JP5709837B2 - 液晶素子及び液晶素子の製造方法 - Google Patents

液晶素子及び液晶素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶表示装置や空間光変調装置等に用いられる液晶素子及びその製造方法に関し、特に、加工用や光ピンセットなど光マニュピレーションに用いるレーザ光制御や光通信に適した液晶素子の液晶を封止するシールに関するものである。
従来の液晶素子では、一対の基板間を樹脂で結合し、この樹脂と基板で囲まれた空間内に、注入口から液晶を注入し封止することにより、液晶セルを形成している。この樹脂からなるシール材で液晶層を基板間に保持する構成にあっては、樹脂が防湿性を有しないために、液晶層内に水分が浸透しやすく、また、シール材硬化時に残留した重合残りの樹脂とシール材に接触した液晶材料が特に高温下で相溶し、液晶層に溶出することもあり、液晶の配向不良や比抵抗の低下等、液晶素子の特性が劣化する問題があった。
特に、光通信に用いられる空間光変調装置等は、高温高湿の環境下に於ける耐久性が厳しく要求され、MEMS等に対し、機械的可動部のない利点を有する液晶素子を組み込むためには、この高温高湿の環境に対する耐久性の向上を図ることが必須であった。したがって、シール材を樹脂でなく、無機材で構成する液晶素子が提案されている(特許文献1参照)。
図32は、従来の液晶素子を説明するための図である。
図32に示すように、液晶素子600は、対向して配置された一対の基板610、620間に液晶層650が挟持された液晶素子である。素子基板610と対向基板620の間は、液晶層650を囲む枠状部680の上面680aのシール部により貼り合わされている。シール部は、対向基板620の内面側に一体で形成された枠状部680と、枠状部680に対向する側の素子基板610の接触面とが、表面活性化処理後、真空雰囲気中で直接接合されたことにより形成されている。
したがって、基板間に液晶層を形成する枠状部680が、従来技術の樹脂でなく、対向基板620から形成される無機材であり、表面活性化処理により素子基板610と直接接合する構成であるから、防湿性が高く、液晶層への水分の浸入を防止し、液晶の特性低下を生じることがなく、耐久性のある液晶素子の提供が可能である。
図33は、他の従来の液晶素子を説明するための図である。
図33に示すように、デバイス710と蓋720に表面活性化処理を行って直接接合するものが提案されている(特許文献2参照)。デバイス710と蓋720を接合するために、デバイス710の接合面には、接合部として輪郭上に1μm以上の厚さで金メッキ730が形成されている。また、蓋720の接合面には、金薄膜740がスパッタリング又はフラッシュメッキにより形成されている。なお、金厚膜メッキ730と金薄膜740側を逆に形成しても良い。ウェハー接合装置の真空チャンバー内で、デバイス710と蓋720の金表面をArプラズマのエッチング処理により表面活性化処理をおこなった後、デバイス710と蓋720を接触し、加圧して接合する。
図34は、更に他の従来の液晶素子を説明するための図である。
図34に示すように、2枚のプレート810及び820を対向配置させ、枠体830を挟んで2枚のプレートを減圧雰囲気中で加圧することによって、2枚のプレートが枠体830を介して気密に封着されている液晶表示装置800が提案されている(特許文献3参照)。なお、プレート820と予めフリットガラス831で接合されている枠体830と、プレート820に配置されている封着剤840とが接合することによって、2枚のプレートが組み立てられる。
また、接合前には、枠体830及び封着剤840の表面には表面活性化処理が施されている。また、枠体はガラスで構成されているが、金属で構成されていても良い。
特開2007−155989号公報(第1頁、図2) 特開2005−311298号公報(第32頁、図29) 特開2008−16353号公報(図3、図4)
特許文献1に示す液晶素子のシール部は、材質が石英からなる液晶基板の一方の面を、エッチングによってパターニングして、基板面より突出して形成するもので、硬質の材質どうしを表面活性化処理により接合しようとするものである。したがって、一対の基板の接合面は、平面度と面粗さがナノレベルの精度を要し、かつ真空中で接合することが必要で、実用化するには、非常に難しいものであった。
また、特許文献2に示す接合は、デバイスと蓋の接合面に金メッキ或いはスパッタの金薄膜を形成して、表面活性化処理を行い、真空中で加圧して接合するものである。しかしながら、特許文献2に示す接合は、特許文献1と同様に、シール幅全面における面どうしの接合は、接触したところしか接合できないから、接合面どうしの平面度に精度を必要とする。更に、接合の際には金表面の面に変形を促すための膨大な接合荷重を要していた。また、接合が目的であり、液晶パネルのように液晶層のような液体を封入することについては、考慮されておらず、液体を漏らさずに封入するのに必要なシール形状についても、開示されていない。さらに、真空中で加圧する必要があるため、製造工程が煩雑であった。
さらに、特許文献3に示す接合は、枠体の表面に表面活性化処理を施しているが、接合に封着剤840を利用しており、高温高湿の環境にあっても耐久性のある液晶素子を実現することは容易ではなかった。
本願に記載の液晶素子及び液晶素子の製造方法では、上記の課題を解決することを目的とする。
また、本願に記載の液晶素子及び液晶素子の製造方法では、常温大気中での加圧接合が容易な液晶素子を提供することを目的とする。
さらに、本願に記載の液晶素子及び液晶素子の製造方法では、高温高湿の環境にあっても耐久性のある液晶素子を実現することを目的とする。
液晶素子は、液晶層を封入するための枠状のシール領域を備えた第1の基板と、第1の基板に対向して設けられた第2の基板とを有し、第1の基板のシール領域には第2の基板と重ね合わせて接合する際に潰れて変形して金属結合するための金の枠状構造物が設けられ、第2の基板における金の枠状構造物に対向する部分には金の枠状構造物と金属結合するための金膜が配置されていることを特徴とする。
液晶素子では、金の枠状構造物は、少なくとも複数の金の壁状構造物を有することが好ましい。
液晶素子では、金の枠状構造物は、少なくとも一つの金の壁状構造物と金の柱状構造物とを有することが好ましい。
液晶素子では、金の枠状構造物は、金の壁状構造物内に複数の凹部を備えることが好ましい。
液晶素子では、第1の基板と金の枠状構造物との間、または第2の基板と金膜との間に、無機スペーサ材を有することが好ましい。
液晶素子では、無機スペーサ材は、誘電体膜又は金属膜であることが好ましい。
第1の基板、第2の基板、シール材、及び、前記第1の基板、前記第2の基板及びシール材によって封入された液晶層を有する液晶素子の製造方法は、第1の基板に第1のシール材として金の枠状構造物を形成し、第2の基板に第2のシール材として金膜を形成し、金の枠状構造物の表面及び金膜の表面に表面活性化処理を施し、表面活性化処理が施された金の枠状構造物の表面と、表面活性化処理が施された金膜の表面とを常温で加圧して金属結合により第1のシール材及び第2のシール材を接合することによってシール材を形成する工程を有することを特徴とする。
液晶素子の製造方法では、金の枠状構造物は、金の壁状構造物を有することが好ましい。
液晶素子の製造方法では、金の枠状構造物を形成するために、第1の基板上に無機スペーサ材及び金膜を配置する工程を有することが好ましい。
液晶素子の製造方法では、配置された金膜をハーフエッチングすることによって金の枠状構造物を形成することが好ましい。
液晶素子の製造方法では、第2の基板上の金膜を形成するために、第2の基板上に第2の無機スペーサ材を配置する工程を有することが好ましい。
液晶素子の製造方法では、第1の基板はガラス基板であり、第2の基板はシリコン基板又はガラス基板であることが好ましい。
液晶素子の製造方法では、表面活性化処理は、金の枠状構造物の表面及び金膜の表面にプラズマ又はイオンビームを照射して活性化する工程を含むことが好ましい。
液晶素子の製造方法では、第1の基板又は前記第2の基板上に配向膜を形成する工程を更に有することが好ましい。
液晶素子の製造方法では、金の枠状構造物を形成するために、第1の基板上に配置された金膜の内、不必要な部分の金膜をリフトオフによって剥離することが好ましい。
液晶素子用基板は、液晶層を封入するための枠状のシール領域を備えた液晶素子用の一対の基板であって、この一対の基板のうち、一方の基板におけるシール領域には、他方の基板と重ね合わせて接合する際に潰れて変形して金属結合するための、金の枠状構造物が配置され、他方の基板におけるシール領域には、金の枠状構造物と金属結合するための金膜が配置されていることを特徴とする。
また、金の枠状構造物は、少なくとも複数の金の壁状構造物を有することを特徴とする。また、金の枠状構造物は、少なくとも一つの金の壁状構造物と金の柱状構造物とを有することを特徴とする。また、金の枠状構造物は、金の壁状構造物内に複数の凹部を備えることを特徴とする。さらに、一方の基板と金の枠状構造物との間、または他方の基板と金膜との間には、無機スペーサ材を備えることを特徴とする。この無機スペーサ材は、誘電体膜、金属膜であることが好ましい。
液晶素子の製造方法は、一対の基板をシール領域に設けた金を含むシール材を介して貼り合わせ、液晶層を封入した液晶素子の製造方法であって、一対の基板のうち、一方の第1の基板におけるシール領域に、第1のシール材として金の枠状構造物を形成する第1のシール材形成工程と、一対の基板のうち、他方の第2の基板におけるシール領域に第2のシール材として金膜を形成する第2のシール材形成工程と、第1のシール材の金の枠状構造物における金表面、及び第2のシール材における金膜の金表面に表面活性化処理を行う表面活性化処理工程と、第1のシール材及び第2のシール材の金表面どうしを接触させ、常温で加圧して金属結合で接合する加圧接合工程を含むことを特徴とする。また、金の枠状構造物は、金の壁状構造物を有することを特徴とする。
液晶素子の製造方法では、第1のシール材形成工程は、金の枠状構造物を形成する工程の前に、第1の基板上に無機スペーサ材および金膜を配置する第1のスペーサ形成工程を備えることが好ましい。
液晶素子の製造方法では、金の枠状構造物を形成する工程は、第1のスペーサ形成工程で配置した金膜をハーフエッチングして形成するマイクロバンプ形成工程を含むことが好ましい。
液晶素子の製造方法では、第2のシール材形成工程は、第2のシール材形成工程で配置した金膜を形成する工程の前に、第2の無機スペーサ材を配置する第2のスペーサ形成工程を備えることが好ましい。
液晶素子の製造方法では、第1の基板は、ガラス基板であり、第2の基板は、シリコン基板またはガラス基板であることが好ましい。
液晶素子の製造方法では、表面活性化処理工程は、金表面をプラズマ又はイオンビームを照射して活性化する工程を含むことが好ましい。
本願に記載された液晶素子及び液晶素子の製造方法によれば、確実なシールと耐水性を実現することが可能な液晶素子を提供することができる。
また、本願に記載された液晶素子及び液晶素子の製造方法によれば、高温高湿の環境化においても耐久性のある液晶素子を提供することができる。
図1は、液晶素子1の外観を示す斜視図である。
図2は、図1に示す液晶素子1の構成を示す部分分解斜視図である。
図3は、図1に示す液晶素子1の模式的な断面図である。
図4(a)は図1に示す液晶素子1のシール材の断面図であり、図4(b)は図1に示す液晶素子1のシール材の部分拡大斜視図であり、図4(c)は図1に示す液晶素子のシール材の斜視図である。
図5は、図1に示す液晶素子1が組み込まれた空間光変調器の構成を示す模式的な図である。
図6(a)は他の液晶素子2のシール材の部分拡大平面図であり、図6(b)は他の液晶素子2のシール材の部分拡大斜視図である。
図7(a)は更に他の液晶素子3のシール材の部分拡大平面図であり、図7(b)は他の液晶素子3のシール材の部分拡大斜視図である。
図8(a)は更に他の液晶素子4のシール材の部分拡大平面図であり、図8(b)は他の液晶素子4のシール材の部分拡大斜視図である。
図9(a)〜(f)は、液晶素子1の製造方法の工程を説明するための図である。
図10(a)〜(e)は、第1のシール材形成工程(1)を説明するための工程図(その1)である。
図11(a)〜(e)は、第1のシール材形成工程(1)を説明するための工程図(その2)である。
図12(a)〜(d)は、第1のシール材形成工程(1)を説明するための工程図(その3)である。
図13(a)〜(e)は、他の第1のシール材形成工程(2)を説明するための工程図(その1)である。
図14(a)〜(e)は、他の第1のシール材形成工程(2)を説明するための工程図(その2)である。
図15(a)〜(e)は、更に他の第1のシール材形成工程(3)を説明するための工程図(その1)である。
図16(a)〜(e)は、更に他の第1のシール材形成工程(3)を説明するための工程図(その2)である。
図17(a)〜(d)は、更に他の第1のシール材形成工程(3)を説明するための工程図(その3)である。
図18(a)〜(c)は、更に他の第1のシール材形成工程(4)を説明するための工程図である。
図19(a)〜(f)は、更に他の第1のシール材形成工程(5)を説明するための工程図(その1)である。
図20(a)〜(f)は、更に他の第1のシール材形成工程(5)を説明するための工程図(その2)である。
図21(a)〜(f)は、更に他の第1のシール材形成工程(5)を説明するための工程図(その3)である。
図22(a)〜(e)は、更に他の第1のシール材形成工程(6)を説明するための工程図(その1)である。
図23(a)〜(e)は、更に他の第1のシール材形成工程(6)を説明するための工程図(その2)である。
図24(a)〜(f)は、第2のシール材形成工程(1)を説明するための工程図(その1)である。
図25(a)〜(e)は、第2のシール材形成工程(1)を説明するための工程図(その2)である。
図26(a)〜(c)は、他の第2のシール材形成工程(2)を説明するための工程図である。
図27(a)〜(f)は、更に他の第2のシール材形成工程(3)を説明するための工程図(その1)である。
図28(a)〜(f)は、更に他の第2のシール材形成工程(3)を説明するための工程図(その2)である。
図29(a)〜(d)は、更に他の第2のシール材形成工程(4)を説明するための工程図(その1)である。
図30(a)〜(c)は、更に他の第2のシール材形成工程(4)を説明するための工程図(その2)である。
図31は、更に他の液晶素子5の部分分解斜視図である。
図32は、特許文献1に示した従来技術を説明するための断面図である。
図33は、特許文献2に示した従来技術を説明するための斜視図である。
図34は、特許文献3に示した従来技術を説明するための断面図である。
以下図面を参照して、液晶素子及び液晶素子の製造方法について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
シール材では、金膜と金の構造物を表面活性化して、常温大気圧下で金属接合して形成するが、金膜と金の構造物との接触面積は小さいほど、確実な接合が可能となる。よって、金の構造物としては、極小の柱状構造、いわゆるバンプ形状等が好ましい。しかし、バンプ形状のみの構造体でシール材を構成すると、バンプ形状間で液晶層が漏出し、シール材内に液晶層を密封することが困難である。そこで、以下に記載する金の枠状構造物の形状と液晶素子の製造方法では、確実に金属接合しながらも、液晶層を完全に密封することを可能とするものである。
以下では、一対の基板の内、一方の基板がシリコン基板、もう一方の基板がガラス基板であり、この一対の基板の間に液晶層を形成し、シリコン基板には駆動回路等のCMOS回路を形成した所謂LCOS(liquid crystal on silicon)型の反射型液晶素子の例を用いて説明する。
図1から図5は、液晶素子1の構成を説明するための図面である。
図1は液晶素子1の外観を示す斜視図であり、図2は液晶素子1の構成を示す部分分解図であり、図3は液晶素子1の断面を模式的に示す縦断面図であり、図4は第1の基板に形成されたシール材の構成とシール材に形成された金表面の構造を説明するための斜視図であり、図5は液晶素子1が組み込まれた空間光変調器(例えばダイナミックゲインイコライザ)の構成を示す模式的な図である。
図1から図4を用いて液晶素子1の全体構成を説明する。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図1に示すように、液晶素子1は、一対の基板、即ち、ガラス基板からなる第1の基板11とシリコン基板からなる第2の基板21の間のシール材30で液晶層を形成する構造を有する。材質が例えば熱膨張係数の小さいアロイからなる液晶素子基台51に、第2の基板21とFPC52が位置決めされ液晶素子基台51と第2の基板21との熱膨張係数の差による温度歪みを吸収するように樹脂等で固着されている。駆動回路等のCMOS回路が形成された第2の基板21は、ボンディングワイヤ53にてFPC52と電気的に接続され、制御回路(図示せず)からの信号により液晶層が駆動される。
図1では、便宜上、ボンディングワイヤ53とFPC52上の電極の数は少なく図示しているが基板21の回路規模や液晶素子基台51に実装する温度センサなどの他の部品の配線数によって数十本以上の数になることがある。ボンディングワイヤ53は、通常エポキシ系の接着剤で覆われ保護されているが、便宜上、エポキシ系の接着剤の記載を省略している。
図2の部分分解斜視図は、液晶素子1のシール材30を説明するための図であって、第1の基板体10を第2の基板体20から裏返しに開いて分解した状態を示している。第1の基板体10は、第1の基板11と第1のシール材31から形成され、第2の基板体20は、第2の基板21と第2のシール材32から形成されている。そして、液晶素子1の組み立ては、第2の基板体20に対して第1基板体10を矢印Aの方向に重ねることにより、液晶素子1が形成される。
シール材30(図1参照)は、図2に示すように、第1の基板11に形成される第1のシール材31と、第2の基板21に形成される第2のシール材32を接合して構成されたものである。
第1の基板11のシール領域は、透明電極(以後ITOと記す)からなる対向電極12の周囲に形成され、そのシール領域上に金の枠状構造物となる第1のシール材31が形成される。シール材31の一辺には、液晶注入用の注入口38が形成され、液晶注入後、従来の樹脂からなる封口材等で封止される。対向電極12の端子12aは、第1のシール材31の外側に伸びて形成され、FPC52から延長された電極(図示せず)と銀ペーストなどで電気的に接続される。
第2のシール材32のシール領域は、第2の基板21の例えばアルミ電極からなる画素電極23の周囲に形成され、そのシール領域上に第2のシール材32が形成される。第2のシール材32の平面形状は、第1のシール材31の平面形状と同一の形状に形成され、後述する第1のシール材31上面の金の厚膜と、第2のシール材32上面の金の薄膜の形状が一致して重なり、シールするように形成されている。
図3に示す断面図を利用して、更に液晶素子1の構造を説明する。
なお、図3において、ボンディングワイヤ53及びFPC52を省略している。シリコン基板からなる第2の基板21は、CMOS回路22が形成された層(多層配線部と配線層を接続する金属プラグ等から構成される)と、画素電極23を形成するアルミ電極と、それらを保護するパシベーション膜24からなる。第2の基板21の上面のシール領域には、第2のシール材32として、Ti膜37と金膜36が成膜されている。無機スペーサ材のTi膜37は、金膜36とシリコン基板との密着力を向上させる目的で形成されている。第2のシール材32の内側には、第2の基板体20上に、SiOからなる第2の配向膜25が斜方蒸着により成膜されている。
図3では、パシベーション膜24の上に第2のシール材32を形成した例を示したが、第1のシール材31を金属材料で形成して、配線として用いる構成としても良い。その場合、画素電極23及び第2のシール材32の接続部を形成した後、パッシベーション膜24を形成、部分エッチングにより開口部形成を行い、第2のシール材32をその開口部に形成する構成とすることができる。
ガラス基板からなる第1の基板11は、第2の基板21と対向する面に、第2の基板21の画素電極23に対して、ITOが対向電極12として形成されている。特に光学系に用いるガラス基板において、ガラス基板とITOの間には屈折率整合膜、ITOと反対側の面にはARコートが施されているが、図3においては省略して記載している。
第1の基板11のシール領域に形成された第1のシール材31は、誘電体膜であるSiOからなる無機スペーサ材33とTi膜34と金厚膜35で形成されている。Ti膜34は、第2のシール材32と同様に、金厚膜35と無機スペーサ材33の密着力を向上させる目的で成膜されている。なお、SiO層と金属膜であるTi膜34を含めて無機スペーサ材と考えることもできる。さらに、第1のシール材31の内側には、第1の基板体10上に、SiOからなる第1の配向膜13が斜方蒸着により成膜されている。
第1の基板体10のシール材31の金厚膜35と、第2の基板体20のシール材32の金膜36は、イオンビーム照射或いはプラズマ処理により表面活性化処理が施される。その後、常温大気中で第1の基板のシール材31の金厚膜35の面と、第2の基板21のシール材32の金膜36の面を重ね合わせ、金の面どうしが少し変形するように加圧することで金原子の金属結合で強固に接合される。
即ち、接合の際の加圧によって金が変形しやすいように、第1の基板11のシール材31の金厚膜35として、変形が可能な金の構造物を予め形成することで、第1の基板11と第2の基板21のシール材とで確実なシールが可能な液晶素子1が形成される。注入口38(図2参照)から液晶を注入され、その後、封口材で注入口38が封止されることによって、液晶層41が形成される。液晶素子1の液晶は、ネガ型のネマティック液晶の垂直配向を用いている。上記のように、シール材が無機材で形成されるので、高温高湿の環境下でも耐久性のある液晶素子1が提供可能となる。
SiOから構成される無機スペーサ材(又はSiO層と金属膜であるTi膜34を含めた無機スペーサ材)は、有機材料と異なり液晶に有害な水分を通さず、液晶と化学反応を起こして不純物イオンを生成しないという優れた機能を有している。また、適度な硬度があるため、有機シールのようなギャップ材の添加が不要で、無機スペーサのみで液晶セルのセルギャップを制御することもできる。
図4は、第1の基板11に形成されたシール材31の詳細を説明するための模式的な図である。図4(c)は、図2で示した第1基板体10の斜視図をさらに拡大した斜視図であり、図4(a)は、金厚膜35の構造を説明するためのシール材31に対し矢印D方向からの部分拡大平面図であり、図4(b)は、金厚膜35の構造を説明するためのシール材31の注入口38付近の部分拡大斜視図である。
図4(c)において、図2で説明したように、シール材31は、第1の基板11上の対向電極12の周囲に設定されたシール領域に形成され、4辺のうちの一辺に液晶の注入口38が形成されている。
図4(a)に示すように、シール材31の幅Wは、例えば、200μm程度である。枠状構造物である金厚膜35の上に形成される細い帯状の壁状構造物301は、3本とも、例えば高さは0.5から2μm、幅は2から50μmで、シール材31の上を一周し、広い意味でマイクロバンプとして形成されている。仮に、内側の1本の壁状構造物301にピンポイントの欠けが形成されていたとしても、その外側の他の2本の壁状構造物301でシールの密封性を確保することが可能となっている。
図4(b)に示すように、シール材31は、無機スペーサ材33とTi膜34と金厚膜35からなり、ほぼ同じ幅Wで構成されている。SiOからなる無機スペーサ材33は、液晶層のセルギャップが3から10μmの高さに形成されている。Ti膜34は、SiOと金膜の密着性向上のため形成されている。金厚膜35は、その表面にハーフエッチングされた枠状構造物301が形成されている。壁状構造物301は、液晶層をシールするためと、第2基板の金薄膜と接合の際に加えられる荷重で、潰れて変形することで、金原子の金属結合を促して接合される。
第1の基板11のシール材31の金厚膜35に複数の壁状構造物301を形成したので、常温大気中においても、壁状構造物301が接合の際の加圧によって潰れて変形し易い。したがって、壁状構造物301に、微小な凹凸や、平面度に多少の問題があっても、潰れや変形で吸収することが可能で、接合のシールの確実性が図れる。なお、液晶素子1の外形寸法及び加圧力に応じて、壁状構造物301の本数及び幅を変えて潰れやすさや変形のしやすさを調整することも可能である。例えば、壁状構造物301は2本であっても良い。
シール材31が形成された第1の基板体10と第2の基板体20の金どうしが表面活性化処理により接合される。そして、液晶層が形成された液晶素子1は、シール材31が無機材であるから、高温高湿の環境下にあっても、液晶層内への水分の浸入を防止し、シール材と液晶材料との相溶を起こすことがない。したがって、液晶の特性低下を生じることがなく、光通信に適用可能な、耐久性のある液晶素子1の提供が可能となる。
図5を用いて、液晶素子1が組み込まれた、光通信に用いられる空間光変調器60(ダイナミックゲインイコライザ)の構成および作用を説明する。
まず、ダイナミックゲインイコライザ60の基本構成について説明する。
図5に示すように、このダイナミックゲインイコライザ60は、4f光学系で構成されており、入射光が伝送されて来る偏波保持ファイバからなる光ファイバ61、入射光と出射光を分離するサーキュレータ65、入射偏光を直線偏光のまま伝送するPMファイバ62(偏光保持ファイバ)等を含んで構成されている。
ダイナミックゲインイコライザ60では、入射光の発光点62aとコリメートレンズ63の間隔、コリメートレンズ63と分光器64の間隔、分光器64とコリメートレンズ63´の間隔、コリメートレンズ63´と液晶素子1の間隔が、それぞれ光軸上でコリメートレンズ63及び63´の焦点距離fに設定されている。
次に、ダイナミックゲインイコライザ60の作用について説明する。
ここでは、説明の便宜上、入射光は一方向に偏光した直線偏光と仮定する。矢印B方向から光ファイバ61に伝送した所定の偏光方向を持つ入射直線光が、サーキュレータ65を通り、PMファイバ62の発光点62aから直線偏光として出射する。4f光学系が形成されていることから、発光点62aと液晶素子1の面が共役の関係にあり、発光点62aの光スポットが液晶素子1上に形成される。コリメートレンズ63及び63´の間に分光器64が配置されていることから、液晶素子1の面はフーリエ面となり発光点62aからの光は、コリメートレンズ63を通り平行光となり、分光器64で各波長に分光された光成分が、次のコリメートレンズ63´を通り各波長に分光された帯状の光として液晶素子1上に達する。
液晶素子1は、液晶素子1に設けられた図示しない個別画素を用いて、入射した各波長に分光された光の光強度を選択的に変更し、光強度を変更した光を反射する。また、液晶素子1の前面光路中には、図示しない偏光子または偏光ビームスプリッタが配置されており、液晶素子1は入射した直線偏光の偏光状態を所定の値に操作することで偏光子から出射する反射光強度を変調することができる。
液晶素子1で反射された反射光は、発光点62aから液晶素子1に至った光路を逆にたどり、コリメートレンズ63´、分光器64、コリメートレンズ63、PMファイバ62の発光点62aに至り、サーキュレータ65に達する。反射光は、サーキュレータ65で分離されて、光ファイバ66を矢印Cの方向に伝送する。なお、入射偏光が制御されていない状態でダイナミックゲインイコライザ60を使う場合は、入射光Bと光ファイバ61との間に入射無偏光を片側直線偏光に変換するための偏波変換器を配置する。
液晶素子1が組み込まれたダイナミックゲインイコライザ60は、液晶素子1により、特定の波長の光を選択的に制御して、光強度を所定の波長特性に変換して出力すること又は波長特性を平準化すること、が可能である。光通信に必須の高温高湿の環境での耐久性を備えた液晶素子1は、MEMS等のように機械的可動部を備えていないため、制御性及び信頼性の高い空間光変調器として利用することが可能である。なお、ダイナミックゲインイコライザ60には、シール材31を有する液晶素子1を採用したが、以下に示す他の液晶素子2〜5を採用することも可能である。
他の液晶素子2について説明する。
液晶素子2では、液晶素子1における第1の基板体10のシール材31の枠状構造物である金厚膜35の形状のみが異なっており、それ以外の構成については、液晶素子1と構造、材質、機能は同じである。したがって、以下では、金厚膜35の構成だけを説明する。
図6(a)は、図4(a)と同様に、金厚膜35の構造を説明するため、シール材31に対し矢印D方向(図4(c)参照)から見た部分拡大平面図である。図6(b)は、図4(b)と同様に、金厚膜35の構造を説明するため、シール材31の注入口38付近を示した部分拡大斜視図である。なお、図6(a)及び(b)において、図4(a)及び(b)と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図6(a)及び(b)に示すように、幅Wで形成されるシール材31は、SiOからなる無機スペーサ材33とTi膜34と枠状構造物である金厚膜35から構成されている。液晶素子2の金厚膜35は、シール材31上を一周する、ハーフエッチングされた細い帯状の3本の壁状構造物301と、その間を連結する連結壁302によって多数個形成された小部屋303を有するマイクロバンプ構造を有している。船の船倉のように、多数の小部屋303を形成することで、壁状構造物301に多少の欠陥があったとしても、シール漏れは一部の小部屋303で防止され、漏れが発生しない。しかも、枠状構造物301及び連結壁302を細く設定することで、潰れやすく変形しやすい形状にすることが可能である。
液晶素子2の金厚膜35に構成された構造物は、シール材31上を多数個の小部屋303が2列にずれて密着して一周する構造であるから、シールに対する信頼性が各段に向上する。シール信頼性を向上させるために、小部屋303の列を増やして、3列又は4列等とすることが可能である。その場合は、接合の加圧力で潰れや変形が可能となるように、小部屋の壁となる壁状構造物301と連結壁302の幅を狭くすることが好ましい。
更に他の液晶素子3について説明する。
液晶素子3では、液晶素子1における第1の基板体10のシール材31の枠状構造物である金厚膜35の形状のみが異なっており、それ以外の構成については、液晶素子1と構造、材質、機能は同じである。したがって、以下では、金厚膜35の構成だけを説明する。
図7(a)は、図4(a)と同様に、金厚膜35の構造を説明するため、シール材31を矢印D方向から見た(図4(c)参照)部分拡大平面図である。図7(b)は、図4(b)と同様に、金厚膜35の構造を説明するため、シール材31の注入口38付近を示した部分拡大斜視図である。なお、図7(a)及び(b)において、図4(a)及び(b)と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図7(a)及び(b)に示すように、幅Wで形成されるシール材31は、SiOからなる無機スペーサ材33とTi膜34と枠状構造物である金厚膜35から構成されている。液晶素子3の金厚膜35は、細い帯状の1本の壁状構造物301と、多数個形成された円柱形の突起である柱状構造物304とを有するマイクロバンプ構造を有している。細い帯状の1本の壁状構造物301は、主にシールの機能を担い、多数個の柱状構造物304は、主に接合及び密着の機能を担っている。
柱状構造物304の円柱の直径や個数を増減することで、荷重をかけて接合する際、壁状構造物301と柱状構造物304の潰れや変形を調整することが容易で、第2の基板の金膜と確実に接合/密着することが可能である。
更に他の液晶素子4について説明する。
液晶素子4では、液晶素子1における第1の基板体10のシール材31の枠状構造物である金厚膜35の形状のみが異なっており、それ以外の構成については、液晶素子1と構造、材質、機能は同じである。したがって、以下では、金厚膜35の構成だけを説明する。
図8(a)は、図4(a)と同様に、金厚膜35の構造を説明するため、シール材31を矢印D方向から見た(図4(c)参照)部分拡大平面図である。図8(b)は、図4(b)と同様に、金厚膜35の構造を説明するため、シール材31の注入口38付近を示した部分拡大斜視図である。なお、図8(a)及び(b)において、図4(a)及び(b)と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図8(a)及び(b)に示すように、幅Wで形成されるシール材31は、SiOからなる無機スペーサ材33とTi膜34と金厚膜35から構成されている。液晶素子4の金厚膜35自体は、壁状構造物としての機能を有している。液晶素子4の金厚膜35には、ハーフエッチングされてその幅W一杯にディンプル状の多数個の凹部、即ちボイド構造物305が形成されている。これは、図6(a)に示した小部屋303をディンプル形状にしたものと等価であるが、更に、シール性を向上した構造となっている。図8においては、ボイド構造物305の直径は同一であるが、直径の異なる凹部を混合し、接触面積を減じて接合性の向上を図ることも可能となる。
上記したように、液晶素子1〜4では、枠状構造物である金厚膜35にハーフエッチングをして、各種の金の構造物を形成して、接合の際に潰されやすく、変形されやすい金厚膜35を形成した。したがって、液晶素子1〜4では、第1の基板のシール材と第2の基板のシール材を表面活性化処理後、常温大気中の接合であっても加圧することで、確実なシールを形成することができる。
上記したように、液晶素子1〜4は、無機材からなるシール材を有するので、特に光通信で要求される高温高湿の環境下で耐久性を要する空間光変調器に組み込むことが可能である。このように、液晶素子1〜4は、無機材からなるシール材を有するので、その利用用途を一段と拡大することが可能となった。
液晶素子1の製造方法について図9を用いて説明する。
図9は液晶素子1の製造工程を説明するための工程図である。なお、同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図9(a)は製造工程ST1−1を示す図である。
製造工程ST1−1において、光学的な処理をされた第1の基板11のガラス基板(屈折率整合膜そしてITOと反対側の面にはARコートが施されたガラス基板)に、ITOからなる対向電極12を形成する。
図9(b)は製造工程ST1−2を示す図である。
製造工程ST1−2において、第1の基板体11上に、対向電極12、第1のシール材31及び配向膜13が形成された第1基板体10が形成される。第1のシール材31は、第1のシール材形成工程(1)によって形成された、SiOからなる無機スペーサ材33、Ti膜34、壁状構造物(図4参照)が形成された金厚膜35を有している。なお、第1のシール材形成工程(1)については、後述する。
図9に示す製造工程は、液晶素子1に関するものであるが、液晶素子2〜液晶素子4を製造する場合には、第1のシール材形成工程において、壁状構造物、柱状構造物又はボイド状構造物(図6、図7及び図8参照)が形成された金属膜35が形成されることとなる。
図9(c)は製造工程ST2−1を示す図である。
製造工程ST2−1において、シリコン基板からなる第2の基板21は、CMOS回路22が形成された層、画素電極23を形成するアルミ電極、及びそれらを保護するパシベーション膜24が形成される。
図9(d)は製造工程ST2−2を示す図である。
製造工程ST2−2において、第2の基板21上に、CMOS回路22、画素電極23、パシベーション膜24、シール材32及び配向膜25が形成された第2基板体20が形成される。第2のシール材32は、第2のシール材形成工程(1)によって形成された、無機スペーサ材のTi膜37、金膜36を有している。なお、第2のシール材形成工程(1)については、後述する。
図9(e)は製造工程ST3を示す図である。
製造工程ST3は、表面活性化処理工程を示している。表面活性化処理工程では、第1の基板体10と第2の基板体20を、6から8Paレベルの真空下でアルゴンプラズマ処理を行い、第1の基板体10の第1のシール材31の金厚膜35と、第2の基板体20の第2のシール材32の金膜36に、表面活性化処理を行う。
図9(f)は製造工程ST4を示す図である。
製造工程ST4は、加圧接合工程を示している。加圧接合工程では、第1の基板体10の金厚膜35と、第2の基板体20の金膜36の位置を合わせて重ね、常温大気中で荷重Eを掛けて加圧する。第1の基板体10の金厚膜35にハーフエッチングにより形成された構造物(図4参照)を、潰したり変形させたりすることにより、金原子の共有結合で接合しシールすることが可能となる。この金どうしの接合を支えるのが、無機スペーサ材のTi膜であり、金とSi及びSiOの密着を強固なものにする重要な働きを有している。
次に、液晶を注入し、その後注入口を封口し、液晶素子基台51に貼り付け、FPC52付け、ワイヤボンディング等を行うことにより、図1で示した液晶素子1が形成される。
第1の基板体10の無機材の第1のシール材31の金厚膜35の表面と、第2の基板体20の無機材の第2のシール材32の金膜の表面は、アルゴンプラズマ処理により活性化され、重ね合わせて加圧することで、金原子の共有結合により、一体に貼り合わされて強固な接合となる。したがって、液晶素子1は、無機材のシール材30が第1、第2の基板体のシール材31、32でシールされて構成されるから、高温高湿環境においても耐久性に優れた特性を有する。
以下、様々な第1のシール材形成工程について説明する。
図9に説明された第1のシール材形成工程(1)について、図10〜図12を用いて説明する。各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図10(a)は製造工程ST11−1を示す図である。
製造工程ST11−1(ITO基板用意)において、第1の基板11のガラス基板上にITOからなる対向電極12を形成する。
図10(b)は製造工程ST11−2を示す図である。
次に、製造工程ST11−2(TEOS、Ti、金の順に成膜)において、第1の基板11の対向電極12の上に、シール材の元となる無機スペーサ材33であるSiOをTEOSにより形成する。その後、蒸着によりTi膜34、更にその上に金厚膜35を成膜する。この製造工程は、第1のスペーサ形成工程として、SiOからなる無機スペーサ材33と金厚膜35の密着性を高めるTi膜34が成膜されると共に、無機スペーサ材33とTi膜34と金厚膜35の厚さで、液晶層の厚さを決めることが可能となる。
図10(c)は製造工程ST11−3を示す図である。
次に、製造工程ST11−3(ネガレジスト塗布)において、フォトリソにより枠状のシール材のパターンを形成するため、金厚膜35の上にネガレジスト71を塗布する。
図10(d)は製造工程ST11−4を示す図である。
次に、製造工程ST11−4(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク81を介して、ネガレジスト71にUV照射Fを行う。
図10(e)は製造工程ST11−1を示す図である。
次に、製造工程ST11−5(ネガレジストエッチング)において、感光して残された部分が、以降の製造工程でシール材を形成するためのマスクとなるように、ネガレジスト71のエッチングを行う。
図11(a)は製造工程ST11−6を示す図である。
次に、製造工程ST11−6(金、Tiエッチング)において、シール材を形成するために、ネガレジスト71でマスクされていない部分のTi膜34、金厚膜35をエッチング等により除去する。
図11(b)は製造工程ST11−7を示す図である。
次に、製造工程ST11−7(TEOSエッチング)において、シール材の無機スペーサ材33を形成するために、ネガレジスト71のマスクがない部分のSiOを、反応性イオンエッチング(以後RIEと記す)で除去する。
図11(c)は製造工程ST11−8を示す図である。
次に、製造工程ST11−8(配向膜成膜)において、配向膜13となるSiOを斜方蒸着により形成する。
図11(d)は製造工程ST11−9を示す図である。
次に、製造工程ST11−9(ネガレジスト剥離)において、シール材の部分を形成するためのネガレジスト71を剥離し、同時にネガレジスト上に蒸着されていた配向膜13のSiOも除去するリフトオフを行う。
図11(e)は製造工程ST11−10を示す図である。
次に、製造工程ST11−10(ネガレジスト塗布)において、金厚膜35に構造物を形成するためにネガレジスト72を塗布する。なお、製造工程ST11−10〜ST11−14の製造工程は、マイクロバンプ構造の形成工程であって、金厚膜をハーフエッチングして、金厚膜表面に壁状構造物や柱状構造物やボイド構造物を形成している。
図12(a)は製造工程ST11−11を示す図である。
次に、製造工程ST11−11(フォトマスクを介してUV露光)において、金厚膜の構造物を形成するためのマスク82を介してUV露光Fをする。
図12(b)は製造工程ST11−12を示す図である。
次に、製造工程ST11−12(ネガレジストエッチング)において、金厚膜35の構造物となる部分を形成するため、ネガレジスト72のエッチングを行い、感光部を残してマスクを形成する。
図12(c)は製造工程ST11−13を示す図である。
次に、製造工程ST11−13(イオンミリング)において、マスクされた金厚膜35をイオンミリングによりハーフエッチングして金厚膜35に壁状構造物やボイド構造物や柱状構造物を形成する。
図12(d)は製造工程ST11−14を示す図である。
次に、製造工程ST11−14(ネガレジスト剥離)において、ネガレジスト72の剥離を行い、その後、Oプラズマアッシングによって配向膜13上のレジスト残渣を除去する。そして、第1の基板11に第1のシール材31(無機スペーサ材33とTi膜34と金厚膜35)が形成され、第1の基板体10が形成される。
以上のように、第1のシール材形成工程(1)では、公知のフォトリソの技術を用いて、ガラス基板上に無機シールド材と金厚膜に構造物を形成して、第1の基板体10上の第1シール材31を形成している。
他の第1のシール材形成工程(2)について説明する。
他の第1のシール材形成工程(2)は、図10〜図12に示した第1のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。他の第1のシール材形成工程(2)では、金厚膜をシールドとしてSiOからなる配向膜をエッチングすることにより、配向膜蒸着装置にレジストのついた基板を入れないようにして、装置を汚さない製造工程としている。
図13及び図14は、他の第1のシール材形成工程(2)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。他の第1のシール材形成工程(2)は、第1のシール材形成工程(1)の代わりに、図9に示す液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
他の第1のシール材形成工程(2)における製造工程ST12−1及びST12−2は、第1のシール材形成工程(1)に含まれる製造工程ST11−1〜製造工程ST11−7と共通であるので、その説明を省略する。また、他の第1のシール材形成工程(2)におけるST12−10以降のマイクロバンプ構造の形成工程は、第1のシール材形成工程(1)に含まれる製造工程ST11−10〜製造工程ST11−14と共通であるので、その説明を省略する。
図13(a)は製造工程ST12−1を示す図である。
製造工程ST12−1(ITO基板用意)において、先の実施例と同様に、第1の基板11のガラス基板にITOからなる対向電極12を形成する。
図13(b)は製造工程ST12−2を示す図である。
次に、製造工程ST12−2(TEOSエッチング)では、第1のシール材31を形成するために、無機スペーサ材33のSiOを、RIEで除去する製造工程である。なお、上述したように、第1のシール材31は、無機スペーサ材33、Ti膜34、金厚膜35から形成されている。
図13(c)は製造工程ST12−3を示す図である。
製造工程ST12−3(ネガレジスト剥離)は、配向膜を成膜する製造工程である。配向膜を成膜する製造工程において、ネガレジストが付着してない基板で配向膜の成膜を行うため、ネガレジスト71(ST12−2参照)を剥離する。
図13(d)は製造工程ST12−4を示す図である。
次に、製造工程ST12−4(配向膜成膜)において、配向膜蒸着装置でSiOからなる配向膜13を全面に斜方蒸着にて成膜する。
図13(e)は製造工程ST12−5を示す図である。
次に、製造工程ST12−5(ネガレジスト塗布)において、金厚膜35上の配向膜13を除去する製造工程として、まず、配向膜13上にネガレジスト71を塗布する。
図14(a)は製造工程ST12−6を示す図である。
次に、製造工程ST12−6(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材に形成された配向膜13を除去するための準備として、フォトマスク83を介してネガレジスト71にUV露光Fを行う。
図14(b)は製造工程ST12−7を示す図である。
次に、製造工程ST12−7(ネガレジストエッチング)において、対向電極12上の配向膜13をマスクするネガレジスト71を残し、シール材のネガレジスト71だけを選択的に除去し、金厚膜35上の配向膜13を露出させる。
図14(c)は製造工程ST12−8を示す図である。
次に、製造工程ST12−8(SiOエッチング)において、金厚膜35上に形成されたSiOからなる配向膜13を、金厚膜35をシールドにして、RIEによって除去する。
図14(d)は製造工程ST12−9を示す図である。
次に、製造工程ST12−9(ネガレジスト剥離)において、配向膜13上のネガレジスト71を剥離する。
図14(e)は製造工程ST12−10を示す図である。
次に、製造工程ST12−10(ネガレジスト塗布)において、金厚膜35に構造物を形成する製造工程として、ネガレジスト71を金厚膜35と配向膜13上に塗布する。
製造工程ST12−10以降の金厚膜に構造物を形成するための製造工程は、マイクロバンプ構造の形成工程であって、図11及び図12に示した製造工程ST11−10〜製造工程ST11−14と共通であるので、その説明を省略する。
以上のように、他の第1のシール材形成工程によれば、ネガレジストが付着していない基板に配向膜を斜方蒸着する製造工程を有しているので、配向膜蒸着装置を汚染することのない製造工程を用いて、第1の基板体10の形成が可能となる。
更に他の第1のシール材形成工程(3)について説明する。
更に他の第1のシール材形成工程(3)は、図10〜図12に示した第1のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。更に他の第1のシール材形成工程(3)では、無機スペーサ材33の形成に、ネガレジストをシールドとせずに金厚膜をシールドとして用いている。
図15〜図17は、更に他の第1のシール材形成工程(3)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。図15〜図17に示す更に他の第1のシール材形成工程(3)は、図9に示す第1のシール材形成工程(1)の代わりに、液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
更に他の第1のシール材形成工程(3)における製造工程ST13−14以降のマイクロバンプ構造の形成工程は、第1のシール材形成工程(1)に含まれる製造工程ST11−10〜製造工程ST11−14と共通であるので、説明を省略する。
図15(a)は製造工程ST13−1を示す図である。
製造工程ST13−1(ITO基板用意)において、先の実施例と同様に、第1の基板11のガラス基板にITOからなる対向電極12を形成する。
図15(b)は製造工程ST13−2を示す図である。
次に、製造工程ST13−2(TEOS成膜)において、第1の基板11の対向電極12の上に、無機スペーサ材33となるSiOをTEOSにより形成する。
図15(c)は製造工程ST13−3を示す図である。
次に、製造工程ST13−3(ネガレジスト塗布)において、フォトリソにより枠状のシール領域のパターンを形成するため、無機スペーサ材33の上にネガレジスト71を塗布する。
図15(d)は製造工程ST13−4を示す図である。
次に、製造工程ST13−4(フォトマスクを介してUV露光)において、シール領域のパターン形状を形成したマスク83を介して、ネガレジスト71にUV照射Fを行う。
図15(e)は製造工程ST13−5を示す図である。
次に、製造工程ST13−5(ネガレジストエッチング)において、感光せずに除去された部分がシール領域となるようにネガレジスト71のエッチングを行う。
図16(a)は製造工程ST13−6を示す図である。
次に、製造工程ST13−6(金、Ti成膜)において、シール材を形成するために、無機スペーサ材33とネガレジスト71の上にTi膜34、金厚膜35を成膜する。この製造工程は、第1のスペーサ形成工程として、SiOの無機スペーサ材33と金厚膜35の密着性を高めるTi膜34が成膜されると共に、無機スペーサ材33とTi膜34と金厚膜35の厚さで、液晶層の厚さを決めることが可能となる。
図16(b)は製造工程ST13−7を示す図である。
次に、製造工程ST13−7(リフトオフ)において、無機スペーサ材33上のネガレジスト71を剥離する。したがって、ネガレジスト71上に形成されていた金、Ti膜も除去される。
図16(c)は製造工程ST13−8を示す図である。
次に、製造工程ST13−8(金を保護膜として無機スペーサ材33エッチング)において、金厚膜35をマスク、そして、SiOからなる無機スペーサ材33をRIEにて除去する。
図16(d)は製造工程ST13−9を示す図である。
次に、製造工程ST13−9(ネガレジスト塗布)において、透明電極12及び金厚膜上にネガレジスト71を塗布する。
図16(e)は製造工程ST13−10を示す図である。
次に、製造工程ST13−10(フォトマスクを介してUV露光)において、配向膜の成膜手順として、透明電極12上のネガレジストを除去するために、マスク81を介してUV露光Fを行う。
図17(a)は製造工程ST13−11を示す図である。
続いて、図17に示すように、製造工程ST13−11(ネガレジストエッチング)において、透明電極12上のネガレジスト71をエッチングして除去する。
図17(b)は製造工程ST13−12を示す図である。
次に、製造工程ST13−12(配向膜成膜)において、透明電極12及びネガレジスト71の上にSiOをからなる配向膜13を斜方蒸着にて成膜する。
図17(c)は製造工程ST13−13を示す図である。
次に、製造工程ST13−13(リフトオフ)において、金厚膜35上に形成されているネガレジスト71を剥離する。したがって、ネガレジスト71上に形成されていた配向膜13も剥離し、金厚膜35が最上面を形成する。
図17(d)は製造工程ST13−14を示す図である。
次に、製造工程ST13−14(ネガレジスト塗布)において、金厚膜35に構造物を形成する製造工程として、ネガレジスト71を金厚膜35と配向膜13上に塗布する。
製造工程ST13−14以降の金厚膜に構造物を形成するための製造工程は、マイクロバンプ構造の形成工程であって、図11及び図12に示した製造工程ST11−10〜製造工程ST11−14と共通であるので、その説明を省略する。
以上のように、更に他の第1のシール材形成工程によれば、第1のシール材形成工程に含まれるTi膜34及び金属膜35のエッチングが不要となるため、エッチングによる基板へのダメージをより軽微にできる。
更に他の第1のシール材形成工程(4)について説明する。
更に他の第1のシール材形成工程(4)は、図10〜図12に示した第1のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。更に他の第1のシール材形成工程(4)では、金厚膜をシールドとしてSiOからなる配向膜をエッチングすることにより、配向膜蒸着装置にレジストのついた基板を入れないようにしている。
図18は、更に他の第1のシール材形成工程(4)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。図18に示す更に他の第1のシール材形成工程(4)は、図9に示す第1のシール材形成工程(1)の代わりに、液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
更に他の第1のシール材形成工程(4)における製造工程ST14−1及びST14−2は、更に他の第1のシール材形成工程(3)に含まれる製造工程ST13−1〜製造工程ST13−8と共通であるので、その説明を省略する。更に他の第1のシール材形成工程(4)における製造工程ST14−3以降のマイクロバンプ構造の形成工程は、他の第1のシール材形成工程(2)に含まれる図13及び図14に示した製造工程ST12−4以降の工程と共通であるので、その説明を省略する。
図18(a)は製造工程ST14−1を示す図である。
製造工程ST14−1(ITO基板用意)において、実施例7と同様に、第1の基板11のガラス基板に透明電極(以後ITOとする)からなる対向電極12を形成する。
図18(b)は製造工程ST14−2を示す図である。
次に、製造工程ST14−2(金を保護膜として無機スペーサ材33エッチング)は、図16に示したST13−8の製造工程と同様に、金厚膜35をマスクとして、ITO(透明電極12)をエッチストッパとして、SiOからなる無機スペーサ材33をRIEにて除去する。したがって、第1のシール材31が無機スペーサ材33、Ti膜34、金厚膜35により形成される。
図18(c)は製造工程ST14−3を示す図である。
次に、製造工程ST14−3(配向膜成膜)において、ネガレジストを除去した基板に、配向膜蒸着装置にてSiOからなる配向膜13を斜方蒸着で成膜する。この製造工程は、図13に示した製造工程ST12−4と同一である。また、この製造工程以降も、図13に示した製造工程ST12−4以降と全く同一の製造工程を経て、第1の基板体10が形成される。
以上のように、図18に示した更に他の第1のシール材形成工程(4)によれば、配向膜蒸着装置にネガレジストを有する基板の投入がないから、配向膜蒸着装置を汚染することのない製造工程で、第1の基板体10が形成される。
更に他の第1のシール材形成工程(5)について説明する。
更に他の第1のシール材形成工程(5)は、図10〜図12に示した第1のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。更に他の第1のシール材形成工程(5)では、液晶層が形成される部分を後から形成するように(シール材となる部分を先に形成するように)している。
図19〜図21は、更に他の第1のシール材形成工程(5)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。図19〜図21に示す更に他の第1のシール材形成工程(5)は、図9に示す第1のシール材形成工程(1)の代わりに、液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
図19(a)は製造工程ST15−1を示す図である。
製造工程ST15−1(ITO基板用意)において、第1の基板201のガラス基板上にITOからなる対向電極202を形成する。
図19(b)は製造工程ST15−2を示す図である。
次に、製造工程ST15−2(TEOS、Ti、金の順に成膜)において、第1の基板201の対向電極202の上に、シール材の元となる無機スペーサ材203であるSiOをTEOSにより形成する。その後、蒸着によりTi膜204、更にその上に金厚膜205を成膜する。この製造工程は、第1のスペーサ形成工程として、SiOからなる無機スペーサ材203と金厚膜205の密着性を高めるTi膜204が成膜されると共に、無機スペーサ材203とTi膜204と金厚膜205の厚さで、液晶層の厚さを決めることが可能となる。
図19(c)は製造工程ST15−3を示す図である。
次に、製造工程ST15−3(ポジレジスト塗布)において、フォトリソにより壁状構造物(液晶素子3及び4の場合は柱状構造物又はボイド構造物)を形成するため、金厚膜205の上にポジレジスト206を塗布する。
図19(d)は製造工程ST15−4を示す図である。
次に、製造工程ST15−4(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク207を介して、ポジレジスト206にUV照射Fを行う。
図19(e)は製造工程ST15−5を示す図である。
次に、製造工程ST11−5(ポジレジストエッチング)において、感光された部分が、以降の製造工程で壁状構造物(液晶素子3及び4の場合は柱状構造物又はボイド構造物)を形成するためのマスクとなるように、ポジレジスト207のエッチングを行う。
図19(f)は製造工程ST15−6を示す図である。
次に、製造工程ST15−6(イオンミリング)において、金厚膜205をハーフエッチングして、金厚膜表面に壁状構造物(液晶素子3及び4の場合は柱状構造物又はボイド構造物)を形成する。
図20(a)は製造工程ST15−7を示す図である。
次に、製造工程ST15−7(ポジレジスト剥離)において、金厚膜205をハーフエッチングするためのポジレジスト207を剥離する。
図20(b)は製造工程ST15−8を示す図である。
次に、製造工程ST15−8(ポジレジスト塗布)において、フォトリソにより枠状のシール材のパターンを形成するため、金厚膜205の上にポジレジスト209を塗布する。
図20(c)は製造工程ST15−9を示す図である。
次に、製造工程ST15−9(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク210を介して、ポジレジスト209にUV照射Fを行う。
図20(d)は製造工程ST15−10を示す図である。
次に、製造工程ST15−10(ポジレジストエッチング)において、感光された部分が、以降の製造工程でシール材のパターンを形成するためのマスクとなるように、ポジレジスト209のエッチングを行う。
図20(e)は製造工程ST15−11を示す図である。
次に、製造工程ST15−11(エッチング)において、ポジレジスト209をマスクとして、金厚膜205をウエットエッチングにより除去する。次に、ポジレジスト209をマスクとして、Ti膜204及びSiOからなる無機スペーサ材203を反応性イオンエッチング(RIE)で除去する。
図20(f)は製造工程ST15−12を示す図である。
次に、製造工程ST15−12(ポジレジスト剥離)において、ポジレジスト209を剥離する。
図21(a)は製造工程ST15−13を示す図である。
次に、製造工程ST15−13(SiO斜方蒸着)において、液晶層の配向方向を制御するために、SiO層212の斜方蒸着を行う。なお、蒸着によって、金厚膜205表面の壁状構造物(液晶素子3及び4の場合は柱状構造物又はボイド構造物)上にもSiO層212が形成されてしまう。
図21(b)は製造工程ST15−14を示す図である。
次に、製造工程ST15−14(ポジレジスト塗布)において、金厚膜205上に形成されたSiO層212をエッチングにより除去するためのポジレジスト213を塗布する。
図21(c)は製造工程ST15−15を示す図である。
次に、製造工程ST15−15(フォトマスクを介してUV露光)において、所定のパターン形状を形成したマスク214を介して、ポジレジスト213にUV照射Fを行う。
図21(d)は製造工程ST15−16を示す図である。
次に、製造工程ST15−16(ポジレジストエッチング)において、感光された部分が、マスクとなるように、ポジレジスト213のエッチングを行う。
図21(e)は製造工程ST15−17を示す図である。
次に、製造工程ST15−17(RIEエッチング)において、ポジレジスト213をマスクとして、金厚膜205上のSiO層212を反応性イオンエッチング(RIE)で除去する。
図21(f)は製造工程ST15−18を示す図である。
次に、製造工程ST15−18(ポジレジスト剥離)において、ポジレジスト213を剥離する。その後、Oプラズマアッシングによって配向膜13上のレジスト残渣を除去する。
以上のように、第1のシール材形成工程(5)では、公知のフォトリソの技術を用いて、ガラス基板上に無機シールド材と金厚膜に構造物を形成して、第1の基板体10上の第1シール材31を形成している。
更に他の第1のシール材形成工程(6)について説明する。
更に他の第1のシール材形成工程(6)は、図10〜図12に示した第1のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。更に他の第1のシール材形成工程(6)では、リフトオフによって金厚膜を剥離している。
図22及び図23は、更に他の第1のシール材形成工程(6)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。図22及び図23に示す更に他の第1のシール材形成工程(6)は、図9に示す第1のシール材形成工程(1)の代わりに、液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
更に他の第1のシール材形成工程(6)における製造工程ST16−20より後の工程は、他の第1のシール材形成工程(5)に含まれる図21に示した製造工程ST15−13〜製造工程ST15−18と共通であるので、その説明を省略する。
図22(a)は製造工程ST16−1を示す図である。
製造工程ST15−1(ITO基板用意)において、第1の基板221のガラス基板上にITOからなる対向電極222を形成する。
図22(b)は製造工程ST16−2を示す図である。
次に、製造工程ST16−2(ポジレジスト塗布)において、フォトリソによりシール材のパターンを形成するため、対向電極222の上にポジレジスト223を塗布する。
図22(c)は製造工程ST16−3を示す図である。
次に、製造工程ST16−3(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク224を介して、ポジレジスト223にUV照射Fを行う。
図22(d)は製造工程ST16−4を示す図である。
次に、製造工程ST16−4(ポジレジストエッチング)において、感光された部分が所定のマスクとなるように、ポジレジスト223のエッチングを行う。
図22(e)は製造工程ST16−5を示す図である。
次に、製造工程ST16−5(TEOS、Ti、金の順に成膜)において、第1の基板201の対向電極202上及びマスク223上に、シール材の元となる無機スペーサ材226であるSiOをTEOSにより形成する。その後、蒸着によりTi膜227、更にその上に金厚膜228を成膜する。この製造工程は、第1のスペーサ形成工程として、SiOからなる無機スペーサ材226と金厚膜228の密着性を高めるTi膜227が成膜されると共に、無機スペーサ材226とTi膜227と金厚膜228の厚さで、液晶層の厚さを決めることが可能となる。
図23(a)は製造工程ST16−6を示す図である。
次に、製造工程ST16−6(ポジレジスト塗布)において、フォトリソにより枠状のシール材のパターンを形成するため、金厚膜228の上にポジレジスト229を塗布する。
図23(b)は製造工程ST16−7を示す図である。
次に、製造工程ST16−7(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク230を介して、ポジレジスト229にUV照射Fを行う。
図23(c)は製造工程ST16−8を示す図である。
次に、製造工程ST16−8(ポジレジストエッチング)において、感光された部分が、以降の製造工程で壁状構造物(液晶素子3及び4の場合は柱状構造物又はボイド構造物)を形成するためのマスクとなるように、ポジレジスト229のエッチングを行う。
図23(d)は製造工程ST16−9を示す図である。
次に、製造工程ST16−9(イオンミリング)において、ポジレジスト229をマスクとして、金厚膜228をハーフエッチングし、金厚膜表面に壁状構造物(液晶素子3及び4の場合は柱状構造物又はボイド構造物)を形成する。
図23(e)は製造工程ST16−10を示す図である。
次に、製造工程ST16−10(ポジレジスト剥離)において、金厚膜228上のポジレジスト229を剥離する。また、ポジレジスト223と共に、その上部に形成された無機スペーサ材226とTi膜227と金厚膜228をリフトオフする。シール材31部分以外に形成された金厚膜228をウエットエッチングにより剥離させることは困難である場合があるので、本工程では金厚膜228の下部に形成されたポジレジスト223をリフトオフすることによって金厚膜228を容易に剥離できるようにした。
以下、SiO層212の斜方蒸着と、金厚膜228上のSiO層212の剥離は、他の第1のシール材形成工程(5)に含まれる図21に示した製造工程ST15−13〜製造工程ST15−18と共通であるので、その説明を省略する。したがって、最終的には、図21(f)に示す第1の基板体10上の第1シール材31が形成される。
以下、様々な第2のシール材形成工程について説明する。
図9に説明された第2のシール材形成工程(1)について、図24及び図25を用いて説明する。各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図24(a)は製造工程ST21−1を示す図である。
製造工程ST21−1(Siウェハ用意)において、シリコン基板からなる第2の基板21は、CMOS回路22が形成された層と、画素電極23を形成するアルミ電極と、それらを保護するパシベーション膜24が形成されている。
図24(b)は製造工程ST21−2を示す図である。
次に、製造工程ST21−2(ネガレジスト塗布)において、CMOS、画素電極、パッシベーション膜が形成された第2の基板21に、シール領域にフォトリソによりシール材のパターンを形成するために、ネガレジスト72を塗布する。
図24(c)は製造工程ST21−3を示す図である。
次に、製造工程ST21−3(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク81を介して、ネガレジスト72にUV照射Fを行う。
図24(d)は製造工程ST21−4を示す図である。
次に、製造工程ST21−4(ネガレジストエッチング)において、配向膜を形成する領域のネガレジスト72をエッチングして除去する。
図24(e)は製造工程ST21−5を示す図である。
次に、製造工程ST21−5(配向膜成膜)において、ネガレジスト72と画素電極23領域のパシベーション膜24の表面に配向膜25となるSiOを斜方蒸着により成膜する。
図24(f)は製造工程ST21−1を示す図である。
次に、製造工程ST21−6(リフトオフ)において、ネガレジスト72を剥離することによって、ネガレジスト72上に蒸着されていた配向膜25のSiOも除去する。したがって、画素電極23上に配向膜25が残る。
図25(a)は製造工程ST21−7を示す図である。
次に、製造工程ST21−7(ネガレジスト塗布)において、シール材を形成するためにネガレジスト72を塗布する。
図25(a)は製造工程ST21−7を示す図である。
次に、製造工程ST21−8(フォトマスクを介してUV露光)において、配向膜25にネガレジスト72のマスクを形成するため、マスク83を介してUV露光Fを行う。
図25(b)は製造工程ST21−7を示す図である。
次に、製造工程ST21−9(ネガレジストエッチング)において、配向膜25上は、ネガレジスト72のマスクを形成し、シール材を形成する部分は、ネガレジスト72をエッチングして除去する。
図25(c)は製造工程ST21−7を示す図である。
次に、製造工程ST21−10(Ti膜、金膜の成膜)において、シール材を形成する領域とネガレジスト72の表面に、Ti膜37からなる無機スペーサ材と金膜36を成膜する。この製造工程は、第2のスペーサ形成工程として、Ti膜37が金膜36とシリコン基板との密着を確実にするための製造工程として備えられている。なお、Ti膜37は、Cr膜であってもよい。
図25(d)は製造工程ST21−7を示す図である。
次に、製造工程ST21−11(リフトオフ)において、ネガレジスト72の剥離を行って、ネガレジスト72の表面に形成されたTi膜37と金膜36も剥離し(リフトオフ)、第2の基板21にシール材32(Ti膜37と金膜36)が形成された第2の基板体20が形成される。
以上のように、第2のシール材形成工程(1)では、第1の基板体10の製造工程と同様に、公知のフォトリソの技術を用いて、シリコン基板上に無機シールド材と金膜を形成して、第2の基板体20を形成する。
他の第2のシール材形成工程(2)について説明する。
他の第2のシール材形成工程(2)は、図24及び図25に示した第2のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。他の第2のシール材形成工程(2)では、メタルマスクを使用して、SiOからなる配向膜を斜方蒸着して成膜し、工程数を削減している。
図26は、他の第2のシール材形成工程(2)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。他の第2のシール材形成工程(2)は、図9に示した第2のシール材形成工程(1)の代わりに、液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
他の第2のシール材形成工程(2)におけるST22−3以降の工程は、第2のシール材形成工程(1)に含まれる製造工程ST21−6〜製造工程ST21−11と共通であるので、その説明を省略する。
図26(a)は製造工程ST22−1を示す図である。
製造工程ST22−1(Siウェハ用意)において、シリコン基板からなる第2の基板21は、CMOS回路22が形成された層と、画素電極23を形成するアルミ電極と、それらを保護するパシベーション膜24が形成されている。
図26(b)は製造工程ST21−2を示す図である。
次に、製造工程ST22−2(メタルマスクを介して配向膜成膜)において、第2の基板21の画素電極23の領域に、SiOからなる配向膜を成膜するため、メタルマスク84をセットして、配向膜蒸着装置において斜方蒸着Gにより配向膜を成膜する。
図26(c)は製造工程ST21−3を示す図である。
次に、製造工程ST22−3(SiOパターニング基板)において、第2の基板21の画素電極23の領域に、SiOからなる配向膜25が成膜される。この製造工程は、図24に示した製造工程ST21−6と同一であり、更に、この製造工程以降も第2のシール材形成工程と全く同一の製造工程を経て、第2の基板体20が形成される。
以上のように、図26に示した他の第2のシール材形成工程では、図24及び図25に示した第2のシール材形成工程におけるネガレジストの塗布、露光、エッチング、剥離という製造工程の代わりに、メタルマスクによる配向膜成膜の製造工程で、第2の基板21に配向膜25を成膜することが可能である。したがって、製造工数を低減でき、コスト低減に寄与することが可能となった。
更に他の第2のシール材形成工程(3)について説明する。
更に他の第2のシール材形成工程(3)は、図24及び図25に示した第2のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。更に他の第2のシール材形成工程(3)では、金膜をシールドとしてSiOからなる配向膜をエッチングすることにより、ネガレジストが付着していない第2の基板に配向膜蒸着装置で配向膜を成膜する製造工程を設けている。
図27及び図28は、更に他の第2のシール材形成工程(3)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。更に他の第2のシール材形成工程(3)は、図9に示した第2のシール材形成工程(1)の代わりに、液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
図27(a)は製造工程ST23−1を示す図である。
製造工程ST23−1(Siウェハ用意)において、シリコン基板からなる第2の基板21は、CMOS回路22が形成された層と、画素電極23を形成するアルミ電極と、それらを保護するパシベーション膜24が形成されている。
図27(b)は製造工程ST23−2を示す図である。
次に、製造工程ST23−2(ネガレジスト塗布)において、CMOS、画素電極、パッシベーション膜が形成された第2の基板21にフォトリソによりシール材のパターンを形成するためのネガレジスト72を塗布する。
図27(c)は製造工程ST23−3を示す図である。
次に、製造工程ST23−3(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク83を介して、ネガレジスト72にUV照射Fを行う。
図27(d)は製造工程ST23−4を示す図である。
次に、製造工程ST23−4(ネガレジストエッチング)において、シール材を形成する領域のネガレジスト72をエッチングして除去する。
図27(e)は製造工程ST23−5を示す図である。
次に、製造工程ST23−5(Ti膜、金膜の成膜)において、ネガレジスト72とシール材形成領域のパシベーション膜24の表面にTi膜37と金膜36を成膜する。この製造工程は、第2のスペーサ形成工程として、Ti膜37が金膜36とシリコン基板との密着を確実にするための製造工程として備えられている。なお、Ti膜37は、Cr膜であってもよい。
図27(f)は製造工程ST23−6を示す図である。
次に、製造工程ST23−6(リフトオフ)において、ネガレジスト72を剥離することで、ネガレジスト72上に蒸着されていた金膜36とTi膜37も除去される。したがって、シール材形成領域に金膜36とTi膜37が残る。
図28(a)は製造工程ST23−7を示す図である。
次に、製造工程ST23−7(配向膜成膜)において、ネガレジストが除去された第2の基板21を、配向膜蒸着装置に投入し、画素電極23領域のパシベーション膜24とシール材領域の金膜36の表面に、SiOからなる配向膜25を斜方蒸着で成膜する。
図28(b)は製造工程ST23−8を示す図である。
次に、製造工程ST23−8(ネガレジスト塗布)において、金膜36表面に成膜された配向膜25を除去するため、そして、画素電極23領域の配向膜25にマスクをするための前工程として、ネガレジスト72を塗布する。
図28(c)は製造工程ST23−9を示す図である。
次に、製造工程ST23−9(フォトマスクを介してUV露光)において、画素電極23領域の配向膜25にネガレジスト72のマスクを形成するため、マスク83を介してUV露光Fを行う。
図28(d)は製造工程ST23−10を示す図である。
次に、製造工程ST23−10(ネガレジストエッチング)において、画素電極23領域の配向膜25にネガレジスト72によるマスクを形成し、金膜36上の配向膜25を除去する準備でネガレジスト72をエッチングする。金膜36の配向膜25の上のネガレジストが除去される。
図28(e)は製造工程ST23−11を示す図である。
次に、製造工程ST23−11(金をストッパとしてSiOエッチング)において、金膜36をエッチストッパとして、SiOからなる配向膜25をRIEにて除去する。ネガレジスト72でマスクされた配向膜25はそのまま残る。
図28(f)は製造工程ST23−12を示す図である。
次に、製造工程ST23−12(ネガレジスト剥離)において、ネガレジスト72を剥離して、その後、Oプラズマアッシングによって配向膜13上のレジスト残渣を除去し、画素電極23領域の配向膜25が露出される。したがって、第2の基板21にシール材32(Ti膜37と金膜36)と配向膜25が形成され、第2の基板体20が形成される。
以上のように、図27及び図28に示す更に他の第2のシール材形成工程では、ネガレジストにより配向膜蒸着装置を汚染することのない製造工程によって第2の基板体20が形成される。
更に他の第2のシール材形成工程(4)について説明する。
更に他の第2のシール材形成工程(4)は、図24及び図25に示した第2のシール材形成工程(1)とは異なった工程である。更に他の第2のシール材形成工程(4)では、配向膜を成膜する製造工程まで、シリコン基板からなる第2の基板21の表面に、レジストが接しないようにしている。
図29及び図30は、更に他の第2のシール材形成工程(4)を説明するための工程図である。なお、各図において同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。図29及び図30に示す更に他の第2のシール材形成工程(4)は、図9に示す第2のシール材形成工程(1)の代わりに、液晶素子1の製造工程に採用することが可能である。
図29(a)は製造工程ST24−1を示す図である。
製造工程ST24−1(Siウェハ用意)において、シリコン基板からなる第2の基板21は、CMOS回路22が形成された層と、画素電極23を形成するアルミ電極と、それらを保護するパシベーション膜24が形成されている。
図29(b)は製造工程ST24−2を示す図である。
次に、製造工程ST24−2(Ti膜、金膜の成膜)において、第2の基板21のパシベーション膜24の表面にTi膜37と金膜36を成膜する。この製造工程は、第2のスペーサ形成工程として、Ti膜37が金膜36とシリコン基板との密着を確実にするための製造工程として備えられている。なお、Ti膜37は、Cr膜であってもよい。
図29(c)は製造工程ST24−3を示す図である。
次に、製造工程ST24−3(ネガレジスト塗布)において、フォトリソにより枠状のシール材のパターンを形成するため、金厚膜36の上にネガレジスト72を塗布する。
図29(d)は製造工程ST24−4を示す図である。
次に、製造工程ST24−4(フォトマスクを介してUV露光)において、シール材のパターン形状を形成したマスク81を介して、ネガレジスト72にUV照射Fを行う。
図30(a)は製造工程ST24−5を示す図である。
次に、製造工程ST24−5(ネガレジストエッチング)において、感光して残された部分が、以降の製造工程でシール材を形成するためのマスクとなるように、ネガレジスト72のエッチングを行う。
図30(b)は製造工程ST24−6を示す図である。
次に、製造工程ST24−6(Ti膜、金膜のエッチング)において、シール材を形成するために、ネガレジスト72でマスクされていない部分のTi膜37、金厚膜36をエッチング等により除去する。
図30(c)は製造工程ST24−7を示す図である。
次に、製造工程ST24−7(ネガレジスト剥離)において、ネガレジスト72を剥離して、シール材の金膜36が露出される。したがって、第2の基板21にシール材32(Ti膜37と金膜36)が形成される。
以降の製造工程は、配向膜を成膜する製造工程であって、図27及び図28に示す製造工程ST23−6から製造工程23−12と共通であるので、その説明を省略する。
以上のように、図29及び図30に示す更に他の第2のシール材形成工程(4)によれば、配向膜成膜前に、シリコン基板表面にレジストなどの異物が接しないため、よりクリーンな状態で配向膜を成膜することが可能となり、したがって、配向膜の均一性を高めることが可能となる。
更に他の液晶素子5について説明する。
図31は、更に他の液晶素子5の部分分解斜視図である。液晶素子5では、シール材が外側と内側の二重に配置されており、図2及び図4等で図示した注入口38を備えていない。即ち、液晶素子5では、液晶層の封入方法が変更されている。図31において、図2と同一の構成部材には同一の番号を付して、重複する説明は省略する。
図31に示すように、第1の基板体10は、第1の基板11上のITOからなる対向電極12の周囲のシール領域に、第1の外側シール材31aと第1の内側シール材31bが二重の閉じた枠上の第1のシール材31を形成している。対向電極12の端子12aは、第1のシール材31の外側に伸びて形成され、FPC52から延長された電極(図示せず)と銀ペーストなどで電気的に接続される。
第2の基板体20は、第2の基板21の例えばアルミ電極からなる画素電極23の周囲のシール領域に、第2の外側シール材32aと第2の内側シール材32bが形成され二重の閉じた枠上の第2のシール材32を形成している。
第2の外側シール材32aと第2の内側シール材32bのそれぞれの平面形状は、第1の基板体10の第1の外側シール材31aと第1の内側シール材31bの平面形状と全く同一の形状に形成されている。第1の基板体10の第1の外側シール材31aと第1の内側シール材31b上面の金の厚膜と、第2の基板体20の第2の外側シール材32aと第2の内側シール材32b上面の金の薄膜の形状が一致して重なり、シールするように形成されている。そして、液晶素子1の組み立て時には、図2で説明したと同様に、第2の基板体20に対して第1基板体10を矢印Gの方向に重ねられ、液晶素子5が形成される。
図31に示した二重の第1のシール材31および二重の第2のシール材32は、前述した様々な第1のシール材形成工程及び第2のシール材形成工程によって形成することが出来る。これらのシール材を形成した後、全てのシール材表面の金表面に対して表面活性化処理が行われる。その後、内側のシール材の中へ適量の液晶が配置される。その後、第1の基板体10と第2の基板体20とを重ね合わせ、加圧接合する工程を行う。
このように、注入口を設けず、枠状に形成したシール材の内側に液晶を滴下して注入する液晶滴下方法(ODF)を採用することによって、注入口を樹脂等で封止する必要がなく、より確実な密封性と耐水性を実現することができる。
図31に示した液晶素子5も、図9に記載の製造方法に従って製造することができる。また、その際に、上述した様々な第1のシール材形成工程及び第2のシール材形成工程を利用できることは言うまでもない。
上述した各種の第1の基板体10のシール材31を形成する第1のシール材形成工程及び第2の基板体20のシール材32を形成する第2のシール材形成工程から明らかなように、通常の液晶素子を生産する量産ラインに少しの工程を加えるだけで特別な設備を設けることもなく、液晶素子のシール材を無機材で形成することが可能となる。更に、シール材の金膜どうしを表面活性化処理を施した上で常温で加圧接合して、液晶素子を形成することが可能となるので、高温高湿環境における耐久性を実現し、光通信用の用途においても液晶素子が利用可能となる。
上記において、様々な液晶素子とその製造方法について説明してきたが、シリコン基板からなる第2の基板はガラス基板であっても良く、その場合でも、同様の製造工程で無機のシール材が形成可能である。この場合はITOとTiの密着性が悪いため、Tiの下地となる部分のITOはエッチング処理によって取り除いた方が好ましい。また、Ti膜は、Cr膜に置き換え可能である。さらに、ネガレジスト及びポジレジストは、相互に置き換えて利用可能であり、その場合にはフォトマスクの透過パターンと遮光パターンを反転させて利用すれば良い。

Claims (8)

  1. 液晶層を封入するための枠状のシール領域を備えた第1の基板と、
    前記第1の基板に対向して設けられた第2の基板と、を有し、
    前記第1の基板の前記シール領域には、前記第2の基板と重ね合わせて接合する際に潰れて変形して金属結合するための金の枠状構造物が設けられ、
    前記第2の基板における前記金の枠状構造物に対向する部分には、金膜が配置されており、
    前記第1の基板と前記金の枠状構造物との間、または前記第2の基板と前記金膜との間に、無機スペーサ材を有し、
    前記無機スペーサ材は、前記第1の基板と前記第2の基板との距離を制御し、
    前記金の枠状構造物は、多数個形成された小部屋を有し、
    前記多数個形成された小部屋の先端部分で、表面活性化結合により前記金膜と常温接合される、
    ことを特徴とする液晶素子。
  2. 無機スペーサ材は、誘電体膜又は金属膜である、請求項1に記載の液晶素子。
  3. 第1の基板、第2の基板、シール材、及び、前記第1の基板、前記第2の基板及びシール材によって封入された液晶層を有する液晶素子の製造方法であって、
    前記第1の基板、または前記第2の基板上に、前記第1の基板と前記第2の基板との距離を制御するための無機スペーサ材を配置し、
    前記第1の基板と金の枠状構造物との間、または前記第2の基板と金膜との間に、前記無機スペーサ材が配置されるように、前記第1の基板に第1のシール材として金の多数個形成された小部屋を、前記第2の基板に第2のシール材として金膜を、それぞれ形成し、
    前記金の多数個形成された小部屋の先端部分及び前記金膜の表面に表面活性化処理を施し、
    表面活性化処理が施された前記金の多数個形成された小部屋の先端部分と、表面活性化処理が施された前記金膜の表面とを常温で加圧して金属結合により前記第1のシール材及び前記第2のシール材を接合することによって前記シール材を形成する、
    工程を有することを特徴とする液晶素子の製造方法。
  4. 配置された前記金膜をハーフエッチングすることによって前記金の多数個形成された小部屋を形成する、請求項3に記載の液晶素子の製造方法。
  5. 前記第1の基板はガラス基板であり、前記第2の基板はシリコン基板又はガラス基板である、請求項3又は4に記載の液晶素子の製造方法。
  6. 表面活性化処理は、前記金の多数個形成された小部屋の先端部分及び前記金膜の表面にプラズマ又はイオンビームを照射して活性化する工程を含む、請求項3〜5の何れか一項に記載の液晶素子の製造方法。
  7. 前記第1の基板又は前記第2の基板上に配向膜を形成する工程を更に有する、請求項3〜6の何れか一項に記載の液晶素子の製造方法。
  8. 前記金の多数個形成された小部屋を形成するために、前記第1の基板上に配置された金膜の内、不必要な部分の金膜をリフトオフによって剥離する、請求項4に記載の液晶素子の製造方法。
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