JP5892464B2 - Uvカチオン硬化型塗料組成物、それを用いた硬化塗膜およびその製造方法 - Google Patents

Uvカチオン硬化型塗料組成物、それを用いた硬化塗膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、UVカチオン硬化型塗料組成物、それを用いた硬化塗膜およびその製造方法に関する。
UVカチオン硬化型塗料組成物は、UVラジカル硬化型塗料組成物と比較して、(i)酸素による硬化阻害を受けにくい、(ii)光照射後も硬化反応が進行する、(iii)モノマーとして開環重合型モノマーを使用すると硬化時の体積収縮を低減することができ、硬化塗膜の残存応力が小さくなり、密着性に優れた硬化塗膜が得られる、といった利点がある。しかしながら、UVカチオン硬化型モノマーは、UVラジカル硬化型モノマーと比較して重合速度が遅いため、表面硬度が十分に高い硬化塗膜を形成することは困難であった。
そこで、光硬化性を高めたUVカチオン硬化型樹脂組成物として、金属酸化物微粒子を配合した樹脂組成物が提案されている(例えば、特開2000−26730号公報(特許文献1)、国際公開第2004/033532号(特許文献2)、特開2005−89697号公報(特許文献3))。このような樹脂組成物においては、金属酸化物微粒子の分散性を高めるために、有機シラン化合物などの分散剤などを用いて金属酸化物微粒子を均一に分散させている。しかしながら、高硬度の硬化塗膜を得るためには、分散剤を用いた金属酸化物微粒子の分散方法は必ずしも十分な方法とは言えず、さらに高度に金属酸化物微粒子などの無機微粒子を樹脂中に分散させる必要があった。
一方、無機微粒子の表面を有機化合物で処理した有機無機複合体を樹脂中に分散させた樹脂組成物としては、エポキシ基を有するマグネシウムケイ素系層状高分子とポリメルカプタンやエポキシ化合物とを含有する接着剤(特開平9−71763号公報(特許文献4)、特開2008−115299号公報(特許文献5))が提案されており、このような接着剤を熱硬化させることによって強固な接着力を発現させている。
特開2000−26730号公報 国際公開第2004/033532号 特開2005−89697号公報 特開平9−71763号公報 特開2008−115299号公報
しかしながら、特許文献4〜5に記載の有機無機複合体をUVカチオン硬化型塗料組成物に配合すると、十分な硬度を有する硬化塗膜は得られるものの、耐水性に優れた透明な硬化塗膜を得ることは困難であった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、基材に対する密着性を損なわずに、十分な硬度を有し、耐水性に優れた透明な硬化塗膜を形成することができるUVカチオン硬化型塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、エポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基を有し且つMg原子などの2価の金属原子とAl原子などの3価の金属原子とを含有する2価−3価金属系有機無機層状複合体が、UVカチオン硬化型塗料組成物中において優れた分散性を示し、その結果、十分な硬度を有し、耐水性に優れた透明な硬化塗膜が得られることを見出した。さらに、上記のような2価−3価金属系有機無機層状複合体であっても3価の金属原子であるAl原子の含有量が多くなりすぎると、硬化塗膜の耐水性が低下することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物は、下記式(1):
[R nSiO(4-n)/2x[(M 2/2O)y(M 2/3O)z][H2O]w (1)
(式(1)中、Rはエポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基を有する有機基を表し、Mは2価の金属原子であるマグネシウム(Mg)原子を表し、Mは3価の金属原子であるアルミニウム(Al)原子を表し、nは1〜3の整数であり、x、yおよびzは、0.5≦x/(y+2z/3)≦3で表される条件を満たす任意の数であり、wは構造水の分子数を表す。)
で表され、マグネシウム(Mg)原子アルミニウム(Al)原子の合計原子数100に対してアルミニウム(Al)原子の原子数が50〜67%である2価−3価金属系有機無機層状複合体、
UVカチオン硬化型モノマー、および
光カチオン重合開始剤
を含有することを特徴とするものである。また、本発明の硬化塗膜は、このような本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物からなる塗膜に紫外線を照射して、前記塗膜を光硬化させることによって得られるものである。
本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物において前記UVカチオン硬化型モノマーとしては、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、ビニルエーテル系化合物およびスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
なお、前記官能基を有し且つ2価の金属原子と3価の金属原子とを含有する2価−3価金属系有機無機層状複合体において、3価の金属原子であるAl原子の含有量が多くなりすぎると、硬化塗膜の耐水性が低下する理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明にかかる2価−3価金属系有機無機層状複合体は、エポキシ基などの官能基を有するオルガノアルコキシシランと2価の金属原子を含む2価金属化合物と3価の金属原子を含む3価金属化合物とを加水分解するとともに脱水縮合させることによって形成される。このとき、3価金属化合物として塩化アルミニウムの水和物を使用すると、塩化アルミニウムが求核試薬として作用し、エポキシ基、オキセタニル基およびビニル基が加水分解または加溶媒分解により開裂すると推察される。エポキシ基などの官能基は、開裂するとUVカチオン硬化型モノマーと反応しないため、有機無機層状複合体とUVカチオン硬化型モノマーとの架橋反応が進行せず、硬化塗膜の耐水性が低下すると推察される。そして、エポキシ基、オキセタニル基およびビニル基の開裂は、塩化アルミニウムの水和物の量が多くなるほど顕著に現れるため、Al原子の含有量が67%を超える2価−3価金属系有機無機層状複合体を含有するUVカチオン硬化型塗料組成物においては、硬化塗膜の耐水性が特に低くなると推察される。
本発明によれば、分散性に優れた有機無機層状複合体を含有し、基材に対する優れた密着性を損なわずに、十分な硬度を有し、耐水性に優れた透明な硬化塗膜を得ることが可能となる。
本発明にかかる2価−3価金属系有機無機層状複合体の層構造の一例を示す模式図である。 従来の2価金属系有機無機層状複合体の層構造の一例を示す模式図である。 調製例1〜5で得られた各層状複合体の13C−CP/MAS NMRスペクトルを示すグラフである。 (a)脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)、(b)3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、(c)脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートとの混合物のX線回折パターンを示すグラフである。 (a)グリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)、(b)3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、(c)グリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートとの混合物のX線回折パターンを示すグラフである。 実施例1で得られた薄膜(硬化塗膜)を示す写真である。 実施例2で得られた薄膜(硬化塗膜)を示す写真である。 実施例3で得られた薄膜(硬化塗膜)を示す写真である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物は、エポキシ基などの官能基と2価の金属原子と3価の金属原子とを含有する2価−3価金属系有機無機層状複合体、UVカチオン硬化型モノマー、および光カチオン重合開始剤を含有するものである。
(2価−3価金属系有機無機層状複合体)
本発明に用いられる2価−3価金属系有機無機層状複合体(以下、単に「本発明にかかる有機無機層状複合体」ともいう。)は、下記式(1):
[R nSiO(4-n)/2x[(M 2/2O)y(M 2/3O)z][H2O]w (1)
(式(1)中、Rはエポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基を有する有機基を表し、Mは2価の金属原子を表し、Mは3価の金属原子を表し、nは1〜3の整数であり、x、yおよびzは、0.5≦x/(y+2z/3)≦3で表される条件を満たす任意の数であり、wは構造水の分子数を表す。)
で表されるものである。
本発明にかかる有機無機層状複合体は、図1に示すように、中心原子として2価の金属原子Mおよび3価の金属原子Mを含有する8面体構造により形成された層(以下、「8面体シート」という)1aおよび中心原子としてSi原子を含有する4面体構造により形成された層(以下、「4面体シート」という)1bからなる無機層1と、前記Si原子に共有結合により結合し且つエポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基Xを有する有機基2aからなる有機層2とによって形成される層構造(図1は2:1型層状ケイ酸塩構造を示す。)を有するものであると推察される。
このような8面体シートの中心原子として2価の金属原子Mと3価の金属原子Mとが混在する有機無機層状複合体は、図2に示すような8面体シートの中心原子として2価の金属原子Mのみを含有する有機無機層状複合体に比べて、UVカチオン硬化型塗料組成物中での分散性に優れる傾向にある。その結果、8面体シートの中心原子として2価の金属原子Mと3価の金属原子Mとが混在している有機無機層状複合体は、得られる硬化塗膜中においても高度に分散しており、十分な硬度を有し、透明性に優れた硬化塗膜を形成することが可能となる。
本発明にかかる有機無機層状複合体において、3価の金属原子の原子数は2価の金属原子と3価の金属原子との合計原子数100に対して1〜67%である。3価の金属原子の原子数が前記下限未満になると、本発明にかかる有機無機層状複合体のUVカチオン硬化型塗料組成物中での分散性が低下し、他方、前記上限を超えると、3価の金属原子としてAl原子を用いた場合において、エポキシ基などの官能基が開裂するため、本発明にかかる有機無機層状複合体とUVカチオン硬化型モノマーとの架橋反応が進行せず、硬化塗膜の耐水性が低下する。また、エポキシ基などの官能基が開裂しにくくなるという観点から、前記3価の金属原子の含有量は55%以下であることが好ましい。
また、本発明にかかる有機無機層状複合体においては、前記3価の金属原子の含有量が45%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。前記3価の金属原子の含有量が前記範囲にあると、シロキサン結合の含有量がシラノール基に比べて多くなり、4面体シートの機械的強度(例えば、硬度)が向上するため、本発明にかかる有機無機層状複合体の機械的強度(例えば、硬度)が向上し、本発明の硬化塗膜の表面硬度が高くなる傾向にある。
さらに、本発明にかかる有機無機層状複合体においては、前記3価の金属原子の含有量が10%以下であることが特に好ましい。3価の金属原子の含有量が10%以下になると、8面体シートの機械的強度(例えば、硬度)がさらに向上するため、本発明にかかる有機無機層状複合体の機械的強度(例えば、硬度)が向上し、本発明の硬化塗膜の表面硬度が高くなる傾向にある。
本発明にかかる前記式(1)中のMは2価の金属原子を表す。このような2価の金属原子としては、マグネシウム(Mg)、ニッケル(II)(Ni(II))、コバルト(II)(Co(II))、銅(II)(Cu(II))、マンガン(Mn)、鉄(II)(Fe(II))、リチウム(Li)、バナジウム(II)(V(II))、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)が挙げられ、中でも、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物中において、本発明にかかる有機無機層状複合体の分散性が高くなるという観点から、マグネシウム(Mg)、ニッケル(II)(Ni(II))が好ましく、マグネシウム(Mg)が特に好ましい。本発明にかかる有機無機層状複合体は、このような2価の金属原子のうちの1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
また、前記式(1)中のMは3価の金属原子を表す。このような3価の金属原子としては、アルミニウム(Al)、鉄(III)(Fe(III))が挙げられ、中でも、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物中において、本発明にかかる有機無機層状複合体の分散性が高くなるという観点から、アルミニウム(Al)が好ましい。本発明にかかる有機無機層状複合体は、このような3価の金属原子のうちの1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
本発明にかかる前記式(1)中のRはエポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基を有する有機基を表し、後述する本発明にかかる有機無機層状複合体の製造方法に用いられる前記官能基を有するオルガノアルコキシシランに由来するものである。本発明にかかる有機無機層状複合体は、このような官能基を有する有機基を備えているため、UVカチオン硬化型モノマーと架橋構造を形成することができ、その結果、耐水性に優れた硬化塗膜が得られる。前記エポキシ基としては、グリシジル基、脂環式エポキシ基などが挙げられ、中でも、UVカチオン硬化型モノマーとの反応性が高くなるという観点から、脂環式エポキシ基が好ましい。また、前記有機基の炭素数としては特に制限はないが、例えば、3〜18が好ましく、3〜12がより好ましい。
このような有機基としては、前記官能基を有する限り、特に制限はなく、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基)、アリール基(例えば、フェニル基)などの炭化水素基に前記官能基が結合したものが挙げられる。
前記式(1)中のx、yおよびzは、本発明にかかる有機無機層状複合体を製造する際に用いられる原料に含まれるケイ素原子、2価の金属原子および3価の金属原子の量に基づいて求めることができる。x/(y+2z/3)は、本発明にかかる有機無機層状複合体に含まれるSi原子と金属原子(2価の金属原子および3価の金属原子)とのモル比を表す。
また、前記構造水は、4面体シート中のシラノール基を構成する水酸基や8面体シート中の2価または3価の金属原子に結合した水酸基などに由来するものであり、その存在は、核磁気共鳴(NMR)測定によって確認することができる。なお、4面体構造にシラノール基が含まれている場合があるため、wの値は整数に限定されない任意の数であるが、[(y+z)/(y+2z/3)]−1≦w/(y+2z/3)≦[(y+z)/(y+2z/3)]+(1/2)で表される条件を満たすことが好ましい。w/(y+2z/3)は、構造水と金属原子(2価の金属原子および3価の金属原子)とのモル比を表す。
本発明にかかる有機無機層状複合体は、例えば、以下で説明する調製工程、反応工程および除去工程を経て調製することができる。
[調製工程]
先ず、エポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(以下、「官能基含有オルガノアルコキシシラン」)、2価の金属原子を含む2価金属化合物および3価の金属原子を含む3価金属化合物を極性溶媒である第一溶媒に溶解して、ケイ素原子と2価の金属原子と3価の金属原子とを含有する原料溶液を調製する。なお、この工程における「溶解」は、前記官能基含有オルガノアルコキシシラン、2価金属化合物および3価金属化合物のうちの1種または2種以上が第一溶媒に粒子として分散した状態を含むものとする。
本発明に用いられる前記官能基含有オルガノアルコキシシランとしては、下記式(2):
Si(OR(4−n) (2)
(式(2)中、Rはエポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基を有する有機基を表し、ORはアルコキシ基を表し、nは1〜3の整数である。)
で表されるものであれば特に制限はない。この官能基含有オルガノアルコキシシランを構成するSi原子は、本発明にかかる有機無機層状複合体を構成するSi原子(好ましくは、本発明にかかる有機無機層状複合体中の4面体シートの中心原子であるSi原子)となり、前記式(2)中の有機基Rは、本発明にかかる有機無機層状複合体中の有機層を構成する前記官能基を有する有機基Rとなる。
前記式(2)中のORはアルコキシ基を表す。このようなアルコキシ基としては特に制限はないが、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。前記官能基含有オルガノアルコキシシランは、このようなアルコキシ基のうちの1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
前記官能基含有オルガノアルコキシシランとしては、下記式(2a)で表されるエポキシシクロヘキシル基を有するアルコキシシランなどの脂環式エポキシ系オルガノアルコキシシラン、下記式(2b)で表されるグリシジル基を有するアルコキシシランなどのグリシジル系オルガノアルコキシシラン、下記式(2c)で表されるオキセタニル基を有するアルコキシシランなどのオキセタン系オルガノアルコキシシラン、下記式(2d)で表されるビニルオキシ基を有するアルコキシシランなどのビニルエーテル系オルガノアルコキシシランが挙げられる。これらの中でも、本発明にかかる有機無機層状複合体とUVカチオン硬化型モノマーとの反応性が高くなり、硬化塗膜の耐水性が向上するという観点から、下記式(2a)で表される脂環式エポキシ系オルガノアルコキシシランが好ましい。このような官能基含有オルガノアルコキシシランは、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
前記式(2a)〜(2d)中、ORは、前記式(2)中のORと同義であり、Rは、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜8の有機基を表し、Rは炭素数1〜3の有機基を表し、nは前記式(2)中のnと同義である。
前記式(2a)で表されるエポキシシクロヘキシル基含有アルコキシシランとしては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。前記式(2b)で表されるグリシジル基含有アルコキシシランとしては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
また、前記式(2c)で表されるオキセタニル基含有アルコキシシランとしては、例えば、[(3−メチルオキセタン−3−イル)−メチロキシプロピル]−トリメトキシシラン、[(3−メチルオキセタン−3−イル)−メチロキシプロピル]−トリエトキシシラン、[(3−メチルオキセタン−3−イル)−メチロキシプロピル]−メチルジエトキシシラン、2−[(3−メチルオキセタン−3−イル)−メチロキシプロピル]−エトキシエチルトリメトキシシラン、2−[(3−メチルオキセタン−3−イル)−メチロキシプロピル]−エトキシエチルトリエトキシシラン、2−[(3−メチルオキセタン−3−イル)−メチロキシプロピル]−エトキシエチルメチルジエトキシシランなど、特開2000−26730公報の段落[0040]〜[0041]に記載のアルコキシシランが挙げられる。前記式(2d)で表されるビニルエーテル基含有アルコキシシランとしては、例えば、2−(ビニルオキシ)エチルトリメトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルトリエトキシシラン、2−(ビニルオキシ)エチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
また、本発明にかかる有機無機層状複合体に含まれる官能基の量を調整するために、必要に応じて、官能基を有しないオルガノアルコキシシランや有機基を含有しないアルコキシシランを前記官能基含有オルガノアルコキシシランと併用することができる。官能基を有しないオルガノアルコキシシランとしては、アルキル系アルコキシシラン、芳香族アルコキシシランなどが挙げられる。また、有機基を含有しないアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトシキシラン(TEOS)、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどが挙げられる。このようなアルコキシシランは、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。なお、官能基を有しないオルガノアルコキシシランや有機基を含有しないアルコキシシランの使用割合が多い場合には、本発明にかかる有機無機層状複合体において、UVカチオン硬化型モノマーとの反応点が少なくなり、硬化塗膜の耐水性が低下する傾向にある。従って、本発明にかかる有機無機層状複合体を調製する際に官能基を有しないオルガノアルコキシシランや有機基を含有しないアルコキシシランを使用する場合には、これらのアルコキシシランの使用量(併用する場合にはそれらの合計量)を全アルコキシランの使用量(官能基含有オルガノアルコキシシラン、官能基を有しないオルガノアルコキシシランおよび有機基を含有しないアルコキシシランの合計量)の50モル%以下にすることが好ましい。
本発明に用いられる2価金属化合物としては、上述した2価の金属原子を含む金属化合物であれば特に制限はないが、官能基含有オルガノアルコキシシランや3価金属化合物との反応性の観点から、2価の金属原子の無機塩、有機塩、アルコキシドが好ましい。無機塩としては、塩化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩などが好ましく、有機塩としては、酢酸塩などが好ましく、アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどが好ましい。このような2価金属化合物は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる3価金属化合物としては、上述した3価の金属原子を含む金属化合物であれば特に制限はないが、官能基含有オルガノアルコキシシランや2価金属化合物との反応性の観点から、3価の金属原子の無機塩、有機塩、アルコキシドが好ましい。無機塩としては、塩化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩などが好ましく、有機塩としては、酢酸塩などが好ましく、アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドなどが好ましい。このような3価金属化合物は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
この調製工程においては、このような官能基含有オルガノアルコキシシラン、2価金属化合物および3価金属化合物を極性溶媒である第一溶媒に溶解して原料溶液を調製する。このとき用いられる第一溶媒としては、極性溶媒であれば、無機系極性溶媒(例えば、水、無機酸)、有機系極性溶媒(例えば、アルコール、アセトン、有機酸)、およびこれら2種以上の混合溶媒のいずれの溶媒も用いることができるが、中でも、水、水溶性有機溶媒(例えば、炭素数1〜5の鎖状アルコールなどの低級アルコール、アセトン)、およびこれら2種以上の混合溶媒が好ましい。
また、このような調製工程においては、得られる原料溶液中に含まれるケイ素原子と金属原子の原子比(ケイ素原子数/2価の金属原子と3価の金属原子の合計原子数。以下、「ケイ素原子数/金属原子数」とも表す。)が0.5以上3以下となるように、前記原料溶液を調製する。原料溶液中のケイ素原子と金属原子の原子比を前記範囲に調整することによって、中心原子がケイ素原子である4面体シートと中心原子が2価および3価の金属原子である8面体シートからなる2:1型または1:1型のフィロケイ酸塩構造を有する無機層を形成することができる。特に、ケイ素原子数/金属原子数を1以上3以下に調整することによって2:1型のフィロケイ酸塩構造を有する無機層を形成することができ、0.5以上1以下に調整することによって1:1型のフィロケイ酸塩構造を有する無機層を形成することができる。
さらに、このような調製工程においては、得られる原料溶液中に含まれる3価の金属原子の原子数を2価の金属原子と3価の金属原子の合計原子数100に対して1〜67%となるように、前記原料溶液を調製する。3価の金属原子の原子数が前記上限を超えると、3価の金属原子としてAl原子を用いた場合において、エポキシ基などの官能基が開裂してUVカチオン硬化型モノマーとの架橋反応が進行せず、硬化塗膜の耐水性が低下する。また、エポキシ基などの官能基が開裂しにくくなるという観点から、前記3価の金属原子の含有量を55%以下に調整することが好ましい。
また、このような調製工程においては、前記3価の金属原子の含有量を45%以下に調整することが好ましく、30%以下に調整することがより好ましく、15%以下に調整することがさらに好ましい。これにより、シロキサン結合の含有量をシラノール基に比べて多くすることができ、その結果、4面体シートの機械的強度(例えば、硬度)が高くなるため、本発明にかかる有機無機層状複合体の機械的強度(例えば、硬度)も高くなり、本発明の硬化塗膜の表面硬度が高くなる傾向にある。
さらに、このような調製工程においては、前記3価の金属原子の含有量を10%以下に調整することが特に好ましい。これにより、8面体シートの機械的強度(例えば、硬度)がさらに向上するため、本発明にかかる有機無機層状複合体の機械的強度(例えば、硬度)が向上し、本発明の硬化塗膜の表面硬度が高くなる傾向にある。
[反応工程]
次に、前記官能基含有オルガノアルコキシシランと前記2価金属化合物と前記3価金属化合物とを加水分解するとともに脱水縮合させて、ケイ素原子と2価の金属原子と3価の金属原子とを含有する2価−3価金属系有機無機層状複合体を合成する。前記調製工程において調製した原料溶液中に水が存在する場合には、前記官能基含有オルガノアルコキシシランと前記2価金属化合物と前記3価金属化合物は加水分解されるとともに脱水縮合する。一方、前記原料溶液中に水が存在しない場合には、原料溶液に水を添加することによって上記の加水分解反応および脱水縮合反応が進行する。このような水の添加量としては、前記官能基含有オルガノアルコキシシラン、前記2価金属化合物および前記3価金属化合物を十分に加水分解することができる量であれば特に制限はない。
また、このような反応工程においては、原料溶液のpHをアルカリ性に調整することが好ましい。これにより、前記官能基含有オルガノアルコキシシランと前記2価金属化合物と前記3価金属化合物との反応を促進させることができる。このようなpH調整は、2価および3価の金属化合物として2価および3価の金属原子の無機塩および/または有機塩を使用する場合に特に有効である。前記pH調整において添加するアルカリとしては特に制限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどを水溶液の状態で添加することが好ましい。このようにして調整される原料溶液のpHとしては、所望の程度以上の速度で結晶化が起こるpHであり且つ有機基が損なわれるような強アルカリ性でなければ特に制限はなく、また、前記官能基含有オルガノアルコキシシランと2価および3価の金属化合物の種類に依存するため一律には規定できないが、pH8〜10程度に調整することが好ましい。
このように、原料溶液中に水または水とアルカリが存在すると、前記官能基含有オルガノアルコキシシラン並びに2価および3価の金属化合物のうち、先ず、2価および3価の金属化合物が加水分解され、もしくは金属水酸化物となり、いずれの場合においても−M−OHおよび−M−OHが生成する。このとき形成される加水分解物もしくは金属水酸化物の結晶構造は、中心原子として2価の金属原子および3価の金属原子を含有する8面体構造であると推察され、この8面体構造が成長することによって8面体シートが形成されると推察される。その後、−M−OHおよび−M−OHは、前記官能基含有オルガノアルコキシシランの加水分解を促進させるとともに、加水分解により生成したシラノール基(Si−OH)と脱水縮合することによって、R−Si−O−MおよびR−Si−O−Mで表される結合を形成する。このとき、中心原子としてSi原子を含有する4面体構造が前記8面体構造に結合した状態で形成され、この4面体構造が8面体構造の成長に追従して成長することによって、4面体シートが形成されると推察される。
このような加水分解反応および脱水縮合反応は、室温付近の温度で十分に進行するが、有機基を損なわない程度の一定の高い温度下で行ってもよい。また、このような反応は、条件次第で、直ちに完了する場合もあり、ある程度(例えば、1〜2日間程度)のエージングを要する場合もある。
原料溶液(水やアルカリを添加した場合にはそれらの含むもの)における本発明にかかる有機無機層状複合体の原料(前記官能基含有オルガノアルコキシシラン、2価金属化合物および3価金属化合物、並びに使用した場合には官能基を有しないオルガノアルコキシシランおよび有機基を含有しないアルコキシシラン)の初期含有量は特に制限はなく、また、前記官能基含有オルガノアルコキシシラン並びに2価および3価の金属化合物の分子量に依存するため一律には規定できないが、原料溶液の総量100質量%に対して前記原料の総量が25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
[除去工程]
次に、前記反応工程で得られた溶液に、この溶液と相溶しない第二溶媒を加えて本発明にかかる有機無機層状複合体を第二溶媒に溶解させる。前記反応工程で得られた溶液と第二溶媒は2相に分離しているため、第二溶媒と相溶しない溶液を除去することによって、本発明にかかる有機無機層状複合体を第二溶媒に溶解した状態で回収することができる。
前記第二溶媒としては、前記反応工程で得られた溶液と相溶せず、本発明にかかる有機無機層状複合体を溶解させることができるものであれば特に制限はないが、例えば、第一溶媒として水、水溶性有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を使用した場合には、前記反応工程で得られる溶液が水溶液または水性溶液であるため、水溶液または水性溶液からの抽出溶媒として使用される有機溶媒を第二溶媒として使用することができる。このような有機溶媒としては、例えば、n−ペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルプロパン、n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、n−ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、n−オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−ノナン、n−デカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル;オルト蟻酸トリエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,2,2,−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。このような有機溶媒は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明にかかる有機無機層状複合体は、親水性の無機層と疎水性の有機層を備えるものであるため、界面活性剤と同様に機能し、前記反応工程で得られた溶液と第二溶媒との相分離を妨げる傾向がある。このような傾向は、第二溶媒の疎水性が強いほど顕著であるため、第二溶媒としては、酢酸エチル、トルエンおよびクロロホルムといった、水や水性溶媒と若干相溶する有機溶媒が好ましい。
このような除去工程においては、前記反応工程で得られた溶液に第二溶媒を加えた後、十分に混合し、平衡状態となるように静置する。これにより、溶液は上層と下層の2層に分離する。例えば、第一溶媒として水、水溶性有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を使用した場合、通常、下層に水溶液または水性溶液、上層に第二溶媒を含む溶液が位置する。このとき、上層の第二溶媒を含む溶液には主として本発明にかかる有機無機層状複合体が溶質として存在する。一方、下層の水溶液または水性溶液には不純物(例えば、pH調整の際に生成した副生成物、必要以上に無機成分が多く含まれる有機無機複合体、未反応物など)が溶質として存在する。なお、第二溶媒がハロゲン系溶媒のように水より比重が重い溶媒である場合には、上層に水溶液または水性溶液、下層に第二溶媒を含む溶液が位置する。
なお、この除去工程においては、必要に応じて第二溶媒の種類を変更するなどして、同様の手順(抽出操作)を複数回繰り返してもよい。
[回収工程]
次に、前記除去工程で得られた本発明にかかる有機無機層状複合体を含有する溶液から第二溶媒を除去して、本発明にかかる有機無機層状複合体を固体(好ましくは粉体、より好ましくは微粒子)の状態で回収する。第二溶媒の除去方法としては、エバポレータなどを用いて第二溶媒を蒸発させる方法が挙げられる。特に、第二溶媒として酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、およびこれら2種以上の混合溶媒を使用した場合には、本発明にかかる有機無機層状複合体を高温に曝すことなく第二溶媒を蒸発させることができる。
(UVカチオン硬化型モノマー)
本発明に用いられるUVカチオン硬化型モノマーとしては特に制限はなく、従来のUVカチオン硬化型塗料組成物に用いられるモノマーを使用することができる。このようなUVカチオン硬化型モノマーは、(i)酸素による硬化阻害を受けにくい、(ii)光照射後も硬化反応が進行するといった利点があり、さらに、開環重合型モノマーを使用すると、(iii)硬化時の体積収縮を低減することができ、硬化塗膜の残存応力が小さくなり、密着性に優れた硬化塗膜が得られる、という利点もある。すなわち、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物を空気中で光硬化させても、基材に対して高い密着性を有し、透明性および表面硬度に優れた硬化塗膜を得ることができる。
このようなUVカチオン硬化型モノマーとしては、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、ビニルエーテル系化合物、スチレン系化合物などが挙げられる。これらのUVカチオン硬化型モノマーは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。また、このようなUVカチオン硬化型モノマーのうち、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物において優れた光硬化性が得られるという観点から、脂環式エポキシ化合物(より好ましくは、下記式(i)で表されるもの)、オキセタン化合物(より好ましくは、下記式(ii)〜(v)で表されるもの)が好ましい。なお、式(v)中のnは1〜3の整数である。
(光カチオン重合開始剤)
本発明に用いられる光カチオン重合開始剤としては特に制限はなく、従来のUVカチオン硬化型塗料組成物に用いられる光カチオン重合開始剤を使用することができる。このような光カチオン重合開始剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩といったオニウム塩が好ましい。このようなオニウム塩のカウンターアニオンとしてはPF 、SbF 、AsF 、B(C などが挙げられる。
このような光カチオン重合開始剤の具体例としては、ダウ・ケミカル社製「サイラキュアUVI−6974」、「サイラキュアUVI−6990」、「サイラキュアUVI−6992」;(株)ADEKA製「アデカオプトマーSP−150」、「アデカオプトマーSP−152」、「アデカオプトマーSP−170」、「アデカオプトマーSP−172」;サン・アプロ(株)製「CPI−100P」、「CPI−101A」、「CPI−110P」、「CPI−110A」、「CPI−200K」、「CPI−210S」;(株)三和ケミカル製「TS−91」;Lamberti社製「Esacure1187」、「Esacure1188」(以上、アリールスルホニウム塩)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア250」;ローディア社製「RP−2074」(以上、アリルヨードニウム塩)などの市販品が挙げられる。
<UVカチオン硬化型塗料組成物>
本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物は、前記本発明にかかる有機無機層状複合体、前記UVカチオン硬化型モノマー、および前記光カチオン重合開始剤を含有するものである。また、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲において、劣化防止剤などの公知の添加剤が含まれていてもよい。
本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物において、前記本発明にかかる有機無機層状複合体の含有量としては、前記UVカチオン硬化型モノマーとの合計量100質量部に対して10〜80質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。本発明にかかる有機無機層状複合体の含有量が前記下限未満になると、硬化塗膜の表面硬度が十分に向上しない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、硬化塗膜の平滑性が損なわれる傾向にある。
また、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物において、前記光カチオン重合開始剤の含有量としては、前記UVカチオン硬化型モノマー100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。光カチオン重合開始剤の含有量が前記下限未満になると、紫外線を照射しても硬化反応が進行せず、高硬度の硬化塗膜を得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えて添加しても、硬化反応が進行する作用がそれ以上向上せず、逆に光硬化性が低下する場合がある。
<硬化塗膜>
本発明の硬化塗膜は、このような本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物を光硬化させることによって形成されるものである。例えば、基材に本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物を塗装し、得られた塗膜に紫外線を照射することによって光硬化反応を開始・進行させ、前記塗膜を硬化させる。これにより、基材に対する密着性が高く、透明性および表面硬度に優れた硬化塗膜を得ることができる。
前記基材としては特に制限はないが、本発明の硬化塗膜が、より優れた密着性を発現するという観点から、ポリカーボネート製基材が好ましい。また、前記光硬化反応の際に使用する紫外線の光源としては特に制限はないが、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線レーザー、キセノンランプ、アルカリ金属ランプなどの紫外線ランプが挙げられる。塗膜に照射する紫外線の強度および照射時間は、使用するUVカチオン硬化型モノマーや光カチオン重合開始剤の種類に応じて適宜制御され、特に制限はない。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(調製例1)
250mlのメタノールに10.2g(0.05mol)の塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業(株)製、特級)を添加して溶解し、この溶液に24.6g(0.10mol)の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製「サイラエースS530」、以下、「ECTS」と略す。)を添加して40分間撹拌した。得られた溶液に1000mlのイオン交換水を添加した後、すぐに1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業(株)製、容量分析用)100mlを添加したところ、沈殿物が生成した。
この沈殿物を含む水溶液の透明上澄み液を除去した後、300mlの酢酸エチル(和光純薬工業(株)製、和光一級)を添加して十分に撹拌し、水溶液中の沈殿物を酢酸エチルに溶解させて抽出した。この抽出操作を3回繰り返してすべての沈殿物を酢酸エチルに溶解して回収した。
得られた溶液をロータリーエバポレーター(バス温:30℃)を用いて濃縮し、酢酸エチルを完全に除去して脂環式エポキシ−Mg系層状複合体(19.2g)を得た。
(調製例2)
200mlのメタノールに5.10g(0.025mol)の塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業(株)製、特級)を添加して溶解し、この溶液に24.6g(0.10mol)の2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(チッソ(株)製「サイラエースS530」、以下、「ECTS」と略す。)を添加して40分間撹拌した。得られた溶液に1000mlのイオン交換水を添加した後、すぐに、50mlのメタノールに6.05g(0.025mol)の塩化アルミニウム六水和物(和光純薬工業(株)製、特級)を溶解した溶液を添加し、さらに、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業(株)製、容量分析用)125mlを添加したところ、沈殿物が生成した。
得られた沈殿物を調製例1と同様に酢酸エチルで3回抽出した後、酢酸エチルを完全に除去して脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(14.7g)を得た。
(調製例3〜4)
塩化マグネシウム六水和物の量、塩化アルミニウム六水和物の量および1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の量を表1に示す量に変更した以外は調製例2と同様にして脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体を得た。
(調製例5)
塩化マグネシウム六水和物の代わりに12.1g(0.05mol)の塩化アルミニウム六水和物(和光純薬工業(株)製、特級)を用い、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の量を150mlに変更した以外は調製例1と同様にして脂環式エポキシ−Al系層状複合体(19.0g)を得た。
(調製例6)
250mlのメタノールに10.2g(0.05mol)の塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業(株)製、特級)を添加して溶解し、この溶液に23.6g(0.10mol)の3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製「サイラエースS510」、以下、「GPTS」と略す。)を添加して40分間撹拌した。得られた溶液に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬工業(株)製、容量分析用)100mlを水で10倍に希釈した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1000mlを添加したところ、沈殿物が生成した。
得られた沈殿物を調製例1と同様に酢酸エチルで3回抽出した後、酢酸エチルを完全に除去してグリシジル−Mg系層状複合体(29.5g)を得た。
13C−NMR測定>
調製例1で得られた脂環式エポキシ−Mg系層状複合体、調製例2〜4で得られた脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体および調製例5で得られた脂環式エポキシ−Al系層状複合体をそれぞれ試料ホルダー(ブルカー・バイオスピン(株)製「ロータパッカーBL4」、品番:K811101)に入れ、核磁気共鳴(NMR)装置(ブルカー・バイオスピン(株)製「AVANCE400」)を用いて積算回数:3200回の条件で、各層状複合体の13C−CP/MAS NMRスペクトルを測定した。図3には、調製例1〜5で得られた各層状複合体の13C−CP/MAS NMRスペクトルを示す。なお、図3には、NMRスペクトル中のピーク位置とSi原子に結合した2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基中の炭素原子との関係も示した。
図3に示したように、10ppmのピークはSi原子に結合した炭素原子(h)、53ppmのピークはエポキシ基を構成する2つの炭素原子(a,b)、20〜40ppmのピークは残りの5つ炭素原子(c〜g)と帰属した。53ppmにピークが存在する層状複合体は、脂環式エポキシ基が開環せず、その構造を保持していることを示している。従って、図3に示した結果から明らかなように、Al原子が67%以下の層状複合体においては、エポキシ基を構成する2つの炭素原子(a,b)に由来するピークが観察され、脂環式エポキシ基が保持されていることが確認された。一方、Al原子が85%および100%の層状複合体においては、エポキシ基を構成する2つの炭素原子(a,b)に由来するピークが観察されず、脂環式エポキシ基が開裂していることがわかった。
<X線回折(XRD)測定>
調製例2で得られた脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)25質量部とUVカチオン硬化型モノマーである3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセルサイテック(株)製「セロキサイド2021P」)75質量部とを混合した。この混合物、前記脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートをそれぞれガラス製試料ホルダー((株)リガク製、CatNo.9200/2G、深さ0.2mm)に入れ、X線回折装置((株)リガク製「RINT−TTR」)を用いて管電圧:50kV、管電流:300mA、放射線源:CuKα、開始角度:2.0°、終了角度:70°、スキャン速度:2.0secの条件で、X線回折パターンを測定した。図4には、(a)脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)、(b)3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、(c)脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートとの混合物のX線回折パターンを示す。
図4(a)に示した結果から明らかなように、脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)においては、(001)面(2θ=5°付近)、(020)面(2θ=20°付近)、(200)面(2θ=37°付近)および(060)面(2θ=60°付近)に由来する回折ピークが観察された。(001)面に由来する回折ピークは層方向の秩序性を示すものであり、(200)面および(060)面に由来する回折ピークは面内方向の秩序性を示すものである。これらの結果から、脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)は、スメクタイト系層状粘土鉱物の2:1型層状ケイ酸塩構造に類似する層構造を有するものであることが確認された。なお、(020)面に由来する回折ピークは有機物からの反射によるピークであると考えられる。
また、前記混合物のX線回折パターン(c)と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートのX線回折パターン(b)との差分を図4(d)に示す。この結果においては、(200)面および(060)面に由来する回折ピークは観察されたが、(001)面に由来する回折ピークは観察されなかった。すなわち、脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)は、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート中において、面内方向の秩序性は保持されているものの、層方向については膨潤して秩序性を失っていることが確認された。
また、調製例6で得られたグリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)についても同様に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートとの混合物(層状複合体:25質量%)を調製し、X線回折パターンを測定した。図5には、(a)グリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)、(b)3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、(c)グリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートとの混合物のX線回折パターンを示す。
図5(a)に示した結果から明らかなように、グリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)においても、(001)面(2θ=6.0°)、(020)面(2θ=21.2°)、(200)面(2θ=35.2°)、(060)面(2θ=59.5°)に由来する回折ピークが観察された。この結果から、グリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)も、スメクタイト系層状粘土鉱物の2:1型層状ケイ酸塩構造に類似する層構造(層間距離:1.47nm)を有するものであることが確認された。
また、前記混合物のX線回折パターン(c)と3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートのX線回折パターン(b)との差分を図5(d)に示す。この結果においても、面内方向の秩序性を示す(200)面および(060)面に由来する回折ピークは観察されたが、層方向の秩序性を示す(001)面に由来する回折ピークは観察されなかった。すなわち、グリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)も、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート中において、膨潤して層方向の秩序性を失っていることが確認された。
(実施例1)
調製例2で得られた脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)25質量部とUVカチオン硬化型モノマーである3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセルサイテック(株)製「セロキサイド2021P」)75質量部とヨードニウム塩系光重合開始剤((4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウム−ヘキサフルオロフォスフェートと溶剤プロピレンカーボネートとの3:1の混合物、BASF社製「IRGACURE 250」)5PHRとを混合して塗料組成物を調製した。
表面を2−プロパノールで洗浄した透明ポリカーボネート基板に前記塗料組成物をバーコーター(オーエスジーシステムプロダクツ(株)製「Select−Roller A−bar」、バー:OSP−15、ワイヤーバー番手(相当):#6.6)を用いて硬化後の膜厚が15μmとなるように塗布した後、UV硬化装置(1kW高圧水銀灯(セン特殊光源(株)製「Handy1000」))を用いて照射光強度:1200mJ/cm、光照射量:140mWの条件で紫外線を照射して塗膜を硬化させた。
(実施例2)
UVカチオン硬化型モノマーとして3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成(株)製「OXT−101」)75質量部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
(実施例3)
UVカチオン硬化型モノマーとして3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亜合成(株)製「OXT−221」)75質量部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
(実施例4)
脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)の代わりに調製例3で得られた脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:67%)25質量部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
(比較例1)
脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)を用いなかった以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
(比較例2)
脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)の代わりに調製例6で得られたグリシジル−Mg系層状複合体(Al:0%)を用いた以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
(比較例3)
脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)の代わりに調製例1で得られた脂環式エポキシ−Mg系層状複合体(Al:0%)を用いた以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
(比較例4)
脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)の代わりに調製例5で得られた脂環式エポキシ−Al系層状複合体(Al:100%)を用いた以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
(比較例5)
脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:50%)の代わりに調製例4で得られた脂環式エポキシ−Al−Mg系層状複合体(Al:85%)25質量部を用いた以外は実施例1と同様にして硬化塗膜を作製した。
<密着性>
実施例および比較例で得られた硬化塗膜の密着性を碁盤目密着性試験(JIS K5400.8.5)に記載の方法に準拠して測定した。すなわち、硬化塗膜に縦横1mm間隔で切り傷を入れ、100マスの碁盤目を作製した。この碁盤目部分の表面にセロハン粘着テープ(ニチバン(株)製、商品名「セロテープ(登録商標)CT−24」)を強く圧着し、テープを急激に引き剥がし、硬化塗膜が残存した碁盤目の数を測定した。その結果を表2に示す。
<貯蔵弾性率、表面硬度、最大押し込み深さ>
実施例および比較例で得られた硬化塗膜の貯蔵弾性率、表面硬度および最大押し込み深さをナノインデンテーション法によって測定した。すなわち、ナノインデンター(ハイジトロン社製「TriboScope」)を用いて最大荷重:180μmの条件で圧子押し込み時の荷重と押し込み深さの関係を求め、得られた結果から硬化塗膜の貯蔵弾性率、表面硬度および最大押し込み深さを求めた。その結果を表2に示す。
<透明性>
実施例および比較例で得られた硬化塗膜を目視により観察した。図6〜8は、実施例1〜3で得られた薄膜(硬化塗膜)の写真である。また、実施例1および4、比較例1〜5で得られた薄膜(硬化塗膜)の外観を下記基準で判定した。その結果を表2に示す。
A:無色透明。
B:硬化塗膜全体で白化。
<耐水性>
実施例および比較例で得られた硬化塗膜と透明ポリカーボネート基板からなる積層板を40℃の温水に10日間浸漬した後、引き上げて乾燥し、硬化塗膜を目視により観察して下記基準で判定した。その結果を表2に示す。
A:無色透明。
B:硬化塗膜の縁部のみで白化。
C:硬化塗膜の縁部以外の部分でわずかに白化。
D:硬化塗膜全体で白化。
表2に示した結果から明らかなように、実施例1および4、比較例1〜5で得られた硬化塗膜はいずれも、塗膜の剥がれは認められず、ポリカーボネート基板に対する密着性に優れたものであった。
また、表2に示した結果から明らかなように、脂環式エポキシ基とAl原子およびMg原子とを有する2価−3価金属系有機無機層状複合体を含有する本発明の硬化塗膜(実施例1、4)は、有機無機層状複合体を含有しない場合(比較例1)に比べて、貯蔵弾性率および表面硬度が2〜3倍高く、最大押し込み深さが浅いもの(高い硬度を有するもの)であることが確認された。
さらに、表2に示した結果から明らかなように、脂環式エポキシ基とAl原子およびMg原子とを有する2価−3価金属系有機無機層状複合体を含有する硬化塗膜(実施例1および4、比較例5)、有機無機層状複合体を含有していない硬化塗膜(比較例1)、脂環式エポキシ基とAl原子とを有する3価金属系有機無機層状複合体を含有する硬化塗膜(比較例4)は、透明性に優れたものであった。一方、脂環式エポキシ基またはグリシジル基とMg原子とを有する2価金属系有機無機層状複合体を用いた場合(比較例2〜3)には、塗料組成物中および硬化塗膜中で2価金属系有機無機層状複合体が均一に分散せず、硬化塗膜は白化した。
また、図6〜8に示した結果から明らかなように、実施例1〜3で得られた硬化塗膜と透明ポリカーボネート基板からなる積層板を通しても十分に文字を読み取ることができ、UVカチオン硬化型モノマーの種類によらず、透明性に優れた硬化塗膜が形成されることが確認された。
さらに、表2に示した結果から明らかなように、Al原子とMg原子とを所定の割合で含有する2価−3価金属系有機無機層状複合体を用いた場合(実施例1および4)には、
耐水性に優れた硬化塗膜が形成された。一方、Al原子の含有量が多い有機無機層状複合体を用いた場合(比較例4および5)には、硬化塗膜は白化し、耐水性に劣ることがわかった。比較例4および5においては、有機無機層状複合体中の脂環式エポキシ基の一部が開裂して水酸基が生成し、UVカチオン硬化型モノマーとの架橋反応が進行しなかったためと推察される。
以上説明したように、本発明によれば、分散性に優れた有機無機層状複合体を含有し且つ光硬化性に優れたUVカチオン硬化型塗料組成物を得ることが可能となる。そして、このような本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物からなる塗膜を光硬化させることによって形成される本発明の硬化塗膜においては、有機無機層状複合体が均一に分散されているため、優れた透明性が得られ、さらに、硬化塗膜が均一に強化されるため、表面硬度に優れたものとなる。
したがって、本発明のUVカチオン硬化型塗料組成物は、基材に対する優れた密着性を損なわずに、透明性および表面硬度に優れた硬化塗膜を形成できるため、高い耐摩耗性が要求される自動車用外装塗料などとして有用である。
1:無機層、1a:中心原子として2価および3価の金属原子を含有する8面体シート、1b:中心原子としてSi原子を含有する4面体シート、1c:中心原子として2価の金属原子のみを含有する8面体シート、2:有機層、2a:有機基。

Claims (4)

  1. 下記式(1):
    [R nSiO(4-n)/2x[(M 2/2O)y(M 2/3O)z][H2O]w (1)
    (式(1)中、Rはエポキシ基、オキセタニル基およびビニルエーテル基のうちの少なくとも1種の官能基を有する有機基を表し、Mマグネシウム(Mg)原子を表し、Mアルミニウム(Al)原子を表し、nは1〜3の整数であり、x、yおよびzは、0.5≦x/(y+2z/3)≦3で表される条件を満たす任意の数であり、wは構造水の分子数を表す。)
    で表され、マグネシウム(Mg)原子アルミニウム(Al)原子の合計原子数100に対してアルミニウム(Al)原子の原子数が50〜67%である2価−3価金属系有機無機層状複合体、
    UVカチオン硬化型モノマー、および
    光カチオン重合開始剤
    を含有することを特徴とするUVカチオン硬化型塗料組成物。
  2. 前記UVカチオン硬化型モノマーが、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、ビニルエーテル系化合物およびスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項に記載のUVカチオン硬化型塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載のUVカチオン硬化型塗料組成物を光硬化してなることを特徴とする硬化塗膜。
  4. 請求項1または2に記載のUVカチオン硬化型塗料組成物を基材上に塗装する工程と、得られた塗膜に紫外線を照射して前記塗膜を硬化させる工程と、を含むことを特徴とする硬化塗膜の製造方法。
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