JP6412867B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物、積層体及び積層体の製造方法に関する。
近年、ハードコートの分野において軽量化、低価格化という観点から金属やガラスの代替として光硬化型樹脂コーティング剤に関する研究が広く行われてきている。中でも光ラジカル発生剤を用いてUV硬化するコーティング剤が多く報告されている(特許文献1)が、ラジカルを用いた硬化方法では酸素によって硬化阻害が生じやすいため、コーティング剤と空気との界面付近の硬化が不十分になりやすいという問題点を有している。
また、加水分解性シリル基やエポキシ基等のカチオン硬化性官能基を有する化合物を主な構成成分とし、光酸発生剤を用いて硬化するコーティング剤も報告されている(特許文献2、3)。加水分解性シリル基やエポキシ基等のカチオン硬化性官能基を有する化合物を主成分とする硬化性組成物を光硬化させる際は、空気中の酸素によって硬化が阻害されることなく塗膜全体が瞬時に硬化し、十分な硬度、耐擦傷性が発現する。
中でも加水分解性シリル基のカチオン硬化で形成されるシロキサン結合は、高硬度、高耐擦傷性を発現させやすいことから注目を集めてきた。しかしながら、加水分解性シリル基を利用して硬化させた場合、加水分解・縮合重合に伴い硬化収縮し、クラックの発生や反りの発生が大きな問題として生じてしまう。そのため、エポキシ基やビニル基等を有するシラン化合物を用いて、その加水分解性シリル基を予め塩酸や酢酸、ギ酸等の酸触媒で加水分解・縮合重合させておき、エポキシ基やビニル基等を利用して光硬化させる試みが広くなされている。中でも光硬化後の硬化収縮を抑えるという観点からはエポキシ基がよく使われているが、エポキシ基は加水分解性であるため、上記酸触媒下では加水分解し、十分な塗膜物性が得られないことが問題であった。スマートフォンやタブレット等の全面板への応用を考えた際には、塗膜が優れた硬度、耐擦傷性を有することが必要であり、高架橋密度を得るために可能な限りエポキシ基を残存させておく必要がある。
また、多官能アクリレート系硬化性組成物からなる層を有する積層体は、高温高湿条件に放置すると、反りが発生するという問題があった。
特開平5−230397号公報 特開2000−109695号公報 特開2004−204228号公報
本発明が解決しようとする課題は、硬度、耐擦傷性、耐衝撃性に優れ、硬化収縮によるクラックが発生しない硬化性組成物を提供することである。
本発明は、下記一般式(I):
−(SiR (OR3−a) (I)
(式中、Rは末端が3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは0〜2の整数である。)
で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)、及び、
下記一般式(II):
−Si(OR (II)
(式中、Rは炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)
を、シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II)のモル比を2.0以下として塩基性条件下で加水分解・縮合させて得られる重量平均分子量20,000以下の縮合物(A)と、光酸発生剤(B)を含有し、
縮合物(A)の原料であるシラン化合物(I)及びシラン化合物(II)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Xに対する、縮合物(A)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Yの比Y/Xが0.2以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
が、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基であることが好ましい。
縮合物(A)が、
シラン化合物(II)として、
下記一般式(II−1):
−Si(OR (II−1)
(式中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)、及び、
下記一般式(II−2):
−Si(OR (II−2)
(式中、Rは、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)を用い、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比を0.03〜1.0、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比を0〜1.0
として加水分解・縮合させて得られるものであることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物が、更に、脂環式エポキシ化合物(D)を含有することが好ましい。
脂環式エポキシ化合物(D)が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートであることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物が、更に、平均粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子(E)を含有することが好ましい。
金属酸化物微粒子(E)がシリカ微粒子であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物が、縮合物(A)100重量部に対して、光酸発生剤(B)を0.05〜30重量部、脂環式エポキシ化合物(D)を0〜100重量部、及び、金属酸化物微粒子(E)を0〜100重量部含有することが好ましい。
光酸発生剤(B)が、芳香族スルホニウム塩又は芳香族ヨードニウム塩であることが好ましい。
光酸発生剤(B)のカウンターアニオンが、フルオロフォスフェート系アニオン又はフルオロアンチモネート系アニオンであることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物が、更に、光増感剤(F)を含有することが好ましい。
光増感剤(F)が、アントラセン誘導体、チオキサントン誘導体、又は、ベンゾフェノン誘導体であることが好ましい。
本発明はまた、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物に関する。
本発明はまた、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布する工程、及び、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、硬化被膜を形成する工程を含む積層体の製造方法に関する。
本発明はまた、上記製造方法により得られる積層体に関する。
シラン化合物(II)として、
下記一般式(II−1):
−Si(OR (II−1)
(式中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)、及び、
下記一般式(II−2):
−Si(OR (II−2)
(式中、Rは、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)を用い、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比を0.03〜1.0、
シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比を0〜1.0
として加水分解・縮合させて得られる縮合物(A)を使用した活性エネルギー線硬化性組成物、及び、単層基材を使用して製造される積層体が好ましい。
本発明によれば、硬度、耐擦傷性、耐衝撃性に優れ、硬化収縮によるクラックが発生しない硬化性組成物を提供することができる。
以下に本発明の詳細について述べる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)、及び、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)を、シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II)のモル比が2.0以下となる条件で、塩基性条件下で加水分解・縮合させて得られる重量平均分子量20,000以下の縮合物(A)と、光酸発生剤(B)を含有し、縮合物(A)の原料であるシラン化合物(I)及びシラン化合物(II)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Xに対する、縮合物(A)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Yの比Y/Xが0.2以下であることを特徴とする。
<(A)縮合物>
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)は、下記一般式(I):
−(SiR (OR3−a) (I)
(式中、Rは末端が3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは0〜2の整数である。)
で表される。
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)は、下記一般式(II):
−Si(OR (II)
(式中、Rは炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
で表される。
一般式(I)のRは末端が3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基、及び、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシル基が挙げられる。
一般式(I)のRは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基である。このような炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、及び、フェネチル基が挙げられる。
一般式(I)及び(II)のRは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、及び、デシル基が挙げられる。加水分解性シリル基を有するシラン化合物を加水分解・縮合させやすいという観点から、Rのアルキル基の炭素数は1〜3が好ましく、最も好ましくは1である。
一般式(II)のRは炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、及び、デシル基が挙げられる。アルキル基の置換基としては、グリシジル基、チオール基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、フェニル基、シクロヘキシル基、及び、クロロ基が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基が挙げられる。置換アリール基としては、スチリル基が挙げられる。
中でも貯蔵安定性がよく、活性エネルギー線照射時の硬化速度が速く、さらに得られた塗膜のクラック発生が抑制できる点から、Rとしては、非置換のアルキル基である場合、炭素数3以上10以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数3以上6以下のアルキル基であることがより好ましい。置換アルキル基である場合、アルキル基は炭素数3以上10以下であることが好ましく、炭素数3以上6以下であることがより好ましく、置換基はフェニル基、シクロヘキシル基、及び、(メタ)アクリロイル基が好ましい。アルケニル基である場合、ビニル基又はアリル基が好ましい。置換アリール基としては、スチリル基が好ましい。非置換アルキル基で炭素数が2以下である場合や、置換アルキル基で置換基がフェニル基、シクロヘキシル基、又は、(メタ)アクリロイル基より嵩高くない場合、架橋時に緻密な架橋構造となり、ゲル化することがある。また、アルキル基の炭素数が11以上である場合や、置換アルキル基で置換基がフェニル基、シクロヘキシル基、又は、(メタ)アクリロイル基よりも嵩高い場合、疎水性が高くなり加水分解速度が極端に低下したり、活性エネルギー線照射時の硬化速度が低下したりすることがある。
一般式(I)のaは、0〜2の整数であり、硬化性組成物に要求される物性に応じて適宜選択する。
シラン化合物(I)としては、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジメトキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメチルメトキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジエトキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメチルエトキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルメチルジプロポキシシラン、α−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメチルプロポキシシランなどのα−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルプロポキシシランなどのβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシラン類、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルジメチルメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルジメチルエトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリプロポキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルジメチルプロポキシシランなどのγ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルシラン類、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルメチルジメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルジメチルメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルメチルジエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルジメチルエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリプロポキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルメチルジプロポキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルジメチルプロポキシシランなどのδ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルシラン類、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルトリメトキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルメチルジメトキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルジメチルメトキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルトリエトキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルメチルジエトキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルジメチルエトキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルトリプロポキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルメチルジプロポキシシラン、ε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルジメチルプロポキシシランなどのε−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチルシラン類、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルトリメトキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルメチルジメトキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルジメチルメトキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルトリエトキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルメチルジエトキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルジメチルエトキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルトリプロポキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルメチルジプロポキシシラン、ζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルジメチルプロポキシシランなどのζ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘキシルシラン類、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルトリメトキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルメチルジメトキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルジメチルメトキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルトリエトキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルメチルジエトキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルジメチルエトキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルトリプロポキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルメチルジプロポキシシラン、η−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルジメチルプロポキシシランなどのη−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ヘプチルシラン類、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルトリメトキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルメチルジメトキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルジメチルメトキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルトリエトキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルメチルジエトキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルジメチルエトキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルトリプロポキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルメチルジプロポキシシラン、θ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルジメチルプロポキシシランなどのθ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)オクチルシラン類が挙げられる。
上述のように、加水分解性シリル基を有するシラン化合物を加水分解・縮合させやすいという観点から、一般式(I)におけるRのアルキル基の炭素数は1〜3が好ましく、最も好ましくは1である。また、活性エネルギー線照射時のエポキシシクロヘキシル基の反応性という観点から、エポキシシクロヘキシル基とケイ素原子を結合するアルキレン基の炭素数が重要であり、その炭素数は1〜4が好ましく、更に好ましくは2又は3である。上記観点を併せて、シラン化合物(I)としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジメトキシシラン、及び、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルジメチルメトキシシランが好ましい。中でも、Rが、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基である化合物が好ましい。
シラン化合物(II)の中で、一般式(II)におけるRが非置換のアルキル基であるものとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリプロポキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、ノニルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリプロポキシシラン等が挙げられる。
また一般式(II)におけるRが置換アルキル基であるものとしては下記のものが挙げられる。ここで置換基としては特に制限は無いが、入手しやすさという観点からグリシジル基、チオール基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、フェニル基、シクロヘキシル基、及び、クロロ基が好ましい。
がグリシジル基置換アルキル基である化合物としては、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、5−グリシドキシペンチルトリメトキシシラン、5−グリシドキシペンチルトリエトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルトリメトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
がチオール基置換アルキル基である化合物としては、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、5−メルカプトペンチルトリメトキシシラン、5−メルカプトペンチルトリエトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
がアミノ基置換アルキル基である化合物としては、N−2−(アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)アミノメチルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−4−アミノブチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−5−アミノペンチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−5−アミノペンチルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−6−アミノヘキシルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−6−アミノヘキシルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、5−アミノペンチルトリメトキシシラン、5−アミノペンチルトリエトキシシラン、6−アミノヘキシルトリメトキシシラン、6−アミノヘキシルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノメチルトリエトキシシラン、N−フェニル−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニル−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−4−アミノブチルトリメトキシシラン、N−フェニル−4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−フェニル−5−アミノペンチルトリメトキシシラン、N−フェニル−5−アミノペンチルトリエトキシシラン、N−フェニル−6−アミノヘキシルトリメトキシシラン、N−フェニル−6−アミノヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
が(メタ)アクリロイル基置換アルキル基である化合物としては、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリエトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
がフェニル基置換アルキル基である化合物としては、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリエトキシシラン、3−フェニルプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルプロピルトリエトキシシラン、4−フェニルブチルトリメトキシシラン、4−フェニルブチルトリエトキシシラン、5−フェニルペンチルトリメトキシシラン、5−フェニルペンチルトリエトキシシラン、6−フェニルヘキシルトリメトキシシラン、6−フェニルヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
がシクロヘキシル基置換アルキル基である化合物としては、シクロヘキシルメチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルトリエトキシシラン、2−シクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、2−シクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキシルプロピルトリメトキシシラン、3−シクロヘキシルプロピルトリエトキシシラン、4−シクロヘキシルブチルトリメトキシシラン、4−シクロヘキシルブチルトリエトキシシラン、5−シクロヘキシルペンチルトリメトキシシラン、5−シクロヘキシルペンチルトリエトキシシラン、6−シクロヘキシルヘキシルトリメトキシシラン、6−シクロヘキシルヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
がクロロ基置換アルキル基である化合物としては、例えば、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、4−クロロブチルトリメトキシシラン、4−クロロブチルトリエトキシシラン、5−クロロペンチルトリメトキシシラン、5−クロロペンチルトリエトキシシラン、6−クロロヘキシルトリメトキシシラン、6−クロロヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
がアルケニル基である化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−ブテニルトリメトキシシラン、3−ブテニルトリエトキシシラン、4−ペンテニルトリメトキシシラン、4−ペンテニルトリエトキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、5−ヘキセニルトリエトキシシラン、6−ヘプテニルトリメトキシシラン、6−ヘプテニルトリエトキシシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、7−オクテニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
が置換アリール基である化合物としては、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、等が挙げられる。
縮合物(A)は、1分子中に多数の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有することが好ましい。1分子中の3,4−エポキシシクロヘキシル基の個数は、エネルギー活性線照射時の架橋密度を高め、硬化物の物性が高くなる観点から、4個以上が好ましく、5個以上がより好ましく、6個以上がさらに好ましい。1分子中における3,4−エポキシシクロヘキシル基の個数が多くなる程、縮合体(A)は高分子量体となる。縮合体(A)が高分子量化するほど、硬化時における分子間架橋には寄与せずに分子内架橋を生じたり、架橋には一切関与せずに分子内に埋没してしまう官能基となる可能性が高くなるため、1分子中の3,4−エポキシシクロヘキシル基の個数は、100個以下が好ましく、90個以下がより好ましく、80個以下がさらに好ましく、70個以下がさらにより好ましく、60個以下が特に好ましい。
縮合物(A)は、シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II)のモル比(シラン化合物(II)のモル数/シラン化合物(I)のモル数)が0以上2.0以下となる条件で加水分解・縮合させて得られる。モル比が2.0を超えると、単層基材に対する積層体を形成した際の硬化収縮に起因する反りを抑制する効果が不十分となる。また、縮合物(A)における3,4−エポキシシクロヘキシル基の含有量が低下すると、分子間架橋が不十分となり、硬度や耐擦傷性が低下する懸念があることから、ハードコート性(すなわち、硬度や耐擦傷性)を考慮すると、モル比は、0以上1.0以下であることが好ましく、0以上0.8以下であることがより好ましく、0以上0.6以下であることがさらに好ましく、0以上0.4以下であることが特に好ましく、0以上0.2以下であることが最も好ましい。
縮合物(A)の重量平均分子量は、20,000以下である。重量平均分子量は、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、1,500以上がさらに好ましく、2,000以上がさらにより好ましく、2,800以上が特に好ましい。また、重量平均分子量は、18,000以下がより好ましく、16,000以下がさらに好ましく、14,000以下がさらにより好ましく、12,000以下が特に好ましい。縮合物(A)の重量平均分子量が500未満であると、揮発性があり、硬化前に一部あるいは全量が揮発してしまうおそれがある。また、重量平均分子量が低いほど耐衝撃性が低下する懸念がある。重量平均分子量が20,000を超えると、その他の配合物との相溶性が低下し、塗膜形成時に白濁するおそれがある。なお、重量平均分子量は、GPCで測定した重量平均分子量である。
縮合物(A)の原料であるシラン化合物(I)及びシラン化合物(II)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Xに対する、縮合物(A)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Yの比Y/Xは、0.2以下である。Y/Xが0.2を超えると、活性エネルギー線照射後に経時で塗膜が収縮しクラックが発生してしまう。Y/Xは、0.1以下がより好ましく、0.05以下がさらにより好ましく、実質的に0であることが最も好ましい。
Y/Xは、HNMRで測定することによって求めることができる。
また、加水分解・縮合反応に必要な水の量は、ケイ素原子に直接結合したOR基に対して0.3〜3当量、好ましくは0.5〜2当量である。水の量が0.3当量未満ではOR基の一部が加水分解せずに残存してしまうことがある。3当量を超えると、加水分解・縮合反応の速度が大きすぎて高分子量の縮合物が生成され、塗膜の物性、透明性を低下させることがある。
縮合物(A)中に残存するOR基の個数は、1分子中に2個以下であることが好ましく、1個以下であることがより好ましく、0.5個以下であることがさらにより好ましく、0.1個以下であることが特に好ましく、実質的に残存していないことが最も好ましい。
架橋点密度を高めて、硬化物の硬度や耐擦傷性を向上させるとの観点から、縮合物(A)における3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率、すなわち、原料であるシラン化合物(I)が有する3,4−エポキシシクロヘキシル基のモル数に対する、縮合物(A)における3,4−エポキシシクロヘキシル基のモル数の割合は高い方が好ましい。3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率として、具体的には、20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率はHNMR測定によって求めることができる。
また、加水分解・縮合反応は塩基性条件下で実施する。エポキシシクロヘキシル基の様な脂環式エポキシドは、脂肪族エポキシドと比較して反応性が大きく異なり、求電子反応は進みやすく、求核反応は進みにくいため、酸性条件下ではエポキシ基が開環しやすい一方、塩基性条件では開環を抑制することができる。従って、塩基性条件で合成した縮合物の方がエポキシ基残存率は高く、高架橋密度の塗膜を得ることが出来るため、硬度、耐擦傷性等の点において好ましい。加水分解・縮合反応におけるpHは7〜14であればよく、反応速度の観点から好ましくは8〜14である。pHは、ガラス電極法により測定することができる。
反応系を塩基性とするために用いる塩基性化合物としては、特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物や、トリエチルアミン等のアミン類等を使用することができる。縮合物を合成後、光酸発生剤を用いてエポキシ基を硬化させるため、塩基性化合物は除去しやすいものであることが好ましく、その観点から揮発性が高い方が好ましい。さらに、求核性も低い方が好ましいため、塩基性化合物としては3級アミン化合物が好ましく、取扱い性を考慮すると、沸点が30℃〜160℃の3級アミン化合物がより好ましい。具体的には、トリエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリプロピルアミン、メチルジイソプロピルアミン、及び、ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。
単層基材における反りの発生を抑制するとの観点から、縮合物(A)の原料である加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)として、一般式(II−1)で表されるシラン化合物(II−1)を用い、必要に応じて一般式(II−2)で表されるシラン化合物(II−2)も用い、シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比を0.03〜1.0、シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比を0〜1.0として加水分解・縮合させることが好ましい。
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)は、下記一般式(II−1):
−Si(OR (II−1)
(式中、Rは(メタ)アクリロイル基、グリシジル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される。
加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)は、下記一般式(II−2):
−Si(OR (II−2)
(式中、Rは、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される。
単層基材に対する積層体における反りの発生を抑制するという観点では、シラン化合物(I)は硬化時における膨張成分、シラン化合物(II−1)は硬化時における収縮成分として捉えることができ、膨張成分と収縮成分のバランスを取ることにより、硬化収縮に起因する反りを抑制することができる。シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比は、0.05以上がより好ましく、0.075以上がさらに好ましく、0.1以上が特に好ましい。また、モル比は0.9以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.6以下が特に好ましい。モル比が0.03未満であると、硬化膨張に起因する反りを抑制することができない場合があり、1.0より大きいと、ハードコート性(すなわち、硬度や耐擦傷性)が低下する場合がある。
シラン化合物(II−2)は、硬化時における膨張成分・収縮成分のいずれとしても捉えられるものでなく、一種の希釈成分として作用するもので、膨張成分と収縮成分の影響をより小さくすることができる。シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比は、0.8以下であることがより好ましく、0.6以下であることがさらに好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。モル比が1.0より大きいと、ハードコート性(すなわち、硬度や耐擦傷性)が低下する場合がある。
本発明の硬化性組成物における縮合物(A)の濃度が高いほど硬度の高い塗膜が得られるため好ましい。本発明の硬化性組成物中の縮合物(A)の固形分濃度としては、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらにより好ましく、90重量%以上が特に好ましく、95重量%以上が最も好ましい。
<(B)光酸発生剤>
本発明における(B)成分である光酸発生剤は、活性エネルギー線に暴露されることにより酸を発生する化合物であり、たとえばトルエンスルホン酸又は四フッ化ホウ素などの強酸;スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、セレニウム塩などのオニウム塩類;鉄−アレン錯体類;シラノール−金属キレート錯体類;ジスルホン類、ジスルホニルジアゾメタン類、ジスルホニルメタン類、スルホニルベンゾイルメタン類、イミドスルホネート類、ベンゾインスルホネート類などのスルホン酸誘導体;有機ハロゲン化合物類など、特開平5−134412号公報に示される放射線の照射により酸を発生する化合物があげられる。
スルホン酸誘導体としては、たとえば米国特許第4618564号明細書に示されるベンゾイントシレート、ニトロベンジルトシレート、コハク酸イミドトシルスルホネートなどのスルホン酸エステル類;米国特許第4540598号明細書、特開平6−67433号公報に示されるα−(4−トシルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニドなどのオキシムスルホネート類;特開平6−348015号公報に示されるトリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼンなど;特開昭64−18143号公報に示される9,10−ジアルコキシアントラセンスルホン酸ニトロベンジルエステルなど;N−(p−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)−1,8−ナフタルイミドなどがあげられる。有機ハロゲン化合物類としては、たとえば2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどの特開昭55−32070号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭63−238339号公報に示されるハロゲン含有トリアジン化合物;特開平2−304059号公報に示される2−ピリジル−トリブロモメチルスルホンなどのハロゲン含有スルホン化合物;トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェートなどのハロゲン化アルキルリン酸エステル;2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジンなどのハロゲン含有へテロ環状化合物;1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィンなどのハロゲン含有炭化水素化合物などがあげられる。
上記の光酸発生剤の中で、芳香族スルホニウム塩又は芳香族ヨードニウム塩が、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有するシラン化合物の縮合物(A)を含有する組成物における安定性が高く、入手しやすいという点から好ましい。中でも芳香族スルホニウム塩又は芳香族ヨードニウム塩のカウンターアニオンがフルオロフォスフェート系アニオン、フルオロアンチモネート系アニオン、又は、フルオロボレート系アニオンであることが、硬化が速く、プラスチック基材への付着性に優れるという点から好ましい。特に、フルオロフォスフェート系アニオン又はフルオロアンチモネート系アニオンが好ましい。このような光酸発生剤としては、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート、又は、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネートが好ましい。
光酸発生剤(B)の添加量は、生成する酸の発生量、発生速度に応じて調整が必要だが、縮合物(A)(固形分)100重量部に対し、0.05〜30重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部である。光酸発生剤(B)の添加量が0.05重量部未満では生成する酸が不足し、得られる塗膜の硬度、耐擦傷性が充分ではない傾向にあり、30重量部を超えると塗膜外観の低下や着色などの問題が発生する傾向にある。
<(C)光ラジカル発生剤>
シラン化合物(II−1)を使用し、Rに含まれる基が光ラジカル発生剤によって反応性を発現する場合、光ラジカル発生剤を配合することが好ましい。光ラジカル発生剤とは、活性エネルギー線に暴露されることによりラジカルを発生する化合物であり、シラン化合物(II−1)のRに含まれる基がラジカル重合性を有する場合は、重合開始剤として作用する。
光ラジカル発生剤としては、カルボニル化合物、硫黄化合物、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。より詳しくは、例えば、ベンゾイン、ベンゾインモノメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
IRGACURE184やIRGACURE819などのIRGACUREシリーズやDAROCUR1173やDAROCUR TPOなどのDAROCURシリーズ(以上、BASF社製)、KAYACURE DETX−S、KAYACURE CTXなどのKAYACUREシリーズ(以上、日本化薬社製)、TAZ−101、TAZ−110などのTAZシリーズ(以上、みどり化学社製)等が市販されている。
光ラジカル発生剤は、単独で用いてもよく、硬化速度等を考慮して複数を併用してもよい。
光ラジカル発生剤を使用する際の添加量は、生成するラジカルの発生量、目的の分子量に応じて調整が必要であるが、縮合物(A)100重量部に対して、0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がより好ましい。また、50重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましい。光ラジカル発生剤の使用量が0.05重量部未満では、生成するラジカルが不足し、硬化せずタックを生じる場合があり、50重量部を超えると、着色や耐候性が低下するなどの問題が発生する傾向がある。
<(D)脂環式エポキシ化合物>
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、脂環式エポキシ化合物を含んでいても良い。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド2021P」)、イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド2081」)、1,2,8,9−ジエポキシリモネン(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド3000」)、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「セロキサイド2000」)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、ダイセル化学工業株式会社製:商品名「EHPE−3150」)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等の脂環式エポキシ化合物、環状脂肪族炭化水素に直接又は炭化水素を介してエポキシが付加したエポキシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有のエポキシ化合物等の脂環式エポキシド等を挙げることができる。これらの中では、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物が好ましく、低粘度の液状化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートがより好ましい。
(D)成分は反応性希釈剤として使用することができ、活性エネルギー線照射前の塗液作業性を上げることができる。(D)成分の使用量としては(A)成分100重量部に対して0〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは0〜50重量部である。(D)成分の使用量が100重量部を超えると、硬度や耐擦傷性が低下するおそれがある。
<(E)金属酸化物粒子>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、必要に応じて金属酸化物微粒子を使用することができる。(E)成分である金属酸化物微粒子としては、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、酸化スズ(SnO)、ジルコニア(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタニア(TiO)、ITO(スズ・酸化インジウム)、酸化アンチモン(Sb、Sb)、及びこれらの複合微粒子等を挙げることができる。
中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンが好ましい。特に、シリカ微粒子及びアルミナ微粒子が入手のしやすさやコスト、表面硬度などから好ましく、シリカ微粒子が特に好ましい。これらは1種単独で、又は、2種以上を組合わせて用いることができる。
このような金属酸化物微粒子は、粉体状又は溶剤分散ゾルであることが好ましい。溶剤分散ゾルである場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、δ−ブチロラクトン等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、アルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルが好ましい。
金属酸化物微粒子(E)成分の平均粒子径(平均一次粒子径)は100nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下である。100nmを超えると、得られる塗膜の透明性が損なわれる傾向がある。
市販されているシリカ微粒子分散品としては、コロイダルシリカとして、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、MIBK−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等(以上、日産化学工業株式会社製)、OSCALシリーズ、ELECOMシリーズ(以上、日揮触媒化成株式会社製)等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50等(以上、日本アエロジル株式会社製)、シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122等(以上、旭硝子株式会社製)、E220A、E220等(以上、日本シリカ工業株式会社製)、SYLYSIA470(富士シリシア株式会社製)、SGフレ−ク(日本板硝子株式会社製)等を挙げることができる。
また、アルミナ微粒子分散品としては、NANOBYK−3601、NANOBYK−3602、NANOBYK−3610等(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、アルミナのイソプロパノール分散品としては、AS−150I等(住友大阪セメント株式会社製)、アルミナのトルエン分散品としては、AS−150T(住友大阪セメント株式会社製);ジルコニアのトルエン分散品としては、HXU−110JC(住友大阪セメント株式会社製);アルミナ、チタニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、商品名:ナノテック(シーアイ化成株式会社製)等を挙げることができる。
中でも、ELECOM V−8802、及び、ELECOM V−8804(以上、日揮触媒化成株式会社製)は塗液中の微粒子の分散性が高く、得られる塗膜の透明性や硬度、耐擦傷性がより向上するため好ましい。
(E)成分を配合することで塗膜の耐擦傷性がさらに向上する場合がある。(E)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0〜100重量部が好ましく、さらに好ましくは0〜50重量部である。(E)成分の使用量が100重量部を超えると、塗膜を形成できない場合や塗膜の透明性が低下する場合がある。
脂環式エポキシ化合物(D)や金属酸化物微粒子(E)は、塗膜の硬度に悪影響を与えないため縮合物(A)と共に存在しても問題ない。縮合物(A)と脂環式エポキシ化合物(D)と金属酸化物微粒子(E)の合計の固形分濃度は、組成物重量の60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらにより好ましく、90重量%以上が特に好ましく、95重量%以上が最も好ましい。しかしながら、基材との密着には溶剤も重要であるため、密着性という観点を考慮した際には、縮合物(A)と脂環式エポキシ化合物(D)と金属酸化物微粒子(E)の合計の固形分濃度は、30重量%以上80重量%以下が好ましく、40重量%以上80重量%以下がより好ましく、50重量%以上80重量%以下がさらにより好ましく、60重量%以上80重量%以下が特に好ましい。80重量%を超えると基材との密着性が低下する場合がある。
<(F)光増感剤>
また本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、(B)成分や(C)成分の感光性を向上させる目的で、必要に応じて光増感剤を使用することができる。光増感剤は、使用する(B)成分や(C)成分では吸収できない波長域の光を吸収できるものがより効率的であるため、(B)成分や(C)成分の吸収波長域との重なりが少ないものがよい。
光増感剤としては、特に限定されないが、例えば、アントラセン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、ベンゾイン誘導体等が挙げられる。中でも、酸化電位が低く、電子移動に関与する一重項あるいは三重項状態の励起エネルギーの高いものが理想的であり、光誘起電子供与性の観点から、アントラセン誘導体、チオキサントン誘導体、及び、ベンゾフェノン誘導体が好ましい。より詳しくは、9,10−ジアルコキシアントラセン、2−アルキルチオキサントン、2,4−ジアルキルチオキサントン、2−アルキルアントラキノン、2,4−ジアルキルアントラキノン、p,p’−アミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アルコキシベンゾフェノン、ベンゾインエーテル等が挙げられる。さらに具体的には、アントロン、アントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−エトキシアントラセン、ピレン、ペリレン、コロネン、フェナントレン、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、2−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイル安息香酸ブチル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−i−ブチルエーテル、9−フルオレノン、アセトフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フェノチアジン、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン等が挙げられる。光増感剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
光増感剤を使用する場合の添加量は、目的とする硬化速度に応じて適宜調整すればよいが、光酸発生剤(B)100重量部に対し、0.1重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。また、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。光増感剤の添加量が0.1重量部未満では目的とする光増感剤の効果が得られにくく、10重量部を超えると塗膜が着色したり、コストアップに繋がる傾向がある。
<活性エネルギー線硬化性組成物>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上記(A)、(B)成分を含有し、必要により(C)、(D)、(E)、(F)成分を含有するが、物性を調整するために、さらに各種の添加剤を適宜配合してもよい。例えば、無機顔料や有機顔料、可塑剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、消泡剤などの通常塗料に用いられる添加剤を添加することができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には溶剤を配合することができる。溶剤として特に制限はないが、使用する基材がプラスチックの場合には、基材の耐溶剤性が低いことが多いため、メチルイソブチルケトンやジイソブチルケトンなどのケトン類、ブタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸ブチルや酢酸イソプロピルなどのエステル類、ジエチレングリコールメチルエーテルやプロピレングリコールメチルエーテルなどのエーテル類が好ましい。とくに、エーテル系溶剤を全溶剤の30重量%以上使用することが、基材を傷めない点で好ましい。溶剤の配合量としては、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び、(E)成分の総量100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、0〜150重量部がより好ましい。溶剤の配合量が300重量部より多くなると、上記のごとく基材を傷める可能性があるため好ましくない。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の調製方法としては特に限定はなく、例えば上記の成分を配合し、必要であれば遮光して、ハンドミキサーやスタティックミキサーで混合したり、プラネタリーミキサーやディスパー、ロール、ニーダーなどを用いて、常温又は加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が挙げられる。
<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られるものである。硬化させる際に照射する活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、δ線などを挙げることができるが、反応速度が速く、活性エネルギー線発生装置が比較的安価であるという点からは、紫外線が最も好ましい。活性エネルギー線の照射量としては、50mJ〜10,000mJ/cmの積算光量が好ましく、100mJ〜2,000mJ/cmの積算光量がより好ましい。活性エネルギー線の照射量が50mJ/cm未満の場合、光量が少ないために硬化に時間がかかり、生産性が悪くなる場合がある。一方、活性エネルギー線の照射量が10,000mJ/cmを超える場合、綺麗に硬化しなかったり、基材を傷める場合がある。
硬化温度には特に限定はなく、通常100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、50℃以下がさらにより好ましい。100℃より高温で硬化させる場合、硬化物と基材間の線膨張差のために歪が大きくなるおそれがある。室温で硬化することが特に好ましい。
<積層体>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて積層体を製造することができる。本発明の積層体は、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布する工程、及び、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、硬化被膜を形成する工程を含む製造方法により得られる。
基材としては特に限定されず、後述する各種基材を使用することができる。
本発明の積層体は、パソコン等の前面板、自動車の窓ガラス等に好適に使用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、例えば金属、セラミックス、ガラス、セメント、窯業系基材、プラスチック、フィルム、シート、木材、紙、繊維などからなる建築物、家電用品、産業機器などの塗装に好適に使用できる。特に、活性エネルギー線の照射しやすさから、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、PET樹脂等のプラスチック、フィルム、シートなどの基材に好適に使用できる。
活性エネルギー線硬化性組成物の(A)成分として、シラン化合物(I)、シラン化合物(II−1)を用い、必要に応じてシラン化合物(II−2)も用い、上述のモル比で加水分解・縮合させて得られる縮合物を使用する場合、基材としては単層基材を使用することが好ましい。基材は単層状であれば特に制限はなく、複数の化合物からなる基材であってもよい。活性エネルギー線照射硬化による利点である、硬化時に高熱を必要としないという点を生かすという観点からは、樹脂性基材が好ましく、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、PET樹脂等のプラスチック、フィルム、シートなどの基材が挙げられる。
アクリル樹脂基材としては、スミペックス、テクノロイ(以上、住化アクリル販売株式会社製)、アクリプレン、アクリライト(以上、三菱レイヨン株式会社製)、パラグラス、コモグラス(以上、株式会社クラレ製)、デラグラス、デラプリズム(以上、旭化成テクノプラス株式会社製)、カナセライト(カナセ工業株式会社製)等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂基材としては、カーボグラス(旭硝子株式会社製)、アイリスポリカシート(アイリスシンヨー株式会社製)、ユーピロン(三菱ガス化学株式会社製)、パンライト(帝人化成株式会社製)、ポリカーボネートプレート(タキロン株式会社製)、ポリカエース(住友ベークライト株式会社製)、ポリカプレート(積水成型工業株式会社製)、PCミラー(株式会社菱晃製)等が挙げられる。
PET樹脂基材としては、ペットエース(住友ベークライト製)、エステラ、エステラ・スーパー(積水成型工業株式会社製)、ペテルス(三菱樹脂株式会社製)、ペテック(タキロン株式会社製)、ミネロン(ミネロン化成工業株式会社製)、ポリテックA−PETシート(ポリテック株式会社製)、A−PET樹脂シート(帝人化成株式会社製)、ルミラー(東レ株式会社製)、コスモシャイン(東洋紡株式会社製)等が挙げられる。
なお、複層基材であっても、それぞれの線膨張係数や吸湿性がほとんど同じで、環境試験を行った後にも反りがほとんど発生しない基材であれば、同様に好適に用いることができる。
単層基材の厚みは5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。単層基材の厚みが5mmを超えると、基材自体の剛性の影響が大きく、塗膜による収縮・膨張の影響を受けづらい。
塗膜厚みとしては1〜100μmであることが好ましい。塗膜厚みが1μm未満では、プラスチック、フィルム、シート等の基材自体の硬度の影響を受けやすく、十分な硬度が得られない傾向があり、塗膜厚みが100μmを超えると、活性エネルギー線が深部まで到達せずに硬化が遅くなる傾向がある。塗膜厚みを100μm以上とする場合には、数回に分けて、塗装と活性エネルギー線の照射を繰り返すことが好ましい。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例、比較例において使用した原材料は以下のとおりである。
A−186:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
A−187:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
ELECOM V−8804:日揮触媒化成株式会社製、オルガノシリカゾル(シリカの平均粒子径:約10nm)のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
CPI−101A:サンアプロ株式会社製、トリアリールスルホニウム・SbF塩のプロピレンカーボネート溶液
A−174:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
A−171:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、ビニルトリメトキシシラン
KBM−5103:信越化学工業株式会社製、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン
塩化マグネシウム:和光純薬工業株式会社製、特級
1−メトキシ−2−プロパノール:株式会社ダイセル製
メタノール:三菱ガス化学株式会社製
基材A:PETフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4300、厚み250μm)
基材B:アクリルシート(住化アクリル販売株式会社製、テクノロイS001、厚み0.5mm)
基材C:ポリカーボネートシート(帝人化成株式会社製、パンライトAD−5503)を1.0mm厚に成形したもの)
(合成例1−10)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応器に表1の成分(配合量の単位は重量部)を仕込み、60℃に昇温し、5時間撹拌後、60℃で減圧脱揮し、縮合物を得た。
得られた縮合物を、アセトン−d6を溶媒に用いてNMRで測定し、ケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Yと、原料のシラン化合物が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Xとの比Y/Xを算出した。また、得られた縮合物をHNMRで測定して、3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率を算出した。重量平均分子量はGPCで測定した(表1)。
Figure 0006412867
(実施例1−8、比較例1−8)
表2、3に示すように配合し(配合量の単位は重量部)、塗工液を調製した。なお、合成例1−10で得られた縮合物、及び、A−186は、不揮発分が50重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したものを使用した。この塗工液をPETフィルム(150mm×100mm×250μm)にバーコーターNo.40を用いて、乾燥膜厚が約20μmとなるように塗布し、80℃で2分間溶剤除去のため乾燥した。次いで、空気中で高圧水銀ランプを用い、240mWで、波長310〜390nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように活性エネルギー線を照射することで硬化させ、試験片とした。
試験片の各物性を評価した(表2、3)。
Figure 0006412867
Figure 0006412867
(物性評価)
・膜厚
活性エネルギー線照射7日後に膜厚計を用いて測定し、基材の厚みを差し引いて算出した。
・硬度
照射7日後にJIS K5600に準拠して、鉛筆硬度を評価した。
・耐擦傷性
照射7日後に消しゴム磨耗試験機(株式会社光本製作所製)を用い、500g/cmの荷重をかけてスチールウール#0000を1000回往復させ、塗膜に残った傷の本数を観察した。
○:全くないか3本以下の傷
△:4本から10本の浅い傷
×:傷が10本を超えるか、もしくは深い傷
・耐衝撃性
照射7日後、22gの鋼球を10cmの試験片の中心に落とし、塗膜に割れが発生した時の高さを測定した。
・反り
活性エネルギー線照射7日後に、積層体を85℃85%高温高湿機中で72時間保管し、取り出した4時間後、塗膜が上面となるように水平な台の上に設置した。積層体の上面の4つの頂点のそれぞれについて、台の上面から垂直方向の距離を測定し、その平均値を算出した。積層体が塗装した面側に反る(積層体の下面の角が台の面から浮く)場合には正の値、その逆の場合には負の値とした。
なお、PETフィルム基材単独で同条件で評価した結果は、0mmであった。
実施例1−8では、縮合物(A)を含有する硬化性組成物を硬化させると、乾燥膜厚が10μm以上であってもクラックが発生せず、硬度、耐擦傷性、耐衝撃性のいずれにおいても優れた性能を発現することが確認された。これに対し、比較例1、6−8ではβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを硬化させると、アルコキシシランの反応に伴い硬化収縮を生じ、塗膜にクラックが発生したため、膜厚及び各種物性を測定することができなかった。また、比較例2では、硬度、耐擦傷性共に不十分であった。比較例3では、縮合物が有するグリシドキシ基がエポキシシクロヘキシル基よりカチオン重合性が低いことから、硬度、耐擦傷性共に実施例と比べて大きく劣る結果となった。比較例4では、縮合物の原料であるエポキシシクロヘキシル基を有するシラン化合物の配合量が少なく、十分な架橋密度を得ることができないため、硬度、耐擦傷性共に実施例と比べて劣る結果となった。比較例5では多官能アクリレートを光ラジカル発生剤を用いて硬化させたが、実施例に比べて硬化収縮が著しく、且つ耐衝撃性も劣る結果が得られた。
また、実施例1〜8において、比較例5よりも反りが抑制されていることが分かる。
(合成例11−23)
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた反応器に表4の成分を仕込み、130℃に昇温し、5時間撹拌後、70℃で減圧脱揮し、縮合物を得た。
得られた縮合物に関して、モル比Y/X、3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率、及び、重量平均分子量を測定した。
Figure 0006412867
(実施例9−20、比較例9−14)
表5、6に示すように配合し(配合量の単位は、重量部)、塗工液を調製した。なお、合成例11〜23で得られた縮合物は、不揮発分が50%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈したものを使用した。この塗工液を、210mm×297mmの各種基材(実施例20はアクリルシート、実施例21はポリカーボネートシート、それ以外はPETフィルム)に、バーコーターNo.30を用いて、乾燥膜厚が約20μmとなるように塗布し、80℃で2分間溶剤除去のため乾燥した。次いで、空気中で高圧水銀ランプを用い、240mWで、波長310〜390nmの積算光量が1000mJ/cmとなるように活性エネルギー線を照射することで硬化させ、試験片とした。
試験片の各物性を評価した(表5、6)。反りに関しては、7日養生直後の値も評価した。
Figure 0006412867
Figure 0006412867
実施例9−20では、縮合物(A)を含有する硬化性組成物を硬化させると、硬度、耐擦傷性、反りのいずれにおいても優れた性能を発現することが確認された。
一方で、比較例9、10では、硬化させると、アクリレート基の重合に伴う硬化収縮を生じ、大きな反りが発生した。
また、比較例11では、縮合物中(A)に加水分解されていないアルコキシ基が50%残存しており、積層体作製時に反応するため、硬化収縮及び反りが実施例9よりも大きく発生した。
比較例12及び13では、縮合物(A)中のメタクリロイル基の数が多すぎるため、メタクリレート基の重合に伴う硬化収縮を生じ、大きな反りが発生した。
比較例14では、縮合物中(A)にアルコキシ基が40%残存していることから、比較例11と同様、硬化収縮及び反りが大きく発生しており、また、縮合物を調製する際に酸触媒を用いたことでエポキシシクロヘキシル基が加水分解してしまっていることから、硬度、耐擦傷性も実施例9と比較して低下している。

Claims (15)

  1. 下記一般式(I):
    −(SiR (OR3−a) (I)
    (式中、Rは末端が3,4−エポキシシクロヘキシル基で置換された炭素数1〜10のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基及び炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1価の炭化水素基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは0〜2の整数である。)
    で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(I)、及び、
    下記一般式(II):
    −Si(OR (II)
    (式中、R は炭素数1〜10の置換若しくは非置換のアルキル基、アルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
    で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II)
    の加水分解・縮合反応生成物であり、3,4−エポキシシクロヘキシル基の残存率が20%以上で重量平均分子量20,000以下の縮合物(A)と、光酸発生剤(B)を含有し、
    シラン化合物(II)は、
    下記一般式(II−1):
    −Si(OR (II−1)
    (式中、R は(メタ)アクリロイル基、若しくは、チオール基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、並びに、置換アリール基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−1)、及び、
    下記一般式(II−2):
    −Si(OR (II−2)
    (式中、R は、アミノ基、フェニル基、シクロヘキシル基、若しくは、クロロ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、並びに、炭素数1〜10の非置換アルキル基から選ばれ、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有さない基であり、R はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される、加水分解性シリル基を有するシラン化合物(II−2)からなり、
    シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II)のモル比が2.0以下、
    シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−1)のモル比が0.03〜1.0、
    シラン化合物(I)に対するシラン化合物(II−2)のモル比が0〜1.0
    であり、
    縮合物(A)の原料であるシラン化合物(I)及びシラン化合物(II)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Xに対する、縮合物(A)が有するケイ素原子に直接結合したOR基のモル数Yの比Y/Xが0.2以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. が、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 更に、脂環式エポキシ化合物(D)を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 脂環式エポキシ化合物(D)が、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、請求項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 更に、平均粒子径が100nm以下の金属酸化物微粒子(E)を含有する請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. 金属酸化物微粒子(E)がシリカ微粒子である請求項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  7. 縮合物(A)100重量部に対して、光酸発生剤(B)を0.05〜30重量部、脂環式エポキシ化合物(D)を0〜100重量部、及び、金属酸化物微粒子(E)を0〜100重量部含有する、請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  8. 光酸発生剤(B)が、芳香族スルホニウム塩又は芳香族ヨードニウム塩である請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  9. 光酸発生剤(B)のカウンターアニオンが、フルオロフォスフェート系アニオン又はフルオロアンチモネート系アニオンである請求項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  10. 更に、光増感剤(F)を含有する請求項1〜のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  11. 光増感剤(F)が、アントラセン誘導体、チオキサントン誘導体、又は、ベンゾフェノン誘導体である請求項10に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を基材に塗布する工程、及び、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させ、硬化被膜を形成する工程を含む積層体の製造方法。
  14. 請求項13に記載の製造方法により得られる積層体。
  15. 請求項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物、及び、単層基材を使用することを特徴とする請求項14に記載の積層体。
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