JP5719574B2 - リン含有フェノール樹脂、該樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

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本発明は、難燃性を有するリン含有フェノール樹脂及び該リン含有フェノール樹脂を含む硬化性樹脂組成物、その硬化物に関するものである。
フェノール樹脂は、その優れた耐熱性、接着性、機械特性、電気的特性等を利用し、各種基材の成型材料や摩擦材用結合剤、研削材用結合剤、木材用接着剤、鋳型用結合剤、積層材用結合剤、コーティング剤、エポキシ樹脂硬化剤等として幅広く使用されている。
特に、積層材として電気・電子機器に使用される場合には、火災時の燃焼防止と発煙の制御をするため、難燃性の付与が強く要求されている。積層板用樹脂の難燃化方法として、従来は、臭素系難燃剤、窒素系難燃剤とリン系難燃剤の単独または組み合わせ、前記難燃剤の単独または組み合わせに無機系難燃助剤を併用する難燃システムが主流であった。しかし、近年環境問題から臭素系難燃剤の使用が敬遠されつつある。また、添加型リン系難燃剤として赤リンを使用した場合は安全性が不十分であり、リン酸系化合物を使用する場合は硬化物表面にブリードアウトする問題があった。また、リン酸エステル類を使用すると、はんだ耐熱性、耐溶剤性が低下してしまう問題があった。そのため、これら添加型難燃剤を使用する事なく難燃性が得られる、非ハロゲン系反応型難燃剤の開発が求められている。
一方、エポキシ樹脂の硬化剤としても前記同様の問題点があるが、例えば、2−ジフェニルホスフィニルヒドロキノン(PPQと略す)や10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA−HQ)等のリン含有フェノール化合物を使用した場合は難燃性の高いエポキシ樹脂硬化物が得られる。しかしこれらのリン含有フェノール化合物は溶剤溶解性やエポキシ樹脂との相溶性が悪く、硬化剤として単独使用した場合、エポキシ樹脂ワニス中に溶解せずに沈降してしまうため、積層材用途等では実用性に乏しい。この問題を解決するために、特許文献1,2では、分散性を考慮して予めエポキシ樹脂とリン含有フェノール化合物を反応させる予備反応を行い、その一部をリン含有エポキシ樹脂とする開示がある。しかし、接着性が低い等の問題があり、また、ワニスの溶媒に高沸点溶媒を用いる等、樹脂の溶剤溶解性も十分に満足できる程度ではない。特許文献3にはエポキシ樹脂との相溶性を改善したリン含有フェノール樹脂の提案もあるが、沸点の高いシクロヘキサノンを反応溶媒として使用しているため、積層板の製造工程で溶媒を完全に除去することが困難であり、エポキシ樹脂硬化物の接着性や耐熱信頼性等が悪くなる恐れがある。
特開平8−188638 特開2000−256537 特開2003−40969
本発明の目的は、添加型難燃剤を用いずに難燃性を付与する事が可能であり、しかも各種有機溶剤への溶解性や各種汎用エポキシ樹脂等との相溶性が良く、封止材、成形材、積層板、注型材、接着剤、絶縁塗料等に適したリン含有フェノール樹脂を提供し、該リン含有フェノール樹脂を含む樹脂組成物を硬化させることにより、難燃性、耐熱信頼性、接着性に優れた硬化物を提供するものである。
すなわち本発明は、
(1)下記一般式(1)で表される数平均分子量が500から2500である新規リン含有フェノール樹脂。
Figure 0005719574
(式中Aは炭素数6から20のアリーレン基及び/またはトリイル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、式中Yは酸素原子及び/または窒素原子を表し、同一であっても異なっていてもよい。式中Zは一般式(2)及び/または一般式(3)及び/または一般式(4)を表し、本発明のリン含有フェノール樹脂一分子中に必ず一般式(2)及び一般式(3)で表される構造の両方を有する。式中Rは酸素原子または硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、炭化水素基、単結合を表し、炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。式中αは0から4の整数を表し、βは1から10の整数を表し、γは0または1を表し、δは0から10の整数を表し0の場合の括弧内の構造は水素原子を示し、εは0から2の整数を表し0の場合の括弧内の構造は水素原子を示し、ηは1または2を表す。)
Figure 0005719574
(式中A及びγは一般式(1)と同じであり、Xは水素原子及び/または一般式(5)を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、式中R及びRは炭素数1から6の炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、リン原子と共に環状になっていてもよい。)
Figure 0005719574
(式中A及びα、β、γ、δ、εはそれぞれ一般式(1)に同じであり、Xは一般式(2)に同じである。また、Rは酸素原子または硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、炭化水素基、単結合を表し、炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。)
Figure 0005719574
(式中γは一般式(1)と同じであり、R及びRは炭素数1から6の炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、リン原子と共に環状になっていてもよい。)
Figure 0005719574
(式中A及びR、Y、Z、α、β、γ、δ、ε、ηはそれぞれ一般式(1)に同じである。)
(2)下記一般式(6)で表される前記(1)記載のリン含有フェノール樹脂。
Figure 0005719574
(式中A及びR、α、γ、δ、εはそれぞれ一般式(1)に同じであり、R及びRは一般式(2)に同じであり、Rは一般式(3)に同じである。また、式中θは0から5の整数を表す。)
(3)エポキシ樹脂に一般式(7)で表されるリン含有フェノール化合物及び二官能以上のリン非含有フェノール化合物を反応させる事を特徴とする前記(1)または前記(2)に記載のリン含有フェノール樹脂。
Figure 0005719574
(式中A及びγはそれぞれ一般式(1)に同じであり、R及びRはそれぞれ一般式(2)に同じである。)
(4)前記(1)から(3)のいずれかに記載のリン含有フェノール樹脂を含む樹脂組成物。
(5)前記(4)記載の樹脂組成物を硬化してなる難燃性樹脂硬化物。
本発明によれば、有機溶剤への溶解性やエポキシ樹脂等との相溶性が良いリン含有フェノール樹脂とその組成物が提供される。このリン含有フェノール樹脂をエポキシ樹脂や他のフェノール樹脂等と配合して使用した樹脂組成物は、優れた難燃性、耐熱信頼性、接着性を有する硬化物を得る事ができる。
実施例2で得られたリン含有フェノール樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィーの図である。横軸は保持時間(分)、左軸は検出強度(mV)を表している。右軸は検量線の分子量(M)を対数で表している。検出開始の保持時間17.8分からピークの検出が終了する26.1分の範囲がリン含有フェノール樹脂由来の成分ピークであり、その他は未反応の原料及び不純物由来の成分ピークである。 実施例2で得られたリン含有フェノール樹脂の赤外吸収スペクトルの図である。
本発明の一般式(1)の式中Aは炭素数6から20のアリーレン基及び/またはトリイル基を表わし、同一であっても異なっていてもよい。具体的には、フェニレン基、トリレン基、キシレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ベンゼン−1,2,4−トリイル基等であり、置換基があってもよく、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
一般式(1)の式中Rは酸素原子や硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、メチレン基やメチン基等の炭化水素基、単結合であり、炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。例えば、式中εが0の場合、Rは酸素原子や硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、単結合、メチレン基やフェニレン基等の炭化水素基であり、εが1の場合はメチン基やベンゼン−1,3,4−トリイル基等の炭化水素基、εが2の場合はエタン−1,1,2,2,−テトライル基等の炭化水素基である。
一般式(1)の式中αは0から4の整数を表し、好ましくは0から2の範囲である。また、式中βは1から10の整数を表し、1から6の範囲が好ましく、1から3の範囲がより好ましい。同様に、式中δは0から10の整数を表し、0から5の範囲が好ましく、0から2の範囲がより好ましい。β及びδが10を超えると軟化点が高くなり、溶剤溶解性や他の樹脂との相溶性が低下するため好ましくない。
一般式(1)は数平均分子量が500から5000であるリン含有フェノール樹脂を表し、好ましくは500から2500、さらには500から1100の範囲が好ましい。数平均分子量が5000を超えると樹脂の粘度が高く、各種樹脂との相溶性や溶剤溶解性が低下する。
一般式(2)の式中R及びRは炭素数1から6の炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよく、リン原子と共に環状になっていてもよい。また、式中γは0または1である。例えば、一般式(2)の式中Aがベンゼン−1,2,4−トリイル基であり、Xが水素原子である場合で、R及びRが炭素数6の炭化水素基でR及びRが同一であり、γが0の時は一般式(8)で表される構造である。また、R及びRがリン原子と共に環状であり、γが1の時は一般式(9)で表される構造である。
Figure 0005719574
Figure 0005719574
一般式(6)の式中αは0から4の整数を表し、好ましくは0から2の範囲であり、εは0から2の整数を表す。また、式中θは0から5の整数を表し、好ましくは0から2の範囲である。それぞれ、α及びθが4及び5を超えたり、εが2を超えたりすると軟化点が高くなり、溶剤溶解性や他の樹脂との相溶性が低下するため好ましくない。
一般式(6)で表されるリン含有フェノール樹脂は一般式(1)で表される構造に含まれる。例えば、一般式(1)の式中Yが酸素原子、αが0、β及びγ、ηが1、一般式(2)の式中のXが水素原子、γが1、一般式(3)の式中のXが水素原子、α及びδが0、β及びγが1、一般式(6)のαが0、γ及びθが1を表す場合、一般式及び一般式(6)は同一の構造であり、一般式(10)で表される構造である。
Figure 0005719574
本発明の一般式(1)及び/または一般式(6)で表されるリン含有フェノール樹脂は、エポキシ樹脂にリン含有フェノール化合物及び二官能以上のリン非含有フェノール化合物を反応させることにより製造する事ができる。但し、本発明の範囲はこれら製造方法に限定されるものではない。
本発明のリン含有フェノール樹脂を製造するために使用するエポキシ樹脂は、エポトート YD−128、エポトート YD−8125(新日鐵化学株式会社製 BPA型エポキシ樹脂)、エポトート YDF−170、エポトート YDF−8170(新日鐵化学株式会社製 BPF型エポキシ樹脂)、YSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製 テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂)、エポトート YDC−1312(ヒドロキノン型エポキシ樹脂)、jER YX4000H(三菱化学株式会社製 ビフェニル型エポキシ樹脂)、エポトート YDPN―638(新日鐵株式会社製 フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、エポトート YDCN−701(新日鐵化学株式会社製 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、エポトート ZX−1201(新日鐵化学株式会社製 ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂)、TX−0710(新日鐵化学株式会社製 ビスフェノールS型エポキシ樹脂)、エピクロン EXA−1515(大日本化学工業株式会社製 ビスフェノールS型エポキシ樹脂)、NC−3000(日本化薬株式会社製 ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂)、エポトート ZX−1355、エポトート ZX−1711(新日鐵化学株式会社製 ナフタレンジオール型エポキシ樹脂)、エポトート ESN−155(新日鐵化学株式会社製 β−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、エポトート ESN−355、エポトート ESN−375(新日鐵化学株式会社製 ジナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、エポトート ESN475V,エポトート ESN−485(新日鐵化学株式会社製 α−ナルトールアラルキル型エポキシ樹脂)、EPPN−501H(日本化薬株式会社製 トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂)、スミエポキシ TMH−574(住友化学株式会社製 トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂)等の多価フェノール樹脂のフェノール化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、エポトート YH−434、(新日鐵化学株式会社製 ジアミノジフェニルメタンテトラグリシジルアミン)等のアミン化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、jER 630(三菱化学株式会社製 アミノフェノール型エポキシ樹脂)、エポトート FX−289B、エポトート FX−305、TX−0932A(新日鐵化学株式会社製 リン含有エポキシ樹脂)等のエポキシ樹脂をリン含有フェノール化合物等の変性剤と反応して得られるリン含有エポキシ樹脂、YSLV−120TE(新日鐵化学株式会社製 ビスチオエーテル型エポキシ樹脂)、エポトート ZX−1684(新日鐵化学株式会社製 レゾルシノール型エポキシ樹脂)、デナコール EX−201(ナガセケムテックス株式会社製 レゾルシノール型エポキシ樹脂)、エピクロン HP−7200H(DIC株式会社製 ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、ウレタン変性エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、TX−0929、TX−0934(新日鐵化学株式会社製 アルキレングリコール型エポキシ樹脂)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は単独で使用しても2種類以上を併用して使用してもよい。
本発明で使用するリン含有フェノール化合物は、一般式(11)で表される構造である。例えば、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA−HQ)、10−(1,4−ジオキシナフタレン)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、ジフェニルホスフィニルヒドロキノン(北興化学工業株式会社製 商品名PPQ)、ジフェニルホスフェニル−1,4−ジオキシナフタリン、1,4−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール(日本化学工業株式会社製 商品名CPHO−HQ)、1,5−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール(日本化学工業株式会社製 商品名CPHO−HQ)等のリン含有フェノール類を挙げる事ができるが、これらに限定されるものではない。また、これらのリン含有フェノール化合物は2種類以上を併用して使用する事もできる。
Figure 0005719574
(式中A及びγはそれぞれ一般式(1)に同じであり、R及びRはそれぞれ一般式(2)に同じである。)
また、これらのリン含有フェノール化合物は9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA)やジフェニルホスフィン等のリン原子に直結した活性水素基を有するリン化合物と、1,4−ベンゾキノンや1,4−ナフトキノン等のキノン類との反応で得る事ができる。HCA−HQについては特開昭60−126293、HCA−NQについては特開昭61−236787、PPQについてはzh.Obshch.Khim,42(11),第2415−2418頁(1972)に合成方法が示されている。
本発明のリン含有フェノール樹脂の製造で使用するリン含有フェノール化合物は、HCAやジフェニルホスフィン等のリン化合物1.0molに対して1,4−ベンゾキノンや1,4−ナフトキノン等のキノン類を0.2molから1.0molの範囲で反応させる事が好ましく、0.5molから1.0molの範囲がより好ましく、0.8molから1.0molの範囲がさらに好ましい。0.5molより少ないとリン含有フェノール樹脂中の水酸基が少なくなるため硬化物の架橋密度が低下し、物性が悪くなる恐れがある。また、1.0molを超えると未反応のキノンが残存してしまうため、好ましくない。
本発明のリン含有フェノール樹脂の製造で使用するリン非含有フェノール化合物は一分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物であり、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等のヒドロキシベンゼン類、ナフトール類、ビフェノール類、トリスフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ショウノール BRG−555(昭和電工株式会社製 フェノールノボラック樹脂)、クレゾールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、アラルキルフェノールノボラック樹脂、トリアジン環含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール樹脂、レヂトップ TPM−100(群栄化学工業株式会社製 トリスヒドロキシフェニルメタン型ノボラック樹脂)、アラルキルナフタレンジオール樹脂等の多価フェノール類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのリン非含有フェノール化合物は2種類以上を併用して使用する事ができる。
本発明では、前記リン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール化合物を併用して使用するが、リン含有フェノール化合物は前記リン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール化合物の合計量に対して重量比で20%から80%、好ましくは30%から70%、より好ましくは40%から65%となるように使用する事が好ましい。リン含有フェノール化合物が20%より少ないと硬化物の難燃性が不十分となり、80%を超えて使用すると、得られるリン含有フェノール樹脂の溶剤溶解性が悪くなってしまう。
本発明のリン含有フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂と前記リン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール化合物を反応させて得ることができる。前記エポキシ樹脂中のエポキシ基1.0molに対して前記リン含有フェノール化合物及びリン非含有のフェノール化合物中のフェノール性水酸基の合計が1.5molから4.0molの範囲が好ましく、1.8molから2.2molがより好ましい。フェノール性水酸基が1.5より少ないと得られる樹脂の分子量が高くなってゲル化したり、エポキシ残基によって貯蔵安定性が悪くなったり、硬化物のTgが極度に低くなったりする。また、4.0molを超えると溶剤溶解性やエポキシ樹脂等との相溶性が悪くなる恐れがある。
本発明のリン含有フェノール樹脂を得る反応の反応温度は100℃から200℃、さらには140℃から160℃が好ましく、100℃以下では反応の進行が著しく遅く、200℃以上ではエポキシ樹脂が一部分解してしまう恐れがある。また、反応時間は2から6時間が好ましい。
また、本発明のリン含有フェノール樹脂を得る反応では、反応を促進するために反応触媒を使用する事ができる。使用できる触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド等の四級ホスホニウム塩類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウブロミド等の四級アンモニウム塩類、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン類が挙げられる。これら触媒の使用量は、フェノール化合物全量に対して0.01から10%の範囲が好ましい。
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の反応は無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが、溶媒中で行う場合は、非プロトン性溶媒中で行うことが好ましく、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジオキサン、ジアルキルエーテル、グリコールエーテル、2−ブトキシエタノール等が挙げられる。これらの反応溶媒は単独で、あるいは2種類以上を同時に使用してもよい。これらの反応溶媒の使用量は反応物全重量中の50%以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物には前記のリン含有フェノール樹脂を含むが、エポキシ樹脂組成物の場合、エポキシ樹脂、本発明のリン含有フェノール樹脂以外の硬化剤、硬化促進剤、充填剤等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂組成物に使用できるエポキシ樹脂としては、本発明のリン含有フェノール樹脂の合成に使用するエポキシ樹脂と同様の種類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は単独で使用しても2種類以上を併用して使用してもよい。
本発明の樹脂組成物にエポキシ樹脂を使用した場合は、本発明のリン含有フェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として作用する。本発明の樹脂組成物は、本発明のリン含有フェノール樹脂以外に硬化剤を併用することができる。例えば、前記の該リン含有フェノール樹脂の製造で使用するリン非含有フェノール化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジド類、イミダゾール化合物類及びその塩類、ジシアンジアミド、アミノ安息香酸エステル類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メタキシレンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン類、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノエチルベンゼン等の芳香族アミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸等の酸無水物類等が挙げられ、公知慣用のエポキシ樹脂硬化剤を1種類以上併用しても構わない。本発明のリン含有フェノール樹脂を含むエポキシ樹脂硬化剤の使用量は、使用されるエポキシ樹脂中のエポキシ基1.0molに対して0.3molから1.5molの範囲が好ましく、0.4molから1.2molがさらに好ましい。また、本発明のリン含有フェノール樹脂と他のエポキシ樹脂硬化剤を併用する場合、リン含有フェノール樹脂は他のエポキシ樹脂硬化剤との合計量に対して重量比で20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上となるように使用する事が好ましい。リン含有フェノール樹脂が20%より少ないと硬化物の難燃性が不十分となり易い。
また、流動性や粘度等を調整する場合には、本発明の樹脂組成物の物性を損ねない範囲で反応性稀釈剤を使用することが可能である。希釈剤は反応性希釈剤が好ましいが、非反応性希釈剤でも構わない。反応性希釈剤としては、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等の単官能、レゾルシノールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の二官能、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル類が挙げられる。非反応性希釈剤としては、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、パインオイル等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を使用することが可能である。例えば、ホスフィン類、四級ホスホニウム塩類、三級アミン類、四級アンモニウム塩類、イミダゾール化合物類、三フッ化ホウ素錯体類、3−(3,4−ジクロロジフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア等が挙げられる。これら硬化促進剤は使用するエポキシ樹脂、併用するエポキシ樹脂硬化剤の種類、成形方法、硬化温度、要求特性によるが、エポキシ樹脂に対して重量比で0.01%から20%の範囲が好ましく、さらには0.1%から10%が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、特性を損ねない範囲で他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を配合してもよい。例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、石油樹脂、インデン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルホルマール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて無機充填剤、有機充填剤を配合することができる。充填剤の例としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、炭素、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維等が挙げられる。これら充填剤は樹脂組成物全体重量中の1.0%から70%が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じてシランカップリング剤、酸化防止剤、離型剤、消泡剤、乳化剤、揺変性付与剤、平滑剤、難燃剤、顔料等の核種添加剤を配合することができる。これらの添加剤は樹脂組成物全重量中の0.01%から20%の範囲が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、公知のフェノール樹脂組成物と同様な方法により成型、硬化して硬化物とすることができる。成型方法、硬化方法は公知のフェノール樹脂組成物と同様の方法をとることができ、本発明の樹脂組成物固有の方法は不要である。
本発明の樹脂硬化物は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本発明は、難燃性を有したリン含有フェノール樹脂であり、溶剤溶解性及びエポキシ樹脂等への相溶性が良好であるため作業性に優れており、尚且つ、エポキシ樹脂硬化物は接着性や耐熱信頼性が良好であり、電気電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、難燃塗料、絶縁難燃接着剤等の電気部品用材料として有用であることが判った。
次に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。特に断りがない限り「部」は重量部を表し、「%」は重量%を表す。また、分析方法、測定方法は以下の通りである。
水酸基当量:1,4−ジオキサンを溶媒に用い、1.5mol/L塩化アセチルでアセチル化を行い、過剰の塩化アセチルを水で失活させ、0.5mol/L水酸化カリウムを加えて、電位差滴定装置を用いて滴定した。
エポキシ当量:JIS K7236に準じた。
不揮発分:JIS K7235−1986
数平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて分子量分布を測定し、標準ポリスチレンより求めた検量線より換算した。その際、残存している未反応の原料及び不純物由来のピークは除いて算出した。具体的には、本体(東ソー株式会社製 HLC−8220GPC)にカラム(東ソー株式会社製 TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフランを用い、1ml/minの流速とし、検出器はRI検出器を用いた。
リン含有量:試料に硫酸、塩酸、過塩素酸を加え、加熱して湿式灰化し、全てのリン原子をオルトリン酸とした。硫酸酸性溶液中でメタバナジン酸塩及びモリブデン酸塩を反応させ、生じたリンバードモリブデン酸錯体の420nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線により求めたリン原子含有量を重量%で表した。積層板のリン含有量は、積層板の樹脂分に対する含有量として表した。
赤外吸収スペクトル:フーリエ変換赤外分光光度計(株式会社パーキンエルマー製 Spectum One)を用い、錠剤法(KBr)により測定した。
ゲル化時間:樹脂組成物を0.2ml採取し、160℃の熱板上に滴下して撹拌を行い、樹脂組成物がゲル化するまでの時間を測定した。
銅箔剥離強さ及び層間剥離強さ:JIS C6481に準じた。
燃焼性:UL94(Underwriters Laboratories Inc.の安全認証規格)に準じた。5本の試験片について試験を行い、1回目と2回目の接炎(5本それぞれ2回ずつで計10回の接炎)後の有炎燃焼持続時間の合計時間を秒で表した。
T−288試験:IPC TM−650に準じた。
ガラス転移温度:示差走査熱量測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 DSC6200)にて10℃/分の昇温条件で測定を行った時のDSC外挿値の温度で表した。
熱分解温度:示差熱−熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 TG/DTA6200)にて10℃/分の昇温条件で測定を行い、熱重量減少量を百分率で表した。
実施例1
攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコ実験装置に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 商品名YDF−170、エポキシ当量170g/eq.)84.9部を入れ、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA−HQ、融点256℃、リン含有量9.6%、水酸基当量162g/eq.)78.3部、トリスヒドロキシフェニルメタン型ノボラック樹脂(群栄化学工業会社製 商品名レヂトップ TPM−100、水酸基当量97.5g/eq.)50.4部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)53部を仕込んだ。この時、全フェノール化合物中のリン含有フェノール化合物の割合は61%であり、エポキシ樹脂とリン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール樹脂の官能基比は1.00:0.96:1.04であった。これに触媒としてトリフェニルホスフィンを添加して160℃で3時間反応を行った後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)とメチルエチルケトン(MEK)の混合溶剤(1:1)を加えて希釈した。得られたリン含有フェノール樹脂溶液は赤色透明で、不揮発分60%、リン含有量3.5%、数平均分子量2077、水酸基当量427g/eq.であった。表1に仕込み量と仕込み比率、樹脂の性状等を示す。
実施例2
実施例1のTPM−100をビスフェノールF(本州化学工業株式会社製、水酸基当量100g/eq.)51.6部に変えた以外は実施例1と同様の方法で反応させた。この時、全フェノール化合物中のリン含有フェノール化合物の割合は60%であり、エポキシ樹脂とリン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール樹脂の官能基比は1.00:0.96:1.04であった。反応終了後、PGM/MEK混合溶剤で希釈した。得られたリン含有フェノール樹脂溶液は淡黄色透明で、不揮発分60%、リン含有量3.5%、数平均分子量1620、水酸基当量430g/eq.であった。表1に仕込み量と仕込み比率、樹脂の性状等を示す。
実施例3
実施例1のYDF−170をアルキレングリコール型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 試作品名TX−0929、エポキシ当量140g/eq.)70.3部に変えた以外は実施例1と同様の方法で反応させた。この時、全フェノール化合物中のリン含有フェノール化合物の割合は58%であり、エポキシ樹脂とリン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール樹脂の官能基比は1.00:0.92:1.08であった。反応終了後、PGM/MEK混合溶剤で希釈した。得られたリン含有フェノール樹脂溶液は淡黄色透明で、不揮発分60%、リン含有量3.6%、数平均分子量1943、水酸基当量393g/eq.であった。表1に仕込み量と仕込み比率、樹脂の性状等を示す。
実施例4
攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコ実験装置に、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA、リン含有量14.2%)55.5部及び1,4−ナフトキノン(川崎化成工業株式会社製 水分量3.4%)40.7部、トルエン17部を入れ、75℃で30分間撹拌した後、系内の水分を除きながら110℃で90分間反応させた。この時HCAと1,4−ナフトキノンのモル比は1.00:0.98であった。その後トルエンを除き、YDF−170を85.0部、BPFを49.6部、PMA20部を加えて実施例1と同様の方法で反応させた。この時、全フェノール化合物中のリン含有フェノール化合物の割合は66%であり、エポキシ樹脂とリン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール樹脂の官能基比は1.00:1.00:1.00であった。反応終了後、PGM/MEK混合溶剤で希釈した。得られたリン含有フェノール樹脂溶液は濃褐色透明で、不揮発分60%、リン含有量3.4%、数平均分子量1914、水酸基当量460g/eq.のリン含有フェノール樹脂溶液を得た。表1に仕込み量と仕込み比率、樹脂の性状等を示す。
実施例5
実施例1で得られたリン含有フェノール樹脂にフェノールノボラック型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 商品名YDPN−638、エポキシ当量175g/eq)と硬化促進剤を表2に示す固形分量で配合し、樹脂組成物を得た。これをMEKに溶解して樹脂ワニスとした。得られたエポキシ樹脂ワニスをガラスクロス(WEA 116E106S136 日東紡績株式会社製 厚み0.1mm)に含浸し、150℃の熱風循環オーブン中で10分間乾燥してプリプレグを得た。得られたプリプレグ4枚と銅箔(3EC−III 三井金属鉱業株式会社製 厚み35μm)を重ね、130℃×15分+190℃×80分の温度条件で2MPaの真空プレスを行い、0.5mm厚の積層板を得た。表2に配合比率と積層板評価結果を示す。
実施例6
実施例5と同様に、実施例2で得られたリン含有フェノール樹脂及びYDPN−638を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表2に配合比率と積層板評価結果を示す。
実施例7
実施例5と同様に、実施例3で得られたリン含有フェノール樹脂及びYDPN−638を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表2に配合比率と積層板評価結果を示す。
実施例8
実施例5と同様に、実施例4で得られたリン含有フェノール樹脂及びYDPN−638を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表2に配合比率と積層板評価結果を示す。
実施例9
実施例5と同様に、実施例1で得られたリン含有フェノール樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 商品名YDF−170、エポキシ当量170g/eq)を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表2に配合比率と積層板評価結果を示す。
実施例10
実施例5と同様に、実施例1で得られたリン含有フェノール樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 商品名YDCN−700−7、エポキシ当量209g/eq)を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表2に配合比率と積層板評価結果を示す。
実施例11
実施例5と同様に、実施例1で得られたリン含有フェノール樹脂及びリン含有エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 商品名FX−289B、リン含有量2.0%、エポキシ当量300g/eq)を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表2に配合比率と積層板評価結果を示す。
比較例1
実施例1と同様にYDF−170を84.9部、HCA−HQを162部、シクロヘキサノンを62部仕込み、実施例1と同様の方法で反応させた。この時、全フェノール化合物中のリン含有フェノール化合物の割合は100%であり、エポキシ樹脂とリン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール樹脂の官能基比は1.00:1.00:0.00であった。反応終了後、DMF/メチルセロソルブ混合溶剤で希釈した。得られたリン含有フェノール樹脂溶液は淡黄色透明で、不揮発分60%、リン含有量6.3%、数平均分子量602、水酸基当量484g/eq.であった。表1に仕込み量と仕込み比率、樹脂の性状等を示す。
比較例2
実施例1と同様にYDF−170を84.9部とHCA−HQ162部とシクロヘキサノン61部を仕込み、実施例1と同様の方法で反応させた。60℃まで冷却した後BPFを196部、PMAを50部加えて撹拌した。この時、全フェノール化合物中のリン含有フェノール化合物の割合は45%であり、エポキシ樹脂とリン含有フェノール化合物及びリン非含有フェノール樹脂の官能基比は1.00:2.00:1.98であった。得られたリン含有フェノール樹脂溶液は白色の半固形状で、不揮発分80%、リン含有量3.5%、水酸基当量180g/eq.であった。これにPGM/MEK混合溶剤を加えて希釈し、不揮発分60%としたが、白色の固形が沈降した。得られた樹脂はTHFに一部不溶であったため、GPCの測定はできなかった。表1に仕込み量と仕込み比率、樹脂の性状等を示す。
比較例3
比較例1で得られたリン含有フェノール樹脂にフェノールノボラック型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 商品名YDPN−638、エポキシ当量175g/eq)と硬化促進剤を表3に示す固形分量で配合し、樹脂組成物を得た。これをDMF/MEK混合溶剤に溶解して樹脂ワニスとした後、実施例5と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物を得た。表3に配合比率と積層板評価結果を示す。
比較例4
YDPN−638に10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA−HQ、融点256℃、リン含有量9.6%、水酸基当量162g/eq.)94.8部と硬化促進剤を表1に示す配合で配合し、樹脂組成物を得た。これをDMF/MEK混合溶剤を加えたが溶解しなかったため、樹脂ワニスを得る事はできなかった。そのため積層板評価は行っていない。
比較例5
実施例5と同様に、フェノールノボラック型樹脂(昭和電工株式会社製 商品名ショウノール BRG−555、フェノール性水酸基当量105g/eq)及びYDPN−638を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表3に配合比率と積層板評価結果を示す。
比較例6
実施例5と同様に、BRG−555及びリン含有エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 試作品名TX−0932A、リン含有量3.5%、エポキシ当量390g/eq)を用いてエポキシ樹脂硬化物を得た。表3に配合比率と積層板評価結果を示す。
比較例7
ジシアンジアミド(DICY、活性水素当量21g/eq)にTX−0932Aと硬化促進剤を表3に示す固形分量で配合し、樹脂組成物を得た。これをDMF/メチルセロソルブ/MEK混合溶剤に溶解して樹脂ワニスとした後、実施例5と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物を得た。表3に配合比率と積層板評価結果を示す。
Figure 0005719574
Figure 0005719574
Figure 0005719574
表1の実施例1から実施例4に示す様に、本発明のリン含有フェノール樹脂はエポキシ樹脂にリン含有フェノール化合物とリン非含有フェノール化合物の両方を反応させることにより、エポキシ樹脂にリン含有フェノール化合物のみを反応させた比較例1や、エポキシ樹脂にリン含有フェノール化合物を反応させてこれにリン非含有フェノール化合物を混ぜた比較例2と比べて溶剤溶解性に優れる。
表2の実施例5から実施例10に示す様に、本発明のリン含有フェノール樹脂をエポキシ樹脂硬化剤として使用したエポキシ樹脂硬化物は、従来のフェノール硬化剤を使用した場合に比べて耐熱信頼性、接着性に優れる。また、実施例11に示す様に、リン含有エポキシ樹脂と組み合わせた硬化系では、リン含有エポキシ樹脂に従来の硬化剤を使用する場合と比べて、耐熱信頼性、接着性、Tgが優れる。
本発明のリン含有フェノール樹脂は有機溶剤への溶解性やエポキシ樹脂等との相溶性が良いため、作業性、硬化性、成型性に優れる上に、該リン含有フェノール樹脂を含む樹脂組成物は、添加型難燃剤を使用せずとも十分な難燃性を発現する事が可能である。
また本発明のリン含有フェノール樹脂をエポキシ樹脂等の硬化剤として使用した場合は、耐熱信頼性、接着性に優れた硬化物が得られる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表される数平均分子量が500から2500である新規リン含有フェノール樹脂。
    Figure 0005719574
    (式中Aは炭素数6から20のアリーレン基及び/またはトリイル基を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、式中Yは酸素原子及び/または窒素原子を表し、同一であっても異なっていてもよい。式中Zは一般式(2)及び/または一般式(3)及び/または一般式(4)を表し、本発明のリン含有フェノール樹脂一分子中に必ず一般式(2)及び一般式(3)で表される構造の両方を有する。式中Rは酸素原子または硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、炭化水素基、単結合を表し、炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。式中αは0から4の整数を表し、βは1から10の整数を表し、γは0または1を表し、δは0から10の整数を表し0の場合の括弧内の構造は水素原子を示し、εは0から2の整数を表し0の場合の括弧内の構造は水素原子を示し、ηは1または2を表す。)
    Figure 0005719574
    (式中A及びγは一般式(1)と同じであり、Xは水素原子及び/または一般式(5)を表し、同一であっても異なっていてもよい。また、式中R及びRは炭素数1から6の炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、リン原子と共に環状になっていてもよい。)
    Figure 0005719574
    (式中A及びα、β、γ、δ、εはそれぞれ一般式(1)に同じであり、Xは一般式(2)に同じである。また、Rは酸素原子または硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基、炭化水素基、単結合を表し、炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。)
    Figure 0005719574
    (式中γは一般式(1)と同じであり、R及びRは炭素数1から6の炭化水素基を表し、同一であっても異なっていてもよく、リン原子と共に環状になっていてもよい。)
    Figure 0005719574
    (式中A及びR、Y、Z、α、β、γ、δ、ε、ηはそれぞれ一般式(1)に同じである。)
  2. 一般式(6)で表される請求項1記載のリン含有フェノール樹脂。
    Figure 0005719574
    (式中A及びR、α、γ、δ、εはそれぞれ一般式(1)に同じであり、R及びRは一般式(2)に同じであり、Rは一般式(3)に同じである。また、式中θは0から5の整数を表す。)
  3. エポキシ樹脂に一般式(7)で表されるリン含有フェノール化合物及び二官能以上のリン非含有フェノール化合物を反応させる事を特徴とする請求項1または請求項2に記載のリン含有フェノール樹脂。
    Figure 0005719574
    (式中A及びγはそれぞれ一般式(1)に同じであり、R及びRはそれぞれ一般式(2)に同じである。)
  4. 請求項1から請求項3記載のいずれかに記載のリン含有フェノール樹脂を含む樹脂組成物。
  5. 請求項4記載の樹脂組成物を硬化してなる難燃性樹脂硬化物。
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