JP5685879B2 - 樹脂硬化物、透明複合基板、表示素子基板および樹脂硬化物の製造方法 - Google Patents

樹脂硬化物、透明複合基板、表示素子基板および樹脂硬化物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂硬化物、透明複合基板表示素子基板および樹脂硬化物の製造方法に関するものである。
液晶表示素子や有機EL表示素子等の表示素子に用いられる基板(表示素子基板)、カラーフィルター基板、太陽電池用基板等としては、ガラス板が広く用いられる。しかしながら、ガラス板は、割れ易い、曲げられない、軽量化に不向き等の理由から、近年、その代替材としてプラスチック素材からなる基板が検討されている。
例えば、特許文献1、2には、エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤および硬化触媒を含むエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体からなる液晶表示素子用透明樹脂基板が記載されている。しかしながら、これら従来のガラス代替用プラスチック材料は、ガラス板に比べ線膨張係数が大きい。このため、特にアクティブマトリックス表示素子基板に用いられた場合、その製造工程において基板の反りやそれに伴う配線の断線といった問題が生じる。このため、これら用途への使用は困難である。
そこで、線膨張係数を低減するために、樹脂材料にガラスパウダーやガラス繊維等の無機フィラーを配合する材料の複合化が行われている。しかしながら、樹脂材料と無機フィラーとでは屈折率が異なるため、樹脂材料を透過する光が樹脂材料と無機フィラーとの界面で散乱し、複合材料の透明性が損なわれる。
かかる問題を解消するため、特許文献3には、酸無水物で硬化したエポキシ樹脂と実質的に同じ屈折率の充填材とからなる光透過性エポキシ樹脂組成物が開示されている。このような樹脂組成物では、エポキシ樹脂と充填材との間で屈折率差が小さく抑えられることにより、複合材料の透明化が図られている。
しかしながら、上述したような複合材料では、吸水時にその特性が劣化することが問題となっている。
また、複合材料からなる表示素子基板は、各種表示素子の製造に際し、加熱を伴う工程に供される。ところが、加熱に伴って表示素子基板の特性が低下し、表示素子の性能低下を招くおそれがある。
特開平6−337408号公報 特開平7−120740号公報 特開平4−236217号公報
本発明の目的は、湿度膨張率および吸水率が小さく、かつ透明性および耐熱性に優れた樹脂硬化物、透明複合基板および表示素子基板、ならびに、前記樹脂硬化物を製造可能な樹脂硬化物の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 脂環式エポキシ樹脂100質量部と、前記脂環式エポキシ樹脂に次いで含有率が高い樹脂成分としてグリシジル型エポキシ樹脂0.1〜10質量部と、光カチオン系硬化剤と、を含む樹脂組成物を、屈折率が1.4〜1.6のガラス繊維布に含浸させ、硬化させてなり、
エポキシ開環率が85〜96%であり、
湿度膨張係数が15ppm/%RH以下であり、
24時間浸漬時の吸水率が1.2%以下であることを特徴とする樹脂硬化物。
(2) 前記脂環式エポキシ樹脂は、下記化学式(1)で示される構造および下記化学式(2)で示される構造の少なくとも一方を含むものである上記(1)に記載の樹脂硬化物。
Figure 0005685879
Figure 0005685879
[上記式(2)中、−X−は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CH(CH)−、または−C(CH−を表す。]
(3) 前記グリシジル型エポキシ樹脂は、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂である上記(1)または(2)に記載の樹脂硬化物。
(4) 30〜150℃における平均線膨張係数が40ppm以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂硬化物。
(5) 当該樹脂硬化物における前記ガラス繊維布の含有量は、1〜90質量%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂硬化物。
(6) 前記樹脂組成物は、さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂硬化物。
(7) 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の重量平均分子量は、200〜2000である上記(6)に記載の樹脂硬化物。
(8) 上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂硬化物を含み、板状をなしていることを特徴とする透明複合基板。
(9) 平均厚さが40〜500μmである上記(8)に記載の透明複合基板。
(10) 当該透明複合基板は、その厚さが2mmであるとき、波長400nmの光の全光線透過率が80%以上であるものである上記(9)に記載の透明複合基板。
(11) 上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の透明複合基板を備えることを特徴とする表示素子基板。
(12) 脂環式エポキシ樹脂100質量部と、前記脂環式エポキシ樹脂に次いで含有率が高い樹脂成分としてのグリシジル型エポキシ樹脂0.1〜10質量部と、光カチオン系硬化剤と、を含む樹脂組成物をガラス繊維布に含浸させる工程と、
前記樹脂組成物に100〜10000mJ/cm の積算光量で光を照射する1次処理と、前記1次処理後の前記樹脂組成物が硬化に至るように光を照射する2次処理と、を経て、エポキシ開環率が85〜96%の樹脂硬化物を得る工程と、
を有することを特徴とする樹脂硬化物の製造方法。
本発明によれば、湿度膨張率および吸水率が小さく、かつ透明性および耐熱性に優れた樹脂硬化物、透明複合基板および表示素子基板が得られる。これにより、水分に触れる機会の多い過酷な環境下で使用する場合や、加熱プロセスを伴う工程に供される場合であっても、その特性の劣化を抑えることのできる樹脂硬化物および透明複合基板が得られる。また、本発明によれば、信頼性の高い表示素子を実現し得る表示素子基板が得られる。
透明複合基板(樹脂硬化物)における引張強度とエポキシ開環率との関係を示すグラフである。 透明複合基板(樹脂硬化物)における湿度膨張係数とエポキシ開環率との関係を示すグラフである 透明複合基板(樹脂硬化物)における吸水率とエポキシ開環率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の樹脂硬化物、透明複合基板および表示素子基板について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の樹脂硬化物は、脂環式エポキシ樹脂と、カチオン系硬化剤と、を含む樹脂組成物を硬化させてなるものであり、エポキシ開環率が85〜96%であることを特徴とするものである。
また、本発明の透明複合基板は、上述の樹脂硬化物を板状に成形したものであり、本発明の表示素子基板は、上述の透明複合基板を備え、表示素子に供されることを特徴とする基板である。
<樹脂硬化物および透明複合基板>
まず、本発明の樹脂硬化物および透明複合基板について説明する。
本発明の樹脂硬化物および透明複合基板は、前述したように、脂環式エポキシ樹脂と、カチオン系硬化剤と、を含む樹脂組成物を硬化させてなるものである。
(脂環式エポキシ樹脂)
本発明に用いられる脂環式エポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ基を有する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、脂環式多官能エポキシ樹脂、水添ビフェニル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA骨格を有する脂環式エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのエポキシ樹脂の1種または2種以上の混合物を用いることができる。
これらの中でも特に、分子内に2つ以上のエポキシシクロヘキサン環を有する脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。
さらには、下記化学式(1)で示される構造を有する脂環式エポキシ樹脂、または、下記化学式(2)で示される構造を有する脂環式エポキシ樹脂が好適に用いられる。
Figure 0005685879
Figure 0005685879
[上記式(2)中、−X−は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CH(CH)−、または−C(CH−を表す。]
このような脂環式エポキシ樹脂は、低温での硬化性に優れることから、低温で硬化処理を行うことができる。これにより、硬化時に樹脂組成物を高温にする必要がなくなるため、その後樹脂組成物を室温に戻しても、温度の変化量を抑えることができる。その結果、本発明の樹脂硬化物を用いて得られた透明複合基板では、温度変化に伴う熱応力の発生を抑制することができ、硬化時の寸法変化および光学異方性を抑えることができる。
また、上述したような脂環式エポキシ樹脂は、硬化後の線膨張率が低いため、かかる脂環式エポキシ樹脂を含む樹脂組成物を用いて得られた透明複合基板では、ガラスフィラーとエポキシ樹脂との界面における界面応力がほぼゼロとなる温度が室温に近くなる。このため、本発明の樹脂硬化物を用いることにより、上記界面応力の小さい透明複合基板を得ることができ、かかる透明複合基板は、光学異方性の小さいものとなる。さらに、線膨張係数が低いため、透明複合基板では、反りやうねり等の変形が防止される。
また、これらの脂環式エポキシ樹脂は、透明性および耐熱性に優れていることから、光透過性に優れ、かつ耐熱性の高い透明複合基板の実現に寄与するものである。
また、本発明の樹脂硬化物では、脂環式エポキシ樹脂の他に、グリシジル型エポキシ樹脂を併用してもよい。これにより樹脂硬化物は、光透過性の高いものとなる。
グリシジル型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジル基およびエーテル結合を含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジル基およびエステル結合を含むグリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジル基およびアミノ基を含むグリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。このうち、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、水添ビスフェノールA型、ビフェニル型、フェノールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型等のタイプの樹脂が用いられる。
また、グリシジル型エポキシ樹脂の中でも、カルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。カルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂を脂環式エポキシ樹脂と併用することにより、樹脂硬化物中には、ビスアリールフルオレン骨格に由来する多数の芳香環が含まれることになるため、透明複合基板の透明性および耐熱性をより高めるとともに、光学異方性を抑制することができる。
このようなカルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂としては、例えば、オンコートEXシリーズ(長瀬産業社製)、オグソール(大阪ガスケミカル社製)等が挙げられる。
グリシジル型エポキシ樹脂の添加量は、脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度であるのが好ましく、1〜5質量部程度であるのがより好ましい。これにより、光透過性の確保と、光学異方性の抑制とを高度に両立することができる。
本発明の樹脂硬化物は、エポキシ開環率が85〜96%であることを特徴とするものであるが、エポキシ開環率については後に詳述する。
(カチオン系硬化剤)
本発明の樹脂硬化物の製造に用いられる樹脂組成物は、樹脂硬化剤としてカチオン系硬化剤を含んでいる。かかるカチオン系硬化剤によれば、エポキシ樹脂を比較的低温で硬化させることができるので、硬化時に樹脂組成物を高温にする必要がなく、温度変化に伴う熱応力の発生を抑制することができる。その結果、透明性が高く、光学異方性の低い樹脂硬化物が得られる。
また、カチオン系硬化剤を用いることにより、耐熱性(例えばガラス転移温度のような変性温度)の高い樹脂硬化物が得られる。これは、カチオン系硬化剤を用いることにより、エポキシ樹脂の硬化物の架橋密度が高くなるためであると考えられる。
カチオン系硬化剤としては、加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出するもの、例えばオニウム塩系カチオン硬化剤、またはアルミニウムキレート系カチオン硬化剤や、活性エネルギー線(光等)によってカチオン重合を開始させる物質を放出させるもの、例えばオニウム塩系カチオン系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、熱カチオン系硬化剤が好ましい。これにより、より耐熱性に優れる硬化物を得ることができる。
熱カチオン系硬化剤としては、例えば芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。具体的には、芳香族スルホニウム塩として三新化学工業製のSI−60L、SI−80L、SI−100L、アデカ製のSP−66やSP−77等のヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられ、アルミニウムキレートとしてはエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられ、三フッ化ホウ素アミン錯体としては、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体等が挙げられる。
一方、光カチオン系硬化剤としては、例えばアデカ製のアデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170、日本化薬製のカヤラッドPCI−220、カヤラッドPCI−620、ユニオンカーバイド製のUVI−6990、日本曹達製のCIT−1370、CIT−1682、CIP−1866S、CIP−2048S、CIP−2064S、みどり化学製のDPI−101、 DPI−102、DPI−103、DPI−105、MPI−103、MPI−105、BBI−101、BBI−102、BBI−103、BBI−105、 TPS−101、TPS−102、TPS−103、TPS−105、MDS−103、MDS−105、DTS−102、DTS−103等が挙げられる。
樹脂組成物中におけるこのようなカチオン系硬化剤の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜3質量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化性が低下する場合があり、前記上限値を超えると樹脂硬化物が脆くなる場合がある。
光硬化させる場合は、必要に応じて硬化反応を促進させるため増感剤、酸増殖剤等も併せて用いることができる。
(ガラスフィラー)
本発明の樹脂硬化物は、必要に応じて各種フィラーを含んでいてもよく、この場合、ガラスフィラーを含んでいるのが好ましい。ガラスフィラーは、無機系ガラス材料からなる繊維または粒子等で構成されたフィラー(充填材)である。
ガラスフィラーとしては、例えば、ガラスクロス、ガラス不織布等のガラス繊維布、ガラスフィラメント、ガラスチョップドストランド、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラス等が挙げられ、中でも透明複合基板の線膨張係数の低減効果が高いことから、ガラスフィラメントおよびガラス繊維布が好ましく用いられ、ガラス繊維布がより好ましく用いられる。
無機系ガラス材料としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Tガラス、Dガラス、NEガラス、クオーツ、低誘電率ガラス、高誘電率ガラス等が挙げられ、中でもアルカリ金属などのイオン性不純物が少なく入手の容易なEガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラスが好ましく用いられ、特に30℃から250℃における平均線膨張係数が5ppm以下であるSガラスまたはTガラスがより好ましく用いられる。
ガラスフィラーの含有量は、樹脂硬化物において1〜90質量%となる量であるのが好ましく、より好ましくは10〜80質量%、さらに好ましくは30〜70質量%となる量とされる。ガラスフィラーの含有量がこの範囲であれば成形が容易で、複合化による線膨張の低下効果が認められる。またガラスフィラー量が多ければ、単位体積あたりの樹脂量の均一性が向上し、応力の均一性が向上するからである。これらの均一性が向上すると特に透明複合基板(樹脂硬化物)のうねりが小さくなる。
また、ガラスフィラメントおよびガラス繊維布を構成する繊維は、その直径が100nm以下であるのが好ましい。このような条件を満たすガラスフィラメントおよびガラス繊維布は、これらの屈折率とエポキシ樹脂の屈折率との差によらず、界面での散乱が生じ難いので、樹脂硬化物の透明性が比較的高くなる。
一方、直径が100nm超である場合には、エポキシ樹脂の屈折率との差を考慮することが望まれる。この場合、ガラスフィラメントおよびガラス繊維布を構成するガラス材料には、屈折率が1.4〜1.6のものが好ましく用いられ、1.5〜1.55のものがより好ましく用いられる。これにより、広い波長領域において高い光透過性を有する樹脂硬化物が得られる。
一方、ガラスチョップドストランド、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラス等の平均粒径についても、100nm以下であるのが好ましく、80nm以下であるのがより好ましい。
(酸化防止剤)
また、本発明の樹脂硬化物は、必要に応じて、酸化防止剤を含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオン系酸化防止剤等が挙げられるが、フェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系以外のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、BHT、2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル −4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ −3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド等のヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用いられる。
具体的には、イルガノックス1330、イルガノックス1010、イルガノックス1076、イルガノックス3114(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミライザーBHT、スミライザーBP−101(以上、住友化学社製)、ヨシノックスBHT、ヨシノックス250、トミノックスSS、トミノックスTT、ヨシノックス314、GSY−242(以上、エーピーアイコーポレーション社製)、アデカスタブAO−50、MarkAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−20(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、その融点が100℃以上のものが好ましく、110℃以上のものがより好ましい。融点が上記範囲内であれば、樹脂組成物の硬化時に酸化防止剤が揮発することが防止される。すなわち、樹脂組成物の硬化時に酸化防止剤が確実に残存するため、酸化防止剤の酸化防止機能が確実に発揮される。その結果、上述したような融点のヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いることにより、エポキシ樹脂の酸化が防止され、それに伴い、樹脂組成物から製造される樹脂硬化物において透明性および耐熱性の低下、光学異方性の悪化が抑制される。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、その重量平均分子量が200〜2000であるのが好ましく、500〜1500であるのがより好ましく、1000〜1400であるのがさらに好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の重量平均分子量が上記範囲内であれば、酸化防止剤の揮発性が抑制されるとともに、エポキシ樹脂に対する相溶性が確保される。このようなヒンダードフェノール系酸化防止剤は、長期にわたって酸化防止機能を維持し得る透明複合基板を実現することができる。
一方、ヒンダードフェノール系以外のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−30(以上、アデカ社製)、イルガノックス245(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、リン系酸化防止剤としては、例えば、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用いられる。
具体的には、GSY−P101、トミホス202(以上、エーピーアイコーポレーション社製)、Mark2112、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−24、アデカスタブPEP−45、アデカスタブHP−10(以上、アデカ社製)、スミライザーGP(住友化学社製)等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられ、これらの1種または2種の混合物が用いられる。
具体的には、DLTPヨシトミ、LMTPヨシトミ、DSTPヨシトミ、DTTPヨシトミ(以上、エーピーアイコーポレーション社製)、アデカスタブAO−23(以上、アデカ社製)、スミライザーTPL、スミライザーTPM、スミライザーTPS、スミライザーTL、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)等が挙げられる。
このような酸化防止剤の含有量は、樹脂組成物の0.01質量%超10質量%未満であるのが好ましく、0.1〜5質量%程度であるのがより好ましい。酸化防止剤の含有量を前記範囲内にすることにより、透明性および耐熱性が高く、光学異方性の低い樹脂硬化物が得られる。
また、酸化防止剤を添加する場合、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用することにより、それらの相乗効果が発揮され、エポキシ樹脂の酸化防止、および透明複合基板の光学異方性の抑制がより顕著になる。これは、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とで、酸化防止のメカニズムが異なるため、両者が独立して働き、さらには相乗的な効果が生じているからであると考えられる。
なお、フェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤の添加量は、フェノール系酸化防止剤100質量部に対して、好ましくは30〜300質量部程度とされ、より好ましくは50〜200質量部程度とされる。これにより、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とそれ以外の酸化防止剤とが、それぞれの効果を埋没させることなく発揮し、相乗効果をもたらすことができる。
また、本発明の樹脂硬化物は、その特性を損なわない範囲で必要に応じて、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のオリゴマーやモノマー、またはカップリング剤等を含んでいてもよい。なお、これらのオリゴマーやモノマーを使用する場合は、全体の屈折率がガラスフィラーの屈折率に合うように組成比が適宜設定される。
さらに、本発明の樹脂硬化物は、その特性を損なわない範囲で必要に応じて、紫外線吸収剤、染料、顔料、その他のフィラー等を含んでいてもよい。
本発明の樹脂硬化物は、以上のような各成分を含む樹脂組成物を混合するとともに所望の形状に成形し、硬化させてなるものである。また、本発明の透明複合基板は、以上のような各成分を混合するとともに板状に成形し、硬化させてなるものである。
成形方法としては、例えば成形型に注型する方法が挙げられ、特に板状(シート状)に成形する場合には、樹脂組成物を溶剤に溶解し、グラビアコート、スピンコート、バーコート、ディップコート等の方法によりキャストする方法が挙げられる。また、ガラスフィラーとしてガラス繊維布を用いる場合には、樹脂組成物のうち、ガラスフィラー以外の成分をガラス繊維布の片面または両面から含浸させ、板状に成形された樹脂組成物とする方法が挙げられる。
樹脂組成物の硬化条件は、熱硬化の場合、好ましくは加熱温度が150〜300℃程度、加熱時間が0.5〜10時間程度とされ、より好ましくは加熱温度が170〜250℃程度、加熱時間が1〜5時間程度とされる。
また、光硬化の場合は、用いる活性エネルギー線として、例えば紫外線、電子線等が挙げられる。
なお、樹脂組成物を溶解する溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル等が挙げられる。
本発明の樹脂硬化物は、例えば、照明器具や自動車用ランプのようなランプカバー、メガネレンズ、カメラレンズのような光学レンズ、置物等に好ましく適用される。
また、本発明の透明複合基板は、例えば、液晶表示素子用基板、有機EL素子用基板、カラーフィルター用基板、電子ペーパー用基板、太陽電池用基板、タッチパネル用基板のような各種透明基板等に好ましく適用される。
透明複合基板の平均厚さは、特に限定されないが、40〜500μm程度であるのが好ましく、50〜300μm程度であるのがより好ましい。
ところで、このような用途では、高温多湿といった過酷な環境下でも、前述したように湿度膨張率および吸水率が小さく、かつ透明性および耐熱性に優れるといった特性を長期にわたって維持している必要がある。
しかしながら、従来の樹脂硬化物では、上記特性を維持することができず、使用に適さなくなる場合があった。特に、透明複合基板では、変形を生じたり、透明性が著しく低下することがあった。また、例えば、透明性を高めた場合に、湿度膨張率が低下するなど、複数の特性を同時に高めることができなかった。
そこで、本発明者は、かかる複数の課題を同時に解決し得る樹脂硬化物について鋭意検討を重ねた。そして、樹脂硬化物におけるエポキシ基の開環割合に相当する指標「エポキシ開環率」が樹脂硬化物の挙動に大きな影響を及ぼしていることに着目するとともに、このエポキシ開環率が85〜96%であるとき、上記複数の課題を同時に解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、脂環式エポキシ樹脂とカチオン系硬化剤を含み、エポキシ開環率が85〜96%である樹脂硬化物は、過酷な環境下でも、湿度膨張率および吸水率が小さく、かつ透明性および耐熱性に優れた特異的なものであることを見出した。
ここで、上述した樹脂硬化物におけるエポキシ開環率は以下のようにして測定される。
まず、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)により、樹脂硬化物の試料の吸光度スペクトルを取得する。
次いで、得られた吸光度スペクトルについて、波数790cm−1付近に位置するエポキシ基由来のピークの面積を、波数2900cm−1付近に位置するメチレン基由来のピークの面積で標準化し、これを試料の「エポキシ相対強度」とする。ここでは、メチレン基由来のピーク面積に対するエポキシ基由来のピーク面積の割合を試料のエポキシ相対強度Xとし、求めるべき試料のエポキシ開環率をY(%)とする。
一方、試料のエポキシ相対強度を測定する際には、あらかじめ硬化前の樹脂組成物のエポキシ相対強度を測定しておく。硬化前の樹脂組成物ではエポキシ基が開環していないと推定されるので、これを標準試料とすることができ、樹脂組成物のエポキシ相対強度は、エポキシ開環率0%に対応する強度であるとみなすことができる。なお、硬化前の樹脂組成物のエポキシ相対強度を100とする。
エポキシ相対強度は、エポキシ開環率の大きさと反対の関係を有していると考えられるため、試料のエポキシ開環率Yは、Y=100−Xで求めることができる。例えば、試料のエポキシ相対強度Xが10である場合、その試料のエポキシ開環率Yは90%と求められる。
エポキシ開環率が85〜96%であるとき、本発明の樹脂硬化物は、過酷な環境下であっても、十分な機械的強度を備えるとともに、湿度膨張率および吸水率が小さく、かつ透明性および耐熱性に優れたものとなる。したがって、本発明の樹脂硬化物および樹脂硬化物を備える透明複合基板は、前述した各用途に適したものとなる。
このような効果を奏する詳しい理由は明らかになっていないが、理由の1つとして、脂環式エポキシ基を含むエポキシ樹脂(脂環式エポキシ樹脂)では、脂環式エポキシ基が硬化物の特性の発現に強く関与しており、特定の割合で開環していることが、各種の特性をバランスよく両立させるために不可欠であるということが挙げられる。
したがって、エポキシ開環率が前記下限値を下回っている場合、エポキシ樹脂の硬化反応が不十分であるため、樹脂硬化物はその機械的強度が著しく小さいものとなる。一方、エポキシ開環率が前記上限値を上回っている場合、機械的強度は大きくなるものの、湿度膨張率および吸水率が著しく大きくなり、かつ透明性および耐熱性も著しく低下してしまう。
また、エポキシ開環率は、特に90〜96%であるのが好ましい。
なお、このような樹脂硬化物のエポキシ開環率は、以下のようにして調整することができる。
例えば、樹脂組成物を硬化させて樹脂硬化物とする際に、硬化処理を1次処理と2次処理に分け、1次処理の際の処理条件を調整することで樹脂硬化物のエポキシ開環率を調整することができる。具体的には、1次処理は、2次処理より低温で行われるが、この1次処理における処理温度(加熱温度)を相対的に低くすることで最終的に得られる樹脂硬化物のエポキシ開環率を高めることができ、反対に1次処理における処理温度を相対的に高くすることで樹脂硬化物のエポキシ開環率を低くすることができる。
この1次処理における処理温度は、エポキシ樹脂の組成やカチオン系硬化剤の組成等に応じて異なるものの、好ましくは50〜120℃の範囲とされ、より好ましくは60〜100℃の範囲とされ、さらに好ましくは70〜90℃の範囲とされる。この範囲内で処理温度を調整することにより、エポキシ開環率を前記範囲内に調整することが可能になる。なお、処理時間は、好ましくは0.5〜60分程度とされ、より好ましくは2〜20分程度とされる。
一方、2次処理における処理温度は、前述した硬化条件と同等であるが、1次処理では樹脂組成物が完全に硬化しない硬化条件とされ、その後の2次処理において完全な硬化に至るよう、1次処理の処理条件に応じて適宜設定される。
具体的には、処理温度は、150〜300℃程度であるのが好ましく、200〜280℃程度であるのがより好ましい。
また、処理時間は、好ましくは0.5〜10時間程度とされ、より好ましくは1〜3時間程度とされる。
また、光硬化する樹脂組成物の場合は、上述した1次処理の処理温度に加え、樹脂組成物に照射する光(紫外線等)の積算光量を調整することによっても、樹脂硬化物のエポキシ開環率を調整することができる。具体的には、1次処理に処理温度が同じ場合、1次処理において照射する光の積算光量を高めることにより、樹脂硬化物のエポキシ開環率を高めることができる。
この場合、積算光量は、好ましくは100〜10000mJ/cm程度とされ、より好ましくは200〜8000mJ/cm程度とされる。
一方、2次処理における光の積算光量についても、1次処理では樹脂硬化物が完全に硬化しない硬化条件とされ、その後の2次処理において完全な硬化に至るよう、1次処理の処理条件に応じて適宜設定される。
以上のようにして本発明の樹脂硬化物が得られる。
なお、エポキシ開環率を調整することで、樹脂硬化物の屈折率を制御することも可能である。例えば、エポキシ開環率を低くすることにより、樹脂硬化物の屈折率を下げることができる。一方、エポキシ開環率を高くすることにより、樹脂硬化物の屈折率を上げることができる。
また、本発明の樹脂硬化物は、湿度膨張係数が15ppm/%RH以下であるのが好ましく、13ppm/%RH以下であるのがより好ましい。湿度膨張係数が前記範囲内である樹脂硬化物は、高温多湿のような過酷な環境下でも、その寸法変化が抑えられ、変形や亀裂の発生等を防止し得るものとなる。
なお、湿度膨張係数は、室温下で相対湿度を0%RHから90%RHまで変化させたときの樹脂硬化物のサイズの変化量を測定し、単位相対湿度あたりの変化量として求められる。
また、本発明の樹脂硬化物は、24時間浸漬時の吸水率が1.2%以下であるのが好ましく、1%以下であるのがより好ましい。吸水率が前記範囲内である樹脂硬化物は、高温多湿のような過酷な環境下でも、その寸法変化が抑えられ、変形や亀裂の発生等を確実に防止し得るものとなる。
なお、吸水率は、例えばJIS K 7209に規定のプラスチックの吸水率の求め方にしたがって測定される。具体的には、試験片(樹脂硬化物)を50.0±2.0℃に調整したオーブンで24±1時間乾燥する。次に、試験片をデシケーターに入れて室温まで冷却した後、0.1mgの精度で試験片の質量を測定する。以上の乾燥および質量測定を、測定結果が一定になるまで繰り返し行う。
次に、23.0±2.0℃の蒸留水を入れた容器に試験片を入れる。24±1時間浸漬後、試験片を取り出し、表面の水分をふき取る。そして、水から取り出して1分以内に、再度試験片の質量を測定する。そして、初期質量に対する質量変化の百分率を算出し、これを吸水率とする。
以上のようにして24時間浸漬時の吸水率を測定することができる。
<表示素子基板>
本発明の透明複合基板は、30℃〜150℃における平均線膨張係数が40ppm以下であることが好ましく、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。例えば、この透明複合基板をアクティブマトリックス表示素子用基板に用いた場合、この上限値を超えると、その製造工程において反りやアルミ配線の断線等の問題が生じるおそれがある。
本発明の透明複合基板は、上述した各種表示素子用の透明基板(表示素子基板)に適用される。
本発明の表示素子基板は、その厚さが2mmであるとき、波長400nmにおける全光線透過率が80%以上であるのが好ましく、より好ましくは85%以上とされ、さらに好ましくは88%以上とされる。波長400nmにおける全光線透過率が下限値未満であると表示素子における表示性能が十分でないおそれがある。
また、本発明の透明複合基板を表示素子基板に適用する場合、表面平滑性を向上させるため基板の両側に樹脂のコート層を設けてもよい。コート層に用いる樹脂としては、例えば優れた耐熱性、透明性、耐薬品性を有していることが好ましく、具体的には透明複合基板に使用するエポキシ樹脂と同じ樹脂を用いるのが好ましい。また、コート層の平均厚さは、0.1〜30μm程度であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜30μm程度とされる。
さらには、本発明の透明複合基板を表示素子基板に適用する場合、外部からの衝撃による基板の破損を抑制するため衝撃緩衝層を設けるようにしてもよい。層構成としては、透明複合基板の少なくとも片側に平滑層を設け、さらにその上に衝撃緩衝層を設ける構成、または、透明複合基板の少なくとも片側に衝撃緩衝層を設け、さらにその上に平滑層を設ける構成等が挙げられる。すなわち、複数層の任意の位置に衝撃緩衝層を設けることで、外部の衝撃から透明複合基板の破損を防止することができる。
また、本発明の表示素子基板は、元々ガラス基板よりも落球試験による耐衝撃性が優れているが、上記のような衝撃緩衝層を設けることにより、さらに耐衝撃性が向上する。
以上、本発明の樹脂組成物、透明複合基板および表示素子基板について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば透明複合基板および表示素子基板には、任意の構成物が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.透明複合基板の製造
(サンプルNo.1)
まず、下記化学式(1)の構造を有する水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−BP、Tg:>250℃)と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER828)と、スルホニウム塩系光カチオン硬化剤(アデカ社製、アデカオプトマーSP−170)と、を表1に示す割合で混合し、樹脂材料を調製した。
Figure 0005685879
次いで、得られた樹脂材料をTガラス系ガラスクロス(厚み95μm、屈折率1.525、日東紡社製)に含浸させ脱泡した。これにより樹脂組成物を調製した。このように樹脂材料を含浸させたガラスクロス(樹脂組成物)を、離型処理を施した2枚のガラス板に挟み込み、30℃で5分、波長365nmで積算光量3000mJの紫外線を照射した(1次硬化)。
次いで、1次硬化後の樹脂組成物を、250℃でさらに1時間加熱(2次硬化)し、厚さ97μm(ガラスフィラー含有量63質量%)の透明複合基板を得た。
(サンプルNo.2〜19)
樹脂組成物の組成および硬化条件を、表1または表2に示すものにした以外は、それぞれサンプルNo.1と同様にして透明複合基板を得た。
なお、これらのサンプルのいくつかにおいて用いたエポキシ樹脂は、下記化学式(2)の構造を有する脂環式エポキシ樹脂であって、−X−が−O−であるものである。
Figure 0005685879
また、サンプルNo.13は、上記硬化処理を省略したものである。
また、これらのサンプルのうち、熱カチオン硬化剤を用いたものについては、芳香族スルホニウム塩熱カチオン硬化剤(三新化学工業製、SI−100L)を用い、80℃で2時間加熱した(1次硬化)。
なお、表1または表2中のグリシジル型エポキシ樹脂JER828は、ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
また、グリシジル型エポキシ樹脂オグソールEA−200は、大阪ガスケミカル社製のカルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂である。
2.透明複合基板の評価
2.1 引張強度の評価
得られた透明複合基板から、幅15mm×長さ30mmの大きさの10個の試験片を切り出し、JIS K 7161のプラスチックの引張特性の試験方法等に準じ、引張によって試験片が破断するまでの最大引張荷重[N]を引張強度[N/15mm]として算出した。
2.2 エポキシ開環率の測定
まず、樹脂組成物について、フーリエ変換赤外分光分析により吸光度スペクトルを取得した。次いで、吸光度スペクトルからエポキシ相対強度を求めた。
次に、得られた透明複合基板(樹脂硬化物)について、それぞれフーリエ変換赤外分光分析により、透明複合基板の吸光度スペクトルを取得した。
次いで、得られた吸光度スペクトルからエポキシ相対強度を求めるとともに、先に求めた樹脂組成物におけるエポキシ相対強度に基づいてエポキシ開環率を求めた。
2.3 湿度膨張率の評価
得られた透明複合基板について、それぞれ以下に示すようにして湿度膨張係数を測定した。
まず、透明複合基板から、幅15mm×長さ30mmの大きさの10個の試験片を切り出し、室温の窒素雰囲気下(相対湿度0%RH)で試験片長さを測定した。次いで、相対湿度を90%RHに変更し、同様に各試験片の長さを測定した。
そして、0%RHでの試験片長さをL0(mm)、90%RHでの試験片長さをL90(mm)とし、以下の式により湿度膨張係数を算出し、さらに各算出値を10個の試験片で平均化した。
湿度膨張係数=(L90−L0)/{L0×(90−0)}
2.4 吸水率の評価
得られた透明複合基板について、それぞれ以下に示すようにして24時間浸漬時の吸水率を測定した。
まず、透明複合基板から、幅15mm×長さ30mmの大きさの10個の試験片を切り出し、50℃に設定したオーブンに入れて24時間乾燥させた。次いで、試験片をデシケーター内で室温まで放熱した。そして、試験片の質量を測定した。また、以上のような乾燥および質量測定を3回繰り返した。
次に、23℃の蒸留水を入れた容器内に試験片を入れ、24時間放置した。その後、試験片を取り出し、水分を拭き取って再度質量測定を行った。そして、吸水前の試験片質量に対する質量変化の百分率を算出し、吸水率を求め、さらに各算出値を10個の試験片で平均化した。
2.5 ヘイズおよび全光線透過率の評価
得られた透明複合基板について、それぞれ以下に示すようにして加速試験実施前後でのヘイズおよび全光線透過率の変化量を測定した。
まず、透明複合基板について、日本電色工業株式会社製NDH2000を用い、23℃において透明複合基板のヘイズ値を測定するとともに、分光光度計(島津製作所製、U3200)を用い、波長400nmにおける全光線透過率を測定した。
なお、得られた全光線透過率から、厚さ2mmの透明複合基板の全光線透過率を算出したところ、サンプルNo.13を除く全てのサンプルで全光線透過率が70%以上であった。また、サンプルNo.4〜11、14〜19については全光線透過率が80%以上であった。
次いで、透明複合基板に対し、温度60℃、相対湿度90%RHの高温高湿試験を1000時間にわたって行った。
次いで、高温高湿試験後の透明複合基板について、再び、ヘイズ値および全光線透過率を測定した。そして、高温高湿試験前のヘイズ値に対するヘイズ値の変化量の百分率を測定し、これをヘイズ値の変化率とした。また、高温高湿試験前の全光線透過率に対する全光線透過率の変化量の百分率を測定し、これを全光線透過率の変化率とした。
そして、得られたヘイズ値の変化率および全光線透過率の変化率を以下の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:試験前後の変化率が10%未満である
○:試験前後の変化率が10%以上30%未満である
△:試験前後の変化率が30%以上50%未満である
×:試験前後の変化率が50%以上である
なお、試験前後の変化率とは、試験前のヘイズ値または全光線透過率に対する、試験後の測定値の変化量の割合(百分率)である。
以上、2.1〜2.5の評価結果を表1、2に示す。
Figure 0005685879
Figure 0005685879
表1、2から明らかなように、各透明複合基板から得られたサンプルのうち、硬化物のエポキシ開環率が85%以上であるサンプルについては、引張強度が十分に高いことが認められた。
図1は、透明複合基板(樹脂硬化物)における引張強度とエポキシ開環率との関係を示すグラフである。このグラフからも、上記のことが追認される。
また、各透明複合基板から得られたサンプルのうち、硬化物のエポキシ開環率が96%以下であるサンプルについては、湿度膨張係数および吸水率がとりわけ低いことが認められた。
図2は、透明複合基板(樹脂硬化物)における湿度膨張係数とエポキシ開環率との関係を示すグラフであり、図3は、透明複合基板(樹脂硬化物)における吸水率とエポキシ開環率との関係を示すグラフである。これらのグラフからも、エポキシ開環率が96%以下であれば、サンプルの耐湿性および耐水性が高いことが追認される。
以上のことから、エポキシ開環率が85〜96%の範囲内にある樹脂硬化物および透明複合基板は、十分な機械的強度と、優れた耐湿性および耐水性とを、バランスよく有しており、高湿下のような過酷な環境下でも、長期にわたってその特性、例えば優れた光学的特性を維持し得ることが明らかとなった。
なお、表中には示さないものの、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、JER828)の添加量を脂環式エポキシ樹脂100質量部に対してa:0.1質量部、b:1質量部、c:10質量部の3段階に異ならせた以外は、サンプルNo.6と同様にして得た透明複合基板を用意した。そして、この透明複合基板について上述したのと同様の評価試験を行った。
その結果、bのサンプルについては、いずれの評価項目においてもサンプルNo.6と同程度の評価が得られた。一方、a、cのサンプルについては、サンプルNo.6の評価よりやや低下するものの、サンプルNo.4と同程度の評価が得られた。
また、ガラスクロスの含有量をd:10質量%、e:30質量%、f:90質量%の3段階に異ならせた以外は、サンプルNo.6と同様にして得た透明複合基板を用意した。
その結果、eのサンプルについては、いずれの評価項目においてもサンプルNo.6と同程度の評価が得られた。一方、d、fのサンプルについては、サンプルNo.6の評価よりやや低下するものの、サンプルNo.4と同程度の評価が得られた。
また、表中には示さないものの、エポキシ樹脂として上記化学式(2)の構造を有する脂環式エポキシ樹脂であって、−X−が、−CH−、−CH(CH)−、および−C(CH−である3種類の樹脂を用いた場合についても、−X−が−O−である樹脂と同様の評価結果が得られた。

Claims (12)

  1. 脂環式エポキシ樹脂100質量部と、前記脂環式エポキシ樹脂に次いで含有率が高い樹脂成分としてグリシジル型エポキシ樹脂0.1〜10質量部と、光カチオン系硬化剤と、を含む樹脂組成物を、屈折率が1.4〜1.6のガラス繊維布に含浸させ、硬化させてなり、
    エポキシ開環率が85〜96%であり、
    湿度膨張係数が15ppm/%RH以下であり、
    24時間浸漬時の吸水率が1.2%以下であることを特徴とする樹脂硬化物。
  2. 前記脂環式エポキシ樹脂は、下記化学式(1)で示される構造および下記化学式(2)で示される構造の少なくとも一方を含むものである請求項1に記載の樹脂硬化物。
    Figure 0005685879
    Figure 0005685879
    [上記式(2)中、−X−は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CH(CH)−、または−C(CH−を表す。]
  3. 前記グリシジル型エポキシ樹脂は、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂である請求項1または2に記載の樹脂硬化物。
  4. 30〜150℃における平均線膨張係数が40ppm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の樹脂硬化物。
  5. 当該樹脂硬化物における前記ガラス繊維布の含有量は、1〜90質量%である請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂硬化物。
  6. 前記樹脂組成物は、さらに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂硬化物。
  7. 前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤の重量平均分子量は、200〜2000である請求項6に記載の樹脂硬化物。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の樹脂硬化物を含み、板状をなしていることを特徴とする透明複合基板。
  9. 平均厚さが40〜500μmである請求項8に記載の透明複合基板。
  10. 当該透明複合基板は、その厚さが2mmであるとき、波長400nmの光の全光線透過率が80%以上であるものである請求項9に記載の透明複合基板。
  11. 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の透明複合基板を備えることを特徴とする表示素子基板。
  12. 脂環式エポキシ樹脂100質量部と、前記脂環式エポキシ樹脂に次いで含有率が高い樹脂成分としてのグリシジル型エポキシ樹脂0.1〜10質量部と、光カチオン系硬化剤と、を含む樹脂組成物をガラス繊維布に含浸させる工程と、
    前記樹脂組成物に100〜10000mJ/cm の積算光量で光を照射する1次処理と、前記1次処理後の前記樹脂組成物が硬化に至るように光を照射する2次処理と、を経て、エポキシ開環率が85〜96%の樹脂硬化物を得る工程と、
    を有することを特徴とする樹脂硬化物の製造方法。
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