JP6412867B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents
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Description
R1−(SiR2 a(OR3)3−a) (I)
(式中、R1は末端が3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは0〜2の整数である。)
で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)、及び、
下記一般式(II):
R4−Si(OR3)3 (II)
(式中、R4は炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)
を、シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II)のモル比を2.0以下として塩基性条件下で加水分解・縮合させて得られる重量平均分子量20,000以下の縮合物(A)と、光酸発生剤(B)を含有し、
縮合物(A)の原料であるシラン化合物(I)及びシラン化合物(II)が有するケイ素原子に直接結合したOR3基のモル数Xに対する、縮合物(A)が有するケイ素原子に直接結合したOR3基のモル数Yの比Y/Xが0.2以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
シラン化合物(II)として、
下記一般式(II−1):
R5−Si(OR3)3 (II−1)
(式中、R5は(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)、及び、
下記一般式(II−2):
R6−Si(OR3)3 (II−2)
(式中、R6は、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)を用い、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比を0.03〜1.0、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比を0〜1.0
として加水分解・縮合させて得られるものであることが好ましい。
シラン化合物(II)として、
下記一般式(II−1):
R5−Si(OR3)3 (II−1)
(式中、R5は(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)、及び、
下記一般式(II−2):
R6−Si(OR3)3 (II−2)
(式中、R6は、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)を用い、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比を0.03〜1.0、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比を0〜1.0
として加水分解・縮合させて得られる縮合物(A)を使用した活性エネルギー線硬化性組成物、及び、単層基材を使用して製造される積層体が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)、及び、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)を、シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II)のモル比が2.0以下となる条件で、塩基性条件下で加水分解・縮合させて得られる重量平均分子量20,000以下の縮合物(A)と、光酸発生剤(B)を含有し、縮合物(A)の原料であるシラン化合物(I)及びシラン化合物(II)が有するケイ素原子に直接結合したOR3基のモル数Xに対する、縮合物(A)が有するケイ素原子に直接結合したOR3基のモル数Yの比Y/Xが0.2以下であることを特徴とする。
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)は、下記一般式(I):
R1−(SiR2 a(OR3)3−a) (I)
(式中、R1は末端が3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは0〜2の整数である。)
で表される。
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)は、下記一般式(II):
R4−Si(OR3)3 (II)
(式中、R4は炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
で表される。
中でも貯蔵安定性がよく、活性エネルギー線照射時の硬化速度が速く、さらに得られた塗膜のクラック発生が抑制できる点から、R4としては、非置換のアルキル基である場合、炭素数3以上10以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数3以上6以下のアルキル基であることがより好ましい。置換アルキル基である場合、アルキル基は炭素数3以上10以下であることが好ましく、炭素数3以上6以下であることがより好ましく、置換基はフェニル基、シクロヘキシル基、及び、(メタ)アクリロイル基が好ましい。アルケニル基である場合、ビニル基又はアリル基が好ましい。置換アリール基としては、スチリル基が好ましい。非置換アルキル基で炭素数が2以下である場合や、置換アルキル基で置換基がフェニル基、シクロヘキシル基、又は、(メタ)アクリロイル基より嵩高くない場合、架橋時に緻密な架橋構造となり、ゲル化することがある。また、アルキル基の炭素数が11以上である場合や、置換アルキル基で置換基がフェニル基、シクロヘキシル基、又は、(メタ)アクリロイル基よりも嵩高い場合、疎水性が高くなり加水分解速度が極端に低下したり、活性エネルギー線照射時の硬化速度が低下したりすることがある。
Y/Xは、1HNMRで測定することによって求めることができる。
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)は、下記一般式(II−1):
R5−Si(OR3)3 (II−1)
(式中、R5は(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される。
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)は、下記一般式(II−2):
R6−Si(OR3)3 (II−2)
(式中、R6は、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される。
単層基材に対する積層体における反りの発生を抑制するという観点では、シラン化合物(I)は硬化時における膨張成分、シラン化合物(II−1)は硬化時における収縮成分として捉えることができ、膨張成分と収縮成分のバランスを取ることにより、硬化収縮に起因する反りを抑制することができる。シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比は、0.05以上がより好ましく、0.075以上がさらに好ましく、0.1以上が特に好ましい。また、モル比は0.9以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.6以下が特に好ましい。モル比が0.03未満であると、硬化膨張に起因する反りを抑制することができない場合があり、1.0より大きいと、ハードコート性(すなわち、硬度や耐擦傷性)が低下する場合がある。
シラン化合物(II−2)は、硬化時における膨張成分・収縮成分のいずれとしても捉えられるものでなく、一種の希釈成分として作用するもので、膨張成分と収縮成分の影響をより小さくすることができる。シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比は、0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。モル比が1.0より大きいと、ハードコート性(すなわち、硬度や耐擦傷性)が低下する場合がある。
本発明における(B)成分である光酸発生剤は、活性エネルギー線に暴露されることにより酸を発生する化合物であり、たとえばトルエンスルホン酸又は四フッ化ホウ素などの強酸;スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩などのオニウム塩類;鉄−アレン錯体類;シラノール−金属キレート錯体類;ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類などのスルホン酸誘導体;有機ハロゲン化合物類など、特開平5−134412号公報に示される放射線の照射により酸を発生する化合物があげられる。
シラン化合物(II−1)を使用し、R5に含まれる基が光ラジカル発生剤によって反応性を発現する場合、光ラジカル発生剤を配合することが好ましい。光ラジカル発生剤とは、活性エネルギー線に暴露されることによりラジカルを発生する化合物であり、シラン化合物(II−1)のR5に含まれる基がラジカル重合性を有する場合は、重合開始剤として作用する。
IRGACURE184やIRGACURE819などのIRGACUREシリーズやDAROCUR1173やDAROCUR TPOなどのDAROCURシリーズ(以上、BASF社製)、KAYACURE DETX−S、KAYACURE CTXなどのKAYACUREシリーズ(以上、日本化薬社製)、TAZ−101、TAZ−110などのTAZシリーズ(以上、みどり化学社製)等が市販されている。
光ラジカル発生剤は、単独で用いてもよく、硬化速度等を考慮して複数を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物を含んでいても良い。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド2021P」)、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド2081」)、1,2,8,9−ジエポキシリモネン(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド3000」)、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド2000」)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「EHPE−3150」)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素を介してエポキシが付加したエポキシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ化合物等の脂環式エポキシド等を挙げることができる。これらの中では、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物が好ましく、低粘度の液状化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて金属酸化物微粒子を使用することができる。(E)成分である金属酸化物微粒子としては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化スズ(SnO2)、ジルコニア(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、チタニア(TiO2)、ITO(スズ・酸化インジウム)、酸化アンチモン(Sb2O3、Sb2O5)、及びこれらの複合微粒子等を挙げることができる。
また本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、(B)成分や(C)成分の感光性を向上させる目的で、必要に応じて光増感剤を使用することができる。光増感剤は、使用する(B)成分や(C)成分では吸収できない波長域の光を吸収できるものがより効率的であるため、(B)成分や(C)成分の吸収波長域との重なりが少ないものがよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記(A)、(B)成分を含有し、必要により(C)、(D)、(E)、(F)成分を含有するが、物性を調整するために、さらに各種の添加剤を適宜配合してもよい。例えば、無機顔料や有機顔料、可塑剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤などの通常塗料に用いられる添加剤を添加することができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には溶剤を配合することができる。溶剤として特に制限はないが、使用する基材がプラスチックの場合には、基材の耐溶剤性が低いことが多いため、メチルイソブチルケトンやジイソブチルケトンなどのケトン類、ブタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸ブチルや酢酸イソプロピルなどのエステル類、ジエチレングリコールメチルエーテルやプロピレングリコールメチルエーテルなどのエーテル類が好ましい。とくに、エーテル系溶剤を全溶剤の30重量%以上使用することが、基材を傷めない点で好ましい。溶剤の配合量としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び、(E)成分の総量100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、0〜150重量部がより好ましい。溶剤の配合量が300重量部より多くなると、上記のごとく基材を傷める可能性があるため好ましくない。
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られるものである。硬化させる際に照射する活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、δ線などを挙げることができるが、反応速度が速く、活性エネルギー線発生装置が比較的安価であるという点からは、紫外線が最も好ましい。活性エネルギー線の照射量としては、50mJ〜10,000mJ/cm2の積算光量が好ましく、100mJ〜2,000mJ/cm2の積算光量がより好ましい。活性エネルギー線の照射量が50mJ/cm2未満の場合、光量が少ないために硬化に時間がかかり、生産性が悪くなる場合がある。一方、活性エネルギー線の照射量が10,000mJ/cm2を超える場合、綺麗に硬化しなかったり、基材を傷める場合がある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて積層体を製造することができる。本発明の積層体は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布する工程、及び、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、硬化被膜を形成する工程を含む製造方法により得られる。
基材としては特に限定されず、後述する各種基材を使用することができる。
本発明の積層体は、パソコン等の前面板、自動車の窓ガラス等に好適に使用できる。
ポリカーボネート樹脂基材としては、カーボグラス(旭硝子株式会社製)、アイリスポリカシート(アイリスシンヨー株式会社製)、ユーピロン(三菱ガス化学株式会社製)、パンライト(帝人化成株式会社製)、ポリカーボネートプレート(タキロン株式会社製)、ポリカエース(住友ベークライト株式会社製)、ポリカプレート(積水成型工業株式会社製)、PCミラー(株式会社菱晃製)等が挙げられる。
PET樹脂基材としては、ペットエース(住友ベークライト製)、エステラ、エステラ・スーパー(積水成型工業株式会社製)、ペテルス(三菱樹脂株式会社製)、ペテック(タキロン株式会社製)、ミネロン(ミネロン化成工業株式会社製)、ポリテックA−PETシート(ポリテック株式会社製)、A−PET樹脂シート(帝人化成株式会社製)、ルミラー(東レ株式会社製)、コスモシャイン(東洋紡株式会社製)等が挙げられる。
なお、複層基材であっても、それぞれの線膨張係数や吸湿性がほとんど同じで、環境試験を行った後にも反りがほとんど発生しない基材であれば、同様に好適に用いることができる。
塗膜厚みとしては1〜100μmであることが好ましい。塗膜厚みが1μm未満では、プラスチック、フィルム、シート等の基材自体の硬度の影響を受けやすく、十分な硬度が得られない傾向があり、塗膜厚みが100μmを超えると、活性エネルギー線が深部まで到達せずに硬化が遅くなる傾向がある。塗膜厚みを100μm以上とする場合には、数回に分けて、塗装と活性エネルギー線の照射を繰り返すことが好ましい。
A−186:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
A−187:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
ELECOM V−8804:日揮触媒化成株式会社製、オルガノシリカゾル(シリカの平均粒子径:約10nm)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
CPI−101A:サンアプロ株式会社製、トリアリールスルホニウム・SbF6塩のプロピレンカーボネート溶液
A−174:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
A−171:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、ビニルトリメトキシシラン
KBM−5103:信越化学工業株式会社製、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン
塩化マグネシウム:和光純薬工業株式会社製、特級
1−メトキシ−2−プロパノール:株式会社ダイセル製
メタノール:三菱ガス化学株式会社製
基材A:PETフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、厚み250μm)
基材B:アクリルシート(住化アクリル販売株式会社製、テクノロイS001、厚み0.5mm)
基材C:ポリカーボネートシート(帝人化成株式会社製、パンライトAD−5503)を1.0mm厚に成形したもの)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応器に表1の成分(配合量の単位は重量部)を仕込み、60℃に昇温し、5時間撹拌後、60℃で減圧脱揮し、縮合物を得た。
表2、3に示すように配合し(配合量の単位は重量部)、塗工液を調製した。なお、合成例1−10で得られた縮合物、及び、A−186は、不揮発分が50重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したものを使用した。この塗工液をPETフィルム(150mm×100mm×250μm)にバーコーターNo.40を用いて、乾燥膜厚が約20μmとなるように塗布し、80℃で2分間溶剤除去のため乾燥した。次いで、空気中で高圧水銀ランプを用い、240mWで、波長310〜390nmの積算光量が1000mJ/cm2となるように活性エネルギー線を照射することで硬化させ、試験片とした。
試験片の各物性を評価した(表2、3)。
・膜厚
活性エネルギー線照射7日後に膜厚計を用いて測定し、基材の厚みを差し引いて算出した。
・硬度
照射7日後にJIS K5600に準拠して、鉛筆硬度を評価した。
・耐擦傷性
照射7日後に消しゴム磨耗試験機(株式会社光本製作所製)を用い、500g/cm2の荷重をかけてスチールウール#0000を1000回往復させ、塗膜に残った傷の本数を観察した。
○:全くないか3本以下の傷
△:4本から10本の浅い傷
×:傷が10本を超えるか、もしくは深い傷
・耐衝撃性
照射7日後、22gの鋼球を10cm2の試験片の中心に落とし、塗膜に割れが発生した時の高さを測定した。
・反り
活性エネルギー線照射7日後に、積層体を85℃85%高温高湿機中で72時間保管し、取り出した4時間後、塗膜が上面となるように水平な台の上に設置した。積層体の上面の4つの頂点のそれぞれについて、台の上面から垂直方向の距離を測定し、その平均値を算出した。積層体が塗装した面側に反る(積層体の下面の角が台の面から浮く)場合には正の値、その逆の場合には負の値とした。
なお、PETフィルム基材単独で同条件で評価した結果は、0mmであった。
また、実施例1〜8において、比較例5よりも反りが抑制されていることが分かる。
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応器に表4の成分を仕込み、130℃に昇温し、5時間撹拌後、70℃で減圧脱揮し、縮合物を得た。
得られた縮合物に関して、モル比Y/X、3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率、及び、重量平均分子量を測定した。
表5、6に示すように配合し(配合量の単位は、重量部)、塗工液を調製した。なお、合成例11〜23で得られた縮合物は、不揮発分が50%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したものを使用した。この塗工液を、210mm×297mmの各種基材(実施例20はアクリルシート、実施例21はポリカーボネートシート、それ以外はPETフィルム)に、バーコーターNo.30を用いて、乾燥膜厚が約20μmとなるように塗布し、80℃で2分間溶剤除去のため乾燥した。次いで、空気中で高圧水銀ランプを用い、240mWで、波長310〜390nmの積算光量が1000mJ/cm2となるように活性エネルギー線を照射することで硬化させ、試験片とした。
試験片の各物性を評価した(表5、6)。反りに関しては、7日養生直後の値も評価した。
一方で、比較例9、10では、硬化させると、アクリレート基の重合に伴う硬化収縮を生じ、大きな反りが発生した。
また、比較例11では、縮合物中(A)に加水分解されていないアルコキシ基が50%残存しており、積層体作製時に反応するため、硬化収縮及び反りが実施例9よりも大きく発生した。
比較例12及び13では、縮合物(A)中のメタクリロイル基の数が多すぎるため、メタクリレート基の重合に伴う硬化収縮を生じ、大きな反りが発生した。
比較例14では、縮合物中(A)にアルコキシ基が40%残存していることから、比較例11と同様、硬化収縮及び反りが大きく発生しており、また、縮合物を調製する際に酸触媒を用いたことでエポキシシクロヘキシル基が加水分解してしまっていることから、硬度、耐擦傷性も実施例9と比較して低下している。
Claims (15)
- 下記一般式(I):
R1−(SiR2 a(OR3)3−a) (I)
(式中、R1は末端が3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、R2はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、R3はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは0〜2の整数である。)
で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)、及び、
下記一般式(II):
R 4 −Si(OR 3 ) 3 (II)
(式中、R 4 は炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R 3 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)
の加水分解・縮合反応生成物であり、3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率が20%以上で重量平均分子量20,000以下の縮合物(A)と、光酸発生剤(B)を含有し、
シラン化合物(II)は、
下記一般式(II−1):
R 5 −Si(OR 3 ) 3 (II−1)
(式中、R 5 は(メタ)アクリロイル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R 3 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)、及び、
下記一般式(II−2):
R 6 −Si(OR 3 ) 3 (II−2)
(式中、R 6 は、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R 3 はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)からなり、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II)のモル比が2.0以下、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比が0.03〜1.0、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比が0〜1.0
であり、
縮合物(A)の原料であるシラン化合物(I)及びシラン化合物(II)が有するケイ素原子に直接結合したOR3基のモル数Xに対する、縮合物(A)が有するケイ素原子に直接結合したOR3基のモル数Yの比Y/Xが0.2以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。 - R1が、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 更に、脂環式エポキシ化合物(D)を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 脂環式エポキシ化合物(D)が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、請求項3に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 更に、平均粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子(E)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 金属酸化物微粒子(E)がシリカ微粒子である請求項5に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 縮合物(A)100重量部に対して、光酸発生剤(B)を0.05〜30重量部、脂環式エポキシ化合物(D)を0〜100重量部、及び、金属酸化物微粒子(E)を0〜100重量部含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 光酸発生剤(B)が、芳香族スルホニウム塩又は芳香族ヨードニウム塩である請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 光酸発生剤(B)のカウンターアニオンが、フルオロフォスフェート系アニオン又はフルオロアンチモネート系アニオンである請求項8に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 更に、光増感剤(F)を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 光増感剤(F)が、アントラセン誘導体、チオキサントン誘導体、又は、ベンゾフェノン誘導体である請求項10に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布する工程、及び、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、硬化被膜を形成する工程を含む積層体の製造方法。
- 請求項13に記載の製造方法により得られる積層体。
- 請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物、及び、単層基材を使用することを特徴とする請求項14に記載の積層体。
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