JP2003064580A - 制電性アクリル繊維及びその製造方法 - Google Patents

制電性アクリル繊維及びその製造方法

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JP2003064580A
JP2003064580A JP2001255471A JP2001255471A JP2003064580A JP 2003064580 A JP2003064580 A JP 2003064580A JP 2001255471 A JP2001255471 A JP 2001255471A JP 2001255471 A JP2001255471 A JP 2001255471A JP 2003064580 A JP2003064580 A JP 2003064580A
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Yoshihiro Watanabe
義弘 渡辺
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Japan Exlan Co Ltd
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Japan Exlan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制電性能の耐染色性や耐洗濯性等の耐久性に
優れた制電性アクリル繊維及びその製造方法を提供す
る。 【構成】 アクリル繊維表面に、特定のカチオン系官能
基含有高分子でなる制電剤とグリシジル基を含有した化
合物でなる不溶化剤とを、特定条件で付着せしめる。 【効果】 本発明のアクリル繊維は、制電剤と不溶化剤
が繊維表面にしっかり付着しているので、染色や繰り返
し洗濯によっても制電性能の低下が防止され、衣料用途
他多岐に使用できる恒久的とも言える制電耐久性を有し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料、寝装、イン
テリア用途等多岐にわたり使用することのできる制電性
の耐染色性、耐洗濯性に優れた制電性アクリル繊維およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アクリル繊維は保温性、形態安定性、耐
光性、風合い、染色性などに優れた性質を有しており、
その優れた物性、天然繊維にないイージーケア性から衣
料、インテリア用途に広く利用されている。しかしなが
ら、このようなアクリル繊維にも問題点が見受けられな
い訳ではなく、吸湿性に乏しいため摩擦によって静電気
が発生しやすく、衣服に静電気力で塵埃が付着しやすい
こと、衣服の着脱時に放電して不快感を与えることなど
の欠点を有しており、商品価値を損なっている。また、
昨今では蓄積した静電気が人体を介して精密電気機器等
にトラブルを引き起こす等の恐れから実用上の制約を受
けている。アクリル繊維のこれらの欠点を改良する試み
はこれまでにも種々行われてきた。最も一般的には繊維
表面に帯電防止能を有する油剤を付与する方法が用いら
れるが、この方法では初期には優れた制電性能を示すも
のの、染色、繰り返し漂白、洗濯などにより著しく制電
性能が低下するのが常であった。制電性能に耐久性を持
たせる試みとして、例えば、特開平8-325832号
公報にはグリコキシル基を有するビニル単量体を共重合
したアクリロニトリル系共重合体を紡糸する方法が提案
されている。しかしながら、こうした方法ではアクリロ
ニトリル系共重合体に特定の異種単量体を共重合するこ
とが必須であるため重合操作の煩雑さは避けられず、ま
た、親水的性質の強い単量体を共重合するため、紡糸工
程、特に凝固から水洗工程でこうした共重合体が溶出し
やすく回収再利用する溶剤の汚染は著しいものになる。
【0003】また、導電性を有する微粒子、例えば導電
性カーボン、その他の金属化合物を繊維に練り込むこと
によって、所謂導電性繊維を得る方法が提案されてい
る。例えば、特開平9−31747号公報においてカー
ボンブラックを分散含有せしめたアクリロニトリル系共
重合体有機溶剤溶液とアクリロニトリル系共重合体紡糸
原液を混合、紡糸する方法が提案されている。しかしな
がら、こうした方法で得られる繊維はカーボンを使用す
るため黒または灰色となり、衣料、インテリア用として
は利用範囲を著しく制約するものとなる。また、特開平
8−337925号公報では導電率が10-3S/cm以
上の導電性物質を用いて芯鞘複合紡糸法により導電性ア
クリル繊維を作成する方法が提示されているが、その製
造には複雑な形状を有する芯鞘紡糸設備が必要であり、
設備費用が多額となり、生産性も設備構造上著しく低く
なることが避けられないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
問題点を解決し、制電性の耐染色性、耐洗濯性に優れた
恒久的制電性能を有するアクリル繊維を得ることにあ
る。また高い生産性を維持したまま生産工程上の煩雑さ
のない該恒久的制電性アクリル繊維の製造法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。即ち、本
発明のかかる目的は、繊維表面に複数のカチオン系官能
基を有する高分子化合物からなる制電剤と1個以上のグ
リシジル基を有する不溶化剤とを付着せしめたアクリル
繊維であって、該アクリル繊維によって構成された編地
の摩擦帯電圧が2kV以下、染色後及び/又は5回洗濯後
の摩擦帯電圧上昇率が150%以下であることを特徴とす
る耐染色性、耐洗濯性に優れた制電性アクリル繊維によ
り達成することが出来る。また、制電剤として一般式
[1]で示される重合可能な二重結合とカチオン系官能基
である4級アンモニウム塩基を有するモノマーから重合
してなる高分子化合物を用いることにより、もしくは不
溶化剤として複数のグリシジル基を有する化合物を用い
ることにより良く達成することが出来る。更に本発明
は、制電剤として一般式[1]で示される重合可能な二重
結合とカチオン系官能基である4級アンモニウム塩基を
有するモノマーから重合してなる高分子化合物を、かつ
不溶化剤として複数のグリシジル基を有する化合物を選
択することにより、最良の効果を発現する。
【0006】
【化2】
【0007】かかる耐染色性、耐洗濯性に優れた恒久的
制電性アクリル繊維を得る方法として、アクリル繊維表
面に1分子当り複数のカチオン系官能基を有する高分子
化合物からなる制電剤と1分子当り1個以上のグリシジ
ル基を有する不溶化剤とを付与し、110℃〜180℃で10〜
120分間乾燥加熱処理により付着せしめることを特徴と
する制電性アクリル繊維の製造方法が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。まず、
本発明の制電性アクリル繊維に使用するポリアクリロニ
トリル系共重合体とは、アクリロニトリルを少なくとも
60重量%以上と他のビニル系モノマー40重量%以下
からなるものである。ビニル系モノマーの具体例として
は、アクリル酸、メタクリル酸、或いはこれらのアルキ
ルエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソー
ダ、ビニルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソー
ダ、などが挙げられる。
【0009】紡糸は通常のアクリル系合成繊維と同様な
方法で行えば良く、数段の浴槽を通し、順次水洗、延
伸、一次緻密化、スチーム弛緩処理、等を行い、トウま
たはフィラメントを得る。なお、本発明においてはアク
リル系繊維の繊度、断面形状について特に制約はなく、
丸、扁平等断面形状の如何に関わらずいずれに対しても
本発明の方法は好適に適用できる。
【0010】次に斯くの如く得られたトウまたはフィラ
メントの繊維表面に、制電剤、不溶化剤を付与する。そ
の手段は均一に付与することが可能であればよく、例え
ばディップ、スプレー、キスロール等が挙げられる。
【0011】制電剤、不溶化剤を繊維表面に付与するた
めの処理液の作成にあたっては、制電剤、不溶化剤をそ
れぞれ別々に溶解してもよいし、また両者を予め混合し
これを溶解してもよいが、両者を混合したものを溶解し
て処理液を作る場合により好ましい結果の得られること
が多い。一例としてディップ方法による制電剤、不溶化
剤、更には紡績油剤の付与処方を示せば次のようであ
る。即ち、本発明に採用する制電剤、不溶化剤をトウま
たはフィラメントに対して付与せしめる目標量添加した
処理液中にトウまたはフィラメントを浸漬し、続いてニ
ップローラー等を利用して一定に絞ることによりトウま
たはフィラメントに該制電剤、及び不溶化剤を目標量付
与する。その後、乾燥加熱処理を施すことによりこれら
の薬剤が繊維表面に付着せしめられ、本発明の恒久的制
電性アクリル繊維を得る。以上の説明からも理解される
ように、本発明の製造方法においては、薬剤を繊維に対
して単に与える行為あるいは操作を「付与」と、その薬
剤を繊維表面に固着させる行為あるいは操作を「付着」
と、使い分けて以下述べる。
【0012】本発明に使用される制電剤としてはアミン
塩基、4級アンモニウム塩基、ベンザルコニウム基、イ
ミダゾリウム塩基、ピリジニウム塩基、アミンオキシド
基、アミノエーテル基等の所謂カチオン系官能基を1分
子当り複数個有する高分子化合物であればいずれも使用
可能である。本発明において特に適当なものとしては一
般式[1]で示される重合可能な二重結合とカチオン系官
能基である4級アンモニウム塩基を有するモノマーから
重合してなるホモポリマーやコポリマー、またはこれら
のモノマーとアクリルアミド、酢酸ビニル、アクリル酸
メチル、メタクリル酸メチルなどの他の重合性モノマー
とのコポリマーなどが挙げられる。
【0013】
【化3】
【0014】一般式[1]で示されるモノマーから重合し
てなる高分子化合物の例を挙げると次のとおりである。
ポリβ-アクリロイロキシエチルジエチルメチルアンモ
ニウムメトサルフェート、ポリβ-アクリロイロキシエ
チルトリエチルアンモニウムエトサルフェート、ポリβ
-アクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムブロ
マイド、ポリβ-メタアクリロイロキシエチルトリエチ
ルアンモニウムエトサルフェート、ポリβ-メタアクリ
ロイロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサル
フェート、β-アクリロイロキシエチルジエチルアミン
とβ-メタアクリロイロキシエチルジエチルアミンとの
混合物をこれと等量の硫酸ジメチルで4級化したものの
重合体、β-メタアクリロイロキシエチルジエチルメチ
ルアンモニウムメトサルフェートの75モル%とアクリ
ルアミド25モル%との共重合体などである。
【0015】該制電剤の繊維表面への付着量は目的とす
る制電性が発現しうる量であれば特に限定されるもので
はないが、好ましくは0.1〜0.7重量%対繊維であ
る。付着量が前記範囲を下回ると結果として得られたア
クリル繊維からなる編地の生成りの制電性能、ひいては
染色後または生成りに対しての5回洗濯後、あるいは染
色後に5回洗濯後の制電性能が低下し、また上回るとア
クリル繊維の優れた特性、即ち、発色性、風合い等が損
なわれる可能性がある。なお、ここでいう「生成り」と
は、染色、洗濯等の操作を一切行っていない状態の編地
をいう。
【0016】本発明に用いられる不溶化剤としては1分
子当り1個以上のグリシジル基を有する化合物であれば
いずれも使用可能であり、例えば、メチルグリシジルエ
ーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシ
ルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテ
ル、フェニルグリシジルエーテル、p-sec-ブチルフェ
ニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリ
シジルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールモノ
グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピ
レングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグ
リコールジグリシジルエーテル、グリシドール、γ-グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキ
シプロピルトリエトキシシラン、β-(3、4エポキシ
シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメチ
ロールプロパンポリグリシジルエーテル、等があげられ
る。また、本発明において特に適当な不溶化剤としては
1分子当り2個以上のグリシジル基を有するもの、即
ち、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポ
リプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペ
ンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロー
ルプロパンポリグリシジルエーテル、等が挙げられる。
【0017】該不溶化剤の繊維表面への付着量も目的と
する制電性が発現しうる量であれば特に限定されるもの
ではないが、好ましくは1〜10重量%対制電剤であ
る。付着量が前記範囲を下回ると、結果として得られた
アクリル繊維の染色後または5回洗濯後、あるいは染色
後に5回洗濯後の制電性能が低下し、また上回ると制電
性能の割にコスト高となり工業的に不利となる可能性が
ある。
【0018】次に制電剤、不溶化剤を付与せしめたトウ
またはフィラメントを乾燥加熱処理することにより、か
かる薬剤を繊維表面に付着せしめる。該乾燥加熱処理に
より、制電剤は不溶化剤とともに繊維表面に強固に付着
し、染色や洗濯によっても容易に脱落せず優れた制電性
能が維持出来るのである。ここで乾燥加熱処理手段とし
ては110〜180℃で10〜120分熱処理出来るロ
ーラー式乾燥機、熱風乾燥機、トンネル型乾燥機等によ
る手段があげられる。熱処理温度が110℃未満であっ
たり、熱処理時間が10分未満であったりした場合に
は、結果として得られたアクリル繊維の染色後または5
回洗濯後、あるいは染色後に5回洗濯後の制電性能が不
足してしまい、また、熱処理温度が180℃を超えた
り、熱処理時間が120分を超えたりした場合には、ア
クリル繊維そのものが熱分解してしまう可能性があるた
め好ましくない。
【0019】尚、以上説明した制電剤と不溶化剤はいか
なる組合せによって採用してもかまわない。即ち、以上
述べたように制電剤としては1分子当り複数個のカチオ
ン系官能基を有するものが、中でもカチオン系官能基が
4級アンモニウム塩基であるものが好ましく、不溶化剤
の方は、グリシジル基を1分子当り1個以上有する化合
物が、中でもグリシジル基を1分子当り2個以上有する
ものが好ましい。そこでこれらの組合せについては、制
電剤についてはカチオン系官能基の種類及び個数、不溶
化剤については含有するグリシジル基の個数により多く
の組合せが考えられるが、ここには何等の限定もなく夫
々の薬剤を選択することが出来る。
【0020】更に必要であれば前述の乾燥加熱処理前又
は乾燥加熱処理後に紡績油剤を付与し、次いでクリン
プ、カット等の後処理を行い本発明の制電性アクリル繊
維を得る。紡績油剤はアクリル繊維用の紡績油剤であれ
ば特に限定されるものではないが、本発明の制電性アク
リル繊維が前述するように複数のカチオン系官能基を有
する高分子化合物からなる制電剤を用いることを特徴と
するために、特定のアニオン系紡績油剤を使用した場合
に限り該制電剤のカチオン系官能基がアニオン系官能基
により封鎖される可能性がある。こうした場合には特定
のカチオン系薬剤、例えば一方社製エレタットM65、等
で水洗することによりアニオン系官能基による該制電剤
のカチオン系官能基の封鎖を解除することが必要とな
る。従って、アニオン系官能基を持たない紡績油剤、例
えば、カチオン系紡績油剤やノニオン系紡績油剤を用い
ることが好ましい。
【0021】なお、本発明において制電剤、不溶化剤の
他に公知の添加剤を加えることは何ら差し支えない。例
えば、難燃剤、耐光剤、紫外線吸収剤、顔料などが具体
的な添加剤として挙げられる。また、本発明における
「付着」は制電剤と不溶化剤のある種の相互作用によっ
て行われていると考えているが、これをさらに促進し強
化するような助剤の併用も有効である。かかる助剤の併
用により、「付着」処理の温度や時間はより低温度、短
時間の方向にむかうが、本願発明はこのような助剤を用
いない例である。
【0022】かくして得られた本発明の制電性アクリル
繊維は、加工工程における染色、また最終製品としての
繰り返し洗濯、等により制電性能は殆ど低下せず、恒久
的制電性アクリル繊維と呼べるものである。かかる本発
明の恒久的制電性アクリル繊維は該繊維のみを用いた編
地の摩擦帯電圧が2kV以下であり、該編地を染色ある
いは5回洗濯した後、さらには染色後に5回洗濯した後
においても、その摩擦帯電圧の上昇率は150%以下と
いう優れた制電性能を有する編地を与えるものである。
【0023】本発明の耐染色性、耐洗濯性に優れた恒久
的制電性アクリル繊維の利用分野としては、制電性が望
まれる様々な分野がある。具体的には例えば、下着、肌
着、ランジェリー、パジャマ、乳児製品、ガードル、ブ
ラジャー、靴下、タイツ、レオタード、トランクス等衣
料品全般、セーター、トレーナー、スーツ、スポーツウ
ェア、スカーフ、ハンカチ、マフラー、人工毛皮、乳児
製品等の中外衣料用途、布団地、布団、枕、クッショ
ン、ぬいぐるみ、マスク、失禁ショーツ、濡れティッシ
ュ等の衛生材料、車のシート、内装等の車内用品、トイ
レカバー、トイレマット、ペット用トイレ等のトイレ用
品、ガス処理フィルター等、靴の中敷き、スリッパ、手
袋、タオル、雑巾、サポーター、不織布等が挙げられ
る。
【0024】本発明の耐染色性、耐洗濯性に優れた恒久
的制電性アクリル繊維の上述分野への使用の仕方として
は、該恒久制電性アクリル繊維単独あるいは、各種繊維
類と併用して用いることが出来る。併用する各種繊維類
としては、公用されている天然繊維、有機繊維、半合成
繊維、合成繊維が用いられ、更には無機繊維、ガラス繊
維等も用途によっては採用し得る。特に好ましい各種繊
維を例示すれば、羊毛、木綿、絹、麻等の天然繊維、ビ
ニロン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル繊維等の
合成繊維あるいはビスコース、アセテート繊維、繊維素
繊維等である。
【0025】
【作用】本願に係る制電性アクリル繊維は、繊維表面に
1分子当り複数のカチオン系官能基を有する高分子化合
物からなる制電剤と1分子当り1個以上のグリシジル基
を有する不溶化剤とを付与し、110℃〜180℃で10〜120
分間乾燥加熱処理することにより、制電剤が繊維表面に
付着し不溶化しているものと思われる。従って一般的な
制電剤を単に表面に付与せしめたアクリル繊維と異なっ
て制電剤の脱落が防止されるため、染色後及び/又は5
回洗濯後の摩擦帯電圧上昇率が大幅に抑えられるものと
推察している。
【0026】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、これらは例示的なものであり、本発明の要旨はこれ
らにより限定されるものではない。実施例中の部および
百分率は断りのない限り重量基準で示す。なお、実施例
において記述する染色条件、洗濯条件、摩擦帯電圧測定
は以下の方法により実施した。
【0027】(1)染色条件 保土谷化学工業(株)社製Cath.Red 7BNH、Bayer社製As
tragal PAN、酢酸、及び酢酸ナトリウムを各々0.02%om
f、1.8%omf、2%omf、1%omfとなるよう調製した染色
液を60℃まで昇温する。60℃まで昇温した該染色液に後
述する実施例、比較例の編地を投入し、攪拌しながら20
分かけて100℃まで昇温する。その後100℃の状態を保ち
ながら30分間染色し、徐冷、水洗、乾燥する。
【0028】(2)洗濯条件 JIS-L-0217の103法(家庭用洗濯機用)に従い、JAFET標
準洗剤(繊維製品新機能評価協議会製)を使用して後述
する実施例、比較例の編地を5回繰り返し洗濯する。
【0029】(3)摩擦帯電圧測定 JIS-L-1094の5.2(摩擦帯電圧測定法)に従い、後述す
る実施例、比較例の編地の生成り、染色後または5回洗
濯後、さらには染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧を評価
する。
【0030】実施例1 常法に従ってアクリロニトリル88.8%、酢酸ビニル11.2
%からなるアクリロニトリル系重合体を、濃度45%のロ
ダンソーダ水溶液に溶解し、重合体濃度12%の紡糸原液
を作成した。該原液を15%、-3℃のロダンソーダ水溶液
中に直径70ミクロンの紡糸口金より押出し、次いで水洗
・延伸後、トンネル乾燥機を用い、湿度70%RH、温度12
0℃の高温調湿状態乾燥し、更に120℃×10分間スチーム
弛緩熱処理することにより3.3dtexの繊度である原料繊
維Aを作成した。ポリβ-アクリロイロキシエチルジエチ
ルメチルアンモニウムメトサルフェート、及びポリエチ
レングリコールジグリシジルエーテルを原料繊維Aに対
する付与量が各々0.5重量%、0.01重量%となる
よう添加した処理液中に原料繊維Aを浸漬し、続いてニ
ップローラーを利用して一定に絞ることにより該原料繊
維Aにポリβ-アクリロイロキシエチルジエチルメチルア
ンモニウムメトサルフェート、及びポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテルを各々0.5重量%、0.0
1重量%付与した。次に該制電剤、及び該不溶化剤を付
与せしめた原料繊維Aを120℃で30分間乾燥加熱処理し、
実施例1の制電性アクリル繊維を得た。該制電性アクリ
ル繊維を用いて常法に従い紡績し、番手1/48、撚り数48
0の制電性アクリル糸を得、更に14G2Pゴム編みにて実施
例1の制電性アクリル編地試料を得た。実施例1の制電
性アクリル編地試料の生成り、染色後または5回洗濯
後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧を評価した結
果を表1に示す。表1からわかるように、アクリル繊維
表面に特定の構造を有する複数の4級アンモニウム塩基
を有する高分子化合物からなる制電剤と複数個のグリシ
ジル基を有する不溶化剤とを付与すること、さらに該ア
クリル繊維を120℃で30分間乾燥加熱処理し該制電剤と
不溶化剤をアクリル繊維表面に付着させることにより、
耐染色性、耐洗濯性に優れた制電性アクリル繊維が得ら
れることは明らかである。
【0031】実施例2 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリβ-メタアクリ
ロイロキシエチルトリエチルアンモニウムブロマイド、
及びブチルグリシジルエーテルを原料繊維Aに対する付
与量が各々0.7重量%、0.07重量%となるよう添
加した処理液中に原料繊維Aを浸漬し、続いてニップロ
ーラーを利用して一定に絞ることにより該原料繊維Aに
ポリβ-メタアクリロイロキシエチルトリエチルアンモ
ニウムブロマイド、及びブチルグリシジルエーテルを各
々0.7重量%、0.07重量%付与した。次に該制電
剤、及び該不溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを110℃で
90分間乾燥加熱処理し、実施例2の制電性アクリル繊維
を得た。該制電性アクリル繊維を用いて実施例1に従い
実施例2の制電性アクリル編地試料を得た。実施例2の
制電性アクリル編地試料の生成り、染色後または5回洗
濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧を評価した
結果を表1に併記する。表1からわかるように、アクリ
ル繊維表面に複数の4級アンモニウム塩基を有する高分
子化合物からなる制電剤と1個のグリシジル基を有する
不溶化剤とを付与すること、さらに該アクリル繊維を11
0℃で90分間乾燥加熱処理し該制電剤と不溶化剤をアク
リル繊維表面に付着させることによって、十分実用に耐
え得る耐染色性、耐洗濯性を有する制電性アクリル繊維
が得られることは明らかである。
【0032】実施例3 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリ-1-エチル-2-
ビニルピリジニウムクロライド、及びポリプロピレング
リコールジグリシジルエーテルを原料繊維Aに対する付
与量が各々0.3重量%、0.01重量%となるよう添
加した処理液中に原料繊維Aを浸漬し、続いてニップロ
ーラーを利用して一定に絞ることにより該原料繊維Aに
ポリ-1-エチル-2-ビニルピリジニウムクロライド、及び
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを各々
0.3重量%、0.01重量%付与した。次に該制電
剤、及び該不溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを150℃で
30分間乾燥加熱処理し、実施例3の制電性アクリル繊維
を得た。該制電性アクリル繊維を用いて実施例1に従い
実施例3の制電性アクリル編地試料を得た。実施例3の
制電性アクリル編地試料の生成り、染色後または5回洗
濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧を評価した
結果を表1に併記する。表1からわかるように、アクリ
ル繊維表面に複数のカチオン系官能基を有する高分子化
合物からなる制電剤と複数のグリシジル基を有する不溶
化剤とを付与すること、さらに該アクリル繊維を150℃
で30分間乾燥加熱処理し該制電剤と不溶化剤をアクリル
繊維表面に付着させることによって、十分実用に耐え得
る耐染色性、耐洗濯性を有する制電性アクリル繊維が得
られることは明らかである。
【0033】実施例4 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリ-1-エチル-2-
ビニルピリジニウムクロライド、及びγ-グリシドキシ
プロピルトリエトキシシランを原料繊維Aに対する付与
量が各々0.3重量%、0.01重量%となるよう添加
した処理液中に原料繊維Aを浸漬し、続いてニップロー
ラーを利用して一定に絞ることにより該原料繊維Aにポ
リ-1-エチル-2-ビニルピリジニウムクロライド、及びγ
-グリシドキシプロピルトリエトキシシランを各々0.
3重量%、0.01重量%付与した。次に該制電剤、及
び該不溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを150℃で30分間
乾燥加熱処理し、実施例4の制電性アクリル繊維を得
た。該制電性アクリル繊維を用いて実施例1に従い実施
例4の制電性アクリル編地試料を得た。実施例4の制電
性アクリル編地試料の生成り、染色後または5回洗濯
後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧を評価した結
果を表1に併記する。表1からわかるように、アクリル
繊維表面に複数のカチオン系官能基を有する高分子化合
物からなる制電剤と1個のグリシジル基を有する不溶化
剤とを付与すること、さらに該アクリル繊維を150℃で3
0分間乾燥加熱処理し該制電剤と不溶化剤をアクリル繊
維表面に付着させることによって、十分実用に耐え得る
耐染色性、耐洗濯性を有する制電性アクリル繊維が得ら
れることは明らかである。
【0034】比較例1 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリβ-アクリロイ
ロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェ
ートを原料繊維Aに対する付与量が0.5重量%となる
よう添加した処理浴中に浸漬し、続いてニップローラー
を利用して一定に絞ることにより該原料繊維Aにポリβ-
アクリロイロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメ
トサルフェートを0.5重量%付与した。次に該制電剤
を付与せしめた原料繊維Aを120℃で30分間乾燥加熱処理
し比較例1のアクリル繊維を得た。該アクリル繊維を用
いて実施例1に従い比較例1のアクリル編地試料を得
た。比較例1のアクリル編地試料の生成り、染色後また
は5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧を
評価した結果を表1に併記する。表1からわかるよう
に、アクリル繊維表面に複数のカチオン系官能基を有す
る高分子化合物からなる制電剤を付着しただけでは、生
成りの制電性は優れるものの、染色後または5回洗濯
後、更に染色後に5回洗濯後の制電性に乏しいことが明
らかである。
【0035】比較例2 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリβ-アクリロイ
ロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェ
ート、及びN-メチロールアクリルアミドを原料繊維Aに
対する付与量が各々0.5重量%、0.05重量%とな
るよう添加した処理浴中に浸漬し、続いてニップローラ
ーを利用して一定に絞ることにより該原料繊維Aにポリ
β-アクリロイロキシエチルジエチルメチルアンモニウ
ムメトサルフェート、及びN-メチロールアクリルアミド
を各々0.5重量%、0.05重量%付与した。次に該
制電剤、及び該不溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを170
℃で20分間乾燥加熱処理し比較例2のアクリル繊維を得
た。該アクリル繊維を用いて実施例1に従い比較例2の
アクリル編地試料を得た。比較例2のアクリル編地試料
の生成り、染色後または5回洗濯後、更に染色後に5回
洗濯後の摩擦帯電圧を評価した結果を表1に併記する。
表1からわかるように、アクリル繊維表面に複数のカチ
オン系官能基を有する高分子化合物からなる制電剤とグ
リシジル基を持たない不溶化剤とを付着した場合、生成
りの制電性は優れるものの、染色後または5回洗濯後、
更に染色後に5回洗濯後の制電性に乏しいことが明らか
である。
【0036】比較例3 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、カチオン系官能基
が分子あたり1個の低分子化合物であるアルキルアミド
・プロピルジメチルβ-ヒドロキシエチルアンモニウム
ナイトレート、及びポリエチレングリコールジグリシジ
ルエーテルを原料繊維Aに対する付与量が各々0.5重
量%、0.05重量%となるよう添加した処理浴中に浸
漬し、続いてニップローラーを利用して一定に絞ること
により該原料繊維Aにアルキルアミド・プロピルジメチ
ルβ-ヒドロキシエチルアンモニウムナイトレート、及
びポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを各々
0.5重量%、0.05重量%付与した。次に該制電
剤、及び該不溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを170℃で
20分間乾燥加熱処理し比較例3のアクリル繊維を得た。
該アクリル繊維を用いて実施例1に従い比較例3のアク
リル編地試料を得た。比較例3のアクリル編地試料の生
成り、染色後または5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯
後の摩擦帯電圧を評価した結果を表1に併記する。表1
からわかるように、アクリル繊維表面に1個しかカチオ
ン系官能基を有しない制電剤と複数のグリシジル基を有
する不溶化剤とを付着した場合、生成り、染色後または
5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電圧の絶
対値が高く、制電性に乏しいことが明らかである。
【0037】比較例4 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリβ-アクリロイ
ロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェ
ート、及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テルを原料繊維Aに対する付与量が各々0.5重量%、
0.05重量%となるよう添加した処理浴中に浸漬し、
続いてニップローラーを利用して一定に絞ることにより
該原料繊維Aにポリβ-アクリロイロキシエチルジエチル
メチルアンモニウムメトサルフェート、及びトリメチロ
ールプロパンポリグリシジルエーテルを各々0.5重量
%、0.05重量%付与した。次に該制電剤、及び該不
溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを100℃で100分間乾燥
加熱処理し比較例4のアクリル繊維を得た。該アクリル
繊維を用いて実施例1に従い比較例4のアクリル編地試
料を得た。比較例4のアクリル編地試料の生成り、染色
後または5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯
電圧を評価した結果を表1に併記する。表1からわかる
ように、アクリル繊維表面に複数のカチオン系官能基を
有する制電剤と複数のグリシジル基を有する不溶化剤と
を付着した場合であっても、乾燥加熱温度が110℃未満
であると、生成りの制電性は優れるものの、染色後また
は5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯後の制電性に乏し
いことが明らかである。
【0038】比較例5 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリβ-アクリロイ
ロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェ
ート、及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ルを原料繊維Aに対する付与量が各々0.5重量%、
0.05重量%となるよう添加した処理浴中に浸漬し、
続いてニップローラーを利用して一定に絞ることにより
該原料繊維Aにポリβ-アクリロイロキシエチルジエチル
メチルアンモニウムメトサルフェート、及びポリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテルを各々0.5重量
%、0.05重量%付与した。次に該制電剤、及び該不
溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを200℃で20分間乾燥加
熱処理し比較例5のアクリル繊維を得た。該アクリル繊
維を用いて実施例1に従い比較例5のアクリル編地試料
を得た。比較例5のアクリル編地試料の生成り、染色後
または5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電
圧を評価した結果を表1に併記する。表1からわかるよ
うに、アクリル繊維表面に複数のカチオン系官能基を有
する制電剤と複数のグリシジル基を有する不溶化剤とを
付着した場合であっても、乾燥加熱温度が180℃を超え
ると、耐染色性、耐洗濯性に優れた制電性アクリル繊維
が得られるものの原料繊維と対比した肉眼による呈色判
定で評価して茶褐色に着色してしまい、全く実用的では
なかった。いやしくも衣料、インテリア、寝装用等の多
岐にわたる用途に用い得る繊維であるためには、かかる
呈色判定において原料繊維に比べ著しい着色が無いとい
う評価以上が必要である。
【0039】比較例6 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリβ-アクリロイ
ロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェ
ート、及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テルを原料繊維Aに対する付与量が各々0.5重量%、
0.05重量%となるよう添加した処理浴中に浸漬し、
続いてニップローラーを利用して一定に絞ることにより
該原料繊維Aにポリβ-アクリロイロキシエチルジエチル
メチルアンモニウムメトサルフェート、及びトリメチロ
ールプロパンポリグリシジルエーテルを各々0.5重量
%、0.05重量%付与した。次に該制電剤、及び該不
溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを150℃で5分間乾燥加
熱処理し比較例6のアクリル繊維を得た。該アクリル繊
維を用いて実施例1に従い比較例6のアクリル編地試料
を得た。比較例6のアクリル編地試料の生成り、染色後
または5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯電
圧を評価した結果を表1に併記する。表1からわかるよ
うに、アクリル繊維表面に複数のカチオン系官能基を有
する制電剤と複数のグリシジル基を有する不溶化剤とを
付着した場合であっても、乾燥加熱時間が10分未満であ
ると、生成りの制電性は優れ、また、染色後または5回
洗濯後の制電性能も十分実用に耐え得るものの、染色後
に5回洗濯後の制電性に乏しいことが明らかである。
【0040】比較例7 実施例1に従い原料繊維Aを作成し、ポリβ-アクリロイ
ロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェ
ート、及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ルを原料繊維Aに対する付与量が各々0.5重量%、
0.05重量%となるよう添加した処理浴中に浸漬し、
続いてニップローラーを利用して一定に絞ることにより
該原料繊維Aにポリβ-アクリロイロキシエチルジエチル
メチルアンモニウムメトサルフェート、及びポリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテルを各々0.5重量
%、0.05重量%付与した。次に該制電剤、及び該不
溶化剤を付与せしめた原料繊維Aを130℃で150分間乾燥
加熱処理し比較例7のアクリル繊維を得た。該アクリル
繊維を用いて実施例1に従い比較例7のアクリル編地試
料を得た。比較例7のアクリル編地試料の生成り、染色
後または5回洗濯後、更に染色後に5回洗濯後の摩擦帯
電圧を評価した結果を表1に併記する。表1からわかる
ように、アクリル繊維表面に複数のカチオン系官能基を
有する制電剤と複数のグリシジル基を有する不溶化剤と
を付着した場合であっても、乾燥加熱時間が120分を超
えると、耐染色性、耐洗濯性に優れた制電性アクリル繊
維が得られるものの原料繊維と対比した肉眼による呈色
判定で評価して茶褐色に着色してしまい、全く実用的で
はなかった。
【0041】
【表1】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維表面に複数のカチオン系官能基
    を有する高分子化合物からなる制電剤と1個以上のグリ
    シジル基を有する不溶化剤とを付着せしめたアクリル繊
    維であって、該アクリル繊維によって構成された編地の
    摩擦帯電圧が2kV以下、染色後及び/又は5回洗濯後の
    摩擦帯電圧上昇率が150%以下であることを特徴とする
    耐染色性、耐洗濯性に優れた制電性アクリル繊維。
  2. 【請求項2】 不溶化剤が複数のグリシジル基を有
    することを特徴とする請求項1記載の制電性アクリル繊
    維。
  3. 【請求項3】 制電剤が一般式[1]で示される重
    合可能な二重結合とカチオン系官能基である4級アンモ
    ニウム塩基を有するモノマーから重合してなる高分子化
    合物であることを特徴とする請求項1または2記載の制
    電性アクリル繊維。 【化1】
  4. 【請求項4】 アクリル繊維表面に複数のカチオン
    系官能基を有する高分子化合物からなる制電剤と1個以
    上のグリシジル基を有する不溶化剤とを付与し、110
    ℃〜180℃で10〜120分間乾燥加熱処理すること
    により付着せしめることを特徴とする制電性アクリル繊
    維の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005009048A (ja) * 2003-06-20 2005-01-13 Toyobo Co Ltd 複合紡績糸からなる生地および用途
JP2013253365A (ja) * 2013-07-24 2013-12-19 Mitsubishi Rayon Co Ltd 導電体およびその製造方法
US11078608B2 (en) * 2016-11-01 2021-08-03 Teijin Limited Fabric, method for manufacturing same, and fiber product

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