JP5830215B2 - エピタキシャルウエーハ並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
そして、シリコンウエーハを用いた集積回路の作製には、デバイス活性層中の金属不純物の低減という重要な技術課題がある。これを実現するため、材料の高純度化やデバイスプロセスの清浄化等の工夫がなされている。
この金属不純物を捕獲するゲッタリングサイトの1つとして、シリコンウエーハ中の酸素析出物が挙げられる。この酸素析出物をウエーハ中に形成させることが非常に重要な技術の1つである。
しかし、サンドブラストやポリシリコン膜形成といったゲッタリング技術は、裏面にゲッタリングサイトが存在するため、デバイス活性層中の金属不純物を裏面まで拡散させる必要があり、金属不純物の拡散による律速を受ける。
これにより、酸素析出物の形成を容易にし、高いゲッタリング能力を有するウエーハを製造することができる(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしこれら特許文献1〜3に記載の技術は、導電型がP型の場合であり、N型に同様に適応できなかった。
またドープする炭素濃度の範囲が0.1〜10ppmaであるため、炭素ドープによる酸素析出促進効果を十分に高いものとすることができ、また単結晶の育成中に多結晶化してしまうことを抑制できる。更にドープされた窒素濃度が1×1013〜1×1015atoms/cm3であるため、酸素析出熱処理後のシリコンウエーハ中に析出する酸素析出物の密度をゲッタリング能力が高い水準まで析出させることができ、また酸素析出物が過剰に析出してスリップ転位などの結晶欠陥が発生することを抑制することができる。従って、結晶欠陥が非常に少ない高品質シリコンウエーハとなっている。
このように、抵抗率調整用ドーパントとしてリンがドープされたシリコンウエーハであれば、近年需要が拡大しているので、本発明が有効であり、また、抵抗率を下げるために大量にドープできるため、結晶欠陥を発生させることなく低抵抗率とすることができる。
前述のように、本発明のシリコンウエーハは、N型低抵抗率のシリコンウエーハで、且つ酸素析出物が析出するものであるためゲッタリング能力が高いものとなっている。そのため、このようなシリコンウエーハの表面上にエピタキシャル層が気相成長されたエピタキシャルウエーハはゲッタリング能力が高いものである。
また、炭素濃度が0.1〜10ppmaになるようにドープされているため、酸素析出物を十分に析出させることができ、かつシリコンが多結晶化して育成できなくなることを抑制することができる。また窒素濃度が1×1013〜1×1015atoms/cm3となるようにドープされているため、酸素析出物を十分に析出させることができ、また析出過多となることを防止することができる。更に、低抵抗のN型シリコンウエーハを得られるため、パワーMOSデバイスに適したシリコンウエーハを得ることができる。
このように、抵抗率調整用ドーパントとしてリンを用いることによって、近年の市場の要求に答えることができるとともに、容易に低抵抗率のN型シリコンウエーハを製造することができ、また育成されたシリコンウエーハの結晶性を高いものとすることができる。
上述のように本発明の製造方法で製造されたシリコンウエーハは、低抵抗率のN型シリコンウエーハでゲッタリング能力が高いものであるため、このようなシリコンウエーハを用いて製造されたエピタキシャルウエーハもゲッタリング能力の高い、例えばN型の低抵抗率のシリコンエピタキシャルウエーハとすることができる。
前述のように、導電型がN型で、抵抗率が4mΩ・cm以下と低抵抗率であっても、酸素析出物をデバイス活性領域の近傍に析出させることのできるIG能力の高いシリコンウエーハとエピタキシャルウエーハ並びにそれらの製造方法の開発が待たれていた。
本発明のシリコンウエーハは、炭素濃度が0.1〜10ppma(5×1015〜5×1017atoms/cm3)、かつ窒素濃度が1×1013〜1×1015atoms/cm3、導電型がN型で抵抗率が4mΩ・cm以下である。
また、炭素が0.1ppma(5×1015atoms/cm3)以上ドープされているため、炭素ドープによる酸素析出促進効果を十分に高いものとすることができる。またドープ量が10ppma(5×1017atoms/cm3)以下であるため、単結晶育成時に多結晶化して育成が困難となることを抑制できる。
そして、窒素が1×1013atoms/cm3以上ウエーハ中にドープされているため、酸素析出熱処理後のシリコンウエーハ中に析出する酸素析出物の密度をゲッタリング能力が高い水準まで析出させることができる。またドープ量の上限が1×1015atoms/cm3以下であるため、酸素析出物が過剰に析出してスリップ転位等の結晶欠陥が発生することを抑制することができる。
従って、結晶欠陥が少なく、且つゲッタリング能力が十分に高い高品質なN型低抵抗率のシリコンウエーハとなっている。
このように、抵抗率調整用ドーパントとしてリンがドープされたシリコンウエーハであれば、抵抗率を下げるために大量にドープでき、また結晶欠陥を発生させることなく抵抗率を下げたものとすることができる。このため、容易に低抵抗率のN型シリコンウエーハを得ることができ、また得られたシリコンウエーハの結晶性は高いものとなっている。近年、リンドープ低抵抗シリコンウエーハにエピタキシャル層を形成したものが、パワーMOSデバイス用途に需要が拡大しているため、本発明はこのような用途に十分に対応することができる。
この際、得られるシリコンウエーハ中の炭素濃度が0.1〜10ppma(5×1015〜5×1017atoms/cm3)と、窒素濃度が1×1013〜1×1015atoms/cm3と、導電型がN型、抵抗率が4mΩ・cm以下になるように、炭素・窒素・抵抗率調整用ドーパントをドープする。
この炭素・窒素・抵抗率調整用ドーパントをドープする方法は、一般的な手法を用いれば良い。炭素をドープする方法としては、原料シリコン融液中に炭素粉末を添加したり、育成雰囲気ガスに炭素含有ガスを添加する方法がある。また窒素の場合、原料シリコン融液中に窒化ケイ素粉末や窒化膜付きのシリコンウエーハを投入したり、雰囲気ガスに窒素含有ガスを添加する方法がある。
また、窒素のドープ量は、1×1013atoms/cm3以上且つ1×1015atoms/cm3以下とする。ドープ量が1×1013atoms/cm3未満の場合、デバイス工程や酸素析出物析出熱処理の際に酸素析出物が十分に析出せず、ゲッタリング能力が不十分となることがあるため、下限は1×1013atoms/cm3とする。また、ドープ量が1×1015atoms/cm3を超える場合、酸素析出物の析出量が多くなりすぎ、デバイス工程においてスリップ転位やウエーハの反りが発生して、不良発生の原因となるため、上限を1×1015atoms/cm3とする。
また、導電型はN型、抵抗率は、特に低耐圧パワーMOSデバイスに適したウエーハとするには、4mΩ・cm以下とする。4mΩ・cmを超える場合、デバイス特性に悪影響が発生することがあるため、4mΩ・cm以下とする。
リンをドープする方法としては、例えば、チョクラルスキー法でシリコン単結晶棒を育成する際に予め石英ルツボ内にリンがドープされた原料シリコン多結晶を入れてシリコン単結晶棒を育成する方法がある。または、原料融液にリンを直接投入しても良い。そしてリンとして赤リンを用いることが望ましく、赤リンであれば、容易に4mΩ・cmの超低抵抗率ウエーハとすることができる。
このように、抵抗率を調整するドーパントとしてリンを用いることによって、作製されるシリコンウエーハの抵抗率を容易に超低抵抗率とすることができる。
そして任意で、面取り、ラッピング、エッチング、研磨等を行うことができ、これによって所望のシリコンウエーハが得られる。
このエピタキシャル層を形成する方法としては、例えば気相成長によれば良い。気相成長で形成する場合、例えば、H2をキャリアガスとしてSiHCl3等のソースガスをチャンバー内に導入し、サセプタ上に配置した炭素及び窒素をドープしたN型(リンドープ)シリコンウエーハ上に、1050〜1250℃程度でCVD法により、エピタキシャル成長させることができる。
そしてこの際、形成するエピタキシャル層の導電型や抵抗率は特に制限されるものではないが、下地となるシリコンウエーハ同様、N型で通常抵抗率とすることが望ましい。
(実施例1〜6、比較例1〜4)
炭素、窒素、抵抗率調整用ドーパントして赤リンを、後述する表1に記載される濃度となるようにして、チョクラルスキー法により炭素・窒素・赤リンを同時にドープしてシリコン単結晶棒を計10種類育成した。
ここで、リンは原料シリコン融液中にリン濃度が既知のリンドープシリコン多結晶を投入することで、また炭素は原料シリコン融液中に炭素粉を投入することで、窒素は原料シリコン融液中に窒化膜付きウエーハを投入することで行った。
そして作製されたシリコンウエーハの結晶欠陥の有無をパーティクルカウンターで評価した。
窒素濃度は、エピタキシャル層形成後のエピタキシャルウエーハからサンプルを採取し、表面のエピタキシャル層を除去するために20μmのポリッシュを行った後、二次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて測定した。炭素濃度は、エピタキシャル層形成後のエピタキシャルウエーハを赤外吸収法(FTIR)で測定して、日本電子工業振興協会による濃度換算係数を用いて算出した。抵抗率の評価は4探針法で行った。
その後、得られたエピタキシャルウエーハを劈開し、劈開面を選択エッチングすることにより、酸素析出物密度を測定した。
これらの結果を比較し、まとめた結果を表1に示す。
この表中において、BMD析出密度の欄における◎、○、×は酸素析出物密度の高低を表す。そして結晶欠陥の有無やエピタキシャル層の欠陥の有無の欄における○、×は、欠陥なしを○、欠陥有りを×としたものである。
これに対し、窒素濃度が本発明の範囲外であった比較例1,2のエピタキシャルウエーハは、下限より下の比較例1のウエーハはBMDが十分に析出しておらず、上限より上の比較例2のウエーハは結晶欠陥やエピ欠陥がウエーハに発生していた。
また炭素濃度が本発明の範囲外の比較例3,4のエピタキシャルウエーハは、下限より下の比較例3のウエーハは、比較例1のウエーハ同様BMDが十分に析出しておらず、上限より上の比較例4のシリコンウエーハは単結晶棒の育成中に多結晶化してしまい、製造できなかった。
Claims (2)
- エピタキシャルウエーハであって、炭素濃度が0.1〜10ppma、かつ窒素濃度が1×10 13 〜1×10 15 atoms/cm 3 、導電型がN型で抵抗率が4mΩ・cm以下であるシリコンウエーハの表面にエピタキシャル層が形成されたものであり、前記導電型をN型で抵抗率を4mΩ・cm以下にするための抵抗率調整用ドーパントがリンであることを特徴とするエピタキシャルウエーハ。
- エピタキシャルウエーハの製造方法であって、チョクラルスキー法によって炭素濃度が0.1〜10ppma、窒素濃度が1×10 13 〜1×10 15 atoms/cm 3 、導電型がN型で抵抗率が4mΩ・cm以下になるように炭素・窒素・抵抗率調整用ドーパントとしてのリンをドープしてシリコン単結晶棒を育成し、該シリコン単結晶棒をスライスして加工することで得られたシリコンウエーハの表面上に、エピタキシャル層を形成することを特徴とするエピタキシャルウエーハの製造方法。
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