JP5710104B2 - シリコンエピタキシャルウェーハ及びシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、高集積化に伴い集積回路は微細となる。そのため、デバイスが形成されるいわゆるデバイス活性領域では、転位などの結晶欠陥および金属系不純物が厳しく制限される。これらは、リーク電流の増大およびキャリアのライフタイム低下の原因となるためである。
例えば、n型シリコンエピタキシャルウェーハの場合では、n型のドーパントである砒素(As)を高濃度にドープすることで、2[mΩ・cm]程度の低抵抗のシリコン単結晶基板を作製し、その表面上にシリコンエピタキシャル層を成長させる。また、p型のシリコン単結晶基板の場合では、p型のドーパントであるボロン(B)を高濃度にドープし、10〜20[mΩ・cm]の低抵抗のp型のシリコンエピタキシャルウェーハの基板とする。
このミスフィット転位はエピタキシャル成長中にシリコンエピタキシャル層の表面に移動することから、ミスフィット転位が存在すると、半導体デバイスを作製する活性領域に転位が存在することになる。
このようにボロンのみならずゲルマニウムといった不純物を高濃度にシリコンに添加した場合、全体として添加するドーパントのドープ量が多くなりすぎる為、シリコン単結晶育成時にシリコン単結晶が有転位化する確率が高まり、シリコン単結晶インゴットの製造時の結晶歩留りを低下させるという問題があった。
本発明では、この高濃度ボロンの添加によるシリコン単結晶基板の結晶格子の縮小化がガリウム同時添加によって抑制されている。ガリウムは、シリコンの結晶格子を膨張化する作用を有しているため、20[mΩ・cm]以下といった極低抵抗率シリコンエピタキシャルウェーハのシリコン単結晶基板に、ボロンに加えガリウムが添加されたものを用いることで、ボロンによる結晶格子縮小化とガリウムの膨張作用が打ち消しあい、結晶格子の縮小化が抑えられたものとなっている。その結果、シリコン単結晶基板にシリコンエピタキシャル層が形成された際、シリコンエピタキシャル層の格子定数とシリコン単結晶基板の格子定数との差が小さいものとなり、ミスフィット転位の発生が効果的に抑制されたものとすることができる。
さらに、上述の効果によってボロンとゲルマニウムを添加する場合に比べて結晶育成時の不純物添加量が全体として少なくなり、結晶の有転位化がより起き難くなったシリコンエピタキシャルウェーハとなっている。
R≦1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(1)
R≧−1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(2)
ここで、N=1.33×1019/ρ+1.082×1020/(ρ×(1+(0.05456×ρ)1.105))・・・(3)で定められた範囲に入る(但し、(1)式において右辺が1以上の値になった場合はR<1とし、(2)式において右辺が0以下になった場合はR>0とする)ものとすることが好ましい。
また、シリコンと同族であるゲルマニウムと異なり、ガリウムはアクセプタ型ドーパントとしても作用するため、ボロンとゲルマニウムを同時にドープする場合に比べて添加量を少なくすることができ、結晶育成の際の有転位化をより効果的に防止することができる。そしてボロンのみをドープする場合に比べてボロン濃度を低減できるため結晶格子の収縮化を防止することができ、よりミスフィット転位の発生が抑制されたものとすることができる。
R≦1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(1)
R≧−1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(2)
ここで、N=1.33×1019/ρ+1.082×1020/(ρ×(1+(0.05456×ρ)1.105))・・・(3)で定められた範囲に入る(但し、(1)式において右辺が1以上の値になった場合は、R<1とし、(2)式において右辺が0以下になった場合は、R>0とする)ものとすることが好ましい。
極低抵抗率(20[mΩ・cm]以下)のシリコン単結晶基板を用いてシリコンエピタキシャルウェーハを作製する場合、シリコン単結晶基板とシリコンエピタキシャル層の格子定数の違い(格子不整合)により、シリコンエピタキシャル層にミスフィット転位が多く発生する。
特にボロンをドープしたP型のシリコン単結晶基板を用いた場合、他のドーパントより格子不整合が大きくなるため、ミスフィット転位が発生しやすい。ミスフィット転位は、リーク系のデバイス不良を引き起こすことがあるため、その発生の少ないシリコンエピタキシャルウェーハの開発が必要であった。
本発明のシリコンエピタキシャルウェーハは、ドープ剤として少なくともボロンとガリウムの両方が添加され、かつ抵抗率が20[mΩ・cm]以下であるシリコン単結晶基板の表面上にシリコンエピタキシャル層が形成されたものである。
その結果、シリコン単結晶基板にシリコンエピタキシャル層が形成された際、シリコンエピタキシャル層の格子定数とシリコン単結晶基板の格子定数との差を小さくすることができ、ミスフィット転位の発生を抑制することができる。
さらに、上述の効果によってボロンとゲルマニウムを添加する場合に比べて結晶育成時の不純物添加量が少なくなり、結晶の有転位化がより起き難くなったため、コストの低減を図ることができるとともに結晶欠陥自体も従来に比べて低減されたシリコンエピタキシャルウェーハやエピタキシャル成長用シリコン単結晶基板となっている。
R≦1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(1)
R≧−1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(2)
ここで、N=1.33×1019/ρ+1.082×1020/(ρ×(1+(0.05456×ρ)1.105))・・・(3)で定められた範囲に入る(但し、(1)式において右辺が1以上の値になった場合は、R<1とし、(2)式において右辺が0以下になった場合は、R>0とする)ものとすることができる。
まず表1に示すように、あらかじめ抵抗率を1.2[mΩ・cm]から10.2[mΩ・cm]まで振った6水準の直径200mm、結晶軸方位<100>のシリコン単結晶基板を準備した。
そのシリコン単結晶基板に、厚みを細かく変えた抵抗率10[Ω・cm]程度のシリコンエピタキシャル層を枚葉式反応機にて堆積させた。そのようにして得られたシリコンエピタキシャルウェーハについて、X線トポグラフにてミスフィット転位の発生状況を調べた。
その結果、図2に示すような結果が得られた。図2は抵抗率から計算された各々の抵抗率のシリコン単結晶基板の格子変位量とエピタキシャル層の厚さの関係を示したグラフである。
tL=6.5×10−4×│Δd/d│−1・・・(A)
そして(A)式において、ミスフィット転位の発生しない範囲は、
Δd/d>0のとき、tL<6.5×10−4×(Δd/d)−1・・・(A)−1
Δd/d<0のとき、tL<−6.5×10−4×(Δd/d)−1・・・(A)−2
と考えた。
Δd/d=(ΔdB+ΔdGa)/d・・・(B)
ΔdB/d=((rB−rSi)/rSi)×(NB/NSi)・・・(B)−2
ΔdGa/d=((rGa−rSi)/rSi)×(NGa/NSi)・・・(B)−3
(ΔdB,ΔdGa:B,Ga添加起因の格子定数変化量)
(rSi:1.17Å,Siの共有結合半径)
(rB:0.88Å,Bの共有結合半径)
(rGa:1.26Å,Gaの共有結合半径)
(NSi:5.0×1022atoms/cm3,Siの密度)
(NB,NGa:B,Gaの密度)
のような(B)式が得られる。
NGa=R×N
NB=(1−R)×N
と表される。これらと(A)式を(B)式に代入し、Rについて解く。
Δd/d>0のとき、
R<(6.5×10−4×rSi×NSi−tL×N×(rB−rSi))/(tL×N×(rGa−rB))
従って、R<1.0×1020/(tL×N)+0.763・・・(1)
R>−(6.5×10−4×rSi×NSi+tL×N×(rB−rSi))/(tL×N×(rGa−rB))
従って、R>−1.0×1020/(tL×N)+0.763・・・(2)
が得られる。
ここで、ASTM−F723の抵抗−濃度換算式から、
N=1.33×1019/ρ+1.082×1020/(ρ×(1+(0.05456×ρ)1.105)) ・・・(3)
となる。
この準備するシリコン単結晶基板は、抵抗率が20[mΩ・cm]以下とし、またドープ剤として少なくともボロンとガリウムの両方が添加されたものとする。
このようなシリコン単結晶基板は、例えばCZ法で、ボロンとガリウムをドープして、抵抗率が20[mΩ・cm]以下となるように育成したシリコン単結晶棒からスライスして作製すればよい。
ボロンを高濃度にドープしたシリコン単結晶の場合、ボロンの共有半径がシリコンに比べ小さい為、格子定数もその濃度に応じて小さくなる。そのようなシリコン単結晶基板にシリコンエピタキシャル層を成長させると格子不整合が大きくなる為、ミスフィット転位が発生しやすい。
その結果、シリコン単結晶基板にシリコンエピタキシャル層を成長する際、シリコンエピタキシャル層の格子定数とシリコン単結晶基板の格子定数との差が小さくなり、ミスフィット転位の発生を効果的に抑制することができる。
さらに、ボロンとゲルマニウムを添加する場合に比べ、結晶育成時のトータルの不純物添加量が少なくなり、結晶の有転位化の発生を抑制することができる。
R≦1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(1)
R≧−1.0×1020/(t×N)+0.763・・・(2)
ここで、N=1.33×1019/ρ+1.082×1020/(ρ×(1+(0.05456×ρ)1.105))・・・(3)で定められた範囲に入る(但し、(1)式において右辺が0以下若しくは1以上の値になった場合はR>0とし、(2)式において右辺が0以下若しくは1以上の値になった場合はR<1とする)ものを用いることができる。
この気相成長方法は、一般的な条件で行えば良く、例えば、H2をキャリアガスとしてSiHCl3等のソースガスをチャンバー内に導入し、サセプタ上に配置した上記シリコン単結晶基板の主表面上に、1050〜1250℃程度でCVD法により、エピタキシャル成長させればよい。
(実施例1〜6、比較例1)
CZ法によりシリコン単結晶インゴットを育成する際、シリコン融液にボロンおよびガリウムを所定量ずつドープし、7種類の直径200mm、結晶軸方位<100>のシリコン単結晶インゴットを育成した。
この時のボロン濃度及びガリウム濃度は後述の表2に示したようになるようにした。そして所望のボロン濃度、ガリウム濃度になっているかを確認する為、2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いてボロン及びガリウム濃度の実測を行った。
次に、それぞれのシリコン単結晶基板を枚葉式エピタキシャル成長装置内にそれぞれ仕込み、1100℃程度で水素ベーク後、そのままエピタキシャル成長装置内で、SiHCl3ガスを供給し、各シリコン単結晶基板の表面に10μm及び20μmの厚さのシリコンエピタキシャル層を成長させ、シリコンエピタキシャルウェーハを製造した。
また表2に、本発明の実施例1〜6および比較例1におけるシリコンエピタキシャル層の厚さ、シリコン単結晶基板の抵抗率、ボロン濃度、ガリウム濃度、(1)式や(2)式の値、濃度比R、ミスフィット転位の発生状況をまとめた。
ただし図1(b)に示すように、(1)式、(2)式の範囲を満たさない実施例5の場合、実用的には問題ない水準ではあったが、少量のミスフィット転位が発生してしまっていた。
このように、ボロンとガリウムを同時にドープすることによってミスフィット転位の発生を抑制することができ、また本発明に記載した(1)式、(2)式の範囲内であれば、ミスフィット転位の発生を更に抑制できることが判った。
ドープ剤としてガリウムの代わりにゲルマニウムをドープした以外は実施例1と同様の条件でシリコンエピタキシャルウェーハを製造(比較例2)し、同様の評価を行った。
その結果、比較例2のシリコンエピタキシャル層にはミスフィット転位が発生していた。また、単結晶化が困難で、実施例に比べ単結晶引上げ中に有転位が2倍以上発生した。
Claims (2)
- シリコン単結晶基板上にシリコンエピタキシャル層が形成されたシリコンエピタキシャルウェーハであって、
前記シリコン単結晶基板はドープ剤としてボロンとガリウムの両方のみが添加されたものであり、かつ抵抗率が20[mΩ・cm]以下であり、前記ドープ剤として添加されたガリウムの濃度C Ga とボロンの濃度C B との比R(C Ga /(C Ga +C B ))が、該シリコン単結晶基板の抵抗率をρ[mΩ・cm]、前記シリコンエピタキシャル層の厚さをt[μm]としたとき、
R≦1.0×10 20 /(t×N)+0.763・・・(1)
R≧−1.0×10 20 /(t×N)+0.763・・・(2)
ここで、N=1.33×10 19 /ρ+1.082×10 20 /(ρ×(1+(0.05456×ρ) 1.105 ))・・・(3)で定められた範囲に入る(但し、(1)式において右辺が1以上の値になった場合はR<1とし、(2)式において右辺が0以下になった場合はR>0とする)ものであることを特徴とするシリコンエピタキシャルウェーハ。 - シリコン単結晶基板上にシリコンエピタキシャル層を気相成長させるシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法であって、
前記シリコン単結晶基板として、ドープ剤としてボロンとガリウムの両方のみが添加され、かつ抵抗率が20[mΩ・cm]以下で、前記ドープ剤として添加されたガリウムの濃度C Ga とボロンの濃度C B との比R(C Ga /(C Ga +C B ))が、該シリコン単結晶基板の抵抗率をρ[mΩ・cm]、前記シリコンエピタキシャル層の厚さをt[μm]としたとき、
R≦1.0×10 20 /(t×N)+0.763・・・(1)
R≧−1.0×10 20 /(t×N)+0.763・・・(2)
ここで、N=1.33×10 19 /ρ+1.082×10 20 /(ρ×(1+(0.05456×ρ) 1.105 ))・・・(3)で定められた範囲に入る(但し、(1)式において右辺が1以上の値になった場合は、R<1とし、(2)式において右辺が0以下になった場合は、R>0とする)ものを用いることを特徴とするシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法。
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