JP6460464B2 - 農薬用固着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、農薬用固着剤組成物、農薬組成物及び農薬の効力増強方法に関する。
植物体上に存在する有害生物、例えば植物病原菌や植物害虫による病害を予防または駆除する目的で、生産者は農園芸用殺菌剤や殺虫剤などの農薬製剤を水で希釈し、植物へ散布する防除方法が行われる。しかし、散布により植物表面に付着した農薬は、その活性成分が降雨や灌水により簡単に流亡し、また、風により剥離、脱落するなど、農薬の防除効果の持続性が損なわれる。その結果、農業生産性が低下し、またさらなる農薬散布を強いられことにより労力と生産コストが向上し、さらに農薬の過剰散布などによる環境安全性が悪化するなどの課題があった。
これらの課題を克服するため、農薬の降雨等による流亡、剥離、脱落を防止することを目的に、農薬成分を植物表面上に固着させる固着剤が従来より開発されてきた。たとえば、特許文献1には粒径が5〜75μmである農園芸用防除剤と食用油脂とを含有する農園芸用薬剤が開示されている。
一方、農薬製剤の製剤安定性を向上する目的で植物油が使用されてきた。たとえば、特許文献2には製剤の懸濁安定性を向上した、殺菌性農薬活性成分と、クラフトリグニンと、植物油もしくは高級脂肪酸とを含有する水性懸濁状農薬製剤が開示されている。また、特許文献3には殺虫剤エトキサゾールが沈降しないよう安定性を高めた、エトキサゾールと、植物油と、乳化剤とを含有する殺虫殺ダニ用乳剤が開示されている。
特開2005−170892号公報 特開2007−39370号公報 特開2011−148756号公報
しかし、これらの従来技術では、植物等への農薬の固着性の向上は十分といえず、耐雨性などを向上させることはできなかった。また、固着剤組成物の安定性も十分ではなかった。
本発明は、農薬の固着性に優れ、且つ製剤安定性の高い農薬用固着剤組成物を提供する。
本発明は、下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び水を含有する農薬用固着剤組成物に関する。
成分A:下記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリド
Figure 0006460464
〔式中、R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基を示す。〕
成分B:下記式(B)で表される脂肪酸
式(B)
1b−COOH
〔式中、R1bは、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基を示す。〕
成分C:ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル
また、本発明は、農薬原体と上記本発明の農薬用固着剤組成物とを配合してなる農薬組成物に関する。
また、本発明は、農薬原体を、上記本発明の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の効力増強方法に関する。
本発明によれば、農薬の固着性に優れ、且つ製剤安定性の高い農薬用固着剤組成物が提供される。
農薬の固着性とは、殺菌剤、殺虫剤、除草剤等の農薬が対象物に固定する性質であり、本発明の農薬用固着剤組成物は、このような農薬の固着性を向上させるものである。農薬の固着性が向上することで、農薬の降雨等による流亡、剥離、脱落が防止され、植物等の対象物上で長期に農薬の効力を持続させ、耐雨性などを向上させることができる。
〔農薬用固着剤組成物〕
<成分A>
成分Aは、前記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリドである。成分Aは、1種以上の化合物が使用される。式(A)中、R、R及びRは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基であり、それぞれ、好ましくは炭素数8以上、16以下のアシル基であり、より好ましくは、炭素数8以上、14以下のアシル基であり、更に好ましくは炭素数8以上、12以下のアシル基であり、更により好ましくは炭素数8以上、10以下のアシル基である。R、R及びRは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、それぞれ、好ましくは直鎖のアシル基である。また、同様の観点から、R、R及びRは、それぞれ、好ましくは飽和のアシル基である。
成分Aは、式(A)中、R、R及びRが、同一又は異なって、好ましくは、炭素数8以上、18以下、より好ましくは、炭素数8以上、16以下、更に好ましくは、炭素数8以上、14以下、更により好ましくは、炭素数8以上、12以下、更により好ましくは、炭素数8以上、10以下の、直鎖飽和アシル基である脂肪酸トリグリセリドである。
成分Aの脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などであり、より好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びパルミチン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸であり、更に好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びミリスチン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸であり、更により好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸であり、更により好ましくはカプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選ばれる2種以上の脂肪酸である。成分Aの脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸は、好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びミリスチン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸を含み、更により好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸を含み、更により好ましくはカプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選ばれる2種以上の脂肪酸を含む。脂肪酸は2種以上を用いても良い。また、これら炭素数の異なる脂肪酸トリグリセリドを2種以上用いても良い。
農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Aの脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸が、カプリル酸とカプリン酸とであることが好ましく、その場合、カプリル酸/カプリン酸の質量比は、好ましくは10/90以上であり、より好ましくは50/50以上であり、更に好ましくは70/30以上であり、そして、好ましくは90/10以下である。従って、成分Aは、式(A)中のR、R、Rが、同一又は異なって、炭素数8のアシル基及び炭素数10のアシル基であることが好ましい。また、成分Aは、式(A)中のR、R、Rが、同一又は異なって、炭素数8のアシル基及び炭素数10のアシル基から選ばれるアシル基であることが好ましい。また、成分Aは、式(A)中のR、R、Rが、全て炭素数8のアシル基である脂肪酸トリグリセリド、式(A)中のR、R、Rが、全て炭素数10のアシル基である脂肪酸トリグリセリド、及び式(A)中のR、R、Rの一部が炭素数8のアシル基であり残部が炭素数10のアシル基である脂肪酸トリグリセリドの組み合わせであることも好ましい。また、成分Aは、式(A)中のR、R、Rが、全て炭素数8のアシル基である脂肪酸トリグリセリド、式(A)中のR、R、Rが、全て炭素数10のアシル基である脂肪酸トリグリセリド、及び式(A)中のR、R、Rの一部が炭素数8のアシル基であり残部が炭素数10のアシル基である脂肪酸トリグリセリドから選ばれる1種以上の脂肪酸トリグリセリドであることも好ましい。
成分Aの脂肪酸トリグリセリドは、植物油、又は動物油由来のトリグリセリドであってもよく、環境性への負荷が小さい観点から、好ましくは植物油由来のトリグリセリドである。植物油は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくはパーム油、パーム核油、ナタネ油、ゴマ油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ダイズ油、綿実油、コメ油、コメヌカ油、ヒマシ油、ベニバナ油であり、より好ましくはパーム油、パーム核油、ナタネ油、ヤシ油、コメヌカ油であり、更に好ましくはパーム核油、ヤシ油であり、更により好ましくはヤシ油である。成分Aを含有する植物油、又は動物油は、成分Aとしてそのまま使用することができる。
成分Aは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは下記(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)から選ばれる1種以上の脂肪酸トリグリセリドであり、より好ましくは(A1)、(A2)及び(A3)から選ばれる1種以上の脂肪酸トリグリセリドであり、更に好ましくは(A1)及び(A2)から選ばれる1種以上の脂肪酸トリグリセリドであり、更により好ましくは(A1)から選ばれる脂肪酸トリグリセリドである。
(A1)式(A)中のR、R及びRが、炭素数8のアシル基と炭素数10のアシル基の組み合わせである脂肪酸トリグリセリド、又は、式(A)中のR、R及びRが、カプリル酸とカプリン酸の混合脂肪酸のアシル基である脂肪酸トリグリセリド、又は、カプリル酸及びカプリン酸の混合脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド
(A2)式(A)中のR、R及びRがそれぞれ炭素数8のアシル基である脂肪酸トリグリセリド
(A3)ヤシ油由来のトリグリセリド
(A4)パーム核油由来のトリグリセリド
本発明の農薬用固着剤組成物は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Aを、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、更により好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、更により好ましくは40質量%以下含有する。
<成分B>
成分Bは、前記式(B)で表される脂肪酸である。成分Bは、1種以上の化合物が使用される。式(B)中、R1bは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基である。R1bは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基である。また、R1bは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは不飽和、すなわちアルケニル基である。R1bは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは炭素数11以上、19以下のアルケニル基である。R1bの炭素数は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは13以上、17以下であり、より好ましくは15以上、17以下であり、更に好ましくは17である。R1bは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは炭素数13以上、17以下のアルキル基又は炭素数13以上、17以下のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数13以上、17以下のアルケニル基である。R1bは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは炭素数17の直鎖のアルキル基又は炭素数17の直鎖のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数17の直鎖のアルケニル基である。
成分Bとしては、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸等であり、より好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸であり、更に好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸であり、更により好ましくは、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸であり、更により好ましくはオレイン酸である。成分Bは、炭素数の異なる脂肪酸を2種以上用いても良い。
本発明の農薬用固着剤組成物は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Bを、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更により好ましくは3質量%以上、更により好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、更により好ましくは7質量%以下含有する。
<成分C>
成分Cは、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである。成分Cは、1種以上の化合物が使用される。
成分Cのオキシアルキレン基の付加モル数は、ソルビトール1モルに対して、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、更により好ましくは25以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは35以上であり、そして、好ましくは80以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは60以下、更により好ましくは55以下、更により好ましくは50以下である。オキシアルキレン基は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる基が好ましく、より好ましくはオキシエチレン基が挙げられる。
成分Cを構成する脂肪酸のアシル基の炭素数は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上、更により好ましくは16以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下であり、更に好ましくは18である。成分Cを構成する脂肪酸のアシル基は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは直鎖である。また、成分Cを構成する脂肪酸のアシル基は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは不飽和である。成分Cを構成する脂肪酸は不飽和脂肪酸が好ましい。また、成分Cを構成する脂肪酸のアシル基は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくはカプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、及びベヘン酸から選ばれる脂肪酸のアシル基であり、より好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる脂肪酸のアシル基であり、更に好ましくはオレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる脂肪酸のアシル基であり、更により好ましくはオレイン酸のアシル基である。
成分Cとしては、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは35以上であり、好ましくは80以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは60以下、更により好ましくは55以下、更により好ましくは50以下であり、オキシアルキレン基が、好ましくはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基、より好ましくはオキシエチレン基であり、脂肪酸のアシル基の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上、更により好ましくは16以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは18であり、脂肪酸のアシル基が不飽和脂肪酸のアシル基である、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルが挙げられる。
成分Cが有するアシル基の個数、すなわちエステル化度は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4以下であり、更に好ましくは4である。成分Cとしては、ソルビトールアルキレンオキシド付加物のモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、テトラ脂肪酸エステル、又はペンタ脂肪酸エステルが挙げられ、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくはソルビトールアルキレンオキシド付加物のトリ脂肪酸エステル、テトラ脂肪酸エステル、又はペンタ脂肪酸エステルであり、より好ましくはソルビトールアルキレンオキシド付加物のテトラ脂肪酸エステル、又はペンタ脂肪酸エステルであり、更に好ましくはソルビトールアルキレンオキシド付加物のテトラ脂肪酸エステルである。これらの脂肪酸やアルキレンオキシド(オキシアルキレン基)の好ましい態様は前述の通りである。
成分Cは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは、下記(C1)、(C2)及び(C3)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルであり、より好ましくは、下記(C2)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである。(C1)、(C2)及び(C3)におけるオキシアルキレン基は、同様の観点から、好ましくはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基であり、より好ましくはオキシエチレン基である。
(C1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸、好ましく炭素数18の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
(C2)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸、好ましく炭素数18の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
(C3)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸、好ましく炭素数18の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
成分Cは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは、下記(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルであり、より好ましくは、下記(C2−1)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである。(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)におけるオキシアルキレン基は、同様の観点から、好ましくはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基であり、より好ましくはオキシエチレン基である。
(C1−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
(C2−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
(C3−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
成分Cとして、アルキレンオキシド付加モル数、脂肪酸の炭素数、エステル化度などが異なるポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルを2種以上用いても良い。
成分Cは、ソルビトールに所定量のアルキレンオキシドを付加させて、ソルビトールのアルキレンオキシド付加物を得た後、これと脂肪酸とをエステル化反応させることで製造できる。アルキレンオキシドは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシドであり、より好ましくはエチレンオキシドである。アルキレンオキシドの種類、脂肪酸の種類、仕込み量等を変化させることで、成分Cの各種ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルを合成することができる。
本発明の農薬用固着剤組成物は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Cを、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更により好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、更に好ましくは7質量%以下含有する。
<水>
本発明の農薬用固着剤組成物は、水を含有する。水としては、農薬用固着剤組成物の効果を阻害しない範囲で、水道水、蒸留水、イオン交換水などを使用することができ、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくはイオン交換水である。
本発明の農薬用固着剤組成物中の水の含有量は、成分A、成分B、成分C及びその他の成分を除いた残部であり、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは16質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更により好ましくは40質量%以上、更により好ましくは50質量%以上、更により好ましくは55質量%以上であり、そして、好ましくは93.5質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、更により好ましくは80質量%以下、更により好ましくは70質量%以下、更により好ましくは62質量%以下である。
<その他の成分、形態、組成等>
本発明の農薬用固着剤組成物は、成分A、成分B、成分C、及び水の他に、これらの成分以外の化合物、例えば、油や界面活性剤として使用される化合物を含有することができる。
本発明の農薬用固着剤組成物は、水を含有する液体の組成物である。本発明の農薬用固着剤組成物では、成分A、成分B、及び成分Cの含有量の合計は、固着剤組成物の安定性の観点及び経済性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更により好ましくは30質量%以上、更により好ましくは38質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更により好ましくは50質量%以下、更により好ましくは45質量%以下である。
本発明の農薬用固着剤組成物の25℃におけるpHは、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、更に好ましくは3.5以上、更により好ましくは4.5以上であり、そして、好ましくは11以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは7以下、更により好ましくは6.5以下、更により好ましくは5.5以下である。
本発明の農薬用固着剤組成物の25℃における粘度は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは2.0mPa・s以上、更に好ましくは3.0mPa・s以上、更により好ましくは4.0mPa・s以上、更により好ましくは5.0mPa・s以上であり、そして、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下、更により好ましくは50mPa・s以下、更により好ましくは30mPa・s以下、更により好ましくは20mPa・s以下、更により好ましくは15mPa・s以下、更により好ましくは13mPa・s以下である。
粘度の測定は、ブルックフィールド粘度計を用い、温度が25℃の組成物について行う。測定条件は、上記範囲の粘度を測定するのに適したロータと回転数を選定し測定すれば良いが、たとえば東機産業(株)製TVB−10M型粘度計で測定する場合、使用するロータはNo.20、回転速度は60rpmである。
本発明の農薬用固着剤組成物では、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Aと成分Bの質量比が、成分A/成分Bで、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、更により好ましくは4以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下、更により好ましくは7以下である。
本発明の農薬用固着剤組成物では、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Aと成分Cの質量比が、成分A/成分Cで、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、更により好ましくは4以上、更により好ましくは4.5以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下、更により好ましくは8以下、更により好ましくは7以下、更により好ましくは6以下である。
本発明の農薬用固着剤組成物では、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Bと成分Cの質量比が、成分B/成分Cで、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上、更により好ましくは0.8以上、更により好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更により好ましくは1.5以下である。
本発明の農薬用固着剤組成物では、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Aと成分Bとの合計と、成分Cとの質量比が、(成分A+成分B)/成分Cで、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、更により好ましくは6以上、更により好ましくは6.5以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは7.5以下である。
本発明の農薬用固着剤組成物では、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、成分Aと、成分Bと成分Cとの合計との質量比が、成分A/(成分B+成分C)で、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.5以上、更により好ましくは2.0以上、更により好ましくは2.4以上であり、そして、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.5以下、更により好ましくは3.5以下、更により好ましくは3.0以下である。
本発明の農薬用固着剤組成物は、例えば、成分A、成分B、及び成分Cを混合し、撹拌しながらの所定量の水を徐々に加えることによって作製することができる。また、各成分の投入する順番は異なっても構わない。作製時の温度は、農薬の固着性及び固着剤組成物の安定性の観点から、好ましくは30℃以上、100℃以下、より好ましくは40℃以上、90℃以下、更に好ましくは50℃以上、80℃以下である。
本発明は、成分A、成分B、成分C、及び水を混合する、農薬用固着剤組成物の製造方法を提供する。この製造方法により、本発明の農薬用固着剤組成物が製造される。本発明の農薬用固着剤組成物の製造方法では、成分A、成分B、及び成分Cを、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下で混合し、この混合物に好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下の水を混合することが好ましい。
本発明の農薬用固着剤組成物の製造方法には、本発明の農薬用固着剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
本発明の農薬用固着剤組成物は、殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の農薬原体と混合し、所定の濃度になるよう水で希釈し、植物の茎、葉等に適用される。本発明の農薬用固着剤組成物と農薬原体(農薬製剤)とを混合して水に希釈した際、成分Aと成分Bが混合した微細乳化物が、成分Cにより水中で乳化分散する。そして、希釈に用いられる水や農薬(農薬製剤)に配合されている水に存在するカルシウムイオンなどと微細乳化物中の成分Bとが結合し、微細乳化物の複合体による強い被膜を形成することで、従来にない農薬の固着性を発揮すると考えられる。成分A、成分B、及び成分Cのいずれか一つでも欠けると、農薬の固着性の向上効果は低減する。
本発明は、下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び水を含有する農薬用固着剤組成物を提供する。この農薬用固着剤組成物には、上記で述べた事項を適宜適用することができる。
成分A:下記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリド
Figure 0006460464
〔式中、R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基、好ましくは炭素数8以上、12以下のアシル基を示す。〕
成分B:下記式(B)で表される脂肪酸
式(B)
1b−COOH
〔式中、R1bは、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基、好ましくは炭素数13以上、17以下のアルキル基又は炭素数13以上、17以下のアルケニル基を示す。〕
成分C:下記(C1)、(C2)及び(C3)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル
(C1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
(C2)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
(C3)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
また、本発明は、下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び水を含有する農薬用固着剤組成物を提供する。この農薬用固着剤組成物には、上記で述べた事項を適宜適用することができる。
成分A:下記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリド
Figure 0006460464
〔式中、R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基、好ましくは炭素数8以上、12以下のアシル基を示す。〕
成分B:下記式(B)で表される脂肪酸
式(B)
1b−COOH
〔式中、R1bは、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基、好ましくは炭素数13以上、17以下のアルキル基又は炭素数13以上、17以下のアルケニル基を示す。〕
成分C:下記(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル
(C1−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
(C2−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
(C3−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
〔農薬組成物〕
本発明の農薬組成物は、農薬原体と上記本発明の農薬用固着剤組成物とを配合してなる。
本発明の農薬組成物に用いられる農薬原体としては、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤及び除草剤、各々の有効成分から選択される何れかの農薬原体が挙げられる。ここで、農薬原体とは農薬の有効成分である化合物をいう。
本発明の農薬組成物に用いられる農薬原体としては、例えば、農薬ハンドブック2011年度版(社団法人 日本植物防疫協会、平成23年2月25日発行)に記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の農薬用固着剤組成物やこれを配合してなる農薬組成物は、種々の作物に対して薬害はなく安全に使用できるものである。
殺菌剤としては、例えば、国際公開第2012/029893号に記載のもの等が挙げられる。殺菌剤としては、農薬の固着性の観点から、好ましくは塩基性硫酸銅、有機銅(Oxine-copper)、水酸化第二銅であり、より好ましくは塩基性硫酸銅である。
殺虫剤としては、例えば、国際公開第2012/029893号に記載のもの等が挙げられる。殺虫剤としては、農薬の固着性の観点から、好ましくはペルメトリン、DDVP(ジメチル2,2-ジクロルビニルホスフェート)、メソミル(Sメチル-N〔(メチルカルバモイル)オキシ〕チオアセトイミド)、アセフェート(ホスホルアミドチオ酸-O,S-ジメチル-N-アセチル)であり、より好ましくはアセフェートである。
殺ダニ剤としては、例えば、国際公開第2012/029893号に記載のもの等が挙げられる。殺ダニ剤としては、農薬の固着性の観点から、好ましくはフェニソブロモレート(4,4'-ジブロムベンジル酸イソプロピル)、アミトラスズ(3-メチル-1,5-ビス(2,4-キシリル)-1,3,5-トリアザペンタ-1,4-ジエン)、フェンピロキシメート(tert−ブチル=(E)-α-(1,3-ジメチル-5-フェノキシピラゾール-4-イルメチレンアミノオキシ)-p-トルアート)である。
除草剤としては、例えば、国際公開第2012/029893号に記載のもの等が挙げられる。除草剤としては、農薬の固着性の観点から、好ましくはDBN(2,6-ジクロロベンゾニトリル)、DCMU(3-(3,4−ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア)、パラコート(1,1'−ジメチル-4,4'-ビピリジウムジクロライド)、ジクワット(6,7-ジヒドロジピリド[1,2-a:2',1'c]ピラジンディウムジブロマイド)、グリホセート(N-(ホスホノメチル)グリシン又はその塩)であり、より好ましくはグリホセートである。
本発明の農薬組成物において、農薬組成物中の農薬原体の配合濃度は、農薬原体の効果を発現する観点から、好ましくは10ppm以上、より好ましくは100ppm以上、更に好ましくは500ppm以上であり、そして、好ましくは200000ppm以下、より好ましくは50000ppm以下、更に好ましくは30000ppm以下である。
本発明の農薬組成物中の本発明の農薬用固着剤組成物の配合濃度は、植物や害虫に付着した液滴の垂れ落ちを防止して付着量を高め、農薬原体の固着を増強させる観点から、好ましくは100ppm以上、より好ましくは500ppm以上、更に好ましくは1000ppm以上であり、そして、好ましくは20000ppm以下、より好ましくは10000ppm以下、更に好ましくは4000ppm以下となるよう配合される。
本発明の農薬組成物中の成分Aの配合濃度は、農薬原体の固着を増強させる観点から、好ましくは50ppm以上、より好ましくは150ppm以上、更に好ましくは200ppm以上、更により好ましくは300ppm以上であり、そして、好ましくは15000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下、更により好ましくは800ppm以下である。
本発明の農薬組成物中の成分Bの配合濃度は、農薬原体の固着を増強させる観点から、好ましくは15ppm以上、より好ましくは20ppm以上、更に好ましくは50ppm以上、更により好ましくは80ppm以上であり、そして、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下、更により好ましくは300ppm以下、更により好ましくは180ppm以下、更により好ましくは150ppm以下である。
本発明の農薬組成物中の成分Cの配合濃度は、農薬原体の固着を増強させる観点から、好ましくは15ppm以上、より好ましくは50ppm以上、更に好ましくは60ppm以上、更に好ましくは80ppm以上であり、そして、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下、更により好ましくは300ppm以下、更に好ましくは180ppm以下、更により好ましくは150ppm以下である。
また、本発明の農薬組成物の製剤型は、乳剤、液剤、水和剤、粒剤、粉剤、フロアブル製剤等いずれでもよく、製剤型は問わない。従って、その製剤型に応じた他の添加剤、例えば乳化剤、溶剤、分散剤、担体等を含有するものであってもよい。本発明の農薬用固着剤組成物の使用方法は、例えば、農薬用固着剤組成物を配合した前記各種剤型の農薬組成物を使用する方法と、農薬(本発明の農薬用固着剤組成物を含有しないもの)希釈使用時に前記農薬用固着剤組成物を使用する方法があるが、どちらの方法にても本発明の目的とする優れた農薬の固着効果が得られる。
本発明の農薬組成物の製剤中に必要に応じてキレート剤、pH調節剤、無機塩類、増粘剤を加えてもよい。
また、本発明の農薬用固着剤組成物は農薬の固着性を向上し、その結果、農薬の効力を増強できるため、農薬原体、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、及び除草剤から選ばれる農薬原体を、上記本発明の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の効力増強方法が提供される。
また、本発明の農薬用固着剤組成物は農薬の耐雨性を向上できるため、農薬原体、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、及び除草剤から選ばれる農薬原体を、上記本発明の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の耐雨性の向上方法が提供される。前記した本発明の農薬の効力増強方法は、農薬の耐雨性を向上させることによる、農薬の効力増強方法であってよい。
また、本発明の農薬用固着剤組成物は農薬の固着性を向上できるため、農薬原体、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、及び除草剤から選ばれる農薬原体を、上記本発明の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の固着性の向上方法が提供される。前記した本発明の農薬の効力増強方法は、農薬の固着性を向上させることによる、農薬の効力増強方法であってよい。
本発明において、農薬原体の対象物は、殺菌剤は菌、殺虫剤は病害虫(昆虫)、殺ダニ剤はダニ、除草剤は雑草(農作物に該当しない植物)であり、これらの複数が対象物となってもよい。また、本発明の農薬の効力増強方法は、本発明の農薬組成物を、雑草、ダニ、病害虫及び菌から選ばれる対象物に適用する方法、例えば、農作物の栽培地に散布する方法等として実施できる。
本発明は、農薬原体、成分A、成分B、成分C、及び水を混合する農薬組成物の製造方法を提供する。農薬原体、成分A、成分B、成分Cは、農薬組成物中の配合濃度が、前記の通りとなるように、それぞれ用いる。本発明の農薬組成物の製造方法には、本発明の農薬用固着剤組成物及び本発明の農薬組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
<本発明の態様>
以下に、本発明の態様を例示する。これらの態様には、本発明の農薬用固着剤組成物、農薬組成物及び農薬の効力増強方法で述べた事項を適宜適用することができる。
<1> 下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び水を含有する農薬用固着剤組成物。
成分A:下記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリド
Figure 0006460464
〔式中、R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基を示す。〕
成分B:下記式(B)で表される脂肪酸
式(B)
1b−COOH
〔式中、R1bは、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基を示す。〕
成分C:ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル
<2> 成分Aが、式(A)中のR、R、Rが、それぞれ、炭素数8以上、16以下のアシル基である、好ましくは炭素数8以上、14以下のアシル基である、より好ましくは炭素数8以上、12以下のアシル基である、更に好ましくは炭素数8以上、10以下のアシル基である脂肪酸トリグリセリドである、前記<1>記載の農薬用固着剤組成物。
<3> 成分Aが、一般式(A)中のR、R及びRが、それぞれ、直鎖のアシル基である脂肪酸トリグリセリドである、前記<1>又は<2>記載の農薬用固着剤組成物。
<4> 成分Aが、一般式(A)中のR、R及びRが、それぞれ、飽和のアシル基である脂肪酸トリグリセリドである、前記<1>〜<3>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<5> 成分Aの脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、及びパルミチン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、より好ましくはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、及びミリスチン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、更に好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、更により好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、及びラウリン酸から選ばれる2種以上の脂肪酸である、前記<1>〜<4>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<6> 成分Aの脂肪酸トリグリセリドが、植物油由来のトリグリセリドである、好ましくはパーム油、パーム核油、ナタネ油、ゴマ油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヒマワリ油、ダイズ油、綿実油、コメ油、コメヌカ油、ヒマシ油、及びベニバナ油から選ばれる油脂由来のトリグリセリドである、より好ましくはパーム油、パーム核油、ナタネ油、ヤシ油、及びコメヌカ油から選ばれる油脂由来のトリグリセリドである、更に好ましくはパーム核油、及びヤシ油から選ばれる油脂由来のトリグリセリドである、更により好ましくはヤシ油由来のトリグリセリドである、前記<1>〜<5>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<7> 成分Aが、下記(A1)、(A2)、(A3)及び(A4)から選ばれる1種以上の脂肪酸トリグリセリドである、好ましくは(A1)、(A2)及び(A3)から選ばれる1種以上の脂肪酸トリグリセリドである、より好ましくは(A1)、及び(A2)から選ばれる1種以上の脂肪酸トリグリセリドである、更に好ましくは(A1)から選ばれる脂肪酸トリグリセリドである、前記<1>〜<6>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
(A1)式(A)中のR、R及びRが、炭素数8のアシル基と炭素数10のアシル基の組み合わせである脂肪酸トリグリセリド、又は、式(A)中のR、R及びRが、カプリル酸とカプリン酸の混合脂肪酸のアシル基である脂肪酸トリグリセリド、又は、カプリル酸及びカプリン酸の混合脂肪酸とグリセリンとのトリグリセリド
(A2)式(A)中のR、R及びRがそれぞれ炭素数8のアシル基である脂肪酸トリグリセリド
(A3)ヤシ油由来のトリグリセリド
(A4)パーム核油由来のトリグリセリド
<8> 成分Aの脂肪酸トリグリセリドを構成する脂肪酸が、カプリル酸とカプリン酸とであり、カプリル酸/カプリン酸の質量比が、好ましくは10/90以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは70/30以上、そして、好ましくは90/10以下である、前記<1>〜<6>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<9> 成分Aを、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、更により好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、更により好ましくは40質量%以下含有する、前記<1>〜<8>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<10> 成分Bが、式(B)中のR1bが炭素数13以上、17以下、好ましくは15以上、17以下、より好ましくは17のアルキル基又はアルケニル基の脂肪酸である、前記<1>〜<9>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<11> 成分Bが、式(B)中のR1bが直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基の脂肪酸である、前記<1>〜<10>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<12> 成分Bが、式(B)中のR1bがアルケニル基の脂肪酸である、前記<1>〜<11>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<13> 成分Bが、式(B)中のR1bが炭素数17の直鎖のアルキル基又は炭素数17の直鎖のアルケニル基の脂肪酸である、更により好ましくは炭素数17の直鎖のアルケニル基の脂肪酸である、前記<1>〜<12>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<14> 成分Bが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、及びアラキドン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、より好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、更に好ましくは、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上の脂肪酸である、更により好ましくはオレイン酸である、前記<1>〜<13>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<15> 成分Bを、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、更により好ましくは3質量%以上、更により好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、更により好ましくは7質量%以下含有する、前記<1>〜<14>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<16> 成分Cのオキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは20以上、更により好ましくは25以上であり、更により好ましくは30以上、更により好ましくは35以上であり、そして、好ましくは80以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは60以下、更により好ましくは55以下、更により好ましくは50以下である、前記<1>〜<15>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<17> 成分Cを構成する脂肪酸のアシル基の炭素数が、好ましくは8以上、より好ましくは12以上、更に好ましくは14以上、更により好ましくは16以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは18以下であり、更に好ましくは18である、前記<1>〜<16>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<18> 成分Cを構成する脂肪酸のアシル基が不飽和アシル基である、前記<1>〜<17>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<19> 成分Cを構成する脂肪酸のアシル基が、好ましくはカプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、及びベヘン酸から選ばれる脂肪酸のアシル基である、より好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる脂肪酸のアシル基である、更に好ましくはオレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる脂肪酸のアシル基である、更により好ましくはオレイン酸のアシル基である、前記<1>〜<17>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<20> 成分Cを構成する脂肪酸のアシル基が直鎖アシル基である、前記<1>〜<19>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<21> 成分Cが有するアシル基の個数、すなわちエステル化度が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、更に好ましくは3以上であり、そして、好ましくは5以下、より好ましくは4以下であり、更に好ましくは4である、前記<1>〜<20>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<22> 成分Cが、ソルビトールアルキレンオキシド付加物のモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、テトラ脂肪酸エステル、又はペンタ脂肪酸エステルである、好ましくはソルビトールアルキレンオキシド付加物のトリ脂肪酸エステル、テトラ脂肪酸エステル、又はペンタ脂肪酸エステルである、より好ましくはソルビトールアルキレンオキシド付加物のテトラ脂肪酸エステル、又はペンタ脂肪酸エステルである、更に好ましくはソルビトールアルキレンオキシド付加物のテトラ脂肪酸エステルである、前記<1>〜<21>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<23> 成分Cが、下記(C1)、(C2)及び(C3)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、好ましくは下記(C1)、(C2)及び(C3)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルであって、(C1)、(C2)及び(C3)におけるオキシアルキレン基が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基であるポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、より好ましくは下記(C1)、(C2)及び(C3)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルであって、(C1)、(C2)及び(C3)におけるオキシアルキレン基が、オキシエチレン基であるポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、前記<1>〜<22>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
(C1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸、好ましく炭素数18の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
(C2)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸、好ましく炭素数18の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
(C3)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸、好ましく炭素数18の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
<24> 成分Cが、下記(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、好ましくは下記(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルであって、(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)におけるオキシアルキレン基が、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基であるポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、より好ましくは下記(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルであって、(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)におけるオキシアルキレン基が、オキシエチレン基であるポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、前記<1>〜<23>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
(C1−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
(C2−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
(C3−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
<25> 成分Cが、ソルビトールにアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドから選ばれるアルキレンオキシド、より好ましくはエチレンオキシドを付加させて、ソルビトールのアルキレンオキシド付加物を得た後、これと脂肪酸とをエステル化反応させることで製造されたポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、前記<1>〜<24>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<26> 成分Cが、オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、10以上、好ましくは15以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、更により好ましくは30以上、更により好ましくは35以上であり、そして、80以下、好ましくは65以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは55以下、更により好ましくは50以下であり、オキシアルキレン基が、好ましくはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基から選ばれる1種以上の基、より好ましくはオキシエチレン基であり、脂肪酸のアシル基が炭素数8以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、そして、22以下、好ましくは18以下、より好ましくは18であり、脂肪酸のアシル基が不飽和脂肪酸のアシル基である、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、前記<1>〜<25>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<27> 成分Cを、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更により好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9質量%以下、更により好ましくは7質量%以下含有する、前記<1>〜<26>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<28> 成分A、成分B、及び成分Cの含有量の合計が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更により好ましくは30質量%以上、更により好ましくは38質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、更により好ましくは50質量%以下、更により好ましくは45質量%以下である、前記<1>〜<27>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<29> 水を、好ましくは16質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更により好ましくは40質量%以上、更により好ましくは50質量%以上、更により好ましくは55質量%以上、そして、好ましくは93.5質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、更により好ましくは80質量%以下、更により好ましくは70質量%以下、更により好ましくは62質量%以下含有する、前記<1>〜<28>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<30> 25℃におけるpHが、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、更に好ましくは3.5以上、更により好ましくは4.5以上であり、そして、好ましくは11以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは7以下、更により好ましくは6.5以下、更により好ましくは5.5以下である、前記<1>〜<29>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<31> 25℃における粘度が、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは2.0mPa・s以上、更に好ましくは3.0mPa・s以上、更により好ましくは4.0mPa・s以上、更により好ましくは5.0mPa・s以上であり、そして、好ましくは10000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下、更により好ましくは50mPa・s以下、更により好ましくは30mPa・s以下、更により好ましくは20mPa・s以下、更により好ましくは15mPa・s以下、更により好ましくは13mPa・s以下である、前記<1>〜<30>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<32> 成分Aと成分Bの質量比が、成分A/成分Bで、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、更により好ましくは4以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下、更により好ましくは7以下である、前記<1>〜<31>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<33> 成分Aと成分Cの質量比が、成分A/成分Cで、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、更により好ましくは4以上、更により好ましくは4.5以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下、更により好ましくは8以下、更により好ましくは7以下、更により好ましくは6以下である、前記<1>〜<32>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<34> 成分Bと成分Cの質量比が、成分B/成分Cで、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上、更により好ましくは0.8以上、更により好ましくは1.0以上であり、そして、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下、更により好ましくは1.5以下である、前記<1>〜<33>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<35> 成分Aと成分Bとの合計と、成分Cとの質量比が、(成分A+成分B)/成分Cで、好ましくは1以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、更により好ましくは6以上、更により好ましくは6.5以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、更に好ましくは7.5以下である、前記<1>〜<34>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<36> 成分Aと、成分Bと成分Cとの合計との質量比が、成分A/(成分B+成分C)で、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.5以上、更により好ましくは2.0以上、更により好ましくは2.4以上であり、そして、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、更に好ましくは4.5以下、更により好ましくは3.5以下、更により好ましくは3.0以下である、前記<1>〜<35>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<37> 成分A、成分B、及び成分Cを混合し、撹拌しながらの所定量の水を徐々に加えることによって作製されたものである、好ましくは30℃以上、100℃以下、より好ましくは40℃以上、90℃以下、更に好ましくは50℃以上、80℃以下の温度で、成分A、成分B、及び成分Cを混合し、撹拌しながらの所定量の水を徐々に加えることによって作製されたものである、前記<1>〜<36>の何れか記載の農薬用固着剤組成物。
<38> 農薬原体と前記<1>〜<37>の何れか記載の農薬用固着剤組成物とを配合してなる農薬組成物。
<39> 農薬原体が、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤及び除草剤、各々の有効成分から選択される何れかの農薬原体である、前記<38>記載の農薬組成物。
<40> 殺菌剤が、塩基性硫酸銅、有機銅(Oxine-copper)、及び水酸化第二銅から選ばれる殺菌剤である、好ましくは塩基性硫酸銅である、前記<39>記載の農薬組成物。
<41> 殺虫剤が、ペルメトリン、DDVP(ジメチル2,2-ジクロルビニルホスフェート)、メソミル(Sメチル-N〔(メチルカルバモイル)オキシ〕チオアセトイミド)、及びアセフェート(ホスホルアミドチオ酸-O,S-ジメチル-N-アセチル)から選ばれる殺虫剤である、好ましくはアセフェートである、前記<39>記載の農薬組成物。
<42> 除草剤が、DBN(2,6-ジクロロベンゾニトリル)、DCMU(3-(3,4−ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア)、パラコート(1,1'−ジメチル-4,4'-ビピリジウムジクロライド)、ジクワット(6,7-ジヒドロジピリド[1,2-a:2',1'c]ピラジンディウムジブロマイド)、及びグリホセート(N-(ホスホノメチル)グリシン又はその塩)から選ばれる除草剤である、好ましくはグリホセートである、前記<39>記載の農薬組成物。
<43> 殺ダニ剤が、フェニソブロモレート(4,4'-ジブロムベンジル酸イソプロピル)、アミトラスズ(3-メチル-1,5-ビス(2,4-キシリル)-1,3,5-トリアザペンタ-1,4-ジエン)、フェンピロキシメート(tert−ブチル=(E)-α-(1,3-ジメチル-5-フェノキシピラゾール-4-イルメチレンアミノオキシ)-p-トルアート)から選ばれる殺ダニ剤である、前記<39>記載の農薬組成物。
<44> 農薬組成物中の農薬原体の配合濃度が、好ましくは10ppm以上、より好ましくは100ppm以上、更に好ましくは500ppm以上であり、そして、好ましくは200000ppm以下、より好ましくは50000ppm以下、更に好ましくは30000ppm以下である、前記<38>〜<43>の何れか記載の農薬組成物。
<45> 農薬組成物中の農薬用固着剤組成物の配合濃度が、好ましくは100ppm以上、より好ましくは500ppm以上、更に好ましくは1000ppm以上であり、そして、好ましくは20000ppm以下、より好ましくは10000ppm以下、更に好ましくは4000ppm以下である、前記<38>〜<44>の何れか記載の農薬組成物。
<46> 農薬組成物中の成分Aの配合濃度が、好ましくは50ppm以上、より好ましくは150ppm以上、更に好ましくは200ppm以上、更により好ましくは300ppm以上であり、そして、好ましくは15000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、更に好ましくは1000ppm以下、更により好ましくは800ppm以下である、前記<38>〜<45>の何れか記載の農薬組成物。
<47> 農薬組成物中の成分Bの配合濃度が、好ましくは15ppm以上、より好ましくは20ppm以上、更に好ましくは50ppm以上、更により好ましくは80ppm以上であり、そして、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下、更により好ましくは300ppm以下、更により好ましくは180ppm以下である、前記<38>〜<46>の何れか記載の農薬組成物。
<48> 農薬組成物中の成分Cの配合濃度が、好ましくは15ppm以上、より好ましくは50ppm以上、更に好ましくは80ppm以上、更に好ましくは80ppm以上であり、そして、好ましくは2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、更に好ましくは500ppm以下、更により好ましくは300ppm以下、更により好ましくは180ppm以下である、前記<38>〜<47>の何れか記載の農薬組成物。
<49> 農薬原体、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、及び除草剤から選ばれる農薬原体を、前記<1>〜<37>の何れか記載の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の効力増強方法。
<50> 農薬原体、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、及び除草剤から選ばれる農薬原体を、前記<1>〜<37>の何れか記載の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の耐雨性の向上方法。
<51> 農薬原体、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、及び除草剤から選ばれる農薬原体を、前記<1>〜<37>の何れか記載の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の固着性の向上方法。
<49>〜<51>の方法には、前記<1>〜<37>の農薬用固着剤組成物で記載した事項を適用することができる。
<52> 下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び水を混合する、農薬用固着剤組成物の製造方法。
成分A:下記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリド
Figure 0006460464
〔式中、R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基を示す。〕
成分B:下記式(B)で表される脂肪酸
式(B)
1b−COOH
〔式中、R1bは、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基を示す。〕
成分C:ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル
<53> 成分A、成分B、及び成分Cを、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下で混合し、この混合物に、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは50℃以上、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下の水を混合する、前記<52>記載の農薬用固着剤組成物の製造方法。
<54> 得られる農薬用固着剤組成物が、前記<1>〜<37>の何れか記載の農薬用固着剤組成物である、前記<52>又は<53>記載の農薬用固着剤組成物の製造方法。
<52>〜<54>の農薬用固着剤組成物の製造方法には、前記<1>〜<37>の農薬用固着剤組成物で記載した事項を適用することができる。
<55> 農薬原体、下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び水を混合する、農薬組成物の製造方法。
成分A:下記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリド
Figure 0006460464
〔式中、R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基を示す。〕
成分B:下記式(B)で表される脂肪酸
式(B)
1b−COOH
〔式中、R1bは、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基を示す。〕
成分C:ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル
<56> 得られる農薬組成物が、前記<38>〜<49>の何れか記載の農薬組成物である、前記<55>記載の農薬組成物の製造方法。
<55>〜<56>の農薬組成物の製造方法には、前記<38>〜<49>の農薬組成物で記載した事項を適用することができる。
<C(2)、C(4)〜C(9)の合成例>
常法により、ソルビトールにエチレンオキシド(以下EOと表する)を付加し、ポリオキシエチレン(ソルビトールのヒドロキシル基あたりのEO付加モル数5)ソルビトールを得た。このポリオキシエチレンソルビトール1132.6gとオレイン酸906.6gと48質量%水酸化ナトリウム水溶液7.0gとを四つ口フラスコにとり、窒素置換した後、窒素気流下、225℃でエステル化を行った。酸価が8以下になったことを確認し、60℃まで冷却を行った。反応開始から約3時間で酸価が8以下となった。冷却後、水を14.9g加えた後、90質量%乳酸水溶液を8.40g(エステル化反応で用いた水酸化ナトリウムに対して1当量)加え、一時間攪拌を行い、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル〔C(2)〕を含有する組成物を得た。該組成物が含有するポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルは、テトラエステル型の化合物であり、ソルビトールに対するEOの平均付加モル数は20(ソルビトールのヒドロキシル基あたりのEO付加モル数5)であった。この化合物を、表では、「POE(20)ソルビトールテトラオレイン酸エステル」と表記した。
EO付加モル数の異なるポリオキシエチレンソルビトールやオレイン酸以外の脂肪酸を用いて、また、仕込み量等を変化させて、上記と同様に表に示す各種ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル〔C(4)〜C(9)〕を合成した。表中、POEの次のかっこ内の数字は、ソルビトールに対するEOの平均付加モル数である。
実施例1〜27及び比較例1〜12
[農薬用固着剤組成物の作製]
表1に、実施例、比較例で用いた成分を示した。
60℃において、表2又は表3に示す所定の含有量になるように、成分A、成分B、及び成分Cを混合し、撹拌しながら60℃の所定量の水を徐々に加え、室温に冷却することで、表2又は表3の農薬用固着剤組成物を作製した。
[試験1 殺菌剤固着試験]
30cmポットにカンキツ(品種:日南1号)の苗を移植、半年間栽培し、高さ1mのカンキツを準備した。
殺菌剤であるICボルドー66D(殺菌剤成分:銅、市販品、井上石灰株式会社)と表2又は表3の固着剤組成物と水とを配合し、農薬濃度が20000ppm、固着剤組成物濃度が2000ppmの農薬組成物を得た。この農薬組成物は、前記殺菌剤が50倍希釈、固着剤組成物が500倍希釈であった。この農薬組成物を10aあたり100Lの散布量で葉面散布した。
上記散布の翌日から、散布機により人工降雨(1回あたり、30mm、5分)を6日間毎日行った。8日後、カンキツの葉を各区10枚ずつ採取し、0.1Nの塩酸で葉の表面より農薬成分を抽出後、殺菌剤成分であるCuの分析をICPにより行った。抽出した葉の写真を撮影し、画像処理により葉の面積を測定し、葉面上に残った面積あたりのCu量を計算した。コントロールとして、人工降雨処理を行わないICボルドー処理区(降雨無処理区)のCu量を計算した。殺菌剤であるCuの固着率を以下の式で計算した。
固着率(%)=(降雨処理区の各区のCu量/降雨無処理区のCu量)×100
表2及び表3の結果から本発明品は殺菌剤を固着する性能が高いことが分かった。
[試験2 殺虫剤固着試験]
12cmポットにキャベツを6葉期になるまで栽培した。
殺虫剤であるオルトラン水和剤(殺虫剤成分:アセフェート、市販品、北興化学工業株式会社)と表2又は表3の固着剤組成物と水とを配合し、農薬濃度が1000ppm、固着剤組成物濃度が2000ppmの農薬組成物を得た。この農薬組成物は、前記殺虫剤が1000倍希釈、固着剤組成物が500倍希釈であった。この農薬組成物を10aあたり100Lの散布量で葉面散布した。
上記散布の翌日から、散布機により人工降雨(30mm、5分)を1回行った。乾燥後、キャベツの葉を各区3枚ずつ採取し、水で葉の表面より農薬成分を抽出した。抽出物を、活性炭カートリッジを用いて固相抽出を行った後、GC/MS法により殺虫剤成分であるアセフェートの分析を行った。その際、活性炭カートリッジカラムに通水(速度10ml/min)して対象物質を捕集後、ジクロロメタン5mLで対象物質を溶出させ、窒素気流下で濃縮した。その後、GC/MSにより、アセフェートの量を測定した。GC/MS条件は、ガスクロマトグラフ(GC)部条件が、カラム:50%フェニルメチルシリコン系、内径0.2〜0.3mm、長さ20〜30m、キャリアガス:高純度ヘリウム、流速1mL/min、カラム温度:70℃(1分)→昇温30℃/min→200℃→昇温10℃/min→250℃)、注入口温度:250℃であり、質量分析(MS)部条件が、イオン化法:電子衝撃イオン化法、イオン電圧:70eV、イオン源温度:230℃、インターフェース温度:250℃、測定イオン:アセフェート 質量数183.17、モニターイオン:m/z 定量136であった。
抽出した葉の写真を撮影し、画像処理により葉の面積を測定し、葉面上に残った面積あたりのアセフェート量を計算した。コントロールとして、人工降雨処理を行わないオルトラン水和剤処理区(降雨無処理区)のアセフェート量を計算した。殺虫剤であるアセフェートの固着率を以下の式で計算した。
固着率(%)=(降雨処理区の各区のアセフェート量/降雨無処理区のアセフェート量)×100
表2及び表3の結果から本発明品は殺虫剤を固着する性能が高いことが分かった。
[試験3 除草剤固着試験]
12cmポットにイヌビエを6葉期になるまで栽培した。
除草剤であるラウンドアップマックスロード(除草剤成分:グリホセート、市販品、日産化学株式会社)と表2又は表3の固着剤組成物と水とを配合し、農薬濃度が10000ppm、固着剤組成物濃度が2000ppmの農薬組成物を得た。この農薬組成物は、前記除草剤が100倍希釈、固着剤組成物が500倍希釈であった。この農薬組成物を10aあたり100Lの散布量で葉面散布した。
上記散布の翌日から、散布機により人工降雨(30mm、5分)を1回行った。乾燥後、イヌビエの葉を各区3枚ずつ採取し、水で葉の表面より農薬成分を抽出後、除草剤成分であるグリホセートの分析をイオンクロマトグラフィー法により行った。イオンクロマトグラフィー法の測定条件は、装置:Dionex ICS−2000、分離カラム:DionexIon Pac AS18 4×250mm、溶離液:KOH溶液、溶離液グラジエント条件:20mmol/L(5分)→40mmol/L(8分)→50mmol/L(30分)、溶離液流量:1.0ml/min、カラム温度:45℃、試料注入量:200μL、検出器:電気伝導度であった。
抽出した葉の写真を撮影し、画像処理により葉の面積を測定し、葉面上に残ったグリホセートの面積あたりの量を計算した。コントロールとして、人工降雨処理を行わないラウンドアップマックスロード処理区(降雨無処理区)のCu量を計算した。除草剤であるグリホセートの固着率を以下の式で計算した。
固着率(%)=(降雨処理区の各区のグリホセート量/降雨無処理区ラウンドアップマックスロード単独区のグリホセート量)×100
表2及び表3の結果から本発明品は除草剤を固着する性能が高いことが分かった。
[試験4 製剤安定性試験]
表2又は表3の固着剤組成物を50℃の恒温槽に静置し、製剤安定性試験を行った。測定期間は90日であり、目視観察により固着剤組成物が分離するか否かを判断し、分離するまでの日数を測定し表記した。組成物の調製直後に分離した物は0日、測定期間中分離しなかった物は90日として表記した。その結果、本発明品は比較品と比べ、より長期間の乳化安定性を示した。
Figure 0006460464
成分Aの欄に示した、カプリル酸カプリン酸トリグリセライドは、カプリル酸及びカプリン酸の混合脂肪酸とグリセリンとのトリグリセライドであり、脂肪酸組成は、カプリル酸/カプリン酸の質量比で82/18であった。
また、成分Aの欄に示した、ヤシ油、パーム油、パーム核油、コメヌカ油、コーン油、ナタネ油、ダイズ油の主な構成脂肪酸の炭素数とその比率を以下に示した。それらの数値は、試験時の分析値である。Cは炭素数の略であり、その次の数字が炭素原子の数を意味する。また、かっこ内の数値は当該油脂の全構成脂肪酸中の比率(質量%)である。これらの油脂は、いずれも、構成脂肪酸の組成が8以上、18以下であり、式(A)中のR、R、Rが、炭素数8以上、18以下のアシル基であった。従って、成分Aの含有率が100質量%であった。
・ヤシ油:C8(8%)、C10(8%)、C12(47%)、C14(19%)、C16(7%)、C18(11%)
・パーム油:C14(2%)、C16(41%)、C18(57%)
・パーム核油:C8(4%)、C10(5%)、C12(52%)、C14(14%)、C16(9%)、C18(16%)
・コメヌカ油:C14(1%)、C16(16%)、C18(83%)
・コーン油:C16(10%)、C18(90%)
・ナタネ油:C16(4%)、C18(96%)
・ダイズ油:C16(8%)、C18(92%)
また、A’(1)のトリカプロインとA’(2)のトリアラキジンは、成分Aに該当しないが、便宜的に成分Aの欄に示し、これらを成分Aとして表3の成分A/(成分B+成分C)の質量比を示した。
また、B’(1)のベヘン酸は、成分Bに該当しないが、便宜的に成分Bの欄に示し、これを成分Bとして表3の成分A/(成分B+成分C)の質量比を示した。
また、C’(1)のPOE(20)ソルビタンモノオレイン酸エステルは、成分Cに該当しないが、便宜的に成分Cの欄に示し、これを成分Cとして表2の成分A/(成分B+成分C)の質量比を示した。
Figure 0006460464
Figure 0006460464
表中、A/(B+C)(質量比)は、成分A/(成分B+成分C)(質量比)である。また、表中、各成分の含有量は、有効分としての含有量である。また、表中、pHと粘度は何れも25℃での値である。

Claims (9)

  1. 下記成分A、下記成分B、下記成分C、及び水を含有する農薬用固着剤組成物。
    成分A:下記式(A)で表される脂肪酸トリグリセリド
    Figure 0006460464

    〔式中、R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数8以上、18以下のアシル基を示す。〕
    成分B:下記式(B)で表される脂肪酸
    式(B)
    1b−COOH
    〔式中、R1bは、炭素数11以上、19以下のアルキル基又は炭素数11以上、19以下のアルケニル基を示す。〕
    成分C:ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル
  2. 成分Aと、成分Bと成分Cとの合計との質量比が、成分A/(成分B+成分C)で、0.5以上、5.0以下である、請求項1記載の農薬用固着剤組成物。
  3. 成分Aが、式(A)中のR、R、Rが、それぞれ、炭素数8以上、12以下のアシル基の脂肪酸トリグリセリドである、請求項1又は2記載の農薬用固着剤組成物。
  4. 成分Bが、式(B)中のR1bが、炭素数13以上、17以下のアルキル基又は炭素数13以上、17以下のアルケニル基の脂肪酸である、請求項1〜3の何れか1項記載の農薬用固着剤組成物。
  5. 成分Bが、オレイン酸である、請求項1〜4の何れか1項記載の農薬用固着剤組成物。
  6. 成分Cが、下記(C1)、(C2)及び(C3)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、請求項1〜5の何れか1項記載の農薬用固着剤組成物。
    (C1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
    (C2)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
    (C3)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、15以上、65以下であり、成分Cを構成する脂肪酸が炭素数14以上、22以下の不飽和脂肪酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
  7. 成分Cが、下記(C1−1)、(C2−1)及び(C3−1)から選ばれる1種以上のポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステルである、請求項1〜6の何れか1項記載の農薬用固着剤組成物。
    (C1−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールトリ脂肪酸エステル
    (C2−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル
    (C3−1)オキシアルキレン基の付加モル数が、ソルビトール1モルに対して、30以上、60以下であり、成分Cを構成する脂肪酸がオレイン酸である、ポリオキシアルキレンソルビトールペンタ脂肪酸エステル
  8. 農薬原体と請求項1〜7の何れか1項記載の農薬用固着剤組成物とを配合してなる農薬組成物。
  9. 農薬原体を、請求項1〜7の何れか1項記載の農薬用固着剤組成物と共に対象物に適用する、農薬の効力増強方法。
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