JP2013032448A - 透明複合基板および表示素子基板 - Google Patents

透明複合基板および表示素子基板 Download PDF

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Abstract

【課題】光学特性に優れた透明複合基板、および、かかる透明複合基板を備えた表示素子基板を提供することにある。
【解決手段】本発明の透明複合基板は、ガラスクロスと、ガラスクロスに含浸した脂環式エポキシ樹脂を主成分とする樹脂材料と、ガラスクロスの表面に設けられ、ガラスクロスと樹脂材料との間に発生する応力を緩和する応力緩和成分と、を有し、応力緩和成分は、非イオン性官能基を含むものが好ましい。非イオン性官能基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、およびビニル基のうちの少なくとも1種であることが好ましく、応力緩和成分は、有機ケイ素化合物であるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明複合基板および表示素子基板に関するものである。
液晶表示素子や有機EL表示素子等の表示素子に用いられるカラーフィルター基板のような表示素子基板や、太陽電池用基板等としてはガラス板が広く用いられている。しかしながら、ガラス板は、割れ易い、曲げられない、軽量化に不向き等の理由から、近年、その代替材としてプラスチック素材からなる基板が検討されている。
例えば、特許文献1、2には、エポキシ樹脂、酸無水物系硬化剤および硬化触媒を含むエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化体からなる液晶表示素子用透明樹脂基板が記載されている。しかしながら、これら従来のガラス代替用プラスチック材料は、ガラス板に比べ線膨張係数が大きい。このため、特にアクティブマトリックス表示素子基板に用いられた場合、その製造工程において基板の反りやそれに伴う配線の断線といった問題が生じる。このため、これら用途への使用は困難である。
そこで、線膨張係数を低減するために、樹脂材料にガラスパウダーやガラス繊維等の無機フィラーを配合する材料の複合化が行われている。しかしながら、樹脂材料と無機フィラーとでは屈折率が異なるため、樹脂材料を透過する光が樹脂材料と無機フィラーとの界面で散乱し、複合材料の透明性が損なわれる。
かかる問題を解消するため、特許文献3には、酸無水物で硬化したエポキシ樹脂と実質的に同じ屈折率の充填材とからなる光透過性エポキシ樹脂組成物が開示されている。このような樹脂組成物では、エポキシ樹脂と充填材との間で屈折率差が小さく抑えられることにより、複合材料の透明化が試みられている。
ところが、上述したような複合材料では、透明性が向上したとしても、樹脂材料とフィラー(充填材)とで熱膨張係数が異なるため、両者の界面に微小な内部応力が生じる。その結果、内部応力に伴って複合材料の光学異方性が変化し、例えば複合材料を用いて表示素子基板を製造した場合、この表示素子基板を備える表示素子では鮮明な表示を行うことが困難になる。
特開平6−337408号公報 特開平7−120740号公報 特開平4−236217号公報
本発明の目的は、光学特性に優れた透明複合基板、および、かかる透明複合基板を備えた表示素子基板を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(9)の本発明により達成される。
(1) ガラスクロスと、
前記ガラスクロスに含浸した脂環式エポキシ樹脂を主成分とする樹脂材料と、
前記ガラスクロスの表面に設けられ、前記ガラスクロスと前記樹脂材料との間に発生する応力を緩和する応力緩和成分と、を有することを特徴とする透明複合基板。
(2) 前記応力緩和成分は、非イオン性官能基を含むものである上記(1)に記載の透明複合基板。
(3) 前記非イオン性官能基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、およびビニル基のうちの少なくとも1種である上記(2)に記載の透明複合基板。
(4) 前記応力緩和成分は、有機ケイ素化合物である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の透明複合基板。
(5) 前記応力緩和成分を表面に付着させた前記ガラスクロスについてJIS R 3420で強熱減量を測定したとき、その値は0.01〜5%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の透明複合基板。
(6) 前記応力緩和成分は、前記ガラスクロスを構成するガラスフィラメントの表面を覆うように設けられている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の透明複合基板。
(7) 前記樹脂材料は、前記脂環式エポキシ樹脂に加え、グリシジル型エポキシ樹脂を含む上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の透明複合基板。
(8) 前記グリシジル型エポキシ樹脂の含有量は、前記脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部である上記(7)に記載の透明複合基板。
(9) 上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の透明複合基板を備えることを特徴とする表示素子基板。
本発明によれば、内部応力を低減させることができるので、ガラス基板を代替し得る光学特性に優れた透明複合基板が得られる。特に、光学異方性やヘイズの小さい透明複合基板が得られる。
また、本発明によれば、鮮明な表示が可能な表示素子を実現し得る表示素子基板が得られる。
以下、本発明の透明複合基板および表示素子基板について好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の透明複合基板は、ガラスクロスと脂環式エポキシ樹脂を主成分とする樹脂材料とを有し、樹脂材料がガラスクロスに含浸した状態で板状に成形され硬化させてなるものである。そして、この透明複合基板は、ガラスクロスの表面に設けられ、ガラスクロスと樹脂材料との間に発生する応力を緩和する応力緩和成分を有している。
本発明において透明とは、透光性を有する状態をいい、有彩色を呈していてもよいが、好ましくは無色とされる。
本発明の透明複合基板は、内部応力を小さくすることができるため、光学異方性(リタデーション)やヘイズの小さいものとなる。このため、この透明複合基板を表示素子基板として用いた場合には、鮮明な表示が可能な表示素子を実現することができる。
<透明複合基板>
まず、本発明の透明複合基板について説明する。
本発明の透明複合基板は、前述したように、ガラスクロスと樹脂材料と応力緩和成分とを含むものである。
(ガラスクロス)
本発明に用いられるガラスクロスには、ガラス繊維を含む織布および不織布等が挙げられる。
ガラス繊維を構成する無機系ガラス材料としては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Tガラス、Dガラス、NEガラス、クオーツ、低誘電率ガラス、高誘電率ガラス等が挙げられ、中でもアルカリ金属などのイオン性不純物が少なく入手の容易なEガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラスが好ましく用いられ、特に30℃から250℃における平均線膨張係数が5ppm以下であるSガラスまたはTガラスがより好ましく用いられる。
また、無機系ガラス材料の屈折率は、用いる樹脂材料の屈折率に応じて適宜設定されるものの、例えば、1.4〜1.6程度であるのが好ましく、1.5〜1.55程度であるのがより好ましい。これにより、広い波長領域において優れた光学特性を示す透明複合基板が得られる。
ガラスクロスに含まれるガラス繊維の平均径は2〜10μm程度であるのが好ましく、3〜8μm程度であるのがより好ましく、3〜6μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、機械的特性や光学的特性と表面の平滑性とを高度に両立し得る透明複合基板が得られる。なお、ガラス繊維の平均径は、透明複合基板の横断面を各種顕微鏡等で観察し、観察像から測定される100本分のガラス繊維の直径の平均値として求められる。
一方、ガラスクロスの平均厚さは、10〜200μm程度であるのが好ましく、20〜120μm程度であるのがより好ましい。ガラスクロスの平均厚さを前記範囲内にすることにより、透明複合基板の薄型化を図り、かつ十分な可撓性および透光性を確保しつつ、機械的特性の低下を抑えることができる。
また、複数のガラス繊維からなる束を織って織布とした場合、その束にはガラス繊維の単糸が30〜200本程度含まれているのが好ましく、50〜150本程度含まれているのがより好ましい。これにより、機械的特性や光学的特性と表面の平滑性とを高度に両立し得る透明複合基板が得られる。
このようなガラスクロスには、あらかじめ開繊処理が施されているのが好ましい。開繊処理により、複数のガラス繊維からなる束が拡幅され、束の断面は扁平状に成形される。また、いわゆるバスケットホールも小さくなる。その結果、ガラスクロスの平滑性が高くなり、透明複合基板の表面の平滑性も高くなる。開繊処理としては、例えば、ウォータージェットを噴射する処理、エアージェットを噴射する処理、ニードルパンチングを施す処理等が挙げられる。
(樹脂材料)
本発明に用いられる樹脂材料には、脂環式多官能エポキシ樹脂、水添ビフェニル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA骨格を有する脂環式エポキシ樹脂等の各種脂環式エポキシ樹脂を主成分とする樹脂材料が用いられる。
脂環式エポキシ樹脂として、具体的には、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’、4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、ジシクロペンタジエンジオキサイド、シクロオクテンジオキサイド、アセタールジエポキシサイド、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソーエキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロピル)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン)、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン、リノール酸二量体のジグリシジルエーテル、リモネンジオキシド、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル、1,2−ビス[5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダンキシル]エタン、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ε−カプロラクトンオリゴマーの両端にそれぞれ3,4−エポキシシクロヘキシルメタノールと3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸がエステル結合したもの、エポキシ化されたヘキサヒドロベンジルアルコール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、本発明では特に分子内に2個以上のエポキシシクロヘキサン環を有する脂環式エポキシ樹脂が好ましく用いられる。このうち、下記化学式(1)で示される水添ビフェニル型脂環式エポキシ構造、または、下記化学式(2)、(3)で示される脂環式エポキシ構造が特に好適に用いられる。
Figure 2013032448
Figure 2013032448
[上記式(2)中、−X−は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CH−、−CH(CH)−、または−C(CH−を表す。]
Figure 2013032448
一方、分子中にエポキシシクロヘキサン環を1個有する脂環式エポキシ樹脂としては、下記化学式(4)、(5)で示される脂環式エポキシ樹脂が特に好適に用いられる。
Figure 2013032448
Figure 2013032448
このような脂環式エポキシ樹脂は、低温での硬化性に優れることから、低温で硬化処理を行うことができる。これにより、硬化時に樹脂材料を高温にする必要がなくなるため、その後硬化物を室温に戻しても、温度の変化量を抑えることができる。その結果、本発明の透明複合基板では、温度変化に伴う熱応力の発生を抑制することができ、光学特性に優れたものとなる。
また、上述したような脂環式エポキシ樹脂は、硬化後の線膨張係数が低いため、かかる脂環式エポキシ樹脂を含む樹脂材料を用いて得られた透明複合基板では、ガラスクロスとエポキシ樹脂との界面における界面応力が室温において特に小さくなる。このため、上記界面応力の小さい透明複合基板を得ることができ、かかる透明複合基板は、光学異方性の小さいものとなる。さらに、線膨張係数が低いため、透明複合基板では、反りやうねり等の変形が防止される。
また、これらの脂環式エポキシ樹脂は、透明性および耐熱性に優れていることから、光透過性に優れ、かつ耐熱性の高い透明複合基板の実現に寄与するものである。
なお、前述した主成分とは、本発明に用いられる樹脂材料の50質量%超を占める成分のことをいうが、樹脂材料における脂環式エポキシ樹脂の含有率は70質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上であるのがより好ましい。
主成分以外の樹脂材料としては、例えば、グリシジル型エポキシ樹脂のような脂環式エポキシ樹脂以外のエポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、イソシアネート系樹脂、アクリレート系樹脂、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ジアリルカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、ポリイミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、シルセスキオキサン系化合物等が挙げられる。
このうち、主成分以外の樹脂材料にはグリシジル型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。脂環式エポキシ樹脂とともにグリシジル型エポキシ樹脂が用いられることにより、透明複合基板において光学特性の低下を抑えつつ、樹脂材料の屈折率を容易に調整することができる。すなわち、脂環式エポキシ樹脂とグリシジル型エポキシ樹脂との混合比を適宜調整することによって、樹脂材料の屈折率を所望の値にすることができる。その結果、光透過性の高い透明複合基板が得られる。
この場合、グリシジル型エポキシ樹脂の添加量は、脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部程度であるのが好ましく、1〜5質量部程度であるのがより好ましい。
グリシジル型エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、用いるグリシジル型エポキシ樹脂の中でも、カルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。すなわち、脂環式エポキシ樹脂にカルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂を添加して用いることにより、ビスアリールフルオレン骨格に由来する多数の芳香環が含まれることになるため、透明複合基板の光学特性および耐熱性をより高めることができる。
このようなカルド構造を有するグリシジル型エポキシ樹脂としては、例えば、オンコートEXシリーズ(長瀬産業社製)、オグソール(大阪ガスケミカル社製)等が挙げられる。
また、主成分以外の樹脂材料にはシルセスキオキサン系化合物も好ましく用いられ、このうち、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基のような光重合性基を有するシルセスキオキサン系化合物がより好ましく用いられる。脂環式エポキシ樹脂とともにシルセスキオキサン系化合物が用いられることにより、透明複合基板において光学特性の低下を抑えつつ、樹脂材料の屈折率を容易に調整することができる。また、オキセタニル基を有するシルセスキオキサン系化合物は、脂環式エポキシ樹脂との相溶性に富んでいるため、均一な混合が可能になり、その結果、屈折率をより確実に調整しつつ、光学特性に優れた透明複合基板が得られる。
このようなオキセタニル基を有するシルセスキオキサン系化合物としては、例えば、OX−SQ、OX−SQ−H、OX−SQ−F(いずれも東亞合成社製)等が挙げられる。
さらには、本発明に用いられる樹脂材料は、ガラス転移温度が150℃以上であるのが好ましく、170℃以上であるのがより好ましい。これにより、透明複合基板の製造後、これを表示素子基板に加工する際において各種加熱処理を施したとしても、透明複合基板に反りや変形等が発生するのを防止することができる。
また、樹脂材料の屈折率は、ガラスクロスの屈折率にできるだけ近い方がよく、具体的には、両者の屈折率差は0.01以下であるのが好ましく、0.005以下であるのがより好ましい。これにより、光透過性の高い透明複合基板が得られる。
(応力緩和成分)
本発明の透明複合基板においては、ガラスクロスの表面に応力緩和成分が設けられている。具体的には、応力緩和成分はガラスクロスの表面に点状または層状に設けられ、好ましくはガラスクロスを構成するガラス繊維(ガラスフィラメント)の表面を覆うように設けられている。応力緩和成分は前述したようにガラスクロスと樹脂材料との間に発生する応力を緩和する機能を有する成分であり、このような成分がガラスクロスの表面に設けられていることにより、透明複合基板の内部応力を低減し、透明複合基板の光学特性を高めることができる。特に、光学異方性やヘイズの小さい透明複合基板が得られる。
応力緩和成分は、例えばガラスクロスに含浸した未硬化の樹脂材料が収縮しつつ硬化する際に発生する応力、あるいは、透明複合基板が熱履歴を経た後、冷却される際に発生する応力が、ガラスクロスと樹脂材料との界面に集中するのを緩和し、応力集中に伴う光学特性の低下を抑制する。
特に、樹脂材料への影響が少なくガラスクロスと樹脂材料との界面に適度な結合性を付与できるという観点からは、非イオン性官能基を含む応力緩和成分を用いることが好ましい。
かかる効果がもたらされる理由の1つは、非イオン性官能基を含む応力緩和成分は、樹脂材料に対して影響を及ぼすことが少なく、ガラスクロスと樹脂材料との界面に適度な結合性を付与している点にあると考えられる。すなわち、樹脂材料に及ぼす影響が少なく、かつ適度な結合性が付与されることにより、前述した応力が緩和され、応力集中に伴う光学特性の低下を抑制しているのである。
非イオン性官能基としては、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、アミド基等が挙げられるが、これらの中でも特に、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基およびビニル基のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。これらの非イオン性官能基を含む応力緩和成分は、脂環式エポキシ樹脂を主成分とする樹脂材料に対して光学特性に影響を及ぼすことが少なく、適度な結合性をもたらすため、内部応力の集中を緩和しつつ、ガラスクロスと樹脂材料との界面における剥離を確実に防止することができる。その結果、光学異方性やヘイズが特に小さく、光学特性にとりわけ優れた透明複合基板が得られる。
一方、イオン性官能基を含む化合物としては、例えば、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩(例えば、信越シリコーン製、KBM−575)、1,2−エタンジアミン,N−{3−(トリメトキシシリル)プロピル}−,N−{(エテニルフェニル)メチル}誘導体・塩酸塩(例えば、東レ・ダウコーニング製、SZ−6032)のようなアンモニウム塩を含む化合物の他、ホスホニウム塩やスルホニウム塩を含む化合物等が挙げられる。
応力緩和成分には、好ましくは官能基と加水分解性基とを含む化合物が用いられる。加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基が挙げられる。
また、このような化合物は、有機ケイ素化合物、有機チタン化合物、有機カルシウム化合物、有機ジルコニウム化合物等であるのが好ましく、特に有機ケイ素化合物であるのがより好ましい。有機ケイ素化合物であれば、官能基と加水分解性基とを安定的に共存させることができるので、応力緩和成分の構成材料として好適である。
かかる有機ケイ素化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
このような応力緩和成分を設けたガラスクロスをJIS R 3420に規定された方法に基づいて測定した際の強熱減量は、0.01〜5%程度であるのが好ましく、0.02〜1%程度であるのがより好ましく、0.02〜0.5%程度であるのがさらに好ましい。強熱減量が前記範囲内であれば、光学異方性とヘイズの双方を小さくすることができ、例えば表示素子基板として好適な透明複合基板が得られる。なお、強熱減量が前記下限値未満である場合、光学異方性が特に高くなり、例えば表示素子基板として用いた場合にいわゆる光抜けが発生し易くなるおそれがある。一方、強熱減量が前記上限値を上回る場合、応力緩和成分が多過ぎるため、ヘイズが高くなるおそれがある。なお、ここで測定された強熱減量は、応力緩和成分以外にガラスクロスに付着・含有している有機成分等も含まれるが、応力緩和成分の量を規定する指標となり得る。
(その他の成分)
本発明の透明複合基板は、上記のもの以外にフィラー等を含んでいてもよい。
フィラーとしては、例えば無機系ガラス材料の繊維片または粒子等で構成されたガラスフィラーが挙げられる。ガラスフィラーが樹脂材料中に分散することで、透明複合基板の光透過性を阻害することなく機械的特性を高めることができる。
ガラスフィラーとしては、具体的には、ガラスチョップドストランド、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラス等が挙げられる。
無機系ガラス材料としては、前述したガラスクロスの構成材料と同様のものが用いられる。
フィラーの含有量は、ガラスクロス100質量部に対して1〜90質量部程度であるのが好ましく、3〜70質量部程度であるのがより好ましい。
なお、フィラーの直径は100nm以下であるのが好ましい。このようなフィラーは、界面での散乱が生じ難いので、透明複合基板の透明性が比較的高くなる。
また、樹脂材料中に前述した応力緩和成分を添加するようにしてもよい。これにより、前述した応力集中をさらに緩和することができ、透明複合基板の光学特性をより高めることができる。樹脂材料中に応力緩和成分を添加する場合、その添加量は樹脂材料100質量部に対して0.01〜5質量部程度であるのが好ましく、0.05〜2質量部程度であるのがより好ましい。
<表示素子基板>
本発明の透明複合基板は、例えば、液晶表示素子用基板、有機EL素子用基板、カラーフィルター用基板、TFT用基板、電子ペーパー用基板、タッチパネル用基板のような各種表示素子基板(本発明の表示素子基板)の他、太陽電池用基板等にも適用される。
本発明の表示素子基板は、本発明の透明複合基板を備えるものであり、必要に応じて透明複合基板の表面に成膜された機能層を有する。
かかる機能層としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、スズ−インジウム合金の酸化物等で構成される透明導電層、金、銀、パラジウムまたはこれらの合金等で構成される金属導電層、酸化ケイ素、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー等で構成されるガスバリア層、エポキシ樹脂等で構成される平滑層、ゴム状またはゲル状のシリコーン硬化物、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン等で構成される衝撃緩衝層等が挙げられる。
このうち、平滑層は、耐熱性、透明性、耐薬品性を有していることが好ましく、エポキシ樹脂の中でも透明複合材料中に含まれる脂環式エポキシ樹脂と同じ組成のものが平滑層の構成材料としてより好ましく用いられる。平滑層の平均厚さは、0.1〜30μm程度であるのが好ましく、0.5〜30μm程度であるのがより好ましい。
また、層構成としては、透明複合基板の少なくとも片側に平滑層を設け、さらにその上に衝撃緩衝層を設ける構成、または、透明複合基板の少なくとも片側に衝撃緩衝層を設け、さらにその上に平滑層を設ける構成等が挙げられる。
また、本発明の表示素子基板は、元々ガラス基板よりも落球試験による耐衝撃性が優れているが、上記のような衝撃緩衝層を設けることにより、さらに耐衝撃性が向上する。
なお、表示素子基板の波長400nmにおける全光線透過率は、70%以上であるのが好ましく、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは78%以上である。波長400nmにおける全光線透過率が下限値未満であると表示素子における表示性能が十分でないおそれがある。
また、透明複合基板の平均厚さは、特に限定されないが、40〜200μm程度であるのが好ましく、50〜100μm程度であるのがより好ましい。
また、本発明の透明複合基板は、30℃〜150℃における平均線膨張係数が40ppm以下であることが好ましく、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。例えば、この透明複合シートをアクティブマトリックス表示素子用基板に用いた場合、この上限値を超えると、その製造工程において反りやアルミ配線の断線等の問題が生じるおそれがある。
<透明複合基板の製造方法>
本発明の透明複合基板は、前述したようにガラスクロスに未硬化の樹脂材料を含浸させ、この状態で板状に成形された後、硬化させてなるものである。また、ガラスクロスには、あらかじめ応力緩和成分を付与する処理を施す。
具体的には、本発明の透明複合基板の製造方法は、ガラスクロスの表面に応力緩和成分を付与する工程と、ガラスクロスに未硬化の樹脂材料を含む樹脂ワニスを含浸させた後、加熱成形する工程と、を有する。
[1]ガラスクロスの表面に応力緩和成分を付与する際には、例えば、応力緩和成分を含む液体中にガラスクロスを浸漬する方法、ガラスクロスに前記液体を塗布する方法、ガラスクロスに前記液体を噴霧する方法等が用いられる。
応力緩和成分を含む液体は、水、アルコール類等の各種溶媒に溶解(または分散)させたものである。液体中の応力緩和成分の濃度は、0.05〜5質量%程度であるのが好ましい。
また、必要に応じて酢酸等の酸を0.05〜5質量%程度の濃度になるよう添加し、液体のpHを弱酸性に調整する。これにより、液体の安定性が向上する。
ガラスクロスに前記液体を付与した後、これを40〜200℃程度で0.1〜10時間程度加熱して乾燥させる。これにより、ガラスクロスの表面に応力緩和成分が付着する。また、応力緩和成分の付着量を測定する場合、ガラスクロスの表面に設けられた応力緩和成分量の指標として、前記の通りJIS R 3420に規定の方法で測定した強熱減量を使用する。
[2]
[2−1]樹脂ワニスは、上述した未硬化の樹脂材料、フィラー等のその他の成分、有機溶剤等を含む他、必要に応じて、硬化剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤等を含むものである。
(硬化剤)
かかる硬化剤としては、酸無水物、脂肪族アミン等の架橋剤、カチオン系硬化剤、アニオン系硬化剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用いられる。
これらの中でも特にカチオン系硬化剤が好ましく用いられる。カチオン系硬化剤によれば、エポキシ樹脂を比較的低温で硬化させることができるので、硬化時に樹脂ワニスを高温にする必要がなく、温度変化に伴う熱応力の発生を抑制することができる。その結果、光学異方性の低い透明複合基板が得られる。
また、カチオン系硬化剤を用いることにより、耐熱性(例えばガラス転移温度)の高い透明複合基板が得られる。これは、カチオン系硬化剤を用いることにより、エポキシ樹脂の硬化物の架橋密度が高くなるためであると考えられる。
前記カチオン系硬化剤としては、加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出するもの、例えばオニウム塩系カチオン硬化剤、またはアルミニウムキレート系カチオン硬化剤や、活性エネルギー線によってカチオン重合を開始させる物質を放出させるもの、例えばオニウム塩系カチオン系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、熱カチオン系硬化剤が好ましい。これにより、より耐熱性に優れる硬化物を得ることができる。
熱カチオン系硬化剤としては、例えば芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アンモニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体等が挙げられる。具体的には、芳香族スルホニウム塩として三新化学工業製のSI−60L、SI−80L、SI−100L、旭電化工業製のSP−66やSP−77等のヘキサフルオロアンチモネート塩等が挙げられ、アルミニウムキレートとしてはエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられ、三フッ化ホウ素アミン錯体としては、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体等が挙げられる。
一方、光カチオン系硬化剤としては、例えば旭電化工業製のSP170等が挙げられる。
このようなカチオン系硬化剤の含有量は、特に限定されないが、脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜3重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化性が低下する場合があり、前記上限値を超えると透明複合基板が脆くなる場合がある。
光硬化させる場合は、必要に応じて硬化反応を促進させるため増感剤、酸増殖剤等も併せて用いることができる。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が用いられるが、特に酸化防止効果の高いヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、BHT、2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−tert−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−α,α’,α”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオンアミド等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用いられる。
具体的には、イルガノックス1330、イルガノックス1010、イルガノックス1076、イルガノックス3114(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミライザーBHT、スミライザーBP−101(以上、住友化学社製)、ヨシノックスBHT、ヨシノックス250、トミノックスSS、トミノックスTT、ヨシノックス314、GSY−242(以上、エーピーアイコーポレーション社製)、アデカスタブAO−50、MarkAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−20(以上、アデカ社製)等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、樹脂ワニスの0.01質量%以上5質量%以下であるのが好ましく、0.1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。酸化防止剤の含有量を前記範囲内にすることにより、光学異方性の低い透明複合基板が得られ、かつ、信頼性試験においても光学異方性の悪化の小さい透明複合基板が得られる。
また、酸化防止剤の重量平均分子量は、200〜2000であるのが好ましく、500〜1500であるのがより好ましく、1000〜1400であるのがさらに好ましい。酸化防止剤の重量平均分子量が上記範囲内であれば、酸化防止剤の揮発性が抑制されるとともに、脂環式エポキシ樹脂に対する相溶性が確保される。このような酸化防止剤は、湿熱処理のような信頼性試験を経ても残存し続けることができ、これにより光学異方性の悪化を抑制し得る透明複合基板を実現することができる。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤以外のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、水酸基を挟むように位置する置換基の一方がメチル基等に置換されているセミヒンダード型のフェノール系酸化防止剤や、水酸基を挟む2つの置換基の双方がメチル基等に置換されているレスヒンダード型のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。これらは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤より少ない添加量で添加される。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられ、これらの1種または2種以上の混合物が用いられる。
具体的には、GSY−P101、トミホス202(以上、エーピーアイコーポレーション社製)、Mark2112、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−24、アデカスタブPEP−45、アデカスタブHP−10(以上、アデカ社製)、スミライザーGP(住友化学社製)等が挙げられる。
なお、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用することにより、それらの相乗効果が発揮され、脂環式エポキシ樹脂の酸化防止、および透明複合基板の光学異方性の抑制がより顕著になる。これは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤とで、酸化防止のメカニズムが異なるため、両者が独立して働き、さらには相乗的な効果が生じているからであると考えられる。
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等が挙げられ、これらの1種または2種の混合物が用いられる。
具体的には、DLTPヨシトミ、LMTPヨシトミ、DSTPヨシトミ、DTTPヨシトミ(以上、エーピーアイコーポレーション社製)、アデカスタブAO−23(以上、アデカ社製)、スミライザーTPL、スミライザーTPM、スミライザーTPS、スミライザーTL、スミライザーTP−D(以上、住友化学社製)等が挙げられる。
このようなヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の酸化防止剤(特にリン系酸化防止剤)の添加量は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤100質量部に対して、好ましくは30〜300質量部程度とされ、より好ましくは50〜200質量部程度とされる。これにより、ヒンダードフェノール系酸化防止剤とそれ以外の酸化防止剤とが、それぞれの効果を埋没させることなく発揮し、相乗効果をもたらすことができる。
なお、樹脂ワニスは、その特性を損なわない範囲で必要に応じて、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のオリゴマーやモノマー剤等を含んでいてもよい。なお、これらのオリゴマーやモノマーを使用する場合は、全体の屈折率がガラスクロスの屈折率に合うように組成比が適宜設定される。
樹脂ワニスは、以上のような成分を混合して得られる。
得られた樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させる際には、例えば、樹脂ワニス中にガラスクロスを浸漬する方法、ガラスクロスに樹脂ワニスを塗布する方法等が用いられる。また、樹脂ワニスをガラスクロスに含浸させた後、樹脂ワニスが未硬化の状態または硬化させた後に、その上からさらに樹脂ワニスを塗布するようにしてもよい。
その後、必要に応じて樹脂ワニスに脱泡処理を施す。さらには、必要に応じて樹脂ワニスを乾燥させる。
[2−2]次いで、樹脂ワニスを含浸させたガラスクロスを板状に成形しつつ加熱する。これにより、樹脂材料を硬化させ、透明複合基板を得る。
加熱条件としては、好ましくは加熱温度が50〜300℃程度、加熱時間が0.5〜10時間程度とされ、より好ましくは加熱温度が170〜270℃程度、加熱時間が1〜5時間程度とされる。
また、加熱温度は途中で変更するようにしてもよい。例えば、当初は50〜100℃程度で0.5〜3時間程度加熱し、その後、200〜300℃程度で0.5〜3時間程度加熱するようにしてもよい。
また、樹脂ワニスの成形には、例えば離型処理を施したガラス板のような板状の成形型が用いられる。
以上、本発明について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば透明複合基板および表示素子基板には、任意の構成物が付加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.透明複合基板の製造
(実施例1)
まず、非イオン性官能基を有する有機ケイ素化合物(応力緩和成分)として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを水とエタノールを体積比で1:1で混合した混合溶媒中に溶解して処理容液を調製した。なお、処理溶液中の応力緩和成分の濃度は1質量%とした。また、処理溶液中には濃度が1質量%となるように酢酸を添加した。
次に、調製した処理溶液中に、あらかじめ500℃で5時間の焼成により有機成分を除去処理したTガラス系ガラスクロス(平均厚さ95μm、屈折率1.520)を浸漬し、取り出した後、90℃で60分間乾燥させた。ガラスクロスの表面に設けられた応力緩和成分量の指標として、JIS R 3420に規定された条件に基づき、500℃のマッフル炉にて計5時間加熱処理を行い、ガラスクロスの強熱減量を測定した。製造条件および測定結果を表1に示す。
次に、下記化学式(1)の構造を有する水添ビフェニル型脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−BP、Tg:>250℃)と、グリシジル型エポキシ樹脂として水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学製、YX−8000、Tg:103℃)と、芳香族スルホニウム系熱カチオン硬化剤(三新化学製、SI−100L)と、を表1に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。なお、E−BPの架橋後の屈折率は1.522、YX−8000の架橋後の屈折率は1.51である。
Figure 2013032448
次いで、得られた樹脂ワニスを、上述した方法で処理したガラスクロスに含浸させ、その後、脱泡処理を施し、さらに樹脂ワニスを乾燥させた。
続いて、このように樹脂ワニスを含浸させたガラスクロスを、離型処理を施した2枚のガラス板に挟み込み、80℃で2時間加熱後、250℃でさらに2時間加熱した。これにより、平均厚さ97μm(ガラスクロス含有量63質量%)の透明複合基板を得た。
(実施例2〜30)
樹脂ワニスの組成、ガラスクロスの種類および応力緩和成分の組成・付着量(強熱減量)を表1、2に示すものに変更した以外は、それぞれ実施例1と同様にして透明複合基板を得た。なお、応力緩和成分の付着量は、処理溶液の濃度、処理溶液によるガラスクロスの処理時間等を適宜変更することにより調整した。
また、実施例28〜30において用いた脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業製、E−DOA、Tg:>250℃)は、下記化学式(2)の構造を有する脂環式エポキシ樹脂であって「−X−」が「−CH(CH)−」であるものである。なお、E−DOAの架橋後の屈折率は1.513である。また、実施例28〜30においては、樹脂含有量(ワニス成分溶剤成分)が80%となるようにメチルイソブチルケトンを添加した。
Figure 2013032448
また、実施例16、29、30において用いたシルセスキオキサン(東亞合成製、OX−SQ−H)は、架橋後の屈折率が1.47である。
また、実施例27、29、30において用いたNEガラス系ガラスクロスは、平均厚さ95μm、屈折率1.510である。
(実施例31)
非イオン性官能基を有する有機ケイ素化合物に代えて、イオン性官能基を有する有機ケイ素化合物を用いるようにした以外は、実施例29と同様にして透明複合基板を得た。なお、用いた有機ケイ素化合物は、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩(信越シリコーン製、KBM−575)であり、処理溶液は、上記有機ケイ素化合物の濃度が1質量%のメタノール溶液である。
(実施例32)
強熱減量の値が表2に示す値になるよう変更するとともに、樹脂モノマーの組成を表2に示すように変更した以外は、実施例31と同様にして透明複合基板を得た。
(実施例33)
非イオン性官能基を有する有機ケイ素化合物に代えて、イオン性官能基を有する有機ケイ素化合物を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして透明複合基板を得た。なお、イオン性官能基を有する有機ケイ素化合物として1,2−エタンジアミン,N−{3−(トリメトキシシリル)プロピル}−,N−{(エテニルフェニル)メチル}誘導体・塩酸塩(東レ・ダウコーニング社製、Z−6032)であり、処理溶液は、上記有機ケイ素化合物の濃度が1質量%のメタノール溶液である。
なお、実施例31〜33においては、樹脂含有量が80%となるようにメチルイソブチルケトンを添加した。
(実施例34)
強熱減量の値が表2に示す値になるよう変更するとともに、樹脂モノマーの組成を表2に示すように変更した以外は、実施例33と同様にして透明複合基板を得た。
(比較例1)
ガラスクロスを前記処理溶液に浸漬する処理を省略した以外は、実施例1と同様にして透明複合基板を得た。
2.透明複合基板の評価
2.1 光学異方性の評価
各実施例および比較例で得られた透明複合基板について、それぞれ以下に示す方法で光学異方性を測定した。
まず、透明複合基板をクロスニコルにした偏光顕微鏡で観察した。次いで、偏光顕微鏡の光軸を固定し、光源の強さを一定にした状態で透明複合基板を回転させ、基板の一部分あるいは全体が最も明るくなる角度にセットした。そして、2.4mm×1.8mmの観察部分を画像(画素数640×480)化してパーソナルコンピューターに取り込み、これを各画素が0〜255の階調を持つ白黒画像に変換した。得られた白黒画像中の各画素の階調を総和し、これを光学異方性の評価値とした。そして、以下の評価基準にしたがって光学異方性を評価した。評価結果を表1、2に示す。
<光学異方性の評価基準>
◎ :評価値が3未満である。
○ :評価値が3以上4未満である。
△ :評価値が4以上6未満である。
× :評価値が6以上である。
2.2 ヘイズの評価
各実施例および比較例で得られた透明複合基板について、それぞれ濁度計(日本電色工業製、NDH2000)を用い、JIS K 7136に準拠した条件でヘイズを測定した。そして、以下の評価基準にしたがってヘイズを評価した。評価結果を表1、2に示す。
<ヘイズの評価基準>
◎ :測定値が2未満である。
○ :測定値が2以上4未満である。
△ :測定値が4以上6未満である。
× :測定値が6以上である。
Figure 2013032448
Figure 2013032448
表1、2から明らかなように、各実施例で得られた透明複合基板は、いずれも比較例で得られた透明複合基板に比べて、光学異方性およびヘイズの小さいものであった。
一方、比較例で得られた透明複合基板については、光学異方性およびヘイズの双方が高く、表示素子基板としては不適当な光学特性であった。なお、実施例31〜34についてはヘイズおよび光学異方性がやや高くなっている。これらのことから、透明複合基板において光学異方性とヘイズの双方を小さくするためには、応力緩和成分をガラスクロスの表面に付与することが極めて有効であり、その中でも非イオン性官能基を有する応力緩和成分を付与することが特に有効であることが明らかとなった。

Claims (9)

  1. ガラスクロスと、
    前記ガラスクロスに含浸した脂環式エポキシ樹脂を主成分とする樹脂材料と、
    前記ガラスクロスの表面に設けられ、前記ガラスクロスと前記樹脂材料との間に発生する応力を緩和する応力緩和成分と、を有することを特徴とする透明複合基板。
  2. 前記応力緩和成分は、非イオン性官能基を含むものである請求項1に記載の透明複合基板。
  3. 前記非イオン性官能基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、およびビニル基のうちの少なくとも1種である請求項2に記載の透明複合基板。
  4. 前記応力緩和成分は、有機ケイ素化合物である請求項1ないし3のいずれかに記載の透明複合基板。
  5. 前記応力緩和成分を表面に付着させた前記ガラスクロスについてJIS R 3420で強熱減量を測定したとき、その値は0.01〜5%である請求項1ないし4のいずれかに記載の透明複合基板。
  6. 前記応力緩和成分は、前記ガラスクロスを構成するガラスフィラメントの表面を覆うように設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の透明複合基板。
  7. 前記樹脂材料は、前記脂環式エポキシ樹脂に加え、グリシジル型エポキシ樹脂を含む請求項1ないし6のいずれかに記載の透明複合基板。
  8. 前記グリシジル型エポキシ樹脂の含有量は、前記脂環式エポキシ樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部である請求項7に記載の透明複合基板。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の透明複合基板を備えることを特徴とする表示素子基板。
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