JP2014108976A - エポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents

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Shinya Kawasaki
真也 河崎
Hirotaka Kawasaki
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隆之 齊藤
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Abstract

【課題】非ハロゲンでの難燃性を確保するとともに、低誘電性、難燃性等に優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂、及び硬化剤、又はこれらと充填材とを含有するエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分としてリン含有率が1.0〜6.0重量%であるリン含有エポキシ樹脂を含有し、硬化剤成分として下記一般式(1)で示される多価ヒドロキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物であり、これを硬化させたエポキシ樹脂硬化物である。
Figure 2014108976

【選択図】なし

Description

本発明は、低誘電性および難燃性に優れるとともに、耐熱性、接着性にも優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関するものである。
近年、特に先端材料分野の進歩にともない、より高性能なベース樹脂の開発が求められている。例えば、プリント配線板の分野においては、近年、大量情報を高速処理するために、多層化、薄型化、回路のファインピッチ化等が行われてきた。しかし、更なる高速処理を実現するため、より誘電特性に優れた配線板材料が求められている。一方、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きもあり、誘電特性、非ハロゲンにおける難燃性、接着性、耐熱性等の特性を兼ね備えたエポキシ樹脂が求められている。
ハロゲン系難燃剤を用いることなく、難燃性を向上させるための方策として、特許文献1、特許文献2にはリン含有エポキシ樹脂組成物が開示されており、積層板のマトリックス樹脂として応用した場合、絶縁信頼性を低下させることなく優れた難燃性が発現されている。しかし、リン含有エポキシ樹脂においては、リン酸エステル構造に起因した分極した構造とエポキシ当量が低いことに起因して硬化の際に生成するヒドロキシプロピル基により誘電特性は満足できるレベルではなかった。
誘電特性の改良の方策として、特許文献3にはスチレン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂とスチレン化フェノールノボラック樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物が開示されているが、ハロゲン系難燃剤を用いることなく難燃性を付与する技術ではなかった。
さらに、特許文献4にはスチレン変性フェノールノラックエポキシ樹脂とリン含有エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物が開示されており、誘電特性及び難燃性が向上することが開示されているが、難燃性が十分ではなく、また、誘電特性もリン含有エポキシ樹脂を配合することで悪化しており難燃性と誘電特性の両立が求められていた。
耐熱性改良の方策として、特許文献5にはナフトール含有エポキシ樹脂及び硬化剤が開示されているが高耐熱、低吸水性に関するものであり、誘電特性、難燃性に関しては検討されていない。
特開平11−166035号公報 特開平11−279258号公報 特開平08−165328号公報 特開2012−82250号公報 特開平03−043412号公報
本発明の目的は、非ハロゲンでの難燃性を確保するとともに、低誘電性、耐熱性、接着性すべてに優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に有用なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供するものである。
すなわち、本発明は、エポキシ樹脂、及び硬化剤、又はこれらと充填材とを含有するエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂として、リン含有率が1.0重量%〜6.0重量%であるリン含有エポキシ樹脂を含有し、硬化剤として、下記一般式(1)で示される多価ヒドロキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
Figure 2014108976
(ここで、R1は水素又は酸素を含んでもよい炭素数1〜9の炭化水素基を示し、nは0〜20の数を示し、pは3〜6の数を示す。)
上記エポキシ樹脂組成物は、次のいずれか1つ以上を満足することが好ましい。
1) リン含有エポキシ樹脂が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と、一般式(2)及び/又は一般式(4)で示されるリン化合物類(b)とを反応して得られるリン含有エポキシ樹脂であること。
Figure 2014108976
(式中、Xは水素又は式(3)で示される基であり、qは0または1を表し、R2及びR3は独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表すが、R2とR3が結合してリン原子及び酸素原子と共に環状になっていてもよい。)
Figure 2014108976
(Yは炭素数6〜20のアリーレンを表す。)
Figure 2014108976
(式中、Xは水素又は式(3)で示される基であり、rは0または1を表し、R4及びR5は独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表すが、R4とR5が結合してリン原子及び酸素原子と共に環状になっていてもよい。)
2) リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が下記式(5)で求められる理論エポキシ当量(T)の50〜95%の範囲であること。
T=[(a1)+(b1)]/(A−B) (5)
ここで、(a1)はエポキシ樹脂(a)の重量(g)であり、(b1)はリン化合物類(b)の重量(g)である。Aは下記式(6)で求められる値であり、Bは式下記(7)で求められる値である。
A=(a1)/エポキシ樹脂のエポキシ当量 (6)
B=(b1)/リン化合物類の活性水素当量 (7)
3) エポキシ樹脂として、更にエポキシ当量が200g/eq以上である下記一般式(8)で示されるエポキシ樹脂をエポキシ樹脂総量の5〜50重量%含むこと。
Figure 2014108976
(ここで、Gはグリシジル基を示し、R6は水素又は炭素数1〜9の炭化水素基を示し、mは1〜20の数を示す。)
4) 充填材が繊維状ガラス基材であること。
また、本発明は上記エポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、リン含有エポキシ樹脂、特定の構造の多価ヒドロキシ樹脂、及び充填材を必須成分とすることで、低誘電性および難燃性、更には耐熱性、接着性にも優れた硬化物を与え、プリント基板用樹脂組成物、電子部品用封止材用樹脂組成物等の電子材料用途に好適に使用することが可能である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、及び硬化剤を必須成分とする。望ましくは、エポキシ樹脂、硬化剤、及び充填材を必須成分とする。これらの必須成分を50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上含む。
本発明のエポキシ樹脂組成物中における、硬化剤成分である一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂について説明する。一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂は、フェノール及び/又は置換フェノール類と、アルデヒド類、及びナフトール類とを反応することで得られ、例えば、特許文献5にはo-クレゾール、パラホルムアルデヒド、α−ナフトールを原料とした多価ヒドロキシ樹脂が開示されている。
一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂の原料であるフェノール及び/又は置換フェノール類とは、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、キシレノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、クミルフェノール及びこれらの異性体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのフェノール類は単独で使用しても2種類以上を併用して使用してもよい。
一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂の原料であるアルデヒド類とは、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのアルデヒド類は単独で使用しても2種類以上を併用して使用してもよい。
一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂の原料であるナフトール類とは、例えば、ナフトール、メチルナフトール、ジメチルナフトール、ブチルナフトール、ベンジルナフトール及びこれらの異性体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのナフトール類は単独で使用しても2種類以上を併用して使用してもよい。
一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂の合成方法は、特許文献5に記載の方法が好ましく、具体的には、オルソクレゾールとパラホルムアルデヒドとを金属水酸化物によりレゾール樹脂を得たのち、α−ナフトールを酸触媒下反応して得ることができる。また、得られる多価ヒドロキシ樹脂の軟化点は100℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは130℃以上である。軟化点が100℃より低いと、耐熱性、難燃性共に損なわれる。
次に本発明のエポキシ樹脂組成物に使用されるリン含有エポキシ樹脂について説明する。このリン含有エポキシ樹脂はリン含有率(P/リン含有エポキシ樹脂)が1.0〜6.0重量%である。
リン含有エポキシ樹脂の製法は上記特許文献等により公知である。製法には制限はないが、好ましくは、リン含有エポキシ樹脂が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と、上記一般式(2)及び/又は一般式(4)で示されるリン化合物類(b)とを反応して得られるリン含有エポキシ樹脂であるのがよい。
この時、必要に応じて、リン化合物類(b)以外であって、エポキシ基と反応する原料(変性剤)を用いて、エポキシ樹脂(a)とリン化合物類(b)とを反応して得られたリン含有エポキシ樹脂の変性を行うこともできる。エポキシ基と反応する原料の具体例としては、例えば、フェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物基を有する化合物等がある。
一般式(2)において、Xは水素又は式(3)で示される基であり、qは0または1であり、R2及びR3は独立に炭素数1〜6の炭化水素基であるが、R2とR3が結合してリン原子及び酸素原子と共に環状になっていてもよい。環状になる場合は、-R2-P-(O)q-R3-の両末端が結合して環を形成する。式(3)において、Yは炭素数6〜20のアリーレン基である。
一般式(4)において、Xは水素又は上記式(3)で示される基であり、rは0または1であり、R4及びR5は独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表すが、R5とR6が結合してリン原子及び酸素原子と共に環状になっていてもよい。
エポキシ樹脂とリン化合物類からリン含有エポキシ樹脂を得る代表的な反応式のいくつかを下記に示す。
Figure 2014108976
上記一般式(2)及び/又は一般式(4)で示されるリン化合物は、一般的なエポキシ樹脂との相溶性に乏しくエポキシ樹脂中に均一に分散し難いため、予めエポキシ樹脂と反応させることで相溶性を向上させ、硬化物物性の均一性をはかることができる。また、上記リン化合物類(b)以外にエポキシ樹脂と反応し得る多官能の化合物を併用することで、エポキシ樹脂部分の鎖長の延長が可能で、より相溶性に優れたリン含有エポキシ樹脂とすることができる。
更に、好ましくはリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が上記式(5)で求められる理論エポキシ当量(T)の50%から95%の範囲であるのがよい。この式(5)において、(a1)はエポキシ樹脂(a)の重量(g)であり、(b1)はリン化合物類(b)の重量(g)である。また、Aは式(6)で求められる値であり、Bは式(7)で求められる値である。ここで、エポキシ当量及び活性水素当量の単位は、g/eqである。
リン化合物類(b)は、一般式(2)及び/又は一般式(4)で示されるリン化合物であり、式中Xが水素の場合、このリン原子に直結した活性な水素がエポキシ基と反応するので、この活性な水素の個数から活性水素当量を定義できる。また、Xが一般式(3)の場合はエポキシ基と反応しうるフェノール性水酸基があり、この活性な水酸基の個数から活性水素当量を定義できる。
リン化合物類(b)以外にエポキシ樹脂と反応し得る多官能の化合物を併用する場合は、式(5)及び(7)における重量及び活性水素当量は、リン化合物類(b)と多官能の化合物とを合計した原料の重量及び原料中の全官能基(エポキシ樹脂と反応性の官能基)の当量として式(5)の計算を行う。例えば、多官能の化合物がフェノール化合物の場合は水酸基当量、酸無水物の場合は酸無水物当量、アミン化合物の場合は活性水素当量とする。
リン含有エポキシ樹脂を製造するために使用するエポキシ樹脂(a)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有しており、平均官能基数が2.1個以上含有している方が耐熱性の観点からより好ましい。また、難燃性の観点から芳香族をより多く含有していることが好ましい。具体的にはエポトート YD−128、エポトート YD−8125(新日鐵化学株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、エポトート YDF−170、エポトート YDF−8170(新日鐵化学株式会社製 ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、YSLV−80XY(新日鐵化学株式会社製 テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂)、エポトート YDC−1312(ヒドロキノン型エポキシ樹脂)、jER YX4000H(三菱化学株式会社製 ビフェニル型エポキシ樹脂)、エポトート YDPN―638(新日鐵株式会社製 フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、エポトート YDCN−701(新日鐵化学株式会社製 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、エポトート TX−1210(新日鐵化学株式会社製 置換フェノール型エポキシ樹脂)、エポトート ZX−1201(新日鐵化学株式会社製 ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂)、TX−0710(新日鐵化学株式会社製 ビスフェノールS型エポキシ樹脂)、エピクロン EXA−1515(大日本化学工業株式会社製 ビスフェノールS型エポキシ樹脂)、NC−3000(日本化薬株式会社製 ビフェニルアラルキルフェノール型エポキシ樹脂)、エポトート ZX−1355、エポトート ZX−1711(新日鐵化学株式会社製 ナフタレンジオール型エポキシ樹脂)、エポトート ESN−155(新日鐵化学株式会社製 β−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、エポトート ESN−355、エポトート ESN−375(新日鐵化学株式会社製 ジナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、エポトート ESN475V,エポトート ESN−485(新日鐵化学株式会社製 α−ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂)、EPPN−501H(日本化薬株式会社製 トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂)、スミエポキシ TMH−574(住友化学株式会社製 トリスフェニルメタン型エポキシ樹脂)、YSLV−120TE(新日鐵化学株式会社製 ビスチオエーテル型エポキシ樹脂)、エポトート ZX−1684(新日鐵化学株式会社製 レゾルシノール型エポキシ樹脂)、デナコール EX−201(ナガセケムテックス株式会社製 レゾルシノール型エポキシ樹脂)、エピクロン HP−7200H(DIC株式会社製 ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)等の多価フェノール樹脂のフェノール化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、TX−0929、TX−0934、TX−1032(新日鐵化学株式会社製 アルキレングリコール型エポキシ樹脂)等のアルコール化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、セロキサイド2021(ダイセル化学工業株式会社製 脂肪族環状エポキシ樹脂)、エポトート YH−434、(新日鐵化学株式会社製 ジアミノジフェニルメタンテトラグリシジルアミン)等のアミン化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂、jER 630(三菱化学株式会社製 アミノフェノール型エポキシ樹脂)、エポトート FX−289B、エポトート FX−305、TX−0932A(新日鐵化学株式会社製 リン含有エポキシ樹脂)等のエポキシ樹脂をリン含有フェノール化合物等の変性剤と反応して得られるリン含有エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は単独で使用しても2種類以上を併用して使用してもよい。
一般式(2)及び/又は一般式(4)で表されるリン化合物類(b)の具体例としては、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA)やジフェニルホスフィン等のリン原子に直結した活性水素基を有するリン化合物類、及びこれらリン原子に直結した活性水素基を有するリン化合物類と1,4−ベンゾキノンや1,4−ナフトキノン等のキノン類との反応で得られるリン含有フェノール類を挙げることが出来、この具体例は10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA−HQ)、10−(1,4−ジオキシナフタレン)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(以下HCA−NQと記す)、ジフェニルホスフィニルヒドロキノン(北興化学工業株式会社製 商品名PPQ)、ジフェニルホスフェニル−1,4−ジオキシナフタリン、1,4−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール(日本化学工業株式会社製 商品名CPHO−HQ)、1,5−シクロオクチレンホスフィニル−1,4−フェニルジオール(日本化学工業株式会社製 商品名CPHO−HQ)等を例示できる。しかし、リン化合物類(b)はこれらに限定されるものではなく、これらのリン化合物は2種類以上を併用して使用することもできる。
また、リン含有フェノール化合物のHCA−HQについては特開昭60−126293号公報、HCA−NQについては特開昭61−236787号公報、PPQについてはzh.Obshch.Khim,42(11),第2415−2418頁(1972)に合成方法が示されているが、これに限定されるものではなく、公知慣用の方法を用いることができる。
また、上述したように、各種特性の向上の為、前記リン含有化合物以外に、エポキシ基と反応性の官能基を有する化合物類(変性剤)を反応させることもできる。例えば、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等のヒドロキシベンゼン類、ビフェノール類、ビナフトール類、トリスフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ショウノール BRG−555(昭和電工株式会社製 フェノールノボラック樹脂)、クレゾールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、アラルキルフェノールノボラック樹脂、トリアジン環含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニルアラルキルフェノール樹脂、レヂトップ TPM−100(群栄化学工業株式会社製 トリスヒドロキシフェニルメタン型ノボラック樹脂)、アラルキルナフタレンジオール樹脂等の一分子中に2個以上のフェノール性水酸基と有する化合物類、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジド類、イミダゾール化合物類及びその塩類、ジシアンジアミド、アミノ安息香酸エステル類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メタキシレンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン類、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノエチルベンゼン等の芳香族アミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸等の酸無水物類等が挙げられ、これらを2種類以上使用してもよい。これらの化合物の使用量は、使用されるエポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して官能基が0.5当量以下となる様に用いるのが好ましく、さらに好ましくは0.2当量以下である。また、これら化合物をリン含有化合物と併用する場合、これら化合物の反応性基の当量も式(7)のリン化合物の活性水素当量に含め計算し、エポキシ当量が前記50〜95%の範囲とすることが好ましい。
エポキシ樹脂が理論エポキシ当量(T)の50〜95%の範囲であるとは、エポキシ樹脂(a)とリン化合物類(b)との反応において、反応性原料の官能基を残存させることで可能となる。その残存した官能基は、エポキシ樹脂組成物の硬化反応において硬化剤と共にエポキシ基との反応が進行し、優れた硬化物物性を発現する。
また、リン含有エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂類(a)のエポキシ基1当量に対して、リン化合物類(b)の反応性官能基を0.10当量から0.94当量の範囲で反応させて得るのがよく、好ましくは0.20当量から0.70当量、より好ましくは0.20当量から0.60当量の範囲であるのがよい。エポキシ樹脂類(a)のエポキシ基1当量に対してリン化合物類(b)の反応性官能基が0.10当量より少ないと難燃性が不十分となり、0.94当量を超えて反応させると得られるリン含有エポキシ樹脂のワニス粘度が高くなり、作業性に影響が生じる。
リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは理論エポキシ当量(T)の50%〜95%の範囲であるが、70%〜95%の範囲がより好ましく、さらには75%〜90%の範囲である。50%より小さいと難溶性のリン含有フェノール化合物が多く残存してしまい、溶剤溶解性が乏しくなってしまう。95%より大きいと、エポキシ樹脂ワニスとした時の粘度が高く作業性に悪影響が出てしまう。理論エポキシ当量(T)の50%〜95%の範囲にした場合は、反応性の原料由来の反応性官能基が残存し、硬化反応の際に硬化剤成分として反応に寄与する。
リン含有エポキシ樹脂を得る反応の反応温度は100℃〜250℃、さらには130℃〜180℃が好ましい。100℃以下では反応の進行が著しく遅く、250℃以上では理論エポキシ当量の50%から95%の範囲とするための反応制御が困難である。
また、リン含有エポキシ樹脂を得る反応では、必要に応じて反応を促進するために反応触媒を使用することができる。使用できる触媒としては、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド等の四級ホスホニウム塩類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド等の四級アンモニウム塩類、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン類等、公知慣用の触媒が挙げられ、これらに限定されるものではない。より好ましい触媒としてホスフィン類が挙げられ、特に好ましい触媒としては酸素を含有しても良い炭化水素基が置換したホスフィン類である。これら触媒の使用量は、反応性の原料に対して0.005%から1%の範囲が好ましい。
エポキシ樹脂と反応性の原料の反応は無溶媒でも、溶媒中でも行うことができるが、溶媒中で行う場合は、非プロトン性溶媒中で行うことが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、2−ブトキシエタノール、ジアルキルエーテル、グリコールエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの反応溶媒は単独で、あるいは2種類以上を同時に使用してもよい。これらの反応溶媒の使用量は反応物全重量中の50%以下が好ましい。
また、リン含有エポキシ樹脂を得る反応は、触媒量を調整することでエポキシ当量を理論エポキシ当量の50%〜95%の範囲にすることができるが、反応温度を調整したり、反応を段階的に行う等の公知慣用の製造方法を用いることができ、これらに限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として前記のリン含有エポキシ樹脂を必須成分として含み、硬化剤として一般式(1)の多価ヒドロキシ樹脂を、そして充填材を必須成分とするが、必要に応じて他のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、硬化促進剤、充填剤等を含んでもよい。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物に使用するエポキシ樹脂は、前記リン含有エポキシ樹脂を必須成分として含有するが、このリン含有エポキシ樹脂の他に、物性を損なわない範囲で他のエポキシ樹脂を含有することができる。他のエポキシ樹脂としては、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、上記リン含有エポキシ樹脂の合成に使用するエポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのエポキシ樹脂は2種類以上を併用して使用してもよい。全エポキシ樹脂成分中に、前記リン含有エポキシ樹脂を50wt%以上、好ましくは70wt%以上含むことがよい。
なかでも、他のエポキシ樹脂としては、エポキシ当量が200g/eq以上である一般式(8)で示されるエポキシ樹脂が好適に使用でき、このような一般式(8)で表されるエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂成分として0重量%以上50重量%未満の範囲で含有することがより好ましい。より好ましい含有率の範囲はエポキシ樹脂成分中に5重量%〜20重量%である。
エポキシ当量が200g/eq以上である一般式(8)で示されるエポキシ樹脂の式中のR6は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へブチル、オクチル、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、α―メチルベンジル、α―クミル等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく2種類以上混在していてもよい。
また、一般式(8)で示されるエポキシ樹脂を用いることで、硬化の際に生成する極性基であるヒドロキシプロピル基を低減できることから、難燃性、耐湿性に加えて誘電率、誘電正接の低減にも効果が現れるのである。
本発明のエポキシ樹脂組成物における硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂の理論エポキシ当量1当量に対して硬化剤の官能基が0.5〜1.3当量の範囲が好ましく、0.7〜1.1当量がさらに好ましい。全硬化剤中に、一般式(1)の多価ヒドロキシ樹脂を15重量%以上、好ましくは25重量%以上、より好ましくは50重量%以上含むことがよい。
また、流動性や粘度等を調整する場合には、本発明のエポキシ樹脂組成物の物性を損ねない範囲で希釈剤を使用することが可能である。希釈剤は反応性希釈剤が好ましいが、非反応性希釈剤でも構わない。反応性希釈剤としては、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等の単官能、レゾルシノールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の二官能、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル類が挙げられる。非反応性希釈剤としては、ベンジルアルコール、ブチルジグリコール、パインオイル等が挙げられる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を使用することが可能である。例えば、ホスフィン類、四級ホスホニウム塩類、三級アミン類、四級アンモニウム塩類、イミダゾール化合物類、三フッ化ホウ素錯体類、3−(3,4−ジクロロジフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−(4−クロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア等が挙げられる。これら硬化促進剤は、使用するエポキシ樹脂、併用するエポキシ樹脂硬化剤の種類、成形方法、硬化温度、要求特性によるが、エポキシ樹脂に対して重量比で0.01%から20%の範囲が好ましく、さらには0.1%から10%が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、特性を損ねない範囲で他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を配合してもよい。例えばフェノール樹脂、アクリル樹脂、石油樹脂、インデン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルホルマール等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明のエポキシ樹脂組成物に配合される充填材としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、炭素、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セルロース繊維、アラミド繊維等が挙げられる。これら充填材はエポキシ樹脂組成物全体に対し、1〜70重量%が好ましい。
エポキシ樹脂組成物を板状基板等とする場合、その寸法安定性、曲げ強度等の点で繊維状のものが好ましい充填材として挙げられる。より好ましくはガラス繊維を網目状に編み上げたガラス繊維基板が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに必要に応じてシランカップリング剤、酸化防止剤、離型剤、消泡剤、乳化剤、揺変性付与剤、平滑剤、難燃剤、顔料等の核種添加剤を配合することができる。これらの添加剤はエポキシ樹脂組成物に対し、0.01%から20wt%の範囲が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、公知のエポキシ樹脂組成物と同様な方法により成型、硬化して硬化物とすることができる。成型方法、硬化方法は公知のエポキシ樹脂組成物と同様の方法をとることができ、例えば130℃〜200℃で、1時間〜5時間程度で硬化することができる。また、ワニスとして使用することもできる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
次に、本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。特に断りがない限り「部」は重量部を表す。また、分析方法、測定方法は以下の通りである。
実測エポキシ当量:JIS K7236に準じた。
フェノール性水酸基当量:試料に4%のメタノールを含むTHFを加え、10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを加えて、紫外可視分光光度計を用いて波長400nmから250nm間の吸光度を測定した。同様の測定方法より求めた検量線より、フェノール性水酸基を水酸基1当量当たりの試料の重量として求めた。
不揮発分:JIS K7235−1986に準じた。
リン含有量:試料に硫酸、塩酸、過塩素酸を加え、加熱して湿式灰化し、全てのリン原子をオルトリン酸とした。硫酸酸性溶液中でメタバナジン酸塩及びモリブデン酸塩を反応させ、生じたリンバナードモリブデン酸錯体の420nmにおける吸光度を測定し、予め作成した検量線により求めたリン原子含有量を重量%で表した。積層板のリン含有量は、積層板の樹脂分に対する含有量として表した。
ガラス転移温度:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製DMS6100を使用し、IPC−TM−650 2.4.24.2にて測定した。
誘電率、誘電正接:マテリアルアナライザー/AGILENT Technologies 社製を用い、容量法により周波数1GHzにおける誘電率および誘電正接を求めることにより評価した。
燃焼性:UL94(Underwriters Laboratories Inc.の安全認証規格)に準じた。5本の試験片について試験を行い、1回目と2回目の接炎(5本それぞれ2回ずつで計10回の接炎)後の有炎燃焼持続時間の合計時間を秒で表した。
層間剥離強さ:JIS C6481に準じた。
使用したエポキシ樹脂
・エポトートFX−305EK70(新日鐵化学株式会社製 エポキシ当量493g/eq、リン含有率3.0%)
・エポトートFX−289BEK75(新日鐵化学株式会社製 エポキシ当量305g/eq、リン含有率2.0%)
使用した硬化剤
・ショウノールBRG−555(昭和電工株式会社製 フェノール性水酸基当量105g/eq.)
・ジシアンジアミド(以下DICYと記す)(日本カーバイト製 活性水酸基当量21g/eq)
合成例1
温度計、冷却管、滴下ロート、不活性ガス導入口及び撹拌機を備えた合成装置に、o−クレゾール162部、パラホルムアルデヒド90部及び水100部を仕込み、窒素を導入しながら撹拌した。室温下、15%水酸化ナトリウム水溶液50部を発熱に注意しながらゆっくり滴下した。その後、50℃で10時間反応した。反応終了後、水300部を加え室温まで冷却し、10%塩酸水溶液で中和した。析出した結晶をろ過により分別し、ろ液のpHが6〜7になるまで洗浄した。減圧下50℃で乾燥し、197部の白色結晶を得た。得られた白色結晶197部にβ−ナフトール260部、及びメチルイソブチルケトン(以下MIBKと記す)1200部を加えて、窒素雰囲気下で室温で攪拌した。そして、p一トルエンスルホン酸2部を発熱に注意して徐々に添加した。50℃まで加温し2時間反応させた。15%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、水洗水が中性となるまで水洗した。MIBKを減圧下回収し一般式(1)の多価ヒドロキシ樹脂を得た。得られた多価ヒドロキシ樹脂の軟化点は132℃、フェノール性水酸基当量は147g/eqであった。
合成例2
合成例1と同様な装置に、フェノールノボラック(昭和高分子製;BRG−555、水酸基当量105g/eq.、軟化点67℃、150℃での溶融粘度0.08Pa・s)105gを仕込み140℃に昇温した。次に、140℃にて攪拌しながら酸触媒としてp−トルエンスルホン酸0.099g(500ppm)を投入し、スチレン93.6g(0.9モル)を3時間かけて滴下し反応させた。さらに、140℃にて2時間反応後、30%Na2CO3を0.163g添加し中和を行った。次に、MIBK330gに溶解させ、80℃にて5回水洗を行った。続いて、MIBKを減圧留去した後、スチレン化フェノールノボラック樹脂である多価ヒドロキシ樹脂198gを得た。その水酸基当量は199g/eq.、軟化点は77℃、150℃での溶融粘度は0.23Pa・s、nは平均で3.3、pは0.9であった。
合成例3
合成例1と同様な装置に合成例2で得た多価ヒドロキシ樹脂150g、エピクロルヒドリン419g、ジエチレングリコールジメチルエーテル63gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液62.9gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、一般式(8)で示されるエポキシ樹脂180gを得た。得られたスチレン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ当量は270g/eq.、軟化点は61℃、150℃における溶融粘度は0.13Pa・sであった。
合成例4
合成例1と同様な装置に、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光株式会社製 商品名HCA、リン含有量14.2重量%)432部及び1,4−ナフトキノン(川崎化成工業株式会社製)79部、トルエン920部を仕込み、75℃で30分間撹拌した後、系内の水分を除きながら110℃で90分間反応させた後、トルエンを除いて10−(1,4−ジオキシナフタレン)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(HCA−NQ)を得た。これにフェノールノボラック型エポキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製 商品名YDPN−638、エポキシ当量175g/eq.)1240部、触媒としてトリフェニルホスフィン(東京化成工業株式会社製 以下TPP)0.51部を加えて165℃で4.5時間反応を行った後、メチルエチルケトンで希釈した。得られたリン含有エポキシ樹脂溶液は濃褐色透明で、不揮発分70%、溶液粘度1900mPa・s、エポキシ当量392g/eq.、リン含有量3.5%であった。また、合成に用いたエポキシ樹脂類(a)であるYDPN−638のエポキシ基1当量に対する反応性官能基を有する化合物類(b)であるHCAと1,4−ナフトキノンの反応物の官能基は0.35当量であった。理論エポキシ当量(T)は382g/eq.であり、理論エポキシ当量に対する実測エポキシ当量の割合は103%であった。
合成例5
触媒としてTPPを0.10部加えた以外は合成例4と同様な操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂溶液は濃褐色透明で、不揮発分70%、ワニス粘度300mPa・s、実測エポキシ当量292g/eq.水酸基当量3600g/eq.、リン含有量3.5%であった。また、エポキシ樹脂類(a)であるYDPN−638のエポキシ基1当量に対する反応性官能基を有する化合物類(b)であるHCAと1,4−ナフトキノンの反応物の官能基は0.35当量であった。理論エポキシ当量(T)は382g/eq.であり、理論エポキシ当量に対する実測エポキシ当量の割合は76%であった。
合成例6
HCAを401部、1,4−ナフトキノンを73部、YDPN−638を958.2部、触媒を0.14部とした以外は合成例4と同様な操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂溶液は濃褐色透明で、不揮発分70%、ワニス粘度6730mPa・s、実測エポキシ当量428g/eq.水酸基当量5049g/eq.、リン含有量4.0%であった。また、エポキシ樹脂類(a)であるYDPN−638のエポキシ基1当量に対する反応性官能基を有する化合物類(b)であるHCAと1,4−ナフトキノンの反応物の官能基は0.42当量であった。理論エポキシ当量(T)は468g/eq.であり、理論エポキシ当量に対する実測エポキシ当量の割合は94%であった。
合成例7
HCAを211部、1,4−ナフトキノンを152部、YDPN−638に代えてYDF−170(新日鐵化学株式会社製 ビスフェノールF型エポキシ樹脂 エポキシ当量170g/eq.)を637部、触媒を0.07部とした以外は合成例4と同様な操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂溶液は濃褐色透明で、不揮発分80%、ワニス粘度2950mPa・s、実測エポキシ当量403g/eq.水酸基当量1506g/eq.、リン含有量3.0%であった。また、エポキシ樹脂類(a)であるYDF−170のエポキシ基1当量に対する反応性官能基を有する化合物類(b)であるHCAと1,4−ナフトキノンの反応物の官能基は0.53当量であった。理論エポキシ当量(T)は551g/eq.であり、理論エポキシ当量に対する実測エポキシ当量の割合は73%であった。
合成例8
HCAを204部、1,4−ナフトキノンを145部、YDF−170を375部、触媒を0.28部とした以外は合成例7と同様な操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂溶液は濃褐色透明で、不揮発分80%、ワニス粘度2930mPa・s、実測エポキシ当量1114g/eq.水酸基当量2725g/eq.、リン含有量4.0%であった。また、エポキシ樹脂類(a)であるYDF−170のエポキシ基1当量に対する反応性官能基を有する化合物類(b)であるHCAと1,4−ナフトキノンの反応物の官能基は0.84当量であった。理論エポキシ当量(T)は1885g/eq.であり、理論エポキシ当量に対する実測エポキシ当量の割合は59%であった。
実施例1〜6、比較例1〜8
上記の合成1〜合成例8で得られた多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂及び、FX−305、FX−289B、BRG−555、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(以下2E4MZ)を溶剤に溶解し、表1に示す配合割合でエポキシ樹脂ワニスを調製した。表中の数値は配合における重量部を示す。得られたエポキシ樹脂ワニスをガラスクロス(WEA 116E106S136 日東紡績株式会社製 厚み0.1mm)に含浸し、150℃の熱風循環オーブン中で11分間乾燥してプリプレグを得た。得られたプリプレグ6枚と銅箔(3EC−III 三井金属鉱業株式会社製 厚み35μm)を重ね、130℃×15分+190℃×80分の温度条件で2MPaの真空プレスを行い、0.8mm厚の積層板を得た。積層板評価結果を表1に示す。
Figure 2014108976
実施例1〜実施例6に示すように本発明のエポキシ樹脂組成物は、従来のリン含有エポキシ樹脂とDICYの組成物である比較例1よりも誘電特性に優れており、また、比較例2〜比較例8に示すエポキシ樹脂組成物に比べて誘電特性を維持しつつ難燃性、接着性に優れる。実施例の様に特定のリン含有エポキシ樹脂、特定の多価ヒドロキシ樹脂、充填材を組み合わせることによってのみ誘電特性、難燃性、接着力、耐熱性のバランスを取ることが出来た。

Claims (6)

  1. エポキシ樹脂、及び硬化剤、又はこれらと充填材とを含有するエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂として、リン含有率が1.0重量%〜6.0重量%であるリン含有エポキシ樹脂を含有し、硬化剤として、下記一般式(1)で示される多価ヒドロキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2014108976
    (ここで、R1は水素又は酸素を含んでもよい炭素数1〜9の炭化水素基を示し、nは0〜20の数を示し、pは3〜6の数を示す。)
  2. リン含有エポキシ樹脂が、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と、一般式(2)及び/又は一般式(4)で示されるリン化合物類(b)とを反応して得られるリン含有エポキシ樹脂である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2014108976
    (式中、Xは水素又は式(3)で示される基であり、qは0または1を表し、R2及びR3は独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表すが、R2とR3が結合してリン原子及び酸素原子と共に環状になっていてもよい。)
    Figure 2014108976
    (Yは炭素数6〜20のアリーレンを表す。)
    Figure 2014108976
    (式中、Xは水素又は式(3)で示される基であり、rは0または1を表し、R4及びR5は独立に炭素数1〜6の炭化水素基を表すが、R4とR5が結合してリン原子及び酸素原子と共に環状になっていてもよい。)
  3. リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が、下記式(5)で求められる理論エポキシ当量(T)の50〜95%の範囲である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
    T=[(a1)+(b1)]/(A−B) (5)
    ここで、(a1)はエポキシ樹脂(a)の重量(g)であり、(b1)はリン化合物類(b)の重量(g)である。Aは下記式(6)で求められる値であり、Bは下記式(7)で求められる値である。
    A=(a1)/エポキシ樹脂のエポキシ当量 (6)
    B=(b1)/リン化合物類の活性水素当量 (7)
  4. エポキシ樹脂として、更にエポキシ当量が200g/eq以上である下記一般式(8)で示されるエポキシ樹脂をエポキシ樹脂総量の5〜50重量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2014108976
    (ここで、Gはグリシジル基を示し、R6は水素又は炭素数1〜9の炭化水素基を示し、mは1〜20の数を示す。)
  5. 充填材が繊維状ガラス基材である請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
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