以下、適宜、図面を参照しながら本発明の一例としての実施形態を、両開き式ドアの場合と片開きドアの場合に分けて説明する。尚、それぞれの図において、同一の部分または相当する部分には同一の参照符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
(1.両開き式ドアの場合の実施形態)
先ず、両開き式ドアの場合の実施形態について図1ないし図11を参照しながら説明する。
(1−1.実施形態の構成の概要)
図1に本発明の実施形態による両開き式エレベータ乗り場装置の一例を昇降路側から見た正面図を、図2に図1におけるA−A線に沿った断面図を示す。ここで、図1および図2は、いずれもドアパネルが閉じた状態の図である。乗降部は、建物の壁102の開口部に取り付けられた三方枠104と敷居106によって囲われている。三方枠104は、エレベータの昇降方向と平行に設置された一対の側枠108aおよび108bと、側枠108a、108bの上部間に設置された上枠110とから構成され、門の形をしている。三方枠104と敷居106で囲まれた開口が乗降部となる。
上枠110の上部にはヘッダプレート112が取り付けられており、ヘッダプレート112には、ドアレール114が水平に固定されている。ドアレール114には、乗り場ドアパネルとしての両開き式の一対のドアパネル116aおよび116bが、ドアパネル116aおよび116bの上部にそれぞれ取り付けられた懸架部材118aおよび118bを介して、吊下げられている。それぞれの懸架部材118aおよび118bには、ドアローラ120aおよび120bが回動自在に設けられ、これらドアローラ120aおよび120bがドアレール114上を転動することによって、ドアパネル116aおよび116bが開閉する。ドアパネル116aおよび116bの下部には、それぞれ複数のガイドシュー122aおよび122bが取り付けられている。なお、ガイドシュー122aおよび122bの代わりにガイドローラを取り付けてもよい。
敷居106は三方枠104の下部、すなわち側枠108aおよび108bの下部に取り付けられている。敷居106は、乗り場側から昇降路側に突出して左右方向に水平に取り付けられ、敷居106の上面には、その長手方向に沿ってガイド溝が形成されている。ドアパネル116aおよび116bに取り付けられたガイドシュー122aおよび122bは、敷居106のガイド溝に挿入され、ガイド溝に沿ってドアパネル116aおよび116bが開閉する。尚、図1および図2において、建物の壁102の昇降路側であって、図におけるドアパネル116aの左側およびドアパネル116bの右側の領域は戸袋に対応する。
ドアパネル116が閉じている状態であっても、ドアパネル116aと側枠108a、ドアパネル116bと側枠108b、ドアパネル116aおよび116bと上枠110、ドアパネル116aおよび116bと敷居106、およびドアパネル116aと116bの間には数mm程度の僅かな隙間があり、火災発生時には、この隙間を通って乗り場側から昇降路側に煙あるいは炎が流入する虞がある。後ほど詳細に説明を行うが、本実施形態においては、煙あるいは炎の乗り場側から昇降路側への流入を制限するために、要所に配置された遮断部材からなる遮断装置が取り付けられている。すなわち、ドアパネル116aには、ドアパネルが閉じている状態においても存在する、側枠108a、敷居106、ドアパネル116bとの隙間をそれぞれ遮断する、側枠部用遮断部材124a、敷居部用遮断部材128a、戸当たり部用遮断部材130aが取り付けられている。ドアパネル116bには、ドアパネル116aと同様に、側枠部用遮断部材124b、敷居部用遮断部材128b、戸当たり部用遮断部材130bが取り付けられている。また、上枠110には、ドアパネルが閉じている状態においても存在する、ドアパネル116aおよび116bとの隙間を遮断する、上枠部用遮断部材126が取り付けられている。以下、各隙間を遮断する遮断部に関して個別に説明を行う。ここで、以下の説明および参照する図面は、ドアパネル116aおよび116bが閉じた状態に関するものである。
(1−2.側枠部用遮断部)
ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116の戸当り部側と反対側の側縁部と、側枠108との間にある隙間を遮断するための構成を図3ないし図8を参照しながら説明する。ここで、両開きドアの場合には、ドアパネル116aと側枠108aを含む戸袋部との位置関係と、ドアパネル116bと側枠108bを含む戸袋部との位置関係が左右対称であり、構成は同一であるため、ドアパネル116bと側枠108bを含む戸袋部との間にある隙間を遮断するための構成についてのみ説明を行う。図3(a)に、図1におけるB−B線に沿った断面図の一例である、ドアパネル116bと側枠108bを含む戸袋部との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116bと側枠108bを含む戸袋部との間には、参照符号302で示す隙間がある。この隙間302を遮断するために、側枠部用遮断部材124bを取り付ける。側枠部用遮断部材124は、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
側枠部用遮断部材124bは、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部124cで、ドアパネル116bの戸当り部側と反対側の側縁部に固定される。側枠部用遮断部材124bは、この遮断部材124bとドアパネル116bとの間に隙間ができないように密に固定される。例えば、遮断部材124bの基端部124cに金属製の押さえ板304を接着剤で接着し、接着された基端部124cと押さえ板304とを一体的に、ドアパネル116の側縁部に止めねじ306によって、密に締結固定する。側枠部用遮断部材124bは、ドアパネル116bの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ306を介して、基端部124cでドアパネル116bに密に固定される。
側枠部用遮断部材124bの一側縁側は、基端部124cと一体的に形成され、基端部124cから側枠108bの配置側に延びる延在部124dとなっている。延在部124dは、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部124cから延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネの作用を持つ。延在部124dには、この延在部124dの部分であって側枠108bに対向する側の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分124eが重ね合わされて形成されている。図3(a)に示すように、側枠部用遮断部材124bの延在部124dは、側枠108bの表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、円弧状に反るように湾曲し、ドアが閉じた状態において延在部124dの中間部に配置された高分子部材部分124eの側面が側枠108bの角部に弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116bと側枠108bとの間の隙間302が気密的に遮断される。
火災が乗り場の近傍まで及び、側枠部用遮断部材124bが高温になり高分子部材部分124eが溶ける等の原因で消失することもある。このような事態が発生しても、延在部124dは、弾力性を有する不燃性部材からなるため、図3(b)に示すように、延在部124dの中間部の側面が側枠108bの角部に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分124eが消失した場合であっても、ドアパネル116bと側枠108bとの間の隙間302が気密的に遮断される。
前述したように、図3に示した側枠部用遮断部材124bと同様の構成の側枠部用遮断部材124aを設けることによって、ドアパネル116aと側枠108aを含む戸袋部との間にある隙間を遮断することができる。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116の戸当り部側と反対側の側縁部と、側枠108との間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
また、側枠部用遮断部材124の基端部124cには予め接着剤で押さえ板304が取り付けられ、この状態で基端部124cがドアパネル116の側縁部に止めねじ306で固定されている。このため、基端部124cが押さえ板304で補強されることにより基端部124cの変形が防止され、側枠部用遮断部材124が密にドアパネル116の側縁部に取り付けられ、側枠部用遮断部材124とドアパネル116間が遮断される。
尚、図3に示した実施形態においては、側枠部用遮断部材124の延在部124dが側枠108の表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、円弧状に反るように湾曲し、延在部124dの中間部に配置された高分子部材部分124eの側面が側枠108の角部に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116と側枠108との間の隙間302を気密的に遮断している。しかし、遮断部材によってドアパネル116と側枠108との間の隙間302を気密的に遮断するためには、前述した形態に限定されるわけではない。例えば、側枠部用遮断部材124の延在部124dが側枠108の表面に対して直線的に傾斜する姿勢を保ちつつ、延在部124dの先端部に配置された高分子部材部分124eの先端部が側枠108の側面に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116と側枠108との間の隙間302を気密的に遮断することができる。
図4に、図3に示した側枠部用遮断部材とは形状が異なる実施形態を説明するための、図1におけるB−B線に沿った断面図の他の例を示す。図4(a)に示す側枠部用遮断部材124bの延在部124dは、側枠108bの戸袋側の側面まで延び、延在部124dの先端部を含む部分に配置された高分子部材部分124eの側面が側枠108bの戸袋側の側面に弾性的かつ密に接触している。この接触によってドアパネル116bと側枠108bとの間の隙間302が気密的に遮断される。
火災が乗り場の近傍まで及び、側枠部用遮断部材124bが高温になり高分子部材部分124eが溶ける等の原因で消失するような事態が発生しても、延在部124dは弾力性を有する不燃性部材からなるため、図4(b)に示すように、延在部124dの不燃性部材部分の先端部の側面が側枠108bの戸袋側の側面に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分124eが消失した場合であっても、ドアパネル116bと側枠108bとの間の隙間302が気密的に遮断される。
図4に示した側枠部用遮断部材124bと同様の構成の側枠部用遮断部材124aを設けることによって、同様に、ドアパネル116aと側枠108aを含む戸袋部との間にある隙間を遮断することができる。
図5に、図3を参照しながら説明を行った側枠部用遮断部材と、形状が、さらに異なる実施形態を説明するための、図1におけるB−B線に沿った断面図の別な例を示す。図5(a)に示す側枠部用遮断部材124bの延在部124dは、側枠108bの戸袋側の側面まで延び、延在部124dの中間部に配置された高分子部材部分124eの側面が側枠108bの戸袋側の角に弾性的かつ密に接触している。この接触によってドアパネル116bと側枠108bとの間の隙間302が気密的に遮断される。ここで、延在部124dの先端には、破線の楕円で表した部分に掛止部124fが形成されている。
火災が乗り場の近傍まで及ぶと、ドアパネル116の乗り場側は昇降路側に比べて温度が高くなり、ドアパネル116の乗り場側と昇降路側とに温度差が生じる。このような状況になると、平坦であったドアパネル116は、例えば、乗り場側に凸になるように変形し始める。この結果、ドアパネル116の一部は、側枠108から遠ざかるように変形する。図5(b)は、このような状態を示しており、図5(a)に示した状態に比べてドアパネル116bと側枠108bとの間の距離が広がっており、隙間302が広がっている。ドアパネル116bと側枠108bとの距離が予め定められた値まで広がると、図5(b)に示すように、側枠部用遮断部材124bの延在部124dの先端に形成された掛止部124fが側枠108bの戸袋側側面に形成された被掛止部108fに引っ掛かる。掛止部124fが被掛止部108fに引っ掛かることによって、ドアパネル116bは、それ以上、側枠108bから遠ざからないようにすることができる。
このとき、延在部124dには弾力性があるため、延在部124dの側面が側枠108bの戸袋側の角に弾性的かつ密に接触し、ドアパネル116bと側枠108bとの間の隙間302が気密的に遮断される。尚、図5(b)においては、高分子部材部分124eが残っている状態を示しているが、高分子部材部分124eが溶ける等の原因で消失するような事態が発生した場合には、弾力性がある不燃性部材からなる延在部124dの側面が側枠108bの戸袋側の角に弾性的かつ密に接触する。このような接触によって、ドアパネル116bと側枠108bとの間の隙間302が気密的に遮断される。
前述したように、側枠部用遮断部材124bはドアパネル116bの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延びて設けられるが、側枠部用遮断部材124bの延在部124dもドアパネル116bの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延びて設けられる。しかし、延在部124dに形成される掛止部124fは、必ずしもドアパネル116bの上下方向のほぼ全長に亘って連続して設ける必要はない。1または複数の掛止部124fを延在部124dの要所に形成することもできる。図6に、側枠部用遮断部材124bを乗り場側から透視した図を示す。この図においては、側枠部用遮断部材124bの延在部124dの3箇所に掛止部124fが形成されているが、これは一例であって、掛止部124fの数は1または複数とすることができる。
図5に示した側枠部用遮断部材124bと同様の構成の側枠部用遮断部材124aを設けることによって、ドアパネル116aと側枠108aを含む戸袋部との間にある隙間を遮断するとともに、ドアパネル116aを側枠108aから所定の間隔以上に遠ざからないようにすることができる。
本実施形態によれば、図3および図4を参照しながら説明を行った実施形態による効果に加えて、熱によるドアパネルの変形を所定の限度内に抑えることが可能となり、ドアパネルの熱変形による脱離を防止するために有用である。
図7に、図3(a)を参照しながら説明を行った側枠部用遮断部材の延在部の形態の一部を変更した実施形態を説明するための、図1におけるB−B線に沿った断面図の、さらに、他の例を示す。図3(a)に示した側枠部用遮断部材124bの延在部124dには、延在部124dの中間部であって、ドアが閉じた状態において側枠108bの角部に接触する側のみに、弾力性を有する高分子部材部分124eが重ね合わされているのに対し、図7に示す側枠部用遮断部材124bの延在部124dには、弾力性を有する高分子部材部分124eが、ドアが閉じた状態において側枠108bの角部に接触する側に加えて、延在部124dの反対側にも重ね合わされている。すなわち、側枠部用遮断部材124bの延在部124dは、その中間部において弾力性を有する高分子部材部分124eによって挟まれているか、囲まれている。
このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に、側枠部用遮断部材124bの延在部124dを挿入することによって製造することができる。
ドアパネル116aに取り付けられる側枠部用遮断部材124bの延在部124dも、同様に、弾力性を有する高分子部材部分124eが、ドアが閉じた状態において側枠108aの角部に接触する側に加えて、延在部124dの反対側にも重ね合わされている。
図8に、図5を参照しながら説明を行った側枠部用遮断部材の延在部の形態の一部を変更した実施形態を説明するための、図1におけるB−B線に沿った断面図の、さらに、異なる例を示す。図5(a)に示した側枠部用遮断部材124bの延在部124dには、延在部124dの中間部であって、ドアが閉じた状態において側枠108bの角部に接触する側のみに弾力性を有する高分子部材部分124eが重ね合わされているのに対し、図8(a)に示す側枠部用遮断部材124bの延在部124dには、弾力性を有する高分子部材部分124eが、ドアが閉じた状態において側枠108bの角部に接触する側に加えて、延在部124dの反対側にも重ね合わされている。すなわち、側枠部用遮断部材124bの延在部124dは、その中間部において弾力性を有する高分子部材部分124eによって挟まれている、または囲まれている。
このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に側枠部用遮断部材124bの延在部124dを挿入することによって製造することができる。
図8(b)に、ドアパネル116の一部が、側枠108から遠ざかるように変形した状態を示す。図5(b)を参照しながら説明したように、ドアパネル116bと側枠108bとの距離が予め定められた値まで広がると、図8(b)に示すように、側枠部用遮断部材124bの延在部124dの先端に形成された掛止部124fが側枠108bの戸袋側側面に形成された被掛止部108fに引っ掛かる。掛止部124fが被掛止部108fに引っ掛かることによって、ドアパネル116bは、それ以上、側枠108bから遠ざからないようにすることができる。
ドアパネル116aに取り付けられる側枠部用遮断部材124bの延在部124dにも、同様に、弾力性を有する高分子部材部分124eが、ドアが閉じた状態において側枠108aの角部に接触する側に加えて、延在部124dの反対側にも重ね合わされている。
尚、ドアが開くときにはドアパネル116は対応する戸袋方向に移動し、ドアが閉じた状態において側枠108に密接していた側枠部用遮断部材124の延在部124dおよび高分子部材部分124eは、側枠108から離れる。ドアが閉まるときにはドアパネル116は三方枠104の中央方向に移動し、側枠部用遮断部材124の延在部124dおよび高分子部材部分124eは、対応する側枠108に接触することによって若干曲げられる。すなわち、側枠部用遮断部材124の延在部124dおよび高分子部材部分124eは、ドアが閉じる度に曲げられる応力を受ける。したがって、側枠部用遮断部材124の延在部124dに用いられる高分子部材部分124eは、適切な弾力性とともに、適切な耐摩耗性および復元性を有することが好ましい。
(1−3.上枠部用遮断部)
次に、ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116と上枠部110との間にある隙間を遮断するための構成を、図9を参照しながら説明する。図9に、図1におけるC−C線に沿った断面図の一例であるドアパネル116aと上枠部110との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。尚、ドアパネル116bと上枠部110との間にある隙間を遮断するための構成は同様であるため、図示および説明を省略する。ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aと上枠部110との間には、参照符号902で示す隙間がある。この隙間902を遮断するために、上枠部用遮断部材126を取り付ける。上枠部用遮断部材126は、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
上枠部用遮断部材126は、この遮断部材126の基端部126cで、上枠部110の昇降路側に固定される。上枠部用遮断部材126は、この遮断部材126と上枠部110との間に隙間ができないように密に固定される。例えば、遮断部材126の基端部126cに金属製の押さえ板904を接着剤で接着し、接着された基端部126cと押さえ板904とを一体的に、上枠部110に止めねじ906によって、密に締結固定する。ここで、遮断部材126の基端部126cの部分は一体的に形成され、前述した弾力性を有する不燃性部材からなる。上枠部用遮断部材126は、上枠部110の左右方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ906を介して、基端部126cで上枠部110に密に固定される。
上枠部用遮断部材126の上側は、基端部126cと一体的に形成され、基端部126cからドアパネル116a側に斜め上方に延びる延在部126dとなっている。延在部126dは、基端部126cからドアパネル116a側に延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネの作用を持つ。この延在部126dの部分であってドアパネル116aに対向する側の少なくとも一部には、弾力性を有する高分子部材からなる部分126eが延在部126dに重ね合わされて形成されている。図9に示すように、上枠部用遮断部材126の延在部126dはドアパネル116aの表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、ドアが閉じた状態において延在部126dの先端側部に配置された高分子部材部分126eの側面がドアパネル116aの上部表面に弾性的かつ密に接触し、この接触によって上枠部110とドアパネル116aとの間の隙間902が気密的に遮断される。
火災が乗り場の近傍まで及び、上枠部用遮断部材126が高温になり高分子部材部分126eが溶ける等の原因で消失することもある。このような事態が発生しても、延在部126dは弾力性を有する不燃性部材からなるため、前述した側枠部用遮断部材の延在部124dと同様に、延在部126dの先端縁部の側面がドアパネル116aの表面に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分126eが消失した場合であっても、上枠部110とドアパネル116aとの間の隙間902が気密的に遮断される。
上枠部110とドアパネル116aとの間の隙間も、上枠部用遮断部材126が高温になった状況においても、同様の構成によって気密的に遮断される。
尚、側枠部用遮断部材124に関しては前述したが、上枠部用遮断部材126として多様な形状および形態を採ることができ、図9に示した形状および形態に限定されるものではない。例えば、側枠部用遮断部材124に関して図7および図8によって示したように、上枠部用遮断部材126の延在部126dには、弾力性を有する高分子部材部分126eを、ドアが閉じた状態においてドアパネル116の表面に接触する側に加えて、延在部126dの反対側にも重ね合わせて配置することができる。すなわち、上枠部用遮断部材126の延在部126dを、弾力性を有する高分子部材部分126eによって挟まれているか、囲まれている構成にすることができる。このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に上枠部用遮断部材126の延在部126dを挿入することによって製造することができる。
また、図9に示した実施形態においては、上枠部用遮断部材126の延在部126dがドアパネル116の表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、延在部126dの先端側部に配置された高分子部材部分126eの側面がドアパネル116の上部表面に弾性的かつ密に接触することによって、上枠部110とドアパネル116との間の隙間902を気密的に遮断している。しかし、遮断部材によってドアパネル116とドアパネル116との間の隙間902を気密的に遮断するためには、前述した形態に限定されるわけではない。例えば、上枠部用遮断部材126の延在部126dがドアパネル116の表面に対して直線的に傾斜する姿勢を保ちつつ、延在部126dの中間部の側面に配置された高分子部材部分126eの側面がドアパネル116の上部表面に弾性的かつ密に接触することによって、上枠部110とドアパネル116との間の隙間902を気密的に遮断することができる。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、上枠110とそれぞれのドアパネル116との間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
また、上枠部用遮断部材126の基端部126cには、予め、例えば、接着剤で押さえ板904が取り付けられ、この状態で基端部126cが上枠部110に止めねじ906で固定されている。このため、基端部126cが押さえ板904で補強されることにより基端部126cの変形が防止され、上枠部用遮断部材126が密に上枠部110に取り付けられ、上枠部用遮断部材126と上枠部110間が遮断される。
尚、ドアパネル116a、116bが開閉する際には、それぞれのドアパネル116の上部は、上枠部用部材126の延在部126dに重ね合わされた高分子部材部分126eと摺接する。したがって、上枠部用遮断部材126の高分子部材部分126eに用いられる部材は、適切な弾力性とともに、適切な円滑性と耐摩耗性を有することが好ましい。
(1−4.敷居部用遮断部)
次に、ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116と敷居106との間にある隙間を遮断するための構成を、図10を参照しながら説明する。図10に、図1におけるD−D線に沿った断面図の一例である、ドアパネル116aと敷居106との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。尚、ドアパネル116bと敷居106との間にある隙間を遮断するための構成は、ドアパネル116aと敷居106との間にある隙間を遮断するための構成と同様であるため、図示および説明を省略する。
敷居106の上面には、長手方向、すなわちドアの開閉方向に沿ってガイド溝1008が形成されている。ドアパネル116aの下部に取り付けられたガイドシュー122aはガイド溝1008内に挿入され、ドアパネル116aは、ガイド溝1008に沿って開閉する。なお、ガイド溝1008の底面には、多くの場合、ごみ等の異物を排出するための排出孔(図示せず)が形成されている。
ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aと敷居106との間には、参照符号1002で示す隙間がある。この隙間1002を遮断するために、ドアパネル116aには敷居部用遮断部材128aが取り付けられている。敷居部用遮断部材128aは、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
敷居部用遮断部材128aは、この遮断部材128aの基端部128cで、ドアパネル116aの下梁1010に固定される。敷居部用遮断部材128aは、この遮断部材128aと下梁1010との間に隙間ができないように密に固定される。例えば、遮断部材128aの基端部128cに金属製の押さえ板1004を接着剤で接着し、接着された基端部128cと押さえ板1004とを一体的に、ドアパネル116の下梁1010に止めねじ1006によって、密に締結固定する。ここで、遮断部材128aの基端部128cの部分は一体的に形成され、前述した弾力性を有する不燃性部材からなる。
敷居部用遮断部材128aは、ドアパネル116aの下部の左右方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ1006を介して、基端部128cでドアパネル116aの下梁1010に密に固定される。
敷居部用遮断部材128aの下部側は、基端部128cと一体的に形成され、基端部128cから敷居106側に延びる延在部128dとなっている。延在部128dは、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部128cから延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネ作用を持つ。延在部128dには、その部分であって敷居106に対向する側の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分128eが延在部128dに重ね合わされて形成されている。図10に示すように、敷居部用遮断部材128aの延在部128dは敷居106の上面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、延在部128dの先端部に配置された高分子部材部分128eの側面が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116aと敷居106との間の隙間1002が気密的に遮断される。
前述したように、敷居106に設けられたガイド溝1008の底面には異物排出用の排出孔が形成される場合がある。しかし、図10に示すように、敷居部用遮断部材128aが、ガイド溝1008が形成されている位置よりも乗り場側で敷居106の上面に接触して隙間1002を遮断することによって、ガイド溝1008の底面に形成された排出孔を通して乗り場側からの煙および炎が昇降路内に流入することを制限することができる。
火災が乗り場の近傍まで及び、敷居部用遮断部材128aが高温になり高分子部材部分128eが溶ける等の原因で消失することもある。このような事態が発生しても、延在部128dは弾力性を有する不燃性部材からなるため、延在部128dの先端部の側面が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分128eが消失した場合であっても、ドアパネル116aと敷居106との間の隙間1002が気密的に遮断される。
尚、側枠部用遮断部材124に関しては前述したが、敷居部用遮断部材128として多様な形状および形態を採ることができ、図10に示した形状および形態に限定されるものではない。例えば、側枠部用遮断部材124に関して図7および図8によって示したように、敷居部用遮断部材128の延在部128dには、弾力性を有する高分子部材部分128eを、敷居106の上面に接触する側に加えて、延在部128dの反対側にも重ね合わせて配置することができる。すなわち、敷居部用遮断部材128の延在部128dを、弾力性を有する高分子部材部分128eによって挟まれているか、囲まれている構成にすることができる。このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に敷居部用遮断部材128の延在部128dを挿入することによって製造することができる。
また、図10に示した実施形態においては、敷居部用遮断部材128の延在部128dが敷居106の上面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、延在部128dの先端部に配置された高分子部材部分128eの側面が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116と敷居106との間の隙間1002を気密的に遮断している。しかし、遮断部材によってドアパネル116と敷居106との間の隙間1002を気密的に遮断するためには、前述した形態に限定されるわけではない。例えば、敷居部用遮断部材128の延在部128dが敷居106の上面に対して直線的に傾斜する姿勢を保ちつつ、延在部128dの中間部に配置された高分子部材部分128eの先端部が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116と敷居106との間の隙間1002を気密的に遮断することができる。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116の下部と敷居106との間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
また、前述したように、敷居部用遮断部材128の基端部128cには、予め、押さえ板1004が取り付けられ、この状態で基端部128cがドアパネル116の下梁1010に止めねじ1006で固定されている。このため、基端部128cが押さえ板1004で補強されることにより基端部128cの変形が防止されとともに、敷居部用遮断部材128が密にドアパネル116の下梁1010に取り付けられ、敷居部用遮断部材128とドアパネル116間が遮断される。
尚、敷居部用遮断部材128aの延在部128dに重ね合わされた高分子部材部分128eは、ドアパネル116が開閉する際に、敷居106の上面と摺接するため、延在部128dに用いられる高分子部材部分128eには、適切な弾力性とともに、適切な円滑性と耐摩耗性を有する材料を用いることが好ましい。
(1−5.ドアの戸当たり部用遮断部)
次に、ドアパネル116が閉じ、それぞれのドアパネル116aとドアパネル116bとの側縁部が互いに戸当たりした状態で、ドアパネル116aとドアパネル116bとの側縁部の間にある隙間を遮断するための構成を、図11を参照しながら説明する。図11に、図1におけるE−E線に沿った断面図の一例である、一対のドアパネル116の戸当り部間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。ドアパネル116aとドアパネル116bが閉じた状態で、これらのドアパネル116の側縁部(戸当り部)の間には、参照符号1102で示す隙間がある。この隙間1102を遮断するために、ドアパネル116aとドアパネル116bに、それぞれ、戸当たり部用遮断部材130aおよび130bを取り付ける。戸当たり部用遮断部材130は、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。戸当たり部用遮断部材130aおよび130bは、図11からも分かるように左右対称の関係にあり同様の構成とすることができるため、以下の説明においては戸当たり部用遮断部材130aを中心に述べる。
戸当たり部用遮断部材130aは、この遮断部材130aの基端部130cで、ドアパネル116aに固定される。戸当たり部用遮断部材130aは、この遮断部材130aとドアパネル116aとの間に隙間ができないように密に固定される。ここで、遮断部材130aの基端部130cの部分は、弾力性を有する不燃性部材からなる。戸当たり部用遮断部材130aは、ドアパネル116aの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじによって、基端部130cでドアパネル116aに密に固定される。
戸当たり部用遮断部材130aの一側縁側は、基端部130cと一体的に形成され、基端部130cから戸当たり側に延びる弾力性を有する不燃性部材からなる延在部130dとなっている。延在部130dは、バネの作用を持つ。延在部130dには、延在部130dの戸当たり側に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分130eが重ね合わされて形成されている。図11に示すように、戸当たり部用遮断部材130bの延在部130dはドアパネル116aの表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、円弧状に反るように湾曲し、ドアが閉じた状態において延在部130dに配置された高分子部材部分130eの側面が、同様に構成されたパネル116bの延在部130dに配置された高分子部材部分130eの側面に弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116aとドアパネル116bとの間の隙間1002が気密的に遮断される。戸当たり部用遮断部材130aの延在部130dおよび戸当たり部用遮断部材130bの延在部130dは、これらの戸当たり側に延びた部分が互いに対向する中間部等の部分を含む。尚、図に示した実施形態においては、エレベータ利用者がドアパネルに挟まれた場合の被害を小さくするために、それぞれの戸当たり部用遮断部材130には中空部が設けられている。
火災が乗り場の近傍まで及び、戸当たり部用遮断部材130a、130bが高温になり高分子部材部分130eが溶ける等の原因で消失することもある。このような事態が発生しても、延在部130dは弾力性を有する不燃性部材からなるため、一対の延在部130dの不燃性部材部分の互いに対向する中間部等の部分を含む戸当たり側に延びた部分の側面が互いに弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分130eが消失した場合であっても、ドアパネル116aとドアパネル116bとの間の隙間1002が気密的に遮断される。
尚、戸当たり部用遮断部材130として多様な形状および形態を採ることができ、図11に示した形状および形態に限定されるものではない。例えば、戸当たり部用遮断部材130の延在部130dには、弾力性を有する高分子部材部分130eを、戸当たり側に延びる不燃性部材の部分の戸当たり側に加えて、延在部130dの反対側にも重ね合わせて配置することができる。すなわち、戸当たり部用遮断部材130の延在部130dを、弾力性を有する高分子部材部分130eによって挟まれているか、囲まれている構成にすることができる。このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に戸当たり部用遮断部材130の延在部130dの不燃性部材の部分を挿入することによっても製造することができる。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aとドアパネル116bとの間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
以上説明を行った両開き式ドアの場合の実施形態によれば、エレベータ乗り場における各乗り場ドアパネル116と側枠108との間の隙間、各乗り場ドアパネル116と上枠部110との間の隙間、各乗り場ドアパネル116と敷居106との間の隙間、および一対の乗り場ドアパネル116の戸当り部間の隙間が、それぞれ不燃材料を含む側枠部用遮断部材124、上枠部用遮断部材126、敷居部用遮断部材128、および戸当たり部用遮断部材130によって遮断され、エレベータの着床階で火災が発生した場合、エレベータ乗り場から昇降路への煙および炎の流入を制限することができる。このことによって、火災の拡大を抑えるとともに、他の着床階への煙および炎の拡散を防止することができる。
また、各遮断部材の延在部はバネの機能を有するため、接触対象との接触により延在部の接触部に配置された高分子部材部分が摩耗あるいは消失しても、煙および炎を遮断することができる。
また、各遮断部材は簡潔な構成であるため、コストも低く抑えることができる。
さらに、従来のスクリーンを用いる防災装置のように機能を発揮するまでの動作時間が不要であり、瞬時に煙および炎を遮断することができる。また、各遮断部材は利用者が見ることも触ることもできない位置に設けることができるため、エレベータ乗り場の美観を損なうことも、エレベータ利用者に危害が及ぶ虞もない。
(2.片開き方式の場合の実施形態)
次に、片開き式ドアの場合の実施形態について図12ないし図21を参照しながら説明する。ここで、以下の説明においては、一例として2枚片開き式ドアの場合について説明を行う。
(2−1.実施形態の構成の概要)
図12に本発明の実施形態による2枚片開き式エレベータ乗り場装置の一例を昇降路側から見た正面図を、図13に、図12におけるF−F線に沿った断面図を示す。ここで、図12および図13は、いずれもドアパネルが閉じた状態の図である。乗降部は、建物の壁102の開口部に取り付けられた三方枠104と敷居106によって囲われている。三方枠104は、エレベータの昇降方向と平行に設置された一対の側枠108aおよび108bと、側枠108a、108bの上部間に設置された上枠110とから構成され、門の形をしている。三方枠104と敷居106で囲まれた開口が乗降部となる。
前述した両開き式ドアの場合は、一対のドアパネル116a、116bがエレベータ乗り場の建物の壁102に平行な同一平面上に配置され、ドアパネル116a、116bが互いに逆方向に等しい速さで移動することによって乗降部が開閉される。一方、以下で説明を行う2枚片開き式ドアの場合の実施形態においては、図13に示すように、ドアパネル116a、116bは乗降方向から見て前後に段違い状に配置されており、ドアパネル116a、116bが同じ方向に異なる速度で移動することによって乗降部が開閉される点で、両開き式ドアの場合と異なる。
本実施形態においては、図12および図13に示すドアが閉じた状態から、ドアパネル116a、116bは、共に図の左方向に移動することによってドアが開く。図12および図13において、建物の壁102の昇降路側であって、図におけるドアパネル116aの左側の領域は戸袋に対応する。本願においては、図12および図13における側枠108aを戸袋側の側枠と呼ぶ。逆に、ドアが開いた状態から、ドアパネル116a、116bは、共に図の右方向に移動することによってドアが閉じる。図12および図13における側枠108bは戸当たり側の側枠である。ドアが開閉する際、ドアパネル116aは、ドアパネル116bに比べて低速で移動するため、低速ドアと呼ばれ、ドアパネル116bは、高速ドアと呼ばれることがある。2枚片開き式ドアが開閉する際には、低速ドアの移動速度は高速ドアの移動速度の約1/2である。
2枚片開き式ドアの場合の実施形態においては、ドアパネル116a、116bが乗降方向から見て前後に段違い状に配置されているため、敷居106および三方枠104の上枠部110もドアパネルの配置に応じた構成となっている点で、前述した両開き式ドアの場合の実施形態と異なる。敷居106部分の構成に関しては、後ほど詳細に述べるが、上枠部110は、図においてドアパネル116aに対応する左側の前列区間110aと、ドアパネル116bに対応する右側の後列区間110bを含む。
前述した両開き式ドアの場合と同様に、ドアパネル116が閉じている状態であっても、ドアパネル116aと側枠108a、ドアパネル116bと側枠108b、ドアパネル116aおよび116bと上枠110、ドアパネル116aおよび116bと敷居106、およびドアパネル116aと116bの間には数mm程度の僅かな隙間があり、火災発生時には、この隙間を通って乗り場側から昇降路側に煙あるいは炎が流入する虞がある。後ほど詳細に説明を行うが、本実施形態においても、煙あるいは炎の乗り場側から昇降路側への流入を制限するために、要所に配置された遮断部材からなる遮断装置が取り付けられている。すなわち、ドアパネル116aには、ドアパネルが閉じている状態においても存在する、戸袋側の側枠108aおよび敷居106との隙間をそれぞれ遮断する、戸袋側の側枠部用遮断部材1224および敷居部用遮断部材1228aが取り付けられている。ドアパネル116bには、戸当たり側の側枠108b部、敷居106およびドアパネル116aとの隙間をそれぞれ遮断する、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225a、敷居部用遮断部材1228bおよびドア重なり部用遮断部材1230が取り付けられている。また、上枠110には、ドアパネルが閉じている状態においても存在する、ドアパネル116aおよび116bとの隙間を遮断する、上枠部用遮断部材1226が取り付けられている。さらに、戸当たり側の側枠108b部には、ドアパネルが閉じている状態においても存在する、ドアパネル116bとの隙間を遮断する、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225bが取り付けられている。以下、各隙間を遮断する遮断部に関して個別に説明を行う。ここで、以下で説明および参照する図面は、ドアパネル116aおよび116bが閉じた状態に関するものである。尚、ドアパネルの数が複数ではない1枚片開き式ドアの場合には、ドア重なり部用遮断部材1230は不要である。以下、各隙間を遮断する遮断部に関して個別に説明を行うが、前述した両開き式ドアと同様の構成とすることができる遮断部に関しては、その旨を記し、簡潔な説明にとどめる。
(2−2.戸袋側の側枠部用遮断部)
戸袋側の側枠部用遮断部は、(1−2)で図3ないし図8を参照しながら説明を行った、両開き式ドアの場合の側枠部用遮断部と同様な構成とすることができる。ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aの戸袋側の側縁部と、側枠108aとの間にある隙間を遮断するための構成の一例を、図14を参照しながら説明する。図14に、図12におけるG−G線に沿った断面図の一例である、ドアパネル116aと側枠108aを含む戸袋部との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。この図に示した構成は、図3とは左右が逆になっているが、図3に示した構成と実質的に同一である。ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aと側枠108aを含む戸袋部との間には存在する参照符号1402で示す隙間を遮断するために、戸袋側の側枠部用遮断部材1224を取り付ける。戸袋側の側枠部用遮断部材1224は、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
戸袋側の側枠部用遮断部材1224は、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部1224cで、ドアパネル116aの戸袋側の側縁部に固定される。戸袋側の側枠部用遮断部材1224は、この遮断部材1224bとドアパネル116aとの間に隙間ができないように密に固定される。例えば、遮断部材1224bの基端部1224cに金属製の押さえ板1404を接着剤で接着し、接着された基端部1224cと押さえ板1404とを一体的に、ドアパネル116の側縁部に止めねじ1406によって、密に締結固定する。戸袋側の側枠部用遮断部材1224は、ドアパネル116aの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ1406を介して、基端部1224cでドアパネル116aに密に固定される。
戸袋側の側枠部用遮断部材1224の一側縁側は、基端部1224cと一体的に形成され、基端部1224cから側枠108aの配置側に延びる延在部1224dとなっている。延在部1224dは、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部1224cから延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネの作用を持つ。延在部1224dには、この延在部1224dの部分であって側枠108aに対向する側の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分1224eが重ね合わされて形成されている。図14に示すように、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部1224dは、側枠108aの表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、円弧状に反るように湾曲し、ドアが閉じた状態において延在部1224dの中間部に配置された高分子部材部分1224eの側面が側枠108aの角部に弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間1402が気密的に遮断される。
火災が乗り場の近傍まで及び、戸袋側の側枠部用遮断部材1224が高温になり高分子部材部分1224eが溶ける等の原因で消失することもある。このような事態が発生しても、図3(b)を参照しながら行った説明と同様に、延在部1224dは、弾力性を有する不燃性部材からなるため、延在部1224dの中間部の側面が側枠108aの角部に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分1224eが消失した場合であっても、ドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間1402が気密的に遮断される。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aの戸袋側の側縁部と、戸袋側の側枠108aとの間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
また、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の基端部1224cには予め接着剤で押さえ板1404が取り付けられ、この状態で基端部1224cがドアパネル116aの側縁部に止めねじ1406で固定されている。このため、基端部1224cが押さえ板1404で補強されることにより基端部1224cの変形が防止され、戸袋側の側枠部用遮断部材1224が密にドアパネル116aの側縁部に取り付けられ、戸袋側の側枠部用遮断部材1224とドアパネル116aの間が遮断される。
尚、図14に示した実施形態においては、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部1224dが側枠108aの表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、円弧状に反るように湾曲し、延在部1224dの中間部に配置された高分子部材部分1224eの側面が側枠108aの角部に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間1402を気密的に遮断している。しかし、遮断部材によってドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間1402を気密的に遮断するためには、前述した形態に限定されるわけではない。両開き式のドアに関して図3ないし図5を参照しながら行った説明したように、例えば、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部1224dが側枠108aの表面に対して直線的に傾斜する姿勢を保ちつつ、延在部1224dの先端部に配置された高分子部材部分1224eの先端部が側枠108aの側面に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間1402を気密的に遮断することができる。
すなわち、図4を参照しながら説明を行った両開き式ドアの場合の側枠部用遮断部と同様な構成を、片開き式ドアにおける戸袋側の側枠部用遮断部においても採ることができる。この場合、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部の先端部を含む部分に配置された高分子部材部分の側面が側枠108aの戸袋側の側面に弾性的かつ密に接触する。この場合においても、図14に示した実施形態と同様に、戸袋側の側枠部用遮断部材1224が戸袋側の側枠108aに弾性的かつ密に接触することによって、戸袋側の側枠部用遮断部材1224が高温になり高分子部材部分が溶ける等の原因で消失するような事態が発生しても、ドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間が気密的に遮断される。
さらに、図5および図6を参照しながら説明を行った両開き式ドアの場合の側枠部用遮断部と同様な構成を、片開き式ドアにおける戸袋側の側枠部用遮断部においても採ることができる。
すなわち、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の弾力性のある不燃性部材からなる延在部を側枠108aの戸袋側の側面まで延ばし、延在部の先端には掛止部を形成する。延在部の中間部には、高分子部材部分を延在部の側枠側の面に配置する。ドア116が閉じた状態においては、高分子部材部分1224eの側面が側枠108aの戸袋側の角に弾性的かつ密に接触する。
前述したように、火災が乗り場の近傍まで及ぶと、ドアパネル116の乗り場側は昇降路側に比べて温度が高くなり、ドアパネル116の乗り場側と昇降路側とに温度差が生じる。このような状況になると、平坦であったドアパネル116は、例えば、乗り場側に凸になるように変形し始める。この結果、ドアパネル116の一部は、側枠108から遠ざかるように変形する。ドアパネル116aと側枠108aとの距離が予め定められた値まで広がると、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部の先端に形成された掛止部が側枠108aの戸袋側側面に形成された被掛止部108fに引っ掛かる。掛止部が被掛止部108fに引っ掛かることによって、ドアパネル116aは、それ以上、側枠108aから遠ざからないようにすることができる。
このとき、延在部には弾力性があるため、延在部の側面が側枠108aの戸袋側の角に弾性的かつ密に接触し、ドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間が気密的に遮断される。高分子部材部分が溶ける等の原因で消失するような事態が発生した場合には、弾力性がある不燃性部材からなる延在部の側面が側枠108aの戸袋側の角に弾性的かつ密に接触する。このような接触によって、ドアパネル116aと側枠108aとの間の隙間1402は、平常時においても、火災が乗り場の近傍まで及んだときにも、気密的に遮断される。
前述したように、戸袋側の側枠部用遮断部材1224はドアパネル116aの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延びて設けられるが、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部もドアパネル116aの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延びて設けられる。しかし、図6を参照しながら説明したように、延在部に形成される掛止部は、必ずしもドアパネル116aの上下方向のほぼ全長に亘って連続して設ける必要はない。1または複数の掛止部を延在部の要所に形成することもできる。
本実施形態によれば、前述した実施形態における効果に加えて、熱によるドアパネルの変形を所定の限度内に抑えることが可能となり、ドアパネルの熱変形による脱離を防止するために有用である。
また、図7および図8を参照しながら説明を行った両開き式ドアの場合の側枠部用遮断部と同様な構成とすることもできる。すなわち、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部の一部であって、ドアが閉じた状態において側枠108aのいずれかの部分に接触する側に加えて、高分子部材部分を延在部の反対側にも重ね合わせて配置する。このような構成においては、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部は、その一部において弾力性を有する高分子部材部分によって挟まれているか、囲まれている。このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部を挿入することによって製造することができる。
尚、ドアが開くときにはドアパネル116aは戸袋方向に移動し、ドアが閉じた状態において側枠108aに密接していた戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部および高分子部材部分は、側枠108aから離れる。ドアが閉まるときにはドアパネル116aは三方枠104の中央方向に移動し、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部および高分子部材部分は、側枠108aに接触することによって若干曲げられる。すなわち、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部および高分子部材部分は、ドアが閉じる度に側枠108aから応力を受ける。したがって、戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部に重ね合わされて配置される高分子部材部分は、適切な弾力性とともに、適切な耐摩耗性および復元性を有することが好ましい。
(2−3.戸当たり側の側枠部用遮断部)
ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116bの戸当たり側の側縁部と、側枠108bとの間にある隙間を遮断するための構成の一例を、図15を参照しながら説明する。図15に、図12におけるH−H線に沿った断面図の一例である、ドアパネル116bと側枠108bを含む戸当たり部との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。この図に示した実施形態においては、戸当たり板1508が側枠108bに密接に固定されており、ドアが閉じるときにはドアパネル116bの側縁部が戸当たり板1508に突き当たる。ドアが閉じた状態で、ドアパネル116bと戸当たり板1508との間には存在する参照符号1502で示す隙間を遮断するために、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aおよび1225bを、それぞれドアパネル116bおよび戸当たり板1508に取り付ける。戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aおよび1225bは、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aおよび1225bは、両開き式ドアの場合の実施形態の(1−5.ドアの戸当たり部用遮断部)に記載した両開き式ドア用の戸当たり部用遮断部材130aおよび130bと同様の構成とすることができる。片開き式ドアの場合における戸当たり側の側枠部用遮断部が、両開き式ドアの場合におけるドアの戸当たり部用遮断部と構成の点で大きく異なる点は、片開き式ドアの場合における戸当たり側の側枠部用遮断部材1225の一方が、ドアパネルではなく戸当たり板または戸当たり側の側枠に取り付けられる点である。
戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aおよび1225bは、この遮断部材を取り付けるための基端部1225cと、基端部1225cから戸当たり側に延びる延在部1225dを含む。基端部1225cおよび延在部1225dは、弾力性を有する不燃性部材からなり、一体的に形成されている。延在部1225dは、バネの作用を持つ。延在部1225dには、延在部1225dの戸当たり側に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分1225eが重ね合わされて形成されている。それぞれの戸当たり側の側枠部用遮断部材1225には中空部が設けられている。
戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aおよび1225bは、それぞれ、ドアパネル116bとの間および戸当たり板1508との間に隙間ができないように、それぞれの基端部1225cで、ドアパネル116bおよび戸当たり板1508に密に固定される。戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aは、ドアパネル116bの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじによって、基端部1225cでドアパネル116bに密に固定される。戸当たり側の側枠部用遮断部材1225bは、戸当たり板1508の上下方向のほぼ全長区間に亘って連続して延び、例えば、接着剤およびボルトによって、基端部1225cで戸当たり板1508に密に固定される。
図15に示すように、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aおよび1225bの延在部1225dは対応する基端部1225cと一体的に形成され、それぞれ、ドアパネル116bおよび戸当たり板1508の昇降路側の表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、円弧状に反るように湾曲している。ドアが閉じた状態においては、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aおよび1225bの延在部1225dにそれぞれ配置された高分子部材部分1225eの側面が、互いに弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116bと戸当たり板1508との間の隙間1502が気密的に遮断される。戸当たり側の側枠部用遮断部材1225aの延在部1225dおよび戸当たり側の側枠部用遮断部材1225bの延在部1225dは、これらの戸当たり側に延びた部分が互いに対向する中間部を含む。
火災が乗り場の近傍まで及び、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225a、1225bが高温になり高分子部材部分1225eが溶ける等の原因で消失する事態が発生しても、延在部1225dは弾力性を有する不燃性部材からなるため、一対の延在部1225dの不燃性部材部分の互いに対向する中間部を含む戸当たり側に延びた部分の側面が互いに弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分1225eが消失した場合であっても、ドアパネル116bと戸当たり板1508との間の隙間1502が気密的に遮断される。
尚、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225として多様な形状および形態を採ることができ、図15に示した形状および形態に限定されるものではない。例えば、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225の延在部1225dには、弾力性を有する高分子部材部分1225eを、戸当たり側に延びる不燃性部材の部分の戸当たり側に加えて、延在部1225dの反対側にも重ね合わせて配置することができる。すなわち、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225の延在部1225dを、弾力性を有する高分子部材部分1225eによって挟まれているか、囲まれている構成にすることができる。
尚、以上説明を行った実施形態においては、側枠108bに戸当たり板1508を設けたが、戸当たり板1508を設けることなく、ドアが閉じるときにはドアパネル116bの側縁部が側枠108bの側縁部に突き当たる構成としてもよい。この場合には、戸当たり側の側枠部用遮断部材1225bを側枠108bに固定する。本願においては、以上述べた説明における側枠108b、または側枠108bに設けた戸当たり板1508等の、ドアパネルが突き当たる部材を戸当たり側の側枠と呼ぶ。
本実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116bと戸当たり板1508との間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
(2−4.上枠部用遮断部)
次に、ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116と上枠部110との間にある隙間を遮断するための構成を、図16を参照しながら説明する。図16に、図12におけるI−I線に沿った断面図の一例であるドアパネル116と上枠部110との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。前述したように、2枚片開き式ドアの場合においては、ドアパネル116a、116bが乗降方向から見て前後に段違い状に配置されているため、三方枠104の上枠部110もドアパネルの配置に応じた構成となっている点で、前述した両開き式ドアの場合の実施形態と異なる。また、上枠部110は、図12においてドアパネル116aに対応する左側の前列区間110aと、ドアパネル116bに対応する右側の後列区間110bを含む。上枠部110の前列区間110aは、後列区間110bに比べてドアの開閉方向の長さが短い。しかし、これらの点を除くと、2枚片開き式ドアの場合における上枠部用遮断部と、図9を参照しながら(1−3)で説明を行った両開き式ドアの場合の上枠部用遮断部に要求される条件には差がないため、2枚片開き式ドアの場合の上枠部用遮断部を、図9を参照しながら(1−3)で説明を行った両開き式ドアの場合の上枠部用遮断部と同様な構成とすることができる。また、上枠部110の前列区間110aは、後列区間110bに比べてドアの開閉方向の長さが短い点を除くと、上枠部用遮断部の構成は前列区間と後列区間との間に相違点はないため、主として、上枠部110の前列区間110aとドアパネル116aとの間にある隙間を遮断する上枠部用遮断部の構成を説明する。尚、以降の記載において上枠部110の前列区間110aを上枠部110aと、上枠部110の後列区間110bを上枠部110bと言うことがある。
ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aと上枠部110aとの間には、参照符号1602で示す隙間がある。この隙間1602を遮断するために、上枠部用遮断部材1226を取り付ける。上枠部用遮断部材1226は、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
上枠部用遮断部材1226は、この遮断部材1226の基端部1226cで、遮断部材1226と上枠部110との間に隙間ができないように上枠部110の昇降路側に密に固定される。例えば、遮断部材1226の基端部1226cに金属製の押さえ板1604を接着剤で接着し、接着された基端部1226cと押さえ板1604とを一体的に、上枠部110aに、例えば、止めねじ1606によって、密に締結固定する。ここで、遮断部材1226の基端部1226cの部分は一体的に形成され、前述した弾力性を有する不燃性部材からなる。上枠部110aに設けられる上枠部用遮断部材1226は、上枠部110aの左右方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ1606を介して、基端部1226cで上枠部110aに密に固定される。尚、上枠部110bに設けられる上枠部用遮断部材1226は、上枠部110bの左右方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ1606を介して、基端部1226cで上枠部110bに密に固定される。
上枠部用遮断部材1226の上側は、基端部1226cと一体的に形成され、基端部1226cからドアパネル116a側に斜め上方に延びる延在部1226dとなっている。延在部1226dは、基端部1226cからドアパネル116a側に延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネの作用を持つ。この延在部1226dの部分であってドアパネル116aに対向する側の少なくとも一部には、弾力性を有する高分子部材からなる部分1226eが延在部1226dに重ね合わされて形成されている。図16に示すように、上枠部用遮断部材1226の延在部1226dはドアパネル116aの表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、先端縁部が円弧状に反るように湾曲している。ドアが閉じた状態において延在部1226dの先端側部に配置された高分子部材部分1226eの側面がドアパネル116aの上部表面に弾性的かつ密に接触し、この接触によって上枠部110aとドアパネル116aとの間の隙間902が気密的に遮断される。同様に、上枠部110bに設けられる上枠部用遮断部材1226の延在部1226dの先端側部に配置された高分子部材部分1226eの側面がドアパネル116bの上部表面に弾性的かつ密に接触し、この接触によって上枠部110bとドアパネル116bとの間の隙間902が気密的に遮断される。
火災が乗り場の近傍まで及び、上枠部用遮断部材1226が高温になり高分子部材部分1226eが溶ける等の原因で消失する事態が発生しても、延在部1226dは弾力性を有する不燃性部材からなるため、前述した戸袋側の側枠部用遮断部材1224の延在部1224dと同様に、それぞれの延在部1226dの先端縁部の側面がドアパネル116aおよび116bの表面に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分1226eが消失した場合であっても、上枠部110aとドアパネル116a、および上枠部110bとドアパネル116bとの間の隙間が気密的に遮断される。
尚、両開き式ドアの側枠部用遮断部材124に関しては前述したが、上枠部用遮断部材1226として多様な形状および形態を採ることができ、図16に示した形状および形態に限定されるものではない。例えば、両開き式ドアの側枠部用遮断部材124に関して図7および図8によって示したように、上枠部用遮断部材1226の延在部1226dには、弾力性を有する高分子部材部分1226eを、ドアが閉じた状態においてドアパネル116の表面に接触する側に加えて、延在部1226dの反対側にも重ね合わせて配置することができる。すなわち、上枠部用遮断部材1226の延在部1226dを、弾力性を有する高分子部材部分1226eによって挟まれているか、囲まれている構成にすることができる。
また、図16に示した実施形態においては、上枠部用遮断部材1226の延在部1226dがドアパネル116の表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、延在部1226dの先端側部に配置された高分子部材部分1226eの側面がドアパネル116の上部表面に弾性的かつ密に接触することによって、上枠部110とドアパネル116との間の隙間1602を気密的に遮断している。しかし、遮断部材によってドアパネル116とドアパネル116との間の隙間1602を気密的に遮断するためには、前述した形態に限定されるわけではない。例えば、上枠部用遮断部材1226の延在部1226dがドアパネル116の表面に対して直線的に傾斜する姿勢を保ちつつ、延在部1226dの中間部の側面に配置された高分子部材部分1226eの側面がドアパネル116の上部表面に弾性的かつ密に接触することによって、上枠部110とドアパネル116との間の隙間1602を気密的に遮断することができる。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、上枠110とそれぞれのドアパネル116との間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
また、前述したように、上枠部用遮断部材1226の基端部1226cには、予め、例えば、接着剤で押さえ板1604が取り付けられ、この状態で基端部1226cが上枠部110に止めねじ1606で固定されている。このため、基端部1226cが押さえ板1604で補強されることにより基端部1226cの変形が防止され、上枠部用遮断部材1226が密に上枠部110に取り付けられ、上枠部用遮断部材1226と上枠部110間が遮断される。
尚、ドアパネル116a、116bが開閉する際には、それぞれのドアパネル116の上部は、上枠部用遮断部材1226の延在部1226dに重ね合わされた高分子部材部分1226eと摺接する。したがって、上枠部用遮断部材1226の高分子部材部分1226eに用いられる部材は、適切な弾力性とともに、適切な円滑性と耐摩耗性を有することが好ましい。
尚、ドアパネル116bが開き左方向に移動するときにはドアパネル116bが上枠部110bに設けられる上枠部用遮断部材1226から離れ、ドアパネル116bが右方向に移動して戸閉する際に再び上枠部110bに設けられる上枠部用遮断部材1226に接触する。このときに、ドアパネル116bが上枠部110bに設けられる上枠部用遮断部材1226に円滑に接触させるために、ドアパネル116bの上部側縁部にガイド部材(図示せず)を取り付けることができる。このガイド部材にはテーパ面を形成し、ドアパネル116bが右方向に移動して戸閉するときに、テーパ面が遮断部材1226の延在部1226dの縁部に当接するように配置する。このようにテーパ面と上枠部110bに設けられた上枠部用遮断部材1226の延在部1226dの縁部を当接させることによって、上枠部110bに設けられた上枠部用遮断部材1226の延在部1226dがドアパネル116bの表面に円滑に接触するようにガイドされ、ドアパネル116bが閉じるときにドアパネル116bと上枠部110bとの間の隙間を的確に遮断することができる。
(2−5.敷居部用遮断部)
前述したように、2枚片開き式ドアの場合には、2枚のドアパネル116a、116bが乗降方向から見て前後に段違い状に配置されているため、敷居106もドアパネルの配置に応じた構成となっている点で、前述した両開き式ドアの場合の敷居の構成および配置とは異なる。敷居部用遮断部の実施形態を説明する前に、先ず、2枚片開き式ドアの場合の敷居106部分の構成および配置について述べる。図17に敷居106部を上方から見た平面図を示す。敷居106の上にドアパネル116aおよび116bが前後に段違い状に位置をずらして配置される。ドアパネル116aおよび116bの下部には、それぞれガイドシュー122aおよび122bが取り付けられており、ガイドシュー122aおよび122bは、それぞれドアパネル116aおよび116bの下端部から敷居106側に突出している。敷居106の上面には、ドアパネル116aのガイドシュー122aが嵌合するガイド溝1708aと、ドアパネル116bのガイドシュー122bが嵌合するガイド溝1708bとが敷居106の長手方向に沿って形成されている。また、各ガイド溝1708aおよび1708bの底面には、ごみ等の異物を排出するための排出孔1710が形成されている。
次に、ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116と敷居部106との間にある隙間を遮断するための構成を、図18および図19を参照しながら説明する。2枚片開き式ドアの場合の敷居部用遮断部は、図10を参照しながら説明を行った両開き式ドアの場合の敷居部用遮断部と同様な構成とすることができる。
図18に、図17におけるJ−J線に沿った断面図の一例である、ドアパネル116aと敷居106との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。
ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aと敷居106との間には、参照符号1802で示す隙間がある。この隙間1802を遮断するために、ドアパネル116aには敷居部用遮断部材1228aが取り付けられている。敷居部用遮断部材1228aは、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
敷居部用遮断部材1228aは、この遮断部材1228aの基端部1228cで、ドアパネル116aの下梁1810に固定される。敷居部用遮断部材1228aは、この遮断部材1228aと下梁1810との間に隙間ができないように密に固定される。例えば、遮断部材1228aの基端部1228cに金属製の押さえ板1804を接着剤で接着し、接着された基端部1228cと押さえ板1804とを一体的に、ドアパネル116の下梁1810に止めねじ1806によって、密に締結固定する。ここで、遮断部材1228aの基端部1228cの部分は一体的に形成され、前述した弾力性を有する不燃性部材からなる。
敷居部用遮断部材1228aは、ドアパネル116aの下部の左右方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ1806を介して、基端部1228cでドアパネル116aの下梁1810に密に固定される。
敷居部用遮断部材1228aの下部側は、基端部1228cと一体的に形成され、基端部1228cから敷居106側に延びる延在部1228dとなっている。延在部1228dは、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部1228cから延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネ作用を持つ。延在部1228dには、その部分であって敷居106に対向する側の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分1228eが延在部1228dに重ね合わされて形成されている。図18に示すように、敷居部用遮断部材1228aの延在部1228dは敷居106の上面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、延在部1228dの先端部に配置された高分子部材部分1228eの側面が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116aと敷居106との間の隙間1802が気密的に遮断される。
前述したように、敷居106に設けられたガイド溝1708aの底面には異物排出用の排出孔1710が形成される場合がある。しかし、図18に示すように、敷居部用遮断部材1228aが、ガイド溝1708aが形成されている位置よりも乗り場側で敷居106の上面に接触して隙間1802を遮断することによって、ガイド溝1708aの底面に形成された排出孔1710を通して乗り場側からの煙および炎が昇降路内に流入することを制限することができる。
火災が乗り場の近傍まで及び、敷居部用遮断部材1228aが高温になり高分子部材部分1228eが溶ける等の原因で消失することもある。このような事態が発生しても、延在部1228dは弾力性を有する不燃性部材からなるため、延在部1228dの先端部の側面が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分1228eが消失した場合であっても、ドアパネル116aと敷居106との間の隙間1802が気密的に遮断される。
尚、側枠部用遮断部材124に関しては前述したが、敷居部用遮断部材1228aとして多様な形状および形態を採ることができ、図18に示した形状および形態に限定されるものではない。例えば、側枠部用遮断部材124に関して図7および図8によって示したように、敷居部用遮断部材1228aの延在部1228dには、弾力性を有する高分子部材部分1228eを、敷居106の上面に接触する側に加えて、延在部1228dの反対側にも重ね合わせて配置することができる。すなわち、敷居部用遮断部材1228の延在部1228dを、弾力性を有する高分子部材部分1228eによって挟まれているか、囲まれている構成にすることができる。このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に敷居部用遮断部材1228aの延在部1228dを挿入することによって製造することができる。
また、図18に示した実施形態においては、敷居部用遮断部材1228aの延在部1228dが敷居106の上面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、延在部1228dの先端部に配置された高分子部材部分1228eの側面が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116aと敷居106との間の隙間1802を気密的に遮断している。しかし、遮断部材によってドアパネル116aと敷居106との間の隙間1802を気密的に遮断するためには、前述した形態に限定されるわけではない。例えば、敷居部用遮断部材1228aの延在部1228dが敷居106の上面に対して直線的に傾斜する姿勢を保ちつつ、延在部1228dの中間部に配置された高分子部材部分1228eの先端部が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触することによって、ドアパネル116aと敷居106との間の隙間1802を気密的に遮断することができる。
図19に、図17におけるK−K線に沿った断面図の一例である、ドアパネル116bと敷居106との間にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。ドアパネル116bと敷居106との間にある隙間を遮断するための構成は、図18を参照しながら説明を行ったドアパネル116aと敷居106との間にある隙間を遮断するための構成と同様である。
ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116bと敷居106との間には、参照符号1902で示す隙間がある。この隙間1902を遮断するために、ドアパネル116bには敷居部用遮断部材1228bが取り付けられている。敷居部用遮断部材1228bは、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
敷居部用遮断部材1228bは、この遮断部材1228bの基端部1228cで、ドアパネル116bの下梁1910に固定される。敷居部用遮断部材1228bは、この遮断部材1228bと下梁1910との間に隙間ができないように密に固定される。例えば、遮断部材1228bの基端部1228cに金属製の押さえ板1904を接着剤で接着し、接着された基端部1228cと押さえ板1904とを一体的に、ドアパネル116の下梁1910に止めねじ1906によって、密に締結固定する。ここで、遮断部材1228bの基端部1228cの部分は一体的に形成され、前述した弾力性を有する不燃性部材からなる。
敷居部用遮断部材1228bは、ドアパネル116bの下部の左右方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ1906を介して、基端部1228cでドアパネル116bの下梁1910に密に固定される。
敷居部用遮断部材1228bの下部側は、基端部1228cと一体的に形成され、基端部1228cから敷居106側に延びる延在部1228dとなっている。延在部1228dは、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部1228cから延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネ作用を持つ。延在部1228dには、その部分であって敷居106に対向する側の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分1228eが延在部1228dに重ね合わされて形成されている。図19に示すように、敷居部用遮断部材1228bの延在部1228dは敷居106の上面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、先端縁部が円弧状に反るように湾曲し、延在部1228dの先端部に配置された高分子部材部分1228eの側面が敷居106の上面に弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116bと敷居106との間の隙間1902が気密的に遮断される。
前述したように、敷居106に設けられたガイド溝1708bの底面には異物排出用の排出孔1710が形成される場合がある。しかし、図19に示すように、敷居部用遮断部材1228bが、ガイド溝1708bが形成されている位置よりも乗り場側で敷居106の上面に接触して隙間1902を遮断することによって、ガイド溝1708bの底面に形成された排出孔1710を通して乗り場側からの煙および炎が昇降路内に流入することを制限することができる。
敷居部用遮断部材1228bの形態、作用、効果等は、敷居部用遮断部材1228aと同様である。
図17に戻り、敷居106の上面に形成されているガイド溝1708aと、ドアパネル116aの側縁部の下部端面との間には、乗り場側から昇降路側に通じる、参照符号Pで示した経路Pが存在する。経路Pを遮断するために、ドアパネル116aの側縁部の下部端面に遮断部材1712を取り付ける。遮断部材1712は、例えば、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成され、遮断部材1712の下部はガイド溝1708aに挿入されている。例えば、遮断部材1712の図17における側縁部は不燃性部材からなり、ガイド溝1708aと対向する部分は不燃性部材とこの不燃性部材のガイド溝1708a側の面に高分子部材が重ね合わされ、これらの部材のバネ作用によって、遮断部材1712のガイド溝1708aと対向する部分がガイド溝1708aの上面に密接する。このようにして、ドアパネル116aの側縁部の下部端面との間に存在する、乗り場側から昇降路側に通じる経路Pを、遮断部材1712によって遮断することができる。
火災が乗り場の近傍まで及び、遮断部材1712が高温になり高分子部材部分が溶ける等の原因で消失する事態が発生しても、弾力性を有する不燃性部材のバネ作用によって、不燃性部材のガイド溝1708aと対向する部分がガイド溝1708aの上面に密接し、経路Pを遮断する。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、それぞれのドアパネル116の下部と敷居106との間にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
また、前述したように、敷居部用遮断部材1228の基端部1228cには、予め、押さえ板が取り付けられ、この状態で基端部1228cがドアパネル116の下梁に止めねじで固定されている。このため、基端部1228cが押さえ板で補強されることにより基端部1228cの変形が防止されとともに、敷居部用遮断部材1228が密にドアパネル116の下梁に取り付けられ、敷居部用遮断部材1228とドアパネル116間が遮断される。
尚、敷居部用遮断部材1228の延在部1228dに重ね合わされた高分子部材部分1228e、および遮断部材1712のガイド溝1708aと対向する部分に重ね合わされた高分子部材部分は、ドアパネル116が開閉する際に、敷居106の上面と摺接するため、これらの高分子部材部分には、適切な弾力性とともに、適切な円滑性と耐摩耗性を有する材料を用いることが好ましい。
(2−6.ドアパネルの側縁部の重なり部用遮断部)
2枚片開き式ドアの場合には、図13からも分かるように、ドアが閉じた状態でドアパネル116aと116bは、一端側の側縁部が互いに前後に重なり合う。ドアパネル116が閉じた状態で、2枚のドアパネルの側縁部の重なり部にある隙間を遮断するための構成の一例を、図20を参照しながら説明する。図20に、図12におけるL−L線に沿った断面図の一例である、ドアパネル116aの側縁部とドアパネル116bの側縁部の重なり部にある隙間を遮断するための構成を説明するための図を示す。図13からも分かるように、ドアパネルの側縁部の重なり部用遮断部は、(2−2)で図14を参照しながら説明を行った、戸袋側の側枠部用遮断部に類似した構成とすることができる。図20に示した構成は、遮断部材の延在部に重ね合わされた高分子部材が接触する対象を除くと、図14に示した構成と実質的に同一である。ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aと側枠108aの側縁部とドアパネル116bの側縁部の重なり部に存在する参照符号2002で示す隙間を遮断するために、ドア重なり部用遮断部材1230を取り付ける。ドア重なり部用遮断部材1230は、弾力性を有する不燃性部材と、不燃性部材の少なくとも片面の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材が重ね合わされて形成されている。
ドア重なり部用遮断部材1230は、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部1230cで、ドアパネル116bの戸袋側の側縁部に固定される。ドア重なり部用遮断部材1230は、この遮断部材1230とドアパネル116bとの間に隙間ができないように密に固定される。例えば、遮断部材1230の基端部1230cに金属製の押さえ板2004を接着剤で接着し、接着された基端部1230cと押さえ板2004とを一体的に、ドアパネル116bの側縁部に止めねじ2006によって、密に締結固定する。ドア重なり部用遮断部材1230は、ドアパネル116bの上下方向のほぼ全長に亘って連続して延び、例えば、所定のピッチごとに止めねじ2006を介して、基端部1230cでドアパネル116bに密に固定される。
ドア重なり部用遮断部材1230の一側縁側は、基端部1230cと一体的に形成され、基端部1230cからドアパネル116aの側縁部側に延びる延在部1230dとなっている。延在部1230dは、弾力性を有する不燃性部材からなる基端部1230cから延びる弾力性を有する不燃性部材からなり、バネの作用を持つ。延在部1230dには、この延在部1230dの部分であって側枠108aに対向する側の少なくとも一部に配置された弾力性を有する高分子部材からなる部分1230eが重ね合わされて形成されている。図20に示すように、ドア重なり部用遮断部材1230の延在部1230dは、ドアパネル116aの側縁部の表面に対して傾斜する姿勢を保ちつつ、例えば、円弧状に反るように湾曲し、ドアが閉じた状態において延在部1230dの中間部に配置された高分子部材部分1230eの側面がドアパネル116aの側縁部に弾性的かつ密に接触し、この接触によってドアパネル116aの側縁部とドアパネル116bの側縁部との重なり部の隙間2002が気密的に遮断される。
火災が乗り場の近傍まで及び、ドア重なり部用遮断部材1230が高温になり高分子部材部分1230eが溶ける等の原因で消失することもある。このような事態が発生しても、図3(b)を参照しながら行った説明と同様に、延在部1230dは、弾力性を有する不燃性部材からなるため、延在部1230dの中間部の側面がドアパネル116aの側縁部に弾性的かつ密に接触する。この接触によって、高分子部材部分1230eが消失した場合であっても、ドアパネル116aの側縁部とドアパネル116bの側縁部との重なり部の隙間2002が気密的に遮断される。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aの側縁部とドアパネル116bの側縁部の重なり部にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
また、ドア重なり部用遮断部材1230の基端部1230cには予め接着剤で押さえ板2004が取り付けられ、この状態で基端部1230cがドアパネル116bの側縁部に止めねじ2006で固定されている。このため、基端部1230cが押さえ板2004で補強されることにより基端部1230cの変形が防止され、ドア重なり部用遮断部材1230が密にドアパネル116bの側縁部に取り付けられ、ドア重なり部用遮断部材1230とドアパネル116bの間が遮断される。
また、図7を参照しながら説明を行った両開き式ドアの場合の側枠部用遮断部と同様な構成とすることもできる。すなわち、ドア重なり部用遮断部材1230の延在部の一部であって、ドアが閉じた状態においてドアパネル116aの側縁部に接触する側に加えて、高分子部材部分を延在部の反対側にも重ね合わせて配置する。このような構成においては、ドア重なり部用遮断部材1230の延在部1230dは、その一部において弾力性を有する高分子部材部分によって挟まれているか、囲まれている。このような構成は、例えば、弾力性を有する高分子部材に、ドア重なり部用遮断部材1230の延在部1230dを挿入することによって製造することができる。
尚、ドアが開くときにはドアパネル116aとドアパネル116bは、共に、戸袋方向に移動する。このとき、ドアパネル116bはドアパネル116aに比べて高速に移動するため、ドアが閉じた状態においてドアパネル116aの側縁部に密接していたドア重なり部用遮断部材1230の延在部および高分子部材部分は、ドアパネル116aの側縁部から離れる。ドアが閉まるときには、ドアパネル116aとドアパネル116bは、共に、戸当たり方向に移動し、ドア重なり部用遮断部材1230の延在部および高分子部材部分は、ドアパネル116aの側縁部に接触することによって若干曲げられる。すなわち、ドア重なり部用遮断部材1230の延在部および高分子部材部分は、ドアが閉じる度にドアパネル116aの側縁部から応力を受ける。したがって、ドア重なり部用遮断部材1230の延在部に重ね合わされて配置される高分子部材部分は、適切な弾力性とともに、適切な耐摩耗性および復元性を有することが好ましい。
以上説明を行った実施形態によれば、ドアパネル116が閉じた状態で、ドアパネル116aの側縁部とドアパネル116bの側縁部の重なり部にある隙間を高温時においても遮断することが可能となり、乗り場側から昇降路側への当該隙間を通る煙および炎の流入を確実に制限することができる。
以上、2枚片開き式ドアの場合の実施形態について説明を行ったが、3枚以上の枚数のドアパネルが段違い状に重なり合って同一方向に開閉する片開き式ドアの場合であっても、上記の技術的思想を適用可能である。例えば、ドアパネルの側縁部の重なり部用遮断部に関して述べると、隣接して前後するドアパネルのうち、より高速で開閉するドアパネルの側縁部にドア重なり部用遮断部材を固定し、前述したドア重なり部用遮断部材の延在部を、ドアが閉じた状態で、より低速で開閉するドアパネルの側縁部の表面に密に接触するようにすれば、ドアパネル116bの側縁部の重なり部にある隙間を高温時においても遮断することが可能となる。
以上説明を行った片開き式ドアの場合の実施形態によれば、エレベータ乗り場における乗り場ドアパネルと戸袋側の側枠との間の隙間、乗り場ドアパネルと戸当たり側の側枠部との間の隙間、各乗り場ドアパネルと上枠部との間の隙間、各乗り場ドアパネルと敷居との間の隙間、各乗り場ドアパネルの側縁部の重なり部にある隙間が、それぞれ不燃材料を含む戸袋側の側枠部用遮断部材、戸当たり側の側枠部用遮断部材、上枠部用遮断部材、敷居部用遮断部材、およびドア重なり部用遮断部材によって遮断され、エレベータの着床階で火災が発生した場合、エレベータ乗り場から昇降路への煙および炎の流入を制限することができる。このことによって、火災の拡大を抑えるとともに、他の着床階への煙および炎の拡散を防止することができる。
また、各遮断部材の延在部はバネの機能を有するため、接触対象との接触により延在部の接触部に配置された高分子部材部分が摩耗あるいは消失しても、煙および炎を遮断することができる。
また、各遮断部材は簡潔な構成であるため、コストも低く抑えることができる。
さらに、従来のスクリーンを用いる防災装置のように機能を発揮するまでの動作時間が不要であり、瞬時に煙および炎を遮断することができる。また、各遮断部材は利用者が見ることも触ることもできない位置に設けることができるため、エレベータ乗り場の美観を損なうことも、エレベータ利用者に危害が及ぶ虞もない。
(3.それぞれの遮断部材に共通する実施形態)
(3−1.遮断部材に用いる不燃性部材)
遮断部材の不燃性部材には、弾力性がある鉄鋼あるいはステンレス鋼等を用いることができる。また、バイメタルを遮断部材の不燃性部材として用いることもできる。バイメタルは、例えば、鉄とニッケルの合金に、マンガン、クロム、銅等を添加して2種類または3種類以上の熱膨張率が互いに異なる金属板を作り、冷間圧延で接合したものであり、熱膨張係数の大きい金属側の膨張が熱膨張係数の小さい金属側の膨張よりも大きいため、温度上昇に伴って熱膨張係数の大きい金属側が凸状に変形する。したがって、遮断部材の不燃性部材にバイメタルを用い、ドアが閉じたときに遮断部材が接触する、例えば側枠、敷居、ドアパネル等の接触対象側に熱膨張係数の大きい金属側を配置することによって、火災発生により温度が上昇すると遮断部材とその接触対象とが、より密接に接触し、煙および炎の遮断をより確実にする。
(3−2.遮断部材に用いる高分子部材)
遮断部材の不燃性部材に重ね合わされる高分子部材には、弾力性のあるゴムまたは合成樹脂を用いることができる。例えば、フッ素系ゴム、エチレンとプロピレンおよび非共役ジエンモノマーの共重合によって得られるエチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、塩化ビニル(特に軟質塩化ビニル)等を含んだ高分子部材を用いることができる。高分子部材の選択に当たっては、引張り強さ、引き裂き強さ、耐摩耗性、耐候性、加工性、滑り特性、耐熱性等を考慮して選択する。例えば、側枠部用遮断部材の高分子部材には耐候性が非常に優れ、引張り強さ、引き裂き強さおよび加工性も良いエチレンプロピレンゴムを、上枠部用遮断部材および敷居部用遮断部材の高分子部材には引張り強さ、耐磨耗性、耐候性、滑り特性、耐熱性が非常に優れ、引き裂き強さも良いフッ素系ゴムを、戸当たり部用遮断部材の高分子部材には加工性が非常に優れ、耐候性、耐熱性および難燃性も良い塩化ビニルを用いることができる。
(3−3.基端部の構造)
前述した実施形態においては、基端部は、押さえ板と一体的に、止めねじによって固定されている。しかし、基端部のねじ穴を含む部分に図21に示すような加工をすることによって、押さえ板を用いることなく遮断部材を強固に固定することもできる。図21(a)に一実施形態による遮断部材の断面図を、図21(b)に図21(a)に対応する正面図を示す。遮断部材の基端部には、ねじ穴2102が設けられ、基端部の止めねじを挿入する側であって、ねじ穴2102と同心状に凹部2104が設けられている。この凹部2104は挿入される止めねじの頭の座面に密着するように形成される。凹部2104はワッシャと同様に、振動、温度変化があっても、止めねじの緩み止めを防止する。
以上述べた実施形態によれば、簡潔な構成によって確実に、火災が発生したときにエレベータ乗り場から昇降路に、煙のみならず炎の流入を制限するエレベータ乗り場装置が提供される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
尚、本明細書および添付図面は特許文献1の記載内容を参考にして作成された。