JP5701305B2 - アクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法 - Google Patents

アクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法 Download PDF

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Description

本発明は、液圧式洗浄塔を含む装置を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法であって、
該液圧式洗浄塔は、該液圧式洗浄塔の上方から下方へと延びる縦軸に対して回転対称のプロセス室を有しており、該プロセス室は、円筒状のジャケット壁と、対称軸上で互いに向かい合う2つの端部とによって区切られており、その際、
・プロセス室の上端部から、プロセス室の縦軸と平行に1以上のフィルター管がプロセス室を通って延びており、該フィルター管は、プロセス室の上端部と向かい合う下端部に向かって延びており、かつプロセス室の下端部に向いたプロセス室の半分において、それぞれの該フィルター管の内部とプロセス室との間の唯一の直接的な接続を形成する少なくとも1のフィルターFを有しており、かつプロセス室の外側で洗浄塔から導出され、
・プロセス室の上端部と下端部との間の距離Lとプロセス室の直径Dとからの比Q=L/Dは0.3〜4であり、
・プロセス室の下端部には下方に向かって洗浄塔の結晶融解室が続いており、その際、双方の室の間には回転式掻取装置が組み込まれており、かつ該結晶融解室を結晶融液循環路が貫通しており、該結晶融液循環路は、結晶融解室の外部に、
・洗浄塔の外側に存在する、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP1、
・洗浄塔の結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側へと延びている第一の搬送接続部G1、
・搬送ポンプP1の吐出側から洗浄塔の結晶融解室へと戻る第二の搬送接続部G2、及び、調節可能な排出口を備えた該結晶融液循環路からの出口A
を有し、かつ、
・伝熱装置W
を含み、ここで該伝熱装置Wを経由して、結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側への搬送接続部G1か、又は搬送ポンプP1の吐出側から結晶融解室への搬送接続部G2のいずれかが延びており、
・プロセス室の上端部には、上方に向かって分配器室が前置されており、該分配器室は少なくとも端板Bによってプロセス室と区切られており、該端板Bは通路Uを有しており、該通路Uは、端板Bのプロセス室に向いた側ではプロセス室に通じており、かつ端板Bのプロセス室と反対側では分配器室に通じており、
・洗浄塔の外側には、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP2、及び懸濁液Sの源QSが存在しており、その際、
・第一の搬送接続部E1が、源QSから搬送ポンプP2の吸込側へと延びており、かつ、
・第二の搬送接続部E2が、搬送ポンプP2の吐出側から分配器室へと延びており、
・洗浄塔の外側には場合により、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP3、及び制御液体の源QTが存在しており、その際、
・第一の搬送接続部C1が、ポンプP3の吸込側から源QTへと延びており、かつ
・第二の搬送接続部C2が、ポンプP3の吐出側から、分配器室へと、かつ/又は、プロセス室の上端部とフィルター管のフィルターFとの間にあるプロセス室の縦区間へと延びており、
かつその際、該分離法を定常運転で実施する際に、
・ポンプP2を用いて連続的に、懸濁液Sの流れSTを、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内し、
・場合によりポンプP3を用いて、制御液体の流れSLを、源QTから搬送接続部C1、C2を通って、分配器室を経由しかつ通路Uを貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔のプロセス室へと案内し、
・フィルター管のフィルターFを経由して、母液と場合により制御液体とを含む流れSM全体を廃液流としてフィルター管内部へ案内し、かつフィルター管を経由して洗浄塔から導出し、かつ、この洗浄塔から導出された廃液流SMを制御液体のための源QTとして使用し、
・洗浄塔のプロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内によって、アクリル酸結晶の結晶床の形成を保持し、ここで、該結晶床はプロセス室の上端部に向いた増成フロント(増成フロントとは、結晶懸濁液から(圧密化された)結晶床への移行部を意味し、単位体積当たりの結晶含分の比較的急な上昇を特徴としている)を有しており、該増成フロントにおいて、供給された懸濁液Sの流れST(懸濁液流)の結晶が結晶床上に連続的に堆積し、
・結晶床を、プロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内の流れの液圧損失から生じる力によって、上方から下方へとフィルターFの脇を通過して回転式掻取装置へと搬送し、
・該回転式掻取装置を用いて、該回転式掻取装置に衝突する結晶床からアクリル酸結晶を掻き取り、
・掻き取られたアクリル酸結晶の流れを、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、該回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の搬送方向でプロセス室に引き続く結晶融解室へと搬送し、該結晶融解室を貫通している結晶融液循環路(しばしば単に「融液循環路」とも略される)内で伝熱装置Wを用いた熱の導入によって融解させて結晶融液流とし、かつ
・出口Aの排出口を、上記の結晶融液流の流量に関して、結晶融解室から出発して、結晶融液の部分流が洗浄融液流として、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の移動方向とは反対にプロセス室へと返流され、該プロセス室において該部分流が、下方へ搬送された結晶床内を上昇し、ここで、結晶から、結晶床内に残留しておりかつ該結晶床と共にフィルターFの下方へ搬送された母液を洗浄除去して押し戻し、その際、フィルターFからプロセス室の下端部まで広がるプロセス室の縦区間内で、結晶床内に洗浄フロントが生じ、該洗浄フロントが結晶床を上方から下方に向かって母液帯域と洗浄融液帯域とに分割し、かつ、上記の結晶融液流の残りの部分流が出口Aを経由して結晶融液循環路を去るように調節する方法に関する。
アクリル酸は、それ自体か又はその塩もしくはそのエステルの形で、特に種々の応用分野(例えば接着剤、高吸収体、バインダー)のための重合体の製造に重要である。
アクリル酸の合成の際、これは通常は純生成物としてではなく、高純度での所望の目的化合物の他にさらに、例えば溶剤、出発化合物及び副生成物といった不所望の成分を含有する物質混合物の一部として生じる。ここでしばしば、該物質混合物は液体である。
例えば、アクリル酸は、グリセリン、プロパン、プロペン及び/又はアクロレインの接触気相酸化により得られる。ここで、該出発化合物は気相で通常は分子窒素、CO2及び/又は水蒸気といった不活性ガスで希釈され、分子酸素と混合して高められた温度並びに場合によっては高められた圧力で遷移金属混合酸化物触媒の上方に導かれ、酸化によりアクリル酸含有生成物ガス混合物に変換される。
アクリル酸と、アクリル酸が生成物ガス混合物中で随伴している化合物との基本的な分離がすでに達成されている範囲内で、アクリル酸は引き続き、凝縮的及び/又は吸収的方法により通常は液(凝縮)層に移行される。
熱的分離法(そのようなものとして例えば精留、抽出、ストリッピング、蒸留、脱着等が考慮される)の種々の組合せの適用下に、アクリル酸は最終的に高純度で上記液相から分離される。懸濁晶析法は、しばしばそのような方法の組合せの構成要素である。
液体凝結体状態にあるアクリル酸含有物質混合物を冷却するとアクリル酸の結晶の形成が生じるため、懸濁晶析はアクリル酸を物質混合物から分離するために考えられる方法の一つである。
これは、アクリル酸から生じる結晶が成長する際に、液体物質混合物中にアクリル酸の他に含まれている成分がしばしば結晶格子から排除され、母液中に残留することを利用したものである(「母液」の概念は本願明細書中で、アクリル酸と不純物とからの融液(この中でアクリル酸は≧50質量%の質量割合を占める)及び溶剤もしくは溶剤混合物中のアクリル酸及びこれに場合により随伴する不純物の溶液(この中でアクリル酸は<50質量%の質量割合を占める)を含むものと理解されるべきであるが、但しその冷却の際に(即ち母液の冷却の際に)アクリル酸が晶出するものとする)。
しばしば、すでに一段懸濁晶析法において高純度のアクリル酸結晶が得られる。必要な場合には懸濁晶析を多段で実施することもできる。
アクリル酸の結晶分離のための懸濁晶析法は公知である(例えば、DE−A102007043758、DE−A102007043748、DE−A102007004960、DE−A102007043759及びDE出願番号102009000987.6を参照のこと)。
応用技術的に有利に、該方法は、二次室と少なくとも一つの一次室とを有する間接的な伝熱装置(冷却器ないし晶析装置)を用いて実施される。
熱が、二次室に供給された(かつ通常はこれを貫通する)アクリル酸含有液体物質混合物から、二次室と少なくとも一つの一次室とを互いに隔てる材料隔壁(伝熱面)を通じて、少なくとも一つの一次室内を流れる冷媒へと伝達されることによって、液体物質混合物はそのアクリル酸の飽和限界を超えるまで冷却され、かつ該液体物質混合物はアクリル酸から構成された結晶の(析出による)形成により過飽和を防止する。
所望の結晶化度(「結晶化度」の概念は、ここでは、結晶懸濁液の全質量に対する、生じた、(液体で)残った母液中のアクリル酸結晶の懸濁液中に含まれる微細な結晶の質量分率、またさらには質量割合を意味する)が達成されると、結晶懸濁液は二次室から導出される。
生じたアクリル酸結晶を母液から分離することによって、アクリル酸を相応する純度で結晶懸濁液から単離することができる。
ここで、分離されたアクリル酸の純度に決定的な影響を及ぼす重要な工程の一つが、アクリル酸結晶を、アクリル酸以外の富化された形での成分と、アクリル酸の未晶析分とを含有する母液から分離するために適用される分離法である。この分離法は多段であってよく、その際、少なくとも最終段ではしばしば有利に液圧式洗浄塔を用いた分離が用いられる。
しかしながら、液圧式洗浄塔を用いた分離は単一分離段を形成することもできる。基本的に、液圧式洗浄塔を用いた分離は、汚染された母液を可能な限り定量的にアクリル酸結晶から分離するという課題を抱えている。
液圧式洗浄塔を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液から精製分離するための分離法は、公知である(例えば、DE出願番号102009000987.6、WO2006/111565、DE−A102007004960、EP−A1448282、US−A2009/018347、WO03/041832、WO01/77056、WO04/35514、WO03/41833、WO02/9839、DE−A10036881、WO02/55469、WO03/78378及び該文献中で引用されている従来技術を参照のこと)。
液圧式洗浄塔(0)のモデルを本願明細書の図1に示す。該液圧式洗浄塔(0)はその上方から下方へと延びる縦軸に対して回転対称のプロセス室(B)を有する(本願明細書中で括弧で括られた英字及び数字のアドレスは、いずれも本願明細書に添付された図に関連するものである。)。
該プロセス室(B)は、円筒状のジャケット壁(28)と、対称軸上で互いに向かい合う二つの端部とによって区切られており、その際、該プロセス室(B)の上端部(29)から、該プロセス室(B)の縦軸と平行に1以上のフィルター管(6)が該プロセス室(B)を通って延びており、該フィルター管(6)は、プロセス室(B)の上端部と向かい合う下端部(30)に向かって(該下端部(30)から突き出ることなく)延びており、かつプロセス室(B)の下端部に向いたプロセス室(B)の半分において、それぞれの該フィルター管の内部とプロセス室(B)との間の唯一の直接的な接続を形成する少なくとも1のフィルターF(7)を有しており、かつプロセス室(B)の外側で洗浄塔(0)から導出される。
プロセス室(B)の下端部には下方に向かって液圧式洗浄塔(0)の結晶融解室(C)が続いており、その際、双方の室の間には回転式掻取装置(16)が組み込まれており、結晶融解室(C)を結晶融液循環路(31)が貫通している。
掻取装置(16)は通常は駆動シャフト(18)に固定されており、該駆動シャフト(18)は駆動ユニットによってその縦軸周りの回転のために駆動され、その際、該駆動シャフト(18)は掻取装置(16)の回転に必要な回転数を該掻取装置(16)に伝達する。
結晶融液循環路(31)は、結晶融解室(C)の外部に、洗浄塔(0)の外側に存在する、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP1(11)を含む。第一の搬送接続部G1(5)が、洗浄塔(0)の結晶融解室(C)から伝熱装置W(9)を経由して搬送ポンプP1(11)の吸込側へと延びている。第二の搬送接続部G2(12)が、搬送ポンプP1(11)の吐出側から洗浄塔(0)の結晶融解室(C)へと戻る。該結晶融液循環路(31)は、調節可能な(10)排出口を備えた出口A(3)を含んでいる。
プロセス室(B)の上端部には、上方に向かって分配器室(A)が前置されており、該分配器室(A)は少なくとも端板B(32)によってプロセス室(B)と区切られており、該端板B(32)は通路U(26)を有しており、該通路U(26)は、端板Bのプロセス室に向いた側ではプロセス室(B)に通じており、端板Bのプロセス室(B)と反対側では分配器室(A)に通じている。
液圧式洗浄塔(0)の外側には、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP2(8)が存在している。第一の搬送接続部E1(33)が、母液中のアクリル酸結晶の懸濁液の源QS(1)から搬送ポンプP2(8)の吸込側へと延びている。第二の搬送接続部E2(34)が、搬送ポンプP2(8)の吐出側から液圧式洗浄塔(0)の分配器室(A)へと延びている。
液圧式洗浄塔(0)の外側には、通常は(しかしながら必須ではなく)付加的に、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP3(13)が存在している。第一の搬送接続部C1(35)が、搬送ポンプP3(13)の吸込側からいわゆる制御液体のための源QTへと延びている(制御液体として、少なくとも1のフィルター管(6)を経由して導出(排出)された廃液が使用される(例えば、WO2006/111565を参照のこと))。
第二の搬送接続部(36)が、ポンプP3(13)の吐出側から、液圧式洗浄塔(0)の分配器室(A)へと、かつ/又は、プロセス室(B)の上端部(29)と少なくとも1のフィルター管(6)の少なくとも1のフィルター(7)との間にあるプロセス室(B)の縦区間へと延びている。
分離法がその定常運転で実施される際に、ポンプP2(8)を用いて連続的に、母液中のアクリル酸の結晶の懸濁液の流れが、搬送接続部E1(33)、E2(34)を通って分配器室(A)を経由し、かつ通路U(26)を貫通して洗浄塔(0)のプロセス室(B)へと案内される(場合により付加的に、ポンプP3(13)を使用して、制御液体が、搬送接続部C1(35)、C2(36)を通って分配器室(A)を経由しかつ通路U(26)を貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔(0)のプロセス室(B)へと案内される)。ここで通路U(26)は、プロセス室(B)の横断面にわたる結晶懸濁液の可能な限り均一な分配に作用する。フィルター管内部及びプロセス室(B)内の圧力状態は、フィルター管(6)のフィルターF(7)を経由して母液と場合により制御液体とを含む流れが廃液流としてフィルター管内部へ案内され、かつフィルター管(6)を経由して(通常は、例えば端板Bに組み込まれていてよい廃液捕集室(27)を経由して)洗浄塔(0)から(相応する出口(2)を経由して)導出される(2)ように構成されている。
この廃液流は、場合により併用される制御液体流のための源QTを形成する。
洗浄塔(0)のプロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内(まずは上方から下方へ、次いで、統合された源流と一緒にフィルター(7)を通ってフィルター管(6)内へ)によって、分離法のスタートアップの際に初めてアクリル酸結晶の(圧密化された)「結晶床(フィルターケーキ)(4)」の形成の恒常的な進行に成功し、そのようにしてアクリル酸結晶の結晶床(4)の形成が保持される。ここで、該結晶床(4)はプロセス室の上端部に向いた増成フロント(25)を有しており、この増成フロント(25)において、供給された母液中のアクリル酸結晶の懸濁液の流れの結晶が(圧密化された)結晶床フィルターケーキ(4)上に連続的に堆積する(刊行物において、この増成フロントはしばしば濾過フロントとも呼称される)。
結晶床(4)は、母液及び場合により制御液体の、結晶床(4)を通じたプロセス室(B)内でのその流路での流れの液圧損失から生じる力によって、圧密化され、かつ上方から下方へとフィルターF(7)の脇を通過して(いわば横濾過のフィルターケーキとして)回転式掻取装置(16)へと搬送される。
回転式掻取装置(16)を用いて、該回転式掻取装置(16)に衝突する結晶床(4)からアクリル酸結晶が連続的に掻き取られる。そのようにして生じる掻き取られたアクリル酸結晶の流れは、該回転式掻取装置(16)の態様に応じて、該回転式掻取装置(16)を貫通して、かつ/又は、該回転式掻取装置(16)の脇を通過して、結晶床(4)の搬送方向でプロセス室(B)に引き続く結晶融解室(C)へと搬送され、該結晶融解室(C)を貫通している結晶融液循環路(31)(ないし融液循環路(31))内で伝熱装置W(9)を用いた熱の導入によって融解され、結晶融液流となる(当然のことながら、伝熱装置Wはこの目的のために搬送接続部G2に組み込まれていてもよく;また、この目的のために1を上回る伝熱装置が結晶融液循環路に組み込まれていてもよい)。
ここで、出口A(3)の排出口は、上記の結晶融液流の流量に関して、結晶融解室(C)から出発して、特に比較的軽く(より小さな質量密度を有し)、かつ結晶融解室に搬送された結晶により排除された、洗浄融液流としての結晶融液の部分流が、回転式掻取装置(16)の態様に応じて、該回転式掻取装置(16)を貫通して、かつ/又は、該回転式掻取装置(16)の脇を通過して、結晶床(4)の移動方向とは反対にプロセス室(B)へと返流され(上昇する洗浄融液質量流の流量は、通常は、結晶懸濁液を介してプロセス室(B)へと案内された結晶の質量流量よりも大きくない)、該プロセス室(B)において該部分流が、下方へ搬送された結晶床(4)内を上昇し、ここで、結晶から、結晶床(4)内に残留しておりかつ該結晶床(4)と共にフィルターF(7)の下方へ搬送された母液を洗浄除去し、ここで母液が上方へと押し戻され、その際、フィルターF(7)からプロセス室の下端部(30)まで広がるプロセス室(B)の縦区間内で、結晶床(4)内に洗浄フロント(37)が生じ、該洗浄フロント(37)が結晶床を上方から下方に向かって(洗浄フロント(37)から増成フロントまで広がる)母液帯域と、(洗浄フロント(37)から結晶床(4)の下端部まで広がる)洗浄融液帯域とに分割し、かつ、上記の結晶融液流の残りの部分流が出口A(3)を経由して融液循環路(31)を去る(搬送ポンプP1(11)は純粋な循環ポンプとして機能する)ように調節されている(10)。
即ち、結晶床(4)の搬送方向と反対に流れる洗浄融液によって、フィルターF(7)の下方でわずかに残量の母液に含浸された結晶床(4)が、結局のところ実質的にプロセス室(B)内を上方に流れる洗浄融液内へ押し込まれ(逆もまた同じ)、かつ洗浄作用として(その他の可能な洗浄作用は、WO01/77056の第9頁に記載されている)、「濾過」の際に結晶床(4)内に残留する母液が洗浄融液によって限定的な範囲内で容易に押し戻される。洗浄融液流量を分離プロセスのパラメータに相応して調節すると定常状態が生じるため、プロセス室(B)内の所定の高さにいわゆる洗浄フロント(37)が生じる(実際には、洗浄融液(純融液)と母液との間の十分に安定な「相境界」)。洗浄フロントは、結晶床の下端部からフィルター上縁部まで広がるプロセス室(B)の区間において、プロセス室(B)の高さに関して見た時に最も高い温度勾配及び濃度勾配が生じる高さとして定義されている。
洗浄フロント(37)の上方及び下方では、高さに対する温度(濃度)が、実質的に比較的迅速に(通常は±5cm未満の高さ変動内で(「洗浄フロント範囲」と呼称される))高さに対してその都度変化することのない値に達する。
この値は、洗浄フロント(37)の上方の範囲内では、本質的にプロセス室(B)に供給された母液中のアクリル酸結晶の懸濁液の温度(相応する濃度)であり、洗浄フロント(37)の下方の範囲内では、洗浄融液(純融液)の融点温度(相応する濃度)である。洗浄フロント(37)の高さ位置は、プロセス室に搬送される結晶質量流量と、反対に案内される洗浄融液流量との比を調節することによって限定的な範囲で変動させることができる。洗浄融液帯域のそれぞれの最小長を下回ると、洗浄作用(分離作用)は洗浄融液帯域の長さの増大と共に良好になる。応用技術的に有利には、洗浄フロント(37)は、下側フィルター縁部(フィルターF(7)の下縁部)の50〜200mm、しばしば〜100mm下方に位置する。
上記の通りに定常運転で実施すべき、アクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液から精製分離するための分離法をスタートアップするために、WO01/77056では、相応する結晶懸濁液を未充填の液圧式洗浄塔に直接供給し、フィルター管のフィルターを貫通して、まず、洗浄塔のプロセス室内で所望の床高さで結晶固定床が形成されるまで母液のみを排出することが推奨されている。次いで、掻取装置及び結晶融液循環路を作動させ、所定の経過後に結晶融液循環路の出口の排出口を閉鎖して、所望の洗浄フロント位置が生じるように該排出口が調節される。
しかしながらこのようなスタートアップの様式は、該スタートアップに伴って経済性に関わる頻度で結晶融液循環路の閉塞が生じるという欠点を有する。このことは通常、結晶懸濁液を未充填の液圧式洗浄塔に直接供給する際に、所望の床高さに達する時点までに、高められた規模ですでに結晶が結晶融液循環路内に堆積することに起因する。その後、この結晶融液循環路が作動されると、予め沈殿している(しかしながら実質的には圧密化されていない)結晶が急激に渦状に舞い上がり、それによって(特に結晶融液循環路のための搬送ポンプ(融液循環ポンプ)が所定の作動時間後になってようやくその完全な搬送出力を達成することを考慮した場合に)上記の閉塞が生じ得る。
基本的に、上記現象は、液圧式洗浄塔のスタートアップの際にまず、結晶融解室を含む融液循環路、並びに未充填の洗浄塔のプロセス室に、アクリル酸含有出発液体を、プロセス室内での出発液体の充填高さが少なくとも掻取装置よりも高くなるように充填し、これに引き続いて初めて、液圧式洗浄塔への結晶懸濁液並びに場合により制御液体としての廃液の充填を進めることにより抑制することができる。
しかしながら、プロセス室の上端部と下端部との間の距離Lとプロセス室の直径Dとからの比Q=L/Dが0.3〜4である液圧式洗浄塔の場合、このような方法で分離法をさらに運転する過程で、比較的高頻度でかつ比較的短い運転時間後にすでに、搬送接続部E2及び分配器室を含む空間範囲内に作業圧が生じ、この作業圧によって、安全上の理由からこの空間範囲に取り付けられた破裂板が破裂する。
本発明の課題は、上記課題に鑑み、適切な対策を講じることであった。
それに応じて、液圧式洗浄塔を含む装置を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法であって、
該液圧式洗浄塔は、該液圧式洗浄塔の上方から下方へと延びる縦軸に対して回転対称のプロセス室を有しており、該プロセス室は、円筒状のジャケット壁と、対称軸上で互いに向かい合う2つの端部とによって区切られており、その際、
・該プロセス室の上端部から、該プロセス室の縦軸と平行に1以上のフィルター管が該プロセス室を通って延びており、該フィルター管は、プロセス室の上端部と向かい合う下端部に向かって(該下端部から突き出ることなく)延びており、かつプロセス室の下端部に向いたプロセス室の半分において、それぞれの該フィルター管の内部とプロセス室との間の唯一の直接的な接続を形成する少なくとも1のフィルターFを有しており、かつプロセス室の外側で洗浄塔から導出され、
・プロセス室の上端部と下端部との間の距離Lとプロセス室の直径Dとからの比Q=L/Dは0.3〜4であり、
・プロセス室の下端部には下方に向かって洗浄塔の結晶融解室が続いており、その際、双方の室の間には回転式掻取装置が組み込まれており、かつ該結晶融解室を結晶融液循環路が貫通しており、該結晶融液循環路は、結晶融解室の外部に、
・洗浄塔の外側に存在する、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP1、
・洗浄塔の結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側へと延びている第一の搬送接続部G1、
・搬送ポンプP1の吐出側から洗浄塔の結晶融解室へと戻る第二の搬送接続部G2、及び、調節可能な排出口を備えた該結晶融液循環路からの出口A
を有し、かつ、
・伝熱装置W
を含み、ここで該伝熱装置Wを経由して、結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側への搬送接続部G1か、又は搬送ポンプP1の吐出側から結晶融解室への搬送接続部G2のいずれかが延びており、
・プロセス室の上端部には、上方に向かって分配器室が前置されており、該分配器室は少なくとも端板Bによってプロセス室と区切られており、該端板Bは通路Uを有しており、該通路Uは、端板Bのプロセス室に向いた側ではプロセス室に通じており、かつ端板Bのプロセス室と反対側では分配器室に通じており、
・洗浄塔の外側には、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP2、及び懸濁液Sの源QSが存在しており、その際、
・第一の搬送接続部E1が、源QSから搬送ポンプP2の吸込側へと延びており、かつ、
・第二の搬送接続部E2が、搬送ポンプP2の吐出側から分配器室へと延びており、
・洗浄塔の外側には場合により、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP3、及び制御液体の源QTが存在しており、その際、
・第一の搬送接続部C1が、ポンプP3の吸込側から源QTへと延びており、かつ
・第二の搬送接続部C2が、ポンプP3の吐出側から、分配器室へと、かつ/又は、プロセス室の上端部とフィルター管のフィルターFとの間にあるプロセス室の縦区間へと延びており、
かつその際、該分離法を定常運転で実施する際に、
・ポンプP2を用いて連続的に、懸濁液Sの流れSTを、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内し、
・場合によりポンプP3を用いて、制御液体の流れSLを、源QTから搬送接続部C1、C2を通って、分配器室を経由しかつ通路Uを貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔のプロセス室へと案内し、
・フィルター管のフィルターFを経由して、母液と場合により制御液体とを含む流れSM全体を廃液流としてフィルター管内部へ案内し、かつフィルター管を経由して洗浄塔から導出し、かつ、この洗浄塔から導出された廃液流SMを制御液体のための源QTとして使用し、
・洗浄塔のプロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内によって、アクリル酸結晶の結晶床の形成を保持し、ここで、該結晶床はプロセス室の上端部に向いた増成フロントを有しており、該増成フロントにおいて、供給された懸濁液Sの流れSTの結晶が結晶床上に連続的に堆積し、
・結晶床を、プロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内の流れの液圧損失から生じる力によって、上方から下方へとフィルターFの脇を通過して回転式掻取装置へと搬送し、
・該回転式掻取装置を用いて、該回転式掻取装置に衝突する結晶床からアクリル酸結晶を掻き取り、
・掻き取られたアクリル酸結晶の流れを、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、該回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の搬送方向でプロセス室に引き続く結晶融解室へと搬送し、該結晶融解室を貫通している結晶融液循環路(ないし融液循環路)内で伝熱装置Wを用いた熱の導入によって融解させて結晶融液流とし、かつ
・出口Aの排出口を、上記の結晶融液流の流量に関して、結晶融解室から出発して、結晶融液の部分流が洗浄融液流として、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の移動方向とは反対にプロセス室へと返流され、該プロセス室において該部分流が、下方へ搬送された結晶床内を上昇し、ここで、結晶から、結晶床内に残留しておりかつ該結晶床と共にフィルターFの下方へ搬送された母液を洗浄除去して押し戻し、その際、フィルターFからプロセス室の下端部まで広がるプロセス室の縦区間内で、結晶床内に洗浄フロントが生じ、該洗浄フロントが結晶床を上方から下方に向かって母液帯域と洗浄融液帯域とに分割し、かつ、上記の結晶融液流の残りの部分流が出口Aを経由して結晶融液循環路を去るように調節する
方法において、該分離法のスタートアップの際に、結晶床の最初の形成をプロセス室内で生じさせるために、
・まず、結晶融解室を含む結晶融液循環路、並びに未充填の洗浄塔のプロセス室に、アクリル酸含有出発液体ATを、プロセス室内での出発液体ATの充填高さが少なくとも掻取装置よりも高くなるように充填し、
・次いで、ポンプP2を用いて、懸濁液Sの流れST*を、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内し、かつここで、フィルター管を通って洗浄塔から導出された源QT*としての廃液流SM*のうちの部分流を、場合によりポンプP3を使用して、制御液体流SL*として、搬送接続部C1、C2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔のプロセス室へと案内することによって洗浄塔の充填を進め、この充填を、少なくとも、差圧PD=Pk−Pv(ここで、Pkは結晶融解室内の任意に選択された場所で流れST*の供給の所定の時点でその都度保たれている圧力であり、Pvはその都度同じ時点で分配器室内の任意に選択された場所でその都度保たれている圧力である)が流れST*の供給期間に依存してもはや上昇もせず、一定のままでもなく、突如低下する時点tsに達するまで行うが、但し、
・流れST*の供給の間にフィルター管のフィルターFを通ってそれぞれの時点で流れる全廃液流量SM*(これは廃液の全流量であり;即ち、各フィルター管に排出された全ての廃液流量の合計であり、全てのフィルター管に関して合算したものである)の算術平均値を、全てのフィルターFの全面積で除したものとして算出されるフィルターFの平均空塔速度が、時点tsまで80m3/(m2・h)以下であり、
・アクリル酸含有出発液体ATは、晶析が始まるまで冷却した場合に該晶析の際に生じる結晶がアクリル酸結晶であるような液体であり、かつ、
・出発液体AT中の該アクリル酸結晶の摂氏で示される結晶形成温度TKBと、流れST*の懸濁液Sの摂氏で示される温度TSとの間に、以下の式
KB≦TS+15℃
が成り立つことを特徴とする方法が提供される。
本発明によれば有利に、流れST*の供給の間にそれぞれの時点でフィルター管のフィルターFを通って流れる全廃液流量SM*の算術平均値を全てのフィルターFの全面積で除したもの(本願明細書中では「平均フィルター空塔速度」又は「フィルターFの平均空塔速度」とも呼称される)は、時点tsまで75m3/(m2・h)以下であり、特に有利には70m3/(m2・h)以下である。
通常、上記の、全てのフィルターFの全面積に関して基準化された算術平均値(平均フィルター空塔速度)は、少なくとも5又は少なくとも10、有利には少なくとも15、特に有利には少なくとも20m3/(m2・h)である。
即ち、上記の、全てのフィルターFの全面積に関して基準化された算術平均値(平均フィルター空塔速度)の、本発明により有利な範囲は、>0〜80m3/(m2・h)、有利には5〜75m3/(m2・h)、特に有利には10〜70m3/(m2・h)、極めて特に有利には15〜65m3/(m2・h)、特に有利には20〜50m3/(m2・h)の範囲である。
上記の全ての記載及び本願明細書中のさらなる全ての記載は、特に比Q=L/D≧0.5又は≧0.7である場合に該当する。当然のことながら、上記の全ての記載及び本願明細書中のさらなる全ての記載は、L/D≦3.5又は≦3又は≦2.5又は≦2である場合にも該当する。本発明によれば、比Q=L/Dが大きすぎないことが有利である。これは、結晶床がプロセス室内で結晶床とプロセス室の内壁との接触面に沿って輸送される際に克服すべき、結晶床の体積に関する摩擦抵抗が、Qの減少と共に低下するという背景に反する。
応用技術的に有利には、プロセス室の上端部と下端部との間の距離Lは≧0.5m、有利には≧0.8m、特に有利には≧1mである。しかしながら通常は、Lは≦5m、しばしば≦4m又は≦3mである。
本発明により好適な液圧式洗浄塔のプロセス室の有利な内径Dは、300〜3000mmの範囲内、有利には700〜2000mmの範囲内である。
結晶を受容する有利なプロセス室内部体積は、本発明による方法の場合0.05〜20m3、有利には0.2〜10m3、特に有利には1〜5m3である。
フィルターFの面積とは、本願明細書中で、その流入面積(その「開口」フィルター面積ではない、即ち多孔質材料の「開気孔」ではない)と理解される。即ち、フィルターFが、相応するフィルター管の外半径r、フィルターFの高さaで管の全周にわたって広がっている場合、本発明によるフィルターFの当該面積は従って2π・r・aである。
プロセス室の直径Dとは、本願明細書中でその内径を意味する。プロセス室の上端部と下端部との間の距離Lは、本願明細書中で、通路Uを有する端板Bの下面と回転式掻取装置により示される回転体の表面との間の内法距離を指す。
本発明による分離法のスタートアップの際に、流れST*の供給の間で時点tsまでにそれぞれの時点で液圧式洗浄塔のフィルター管のフィルターFを通って流れる全廃液流量SM*を縦座標として、横座標としての時間に対してプロットした場合、t=0(流れST*の供給の開始)からt=tsの時点までの時間範囲内でこの場合に生じる曲線の下の面積をtsで除した値が、本願明細書中で用いられる流れST*の供給の間で時点tsまでにそれぞれの時点でフィルター管のフィルターFを通って流れる全廃液流量SM*の算術平均値となる。これを全てのフィルターFの全面積で除したものが、フィルターFの平均空塔速度となる。
出発液体ATの結晶形成温度TKBとは、本願明細書中で、該液体からその冷却の際にアクリル酸結晶の形成が生じる温度であると理解される(この場合、過飽和現象の発生の可能性については考慮しない)。また、出発液体ATの結晶形成温度TKBは、出発液体ATにおいて、出発液体ATからその冷却により生じた結晶懸濁液(アクリル酸結晶の懸濁液)から出発して、絶え間ない(理想的には、理想)混合下に熱を供給し、結晶懸濁液中に含まれるアクリル酸結晶を融解させ、最後のアクリル酸結晶がちょうど融解した瞬間の温度とも表現される(該温度は、刊行物においては部分的に、溶解温度又は晶析開始温度とも呼称される)。
本発明によれば有利に、温度TKB及びTSは本発明によるスタートアップにおいてTKB≦TS+10℃の関係を満たし、特に有利にはTKB≦TS+5℃の関係を満たす。
基本的に、出発液体ATの結晶形成温度TKBは、本発明によるスタートアップにおいて液圧式洗浄塔に供給される母液中のアクリル酸結晶の流れST*の温度を下回っていてもよい。
しかしながら通常、TKBは本発明による方法の場合TSを20℃以下だけ下回っており、大抵10℃以下だけ下回っており、しばしば5℃以下だけ下回っている。出発液体ATとして、本発明による方法のために例えば、懸濁液Sから(例えば濾過により)分離された母液、又はその製造後に再度溶融された懸濁液S、又は、冷却により懸濁液Sを生じた液体、又は懸濁液Sから予め液圧式洗浄塔中で精製分離されたアクリル酸結晶の融液(即ち純融液)又は上記の考え得る出発液体の2以上の混合物が該当する。
「ポンプ」の概念に関して、本願明細書中では液体(即ち実質的に圧縮不可能な媒体)の搬送のためのポンプを意味している。これは吸込側と吐出側とを有する。その吸込側と接続された搬送接続部によって、搬送ポンプは搬送すべき液体(ないし懸濁液)を吸込む。ポンプ内では、搬送すべき液体が高められた圧力へともたらされ、その吐出側と接続された搬送接続部により所望の搬送方向へと押し出される。応用技術的に有利には、当該搬送接続部は極めて単純な場合には導管(搬送管)であり、該導管(搬送管)を貫通して搬送を行うことができる。本発明による方法様式には、特にDE−A10228859及びDE出願番号102008054587.2に記載されている搬送ポンプ(特に該刊行物に記載されている半径流遠心ポンプ)が好適である。懸濁液Sの搬送には、特に半開放形遠心羽根車を備えた半径流遠心ポンプが好適である(DE出願番号102008054587.2を参照のこと)。それぞれのポンプの吸込側ないし吐出側への通路は、通常は相応するアーマチャーを介して開放又は遮断されることができる。特に、搬送ポンプP2は応用技術的に有利には「回転数」調節搬送ポンプである。即ち、生じる搬送流の流量調整は、有利には回転数の適合により、かつ搬送接続部内の自由横断面積の適合によらずに(調節弁によらずに)行われ、それというのも、後者の場合には(例えば結晶の蓄積による)搬送接続部の閉塞のリスクが高まるためである。
さらに、分離法のスタートアップの際に、結晶床の最初の形成をプロセス室内で生じさせるために、まず、結晶融解室を含む融液循環路(結晶融液循環路)並びに未充填の洗浄塔のプロセス室に、アクリル酸含有出発液体ATが、プロセス室内での出発液体ATの充填高さが少なくともフィルターFよりも高くなるように、有利にはプロセス室の下端部から上端部までの距離Lの少なくとも中間までの高さとなるように、特に有利にはプロセス室の下端部から上端部までの距離Lの少なくとも四分の三までの高さとなるように、極めて特に有利には少なくともプロセス室の上端部までの高さとなるように、更に有利にはプロセス室を越えて分配器室へと突き出てその体積の少なくとも半分までを占めるように、極めて有利にはプロセス室を越えて分配器室へと突き出てその体積を完全に占めるように充填される場合(応用技術的に有利には、後者の場合には付加的に搬送接続部E2(場合により搬送接続部E1も)及び場合により設けられた、ポンプP3及び搬送接続部C1、C2を含む制御液体循環路に、出発液体ATが充填される)、本発明による方法様式のために有利である。
液圧式洗浄塔が、例えばEP−A1448282で推奨されておりかつ本願明細書の図2の(42)に示されているようなフラッシュ液体系を有する場合、上記の充填は本発明によれば有利にはこのフラッシュ液体系を経由して行われる。
プロセス室への出発液体ATの充填に伴い、本発明による方法の場合、フィルターFを経由してプロセス室と連絡する管の意味で、同時にフィルター管の相応する充填が行われる。WO2006/111565に記載されているように、液圧式洗浄塔内での分離法の定常運転の間に、フィルター管内部のフィルターFでの圧力は、プロセス室側のフィルターFでの圧力よりも低い値に保持される。
このことは、液圧式洗浄塔の室に完全に凝縮相が充填されており、それに引き続き結晶懸濁液Sの流れST*並びに場合により制御液体流SL*の供給が続行されると同時に、本発明によるスタートアップにも同様に該当する(この時点までに、液圧式洗浄塔内に存在する気相は排除され、かつ洗浄塔頂部に存在する弁を経由して放出され(この弁は、これに関連して取り付けられた発振器の振動周波数がその周囲の気相を反映するまで開放される(ここで、凝縮相が、圧力Pvの検出を行う分配器室内の場所に達するまで、差圧PD=Pk−Pvは初めのうちは増加し続け;これに引き続き差圧PDは実質的に差し当たり一定のままとなる)))。
本願出願人による液圧式洗浄塔のスタートアップの際のプロセスの詳細な分析によれば、引き続き液圧式洗浄塔内では恐らく以下の事象が生じているものと考えられる。
上記の圧力差により課された、まず上方から下方へ、次いでこれに重なって横にフィルターFを貫通してフィルター管へと入る液圧式洗浄塔のプロセス室内での液体の流れは、持続的な流れST*並びに場合により制御液体流SL*の供給に際し、まずそれぞれのフィルターFの局所周囲においてアクリル酸結晶の沈積をもたらす。その貫流の際に生じる高められた局所的圧力損失からこの沈積物の圧密化が生じ、フィルターFの周囲で雪玉状のフィルターケーキとなる。このフィルターケーキは、さらなる過程で幅も長さも(特に高さが)成長し始める。
フィルターケーキ(結晶からの圧密化された床)が初めて連続形でプロセス室の横断面全体にわたって広がると、差圧PD=Pk−Pvは突如低下し始める(以前にはまだ存在しており、液体が実質的に言及に値する圧力損失なしに通り抜けられる(比較的大きな流れ横断面を有する)流路(該流路を通じて結晶融解室と分配器室とがいわば妨害なしに互いに連絡可能であった)は、今や簡略化により排除されている)。これに達する時点が時点tsである。
比Q=L/Dの本発明により該当する範囲において、結晶床がすでに少なくともいくつかの通路U内へと成長しているかもしくはこれを貫通して成長していることなしに、上記の結晶床の連続性を達成することは不可能であることは明らかである。分離法のスタートアップの更なる過程で、定常運転状態への移行の際に「連続」結晶床の輸送が開始されると、個々の通路U内にフィルターケーキが残留している(はまり込んでいる)ことがある。この事象に関する可能性は、スタートアップの際に全フィルター面積当たりに流出する全廃液流量SM*(該流量はフィルターケーキにおける圧密化の程度の決定に重大に関与する)が高くなるにつれて明らかに高くなる。しかしながら、フィルターケーキが個々の通路U内に残留すると、分離法の実施のさらなる過程で、該通路Uから今度は分配器室内へと成長して延びたフィルターケーキからなる雪玉状物が生じる。
このことは、分離法の保持に必要な懸濁液Sの搬送圧力の並はずれた上昇、及び結果的に、保護作用を有する破裂板の破裂をもたらす。
それに応じて、本発明によるスタートアップにおいて、懸濁液Sの流れST*及び場合により制御液体流SL*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の、少なくとも50%の間に、有利に少なくとも75%の間に、又は90%の間に、特に有利に全期間にわたって、それぞれの時点でフィルター管のフィルターFを通って流れる全廃液流量SM*を全てのフィルターFの全面積で除したもの(この全面積とは、本願明細書中では、液圧式洗浄塔のプロセス室内に存在するフィルター管の全てのフィルターFの面積の合計である。)が80m3/(m2・h)以下であり、有利に75m3/(m2・h)以下であり、特に有利には70m3/(m2・h)以下ないし60m3/(m2・h)以下である場合に、本発明による方法に有利である。有利に、上記のそれぞれの時点でフィルター管のフィルターFを通って流れる全廃液流量SM*(これは、それぞれのフィルター管に排出された全ての廃液流量の合計であり、その際、液圧式洗浄塔のプロセス室内に存在する全てのフィルター管について合算したものである。)を全てのフィルターFの全面積で除した値は、懸濁液Sの流れST*及び場合により制御液体流SL*の供給から時点tsに達するまでの期間の、少なくとも50%の間に、有利に少なくとも75%の間に、極めて特に有利に全期間にわたって、>0〜80m3/(m2・h)の範囲内、有利に5〜75m3/(m2・h)の範囲内、特に有利に15〜65m3/(m2・h)の範囲内、極めて特に有利に20〜50m3/(m2・h)の範囲内である。本発明によるスタートアップにおいて、(懸濁液Sの供給から)時点tsまでに実質的に一定のフィルター空塔速度を用いることが応用技術的に有利である。
応用技術的に有利に、本発明によるスタートアップにおいて(懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして)時点tsまでに、洗浄塔のプロセス室に供給された液体(懸濁液Sの流れST*の成分としての母液及び場合により制御液体流SL*の形の制御液体)の全流量の算術平均値Mを、プロセス室の自由横断面積(=π(D/2)2から、例えばフィルター管の横断面積並びに場合によりプロセス室内にはめ込まれた中央ディスプレーサー体の横断面積を減じたもの)で除した値は、0>〜30m3/(m2・h)の範囲内、有利に1〜25m3/(m2・h)の範囲内、特に有利に5〜25m3/(m2・h)ないし10〜20m3/(m2・h)の範囲内で変動する。
本発明による分離法のスタートアップにおいて、懸濁液Sの流れST*の供給の間に時点tsまでに洗浄塔のプロセス室にそれぞれの時点で供給される液体の全流量を縦座標として、横座標としての時間に対してプロットした場合、t=0(流れST*の供給の開始)からt=tsの時点までの時間範囲内でこの場合に生じる曲線の下の面積をtsで除した値が、上記の算術平均値Mとなる。
本発明によれば、本発明によるスタートアップにおいて、懸濁液Sの流れST*及び場合により制御液体流SL*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の、少なくとも50%の間に、有利に少なくとも75%の間に、特に有利に全期間にわたって、それぞれの時点で洗浄塔のプロセス室に供給された液体の全流量をプロセス室の横断面積で除した値が、>0〜30m3/(m2・h)、有利に1〜25m3/(m2・h)、特に有利に5〜25m3/(m2・h)ないし10〜20m3/(m2・h)である場合に有利である。
本発明によるスタートアップにおいて、液圧式洗浄塔の分配器室を経由してそのプロセス室に供給された母液中のアクリル酸結晶の懸濁液Sは、しばしば≧60質量%又は≧70質量%又は≧80質量%又は≧90質量%又は≧95質量%である(当然のことながら該懸濁液Sは<100質量%であり、多くの場合≦98質量%である)。
本発明によるスタートアップ方法は、本発明によるスタートアップにおいて液圧式洗浄塔の分配器室に供給された結晶懸濁液Sの結晶化度が≧0.10又は≧0.20又は≧0.25である場合に特に有意義である。通常、上記結晶化度は本発明によるスタートアップにおいて≦0.60、しばしば≦0.50、部分的に≦0.40である。従って、本発明により有意義な懸濁液Sの結晶化度はまた、例えば0.2〜0.3の範囲内である。
本願明細書中の全ての記述は、さらに特に、結晶の最長径(結晶表面上に存在する2点を直接結んだ直線状の最長部)が主に(全結晶の半分の数よりも多い)50〜1600μmないし200〜900μmである場合に該当する。
しかしながら該記述は特に、アクリル酸結晶が立方体状ないし直方体状の外観形状を有しており、ここで長さ対厚さの比が1:1〜6:1の範囲内、有利には1:1〜4:1の範囲内、特に有利には1.5:1〜3.5:1の範囲内を示す場合に該当する。結晶の厚さはこの場合通常20〜600μmの範囲内、しばしば50〜300μmの範囲内である。同時に、結晶の長さは通常50〜1500μmの範囲内、しばしば200〜800μmである。
本発明による方法に使用可能な液圧式洗浄塔の材料特性に関して、本発明によればWO03/041832の教示に従うのが有利である。即ち、壁材料として有利にDIN材料No.1.4571又は1.4539又は1.4462又は1.4541が使用される。
さらに、液圧式洗浄塔は、相応する融液循環路を含め、有利にUS−A2009/018347に記載されている通りに断熱されている。
掻取装置に堅固に連結されている駆動シャフトの配置は、本発明によれば有利にDE特許出願第102009000987.6号の教示に従う。
回転式掻取装置として、本発明による方法のために、例えばEP−A1448282及びDE出願番号102009000987.6に記載されているような、(掻き取られた結晶のための)通路オリフィスを有する回転式ナイフ付円盤が該当する。掻取装置の回転は、連続的に行われてもよいし時間的に周期的に行われてもよい。
通路オリフィスを有する回転式ナイフ付円盤の代わりに、回転式掻取装置は、単独の(場合によりシャフトに組み込まれた(シャフトにより保持された))回転式掻取ナイフであってもよい。この場合、回転式掻取ナイフによって掻き取られた結晶流は、該ナイフの脇を通過して結晶融解室に流入する。回転式ナイフ付円盤の場合と回転式単独ナイフの場合のどちらの場合にも、回転式掻取装置によって表される回転体は(既に言及された通り)プロセス室と結晶融解室とを互いに分けている。当然のことながら、回転式掻取装置として、円形通路オリフィスを有するナイフ付円盤と回転式単独ナイフとの間のそれぞれの遷移形が該当する。しかしながら、基本的にはナイフ付円盤の形状は任意であってよい。
結晶融解室から上昇する洗浄融液流と、掻取装置により掻き取られたアクリル酸結晶が結晶融解室へと搬送される流れとは、プロセス室と結晶融解室とを、掻取装置を貫通して、かつ/又は、掻取装置の脇を通過して連結する同じ通路を使用することができるため(結晶は上昇する洗浄融液流に対して下方へと流動することができなければならない)、掻取装置が有するオリフィス比OVが小さすぎないことが応用技術的に有利である。オリフィス比OVとは、本願明細書中で、回転していない状態の掻取装置に関して、結晶床の、その掻取装置に向いた端部での横断面積に対する、掻取装置を貫通して、かつ/又は、掻取装置の脇を通過して延びている通路の横断面積の総和の比と理解される。個々の通路の横断面積が該通路の全体にわたって一定ではない場合には、総和のためにそれぞれ該通路の最小の横断面積が用いられるべきである。通常、OVは少なくとも0.01又は少なくとも0.03ないし少なくとも0.05、しばしば少なくとも0.1、多くの場合少なくとも0.5又はそれを上回る(その上部分的に少なくとも0.9である)。通常、OVは<1、大抵≦0.95、部分的に≦0.8又は≦0.5、又はその上≦0.2である。
既に述べた通り、液圧式洗浄塔の回転式掻取装置は、本発明による方法の場合有利にナイフ付円盤として構成されている。有利にこれは円形である。プロセス室と結晶融解室とを連結している、結晶床から掻き取られた結晶のための通路として、該装置は有利にスリット(通路オリフィス)を有しており、その縁部(回転方向の反対側を向いたスリット(例えば長孔)の輪郭側)には、有利にナイフが配置されている。ナイフを備えたスリットは有利に、ナイフ付円盤が回転している時に該ナイフ付円盤に向いた結晶床の端部全体にわたって結晶が掻き取られるように、該ナイフ付円盤にわたって分配されている。有利に、スリットは半径方向に配列しており、各スリットには斜傾刃(傾斜ナイフ)が備えられており、該傾斜刃により結晶が結晶床から掻き取られる。さらに、ナイフ付円盤にわたるスリットの分配は有利に、ナイフ付円盤の回転の際に実質的に同じ質量流量の結晶が各スリットを通って流れるように構成されている。それぞれのナイフ(それぞれの刃)は、有利には結晶床に向いた表面から突き出ており(この場合、場合により存在するそのプロファイルは考慮せず、即ち、関連する点はプロファイルの最も高い点である。)(典型的には1〜15mm、しばしば2〜10mm又は3〜5mm)、そのようにして刃によって結晶が掻き取られ、スリットオリフィスへと供給される。
本発明により好適なナイフ付円盤の半径は、大工業的な方法に関しては例えば300〜3000mmであってよい。上記スリットはしばしば長孔の形状を有している(長孔の定義は、例えばDE−A102007028333及びDE−A102007028332に記載されている)。しかしながら、スリット形状は矩形であってもよいし、長孔の形状と矩形の形状の間であってもよい。
孔直径(長孔の2つの縦縁部の距離)は例えば20〜100mm(典型的には50〜70mm)であってよく、2つの孔中心の距離は100〜500mmであってよい。結晶床に向いたナイフ付円盤の表面には、応用技術的に有利にさらに同心溝からなるプロファイルが備えられており(溝横断面は有利に三角形であり;溝深さは例えば2〜10mm又は3〜7mmであってよく、溝幅は10〜15mmであり、かつ半径方向に連続している溝の距離は、付随する三角形横断面が共通の頂点を有するように測られている)。プロファイルは、プロセス室の横断面にわたる、洗浄融液室からプロセス室へと返流する洗浄融液の可能な限り均一な分配を保証する。EP−A1448282の図5及び8には、本発明により掻取装置として好適なナイフ付円盤の例示的な態様が示されている。掻取装置の掻取エレメント(例えば掻き取り刃ないし掻取りナイフ)の面と駆動シャフトの回転軸とがなす角γは、本発明による方法の場合しばしば20゜〜70゜、しばしば30゜〜60゜である。駆動シャフトは、本発明による方法の場合、下方から延びて、応用技術的に有利にはナイフ付円盤まで(ないし一般には掻取装置まで)突き出ている。応用技術的に有利に、ナイフ付円盤は、駆動シャフトから半径方向に延びる、オリフィスを備えたラメラ(エレメント)によって担持(支持)されている(44)。
典型的な結晶の質量供給流量は、プロセス室のその供給端部での横断面積に関して、本発明による方法の場合1〜20t/m2・h(t=メトリックトン)である。掻取装置の駆動シャフトの回転数は、典型的には毎分2〜40、しばしば4〜20、頻繁に6〜15又は4〜10である。掻取装置の駆動シャフトの長さは、特に大工業的方法に関して0.5〜4mである。
結晶融液循環路は、本発明による方法のための液圧式洗浄塔の場合、応用技術的に有利に、結晶融解室単独よりも本質的に大きい結晶融液の貯蔵器を保持し得る状態にある(結晶融液循環路の全体積に対して、通常30〜60体積%又は40〜50体積%のみが結晶融解室の体積に割り当てられており;それとは無関係に、定常運転状態で、融液循環路内で循環している質量流量と、回転式掻取装置により結晶床の下端部から掻き取られて結晶融解室へと搬送される結晶流量との比は、応用技術的に有利には一般に2〜30:1、有利には5〜20:1である)。
即ち、結晶融液循環路は通常、低含分の、掻き取られたもののまだ融解されていないアクリル酸結晶を有しており、これは、一方ではその搬送を促進する。他方では、融液循環路の内容物の液体分の絶対熱容量は、融液循環路の固体分の絶対熱容量よりも本質的に高い(ここで、相転移熱は考慮しない)。
結晶融解室に供給された結晶流は、その中で循環している結晶融液中に懸濁され、この懸濁液は次いで融液循環路内で伝熱装置(融解装置)Wを経由し、この伝熱装置Wは、間接的(これは有利である)か、又は直接的な経路で、結晶の融解に必要な熱を融液循環路へ導入する。上記の絶対熱容量の状態に基づき、目的とする結晶融解の達成に必要な融液循環路への熱導入によって生じる温度上昇は比較的わずかであり、このことは、不所望なラジカル重合傾向が顕著であるアクリル酸にとって、これに付随する比較的わずかな熱負荷のために有利である。
理想的には、結晶融解室内に存在する結晶融液は、分離法の定常運転において、掻き取られた結晶の、その融液に関する融点(ないし結晶形成温度)を有する(理想的には14℃)。通常、結晶融液循環路内で伝熱装置Wの向こう側では、該温度を10℃以下だけ、より良好には5℃以下だけ、有利には3ないし2℃以下だけ、特に有利には1℃以下だけ上回っている。
有利に、本発明による方法の場合、搬送接続部G1は伝熱装置Wを経由する。
応用技術的に有利に、伝熱装置Wとして管束式伝熱装置が使用される。これは間接的な伝熱装置である。即ち伝熱は、流体伝熱媒体と熱導入を必要とする流体混合物との、混合により強制的に得られた直接接触で行われるのではなく、隔壁により隔てられた流体間で間接的に行われる。
このような管束式伝熱装置は、通常は密閉型の幅広のジャケット管からなり、該管は、互いに向かい合う管板に固定された、多数の、通常は平滑な又はリブ付の、内径の小さな伝達管を含む。
管中央部から管束の管中央部までの距離は、応用技術的に有利には管外径の1.3〜2.5倍である。生じる高い熱交換面積は − 単位所要空間当たりの交換面積として − 本発明による方法のための伝熱装置Wとしての管束式伝熱装置の公知の優先形の一つである。基本的に、該管束式伝熱装置は本発明による方法の場合、垂直又は水平に配置されていてよい。本発明によれば有利に、該装置は水平に配置されている。
本発明によれば有利に、融液循環路の内容物は伝達管内部を流れる。流体伝熱媒体(本発明によれば有利に水とグリコールからの混合物(例えばグリコール10〜60質量%;有利に水70質量%とグリコール30質量%、ないし水65質量%とグリコール35質量%とからなる混合物であり;その温度は有利に25〜40℃である))は、本発明によれば有利に伝達管の外側を流れる。本発明によれば、ジャケット空間内での流体伝熱媒体のより良好な案内のためのガイドプレートが有利であり、かつ通常は伝達管の支持という付加的な目的に役立つ。ガイドプレートは、通常はジャケット空間内での流動速度、ひいてはとりわけ熱伝達率を高める。伝達管に関するジャケット空間流体の流動方向によって、例えば縦方向流型及び直交流型並びに横方向流型の管束式伝熱装置に区別することができる。基本的に、流体伝熱媒体は蛇行状に伝達管の周囲を移動してもよいし、単に管束式伝熱装置全体で見て熱を吸収する流体混合物に対して並流又は向流で案内されてもよい。
単流型管束式伝熱装置内では、融液循環路の物質流は同じ(一)方向で全ての伝達管を通って移動する。
多流型管束式伝熱装置は、個々の区間に分割された管束を含む(通常、個々の区間は同じ数の管を含む)。仕切板は、管板(該管板により伝達管は密閉されて延びており、該管板に該伝達管が固定されている)に隣接するチャンバを部分に分け、ある区間からチャンバ部分に入る(伝達された熱を吸収する)物質流を第二の区間へと偏向させ、かつそれに伴って戻す。熱を吸収する物質流は、区間の数に応じて、管束式伝熱装置の縦を複数回(2回、3回、4回等)比較的高速で交互方向で(二流型、三流型、四流型等の管束式伝熱装置)貫通する。熱伝達率及び交換距離は相応して増加する。
管束式伝熱装置の代わりに、本発明による方法のために伝熱装置Wとしてプレート式伝熱装置(プレート式熱交換器)を使用することもできる。プレート式伝熱装置は通常、フィルタープレスの様式により、一般に波形であるか又は他には異形成形加工され、流体伝熱媒体及び伝達された熱を吸収する流体混合物のための流路が設けられた(通常はグラファイト又は金属、例えばステンレス鋼からなる)プレートから、コンパクトな構造様式で構成されている。2つの熱交換流体は、並流、向流及び/又は横流で、薄層として交互に(例えば上方及び下方へ)そのチャンバ列を通過し、2つのチャンバ壁上で互いに熱を伝達する。波形のプレートプロファイルは乱流を高め、かつ熱伝達率を高める。本発明による目的のために使用可能なプレート式熱交換器は、例えばEP−A1079194、US6,382,313、EP−A1232004及びWO01/32301に記載されている。当然のことながら、伝熱装置Wとして螺旋管型伝熱装置又はその他の伝熱装置を使用することもできる。
有利に本発明による方法のために、伝熱装置Wとして三流型管束式伝熱装置が使用され、その管を通って融液循環路の物質混合物が強制搬送される。
ここで、管の肉厚が2mmである場合、管外径は25mmであってよい。管の長さが3000mmである場合、その全数は応用技術的に有利に121ないし225である(それぞれ流れ方向に関する管全数の約三分の一)。管ピッチは同時に有利に32mm(60゜ピッチ)である。管板(該管板に交換管が固定されている)間に取り付けられた9ないし20の偏向円板(円板厚:それぞれ5mm)により、伝熱管を包囲する円筒状の空間(一次空間)は10ないし21の縦部分(セグメント)に分けられる。全ての偏向円板は原則的に円形である。円直径は584ないし492mmである。しかしながら、円形の各偏向円板上で、半径方向の深さが周縁から内側に向かって82ないし94mmである円形部分が切り取られており、それによって伝熱媒体としてのグリコール−水−混合物のための相応する通路が生じ、その際、この通路は連続して交互に互いに向かい合って取り付けられている(その他の点では、偏向板が容器壁に封止固定されており;伝熱管が偏向板と交わる場所には、相応する孔が偏向板内に存在する)。伝熱媒体の入口と熱を吸収する物質混合物の入口とは、応用技術的に有利には伝熱装置の同じ側に存在してよい。供給された伝熱装置の質量流量は、同時に供給された融液循環路物質流量が50000〜200000kg/hである場合に、典型的には20000〜80000kg/hである。図2のような配置において、ポンプP1の吸込側(融液循環路の、伝熱装置Wからの出口の直後)での作業圧(静水圧効果を考慮しない)は、本発明による方法の場合、結晶融解室(C)内の圧力を下回っており、しばしば0.1〜4バールである。ポンプP1の吐出側(融液循環路の、ポンプP1からの出口の直後)での作業圧は、図2による配置において、本発明による方法の場合しばしば1〜10バールである。
管束式伝熱装置の仕上げ材は、有利には、管側方部ではDIN タイプ1.4571又は1.4541又は1.4306のステンレス鋼であり、ジャケット側方部では例えばDIN タイプ1.0425の炭素鋼又は例えばDIN タイプ1.4541又は1.4571又は1.4306のステンレス鋼である。
本発明による方法のためのアクリル酸結晶の懸濁液Sの製造は、本発明によれば有利にはDE−A102007043748及びDE−A102007043758に記載されているように、間接式伝熱装置における冷却懸濁晶析により行われる。
伝熱装置から、該装置内で生じた母液中のアクリル酸結晶の懸濁液は、応用技術的に有利には、DE−A102007043759に記載されているように、まず混合されたバッファ槽PTへと案内される。この(源QSとしての)バッファ容器から、結晶懸濁液は搬送ポンプP2により懸濁液Sとして(バッファ槽PTと搬送ポンプP2の吸込側とを接続する搬送接続部E1を経由して)吸い込まれることができる。
通常、本発明による方法の場合、液圧式洗浄塔の分配器室に供給されたアクリル酸結晶の懸濁液Sの温度は、−25℃〜+14℃の温度範囲内、しばしば−5℃〜+12℃の範囲内、有利には+4ないし+6℃〜9℃の範囲内である。
懸濁液S中に含まれる母液中のアクリル酸含分は、通常なおも≧70質量%である。しかしながら該含分は、≧80質量%又は≧85質量%又は≧87質量%又は≧90質量%又は≧92質量%又は≧94質量%又は≧95質量%又は≧96質量%又は≧97質量%又は≧98質量%又は≧99質量%であってもよい。
本発明による方法において、懸濁液Sの流れST*を、源QSとしてのバッファ槽PTから液圧式洗浄塔の分配器室へと供給し始める前にすでに、搬送ポンプP2を作動させ、かつ、搬送ポンプP2の吸込側とバッファ槽PTとを接続する搬送接続部E1を経由して懸濁液Sを吸い込むことが本発明によれば有利である。次いで、吸い込まれた懸濁液Sは、搬送ポンプP2から、搬送ポンプP2の吐出側から液圧式洗浄塔の分配器室へと延びる搬送接続部E2へと押し出される。しかしながら、搬送ポンプP2の吐出側から液圧式洗浄塔の分配器室の入口(入口ソケット)への経路の流れ方向で、搬送接続部E2における分配器室への入口前には、本発明によれば有利に、搬送接続部E2をまず遮断する第一のアーマチャーが取り付けられている。
さらに、搬送ポンプP2の吐出側と第二の搬送接続部E2の第一のアーマチャーとの間で、本発明によれば有利に、バッファ槽PTへと戻る搬送接続部E3(図2における(55))が分岐しており、そのバッファ槽PTとの接続は、該搬送接続部E3に本発明により有利に組み込まれた第二のアーマチャーにより遮断されることができるが、しかしながらまずは開放保持される。それにより、懸濁液Sはすでに作動している搬送ポンプP2により容易にバッファ槽PTを経由して搬送接続部E1、E2及びE3を通って循環する。液圧式洗浄塔の分配器室に本発明によるスタートアップの範囲内で懸濁液Sの流れST*が供給されるべき時点から、第二のアーマチャーはバッファ槽PTへの搬送接続部E3を遮断し、同時に第一のアーマチャーは液圧式洗浄塔の分配器室への搬送接続部E2を開放する(そのようなアーマチャーとして、例えば弁、フラップ又は浮玉弁を遮断及び開放のために使用することができる)。バッファ槽PT内での混合に加え、結晶懸濁液Sの搬送も、本発明による方法の場合有利に、懸濁された結晶の破砕及び/又はその他の形状変化が可能な限り生じないように行われる。このことは、特に上記の結晶懸濁液Sの循環について該当する。
本発明によるスタートアップの際に、懸濁液Sの流れST*を、分配器室を経由しかつ通路Uを貫通して液圧式洗浄塔のプロセス室へと供給する前に、結晶融解室を含む融液循環路に加えて、プロセス室及び分配器室並びに搬送導管E2(及び場合によりE1)、C1、C2及び搬送ポンプP3に、完全にアクリル酸含有出発液体ATが充填され、かつ、分配器室への懸濁液Sの流れST*の供給と共に、この供給に随伴して同時に制御液体流も分配器室及び/又は直接プロセス室に案内される場合には、分配器室への懸濁液Sの流れST*の供給を開始する前にすでに、搬送ポンプP3を作動させ、かつ出発液体ATの流れを、分配器室、プロセス室、フィルター管内部、搬送接続部C1、搬送ポンプP3及び搬送接続部C2から形成される循環路を経由して循環させることが応用技術的に有利である。
本発明によるスタートアップ方法の際に制御液体SL*を併用する場合、これはフィルター管を経由して洗浄塔から導出された全廃液流SM*の返送された部分流である。通常、上記の廃液部分流の返送は、本質的に廃液流SM*が洗浄塔から導出される温度と同じ温度で行われる。通常、該温度は、母液中のアクリル酸結晶の懸濁液Sが液圧式洗浄塔の分配器室に供給される温度に相当する。当然のことながら、制御流体SL*としての上記の廃液部分流の返送を、例えば直接式及び/又は間接式熱交換器を経由して行うこともでき、該熱交換器によって、制御液体SL*として返送された廃液部分流の温度が高められる。しかしながら応用技術的に有利に、制御流体SL*の温度は、液圧式洗浄塔の分配器室に案内された懸濁液Sの流れST*の温度を15℃以下だけ、有利に10℃以下だけ、特に有利に5℃以下だけ上回る。上記のことは相応して、液圧式洗浄塔における分離法の定常運転にも当てはまる。
併用された制御液体流は、本発明によるスタートアップの際のみならず定常運転においても、液圧損失の影響、ひいては結晶、結晶床に対して生じる作用力(例えば連続結晶床に対して作用する推進力)の影響を目的としている。これに関連して、母液中のアクリル酸結晶の懸濁液Sの供給に伴って供給された母液流が満足のいくものでないか、又は該流が供給期間の間に時間の経過と共にある程度変動する場合には、これを制御液体流により補うことができる(制御液体流の作用機序の詳細な説明は、WO2006/111565に記載されている)。液圧式洗浄塔のプロセス室への制御液体流の供給は、分配器室を経由して通路Uを貫通して行うこともでき、また直接的な経路でプロセス室へと行うこともできる。ここで基本的に、制御液体は結晶床の種々の高さでプロセス室に案内されてよい。しかしながら通常は、制御液体の供給は常にフィルターFの上方で行われる。
液圧式洗浄塔の定常運転における増成フロントないし濾過フロントの位置は、特に洗浄塔内での結晶床の推進速度により影響を受けるため、増成フロントの位置は、障害が生じた場合には制御液体流の適合により安定的に維持(「制御」)される(WO2006/111565を参照のこと)。制御液体流の流量の増加(減少)によって、通常、下方(上方)への増成フロントのずれが生じる。あるいは、供給される懸濁液流ST*の流量を変化させねばならない。WO2006/111565に記載されている理由から、液圧式洗浄塔内の増成フロントの位置は高過ぎても低過ぎても望ましくない。定常運転において、結晶の掻き取り部から始まってフィルターFの開始部にまで延びる結晶床の部分は、洗浄帯域とも呼称される。その上方に存在する、増成フロントまで延びる結晶床の部分は、濃縮帯域とも呼称される。これに、プロセス室の上端部まで、いわゆる懸濁液帯域が引き続く。通常は、液圧式洗浄塔のフィルター管は洗浄帯域へと突き出ているが、しかしながら洗浄塔のこの範囲内はもはや中空ではない(例えば、WO01/77056、WO03/41833及びWO03/41832を参照のこと)。このフィルター管の部分はフィルター管ディスプレーサーとも呼称される。
制御液体流の流量の調節は、例えば搬送ポンプP3の回転数の適合により、かつ/又は付加的な調節弁により行うことができる。
基本的に、液圧式洗浄塔の分配器室への懸濁液Sの供給と制御液体流の供給とは、空間的に別個に行うことができる。しかし当然のことながら、懸濁液Sの供給流と分配器室に供給される制御液体流とを、すでに分配器室の外側で一緒にして互いに混合し、ここで生じる混合物流を(いわゆる統合された搬送接続部E2/C2を経由して)液圧式洗浄塔の分配器室に案内することもできる。
例えば、双方の流れの混合は、搬送接続部E2とC2の双方がまずスタティックミキサーへと通じており、その後で1つの共通の搬送接続部として液圧式洗浄塔の分配器室へと延びていることにより行うことができる。
また、搬送接続部E2及びC2は液圧式洗浄塔の供給室前で同軸搬送管(導管)として仕上げられていてもよい。この場合、懸濁液Sは応用技術的に有利には内側の搬送接続部内(内側の導管内)で案内され、制御液体は外側の搬送接続部内(外側の導管内)で案内される。内側で延びている管は、液圧式洗浄塔の分配器室への入口前の例えば0.5〜20mの混合区間で終了し、2つの管のうち外側の管のみが共通の搬送接続部E2、C2として分配器室へとさらに延びている。本発明によれば有利に、内側で延びている管はその出口に向かって先細状となっている(通常は、例えば内径約80mmから内径約50mmへの円錐形である)。このようにして、内側で終了する導管は、推進ジェットとしての懸濁液Sを伴う推進ノズルとして(DE−A102006045089の第3/4頁を参照のこと)機能する。そのようなものとして、該導管は流れ方向で内側の導管の端部の直後で外側から流れる制御流体を吸い込み、これと混合して混合流とし、該混合流自体が分配器室へ流入する。外側導管の内径は、内側導管の寸法が上記の通りである場合に、例えば150mmであってよい。ここで、外側導管の壁部の内側から内側導管の外壁への距離は、例えば40〜50mm(例えば46mm)であってよい。ここで、外側で案内される制御液体流の流量は5〜80m3/hであってよく、内側で案内される懸濁液流の流量は10〜50m3/hであってよい。
圧力Pk及びPvの測定は、例えばWO2006/111565の圧力測定の通りに行うことができる。応用技術的に有利に、この目的のために、液圧式洗浄塔の外側に取り付けられている膜式マノメーターが使用される。小さい開放ドリル孔(典型的なドリル孔径は0.1〜3mmである)の終わりが、膜式マノメーターへ通じるソケットに続いており、この開放ドリル孔を介して、該計測変換器が塔内部に接続している(ここで原則的に、DE−A10211290及びWO2006/111565における記載と同様の措置がとられる)。上記のドリル孔及びソケットが晶析により閉塞されるのを防ぐために、上記のドリル孔及びソケット並びにマノメーターは本発明により有利にわずかな熱流で随伴加熱される(これに関連して、通常は例えばWO03/041832及びUS−A2009/018347に記載されているように、液圧式洗浄塔を加熱された構造物内に収容することで十分である)。当然のことながら、差圧PDを、WO2006/111565に同様に記載されているように差圧測定により直接検出することもできる。本発明によれば有利に、マノメーターM1及びM2(図1及び図2を参照のこと)として、供給会社Rosemount社製の測定範囲0〜10バールのタイプ2088GSの膜式センサーが使用される。差圧マノメーターM3(図2を参照のこと)として、本発明による方法のために有利に、供給会社Rosemount社製の測定範囲0〜500ミリバールのタイプ3051CDの差圧膜式センサーが使用される。
有利に、それぞれのドリル孔は液圧式洗浄塔のそれぞれの室の内側で面一の状態で終わっている。そのような開放ドリル孔の直径は、塔内部から見て、応用技術的に有利に≦5mm、しばしば≦3mmでかつ通常は≧0.1mmである。壁部を貫通して、応用技術的に有利には、塔内部に向かって連続的又は段階的に先細状であるドリル孔径を適用することができる。
本発明によるスタートアップの範囲内で時点tsに達するまでに、熱交換器W、搬送ポンプP1(少なくとも懸濁液流ST*の供給開始から)及び回転式掻取装置は、本発明によれば有利に運転を停止しており、出口Aの排出口は有利に閉鎖されている。
しかしながら基本的に、上記エレメントは限定的な範囲内ですでに作動していてもよい。出口Aの排出口が時点tsの以前に限定的な範囲内ですでに開放されている場合、これは本発明による充填の過程で流れST*並びに場合によりSL*の流量に相応して考慮されねばならない。さらに、掻取装置の回転運動は強すぎてはならず、それというのも、このことは結晶床がまとまるプロセス並びにそのさらなる増成に対してマイナスに作用するためである。懸濁液Sを充填する際にすでに融液循環路内に達しているアクリル酸結晶を融解させるために、熱交換器Wの加熱出力は時点tsの以前にすでに0でなくてよい。しかしながら該加熱出力は、時点tsの以前には、応用技術的に有利に、分離法の定常運転において適用される加熱出力の50%以下であることが望ましい(例えば、時点tsの以前の熱交換器Wの加熱出力は、分離法の定常運転において適用される加熱出力の10%ないし20%であってよい)。ここで、加熱出力とは、融液循環路に放出された熱流と理解される。該加熱出力は、伝熱装置の温度を相応して変化させ(これは、すでに説明された通り通常は25〜40℃の範囲内で変動する)かつ/又はその流量を変化させることによって、要求通りに適合させることができる。
本発明によるスタートアップの際に時点tsに達すると、(すでに述べた通り有利にはまず掻取装置を回転させず、かつ融液循環路を作動させずに)分配器室への懸濁液Sの流れST*の供給並びに場合により併用される制御液体流SL*の供給が中断される。これに引き続き、融液循環路及び掻取装置の回転が作動され、その際、その個々のエレメントのスタートアップの順序は本質的に任意である。しかしながら有利に、この順序は以下に記載する通りである。
本発明によれば有利に、まず熱交換器Wの加熱出力が(作動している搬送ポンプP1に関して)定常運転におけるその加熱出力の約50〜80%に調節される。その後、搬送ポンプP1が作動され、次いで掻取装置の回転が作動される(双方とも定常状態におけるその運転値に調節される)。
掻取装置の回転が作動された時点から、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室への懸濁液Sの供給が再度開始される。場合により併用される制御液体流に関しても同様のことが当てはまる。ここで、スタートアップの順序は重要でない。
ここで、流量は、結晶床及びその水準(増成フロント)が下方へ移動し始めるように選択される。ここで、これに関連して必要な懸濁液流及び場合により制御液体流の流量は、本発明によるスタートアップにおいて、時点tsまでに適用されていた流量よりも必ずしも大きくなくてもよい(本発明によれば有利に、時点tsまでに経時的に、実質的に一定の流れ及び流量が適用される)。それどころか場合によっては基本的に、結晶床のみならずその水準(その増成フロント)もが下方へ移動し始めるようにするために、それ以外の流量は同じままで、時点ts以前よりも低い流量でも十分な場合がある。このことは、本発明によるスタートアップにおいて、時点tsまでに、形成される結晶床の圧密化の増大が生じることに由来する。
この結果として、廃液流の流量を保持した場合にも運転時間にわたる液圧損失の増大が生じ、この液圧損失は、時点tsを過ぎた後の再スタートアップの際に、結晶床及びその水準を移動させるのに十分な場合がある。
しかしながら、それほど有利でない場合には、結晶床及びその水準(増成フロント)を移動させるために、全てのフィルターFの全面積の単位に対して250m3/(m2・h)まで、又は320m3/(m2・h)までの廃液流が必要なこともある。より高い値は、通常は不要である。
特に有利な場合には、結晶床及びその水準を移動させるために、相応して関連づけられた、わずか40m3/(m2・h)の廃液流でもすでに十分なことがある。プロセス室内での結晶床の水準(「増成フロント」)は低下し始める。
この時すでに結晶床の下端部で掻取装置によりアクリル酸結晶が掻き取られて結晶融解室へ搬送され、かつ融液循環路内で融解されるため、応用技術的に有利には、融液循環路の重合阻害部(重合阻害剤及び場合により空気又はその他の酸素含有ガスの計量供給)が作動される。
当然のことながら、本発明による方法は、安全上の理由から、アクリル酸の不所望のラジカル重合を回避すべく重合阻害剤の存在下に実施することができる。
懸濁液Sの母液が、通常は重合阻害剤、例えばフェノチアジン(PTZ)及び/又はヒドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)を、その製造に用いられた懸濁晶析により生じた富化された量で有するのに対して、懸濁液S中に懸濁されたアクリル酸結晶は通常は重合阻害剤が欠乏しており、それというのも、重合阻害剤は結晶形成の際に通常は、生じる結晶内に組み込まれないためである。
融液循環路内で、このような結晶床から掻き取られた結晶が融解される場合、これは、この融解が逐一生じる場所で局所的に、生じる融液の過小阻害をもたらす。そのような過小阻害は、不所望な、放出された重合熱により自己促進するアクリル酸のラジカル重合の高められたリスクを孕んでいるため、このリスクを阻止しなければならない。
そのような阻止は、融液循環路に、流れ方向で伝熱装置Wの後で(これが搬送接続部G1に組み込まれている場合に)、但し搬送ポンプP1の吸込側の前で、純生成物中(予め精製分離されたアクリル酸結晶の融液中)の相応する阻害剤の溶液を(比較的高められた阻害剤濃度で)計量供給(搬送ポンプP1の吐出側の後での計量供給は、高められた供給圧力を要するものの、基本的には可能である)することによって比較的容易に行うことができる。
本発明によれば有利に、この阻害剤溶液を、供給場所で融液循環路が有する温度で(例えばTピースを経由して)計量供給することができる。しかしながらしばしば、阻害剤溶液は15〜35℃の範囲内の温度で計量供給される。そのように供給される阻害剤溶液の典型的な阻害剤含分は、例えばPTZ 0.1〜1.5質量%及び/又はMEHQ 0.1〜5質量%である。出口Aでの質量流量に対して、融液循環路内に計量供給される阻害剤溶液の質量流量は、通常0.1〜10%、有利には0.5〜3%である。PTZで阻害する場合、結晶融解室内及び出口Aにおけるその質量割合は、典型的には50〜500質量ppmである。MEHQで阻害する場合には、結晶融解室内でのその質量割合は、典型的には10〜500質量ppmである。特に、融液循環路をMEHQを用いて重合阻害する場合(重合阻害の様式は最優先的に、出口Aから取り出された純生成物の用途に基づいて決定され;排出された純生成物をまず第一に重合反応において使用する予定の場合には、阻害は有利に「貯蔵阻害剤MEHQ」を用いて行われ;排出された純生成物をまず第一に重合反応以外の化学プロセスのために使用する予定の場合には(特に化学プロセスが熱負荷に曝されている場合には)、有利にプロセス阻害剤PTZを用いて阻害される))、さらに分子酸素含有ガスを融液循環路内に導入(例えばノズル噴射)することにより同時阻害が行われる。そのような分子酸素含有ガスとして、特に分子酸素と不活性ガス(例えばN2、CO2、He、Ar)とからの混合物が挙げられる(有利に、該分子酸素含有ガスは水蒸気不含(予め乾燥されている)であり、かつ固体粒子不含(予め濾過されている)である)。当然のことながら、純粋な分子酸素を計量供給することもできる。本発明によれば有利に、分子酸素含有ガスとして空気が計量供給される。
本発明によれば有利に、融液循環路への分子酸素含有ガスの計量供給は、その流れ方向で搬送ポンプP1の吐出側で出口Aの後で行われる。
融液循環路への分子酸素含有ガスの計量供給を目的として、搬送ポンプP1から押し出された結晶融液流はTピースを用いて同一組成の2つの部分流に分割される。その流量の比は、有利には2つのアーマチャー(50)及び(51)を用いて調節される。予め存在しているこの分割の遮断は、今や解除されている。その後、2つの部分流のうち小さい方(これは、分割の前に存在している全流量の通常少なくとも5%、しかしながら通常は20%以下であり;他方の部分流は主部分流と呼称される)が酸素導入区間を貫流する(例えば推進ジェットとして、分子酸素含有ガス(有利に空気)を吸い込むジェットノズル(DE−A102006045089を参照のこと))。極めて単純な場合には、Tピースを経由して導入区間の初めに分子酸素含有ガスが圧力管から供給される(53)。ここで有利に、分子酸素含有ガスは、融液循環路が供給場所で有する温度を有する。しかしながら、該ガスはしばしば周囲温度(≧15℃でかつ≦35℃)を有する。
十分に長い混合区間後に、分子酸素含有ガス流を計量供給により有する部分流がガス分離器(52)を通って案内され、それにより該ガス分離器(52)内で未溶解ガスが再度分離除去される。この方法は、そのようにして未溶解ガスが方法のさらなる過程で気泡の形で結晶床の下端部の下方に蓄積し、それにより結晶融解室から結晶床へと洗浄融液が上昇し、ひいては最終的には液圧式洗浄塔の洗浄効果が低下するのを防止するという目的を追求するものである。
基本的に、そのようなガス分離器として、例えばEP−A492400にも記載されているような、公知の全てのタイプのガス分離器を使用することができる。これには、遠心分離器(例えばサイクロン分離器)並びに重力分離器が属する。後者はその単純な構造様式と同時に満足のいく分離効果に基づき、本発明によれば有利である。これに関連して、最終的にはバッフルプレートを備えた容器で十分である。ここで、上記の部分流は、極めて単純な実施態様において、そこに取り付けられたバッフルプレート上を容器中央部へと案内される。容器の上端部には、バッフル範囲内で分離された低比重のガス(54)のための出口が存在しており、容器の下方範囲には高比重の液相のための出口が存在している。
ガス分離器の後で、分子酸素が富化された部分流と主部分流とが再度まとめられて、1つの全体流となる。
重合阻害のスタートアップに引き続き、有利にまず、本発明により有利に併用される制御液体流の流量が低減され、それによって、結晶床の水準はさらに低下せずに、所望の高さに合う。その後、応用技術的に有利に、出口Aの排出口が開放される。この目的のために、出口には通常は弁又は他のアーマチャーが取り付けられている。
排出口は、結晶融解室からなおも十分な液体流が、掻取装置に向かって移動する結晶床へと上昇するような範囲でのみ開放される。
有利に、出口Aの排出口はまず、結晶融解室から上昇する液体がフィルターFまで上昇し、廃液流の成分としてフィルターFを通ってフィルター管を貫通し、プロセス室から導出されるような範囲に制限される(それほど有利ではないが、出口Aの排出口を相応して調節することによって、上昇高さが最初からフィルターFの下縁部の下方に位置するように調節することができる)。
ここで有利に、結晶融液循環路の温度調節部が作動され、伝熱装置Wの加熱出力は、伝熱装置Wの向こう側での結晶融液循環路内の温度が、その結晶融液から取り出された純結晶の結晶形成温度(14℃)を10ないし5℃以下だけ、有利に3ないし2℃以下だけ、特に有利には1℃以下だけ(但し通常は≧0.01℃)上回るように調節される(最初はこの調節はなおも手動で行うことができ、その後自動調節にゆだねられ;この自動調節は相応する熱電対又は抵抗温度計を用いて実現される)。
最終的に、応用技術的に有利に、フィルターFの下方で結晶床における洗浄フロントの所望の位置のために予定される結晶床高さの温度が、制御パラメータとして選択され、14℃と分配器室に供給された結晶懸濁液の温度との間の結晶床温度(目標温度)となるまで、出口Aの排出口が、連続的又は所定の時間間隔で次第に程度を増して開放される。例えば、制御パラメータ(目標温度)として、2つの温度の算術平均値を選択することができる(DE−A10036881及びWO02/09839を参照のこと)。この時点から、出口Aの流量を、自動的に、上記の目標温度からの、洗浄フロント位置のために予定された結晶床高さで測定された温度のずれにより調節することができる。洗浄フロントのために予定された結晶床高さで測定された温度が選択された目標温度よりも低い場合には、出口Aの流量が低減される。洗浄フロント位置のために予定された結晶床高さで測定された温度が選択された目標温度よりも高い場合には、出口Aの流量は高められる(例えば、相応する調節弁の開放により)。
例えば、WO2006/111565の教示に従って、結晶床の水準(増成フロント)を測定技術的に把握することにより本発明により有利に併用される制御液体流の流量を調節することによって、濾過フロントを比較的容易に所望の高さに保持することができる。
分離法の実施の更なる過程で、応用技術的に好適に、純生成物中の阻害剤溶液の計量供給流量は、出口Aから導出された純生成物流量との関連で自動的に調節される(分子酸素含有ガスの場合には、過剰計量供給及び後続の過剰分離が保持される)。
出口Aから導出された物質流量の試料採取及び該試料の分析により、有利に、排出された物質流がどの時点から所望の純度を有するのかが決定される。その時点から、出口流を、例えば純生成物タンク槽に案内することができる。それ以前に排出された、なおも不十分な純度を有する物質流は、例えばその再晶析の目的で、懸濁液Sの製造のための晶出プロセスへ返送することができる。また、該物質流を、例えばWO01/77056及びWO08/090190に液圧式洗浄塔内で分離される母液に関して記載されているように、懸濁晶析により懸濁液Sを生じるような物質流の生成(例えば、アクリル酸製造の際に行われるプロパン及び/又はプロピレンの不均一系接触部分気相酸化の生成物ガス混合物の分別凝縮)へと返送することもできる。
今や、分離法はその定常運転状態へと移行している。
液圧式洗浄塔内のフィルター管の数は、本発明による方法を大工業的に適用する場合には3〜200又はそれを上回ることができる。この数は、液圧式洗浄塔のプロセス室の単位横断面積当たり、典型的に10〜100/m2である。洗浄帯域の長さは、典型的にはプロセス室のジャケット壁に隣接するフィルター管から外被までの距離の0.5〜20倍、有利には1〜8倍、極めて特に有利には2〜5倍である(通常、この距離は25〜500mm、しばしば40〜250mm、多くの場合80〜200mmである)。
フィルター管の典型的な内径は、本発明による方法の場合5〜200mm、しばしば10〜100mm、多くの場合20〜80mmである。ここで、フィルター管の肉厚は常に1〜10mmである。既に説明された通り、フィルター管は応用技術的に有利に所定の高さにフィルターFを備えており、このフィルターFは通常はフィルター管の全周にわたって広がっている。フィルターエレメントFの高さはしばしば20〜200mmである。フィルターエレメントFの濾過作用をもたらすそのパーホレーションは、穿孔されていてもよいし、縦にスリット状に仕上げられていてもよい。スリット幅ないし孔径は、本発明による方法の場合有利に、50〜400μm、例えば100〜300μmである。フィルター管の外径及び内径は、本発明によれば有利に、その長さにわたって一定である。本発明によれば有利に、本発明により好適な液圧式洗浄塔のフィルター管は均一な形状を有する。フィルター管のフィルターエレメントFには、下方に向かって通常、すでに述べた通り、フィルター管ディスプレーサー(38)が続いている。このフィルター管ディスプレーサー(38)内には液体が進入できない。フィルター管ディスプレーサー(38)は円筒状、円錐状に仕上げられていてもよいし、これらの形状の組合せで仕上げられていてもよい。接続部の外径は、通常はフィルターエレメントの外径と同一である。本発明によれば有利に、フィルター管ディスプレーサーは熱伝導率の低い材料(例えばテフロン又はポリエチレン)からなる。フィルター管ディスプレーサーの長さは常に50ないし100〜500mmである。
洗浄帯域の長さは、本発明による方法の場合通常50〜500mmである。液圧式洗浄塔内の圧密化された結晶床(圧密化されたフィルターケーキ)の全高は、本発明による方法の場合典型的には300〜4000mm、しばしば400〜3000mm、多くの場合500〜2000mm又は600〜1500mmないし〜1000mmである。
液圧式洗浄塔内の駆動圧(雰囲気に対するゲージ圧として示される)は、しばしば10バールまで、頻繁に8バールまで、多くの場合1〜5バールないし0.5〜4バールである。供給された懸濁液Sの母液の流れの液圧損失は、通常≧100ミリバール〜≦5バールないし≦10バールである。液圧式洗浄塔のフィルター管の、その横断面にわたる分配に関しては、本発明によれば有利にEP−A1448282において推奨されているように行われる。フィルター管の長さ(フィルター管ディスプレーサーを考慮しない)は、プロセス室の長さLから、洗浄帯域に関する上記の長さを減じたものに相当する。
不純物により生じた凝固点降下が原因で、液圧式洗浄塔の分配器室に供給された懸濁液Sの温度は、出口Aから排出された純生成物(洗浄融液)の結晶形成温度よりも必然的に低い。従って、洗浄フロントの範囲では、冷たい懸濁液Sに由来する冷たい結晶と洗浄融液との間で温度平衡に達しており、その際、洗浄融液は部分的又は完全に再晶析する(この再晶析はさらなる精製機序を形成する)。それにより、洗浄融液の少なくとも一部が回収される。上記の洗浄融液の再晶析は洗浄フロントの安定化及び形成に寄与し、これが顕著であるほど、懸濁液Sの温度は洗浄融液の結晶形成温度をますます下回るようになる。基本的に、特に懸濁液Sの選択された結晶化度によって影響を受け得る上記の温度差は、15℃及びそれを上回ることがある。その上さらに、この温度差は4〜10℃に調節され、母液の不純物含分が少ない場合にはしばしば2〜4℃に調節される。定量的な再晶析に成功した場合(洗浄フロントはフィルターFの下縁部の下方に存在する)、結晶融液循環路からは最終的に、プロセス室に供給された結晶流の100%を純生成物として排出することができる(2つの流れ共に本質的に同じ質量流量を有しており、洗浄融液の損失はない)。懸濁液Sの温度と洗浄融液の温度との差が大きくなりすぎると、それにより圧密化された結晶床内で孔の閉塞が生じ、これは規則に従った分離法の実施にとって不利である。
洗浄フロントがフィルターFに接した位置にある場合には、これに付随して通常、上方へと上昇する洗浄融液流の非定量的な再晶析が生じる。その結果、その部分流は廃液流の成分として排出される。
本発明によるスタートアップの際に、流れST*の供給の間の時点tsまでにそれぞれの時点でフィルター管のフィルターFを通って流れる全廃液流量SM*を、全てのフィルターFの全面積で除した値の大部分が、特に小さい値(例えば<20m3/(m2・h))である場合、それに伴って、時点tsの後での結晶融液循環路のスタートアップの際に洗浄融液流が不所望にフィルターFまで上昇する可能性が高まる。そこで生じる再晶析によってフィルター開口部が場合により閉塞することがあり、EP−A1448282において推奨されているフラッシュ液体(通常のフラッシュ酸流量(例えばわずかに加熱された母液流量)を、フィルターF1つ当たり10〜1000l/h、有利に50〜200l/hである)適用することが必要となる。従って、本発明によるスタートアップの際に、フィルターFの全面積に関して基準化された廃液流量≧20m3/(m2・h)が有利である。
本発明よる方法の実施に関して、さらに、液圧式洗浄塔の横断面積を回転式掻取装置の(上方から見て)直前でわずかに(その直径に関して5〜100mmだけ)大きくすることが有利である。これによって、掻取装置の半径方向への広がりを、結晶床の半径方向への広がりよりも若干大きくなるように選択することが可能となり(しかしながら、掻取装置の半径方向への広がりは、基本的に結晶床の半径方向への広がりより小さくてもよい)、これは全結晶床横断面にわたる結晶の均一な掻き取りに有利である。回転式掻取装置により掻き取られた結晶の、結晶融解室内に存在する結晶融液中への懸濁を改善するためには、掻取装置のための駆動シャフトに、該掻取装置の下方で、結晶融解室を混合するパドルを取り付けることが有効である。この目的のために、掻取装置をシャフトに固定するのに用いられるハブと掻取装置との間に大面積的に仕上げられている補強エレメント(例えば、一般に通路オリフィスを有する補強フィン又はラメラ)、並びに結晶融解室の内壁に固定されているバッフルも役立ち得る(双方のエレメントに関してはEP−A1448282の図2を参照のこと)。
少なくとも1の端板Bの通路Uは、本発明による方法の場合、分配器室からプロセス室への懸濁液Sの供給を、プロセス室の横断面にわたって可能な限り均一に行うという目的を追求するものである。本発明によれば有利に、通路Uは端板Bにわたって均一に分配されている。有利に、通路Uは円形のオリフィスであり、該通路Uに沿って有利に一定の横断面を有する。
通路Uのオリフィスは有利に、円形に関して15〜300、有利に50〜150mmの直径に相当する横断面積を有する。
通路Uの高さ(長さ)は、本発明による方法の場合、(それぞれ分配器室からプロセス室まで測定して)1000mmまでであってよい。該高さ(長さ)は通常少なくとも50〜200mmである。該高さ(長さ)はしばしば400〜800mmである。プロセス室横断面の全面積に対する、通路Uのプロセス室に向いている全オリフィスの全面積の比は、本発明による方法の場合しばしば0.10〜0.60、多くの場合0.20〜0.40である。
通路Uを有する端板Bに対して付加的に、分配器室はEP−A1448282の推奨に従い、分配器室からプロセス室への(プロセス室の横断面にわたって見て)懸濁液Sの可能な限り均一な供給に有益な分配器補助体を含むことができる。そのような分配器補助体として、例えば分配器室内に収容された充填体が挙げられる。しかしながら、そのような分配器補助体は、分配器室の内容物を撹拌し、それにより可能な限り均質に保持する撹拌機であってもよい。他の考え得る分配器補助体は、例えばEP−A1448282の図2による分配器円錐体、又はEP−A1448282の図7によるガイドプレートである。しかしながら分配器補助体として、本願明細書の図2に示されているような(46)入れ子状の「ホッパー」も該当する。ここで、ホッパー頸部はそれぞれ分配器室の供給ソケット内へ突き出ており、ホッパー頭部は分配器室内へ突き出ている。ホッパー頭部の間隔があいた表面の間を、懸濁液Sが分配器室の横断面へと、この横断面にわたって均一に分配されて流れ込む。EP−A1448282が推奨しているように、ディスプレーサー体(43)を液圧式洗浄塔のプロセス室の中央に配置することは、結晶床形成の均質化のために同様に有利である。中央ディスプレーサー体は通常は円筒状の形状を有しており、その外径は通常はフィルター管の外径よりも大きい。しかしながら基本的には、中央に配置されたディスプレーサー体が、フィルター管のフィルターFの高さで、フィルターFが有する高さに相応する高さのフィルターを有し、かつその内部が中空に仕上げられていることもでき、それによって該ディスプレーサー体は比較的大きなフィルター管の作用を担う。この場合、該ディスプレーサー体を、本発明の利益のためにフィルター管と見なしかつ考慮することができる。従って、本発明による方法のために特に十分に好適な液圧式洗浄塔は、特に、EP−A1448282並びにDE出願番号102009000987.6の詳論に従うものである。このような液圧式洗浄塔の一実施態様を本願明細書の図2に示す。
本発明によれば有利に、図2による液圧式洗浄塔(0)において、分配器室(A)とプロセス室(B)とは端板B(32)ともう1つの端板B*(39)とによって区切られており、これら2つの端板はその側で円筒状の室の境界を定めている。これら2つの端板はオリフィスを有しており(有利に円形のドリル孔(開口部))、そのうち端板B*(39)のオリフィスと端板B(32)のオリフィスの一部(第二の部分)とは、連続的な連結ピース、通路U(26)を介して接続している(2つのオリフィスは共に通路U(26)に通じている)。通路U(26)を経由して、分離すべき懸濁液Sは洗浄塔(0)のプロセス室(B)に達する。
端板B(32)は更にオリフィスの第一の部分を有しており、該部分は端板B*(39)内に相手側ピースを有しておらず、フィルター管(6)に通じている。有利に、このオリフィスの第二の部分も円形のドリル孔(開口部)である。
このオリフィスの第一の部分は、例えばEP−A1448282の図3に示されているように、このオリフィスに通じているフィルター管(6)と同様に有利に端板B(32)の横断面にわたって均一に分配されている。
この均一な分配により、主に正三角形の境界が定められる。本発明によれば有利に、端板B(32)のオリフィスの第二の部分はこのような三角形の中心に位置する。有利に、このオリフィスの第二の部分は同様に端板B(32)の横断面にわたって均一に分配されている。本発明によれば、本質的に全ての三角形の中心が第二の部分に属するオリフィスによって占められている場合に有利である。
通路U(26)の周囲の空間は、洗浄塔から導出される(2)廃液のための捕集室(27)を形成している。
廃液捕集室(27)と懸濁液分配器室(A)との間にもう1つの空間としてフラッシュ液体供給室(40)が存在する場合、本発明による方法のために有利であり、これは仕切り板B**(41)をはめ込むことにより行うことができる。ここで、通路U(26)は本質的に封止されて仕切り板B**(41)を貫通している。さらに、仕切り板B**(41)は、フラッシュ管(42)に通じるオリフィス(有利に円形のドリル孔(開口部))を有しており、該フラッシュ管(42)は、フィルター管(6)と同様に横断面にわたって分配されており、かつ相応するフィルター管(6)内へそれぞれのフィルターエレメント(7)の下方三分の一まで突き出ている。フラッシュ管(42)の外径は本発明によれば有利に、該外径がフィルター管(6)の内径の0.3〜0.6倍に相当するように選択される。下方三分の一において、各フラッシュ管(42)の外壁には有利に心出しカムが取り付けられており、これにより相応するフィルター管(6)内でのそれぞれのフラッシュ管(42)の中心位置が保証される。
端板B**(41)内のオリフィスは有利に、選択的に開閉可能な状態である。該オリフィスが閉じている場合、室(40)に任意の熱媒体が供給されることができ、それにより、端板B*(39)上及び通路U(26)への入口での結晶の沈積物及び堆積物が融解される。端板B**(41)内のオリフィスが開いている場合、例えば、予め洗浄塔から導出され、加熱された廃液を用いることにより、フィルターエレメントF(7)上の結晶沈積物を融解させることができる。
本発明によれば有利に、アクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから液圧式洗浄塔を用いて精製分離する際に、分離法のスタートアップの際に加え、その定常運転時にも恒常的に、洗浄塔から導出された全廃液流量の、予め(14〜20ないし25℃までの範囲内の温度に)加熱された少量の部分流(液圧式洗浄塔から導出された全廃液流量に対して40%までないし25%まで、通常は少なくとも5%)が、予防的措置として全てのフラッシュ管(42)を経由して分配されて相応するフィルター管(6)へ案内され、それによりフィルターエレメントF(7)上での堆積物の形成が防止される。ここで、上記の加熱は応用技術的に有利に、部分流を、相応する搬送ポンプを用いて、熱媒体が貫通する間接式熱交換器を通して強制搬送することにより行われる(EP−A1448282の図7を参照のこと)。フィルターエレメントF(7)には通常はフィルター管ディスプレーサー(38)が接続している。洗浄塔(0)のプロセス室(B)の中央には、有利に円筒状に仕上げられた中央ディスプレーサー(43)が存在している。そのサイズ及び材料特性に関してはEP−A1448282の詳論が参照される。有利に、この中央ディスプレーサー(43)は端板B(32)に静的に固定されており(該ディスプレーサーは固定範囲内に通常は通路やオリフィスを有しない)、掻取装置(16)(例えばナイフ付円盤)を越えて約1〜20mm突き出ている。しかしながら、該ディスプレーサーはナイフ付円盤と堅固に連結され、これと一緒に回転するように仕上げられていてもよい。結晶融解室(C)内の駆動シャフト(18)から半径方向に延びる、孔オリフィスを備えたラメラ(44)ないしエレメントが、掻取装置(ナイフ付円盤)(16)を担持(支持)しているのが応用技術的に有利である。
分配器円錐体(45)と該分配器円錐体の上方に配置された互いに間隔があいたホッパー(46)の連続体とからの組合せは、分配器室A内で付加的な分配器補助体として機能する。この場合、ホッパー頸部は分配器室の供給ソケット(47)内で終わっており、ホッパー頭部は分配器円錐体を越えて突き出ている。搬送接続部E2(34)内の破裂板(48)は、安全工学的に許容不可能な過圧から防護する。ミキサー(49)内で、搬送接続部E2(34)及び搬送接続部C2(36)が統合される。この2つの搬送接続部E2、C2の統合は、応用技術的に有利に同軸で延びる導管の形で行われる。ここで、懸濁液Sは有利に2つの導管のうち内側の導管内で案内され、制御液体は外側の導管内で案内される。内側で延びている導管は供給ソケットへの入口前の混合区間で終わり、外側の導管のみが共通の搬送接続部E2、C2として分配器室へとさらに延びている。内側で延びている導管はその出口に向かって円錐状に先細になっており、その出口で推進ジェットとしての懸濁液Sを伴って推進ノズルとして機能し、該推進ジェットは引き続く混合区間で外側から案内された制御液体を吸い込み、それによりこの制御液体と混ざり合う。
マノメーターM3は有利に、供給会社Rosemount社製の測定範囲0〜500ミリバールのタイプ3051CD差圧膜式センサーの差圧マノメーターであり、該マノメーターは、分配器室内の通路U(26)の直上の測定箇所とプロセス室内の通路U(26)の直下の測定箇所との間の圧力差を直接検出することができる。その他の点では、図2における図1と同じアドレスは、図1と同じ意味を有する。
本願明細書の図3は、時点tsが経過するまでの、圧力Pk及びPv並びに差圧PDの経過を定性的に示したものである。ここで、横座標は時間を示し(tsは通常10分〜2hの範囲内である)、縦座標は圧力をバールで示す。図3のもととなるスタートアップの場合、液圧式洗浄塔に、その融液循環路を含めて、まず完全に、出発液体ATとしての処理すべき懸濁液Sの母液を充填した。
本発明による、アクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法は特に、懸濁液Sが、そのアクリル酸のモル含分に対して、アクリル酸以外の成分の比較的高い全モル含分を有する場合に有利である。
本発明による方法は特に、アクリル酸のC3前駆体化合物(例えばプロパン、プロピレン、アクロレイン、プロピオン酸、プロパノール、グリセリン及び/又はプロピオンアルデヒド)の不均一系接触部分気相酸化の生成物ガス混合物に由来するアクリル酸の結晶の分離に好適である(例えば、WO2004/035514、DE−A102007004960、DE−A10243625及びDE−A10323758を参照のこと)。
それに応じて、本発明により好適な懸濁液Sとして、例えば刊行物DE−A102007043759、WO01/77056、DE−A102007043758、DE−A102007043748及びDE−A102007004960に開示されている全ての懸濁液が該当する。
そのような懸濁液Sは、例えば以下の成分群のうち一つを有することができる:
アクリル酸 ≧70質量%
酢酸 15質量%まで
プロピオン酸 5質量%まで
低分子アルデヒド 5質量%まで
重合阻害剤 3質量%まで
ジアクリル酸(マイケル付加物) 0〜5質量%、及び
水 25質量%まで;
又は
アクリル酸 ≧80質量%
酢酸 ≧100質量ppm〜≦10質量%
プロピオン酸 ≧10質量ppm〜≦5質量%
低分子アルデヒド 5質量%まで
重合阻害剤 3質量%まで
ジアクリル酸(マイケル付加物) 0〜5質量%、及び
水 10質量%まで;
又は
アクリル酸 ≧90質量%
酢酸 ≧100質量ppm〜≦5質量%
プロピオン酸 ≧10質量ppm〜≦2質量%
低分子アルデヒド 2質量%まで
重合阻害剤 2質量%まで
ジアクリル酸(マイケル付加物) 0〜3質量%、及び
水 9質量%まで;
又は
アクリル酸 ≧95質量%
酢酸 ≧100質量ppm〜≦3質量%
プロピオン酸 ≧10質量ppm〜≦2質量%
低分子アルデヒド 2質量%まで
重合阻害剤 2質量%まで
ジアクリル酸(マイケル付加物) 0〜2質量%、及び
水 4.9質量%まで;
又は
アクリル酸 93〜98質量%
水 1〜5質量%
アクロレイン 0.001〜3質量%
メタクロレイン ≧0〜3質量%
メタクリル酸 ≧0〜3質量%
酢酸 0.1〜3質量%
プロピオン酸 0.01〜3質量%
ホルムアルデヒド 0.001〜3質量%
ホルムアルデヒド以外のアルデヒド 0.001〜3質量%
マレイン酸 0.01〜3質量%、及び
プロトアネモニン ≧0〜3質量%。
全ての上記記載は、特に懸濁液Sが水を少なくとも0.1質量%含有する場合に該当する。
全ての上記記載はさらに特に、懸濁液Sがアクリル酸99質量%以下ないし98質量%以下を含有する場合に該当する。
当然のことながら全ての上記記載は、2つの上記条件が同時に満たされる場合にも該当する。
即ち、アクリル酸≧70〜≦99質量%及び水≧0.1質量%(しばしば水≦20質量%又は≦10質量%)を含有する懸濁液Sの場合、本発明による方法は特に有利に適用可能である。
液圧式洗浄塔を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法が定常運転状態にある場合(そのような状態は、運転条件が運転期間に対して実質的に変わらずに保持されることを特徴としている)、急激に変化した市場ニーズに基づき、出口Aを通って排出される純生成物の流量を高めるか又は低めるために、液圧式洗浄塔の処理量を高めるか又は低めることが必要な場合がある。
通常、そのような処理量の増加は、分配器室に供給される結晶懸濁液Sの流れの流量を新たな定常値へと増加させることに伴って必然的に生じるが、一方で、懸濁液Sのその他の状態は通常は実質的に変わらずにそのままである。応用技術的に有利に、そのような液圧式洗浄塔への懸濁液Sの負荷の増加は以下のように実施される。この増加は、それぞれの出発値の2〜10%のステップ幅で行われる。各ステップの後に5〜30分間の保持時間が保たれる。ここで、床水準(増成フロント)がその位置に関して不所望に変化した場合には、制御液体流の相応する適合が行われる。
それに対して、(例えば、純生成物のニーズの低下に対する対応として)予め定常運転状態で運転している液圧式洗浄塔への懸濁液Sの負荷を低減する場合には、有利に以下のような措置をとることができる。負荷量(装入量)を低減する場合、1ステップでそれぞれの出発値の50%までの低減を行うことができる。しかしながら、相応して関連する5〜20%のステップ幅での低減も同様に可能である。ここでも、それぞれ引き続く1〜20分の待機時間が有利であるが、しかしながら必須ではない。
付加的に又は単独で、懸濁液Sの結晶化度及び/又は懸濁液S中に懸濁して含まれている結晶の結晶サイズが定常運転状態から突如変化する場合にも、相応して進めることが推奨される。
本願明細書中に記載されているように、定常運転状態にある(即ち、分離装置の全ての駆動力が、分離法の相応する物質流もろとも(加熱されたフラッシュ液体の全てのフラッシュ管(42)を通じた恒常的な供給を含めて)作動している)液圧式洗浄塔を含む分離装置(例えば図2に示されているもの;以下で用いられる全ての数字及び英字のアドレスは、この図2に関連するものである。)を用いたアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法を通常通りに終了(運転停止)するために、これに関してとるべき措置の順序は基本的に任意に選択することができる(即ち、とるべき個々のステップの特定の順序を遵守することは必須でない。)。
しかしながら応用技術的に有利に、そのような運転停止のために下記の順序が遵守される:
1.第一の措置として、定常運転で母液中のアクリル酸結晶の懸濁液Sを液圧式洗浄塔の分配器室(A)へと送る搬送ポンプP2(8)のスイッチを切る。
2.掻取装置(ナイフ付円盤)(16)の運転と、搬送ポンプP3(13)から搬送される制御液体流(その流量は通常保持されるか又は要求に応じて高められる)とを保持することによって、プロセス室(B)内に存在する結晶床を可能な限りそこから導出する(結晶床のそのような搬出(排出)は本質的に、フィルター(F)の部分面が、なおも存在する残留結晶床から突き出始めるまで可能である)。
3.結晶融液循環路(31)内の温度を(例えば伝熱装置W(9)に供給される伝熱媒体の流量を高めることによって)15℃超でかつ≦35℃の値に高めることにより、かつ、さらにフラッシュ液体供給室(40)及びフラッシュ管(42)を通って供給されかつ15℃超でかつ≦35℃の温度を有するフラッシュ液体によって、結晶床の排出の際になおも洗浄塔内に残留する結晶床残分を融解させる。この融解の間に掻取装置(16)と制御液体流のための搬送ポンプP3(13)とを有利にさらに運転させ、それにより、温かいフラッシュ液体と残留する結晶とを集中的に接触させ、そのようにして該結晶の融解を促進する。
温かいフラッシュ液体をさらに供給している間、応用技術的に有利に、調節可能な排出口(10)を貫通して出口A(3)から絶え間なく、結晶融液循環路からのアクリル酸流を導出する(例えば、捕集容器内に:ここから、このアクリル酸を応用技術的に有利に例えば、晶析により精製すべきアクリル酸を場合によりアクリル酸製造のための不均一系接触部分気相酸化の生成物ガス混合物から例えば分別凝縮により分離した凝縮塔へと返送する;例えばWO2001/077056を参照のこと)。このようにして、結晶融液循環路(31)内に運転停止のプロセス開始時にのみ存在しているすでに精製されたアクリル酸(純アクリル酸融液)と、フラッシュ液体として使用された、重合阻害剤を富化状態で含む廃液(母液+制御液体)との混合の増大が生じ、これにより結晶融液循環路がさらに安定化され、かつその中でのアクリル酸の不所望なラジカル重合が防止される。
4.ここで、定常運転の間に結晶融液循環路(31)の安定化の目的で該結晶融液循環路(31)へと行われた、分子酸素含有ガスと重合超過阻害された純アクリル酸との供給を停止する。
5.個々のステップ2〜4の間に、供給された温かいフラッシュ液体の体積流量よりも多い体積流量が出口A(3)から導出されることがない場合、洗浄塔のプロセス室は常に完全に凝縮物で満たされている。定常運転において洗浄フロントの位置の調節にも使用され得る温度センサー(例えば熱電対)によって、洗浄塔のプロセス室を占める凝縮相の温度を連続的に測定する。この温度測定センサーが、少なくとも5分、有利に少なくとも10分の期間にわたって>16℃〜20℃の範囲内の温度を示す場合には、排出の際になおも洗浄塔内に残留する全ての結晶が融解されていると仮定することができる。ここで、伝熱装置W(9)への伝熱媒体の供給を停止する。これに引き続き、掻取装置(16)及び制御液体流のための搬送ポンプP(3)(13)並びに結晶融液循環路(31)のための搬送ポンプP(1)を停止する。
6.ここで、温かいフラッシュ液体の供給を終了する。
7.洗浄塔内に存在する液体(液体アクリル酸)を完全に空になるまで排出する(例えば、図2において下端部(右)に取り付けられたソケットには排出弁が取り付けられていてよく、該弁を経由して空になるまで排出が行われる)。
このようにして運転停止され、かつ完全に空になった洗浄塔は、後で本発明による方法様式により再度作動されることができる。
ここでさらに、洗浄塔から排出されていない残留結晶床の融解を、運転停止のプロセスにおいて、相応する温水(例えば20〜25℃)の導入によっても行うことができることが強調される。この場合、温水導入は、直接結晶融解室へと、又は「制御液体」として及び/又は「フラッシュ液体」として行うことができる。
本願明細書中に記載されているような、定常運転状態にある、液圧式洗浄塔を含む分離装置(例えば図2に示されているもの)を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法を、突如として生じる運転障害のために運転停止(終了)しなければならない場合には、有利に同様に通常(正常)終了に関して前記されたステップ列1〜7が適用される。ここで、障害に制限されて幾つかのステップを実施することが不可能な場合には、そのステップは常に省略され、運転停止は通常は次に記載された数字のステップで継続される。例えば、結晶床を、掻取装置(16)又は制御液体流の搬送のための搬送ポンプP3(13)の障害のために、液圧式洗浄塔のプロセス室から十分に排出することができない場合には、ステップ2が省略され、かつなおも洗浄塔内に存在する全ての結晶床がステップ列3〜5に従って融解される。しかしながら全ての場合において、運転停止の第一の措置として(第一のステップとして)搬送ポンプP2(8)のスイッチを切り、それによって液圧式洗浄塔の分配器室(A)への母液中のアクリル酸結晶の懸濁液Sの搬送を停止することが応用技術的に有利である。
生じた運転障害に基づき、伝熱装置W(9)を用いた、及びフラッシュ管(42)を通って供給される加熱されたフラッシュ液体による熱の導入が不可能である場合には、懸濁液Sの供給による冷たさの導入がもはやないために、なおも洗浄塔内に存在するステップ2で排出されなかった結晶を、運転中である制御液体流のための運転中の搬送ポンプP3(13)及び/又は結晶融液循環路(31)のための搬送ポンプP1(11)の自然の熱導入によってゆっくりと融解させることもできる。
一般に、運転停止の際には、運転停止(排出)の過程で、高められた温度を有する(≧20℃ないし≧25℃)純アクリル酸が結晶融液循環路内に存在しないようにしなければならない。さらに、運転停止後に、液体アクリル酸が比較的長期間にわたって(数日(すでに≧2日でクリティカルであり得る)ないし数週間)洗浄塔内に交換されずに残留することのないようにしなければならない。
洗浄塔の定常運転状態が短時間のみ妨害されるに過ぎず、その結果洗浄塔のプロセス室内の結晶床が障害の終了後になおも損傷されていない(連続状態にある)場合には、有利に下記の通り進行される。
以下の運転状態がまだ存在していない場合には、運転状態が以下に示す順序で確立される:
1.搬送ポンプP2(8)、掻取装置(16)及び搬送ポンプP3(13)のスイッチを切る。フラッシュ管(42)を貫通した温かいフラッシュ液体の供給を保持する。出口A(3)への調節可能な排出口(10)を閉鎖する。伝熱装置W(9)及び結晶融液循環路(31)の搬送ポンプP1(11)、並びに結晶融液循環路(31)への分子酸素及び阻害剤溶液の計量供給は作動している。
2.掻取装置(16)のスイッチを入れる。
3.結晶懸濁液Sのための搬送ポンプP2(8)のスイッチを入れる。
4.制御液体流のための搬送ポンプP3(13)のスイッチを入れる。
5.出口A(3)への調節可能な排出口(10)をゆっくりと開放して、洗浄フロント(37)の好適な高さ位置を調節する(保証する)。
それゆえ、本願は特に以下の本発明による実施態様を包含する:
1.液圧式洗浄塔を含む装置を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法であって、
該液圧式洗浄塔は、該液圧式洗浄塔の上方から下方へと延びる縦軸に対して回転対称のプロセス室を有しており、該プロセス室は、円筒状のジャケット壁と、対称軸上で互いに向かい合う2つの端部とによって区切られており、その際、
・プロセス室の上端部から、プロセス室の縦軸と平行に1以上のフィルター管がプロセス室を通って延びており、該フィルター管は、プロセス室の上端部と向かい合う下端部に向かって延びており、かつプロセス室の下端部に向いたプロセス室の半分において、それぞれの該フィルター管の内部とプロセス室との間の唯一の直接的な接続を形成する少なくとも1のフィルターFを有しており、かつプロセス室の外側で洗浄塔から導出され、
・プロセス室の上端部と下端部との間の距離Lとプロセス室の直径Dとからの比Q=L/Dは0.3〜4であり、
・プロセス室の下端部には下方に向かって洗浄塔の結晶融解室が続いており、その際、双方の室の間には回転式掻取装置が組み込まれており、かつ該結晶融解室を結晶融液循環路が貫通しており、該結晶融液循環路は、結晶融解室の外部に、
・洗浄塔の外側に存在する、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP1、
・洗浄塔の結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側へと延びている第一の搬送接続部G1、
・搬送ポンプP1の吐出側から洗浄塔の結晶融解室へと戻る第二の搬送接続部G2、及び、調節可能な排出口を備えた該結晶融液循環路からの出口A
を有し、かつ、
・伝熱装置W
を含み、ここで該伝熱装置Wを経由して、結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側への搬送接続部G1か、又は搬送ポンプP1の吐出側から結晶融解室への搬送接続部G2のいずれかが延びており、
・プロセス室の上端部には、上方に向かって分配器室が前置されており、該分配器室は少なくとも端板Bによってプロセス室と区切られており、該端板Bは通路Uを有しており、該通路Uは、端板Bのプロセス室に向いた側ではプロセス室に通じており、かつ端板Bのプロセス室と反対側では分配器室に通じており、
・洗浄塔の外側には、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP2、及び懸濁液Sの源QSが存在しており、その際、
・第一の搬送接続部E1が、源QSから搬送ポンプP2の吸込側へと延びており、かつ、
・第二の搬送接続部E2が、搬送ポンプP2の吐出側から分配器室へと延びており、
・洗浄塔の外側には場合により、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP3、及び制御液体の源QTが存在しており、その際、
・第一の搬送接続部C1が、ポンプP3の吸込側から源QTへと延びており、かつ
・第二の搬送接続部C2が、ポンプP3の吐出側から、分配器室へと、かつ/又は、プロセス室の上端部とフィルター管のフィルターFとの間にあるプロセス室の縦区間へと延びており、
かつその際、該分離法を定常運転で実施する際に、
・ポンプP2を用いて連続的に、懸濁液Sの流れSTを、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内し、
・場合によりポンプP3を用いて、制御液体の流れSLを、源QTから搬送接続部C1、C2を通って、分配器室を経由しかつ通路Uを貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔のプロセス室へと案内し、
・フィルター管のフィルターFを経由して、母液と場合により制御液体とを含む流れSM全体を廃液流としてフィルター管内部へ案内し、かつフィルター管を経由して洗浄塔から導出し、かつ、この洗浄塔から導出された廃液流SMを制御液体のための源QTとして使用し、
・洗浄塔のプロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内によって、アクリル酸結晶の結晶床の形成を保持し、ここで、該結晶床はプロセス室の上端部に向いた増成フロントを有しており、該増成フロントにおいて、供給された懸濁液Sの流れSTの結晶が結晶床上に連続的に堆積し、
・結晶床を、プロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内の流れの液圧損失から生じる力によって、上方から下方へとフィルターFの脇を通過して回転式掻取装置へと搬送し、
・該回転式掻取装置を用いて、該回転式掻取装置に衝突する結晶床からアクリル酸結晶を掻き取り、
・掻き取られたアクリル酸結晶の流れを、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、該回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の搬送方向でプロセス室に引き続く結晶融解室へと搬送し、該結晶融解室を貫通している結晶融液循環路内で伝熱装置Wを用いた熱の導入により融解させて結晶融液流とし、かつ
・出口Aの排出口を、上記の結晶融液流の流量に関して、結晶融解室から出発して、結晶融液の部分流が洗浄融液流として、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の移動方向とは反対にプロセス室へと返流され、該プロセス室において該部分流が、下方へ搬送された結晶床内を上昇し、ここで、結晶から、結晶床内に残留しておりかつ該結晶床と共にフィルターFの下方へ搬送された母液を洗浄除去して押し戻し、その際、フィルターFからプロセス室の下端部まで広がるプロセス室の縦区間内で、結晶床内に洗浄フロントが生じ、該洗浄フロントが結晶床を上方から下方に向かって母液帯域と洗浄融液帯域とに分割し、かつ、上記の結晶融液流の残りの部分流が出口Aを経由して結晶融液循環路を去るように調節する
方法において、該分離法のスタートアップの際に、結晶床の最初の形成をプロセス室内で生じさせるために、
・まず、結晶融解室を含む結晶融液循環路、並びに未充填の洗浄塔のプロセス室に、アクリル酸含有出発液体ATを、プロセス室内での出発液体ATの充填高さが少なくとも掻取装置よりも高くなるように充填し、
・次いで、ポンプP2を用いて、懸濁液Sの流れST*を、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内し、かつここで、フィルター管を通って洗浄塔から導出された源QT*としての廃液流SM*のうちの部分流を、場合によりポンプP3を使用して、制御液体流SL*として、搬送接続部C1、C2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔のプロセス室へと案内することによって洗浄塔の充填を進め、この充填を、少なくとも、差圧PD=Pk−Pv(ここで、Pkは結晶融解室内の任意に選択された場所で流れST*の供給の所定の時点でその都度保たれている圧力であり、Pvはその都度同じ時点で分配器室内の任意に選択された場所でその都度保たれている圧力である)が流れST*の供給期間に依存してもはや上昇もせず、一定のままでもなく、突如低下する時点tsに達するまで行うが、但し、
・流れST*の供給の間にフィルター管のフィルターFを通ってそれぞれの時点で流れる全廃液流量SM*の算術平均値を、全てのフィルターFの全面積で除したものとして算出されるフィルターFの平均空塔速度が、時点tsまで80m3/(m2・h)以下であり、
・アクリル酸含有出発液体ATは、晶析が始まるまで冷却した場合に該晶析の際に生じる結晶がアクリル酸結晶であるような液体であり、かつ、
・出発液体AT中の該アクリル酸結晶の摂氏で示される結晶形成温度TKBと、流れST*の懸濁液Sの摂氏で示される温度TSとの間に、以下の式
KB≦TS+15℃
が成り立つことを特徴とする方法。
2.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が75m3/(m2・h)以下である、実施態様1に記載の方法。
3.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が70m3/(m2・h)以下である、実施態様1に記載の方法。
4.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が少なくとも5m3/(m2・h)である、実施態様1から3までのいずれか1に記載の方法。
5.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が少なくとも10m3/(m2・h)である、実施態様1から3までのいずれか1に記載の方法。
6.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が少なくとも15m3/(m2・h)である、実施態様1から3までのいずれか1に記載の方法。
7.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が少なくとも20m3/(m2・h)である、実施態様1から3までのいずれか1に記載の方法。
8.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が60m3/(m2・h)以下である、実施態様1から7までのいずれか1に記載の方法。
9.時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が50m3/(m2・h)以下である、実施態様1から7までのいずれか1に記載の方法。
10.比Qが≧0.5である、実施態様1から9までのいずれか1に記載の方法。
11.比Qが≧0.7である、実施態様1から9までのいずれか1に記載の方法。
12.比Qが≦3.5である、実施態様1から11までのいずれか1に記載の方法。
13.比Qが≦3である、実施態様1から11までのいずれか1に記載の方法。
14.比Qが≦2.5である、実施態様1から11までのいずれか1に記載の方法。
15.比Qが≦2である、実施態様1から11までのいずれか1に記載の方法。
16.距離Lが≧0.5mである、実施態様1から15までのいずれか1に記載の方法。
17.距離Lが≧0.8mである、実施態様1から15までのいずれか1に記載の方法。
18.距離Lが≧1mである、実施態様1から15までのいずれか1に記載の方法。
19.距離Lが≦5mである、実施態様1から8までのいずれか1に記載の方法。
20.距離Lが≦4mである、実施態様1から8までのいずれか1に記載の方法。
21.距離Lが≦3mである、実施態様1から8までのいずれか1に記載の方法。
22.式TKB≦TS+10℃が成り立つ、実施態様1から21までのいずれか1に記載の方法。
23.式TKB≦TS+5℃が成り立つ、実施態様1から21までのいずれか1に記載の方法。
24.TKBがTSを20℃以下だけ下回っている、実施態様1から23までのいずれか1に記載の方法。
25.TKBがTSを10℃以下だけ下回っている、実施態様1から23までのいずれか1に記載の方法。
26.TKBがTSを5℃以下だけ下回っている、実施態様1から23までのいずれか1に記載の方法。
27.出発液体ATが、懸濁液Sから分離された母液である、実施態様1から26までのいずれか1に記載の方法。
28.出発液体ATが、懸濁液Sから分離された結晶の融液である、実施態様1から26までのいずれか1に記載の方法。
29.出発液体ATが、融解された懸濁液Sである、実施態様1から26までのいずれか1に記載の方法。
30.出発液体ATが、冷却により懸濁液Sを生じる液体である、実施態様1から26までのいずれか1に記載の方法。
31.出発液体ATが、実施態様27から30において挙げられた出発液体ATのうち少なくとも2つからの混合物である、実施態様1から26までのいずれか1に記載の方法。
32.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が80m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
33.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が70m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
34.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が60m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
35.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも75%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が80m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
36.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも75%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が70m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
37.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも75%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が60m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
38.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が80m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
39.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が70m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
40.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が60m3/(m2・h)以下である、実施態様1から31までのいずれか1に記載の方法。
41.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が少なくとも5m3/(m2・h)又は少なくとも10m3/(m2・h)である、実施態様1から40までのいずれか1に記載の方法。
42.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも75%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が少なくとも5m3/(m2・h)又は少なくとも10m3/(m2・h)である、実施態様1から40までのいずれか1に記載の方法。
43.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が少なくとも5m3/(m2・h)又は少なくとも10m3/(m2・h)である、実施態様1から40までのいずれか1に記載の方法。
44.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、洗浄塔のプロセス室に供給された液体の全流量の算術平均値Mをプロセス室の自由横断面積で除した値が1〜30m3/(m2・h)である、実施態様1から43までのいずれか1に記載の方法。
45.算術平均値Mをプロセス室の自由横断面積で除した値が5〜25m3/(m2・h)である、実施態様44に記載の方法。
46.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、洗浄塔のプロセス室にそれぞれの時点で供給された液体の全流量をプロセス室の自由横断面積で除した値が1〜30m3/(m2・h)又は5〜25m3/(m2・h)である、実施態様1から45までのいずれか1に記載の方法。
47.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも75%の間に、洗浄塔のプロセス室にそれぞれの時点で供給された液体の全流量をプロセス室の自由横断面積で除した値が1〜30m3/(m2・h)又は5〜25m3/(m2・h)である、実施態様1から45までのいずれか1に記載の方法。
48.懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、洗浄塔のプロセス室にそれぞれの時点で供給された液体の全流量をプロセス室の自由横断面積で除した値が1〜30m3/(m2・h)又は5〜25m3/(m2・h)である、実施態様1から45までのいずれか1に記載の方法。
49.懸濁液S中のアクリル酸含分が≧70質量%である、実施態様1から48までのいずれか1に記載の方法。
50.懸濁液S中のアクリル酸含分が≧80質量%である、実施態様1から48までのいずれか1に記載の方法。
51.懸濁液S中のアクリル酸含分が≧90質量%である、実施態様1から48までのいずれか1に記載の方法。
52.懸濁液S中のアクリル酸含分が≦99質量%である、実施態様1から51までのいずれか1に記載の方法。
53.懸濁液Sの結晶化度が≧0.10である、実施態様1から52までのいずれか1に記載の方法。
54.懸濁液Sの結晶化度が≧0.20である、実施態様1から52までのいずれか1に記載の方法。
55.懸濁液Sの結晶化度が≧0.25である、実施態様1から52までのいずれか1に記載の方法。
56.懸濁液Sの結晶化度が≦0.60である、実施態様1から55までのいずれか1に記載の方法。
57.懸濁液Sの結晶化度が≦0.50である、実施態様1から55までのいずれか1に記載の方法。
58.懸濁液S中に含まれるアクリル酸結晶の最長径が主に50〜1600μmである、実施態様1から57までのいずれか1に記載の方法。
59.懸濁液S中に含まれるアクリル酸結晶の最長径が主に200〜900μmである、実施態様1から57までのいずれか1に記載の方法。
60.掻取装置のオリフィス比OVが≧0.01である、実施態様1から59までのいずれか1に記載の方法。
61.掻取装置のオリフィス比OVが≧0.03である、実施態様1から59までのいずれか1に記載の方法。
62.掻取装置のオリフィス比OVが≦0.9である、実施態様1から59までのいずれか1に記載の方法。
63.掻取装置が通路オリフィスを有するナイフ付円盤である、実施態様1から62までのいずれか1に記載の方法。
64.結晶融液循環路の全体積に対して30〜60体積%を結晶融解室の体積が占める、実施態様1から63までのいずれか1に記載の方法。
65.洗浄塔の結晶融液循環路及び未充填のプロセス室に、アクリル酸含有出発液体ATを、まず、プロセス室内での出発液体ATの充填高さが少なくともフィルターFよりも高くなるように充填する、実施態様1から64までのいずれか1に記載の方法。
66.出発液体ATの充填高さが、少なくともプロセス室の下端部から上端部までの距離Lの中央までである、実施態様65に記載の方法。
67.出発液体ATの充填高さが、少なくともプロセス室の下端部から上端部までの距離Lの四分の三までである、実施態様65に記載の方法。
68.出発液体ATの充填高さが、少なくともプロセス室の上端部までである、実施態様65に記載の方法。
69.出発液体ATの充填高さが、プロセス室を越えて分配器室まで突き出ており、かつ少なくとも半分までのその体積を占める、実施態様65に記載の方法。
70.出発液体ATの充填高さが、プロセス室を越えて分配器室まで突き出ており、かつその体積を完全に占める、実施態様65に記載の方法。
71.伝熱装置Wが管束式伝熱装置である、実施態様1から70までのいずれか1に記載の方法。
72.懸濁液Sの温度が−25℃〜+14℃である、実施態様1から71までのいずれか1に記載の方法。
73.懸濁液Sの温度が−5℃〜+12℃である、実施態様1から71までのいずれか1に記載の方法。
74.懸濁液Sの温度が+4℃〜+9℃である、実施態様1から71までのいずれか1に記載の方法。
75.懸濁液S中に含まれる母液がアクリル酸≧70質量%又は≧80質量%を含有する、実施態様1から74までのいずれか1に記載の方法。
76.懸濁液S中に含まれる母液がアクリル酸≦99質量%を含有する、実施態様1から75までのいずれか1に記載の方法。
77.フィルター管を通って洗浄塔から導出された源QT*としての廃液流SM*のうちの部分流を、ポンプP3を使用して制御液体流SL*として、搬送接続部C1、C2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内する、実施態様1から76までのいずれか1に記載の方法。
78.搬送接続部E2及びC2が液圧式洗浄塔の供給室前で同軸導管として仕上げられており、その際、内側で延びている導管は流れ方向で供給室の前で終了し、外側の導管のみが共通の搬送接続部E2、C2として分配器室へとさらに続く、実施態様1から77までのいずれか1に記載の方法。
79.内側で延びている導管の横断面がその流出口に向かって先細状になっている、実施態様78に記載の方法。
80.内側で延びている導管内を懸濁液Sが流れる、実施態様78又は79に記載の方法。
81.スタートアップの間に圧力Pk及び圧力Pvを測定する、実施態様1から80までのいずれか1に記載の方法。
82.差圧PDを差圧マノメーターを用いて測定する、実施態様1から81までのいずれか1に記載の方法。
83.懸濁液Sの流れST*の供給の開始から時点tsに達するまで、熱交換器Wの運転が停止している、実施態様1から82までのいずれか1に記載の方法。
84.懸濁液Sの流れST*の供給の開始から時点tsに達するまで、搬送ポンプP1の運転が停止している、実施態様1から83までのいずれか1に記載の方法。
85.懸濁液Sの流れST*の供給の開始から時点tsに達するまで、回転式掻取装置の運転が停止している、実施態様1から84までのいずれか1に記載の方法。
86.懸濁液Sの流れST*の供給の開始から時点tsに達するまで、出口Aの排出口が遮断されている、実施態様1から85までのいずれか1に記載の方法。
87.時点tsの後に融液循環路及び掻取装置を作動させ、かつ出口Aの排出口を開放し、かつ融液循環路に分子酸素含有ガスを計量供給し、ここで、融液循環路の部分流中に分子酸素含有ガスを導入し、次いで分子酸素含有部分流を再び融液循環路に供給する、実施態様1から86までのいずれか1に記載の方法。
88.分子酸素含有部分流を再び融液循環路に供給する前に、部分流中に溶解していないガスをガス分離器内で分離除去する、実施態様87記載の方法。
89.液圧式洗浄塔のプロセス室が中央ディスプレーサー体を有する、実施態様1から88までのいずれか1に記載の方法。
90.通路Uの高さが200〜1000mmである、実施態様1から89までのいずれか1に記載の方法。
91.プロセス室又は分配室に通じている通路Uのオリフィスが、該オリフィスの円形に関して15〜300mmの直径に相当する横断面積を有する、実施態様1から90までのいずれか1に記載の方法。
92.プロセス室横断面の全面積に対する、通路Uのプロセス室に向いている全オリフィスの全面積の比が0.10〜0.60である、実施態様1から91までのいずれか1に記載の方法。
93.液圧式洗浄塔内のフィルター管の数が3〜200である、実施態様1から92までのいずれか1に記載の方法。
94.フィルター管の内径が5〜200mmである、実施態様1から93までのいずれか1に記載の方法。
95.フィルター管の内径が20〜80mmである、実施態様1から93までのいずれか1に記載の方法。
96.懸濁液Sが以下の成分:
アクリル酸 ≧70質量%
酢酸 15質量%まで
プロピオン酸 5質量%まで
低分子アルデヒド 5質量%まで
ジアクリル酸 3質量%まで、及び
水 25質量%まで
を有する、実施態様1から95までのいずれか1に記載の方法。
97.懸濁液Sが少なくとも0.1質量%の水を含有する、実施態様1から96までのいずれか1に記載の方法。
98.該スタートアップ方法に、作動している液圧式洗浄塔内でアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法が引き続く、実施態様1から97までのいずれか1に記載の方法。
99.液圧式洗浄塔を含む装置を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法において、該分離法が、実施態様1から97までのいずれか1に記載の方法により運転開始されていることを特徴とする方法。
100.分離されかつ融解されたアクリル酸結晶を該アクリル酸自体か又は他の少なくともモノエチレン系不飽和化合物と重合させる、というもう1つ方法が引き続く、実施態様98又は99に記載の方法。
本発明による液圧式洗浄塔を示す概略図。 本発明による液圧式洗浄塔を示す概略図。 時点tsが経過するまでの、圧力Pk及びPv並びに差圧PDの経過を定性的に示す図。
実施例及び比較例
比較例1(L/D=4.7、平均フィルター空塔速度119m3/(m2・h)での液圧式洗浄塔のスタートアップ方法)
WO08/090190に記載されている通りに実施した、「ケミカルグレード」純度のプロピレンの二段不均一系接触気相部分酸化の生成物ガス混合物の分別凝縮によって、毎時1.5tの粗アクリル酸を凝縮塔の側方抜出し部を経由して分離し、ここで、該粗アクリル酸は以下の成分:
アクリル酸 96.1質量%
アクロレイン 446質量ppm
アリルアクリラート 20質量ppm
ジアクリル酸 3764質量ppm
酢酸 7460質量ppm
フルフラール 6719質量ppm
ベンズアルデヒド 7131質量ppm
プロピオン酸 751質量ppm
フェノチアジン 91質量ppm
MEHQ 247質量ppm、及び
水 0.83質量ppm
を有していた。
粗アクリル酸に水31kg/hを連続供給することにより、その水含分を2.8質量%に高めた。次いで、この「水性」粗アクリル酸を20℃の温度で懸濁晶析装置に供給した。懸濁晶析装置として、GMF社(オランダ)製の容量2500Lの冷却円盤型懸濁晶析装置を使用した。該晶析装置は、ワイパー付きの等間隔に配置された7枚の冷却円盤を含んでおり、該冷却円盤は1.25mの均一な直径を有していた。
水70体積%とグリコール30体積%とからの混合物流を冷媒として該冷却円盤に通し、その際、供給温度は0.5〜1℃であった。水性粗アクリル酸と冷媒とを、該晶析装置全体で見て向流で該晶析装置に通した。該懸濁晶析装置から導出した母液中のアクリル酸結晶の懸濁液は、0.24の結晶化度及び6.9〜7.0℃の温度を有していた。
このようにして生じた結晶懸濁液を、溢流堰を経由して、懸濁晶析装置から撹拌された加熱可能な捕集容器へと流し込んだ。この容器内で懸濁液の結晶を再度融解させ、その際に生じる「水性」粗アクリル酸を再度分別凝縮へと返送した(側方抜出し部の上方)。
このようにして、アクリル酸結晶懸濁液流を得ることができ、これを後に記載する液圧式洗浄塔のスタートアップのために使用した。さらに、捕集容器中で再度融解させた結晶懸濁液を、出発液体ATとして使用することができた(該出発液体ATは17℃の温度を有していた)。
液圧式洗浄塔は、本質的に本願明細書の図1による設計を有していた。円筒状プロセス室(B)の内径は263mmであった。ジャケット壁の厚さは5mmであった。仕上げ材はステンレス鋼であった(DIN材料1.4571)。プロセス室(B)の長さLは(掻取装置(16)として使用するナイフ付円盤の上縁部から測定して)1230mmであった。プロセス室(B)はフィルター管(6)のみを有しており、このフィルター管(6)は同じステンレス鋼から仕上げられており、プロセス室横断面の中央で上方から下方へと延びていた。円筒状フィルター管(6)の肉厚は2mmであった。その外径は48mmであった。フィルター管(6)の全長は(ディスプレーサー(38)を含めて)1225mmであった。フィルターの有効長(高さ)は60mmであった。フィルターF(7)の上縁部は(上方から下方へ測定して)965mmのフィルター管長上にあった。プロセス室(B)には分配器室(A)が前置されており、その高さは250mmであった。プロセス室(B)と分配器室(A)とは厚さ250mmの端板B(32)で互いに区切られていた(端板内部には廃液捕集室(27)が存在していた)。端板B(32)にわたって3つの通路U(26)が均一に分配されており、該通路U(26)は直径26mmの円形オリフィスで通過区間にわたり一定の横断面で2つの室を接続していた。
まず、液圧式洗浄塔(0)に捕集容器からの17℃の温かい出発液体ATを完全に充填した(融液循環路(31)+プロセス室(B)+分配器室(A)+搬送接続部E2(34)、C2(36)、C1(35)+搬送ポンプP3(13))。この充填を、結晶融液循環路上のTピースを貫通して行った。
次いで搬送ポンプP3(13)を作動させ、その回転数を、該ポンプが400kg/hの出発液体AT流を搬送接続部C1(35)を経由して吸い込み、「搬送ポンプP3の吸込側−搬送ポンプP3の吐出側−搬送接続部C2(36)−分配器室(A)−プロセス室(B)−フィルターF(7)−フィルター管(16)−搬送接続部C1(35)」の循環路内を搬送するように調節した(出口A(3)は閉鎖されていた)。
その後、(出口A(3)を引き続き閉鎖したままで、かつ掻取装置(16)(ナイフ付円盤)を作動させず、かつ融液循環路(31)を作動させずに)搬送ポンプP2(8)を作動させ、この搬送ポンプP2(8)を用いて、引込みソケットを経由して母液中のアクリル酸結晶の懸濁液S 1000kg/hを懸濁晶析装置に引き込み、搬送接続部E2(34)を経由して、上記の流れ400kg/hに対して付加的に液圧式洗浄塔(0)の分配器室(A)へポンプ搬送した。このようにして搬送ポンプP2(8)及びP3(13)を作動させて、液圧式洗浄塔(0)のプロセス室(B)内に結晶床を形成させた(液圧式洗浄塔装置の出口(2)から廃液760kg/hが流れた)。これに付随してまず、膜式マノメーターM1で測定した圧力(分配器室(A)内の圧力)と膜式マノメーターM2で測定した圧力(結晶融解室(C)内の圧力)とが、並行して上昇した。
ここで、フィルターF(7)を通過する廃液流量は1080l/hであり、これは(平均)フィルター空塔速度119m3/(m2・h)に相当する。(搬送ポンプP2(8)のスタートアップの開始からカウントして)ts=14分後に、膜式マノメーターM2で検出した圧力Pkは突如低下し始め、一方で膜式マノメーターM1で検出した圧力Pvはさらに上昇した。これは、差圧PD=Pk−Pvの初めての低下に相応していた。
圧力変化の直後に、搬送ポンプP2(8)及びP3(13)のスイッチを(この順序で)切り、搬送ポンプP1(11)並びに掻取装置(16)の回転を(この順序で)作動させた。次いで、搬送ポンプP2(8)(搬送出力1000kg/h)及び搬送ポンプP3(13)(搬送出力800kg/h)を再度作動させ、その際、結晶床は増成フロントと一緒に下方へと動き始めた。
その後、伝熱装置W(9)を作動させ、かつ、阻害作用を有する空気及びMEHQ1.5質量%を含有する純融液溶液(予め相応して分離しておいた純生成物中のMEHQ溶液)を融液循環路内へ計量供給した。次いで、出口A(3)の排出口を部分的に開放し、融液循環路の温度の調節をスタートアップし(相応する温度計は、流れ方向で伝熱装置Wの出口の直後に存在していた)、増成フロント(25)の位置(結晶床の水準)の調節をWO2006/111565によりスタートアップし、かつ洗浄フロント位置(37)の調節をスタートアップすることによって(相応する目標温度は11.0℃であった)、運転を開始した分離プロセスは本願明細書に記載されている通りに定常運転状態に移行し、その際、増成フロント(25)は掻取装置(16)の690〜790mm上方にあり、洗浄フロント(37)はフィルターF(7)の下縁部の約80mm下方にあった。相応する懸濁液Sの流量は800〜1400kg/hであり、制御液体流量は400〜1600kg/hであった。14日間にわたり、該分離プロセスを実質的に障害なく続けることができた。
比較例2(L/D=4.7、平均フィルター空塔速度67m3/(m2・h)での液圧式洗浄塔のスタートアップ方法)
比較例1と同一の液圧式洗浄塔を使用した。懸濁液Sの製造及び出発液体ATの製造を、比較例1の記載と同様に行った。
比較例1のスタートアップ方法に対する本スタートアップ方法の相違点は、搬送ポンプP3(13)が時点tsまで200kg/hの搬送出力に設定されており、かつ搬送ポンプP2(8)が600kg/hの搬送出力に設定されていたという点のみである。ここで、フィルターF(7)を通過する廃液流量は610l/hであった。これは(平均)フィルター空塔速度67m3/(m2・h)に相当する。(搬送ポンプP2(8)のスタートアップの開始からカウントして)ts=27分後に、膜式マノメーターM2で検出した圧力Pkは突如低下し始め、一方で膜式マノメーターM1で検出した圧力Pvはさらに上昇した。これは、差圧PD=Pk−Pvの初めての低下に相応していた。
引き続き、比較例1と同様にさらに操作を行った。搬送ポンプP2(8)の再スタートアップの際、その搬送出力を1000kg/hに設定し、搬送ポンプP3(13)を搬送出力800kg/hに設定した。運転を開始した分離プロセスは順調に定常運転状態へと移行し、その際、増成フロント(25)はナイフ付円盤(16)の690〜790mm上方にあり、洗浄フロント(37)はフィルターF(7)の下縁部の約80mm下方にあった。相応する懸濁液Sの流量は800〜1400kg/hであり、制御液体流量は400〜1600kg/hであった。14日間の期間にわたり、該分離プロセスを実質的に障害なく続けることができた。
比較例3(L/D=1.07、平均フィルター空塔速度92m3/(m2・h)での液圧式洗浄塔のスタートアップ方法)
WO08/090190に記載されている通りに実施した、「ケミカルグレード」純度のプロピレンの二段不均一系接触気相部分酸化の生成物ガス混合物の分別凝縮によって、毎時75tの粗アクリル酸を凝縮塔の側方抜出し部を経由して分離し、ここで、該粗アクリル酸は以下の成分:
アクリル酸 96.7716質量%
酢酸 0.8253質量%
水 1.6640質量%
ギ酸 0.0213質量%
ホルムアルデヒド 0.0018質量%
アクロレイン 0.0070質量%
プロピオン酸 0.0681質量%
フルフラール 0.1642質量%
アリルアクリラート 0.0027質量%
アリルホルミアート 0.0012質量%
ベンズアルデヒド 0.0164質量%
無水マレイン酸 0.1052質量%
ジアクリル酸 0.3278質量%
フェノチアジン 0.0050質量%
MEHQ 0.0180質量%、及び
分子酸素 0.0002質量%
を有していた。
側方抜出し部を通じて凝縮塔から導出した粗アクリル酸を、多段的に間接式熱交換により(特に、予めこの比較例3に記載した通りに分離しておき、凝縮塔に返送した母液(廃液)と、熱的に統合させて)17℃の温度に冷却した。その後、冷却された粗アクリル酸に、温度22℃の水1230kg/hを混合した。ここで生じる「水性」粗アクリル酸を引き続き3つの同量の部分流に分け、この3つの部分流それぞれを、並行して運転している同一構造の3つの冷却円盤型懸濁晶析装置に案内した(WO2006/111565を参照のこと)。
該晶析装置はそれぞれ容量65000Lのトラフ構造体であり、ワイパー付きの円形冷却円盤24枚が30±1cmの等間隔で連続的に吊り下げられて配置されていた。その直径は均一的に3.3mであった。冷媒としてそれぞれ水65質量%及びグリコール35質量%からの混合物流を冷却円盤に通過した。水性粗アクリル酸と冷媒とを、該懸濁晶析装置全体で見て向流で該懸濁晶析装置に通した。ここで、冷媒をそれぞれ2つの同量の部分流に分け、各部分流はそれぞれの晶析装置の冷却円盤の半分のみを通過した。ここで、それぞれの部分流が、該部分流が通過した冷却円盤から2つ先の冷却円盤へと順送りされるように行った。従って、一方の部分流は「偶数」番号の冷却円盤を通過し、もう一方の部分流は「奇数」番号の冷却円盤を通過した(それぞれ直列の意味で;冷却円盤の番号付けは、冷媒の流動方向で最初の冷却板が「1」で始まる)。各部分流の流量は(晶析装置に関して)95〜105t/hであった。冷媒の温度は、流動方向でそれぞれ最前方の冷却円盤への入口で2.5℃であった。ステンレス鋼で仕上げられた冷却円盤の冷却面の厚さは4mmであった。冷却円盤のワイパー操作により、冷却面上での結晶沈積物の形成を抑制した。
3つの懸濁晶析装置からそれぞれ導出した母液中のアクリル酸結晶の懸濁液は、7.0〜7.1℃の温度及び0.25の結晶化度を有していた。冷却円盤ワイパーの回転数は、毎分5回転であった。ワイパーは半径方向にセグメント分割されていた(4セグメント)。ワイパー材料として超高分子量ポリエチレンを使用した。
生じた結晶懸濁液の搬送方向で、それぞれの懸濁晶析装置の最後方の部分(最後の冷却円盤の後)において、生じた結晶懸濁液が、それぞれ溢流堰を介して3つ全ての晶析装置に共通の撹拌されたバッファ容器に流入した(DE−A102007043759を参照のこと)。このバッファ容器から、温度7.4℃の懸濁液Sを33〜37t/hで、すでに定常運転状態にある第一の液圧式洗浄塔の分配器室へとポンプ搬送し、それにより該懸濁液Sを精製分離プロセス下においた。
相応して残留する懸濁液Sの残流を、加熱しかつポンプ循環した捕集容器へ流入させた。この捕集容器にさらに、第一の液圧式洗浄塔内で分離した母液を供給した。さらに捕集容器内で、該捕集容器に供給した懸濁液Sのアクリル酸結晶を相応する熱供給により再度融解させ、それにより該捕集容器から温度18℃の出発液体ATを引き出すことができた。該出発液体ATを、まずその全量の流れで粗アクリル酸の側方抜出し部の上方で凝縮塔に返送した。このようにして、出発液体AT及び懸濁液Sを入手することができ、これにより第二の液圧式洗浄塔の作動が可能となり、その設計は、差圧マノメーターM3が取り付けられていないこと以外は、本願明細書の図2の設計に相応していた。
円筒状のプロセス室(B)の内径Dは1400mmであった。ジャケット壁の厚さは10mmであった。仕上げ材はステンレス鋼であった(DIN材料1.4571)。プロセス室(B)の長さLは、(掻取装置(16)として使用したナイフ付円盤の上縁部から測定して)1500mmであった。
プロセス室は、(ジャケット壁と同じ材料から仕上げられた)同一構造の54本のフィルター管(6)を含んでいた。円筒状のフィルター管(6)の肉厚は5mmであった。フィルター管の外径は48mmであった。フィルター管(6)の全長は(ディスプレーサー(38)を含めて)1497mmであった。このうち60mmは、フィルター管の全周にわたって広がっているフィルターF(6)の高さが占めていた。フィルターF(7)の上縁部は(上方から下方へ測定して)1182mmのフィルター管長上にあった。フィルター管ディスプレーサー(38)の長さは250mmであった。プロセス室(B)内の中央の円筒状のディスプレーサー体(43)は350mmの外径を有していた。該ディスプレーサー体(43)は端板B(32)と連結しており、それにより固定されるように(即ち、回転しないように)仕上げられていた。端板B(32)におけるフィルター管(6)並びに通路U(26)の配置(分配)は、EP−A1448282の教示に相応していた。通路U(26)の数は78であり、(分配器室からプロセス室までの)その長さは600mmであった。該通路U(26)はその長さにわたって一定の円形横断面を有しており、その直径は均一的に83mmであった。分配器室(A)の高さは1700mmであった。
まず、液圧式洗浄塔(0)に捕集容器からの18℃の出発液体ATを完全に充填した(融液循環路(31)+プロセス室(B)+分配器室(A)+搬送接続部E2(34)、C2(36)、C1(35)+搬送ポンプP3(13))。この充填を、洗浄液体供給室(40)を経由してフラッシュ管(42)を貫通して行った。
次いで搬送ポンプP3(13)を作動させ、その回転数を、該ポンプが30000kg/hの出発液体AT流を搬送接続部C1(35)を経由して吸い込み、「搬送ポンプP3の吸込側−搬送ポンプP3の吐出側−搬送接続部C2(36)−分配器室(A)−プロセス室(B)−フィルターF(7)−フィルター管(6)−搬送接続部C1(35)」の循環路内を搬送するように調節した(出口A(3)は閉鎖されていた)。
その後、(出口A(3)を引き続き閉鎖したままで、掻取装置(16)(ナイフ付円盤)を作動させず、かつ融液循環路(31)を作動させずに)搬送ポンプP2(8)を作動させ、この搬送ポンプP2(8)を用いて、引込みソケットを経由して母液中のアクリル酸結晶の懸濁液S 25000kg/hをバッファ容器に引き込み、温度7.4℃で、搬送接続部E1(33)、E2(34)を経由して、上記の流れ30000kg/hに対して付加的に液圧式洗浄塔(0)の分配器室(A)へポンプ搬送した。そのようにして搬送ポンプP2(8)及びP3(13)を作動させて、液圧式洗浄塔(0)のプロセス室における結晶床の形成を行った(生じた)(洗浄塔装置の出口(2)から廃液18750kg/hが流れた)。これに付随してまず、膜式マノメーターM1で測定した圧力(分配器室(A)内の圧力)と膜式マノメーターM2で測定した圧力(結晶融解室(C)内の圧力)とが、並行して上昇した。ここで、フィルターF(7)を通過する全廃液流量は45200l/hであり、これは(平均)フィルター空塔速度92m3/(m2・h)に相当していた。
(搬送ポンプP2(8)のスタートアップの開始からカウントして)ts=24分後に、膜式マノメーターM2で検出した圧力Pkは突如低下し始め、一方で膜式マノメーターM1で検出した圧力Pvはさらに上昇した。これは、差圧PD=Pk−Pvの初めての低下に相応していた。
圧力変化の直後に、搬送ポンプP2(8)及びP3(13)のスイッチを(この順序で)切り、搬送ポンプP1(11)並びに掻取装置(16)の回転を(この順序で)作動させた。次いで、搬送ポンプP2(8)を搬送出力25000kg/hで、搬送ポンプP3(13)を搬送出力30000kg/hで再度作動させ、その際、結晶床は増成フロントと一緒に下方へと動き始めた。
その後、伝熱装置W(9)を作動させ、かつ、阻害作用を有する空気及びMEHQ3質量%を含有する純融解溶液を融液循環路内へ計量供給した。次いで、出口A(3)の排出口を部分的に開放し、融液循環路(31)の温度の調節をスタートアップし(相応する温度計は、流れ方向で伝熱装置Wの出口の直後に存在していた)、増成フロントの位置(結晶床の水準)の調節をWO2006/111565によりスタートアップし、かつ洗浄フロント位置の調節をスタートアップすることによって(相応する目標温度は11.2℃であった)、本願明細書に記載されている通りに、分離法は洗浄フロント及び増成フロントの定常位置での運転状態に移行し、その際、増成フロントはナイフ付円盤(16)の700〜1200mm上方にあり、洗浄フロントはフィルターF(7)の下縁部の約100mm下方にあった。
相応する懸濁液Sの流量は30000〜32000kg/hであり、制御液体流量は0(搬送ポンプ3のスイッチオフ)〜8000kg/hであった。
この運転状態を保持することができたのは、わずか6.5時間の期間のみであった。その後、圧力防護のために挿入され、応答圧10バールに設計された破裂板(48)が破断した。それまで、圧力測定部M1は、上昇はしているものの明らかに上記応答圧10バールを下回る<4.5バールの範囲内の圧力を示していた。
破裂板破断の時点の圧力状態の分析は、破断の原因として、洗浄塔へ懸濁液Sを供給する系内での閉塞を示唆している。
比較例4(L/D=1.07、平均フィルター空塔速度115m3/(m2・h)での液圧式洗浄塔のスタートアップ方法)
比較例3と同一の液圧式洗浄塔を用いたが、但し今度は該液圧式洗浄塔に付加的に差圧マノメーターM3が取り付けられていたという点で相違していた。懸濁液Sの製造及び出発液体ATの製造を、比較例3の記載と同様に行った。
比較例3のスタートアップ方法に対する本スタートアップ方法の相違点は、搬送ポンプP3(13)が時点tsまで40000kg/hの搬送出力に設定されており、かつ搬送ポンプP2(8)が28000kg/hの搬送出力に設定されていたという点のみである。ここで、フィルターF(7)を通過する全廃液流量は56600l/hであった。これは(平均)フィルター空塔速度115m3/(m2・h)に相当する。
(搬送ポンプP2(8)のスタートアップの開始からカウントして)19分後に、差圧マノメーターM3は差圧の始まり及び上昇を示し始めた。さらに4分経過後にtsに達した。膜式マノメーターM2で検出した圧力Pkは突如低下し始め、一方、膜式マノメーターM1で検出した圧力Pvはさらに上昇した。これは、差圧PD=Pk−Pvの初めての低下に相応していた。
引き続き、比較例3と同様にさらに操作を行った。搬送ポンプP2(8)の再スタートアップの際、その搬送出力を28000kg/hに設定し、搬送ポンプP3(13)の搬送出力を30000kg/hに設定し、その際、結晶床は増成フロントと一緒に動き始めた。
上記の通り作動している分離法を、比較例3と同様に、洗浄フロント及び増成フロントの定常位置での運転状態に移行し、その際、増成フロントはナイフ付円盤(16)の700〜1200mm上方にあり、洗浄フロントはフィルターF(7)の下縁部の約100mm下方にあった。相応する懸濁液Sの流量は30000〜33000kg/hであり、制御液体流量は0〜8000kg/hであった。この運転状態はわずか5時間しか保持することができなかった。この期間内に、差圧マノメーターM3は差圧のより一層の上昇を示した。その後、圧力防護のために挿入され、応答圧10バールに設計された破裂板(4)が破断した。それまで、膜式マノメーターM1は、上昇はしているものの明らかに上記応答圧10バールを下回る<6バールの範囲内の圧力を示していた。
差圧マノメーターM3で追跡した差圧の経時的なプロットは、結晶床が増成する際に該結晶床が成長して時点tsに達する前に分配器室(A)内に達することを証明している。上記差圧の連続的な増大は、分配器室(A)の前進的な占有と、それに付随して起こる該分配器室(A)内に存在する結晶凝集物のより一層の圧密化を示唆している。
実施例(L/D=1.07、平均フィルター空塔速度39m3/(m2・h)での本発明による液圧式洗浄塔のスタートアップ)
比較例4と同一の液圧式洗浄塔を用いた。懸濁液Sの製造及び出発液体ATの製造を、比較例3の記載と同様に行った。
比較例3のスタートアップ方法に対する本スタートアップ方法の相違点は、搬送ポンプP3(13)が時点tsまで運転停止したままであり、かつ搬送ポンプP2(8)が28000kg/hの搬送出力に設定されていたという点のみである。フィルターF(7)を通過する全廃液流量は19000l/hであった。これは(平均)フィルター空塔速度39m3/(m2・h)に相当する。搬送ポンプP2のみを単独で運転させたところ、プロセス室内で結晶床の増成が生じた。このことは、比較例のスタートアップ方法の場合と同様に、まず第一に、マノメーターM1で測定した圧力とマノメーターM2で測定した圧力との並行的な上昇により認められた。
(搬送ポンプP2(8)のスタートアップからカウントして)16分後に、差圧膜式マノメーターM3において差圧の上昇を記録した。さらに3分経過後に時点tsに達した。膜式マノメーターM2で検出した圧力Pkは突如低下し始め、一方、膜式マノメーターM1で検出した圧力Pvはさらに上昇した。これは、差圧PD=Pk−Pvの初めての低下に相応していた。
引き続き、比較例3と同様にさらに操作を行った。搬送ポンプP2(8)の再スタートアップの際、その搬送出力を30000kg/hに設定した。搬送ポンプP2(8)の再スタートアップに対してさらに、その直後に今度は搬送ポンプP3(13)を20000kg/hの搬送出力で作動させ、その際、結晶床は増成フロントと一緒に動き始めた。
上記の通り作動している分離法を、引き続き、比較例3に記載されている措置で洗浄フロント及び増成フロントの定常位置での運転状態に移行し、その際、増成フロントはナイフ付円盤(16)の700〜1200mm上方にあり、洗浄フロントはフィルターF(7)の約100mm下方にあった。相応する懸濁液Sの流量は30000〜35000kg/hであり、制御液体流量は0〜12000kg/hであった。
21日間の期間にわたり、該分離法を実質的に障害なく実施した。
搬送ポンプP2(8)の再スタートアップの開始並びに制御液体ポンプP3(18)のスタートアップに伴い、差圧マノメーターM3で検出した差圧は再度低下し始めた。さらなる過程で、時点tsまでに差圧マノメーターM3で観察された差圧上昇は、完全に消失した。
差圧マノメーターM3で追跡した差圧の経時的なプロットは、結晶床が増成する際に該結晶床が成長して時点tsに達する前に分配器室(A)内に達することを証明している。後続の差圧の上昇の消失は、本発明によるスタートアップの場合、結晶による分配器室(A)の占拠が明らかに不可避であるものの、可逆的であることを示している。
2009年10月16日付けで出願された米国特許仮出願番号61/252181及び2010年6月18日付けで出願された米国特許仮出願番号61/356078は、刊行物の参照により本願に組み入れられる。上記の教示に関して、本発明の多様な変更及び変化が可能である。従って、本発明を、添付された特許請求の範囲内で、この中で特に記載された以外の形で実施できることを前提にしてよい。

Claims (29)

  1. 液圧式洗浄塔を含む装置を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法のスタートアップ方法であって、
    該液圧式洗浄塔は、該液圧式洗浄塔の上方から下方へと延びる縦軸に対して回転対称のプロセス室を有しており、該プロセス室は、円筒状のジャケット壁と、対称軸上で互いに向かい合う2つの端部とによって区切られており、その際、
    ・プロセス室の上端部から、プロセス室の縦軸と平行に1以上のフィルター管がプロセス室を通って延びており、該フィルター管は、プロセス室の上端部と向かい合う下端部に向かって延びており、かつプロセス室の下端部に向いたプロセス室の半分において、それぞれの該フィルター管の内部とプロセス室との間の唯一の直接的な接続を形成する少なくとも1のフィルターFを有しており、かつプロセス室の外側で洗浄塔から導出され、
    ・プロセス室の上端部と下端部との間の距離Lとプロセス室の直径Dとからの比Q=L/Dは0.3〜4であり、
    ・プロセス室の下端部には下方に向かって洗浄塔の結晶融解室が続いており、その際、双方の室の間には回転式掻取装置が組み込まれており、かつ該結晶融解室を結晶融液循環路が貫通しており、該結晶融液循環路は、結晶融解室の外部に、
    ・洗浄塔の外側に存在する、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP1、
    ・洗浄塔の結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側へと延びている第一の搬送接続部G1、
    ・搬送ポンプP1の吐出側から洗浄塔の結晶融解室へと戻る第二の搬送接続部G2、及び、調節可能な排出口を備えた該結晶融液循環路からの出口A
    を有し、かつ、
    ・伝熱装置W
    を含み、ここで該伝熱装置Wを経由して、結晶融解室から搬送ポンプP1の吸込側への搬送接続部G1か、又は搬送ポンプP1の吐出側から結晶融解室への搬送接続部G2のいずれかが延びており、
    ・プロセス室の上端部には、上方に向かって分配器室が前置されており、該分配器室は少なくとも端板Bによってプロセス室と区切られており、該端板Bは通路Uを有しており、該通路Uは、端板Bのプロセス室に向いた側ではプロセス室に通じており、かつ端板Bのプロセス室と反対側では分配器室に通じており、
    ・洗浄塔の外側には、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP2、及び懸濁液Sの源QSが存在しており、その際、
    ・第一の搬送接続部E1が、源QSから搬送ポンプP2の吸込側へと延びており、かつ、
    ・第二の搬送接続部E2が、搬送ポンプP2の吐出側から分配器室へと延びており、
    ・洗浄塔の外側には場合により、吸込側と吐出側とを有する搬送ポンプP3、及び制御液体の源QTが存在しており、その際、
    ・第一の搬送接続部C1が、ポンプP3の吸込側から源QTへと延びており、かつ
    ・第二の搬送接続部C2が、ポンプP3の吐出側から、分配器室へと、かつ/又は、プロセス室の上端部とフィルター管のフィルターFとの間にあるプロセス室の縦区間へと延びており、
    かつその際、該分離法を定常運転で実施する際に、
    ・ポンプP2を用いて連続的に、懸濁液Sの流れSTを、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内し、
    ・場合によりポンプP3を用いて、制御液体の流れSLを、源QTから搬送接続部C1、C2を通って、分配器室を経由しかつ通路Uを貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔のプロセス室へと案内し、
    ・フィルター管のフィルターFを経由して、母液と場合により制御液体とを含む流れSM全体を廃液流としてフィルター管内部へ案内し、かつフィルター管を経由して洗浄塔から導出し、かつ、この洗浄塔から導出された廃液流SMを制御液体のための源QTとして使用し、
    ・洗浄塔のプロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内によって、アクリル酸結晶の結晶床の形成を保持し、ここで、該結晶床はプロセス室の上端部に向いた増成フロントを有しており、該増成フロントにおいて、供給された懸濁液Sの流れSTの結晶が結晶床上に連続的に堆積し、
    ・結晶床を、プロセス室内での母液及び場合により制御液体の案内の流れの液圧損失から生じる力によって、上方から下方へとフィルターFの脇を通過して回転式掻取装置へと搬送し、
    ・該回転式掻取装置を用いて、該回転式掻取装置に衝突する結晶床からアクリル酸結晶を掻き取り、
    ・掻き取られたアクリル酸結晶の流れを、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、該回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の搬送方向でプロセス室に引き続く結晶融解室へと搬送し、該結晶融解室を貫通している結晶融液循環路内で伝熱装置Wを用いた熱の導入により融解させて結晶融液流とし、かつ
    ・出口Aの排出口を、上記の結晶融液流の流量に関して、結晶融解室から出発して、結晶融液の部分流が洗浄融液流として、回転式掻取装置を貫通して、かつ/又は、回転式掻取装置の脇を通過して、結晶床の移動方向とは反対にプロセス室へと返流され、該プロセス室において該部分流が、下方へ搬送された結晶床内を上昇し、ここで、結晶から、結晶床内に残留しておりかつ該結晶床と共にフィルターFの下方へ搬送された母液を洗浄除去して押し戻し、その際、フィルターFからプロセス室の下端部まで広がるプロセス室の縦区間内で、結晶床内に洗浄フロントが生じ、該洗浄フロントが結晶床を上方から下方に向かって母液帯域と洗浄融液帯域とに分割し、かつ、上記の結晶融液流の残りの部分流が出口Aを経由して結晶融液循環路を去るように調節する
    方法において、該分離法のスタートアップの際に、結晶床の最初の形成をプロセス室内で生じさせるために、
    ・まず、結晶融解室を含む結晶融液循環路、並びに未充填の洗浄塔のプロセス室に、アクリル酸含有出発液体ATを、プロセス室内での出発液体ATの充填高さが少なくとも掻取装置よりも高くなるように充填し、
    ・次いで、ポンプP2を用いて、懸濁液Sの流れST*を、源QSから搬送接続部E1、E2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内し、かつここで、フィルター管を通って洗浄塔から導出された源QT*としての廃液流SM*のうちの部分流を、場合によりポンプP3を使用して、制御液体流SL*として、搬送接続部C1、C2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して、かつ/又は、直接、洗浄塔のプロセス室へと案内することによって洗浄塔の充填を進め、この充填を、少なくとも、差圧PD=Pk−Pv(ここで、Pkは結晶融解室内の任意に選択された場所で流れST*の供給の所定の時点でその都度保たれている圧力であり、Pvはその都度同じ時点で分配器室内の任意に選択された場所でその都度保たれている圧力である)が流れST*の供給期間に依存してもはや上昇もせず、一定のままでもなく、突如低下する時点tsに達するまで行うが、但し、
    ・流れST*の供給の間にフィルター管のフィルターFを通ってそれぞれの時点で流れる全廃液流量SM*の算術平均値を、全てのフィルターFの全面積で除したものとして算出されるフィルターFの平均空塔速度が、時点tsまで80m3/(m2・h)以下であり、
    ・アクリル酸含有出発液体ATは、晶析が始まるまで冷却した場合に該晶析の際に生じる結晶がアクリル酸結晶であるような液体であり、かつ、
    ・出発液体AT中の該アクリル酸結晶の摂氏で示される結晶形成温度TKBと、流れST*の懸濁液Sの摂氏で示される温度TSとの間に、以下の式
    KB≦TS+15℃
    が成り立つことを特徴とする方法。
  2. 時点tsまで、フィルターFの平均空塔速度が少なくとも5m3/(m2・h)である、請求項1記載の方法。
  3. 距離Lが≧0.5mである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 距離Lが≦5mである、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. KBがTSを20℃以下だけ下回っている、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 出発液体ATが、懸濁液Sから分離された母液である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 出発液体ATが、冷却により懸濁液Sを生じる液体である、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が80m3/(m2・h)以下である、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が80m3/(m2・h)以下である、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、それぞれの時点で存在するフィルターFの空塔速度が少なくとも5m3/(m2・h)である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間全体にわたって、洗浄塔のプロセス室に供給された液体の全流量の算術平均値Mをプロセス室の自由横断面積で除した値が1〜30m3/(m2・h)である、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 懸濁液Sの流れST*の供給開始からカウントして時点tsに達するまでの期間の少なくとも50%の間に、洗浄塔のプロセス室にそれぞれの時点で供給された液体の全流量をプロセス室の自由横断面積で除した値が1〜30m3/(m2・h)である、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 懸濁液S中のアクリル酸含分が≧70質量%である、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 懸濁液Sの結晶化度が≧0.10である、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 懸濁液S中に含まれるアクリル酸結晶の最長径が主に50〜1600μmである、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
  16. 掻取装置のオリフィス比OVが≧0.01である、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. 掻取装置のオリフィス比OVが≦0.9である、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
  18. 掻取装置が通路オリフィスを有するナイフ付円盤である、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
  19. まず、洗浄塔の結晶融液循環路及び未充填のプロセス室に、アクリル酸含有出発液体ATを、プロセス室内での出発液体ATの充填高さが少なくともフィルターFよりも高くなるように充填する、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
  20. 懸濁液Sの温度が−25℃〜+14℃である、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
  21. 懸濁液S中に含まれる母液がアクリル酸≧70質量%を含有する、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
  22. フィルター管を通って洗浄塔から導出された源QT*としての廃液流SM*のうちの部分流を、ポンプP3を使用して制御液体流SL*として、搬送接続部C1、C2を通って分配器室を経由し、かつ通路Uを貫通して洗浄塔のプロセス室へと案内する、請求項1から21までのいずれか1項記載の方法。
  23. スタートアップの間に圧力Pk及び圧力Pvを測定する、請求項1から22までのいずれか1項記載の方法。
  24. 差圧PDを差圧マノメーターを用いて測定する、請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
  25. 時点tsの後に融液循環路及び掻取装置を作動させ、かつ出口Aの排出口を開放し、かつ融液循環路に分子酸素含有ガスを計量供給し、ここで、融液循環路の部分流中に分子酸素含有ガスを導入し、次いで分子酸素含有部分流を再び融液循環路に供給する、請求項1から24までのいずれか1項記載の方法。
  26. 液圧式洗浄塔内のフィルター管の数が3〜200である、請求項1から25までのいずれか1項記載の方法。
  27. 懸濁液Sが以下の成分:
    アクリル酸 ≧70質量%
    酢酸 15質量%まで
    プロピオン酸 5質量%まで
    低分子アルデヒド 5質量%まで
    ジアクリル酸 3質量%まで、及び
    水 25質量%まで
    を有する、請求項1から26までのいずれか1項記載の方法。
  28. 液圧式洗浄塔を含む装置を用いてアクリル酸結晶を母液中の該アクリル酸結晶の懸濁液Sから精製分離するための分離法において、該分離法が、請求項1から27までのいずれか1項記載の方法により運転開始されていることを特徴とする方法。
  29. 分離されかつ融解されたアクリル酸結晶を該アクリル酸自体か又は他の少なくともモノエチレン系不飽和化合物と重合させる、というもう1つ方法が引き続く、請求項28記載の方法。
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