JP2012067433A - アクリル系合成繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗濯耐久性に優れた制電性能を有する細繊度アクリル系合成繊維を製造する方法を提供する。
【解決手段】アニオン性共重合成分を含むアクリル系共重合体を、溶媒濃度が60質量%以上の凝固浴中で紡糸ドラフト1.1〜2.2の条件で紡糸して得られる乾燥緻密化処理工程前の糸条に、末端がカチオン系官能基であるアクリル系ポリマーと、グリシジル基を含むアクリル酸エステル共重合物とからなる帯電防止剤を、付着率0.1〜2質量%で付与し、130℃以上180℃以下温度で20秒〜5分間乾燥緻密化処理を行うことにより、制電性と風合いが優れた細繊度アクリル系合成繊維を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性のある制電機能と優れた風合いを有し、衣料用途を中心に幅広い分野に使用できるアクリル系合成繊維の製造方法に関するものである。
アクリル系合成繊維は、保温性に優れているため冬物衣料を中心とした衣料に多く利用されている。また、アクリル系合成繊維は、最近では風合いが優れているという理由から、単繊維繊度1.0dtex以下の細繊度アクリル系合成繊維の需要が高まっている。しかしながら、アクリル系合成繊維は電気抵抗が高いため、衣服の着脱時に静電気が発生し、不快感を与えるという欠点がある。
これを解決するための手段として、導電性物質をアクリル系合成繊維に配合することにより、電気抵抗を下げるという方法が効果的である。通常、導電剤物質として広く使われているカーボンブラックなどは、有色物質であるので色展開における制約が大きく、利用範囲が狭いという欠点がある。そのため、審美性を保ったまま電気抵抗を下げるには、他の方法を用いなければならない。
その中で、簡便な方法として、アクリル系合成繊維に、帯電防止効果のある物質(以下、帯電防止剤ということがある。)を、繊維表面に付着させる技術が挙げられる。例えば、1個以上のグリシジル基を有する不溶化剤と複数のカチオン系官能基を有する高分子化合物の制電剤とを併用した帯電防止剤を、繊維表面に固着させる技術が提案されている(特許文献1参照。)。この場合、制電剤と共に付着させた不溶化剤中のグリシジル基を、高温での加熱により開環させて繊維に固着させている。しかしながら、この提案では、帯電防止剤および不溶化剤が繊維表面に偏在しているため、繊維表面の制電効果は大きいものの、洗濯などによる摩擦や洗剤の影響を受けやすく、帯電防止剤が繊維から脱落しやすいという欠点がある。
また、この問題を解決するために、アクリル酸エステル共重合体からなる帯電防止剤を、紡糸工程における乾燥緻密化処理前の糸条に付着させることにより、繊維表面近傍の繊維内部に浸透させて存在させ、次いで乾燥緻密化による加熱によって帯電防止剤を繊維に固着させる方法を採用することにより、洗濯時の擦れ・摩擦による帯電防止剤の脱落を抑え、制電機能の洗濯耐久性を向上させる技術が提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−64580号公報 特開2009−1956号公報
しかしながら、糸条にアクリル酸エステル共重合体からなる帯電防止剤のみを付着させる提案の場合は、良好な洗濯耐久性を得るためには付着量を多くする必要があり、紡績工程で油剤が脱落してしまい、生産性に劣るという課題がある。
そこで本発明の目的は、上記問題点を解決し、帯電防止剤の付着量を抑えて紡績工程で油剤の脱落を防止して生産性を向上させると共に、洗濯耐久性に優れた制電性能と優れた風合いを有し、かつ穏和な条件で生産が可能なアクリル系合成繊維の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明では次の製法を用いて、優れた風合いと制電性能を有するアクリル系合成繊維を製造する。
すなわち、本発明のアクリル系合成繊維の製造方法は、アニオン性共重合成分を含むアクリル系共重合体を紡糸して得られる乾燥緻密化処理工程前の糸条に、末端がカチオン系官能基であるアクリル系ポリマーと、グリシジル基を含むアクリル酸エステル共重合物とからなる帯電防止剤を、付着率0.1〜2質量%で付与し、次いで、130℃以上180℃以下の温度で20秒〜5分間乾燥緻密化処理を行うことを特徴とするアクリル系合成繊維の製造方法である。
本発明のアクリル系合成繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の帯電防止剤におけるアクリル系ポリマーとアクリル酸エステル共重合物との割合(質量比)は、10/90〜30/70である。
また、本発明のアクリル系合成繊維の製造方法は、アニオン性共重合成分を含むアクリル系共重合体を溶媒濃度が60質量%以上の凝固浴中で紡糸ドラフト1.1〜2.2の条件で紡糸して得られる乾燥緻密化処理工程前の糸条に、末端がカチオン系官能基であるアクリル系ポリマーと、グリシジル基を含むアクリル酸エステル共重合物とからなる帯電防止剤を、繊維重量あたりの付着率0.1〜2質量%で付着させ、次いで、130℃以上180℃以下の温度で20秒〜5分間乾燥緻密化処理を行うことを特徴とするアクリル系合成繊維の製造方法である。
本発明の上記アクリル系合成繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記糸条を構成する単繊維繊度は0.3〜1.0dtexの細繊度である。
本発明法によると、帯電防止剤の付着量を抑えて紡績工程で油剤の脱落を防止して生産性を向上させると共に、電気比抵抗が1.0×10Ω・cm以下であり制電性能に優れ、かつ風合いにも優れたアクリル系繊維を製造することができる。また、本発明によれば、本発明で得られたアクリル系繊維を、30質量%以上含む織編物の洗濯10回後の摩擦帯電圧を5kv以下とすることができる。このように、本発明で得られるアクリル系繊維は、洗濯耐久性および制電性能に優れかつ審美性にも優れているため、セーターを中心とした幅広い衣料に使用可能な織編物に適用することができる。また、本発明によれば、上記の効果を助長する細繊度アクリル系合成繊維が得られる。
次に、本発明のアクリル系合成繊維の製造方法について詳述する。
本発明のアクリル系合成繊維の製造方法で得られるアクリル系合成繊維は、アニオン性共重合成分を含むアクリル系共重合体を紡糸して得られる糸条である。
本発明で製造されるアクリル系合成繊維は、その原料となるアクリル系重合体から構成されており、本発明で用いられるアクリル系共重合体は、アクリロニトリルを35質量%以上含み、好ましくは60質量%以上含み、より好ましくは90質量%以上含み、かつ、アニオン性モノマーを共重合させたものであり、さらにその他の共重合成分が共重合されても構わない。アニオン性モノマーの共重合割合は0.1〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.7質量%である。
アニオン性モノマーとしては、例えば、p−スルフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、およびこれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。また、その他の共重合成分としては、アルキレングリコールや不飽和ビニル化合物が挙げられ、その共重合割合は、好ましくは3〜10質量%である。
本発明で得られるアクリル系合成繊維は、帯電防止剤が繊維質量あたり0.1〜2質量%付着されている。この帯電防止剤は、末端がカチオン系官能基であるアクリル系ポリマーと、グリシジル基を含むアクリル酸エステル共重合物の2種類のポリマーを含み構成されている。それらのポリマーの比率は、制電性が発現しうる量(質量)であり、10/90〜30/70であることが好ましく、より好ましくは15/85〜25/75である。
本発明で用いられる末端がカチオン系官能基であるアクリル系ポリマー(以下、制電剤Aということがある。)は、アミン塩基、4級アンモニウム塩基、ベンザルコニウム基、イミダゾリウム塩基、ピリジニウム塩基、アミンオキシド基およびアミノエーテル基等のカチオン系官能基を、1分子当たり複数個、末端に有するアクリル系高分子化合物である。特に適当なものとしては、下記一般式[1]で示される4級アンモニウム塩基を有するメタクリル酸エステルと、メタクリル酸アルキルエステルとアクリルアミドとが共重合してなるアクリル系ポリマーであり、例えばβ−アクリロイロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート・メタクリル酸アルキルエステル・アクリルアミド共重合物やβ−アクリロイロキシエチルトリエチルアンモニウムメトサルフェート・メタクリル酸アルキルエステル・アクリルアミド共重合物が挙げられる。所望の制電効果が奏されるのであれば、これら3種のモノマー以外のモノマー成分が少量共重合されているアクリル系ポリマーも含まれる。
[CH2=C(R1)-COO-(R2)-N(R3,R4,R5)]+-・・・・[1]
(式中、R1:CH3、R2、R3、R4、R5:アルキル基、Z-:CH3SO4 -)。
また、本発明で用いられるグリシジル基を有するアクリル酸エステル共重合物(以下、制電剤Bということがある。)は、1分子当たり1個以上のグリシジル基を有するものであり、例えば、メトキシポリオキシエチレンメタクリレート・アクリロニトリル・2,3−エポキシプロピルメタクリレート共重合物(化審法番号6−620)が好ましく用いられる。その外には、エチレングリコールアクリレート・アクリロニトリル・グリシジルアクリレート共重合物などを用いることができる。制電剤Bの市販品としては、ミヨシ油脂社製“ミヨコール”(登録商標)AM45が挙げられる。
本発明では、アニオン性共重合成分を含むアクリル系共重合体からアクリル系繊維を製造する工程における乾燥緻密化処理の前で、上記した制電剤Aと制電剤Bとを共に付与することが重要である。この場合、制電剤Aの末端のカチオン系官能基と、繊維中のアニオン性共重合成分との電子相互作用により制電剤Aが繊維に引き寄せられ、さらに、制電剤B中のグリシジル基の加熱による開環により、繊維への固着が格段に進行し、帯電防止効果が大幅に高められるものである。
本発明のアクリル系合成繊維の製造には、具体的には、次のような方法を採用することができる。
まず、前記したアクリル系共重合体が、溶媒に溶解した紡糸原液を調製する。かかる紡糸原液は、アクリロニトリルおよびアニオン性共重合成分などの単量体を溶媒中で重合することにより調製することが簡便でよい。この紡糸原液を、溶媒濃度が好ましくは60質量%以上の凝固浴中で、紡糸ドラフト1.1〜2.2の条件で湿式紡糸法にて繊維化し、通常、紡糸後に延伸と水洗を行うが、水洗後に延伸を行っても構わない。紡糸ドラフトが2.2を超えると糸の張力が高くなり、凝固浴中で糸切れが発生しやすくなり生産性が悪くなる。逆に、紡糸ドラフトが1.1を下回ると今度は糸が弛んでしまい、細繊度であるため凝固浴液の流れの影響を大きく受けてしまうため、口金面で糸切れが発生してしまう。また、凝固浴濃度については好ましくは60質量%以上、より好ましくは65〜80質量%と高濃度に設定することにより、繊維断面形状が円形であり、表面平滑性も良好な繊維を得ることができる。
そして、本発明においては、前記のアクリル系共重合体を紡糸して得られる乾燥緻密化処理前の糸条、例えば、水洗後の膨潤糸条に、前記した帯電防止剤を付着率0.1%〜2質量%となるように付与し、次いで、130℃以上180℃以下の温度で20秒〜5分間、乾燥緻密化処理を行うことが重要である。乾燥緻密化処理前のアクリル系繊維は、他の合成繊維に比べて、繊維内部の空隙や表面に凹凸が非常に多い膨潤状態であるので、付与された帯電防止剤が繊維内部に入りやすい。乾燥緻密化処理温度は、好ましくは150〜175℃であり、より好ましくは160〜170℃である。また、乾燥緻密化処理時間は、好ましくは30秒〜3分であり、より好ましくは1〜2分である。次いで、乾燥緻密化処理を行うことにより、帯電防止剤を繊維内部に強固に固着することができる。これより、繊維製造後の後処理として、帯電防止剤を付与させるよりも一段と耐久性の良い制電性繊維が得られるのである。
アクリル系共重合体からなる繊維糸条への帯電防止剤の付与は、前記した制電剤Aおよび制電剤Bを、所定の組成と濃度で溶媒に溶解させて帯電防止剤溶液とし、その溶液を繊維に付与することにより行うことができる。ここで溶媒としては、通常、水が用いられる。帯電防止剤溶液における制電剤成分の濃度は、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である。
アクリル系共重合体からなる繊維糸条への帯電防止剤の付与方法としては、一般的な浸漬法やスプレー法を用いることができるが、帯電防止剤の付着率および付与状態を均一且つ正確に制御する観点から、スプレー法を採用することが好ましい。
本発明では、帯電防止剤の付着率が0.1%〜2質量%と少ないので、繊維の風合いに影響することはない。また、過剰に付着した帯電防止剤を除去することにより、付着率を所定水準とする浸漬法では、付着率を正確に制御することが容易でない。帯電防止剤を糸条に付与する際の溶液の温度は、5〜45℃が好ましく、更には常温である10〜20℃が好ましい。
前記の帯電防止剤の付着率は、繊維質量当たり0.1〜2質量%であればよいが、好ましくは0.1〜1質量%であり、更に好ましくは0.1〜0.5質量%である。付着率が多いほど初期制電性と耐久制電性に優れるが、所望の制電効果を得るためには、少なくとも0.1質量%の付着率が必要である。また、付着率が多いほど繊維表面に露出する帯電防止剤の量が多くなりがちであって、2質量%を超えるほどに多過ぎる場合には、紡績工程での摩擦で帯電防止剤が脱落し、紡績での工程通過性が損なわれ製造が困難となり、風合いも硬くなる。この帯電防止剤の付着率は、繊維に対する制電剤の質量割合である。
本発明における乾燥緻密化処理は、通常、繊維を熱ドラムに接触させることや、高温スチーム中を通過させることなどで行われるが、その温度を130℃以上180℃以下とすることが必要である。乾燥緻密化処理温度は、好ましくは150〜175℃であり、より好ましくは160〜170℃である。また、乾燥緻密化処理の処理時間は、20秒以上5分以下であればよいが、好ましくは30秒〜3分であり、より好ましくは1〜2分である。
本発明では、帯電防止剤の付与を乾燥緻密化工程の直前に行うことが好ましいが、帯電防止剤を付与した後、乾燥緻密化処理する前に延伸を行っても構わない。但し、湿熱処理のように、付与した帯電防止剤の脱落が懸念される工程は、帯電防止剤の付与と乾燥緻密化処理との間に行わない方が良い。
乾燥緻密化処理工程を経た繊維は、帯電防止剤が強固に付着しているため、乾燥緻密化処理の後の工程は、従来のアクリル系合成繊維の製造方法で用いられる条件と同様の条件を採用しても構わない。
上記本発明のアクリル系合成繊維の製造方法では、様々な単繊維繊度に適用することができるが、好適には0.3〜1.0dtexの細繊度繊維に適用すると、制電性能の他に優れた風合いも有する繊維の製造が可能である。
本発明のアクリル系合成繊維の製造方法により製造されたアクリル系合成繊維は、紡績用途に好適である。例えば、製造されたアクリル系合成繊維は紡績糸に加工され、その紡績糸を製織または製編することによって、織物や編物(総称して織編物ということがある。)を形成することができる。制電性の織編物とするためには、本発明によるアクリル系合成繊維が30質量%以上、好ましくは50質量%以上含まれるようにする。
このように本発明で得られたアクリル系合成繊維を含ませるには、紡績糸の段階で混綿させたり、製織や製編時に混合させたりしても構わないが、織編物の段階で、本発明で得られたアクリル系合成繊維を少なくとも30質量%含むことが重要である。且つ織編物の全体に対し、均一に本発明のアクリル系合成繊維が分布していることが好ましい。このような織編物は、洗濯10回後の摩擦帯電圧が5kv以下であり、衣料用途を中心として好適に使用できるようになる。本発明では、単繊維繊度が好ましくは0.3〜1.0dtexの細繊度繊維を用いて織編物を製造することにより、風合いがさらに良好となる。
本発明により製造される制電性能を有するアクリル系合成繊維は、上記のように制電性アクリル短繊維として紡績糸等の製造に好適であり、衣料用途などに好適に使用される。特に、静電気が発生しやすいセーターに好適に用いられる。
次に、実施例を用いて本発明のアクリル系合成繊維の製造方法について具体的に説明する。実施例において記述する電気比抵抗測定、洗濯条件および摩擦帯電圧測定は、次の方法により実施した。測定は3点実施し、その平均値をとった。トウ状アクリル系合成繊維の性能比較を実施例1および比較例1、アクリル系合成繊維を用いた試験反(織編物)の性能比較を実施例2〜5および比較例2〜5で実施した。
[帯電防止剤成分の有無]
実施例および比較例において、帯電防止剤に制電剤Aまたは制電剤Bを使用している場合は○、使用していない場合は×と表2に示した。
[電気比抵抗測定]
(1)温度20±2℃、湿度65±2%R.H.の環境下にあるデシケーター内に一昼夜放置したトウから、10mの間隔で長さ20cmにカットした試料を3本用意する。
(2)抵抗測定台に試料を固定し、デジタル超高抵抗計(ADVAN TEST:R8340A)を用いて印加電圧10vをかけて電気抵抗を測定する。
(3)所定の次の計算式を用いて電気比抵抗を求める。
Figure 2012067433
[洗濯条件]
JIS−L−0217の103法(家庭用洗濯機用)に従い、10回実施した。
[摩擦帯電圧測定]
JIS−L−1094に従い、試験反(織編物)を、ロータリースタティックテスターを使用して、綿布で摩擦した。測定環境は、温度20℃、湿度40%であった。
[紡績性]
得られたアクリル系合成繊維を用いて、紡績を実施した場合、帯電防止剤が脱落しなかった場合は「良好」、帯電防止剤が脱落した場合は「不良」と評価した。
(実施例1)
アクリロニトリル/アクリル酸メチル/メタリルスルホン酸ソーダ(93.8質量%/5.8質量%/0.4質量%)を、ジメチルスルホキシドに溶解させ、溶液重合を行ない、アクリロニトリル系共重合体がジメチルスルホキシドに溶解した紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液を脱泡処理し、孔径0.055mmφの紡糸口金を用いて凝固浴中に吐出し、6.4倍に延伸した。このときの凝固浴は、DMSO濃度58質量%、温度33℃であった。その後、水洗することにより、水洗膨潤状態のアクリル糸を得た。
この水洗膨潤状態のアクリル糸に、スプレー方式で帯電防止剤溶液を所定量付与した。帯電防止剤溶液には、メトキシポリオキシエチレンメタクリレート・アクリロニトリル・2,3−エポキシプロピルメタクリレート共重合物(ミヨシ油脂社製“ミヨコール”(登録商標)AM45)7.8質量%、β−アクリロイロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート・メタクリル酸アルキルエステル・アクリルアミド共重合物2.6質量%、イソプロピルアルコール0.5質量%、およびメタノール0.14質量%(帯電防止剤A/B=25/75)を含有する水溶液を使用し、帯電防止剤の付着率が0.3質量%になるように噴霧した。
帯電防止剤の付着に続いて、乾燥機を用いて170℃の温度で、時間5分間の条件で乾燥緻密化処理を行ない、単繊維繊度2.2dtex、構成本数57万本のトウ状アクリル系合成繊維を製造した。得られたトウ状アクリル系合成繊維の電気比抵抗は、洗濯前が4.1×10Ω・cmで、洗濯10回後が4.8×10Ω・cmであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
帯電防止剤溶液として、メトキシポリオキシエチレンメタクリレート・アクリロニトリル・2,3−エポキシプロピルメタクリレート共重合物10質量%とイソプロピルアルコール2質量%を含有する水溶液を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法でトウ状アクリル系合成繊維を製造した。得られたアクリル繊維の電気抵抗値は、洗濯前が3.0×107Ω・cmで、洗濯10回後が7.0×107Ω・cmであり、制電剤Aにあたる物質を使用しなかったため、実施例1に比べ制電性能が劣っていた。結果を表1に示す。
Figure 2012067433
(実施例2)
アクリロニトリル/アクリル酸メチル/メタリルスルホン酸ソーダ(95.3重量%/4.3質量%/0.4質量%)をジメチルスルホキシドに溶解させ、溶液重合を行ない、アクリロニトリル系共重合体がジメチルスルホキシドに溶解した紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液を脱泡処理し、孔径0.055mmφの紡糸口金を用いて紡糸ドラフト1.2の条件で凝固浴中に吐出し、凝固糸条を得た。このときの凝固浴は、DMSO濃度が62質量%で、温度が41℃であった。
その後、凝固糸条を5.0倍に延伸し、水洗、工程油剤付与、スチーム処理を経て、帯電防止剤付与を行った。
帯電防止剤溶液には、メトキシポリオキシエチレンメタクリレート・アクリロニトリル・2,3−エポキシプロピルメタクリレート共重合物7.8質量%、β−アクリロイロキシエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート・メタクリル酸アルキルエステル・アクリルアミド共重合物2.6質量%、イソプロピルアルコール0.5質量%、およびメタノール0.14質量%を含有する水溶液(制電剤A:Bの質量比率=75:25)を使用した。その付与方法についてはスプレー法を選択し、帯電防止剤の付着率が0.3質量%になるように噴霧した。
帯電防止剤の付着に続いて、乾燥機を用いて170℃の温度で、50秒間の条件下で乾燥緻密化処理を行い、仕上油剤付与、スチーム処理、捲縮処理および乾燥処理工程を経て、構成本数57万本でトウ状の単繊維繊度1.0dtexのアクリル系合成繊維を製造した。得られたアクリル繊維トウの電気比抵抗は、1.1×10Ω・cmであった。
得られたトウを切断して短繊維とし、これを100%使いした紡績糸1/52を製造した後、両面丸編機を用いてインターロック組織にて編成し、通常の晒し加工を行って編物を製造した。得られた編物は、摩擦帯電圧が洗濯前で2.2kvで、洗濯10回後の摩擦帯電圧が2.6kvであり、それらの差が0.4kvと良好な耐久制電性であった。
また、得られたトウを切断した短繊維と綿を、質量対比40:60で混綿したこと以外は、前記と同様の方法で紡績および編物の製造も実施した。得られた編物は、摩擦帯電圧が洗濯前で2.8kvで、洗濯10回後の摩擦帯電圧が3.9kvであり、それらの差が1.1kvと良好な耐久制電性であった。結果を表2に示す。
(実施例3)
アクリロニトリル/アクリル酸メチル/メタリルスルホン酸ソーダ(95.3質量%/4.3質量%/0.4質量%)をジメチルスルホキシドに溶解させ、溶液重合を行ない、アクリロニトリル系共重合体がジメチルスルホキシドに溶解した紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液を脱泡処理し、孔径0.055mmφの紡糸口金を用いて紡糸ドラフト1.6の条件で凝固浴中に吐出し、凝固糸条を得た。このときの凝固浴は、DMSO濃度が73質量%で、温度が40℃であった。その後、実施例2と同様の方法で延伸、水洗、工程油剤付与、スチーム処理、帯電防止剤付与、乾燥緻密化処理、仕上油剤付与、スチーム処理、捲縮処理、乾燥処理を行い、トウ状の単繊維繊度0.7dtexのアクリル系合成繊維を製造した。得られたアクリル繊維トウの電気比抵抗は、3.6×10Ω・cmであった。
得られたトウを切断して短繊維とし、これを100%使いした紡績糸1/52を製造した後、両面丸編機を用いてインターロック組織にて編成し、通常の晒し加工を行って編物を製造した。得られた編物は、摩擦帯電圧が洗濯前で2.5kv、洗濯10回後の摩擦帯電圧が3.1kvであり、それらの差が0.6kvと良好な耐久制電性であった。結果を表2に示す。
(実施例4)
帯電防止剤の付着率が1.8質量%になるように噴霧したこと以外は、実施例2と同様の方法でトウ状のアクリル系合成繊維を製造した。得られたアクリル繊維トウの電気比抵抗は、2.1×10Ω・cmであった。得られたトウから、実施例2と同様の方法で編物を製造して、摩擦帯電圧を測定したところ、洗濯前が1.6kv、洗濯10回後が2.1kvであり、それらの差が0.5kvと良好な耐久制電性であった。結果を表2に示す。
(実施例5)
150℃の温度で、120秒間の条件下で乾燥緻密化処理を実施したこと以外は、実施例2と同様の方法でトウ状のアクリル系合成繊維を製造した。得られたアクリル繊維トウの電気比抵抗は、5.3×10Ω・cmであった。得られたトウから、実施例2と同様の方法で編物を製造して、摩擦帯電圧を測定したところ、洗濯前が3.2kv、洗濯10回後が4.5kvであり、それらの差が1.3kvと良好な耐久制電性であった。結果を表2に示す。
(比較例2)
帯電防止剤付与を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の方法でトウ状のアクリル系合成繊維を製造した。得られたアクリル繊維トウの電気比抵抗は、1.7×10Ω・cmであった。得られたトウから、実施例2と同様の方法で編物を製造して、摩擦帯電圧を測定したところ、洗濯前が4.2kv、洗濯10回後が6.4kvと、実施例1および2と比べ劣る結果であった。結果を表2に示す。
(比較例3)
帯電防止剤の付着量を2.5質量%に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でトウおよび編物を製造した。得られたトウの電気抵抗値は2.6×10Ω・cmであり、編物の摩擦帯電圧は洗濯前で1.2kv、洗濯10回後で1.7kvと制電性能は優れていたが、紡績工程において、帯電防止剤成分が脱落したため、紡績性は劣る結果であった。結果を表2に示す。
(比較例4)
帯電防止剤溶液として、メトキシポリオキシエチレンメタクリレート・アクリロニトリル・2,3−エポキシプロピルメタクリレート共重合物10質量%とイソプロピルアルコール2質量%を含有する水溶液を使用し、帯電防止剤の付着率を0.5質量%に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法でトウおよび編物を製造した。得られたトウの電気抵抗値は1.8×10Ω・cmであり、編物の摩擦帯電圧は洗濯前で2.5kv、洗濯10回後で2.9kvと制電性能は優れていたが、制電剤Aにあたる物質を使用しなかったため、紡績工程において、帯電防止剤成分が脱落したため、紡績性は劣る結果であった。結果を表2に示す。
(比較例5)
帯電防止剤の付着率を0.3質量%に変更したこと以外は、比較例4と同様の方法でトウおよび編物を製造した。得られたトウの電気抵抗値は3.5×10Ω・cmで、紡績性も良好であったが、制電剤Aにあたる物質を使用しなかったため、編物の摩擦帯電圧は洗濯前で1.3kv、洗濯10回後で6.4kvと耐洗濯性に劣っていた。結果を表2に示す。
Figure 2012067433

Claims (4)

  1. アニオン性共重合成分を含むアクリル系共重合体を紡糸して得られる乾燥緻密化処理工程前の糸条に、末端がカチオン系官能基であるアクリル系ポリマーと、グリシジル基を含むアクリル酸エステル共重合物とからなる帯電防止剤を、付着率0.1〜2質量%で付与し、次いで、130℃以上180℃以下の温度で20秒〜5分間乾燥緻密化処理を行うことを特徴とするアクリル系合成繊維の製造方法。
  2. 帯電防止剤におけるアクリル系ポリマーとアクリル酸エステル共重合物との割合(質量比)が、10/90〜30/70であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系合成繊維の製造方法。
  3. アニオン性共重合成分を含むアクリル系共重合体を、溶媒濃度が60質量%以上の凝固浴中で紡糸ドラフト1.1〜2.2の条件で紡糸して得られる乾燥緻密化処理工程前の糸条に、末端がカチオン系官能基であるアクリル系ポリマーと、グリシジル基を含むアクリル酸エステル共重合物とからなる帯電防止剤を、付着率0.1〜2質量%で付与し、次いで、130℃以上180℃以下の温度で20秒〜5分間乾燥緻密化処理を行うことを特徴とするアクリル系合成繊維の製造方法。
  4. 糸条を構成する単繊維繊度が0.3〜1.0dtexの細繊度である請求項3記載のアクリル系合成繊維の製造方法。
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