JP4023221B2 - 吸水性アクリル繊維及びその製造方法並びに該繊維を含有する繊維構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸水性アクリル繊維及びその製造方法並びに該繊維を含有する繊維構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル繊維はポリアミド、ポリエステル等よりは高いものの、他の天然繊維と較べ吸水、吸湿性等に乏しいため、肌着、シーツ、スポーツウェア、夏物衣料用素材等としては快適な着心地性を満足させるため多くの場合、木綿、レーヨン等との混紡品が使用されている。こうしたアクリル繊維の吸水性不足、具体的には吸水率の低さのみならず、吸水速度が遅いことを解決するために従来より種々の改良がなされてきた。中でも繊維を多孔性にし、毛細管現象を利用した繊維が多く提案されている。
しかし、アクリル繊維中にミクロボイドを多数形成したのみでは、各ミクロボイドは孤立しているため繊維内部のミクロボイドは吸水性に寄与できない、また、繊維表面のミクロボイドについても、繊維自体の親水性が乏しく、水の表面張力によって吸水に時間を要する、さらにはミクロボイドが加熱により閉塞してしまうという問題点などが存在する。
このような問題点を解決するものとして、特開昭56−311号公報や特開平6−2213号公報には、アクリル繊維中に酢酸セルロースを含有せしめた繊維が開示されている。しかし、酢酸セルロースはアクリロニトリル系重合体に対する相溶性が低く、相分離によって繊維中に大きなボイドを形成してしまうので、繊維の機械的特性低下という新たな問題を発生させてしまう。
以上のように、多孔性を利用しようとする繊維は、吸水性が得られない、吸水速度が遅い、機械的特性が低いという問題点を有しているが、これらの他に、多孔質であるがゆえに静電気が起きやすく、製造時や加工時に扱いにくい、衣料用に用いる場合には静電気によって不快感を生じる、衣服がまつわりつくなどの問題をも起こしてしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べたように、従来の吸水性アクリル繊維は、乾燥工程でボイドが閉塞する、各ボイドが孤立している、ボイドが小さく吸水速度が遅い、あるいはボイドが大きく繊維の機械的特性が低い、さらには静電気を発生しやすいなどの問題点を有している。本発明者は、以上のような問題点を解決すべく検討を進めた結果、アクリル繊維中にアクリロニトリル系重合体に対してある程度の相溶性を有する制電性樹脂を含有せしめ、併せて、紡糸・熱処理方法を改良することで、静電気を起こりにくくしつつ、且つ、吸水速度及び吸水率を向上させることができるという制電性と吸水性を併せ充たす技術を見出し、本発明に到達した。本発明の目的は、十分な機械的特性、制電性を有し、且つ、吸水速度、吸水率が共に優れた吸水性アクリル繊維及びその製造方法、さらには該繊維を用いた繊維構造物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、80重量%以上のアクリロニトリルを結合含有するアクリロニトリル系重合体95〜99重量%及び残部が10〜70重量%のアクリロニトリルを結合含有するアクリル系制電性樹脂1〜5重量%である重合体混合物からなる紡糸原液を湿式紡糸し、延伸後の未乾燥繊維の水分率を50〜130重量%とし、該未乾燥繊維を105〜130℃の温度で湿熱処理を行い、該湿熱処理温度以下の温度で乾燥することによって得られ、吸水速度が0.15g/g以上、且つ吸水率が20重量%以上であることを特徴とする吸水性アクリル繊維により達成される。
【0005】
さらに本発明の目的は、前記アクリル系制電性樹脂が、下記化2で示す共重合成分を30〜90重量%結合含有するアクリル系共重合体であることにより、高度に達成される。
【化2】
【0006】
また、かかる吸水性アクリル繊維は、80重量%以上のアクリロニトリルを結合含有するアクリロニトリル系重合体95〜99重量%及び10〜70重量%のアクリロニトリルを結合含有するアクリル系制電性樹脂1〜5重量%の重合体混合物からなる紡糸原液を湿式紡糸するに際し、延伸後の未乾燥繊維の水分率を50〜130重量%とし、該未乾燥繊維を105〜130℃の温度で湿熱処理を行い、該湿熱処理温度以下の温度で乾燥することを特徴とする製造方法により得られる。
【0007】
また、本発明のさらなる目的は、上述してきた吸水性アクリル繊維を含有する繊維構造物により達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述する。本発明に言うアクリロニトリル系重合体は従来公知のアクリル繊維の製造に用いられるものであればよいが、アクリロニトリルを80重量%以上結合含有することが必要であり、より好ましくは88重量%以上である。アクリロニトリルの含有結合量が80重量%に満たない場合には、各々のミクロボイドが繊維内部で連結しないため、十分な吸水速度及び吸水率が得られなくなる。
【0009】
また、上記アクリロニトリル系重合体において、アクリロニトリルと共重合しうる単量体としては、ビニル化合物であればよく、複数種を共重合しても構わない。代表的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらのエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド又はこれらのN−アルキル置換体;酢酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル又はビニリデン類;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、p−スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸又はこれらの塩類等アクリロニトリルと共重合可能な周知の単量体を挙げることができる。
【0010】
なお、上記アクリロニトリル系重合体として、上述の組成を満たす重合体を複数種用いても構わない。
【0011】
また、本発明に言う制電性樹脂とは、ポリアルキレンオキシド鎖、ポリエーテルアミド鎖、ポリエーテルエステル鎖などの親水性成分を含有する有機高分子化合物を意味する。さらに、本発明に採用するアクリル系制電性樹脂としては、10〜70重量%のアクリロニトリルを結合含有することが必要であり、より好ましくは15〜50重量%、さらに好ましくは15〜30重量%である。アクリロニトリルの結合含有量が10重量%に満たない場合には、上記アクリロニトリル系重合体との相溶性が低く、相分離により大きなボイドが形成されるため、繊維の機械的物性の低下を引き起こす原因となる。また、70重量%を超える場合には、親水性が不足し、十分な吸水速度及び吸水率が得られなくなるし、制電性も十分でない。
【0012】
また上記アクリル系制電性樹脂を形成するアクリロニトリル系重合体には上記親水性成分が含まれている必要があるが、該成分を組み込む方法としては、側鎖上に該成分が組み込まれたビニル単量体をアクリロニトリルと共重合させる方法や反応性官能基を有するビニル単量体をアクリロニトリルと共重合させた後、該成分を含有する反応性化合物をグラフト反応させる方法などが挙げられる。前者の方法においては、アクリロニトリルと共重合させるビニル単量体として、上述の化2で示される単量体を30〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは70〜85重量%使用することが望ましい。なお、この式中でいう低級アルキル基とは、大概炭素数5以下、さらに実用的には3以下のものを指す。またアクリロニトリルとの共重合に際しては、上記のビニル単量体に加えて他のビニル化合物を共重合しても構わないし、その例として例えば少量の架橋性単量体を、後述する該樹脂の水膨潤度の調整に用いることが推奨される。
【0013】
側鎖上に上記親水性成分が組み込まれたビニル単量体の好適な例としては、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートとポリエチレングリコールモノメチルエーテルの反応生成物などが挙げられ、化2で示される単量体の好適な例としては、メトキシポリエチレングリコール(30モル)メタアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(30モル)アクリレート、ポリエチレングリコール−2,4,6−トリス−1−フェニルエチルフェニルエーテルメタアクリレート(数平均分子量約1600)などが挙げられる。また、後者の方法であるグラフト反応させる場合において、反応性官能基を有するビニル単量体の好適な例としては、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられ、親水性成分を含有する反応性化合物の好適な例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0014】
化2で示される単量体の共重合体をアクリル系制電性樹脂とする際、該単量体の共重合割合が30〜90重量%の範囲内である場合には、本発明の目的である制電性を有し、吸水速度、吸水率が共に優れた吸水性アクリル繊維を再現性良く満足的に得ることができるが、化2で示される単量体の共重合割合が30重量%に満たない場合には、得られた繊維の吸水速度及び吸水率が不十分となり易く、また90重量%を超える場合には、アクリロニトリル系重合体との相溶性が低く、相分離により大きなボイドが形成され、繊維の機械的物性が低下する傾向にあるので避けるほうがよい。
【0015】
また、かかるアクリル系制電性樹脂の物理的性質としては、10〜300g/g、好ましくは20〜150g/gの水膨潤度を有し、水及びアクリロニトリル系重合体の溶剤に不溶ではあるが、左記溶剤中では微分散し得るものであることが本発明の目的を達成する上で望ましい。なお、水膨潤度の調整には色々な方法を用いうるが、前記したように架橋性単量体を共重合するとか、化2で示される単量体のlあるいはmの大きさを変更するなどの方法が例示できる。
【0016】
以上に述べてきた、アクリロニトリル系重合体を合成する方法としては、特に制限はなく、周知の重合手段である懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法などを利用することができる。また、アクリル系制電性樹脂を合成する方法としても上記重合方法が利用でき、場合によっては、上述のごとく、親水性成分を導入するためにグラフト反応を利用することもできる。
【0017】
また、アクリロニトリル系重合体及びアクリル系制電性樹脂の本発明の吸水性アクリル繊維に占める割合については、両成分の和が100重量%となるように、アクリロニトリル系重合体を95〜99重量%、アクリル系制電性樹脂を1〜5重量%とする必要がある。この範囲を外れる場合には、紡糸時におけるノズル詰まり、糸切れ等の製造上の問題や十分な吸水速度や吸水率を得られない等の特性上の問題が発生する。
【0018】
次に、本発明に係る吸水性アクリル繊維の製造方法について述べる。本発明に係る吸水性アクリル繊維は、十分な吸水速度や吸水率を発揮させるために、繊維が親水性のミクロボイドを有し、且つ、各ミクロボイドが繊維内部で連結し、表面に連通している構造とすることが望ましい。かかる構造の繊維とするためには、通常の紡糸条件では困難であり、下記の手段を選択することによりなされ得る。
【0019】
即ち、ロダン酸ソーダ等の無機塩を溶剤に用いた場合で説明すれば以下のようになる。まず、上述のアクリロニトリル系重合体を溶解した後に、上述のアクリル系制電性樹脂を直接または水分散体として添加混合した紡糸原液を作製し、ノズルから紡出後、凝固、水洗、延伸の各工程を経て、延伸後の未乾燥繊維の水分率を50〜130重量%、好ましくは60〜120重量%とする。続いて湿熱処理を105℃〜130℃、好ましくは110℃〜125℃で行い、その後湿熱処理温度以下で乾燥することにより本発明にかかる吸水性アクリル繊維が得られる。ここで、延伸後の未乾燥繊維の水分率が50重量%未満の場合には、各々のミクロボイドを繊維内部で連結させ、且つ繊維表面に連通させることができず、130重量%を超える場合には繊維内部に多数の大きなボイドが形成され、可紡性が低下し好ましくない。なお、延伸後の未乾燥繊維の水分率を制御する方法は多数あるが、上記範囲内に制御するには、凝固浴温度としては5℃〜15℃程度、延伸倍率としては7〜15倍程度が望ましい。湿熱処理については105℃に満たない場合は熱的に安定な繊維を得ることができず、130℃を越えるとミクロボイドの閉塞が起こるため発明が達成されない。なおここでいう湿熱処理とは、飽和水蒸気や過熱水蒸気の雰囲気下で加熱を行う処理を意味する。また乾燥条件において、湿熱処理時の温度を超えてしまうとミクロボイドが閉塞してしまうため十分な吸水速度や吸水率が得られなくなり、目的の繊維が得られない。以上ロダン酸ソーダ等の無機塩を溶剤に用いた場合について説明してきたが、有機溶剤を用いる場合でも上記条件は同じである。ただし、溶剤の種類が異なっているので、延伸後の未乾燥繊維の水分率を上記範囲内に制御するには凝固浴温度を40℃以上とするのが望ましい。なお、延伸後の未乾燥繊維の水分率の評価方法については後述する。
【0020】
また、複数の紡糸原液を使用して、シースコア型、サイド−バイ−サイド型、サンドイッチ型、ランダム複合型、海−島型等の形態に複合紡糸し、上記製造方法と同様の処理を施して繊維形成することも可能である。この場合の紡糸原液の組み合わせとしては、例えば、上記のアクリロニトリル系重合体及びアクリル系制電性樹脂を含有する紡糸原液に、それとは別のアクリロニトリル系重合体及びアクリル系制電性樹脂を含有する紡糸原液やアクリロニトリル系重合体のみを含有する紡糸原液を組み合わせることができる。もちろん、紡糸原液の種類が2種類より多くても構わないことは言うまでもない。
【0021】
以上のような方法で製造された吸水性アクリル繊維は、機械的特性を維持したまま、制電性と併せて吸水速度が0.15g/g以上、且つ吸水率が20重量%以上という優れた性能を発揮するものである。このような本発明にかかる吸水性アクリル繊維の特徴は、紡績等の後加工を容易とし、優れた吸水性を有する様々な繊維構造物の製造を可能とするものでもある。
【0022】
本発明にかかる吸水性アクリル繊維を含有する繊維構造物としては、糸、ヤーン(ラップヤーンも含む)、フィラメント、織物、編物、不織布、紙状物、シート状物、積層体、綿状体(球状や塊状のものを含む)などを挙げることができる。また、該繊維構造物形成にあたっては、本発明にかかる吸水性アクリル繊維を単独で使用してもよいし、公用されている天然繊維、有機繊維、半合成繊維、合成繊維や、さらには無機繊維、ガラス繊維などを併用することもできる。なお、繊維構造物中に本発明にかかる吸水性アクリル繊維が占める割合については、該繊維構造物の用途において求められる吸水性、機械的特性などを満足するよう適宜選択すればよい。
【0023】
本発明にかかる繊維構造物の吸水能力を例示すれば、繊度1.7デシテックスの本発明にかかる吸水性アクリル繊維のみからなる目付70g/m2の不織布を作成した場合、該不織布のJIS L1907吸水速度B法(バイレック法)に準じて測定した水吸い上げ長は30秒間で20mm以上となる。この数値は、同条件で測定した従来の吸水性アクリル繊維やレーヨンなどの不織布の水吸い上げ長を上回る数値であり、本発明にかかる吸水性アクリル繊維を不織布等の繊維構造物の材料として含有せしめることで、該繊維構造物に優れた吸水性を付与することができることを示唆している。
【0024】
上述してきた本発明にかかる吸水性アクリル繊維の優れた性能は、該吸水性アクリル繊維の組成と構造によりもたらされるものであると考えられる。すなわち、本発明にかかる吸水性アクリル繊維はアクリロニトリル系重合体に対してある程度の相溶性を有するアクリル系制電性樹脂を含有せしめているが、この「ある程度の相溶性」を有することと延伸後の未乾燥繊維の水分率を制御したことが相俟って、潜在的に付与され、後工程によって顕在化した構造において、アクリロニトリル系重合体とアクリル系制電性樹脂の界面では、完全な相分離は起こらず、部分的にのみ相分離が起きると考えられる。従って、形成されるのは大きなボイドではなく、ミクロボイドのみであるため、繊維の機械的特性は低下しない。また、形成されるミクロボイドは、一部が親水性の強い基を持つ単量体を多く結合含有したアクリル系制電性樹脂で構成されているので親水性を有しており、さらに、前記水分率を制御したことによって各ミクロボイドは連結され、繊維表面に連通した構造をとっているため、ミクロボイドでありながら、優れた吸水速度、吸水率を示すことができると考えられる。
【0025】
【実施例】
以下に本発明の理解を容易にするために実施例を示すが、これらはあくまで例示的なものであり、本発明の要旨はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例中、部及び百分率は特に断りのない限り重量基準で示す。また、実施例において記述する制電性樹脂の水膨潤度、延伸後の未乾燥繊維の水分率、得られた繊維の吸水速度、吸水率及び制電性、不織布の水吸い上げ長は下記の方法で測定したものである。
【0026】
(1)水膨潤度
制電性樹脂約0.5gを純水中に浸漬し、25℃で24時間経過後、水膨潤状態の制電性樹脂を濾紙の間にはさみ樹脂粒子間の水を除去する。このようにして調製した試料の重量(W1とする)を測定する。次に該試料を80℃の真空乾燥機中で恒量になるまで乾燥して重量(W0とする)を測定する。以上の結果より、次式に従って水膨潤度を計算する。
水膨潤度(g/g)=(W1−W0)/W0
【0027】
(2)延伸後の未乾燥繊維の水分率
延伸後、湿熱処理前の未乾燥繊維を純水中に浸漬した後、遠心脱水機(国産遠心機(株)社製TYPE H−770A)で遠心加速度1100G(Gは重力加速度を示す)下2分間脱水する。脱水後重量を測定(W3とする)後、該未乾燥繊維を120℃で15分間乾燥して重量を測定(W2とする)し、次式により計算する。
延伸後の未乾燥繊維の水分率(%)=(W3−W2)/W2×100
【0028】
(3)吸水速度
繊維約5gを解繊した後、ガーゼに包み、30℃に調整したイオン交換水に30秒間浸漬する。浸漬後、ガーゼに包んだ状態のまま、直ちに遠心脱水機(同上)で遠心加速度1100G(Gは重力加速度を示す)下2分間脱水する。脱水後ガーゼから繊維を取り出し、重量を測定(W5とする)後、80℃にて乾燥して重量を測定(W4とする)して次式により計算する。
吸水速度(g/g)=(W5−W4)/W4
この値は従来の吸水性多孔質アクリル繊維では0.05g/g程度であるが、これに対して本発明の吸水性アクリル繊維は0.15g/g以上という高い数値を示す。
【0029】
(4)吸水率
繊維10gをガーゼに包み、25℃のイオン交換水に24時間浸漬した後、遠心脱水機(同上)を用い、遠心加速度1100G下2分間脱水し、繊維間の水を除去する。脱水後の繊維重量を測定(W7とする)後、80℃真空乾燥機中で恒量になるまで乾燥して重量を測定(W6とする)し、次式により計算する。
吸水率(%)=(W7−W6)/W6×100
【0030】
(5)制電性
予め、繊維の繊度(Tテックスとする)及び比重dを常法で測定する。次に、繊維を0.1%ノイゲンHC水溶液中で浴比1:100として60℃×30分間スコアリング処理し、流水で洗浄後、70℃で1時間乾燥する。この繊維を6〜7cm程度の長さに切断し、20℃、相対湿度65%の雰囲気下に3時間以上放置する。得られた繊維(フィラメント)を5本束とし、繊維束の一方の端に導電性接着剤を5mm程度塗布する。この繊維束に900mg/テックスの荷重を加えた状態で、導電性接着剤が塗布された位置から5cm程度離れた位置に上記導電性接着剤を塗布し(このときの導電性接着剤間距離をL(cm)とする)、測定試料とする。該測定試料に900mg/テックスの荷重を加えた状態で導電性接着剤塗布部に電極を接続し、直流500Vを印加したときの抵抗R(Ω)をHigh RESISTANCE METER 4329A(YOKOGAWA−HEWLETT−PACKARD製)で測定し、次式より体積固有抵抗を算出した。制電性を発揮するには、この値が109Ω・cm未満であることが望ましく、この値を超えてしまうと制電性を得ることは難しくなってくる。
体積固有抵抗(Ω・cm)=(R×T×10−5)/(L×d)
【0031】
(6)水吸い上げ長
繊維をニードルパンチ法によって目付70g/m2の不織布とし、これを測定試料とする。該測定試料について、JIS L1907吸水速度B法(バイレック法)に準拠して、測定試料下端を水に浸漬して30秒後の水吸い上げ長を測定した。
【0032】
<アクリロニトリル系重合体及びアクリル系制電性樹脂の製造>
表1に示す組成で水系懸濁重合を行い、アクリロニトリル系重合体A、B、C、D、E及びアクリル系制電性樹脂a、c、dを作成した。また、樹脂bについては、まずポリエチレングリコールモノメチルエーテル(数平均分子量750)と2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを窒素雰囲気下、トルエン中において60℃で反応させてマクロモノマーを合成した後、得られたマクロモノマーとアクリロニトリルを水系懸濁重合させることによって作成した。なお、表中の略号はそれぞれ、AN:アクリロニトリル、MA:アクリル酸メチル、SMAS:メタアリルスルホン酸ナトリウム、VAc:酢酸ビニル、M30:メトキシポリエチレングリコール(30モル)メタアクリレート、MOI:2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、PEGME:ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを示している。また、アクリル系制電性樹脂については上記測定方法より求めた水膨潤度を併記した。
【0033】
【表1】
【0034】
<実施例1〜3、比較例1>
50%ロダン酸ナトリウム水溶液900部に対して、表2に示す割合でアクリロニトリル系重合体を溶解させた後、水に分散させたアクリル系制電性樹脂を添加混合する方法で紡糸原液を作成した。得られた紡糸原液を用いて紡糸を行い、実施例1〜3及び比較例1の繊維を作成した。なお、紡糸条件は、5℃の12%ロダン酸ナトリウム水溶液中で凝固を行い、次いで水洗、12倍延伸を施し、得られた未乾燥繊維を116℃×10分間の条件でスチームを用いて湿熱処理を行い、さらに110℃で10分間乾燥する方法で実施した。表2に延伸後の未乾燥繊維の水分率及び得られた繊維の吸水速度、吸水率、体積固有抵抗を測定した結果を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
実施例1〜3については、いずれも優れた吸水速度、吸水率を示し、体積固有抵抗の小さい繊維が得られた。これらに対して、比較例1では、109Ω・cm未満の体積固有抵抗を示すものの、吸水速度及び吸水率は共に低い数値を示した。これは、重合体中のアクリロニトリルの割合が少ないことで、紡糸時に各々のミクロボイドが連結せず、繊維内部へ水分が浸透しづらい繊維構造になってしまったためと考えられる。
【0037】
<実施例4、5、比較例2、3>
実施例1の重合体Aと樹脂aの割合を表3のように変える以外は実施例1と同様の方法で紡糸原液を作成し、紡糸を行った。表3に実施例4、5及び比較例2、3の延伸後の未乾燥繊維の水分率及び得られた繊維の吸水速度、吸水率、体積固有抵抗を測定した結果を示す。
【0038】
【表3】
【0039】
実施例4、5については、いずれも優れた吸水速度、吸水率を示し、体積固有抵抗の小さい繊維が得られた。比較例2ではアクリル系制電性樹脂が多すぎるため、紡糸時にノズル詰まりや糸切れが発生し、繊維を得ることができなかった。また、比較例3では、ミクロボイドが繊維表面まで連通する構造にはなるので吸水率は得られるが、アクリル系制電性樹脂を全く使用していないためにミクロボイドが親水性に乏しくなり、吸水速度は低く、体積固有抵抗は非常に高くなった。
【0040】
<実施例6〜8、比較例4>
表4に示す割合で、実施例1と同様の方法を用いて紡糸原液を作成し、紡糸を行った。表4に実施例6〜8及び比較例4の延伸後の未乾燥繊維の水分率及び得られた繊維の吸水速度、吸水率及び体積固有抵抗を測定した結果を示す。
【0041】
【表4】
【0042】
実施例6〜8については、いずれも優れた吸水速度、吸水率を示し、体積固有抵抗の小さい繊維が得られた。また、比較例4では比較例2と同様に、繊維構造はミクロボイドが連結したものとなっているので吸水率は得られるが、樹脂d中の親水性成分を有するモノマーの共重合割合が少ないので、体積固有抵抗は幾分高くなり、また、ミクロボイドも親水性不足となり吸水速度が低くなるという結果となった。
【0043】
<実施例9、比較例5>
実施例3と同じ紡糸原液を使用して、実施例3の紡糸条件に対し、表5に示すような条件の変更を加えて、紡糸を行った。表5に実施例9及び比較例5の延伸後の未乾燥繊維の水分率及び得られた繊維の吸水速度、吸水率及び体積固有抵抗を測定した結果を示す。
【0044】
【表5】
【0045】
実施例9については、操業性は良好ではないものの、優れた吸水速度、吸水率を示し、体積固有抵抗の小さい繊維が得られた。比較例5では吸水率および吸水速度が不十分であった。これは、凝固浴温度を低くしたことで、延伸後の未乾燥繊維の水分率が低くなり、ミクロボイドとなるべき空間が減少した結果、得られた繊維に含まれるミクロボイドが少なくなり、各ミクロボイドの連通も不十分となったことが原因と考えられる。
【0046】
<実施例10、比較例6〜9>
実施例1と同じ紡糸原液を使用して、実施例1の紡糸条件に対し、表6に示すような条件の変更を加えて、紡糸を行った。表6に実施例10及び比較例6〜9の延伸後の未乾燥繊維の水分率及び得られた繊維の吸水速度、吸水率及び体積固有抵抗を測定した結果を示す。
【0047】
【表6】
【0048】
実施例10については、優れた吸水速度、吸水率を示し、体積固有抵抗の小さい繊維が得られた。比較例6〜9では、いずれも体積固有抵抗は109Ω・cm未満となるものの、吸水速度及び吸水率は不十分であった。これは、ミクロボイドとなるべき空間は形成されるものの、変更した条件により繊維中のミクロボイドが閉塞もしくは減少してしまうため、性能低下が起きたためと考えられる。なお、比較例8については、湿熱処理温度が高すぎるために乾燥工程時の熱収縮の度合いが大きくなり、このことがミクロボイドの閉塞もしくは減少につながったと考えられる。
【0049】
<実施例11>
表7に示す割合で、実施例1と同様の方法を用いて紡糸原液X及びYを作成した。作成した紡糸原液X及びYを通常のサイド−バイ−サイド型複合繊維紡糸口金を介して、X/Y比を50/50とし、その他の条件は実施例1と同様にして複合紡糸を行った。その結果、延伸後の未乾燥繊維の水分率は83%となり、得られた繊維は、吸水速度0.23g/g、吸水率26%、体積固有抵抗0.07×109Ω・cmという、優れた特性を有する繊維であった。
【0050】
【表7】
【0051】
<実施例12、13、比較例10、11>
上述した方法で表8に示す繊維の不織布を作成し、水吸い上げ長を測定した。測定結果を表8に示す。なお、使用した繊維の繊度はいずれも1.7デシテックスである。
【0052】
【表8】
【0053】
実施例12、13の不織布は、制電性樹脂を含有しない比較例3の繊維を使用した比較例10の不織布に対しては2倍以上、レーヨンを使用した比較例11の不織布に対しては4倍以上という高い水吸い上げ長を示した。本発明にかかる吸水性アクリル繊維を用いることで吸水性に優れた繊維構造物を作成することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明にかかる吸水性アクリル繊維は、制電性樹脂として、親水性を有し、且つ、アクリロニトリル系重合体とある程度の相溶性を有する高分子化合物を使用し、また、紡糸において、延伸後の未乾燥繊維の水分率を50〜130重量%に制御し、延伸後未乾燥繊維の湿熱処理工程及び該湿熱処理温度以下の温度での乾燥工程を採用することにより、親水性を有すると共に、互いに連結し、繊維表面に連通したミクロボイドを繊維中に形成せしめたものである。このような特徴を有する本発明にかかる吸水性アクリル繊維は、十分な機械的特性及び制電性を有し、且つ、吸水速度、吸水率が共に優れた繊維であり、該繊維を利用した繊維構造物も優れた吸水性を有しているので、衣料用途や産業資材用途など幅広い分野での利用が期待される。
Claims (3)
- 80重量%以上のアクリロニトリルを結合含有するアクリロニトリル系重合体95〜99重量%及び残部が10〜70重量%のアクリロニトリルを結合含有するアクリル系制電性樹脂1〜5重量%である重合体混合物からなる紡糸原液を湿式紡糸し、延伸後の未乾燥繊維の水分率を50〜130重量%とし、該未乾燥繊維を105〜130℃の温度で湿熱処理を行い、該湿熱処理温度以下の温度で乾燥することによって得られ、吸水速度が0.15g/g以上、且つ吸水率が20重量%以上であることを特徴とする吸水性アクリル繊維。
- 請求項1または2のいずれかに記載の吸水性アクリル繊維を含有する繊維構造物。
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