以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図面では同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付され、下記説明では重複説明が省略される。
<実施形態>
実施形態に係るシート材は、高温状態で圧縮されることによって高剛性に加工可能なシート状の不織材料(「不織シート材料」とも称される)の少なくとも一部を加熱して圧縮(「加熱圧縮」)することによって、少なくとも一部の加工状態が異なるように加工されて形成されたシートである。加工状態が異なる態様としては、高剛性に加工された部分とこの部分よりも柔軟な状態に保たれた部分とが存在する態様、平坦な部分に対して一方主面側に突出する(他方主面側から見ると凹む)凹凸部が形成された態様等が挙げられる。そして、実施形態に係るシート材は、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間を備える収容部を備えたプロテクタを、折り曲げて組立可能なように、表面に少なくとも1つの折目が形成されていることが好ましい。
実施形態に係るシート材の製造に用いられる不織シート材料は、複数の繊維が織られずに絡み合ったシート状の繊維材料であって、柔軟性を有している。当該不織シート材料は、加熱によって少なくとも一部が溶融し、さらに硬化することにより、高剛性を呈するように加工することができる。
具体的は、シート状の不織材料としては、絡み合う基本繊維と、接着樹脂(「バインダ」とも呼ばれる)とを含む柔軟性を有するものを用いることができる。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点を有する樹脂である。そして、この不織シート材料を、基本繊維の融点よりも低くかつ接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱することで、接着樹脂が溶融して基本繊維間に染みこむ。この後、不織シート材料が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化する。これより、不織材料が硬化して、加熱前の状態よりも硬くなる。また、接着樹脂が溶融している状態で、不織シート材料を圧縮すると、当該不織シート材料は、その圧縮時における所定の成形形状に維持される。
接着樹脂は、粒状であっても繊維状であってもよい。芯繊維の外周に接着樹脂層を形成してバインダ繊維を構成し、これを基本繊維と絡み合わせるようにしてもよい。この場合の芯繊維としては、上記基本繊維と同材料のものを用いることができる。
上記基本繊維としては、接着樹脂の融点で繊維状態を保ち得ればよく、樹脂繊維の他、各種繊維を用いることができる。また、接着樹脂としては、基本繊維の融点よりも低い融点を持つ熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。基本繊維と接着樹脂の組合わせとしては、基本繊維をPET(ポリエチレンテレフタレート)の樹脂繊維とし、接着樹脂をPETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂とした例が挙げられる。この場合、基本繊維の融点は接着樹脂の融点よりも高い。このため、不織材料を基本繊維と接着樹脂とのそれぞれの融点間の温度に加熱すると、接着樹脂が溶融し、溶融せずに繊維状を保つ基本繊維間に染込む。そして、不織材料が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化し、不織材料は硬くなって加熱時の成形形状を維持する。つまり、上記不織シート材料を、高温状態で、所定の面間に挟み込んで圧縮することで、不織シート材料が当該所定の面の形状に応じた所定形状に成形され、冷却されると、当該成形された形状に維持される。
また、加工されたシート材を完全に切断しないように、厚み方向の途中まで切込むことや、加熱圧縮加工時に不織シート材料の片面のみを加熱して、厚み方向の一部のみを硬化させることなどによって、シート材に折目を形成することができる。シート材に折目を設け、折目に沿ってシート材を折り曲げれば、折目が形成されていない部分でシート材を折り曲げるよりも、シート材をより折り曲げ易くなる。シート材に形成される折目の個数は、複数でもよく、1つのみでもよい。
シート材202は、実施形態に係るシート材の一例であり、上記不織シート材料の少なくとも一部が加熱圧縮されて、すなわち高温状態で圧縮されて形成されており、表面に複数の折目71〜75が形成されている(図1参照)。シート材202を各折目に沿って折り曲げることにより、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間を備える収容部を備えたプロテクタ102(図2)を組み立てることができる。
シート材202は、矩形状、より詳細には、一方向に長い長方形板形状に形成されている。シート材202は、不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した硬質部52と、硬質部52よりも軟らかい軟質部62とを備えている。軟質部62は、不織シート材料が熱せされた金型等よって直接的には加熱圧縮されていない部分であり、不織シート材料と同様の柔軟性を保っている。また、軟質部62は、硬質部52よりも厚みが厚い。軟質部62は、シート材202の長手方向の中央部分において、シート材202の全幅に亙って形成されている。硬質部52は、不織シート材料が加熱圧縮されたことによって、上述のように不織シート材料が硬化した部分である。
より詳細には、シート材202には、2つの矩形状の硬質部52が、シート材202の長手方向に沿って、軟質部62を挟んで形成されている。折目71〜75は、2つの硬質部52のそれぞれに形成されている。折目71〜75は、シート材202の長手方向に沿って延設されているとともに、シート材202の幅方向の一端側から他端側に向けて、隣り合う折目同士が間隔を隔てて、順次に形成されている。各硬質部52は、折目71〜75によって、シート材202の長手方向に長い、複数の矩形状の部分に区分されている。同じ符号が付された折目は、シート材202の幅方向における位置が等しくなるように形成されている。
実施形態に係るプロテクタは、上記不織シート材料、すなわち、基本繊維と、基本繊維よりも低融点の接着樹脂とを含んで柔軟性を有するシート状の不織材料の少なくとも一部の領域を加熱圧縮して製造したシート材を変形させて、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間を備える収容部を備えるように組み立てることによって製造される。当該プロテクタの製造に用いられるシート材としては、例えば、上述した実施形態に係るシート材が用いられる。また、上記不織シート材料の少なくとも一部が加熱圧縮されたシート材であれば、折目が設けられていないシート材が採用されてもよい。また、実施形態に係るプロテクタに収容されたワイヤーハーネスは、実施形態に係るプロテクタ付きワイヤーハーネスである。
プロテクタ102は、実施形態に係るプロテクタの一例であり、シート材202を折目71〜75のそれぞれに沿って折り曲げることにより組み立てられており、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間702を備えた収容部12を備えている(図2参照)。具体的には、収容部12は、底部12aと、底部12aの両側から同じ側に突出する一対の側壁12b、12cとを含む樋状の形状に形成されている。底部12a、一対の側壁12b、12cのうち一方の側壁12bと他方の側壁12cは、シート材202が折目72、73で一方主面側に折り曲げられて形成されている。また、収容部12は、側壁12cの先端部が折目74、75に沿って収容部12の外側(シート材202の他方主面側)に折り曲げられて形成されたフランジ部(「側部」)12dを備えている。
プロテクタ102は、また、プロテクタ102の開口部12eを閉鎖可能な蓋部22を備えている。蓋部22は、シート材202の幅方向の一端部分が、折目71において、折り曲げられた部分である。蓋部22の一端は、ヒンジ部22aによって、側壁12bに対してシート材202の一方主面側と他方主面側とのうち少なくとも一方主面側に回動可能に設けられている。ヒンジ部22aは、シート材202の折目71により形成されている。蓋部22がヒンジ部22aを中心に回動されて、蓋部22の他端側の側部22dがフランジ部12dと当接することにより、開口部12eが閉鎖される。フランジ部12dが設けられたことにより、側壁12cと蓋部22との当接面積が増大するので、開口部12eの閉鎖が容易になる。
また、プロテクタ102の長手方向の中央部分は、シート材202の軟質部62によって形成されており、その両端部分は、シート材202の硬質部52によって形成されている。すなわち、プロテクタ102は、長手方向に沿って、硬質部52と軟質部62とを交互に備えている。軟質部62は、硬質部52よりも軟らかく、硬質部52よりも変形し易い。このため、ワイヤーハーネスの配索経路が屈曲している場合でも、プロテクタ102の軟質部62がワイヤーハーネスの屈曲部分に沿うようにプロテクタ102をワイヤーハーネスに外装すれば、屈曲部分の保護が容易となる。このように、プロテクタ102の軟質部62は、曲げ変形用の軟質部でもある。
また、プロテクタ102の収容部12の収容空間には、ワイヤーハーネスWがプロテクタ102の長手方向に沿って配索された状態で収容される(図9参照)。そして、蓋部22が収容部12の開口部12eを閉鎖して、蓋部22の他端側の側部22dと、フランジ部12dとが重ね合わされた状態で、側部22dとフランジ部12dとが接着部34aにおいて互いに接着されて固定されている(図10参照)。なお、図9、図10においては、プロテクタ102の軟質部62は、屈曲しておらず、硬質部52における収容空間の長手方向に沿って、直線状である状態が示されている。
接着部34aにおいては、側部22dとフランジ部12dとが、発熱体で押圧する加熱溶着、または超音波溶着などによって溶着されている。溶着による固定に代えて、両面粘着テープによる固定、またはホッチキス止めなどの固定手法が採用されてもよい。また、蓋部22が開口部12eを閉鎖した状態で、プロテクタ102の周方向に沿って、プロテクタ102の周囲に粘着テープを巻き付けることにより蓋部22とフランジ部12dとを固定する手法が採用されてもよい。このように、蓋部22の他端側の側部22dと、収容部12の他方の側壁12cのフランジ部12dとが、互いに重なり合った状態で、互いに固定されれば、プロテクタ102に収容したワイヤーハーネスよって蓋部22が押されて解放されることを抑制することが出来る。
また、図11には、図9に示されているプロテクタ102に収容されているワイヤーハーネスWの枝線W1が、軟質部62におけるフランジ部12dにおいて、プロテクタ102の外部に引き出されている状態が示されている。より詳細には、枝線W1は、枝線外装部材400を外装されており、当該枝線外装材400がフランジ部12dに取り付けられている。枝線外装部材400は、不織シート材料を枝線W1の周回りに巻いて端部同士を溶着したり、両面粘着テープで固定することなどによって、形成されている。そして、フランジ部12dに枝線外装部材400が取り付けられている状態で、蓋部22の側部22dが収容部12のフランジ部12dに重ね合わされる。
この状態においては、収容部12のフランジ部12dと、蓋部22の側部22dとの間に枝線外装部材400が挟まれた状態で、フランジ部12d、側部22dとが互いに重ね合わされている。従って、収容部12の他方の側壁12cの先端側のフランジ部12dと、蓋部22の他端側の側部22dとを互いに固定することによって、枝線外装部材400を一体的に形成されたプロテクタ102に固定できる。これにより、分岐した枝線W1の保護が容易となる。
収容部12のフランジ部12dと、蓋部22の側部22dとの間に枝線外装部材400が挟まれて、フランジ部12d、側部22dとが互いに重ね合わされている状態で、側部22dとフランジ部12dとが互いに固定されることにより、当該固定の際に、枝線外装部材400のプロテクタ102への固定も行われる(図12参照)。収容部12は、上記不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した硬質部52と、硬質部52よりも軟らかい軟質部62とを含み、蓋部22の側部22dと、収容部12のフランジ部12dとのそれぞれの枝線外装部材400を挟んでいる部分うち少なくとも一方は、軟質部62によって形成されていることが好ましい。
この場合、枝線外装部材400を挟む蓋部22の側部22dとフランジ部12dとのうち軟質部62で形成されている部分は、枝線外装部材400の断面形状に応じて窪む。これにより、枝線外装部材400を、蓋部22の側部22dと、収容部12のフランジ部12dとにより密着させることができるので、枝線外装部材400をプロテクタ102により確実に保持することが出来る。また、軟質部62に枝線外装部材400が取り付けられて、蓋部22が閉じられると、枝線外装部材400に凹部が形成されるので、枝線W1の分岐位置の維持が容易となる。
なお、枝線外装部材400が、蓋部22とフランジ部12dとのそれぞれの硬質部52に挟まれて取り付けられるとしても、本発明の有用性を損なうものではない。また、図27には、収容部12が硬質部52で形成され、蓋部22が軟質部62で形成されているプロテクタ109が示されている。プロテクタ109に収容されたワイヤーハーネスWの枝線W1は、蓋部22の他端側の側部と、収容部12の他方の側壁との重なり部分から、枝線外装部材400を使用することなく、直接プロテクタ109の外部に引き出されている。このように、枝線外装部材を用いることなく、ワイヤーハーネスの枝線がプロテクタの外部に引き出されてもよい。
シート材203は、実施形態に係るシート材の他の例であり、シート材202と同様に、上記不織シート材料の少なくとも一部が加熱圧縮されて、すなわち高温状態で圧縮されて形成されている。シート材203は、シート材202の長手方向の一端側における硬質部52に代えて、硬質部53を備えていることを除き、シート材202と同様に構成されている。
硬質部53は、シート材202の長手方向の一端側における硬質部52に形成されている折目72、73に代えて、折目72a、73aが形成されていることを除き、硬質部52と同様に構成されている。折目72a、73aは、折目72、73の位置がシート材202の幅方向にずれた位置に形成された折目である(図3参照)。従って、シート材203においては、硬質部52の折目72と、硬質部53の折目73aとは、シート材203の幅方向における位置が互いにずれている。また、硬質部52の折目73と、硬質部53の折目73aとは、シート材203の幅方向における位置が互いにずれている。シート材203を各折目に沿って折り曲げることにより、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間を備える収容部を備えたプロテクタ103(図4)を組み立てることができる。
プロテクタ103は、実施形態に係るプロテクタの他の例であり、シート材203を折目71〜75、72a、73aのそれぞれに沿って折り曲げることにより組み立てられており、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間702を備えた収容部13を備えている(図4参照)。シート材202、203の互いの相違点に起因して、プロテクタ103は、プロテクタ102の長手方向の一端側に設けられた硬質部52に代えて、硬質部53を備えていることを除き、プロテクタ102と同様に構成されている。より詳細には、プロテクタ102の収容部12における一端側の硬質部52における底部12a、一対の側壁12b、12cに代えて、プロテクタ103の収容部13における一端側の硬質部53には、底部13a、一対の側壁13b、13cがそれぞれ形成されている。シート材203は、折目72a、73aのそれぞれにおいて、一方主面側に折り曲げられている。
ここで、シート材203においては、折目71、72の間隔よりも折目71、72aの間隔が狭く、同様に、折目73、74の間隔よりも折目73a、74の間隔が狭い。一方、折目72、73の間隔よりも折目72a、73aの間隔の方が広い。このため、プロテクタ103の収容部13のうち一端側の硬質部53の底部13aの幅は、他端側の硬質部52の底部12aの幅よりも広くなっている。一方、一対の側壁12b、12cのそれぞれの高さよりも、一対の側壁13b、13cのそれぞれ高さは低くなっている。
このように、プロテクタ103においては、中央部分の軟質部62を挟んでいる一端側の硬質部53の断面形状と、他端側の硬質部52の断面形状とが互いに異なっている。しかしながら、軟質部62は、硬質部52、53に比べて柔軟性を有している。このため、軟質部62は、一端側の硬質部53と、他端側の硬質部52との形状の差異に応じて変形することにより、一端側の硬質部53と他端側の硬質部52とを滑らかに接続している。このように、プロテクタ103における軟質部62は、プロテクタの長手方向における互いに異なる断面形状を有する部分同士の接続用の軟質部でもある。
シート材204は、実施形態に係るシート材の一例であり、上記不織シート材料の少なくとも一部が加熱圧縮されて形成されており、表面に複数の折目171〜176が形成されている(図5参照)。シート材204を各折目に沿って折り曲げることにより、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間を備える収容部14を備えたプロテクタ104(図6)を組み立てることができる。
シート材204は、矩形状、より詳細には、一方向に長い長方形板形状に形成されている。シート材204は、シート材202の2つの硬質部52に代えて、不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した2つの硬質部54を備えていることを除いて、シート材202と同様の構成を備えている。2つの硬質部54は、より軟らかい軟質部62を挟んでシート材204の長手方向に沿って設けられている。2つの硬質部52のそれぞれには、折目171〜176が形成されている。折目171〜176は、シート材204の長手方向に沿って延設されているとともに、シート材204の幅方向の一端側から他端側に向けて、隣り合う折目同士が間隔を隔てて、順次に形成されている。同じ符号が付された折目は、シート材204の幅方向における位置が等しくなるように形成されている。
各硬質部54は、折目171〜176によって、シート材204の長手方向に長い、複数の矩形状の部分(部分54a〜54c、244、54d〜54g)に区分されている。各部分54a〜54gは、上記不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した部分(「第1硬化部」、「高圧縮部」とも称される)である。部分244は、各部分54a〜54gよりも柔軟性を有するように不織シート材料が硬化した部分(「第2硬化部」、「低圧縮部」とも称される)である。第2硬化部は、軟質部62より硬く、剛性がより高い。第2硬化部は、例えば、不織シート材料を第1硬化部よりも短時間で加熱することや、より低温で加熱することなどによって形成される。第2硬化部は、不織シート材料のうち溶融して硬化している接着樹脂の割合が第1硬化部に比べて低くなっている。
プロテクタ104は、実施形態に係るプロテクタの一例であり、シート材204を折目171〜176のそれぞれに沿って折り曲げることにより組み立てられており、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間を備えた収容部14を備えている(図6参照)。収容部14は、シート材204が、折目172〜174のそれぞれにおいて一方主面側に折り曲げられて形成されている。これにより、収容部14は、底部14aと、底部14aの両側から同じ側に突出する一対の側壁14b、14cとを含む樋状の形状に形成されている。
また、側壁14cは、シート材204が折目175、176のそれぞれにおいて他方主面側に折り曲げられることにより形成されている。また、収容部14は、側壁14cの先端部が折目175、176に沿って収容部14の外側(シート材204の他方主面側)に折り曲げられて形成されたフランジ部(「側部」)14dを備えている。一対の側壁14b、14cのうち一方の側壁14bは、シート材203の部分54b、軟質部62を含んで形成されており、他方の側壁14cは、部分54e〜54g、軟質部62を含んで形成されている。
側壁14cのうちフランジ部14dは、部分54g、軟質部62を含み、フランジ部14dに繋がる曲面部分は、部分54f、軟質部62を含んでいる。側壁14cのうちフランジ部14dと曲面部分とを除いた平面部分は、部分54e、軟質部62を含んでいる。収容部14の底部14aは、シート材203の部分54c、54d(それぞれ第1硬化部)と、部分244(第2硬化部)と、軟質部62とを含んでいる。第2硬化部は、第1硬化部よりも柔軟性を有するとともに、軟質部62よりも剛性を有しており、張りを保ちつつ湾曲可能である。このことにより、底部14aのうち、部分244によって形成されている部分は、収容部14の収容空間側に張り出すように湾曲した断面形状に形成されている。
また、2つの部分244に挟まれている軟質部62も、部分244の湾曲形状に沿って湾曲している。これにより、例えば、リインフォースのような円筒状部材の軸方向に沿った狭い配索経路に沿って、ワイヤーハーネスが配索される場合でも、プロテクタ104の湾曲している湾曲部が円筒状部材に沿うように、プロテクタ104をワイヤーハーネスに外装することによりワイヤーハーネスを保護できる。
プロテクタ104は、また、プロテクタ104の開口部14eを閉鎖可能な蓋部24を備えている。蓋部24は、シート材203の幅方向における硬質部54の一端部分54aが折目171において、折り曲げられた部分である。蓋部24は、軟質部62の一部も含んでいる。蓋部24の一端は、ヒンジ部24aによって、側壁14bに対してシート材204の一方主面側と他方主面側とのうち少なくとも一方主面側に回動可能に設けられている。ヒンジ部24aは、シート材204の折目171により形成されている。蓋部24がヒンジ部24aを中心に回動されて、蓋部24の他端側の側部24dがフランジ部14dと当接することにより、開口部14eが閉鎖される。また、プロテクタ104は、その中央部分の軟質部62が、長手方向の他の部分よりも柔軟であるため、上記円筒状部材が屈曲している場合でも、円筒状部材に沿ってワイヤーハーネスに外装され得る。
シート材205は、実施形態に係るシート材の他の例であり、シート材204と同様に、上記不織シート材料の少なくとも一部が加熱圧縮されて、すなわち高温状態で圧縮されて形成されている。シート材205は、シート材204の長手方向の両端側における硬質部54に代えて、硬質部含有部55を備えていることを除き、シート材204と同様に構成されている(図7参照)。
硬質部含有部55は、シート材204の硬質部54の部分244(第2硬化部)に代えて、交互圧縮部155を備えていることを除き、硬質部54と同様に構成されている。交互圧縮部155は、シート材202の硬質部52と同様に、不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した帯状の硬質部551と、帯状の硬質部551よりも肉厚で軟らかい帯状の軟質部651とを交互に含んでいる。より詳細には、交互圧縮部155においては、硬質部551と軟質部651とは、それぞれの幅方向(シート材205の幅方向)に沿って交互に設けられている。このため、交互圧縮部155は、シート材204の硬質部54における部分244(第2硬化部)と同様の剛性を有している。すなわち、交互圧縮部155は、部分54a〜54gよりも柔軟性を有するとともに、軟質部62よりも剛性を有しており、張りを保ちつつ硬質部551と軟質部651との交互の並び方向(シート材205の幅方向)を横切る方向に湾曲可能である。
プロテクタ105は、実施形態に係るプロテクタの他の例であり、プロテクタ104と同様に、シート材204を折目171〜176のそれぞれに沿って折り曲げることにより組み立てられており、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間を備えた収容部15を備えている(図8参照)。プロテクタ105は、その収容部15が、プロテクタ104の収容部14の底部14aに代えて、底部15aを備えていることを除き、プロテクタ104と同様に構成されている。底部15aは、収容部14の底部14aの部分244(第2硬化部)に代えて、交互圧縮部155を含んでいることを除き、底部14aと同様に構成されている。
このため、底部15aのうち、交互圧縮部155によって形成されている部分は、収容部15の収容空間側に張り出すように湾曲した断面形状に形成されている。また、2つの交互圧縮部155に挟まれている軟質部62も、交互圧縮部155の湾曲形状に沿って湾曲している。これにより、プロテクタ105は、プロテクタ104と同様に、円筒状部材の軸方向に沿った狭い配索経路に沿って、ワイヤーハーネスが配索される場合でも、プロテクタ105の湾曲している湾曲部が円筒状部材に沿うように、プロテクタ105をワイヤーハーネスに外装することによりワイヤーハーネスを保護できる。
係止部材81Aは、実施形態に係るプロテクタに取り付けられて、車体パネルなどの他の部材にプロテクタを固定可能な係止部材の一例であり、実施形態に係るプロテクタ108の外周面に取り付けられている(図14〜図16参照)。
係止部材81Aは、プロテクタ108の収容部12の外周面に固定されている長方形板状のベース部材82と、ベース部材82に設けられ、車体パネルなどの他の部材に係止可能な係止爪を備えた係止部85とを含んでおり、プロテクタ108の収容部12と別体に形成されている。プロテクタ108が収容部12に取り付けられた係止部材81Aを備えていることにより、プロテクタ108を他の部材に容易に固定できる。また、係止部材81Aによりプロテクタ108の強度を補強できる。
プロテクタ108は、底部12aと、底部12aの両側から同じ側に突出した一対の側壁12b、12cを備える樋状の収容部12を備えて形成されている。また、一方の側壁12bの先端部分には、ヒンジ部22aを介して蓋部22が接続している。プロテクタ108の底部12aには、収容部12の内部空間と連通する一対の貫通孔12i、12jが、収容部12の一対の側壁12b、12cの基端部分の内周面に沿って設けられている。
一方の貫通孔12iは、底部12aのうち一方の側壁12b側の部分において、側壁12bの基端部分の内周面に沿って設けられた切れ目によって形成されている。他方の貫通孔12jは、底部12aのうち他方の側壁12c側の部分において、側壁12cの基端部分の内周面に沿って設けられた切れ目によって形成されている。
一対の貫通孔12i、12jには、後述するように、係止部材81Aのベース部材82からプロテクタ108側に突出している一対の固定部83、84のそれぞれの内側片83b、84bが、それぞれ挿入される。この挿入が容易となるように、貫通孔12iの両側からは、側壁12bの基端部分の内周面を横切る方向に沿って底部12aの中央側に向かう一対の切れ目が形成されているとともに、貫通孔12jの両側からは、側壁12cの基端部分の内周面を横切る方向に沿って底部12aの中央側に向かう一対の切れ目が形成されている。
これにより、一対の貫通孔12i、12jの幅が、内側片83b、84bの厚みよりも小さい場合でも、内側片83b、84bが貫通孔12i、12jに挿入されるにつれて、底部12aにおけるめくれ部12e、12fが収容部12の収容空間側にめくれて湾曲することにより、内側片83b、84bの一対の貫通孔12i、12jへの挿入が容易になる。めくれ部12eは、底部12aのうち貫通孔12iと、その両側から形成された一対の切れ目とによって囲まれた部分であり、めくれ部12fは、貫通孔12jと、その両側から形成された一対の切れ目とによって囲まれた部分である。従って、貫通孔12i、12jの幅が、内側片83b、84bの厚みと、ほぼ同じである場合には、貫通孔12i、12jのそれぞれにおいて、両側から形成されている一対の切れ目は、必要ではない。
また、プロテクタ108の側壁12b、12cのうち貫通孔12i、12jと対向する部分には、膨らみ部12g、12hが形成されている。膨らみ部12g、12hは、係止部材81Aがプロテクタ108に取り付けられたときに、係止部材81Aの一対の固定部83、84の底部に形成された窪み部83c、84cに係止する。プロテクタ108は、一対の貫通孔12i、12jと、一対の貫通孔12i、12jのそれぞれの両側から形成されている一対の切れ目と、側壁12b、12cの膨らみ部12g、12hを備えていることを除いて、プロテクタ102と同様に構成されている。また、係止部材81Aは、プロテクタ108への固定が容易なように、通常、硬質部52と軟質部62とのうち硬質部52に取り付けられる。
より詳細には、係止部材81Aのベース部材82のうちプロテクタ108の一対の側壁12b、12cに対応する部分には一対の固定部83、84が設けられている。一対の固定部83、84のうち固定部83は、一対の側壁12b、12cのうち対応する側壁12bの外周面に沿って立設された外側片83aと、一対の貫通孔12i、12jのうち対応する側壁12b側の貫通孔12iを通って側壁12bの内周面に沿って立設された内側片83bとを備えている。
一対の固定部83、84のうち固定部84は、一対の側壁12b、12cのうち対応する側壁12cの外周面に沿って立設された外側片84aと、一対の貫通孔12i、12jのうち対応する側壁12c側の貫通孔12jを通って側壁12cの内周面に沿って立設された内側片84bとを備えている。そして、固定部83の外側片83aと内側片83bとが側壁12bを挟み込むとともに、固定部83の底部をなす窪み部83cに側壁12bの膨らみ部12gが係止することにより、固定部83と側壁12bとが互いに固定されている。また、固定部84の外側片84aと内側片84bとが側壁12cを挟み込むとともに、固定部84の底部をなす窪み部84cに側壁12cの膨らみ部12hが係止することにより、固定部84と側壁12cとが互いに固定されている。
従って、プロテクタ108に係止部材81Aが取り付けられた状態では、係止部材81Aの一対の固定部83、84のそれぞれの外側片83a、84aと内側片83b、84bとによって、収容部12の一対の側壁12b、12cの倒れが規制される。これにより、組み立てられた収容部12の形状(断面形状)の維持が容易となる。また、係止部材81Aをプロテクタ108に容易に固定できる。
係止部材81Bは、実施形態に係るプロテクタ108に取り付けられる係止部材の他の一例である(図17、図18参照)。係止部材81Bは、バンド部86と、バンド固定部87とを備えていることを除き、係止部材81Aと同様に構成されている。
バンド部86の一端は、一対の固定部83、84のうち一方の固定部83の内側片83bに設けられている。バンド固定部87は、一対の固定部83、84のうち他方の固定部84の内側片84bに設けられており、先端部分にバンド部86の先端側部分を固定可能な枠部87aが形成されている。バンド部86は、その先端側部分に複数の突起部86aが形成されている。バンド部86の先端側部分がバンド固定部87に挿通された状態で、各突起部86aの1つが枠部87aの内周面に設けられた爪部に係止する。これにより、バンド固定部87は、プロテクタ108に収容されたワイヤーハーネスWを収容部12の内部空間に保持するように、バンド部86の先端側部分を固定することができる。
従って、ワイヤーハーネスWは、収容部12の内部空間に保持されるような断面形状で収容部12に収容される。従って、ワイヤーハーネスWが円形の断面をなす場合の断面径よりも、収容部12の高さが低い場合において、ワイヤーハーネスWが係止部材81Bを備えたプロテクタ108に収容されて、係止部材81Bのバンド部86とバンド固定部87とによって固定される場合には、ワイヤーハーネスの断面形状は、扁平な形状に維持される。従って、係止部材81Bが設けられたプロテクタ108を用いれば、扁平な断面の配索経路に沿って配索されるワイヤーハーネスの保護が容易となる。また、ワイヤーハーネスを、プロテクタ108を介して、車体パネルなどの他の部材に容易に固定できる。
製造装置1000は、実施形態に係るシート材を製造する製造装置の一例である。製造装置1000は、不織シート材料供給部431と、加熱部441と、一対の加熱圧縮用ローラ451、452と、一対のリブ形成用ローラ461、462と、一対の折目形成用ローラ471、472とを、シート材の搬送経路の上流側から下流側に向けて、順次に、主に備えて構成されている。また、加熱圧縮用ローラ451、452の下流側には、一対の板状部材481が設けられている(図20参照)。各ローラは、所定の方向に回転して、シート材を加工しつつ、搬送経路の下流側へと搬送する。
不織シート材料供給部431は、上述した不織シート材料(シート状の不織材料)300が巻きつけられた供給用ロールを備えて構成されている。不織シート材料供給部431は、当該供給用ロールを所定方向に回転させることにより、不織シート材料300を、搬送経路の下流側へと送り出す。
加熱部441は、外部から供給される熱風を、不織シート材料供給部431から搬送されている不織シート材料300に吹き付けて、不織シート材料300を、不織シート材料300に含まれている接着樹脂の融点よりも少し低い温度にまで予備加熱する。予備加熱された不織シート材料300は、一対の加熱圧縮用ローラ451、452に供給される。
一対の加熱圧縮用ローラ451、452は、その間に搬送された不織シート材料300を両側から少なくとも一部を加熱圧縮することにより、不織シート材料300が硬化した硬質部と、当該硬質部よりも軟らかく柔軟性を有する軟質部とを形成する。より詳細には、加熱圧縮用ローラ451、452の表面には、複数の凹部455が形成されている(図21参照)。一対の加熱圧縮用ローラ451、452は、内部に、ヒータを備えており、間に挟まれた不織シート材料300のうちローラ表面の各凹部455以外の部分に当接する部分を、基本繊維と接着樹脂とのそれぞれの融点間の温度に加熱して圧縮する。これにより、不織シート材料300が硬化した硬質部と、硬質部よりも軟らかい軟質部とを備える中間製品のシート材が作られる。
一対の板状部材481、482のそれぞれは、加熱圧縮用ローラ451、452の長さ寸法と同じかこれよりも長い、細長板状に形成されている。板状部材481、482の一方長辺側の側部は、加熱圧縮用ローラ451、452側に向けられており、その先端側に向けて順次薄肉となるように形成されている。各板状部材481、482の不織シート材料300側の主面は、搬送される不織シート材料300に対して略平行に設けられている。板状部材481、482は、外部から冷却水を供給されるとともに、一方長辺側の側部の先端から冷風を不織シート材料300に向けて吹き出す。これにより加熱圧縮用ローラ451、452から搬送される中間製品のシート材を冷却し、溶融している部分を硬化させる。また、シート材の一部が加熱圧縮用ローラ451、452の表面に溶着して離れない場合には、一対の板状部材481、482の先端部分によって、溶着した部分が引きはがされる。
リブ形成用ローラ461、462のうちリブ形成用ローラ461の表面には、複数の凸部463が形成されており、リブ形成用ローラ462の表面のうち複数の凸部463と対向しあう部分には、複数の凹部464が形成されている(図22参照)。凹部464は、対向する凹部464の凸形状を少し大きくした形状を裏返した凹形状を備えており、凹部464の中に凸部463が途中まで入り込むことで、中間製品のシート材のうち硬化した硬質部に凹凸形状(リブ)が形成される。ここで、当該硬質部は、まだ十分には冷却されておらず、押圧すると、変形可能な状態である。また、リブ形成用ローラ461、リブ形成用ローラ462は、冷却部を備えて、搬送されるシート材を冷却してもよい。リブ形成用ローラ461、462に格子状の凸部と凹部とがそれぞれ設けられれば、例えば、格子状の複数のリブ181を備えたシート材206を製造することが出来る(図13参照)。リブが形成された中間製品のシート材は、折目形成用ローラ471、472に搬送される。シート材は、搬送の途中でさらに冷却されて、さらに硬くなっている。
一対の折目形成用ローラ471、472のうち折目形成用ローラ471の表面には、複数の折目形成刃473が設けられている(図23参照)。シート材は、折目形成用ローラ471、472によって挟まれた状態で、折目形成刃473によって、完全に切断されないように厚み方向の途中まで切込まれる。これにより、例えば、シート材207のように折目70aが形成される(図24参照)。折目70aは、周囲の部分よりも厚みが薄く、強度が低いために折目として機能する。なお、加熱圧縮用ローラ451、452による加熱圧縮加工時に不織シート材料300の片面のみを加熱して、厚み方向の一部のみを硬化させることなどによって、シート材208のように折目70bを形成することができる(図25参照)。
折目70bは、周囲の硬質部よりも柔軟性が高いため、折目として機能する。シート材に折目を設け、折目に沿ってシート材を折り曲げれば、折目が形成されていない部分でシート材を折り曲げるよりも、シート材をより折り曲げ易くなる。シート材に形成される折目の個数は、複数でもよく、1つのみでもよい。また、シート材に形成される折目は、シート材に間欠的に切れ目を形成してミシン目を設ける処理を施すことなどにより形成することが出来る。また、折目形成処理は、シート材の完成後に、別工程で行われてもよい。
折目形成用ローラ471、472によって折目を形成された完成品のシート材200は、所定のサイズに切断されて、実施形態に係るプロテクタを組み立てるためのシート材としてワイヤーハーネスの製造工程に供給される。積み重ねが容易な当該シート材の状態で搬送されれば、シート材からプロテクタに組み立てた後で搬送する場合に比べて、輸送効率が向上する。なお、製造装置1000によれば、連続的にシート材200を製造できるので生産性を高めることができるが、製造装置1000に代えて、例えば、平板状の金型によって加熱圧縮等の加工を行うことで、シート材を一枚毎や、所定枚数毎に順次に製造する製造装置などが採用されてもよい。
製造されるシート材として、例えば、シート材201のように、軟質部61と、軟質部61を挟む2つの硬質部51を備え、リブと折目とが形成されていないシート材が採用されてもよい(図28参照)。この場合には、リブ形成用ローラ461、462と、折目形成用ローラ471、472とは製造装置1000に設けられる必要がない。製造されたシート材201を、例えば、ワイヤーハーネスWの周囲に巻き付けて両面接着テープで重なり部分を接合することなどにより、収容部を備えた実施形態に係るプロテクタ101が製造される(図29参照)。ワイヤーハーネスWは、一部が屈曲しており、この屈曲部に、軟質部61が沿うように、プロテクタ101がワイヤーハーネスWに外装されている。
また、製造されるシート材として、硬質部と軟質部とをシート材の長手方向に交互に複数個ずつ有し、リブが形成されていないシート材が採用されてもよい。また、当該シート材が折り曲げられて組み立てられるプロテクタは、図19に示されるプロテクタ111のように、長手方向に硬質部151と、軟質部161とを交互に備えるとともに、蓋部が形成されていないプロテクタであってもよい。例えば、2つのプロテクタ111の一方にワイヤーハーネスWが配索された状態で、各プロテクタを開口部側が互いに対向する姿勢で重ね合わせてテープ巻等で固定することにより、屈曲性に優れ、ワイヤーハーネスWの全周を保護可能なプロテクタとして用いることが出来る。
図26は、プロテクタ104(図6)を組み立て、ワイヤーハーネスに外装する処理の一例を説明するための図である。図板501の上部には、円筒部材の断面の一部に対応した形状の曲げ用型502が設置されており、曲げ用型502から所定距離離れた位置に、加熱部503が設けられている。プロテクタ104の材料となるシート材204が、加熱部503と、曲げ用型502のとのそれぞれに亙ってこれらの上部に載せられた状態で、下方に押下げられて、加熱部503と、曲げ用型502と、図板501とのそれぞれの壁面に押し当てられることによって、シート材204は、これらの壁面形状に倣うように、予め形成された折目に沿って曲げ加工される。これにより、底部14a、側壁14b、14cを含む収容部14と、閉じられていない蓋部24とを備えたプロテクタ104が製造される。そして、プロテクタ104にワイヤーハーネスが収容された状態で、押し当て部504によって蓋部24が回動されて、蓋部24の他端側の側部24dが、フランジ部14dに当接する。
加熱部503は、フランジ部14dと側部24dとが閉じ合わされた状態で、これらを加熱して、フランジ部14dと側部24dとを溶着する。これにより、ワイヤーハーネスが配索されたプロテクタ104、すなわちプロテクタ付きワイヤーハーネスが製造される。なお、プロテクタの組み立ての際には、折目が形成されていない部分において、シート材が折り曲げられてもよい。
加熱部503は、シート材204を折り曲げて、側壁14c、フランジ部12dを形作る際の曲げ用型としての機能と、フランジ部14dと蓋部24の側部24dとを接合する接合装置としての機能を持っている。このため、フランジ部14d部分を加熱する必要はあるが、側壁14c部分を加熱する必要は無い。従って、加熱部503は、フランジ部14d近傍部分のみに加熱機構を備えている。そして、この下方部分は、自然冷却されてもよいし、必要に応じて、冷却機構を加熱機構の下方に備えてもよい。
また、加熱部503は、フランジ部14dと蓋部24の側部24dとを接合するための接合装置であり、ワイヤーハーネスを収容可能な形状をプロテクタに形作るためのホットプレス機ではない。
以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法、プロテクタ、プロテクタ付きワイヤーハーネス、およびシート材の何れによっても、基本繊維と、基本繊維よりも低融点の接着樹脂(バインダ)とを含んで柔軟性を有する不織シート材料(シート状の不織材料)の少なくとも一部の領域を加熱圧縮することにより、例えば、シート材202が製造される。そして、シート材202を変形させることにより、ワイヤーハーネスWを収容可能な内部空間702を備える収容部12を備えるプロテクタ102が組み立てられる。従って、プロテクタ102を組み立て可能なシート材202を予め製造し、製造したシート材202をワイヤーハーネス(より詳細にはプロテクタ付きワイヤーハーネス)の製造現場に持ち込み、シート材202からワイヤーハーネスを収容可能な収容部を備えるプロテクタ102を組み立てて、ワイヤーハーネスに外装することが出来る。従って、ワイヤーハーネスの製造現場にワイヤーハーネスを収容可能となる形状を形作るためのホットプレス機を導入することなく、配索経路に応じてワイヤーハーネスをプロテクタに収容することができる。また、シート材202を積み重ねて輸送することにより、輸送効率を高めることが出来る。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法によれば、例えば、硬質部52と、硬質部よりも軟らかい軟質部62とを含むように、不織シート材料が加熱圧縮されてシート材202が製造される。これにより、ワイヤーハーネスの配索方向に沿って硬質部52と軟質部62とを備えるようにプロテクタ102を組み立てることが出来る。剛性や柔軟性などの異なる特性が要求されるプロテクタを1つの部材で実現できるので、プロテクタの種類を削減することができ、プロテクタの取付工数を抑制できる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法によれば、シート材202に少なくとも1つの折目が形成され、形成された折目に沿ってシート材202を折り曲げることでプロテクタ102が組み立てられる。従って、プロテクタの組み立てが容易となる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法によれば、不織シート材料を加熱圧縮することにより、シート材206に少なくとも1つのリブ181が形成される。これにより、シート材を薄肉化しても収容部の剛性を高めることが出来るので、プロテクタを軽量化できる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法によれば、シート材202を折り曲げることにより収容部12の開口部12eを閉鎖可能な蓋部22が形成される。従って、蓋部22を閉じていない状態で、ワイヤーハーネスを収容部12に収容した後に、収容部12の開口部12eを蓋部22で閉鎖できるので、ワイヤーハーネスへのプロテクタ102の外装と、ワイヤーハーネスの全周に対する保護とが容易になる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法によれば、プロテクタ102の収容部12が、底部12aと、底部12aの両側から同じ側に突出する一対の側壁12b、12cとを含む樋状の形状に形成されるように、シート材202が折り曲げられる。従って、収容部12へのワイヤーハーネスの収容が容易になる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法によれば、プロテクタ102の収容部12の一対の側壁12b、12cのうち一方の側壁12bに一端が回動可能に設けられる。これにより、収容部12の開口部12eを閉鎖可能な蓋部22がシート材202を折り曲げて形成され、収容部12の一対の側壁12b、12cのうち他方の側壁12cの先端部を折り曲げることにより、蓋部22の他端側の側部22dと重ね合わせ可能なフランジ部12dが形成される。従って、蓋部22が収容部12の開口部12eを閉鎖した状態における蓋部22と収容部12との当接面積が大きくなるので、開口部12eの閉鎖が容易になる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタの製造方法によれば、蓋部22の他端側の側部22dと、収容部12の他方の側壁12cのフランジ部12dとが、互いに重なり合った状態で固定されるので、収容したワイヤーハーネスに押されてプロテクタ102の蓋部22が解放されることを抑制すること出来る。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ103によれば、不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した2つの硬質部52、53と、2つの硬質部52、53に挟まれて、より軟らかい軟質部62とをシート材203が含んでいる。そして、プロテクタ103の収容部13は、2つの硬質部52、53と軟質部62とを、ワイヤーハーネスの配索方向に沿って含むとともに、軟質部62を挟む2つの硬質部52、53の断面形状が互いに異なるようにシート材203が折り曲げられて形成されている。従って、場所によって断面形状が異なる複雑な配索経路に沿ってワイヤーハーネスが配索される場合でも、少ない個数のプロテクタによってワイヤーハーネスを、収容できるので、収容作業の工数をより削減できる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ104によれば、収容部14は、不織シート材料が硬化した第1硬化部(部分54a〜54g)と、より柔軟性を有するように不織シート材料が硬化した第2硬化部(部分244)とを含み、第2硬化部が湾曲している。従って、例えば、パイプ状の部材に、湾曲した第2硬化部を沿わせてプロテクタ104をワイヤーハーネスに外装できるので、狭い配索経路であっても、ワイヤーハーネスを保護できる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ105によれば、収容部15は、不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した帯状の硬質部551と、帯状の硬質部551よりも軟らかい帯状の軟質部651とを交互に含んで湾曲している湾曲部を備えている。従って、例えば、パイプ状の部材に、湾曲部を沿わせてプロテクタ105をワイヤーハーネスに外装できるので、狭い配索経路であっても、ワイヤーハーネスを保護できる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ108は、収容部12の外周面に固定されているベース部材82と、ベース部材82に設けられ、他の部材に係止可能な係止部85と、を含んで収容部12と別体に形成された係止部材81Aをさらに備えている。係止部材81Aの係止部85が他の部材に係止できるので、プロテクタ108を他の部材に容易に固定できる。また、係止部材81Aによりプロテクタを補強できる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ108によれば、収容部12は、底部12aと、一対の側壁12b、12cとを備える樋状の形状に形成されており、収容部12の底部12aには、収容部12の内部空間と連通する一対の貫通孔12i、12jが、収容部12の一対の側壁12b、12cの基端部分の内周面に沿って設けられている。また、ベース部材82のうち一対の側壁12b、12cに対応する部分には一対の固定部83、84が設けられている。そして、固定部83(84)は、一対の側壁12b、12cのうち対応する側壁12b(12c)の外周面に沿って立設された外側片83a(84a)と、一対の貫通孔12i、12jのうち対応する側壁12b(12c)側の貫通孔12i(12j)を通って対応する側壁12b(12c)の内周面に沿って立設された内側片83b(84b)を備えており、外側片83a(84a)と内側片83b(84b)とが対応する側壁12b(12c)を挟み込んで、当該側壁12b(12c)を固定している。従って、固定部83(84)の外側片83a(84a)と内側片83b(84b)とによって、収容部12の側壁12b(12c)の倒れが規制されるので、収容部12の形状の維持が容易となる。また、係止部材81Aをプロテクタ108に容易に固定できる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ108によれば、係止部材81Bは、一対の固定部83、84のうち一方の固定部83の内側片83bに一端が設けられたバンド部86と、一対の固定部83、84のうち他方の固定部84の内側片84bに設けられ、バンド部86の先端側部分を固定可能なバンド固定部87と、をさらに備える。そして、バンド固定部87は、ワイヤーハーネスWを収容部12の内部空間に保持するように、バンド部86の先端側部分を固定可能である。これにより、ワイヤーハーネスWは、収容部12の内部空間に保持されるような断面形状で収容部12に収容される。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ付きワイヤーハーネスによれば、収容部12および蓋部22と別体に形成され、収容部12に収容されたワイヤーハーネスWから分岐した枝線W1に外装された枝線外装部材400をさらに備えている。そして、収容部12のフランジ部12dと、蓋部22の側部22dとの間に枝線外装部材400を挟んだ状態で、フランジ部12dと、蓋部22の側部22dとが互いに重ね合わされている。従って、収容部12のフランジ部12dと、蓋部22の他端側の側部22dとを互いに固定することによって、枝線外装部材400を一体的に形成されたプロテクタ102に固定できるので、分岐した枝線W1の保護が容易となる。
また、以上のような本実施形態に係るプロテクタ付きワイヤーハーネスによれば、プロテクタ102における収容部12は、不織シート材料が加熱圧縮されて硬化した硬質部52と、より軟らかい軟質部62とを含んでいる。そして、蓋部22の側部22dと、収容部12のフランジ部12dとのそれぞれの枝線外装部材400を挟んでいる部分は、軟質部62によって形成されている。従って、枝線外装部材400を、蓋部22の側部22dと、収容部12のフランジ部12dとに、より密着させることができるので、枝線外装部材400をプロテクタ102に、より確実に保持することが出来る。また、枝線W1の分岐位置の維持が容易となる。
また、以上のような本実施形態に係るシート材202によれば、基本繊維と、基本繊維よりも低融点のバインダとを含んで柔軟性を有する不織シート材料の少なくとも一部が加熱圧縮されて、シート材202が形成されている。そして、ワイヤーハーネスを収容可能な内部空間702を備える収容部12を備えたプロテクタ102を、シート材202を折り曲げることで組立可能なように、シート材202の表面には折目71〜75が形成されている。これにより、プロテクタを組み立て可能なシート材202を予め製造し、製造したシート材202をワイヤーハーネスの製造現場に持ち込み、シート材202からワイヤーハーネスを収容可能な収容部12を備えるプロテクタ102を組み立てて、ワイヤーハーネスに外装することが出来る。従って、ワイヤーハーネスの製造現場にワイヤーハーネスを収容可能となる形状を形作るためのホットプレス機を導入することなく、配索経路に応じてワイヤーハーネスをプロテクタに収容することができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。