JP5718401B2 - 発泡合成樹脂成型体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、水性ボンドに顔料を混ぜて、直接、発泡ポリスチレンに塗布する方法もある。そして、和紙を細かく粉砕し、粉体化したものに木工ボンドや和糊を混練して発泡ポリスチレンに貼り付け、それを水性塗料のネオカラーやポスターカラーで塗装する方法もある。更に、発泡ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う方法もある。
これらはいずれも発泡合成樹脂成型体に塗布した塗装の厚みが厚くなり、形式的な見栄えが良くても、実用的な使用に耐えるものがなかった。
即ち、特許文献1は発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品において、表皮材が熱可塑性であり、その表面形状が、表皮材を加温処理により軟化させ、その状態で基材に接着させる際に、表皮材用真空吸引型による真空吸引により賦形さている構成を有し、表皮材が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される技術である。これにより、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、その自由度が拡大され、基材表面に対して非相似形状に形成することができる。
また、特許文献1及び特許文献2によって、発泡合成樹脂成型体とクッションシートとの接着力を強くすることは開示されている。ところが、形式的に試作品を形成する原材料として発泡性合成樹脂が使用されているものの、少量生産品にこの技術を使用するということは実現されていない。特に、例えば、発泡ポリスチレンのような発泡合成樹脂成型体は、脆く、表面を削って所定の形状に仕上げ、かつ、表面を見栄え良く平滑化することができなかった。
そして、発泡性合成樹脂にベントホールと呼ばれる穴が存在すると、当該ベントホールを穴埋めするには、残余の発泡性合成樹脂の厚みによって左右されるが熟練者でないと効率良く成型できない。また、ベントホールを穴埋めすると発泡合成樹脂成型体の重量バランスに微妙な違いが出て、使途によっては、その重量バランスの調整が必要な場合がでてくる。
ここで、上記発泡合成樹脂材料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂とすることができる。特に、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入する場合、自己の手によって特定の形状の発泡合成樹脂材料を形成する場合も含まれる。
そして、上記前処理工程は、前記基材となる発泡合成樹脂材料の被塗装面に平滑な塗膜を作り、前記後処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ及び/または塗料を含む合成樹脂材料を塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。但し、パテ、塗料を含む合成樹脂材料には、無機系球体または有機系球体を均一分散されているものの使用が前提である。
このとき使用するパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、下地剤は、前記パテ及び上塗り塗料、基材の種類によって決定される。特に、パテはビーズ欠損による凹面を緩和させる穴埋めに効果的である。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、塗膜の厚みから300μm以上の球体の使用は制限される。また、中実な球体の場合には、軽量化の観点からは不向きである。何れにせよ、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、表面の凹凸をなくすことによって選択される。
更にまた、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料である基材は、同一材料を複数段に組み合わせたもの、特性の異なるものを組み合わせたもの、一体化した材料からなるもの等適宜材料を選択して設定できる。当該基材は処理の進行に応じた形状のものを重ね合わせてもよいし、最初から複数枚を一体化してもよい。
ここで、球体としての中空マイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーンのマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、塗膜の形成から300μm以上の球体の使用は制限される。
ここで、上記表面処理工程は、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を面として硬化させるものである。このときの被塗装面は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもできる。また、合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもできる。なお、被塗装面の硬化(乾燥)速度からすると、溶剤性の合成樹脂材料が効率的である。
ここで、穴埋めとは、発泡条件の温度、圧力等の不均一のために部分的に欠損ができているもの、発泡成形時に圧縮したことが要因となり、外圧によりブリッジが形成され、一部に外力が行き届かなくなって欠損ができたもの等、発泡体ビーズの集合体で特定の形状に成型されるが、このとき、発泡時に欠損が存在したまま欠損を残して発泡した発泡合成樹脂材料の欠損箇所がベントホールになるので、その穴埋めをするものである。
ここで、回転する加熱用冶具によって加熱を行うのは、同一冶具で切削及び加熱を行ってもよいし、複数個の冶具によって切削と加熱を別々に行ってもよい。勿論、先端の形状及び太さ、形状は使途によって適宜形成される。
ここで、上記目止め剤とは合成樹脂材料の染み込み防止できる合成樹脂材料であればよく、自己の粘性で染み込みが防止され、基材の発泡合成樹脂材料との接着力が確保できるものであればよい。また、染み込みの防止とは、合成樹脂材料により染み込みが防止されるもののみを意味するものではなく、一旦、染み込みが生じた後、合成樹脂材料の硬化により、再度の染み込みができない合成樹脂材料も含むものである。特に、重ね塗りと研磨を繰り返し行うものでは、1回の塗布によって浸透が生じ難くなる合成樹脂材料も含まれるものである。
このとき、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂本体の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、下地層の表面の凹凸をなくすことができる直径以下のものの使用が可能である。
なお、上記発泡合成樹脂本体は基材となる熱可塑性材料の発泡合成樹脂材料からなるもので、目的の形状に形成されたものである。
更に、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等の何れであってもよい。
ここで、球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の範囲の中位径を有する球体は、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等のマイクロバルーンで説明するが、ナノバルーンでも或いは300μm以上の中位径のものでも実施可能であるものの、本発明を実施する場合には、塗膜の厚みを100〜300μm以下に形成する場合には、300μm以上の球体の使用は制限される。
特に、発泡合成樹脂材料としてポリウレタン(PUR)を使用した場合には、ビーズライン、ベントホールが生じないから、全体の凹凸のみが目立たなくすればよい。
そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程及び前処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。そして、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
この表面処理工程は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもでき、用途によって決定すればよい。この表面処理工程は合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもでき、任意にその工程の具体的内容を決定できる。
また、本発明の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行うものであるから、合成樹脂材料によるベントホール等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
したがって、前記発泡合成樹脂本体を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、前記発泡合成樹脂本体の発泡体の凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面の凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、前記発泡合成樹脂本体の発泡体のビーズライン及びその凹凸、発泡穴に球体が落ち込んだりして目立たなくすることができる。そして、前記発泡合成樹脂本体の発泡体のビーズライン、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂本体となる。
更に、発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする前記被塗装面を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させて研磨できる平滑な面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くする必要はない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
本発明の発泡合成樹脂成型体は、更に、前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を形成したものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面層を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
まず、図1乃至図14を用いて、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体及びその製造方法について、全体の概略説明を行う。
図1に示すように、ステップS1の基材Aと基材Bの接合処理工程では、基材Aとしてポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)を使用し、また、比重及び発泡特性が異なる意匠面を形成する基材Bとしてウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)を使用し、それらを図4のように3層にした。
ここでは、基材Aとなるポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)の比重が0.9〜0.96程度であり、基材Bとしてのウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)の比重が1.1〜1.5程度であるから、その使用料を少なくしている。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料10(11,12,13;以下、複数枚を特定しないときには、単に『10』という)は、市販の発泡合成樹脂材料10を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料10を発泡形成する場合の何れであってもよい。
なお、ビーズ状発泡体による発泡以外の直接発泡させる発泡合成樹脂材料10では、ビーズライン、ベントホールが生じないものがある。しかし、その扱いはビーズライン、ベントホールが生じている発泡合成樹脂材料10と同じであり、当該処理工程をスキップできるだけである。
なお、本発明で説明する平滑化とは、「平滑」が「平らで、なめらかなこと」を意味するが、広い範囲の「平ら」を意味するものではなく、「例えば、コーナー部分の面取りした角度変化においても、急激な凹凸変化がないこと」程度の部分的な平坦を意味する。
例えば、ステップS4の目止め処理工程は、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる合成樹脂材料を図12に示す目止め剤41とし、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布している。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止し、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨自在にし、精度の良い表面形状を得るものである。ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるという意味で、ステップS3及びステップS4の両者は物理的、化学的な違いがあるものの、実質的に同じ表面処理を行うものである。発泡合成樹脂材料10の材質によっては、何れか一方のみの選択も可能であるが、商品の耐久性を考慮すると、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程からなる表面処理工程を採用する方が良い。
また、本発明のように、1〜300μmまでの範囲の中位径を有する無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及びその乾燥後に研磨する下地処理工程を有するものでは、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン間にある合成樹脂材料が、糸状に伸びて毛羽立っている糸W、糸状部が丸まって形成されて粒子化した粒子Xを巻き込み、それを無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sと一体化するから、本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の用途によっては、ステップS3及びステップS4を省略することもできる。
なお、この実施の形態では、基材A,Bの区別なくビーズライン及びベントホール、その凹凸として取り扱う。
また、粒子径は、球体Sの連続繋がりによる機械的強度の上昇、球体Sの機械的強度が所定以上あれば、使用が発泡体環境であるから問題にならないことも確認された。それと同時に消去しようとするビーズライン及びベントホール、その凹凸の大きさから1〜300μmの範囲であれば、良好に機能することが確認された。
勿論、ナノバルーンでは実現しないものではなく、高価になり、かつ、塗り重ねが1層分から2層分負荷されるので、1〜300μmの中位径のものの使用が望ましい。またその量は二酸化チタン5〜10Wt%であったが、比重が軽いので、その個数以上の混入になるが、問題はなかった。
そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。
なお、上記数値は、厳格なものでなく概ねであり、当然、測定等による誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。この誤差の観点から見ると、平均粒子径との差も僅少であり、平均粒子径≒中位径であり、平均粒子径=中位径と見做すこともできる。
即ち、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、ステップS5の下地処理工程内で、下地剤43を塗り、その窪みの大きさに応じて、穴埋め剤42で穴埋めし、そして、下地塗り、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
何れにせよ、ステップS5の下地処理工程は、下地処理工程として穴埋め処理を含むものであり、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理する。
なお、このステップS5の下地処理工程は、穴埋め処理工程を含む下地処理工程であり、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程も下地処理工程の前段階の表面処理工程であり、塗装の載りを良くするものであるから、これらステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程及びステップS5の下地処理工程を含めて前処理工程と呼ぶこととする。
なお、この下地処理工程までで形成された層を下地層50といい、前処理工程で形成された層に相当する。
勿論、塗料としては、着色した顔料の入った塗料に限らず、透明な紫外線をカットする塗料とすることもできる。
なお、塗装剤44を塗布した層を塗装層60という。
発泡合成樹脂材料10は、発泡させた熱可塑性樹脂であり、主な合成樹脂原料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等も発泡化して用いることができる。しかし、発泡合成樹脂材料10の切削面14を加熱することにより硬化させることを前提とすると、80〜200℃の範囲内の温度で変形する合成樹脂材料の使用が望ましい。また、本発明を実施する場合には、発泡率を問うものではないが、使途によっては硬く仕上げるために或いは軽量化するために発泡率の制限、比重の制限を受けるものもある。
具体的には、直径1mm程度の細粒状ポリエチレンであるポリエチレンビーズに炭化水素ガスを吸収させ、これに100℃以上の高温蒸気を通して樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させると、発泡したビーズ相互は融着し合い、冷却時にビーズ単位の変形された形状となって発泡ポリエチレンとなる。
なお、基材Bとしてウレタンからなる発泡合成樹脂材料11は、全体が略均一に発泡し、ており、ベントホールZは殆ど発生していない。しかし、比重がポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13よりも大きいので、発泡の際に無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空体で軽量化して使用してもよい。
なお、この積層する際の接着に要する押圧力は、発泡体の発泡率によっても、基材の発泡材料によっても変化するから、一義的に決定されるものではない。
このように、本発明の実施物における発泡合成樹脂材料10としては、1枚または複数枚積層して用いてもよい。勿論、本発明の実施物における直接基材となる発泡合成樹脂材料10は、任意の概略形状に発泡させてもよい。
そこで、一般にボールエンドミル20は、図5の(a)及び(b)に示すように、側面の刃21で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられるが、本発明の実施の形態で使用するボールエンドミル20もそれに相違するものではない。その最下端から側面の刃21までは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))加工が施されており、切削された発泡合成樹脂材料10、その切削屑が付着しないようにしている。
即ち、ボールエンドミル20と発泡合成樹脂材料10の接触角度並びに移動距離及び移動角度等によって発泡合成樹脂成型体の外径形状を削り出すことができる。この技術は一般的な切削加工の技術であるから、詳細な説明を省略する。
即ち、加熱用冶具30の太さの下端が任意の曲面からなる摩擦面31となっており、発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を含み塗装しようとする基材の被塗装面を摩擦熱で加熱し、温度上昇によって軟化させて、発泡合成樹脂材料10の切削面14に平滑面を形成する。これは、平滑面で説明したが、下に凸面及び/または下に凹面を形成する場合も同様に加工できる。
図7(b)に示す加熱用冶具30は、直径を2段としているが、3段以上とすることも、図7(a)に示すように、単一の太さとすることもできる。
なお、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10をボールエンドミル20等の刃物で特定の形状に切削加工する工程を、本実施の形態ではステップS2の切削処理工程という。また、それによって形成された面は加熱用冶具30によって物理化学的に硬化された硬化層の面となる。但し、加熱用冶具30による硬化層は、一般的に数10μmから100μm以下の層であり、連続的に変化しているから通常は面と認識されるに過ぎない。
本実施の形態における実施物からの加熱用冶具30による硬化層の確認では、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着してないこと、糸状に伸びた部位が存在してないことにより、ステップS2の冶具による処理工程がなされているか否かが確認される。
研磨による磨きの効果が生じ難くなったとき、ステップS4の目止め処理工程から次のステップS5の下地処理工程に移行する。
なお、この目止め剤41に中空バルーンを均一分散して混合したが、隙間の間隔に応じて樹脂成分が浸透する箇所と、中空バルーンが浸透する箇所ができ、機械的強度を上げることができる。
そこで、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンに中空バルーンを配合した下地剤43を作成し、それを塗布し、研磨したが、実用に耐えることが確認された。
しかし、発明者らは1μm以下のナノバルーンについても実験を行ったが、ナノバルーンでも同様の効果があることが確認された。しかし、ナノバルーンを使用すると高価となるから、商品化の観点からすると1〜300μmのマイクロバルーンの選択が望ましい。
また、この下地剤43を塗布した後、下地剤43で形成した面を平滑にサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨し、複数回の塗布とその研磨を繰り返している。ここではサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨すると説明したが、水研ぎ等の他の研ぎ方を採用してもよい。
ステップS5の下地処理工程では、下地剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑にする。同時に、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてバルーン入りのポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下地処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤23でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
ステップS5の下地処理工程に穴埋め処理を組み入れる事例で説明したが、本発明を実施する場合には、その程度によってはステップS4の目止め処理工程の直前または直後に行うこともできる。勿論、ベントホールZが生じていないものでは、穴埋め処理を省略できる。
即ち、ステップS5の下地処理工程は、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程に依存するものであり、発泡合成樹脂材料10の塗装の前準備であるから、これにより前処理工程を構成している。
塗装処理工程で使用する塗装剤44は、主剤1に対して、硬化剤0.6、シンナー1.2の配合で混合した塗料であり、下地剤43との相性が良く、両者間の接着力が確保されるものである。なお、樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
この実施例では、樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトとし、何色でもそこに上塗りできるようにした。即ち、この時点で他の構成部品と同一の塗装を行う場合には、他の部品と同一の塗装処理工程に入る。
実施例で使用した仕上げ剤45としては、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤であるレタンPGエコスポイラー用マルチ硬化剤(関西ペイント)を使用した。その成分は、酢酸エチル5〜10Wt%、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR0.1〜1Wt%、ヘキサメチレンジイノシアネート・オリゴマー5〜10Wt%、HMDI系ポリイソシアネート165〜70Wt%である。
そして、シンナーとして、レタンPGシンナー超遅乾形(関西ペイント)を使用した。その成分は、石油ナフサG15〜20Wt%、石油ナフサH1〜5Wt%、キシレン20Wt%、エチルベンゼン18Wt%、クメン0.1〜1Wt%、1,3,5−トリメチルベンゼン3Wt%、ナフタレン0.1〜1Wt%、1,2,4−トリメチルベンゼン9.8Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、酢酸ブチル1〜5Wt%である。
図12乃至図14に示すように、ステップS2の切削処理工程で熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工し、発泡合成樹脂本体40(10)を形成する。詳しくは、図13(a)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結された粒子化した粒子X等を有している。また、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体Wが付着している。また、随所にベントホールZが存在している。
この状態で、図14(b)の上塗り処理工程後の断面拡大説明図に示すように、塗装剤44を下地剤43の上面に塗布し、更に必要に応じて図14(c)の仕上げ処理工程後の断面拡大説明図のように、仕上げ剤45を塗布する。
なお、図13(d)に示すように、穴埋めを先行させた事例では、図14(d)に示すように、下地剤43がそれらに塗布されることになる。
このようにして、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体を得ている。
よって、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
また、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の被塗装面18を硬化させ、下地層50を形成するステップS5からなる下地処理工程は、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で加熱を行う加熱用冶具30による処理工程を含むものであるから、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10は、加熱用冶具30によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
また、耐久性の塗料を塗布するステップS6からなる塗装処理工程は、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、塗装層60として安定した塗装状態が維持される。
図1の実施の形態では、ステップS1で単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材を接合処理することを前提に説明した。このとき、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削処理を行った。
しかし、本発明を実施する場合、特に、比重が異なっている基材Aと基材Bの使用で、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合には、その成形精度を上げることができるから、図2に示す両者を別々の切削処理でステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程で行い、それをステップS13の接合処理工程で接合し、そして、ステップS14で冶具による処理工程に移行、その後、図1に示すステップS4以降の処理と対応させたものである。
この実施例1の場合にも、前処理工程はステップS14で冶具による処理工程、ステップS15の目止め処理工程、ステップS16の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS17の塗装処理工程で構成されている。
また、特に、ウレタンで所定の形状に切削処理した場合には、その成形精度を上げることができるから、冶具による処理工程及び目止め処理工程を省略できる。
また、図1の実施の形態では、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削工程に入っている。また、図2の実施の形態では、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合、その成型精度を上げることができる。
したがって、基材Aがポリエチレンやポリプロピレンの場合には、ステップS21及びステップS22で加工精度を上げ、ウレタン等からなる基材Bの切削処理工程で密度を上げた成型精度で加工し、ステップS24で接合処理を行い、ステップS25で下地処理工程、ステップS26で目止め処理工程、ステップS27で塗装層60を形成する塗装処理工程を行うものである。
この実施例2の場合にも、図3に示すように前処理工程はステップS22で冶具による処理工程、ステップS25の目止め処理工程、ステップS26の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS27の塗装処理工程で構成されている。
また、ウレタン等のように直接発泡させるものでは、その面を意匠面とするか否か、直接発泡する材料を何層使用するかによって冶具による処理工程、目止め処理工程の入れるタイミングや、その省略が決定される。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、その切削面14を硬化させ、その硬化状態で研磨する。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面を見えなくし、または見えないように緩和させるべくステップS6、ステップS17、ステップS27の塗装処理工程で形成する塗装層60を平滑化する。
しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、発泡穴、その凹凸を目立たなくし、表面を平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるから、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
また、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布するステップS5、ステップS16、ステップS26の下地処理工程を含む前処理工程によって形成される被塗装面18の厚みが、200μm以下の厚みであるが、上記実施例で使用した穴埋め剤42及び下地剤43に拘ることなく、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布及び研磨できる合成樹脂材料であればよい。
そして、ステップS5の下地処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するステップS6の塗装処理工程は、塗装剤44が100〜300μmの厚みであるが、塗装剤44及び仕上げ剤45に拘ることなく、前処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む塗布自在な合成樹脂塗料であればよい。塗料として透明であるか否かは問われる理由がない。
また、発泡合成樹脂成型体を形成する発泡合成樹脂材料10は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものであり、例えば、比重の高い、即ち、密度の高い材料を芯材として表面に露出させ、それを意匠面とすることができる。逆に、積層した中心に配置したり、表面及び裏面に配置したりすることもできる。特に、比重の異なる材料を複数枚積層し、接着することはハイブリッド形状の基材とすることができる。
11,12,13 発泡合成樹脂材料
14 切削面
18 被塗装面
20 ボールエンドミル
30 加熱用冶具
40 発泡合成樹脂本体
41 目止め剤
42 穴埋め剤
43 下地剤
44 塗装剤
45 仕上げ剤
50 下地層
60 塗装層
Claims (4)
- 基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工する切削処理工程と、
前記切削処理工程によって切削加工されて生じた切削面を含み、塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させて研磨する表面処理工程と、
無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が1〜300μmの範囲内の外径を有する球体の中空マイクロバルーンを合成樹脂材料に均一に分散し、前記合成樹脂材料に対する前記中空マイクロバルーンの混入量によって、前記発泡合成樹脂材料の比重に近似するように設定し、前記発泡合成樹脂材料の穴埋めを含め塗装しようとする所望の被塗装面に塗布する前処理工程と、
前記前処理工程で形成した被塗装面に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程と
を具備することを特徴とする発泡合成樹脂成型体の製造方法。 - 前記被塗装面を硬化させる表面処理工程は、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で加熱を行う冶具による処理工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡合成樹脂成型体の製造方法。
- 前記被塗装面を硬化させる表面処理工程は、合成樹脂材料の塗布によって行う染み込みを防止する目止め処理工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発泡合成樹脂成型体の製造方法。
- 基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体と、
無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が1〜300μmの範囲内の外径を有する球体の中空マイクロバルーンを合成樹脂材料に均一に分散し、前記合成樹脂材料に対する前記中空マイクロバルーンの混入量によって、前記発泡合成樹脂材料の比重に近似するように設定し、前記発泡合成樹脂材料の穴埋めを含め塗装しようとする被塗装面の凹凸面を平滑にすべく塗布してなる下地層と、
前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布して形成した塗装層と
を具備することを特徴とする発泡合成樹脂成型体。
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