JP2000327507A - 農薬用展着剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い表面張力、高い浸透性、低発泡性及び農
薬との相溶性に優れた農薬用展着剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式（１）で示されるポリグリセ
リン脂肪酸エステルからなる農薬用展着剤。 【化１】 （但し、Ｒは炭素数４〜３０の直鎖又は分岐のアルキル
基、アルキレン基であり、ｎは２〜３０の整数であ
る。）

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、低い表面張力、高
い浸透性、低発泡性及び農薬との相溶性に優れた農薬用
展着剤に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】除草剤、殺虫剤、殺菌剤等の農薬は、植
物又は害虫等の動物に吸収されてその効果を発揮するこ
とが出来る。ところが、植物表面にはワックス状の成分
が分布していたり、羽毛上の繊維が密生していたり、そ
して表面に微細な凹凸があることが多く、また害虫の場
合にもその表面にケラチン質等の層があることが多い。
何れの場合においても農薬の浸透又は湿展が阻害され、
農薬本来の効果を発揮できないという問題があった。

【０００３】この問題点を改良するため、展着剤を乳剤
や水和剤と併用する形態で広く用いられている。これら
は、主成分である界面活性剤により表面張力を低下させ
湿展性を得るものであり、例えばポリオキシエチレンソ
ルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のノニオン界
面活性剤（特開昭４９−３０５３９号公報、特開平６−
３２９５０３号公報）や、脂肪酸の低級アルキルエステ
ルのスルホン酸塩（特開平２−１６７２０２号公報）等
のアニオン界面活性剤を用いることが提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
展着剤は湿展性が十分でなかったり、湿展性を高くする
と発泡性が高くなるため作業性や散布の均一性が悪くな
り易い。いずれにしても過剰に農薬を散布することにな
り、環境上問題を生じたり、農作物への影響がでる等の
問題があった。本発明の目的は、前述の問題点を改良し
た湿展性に優れた農薬用展着剤、即ち、低い表面張力、
高い浸透性、低発泡性及び農薬との相溶性に優れた農薬
用展着剤を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
（１）で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルからな
る農薬用展着剤である。

【０００６】

【化２】

【０００７】（但し、Ｒは炭素数４〜３０の直鎖又は分
岐のアルキル基、アルキレン基であり、ｎは２〜３０の
整数である。）

【０００８】

【発明の実施の形態】一般式（１）において、Ｒは炭素
数４〜３０、好ましくは１１〜１９の直鎖又は分岐のア
ルキル基又はアルキレン基である。Ｒは具体的には、合
成脂肪酸、天然飽和脂肪酸又は天然不飽和脂肪酸から誘
導され、例えばヘキサン酸、２−エチルヘキサン酸、カ
プリン酸、ｎ−ノナン酸、イソノナン酸、カプリル酸、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチ
ン酸、モンタン酸、カプロレイン酸、ミリストレイン
酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エイコセン酸、エ
ルシン酸、リノール酸、リノレン酸等から誘導されるも
のである。炭素数が４未満又は３０を越えると表面張
力、浸透力等の界面活性能力が低下するため好ましくな
い。天然の植物又は動物油脂から誘導される混合脂肪酸
を用いて製造される場合には、一般式（１）で示される
ポリグリセリン脂肪酸エステルは混合脂肪酸に対応して
２種以上の混合物となる。

【０００９】また一般式（１）で示されるポリグリセリ
ン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリン部分は、製造
プロセス上必然的にｎは分布を有するので、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルは混合物となる。そのため、グリセ
リンの縮合度を表すｎは平均値として測定され、その値
は２〜３０の範囲、好ましくは４〜１０の範囲である。
そして一般式（１）の化合物の疎水性と親水性のバラン
スをとるように適宜選択しながら製造される。ｎの数が
２未満では親水性が低くなりすぎ、ｎの数が３０を越え
ると粘度が高くなりすぎ取り扱いが困難になる傾向にあ
る。

【００１０】本発明の一般式（１）で示されるポリグリ
セリン脂肪酸エステルは、公知の方法（特開平８−１０
９１５３号公報等）で製造される。例えば、脂肪酸と酸
触媒の混合物を１４０℃に保ち、そこへグリシドールを
数時間かけて滴下することにより得ることができる。本
発明の農薬用展着剤は、通常農薬の散布時に薬液に添加
して用いられる。その添加量は、農薬に対して２０〜３
０００ｐｐｍの範囲が一般的であるが、農薬の種類及び
対象となる植物や害虫等の動物により適宜添加濃度を増
減することが可能である。薬液としては乳剤でも水和剤
でもよい。

【００１１】

【発明の効果】本発明の農薬用展着剤により、散布する
薬液の表面張力、浸透力が良好で、かつ低発泡性及び農
薬との相溶性に優れているため、低い濃度で農薬として
の効果が得られる。

【００１２】

【実施例】次に本発明を実施例、比較例により更に具体
的に説明する。なお、各実験例における評価方法は以下
の通りである。 （１）表面張力 表面張力測定装置（協和界面科学社製「ＣＢＶＰ−Ａ
３」型）を用い、２５℃の硬度３の水を用いて試料の純
分濃度が３０ｐｐｍになるように調整した後、表面張力
（ｄｙｎ／ｃｍ）を測定した。

【００１３】（２）浸透性 ２００ｍｌのビーカーに硬度３の水を用いて試料の純分
濃度が３０ｐｐｍになるように調整した試験液を入れ、
正方形の形状（１ｃｍ×１ｃｍ）で厚さ２ｍｍのフエル
ト片をその水面上に置き、沈降するまでの時間（秒）を
測定した。

【００１４】（３）発泡性（起泡力） ２５０ｍｌの栓付きのメスシリンダーに試料の純分濃度
が３０ｐｐｍになるように調整した試験液を５０ｍｌ入
れ、３０秒の間に１５回倒立振とうさせ、その直後の泡
層の高さ（起泡性Ａ、単位：ｍｍ）と５分後の泡層の高
さ（起泡性Ｂ、単位：ｍｍ）を測定した。

【００１５】（４）農薬との相溶性 塩基性塩化銅、水酸化第二銅及び塩基性硫酸銅の等量混
合物を０．５重量％含む薬液に試料の純分濃度が２００
ｐｐｍとなるように配合し、２４時間後の析出や相分離
の有無を目視により観察し、次の基準で評価した。 ○：析出や相分離は認められない。 △：析出が認められた。 ×：相分離が認められた。

【００１６】実施例１〜９ 農薬用展着剤として、実施例１ではポリグリセリンオレ
イン酸エステル（ｎの平均値：３、Ｒの炭素数：１
７）、実施例２ではポリグリセリンオレイン酸エステル
（ｎの平均値：１０、Ｒの炭素数：１７）、実施例３で
はポリグリセリンラウリン酸エステル（ｎの平均値：
６、Ｒの炭素数：１１）、実施例４ではポリグリセリン
パルミチン酸エステル（ｎの平均値：８、Ｒの炭素数：
１５）、実施例５ではポリグリセリンイソノナン酸エス
テル（ｎの平均値：３、Ｒの炭素数：８）、実施例６で
はポリグリセリンヘキサン酸エステル（ｎの平均値：１
０、Ｒの炭素数：５）、実施例７ではポリグリセリンベ
ヘン酸エステル（ｎの平均値：１２、Ｒの炭素数：２
１）、実施例８ではポリグリセリンリノール酸エステル
（ｎの平均値：１０、Ｒの炭素数：１７）及び実施例９
ではポリグリセリン牛脂脂肪酸エステル（ｎの平均値：
６、Ｒの炭素数：１７）について、表面張力、浸透性、
起泡性及び農薬との相溶性を評価し、その結果を表１に
示した。

【００１７】

【表１】

【００１８】比較例１〜４ 農薬用展着剤として、比較例１ではオレイン酸モノグリ
セリド（理研ビタミン（株）社製、商品名：リケマール
ＯＬ−１００）、比較例２ではポリオキシエチレンラウ
リン酸エステル（日本油脂（株）社製、商品名：ノニオ
ンＬ−２）、比較例３ではヘキサデカンポリオキシエチ
レンエーテル（日本油脂（株）社製、商品名：ノニオン
Ｐ−２１０）及び比較例４ではポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル（日本油脂（株）社製、商品名：ノ
ニオンＮＳ−２１０）の各々について、表面張力、浸透
性、起泡性及び農薬との相溶性を評価し、その結果を表
１に示した。

【００１９】以上の結果から、本発明の農薬用展着剤は
低い表面張力、高い浸透性、低発泡性及び農薬との相溶
性等の点で比較例の展着剤よりもバランスのとれた有効
なものであることがわかった。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記一般式（１）で示されるポリグリセ
   リン脂肪酸エステルからなる農薬用展着剤。 【化１】 （但し、Ｒは炭素数４〜３０の直鎖又は分岐のアルキル
   基、アルキレン基であり、ｎは２〜３０の整数であ
   る。）