=CH2基のモル比で0.5以上1.5未満、好ましくは0.8以上1.2未満で付加反応させる。
該付加反応は白金触媒又はロジウム触媒の存在下で行うことが好ましい。好ましい触媒の例としては、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体等が挙げられる。触媒の使用量は、触媒として有効な最小量であってよいが、白金又はロジウム量で50ppm以下であることが好ましく特に20ppm以下であることが好ましい。
上記付加反応は、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよい。有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
付加反応条件は特に限定されるものではないが、還流下で1〜10時間反応させることが好ましい。
付加反応後に、公知の方法により、弱塩酸によるアリルエーテル基の除去あるいは水素添加反応によるアルキル化を行っても良い。また、酸化防止剤としてトコフェロールやBHTを添加しても良い。
上記方法により得られた本発明のABA型グリセリン変性シリコーンの赤外スペクトル例を図1に示す。該グリセリン変性シリコーンは界面活性作用を有し、特に、油性物質との相溶性に優れ、その界面張力を低下する。そのため、農薬展着剤、塗料添加剤、金属用油剤添加剤等として好適である。
上記グリセリン変性シリコーンを、市販の農薬用油剤もしくは農薬製剤に所望の濃度で添加して使用する。又は、予め散布すべき油剤と混合しておいてもよい。油剤の量は、本発明のグリセリン変性シリコーン1質量部に対して、4〜10,000質量部で適宜調整される。該量が、前記下限値未満では、グリセリン変性シリコーンを十分に溶解できない場合がある。一方、前記上限値を超えると、グリセリン変性シリコーンの界面張力低下効果が不充分となる場合がある。
油剤としては害虫を駆除する効果と、葉内部への農薬の浸透性を向上させる効果があるものであれば、任意のものを使用することができる。例えば、植物の種子から抽出される植物油、牛脂などに代表される動物油があげられ、これらの水素化物あるいはエステル化物が用いられる。また、炭化水素油として総称されるマシン油、スピンドル油などの鉱物系も用いられる。
例えば、天然動植物油脂類及び半合成油脂としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
好ましくは融点が低く、室温で液状のアボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、ヒマワリ油、グレープシード油、綿実油であり、さらに好ましくはサフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、綿実油などの価格の低いものがあげられる。
炭化水素油としては、当業者において一般にマシン油あるいはスピンドル油と呼ばれている石油系の油剤があげられ、各種粘度の製品から適宜選択され好適に使用される。さらにオゾケライト、α―オレフィンオリゴマー、スクワラン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン(ミネラルオイル)、ポリブテン、流動イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等があるが、この中から天然動植物油と同様に室温で液状であるα―オレフィンオリゴマー、スクワラン、セレシン、流動パラフィン、流動イソパラフィンが好ましく、さらに好ましくは流動パラフィンである。
同様に植物油の構成成分である脂肪酸や高級アルコールおよびエステル油も油剤として使用可能であるが、使用上の観点から室温で液状であるものから選択されることが好ましい。なお、本発明において油剤は、2種以上のものの混合物であってよい。
油剤に加えて、農薬あるいは各種添加剤をさらに含んでもよい。使用可能な農薬としては除草剤、殺菌剤、殺虫剤などがあげられるが特に限定されるものではない。該農薬を混合する際の泡立ちを抑えるための消泡剤、例えばシリコーンオイルとシリカ等からなるシリコーン系消泡剤、を配合してもよい。さらに、溶媒、例えばヘキサン等、を配合して溶液の形態にしてもよく、また、LPG等を加えて缶に封入し、小規模に葉面に撒布するためのスプレーの形態で提供してもよい。
本発明の展着剤は、使用する際に水系の農薬に加えて乳化された状態となる自己乳化型の展着剤、もしくは、当初より水を含有する乳化型展着剤であっても良い。その場合、油剤および本発明のグリセリン変性シリコーンを、水もしくは水性組成物に乳化分散させるための界面活性剤を1種又は2種以上用いる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性の活性剤があり、特に制限されるものではないが、農薬によっては酸性物質であるものが多いため、非イオン性であることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、直鎖或いは分岐状のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖或いは分岐状のポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。該非イオン性界面活性剤の2種以上を組み合わせてもよい。なお、非イオン性界面活性剤の添加量は、展着剤総質量の1〜50質量%、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%である。前記下限値よりも少ないと水への油剤の分散性が低下し、前記上限値よりも多いとグリセリン変性シリコーンの溶解性を低下させて、該シリコーンの界面張力低下効果が十分に発揮できなくなる場合がある。
水を含有した乳化型とする場合、前述の油剤、本発明のグリセリン変性シリコーン、乳化剤としての非イオン界面活性剤に、所定量の水を添加し、プロペラミキサー、アンカーミキサー、パドルミキサー、ホモミキサー、ラインミキサー、コロイドミル、ホモジナイザー等の撹拌混合機にて乳化する。水の量は、水以外の成分の合計100質量部に対して、1000質量部であり、好ましくは、800質量部以下である。水の量が前記上限値を越えると油剤の濃度が低くなりすぎ、所望の効果を得るためには、何度も撒布しなければならず経済的ではない。
乳化型展着剤には、防腐の目的で少量の保存料・殺菌料を任意で添加してもよい。この保存料・殺菌料の例としては、次亜塩素酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラベン類、イソチアゾリン化合物等が挙げられる。これらの添加量は本発明の農薬展着剤組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜1.0質量部、より好ましくは、0.005〜0.8質量部である。
さらに、所望により、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ソーダ、キサンタンガム等の安定化剤を任意で添加しても良い。
上記農薬展着剤を農作物に散布する際は、乳化型もしくは自己乳化型のいずれの場合においても水で希釈して、撹拌混合して均一な乳化物とした後、噴霧器、散布機等を使用して散布される。撹拌混合は、一般に使用されている撹拌混合機でよく、プロペラミキサー、アンカーミキサー、パドルミキサー、ホモミキサー、ラインミキサー等が挙げられるが、小規模では撹拌棒、撹拌へら等による撹拌混合で任意の濃度の乳化物を作成することが出来る。この時、展着剤、消泡剤等の添加剤を使用しても良い。
実施例
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例中の界面張力は25℃における値であり、液滴法により空気との界面張力を測定した(協和界面化学株式会社製 全自動界面張力系PD−W型)。この方法にて測定したジメチルポリシロキサン(25℃での粘度が30mm2/s)の界面張力は18.2mN/mであった。また、表中の括弧内におけるDあるいはIの記号は溶解性を示すものでありDは微分散状態、Iは不溶を示し、特に記載のないものについては透明溶解を示すものとする。
分子中に2個の脂肪族不飽和結合を有するグリセリン誘導体の調製
該グリセリン誘導体(以下、ジアリル化グリセリンという)を、上述の方法により調製した。即ち、水酸化カリウム触媒の存在下、ポリグリセリンとアリルグリシジルエーテルとを60〜120℃で反応させ、次いで、触媒を中和した後、低沸分を留去した。
得られたトリグリセリンジアリルエーテルの物性値は、粘度330mm2/s であり、水酸基価523KOHmg/g、不飽和度が6.13meq/gの淡黄色液状物であった。水酸基価および不飽和度は、ほぼ理論値(それぞれ525、6.24)通りとなった。同様にテトラグリセリンジアリルエーテルを調製した。その物性値は粘度1397mm2/s であり、水酸基価533KOHmg/g、不飽和度が5.05meq/gの淡黄色液状物であった。
得られたジアリル化グリセリンを用いて、実施例中のABA型グリセリン変性シリコーンを調製した。調製は、撹拌機、温度計および還流管を備えた反応器に、オルガノハイドロジェンシロキサンのSiH基に対する末端不飽和基のモル比が1.0となる量のポリグリセリンジアリルエーテルと、溶媒と、有効量の触媒を入れ、オルガノハイドロジェンシロキサンを滴下しながら反応させた後、反応液を減圧下100℃にて蒸留して、溶剤を留去して行った。
例えば、実施例3のグリセリン変性シリコーンは、トリグリセリンジアリルエーテル100gとイソプロピルアルコール300gおよび塩化白金酸0.5重量%のIPA溶液0.05gを仕込み、撹拌しながら60℃にてMD3MH210gを滴下して反応させた後、反応混合物を減圧下100℃にて溶剤留去を行うことにより得た。同様にして、シロキサン重合度およびグリセリン重合度の異なるABA型グリセリン変性シリコーンを合成した。
得られた実施例3のABA型シリコーンを、重クロロホルムを溶剤として29Si-NMRにて分析を行ったところ、7.52ppmと7.11ppmに1対1の比でMe3SiO−基と−CH2Me2SiO−基によるシグナルが観測され-21.4ppmと-21.6ppmに2対1の比で−OMe2SiO−基によるシグナルが観測されたことから、シロキサン構造はMD3MRであることが確認された。また、1H-NMRにて−CH2Me2SiO−基による0.5ppmシグナルの積分値2Hに対するMe3SiO−基およびに−Me2SiO−基による0.1ppmシグナルの積分値は33Hであることからアリル基1モルに対してMD3MH1モルが結合していることが確認された。また、−CH2Me2SiO−基による0.5ppmシグナルの積分値2Hに対する水酸基の水素を含めたグリセリン鎖のシグナル(m、3.3-3.9ppm)の積分値は11Hであることからグリセリン鎖に対して2モルのシロキサンが結合していることが確認された。
さらに、KBr板法によるIR測定の結果、3400cm-1付近にOH伸縮振動による強い吸収がみられたことから本品がグリセリン基を有する化合物であることが確認された。
実施例1〜11
調製した11種類のABA型グリセリン変性シリコーンの特性を測定した結果を下表に示す。
Figure 0004429812
上表において、グリセリン質量%は、出発反応混合物総重量中のジアリル化グリセリンの質量%である。粘度はキャノンヘンスケ粘度計により、比重は浮きばかり法により、屈折率はアッベ計により夫々測定した。
実施例12〜16 油性組成物
得られたグリセリン変性シリコーンを、油剤中に10質量%で混合した組成物を調製し、該組成物の界面張力を測定した。結果を下表2に示す。
Figure 0004429812
表2において、各油剤の下に記載されているのは、油剤単独の界面張力である。該値に比べて、各実施例組成物の界面張力が、著しく低いことが分かる。特に、実施例14および16の界面張力は、一般的なシリコーンオイルの界面張力に匹敵するほどであった。なお、これらの組成物において、ABA型シリコーンが完全に溶解しておらず僅かに分散している状態(D)であっても、界面張力の測定値は再現性がよく、何ら問題はなかった。
表3においてさらに低濃度での測定を行ったところ流動パラフィンにおいては1質量%の添加で著しい効果が見られ、菜種油では5質量%の添加で著しい効果が見られた。特に、実施例9の変性シリコーンの界面張力低下能が高く、いずれの油剤においても僅か1質量%の添加で著しく低下している。
実施例14及び16において、ABA型シリコーンの濃度による、界面張力の変化を調べた。結果を下表に示す。
Figure 0004429812
流動パラフィンにおいては、1質量%の添加で著しい効果が見られ、菜種油では5質量%の添加で著しい効果が見られた。特に、実施例9の変性シリコーンの界面張力低下能が高く、いずれの油剤においても僅か1質量%の添加で著しく低下した。
比較例1〜6
グリセリン誘導体残基を有しないシリコーン又はABA型ではないシリコーンを調製して各物性を測定し、さらに実施例と同様に油剤と混合して、混合物の界面張力を測定した。結果を下表に示す。
Figure 0004429812
表4に示したとおり、他の構造ではいずれも本発明のABA型グリセリン変性シリコーンと比較して界面張力の低下効果に劣った。特にトリグリセリンモノアリルエーテルにより変性した比較例5は、AB型のグリセリン変性シリコーンであるが、油剤との相溶性に劣り、油剤中で沈殿してしまったために、界面張力の測定ができなかった。
実施例17〜20 乳化型組成物
次に、表5の配合の組成物を調製し、さらに水以外の成分が10%になるように水を添加し、均一に撹拌混合し、乳化型組成物を調製した。該組成物を、スプレーで葉に塗布し、水分が乾燥した後、葉の表面を観察して油剤の付着状態を目視観察し、下記基準により評価した。
○:油剤の付着範囲が、葉全表面積の95%以上
△:油剤の付着範囲が、葉全表面積の70〜95%
×:油剤の付着範囲が、葉全表面積の70%以下。
Figure 0004429812
上表から、本発明の乳化型組成物は、油剤が葉一面に広がって付着し、散布効率が高いことが分かった。
本発明の新規なABA型グリセリン変性シリコーンは、優れた界面活性剤である。又、油剤との相溶性に優れるので、油性組成物として又は乳化型組成物として、農薬展着剤、塗料展着剤等に好適である。
実施例3のABA型グリセリン変性シリコーンのIRチャートである。

Claims (9)

  1. 構成単位AとBが、A-B-Aで結合されてなるグリセリン変性シリコーン、
    但し、Aは下記式(1)で表されるオルガノシロキサン残基であり、

    Figure 0004429812

    Bは下記式で表されるグリセリン誘導体残基であり、

    Figure 0004429812

    式中、R1は、互いに独立に、ハロゲンで置換されていてよい炭素数1〜10の、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基であり、Xは0〜100の整数であり、αは1又は2であり、R2は、互いに独立に、炭素数2〜11のアルキレン基であり、sは1〜11の整数である。
  2. 構成単位Bが、下記式で表されるグリセリン誘導体残基である、請求項1記載のグリセリン変性シリコーン、

    Figure 0004429812

    式中、R2はプロピレン基であり、sは1〜8である。
  3. 請求項1または2記載のグリセリン変性シリコーンを含む界面活性剤。
  4. 請求項1または2記載のグリセリン変性シリコーンを含む農薬展着剤。
  5. グリセリン変性シリコーン1質量部に対して、4〜10,000質量部の少なくとも1種の油剤をさらに含む、請求項4記載の農薬展着剤。
  6. さらに乳化剤を含有することを特徴とする請求項4または5記載の農薬展着剤。
  7. さらに水を含有し、乳化された形態であることを特徴とする請求項6記載の農薬展着剤。
  8. 油剤が植物抽出油であることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項記載の農薬展着剤。
  9. α―オルガノハイドロジェンシロキサンと、両末端に脂肪族不飽和結合を夫々有するグリセリン誘導体を付加反応させることを含む、請求項1または2記載のグリセリン変性シリコーンの製造方法。
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