JP5696944B2 - 発色性に優れた制電性アクリル繊維およびその製造方法 - Google Patents
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(i)体積固有抵抗値が103〜106Ω・cmである。
(ii)アクリル系制電性樹脂が下記化1で示す共重合成分を90〜30重量%構成成分として含有し、アルカリ金属イオンがリチウムイオンである。
(iv)カチオン染料で染色後のアルカリ金属イオン含有量が繊維に対して140ppm以上である。
(v)ホウ素化合物が、無水ホウ酸、ホウ酸及びその塩からなる群から選択された一つ以上である
(i)水洗、延伸した後の未乾燥繊維の水分率が50〜130重量%であり、水洗、延伸処理とアルカリ金属塩水溶液での処理の間に、105〜130℃の温度での湿熱処理が行われる。
(ii)緻密化処理を緊張下で行う。
(iii)緻密化処理を湿潤状態で行う。
本発明で使用されるアクリロニトリル系重合体は従来公知のアクリル繊維の製造に用いられるものであればよいが、構成成分としてアクリロニトリルを80〜100重量%、好ましくは88〜100重量%含有することが必要である。アクリロニトリルの含有量が上記範囲に満たない場合には、後述する繊維内部へのアルカリ金属イオンの導入が困難となる可能性がある。
、殊に還元剤として酸性亜硫酸塩を使用して重合体末端にスルホン酸基等のアニオン性基を導入する方法が例示される。
本発明の制電性アクリル繊維は、アルカリ金属イオンを繊維に含有せしめることが必要であり、できるだけ多くのアルカリ金属イオンが、ホウ素化合物を含有するアクリル系制電性樹脂に局在化していることが好ましい。さらに、アルカリ金属イオンが脱落しないよう、アルカリ金属イオンを含有せしめた後、繊維に存在するボイドを極力減少させることが望ましい。このことから、本発明の製造方法は、上述したアクリロニトリル系重合体とアクリル系制電性樹脂とからなる重合体混合物を含む紡糸原液を通常の方法で湿式紡糸し、水洗、延伸した後、緻密化前の繊維をアルカリ金属塩水溶液で処理し、その後緻密化する方法であって、アクリル系制電性樹脂が、10〜70重量%のアクリロニトリルを構成成分として含有するアクリル系制電性樹脂に対しホウ素化合物を0.2〜2.0重量%、より好ましくは、0.3〜1.0重量%添加したアクリル系制電性樹脂水分散体として紡糸原液に加えられることを特徴とする。
Green) 1%omfを完全に吸収させたアクリル繊維0.1gをγ−ブチロラクトン25mlに溶解させ、分光光度計にて吸光度(B)を測定した。以上の測定値を次式に代入して染料飽和値を計算した。染料飽和値は高いほどよいが1.5以上あれば良好とされる。
染料飽和値(%omf)=A/B
体積固有抵抗(Ω・cm)=(R×T×10−5)/(L×d)
延伸後の未乾燥繊維の水分率(%)=(W3−W2)/W2×100
◎:チラツキ感もなく、黒色の発色性は良好
○:若干チラツキ感があるが、黒色の発色性は良好
△:チラツキ感があり、黒色の発色性はやや不良
×:黒色の発色性が不十分
アクリロニトリル系重合体の組成をアクリロニトリル90重量%、アクリル酸メチル9重量%、メタアリルスルホン酸ナトリウム1重量%を水系懸濁重合することによってアクリロニトリル系重合体を作成した。また、アクリロニトリル30重量%、メトキシポリエチレングリコールメタアクリレート70重量%を水系懸濁重合しアクリル系制電性樹脂を作成した。かかるアクリル系制電性樹脂に対し0.3重量%の無水ホウ酸を添加することによってアクリル系制電性樹脂水分散体を作成した。アクリロニトリル系重合体を濃度45重量%のロダンソーダ水溶液に溶解した後、ホウ素化合物を含有するアクリル系制電性樹脂水分散体を添加混合し、アクリロニトリル系重合体とアクリル系制電樹脂の重量比が95:5である紡糸原液を作成した。該原液を15重量%、1.5℃のロダンソーダ水溶液中に押出し、次いで水洗し、12倍延伸後110℃×10分間湿熱処理することにより1.7dtexの原料繊維を作成した。この原料繊維を過塩素酸リチウム0.03重量%浴に浸漬し98℃×30分間処理した後、ニップローラーにて一定に絞り、130℃ローラー乾燥機で乾燥緻密化し、発色性に優れた制電性アクリル繊維を得た。実施例1の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。また、かかる制電性アクリル繊維を紡績した紡績糸の毛羽の発生を評価した結果も表1に含めた。
アクリロニトリル系重合体の組成を、アクリロニトリル88重量%、酢酸ビニル12重量%とした以外は実施例1と同様にして原料繊維を作成した。この原料繊維を過塩素酸リチウム0.03重量%浴に浸漬し98℃×30分間処理した後、ニップローラーにて一定に絞り、130℃ローラー乾燥機で乾燥緻密化し、発色性に優れた制電性アクリル繊維を得た。実施例2の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例2と同様にして原料繊維を作成した。この原料繊維を過塩素酸リチウム0.1重量%浴に浸漬し98℃×1分間処理した後、120℃のスチームで10分間湿熱処理を行い湿潤緻密化し、その後、熱風乾燥機で乾燥し、発色性に優れた制電性アクリル繊維を得た。実施例3の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。
ローラー乾燥機のローラー速度を変更して繊維を緊張させた状態で、170℃で乾燥緻密化を行うこと以外は実施例2と同様にして発色性に優れた制電性アクリル繊維を得た。実施例4の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例2と同様にして原料繊維を作成した。この原料繊維を過塩素酸リチウム0.03重量%浴に浸漬し98℃×10分間処理した後、さらに、120℃×10分間処理液中で湿潤緻密化し、その後、熱風乾燥機で乾燥し、発色性に優れた制電性アクリル繊維を得た。実施例5の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。
アクリロニトリル系重合体とアクリル系制電樹脂の重量比を97:3とする以外は実施例4と同様にして発色性に優れた制電性アクリル繊維を得た。実施例6の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。
アクリル系制電性樹脂水分散体への無水ホウ酸の添加量を表1に記載の通りとする以外は実施例6と同様にして発色性に優れた制電性アクリル繊維を得た。実施例7〜9の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。
アクリル系制電性樹脂に無水ホウ酸を加えない以外は、それぞれ実施例1〜6と同様の方法で紡糸原液を作成し、紡糸・アルカリ金属塩処理・湿潤緻密化をおこない、比較例1〜6のアクリル繊維を得た。比較例1〜6の繊維の構成の詳細と評価結果を表1に示す。
実施例10〜17及び比較例7〜12の制電性アクリル繊維を用いて常法に従い紡績し、番手1/48、撚り数660、任意の混率のアクリル混燃糸を得た。混紡相手としては通常のアクリル繊維であるK8−1.7T51(日本エクスラン工業株式会社製)を使用した。更に14G2Pゴム編みにて実施例10〜17及び、比較例7〜12のアクリル編地試料を得た。また、かかるアクリル編地試料の染色後、及び染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧を評価し、制電性能及び耐久性を評価した。また、染色後に発色性評価を行った結果を表2に示す。
Claims (12)
- 80〜100重量%のアクリロニトリルを構成成分として含有するアクリロニトリル系重合体90〜99重量%と、10〜70重量%のアクリロニトリルを構成成分として含有するアクリル系制電性樹脂10〜1重量%とからなり、アルカリ金属イオンが繊維に対して200ppm以上含有されているアクリル繊維であって、アクリル系制電性樹脂がホウ素化合物を含有することを特徴とする制電性アクリル繊維。
- 体積固有抵抗値が103〜106Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の制電性アクリル繊維。
- カチオン染料で染色後の繊維の、染色前の繊維に対するアルカリ金属イオン保持率が70%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制電性アクリル繊維。
- カチオン染料で染色後の繊維の、アルカリ金属イオンの含有量が繊維に対して140ppm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカチオン可染性制電性アクリル繊維。
- ホウ素化合物が、無水ホウ酸、ホウ酸及びその塩からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の制電性アクリル繊維。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の制電性アクリル繊維を少なくとも一部に含むことを特徴とする制電性繊維構造体。
- カチオン染料で染色後の摩擦帯電圧の半減期が2秒以下であり、かつ摩擦帯電圧が2kV以下であることを特徴とする請求項7に記載の制電性繊維構造体。
- 80〜100重量%のアクリロニトリルを構成成分とするアクリロニトリル系重合体90〜99重量%と、10〜1重量%のアクリル系制電樹脂とからなる重合体混合物を含む紡糸原液を湿式紡糸し、得られた繊維を水洗、延伸した後にアルカリ金属塩水溶液で処理し、次いで緻密化するアクリル繊維の製造方法であって、アクリル系制電性樹脂が、10〜70重量%のアクリロニトリルを構成成分として含有するアクリル系制電性樹脂に対しホウ素化合物を0.2〜2.0重量%添加したアクリル系制電性樹脂水分散体として紡糸原液に加えられることを特徴とする制電性アクリル繊維の製造方法。
- 水洗、延伸した後の未乾燥繊維の水分率が50〜130重量%であること、及び水洗、延伸処理とアルカリ金属塩水溶液での処理との間に、105〜130℃での湿熱処理が行われることを特徴とする請求項9に記載の制電性アクリル繊維の製造方法。
- 緻密化処理を緊張下で行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の制電性アクリル繊維の製造方法。
- 緻密化処理を湿潤状態で行うことを特徴とする請求項9又は10に記載の制電性アクリル繊維の製造方法。
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