JPH06346351A - アクリル系繊維不織布 - Google Patents

アクリル系繊維不織布

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JPH06346351A
JPH06346351A JP5130575A JP13057593A JPH06346351A JP H06346351 A JPH06346351 A JP H06346351A JP 5130575 A JP5130575 A JP 5130575A JP 13057593 A JP13057593 A JP 13057593A JP H06346351 A JPH06346351 A JP H06346351A
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JP
Japan
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oil
water
weight
acrylic fiber
nonwoven fabric
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Application number
JP5130575A
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English (en)
Inventor
Masashi Orino
昌司 折野
Akiteru Kuroda
明輝 黒田
Tadayuki Matsumoto
忠之 松本
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Sanitary Thin Papers (AREA)
  • Cleaning Implements For Floors, Carpets, Furniture, Walls, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】下記式で示される単量体50〜90重量%とア
クリロニトリル10〜50重量%との親水性共重合体が
付与されてなることを特徴とするアクリル系繊維不織
布。 【化1】 (式中、RはHまたはCH3 ;XはOH、C18以下のア
ルコキシ基、ハロゲン、C18以下のスルフィド基、アミ
ノ基、フェノキシ基、ナフトキシ基またはそれらの誘導
体。0≦m<l,l>20) 【効果】吸水性と吸油性の通常では相反する機能を兼備
えている。特に保水後の吸油性能、保油後の吸水性能お
よび油水懸濁液の拭き取り性に優れているため、各種ワ
イピングクロス等の用途に最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアクリル系繊維不織布に
関するものである。更に詳細にはアクリル系繊維表面が
親水化されてなり、優れた吸水性と吸油性の両機能と共
に、嵩高性・柔軟風合等の実用性能を兼備し、しかも加
工上の問題のない油水吸着材等に用いられるアクリル系
繊維不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、公害対策、流出油、廃油処理対策
用の油専用吸着材としては、ポリプロピレン系、ポリス
チレン系、ポリウレタン系、パルプ系などが実用化され
ているが、石油消費の増大につれて、油を含む産業排
水、とりわけ工場排水、家庭排水等に懸濁している油類
が増加し、活性汚泥等排水の処理技術を困難にしてい
る。油水吸着するにはポリプロピレン系、ポリスチレン
系、ポリウレタン系等は全く吸水・吸湿性がないため吸
水性を備えた不織布等を製造することは本質的困難性が
内在している。
【0003】そこで、かかる不織布の吸水性不足を改良
するために高度の水膨潤性を有する有機重合体を不織布
繊維間に含有させたり、吸水性繊維を混合させる等の手
段も試みられているが、吸水・吸油を同時に要求される
用途分野においては、この方法も適用され得ない。
【0004】また、パルプ系等も含水量が高く、保水後
の吸油性能を高くすることは困難がある。また一般的な
合成繊維であるポリエステル、ポリアミド、レーヨン等
も吸水・吸油両機能を同時に保有させること、なかでも
保水後の吸油性を高めるには困難がある。例えば、油水
用ワイピングクロス等には従来木綿衣料の編織物である
油用ウエスが代用されているが、パルプ系と同じく基質
的にも、また繊維組織構造的にも満足すべきものになっ
ていない。
【0005】一方、アクリル系繊維は、その特徴として
柔軟な風合、嵩高性、鮮明な発色性、合成繊維中最も優
れた耐候性、耐薬品性等により、主に衣料、インテリ
ア、寝装資材分野等への用途を展開してきた。
【0006】しかしながら、従来アクリル系繊維は不織
布の改善を目的としたものではなく、主として紡績加工
工程の通過性改良と編織物製品の風合改善を目的とし
て、原綿段階で油剤処理が行われてきた。その場合の油
剤としては、例えば、特公昭41−6295号公報およ
び特公昭62−223379号公報にみられるごとく、
主にポリエーテル系ノニオン油剤あるいは脂肪酸エステ
ル系油剤が用いられてきた。
【0007】かかる従来技術において供給される不織布
用原綿は、紡績加工と異なり不織布加工時の種々の問題
および吸水・吸油性に関して従来の各種製品と同様に不
十分である等の問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題はアクリ
ル系繊維本来の柔軟な風合、嵩高性、高次加工性等の実
用性能を備えており、しかも保水後の吸油性および保油
後の吸水性の両機能を同時に兼備する画期的な不織布を
提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次の構成を有する。すなわち、下記式で示
される単量体50〜90重量%とアクリロニトリル10
〜50重量%との親水性共重合体が付与されてなるアク
リル系繊維不織布である。
【0010】
【化2】 (式中、RはHまたはCH3 ;XはOH、C18以下のア
ルコキシ基、ハロゲン、C18以下のスルフィド基、アミ
ノ基、フェノキシ基、ナフトキシ基またはそれらの誘導
体。0≦m<l,l>20) 本発明のアクリル系繊維不織布を構成する繊維の素材ポ
リマーとしては、公知の繊維形成性を有するアクリル系
ポリマー、即ち30モル%以上のアクリロニトリル(以
下、AN)を含有するモダクリル系ポリマーや80モル
%以上のANを含有するアクリル系ポリマーおよびこれ
らのコポリマーを用いることができる。このようなアク
リル系ポリマーの共重合モノマーには、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸およびこれらの低級アルキルエステ
ル類、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、塩化ビニリデ
ン等のビニル系化合物の外に、ビニルスルホン酸、アリ
ルスルホン酸、メタリルスルホン酸、p−スチレンスル
ホン酸等の不飽和スルホン酸およびこれらの塩類などの
酸性モノマー類の一種以上を用いることができる。
【0011】さらに、アクリル系ポリマーには、アクリ
ロニトリル−スチレンコポリマー、酢酸セルロースおよ
びメタクリル酸メチル系ポリマーなどを全ポリマーに対
して1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%程度ブレ
ンドする場合には、繊維の微多孔質化に基づき、吸水性
能の優れたアクリル系繊維とすることができ、好まし
い。
【0012】本発明の不織布を構成する3デニール以下
のアクリル系繊維は、公知の各種アクリル系繊維の製造
法、例えば、湿式紡糸、乾式紡糸および乾湿式紡糸等の
手段で繊維化し、特定油剤付与と熱処理を一体的に施す
ことにより製造することが可能であり、必要ならば片側
にポリマー組成の異なるアクリル系ポリマーを使用し
て、サイドバイサイド型、芯鞘型、多層型等の複合繊維
とすることもできる。
【0013】本発明の不織布を構成するアクリル系繊維
の単繊維繊度は、3デニール以下、さらに2デニール以
下、特に1.5デニール以下とするのが好ましい。
【0014】アクリル系繊維の単繊維繊度が3デニール
を越えると、不織布の表面積が小さくなり繊維表面に親
水性共重合組成物を付与しても、ぬれ性能と繊維間の毛
細管現象が有効に活用できず、また、ソフトな風合、優
れた嵩高性とすることができない。
【0015】本発明のアクリル系繊維不織布は、公知の
各種不織布製造法、例えば、ニードルパンチ法、サーマ
ルボンド法、ケミカルボンド法、水流交絡法等の手段で
製造することができる。なかでも、ニードルパンチ法と
サーマルボンド法の併用または水流交絡法での不織布化
が好ましい。
【0016】本発明の不織布は、保水後の吸油時間と保
油後の吸水時間の積を50 sec2 /mm以下、さらには2
5 sec2 /mm以下、特に10 sec2 /mmとするのが好ま
しい。
【0017】ここで、保水後の吸油時間とは、次のよう
にして求められる値をいう。
【0018】10cm×10cmの不織布試験片(重量A
g)を25℃の水の液面に浮かべ、30分間静置浸漬し
た試験片を取り出し、17mmのメッシュ状金網上で5分
間放置した後、内径22cmの遠心脱水機を用いて180
0rpm で5分間遠心脱水を行った直後の試験片の重量
(Bg)を測定する。これらA,Bの値から、{(B−
A)/A}×100により求められた試験片の重さ1g
当りの保水量を保水率(%)とする。
【0019】このように保水率測定後の不織布試験片を
25℃の白絞油の液面に浮かべ、試験片表面まで白絞油
が完全に浸漬するに要した時間を保水後の吸油時間(se
c )とする。
【0020】また、保油後の吸水時間とは、次のように
して求められる値をいう。
【0021】10cm×10cmの不織布試験片(重量A
g)を25℃の白絞油の液面に浮かべ、30分間静置浸
漬した試験片を取り出し、17mmのメッシュ状金網上で
5分間放置した後、内径22cmの遠心脱水機を用いて1
800rpm で5分間遠心脱油を行った直後の試験片の重
量(Bg)を測定する。これらA,Bの値から、{(B
−A)/A}×100により求められた試験片の重さ1
g当りの保油量を保油率(%)とする。
【0022】このように保油率測定後の不織布試験片を
25℃の水の液面に浮かべ、試験片表面まで水が完全に
浸漬するに要した時間を保油後の吸水時間(sec )とす
る。また、保水後の吸油時間と保油後の吸水時間の積と
は、これら吸油時間と吸水時間の積を不織布の厚さ(m
m) で規格化した値をいう。したがって、単位は sec2
/mmとなる。保水後の吸油時間と保油後の吸水時間の積
が50 sec2 /mmを越える不織布は、保水後の吸油時間
もしくは保油後の吸水時間が長く、吸水性と吸油性の両
機能を同時に満足することが容易でない。
【0023】また、本発明の不織布は、保水後の吸油量
が自重の10倍以上、さらには15倍以上、保油後の吸
水量が自重の10倍以上、さらには15倍以上とするの
が好ましい。それぞれの吸着量が自重の10倍未満では
吸着材、ワイピング材としての機能を向上させることが
容易でない。
【0024】また、本発明の不織布は、油水懸濁液のふ
き取り率が60%以上、さらには70%以上とするのが
好ましい。油水懸濁液のふき取り率が60%未満ではテ
ーブル、床面に落下した油水の吸収性を向上させるこ
と、ひいてはワイピング特性を優れたものにすることが
容易でない。
【0025】本発明のアクリル系繊維不織布を得るため
の方法の例について、以下説明する。
【0026】上記アクリル系ポリマーは、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド(以下、DMSO)などの有機溶剤や、ロダンリチウ
ム、ロダンカリウム、ロダンナトリウムなどのアルカリ
金属のロダン塩、ロダンアンモン、塩化亜鉛、過塩素酸
塩などの無機溶剤に適宜溶解し、ポリマー濃度が10〜
25重量%程度の紡糸原液とする。
【0027】湿式紡糸の場合を例示すれば、得られる紡
糸原液は、通常の紡糸口金より凝固浴中に吐出され、凝
固浴で凝固した糸条は、延伸、親水性共重合組成物付
与、乾燥緻密化、油剤付与、熱処理等を経て繊維化され
る。
【0028】この場合の凝固浴は、前記ポリマー溶媒と
水からなっている。単繊維繊度3デニール以下の比較的
細いアクリル系繊維は、単繊維繊度の太いアクリル系繊
維に比べ、紡糸ドラフトが高くなるため、可紡性、延伸
性等の紡糸性が低下しやすく、単繊維繊度1.5デニー
ル以下の場合には特にこの傾向が顕著である。可紡性低
下を防止するため、凝固浴中の溶媒濃度は通常10〜8
5重量%、さらには55〜75重量%とするのが好まし
く、凝固浴温度は通常20〜50℃、さらには30〜4
5℃とするのが好ましい。このような条件をとることに
より、糸切れのない単繊維繊度1.5デニール以下のア
クリル系繊維糸条を容易に得ることができ、単繊維繊度
1デニール以下の場合にはより効果が著しい。
【0029】凝固浴より導出された凝固糸は、水洗また
は水洗と同時に延伸、延伸後水洗または水洗後延伸など
の処理が行われるが、延伸切れを防ぐ観点から、3倍以
上、さらには4〜7倍の倍率で延伸するのが好ましい。
【0030】かくして得られたアクリル系繊維は上記一
般式(A)で示される単量体50〜90重量%とAN1
0〜50重量%との共重合体溶液または該共重合体の分
散液中に浸漬すれば、該共重合体を水膨潤状態にあるア
クリル系繊維に含浸させて付与することができる。
【0031】本発明に用いる一般式(A)で示される単
量体とANとの共重合体は、該単量体の共重合割合を5
0〜90重量%の範囲内とするものである。即ち、上記
一般式で示される単量体の共重合割合が50重量%未満
の場合には、本発明の目的とする吸水・吸油性能を同時
に保有したアクリル系繊維不織布とするのが難しく、一
方、90重量%を越える時は、該共重合体の親水性が大
となりすぎ、保水後の吸油特性、油水懸濁液の吸収特性
が低下するのである。
【0032】また、繊維に付与すべき共重合体におい
て、AN共重合割合が10重量%未満の場合には、共重
合体の融点が低くなるうえ、アクリル系繊維に対する親
和性が小さくなるし、50重量%を越えると共重合体が
べとつき気味になり、ソフト感のある風合を付与するこ
とが困難になるのである。
【0033】本発明で用いる上記一般式(A)で示され
る単量体としては、ポリアルキレングリコールアクリレ
ート類またはポリアルキレングリコールメタクリレート
類であって、たとえばポリエチレングリコール(以下P
EGという)アクリレート、PEGメタクリレート、P
EGポリプロプレングリコールアクリレート、PEGポ
リプロプレングリコールメタクリレート、メトキシPE
Gアクリレート、エトキシPEGメタクリレート、プロ
ポキシPEGアクリレート、塩素化PEGアクリレー
ト、フェノキシPEGアクリレート、ナフトキシPEG
アクリレート、ハイドロゲンスルフィドPEGアクリレ
ート等があげられる。
【0034】また、本発明に用いる上記一般式(A)で
示される単量体とANとの共重合体に加えて、さらに第
3共重合成分として重合性不飽和ビニル化合物を、上記
所望の効果が失わない範囲内において共重合させてもよ
い。かかる重合性不飽和化合物としては、たとえば、ア
クリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステル類、ア
クリルアミド、メタクリルアミドおよびこれらのモノア
ルキル置換体、スチレンビニルクロライド、ビニリデン
クロライドおよびビニルアセテートのようなビニルカル
ボキシレート、ビニルピリジン類およびそのアルキル置
換体、アルケニル芳香族スルホン酸、ビニルスルホン酸
およびこれらの塩類などを挙げることができる。
【0035】該共重合体の重合方法としては、付加重合
体を製造するために採用されている従来の方法を適用で
きるが、得られた重合体を取り出し溶解または分散させ
ることなく希釈するだけでそのまま分散液として使用す
ることができる乳化重合を用いるのが実用上好ましい。
【0036】得られた共重合体は、水、揮発性有機溶媒
または他の適当な溶媒により溶液または分散液として適
用されるが、実用上は水が有利に用いられる。即ち水を
用いるときは有機溶媒のように毒性、火災の危険性を考
慮しなくてよく、作業性および経済性の点で有利であ
る。
【0037】次に、アクリル系繊維に該共重合体を付与
せしめるには該共重合体溶液または該共重合体の分散液
に該繊維を浸漬するか、または該溶液または分散液を噴
霧することによって行なわれ、ついで過剰の該共重合体
処理液を絞って除去し、該共重合体の付着量が繊維に対
して0.1〜4重量%、さらには0.3〜2.0重量%
になるようにするのが好ましい。0.1重量%未満では
十分な吸水・吸油性を得るのは容易でなく、4重量%を
越えるとその後の工程で繊維の滑りによって、例えば、
捲縮付与性が悪化したり、ウェッブ化工程での交絡性不
良によるウェッブだれの発生および不織布製品の油水吸
収機能が低下するなどの問題を防ぐのが容易でない。
【0038】本発明においては、該共重合体に含まれる
AN成分がアクリル系繊維に対して強い親和性を有して
いるために、特に水膨潤状態にあるアクリル系繊維に対
して処理すると該共重合体がアクリル系繊維内部に浸透
し、該繊維に強固に保持され、極めて脱落し難くなるの
である。
【0039】一般に重合体を含浸させた場合は、アクリ
ル系繊維の緻密化阻害が起り易い傾向を有するのである
が、本発明に用いられる共重合体はこのような障害の全
くない非常に適当なものであって、水に対する適度の分
散性、アクリル系合成繊維への浸透性、親和性を兼ね備
えているため、アクリル系繊維の他の特性を損なうこと
がない、という特徴がある。
【0040】本発明の不織布を得るには、この乾燥緻密
化前の親水性共重合体付与後、通常の乾燥緻密化および
仕上油剤付与処理を行う。仕上油剤はアニオン系、カチ
オン系、ノニオン系等のいずれでもよいが、ノニオン系
が好ましく用いられる。
【0041】さらに本発明の不織布を得るには、この仕
上油剤付与後に適当な機械捲縮付与および伸度向上のた
めの熱処理を施すことが不織布化、特にニードルパンチ
性向上のため好ましい。
【0042】アクリル系繊維に付与する機械捲縮は、カ
ード等でウェッブだれが生じ操業性が低下するのを防ぐ
一方、カードでのネップが著しく生じ、カーディングの
操作性が不良になるのを防ぐとともに、ニードルパンチ
後のフェルト製品外観が著しく損なわれるのを防ぐ観点
から、捲縮数を3〜15山/インチ、さらに6〜12山
/インチ、捲縮度を7%以上とするのが好ましい。
【0043】さらに捲縮付与後に弛緩状態で蒸熱処理す
ることによってアクリル系繊維の引張伸度をさらに向上
させることができる。その際の蒸熱処理温度は102℃
以上、さらには105℃〜125℃とするのが好まし
い。
【0044】かくして得られたアクリル系繊維は吸水・
吸油性不織布にするため、通常の不織布化、例示すれば
ニードルパンチ法、サーマルボンド法、水流交絡法など
の手段で不織布化される。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、本例中の諸特性は次のようにして測定
して求めた。
【0046】[一般物性]JIS L−1015、JI
S L−1096の試験法により測定した。
【0047】[保水率] (1)10cm×10cmの不織布試験片(重量Ag)を2
5℃の水の液面に浮かべ、30分間静置浸漬する。
【0048】(2)浸漬した試験片を17mmのメッシュ
状金網上で5分間放置した後、内径22cmの遠心脱水機
を用い、1800rpm で5分間遠心脱水を行った直後の
試験片の重量(Bg)を測定する。
【0049】(3)試験片の重さ1g当りの保水量を測
定する。
【0050】 保水率(%)={(B−A)/A}×100 [保油率]保水率の測定法において、水に代えて白絞油
を用いた他は全く同様にして測定し、保油率とする。
【0051】[吸水時間]10cm×10cmの不織布試験
片を25℃の水の液面に浮かべ、試験片表面まで水が完
全に浸漬するに要した時間(sec)とする。
【0052】[吸油時間]吸水時間の測定において、水
に代えて白絞油を用いた他は全く同様にして測定した、
試験片表面まで白絞油が浸漬するに要した時間(sec )
とする。
【0053】[吸水率] (1)10cm×10cmの不織布試験片(重量Ag)を2
5℃の水の液面に浮かべ、30分間静置浸漬する。
【0054】(2)浸漬した試験片を17mmのメッシュ
状金網上で5分間放置した後、試験片の重量(Cg)を
測定する。
【0055】(3)試験片の重さ1g当りの吸水量を測
定する。
【0056】 吸水率(%)={(C−A)/A}×100 [吸油率]吸水率の測定において、水に代えて白絞油を
用いた他は全く同様にして測定し、吸油率とする。
【0057】[拭き取り率] (1)ステンレス板上に乗せた不織布試験片(5cm×8
cm)に100gの荷重を均一にかける。
【0058】(2)試験片の拭き取り方向に油水懸濁液
(白絞油50/水50)を2gステンレス板上に滴下
し、20秒間自然拡散させる。
【0059】(3)試験片を20cm/2秒の一定速度
で、20cm移動させて拭き取る。
【0060】(4)拭き取った油または油水懸濁液の重
量(Dg)を測定する。
【0061】 拭き取り率(%)={D(g) /2(g) }×100 (実施例1、比較例1〜5)AN25重量%と下記式で
表わされるモノマー75重量%を濃度が15重量%にな
るように水中で乳化重合を行い、メトキシポリエチレン
グリコールメタクリレートとアクレロニトリルの親水性
共重合組成物を得た。
【0062】
【化3】 さらにAN94.2モル%、アクリル酸メチル5.5モ
ル%およびメタリルスルホン酸ソーダ0.3モル%をD
MSO中で溶液重合し、溶液粘度180ポイズ/45
℃、濃度22.5重量%の紡糸原液を作製した。この紡
糸原液を通常の湿式紡糸用口金(孔径0.055mmφ、
50,000H)を用いて温度35℃、DMSO濃度6
5重量%の凝固浴に導き凝固糸とした。
【0063】凝固糸は引続き98℃の熱水中に導き6倍
延伸を行い、その延伸糸条に含まれる2種類のモノマー
を温水で十分に洗浄した。得られた水膨潤繊維を2%に
希釈した該親水性共重合体の分散液に浸漬した後(この
時の繊維に対する該親水性共重合体の付着量は0.5重
量%)、160℃で乾燥緻密化し、非イオン系の仕上油
剤付与、機械捲縮付与に引続き102℃の蒸熱中、弛緩
状態で熱処理し、70℃の熱風で乾燥し、表1に示す特
性をもったアクリル系繊維を得た。
【0064】このアクリル系繊維を38mmにカットし、
不織布用カードマシンとクロスラッパー装置によりウェ
ッブを作製し、通常の有刺針(9パーツ)で表裏交互に
200本/cm2 ニードルパンチを行い、目付け200g
/ m2 の不織布を得た(実施例1)。
【0065】なお、比較のため、該親水性共重合体を用
いない他は上記と同様にして通常のアクリル系繊維の不
織布を得た(比較例1)。
【0066】さらに、繊維素材の比較のため東レ(株)
製ポリエステル1.5d×38mm、ナイロン1.5d×
38mm、ポリプロピレン1.5d×38mm、旭化成
(株)製のレーヨン1.5d×38mmを用いて同様の不
織布を得た(比較例2、3、4、5)。
【0067】これらの不織布製品の吸水、吸油機能性を
表2に示した。
【0068】
【表1】
【表2】 この結果が示すように、本発明の親水性共重合体を付与
しているアクリル系繊維不織布は、付与していないアク
リル系繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロ
ン、レーヨン不織布に比べて適度な保水性と保油性がバ
ランスよく備わっているため、保水後の吸油特性、保油
後の吸水特性および油水懸濁液の拭き取り性が優れてい
ることがわかる。
【0069】(実施例2、比較例6)実施例1で得た原
綿および比較例5に用いた原綿(レーヨン)を用いて不
織布用カードマシンとクロスラッパー装置によりウェッ
ブを作製した。
【0070】このウェッブに20Kg/cm2 G の水圧水を
噴射し、2 m/分の速度で表裏2回水流交絡を行い、目
付け40g/ m2 のスパンレース不織布を得た。これら
の不織布の吸水、吸油特性を表3に示した。
【0071】
【表3】 この結果が示すように、本発明は低目付のスパンレース
品でも保水後の吸油特性、保油後の吸水特性および油水
懸濁液の拭き取り性が優れていることがわかる。
【0072】
【発明の効果】本発明のアクリル系繊維不織布は、吸水
性と吸油性の通常では相反する機能を兼備えている。特
に保水後の吸油性能、保油後の吸水性能および油水懸濁
液の拭き取り性に優れているため、各種ワイピングクロ
ス等の用途に最適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 15/27

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式で示される単量体50〜90重量%
    とアクリロニトリル10〜50重量%との親水性共重合
    体が付与されてなることを特徴とするアクリル系繊維不
    織布。 【化1】 (式中、RはHまたはCH3 ;XはOH、C18以下のア
    ルコキシ基、ハロゲン、C18以下のスルフィド基、アミ
    ノ基、フェノキシ基、ナフトキシ基またはそれらの誘導
    体。0≦m<l,l>20)
  2. 【請求項2】親水性共重合体の付与量が繊維重量当り
    0.1〜4.0重量%であることを特徴とする請求項1
    記載のアクリル系繊維不織布。
  3. 【請求項3】不織布構成繊維の単繊維繊度が3デニール
    以下であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系
    繊維不織布。
  4. 【請求項4】保水後の吸油時間と保油後の吸水時間の積
    が50 sec2 /mm以下であることを特徴とする請求項1
    記載のアクリル系繊維不織布。
  5. 【請求項5】保水後の吸油量が自重の10倍以上であ
    り、保油後の吸水量が自重の10倍以上であることを特
    徴とする請求項1記載のアクリル系繊維不織布。
  6. 【請求項6】油水懸濁液のふき取り率が60%以上であ
    る請求項1記載のアクリル系繊維不織布。
JP5130575A 1993-06-01 1993-06-01 アクリル系繊維不織布 Pending JPH06346351A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10113222A (ja) * 1996-10-15 1998-05-06 Toray Ind Inc 化粧綿
JP2019090148A (ja) * 2017-11-13 2019-06-13 日本エクスラン工業株式会社 保液性不織布および該不織布を含有するフェイスマスク
JP2020169411A (ja) * 2019-04-03 2020-10-15 東レ株式会社 織編物及びタオル

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