JP5712677B2 - 硬化性樹脂組成物、当該硬化物、およびこれらから誘導される各種物品 - Google Patents
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すなわち、本発明は、一般式(1):R1Si(OR2)3(1)(式中、R1は少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜8の炭化水素基、または少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する芳香族炭化水素基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または芳香族炭化水素基を表す)で示されるエチレン性不飽和結合含有アルコキシシラン類(a1)およびエチレン性不飽和結合を有しない金属アルコキシド類(a2)を{(a2)のモル数}/{(a1)のモル数と(a2)のモル数との合計}(モル比)が0.8以下となるように含有する混合物を、固体触媒を用いて加水分解、縮合させることによって得られる実質的にシラノール基を含まないエチレン性不飽和結合含有シルセスキオキサン(A)ならびに重合開始剤(B)を必須成分として含有する硬化性樹脂組成物を基材に塗布、硬化させたコーティング層が形成されていることを特徴とする物品;エチレン性不飽和結合含有シルセスキオキサン(A)の製造に用いられる固体触媒が、イオン交換樹脂である該硬化性樹脂組成物を基材に塗布、硬化させたコーティング層が形成されていることを特徴とする当該物品;当該硬化性樹脂組成物を被着物に塗布し、これの塗布面と別の部材とを貼りあわせ、ついで硬化させて得られることを特徴とする多層構造体;ディスプレイ部材用途に適した当該多層構造体に関する。
紫外線硬化性樹脂組成物を所望の基材にコーティングし、紫外線硬化させることでコーティング層を得ることができる。基材としては、ガラス、鉄、アルミニウム、銅、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の無機基材、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PSt)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、等の有機基材など、各種公知のものを適宜に選択使用できる。また、紫外線硬化性組成物を溶剤希釈することで、コーティング性をある程度向上させることもできる。上述のような紫外線硬化性組成物をコーティングし、紫外線硬化させることで、導光板、偏光板、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、OHPフィルム、光ファイバー、カラーフィルター、光ディスク基板、レンズ、液晶セル用プラスチック基板、プリズム等の光学部材用途に適した物品を得ることができる。
所定の基材(被着物)に当該硬化性樹脂組成物を塗布し、これの塗布面と別の部材とを貼りあわせ、ついで該組成物を紫外線硬化させることで目的とするディスプレイ部材用途に適した多層構造体を得ることができる。基材としては、前記のコーティング層形成時に用いたものと同様のものを使用できる。また、接着層の発泡を防ぐため、前述のように紫外線硬化性組成物中の揮発成分を10%未満、好ましくは5%未満にするか、張り合わせ前に揮発分を除去しておくのが好ましい。上述のような紫外線硬化性組成物で接着することで、接着層が透明な接着物が得られるため、液晶パネル、ELパネル、PDPパネル、カラーフィルター、光ディスク基板等を作成するのに好適である。
紫外線硬化性樹脂組成物を厚膜塗布し、または所定の型枠に流し込んだ後、熱硬化させることで、透明な硬化物で封止された封止物品を得ることができる。このような封止物品は、発光素子、受光素子、光電変換素子、光伝送関連部品等の電子部品用途に、特に好適である。
攪拌機、冷却管、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名「KBM−5103」)59.6部、メチルトリメトキシシラン100.0部、イオン交換水31.7部([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=0.75)、酸性イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名「ダイヤイオン PK228LH」)9.6部を仕込み、80℃で1時間加水分解反応させた。反応後、イオン交換樹脂の濾過を行い、加水分解物を得た。これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート180gに溶解し次いでトリエチルアミンを0.1部仕込み、80℃で2時間縮合反応させた。反応後減圧して、残存するメタノール、水、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの一部を留去することで、縮合物(A−1)を238g得た。[未反応のアルコキシ基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.13、濃度は35.2%であった。得られた縮合物の1H−NMR測定により4−6ppmの領域にシラノール基のピークがないことを確認した。
攪拌機、冷却管、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製:商品名「SZ−6030」)91.2部、メチルトリメトキシシラン100.0部、イオン交換水31.7部([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=0.75)、酸性イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名「ダイヤイオン PK228LH」)9.6部を仕込み、80℃で1時間加水分解反応させた。反応後、イオン交換樹脂の濾過を行い、加水分解物を得た。これをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート222.0gに溶解し次いでトリエチルアミンを0.1部仕込み、80℃で2時間縮合反応させた。反応後減圧して、残存するメタノール、水、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの一部を留去することで、縮合物(A−2)を323.4g得た。[未反応のアルコキシ基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.13、濃度は35.6%であった。得られた縮合物の1H−NMR測定により4−6ppmの領域にシラノール基のピークがないことを確認した。
製造例1と同様の反応装置に、ビニルトリメトキシシラン90.0部、フェニルトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製)120.4部、イオン交換水131.3部([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)と成分(a2)に含まれる各アルコキシ基の合計モル数](モル比)=2.0)、酸性イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:商品名「ダイヤイオン PK228LH」)3.7部を仕込み、80℃で2時間加水分解反応させた。反応後、トルエン126.5gに溶解し、加熱した。72℃まで昇温したところで、加水分解によって発生したメタノールが留去され始めた。メタノールの留去を1時間行った後にトルエン457.4gを仕込み、減圧して、残存するメタノール、水、トルエンを留去し、メチルエチルケトン101.7gに溶解し、イオン交換樹脂の濾過を行い、縮合物(A−3)を242.9g得た。[未反応の水酸基およびアルコキシ基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0、濃度は52.1%であった。得られた縮合物の1H−NMR測定により4−6ppmの領域にシラノール基のピークがないことを確認した。
製造例1と同様の反応装置に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン59.6部、メチルトリメトキシシラン100.0部、イオン交換水31.7部([加水分解反応に用いる水のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)=0.75)、95%ギ酸0.9部、トルエン80部を仕込み、室温で30分間加水分解反応させた。反応後、加熱し、70℃まで昇温したところで、加水分解によって発生したメタノールが留去され始めた。75℃まで昇温し、縮合反応によって発生した水を留去した。さらに30分、75℃で反応させた後、50℃で3時間、段階的に圧力を下げながら減圧して、残存するメタノール、水、ギ酸、トルエンを留去しプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150g仕込み、縮合物(A−4)を233g得た。[未反応の水酸基およびアルコキシ基のモル数]/[成分(a1)に含まれるアルコキシ基のモル数](モル比)は0.15、濃度は35.8%であった。得られた縮合物の1H−NMR測定により4−6ppmの領域にシラノール基のピークが存在することを確認した。
製造例1で得られた縮合物(A−1)100部に対し、成分(B)としてサンエイドSI−L110(三新化学工業(株))2部を配し、紫外線硬化性組成物とした。
実施例1で得られた紫外線硬化組成物をガラス上に膜厚100μmで塗布し、120℃で30分間のプレキュア後、2000mJ/cm2でUV照射(365nm高圧水銀灯)を行い、次いで200℃で1時間のアフターキュアを行い紫外線硬化物とした。
実施例1で得られた紫外線硬化組成物を硬化後膜厚が約0.5mmとなるようアルミカップに流し込み、120℃で30分間のプレキュア後、2000mJ/cm2でUV照射(365nm高圧水銀灯)を行い、次いで200℃で1時間のアフターキュアを行い紫外線硬化物とした。
実施例1で得られた紫外線硬化組成物を硬化後膜厚が約0.5mmとなるようアルミカップに流し込み、120℃で30分間のプレキュア後、2000mJ/cm2でUV照射(365nm高圧水銀灯)を行い、次いで200℃で1時間のアフターキュアを行い紫外線硬化物とした。
実施例1で得られた熱硬化組成物を表1に示す基材上に膜厚100μmで塗布し、120℃で30分間のプレキュア後、2000mJ/cm2でUV照射(365nm高圧水銀灯)を行い、次いで200℃で1時間のアフターキュアを行い紫外線硬化物とした。
比較製造例1で得られた縮合物(A−4)100部に対し、成分(B)としてサンエイドSI−L110(三新化学工業(株))2部を配し、紫外線硬化性組成物とした。
実施例3で得られた硬化物および膜厚0.5mmのポリメチルメタクリレートフィルム(比較例2という)を5mm×25mmにカットし、粘弾性測定器(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、商品名「DMS6100」、測定条件:振動数1Hz、スロープ3℃/分)を用いて動的貯蔵弾性率を測定して、耐熱性を評価した。測定結果を図1に示す。
ポリメチルメタクリレートの酢酸ブチル溶液をガラス上に膜厚100μmで塗布し、120℃で30分間の乾燥を行い硬化物とした。
実施例1で得られた紫外線硬化性組成物および、比較例1で得られた紫外線硬化性組成物を遮光し、室温にて24時間保管した際の粘度安定性を評価した。結果を表2に示す。
○:粘度上昇が50%未満である。
×:粘度上昇が50%以上である。
実施例3で得られた硬化物の測定波長590nmでの透過率を表3に示す。可視光領域での高い透過率を示している。
実施例2および比較例3で得られた硬化物をJIS K−5400の一般試験法による碁盤目セロハンテープ剥離試験、鉛筆硬度試験により評価した。結果を表4に示す。表4より明らかなように、実施例2は、比較例3と比べて、密着性、鉛筆硬度が大きく向上していることが分かる。
実施例5〜8で得られた硬化物をJIS K−5400の一般試験法による碁盤目セロハンテープ剥離試験により評価した。結果を表5に示す。表5より明らかなように、実施例5〜8の硬化物は有機基材への密着性が良好であることが分かる。
実施例3および4で得られた硬化物をアッベ屈折率計((株)アタゴ製:商品名「多波長アッベ屈折計 DR−M2」)を用いて589nmでの屈折率を測定した。結果を表6に示す。表6から明らかなように屈折率の調整を行うことが可能である。
Claims (4)
- 一般式(1):
R1Si(OR2)3
(式中、R1は少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する炭素数1〜8の炭化水素基、または少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する芳香族炭化水素基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、または芳香族炭化水素基を表す)で示されるエチレン性不飽和結合含有アルコキシシラン類(a1)およびエチレン性不飽和結合を有しない金属アルコキシド類(a2)を{(a2)のモル数}/{(a1)のモル数と(a2)のモル数との合計}(モル比)が0.8以下となるように含有する混合物を、固体触媒を用いて加水分解、縮合させることによって得られる実質的にシラノール基を含まないエチレン性不飽和結合含有シルセスキオキサン(A)ならびに重合開始剤(B)を必須成分として含有する硬化性樹脂組成物を基材に塗布、硬化させたコーティング層が形成されていることを特徴とする物品。 - エチレン性不飽和結合含有シルセスキオキサン(A)の製造に用いられる固体触媒が、イオン交換樹脂である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を基材に塗布、硬化させたコーティング層が形成されていることを特徴とする物品。
- 請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物を被着物に塗布し、これの塗布面と別の部材とを貼りあわせ、ついで硬化させて得られることを特徴とする多層構造体。
- ディスプレイ部材用途に適した請求項3に記載の多層構造体。
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