本発明は、金型を使用することなく発泡合成樹脂で特定の形状を削りだす発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものであり、特に、発泡合成樹脂で特定の形状を削りだし、その表面を塗装してなる発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものである。
従来の一般的な発泡合成樹脂成型体の成型方法及び発泡合成樹脂成型体としては、ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた発泡ポリスチレンを使用し、その表面に塗料を塗布する方法がある。例えば、発泡ポリスチレンに木工ボンドを塗り、その木工ボンドが固まったとき、スプレーで塗装する方法がある。
また、水性ボンドに顔料を混ぜて、直接、発泡ポリスチレンに塗布する方法もある。そして、和紙を細かく粉砕し、粉体化したものに木工ボンドや和糊を混練して発泡ポリスチレンに貼り付け、それを水性塗料のネオカラーやポスターカラーで塗装する方法もある。更に、発泡ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う方法もある。
これらはいずれも発泡合成樹脂成型体に塗布した塗装の厚みが厚くなり、形式的な見栄えが良くても、実用的な使用に耐えるものがなかった。
一方、特許文献に酷似する技術を求めると、直接、発泡合成樹脂材を特定の形状に削りだす発泡合成樹脂の成型方法及びその成型体は存在していないが、発泡層付き内装品の技術を特許文献1で開示している。
即ち、特許文献1は発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品において、表皮材が熱可塑性であり、その表面形状が、表皮材を加温処理により軟化させ、その状態で基材に接着させる際に、表皮材用真空吸引型による真空吸引により賦形さている構成を有し、表皮材が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される技術である。これにより、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、その自由度が拡大され、基材表面に対して非相似形状に形成することができる。
発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品とすることにより、発泡層と表皮材との接着力を強くする技術が開示されている。しかし、特許文献1には、厚手の発泡層についてどのように適応できるかを開示するものはない。原理的には、発泡合成樹脂材を特定の形状に削り出して発泡合成樹脂を成形することは困難と思われる。
また、特許文献2は、発泡合成樹脂成型体よりなる芯材の一面に畳表が積層され、他面に機能化剤含有クッションシートが積層され、更に、前記クッションシートに滑り止め層が部分的に積層されることにより、薄くて軽量で、施工性に優れ、滑り難いという技術を開示している。
特開2004−361145
特開平9−229872号公報
しかし、従来の一般的な発泡合成樹脂成型体は、例えば、量産しない製品のカバー、特殊な椅子の肘掛け、特殊車両或いは改造車のダッシュボード等に使用すると、機械的強度が足りないとか、塗料が塵のように剥がれ落ちて周辺を汚したりして、廉価に実用的なものはできなかった。勿論、発泡ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う技術は、機械的強度は上げることができるものの、弾性に欠き、また、高価であるという問題があった。
また、特許文献1及び特許文献2によって、発泡合成樹脂成型体とクッションシートとの接着力を強くすることは開示されている。ところが、形式的に試作品を形成する原材料として発泡性合成樹脂が使用されているものの、少量生産品にこの技術を使用するということは実現されていない。特に、例えば、発泡ポリスチレンのような発泡合成樹脂成型体は、脆く、表面を削って所定の形状に仕上げ、かつ、表面を見栄え良く平滑化することができなかった。
そして、発泡性合成樹脂にベントホールと呼ばれる穴が存在すると、当該ベントホールを穴埋めするには、残余の発泡性合成樹脂の厚みによって左右されるが熟練者でないと効率良く成型できない。また、ベントホールを穴埋めすると発泡合成樹脂成型体の重量バランスに微妙な違いが出て、使途によっては、その重量バランスの調整が必要な場合がでてくる。
そこで、本発明は、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工する切削処理工程と、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、例えば、300μm以下の無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)の球体を均一に分散してなる合成樹脂材料を塗布する前処理工程と、前記前処理工程で形成した被塗装面に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程を具備する。
ここで、上記発泡合成樹脂材料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂とすることができる。特に、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入する場合、自己の手によって特定の形状の発泡合成樹脂材料を形成する場合も含まれる。
また、上記切削処理工程は、ボールエンドミル等の回転切削冶具の使用に限定されるものではなく、人為的に操作する刃物を含み、工作機械が具有する刃物、特定の形状を得る研磨等を含む如何なる切削方法であってもよい。
そして、上記前処理工程は、前記基材となる発泡合成樹脂材料の被塗装面に平滑な塗膜を作り、前記後処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ及び/または塗料を含む合成樹脂材料を塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。但し、パテ、塗料を含む合成樹脂材料には、無機系球体または有機系球体を均一分散されているものの使用が前提である。
このとき使用するパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、下地剤は、前記パテ及び上塗り塗料、基材の種類によって決定される。特に、パテはビーズ欠損による凹面を緩和させる穴埋めに効果的である。
球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。中実なものとしては酸化チタン粉末がある。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも、或いは300μm以上の中位径のものでも、中実な球体であっても実施可能である。しかし、塗膜の厚みから、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。但し、中実な球体の場合には、軽量化の観点からは不向きである。何れにせよ、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、表面の凹凸をなくすことができる。
更に、上記後処理工程は、前記前処理工程で塗布した合成樹脂塗料との接着性をよくする合成樹脂塗料を塗布し、その上面に必要に応じて耐久性、例えば、耐候性、耐酸化性を付与する保護層となる仕上げ層を形成する塗料を塗布するものである。
更にまた、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料である基材は、同一材料を複数段に組み合わせたもの、特性の異なるものを組み合わせたもの、一体化した材料からなるもの等適宜材料を選択して設定できる。当該基材は処理の進行に応じた形状のものを重ね合わせてもよいし、最初から複数枚を一体化してもよい。
請求項2の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものである。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。また、重ね合わせの際に使用する形状も、原材料から目的の形状に近づけた仮形成したもの、最終目的の形状に形成した本形成したものの何れでもよい。
請求項3の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、更に、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させて研磨する表面処理工程を、前記切削処理工程の後で前処理工程の前に加えたものである。
ここで、上記表面処理工程は、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を面として硬化させるものである。このときの被塗装面は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもできる。また、合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもできる。なお、被塗装面の硬化(乾燥)速度からすると、溶剤性の合成樹脂材料が効率的である。
請求項4の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、回転する加熱用冶具によって摩擦熱による加熱を行って軟化させ、そして、熱可塑性樹脂の特性により硬化させるものである。
ここで、回転する加熱用冶具によって加熱を行うのは、同一冶具で切削及び加熱を行ってもよいし、複数個の冶具によって切削と加熱を別々に行ってもよい。勿論、先端の形状及び太さ、形状は使途によって適宜形成される。
請求項5の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、合成樹脂材料を塗布し、それを硬化させて塗布した合成樹脂材料の染み込み防止とした目止め剤としたものである。
ここで、上記目止め剤とは合成樹脂材料の染み込み防止できる合成樹脂材料であればよく、自己の粘性で染み込みが防止され、基材の発泡合成樹脂材料との接着力が確保できるものであればよい。また、染み込みの防止とは、合成樹脂材料により染み込みが防止されるもののみを意味するものではなく、一旦、染み込みが生じた後、合成樹脂材料の硬化により、再度の染み込みができない合成樹脂材料も含むものである。特に、重ね塗りと研磨を繰り返し行うものでは、1回の塗布によって浸透が生じ難くなる合成樹脂材料も含まれるものである。
請求項6の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理工程を含むものである。
ここで、穴埋め処理工程の穴埋めとは、発泡条件の温度、圧力等の不均一のために部分的に欠損ができているもの、発泡成形時に圧縮したことが要因となり、外圧によりブリッジが形成され、一部に外力が行き届かなくなって欠損ができたもの等、発泡体ビーズの集合体で特定の形状に成型されるが、このとき、発泡時に欠損が存在したまま欠損を残して発泡した発泡合成樹脂材料の欠損箇所がベントホールになるので、その穴埋めをするものである。
請求項7の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記後処理工程は、耐久性の合成樹脂塗料を塗布する塗装処理工程を含むものである。
ここで、上記塗装処理工程では、耐久性のある、例えば、耐候性及び/または耐酸性の合成樹脂塗料を塗布するものであり、この際使用する顔料は、着色されたものに限定されるものではなく、透明体も含むものである。
請求項8の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記表面処理工程及び/または前記前処理工程は、前記合成樹脂塗料の塗布と研磨を1〜12回の範囲で繰り返すものである。
ここで、前記表面処理工程と前記前処理工程においては、前記合成樹脂塗料の塗布と研磨を1〜12回の範囲で繰り返すものである。また、表面処理工程と前処理工程とは、その表面処理工程の目止め剤と前処理工程の下地剤の塗布と研磨を意味するものである。
請求項9の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の外径(中位径)を有するものである。
ここで、球体としての中空マイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーンのマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも実施可能である。しかし、塗膜の形成から、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。
請求項10の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体と、前記発泡合成樹脂本体の所望の塗装しようとする被塗装面とを具備し、無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が300μm以下の中位径の球体を均一に分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂材料の塗装しようとする前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく塗布したものである。
ここで、基材となる熱可塑性樹脂である発泡合成樹脂材料を所定の形状に形成し、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の何れであってもよい。本発明では、300μm以下の中位径の無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーンのマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも実施可能である。勿論、球体であれば、中実なものでも使用できる。
合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、表面の凹凸をなくすことができる直径以下のものが使用可能になる。
請求項11の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなり所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂材料本体と、無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が300μm以下の中位径の球体を均一に分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂材料の塗装しようとする被塗装面に塗布して表面処理層を平滑化した下地層を具備する。
このとき、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、下地層の表面の凹凸をなくすことができる直径以下のものの使用が可能である。
ここで、上記発泡合成樹脂本体は基材となる熱可塑性材料の発泡合成樹脂材料からなるもので、目的の形状に形成されたものである。
また、上記表面処理層は、前記基材を切削して所定の形状に形成すると共に、その切削によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面に目止め処理によって染み込みを防止すべく表面を硬化させ、被塗装面の表面を研磨して平滑化させるものである。また、被塗装面の凹凸面を緩和させるべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、合成樹脂材料の平滑な面を形成すべく研磨するものである。ここで、被塗装面への塗布は合成樹脂材料でもよいし、合成樹脂塗料であってもよい。即ち、ここでは着色を問題にしないが、合成樹脂塗料の材料でも使用できることを意味する。
更に、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、中実球体、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等の何れであってもよい。
請求項12の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記基材となる発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものである。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。
請求項13の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、更に、前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を形成したものである。
ここで下地層と塗装層とは、相性の良い合成樹脂材料であり互いに接着力があるものである。相性の良いとは、一体に混在するものに限らず、容易に分離しない程度の接着力を有するものも含まれる。
請求項14の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、300μm以下の中位径を有するものである。
ここで、球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の範囲の中位径を有する球体は、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも、或いは300μm以上の中位径のものでも実施可能である。しかし、塗膜の厚みを100〜300μm以下に形成する場合には、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。
請求項1の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削して、前処理工程で無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布することにより、例えば、前記球体によりビーズラインを球体が挟みこんだり、発泡穴に球体が入り込んだり、
発泡穴に球体が入り込むことでその境界に樹脂成分が行き渡り、また、その凹凸面を球体が補充し、その間を樹脂成分が繋ぐから、全体的に目立たなくなる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン、発泡穴、その凹凸が目立たなくなったところで、前記前処理工程で形成した面に後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
特に、発泡合成樹脂材料としてポリウレタン(PUR)を使用した場合には、ビーズライン、ベントホールが生じないから、全体の凹凸のみが目立たなくすればよい。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。
そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程及び前処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。そして、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
更に、前処理工程では、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体が、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であり、かつ、前記球体の周りを樹脂成分が接合状態になるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
請求項2の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
特に、例えば、前記発泡合成樹脂材料として比重の高い見栄えの良い材料を表面側とし、内側を比重の低い材料で形成できるから、見栄えと感触を良好とすることができる。また、その時の比重も任意に設定できる。そして、重ね合わせの際に切削前の発泡合成樹脂材料に限られるものではなく、切削加工した発泡合成樹脂材料を重ね合わせてもよい。
請求項3の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、更に、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させて研磨する表面処理工程を、前記切削処理工程の後で前処理工程の前に加えたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を硬化させることができ、その被塗装面の上面に形成する層との接合力を強くすることができる。
この表面処理工程は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもでき、用途によって決定すればよい。この表面処理工程は合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもでき、任意にその工程の具体的内容を決定できる。
請求項4の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で加熱を含めたものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料は、加熱用冶具によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
請求項5の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、合成樹脂材料の塗布による目止め処理を含めたものであるから、請求項3または請求項4に記載の効果に加えて、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面が得られる。特に、先に、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
請求項6の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行うものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、合成樹脂材料によるベントホール等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
請求項7の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記後処理工程は、耐久性の塗料を塗布する塗装処理工程を具備するものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、安定した塗装状態が維持される。
請求項8の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記表面処理工程及び/または前記前処理工程とは、前記合成樹脂塗料を塗布と研磨を繰り返すものであるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、薄い変化に対しても対応できるから、耐久性の優れた、かつ、見栄えの良い製造方法となる。
請求項9の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の中位径を有するものであるから、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴を埋めしたりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
請求項10の発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなる発泡合成樹脂本体の形状を所定の形状に形成すると共に、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨した平滑面を形成したものである。
したがって、発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削し、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布することにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びその凹凸、発泡穴を目立たなく加工できるものである。しかも、前記切削面のビーズライン及びその凹凸からなる面、発泡穴の凹凸を緩和させ、発泡合成樹脂材料の発泡体の凹凸が目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布できる。
なお、ビーズ状の発泡体以外の直接発泡させた発泡体では、ビーズライン、ベントホールが有しない発泡合成樹脂材料がある。この種の発泡合成樹脂材料では、その処理に対する工程を省略できる。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
更に、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑に目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
請求項11の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体と、無機系球体または有機系球体を均一分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂材料の塗装しようとする前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく塗布して前記被塗装面を平滑化した下地層としたものである。
したがって、発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料の発泡体の凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面の凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びその凹凸、発泡穴に球体が落ち込んだりして目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
このとき、例えば、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴の中に入り込んだりして目立たなくすることができ、かつ、連結した中空バルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
このように、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする前記被塗装面を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させて研磨できる平滑な面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くする必要はない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
請求項12の発泡合成樹脂成型体の前記発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなるものであるから、請求項10または請求項11に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
特に、例えば、前記発泡合成樹脂材料として比重の高い見栄えの良い材料を表面側とし、内側を比重の低い材料で形成できるから、見栄えと感触を良好とすることができる。また、その時の比重も任意に設定できる。
請求項13の発泡合成樹脂成型体には、更に、前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を形成したものであるから、請求項10乃至請求項12の何れか1つに記載の効果に加えて、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面層を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
請求項14の発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の中位径を有するものであるから、請求項10乃至請求項13の何れか1つに記載の効果に加えて、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、乾燥後研磨するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
図1は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法を示す工程のフローチャートである。
図2は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の実施例1を示す工程のフローチャートである。
図3は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の実施例2を示す工程のフローチャートである。
図4は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料を積層接着した状態の説明図である。
図5は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の積層した発泡合成樹脂材料の切削処理工程の説明図で、(a)は切削中の説明図、(b)は切削工具を示す説明図である。
図6は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外表面を切削する切削処理工程の説明図である。
図7は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の塗装表面を加熱する表面処理工程で使用する加熱用冶具で、(a)は単一径の加熱用冶具、(b)は2段径の加熱用冶具、(c)は3段径の加熱用冶具の斜視図である。
図8は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図9は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図10は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側底面の表面処理工程の説明図である。
図11は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側側面の表面処理工程の説明図である。
図12は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の層構成を説明する説明図である。
図13は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図13(a)は切削加工直後の断面拡大説明図、図13(b)は加熱用冶具による処理工程後の断面拡大説明図、図13(c)は目止め処理工程後の断面拡大説明図、図13(d)は穴埋め処理工程後の断面拡大説明図である。
図14は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図14(a)は下地処理工程後の断面拡大説明図、図14(b)は上塗り処理工程後の断面拡大説明図、図14(c)は仕上げ処理工程後の断面拡大説明図、図14(d)は穴埋めを先行させた事例の断面拡大説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、図1乃至図14を用いて、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体及びその製造方法について、全体の概略説明を行う。
図1に示すように、ステップS1の基材Aと基材Bの接合処理工程では、基材Aとしてポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)を使用し、また、比重及び発泡特性が異なる意匠面を形成する基材Bとしてウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)を使用し、それらを図4のように3層にした。
ここでは、基材Aとなるポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)の比重が0.9〜0.96程度であり、基材Bとしてのウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)の比重が1.1〜1.5程度であるから、その使用料を少なくしている。
また、均一な発泡体となるウレタンは、ポリイソシアネートとポリオールとを、アミン化合物等の触媒、発泡剤、シリコーンオイル等の整泡剤と混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行うものであり、製造する場合にも自由度が高いが、比重が高いので、他のポリエチレンやポリプロピレンと同時に使用することにより、全体の重量を軽くすることができる。また、その重量を所定の範囲内にすることもできる。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料10(11,12,13;以下、複数枚を特定しないときには、単に『10』という)は、市販の発泡合成樹脂材料10を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料10を発泡形成する場合の何れであってもよい。
ステップS2の切削処理工程で目的物の基材Aの発泡合成樹脂材料12,13、基材Bの発泡合成樹脂材料11となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工する。このとき、発泡合成樹脂材料10の全体を特定の形状に切削加工するものばかりでなく、内部のみの切削加工または外部のみの切削加工もあり得る。このとき使用する切削工具は、手動冶具を含む機械装置が使用可能であり、何ら切削加工において切削方法が限定されるものではない。
ステップS3の冶具による処理工程では、ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面及びその切削面14を含みこれから塗装しようとする基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18(図5、図12参照)を加熱用冶具30の摩擦熱で硬化させている。ステップS3の冶具による処理工程における発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の硬化は、切削工程が終了した発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に対して加熱用冶具30を回転させ、その回転している加熱用冶具30が軽く被塗装面18に当たることによって生じる摩擦熱によって得ている。
このとき、ステップS2の切削処理工程によって、加熱用冶具30と接触する面に発生する摩擦熱は、後述する図13(a)に示すように、被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に単数または複数が毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結されて粒子化した粒子X、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体W、随所に存在するφ2〜10mm程度のベントホールZ(図13参照)を強行に分離したり、または軟化させて加熱用冶具30で押圧して発泡合成樹脂材料10に一体化させたり、また、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた発泡合成樹脂材料10の部分的な個所の除去を行ったり、それを軟化させて加熱用冶具30の押圧力で発泡合成樹脂材料10と一体化したりする。そして、起立するビーズラインを軟化させ押圧して平滑化し、また、そのビーズの凹凸を少なくし、かつ、ベントホールZの周囲を硬くする。
なお、ビーズ状発泡体による発泡以外の直接発泡させる発泡合成樹脂材料10では、ビーズライン、ベントホールが生じないものがある。しかし、その扱いはビーズライン、ベントホールが生じている発泡合成樹脂材料10と同じであり、当該処理工程をスキップできるだけである。
ステップS3の冶具による処理工程では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、毛羽立ち及び粉体化を防止してなる平滑化した面を形成しているが、本発明を実施する場合、レーザ光のスキャンにより、または熱盤により、発泡合成樹脂材料10の表面が熱可塑性樹脂として軟化し、結果的に、硬く形成されればよい。
なお、本発明で説明する平滑化とは、「平滑」が「平らで、なめらかなこと」を意味するが、広い範囲の「平ら」を意味するものではなく、「例えば、コーナー部分の面取りした角度変化においても、急激な凹凸変化がないこと」程度の部分的な平坦を意味する。
また、ステップS3の冶具による処理工程は物理的に表面を硬化させたものであるが、化学的に目止め処理工程として行うこともできる。
例えば、ステップS4の目止め処理工程は、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる合成樹脂材料を図12に示す目止め剤41とし、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布している。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止し、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨自在にし、精度の良い表面形状を得るものである。ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるという意味で、ステップS3及びステップS4の両者は物理的、化学的な違いがあるものの、実質的に同じ表面処理を行うものである。発泡合成樹脂材料10の材質によっては、何れか一方のみの選択も可能であるが、商品の耐久性を考慮すると、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程からなる表面処理工程を採用する方が良い。
本発明を実施する場合には、ステップS3の冶具による処理工程とステップS4の目止め処理工程の両者を実施する表面処理工程は、接合強度を高め、見栄えを良くする意味からすると両工程からなる表面処理工程を実施するのが望ましい。しかし、ステップS3の冶具による処理工程またはステップS4の目止め処理工程の一方のみとすることもできる。
また、本発明のように、1〜300μmまでの範囲の中位径を有する無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及びその乾燥後に研磨する下地処理工程を有するものでは、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン間にある合成樹脂材料が、糸状に伸びて毛羽立っている糸W、糸状部が丸まって形成されて粒子化した粒子Xを巻き込み、それを無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sと一体化するから、本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の用途によっては、ステップS3及びステップS4を省略することもできる。
ステップS5の下地処理工程は、基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程である。ここで基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の凹凸面とは、ビーズ発泡させる場合には、発泡体のビーズライン及びφ2〜10mm程度のベントホールZ、糸状に伸びて毛羽立っている糸W、糸状部が丸まって形成されて粒子化した粒子Xを巻き込み、その他の凹凸面があり、均一な発泡体となるウレタンでは、凹凸面が主になります。
なお、この実施の形態では、基材A,Bの区別なくビーズライン及びベントホール、その凹凸として取り扱う。
ステップS5の下地処理工程では、一般には、高弾性で膨張に耐えるドリームコート(関西ペイント(株)製造)を下地剤43として使用している。ドリームコートは、主成分とし
て、二酸化チタン5〜10Wt%、ホワイトスピリット(ミネラルスピリット)1〜5Wt%、エチレングリコール1〜5Wt%、デューロン0.1〜1Wt%を配合したものである。この下地剤43において、二酸化チタンは1〜10μmの粒径を有しているが、光触媒として配合しているものではなく、中実の球体として使用しているものである。また、二酸化チタン5〜10Wt%に代えて中位径5μmのシリカ中空バルーンを配合した。
このとき、二酸化チタンに代えてシリカ中空バルーンの代替が有効であることが確認された。二酸化チタンとシリカ中空バルーンは、化学的に何ら作用をなさないものであるから、無機系中空バルーンと有機系中空バルーンとの使用が確認された。
また、粒子径は、球体Sの連続繋がりによる機械的強度の上昇、球体Sの機械的強度が所定以上あれば、使用が発泡体環境であるから問題にならないことも確認された。それと同時に消去しようとするビーズライン及びベントホール、その凹凸の大きさから1〜300μmの範囲であれば、良好に機能することが確認された。
勿論、ナノバルーンでは実現しないものではなく、高価になり、かつ、塗り重ねが1層分から2層分負荷されるので、1〜300μmの中位径のものの使用が望ましい。またその量は二酸化チタン5〜10Wt%であったが、比重が軽いので、その個数以上の混入になるが、問題はなかった。
発泡合成樹脂材料10にベントホールZが生じている場合には、その対策として、アクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする高弾性で膨張に耐えるロハスコート((株)OKUTA製造)を穴埋め剤42として使用した。ここにおいても、アクリル
中空ビーズは有機系マイクロバルーンに代えて使用するものである。因みに、アクリル中空ビーズは30〜100μmの中位径を有するものである。勿論、アクリル中空ビーズは30〜100μmの中位径のシリカ中空バルーンに代えることができた。
なお、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、中位径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。定義的には、平均粒子径と中位径で粒子群のサイズを表現されるが、ここでは、商品説明の表示、レーザ回折・散乱法によって測定した値である。
そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。
なお、上記数値は、厳格なものでなく概ねであり、当然、測定等による誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。この誤差の観点から見ると、平均粒子径との差も僅少であり、平均粒子径≒中位径であり、平均粒子径=中位径と見做すこともできる。
順序としては、ステップS5の下地処理工程で、まず、穴埋め処理を先行させるのが好適である。即ち、下地処理工程では、二酸化チタン、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンを配合した下地剤43をヘラ塗りで2〜3回塗布し、表面を確認しながらその状態でベントホールZの穴埋めがし難いときには、アクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする穴埋め剤42を塗り、各回30分程度の乾燥の後、研磨を行い、重ね塗りを進行させる。
即ち、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、ステップS5の下地処理工程内で、下地剤43を塗り、その窪みの大きさに応じて、穴埋め剤42で穴埋めし、そして、下地塗り、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
したがって、図1の本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の流れ図においては、ステップS5の下地処理工程内で穴埋め処理工程を同時に行うこともあり得るし、ステップS5で穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。また、その前後を逆にする場合もある。
何れにせよ、ステップS5の下地処理工程は、下地処理工程として穴埋め処理を含むものであり、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理する。
なお、このステップS5の下地処理工程は、穴埋め処理工程を含む下地処理工程であり、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程も下地処理工程の前段階の表面処理工程であり、塗装の載りを良くするものであるから、これらステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程及びステップS5の下地処理工程を含めて前処理工程と呼ぶこととする。
なお、この下地処理工程までで形成された層を下地層50といい、前処理工程で形成された層に相当する。
次に、ステップS5の前処理工程の下地処理工程の後に、ステップS6で塗装処理工程を施している。ステップS6の塗装処理工程では、ステップS3からステップS5の前処理工程で形成した被塗装面18に、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する工程である。ステップS6の塗装処理工程で使用する塗装剤44は、主剤1に対して、硬化剤0.6、シンナー1.2の配合で混合した高弾性で膨張に耐える塗装剤であり、下地剤43との相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。なお、樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
塗装剤44として主剤は、(株)富士塗料工業所製のエラスティックコートUN−500を
使用した。UB−1200は、ポリエステルポリオール30〜40Wt%、酸化チタン10〜20Wt%、アクリル樹脂1〜5Wt%、変性セルロース1〜5Wt%、酢酸エチル10〜20Wt%、キシレン10.8Wt%、トルエン5.3Wt%、酢酸ノルマループチル1〜5Wt%、メチルイソブチルケトン1〜5、エチルベンゼン3.0Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%を主成分とする配合である。
硬化剤としては、(株)富士塗料工業所製のUB−1200を使用した。UB−1200は
、イソシアネートプレポリマー70〜80Wt%、ヘキサメチレン=ジイソシアネート0.5Wt%、トルエン20Wt%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5〜10Wt%を主成分とする配合である。
そして、シンナーは、(株)富士塗料工業所製のマイステルシンナーTM−5510を使用
した。その主成分は、t一ブタノール20〜30Wt%、ジアセトンアルコール20〜30Wt%、メチルイソブチルケトン10〜20Wt%、メチルエチルケトン10〜20Wt%、酢酸イソブチル5〜10Wt%、キシレン3.9Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、エチルベンゼン0.63Wt%の配合である。
このステップS6の塗装処理工程は、塗膜を形成することによって、耐久性、例えば、耐候性、耐酸性を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、発泡合成樹脂成型体を塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
勿論、塗料としては、着色した顔料の入った塗料に限らず、透明な紫外線をカットする塗料とすることもできる。
なお、塗装剤44を塗布した層を塗装層60という。
更に、図1の本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法並びに図12及び図13の発泡合成樹脂成型体について詳述する。
発泡合成樹脂材料10は、発泡させた熱可塑性樹脂であり、主な合成樹脂原料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等も発泡化して用いることができる。しかし、発泡合成樹脂材料10の切削面14を加熱することにより硬化させることを前提とすると、80〜200℃の範囲内の温度で変形する合成樹脂材料の使用が望ましい。また、本発明を実施する場合には、発泡率を問うものではないが、使途によっては硬く仕上げるために或いは軽量化するために発泡率の制限、比重の制限を受けるものもある。
なお、本実施例の発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)としては、ポリエチレン(C2H4)n及びポリプロピレン(C3H6)nについては、発泡から特定のブロックを形成したもの、規格製品を積層したものの何れも実験し、両者が使用できることを確認した。
具体的には、直径1mm程度の細粒状ポリエチレンであるポリエチレンビーズに炭化水素ガスを吸収させ、これに100℃以上の高温蒸気を通して樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させると、発泡したビーズ相互は融着し合い、冷却時にビーズ単位の変形された形状となって発泡ポリエチレンとなる。
発明者らは、図4に示すように、市販されている3枚の特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された基材Aとしてポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13を使用し、また、基材Bとしてウレタンからなる発泡合成樹脂材料11を使用した。ポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13は、各規格化サイズが単体で発泡成形されており、表面の発泡密度が高いスキン層となっている。そのベントホールZはφ2〜10mm程度の材料である。本実施例で50mmよりも厚い製品を得るには、規格化された発泡合成樹脂材料12,13の表面がスキン層となっているから、その両面の接着面にゴム系の接着剤を塗布して積層接着した。
なお、基材Bとしてウレタンからなる発泡合成樹脂材料11は、全体が略均一に発泡し、ており、ベントホールZは殆ど発生していない。しかし、比重がポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13よりも大きいので、発泡の際に無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空体で軽量化して使用してもよい。
ゴム系の接着剤15としては、ゴム糊である市販のボンドGU38(コニシ(株))を接着
する両面に薄く塗り、そして乾燥させ、接着面を対向させて圧縮し接着した。ボンドGU38は、主成分がシクロヘキサン30〜40Wt%、アセトン20〜30Wt%、メチルシクロヘキサン10〜20Wt%、酢酸エチル5〜10Wt%、ロジン1Wt%として配合されたクロロプレンゴム系溶剤型接着剤である。また、東亜合成(株)のエバーグリップ1
474SM−5、エバーグリップ1423のクロロプレンゴム系接着剤も使用できることを確認した。ここで、接着剤15の厚みは、その存在が視認できない程度に可能な限り薄くし、接着機能のみが維持できればよい。なお、ここで使用するゴム糊は、基材としての発泡合成樹脂材料11,12,13と同じポリエチレンからなる接着剤15も使用できる。
勿論、発泡合成樹脂材料してのポリエチレン12,13とウレタン11は、ゴム系の接着剤15とは性質が異なるが、ゴム系の接着剤15をこの接着に使用するのは100μm以下の厚みにすることができ、結果的に製品の加工には支障がなかったことから使用した。発明者らは、加熱した熱盤によって発泡合成樹脂材料11,12,13の両接着面を接触させ瞬間的に加熱し、その熔融面によって接着を行ったが、熟練を必要とするものの、良好な接着が可能であることを確認した。また、発泡合成樹脂材料10と同系統のポリエチレン系、ウレタン系の接着剤を使用することもできる。そして、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の両接着面を加熱してもよい。何れにせよ、発泡合成樹脂材料10の表面が溶けて硬くなる体積が殆ど無視できる程度、即ち、溶融も含めて300μm以下、望ましくは、100μm程度以下の接着面厚さであればよい。勿論、発泡合成樹脂材料10と同じ系統の接着剤とすることもできる。
発明者らは、粘り気のあるポリエチレン、ウレタンの材料を特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13として使用するために積層し、単位面積当たり0.5〜10t以上の圧力によって押圧して一体に接着した。本発明を実施する場合に、必要な厚みのものが市販されておれば、積層化する必要はない。また、ウレタンは最終成形品の形態として部分的に形成することもできる。
なお、この積層する際の接着に要する押圧力は、発泡体の発泡率によっても、基材の発泡材料によっても変化するから、一義的に決定されるものではない。
このように、本発明の実施物における発泡合成樹脂材料10としては、1枚または複数枚積層して用いてもよい。勿論、本発明の実施物における直接基材となる発泡合成樹脂材料10は、任意の概略形状に発泡させてもよい。
基材の発泡合成樹脂材料10を複数枚で形成するのは、所定の厚みに満たないので、その厚みを出すために積層する場合、比重の大きい材料で作成すると好ましい形状が得られても既定の重量をオーバーしてしまうので、比重の小さい材料とコンビで使用する場合、細かな配慮として、複数枚の発泡合成樹脂材料10の特性を徐々に変化させて微妙な使用感を醸し出す場合等に好適である。
これらの発泡合成樹脂材料10を削り出すには、図5に示すように、切削加工に用いる工具(切削工具)であるボールエンドミル20を使用した。ボールエンドミル20は、フライスの一種であるドリルに似た外観を有している。ドリルは軸方向に進行し、円形の穴を空けるのに使用されるが、ボールエンドミル20は、側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられる。また、端面を平滑に仕上げる際にも用いられる。中心部の切れ刃が不完全であるため、端部を弧状に形成することにより、端面を平滑に仕上げることができる。ボールエンドミル20の回転数5000〜15000rpm及び送り速度500〜3000mmで処理している。通常は回転数10000rpm、及び送り速度2000mm程度である。
本発明の実施の形態では、通常の切削加工するボールエンドミル20によって、全体の概観形態を削り出している。その後、ボールエンドミル20によって全体の概観形態を削り出した面は、削り屑の一部が外力によって分離してボロボロの状態であったり、部分的に毛のように繋がっていたり、凹凸が発生していたりしている。
そこで、一般にボールエンドミル20は、図5の(a)及び(b)に示すように、側面の刃21で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられるが、本発明の実施の形態で使用するボールエンドミル20もそれに相違するものではない。その最下端から側面の刃21までは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))加工が施されており、切削された発泡合成樹脂材料10、その切削屑が付着しないようにしている。
しかし、下端が若干下に凸状に湾曲させた端部22を有する刃物は、ボールエンドミル20の回転によって摩擦熱が発生し、表面を摩擦熱で平滑にする機能がある。表面を摩擦熱で平滑にするとは、発泡合成樹脂材料10の表面に付着した刃21で完全に切断されていない微粒の分離または軟化した微粒の押圧による平滑化、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた部位の除去または押圧による平滑化、起立するビーズラインを軟化させ押圧してなる平滑化等により、凹凸が少なくなっている。
図6のボールエンドミル20は、発泡合成樹脂材料10に形成した内側の切削面14に対して、外側を切削する状態を示すものである。
即ち、ボールエンドミル20と発泡合成樹脂材料10の接触角度並びに移動距離及び移動角度等によって発泡合成樹脂成型体の外径形状を削り出すことができる。この技術は一般的な切削加工の技術であるから、詳細な説明を省略する。
図7の加熱用冶具30は、市販のボールエンドミル20によって切削加工した後に、専用の先端を弧状とした面を有する摩擦面31によって、発泡合成樹脂材料10に形成した切削面14を摩擦によって加熱する冶具である。図7(a)乃至(c)は、異なった種類の加熱用冶具30の斜視図を示すものである。(a)は単一径の加熱用冶具30であり、(b)は2段径の加熱用冶具30であり、(c)は3段径の加熱用冶具30の斜視図である。
即ち、加熱用冶具30の太さの下端が任意の曲面からなる摩擦面31となっており、発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を含み塗装しようとする基材の被塗装面を摩擦熱で加熱し、温度上昇によって軟化させて、発泡合成樹脂材料10の切削面14に平滑面を形成する。これは、平滑面で説明したが、下に凸面及び/または下に凹面を形成する場合も同様に加工できる。
例えば、下に凸面の狭い凹部溝16を有する切削面14を形成する場合には、切削面14を加熱する加熱用冶具30の太さを図6の(b)に示すようにし、全体的または部分的に細くする摩擦面32を形成する必要がある。勿論、必要に応じてテーパー面とすることもできる。この加熱用冶具30は、図10に示す凹部溝16の加工等に好適となる。
図7(b)に示す加熱用冶具30は、直径を2段としているが、3段以上とすることも、図7(a)に示すように、単一の太さとすることもできる。
図11に示す側面に形成した凹状溝17を摩擦し、内面側の切削面14に加熱面を形成するには、その内側湾曲部に下側環状部分33を、凹状溝17に上側環状部分35を必要な間隔を維持し、連結部34を取付部37に連結部36を介して形成した加熱用冶具30の使用が、同時に摩擦加熱することができる。この加熱用冶具30は、何れも摩擦熱を発生させる位置は、フッ素樹脂のコーティングがなされており、加熱用冶具30に軟化した樹脂が付着しないようにしている。
なお、本発明を実施する場合の加熱用冶具30は、図7に示すように、各種の形状とすることができるが、通常、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14は内側にあり、露出面になる確率は低い。発泡合成樹脂材料10の外面が意匠面となり、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14側は機器等を収容する場合が多い。当然ながら、そのような使用状態に一義的に決定されるものではないが、確率的に高いものである。
なお、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10をボールエンドミル20等の刃物で特定の形状に切削加工する工程を、本実施の形態ではステップS2の切削処理工程という。また、それによって形成された面は加熱用冶具30によって物理化学的に硬化された硬化層の面となる。但し、加熱用冶具30による硬化層は、一般的に数10μmから100μm以下の層であり、連続的に変化しているから通常は面と認識されるに過ぎない。
本実施の形態における実施物からの加熱用冶具30による硬化層の確認では、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着してないこと、糸状に伸びた部位が存在してないことにより、ステップS2の冶具による処理工程がなされているか否かが確認される。
本実施の形態では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着しているか、糸状に伸びて部分的に毛羽立っているか、粉体化した面を有しているかの場合には、それらを物理化学的に平滑化することができる。しかし、本発明を実施する場合には、加熱用冶具30の摩擦に代えて、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の表面を軟化させ、平面的に薄く、硬く形成したものであっても同様の効果が得られた。
切削によって生じた切削面14を加熱した後に、前記切削、加熱で形成した切削加熱面に凹凸面を緩和させるステップS4で目止め剤41としての合成樹脂材料を塗布する。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるもので、発泡合成樹脂材料10の表面にトルエン28Wt%、セルロースアセテートブチリート(CAB)15〜20Wt%、酢酸ブチル55〜60Wt%からなる混合物の目止め剤41を5〜10回塗布し、この合成樹脂材料からなる目止め剤41の塗布により発泡合成樹脂材料10のビーズの発泡の際に生ずる微細孔に対する染み込みを防止させている。しかし、気泡等の存在で1回の塗布で完全な目止めが完了しない場合には、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等の研磨と塗布とを繰り返し行うことになる。
発明者らは、トルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる混合物以外の合成樹脂材料も目止め剤41として使用できるかを試験した。結果、発泡合成樹脂材料10の表面に接着するものであり、粘度が適当に高いもので、乾燥によって剥がれない合成樹脂材料であれば、使用に耐えることが確認された。即ち、目止め剤41は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止する平滑な合成樹脂膜を作るものであり、その種類は水性目止め剤、油性目止め剤、合成樹脂目止め剤等が使用でき、特に、発泡合成樹脂材料10との接着が維持できれば、いずれでも使用が可能である。また、塗料でも使用可能であるが、価格的に不経済となることを無視すれば使用可能である。
目止め剤41は、1〜12回塗布されるが、その間に塗布し、硬化した層は、研磨による磨きを入れ、研磨ができ難くなったとき、再度の塗布を行い、その繰り返しを行う。この工程をステップS4の目止め処理工程という。この目止め剤41は研磨が可能になるように、表面をサンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨し、最初は100番程度から徐々に細かいものに変化させて研磨している。
研磨による磨きの効果が生じ難くなったとき、ステップS4の目止め処理工程から次のステップS5の下地処理工程に移行する。
なお、この目止め剤41に中空バルーンを均一分散して混合したが、隙間の間隔に応じて樹脂成分が浸透する箇所と、中空バルーンが浸透する箇所ができ、機械的強度を上げることができる。
本実施の形態で説明した加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるステップS3の冶具による処理工程は、ステップS4の目止め処理工程が合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するという機能を有し、ステップS3の冶具による処理工程においても、摩擦加熱及び押圧により、発泡合成樹脂材料10の表面密度を上げる機能を有しているから、両工程の基本的機能として同一の効果がある。したがって、何れか一方または後の処理によっては両方の工程を省略することもできる。また、両者を使用することもできる。そして、目止め剤41に中空バルーンを均一分散して混合したときには、発泡ビーズ間の隙間に応じて樹脂成分が浸透するから、後述する下地剤43の粘度を低下すれば、その樹脂成分が浸透し、中空バルーンがそれらを覆うことから、両者を省略することもできる。
次に、ステップS5の下地処理工程では、実用化の前段階で二酸化チタン、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンを配合した下地剤43を使用した。発明者らは、二酸化チタンが着色及びバルーンとしての機能を有するものとして3Mグラスバブルズ(住友スリーエム(株)製造)の中位径15〜135μm、または、有機・無機ハイブリッ
ドフィラーのExpancel(日本フィライト(株)製造)で10〜90μmの中位径の粒
子を補充し、特性の変化を調べたが特性に変化はなかった。
そこで、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンに中空バルーンを配合した下地剤43を作成し、それを塗布し、研磨したが、実用に耐えることが確認された。
また、穴埋め剤42としてアクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする材料を使用したが、ステップS6の塗装処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ、塗料を含む合成樹脂材料にバルーンを入れて塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。但し、パテ、塗料を含む合成樹脂材料には、無機系バルーンまたは有機系バルーンを均一分散されているものの使用が前提となる。このとき使用できるパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、塗装剤44の塗料は、前記パテ及び塗装処理工程における塗装剤44の種類によって決定される。
通常、発泡合成樹脂材料にベントホールが存在すると、それに対して無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンを均一分散されたパテをヘラで塗って、表面を面一とする。このとき使用するバルーンは、中位径が300μmより大きいものであると、発泡合成樹脂材料の細部に浸透し難く、また、塗り上げの厚みも下地剤43が300μm以下であるから、それ以下のバルーンの混入が好ましい。更に、好ましくは、100μm以下が望ましい。
しかし、発明者らは1μm以下のナノバルーンについても実験を行ったが、ナノバルーンでも同様の効果があることが確認された。しかし、ナノバルーンを使用すると高価となるから、商品化の観点からすると1〜300μmのマイクロバルーンの選択が望ましい。
この目止め剤41を塗布し、研磨した表面に複数回下地剤43を塗布し、そして、研磨する。塗布の仕方は、ヘラ塗りであっても、スプレーガンで噴霧してもよい。このとき、噴霧する下地剤43の粘度は、エチレングリコールの量によって調整される。
また、この下地剤43を塗布した後、下地剤43で形成した面を平滑にサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨し、複数回の塗布とその研磨を繰り返している。ここではサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨すると説明したが、水研ぎ等の他の研ぎ方を採用してもよい。
ここでは、ステップS5の下地処理工程で発泡合成樹脂材料10の被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させ平滑とすべく処理する。即ち、通常、ビーズライン及びその凹凸面のみではなく、φ2〜10mm程度のベントホールが存在する。φ2〜10mm程度のベントホール及び前の工程で除去できなかったビーズライン及びその凹凸面は、穴埋め処理で除去することになる。
ステップS5の下地処理工程では、下地剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑にする。同時に、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてバルーン入りのポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下地処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤23でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
この実施例では、ステップS5の下地処理工程で穴埋め処理が行われているが、分離して行うこともあり得るし、均一な発泡体となり得るウレタンの場合には、ステップS5で穴埋め処理を行わない場合もあり得る。何れにせよ、ステップS5の下地処理工程での穴埋め処理は、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理できればよい。このベントホールZ等の穴埋め処理を含めて、ベントホールZ及びビーズライン及びその凹凸面を見えなく処理する工程は、ステップS5の下地処理工程を構成している。
ステップS5の下地処理工程に穴埋め処理を組み入れる事例で説明したが、本発明を実施する場合には、その程度によってはステップS4の目止め処理工程の直前または直後に行うこともできる。勿論、ベントホールZが生じていないものでは、穴埋め処理を省略できる。
即ち、ステップS5の下地処理工程は、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程に依存するものであり、発泡合成樹脂材料10の塗装の前準備であるから、これにより前処理工程を構成している。
次に、ステップS3乃至ステップS5からなる前処理工程によって形成した下地剤43を塗布した上を研磨し、それを複数回繰り返した後、ステップS6の塗装処理工程としての塗装剤44を塗布する。
塗装処理工程で使用する塗装剤44は、主剤1に対して、硬化剤0.6、シンナー1.2の配合で混合した塗料であり、下地剤43との相性が良く、両者間の接着力が確保されるものである。なお、樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
更に、ステップS6の塗装処理工程で塗布した塗装剤44の上面を研磨し、その塗布と研磨を複数回繰り返す。ここでは、ステップS5の下地処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料の樹脂塗料を塗布する塗装処理工程となる。
この実施例では、樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトとし、何色でもそこに上塗りできるようにした。即ち、この時点で他の構成部品と同一の塗装を行う場合には、他の部品と同一の塗装処理工程に入る。
前述したように、ステップS6の塗装処理工程で何色にも塗装できるようにしているが、更に、表面に塗膜を形成し、耐久性の塗料を塗布する仕上げ塗装処理を追加することができる。この仕上げ塗装処理工程では、例えば、仕上げ剤45として、硬化剤0.4Wt%に対して樹脂塗料1Wt%、シンナー0.8Wt%の配合とした塗料を塗布することができる。
実施例で使用した仕上げ剤45としては、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤であるレタンPGエコスポイラー用マルチ硬化剤(関西ペイント)を使用した。その成分は、酢酸エチル5〜10Wt%、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR0.1〜1Wt%、ヘキサメチレンジイノシアネート・オリゴマー5〜10Wt%、HMDI系ポリイソシアネート165〜70Wt%である。
また、樹脂塗料として、レタンPG80 531ホワイト ベース(関西ペイント)を使用した。その成分は、非結晶性シリカA1〜5Wt%、二酸化チタン20〜25Wt%、トルエン36Wt%、キシレン0.1〜1Wt%、エチルベンゼン0.1〜1Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、メチルエチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル1〜5Wt%、酢酸イソブチル1〜5Wt%である。
そして、シンナーとして、レタンPGシンナー超遅乾形(関西ペイント)を使用した。その成分は、石油ナフサG15〜20Wt%、石油ナフサH1〜5Wt%、キシレン20Wt%、エチルベンゼン18Wt%、クメン0.1〜1Wt%、1,3,5−トリメチルベンゼン3Wt%、ナフタレン0.1〜1Wt%、1,2,4−トリメチルベンゼン9.8Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、酢酸ブチル1〜5Wt%である。
ここで使用する仕上げ塗装処理層は、最表面に塗膜を形成することによって、耐久性、即ち、耐候性、耐酸性等を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて必要に応じ、同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
次に、図12及び図13、図14を用いて、発泡合成樹脂成型体の製造過程の切削処理工程及び下地処理工程について詳述する。
図12乃至図14に示すように、ステップS2の切削処理工程で熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工し、発泡合成樹脂本体40(10)を形成する。詳しくは、図13(a)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結された粒子化した粒子X等を有している。また、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体Wが付着している。また、随所にベントホールZが存在している。
それに対して、ステップS3による冶具による処理工程を経たものでは、図13(a)に示した刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸Wは、図13(b)に示したように、摩擦熱を受けその表面張力により、容積が最小になる。また、図13(a)に示した糸状部が丸まって連結された粒子Xと同様、摩擦熱で平滑化したり、粉体粒子となったりして離れて除去される。このとき、ベントホールZについては、開口を糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W及び粉体粒子として離れて除去された粒子Xによって若干狭められる程度であり、大きな変化はない。
ステップS4の目止め処理工程では、目止め剤41を発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18に塗布している。この合成樹脂材料の目止め剤41は、発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止して、その研磨を自在にし、図13(b)のように、精度の良い表面形状を得るものである。このとき、被塗装面18のビーズラインの図示しない浅い凹面は目止め剤41によって充填されることになる。通常、被塗装面18の発泡ビーズの凹面は、図13(c)のように、発泡ビーズの大きさに略対応し、下地剤43の無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体である中空バルーンSによってその充填数が特定される。
ステップS5の下地処理工程は、図13(c)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を中空バルーンSで緩和させ平滑な面とすべく合成樹脂材料と共に塗布する。通常、発泡合成樹脂材料10には、大きくて、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じている可能性があるので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程を進行させるのが好適である。即ち、前処理工程では、下地剤43を発泡合成樹脂本体40の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、下地剤43の上表面を平滑な面にする。同時に、発泡合成樹脂本体40にベントホールZが存在している場合には、ステップS5でベントホールZの穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下地処理工程の下地剤43の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、図13(d)に示すように、先に穴埋め剤42で中空バルーンSを利用してベントホールZの穴埋めを行い、次いで、中空バルーンSを含む下地剤43で被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
例えば、図14(a)に示すように、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の面には、ベントホールZ程度までは大きくないが、切削加工工程により上面に開口する発泡穴が無数に存在する。そこに対して下地剤43によって中空バルーンSを充填する。また、発泡穴よりも大きいベントホールZは穴埋め剤42によってアクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンが供給される。
ウレタンのように直接発泡を行う発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の面には、切削加工工程により上面に開口する発泡穴が無数に存在する。そこに対して下地剤43によって中空バルーンSを充填すると中空バルーンSは周囲に樹脂成分を有しているから、その中空バルーンSが発泡穴で安定し、残余の樹脂成分が被塗装面18の表面に出てくる。それによって接着力が大きくなり、かつ、表面の凹凸が平坦化される。
この状態で、図14(b)の上塗り処理工程後の断面拡大説明図に示すように、塗装剤44を下地剤43の上面に塗布し、更に必要に応じて図14(c)の仕上げ処理工程後の断面拡大説明図のように、仕上げ剤45を塗布する。
なお、図13(d)に示すように、穴埋めを先行させた事例では、図14(d)に示すように、下地剤43がそれらに塗布されることになる。
このようにして、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体を得ている。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、比重の異なる材料または比重の同じ材料を複数枚積層し、接着するステップS1からなる基材Aと基材Bの接合処理工程と、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工するステップS2からなる切削処理工程と、そのステップS2からなる切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させて研磨し、それを1〜12回繰り返すステップS3からなる冶具による処理工程と、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑とすべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及びその乾燥後に研磨し、下地層50を形成するステップS5の下地処理工程と、前記下地処理工程で形成した上表面の被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布してなる塗装層60からなるステップS6でなる塗装処理工程とを具備するものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、ステップS2の切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削して、ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面14を含み、塗装しようとする被塗装面18の表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料10の、例えば、発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を目立たなくするステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程及びステップS5の下地処理工程からなる前処理工程により、塗装しようとする被塗装面18のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホールZ等の凹凸面を緩和させる無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーンとして、中空バルーンSとしても強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料10の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、ステップS5の下地処理工程で形成した下地層50にステップS6の塗装処理工程からなる後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布した塗装層60とするものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、切削加工することによって金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、ステップS10の下地処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨によって平滑面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
更に、ステップS5からなる下地処理工程では、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーンを均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、そして、乾燥後研磨するものであるから、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の中空バルーンSが、凹凸を跨いだり、ブリッジしたりして目立たなくすることができ、かつ、マイクロバルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に下地層50を形成することができる。また、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。したがって、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
また、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の被塗装面18を硬化させ、下地層50を形成するステップS5からなる下地処理工程は、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で加熱を行う加熱用冶具30による処理工程を含むものであるから、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10は、加熱用冶具30によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の被塗装面18を硬化させるステップS5からなる下地処理工程は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するステップS4からなる目止め処理工程を含むものであるから、ステップS4からなる目止め処理用の樹脂の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面18が得られる。特に、先に、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
ステップS5からなる下地処理工程は、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理を含むものであるから、合成樹脂材料によるベントホールZ等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、下地層50に平滑な面を形成できる。
また、耐久性の塗料を塗布するステップS6からなる塗装処理工程は、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、塗装層60として安定した塗装状態が維持される。
実施例1
図1の実施の形態では、ステップS1で単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材を接合処理することを前提に説明した。このとき、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削処理を行った。
しかし、本発明を実施する場合、特に、比重が異なっている基材Aと基材Bの使用で、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合には、その成形精度を上げることができるから、両者を別々の切削処理でステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程で行い、それをステップS13の接合処理工程で接合し、そして、ステップS14で冶具による処理工程に移行、その後、図1に示すステップS4以降の処理と対応させたものである。
即ち、ステップS14で冶具による処理工程行い、ステップS15で目止め処理を行い、ステップS16で下地層50を形成する下地処理工程、ステップS17で塗装層60を形成する塗装処理工程を行うものである。
この実施例1の場合にも、前処理工程はステップS14で冶具による処理工程、ステップS15の目止め処理工程、ステップS16の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS17の塗装処理工程で構成されている。
本実施例では、ステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程で行った後、それをステップS13の接合処理工程で接合し、ステップS14で冶具による処理工程に移行、その後、図1に示すステップS4以降の処理と対応させている。しかし、ステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程の後、先に個々に冶具による処理工程を行い、それを接合処理工程で接合することもできる。同様に、ステップS15の目止め処理工程を省略したり、前後させたりすることができる。
また、特に、ウレタンで所定の形状に切削処理した場合には、その成形精度を上げることができるから、冶具による処理工程及び目止め処理工程を省略できる。
実施例2
また、図1の実施の形態では、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削工程に入っている。また、図2の実施の形態では、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合、その成型精度を上げることができる。
したがって、基材Aがポリエチレンやポリプロピレンの場合には、ステップS21及びステップS22で加工精度を上げ、ウレタン等からなる基材Bの切削処理工程で密度を上げた成型精度で加工し、ステップS24で接合処理を行い、ステップS25で下地処理工程、ステップS26で目止め処理工程、ステップS27で塗装層60を形成する塗装処理工程を行うものである。
この実施例2の場合にも、前処理工程はステップS22で冶具による処理工程、ステップS25の目止め処理工程、ステップS26の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS27の塗装処理工程で構成されている。
この実施例の場合にも、ウレタン等からなる基材Bの切削処理工程では、精度を上げることができるから、ポリエチレンやポリプロピレンの場合に比較して、冶具による処理工程、目止め処理工程を省略することができる。
また、ウレタン等のように直接発泡させるものでは、その面を意匠面とするか否か、直接発泡する材料を何層使用するかによって冶具による処理工程、目止め処理工程の入れるタイミング、省略が決定される。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40の所望の周囲に塗装しようとする被塗装面18を具備し、被塗装面18に塗装してなる発泡合成樹脂成型体において、所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18を硬化状態にして研磨し、かつ、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーンを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨し、下地層50を形成したものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる発泡合成樹脂材料10からなる発泡合成樹脂本体40の形状を所定の形状に形成すると共に、前記単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ、または合成樹脂を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18に無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく前処理工程までに形成した被塗装面18、即ち、下地層50の上表面を平滑化するステップS6、ステップS17、ステップS27で形成した塗装剤44による塗装層を具備する。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、その切削面14を硬化させ、その硬化状態で研磨する。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面を見えなくし、または見えないように緩和させるべくステップS6、ステップS17、ステップS27の塗装処理工程で形成する塗装層60を平滑化する。
しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、発泡穴、その凹凸を目立たなくし、表面を平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面を緩和させ、ベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS2乃至ステップS5からなる前処理工程で形成された塗装層60を具備するものである。
更に、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、乾燥後研磨するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑に目立たなくすることができ、かつ、バルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン、発泡穴及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールZを合成樹脂材料による穴埋めを行うものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面14に、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨することにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びその凹凸を目立たなく研磨加工できるものである。しかも、切削面14のビーズライン及びその凹凸からなる面を緩和させ、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン、その凹凸が目立たなくなった下地層50の顔料を含む合成樹脂塗料を塗布できる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、発泡穴、その凹凸を目立たなくなったところで、ステップS6、ステップS17、ステップS27の塗装処理工程で形成する塗装層60を平滑化する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、ステップS3及びステップS4で、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるから、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
更に、ステップS5、ステップS16、ステップS26の下地処理工程を経た下地層50、即ち、発泡合成樹脂材料10の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層60を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
上記実施の形態では、ステップS4、ステップS15、ステップS25の目止め剤41とステップS5の下地処理工程で下地剤43を塗って形成した下地層50の塗布と研磨を繰り返すものである。このとき、目止め剤と下地剤43の塗布と研磨を繰り返す回数が多いと、その各層の厚みを薄くでき、仕上げを見栄え良く、かつ、耐久性を良くすることができる。しかし、余り繰り返し回数を多くすると、生産性が低下する。したがって、発泡合成樹脂成型体の使途に応じて1〜12回程度が生産性から維持されるべき回数となる。
ステップS2、ステップS11、ステップS12、ステップS21、ステップS23の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を硬化させて研磨する表面は、50〜200μmの厚みとなり、上記実施例で使用した目止め剤41に拘ることなく、被塗装面18を硬化させて研磨可能にする合成樹脂材料であればよい。
また、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布するステップS5、ステップS16、ステップS26の下地処理工程を含む前処理工程によって形成される被塗装面18の厚みが、200μm以下の厚みであるが、上記実施例で使用した穴埋め剤42及び下地剤43に拘ることなく、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布及び研磨できる合成樹脂材料であればよい。
そして、ステップS5の下地処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するステップS6の塗装処理工程は、塗装剤44が100〜300μmの厚みであるが、塗装剤44及び仕上げ剤45に拘ることなく、前処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む塗布自在な合成樹脂塗料であればよい。塗料として透明であるか否かは問われる理由がない。
発明者は、1〜1000μmの範囲内の中位径の無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンについて実験を行い、更に、ナノバルーンの50〜100nmの無機系中空バルーンについて実験を行った。仕上がりの見栄え及び表面塗料の接着力等の特性から、マイクロバルーン及びナノバルーンの使用が可能であることが確認された。しかし、材料の価格及び許容されている塗膜の厚みから、温度変化に伴う膨張収縮から、塗膜の厚みに応じた1〜300μmの範囲内の中位径の粒子の使用が好ましいと結論された。また、二酸化チタン粒子のように中実球体によって中空バルーンS以外にも使用できることが確認され、かつ、100μmのガラス粒子について実験を行い実用化が可能なことを確認し、化学的安定な材料であれば中空でも、中実でも使用できることが確認された。
発明者は塗装剤44、仕上げ剤45について実験を行った。結論的には、如何なる塗料も下地剤43と相性の良いものであれば、塗装が可能である。しかし、弾性を有し、膨張収縮が可能なものの使用が望ましい。
また、発泡合成樹脂成型体を形成する発泡合成樹脂材料10は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものであり、例えば、比重の高い、即ち、密度の高い材料を芯材として表面に露出させ、それを意匠面とすることができる。逆に、積層した中心に配置したり、表面及び裏面に配置したりすることもできる。特に、比重の異なる材料を複数枚積層し、接着することはハイブリッド形状の基材とすることができる。
発明者は、加工品質を上げるべく実験を重ねた結果、ポリウレタン(PUR)のように、直接発泡させたものを発泡合成樹脂材料10として使用すると、被塗装面18のビーズラインが表れず、ベントホールZも殆ど生じないし、その凹凸面も切削加工精度によっては無視できる程度であるから、良好な基材であることが判明した。また、これらの材料においては、切削加工によって発泡穴が無数に生じるがそこに下地剤43の中空バルーンSを導き、また、ベントホールZが生じていた場合でも、集中的に穴埋め剤42で中空バルーンSを充填接合する。これによって、被塗装面18には表面に出てくるのは樹脂成分が多くなり、平坦な面が形成されやすくなることが判明した。
10 発泡合成樹脂材料
11,12,13 発泡合成樹脂材料
14 切削面
18 被塗装面
20 ボールエンドミル
30 加熱用冶具
40 発泡合成樹脂本体
41 目止め剤
42 穴埋め剤
43 下地剤
44 塗装剤
45 仕上げ剤
50 下地層
60 塗装層
特開2005−125736号公報
特開2010−236220号公報
本発明は、金型を使用することなく発泡合成樹脂で特定の形状を削りだす発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものであり、特に、発泡合成樹脂で特定の形状を削りだし、その表面を塗装してなる発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものである。
従来の一般的な発泡合成樹脂成型体の成型方法及び発泡合成樹脂成型体としては、ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた発泡ポリスチレンを使用し、その表面に塗料を塗布する方法がある。例えば、発泡ポリスチレンに木工ボンドを塗り、その木工ボンドが固まったとき、スプレーで塗装する方法がある。
また、水性ボンドに顔料を混ぜて、直接、発泡ポリスチレンに塗布する方法もある。そして、和紙を細かく粉砕し、粉体化したものに木工ボンドや和糊を混練して発泡ポリスチレンに貼り付け、それを水性塗料のネオカラーやポスターカラーで塗装する方法もある。更に、発泡ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う方法もある。
これらはいずれも発泡合成樹脂成型体に塗布した塗装の厚みが厚くなり、形式的な見栄えが良くても、実用的な使用に耐えるものがなかった。
一方、特許文献に酷似する技術を求めると、直接、発泡合成樹脂材を特定の形状に削りだす発泡合成樹脂の成型方法及びその成型体は存在していないが、発泡層付き内装品の技術を特許文献1で開示している。
即ち、特許文献1は発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品において、表皮材が熱可塑性であり、その表面形状が、表皮材を加温処理により軟化させ、その状態で基材に接着させる際に、表皮材用真空吸引型による真空吸引により賦形さている構成を有し、表皮材が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される技術である。これにより、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、その自由度が拡大され、基材表面に対して非相似形状に形成することができる。
発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品とすることにより、発泡層と表皮材との接着力を強くする技術が開示されている。しかし、特許文献1には、厚手の発泡層についてどのように適応できるかを開示するものはない。原理的には、発泡合成樹脂材を特定の形状に削り出して発泡合成樹脂を成形することは困難と思われる。
また、特許文献2は、発泡合成樹脂成型体よりなる芯材の一面に畳表が積層され、他面に機能化剤含有クッションシートが積層され、更に、前記クッションシートに滑り止め層が部分的に積層されることにより、薄くて軽量で、施工性に優れ、滑り難いという技術を開示している。
特開2005−125736号公報
特開2010−236220号公報
しかし、従来の一般的な発泡合成樹脂成型体は、例えば、量産しない製品のカバー、特殊な椅子の肘掛け、特殊車両或いは改造車のダッシュボード等に使用すると、機械的強度が足りないとか、塗料が塵のように剥がれ落ちて周辺を汚したりして、廉価に実用的なものはできなかった。勿論、発泡ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う技術は、機械的強度は上げることができるものの、弾性に欠き、また、高価であるという問題があった。
また、特許文献1及び特許文献2によって、発泡合成樹脂成型体とクッションシートとの接着力を強くすることは開示されている。ところが、形式的に試作品を形成する原材料として発泡性合成樹脂が使用されているものの、少量生産品にこの技術を使用するということは実現されていない。特に、例えば、発泡ポリスチレンのような発泡合成樹脂成型体は、脆く、表面を削って所定の形状に仕上げ、かつ、表面を見栄え良く平滑化することができなかった。
そして、発泡性合成樹脂にベントホールと呼ばれる穴が存在すると、当該ベントホールを穴埋めするには、残余の発泡性合成樹脂の厚みによって左右されるが熟練者でないと効率良く成型できない。また、ベントホールを穴埋めすると発泡合成樹脂成型体の重量バランスに微妙な違いが出て、使途によっては、その重量バランスの調整が必要な場合がでてくる。
そこで、本発明は、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工する切削処理工程と、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、例えば、300μm以下の無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)の球体を均一に分散してなる合成樹脂材料を塗布する前処理工程と、前記前処理工程で形成した被塗装面に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程を具備する。
ここで、上記発泡合成樹脂材料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂とすることができる。特に、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入する場合、自己の手によって特定の形状の発泡合成樹脂材料を形成する場合も含まれる。
また、上記切削処理工程は、ボールエンドミル等の回転切削冶具の使用に限定されるものではなく、人為的に操作する刃物を含み、工作機械が具有する刃物、特定の形状を得る研磨等を含む如何なる切削方法であってもよい。
そして、上記前処理工程は、前記基材となる発泡合成樹脂材料の被塗装面に平滑な塗膜を作り、前記後処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ及び/または塗料を含む合成樹脂材料を塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。但し、パテ、塗料を含む合成樹脂材料には、無機系球体または有機系球体を均一分散されているものの使用が前提である。
このとき使用するパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、下地剤は、前記パテ及び上塗り塗料、基材の種類によって決定される。特に、パテはビーズ欠損による凹面を緩和させる穴埋めに効果的である。
球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。中実なものとしては酸化チタン粉末がある。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも、或いは300μm以上の中位径のものでも、中実な球体であっても実施可能である。しかし、塗膜の厚みから、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。但し、中実な球体の場合には、軽量化の観点からは不向きである。何れにせよ、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、表面の凹凸をなくすことができる。
更に、上記後処理工程は、前記前処理工程で塗布した合成樹脂塗料との接着性をよくする合成樹脂塗料を塗布し、その上面に必要に応じて耐久性、例えば、耐候性、耐酸化性を付与する保護層となる仕上げ層を形成する塗料を塗布するものである。
更にまた、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料である基材は、同一材料を複数段に組み合わせたもの、特性の異なるものを組み合わせたもの、一体化した材料からなるもの等適宜材料を選択して設定できる。当該基材は処理の進行に応じた形状のものを重ね合わせてもよいし、最初から複数枚を一体化してもよい。
請求項2の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものである。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。また、重ね合わせの際に使用する形状も、原材料から目的の形状に近づけた仮形成したもの、最終目的の形状に形成した本形成したものの何れでもよい。
請求項3の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、更に、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させて研磨する表面処理工程を、前記切削処理工程の後で前処理工程の前に加えたものである。
ここで、上記表面処理工程は、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を面として硬化させるものである。このときの被塗装面は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもできる。また、合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもできる。なお、被塗装面の硬化(乾燥)速度からすると、溶剤性の合成樹脂材料が効率的である。
請求項4の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、回転する加熱用冶具によって摩擦熱による加熱を行って軟化させ、そして、熱可塑性樹脂の特性により硬化させるものである。
ここで、回転する加熱用冶具によって加熱を行うのは、同一冶具で切削及び加熱を行ってもよいし、複数個の冶具によって切削と加熱を別々に行ってもよい。勿論、先端の形状及び太さ、形状は使途によって適宜形成される。
請求項5の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、合成樹脂材料を塗布し、それを硬化させて塗布した合成樹脂材料の染み込み防止を行う目止め剤としたものである。
ここで、上記目止め剤とは合成樹脂材料の染み込み防止できる合成樹脂材料であればよく、自己の粘性で染み込みが防止され、基材の発泡合成樹脂材料との接着力が確保できるものであればよい。また、染み込みの防止とは、合成樹脂材料により染み込みが防止されるもののみを意味するものではなく、一旦、染み込みが生じた後、合成樹脂材料の硬化により、再度の染み込みができない合成樹脂材料も含むものである。特に、重ね塗りと研磨を繰り返し行うものでは、1回の塗布によって浸透が生じ難くなる合成樹脂材料も含まれるものである。
請求項6の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理工程を含むものである。
ここで、穴埋め処理工程の穴埋めとは、発泡条件の温度、圧力等の不均一のために部分的に欠損ができているもの、発泡成形時に圧縮したことが要因となり、外圧によりブリッジが形成され、一部に外力が行き届かなくなって欠損ができたもの等、発泡体ビーズの集合体で特定の形状に成型されるが、このとき、発泡時に欠損が存在したまま欠損を残して発泡した発泡合成樹脂材料の欠損箇所がベントホールになるので、その穴埋めをするものである。
請求項7の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の外径(中位径)を有するものである。
ここで、球体としての中空マイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーンのマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも実施可能である。しかし、塗膜の形成から、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。
請求項8の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体と、前記発泡合成樹脂本体の所望の塗装しようとする被塗装面とを具備し、無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が300μm以下の中位径の球体を均一に分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂本体の塗装しようとする前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく塗布したものである。
ここで、基材となる熱可塑性樹脂である発泡合成樹脂本体を所定の形状に形成し、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の何れであってもよい。本発明では、300μm以下の中位径の無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーンのマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも実施可能である。勿論、球体であれば、中実なものでも使用できる。
合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、表面の凹凸をなくすことができる直径以下のものが使用可能になる。
請求項9の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなり所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂材料本体と、無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が300μm以下の中位径の球体を均一に分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂材料本体の塗装しようとする被塗装面に塗布して表面処理層を平滑化した下地層を具備する。
このとき、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料本体の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、下地層の表面の凹凸をなくすことができる直径以下のものの使用が可能である。
ここで、上記発泡合成樹脂本体は基材となる熱可塑性材料の発泡合成樹脂材料からなるもので、目的の形状に形成されたものである。
また、上記表面処理層は、前記基材を切削して所定の形状に形成すると共に、その切削によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面に目止め処理によって染み込みを防止すべく表面を硬化させ、被塗装面の表面を研磨して平滑化させるものである。また、被塗装面の凹凸面を緩和させるべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、合成樹脂材料の平滑な面を形成すべく研磨するものである。ここで、被塗装面への塗布は合成樹脂材料でもよいし、合成樹脂塗料であってもよい。即ち、ここでは着色を問題にしないが、合成樹脂塗料の材料でも使用できることを意味する。
更に、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、中実球体、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等の何れであってもよい。
請求項10の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記基材となる発泡合成樹脂材料本体は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものである。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。
請求項11の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、更に、前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を形成したものである。
ここで下地層と塗装層とは、相性の良い合成樹脂材料であり互いに接着力があるものである。相性の良いとは、一体に混在するものに限らず、容易に分離しない程度の接着力を有するものも含まれる。
請求項12の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、300μm以下の中位径を有するものである。
ここで、球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の範囲の中位径を有する球体は、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも、或いは300μm以上の中位径のものでも実施可能である。しかし、塗膜の厚みを100〜300μm以下に形成する場合には、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。
請求項1の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削して、前処理工程で無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布することにより、例えば、前記球体によりビーズラインを球体が挟みこんだり、発泡穴に球体が入り込んだり、発泡穴に球体が入り込むことでその境界に樹脂成分が行き渡り、また、その凹凸面を球体が補充し、その間を樹脂成分が繋ぐから、全体的に目立たなくなる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン、発泡穴、その凹凸が目立たなくなったところで、前記前処理工程で形成した面に後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
特に、発泡合成樹脂材料としてポリウレタン(PUR)を使用した場合には、ビーズライン、ベントホールが生じないから、全体の凹凸のみが目立たなくすればよい。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。
そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程及び前処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。そして、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
更に、前処理工程では、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体が、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であり、かつ、前記球体の周りを樹脂成分が接合状態になるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
請求項2の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
特に、例えば、前記発泡合成樹脂材料として比重の高い見栄えの良い材料を表面側とし、内側を比重の低い材料で形成できるから、見栄えと感触を良好とすることができる。また、その時の比重も任意に設定できる。そして、重ね合わせの際に切削前の発泡合成樹脂材料に限られるものではなく、切削加工した発泡合成樹脂材料を重ね合わせてもよい。
請求項3の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、更に、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させて研磨する表面処理工程を、前記切削処理工程の後で前処理工程の前に加えたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を硬化させることができ、その被塗装面の上面に形成する層との接合力を強くすることができる。
この表面処理工程は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもでき、用途によって決定すればよい。この表面処理工程は合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもでき、任意にその工程の具体的内容を決定できる。
請求項4の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で加熱を含めたものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料は、加熱用冶具によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
請求項5の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、合成樹脂材料の塗布による目止め処理を含めたものであるから、請求項3または請求項4に記載の効果に加えて、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面が得られる。特に、先に、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
請求項6の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行うものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、合成樹脂材料によるベントホール等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
請求項7の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の中位径を有するものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴を埋めしたりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
請求項8の発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなる発泡合成樹脂本体の形状を所定の形状に形成すると共に、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる発泡合成樹脂材料本体を塗布及び研磨した平滑面を形成したものである。
したがって、発泡合成樹脂材料本体を特定の形状に切削し、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布することにより、発泡合成樹脂材料本体の発泡体のビーズライン及びその凹凸、発泡穴を目立たなく加工できるものである。しかも、前記切削面のビーズライン及びその凹凸からなる面、発泡穴の凹凸を緩和させ、発泡合成樹脂材料の発泡体の凹凸が目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布できる。
なお、ビーズ状の発泡体以外の直接発泡させた発泡体では、ビーズライン、ベントホールが有しない発泡合成樹脂材料本体がある。この種の発泡合成樹脂材料本体では、その処理に対する工程を省略できる。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
更に、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑に目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料本体を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
請求項9の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体と、無機系球体または有機系球体を均一分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂材料本体の塗装しようとする前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく塗布して前記被塗装面を平滑化した下地層としたものである。
したがって、発泡合成樹脂材料本体を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂材料本体の発泡体の凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面の凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料本体の発泡体のビーズライン及びその凹凸、発泡穴に球体が落ち込んだりして目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂材料本体の発泡体のビーズライン、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
このとき、例えば、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴の中に入り込んだりして目立たなくすることができ、かつ、連結した中空バルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂材料本体となる。
このように、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする前記被塗装面を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させて研磨できる平滑な面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くする必要はない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
請求項10の発泡合成樹脂成型体の前記発泡合成樹脂材料本体は、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなるものであるから、請求項8または請求項9に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
特に、例えば、前記発泡合成樹脂材料として比重の高い見栄えの良い材料を表面側とし、内側を比重の低い材料で形成できるから、見栄えと感触を良好とすることができる。また、その時の比重も任意に設定できる。
請求項11の発泡合成樹脂成型体には、更に、前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を形成したものであるから、請求項9に記載の効果に加えて、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面層を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
請求項12の発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の中位径を有するものであるから、請求項8乃至請求項11の何れか1つに記載の効果に加えて、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、乾燥後研磨するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
図1は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法を示す工程のフローチャートである。
図2は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の実施例1を示す工程のフローチャートである。
図3は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の実施例2を示す工程のフローチャートである。
図4は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料を積層接着した状態の説明図である。
図5は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の積層した発泡合成樹脂材料の切削処理工程の説明図で、(a)は切削中の説明図、(b)は切削工具を示す説明図である。
図6は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外表面を切削する切削処理工程の説明図である。
図7は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の塗装表面を加熱する表面処理工程で使用する加熱用冶具で、(a)は単一径の加熱用冶具、(b)は2段径の加熱用冶具、(c)は3段径の加熱用冶具の斜視図である。
図8は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図9は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図10は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側底面の表面処理工程の説明図である。
図11は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側側面の表面処理工程の説明図である。
図12は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の層構成を説明する説明図である。
図13は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図13(a)は切削加工直後の断面拡大説明図、図13(b)は加熱用冶具による処理工程後の断面拡大説明図、図13(c)は目止め処理工程後の断面拡大説明図、図13(d)は穴埋め処理工程後の断面拡大説明図である。
図14は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図14(a)は下地処理工程後の断面拡大説明図、図14(b)は上塗り処理工程後の断面拡大説明図、図14(c)は仕上げ処理工程後の断面拡大説明図、図14(d)は穴埋めを先行させた事例の断面拡大説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、図1乃至図14を用いて、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体及びその製造方法について、全体の概略説明を行う。
図1に示すように、ステップS1の基材Aと基材Bの接合処理工程では、基材Aとしてポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)を使用し、また、比重及び発泡特性が異なる意匠面を形成する基材Bとしてウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)を使用し、それらを図4のように3層にした。
ここでは、基材Aとなるポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)の比重が0.9〜0.96程度であり、基材Bとしてのウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)の比重が1.1〜1.5程度であるから、その使用料を少なくしている。
また、均一な発泡体となるウレタンは、ポリイソシアネートとポリオールとを、アミン化合物等の触媒、発泡剤、シリコーンオイル等の整泡剤と混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行うものであり、製造する場合にも自由度が高いが、比重が高いので、他のポリエチレンやポリプロピレンと同時に使用することにより、全体の重量を軽くすることができる。また、その重量を所定の範囲内にすることもできる。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料10(11,12,13;以下、複数枚を特定しないときには、単に『10』という)は、市販の発泡合成樹脂材料10を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料10を発泡形成する場合の何れであってもよい。
ステップS2の切削処理工程で目的物の基材Aの発泡合成樹脂材料12,13、基材Bの発泡合成樹脂材料11となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工する。このとき、発泡合成樹脂材料10の全体を特定の形状に切削加工するものばかりでなく、内部のみの切削加工または外部のみの切削加工もあり得る。このとき使用する切削工具は、手動冶具を含む機械装置が使用可能であり、何ら切削加工において切削方法が限定されるものではない。
ステップS3の冶具による処理工程では、ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面及びその切削面14を含みこれから塗装しようとする基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18(図5、図12参照)を加熱用冶具30の摩擦熱で硬化させている。ステップS3の冶具による処理工程における発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の硬化は、切削工程が終了した発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に対して加熱用冶具30を回転させ、その回転している加熱用冶具30が軽く被塗装面18に当たることによって生じる摩擦熱によって得ている。
このとき、ステップS2の切削処理工程によって、加熱用冶具30と接触する面に発生する摩擦熱は、後述する図13(a)に示すように、被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に単数または複数が毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結されて粒子化した粒子X、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体W、随所に存在するφ2〜10mm程度のベントホールZ(図13参照)を強行に分離したり、または軟化させて加熱用冶具30で押圧して発泡合成樹脂材料10に一体化させたり、また、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた発泡合成樹脂材料10の部分的な個所の除去を行ったり、それを軟化させて加熱用冶具30の押圧力で発泡合成樹脂材料10と一体化したりする。そして、起立するビーズラインを軟化させ押圧して平滑化し、また、そのビーズの凹凸を少なくし、かつ、ベントホールZの周囲を硬くする。
なお、ビーズ状発泡体による発泡以外の直接発泡させる発泡合成樹脂材料10では、ビーズライン、ベントホールが生じないものがある。しかし、その扱いはビーズライン、ベントホールが生じている発泡合成樹脂材料10と同じであり、当該処理工程をスキップできるだけである。
ステップS3の冶具による処理工程では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、毛羽立ち及び粉体化を防止してなる平滑化した面を形成しているが、本発明を実施する場合、レーザ光のスキャンにより、または熱盤により、発泡合成樹脂材料10の表面が熱可塑性樹脂として軟化し、結果的に、硬く形成されればよい。
なお、本発明で説明する平滑化とは、「平滑」が「平らで、なめらかなこと」を意味するが、広い範囲の「平ら」を意味するものではなく、「例えば、コーナー部分の面取りした角度変化においても、急激な凹凸変化がないこと」程度の部分的な平坦を意味する。
また、ステップS3の冶具による処理工程は物理的に表面を硬化させたものであるが、化学的に目止め処理工程として行うこともできる。
例えば、ステップS4の目止め処理工程は、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる合成樹脂材料を図12に示す目止め剤41とし、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布している。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止し、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨自在にし、精度の良い表面形状を得るものである。ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるという意味で、ステップS3及びステップS4の両者は物理的、化学的な違いがあるものの、実質的に同じ表面処理を行うものである。発泡合成樹脂材料10の材質によっては、何れか一方のみの選択も可能であるが、商品の耐久性を考慮すると、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程からなる表面処理工程を採用する方が良い。
本発明を実施する場合には、ステップS3の冶具による処理工程とステップS4の目止め処理工程の両者を実施する表面処理工程は、接合強度を高め、見栄えを良くする意味からすると両工程からなる表面処理工程を実施するのが望ましい。しかし、ステップS3の冶具による処理工程またはステップS4の目止め処理工程の一方のみとすることもできる。
また、本発明のように、1〜300μmまでの範囲の中位径を有する無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及びその乾燥後に研磨する下地処理工程を有するものでは、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン間にある合成樹脂材料が、糸状に伸びて毛羽立っている糸W、糸状部が丸まって形成されて粒子化した粒子Xを巻き込み、それを無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sと一体化するから、本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の用途によっては、ステップS3及びステップS4を省略することもできる。
ステップS5の下地処理工程は、基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程である。ここで基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の凹凸面とは、ビーズ発泡させる場合には、発泡体のビーズライン及びφ2〜10mm程度のベントホールZ、糸状に伸びて毛羽立っている糸W、糸状部が丸まって形成されて粒子化した粒子Xを巻き込み、その他の凹凸面があり、均一な発泡体となるウレタンでは、凹凸面が主になります。
なお、この実施の形態では、基材A,Bの区別なくビーズライン及びベントホール、その凹凸として取り扱う。
ステップS5の下地処理工程では、一般には、高弾性で膨張に耐えるドリームコート(関西ペイント(株)製造)を下地剤43として使用している。ドリームコートは、主成分として、二酸化チタン5〜10Wt%、ホワイトスピリット(ミネラルスピリット)1〜5Wt%、エチレングリコール1〜5Wt%、デューロン0.1〜1Wt%を配合したものである。この下地剤43において、二酸化チタンは1〜10μmの粒径を有しているが、光触媒として配合しているものではなく、中実の球体として使用しているものである。また、二酸化チタン5〜10Wt%に代えて中位径5μmのシリカ中空バルーンを配合した。
このとき、二酸化チタンに代えてシリカ中空バルーンの代替が有効であることが確認された。二酸化チタンとシリカ中空バルーンは、化学的に何ら作用をなさないものであるから、無機系中空バルーンと有機系中空バルーンとの使用が確認された。
また、粒子径は、球体Sの連続繋がりによる機械的強度の上昇、球体Sの機械的強度が所定以上あれば、使用が発泡体環境であるから問題にならないことも確認された。それと同時に消去しようとするビーズライン及びベントホール、その凹凸の大きさから1〜300μmの範囲であれば、良好に機能することが確認された。
勿論、ナノバルーンでは実現しないものではなく、高価になり、かつ、塗り重ねが1層分から2層分負荷されるので、1〜300μmの中位径のものの使用が望ましい。またその量は二酸化チタン5〜10Wt%であったが、比重が軽いので、その個数以上の混入になるが、問題はなかった。
発泡合成樹脂材料10にベントホールZが生じている場合には、その対策として、アクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする高弾性で膨張に耐えるロハスコート((株)OKUTA製造)を穴埋め剤42として使用した。ここにおいても、アクリル中空ビーズは有機系マイクロバルーンに代えて使用するものである。因みに、アクリル中空ビーズは30〜100μmの中位径を有するものである。勿論、アクリル中空ビーズは30〜100μmの中位径のシリカ中空バルーンに代えることができた。
なお、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、中位径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。定義的には、平均粒子径と中位径で粒子群のサイズを表現されるが、ここでは、商品説明の表示、レーザ回折・散乱法によって測定した値である。
そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。
なお、上記数値は、厳格なものでなく概ねであり、当然、測定等による誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。この誤差の観点から見ると、平均粒子径との差も僅少であり、平均粒子径≒中位径であり、平均粒子径=中位径と見做すこともできる。
順序としては、ステップS5の下地処理工程で、まず、穴埋め処理を先行させるのが好適である。即ち、下地処理工程では、二酸化チタン、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンを配合した下地剤43をヘラ塗りで2〜3回塗布し、表面を確認しながらその状態でベントホールZの穴埋めがし難いときには、アクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする穴埋め剤42を塗り、各回30分程度の乾燥の後、研磨を行い、重ね塗りを進行させる。
即ち、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、ステップS5の下地処理工程内で、下地剤43を塗り、その窪みの大きさに応じて、穴埋め剤42で穴埋めし、そして、下地塗り、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
したがって、図1の本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の流れ図においては、ステップS5の下地処理工程内で穴埋め処理工程を同時に行うこともあり得るし、ステップS5で穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。また、その前後を逆にする場合もある。
何れにせよ、ステップS5の下地処理工程は、下地処理工程として穴埋め処理を含むものであり、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理する。
なお、このステップS5の下地処理工程は、穴埋め処理工程を含む下地処理工程であり、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程も下地処理工程の前段階の表面処理工程であり、塗装の載りを良くするものであるから、これらステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程及びステップS5の下地処理工程を含めて前処理工程と呼ぶこととする。
なお、この下地処理工程までで形成された層を下地層50といい、前処理工程で形成された層に相当する。
次に、ステップS5の前処理工程の下地処理工程の後に、ステップS6で塗装処理工程を施している。ステップS6の塗装処理工程では、ステップS3からステップS5の前処理工程で形成した被塗装面18に、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する工程である。ステップS6の塗装処理工程で使用する塗装剤44は、主剤1に対して、硬化剤0.6、シンナー1.2の配合で混合した高弾性で膨張に耐える塗装剤であり、下地剤43との相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。なお、樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
塗装剤44として主剤は、(株)富士塗料工業所製のエラスティックコートUN−500を使用した。UB−1200は、ポリエステルポリオール30〜40Wt%、酸化チタン10〜20Wt%、アクリル樹脂1〜5Wt%、変性セルロース1〜5Wt%、酢酸エチル10〜20Wt%、キシレン10.8Wt%、トルエン5.3Wt%、酢酸ノルマループチル1〜5Wt%、メチルイソブチルケトン1〜5、エチルベンゼン3.0Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%を主成分とする配合である。
硬化剤としては、(株)富士塗料工業所製のUB−1200を使用した。UB−1200は、イソシアネートプレポリマー70〜80Wt%、ヘキサメチレン=ジイソシアネート0.5Wt%、トルエン20Wt%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5〜10Wt%を主成分とする配合である。
そして、シンナーは、(株)富士塗料工業所製のマイステルシンナーTM−5510を使用した。その主成分は、t一ブタノール20〜30Wt%、ジアセトンアルコール20〜30Wt%、メチルイソブチルケトン10〜20Wt%、メチルエチルケトン10〜20Wt%、酢酸イソブチル5〜10Wt%、キシレン3.9Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、エチルベンゼン0.63Wt%の配合である。
このステップS6の塗装処理工程は、塗膜を形成することによって、耐久性、例えば、耐候性、耐酸性を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、発泡合成樹脂成型体を塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
勿論、塗料としては、着色した顔料の入った塗料に限らず、透明な紫外線をカットする塗料とすることもできる。
なお、塗装剤44を塗布した層を塗装層60という。
更に、図1の本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法並びに図12及び図13の発泡合成樹脂成型体について詳述する。
発泡合成樹脂材料10は、発泡させた熱可塑性樹脂であり、主な合成樹脂原料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等も発泡化して用いることができる。しかし、発泡合成樹脂材料10の切削面14を加熱することにより硬化させることを前提とすると、80〜200℃の範囲内の温度で変形する合成樹脂材料の使用が望ましい。また、本発明を実施する場合には、発泡率を問うものではないが、使途によっては硬く仕上げるために或いは軽量化するために発泡率の制限、比重の制限を受けるものもある。
なお、本実施例の発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)としては、ポリエチレン(C2H4)n及びポリプロピレン(C3H6)nについては、発泡から特定のブロックを形成したもの、規格製品を積層したものの何れも実験し、両者が使用できることを確認した。
具体的には、直径1mm程度の細粒状ポリエチレンであるポリエチレンビーズに炭化水素ガスを吸収させ、これに100℃以上の高温蒸気を通して樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させると、発泡したビーズ相互は融着し合い、冷却時にビーズ単位の変形された形状となって発泡ポリエチレンとなる。
発明者らは、図4に示すように、市販されている3枚の特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された基材Aとしてポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13を使用し、また、基材Bとしてウレタンからなる発泡合成樹脂材料11を使用した。ポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13は、各規格化サイズが単体で発泡成形されており、表面の発泡密度が高いスキン層となっている。そのベントホールZはφ2〜10mm程度の材料である。本実施例で50mmよりも厚い製品を得るには、規格化された発泡合成樹脂材料12,13の表面がスキン層となっているから、その両面の接着面にゴム系の接着剤を塗布して積層接着した。
なお、基材Bとしてウレタンからなる発泡合成樹脂材料11は、全体が略均一に発泡し、ており、ベントホールZは殆ど発生していない。しかし、比重がポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13よりも大きいので、発泡の際に無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空体で軽量化して使用してもよい。
ゴム系の接着剤15としては、ゴム糊である市販のボンドGU38(コニシ(株))を接着する両面に薄く塗り、そして乾燥させ、接着面を対向させて圧縮し接着した。ボンドGU38は、主成分がシクロヘキサン30〜40Wt%、アセトン20〜30Wt%、メチルシクロヘキサン10〜20Wt%、酢酸エチル5〜10Wt%、ロジン1Wt%として配合されたクロロプレンゴム系溶剤型接着剤である。また、東亜合成(株)のエバーグリップ1474SM−5、エバーグリップ1423のクロロプレンゴム系接着剤も使用できることを確認した。ここで、接着剤15の厚みは、その存在が視認できない程度に可能な限り薄くし、接着機能のみが維持できればよい。なお、ここで使用するゴム糊は、基材としての発泡合成樹脂材料11,12,13と同じポリエチレンからなる接着剤15も使用できる。
勿論、発泡合成樹脂材料してのポリエチレン12,13とウレタン11は、ゴム系の接着剤15とは性質が異なるが、ゴム系の接着剤15をこの接着に使用するのは100μm以下の厚みにすることができ、結果的に製品の加工には支障がなかったことから使用した。発明者らは、加熱した熱盤によって発泡合成樹脂材料11,12,13の両接着面を接触させ瞬間的に加熱し、その熔融面によって接着を行ったが、熟練を必要とするものの、良好な接着が可能であることを確認した。また、発泡合成樹脂材料10と同系統のポリエチレン系、ウレタン系の接着剤を使用することもできる。そして、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の両接着面を加熱してもよい。何れにせよ、発泡合成樹脂材料10の表面が溶けて硬くなる体積が殆ど無視できる程度、即ち、溶融も含めて300μm以下、望ましくは、100μm程度以下の接着面厚さであればよい。勿論、発泡合成樹脂材料10と同じ系統の接着剤とすることもできる。
発明者らは、粘り気のあるポリエチレン、ウレタンの材料を特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13として使用するために積層し、単位面積当たり0.5〜10t以上の圧力によって押圧して一体に接着した。本発明を実施する場合に、必要な厚みのものが市販されておれば、積層化する必要はない。また、ウレタンは最終成形品の形態として部分的に形成することもできる。
なお、この積層する際の接着に要する押圧力は、発泡体の発泡率によっても、基材の発泡材料によっても変化するから、一義的に決定されるものではない。
このように、本発明の実施物における発泡合成樹脂材料10としては、1枚または複数枚積層して用いてもよい。勿論、本発明の実施物における直接基材となる発泡合成樹脂材料10は、任意の概略形状に発泡させてもよい。
基材の発泡合成樹脂材料10を複数枚で形成するのは、所定の厚みに満たないので、その厚みを出すために積層する場合、比重の大きい材料で作成すると好ましい形状が得られても既定の重量をオーバーしてしまうので、比重の小さい材料とコンビで使用する場合、細かな配慮として、複数枚の発泡合成樹脂材料10の特性を徐々に変化させて微妙な使用感を醸し出す場合等に好適である。
これらの発泡合成樹脂材料10を削り出すには、図5に示すように、切削加工に用いる工具(切削工具)であるボールエンドミル20を使用した。ボールエンドミル20は、フライスの一種であるドリルに似た外観を有している。ドリルは軸方向に進行し、円形の穴を空けるのに使用されるが、ボールエンドミル20は、側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられる。また、端面を平滑に仕上げる際にも用いられる。中心部の切れ刃が不完全であるため、端部を弧状に形成することにより、端面を平滑に仕上げることができる。ボールエンドミル20の回転数5000〜15000rpm及び送り速度500〜3000mmで処理している。通常は回転数10000rpm、及び送り速度2000mm程度である。
本発明の実施の形態では、通常の切削加工するボールエンドミル20によって、全体の概観形態を削り出している。その後、ボールエンドミル20によって全体の概観形態を削り出した面は、削り屑の一部が外力によって分離してボロボロの状態であったり、部分的に毛のように繋がっていたり、凹凸が発生していたりしている。
そこで、一般にボールエンドミル20は、図5の(a)及び(b)に示すように、側面の刃21で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられるが、本発明の実施の形態で使用するボールエンドミル20もそれに相違するものではない。その最下端から側面の刃21までは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))加工が施されており、切削された発泡合成樹脂材料10、その切削屑が付着しないようにしている。
しかし、下端が若干下に凸状に湾曲させた端部22を有する刃物は、ボールエンドミル20の回転によって摩擦熱が発生し、表面を摩擦熱で平滑にする機能がある。表面を摩擦熱で平滑にするとは、発泡合成樹脂材料10の表面に付着した刃21で完全に切断されていない微粒の分離または軟化した微粒の押圧による平滑化、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた部位の除去または押圧による平滑化、起立するビーズラインを軟化させ押圧してなる平滑化等により、凹凸が少なくなっている。
図6のボールエンドミル20は、発泡合成樹脂材料10に形成した内側の切削面14に対して、外側を切削する状態を示すものである。
即ち、ボールエンドミル20と発泡合成樹脂材料10の接触角度並びに移動距離及び移動角度等によって発泡合成樹脂成型体の外径形状を削り出すことができる。この技術は一般的な切削加工の技術であるから、詳細な説明を省略する。
図7の加熱用冶具30は、市販のボールエンドミル20によって切削加工した後に、専用の先端を弧状とした面を有する摩擦面31によって、発泡合成樹脂材料10に形成した切削面14を摩擦によって加熱する冶具である。図7(a)乃至(c)は、異なった種類の加熱用冶具30の斜視図を示すものである。(a)は単一径の加熱用冶具30であり、(b)は2段径の加熱用冶具30であり、(c)は3段径の加熱用冶具30の斜視図である。
即ち、加熱用冶具30の太さの下端が任意の曲面からなる摩擦面31となっており、発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を含み塗装しようとする基材の被塗装面を摩擦熱で加熱し、温度上昇によって軟化させて、発泡合成樹脂材料10の切削面14に平滑面を形成する。これは、平滑面で説明したが、下に凸面及び/または下に凹面を形成する場合も同様に加工できる。
例えば、下に凸面の狭い凹部溝16を有する切削面14を形成する場合には、切削面14を加熱する加熱用冶具30の太さを図6の(b)に示すようにし、全体的または部分的に細くする摩擦面32を形成する必要がある。勿論、必要に応じてテーパー面とすることもできる。この加熱用冶具30は、図10に示す凹部溝16の加工等に好適となる。
図7(b)に示す加熱用冶具30は、直径を2段としているが、3段以上とすることも、図7(a)に示すように、単一の太さとすることもできる。
図11に示す側面に形成した凹状溝17を摩擦し、内面側の切削面14に加熱面を形成するには、その内側湾曲部に下側環状部分33を、凹状溝17に上側環状部分35を必要な間隔を維持し、連結部34を取付部37に連結部36を介して形成した加熱用冶具30の使用が、同時に摩擦加熱することができる。この加熱用冶具30は、何れも摩擦熱を発生させる位置は、フッ素樹脂のコーティングがなされており、加熱用冶具30に軟化した樹脂が付着しないようにしている。
なお、本発明を実施する場合の加熱用冶具30は、図7に示すように、各種の形状とすることができるが、通常、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14は内側にあり、露出面になる確率は低い。発泡合成樹脂材料10の外面が意匠面となり、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14側は機器等を収容する場合が多い。当然ながら、そのような使用状態に一義的に決定されるものではないが、確率的に高いものである。
なお、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10をボールエンドミル20等の刃物で特定の形状に切削加工する工程を、本実施の形態ではステップS2の切削処理工程という。また、それによって形成された面は加熱用冶具30によって物理化学的に硬化された硬化層の面となる。但し、加熱用冶具30による硬化層は、一般的に数10μmから100μm以下の層であり、連続的に変化しているから通常は面と認識されるに過ぎない。
本実施の形態における実施物からの加熱用冶具30による硬化層の確認では、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着してないこと、糸状に伸びた部位が存在してないことにより、ステップS2の冶具による処理工程がなされているか否かが確認される。
本実施の形態では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着しているか、糸状に伸びて部分的に毛羽立っているか、粉体化した面を有しているかの場合には、それらを物理化学的に平滑化することができる。しかし、本発明を実施する場合には、加熱用冶具30の摩擦に代えて、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の表面を軟化させ、平面的に薄く、硬く形成したものであっても同様の効果が得られた。
切削によって生じた切削面14を加熱した後に、前記切削、加熱で形成した切削加熱面に凹凸面を緩和させるステップS4で目止め剤41としての合成樹脂材料を塗布する。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるもので、発泡合成樹脂材料10の表面にトルエン28Wt%、セルロースアセテートブチリート(CAB)15〜20Wt%、酢酸ブチル55〜60Wt%からなる混合物の目止め剤41を5〜10回塗布し、この合成樹脂材料からなる目止め剤41の塗布により発泡合成樹脂材料10のビーズの発泡の際に生ずる微細孔に対する染み込みを防止させている。しかし、気泡等の存在で1回の塗布で完全な目止めが完了しない場合には、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等の研磨と塗布とを繰り返し行うことになる。
発明者らは、トルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる混合物以外の合成樹脂材料も目止め剤41として使用できるかを試験した。結果、発泡合成樹脂材料10の表面に接着するものであり、粘度が適当に高いもので、乾燥によって剥がれない合成樹脂材料であれば、使用に耐えることが確認された。即ち、目止め剤41は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止する平滑な合成樹脂膜を作るものであり、その種類は水性目止め剤、油性目止め剤、合成樹脂目止め剤等が使用でき、特に、発泡合成樹脂材料10との接着が維持できれば、いずれでも使用が可能である。また、塗料でも使用可能であるが、価格的に不経済となることを無視すれば使用可能である。
目止め剤41は、1〜12回塗布されるが、その間に塗布し、硬化した層は、研磨による磨きを入れ、研磨ができ難くなったとき、再度の塗布を行い、その繰り返しを行う。この工程をステップS4の目止め処理工程という。この目止め剤41は研磨が可能になるように、表面をサンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨し、最初は100番程度から徐々に細かいものに変化させて研磨している。
研磨による磨きの効果が生じ難くなったとき、ステップS4の目止め処理工程から次のステップS5の下地処理工程に移行する。
なお、この目止め剤41に中空バルーンを均一分散して混合したが、隙間の間隔に応じて樹脂成分が浸透する箇所と、中空バルーンが浸透する箇所ができ、機械的強度を上げることができる。
本実施の形態で説明した加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるステップS3の冶具による処理工程は、ステップS4の目止め処理工程が合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するという機能を有し、ステップS3の冶具による処理工程においても、摩擦加熱及び押圧により、発泡合成樹脂材料10の表面密度を上げる機能を有しているから、両工程の基本的機能として同一の効果がある。したがって、何れか一方または後の処理によっては両方の工程を省略することもできる。また、両者を使用することもできる。そして、目止め剤41に中空バルーンを均一分散して混合したときには、発泡ビーズ間の隙間に応じて樹脂成分が浸透するから、後述する下地剤43の粘度を低下すれば、その樹脂成分が浸透し、中空バルーンがそれらを覆うことから、両者を省略することもできる。
次に、ステップS5の下地処理工程では、実用化の前段階で二酸化チタン、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンを配合した下地剤43を使用した。発明者らは、二酸化チタンが着色及びバルーンとしての機能を有するものとして3Mグラスバブルズ(住友スリーエム(株)製造)の中位径15〜135μm、または、有機・無機ハイブリッドフィラーのExpancel(日本フィライト(株)製造)で10〜90μmの中位径の粒子を補充し、特性の変化を調べたが特性に変化はなかった。
そこで、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンに中空バルーンを配合した下地剤43を作成し、それを塗布し、研磨したが、実用に耐えることが確認された。
また、穴埋め剤42としてアクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする材料を使用したが、ステップS6の塗装処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ、塗料を含む合成樹脂材料にバルーンを入れて塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。但し、パテ、塗料を含む合成樹脂材料には、無機系バルーンまたは有機系バルーンを均一分散されているものの使用が前提となる。このとき使用できるパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、塗装剤44の塗料は、前記パテ及び塗装処理工程における塗装剤44の種類によって決定される。
通常、発泡合成樹脂材料にベントホールが存在すると、それに対して無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンを均一分散されたパテをヘラで塗って、表面を面一とする。このとき使用するバルーンは、中位径が300μmより大きいものであると、発泡合成樹脂材料の細部に浸透し難く、また、塗り上げの厚みも下地剤43が300μm以下であるから、それ以下のバルーンの混入が好ましい。更に、好ましくは、100μm以下が望ましい。
しかし、発明者らは1μm以下のナノバルーンについても実験を行ったが、ナノバルーンでも同様の効果があることが確認された。しかし、ナノバルーンを使用すると高価となるから、商品化の観点からすると1〜300μmのマイクロバルーンの選択が望ましい。
この目止め剤41を塗布し、研磨した表面に複数回下地剤43を塗布し、そして、研磨する。塗布の仕方は、ヘラ塗りであっても、スプレーガンで噴霧してもよい。このとき、噴霧する下地剤43の粘度は、エチレングリコールの量によって調整される。
また、この下地剤43を塗布した後、下地剤43で形成した面を平滑にサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨し、複数回の塗布とその研磨を繰り返している。ここではサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨すると説明したが、水研ぎ等の他の研ぎ方を採用してもよい。
ここでは、ステップS5の下地処理工程で発泡合成樹脂材料10の被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させ平滑とすべく処理する。即ち、通常、ビーズライン及びその凹凸面のみではなく、φ2〜10mm程度のベントホールが存在する。φ2〜10mm程度のベントホール及び前の工程で除去できなかったビーズライン及びその凹凸面は、穴埋め処理で除去することになる。
ステップS5の下地処理工程では、下地剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑にする。同時に、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてバルーン入りのポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下地処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤23でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
この実施例では、ステップS5の下地処理工程で穴埋め処理が行われているが、分離して行うこともあり得るし、均一な発泡体となり得るウレタンの場合には、ステップS5で穴埋め処理を行わない場合もあり得る。何れにせよ、ステップS5の下地処理工程での穴埋め処理は、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理できればよい。このベントホールZ等の穴埋め処理を含めて、ベントホールZ及びビーズライン及びその凹凸面を見えなく処理する工程は、ステップS5の下地処理工程を構成している。
ステップS5の下地処理工程に穴埋め処理を組み入れる事例で説明したが、本発明を実施する場合には、その程度によってはステップS4の目止め処理工程の直前または直後に行うこともできる。勿論、ベントホールZが生じていないものでは、穴埋め処理を省略できる。
即ち、ステップS5の下地処理工程は、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程に依存するものであり、発泡合成樹脂材料10の塗装の前準備であるから、これにより前処理工程を構成している。
次に、ステップS3乃至ステップS5からなる前処理工程によって形成した下地剤43を塗布した上を研磨し、それを複数回繰り返した後、ステップS6の塗装処理工程としての塗装剤44を塗布する。
塗装処理工程で使用する塗装剤44は、主剤1に対して、硬化剤0.6、シンナー1.2の配合で混合した塗料であり、下地剤43との相性が良く、両者間の接着力が確保されるものである。なお、樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
更に、ステップS6の塗装処理工程で塗布した塗装剤44の上面を研磨し、その塗布と研磨を複数回繰り返す。ここでは、ステップS5の下地処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料の樹脂塗料を塗布する塗装処理工程となる。
この実施例では、樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトとし、何色でもそこに上塗りできるようにした。即ち、この時点で他の構成部品と同一の塗装を行う場合には、他の部品と同一の塗装処理工程に入る。
前述したように、ステップS6の塗装処理工程で何色にも塗装できるようにしているが、更に、表面に塗膜を形成し、耐久性の塗料を塗布する仕上げ塗装処理を追加することができる。この仕上げ塗装処理工程では、例えば、仕上げ剤45として、硬化剤0.4Wt%に対して樹脂塗料1Wt%、シンナー0.8Wt%の配合とした塗料を塗布することができる。
実施例で使用した仕上げ剤45としては、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤であるレタンPGエコスポイラー用マルチ硬化剤(関西ペイント)を使用した。その成分は、酢酸エチル5〜10Wt%、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR0.1〜1Wt%、ヘキサメチレンジイノシアネート・オリゴマー5〜10Wt%、HMDI系ポリイソシアネート165〜70Wt%である。
また、樹脂塗料として、レタンPG80 531ホワイト ベース(関西ペイント)を使用した。その成分は、非結晶性シリカA1〜5Wt%、二酸化チタン20〜25Wt%、トルエン36Wt%、キシレン0.1〜1Wt%、エチルベンゼン0.1〜1Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、メチルエチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル1〜5Wt%、酢酸イソブチル1〜5Wt%である。
そして、シンナーとして、レタンPGシンナー超遅乾形(関西ペイント)を使用した。その成分は、石油ナフサG15〜20Wt%、石油ナフサH1〜5Wt%、キシレン20Wt%、エチルベンゼン18Wt%、クメン0.1〜1Wt%、1,3,5−トリメチルベンゼン3Wt%、ナフタレン0.1〜1Wt%、1,2,4−トリメチルベンゼン9.8Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、酢酸ブチル1〜5Wt%である。
ここで使用する仕上げ塗装処理層は、最表面に塗膜を形成することによって、耐久性、即ち、耐候性、耐酸性等を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて必要に応じ、同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
次に、図12及び図13、図14を用いて、発泡合成樹脂成型体の製造過程の切削処理工程及び下地処理工程について詳述する。
図12乃至図14に示すように、ステップS2の切削処理工程で熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工し、発泡合成樹脂本体40(10)を形成する。詳しくは、図13(a)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結された粒子化した粒子X等を有している。また、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体Wが付着している。また、随所にベントホールZが存在している。
それに対して、ステップS3による冶具による処理工程を経たものでは、図13(a)に示した刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸Wは、図13(b)に示したように、摩擦熱を受けその表面張力により、容積が最小になる。また、図13(a)に示した糸状部が丸まって連結された粒子Xと同様、摩擦熱で平滑化したり、粉体粒子となったりして離れて除去される。このとき、ベントホールZについては、開口を糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W及び粉体粒子として離れて除去された粒子Xによって若干狭められる程度であり、大きな変化はない。
ステップS4の目止め処理工程では、目止め剤41を発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18に塗布している。この合成樹脂材料の目止め剤41は、発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止して、その研磨を自在にし、図13(b)のように、精度の良い表面形状を得るものである。このとき、被塗装面18のビーズラインの図示しない浅い凹面は目止め剤41によって充填されることになる。通常、被塗装面18の発泡ビーズの凹面は、図13(c)のように、発泡ビーズの大きさに略対応し、下地剤43の無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体である中空バルーンSによってその充填数が特定される。
ステップS5の下地処理工程は、図13(c)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を中空バルーンSで緩和させ平滑な面とすべく合成樹脂材料と共に塗布する。通常、発泡合成樹脂材料10には、大きくて、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じている可能性があるので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程を進行させるのが好適である。即ち、前処理工程では、下地剤43を発泡合成樹脂本体40の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、下地剤43の上表面を平滑な面にする。同時に、発泡合成樹脂本体40にベントホールZが存在している場合には、ステップS5でベントホールZの穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下地処理工程の下地剤43の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、図13(d)に示すように、先に穴埋め剤42で中空バルーンSを利用してベントホールZの穴埋めを行い、次いで、中空バルーンSを含む下地剤43で被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
例えば、図14(a)に示すように、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の面には、ベントホールZ程度までは大きくないが、切削加工工程により上面に開口する発泡穴が無数に存在する。そこに対して下地剤43によって中空バルーンSを充填する。また、発泡穴よりも大きいベントホールZは穴埋め剤42によってアクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンが供給される。
ウレタンのように直接発泡を行う発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の面には、切削加工工程により上面に開口する発泡穴が無数に存在する。そこに対して下地剤43によって中空バルーンSを充填すると中空バルーンSは周囲に樹脂成分を有しているから、その中空バルーンSが発泡穴で安定し、残余の樹脂成分が被塗装面18の表面に出てくる。それによって接着力が大きくなり、かつ、表面の凹凸が平坦化される。
この状態で、図14(b)の上塗り処理工程後の断面拡大説明図に示すように、塗装剤44を下地剤43の上面に塗布し、更に必要に応じて図14(c)の仕上げ処理工程後の断面拡大説明図のように、仕上げ剤45を塗布する。
なお、図13(d)に示すように、穴埋めを先行させた事例では、図14(d)に示すように、下地剤43がそれらに塗布されることになる。
このようにして、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体を得ている。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、比重の異なる材料または比重の同じ材料を複数枚積層し、接着するステップS1からなる基材Aと基材Bの接合処理工程と、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工するステップS2からなる切削処理工程と、そのステップS2からなる切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させて研磨し、それを1〜12回繰り返すステップS3からなる冶具による処理工程と、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑とすべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及びその乾燥後に研磨し、下地層50を形成するステップS5の下地処理工程と、前記下地処理工程で形成した上表面の被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布してなる塗装層60からなるステップS6でなる塗装処理工程とを具備するものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、ステップS2の切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削して、ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面14を含み、塗装しようとする被塗装面18の表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料10の、例えば、発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を目立たなくするステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程及びステップS5の下地処理工程からなる前処理工程により、塗装しようとする被塗装面18のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホールZ等の凹凸面を緩和させる無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーンとして、中空バルーンSとしても強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料10の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、ステップS5の下地処理工程で形成した下地層50にステップS6の塗装処理工程からなる後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布した塗装層60とするものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、切削加工することによって金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、ステップS10の下地処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨によって平滑面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
更に、ステップS5からなる下地処理工程では、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーンを均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、そして、乾燥後研磨するものであるから、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の中空バルーンSが、凹凸を跨いだり、ブリッジしたりして目立たなくすることができ、かつ、マイクロバルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に下地層50を形成することができる。また、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。したがって、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
また、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の被塗装面18を硬化させ、下地層50を形成するステップS5からなる下地処理工程は、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で加熱を行う加熱用冶具30による処理工程を含むものであるから、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10は、加熱用冶具30によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の被塗装面18を硬化させるステップS5からなる下地処理工程は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するステップS4からなる目止め処理工程を含むものであるから、ステップS4からなる目止め処理用の樹脂の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面18が得られる。特に、先に、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
ステップS5からなる下地処理工程は、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理を含むものであるから、合成樹脂材料によるベントホールZ等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、下地層50に平滑な面を形成できる。
また、耐久性の塗料を塗布するステップS6からなる塗装処理工程は、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、塗装層60として安定した塗装状態が維持される。
実施例1
図1の実施の形態では、ステップS1で単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材を接合処理することを前提に説明した。このとき、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削処理を行った。
しかし、本発明を実施する場合、特に、比重が異なっている基材Aと基材Bの使用で、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合には、その成形精度を上げることができるから、両者を別々の切削処理でステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程で行い、それをステップS13の接合処理工程で接合し、そして、ステップS14で冶具による処理工程に移行、その後、図1に示すステップS4以降の処理と対応させたものである。
即ち、ステップS14で冶具による処理工程行い、ステップS15で目止め処理を行い、ステップS16で下地層50を形成する下地処理工程、ステップS17で塗装層60を形成する塗装処理工程を行うものである。
この実施例1の場合にも、前処理工程はステップS14で冶具による処理工程、ステップS15の目止め処理工程、ステップS16の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS17の塗装処理工程で構成されている。
本実施例では、ステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程で行った後、それをステップS13の接合処理工程で接合し、ステップS14で冶具による処理工程に移行、その後、図1に示すステップS4以降の処理と対応させている。しかし、ステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程の後、先に個々に冶具による処理工程を行い、それを接合処理工程で接合することもできる。同様に、ステップS15の目止め処理工程を省略したり、前後させたりすることができる。
また、特に、ウレタンで所定の形状に切削処理した場合には、その成形精度を上げることができるから、冶具による処理工程及び目止め処理工程を省略できる。
実施例2
また、図1の実施の形態では、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削工程に入っている。また、図2の実施の形態では、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合、その成型精度を上げることができる。
したがって、基材Aがポリエチレンやポリプロピレンの場合には、ステップS21及びステップS22で加工精度を上げ、ウレタン等からなる基材Bの切削処理工程で密度を上げた成型精度で加工し、ステップS24で接合処理を行い、ステップS25で下地処理工程、ステップS26で目止め処理工程、ステップS27で塗装層60を形成する塗装処理工程を行うものである。
この実施例2の場合にも、前処理工程はステップS22で冶具による処理工程、ステップS25の目止め処理工程、ステップS26の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS27の塗装処理工程で構成されている。
この実施例の場合にも、ウレタン等からなる基材Bの切削処理工程では、精度を上げることができるから、ポリエチレンやポリプロピレンの場合に比較して、冶具による処理工程、目止め処理工程を省略することができる。
また、ウレタン等のように直接発泡させるものでは、その面を意匠面とするか否か、直接発泡する材料を何層使用するかによって冶具による処理工程、目止め処理工程の入れるタイミング、省略が決定される。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40の所望の周囲に塗装しようとする被塗装面18を具備し、被塗装面18に塗装してなる発泡合成樹脂成型体において、所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18を硬化状態にして研磨し、かつ、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーンを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨し、下地層50を形成したものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる発泡合成樹脂材料10からなる発泡合成樹脂本体40の形状を所定の形状に形成すると共に、前記単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ、または合成樹脂を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18に無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく前処理工程までに形成した被塗装面18、即ち、下地層50の上表面を平滑化するステップS6、ステップS17、ステップS27で形成した塗装剤44による塗装層を具備する。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、その切削面14を硬化させ、その硬化状態で研磨する。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面を見えなくし、または見えないように緩和させるべくステップS6、ステップS17、ステップS27の塗装処理工程で形成する塗装層60を平滑化する。
しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、発泡穴、その凹凸を目立たなくし、表面を平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面を緩和させ、ベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS2乃至ステップS5からなる前処理工程で形成された塗装層60を具備するものである。
更に、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、乾燥後研磨するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑に目立たなくすることができ、かつ、バルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン、発泡穴及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールZを合成樹脂材料による穴埋めを行うものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面14に、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨することにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びその凹凸を目立たなく研磨加工できるものである。しかも、切削面14のビーズライン及びその凹凸からなる面を緩和させ、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン、その凹凸が目立たなくなった下地層50の顔料を含む合成樹脂塗料を塗布できる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、発泡穴、その凹凸を目立たなくなったところで、ステップS6、ステップS17、ステップS27の塗装処理工程で形成する塗装層60を平滑化する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、ステップS3及びステップS4で、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるから、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
更に、ステップS5、ステップS16、ステップS26の下地処理工程を経た下地層50、即ち、発泡合成樹脂材料10の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層60を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
上記実施の形態では、ステップS4、ステップS15、ステップS25の目止め剤41とステップS5の下地処理工程で下地剤43を塗って形成した下地層50の塗布と研磨を繰り返すものである。このとき、目止め剤と下地剤43の塗布と研磨を繰り返す回数が多いと、その各層の厚みを薄くでき、仕上げを見栄え良く、かつ、耐久性を良くすることができる。しかし、余り繰り返し回数を多くすると、生産性が低下する。したがって、発泡合成樹脂成型体の使途に応じて1〜12回程度が生産性から維持されるべき回数となる。
ステップS2、ステップS11、ステップS12、ステップS21、ステップS23の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を硬化させて研磨する表面は、50〜200μmの厚みとなり、上記実施例で使用した目止め剤41に拘ることなく、被塗装面18を硬化させて研磨可能にする合成樹脂材料であればよい。
また、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布するステップS5、ステップS16、ステップS26の下地処理工程を含む前処理工程によって形成される被塗装面18の厚みが、200μm以下の厚みであるが、上記実施例で使用した穴埋め剤42及び下地剤43に拘ることなく、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布及び研磨できる合成樹脂材料であればよい。
そして、ステップS5の下地処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するステップS6の塗装処理工程は、塗装剤44が100〜300μmの厚みであるが、塗装剤44及び仕上げ剤45に拘ることなく、前処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む塗布自在な合成樹脂塗料であればよい。塗料として透明であるか否かは問われる理由がない。
発明者は、1〜1000μmの範囲内の中位径の無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンについて実験を行い、更に、ナノバルーンの50〜100nmの無機系中空バルーンについて実験を行った。仕上がりの見栄え及び表面塗料の接着力等の特性から、マイクロバルーン及びナノバルーンの使用が可能であることが確認された。しかし、材料の価格及び許容されている塗膜の厚みから、温度変化に伴う膨張収縮から、塗膜の厚みに応じた1〜300μmの範囲内の中位径の粒子の使用が好ましいと結論された。また、二酸化チタン粒子のように中実球体によって中空バルーンS以外にも使用できることが確認され、かつ、100μmのガラス粒子について実験を行い実用化が可能なことを確認し、化学的安定な材料であれば中空でも、中実でも使用できることが確認された。
発明者は塗装剤44、仕上げ剤45について実験を行った。結論的には、如何なる塗料も下地剤43と相性の良いものであれば、塗装が可能である。しかし、弾性を有し、膨張収縮が可能なものの使用が望ましい。
また、発泡合成樹脂成型体を形成する発泡合成樹脂材料10は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものであり、例えば、比重の高い、即ち、密度の高い材料を芯材として表面に露出させ、それを意匠面とすることができる。逆に、積層した中心に配置したり、表面及び裏面に配置したりすることもできる。特に、比重の異なる材料を複数枚積層し、接着することはハイブリッド形状の基材とすることができる。
発明者は、加工品質を上げるべく実験を重ねた結果、ポリウレタン(PUR)のように、直接発泡させたものを発泡合成樹脂材料10として使用すると、被塗装面18のビーズラインが表れず、ベントホールZも殆ど生じないし、その凹凸面も切削加工精度によっては無視できる程度であるから、良好な基材であることが判明した。また、これらの材料においては、切削加工によって発泡穴が無数に生じるがそこに下地剤43の中空バルーンSを導き、また、ベントホールZが生じていた場合でも、集中的に穴埋め剤42で中空バルーンSを充填接合する。これによって、被塗装面18には表面に出てくるのは樹脂成分が多くなり、平坦な面が形成されやすくなることが判明した。
10 発泡合成樹脂材料
11,12,13 発泡合成樹脂材料
14 切削面
18 被塗装面
20 ボールエンドミル
30 加熱用冶具
40 発泡合成樹脂本体
41 目止め剤
42 穴埋め剤
43 下地剤
44 塗装剤
45 仕上げ剤
50 下地層
60 塗装層
本発明は、金型を使用することなく発泡合成樹脂で特定の形状を削りだす発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものであり、特に、発泡合成樹脂で特定の形状を削りだし、その表面を塗装してなる発泡合成樹脂成型体及びその製造方法に関するものである。
従来の一般的な発泡合成樹脂成型体の成型方法及び発泡合成樹脂成型体としては、ポリスチレンを微細な泡で発泡させ硬化させた発泡ポリスチレンを使用し、その表面に塗料を塗布する方法がある。例えば、発泡ポリスチレンに木工ボンドを塗り、その木工ボンドが固まったとき、スプレーで塗装する方法がある。
また、水性ボンドに顔料を混ぜて、直接、発泡ポリスチレンに塗布する方法もある。そして、和紙を細かく粉砕し、粉体化したものに木工ボンドや和糊を混練して発泡ポリスチレンに貼り付け、それを水性塗料のネオカラーやポスターカラーで塗装する方法もある。更に、発泡ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う方法もある。
これらはいずれも発泡合成樹脂成型体に塗布した塗装の厚みが厚くなり、形式的な見栄えが良くても、実用的な使用に耐えるものがなかった。
一方、特許文献に酷似する技術を求めると、直接、発泡合成樹脂材を特定の形状に削りだす発泡合成樹脂の成型方法及びその成型体は存在していないが、発泡層付き内装品の技術を特許文献1で開示している。
即ち、特許文献1は発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品において、表皮材が熱可塑性であり、その表面形状が、表皮材を加温処理により軟化させ、その状態で基材に接着させる際に、表皮材用真空吸引型による真空吸引により賦形さている構成を有し、表皮材が表皮材用真空吸引型の型面に沿って賦形される技術である。これにより、表面品質が向上するだけでなく、意匠の制約が少なくなり、その自由度が拡大され、基材表面に対して非相似形状に形成することができる。
発泡層付きの表皮材が、基材に分散形成された吸気路からの真空吸引により基材に吸着されて接着された発泡層付き内装品とすることにより、発泡層と表皮材との接着力を強くする技術が開示されている。しかし、特許文献1には、厚手の発泡層についてどのように適応できるかを開示するものはない。原理的には、発泡合成樹脂材を特定の形状に削り出して発泡合成樹脂を成形することは困難と思われる。
また、特許文献2は、発泡合成樹脂成型体よりなる芯材の一面に畳表が積層され、他面に機能化剤含有クッションシートが積層され、更に、前記クッションシートに滑り止め層が部分的に積層されることにより、薄くて軽量で、施工性に優れ、滑り難いという技術を開示している。
特開2005−125736号公報
特開2010−236220号公報
しかし、従来の一般的な発泡合成樹脂成型体は、例えば、量産しない製品のカバー、特殊な椅子の肘掛け、特殊車両或いは改造車のダッシュボード等に使用すると、機械的強度が足りないとか、塗料が塵のように剥がれ落ちて周辺を汚したりして、廉価に実用的なものはできなかった。勿論、発泡ポリスチレンを基材にしてそれにFRP造形を行う技術は、機械的強度は上げることができるものの、弾性に欠き、また、高価であるという問題があった。
また、特許文献1及び特許文献2によって、発泡合成樹脂成型体とクッションシートとの接着力を強くすることは開示されている。ところが、形式的に試作品を形成する原材料として発泡性合成樹脂が使用されているものの、少量生産品にこの技術を使用するということは実現されていない。特に、例えば、発泡ポリスチレンのような発泡合成樹脂成型体は、脆く、表面を削って所定の形状に仕上げ、かつ、表面を見栄え良く平滑化することができなかった。
そして、発泡性合成樹脂にベントホールと呼ばれる穴が存在すると、当該ベントホールを穴埋めするには、残余の発泡性合成樹脂の厚みによって左右されるが熟練者でないと効率良く成型できない。また、ベントホールを穴埋めすると発泡合成樹脂成型体の重量バランスに微妙な違いが出て、使途によっては、その重量バランスの調整が必要な場合がでてくる。
そこで、本発明は、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体及びその製造方法の提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工する切削処理工程と、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、例えば、300μm以下の無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が1〜300μmの範囲内の外径を有する球体の中空マイクロバルーンを均一に分散してなる合成樹脂材料を塗布する前処理工程と、前記前処理工程で形成した被塗装面に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する後処理工程を具備する。
ここで、上記発泡合成樹脂材料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))、また、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等の発泡化した樹脂とすることができる。特に、1枚または複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入する場合、自己の手によって特定の形状の発泡合成樹脂材料を形成する場合も含まれる。
また、上記切削処理工程は、ボールエンドミル等の回転切削冶具の使用に限定されるものではなく、人為的に操作する刃物を含み、工作機械が具有する刃物、特定の形状を得る研磨等を含む如何なる切削方法であってもよい。
そして、上記前処理工程は、前記基材となる発泡合成樹脂材料の被塗装面に平滑な塗膜を作り、前記後処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ及び/または塗料を含む合成樹脂材料を塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。但し、パテ、塗料を含む合成樹脂材料には、無機系球体または有機系球体を均一分散されているものの使用が前提である。
このとき使用するパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、下地剤は、前記パテ及び上塗り塗料、基材の種類によって決定される。特に、パテはビーズ欠損による凹面を緩和させる穴埋めに効果的である。
球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。中実なものとしては酸化チタン粉末がある。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも、或いは300μm以上の中位径のものでも、中実な球体であっても実施可能である。しかし、塗膜の厚みから、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。但し、中実な球体の場合には、軽量化の観点からは不向きである。何れにせよ、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、表面の凹凸をなくすことができる。
更に、上記後処理工程は、前記前処理工程で塗布した合成樹脂塗料との接着性をよくする合成樹脂塗料を塗布し、その上面に必要に応じて耐久性、例えば、耐候性、耐酸化性を付与する保護層となる仕上げ層を形成する塗料を塗布するものである。
更にまた、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料である基材は、同一材料を複数段に組み合わせたもの、特性の異なるものを組み合わせたもの、一体化した材料からなるもの等適宜材料を選択して設定できる。当該基材は処理の進行に応じた形状のものを重ね合わせてもよいし、最初から複数枚を一体化してもよい。
加えて、本発明の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の外径(中位径)を有するものである。
ここで、球体としての中空マイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の中位径を有する無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーンのマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも実施可能である。しかし、塗膜の形成から、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。
請求項2の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものである。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。また、重ね合わせの際に使用する形状も、原材料から目的の形状に近づけた仮形成したもの、最終目的の形状に形成した本形成したものの何れでもよい。
請求項3の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、更に、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させて研磨する表面処理工程を、前記切削処理工程の後で前処理工程の前に加えたものである。
ここで、上記表面処理工程は、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を面として硬化させるものである。このときの被塗装面は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもできる。また、合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもできる。なお、被塗装面の硬化(乾燥)速度からすると、溶剤性の合成樹脂材料が効率的である。
請求項4の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、回転する加熱用冶具によって摩擦熱による加熱を行って軟化させ、そして、熱可塑性樹脂の特性により硬化させるものである。
ここで、回転する加熱用冶具によって加熱を行うのは、同一冶具で切削及び加熱を行ってもよいし、複数個の冶具によって切削と加熱を別々に行ってもよい。勿論、先端の形状及び太さ、形状は使途によって適宜形成される。
請求項5の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法は、前記切削処理工程によって形成した切削面を含み塗装しようとする被塗装面を硬化させる表面処理工程は、合成樹脂材料を塗布し、それを硬化させて塗布した合成樹脂材料の染み込み防止を行う目止め剤としたものである。
ここで、上記目止め剤とは合成樹脂材料の染み込み防止できる合成樹脂材料であればよく、自己の粘性で染み込みが防止され、基材の発泡合成樹脂材料との接着力が確保できるものであればよい。また、染み込みの防止とは、合成樹脂材料により染み込みが防止されるもののみを意味するものではなく、一旦、染み込みが生じた後、合成樹脂材料の硬化により、再度の染み込みができない合成樹脂材料も含むものである。特に、重ね塗りと研磨を繰り返し行うものでは、1回の塗布によって浸透が生じ難くなる合成樹脂材料も含まれるものである。
請求項6の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理工程を含むものである。
ここで、穴埋め処理工程の穴埋めとは、発泡条件の温度、圧力等の不均一のために部分的に欠損ができているもの、発泡成形時に圧縮したことが要因となり、外圧によりブリッジが形成され、一部に外力が行き届かなくなって欠損ができたもの等、発泡体ビーズの集合体で特定の形状に成型されるが、このとき、発泡時に欠損が存在したまま欠損を残して発泡した発泡合成樹脂材料の欠損箇所がベントホールになるので、その穴埋めをするものである。
請求項7の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体と、前記発泡合成樹脂本体の所望の塗装しようとする被塗装面とを具備し、無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が1〜300μmの範囲内の外径を有する球体の中空マイクロバルーンを均一に分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂本体の塗装しようとする前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく塗布したものである。
ここで、基材となる熱可塑性樹脂である発泡合成樹脂本体を所定の形状に形成し、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の何れであってもよい。本発明では、300μm以下の中位径の無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーンのマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも実施可能である。勿論、球体であれば、中実なものでも使用できる。
合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂材料の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、表面の凹凸をなくすことができる直径以下のものが使用可能になる。
加えて、本発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、300μm以下の中位径を有するものである。
ここで、球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の範囲の中位径を有する球体は、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも、或いは300μm以上の中位径のものでも実施可能である。しかし、塗膜の厚みを100〜300μm以下に形成する場合には、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。
請求項8の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなり所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体と、無機系または有機系の中位径(レーザ回折式粒度分布測定装置を用いたレーザ回折・散乱法による中位径)が1〜300μmの範囲内の外径を有する球体の中空マイクロバルーンを均一に分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂本体の塗装しようとする被塗装面に塗布して表面処理層を平滑化した下地層を具備する。
このとき、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、発泡合成樹脂本体の表面の発泡穴に入り込み、残余の合成樹脂材料が表面を略均一化することによって、下地層の表面の凹凸をなくすことができる直径以下のものの使用が可能である。
ここで、上記発泡合成樹脂本体は基材となる熱可塑性材料の発泡合成樹脂材料からなるもので、目的の形状に形成されたものである。
また、上記表面処理層は、前記基材を切削して所定の形状に形成すると共に、その切削によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面に目止め処理によって染み込みを防止すべく表面を硬化させ、被塗装面の表面を研磨して平滑化させるものである。また、被塗装面の凹凸面を緩和させるべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、合成樹脂材料の平滑な面を形成すべく研磨するものである。ここで、被塗装面への塗布は合成樹脂材料でもよいし、合成樹脂塗料であってもよい。即ち、ここでは着色を問題にしないが、合成樹脂塗料の材料でも使用できることを意味する。
更に、合成樹脂材料に均一分散されている球体は、中実球体、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等の何れであってもよい。
加えて、本発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、300μm以下の中位径を有するものである。
ここで、球体としてのマイクロバルーンは、単一な空間を持った微細な中空体であり、外殻成分がガラス、シリカ、シラス等の無機系中空バルーンと、熱可塑性樹脂やカーボンを成分とした有機系中空バルーンとがある。例えば、樹脂バルーン、ガラスバルーン、フライアッシュバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、フェノールバルーン、カーボンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン等がある。
本発明では、300μm以下の範囲の中位径を有する球体は、無機系中空バルーンまたは有機系中空バルーン等のマイクロバルーンで説明するが、本発明を実施する場合には、ナノバルーンでも、或いは300μm以上の中位径のものでも実施可能である。しかし、塗膜の厚みを100〜300μm以下に形成する場合には、300μm以上の球体の使用は制限される。また、酸化チタンの例示で示しているように、中実な球体でも使用できる。
請求項9の発明にかかる発泡合成樹脂成型体の前記基材となる発泡合成樹脂本体は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものである。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料は、市販の発泡合成樹脂材料を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料を発泡形成する場合の何れであってもよい。
請求項10の発明にかかる発泡合成樹脂成型体は、更に、前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を形成したものである。
ここで下地層と塗装層とは、相性の良い合成樹脂材料であり互いに接着力があるものである。相性の良いとは、一体に混在するものに限らず、容易に分離しない程度の接着力を有するものも含まれる。
請求項1の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削して、前処理工程で無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布することにより、例えば、前記球体によりビーズラインを球体が挟みこんだり、発泡穴に球体が入り込んだり、発泡穴に球体が入り込むことでその境界に樹脂成分が行き渡り、また、その凹凸面を球体が補充し、その間を樹脂成分が繋ぐから、全体的に目立たなくなる。そして、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン、発泡穴、その凹凸が目立たなくなったところで、前記前処理工程で形成した面に後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
特に、発泡合成樹脂材料としてポリウレタン(PUR)を使用した場合には、ビーズライン、ベントホールが生じないから、全体の凹凸のみが目立たなくすればよい。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。
そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、表面処理工程及び前処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。そして、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
更に、前処理工程では、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体が、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であり、かつ、前記球体の周りを樹脂成分が接合状態になるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
加えて、本願発明の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴を埋めしたりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
請求項2の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記発泡合成樹脂材料は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
特に、例えば、前記発泡合成樹脂材料として比重の高い見栄えの良い材料を表面側とし、内側を比重の低い材料で形成できるから、見栄えと感触を良好とすることができる。また、その時の比重も任意に設定できる。そして、重ね合わせの際に切削前の発泡合成樹脂材料に限られるものではなく、切削加工した発泡合成樹脂材料を重ね合わせてもよい。
請求項3の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、更に、前記切削処理工程によって生じた切削面を含み塗装しようとする前記基材の被塗装面を硬化させて研磨する表面処理工程を、前記切削処理工程の後で前処理工程の前に加えたものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、摩擦熱による加熱、レーザ光のスキャンによる加熱、鉄またはステンレス板からなる熱盤による加熱、超音波による振動加熱等の加熱によって切削面及び塗装しようとする前記基材の被塗装面を加熱することにより基材の被塗装面を硬化させることができ、その被塗装面の上面に形成する層との接合力を強くすることができる。
この表面処理工程は、前記基材の内面のみ、または外面のみ、またはそれらの両方または両方の一部のみとすることもでき、用途によって決定すればよい。この表面処理工程は合成樹脂材料の塗布によって被塗装面が硬化すればよいことから、合成樹脂材料の塗布とすることもでき、任意にその工程の具体的内容を決定できる。
請求項4の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で加熱を含めたものであるから、請求項3に記載の効果に加えて、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料は、加熱用冶具によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
請求項5の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記基材の被塗装面を加熱することにより表面を硬化させる表面処理工程として、合成樹脂材料の塗布による目止め処理を含めたものであるから、請求項3または請求項4に記載の効果に加えて、目止め処理用の塗料の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面が得られる。特に、先に、加熱用冶具の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
請求項6の発泡合成樹脂成型体の製造方法の前記前処理工程には、更に、合成樹脂材料による穴埋めを行うものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、合成樹脂材料によるベントホール等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、平滑な面を形成しやすくなる。
請求項7の発泡合成樹脂成型体は、基材となる発泡合成樹脂材料からなる発泡合成樹脂本体の形状を所定の形状に形成すると共に、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨した平滑面を形成したものである。
したがって、発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削し、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散してなる合成樹脂材料を塗布することにより、発泡合成樹脂本体の発泡体のビーズライン及びその凹凸、発泡穴を目立たなく加工できるものである。しかも、前記切削面のビーズライン及びその凹凸からなる面、発泡穴の凹凸を緩和させ、発泡合成樹脂材料の発泡体の凹凸が目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布できる。
なお、ビーズ状の発泡体以外の直接発泡させた発泡体では、ビーズライン、ベントホールが有しない発泡合成樹脂本体がある。この種の発泡合成樹脂本体では、その処理に対する工程を省略できる。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、発泡合成樹脂成型体の復元力は、発泡合成樹脂材料の弾性に応じたものとなっており、基材の特性を維持したままの発泡合成樹脂の成型品となる。
更に、例えば、300μm以下の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑に目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂本体を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
加えて、本願発明の発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、乾燥後研磨するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
請求項8の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体と、無機系球体または有機系球体を均一分散してなる合成樹脂材料を、前記発泡合成樹脂本体の塗装しようとする前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく塗布して前記被塗装面を平滑化した下地層としたものである。
したがって、発泡合成樹脂本体を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面を硬化させると、発泡合成樹脂本体の発泡体の凹凸を目立たなく加工することができ、しかも、切削面の凹凸の面を緩和させる合成樹脂材料を塗布したり、その研磨をしたりし、それらを繰り返すことにより、発泡合成樹脂本体の発泡体のビーズライン及びその凹凸、発泡穴に球体が落ち込んだりして目立たなくすることができる。そして、発泡合成樹脂本体の発泡体のビーズライン、その凹凸を目立たなくなったところで、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するものである。
このとき、例えば、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴の中に入り込んだりして目立たなくすることができ、かつ、連結した中空バルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂本体となる。
このように、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、発泡合成樹脂本体を切削して生じた切削面を含み塗装しようとする前記被塗装面を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させて研磨できる平滑な面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くする必要はない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
加えて、本発明の発泡合成樹脂成型体の前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく均一分散させた無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体は、1〜300μmの範囲内の中位径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、乾燥後研磨するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーン等の球体として強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体を均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
請求項9の発泡合成樹脂成型体の前記発泡合成樹脂本体は、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなるものであるから、請求項7または請求項8に記載の効果に加えて、市販の発泡合成樹脂材料を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
特に、例えば、前記発泡合成樹脂材料として比重の高い見栄えの良い材料を表面側とし、内側を比重の低い材料で形成できるから、見栄えと感触を良好とすることができる。また、その時の比重も任意に設定できる。
請求項10の発泡合成樹脂成型体には、更に、前記下地層の上表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層を形成したものであるから、請求項8に記載の効果に加えて、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面層を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
図1は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法を示す工程のフローチャートである。
図2は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の実施例1を示す工程のフローチャートである。
図3は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の実施例2を示す工程のフローチャートである。
図4は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料を積層接着した状態の説明図である。
図5は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の積層した発泡合成樹脂材料の切削処理工程の説明図で、(a)は切削中の説明図、(b)は切削工具を示す説明図である。
図6は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外表面を切削する切削処理工程の説明図である。
図7は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の塗装表面を加熱する表面処理工程で使用する加熱用冶具で、(a)は単一径の加熱用冶具、(b)は2段径の加熱用冶具、(c)は3段径の加熱用冶具の斜視図である。
図8は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図9は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の外側の塗装表面を加熱する表面処理工程の説明図である。
図10は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側底面の表面処理工程の説明図である。
図11は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の発泡合成樹脂材料の内側側面の表面処理工程の説明図である。
図12は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の層構成を説明する説明図である。
図13は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図13(a)は切削加工直後の断面拡大説明図、図13(b)は加熱用冶具による処理工程後の断面拡大説明図、図13(c)は目止め処理工程後の断面拡大説明図、図13(d)は穴埋め処理工程後の断面拡大説明図である。
図14は本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の加工工程を示す説明図で、図14(a)は下地処理工程後の断面拡大説明図、図14(b)は上塗り処理工程後の断面拡大説明図、図14(c)は仕上げ処理工程後の断面拡大説明図、図14(d)は穴埋めを先行させた事例の断面拡大説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
まず、図1乃至図14を用いて、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体及びその製造方法について、全体の概略説明を行う。
図1に示すように、ステップS1の基材Aと基材Bの接合処理工程では、基材Aとしてポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)を使用し、また、比重及び発泡特性が異なる意匠面を形成する基材Bとしてウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)を使用し、それらを図4のように3層にした。
ここでは、基材Aとなるポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))からなる発泡合成樹脂材料10(12,13)の比重が0.9〜0.96程度であり、基材Bとしてのウレタン(PUR)からなる発泡合成樹脂材料10(11)の比重が1.1〜1.5程度であるから、その使用料を少なくしている。
また、均一な発泡体となるウレタンは、ポリイソシアネートとポリオールとを、アミン化合物等の触媒、発泡剤、シリコーンオイル等の整泡剤と混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行うものであり、製造する場合にも自由度が高いが、比重が高いので、他のポリエチレンやポリプロピレンと同時に使用することにより、全体の重量を軽くすることができる。また、その重量を所定の範囲内にすることもできる。
ここで、比重の異なる材料を複数枚積層接着してなる発泡合成樹脂材料10(11,12,13;以下、複数枚を特定しないときには、単に『10』という)は、市販の発泡合成樹脂材料10を購入して使用する場合、または、自己の手によって発泡合成樹脂材料10を発泡形成する場合の何れであってもよい。
ステップS2の切削処理工程で目的物の基材Aの発泡合成樹脂材料12,13、基材Bの発泡合成樹脂材料11となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工する。このとき、発泡合成樹脂材料10の全体を特定の形状に切削加工するものばかりでなく、内部のみの切削加工または外部のみの切削加工もあり得る。このとき使用する切削工具は、手動冶具を含む機械装置が使用可能であり、何ら切削加工において切削方法が限定されるものではない。
ステップS3の冶具による処理工程では、ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面及びその切削面14を含みこれから塗装しようとする基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18(図5、図12参照)を加熱用冶具30の摩擦熱で硬化させている。ステップS3の冶具による処理工程における発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の硬化は、切削工程が終了した発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に対して加熱用冶具30を回転させ、その回転している加熱用冶具30が軽く被塗装面18に当たることによって生じる摩擦熱によって得ている。
このとき、ステップS2の切削処理工程によって、加熱用冶具30と接触する面に発生する摩擦熱は、後述する図13(a)に示すように、被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に単数または複数が毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結されて粒子化した粒子X、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体W、随所に存在するφ2〜10mm程度のベントホールZ(図13参照)を強行に分離したり、または軟化させて加熱用冶具30で押圧して発泡合成樹脂材料10に一体化させたり、また、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた発泡合成樹脂材料10の部分的な個所の除去を行ったり、それを軟化させて加熱用冶具30の押圧力で発泡合成樹脂材料10と一体化したりする。そして、起立するビーズラインを軟化させ押圧して平滑化し、また、そのビーズの凹凸を少なくし、かつ、ベントホールZの周囲を硬くする。
なお、ビーズ状発泡体による発泡以外の直接発泡させる発泡合成樹脂材料10では、ビーズライン、ベントホールが生じないものがある。しかし、その扱いはビーズライン、ベントホールが生じている発泡合成樹脂材料10と同じであり、当該処理工程をスキップできるだけである。
ステップS3の冶具による処理工程では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、毛羽立ち及び粉体化を防止してなる平滑化した面を形成しているが、本発明を実施する場合、レーザ光のスキャンにより、または熱盤により、発泡合成樹脂材料10の表面が熱可塑性樹脂として軟化し、結果的に、硬く形成されればよい。
なお、本発明で説明する平滑化とは、「平滑」が「平らで、なめらかなこと」を意味するが、広い範囲の「平ら」を意味するものではなく、「例えば、コーナー部分の面取りした角度変化においても、急激な凹凸変化がないこと」程度の部分的な平坦を意味する。
また、ステップS3の冶具による処理工程は物理的に表面を硬化させたものであるが、化学的に目止め処理工程として行うこともできる。
例えば、ステップS4の目止め処理工程は、一般的な合成樹脂塗料の材料として使用されているトルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる合成樹脂材料を図12に示す目止め剤41とし、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布している。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止し、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨自在にし、精度の良い表面形状を得るものである。ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるという意味で、ステップS3及びステップS4の両者は物理的、化学的な違いがあるものの、実質的に同じ表面処理を行うものである。発泡合成樹脂材料10の材質によっては、何れか一方のみの選択も可能であるが、商品の耐久性を考慮すると、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程からなる表面処理工程を採用する方が良い。
本発明を実施する場合には、ステップS3の冶具による処理工程とステップS4の目止め処理工程の両者を実施する表面処理工程は、接合強度を高め、見栄えを良くする意味からすると両工程からなる表面処理工程を実施するのが望ましい。しかし、ステップS3の冶具による処理工程またはステップS4の目止め処理工程の一方のみとすることもできる。
また、本発明のように、1〜300μmまでの範囲の中位径を有する無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及びその乾燥後に研磨する下地処理工程を有するものでは、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン間にある合成樹脂材料が、糸状に伸びて毛羽立っている糸W、糸状部が丸まって形成されて粒子化した粒子Xを巻き込み、それを無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の球体Sと一体化するから、本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の用途によっては、ステップS3及びステップS4を省略することもできる。
ステップS5の下地処理工程は、基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の凹凸面を緩和させ平滑な面とする合成樹脂材料を塗布する前処理工程である。ここで基材A,Bとしての発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の凹凸面とは、ビーズ発泡させる場合には、発泡体のビーズライン及びφ2〜10mm程度のベントホールZ、糸状に伸びて毛羽立っている糸W、糸状部が丸まって形成されて粒子化した粒子Xを巻き込み、その他の凹凸面があり、均一な発泡体となるウレタンでは、凹凸面が主になります。
なお、この実施の形態では、基材A,Bの区別なくビーズライン及びベントホール、その凹凸として取り扱う。
ステップS5の下地処理工程では、一般には、高弾性で膨張に耐えるドリームコート(関西ペイント(株)製造)を下地剤43として使用している。ドリームコートは、主成分として、二酸化チタン5〜10Wt%、ホワイトスピリット(ミネラルスピリット)1〜5Wt%、エチレングリコール1〜5Wt%、デューロン0.1〜1Wt%を配合したものである。この下地剤43において、二酸化チタンは1〜10μmの粒径を有しているが、光触媒として配合しているものではなく、中実の球体として使用しているものである。また、二酸化チタン5〜10Wt%に代えて中位径5μmのシリカ中空バルーンを配合した。
このとき、二酸化チタンに代えてシリカ中空バルーンの代替が有効であることが確認された。二酸化チタンとシリカ中空バルーンは、化学的に何ら作用をなさないものであるから、無機系中空バルーンと有機系中空バルーンとの使用が確認された。
また、粒子径は、球体Sの連続繋がりによる機械的強度の上昇、球体Sの機械的強度が所定以上あれば、使用が発泡体環境であるから問題にならないことも確認された。それと同時に消去しようとするビーズライン及びベントホール、その凹凸の大きさから1〜300μmの範囲であれば、良好に機能することが確認された。
勿論、ナノバルーンでは実現しないものではなく、高価になり、かつ、塗り重ねが1層分から2層分負荷されるので、1〜300μmの中位径のものの使用が望ましい。またその量は二酸化チタン5〜10Wt%であったが、比重が軽いので、その個数以上の混入になるが、問題はなかった。
発泡合成樹脂材料10にベントホールZが生じている場合には、その対策として、アクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする高弾性で膨張に耐えるロハスコート((株)OKUTA製造)を穴埋め剤42として使用した。ここにおいても、アクリル中空ビーズは有機系マイクロバルーンに代えて使用するものである。因みに、アクリル中空ビーズは30〜100μmの中位径を有するものである。勿論、アクリル中空ビーズは30〜100μmの中位径のシリカ中空バルーンに代えることができた。
なお、JIS Z 8901「試験用粉体及び試験用粒子」の本文及び解説の用語の定義によれば、中位径とは、粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい個数(または質量)が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径(直径)、即ち、オーバサイズ50%の粒径であり、通常、メディアン径または50%粒子径といいD50と表わされる。定義的には、平均粒子径と中位径で粒子群のサイズを表現されるが、ここでは、商品説明の表示、レーザ回折・散乱法によって測定した値である。
そして、この「レーザ回折・散乱法によって測定した中位径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いてレーザ回折・散乱法によって得られた粒度分布において積算重量部が50%となる粒子径(D50)をいう。
なお、上記数値は、厳格なものでなく概ねであり、当然、測定等による誤差を含む概略値であり、数割の誤差を否定するものではない。この誤差の観点から見ると、平均粒子径との差も僅少であり、平均粒子径≒中位径であり、平均粒子径=中位径と見做すこともできる。
順序としては、ステップS5の下地処理工程で、まず、穴埋め処理を先行させるのが好適である。即ち、下地処理工程では、二酸化チタン、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンを配合した下地剤43をヘラ塗りで2〜3回塗布し、表面を確認しながらその状態でベントホールZの穴埋めがし難いときには、アクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする穴埋め剤42を塗り、各回30分程度の乾燥の後、研磨を行い、重ね塗りを進行させる。
即ち、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、ステップS5の下地処理工程内で、下地剤43を塗り、その窪みの大きさに応じて、穴埋め剤42で穴埋めし、そして、下地塗り、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤42でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
したがって、図1の本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法の流れ図においては、ステップS5の下地処理工程内で穴埋め処理工程を同時に行うこともあり得るし、ステップS5で穴埋め処理工程を行わない場合もあり得る。また、その前後を逆にする場合もある。
何れにせよ、ステップS5の下地処理工程は、下地処理工程として穴埋め処理を含むものであり、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理する。
なお、このステップS5の下地処理工程は、穴埋め処理工程を含む下地処理工程であり、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程も下地処理工程の前段階の表面処理工程であり、塗装の載りを良くするものであるから、これらステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程及びステップS5の下地処理工程を含めて前処理工程と呼ぶこととする。
なお、この下地処理工程までで形成された層を下地層50といい、前処理工程で形成された層に相当する。
次に、ステップS5の前処理工程の下地処理工程の後に、ステップS6で塗装処理工程を施している。ステップS6の塗装処理工程では、ステップS3からステップS5の前処理工程で形成した被塗装面18に、顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する工程である。ステップS6の塗装処理工程で使用する塗装剤44は、主剤1に対して、硬化剤0.6、シンナー1.2の配合で混合した高弾性で膨張に耐える塗装剤であり、下地剤43との相性が良く、両者間の接着力が確保されるようにしている。なお、樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
塗装剤44として主剤は、(株)富士塗料工業所製のエラスティックコートUN−500を使用した。UB−1200は、ポリエステルポリオール30〜40Wt%、酸化チタン10〜20Wt%、アクリル樹脂1〜5Wt%、変性セルロース1〜5Wt%、酢酸エチル10〜20Wt%、キシレン10.8Wt%、トルエン5.3Wt%、酢酸ノルマループチル1〜5Wt%、メチルイソブチルケトン1〜5、エチルベンゼン3.0Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%を主成分とする配合である。
硬化剤としては、(株)富士塗料工業所製のUB−1200を使用した。UB−1200は、イソシアネートプレポリマー70〜80Wt%、ヘキサメチレン=ジイソシアネート0.5Wt%、トルエン20Wt%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5〜10Wt%を主成分とする配合である。
そして、シンナーは、(株)富士塗料工業所製のマイステルシンナーTM−5510を使用した。その主成分は、t一ブタノール20〜30Wt%、ジアセトンアルコール20〜30Wt%、メチルイソブチルケトン10〜20Wt%、メチルエチルケトン10〜20Wt%、酢酸イソブチル5〜10Wt%、キシレン3.9Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、エチルベンゼン0.63Wt%の配合である。
このステップS6の塗装処理工程は、塗膜を形成することによって、耐久性、例えば、耐候性、耐酸性を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、発泡合成樹脂成型体を塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
勿論、塗料としては、着色した顔料の入った塗料に限らず、透明な紫外線をカットする塗料とすることもできる。
なお、塗装剤44を塗布した層を塗装層60という。
更に、図1の本実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法並びに図12及び図13の発泡合成樹脂成型体について詳述する。
発泡合成樹脂材料10は、発泡させた熱可塑性樹脂であり、主な合成樹脂原料は、ポリウレタン(PUR)、ポリスチレン(PS)、ポリオレフィン(主に、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP))であり、他にも、フェノール樹脂(PF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ユリア樹脂(UF)、シリコーン(SI)、ポリイミド(PI)、メラミン樹脂(MF)等も発泡化して用いることができる。しかし、発泡合成樹脂材料10の切削面14を加熱することにより硬化させることを前提とすると、80〜200℃の範囲内の温度で変形する合成樹脂材料の使用が望ましい。また、本発明を実施する場合には、発泡率を問うものではないが、使途によっては硬く仕上げるために或いは軽量化するために発泡率の制限、比重の制限を受けるものもある。
なお、本実施例の発泡樹脂粒子(発泡ビーズ)としては、ポリエチレン(C2H4)n及びポリプロピレン(C3H6)nについては、発泡から特定のブロックを形成したもの、規格製品を積層したものの何れも実験し、両者が使用できることを確認した。
具体的には、直径1mm程度の細粒状ポリエチレンであるポリエチレンビーズに炭化水素ガスを吸収させ、これに100℃以上の高温蒸気を通して樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させると、発泡したビーズ相互は融着し合い、冷却時にビーズ単位の変形された形状となって発泡ポリエチレンとなる。
発明者らは、図4に示すように、市販されている3枚の特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された基材Aとしてポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13を使用し、また、基材Bとしてウレタンからなる発泡合成樹脂材料11を使用した。ポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13は、各規格化サイズが単体で発泡成形されており、表面の発泡密度が高いスキン層となっている。そのベントホールZはφ2〜10mm程度の材料である。本実施例で50mmよりも厚い製品を得るには、規格化された発泡合成樹脂材料12,13の表面がスキン層となっているから、その両面の接着面にゴム系の接着剤を塗布して積層接着した。
なお、基材Bとしてウレタンからなる発泡合成樹脂材料11は、全体が略均一に発泡し、ており、ベントホールZは殆ど発生していない。しかし、比重がポリエチレンからなる発泡合成樹脂材料12,13よりも大きいので、発泡の際に無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空体で軽量化して使用してもよい。
ゴム系の接着剤15としては、ゴム糊である市販のボンドGU38(コニシ(株))を接着する両面に薄く塗り、そして乾燥させ、接着面を対向させて圧縮し接着した。ボンドGU38は、主成分がシクロヘキサン30〜40Wt%、アセトン20〜30Wt%、メチルシクロヘキサン10〜20Wt%、酢酸エチル5〜10Wt%、ロジン1Wt%として配合されたクロロプレンゴム系溶剤型接着剤である。また、東亜合成(株)のエバーグリップ1474SM−5、エバーグリップ1423のクロロプレンゴム系接着剤も使用できることを確認した。ここで、接着剤15の厚みは、その存在が視認できない程度に可能な限り薄くし、接着機能のみが維持できればよい。なお、ここで使用するゴム糊は、基材としての発泡合成樹脂材料11,12,13と同じポリエチレンからなる接着剤15も使用できる。
勿論、発泡合成樹脂材料してのポリエチレン12,13とウレタン11は、ゴム系の接着剤15とは性質が異なるが、ゴム系の接着剤15をこの接着に使用するのは100μm以下の厚みにすることができ、結果的に製品の加工には支障がなかったことから使用した。発明者らは、加熱した熱盤によって発泡合成樹脂材料11,12,13の両接着面を接触させ瞬間的に加熱し、その熔融面によって接着を行ったが、熟練を必要とするものの、良好な接着が可能であることを確認した。また、発泡合成樹脂材料10と同系統のポリエチレン系、ウレタン系の接着剤を使用することもできる。そして、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の両接着面を加熱してもよい。何れにせよ、発泡合成樹脂材料10の表面が溶けて硬くなる体積が殆ど無視できる程度、即ち、溶融も含めて300μm以下、望ましくは、100μm程度以下の接着面厚さであればよい。勿論、発泡合成樹脂材料10と同じ系統の接着剤とすることもできる。
発明者らは、粘り気のあるポリエチレン、ウレタンの材料を特定の縦・横・高さ(1200×900×60mm)の規格化された発泡合成樹脂材料11,12,13として使用するために積層し、単位面積当たり0.5〜10t以上の圧力によって押圧して一体に接着した。本発明を実施する場合に、必要な厚みのものが市販されておれば、積層化する必要はない。また、ウレタンは最終成形品の形態として部分的に形成することもできる。
なお、この積層する際の接着に要する押圧力は、発泡体の発泡率によっても、基材の発泡材料によっても変化するから、一義的に決定されるものではない。
このように、本発明の実施物における発泡合成樹脂材料10としては、1枚または複数枚積層して用いてもよい。勿論、本発明の実施物における直接基材となる発泡合成樹脂材料10は、任意の概略形状に発泡させてもよい。
基材の発泡合成樹脂材料10を複数枚で形成するのは、所定の厚みに満たないので、その厚みを出すために積層する場合、比重の大きい材料で作成すると好ましい形状が得られても既定の重量をオーバーしてしまうので、比重の小さい材料とコンビで使用する場合、細かな配慮として、複数枚の発泡合成樹脂材料10の特性を徐々に変化させて微妙な使用感を醸し出す場合等に好適である。
これらの発泡合成樹脂材料10を削り出すには、図5に示すように、切削加工に用いる工具(切削工具)であるボールエンドミル20を使用した。ボールエンドミル20は、フライスの一種であるドリルに似た外観を有している。ドリルは軸方向に進行し、円形の穴を空けるのに使用されるが、ボールエンドミル20は、側面の刃で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられる。また、端面を平滑に仕上げる際にも用いられる。中心部の切れ刃が不完全であるため、端部を弧状に形成することにより、端面を平滑に仕上げることができる。ボールエンドミル20の回転数5000〜15000rpm及び送り速度500〜3000mmで処理している。通常は回転数10000rpm、及び送り速度2000mm程度である。
本発明の実施の形態では、通常の切削加工するボールエンドミル20によって、全体の概観形態を削り出している。その後、ボールエンドミル20によって全体の概観形態を削り出した面は、削り屑の一部が外力によって分離してボロボロの状態であったり、部分的に毛のように繋がっていたり、凹凸が発生していたりしている。
そこで、一般にボールエンドミル20は、図5の(a)及び(b)に示すように、側面の刃21で切削し、軸に直交する方向に穴を削り広げる用途に用いられるが、本発明の実施の形態で使用するボールエンドミル20もそれに相違するものではない。その最下端から側面の刃21までは、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))加工が施されており、切削された発泡合成樹脂材料10、その切削屑が付着しないようにしている。
しかし、下端が若干下に凸状に湾曲させた端部22を有する刃物は、ボールエンドミル20の回転によって摩擦熱が発生し、表面を摩擦熱で平滑にする機能がある。表面を摩擦熱で平滑にするとは、発泡合成樹脂材料10の表面に付着した刃21で完全に切断されていない微粒の分離または軟化した微粒の押圧による平滑化、切削中に発泡合成樹脂材料10が軟化して糸状に伸びた部位の除去または押圧による平滑化、起立するビーズラインを軟化させ押圧してなる平滑化等により、凹凸が少なくなっている。
図6のボールエンドミル20は、発泡合成樹脂材料10に形成した内側の切削面14に対して、外側を切削する状態を示すものである。
即ち、ボールエンドミル20と発泡合成樹脂材料10の接触角度並びに移動距離及び移動角度等によって発泡合成樹脂成型体の外径形状を削り出すことができる。この技術は一般的な切削加工の技術であるから、詳細な説明を省略する。
図7の加熱用冶具30は、市販のボールエンドミル20によって切削加工した後に、専用の先端を弧状とした面を有する摩擦面31によって、発泡合成樹脂材料10に形成した切削面14を摩擦によって加熱する冶具である。図7(a)乃至(c)は、異なった種類の加熱用冶具30の斜視図を示すものである。(a)は単一径の加熱用冶具30であり、(b)は2段径の加熱用冶具30であり、(c)は3段径の加熱用冶具30の斜視図である。
即ち、加熱用冶具30の太さの下端が任意の曲面からなる摩擦面31となっており、発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を含み塗装しようとする基材の被塗装面を摩擦熱で加熱し、温度上昇によって軟化させて、発泡合成樹脂材料10の切削面14に平滑面を形成する。これは、平滑面で説明したが、下に凸面及び/または下に凹面を形成する場合も同様に加工できる。
例えば、下に凸面の狭い凹部溝16を有する切削面14を形成する場合には、切削面14を加熱する加熱用冶具30の太さを図6の(b)に示すようにし、全体的または部分的に細くする摩擦面32を形成する必要がある。勿論、必要に応じてテーパー面とすることもできる。この加熱用冶具30は、図10に示す凹部溝16の加工等に好適となる。
図7(b)に示す加熱用冶具30は、直径を2段としているが、3段以上とすることも、図7(a)に示すように、単一の太さとすることもできる。
図11に示す側面に形成した凹状溝17を摩擦し、内面側の切削面14に加熱面を形成するには、その内側湾曲部に下側環状部分33を、凹状溝17に上側環状部分35を必要な間隔を維持し、連結部34を取付部37に連結部36を介して形成した加熱用冶具30の使用が、同時に摩擦加熱することができる。この加熱用冶具30は、何れも摩擦熱を発生させる位置は、フッ素樹脂のコーティングがなされており、加熱用冶具30に軟化した樹脂が付着しないようにしている。
なお、本発明を実施する場合の加熱用冶具30は、図7に示すように、各種の形状とすることができるが、通常、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14は内側にあり、露出面になる確率は低い。発泡合成樹脂材料10の外面が意匠面となり、発泡合成樹脂材料10の内部の切削面14側は機器等を収容する場合が多い。当然ながら、そのような使用状態に一義的に決定されるものではないが、確率的に高いものである。
なお、熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10をボールエンドミル20等の刃物で特定の形状に切削加工する工程を、本実施の形態ではステップS2の切削処理工程という。また、それによって形成された面は加熱用冶具30によって物理化学的に硬化された硬化層の面となる。但し、加熱用冶具30による硬化層は、一般的に数10μmから100μm以下の層であり、連続的に変化しているから通常は面と認識されるに過ぎない。
本実施の形態における実施物からの加熱用冶具30による硬化層の確認では、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着してないこと、糸状に伸びた部位が存在してないことにより、ステップS2の冶具による処理工程がなされているか否かが確認される。
本実施の形態では、加熱用冶具30によって発泡合成樹脂材料10の切削した個所の切削面14を加熱し、温度上昇によって軟化させ、発泡合成樹脂材料10の微粒子粉体が付着しているか、糸状に伸びて部分的に毛羽立っているか、粉体化した面を有しているかの場合には、それらを物理化学的に平滑化することができる。しかし、本発明を実施する場合には、加熱用冶具30の摩擦に代えて、レーザ光のスキャンにより、発泡合成樹脂材料10の表面を軟化させ、平面的に薄く、硬く形成したものであっても同様の効果が得られた。
切削によって生じた切削面14を加熱した後に、前記切削、加熱で形成した切削加熱面に凹凸面を緩和させるステップS4で目止め剤41としての合成樹脂材料を塗布する。この目止め剤41は、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるもので、発泡合成樹脂材料10の表面にトルエン28Wt%、セルロースアセテートブチリート(CAB)15〜20Wt%、酢酸ブチル55〜60Wt%からなる混合物の目止め剤41を5〜10回塗布し、この合成樹脂材料からなる目止め剤41の塗布により発泡合成樹脂材料10のビーズの発泡の際に生ずる微細孔に対する染み込みを防止させている。しかし、気泡等の存在で1回の塗布で完全な目止めが完了しない場合には、サンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等の研磨と塗布とを繰り返し行うことになる。
発明者らは、トルエン、セルロースアセテートブチリート(CAB)、酢酸ブチルからなる混合物以外の合成樹脂材料も目止め剤41として使用できるかを試験した。結果、発泡合成樹脂材料10の表面に接着するものであり、粘度が適当に高いもので、乾燥によって剥がれない合成樹脂材料であれば、使用に耐えることが確認された。即ち、目止め剤41は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止する平滑な合成樹脂膜を作るものであり、その種類は水性目止め剤、油性目止め剤、合成樹脂目止め剤等が使用でき、特に、発泡合成樹脂材料10との接着が維持できれば、いずれでも使用が可能である。また、塗料でも使用可能であるが、価格的に不経済となることを無視すれば使用可能である。
目止め剤41は、1〜12回塗布されるが、その間に塗布し、硬化した層は、研磨による磨きを入れ、研磨ができ難くなったとき、再度の塗布を行い、その繰り返しを行う。この工程をステップS4の目止め処理工程という。この目止め剤41は研磨が可能になるように、表面をサンドペーパー(紙やすり)、耐水ペーパー等で研磨し、最初は100番程度から徐々に細かいものに変化させて研磨している。
研磨による磨きの効果が生じ難くなったとき、ステップS4の目止め処理工程から次のステップS5の下地処理工程に移行する。
なお、この目止め剤41に中空バルーンを均一分散して混合したが、隙間の間隔に応じて樹脂成分が浸透する箇所と、中空バルーンが浸透する箇所ができ、機械的強度を上げることができる。
本実施の形態で説明した加熱用冶具30による摩擦加熱、レーザ光のスキャンにより基材である発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させるステップS3の冶具による処理工程は、ステップS4の目止め処理工程が合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するという機能を有し、ステップS3の冶具による処理工程においても、摩擦加熱及び押圧により、発泡合成樹脂材料10の表面密度を上げる機能を有しているから、両工程の基本的機能として同一の効果がある。したがって、何れか一方または後の処理によっては両方の工程を省略することもできる。また、両者を使用することもできる。そして、目止め剤41に中空バルーンを均一分散して混合したときには、発泡ビーズ間の隙間に応じて樹脂成分が浸透するから、後述する下地剤43の粘度を低下すれば、その樹脂成分が浸透し、中空バルーンがそれらを覆うことから、両者を省略することもできる。
次に、ステップS5の下地処理工程では、実用化の前段階で二酸化チタン、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンを配合した下地剤43を使用した。発明者らは、二酸化チタンが着色及びバルーンとしての機能を有するものとして3Mグラスバブルズ(住友スリーエム(株)製造)の中位径15〜135μm、または、有機・無機ハイブリッドフィラーのExpancel(日本フィライト(株)製造)で10〜90μmの中位径の粒子を補充し、特性の変化を調べたが特性に変化はなかった。
そこで、ホワイトスピリット、エチレングリコール、デューロンに中空バルーンを配合した下地剤43を作成し、それを塗布し、研磨したが、実用に耐えることが確認された。
また、穴埋め剤42としてアクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンを主成分とする材料を使用したが、ステップS6の塗装処理工程で塗布する合成樹脂塗料との密着性をよくするパテ、塗料を含む合成樹脂材料にバルーンを入れて塗布するものである。前記基材となる発泡合成樹脂材料にベントホールが存在するものでは、それらベントホールの窪みを緩和させるパテ、塗料を含む合成樹脂材料を塗布する。但し、パテ、塗料を含む合成樹脂材料には、無機系バルーンまたは有機系バルーンを均一分散されているものの使用が前提となる。このとき使用できるパテとしては、ラッカーパテ、エポキシパテ、ポリエステルパテ、光硬化パテ、瞬間接着パテ等があり、発泡合成樹脂材料の種類によって選択される。また、塗装剤44の塗料は、前記パテ及び塗装処理工程における塗装剤44の種類によって決定される。
通常、発泡合成樹脂材料にベントホールが存在すると、それに対して無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンを均一分散されたパテをヘラで塗って、表面を面一とする。このとき使用するバルーンは、中位径が300μmより大きいものであると、発泡合成樹脂材料の細部に浸透し難く、また、塗り上げの厚みも下地剤43が300μm以下であるから、それ以下のバルーンの混入が好ましい。更に、好ましくは、100μm以下が望ましい。
しかし、発明者らは1μm以下のナノバルーンについても実験を行ったが、ナノバルーンでも同様の効果があることが確認された。しかし、ナノバルーンを使用すると高価となるから、商品化の観点からすると1〜300μmのマイクロバルーンの選択が望ましい。
この目止め剤41を塗布し、研磨した表面に複数回下地剤43を塗布し、そして、研磨する。塗布の仕方は、ヘラ塗りであっても、スプレーガンで噴霧してもよい。このとき、噴霧する下地剤43の粘度は、エチレングリコールの量によって調整される。
また、この下地剤43を塗布した後、下地剤43で形成した面を平滑にサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨し、複数回の塗布とその研磨を繰り返している。ここではサンドペーパー、耐水ペーパー等で研磨すると説明したが、水研ぎ等の他の研ぎ方を採用してもよい。
ここでは、ステップS5の下地処理工程で発泡合成樹脂材料10の被塗装面のビーズライン及びベントホール、その凹凸面を緩和させ平滑とすべく処理する。即ち、通常、ビーズライン及びその凹凸面のみではなく、φ2〜10mm程度のベントホールが存在する。φ2〜10mm程度のベントホール及び前の工程で除去できなかったビーズライン及びその凹凸面は、穴埋め処理で除去することになる。
ステップS5の下地処理工程では、下地剤43を作成し、これを発泡合成樹脂材料10の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、被塗装面18を平滑にする。同時に、発泡合成樹脂材料10にベントホールZが存在している場合には、穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてバルーン入りのポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下地処理工程の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、先に穴埋め剤23でベントホールZの穴埋めを行い、次いで、被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
この実施例では、ステップS5の下地処理工程で穴埋め処理が行われているが、分離して行うこともあり得るし、均一な発泡体となり得るウレタンの場合には、ステップS5で穴埋め処理を行わない場合もあり得る。何れにせよ、ステップS5の下地処理工程での穴埋め処理は、被塗装面のビーズライン及びその凹凸面、ベントホールZ等が表から確認して現出しない程度に処理できればよい。このベントホールZ等の穴埋め処理を含めて、ベントホールZ及びビーズライン及びその凹凸面を見えなく処理する工程は、ステップS5の下地処理工程を構成している。
ステップS5の下地処理工程に穴埋め処理を組み入れる事例で説明したが、本発明を実施する場合には、その程度によってはステップS4の目止め処理工程の直前または直後に行うこともできる。勿論、ベントホールZが生じていないものでは、穴埋め処理を省略できる。
即ち、ステップS5の下地処理工程は、ステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程に依存するものであり、発泡合成樹脂材料10の塗装の前準備であるから、これにより前処理工程を構成している。
次に、ステップS3乃至ステップS5からなる前処理工程によって形成した下地剤43を塗布した上を研磨し、それを複数回繰り返した後、ステップS6の塗装処理工程としての塗装剤44を塗布する。
塗装処理工程で使用する塗装剤44は、主剤1に対して、硬化剤0.6、シンナー1.2の配合で混合した塗料であり、下地剤43との相性が良く、両者間の接着力が確保されるものである。なお、樹脂塗料は白色を使用しているが、他の特定の色を使用してもよい。
更に、ステップS6の塗装処理工程で塗布した塗装剤44の上面を研磨し、その塗布と研磨を複数回繰り返す。ここでは、ステップS5の下地処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料の樹脂塗料を塗布する塗装処理工程となる。
この実施例では、樹脂塗料を♯55ウレタックス(無鉛)ホワイトとし、何色でもそこに上塗りできるようにした。即ち、この時点で他の構成部品と同一の塗装を行う場合には、他の部品と同一の塗装処理工程に入る。
前述したように、ステップS6の塗装処理工程で何色にも塗装できるようにしているが、更に、表面に塗膜を形成し、耐久性の塗料を塗布する仕上げ塗装処理を追加することができる。この仕上げ塗装処理工程では、例えば、仕上げ剤45として、硬化剤0.4Wt%に対して樹脂塗料1Wt%、シンナー0.8Wt%の配合とした塗料を塗布することができる。
実施例で使用した仕上げ剤45としては、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤であるレタンPGエコスポイラー用マルチ硬化剤(関西ペイント)を使用した。その成分は、酢酸エチル5〜10Wt%、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)UR0.1〜1Wt%、ヘキサメチレンジイノシアネート・オリゴマー5〜10Wt%、HMDI系ポリイソシアネート165〜70Wt%である。
また、樹脂塗料として、レタンPG80 531ホワイト ベース(関西ペイント)を使用した。その成分は、非結晶性シリカA1〜5Wt%、二酸化チタン20〜25Wt%、トルエン36Wt%、キシレン0.1〜1Wt%、エチルベンゼン0.1〜1Wt%、エチルアルコール0.1〜1Wt%、メチルエチルケトン1〜5Wt%、酢酸エチル1〜5Wt%、酢酸イソブチル1〜5Wt%である。
そして、シンナーとして、レタンPGシンナー超遅乾形(関西ペイント)を使用した。その成分は、石油ナフサG15〜20Wt%、石油ナフサH1〜5Wt%、キシレン20Wt%、エチルベンゼン18Wt%、クメン0.1〜1Wt%、1,3,5−トリメチルベンゼン3Wt%、ナフタレン0.1〜1Wt%、1,2,4−トリメチルベンゼン9.8Wt%、メトキシブチルアセテート1〜5Wt%、酢酸ブチル1〜5Wt%である。
ここで使用する仕上げ塗装処理層は、最表面に塗膜を形成することによって、耐久性、即ち、耐候性、耐酸性等を得るものであり、本発明を実施する場合には、通常の塗装と同様に、機械装置に応じて必要に応じ、同時に全体の塗装を行うこともできるが、別に、塗装した上で機械装置の本体等に組付けることもできる。
次に、図12及び図13、図14を用いて、発泡合成樹脂成型体の製造過程の切削処理工程及び下地処理工程について詳述する。
図12乃至図14に示すように、ステップS2の切削処理工程で熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工し、発泡合成樹脂本体40(10)を形成する。詳しくは、図13(a)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18には、刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W、その糸状部が丸まって連結された粒子化した粒子X等を有している。また、発泡合成樹脂材料10の切削されたものの、その際の付着により連結された粉体Wが付着している。また、随所にベントホールZが存在している。
それに対して、ステップS3による冶具による処理工程を経たものでは、図13(a)に示した刃物21で切断されないで糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸Wは、図13(b)に示したように、摩擦熱を受けその表面張力により、容積が最小になる。また、図13(a)に示した糸状部が丸まって連結された粒子Xと同様、摩擦熱で平滑化したり、粉体粒子となったりして離れて除去される。このとき、ベントホールZについては、開口を糸状に伸びて部分的に毛羽立っている糸W及び粉体粒子として離れて除去された粒子Xによって若干狭められる程度であり、大きな変化はない。
ステップS4の目止め処理工程では、目止め剤41を発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18に塗布している。この合成樹脂材料の目止め剤41は、発泡合成樹脂本体40(10)の被塗装面18を硬くし、研磨作業の際の逃げを防止して、その研磨を自在にし、図13(b)のように、精度の良い表面形状を得るものである。このとき、被塗装面18のビーズラインの図示しない浅い凹面は目止め剤41によって充填されることになる。通常、被塗装面18の発泡ビーズの凹面は、図13(c)のように、発泡ビーズの大きさに略対応し、下地剤43の無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の球体である中空バルーンSによってその充填数が特定される。
ステップS5の下地処理工程は、図13(c)のように、発泡合成樹脂本体40の被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を中空バルーンSで緩和させ平滑な面とすべく合成樹脂材料と共に塗布する。通常、発泡合成樹脂材料10には、大きくて、φ2〜10mm程度のベントホールZが生じている可能性があるので、その対策としてステップS5の穴埋め処理工程を進行させるのが好適である。即ち、前処理工程では、下地剤43を発泡合成樹脂本体40の被塗装面18に塗布し、乾いた状態で研磨し、それを1〜12回繰り返し、下地剤43の上表面を平滑な面にする。同時に、発泡合成樹脂本体40にベントホールZが存在している場合には、ステップS5でベントホールZの穴埋め処理を行い、穴埋め剤42としてポリエステル樹脂パテを使用し、その窪みの大きさに応じて、ステップS4の下地処理工程の下地剤43の塗布、乾燥、研磨を繰り返す。ベントホールZの大きさによっては、図13(d)に示すように、先に穴埋め剤42で中空バルーンSを利用してベントホールZの穴埋めを行い、次いで、中空バルーンSを含む下地剤43で被塗装面18の塗布、乾燥、研磨を繰り返すのが好ましい場合もある。
例えば、図14(a)に示すように、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の面には、ベントホールZ程度までは大きくないが、切削加工工程により上面に開口する発泡穴が無数に存在する。そこに対して下地剤43によって中空バルーンSを充填する。また、発泡穴よりも大きいベントホールZは穴埋め剤42によってアクリル中空ビーズ入りのアクリルエマルジョンが供給される。
ウレタンのように直接発泡を行う発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の面には、切削加工工程により上面に開口する発泡穴が無数に存在する。そこに対して下地剤43によって中空バルーンSを充填すると中空バルーンSは周囲に樹脂成分を有しているから、その中空バルーンSが発泡穴で安定し、残余の樹脂成分が被塗装面18の表面に出てくる。それによって接着力が大きくなり、かつ、表面の凹凸が平坦化される。
この状態で、図14(b)の上塗り処理工程後の断面拡大説明図に示すように、塗装剤44を下地剤43の上面に塗布し、更に必要に応じて図14(c)の仕上げ処理工程後の断面拡大説明図のように、仕上げ剤45を塗布する。
なお、図13(d)に示すように、穴埋めを先行させた事例では、図14(d)に示すように、下地剤43がそれらに塗布されることになる。
このようにして、本発明の実施の形態の発泡合成樹脂成型体を得ている。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、比重の異なる材料または比重の同じ材料を複数枚積層し、接着するステップS1からなる基材Aと基材Bの接合処理工程と、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工するステップS2からなる切削処理工程と、そのステップS2からなる切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする発泡合成樹脂材料10の被塗装面18を硬化させて研磨し、それを1〜12回繰り返すステップS3からなる冶具による処理工程と、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑とすべく無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及びその乾燥後に研磨し、下地層50を形成するステップS5の下地処理工程と、前記下地処理工程で形成した上表面の被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布してなる塗装層60からなるステップS6でなる塗装処理工程とを具備するものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体の製造方法は、ステップS2の切削処理工程で基体としての熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削して、ステップS2の切削処理工程によって生じた切削面14を含み、塗装しようとする被塗装面18の表面を硬化させ、発泡合成樹脂材料10の、例えば、発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を目立たなくするステップS3の冶具による処理工程及びステップS4の目止め処理工程及びステップS5の下地処理工程からなる前処理工程により、塗装しようとする被塗装面18のビーズラインを見えなくし、かつ、そのベントホールZ等の凹凸面を緩和させる無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく、凹凸を跨いだり、ブリッジしたり、発泡穴に落ち込んだりして目立たなくすることができ、かつ、中空バルーンとして、中空バルーンSとしても強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料10の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで、ステップS5の下地処理工程で形成した下地層50にステップS6の塗装処理工程からなる後処理工程で顔料を含む合成樹脂塗料を塗布した塗装層60とするものである。
したがって、高価な金型を製作しなくとも、切削加工することによって金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネにも、環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、熱可塑性樹脂の発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。更に、ステップS10の下地処理工程では、合成樹脂材料を塗布しているが、それは表面を硬化させ研磨によって平滑面を形成するのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
更に、ステップS5からなる下地処理工程では、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーンを均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、そして、乾燥後研磨するものであるから、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の中空バルーンSが、凹凸を跨いだり、ブリッジしたりして目立たなくすることができ、かつ、マイクロバルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に下地層50を形成することができる。また、無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体の製造方法となる。
単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるものである。したがって、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
また、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の被塗装面18を硬化させ、下地層50を形成するステップS5からなる下地処理工程は、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で加熱を行う加熱用冶具30による処理工程を含むものであるから、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面が熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10の表面が軟化され、かつ、その後、硬化されるから研磨に耐える構造となり、任意の形状に研磨加工できる。また、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10は、加熱用冶具30によって加熱を行うものであり、フライス盤、NC加工盤、自動工作機械等の加工制御が簡単化できる。
単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の被塗装面18を硬化させるステップS5からなる下地処理工程は、合成樹脂材料の塗布による染み込みを防止するステップS4からなる目止め処理工程を含むものであるから、ステップS4からなる目止め処理用の樹脂の塗布によって染み込みを防止した状態であり、研磨可能になるから、均一な研磨状態が確保でき、良好な被塗装面18が得られる。特に、先に、加熱用冶具30の回転によってその摩擦熱で表面を硬化する工程を行い、その後、目止め処理用の塗料の塗布を行うと化学的及び物理的に対応でき効果的である。
ステップS5からなる下地処理工程は、合成樹脂材料による穴埋めを行う穴埋め処理を含むものであるから、合成樹脂材料によるベントホールZ等の穴埋めにより、大きな窪み、発泡ビーズの欠損等を穴埋めし、下地層50に平滑な面を形成できる。
また、耐久性の塗料を塗布するステップS6からなる塗装処理工程は、耐久性により見栄えの良い期間が長くなり、塗装層60として安定した塗装状態が維持される。
実施例1
図1の実施の形態では、ステップS1で単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材を接合処理することを前提に説明した。このとき、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削処理を行った。
しかし、本発明を実施する場合、特に、比重が異なっている基材Aと基材Bの使用で、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合には、その成形精度を上げることができるから、両者を別々の切削処理でステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程で行い、それをステップS13の接合処理工程で接合し、そして、ステップS14で冶具による処理工程に移行、その後、図1に示すステップS4以降の処理と対応させたものである。
即ち、ステップS14で冶具による処理工程行い、ステップS15で目止め処理を行い、ステップS16で下地層50を形成する下地処理工程、ステップS17で塗装層60を形成する塗装処理工程を行うものである。
この実施例1の場合にも、前処理工程はステップS14で冶具による処理工程、ステップS15の目止め処理工程、ステップS16の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS17の塗装処理工程で構成されている。
本実施例では、ステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程で行った後、それをステップS13の接合処理工程で接合し、ステップS14で冶具による処理工程に移行、その後、図1に示すステップS4以降の処理と対応させている。しかし、ステップS11の基材Aの切削処理工程とステップS12の基材Bの切削処理工程の後、先に個々に冶具による処理工程を行い、それを接合処理工程で接合することもできる。同様に、ステップS15の目止め処理工程を省略したり、前後させたりすることができる。
また、特に、ウレタンで所定の形状に切削処理した場合には、その成形精度を上げることができるから、冶具による処理工程及び目止め処理工程を省略できる。
実施例2
また、図1の実施の形態では、基材Aと基材Bは重ね合わせた後に、一体化した発泡合成樹脂材料10として切削工程に入っている。また、図2の実施の形態では、例えば、一方がウレタンで所定の形状に成型した場合、その成型精度を上げることができる。
したがって、基材Aがポリエチレンやポリプロピレンの場合には、ステップS21及びステップS22で加工精度を上げ、ウレタン等からなる基材Bの切削処理工程で密度を上げた成型精度で加工し、ステップS24で接合処理を行い、ステップS25で下地処理工程、ステップS26で目止め処理工程、ステップS27で塗装層60を形成する塗装処理工程を行うものである。
この実施例2の場合にも、前処理工程はステップS22で冶具による処理工程、ステップS25の目止め処理工程、ステップS26の下地処理工程によって構成されており、また、後処理工程はステップS27の塗装処理工程で構成されている。
この実施例の場合にも、ウレタン等からなる基材Bの切削処理工程では、精度を上げることができるから、ポリエチレンやポリプロピレンの場合に比較して、冶具による処理工程、目止め処理工程を省略することができる。
また、ウレタン等のように直接発泡させるものでは、その面を意匠面とするか否か、直接発泡する材料を何層使用するかによって冶具による処理工程、目止め処理工程の入れるタイミング、省略が決定される。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40の所望の周囲に塗装しようとする被塗装面18を具備し、被塗装面18に塗装してなる発泡合成樹脂成型体において、所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ、及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18を硬化状態にして研磨し、かつ、被塗装面18の凹凸面を平滑にすべく無機系マイクロバルーンまたは有機系マイクロバルーンを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨し、下地層50を形成したものである。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材となる発泡合成樹脂材料10からなる発泡合成樹脂本体40の形状を所定の形状に形成すると共に、前記単一または異なる基材Aと基材Bからなる基材の塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ、または合成樹脂を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18に無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、ビーズライン及びその凹凸面を緩和させるべく前処理工程までに形成した被塗装面18、即ち、下地層50の上表面を平滑化するステップS6、ステップS17、ステップS27で形成した塗装剤44による塗装層を具備する。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、その切削面14を硬化させ、その硬化状態で研磨する。そして、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布し、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面を見えなくし、または見えないように緩和させるべくステップS6、ステップS17、ステップS27の塗装処理工程で形成する塗装層60を平滑化する。
しかも、切削面14のビーズライン及びベントホールZ及びその凹凸からなる面を緩和させる合成樹脂材料を塗布とその研磨を繰り返すことにより、発泡合成樹脂材料10の被塗装面18の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、発泡穴、その凹凸を目立たなくし、表面を平滑化することができる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸を目立たなくなったところで顔料を含む合成樹脂塗料を塗布する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は任意の形状に加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、前記所定の形状に形成してなる発泡合成樹脂本体40の被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40と、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、被塗装面18のビーズライン及びその凹凸面を緩和させ、ベントホールを合成樹脂材料による穴埋めを行うステップS2乃至ステップS5からなる前処理工程で形成された塗装層60を具備するものである。
更に、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料を塗布し、乾燥後研磨するものであるから、前記被塗装面の凹凸面を平滑に目立たなくすることができ、かつ、バルーンとして強靭な材料の使用が可能であるから、任意の強度に設定でき、また、熟練者でなくとも容易に扱うことができる。また、無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散させた合成樹脂材料であり、その混入量によって比重を任意に設定でき、発泡合成樹脂材料の比重と近似したものを使用でき、成型後に重量バランスを調整するという無駄な作業を排除できる。
よって、基材として発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む成型体として、塗装面の厚みを厚くすることなく、見栄えの良い、かつ、重量バランスの調整を要しない廉価な発泡合成樹脂成型体となる。また、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の発泡合成樹脂成型体は、基材となる熱可塑性樹脂からなる発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削加工してなる発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させ、そして、ビーズライン、発泡穴及びその凹凸面を緩和させるべく合成樹脂材料を塗布し、ベントホールZを合成樹脂材料による穴埋めを行うものである。
したがって、発泡合成樹脂材料10を特定の形状に切削し、前記切削によって生じた切削面14に、例えば、1〜300μmの範囲内の外径を有する無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーン等の中空バルーンSを均一分散してなる合成樹脂材料を塗布及び研磨することにより、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン及びその凹凸を目立たなく研磨加工できるものである。しかも、切削面14のビーズライン及びその凹凸からなる面を緩和させ、発泡合成樹脂材料の発泡体のビーズライン、その凹凸が目立たなくなった下地層50の顔料を含む合成樹脂塗料を塗布できる。そして、発泡合成樹脂材料10の発泡体のビーズライン及びベントホールZ、発泡穴、その凹凸を目立たなくなったところで、ステップS6、ステップS17、ステップS27の塗装処理工程で形成する塗装層60を平滑化する。
故に、高価な金型を製作しなくとも、発泡合成樹脂成型体を切削加工することによって、金型で制作したものと同様の発泡合成樹脂成型体が得られるから、多品種少量生産に廉価に成型体を提供できる。特に、発泡合成樹脂成型体は加工が容易であり、使用する合成樹脂のソリッド量からすれば、数分の1から数十分の1という僅かな合成樹脂の使用量によって成型体を形成できるから、省エネ及び環境負荷の軽減にも繋がる。また、発泡率を調整することにより、また、発泡合成樹脂材料10の選択により、所望の強度及び弾性の成型体が提供できる。そして、外表面は任意の塗装により、使途に応じてその塗装を選択できるから、違和感のない使用となる。
更に、ステップS3及びステップS4で、発泡合成樹脂本体40を切削して生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を加熱によって硬化させ及び/または合成樹脂材料を塗布して硬化させているが、それは表面を硬化させ研磨できるようにするのが目的であり、繰り返し塗布しても、結果的に繰り返し研磨するから、従来のように、塗膜の厚みを厚くすることはない。
よって、高価な金型を製作することなく、発泡合成樹脂材料10を用いて、特定の形状を削り出して弾性に富む発泡合成樹脂成型体となる。
上記実施の形態の前記基材となる発泡合成樹脂材料10は、1枚または複数枚積層接着してなるから、市販の発泡合成樹脂材料10を切削し、任意の形態の発泡合成樹脂成型体が得られる。
更に、ステップS5、ステップS16、ステップS26の下地処理工程を経た下地層50、即ち、発泡合成樹脂材料10の表面に合成樹脂塗料を塗布した塗装層60を具備するものであるから、安定した塗装状態が維持され、また、必要に応じて耐候性にすぐれ、紫外線に対しても変色が少ない。そして、光沢と弾性に富んだ表面を形成することができ、長期間安定した成型体となる。
上記実施の形態では、ステップS4、ステップS15、ステップS25の目止め剤41とステップS5の下地処理工程で下地剤43を塗って形成した下地層50の塗布と研磨を繰り返すものである。このとき、目止め剤と下地剤43の塗布と研磨を繰り返す回数が多いと、その各層の厚みを薄くでき、仕上げを見栄え良く、かつ、耐久性を良くすることができる。しかし、余り繰り返し回数を多くすると、生産性が低下する。したがって、発泡合成樹脂成型体の使途に応じて1〜12回程度が生産性から維持されるべき回数となる。
ステップS2、ステップS11、ステップS12、ステップS21、ステップS23の切削処理工程によって生じた切削面14を含み塗装しようとする被塗装面18を硬化させて研磨する表面は、50〜200μmの厚みとなり、上記実施例で使用した目止め剤41に拘ることなく、被塗装面18を硬化させて研磨可能にする合成樹脂材料であればよい。
また、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布するステップS5、ステップS16、ステップS26の下地処理工程を含む前処理工程によって形成される被塗装面18の厚みが、200μm以下の厚みであるが、上記実施例で使用した穴埋め剤42及び下地剤43に拘ることなく、被塗装面18のビーズライン及びベントホールZ、その凹凸面を平滑にすべく塗布及び研磨できる合成樹脂材料であればよい。
そして、ステップS5の下地処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む合成樹脂塗料を塗布するステップS6の塗装処理工程は、塗装剤44が100〜300μmの厚みであるが、塗装剤44及び仕上げ剤45に拘ることなく、前処理工程で形成した被塗装面18に顔料を含む塗布自在な合成樹脂塗料であればよい。塗料として透明であるか否かは問われる理由がない。
発明者は、1〜1000μmの範囲内の中位径の無機系中空マイクロバルーンまたは有機系中空マイクロバルーンについて実験を行い、更に、ナノバルーンの50〜100nmの無機系中空バルーンについて実験を行った。仕上がりの見栄え及び表面塗料の接着力等の特性から、マイクロバルーン及びナノバルーンの使用が可能であることが確認された。しかし、材料の価格及び許容されている塗膜の厚みから、温度変化に伴う膨張収縮から、塗膜の厚みに応じた1〜300μmの範囲内の中位径の粒子の使用が好ましいと結論された。また、二酸化チタン粒子のように中実球体によって中空バルーンS以外にも使用できることが確認され、かつ、100μmのガラス粒子について実験を行い実用化が可能なことを確認し、化学的安定な材料であれば中空でも、中実でも使用できることが確認された。
発明者は塗装剤44、仕上げ剤45について実験を行った。結論的には、如何なる塗料も下地剤43と相性の良いものであれば、塗装が可能である。しかし、弾性を有し、膨張収縮が可能なものの使用が望ましい。
また、発泡合成樹脂成型体を形成する発泡合成樹脂材料10は、比重の異なる材料を処理に応じて重ね合わせてなるものであり、例えば、比重の高い、即ち、密度の高い材料を芯材として表面に露出させ、それを意匠面とすることができる。逆に、積層した中心に配置したり、表面及び裏面に配置したりすることもできる。特に、比重の異なる材料を複数枚積層し、接着することはハイブリッド形状の基材とすることができる。
発明者は、加工品質を上げるべく実験を重ねた結果、ポリウレタン(PUR)のように、直接発泡させたものを発泡合成樹脂材料10として使用すると、被塗装面18のビーズラインが表れず、ベントホールZも殆ど生じないし、その凹凸面も切削加工精度によっては無視できる程度であるから、良好な基材であることが判明した。また、これらの材料においては、切削加工によって発泡穴が無数に生じるがそこに下地剤43の中空バルーンSを導き、また、ベントホールZが生じていた場合でも、集中的に穴埋め剤42で中空バルーンSを充填接合する。これによって、被塗装面18には表面に出てくるのは樹脂成分が多くなり、平坦な面が形成されやすくなることが判明した。
10 発泡合成樹脂材料
11,12,13 発泡合成樹脂材料
14 切削面
18 被塗装面
20 ボールエンドミル
30 加熱用冶具
40 発泡合成樹脂本体
41 目止め剤
42 穴埋め剤
43 下地剤
44 塗装剤
45 仕上げ剤
50 下地層
60 塗装層