JP7345934B1 - 繊維強化プラスチック製スリーブおよびゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブ - Google Patents

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Abstract

【課題】 保管後においてもシリンダに強固に装着することが可能な繊維強化プラスチック製スリーブを提供する。【解決手段】 補強繊維と、エポキシ樹脂硬化物とを含む繊維強化プラスチック製スリーブである。エポキシ樹脂硬化物は、未硬化液状エポキシ樹脂と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤と、硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化したものである。繊維強化プラスチック製スリーブの温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率は0.05%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維強化プラスチック製スリーブおよびゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブに関するものである。
グラビア印刷機、フレキソ印刷機、およびラミネート機は、圧胴用ロール、版胴用ロール、又は塗装ロール等を備えている。これらのロールは、マンドレル(シリンダ)に繊維強化プラスチック(FRP)スリーブを装着した構造を有し、当該スリーブはその外周面にゴムを巻き付けたゴム付きFRPスリーブとして使用される。
このようなスリーブのシリンダへの装着は、通常、以下の方法により行われる。まず、エアを噴出するための複数のエア孔を円筒面に穿孔したシリンダと、シリンダの外径より僅かに小さい内径に設計されたスリーブとを用意する。次いで、スリーブの中空部にシリンダを挿入しながら、シリンダにエアを供給し、エア孔からエアをスリーブの内周面に向けて噴出することによって、スリーブを拡径させる。このとき、スリーブとシリンダとの間に僅かな間隙が生じるため、スリーブをシリンダの所定の位置に容易に移動させてその全体をスリーブ内に挿入することが可能になる。その後、エアの供給を停止することにより、拡径されたスリーブが元の内径に復元しようとする収縮力が生じるため、スリーブの内周面とシリンダの外周面との間の摩擦力により、スリーブとシリンダとが互いに強固に装着される。一方、スリーブ(ゴム付きスリーブ)をシリンダから取り外す場合、シリンダにエアを供給し、エア孔からエアをスリーブの内周面に向けて噴出させ、スリーブを拡径することにより、スリーブをシリンダから容易に脱離することができる。従って、シリンダに対するスリーブ(ゴム付きスリーブ)の交換作業を容易にかつ効率的に行うことが可能である。
従来のFRPスリーブ(例えば、特許文献1に記載の炭素繊維強化プラスチックスリーブ)は、スリーブメーカで製造後、ゴム加工メーカで当該スリーブの外周面にゴムを巻き付けてゴム付きFRPスリーブを製造し、ユーザに出荷される。FRPスリーブおよびゴム付きFRPスリーブは、スリーブメーカ、ゴム加工メーカ、およびユーザにおいて、任意の期間保管される場合がある。
このようなメーカ及び/又はユーザでのFRPスリーブおよびゴム付きFRPスリーブの保管の後に、前述した方法によりゴム付きFRPスリーブをシリンダに装着すると、スリーブの内周面とシリンダの外周面との間に十分な摩擦力が付与されず、使用時(印刷機への適用時)にFRPスリーブとシリンダの間にずれが生じることがある。
特開2002-127357号公報
本発明は、保管後においてもシリンダに強固に装着することが可能な繊維強化プラスチック製スリーブ及びゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを提供する。
本発明は、補強繊維と、エポキシ樹脂硬化物とを含む繊維強化プラスチック製スリーブである。エポキシ樹脂硬化物は、未硬化液状エポキシ樹脂と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤と、硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化したものである。繊維強化プラスチック製スリーブを温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率は、0.05%以下である。
また、本発明は、上述した繊維強化プラスチック製スリーブと、スリーブの外周面を被覆するゴム層と、を備えるゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブである。
本発明によれば、例えばメーカ及び/又はユーザでの保管後においてもシリンダに強固に装着することが可能な繊維強化プラスチック製スリーブ及びゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを提供できる。
第1の実施形態に係る繊維強化プラスチック製スリーブの一例を示す斜視図。 第2の実施形態に係るゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブの一例を示す斜視図。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。また、実施形態には種々の変更または改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る繊維強化プラスチック製スリーブは、補強繊維と、エポキシ樹脂硬化物とを含む。エポキシ樹脂硬化物は、未硬化液状エポキシ樹脂と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤と、硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化したものである。繊維強化プラスチック製スリーブは、温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率が、0.05%以下である。
発明者は、メーカ及び/又はユーザでのFRPスリーブ、及びゴム付きFRPスリーブの保管後におけるゴム付きFRPスリーブのシリンダへの装着不良を検討した結果、FRPスリーブおよびゴム付きFRPスリーブの保管時にスリーブの外界との露出面で水分を吸収する、所謂、吸湿により膨張することに起因することを究明した。なお、ゴム付きFRPスリーブはスリーブの外周面がゴムで覆われているものの、内周面が外界に露出しているため、吸湿による膨張が起こる。スリーブの膨張は、その内径増加をもたらす。前記シリンダへの装着方法で説明したようにスリーブの内径はシリンダの外径より僅かに小さく設計されているが、前記スリーブの内径増加はスリーブの内径の設計値を相殺してしまう。その結果、ゴム付きFRPスリーブの中空部にシリンダを挿入しながら、シリンダにエアを供給し、エア孔からエアをスリーブの内周面に向けて噴出してスリーブを拡径させ、その後、エアの供給を停止して拡径されたスリーブを元の内径に復元する収縮力を作用させても、前記スリーブの内径増加によりスリーブの内周面とシリンダの外周面との間に十分な摩擦力を付与できなくなる。このため、ゴム付きFRPスリーブにシリンダを装着したロール(例えば圧胴ロール)を印刷機に適用すると、FRPスリーブとシリンダの間にずれが生じる。
発明者は、前記究明結果に基づいてさらに鋭意検討し、未硬化液状エポキシ樹脂、硬化剤、及び分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤を含むエポキシ樹脂組成物を補強繊維と共にスリーブ状に成形し、硬化して補強繊維で強化されたエポキシ樹脂硬化物にすることによって、吸湿性を抑制したFRPスリーブを見出した。このようなFRPスリーブは、メーカ及び/又はユーザの保管時において、吸湿に伴う膨張を抑制でき、内径増加率を0.05%以下に抑制できる。その結果、FRPスリーブの外周面にゴムを巻き付けたゴム付きFRPスリーブの中空部にシリンダを挿入しながら、シリンダにエアを供給し、エア孔からエアをスリーブの内周面に向けて噴出してスリーブを拡径させ、その後、エアの供給を停止して拡径されたスリーブを元の内径に復元する収縮力を生じさせることによって、内径増加率を抑制したスリーブの内周面とシリンダの外周面との間に十分な摩擦力を生じさせることができるため、ゴム付きFRPスリーブとシリンダとを互いに強固に装着できる。このようにゴム付きFRPスリーブにシリンダを装着したロール(例えば圧胴ロール)を印刷機に適用すると、長期間に亘ってFRPスリーブとシリンダとの間のずれを防止でき、所期の印刷物を得ることが可能になる。
なお、シリンダが装着されたゴム付きFRPスリーブのFRPスリーブは、外周面がゴム層により外界から遮断され、内周面がシリンダにより外界から遮断されるため、実質的に吸湿を防止できる。
次に、第1の実施形態に係るFRPスリーブを構成する各成分を詳細に説明する。
補強繊維は、公知のものを使用することができ、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維等の群から選ばれる1つまたは2つ以上を用いることができる。2つ以上の補強繊維を用いる場合、それらの組み合わせおよび比率は、目的に応じて任意に選択できる。吸湿性が高い補強繊維を使用する場合は、スリーブの内径の変化を防ぐために、予め補強繊維を加熱等によって乾燥させることが好ましい。補強繊維は、乾燥工程を省略するために、吸湿性が低いものを使用することが好ましい。吸湿性が低い補強繊維は、例えばガラス繊維、カーボン繊維、アルミナ繊維を挙げることができる。
補強繊維の形態は特に制限されず、例えばフィラメント状、織物状等のものを使用することができる。織物状の補強繊維は、その開口率を調節することによってエポキシ樹脂硬化物の含有率を制御することが可能になる。織物状の補強繊維を用いる場合、その織組織は特に制限されず、例えば平織、朱子織、綾織り等のものを使用することができる。
織物状の補強繊維の厚さは0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.1mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。厚さが0.5mmを超える場合、エポキシ樹脂組成物を補強繊維に含浸させることが困難になる虞がある。厚さが0.05mm未満の場合、所定の厚さのスリーブを成形するために補強繊維を多く積層する必要が生じ、スリーブの成形に時間を要する。
エポキシ樹脂は、分子構造内にグリシジル基を2つ以上有し、常温で液状であり、硬化剤によって硬化することが可能なエポキシ樹脂であれば特に限定されない。エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、および水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂の群から選ばれる1つまたは2つ以上の混合物を用いることができる。混合物を用いる場合、それらの組み合わせおよび比率は、目的に応じて任意に選択できる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えばjER825、jER827、jER828、jER834(いずれも、三菱ケミカル社製)、アデカレジン(登録商標)EP-4100、EP-4300E、EP-4400(いずれも、ADEKA社製)、EPICLON(登録商標)840、850(いずれも、DIC社製)、エポトートYD115、YD127、YD128、(いずれも、日鉄ケミカル&マテリアル社製)等を用いることができる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えばjER806、jER807(三菱ケミカル社製)、アデカレジン(登録商標)EP-4901(ADEKA社製)、EPICLON(登録商標)830、835(DIC社製)、エポトートYDF170(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等を用いることができる。水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えばYX8000(三菱ケミカル社製)、アデカレジン(登録商標)EP-4080E(ADEKA社製)、エポトートST-3000(日鉄ケミカル&マテリアル社製)等を用いることができる。
エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)は、130℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度(Tg)の上限は特に制限はないが、現実的には200℃以下である。スリーブの外周面にゴム層を形成する場合は、ゴムを加硫させるために、スリーブに対して一般に少なくとも130℃の加熱が施される。エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)が130℃未満の場合、上記加熱によりエポキシ樹脂硬化物が劣化し、スリーブの物性が低下する虞がある。エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)は、DSC(Differential Scanning Calorimetry)法により測定することができる。
エポキシ樹脂用反応性希釈剤は、その分子構造内にグリシジル基を1つ有し、エポキシ樹脂よりも粘度の低い化合物を用いることができる。当該化合物は、例えば、フェニルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、2-フェニルフェノールグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルラウリルエーテル等の群から選ばれる1つまたは2つ以上の混合物を用いることができる。混合物を用いる場合、それらの組み合わせおよび比率は、目的に応じて任意に選択できる。分子構造内に芳香族炭化水素環を1つ以上有する反応性希釈剤は、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性を高くできるために好ましい。このような反応性希釈剤の具体例は、デナコールEX-141、EX-142-IM、EX-146(いずれも、ナガセケムテックス社製)、アデカサイザーED-509E、ED-529(いずれも、ADEKA社製)を挙げることができる。
反応性希釈剤は、必要に応じて、分子構造内にグリシジル基を2つ有する化合物を混合しても良い。3つ以上のグリシジル基を有する化合物は、エポキシ樹脂硬化物の吸湿性が高くなるため好ましくない。
エポキシ樹脂用反応性希釈剤の含有量は、未硬化液状エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以上100質量部以下であることが好ましく、20質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。反応性希釈剤の含有量を10質量部以上100質量部以下の範囲とすることにより、エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度(Tg)および機械的物性を損なうことなく温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率を0.05%以下に抑制することができる。
硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤として公知のものを用いることができ、例えば、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、およびフェノール系化合物の群から選ばれる1つまたは2つ以上の化合物を用いることができる。硬化剤は、補強繊維が吸湿した水分と反応しないものを用いることが好ましい。また、分子構造内に芳香族環を有する硬化剤は耐熱性が高いために好ましい。また、硬化剤は未硬化液状エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂用反応性希釈剤のグリシジル基との反応性が低いものを用いることが好ましい。さらに、硬化剤は硬化反応の反応速度が遅いものを用いることが好ましい。このような性質を有する硬化剤としては、芳香族アミン系硬化剤を用いることができる。芳香族アミン系硬化剤は、例えば3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン(イハラキュアミンMT)(クミアイ化学工業社製)、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン(キュアハードMED-J)(クミアイ化学工業社製)、トリメチレン-ビス(4-アミノベンゾアート)(CUA-4)(クミアイ化学工業社製)、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン(ハートキュア10)(クミアイ化学工業社製)、ジメチルチオトルエンジアミン(ハートキュア30)(クミアイ化学工業社製)、ポリテトラメチレンオキシド-ジ-p-アミノベンゾエート(エラスマー1000P、650P、250P)(クミアイ化学工業社製)からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の化合物を挙げることができる。ここで、芳香族アミン系硬化剤とは分子構造内に芳香族環を有し、アミノ基が直接芳香族環と結合した第1級アミンのことを指す。
硬化剤の添加量は、未硬化液状エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂用反応性希釈剤に含まれるエポキシ基1当量に対して、硬化剤の活性基が0.7当量以上1.5当量以下となる量にすることが好ましく、0.9当量以上1.1当量以下となる量にすることがより好ましい。ここで、硬化剤の活性基とは、アミン系化合物およびアミド系化合物におけるアミノ基の水素、酸無水物系化合物が加水分解することによって生じるカルボン酸のヒドロキシ基の水素、およびフェノール系化合物のヒドロキシ基の水素である。
エポキシ樹脂硬化物は、スリーブに導電性を付与するために導電性フィラーをさらに含んでもよい。導電性フィラーは、公知のものを用いることができ、例えば金属フィラー、金属酸化物フィラー、金属被覆系フィラー、およびカーボン系フィラー等を用いることができる。
金属フィラーは、例えばアルミニウム、銀、および銅等を用いることができる。金属酸化物フィラーは、例えば酸化チタン、および酸化亜鉛等を用いることができる。金属被覆系フィラーは、例えばガラスビーズおよび炭素繊維に、銀およびニッケル等の金属を被覆したものを用いることができる。カーボン系フィラーは、例えば導電性カーボンブラック、グラファイト、およびカーボン繊維等を用いることができる。前記導電性フィラーのうち、金属フィラー、および金属被覆系フィラーは高価であり、金属酸化物フィラーは電気抵抗値が比較的高いことから、カーボン系フィラーを用いることが好ましい。
エポキシ樹脂硬化物は、スリーブ全体(例えば、補強繊維とエポキシ樹脂硬化物の混合物)に対して50体積%以上80体積%以下含むことが好ましく、60体積%以上70体積%以下含むことがより好ましい。エポキシ樹脂硬化物が80体積%を超える場合、スリーブに占めるエポキシ樹脂硬化物の量の増大によって吸湿性の増加が無視できなくなり、スリーブの膨張、内径の増加を招く虞がある。50体積%未満の場合、スリーブの円周方向の弾性率が高くなり、前述したスリーブをシリンダに装着する際のエア噴射による拡径が困難になる虞がある。
図1は、第1の実施形態に係る繊維強化プラスチック製スリーブの一例を示す斜視図である。繊維強化プラスチック製スリーブ1は、円筒形状を有する。保管前のスリーブの内径dは、スリーブが装着されるシリンダの外径に対して0.065%以上小さいことが好ましい。これにより、前述したシリンダの装着において、スリーブの内周面2とシリンダの円筒面とが強固に密着して固定できる。
保管前のスリーブの厚さtは、0.5mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.7mm以上1.8mm以下であることがより好ましい。厚さtが2.0mmを超える場合、エア噴射によってスリーブを拡径することが困難になる虞がある。厚さtが0.5mm未満の場合、スリーブの強度が低くなり、スリーブが破損する虞がある。
温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿によるスリーブの内径増加率は0.05%以下である。より好ましいスリーブの内径増加率は、0.04%以下である。スリーブの内径増加率が0.05%を超える場合、スリーブとシリンダとの間の摩擦力が低下して、スリーブとシリンダの間にずれが生じる。
スリーブの円周方向の弾性率は、30GPa以下であることが好ましく、20GPa以下であることがより好ましい。弾性率が30GPaを超える場合、エア噴射によってスリーブを十分に拡径することができず、スリーブのシリンダへの取り付けが困難になる虞がある。また、弾性率は、5GPa以上であることが好ましく、10GPa以上であることがより好ましい。弾性率が5GPa未満の場合、エア噴射を停止した後のスリーブの収縮力が少なくなり、その結果、スリーブとシリンダとの間の摩擦力が低下して、スリーブとシリンダとの強固な装着が困難になる。ここで、円周方向とは、スリーブの軸方向に直交するスリーブの外周面に沿った方向を示す。
スリーブの円周方向の破断強度は100MPa以上が好ましく、150MPa以上がより好ましい。破断強度の上限は特に制限はないが、現実的には600MPa以下である。破断強度がこの範囲内であれば、スリーブはエア圧による応力に耐えることができる。
スリーブの線膨張係数は、スリーブを取り付けるシリンダの線膨張係数に近いことが好ましい。このように線膨張係数を規定することによって、使用時、例えば印刷時の発熱に起因する線膨張の差によって、スリーブとシリンダとの間にずれが生じることを抑制できる。一般にシリンダは鉄を主成分とする鉄鋼から製造され、その線膨張係数は約12×10-6/Kであるから、スリーブの線膨張係数は4×10-6/K以上20×10-6/K以下であることが好ましく、8×10-6/K以上16×10-6/K以下であることがより好ましい。
第1の実施形態に係る繊維強化プラスチック製スリーブは、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、又はラミネート機等の公知のシリンダに装着して使用される圧胴用ロール、版胴用ロール、又は塗装ロール等の基材として使用することができる。
第1の実施形態に係る繊維強化プラスチック製スリーブは、例えば(1)エポキシ樹脂組成物の調製工程、および(2)繊維強化プラスチック製スリーブの成形工程を含む方法により製造することができる。
(1)エポキシ樹脂組成物の調製工程を説明する。
最初に、未硬化液状エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂用反応性希釈剤とを用意する。未硬化液状エポキシ樹脂と反応性希釈剤を混合した後、硬化剤を添加して攪拌し、エポキシ樹脂組成物を調製する。
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂用反応性希釈剤の含有量は、前述したように未硬化液状エポキシ樹脂100質量部に対して10質量部以上100質量部以下であることが好ましく、20質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
硬化剤の添加量は、前述したように未硬化液状エポキシ樹脂およびエポキシ樹脂用反応性希釈剤に含まれるエポキシ基1当量に対して、硬化剤の活性基が0.7当量以上1.5当量以下となる量にすることが好ましく、0.9当量以上1.1当量以下となる量にすることがより好ましい。
エポキシ樹脂組成物中には、前述したようにスリーブに導電性を付与するために導電性フィラーをさらに含んでもよい。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、150mPa・s以上40000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以上30000mPa・s以下であることがより好ましい。粘度が150mPa・s未満の場合、エポキシ樹脂組成物の補強繊維への含浸時の付着量が少なくなる虞がある。一方、粘度が40000mPa・sを超える場合、エポキシ樹脂組成物を補強繊維に含浸させることが難しくなり、スリーブの外観が悪化したり、スリーブに穴が空いたりする等の不良が発生する虞がある。
(2)繊維強化プラスチック製スリーブの成形工程を説明する。
まず、補強繊維を用意する。次いで、(1)で調製したエポキシ樹脂組成物を、補強繊維に含浸させる。エポキシ樹脂組成物を含浸させた補強繊維を、成形用の金型、例えばマンドレルに巻き付けて円筒形状に成形する。成形後、オーブンまたはオートクレーブで補強繊維を加熱し、エポキシ樹脂組成物を硬化させる。金型から補強繊維を含むエポキシ樹脂硬化物を取り外し、繊維強化プラスチック製スリーブを製造する。
補強繊維をスリーブ状に成形する方法は、補強繊維の種類に応じた公知の成形法を用いることができ、例えばフィラメントワインディング(FW)法、およびテープワインディング(TW)法等を用いることができる。また、前記成形法を組み合わせてスリーブを成形しても良い。TW法は、テープ状の織物の補強繊維を使用する成形法であり、織物の開口率を変えることによってエポキシ樹脂組成物の含有率を容易に調節できるため好ましい。
以上に説明した第1の実施形態における繊維強化プラスチック製スリーブは、補強繊維と、エポキシ樹脂硬化物とを含み、エポキシ樹脂硬化物は、未硬化液状エポキシ樹脂と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤と、硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化したもので、温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率が0.05%以下であるため、メーカ及び/又はユーザでの保管後においてもシリンダに強固に装着することが可能である。
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係るゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブは、第1の実施形態に係る繊維強化プラスチック製スリーブと、前記スリーブの外周面を被覆するゴム層とを備える。
図2は、第2の実施形態に係るゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブの一例を示す斜視図である。ゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブ4は、円筒形状を有する。ゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブ4は、繊維強化プラスチック製スリーブ1の外周面3にゴム層5を被覆した構造を有する。
ゴム層は、原料ゴムと、必要に応じて添加剤とを含む。
原料ゴムは、公知のものを使用することができ、用途に応じて選択することができる。原料ゴムとして、例えば、エチレンとプロピレンとジエンとのゴム状共重合体(EPDM)、ニトリルゴム(NBR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロロヒドリンゴム(CO)、フルオロおよびパーフルオロアルキルまたはパーフルオロアルコキシ基を側鎖に有するゴム状共重合体(FKM)、エチレンとプロピレンとのゴム状共重合体(EPM)、アクリルゴム(ACM)、ポリマー鎖にメチル置換基とビニル置換基とを有するシリコーンゴム(VMQ)、ポリエステルウレタン(AU)、ならびにポリエーテルウレタン(EU)等からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上のものを用いることができる。
添加剤は、公知のものを使用することができ、例えば、加硫剤、加硫助剤、老化防止剤、加工助剤、樹脂等の補強材、充填剤、および可塑剤等からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上のものを用いることができる。
第2の実施形態に係るスリーブは、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、ラミネート機等のシリンダに装着して使用される圧胴用ロール、版胴用ロール、塗装ロール等として使用することができる。
第2の実施形態に係るゴム付きスリーブは、例えば以下の方法により製造することができる。
最初に、第1の実施形態に係るスリーブの外周面上に接着剤を塗布する。次いで、接着剤を塗布したスリーブの外周面上にゴム原料を所望の厚さになるように配置する。ゴム原料を成形した後、加硫を行い、ゴム層の外周面を研磨することによってゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを製造する。
以上説明したように第2の実施形態によれば、前述した第1の実施形態に係る繊維強化プラスチック製スリーブの外周面にゴムを被覆した、シリンダ(マンドレル)と良好な装着性を有するゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを提供できる。
<実施例>
以下、実施例を例示して本発明をさらに詳細に説明するが、これらの例に限定されるものではない。
(実施例1)
未硬化液状エポキシ樹脂であるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂jER828(三菱ケミカル社製)と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤であるアデカグリシロールED-509E(ADEKA社製)とを混合した。次いで、硬化剤であるハートキュア10(クミアイ化学工業社製)を添加して攪拌し、エポキシ樹脂組成物を調製した。未硬化液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、および硬化剤の質量比(未硬化液状エポキシ樹脂:反応性希釈剤:硬化剤)は100:30:31であった。エポキシ樹脂組成物の粘度は800mPa・sであった。なお、エポキシ樹脂組成物の粘度はE型粘度計を用いて30℃、せん断速度2s-1における粘度を測定した。
補強繊維として、平織のテープ状ガラスクロスM215F109(目付量:216g/m、幅:10cm)(ユニチカ社製)を準備した。補強繊維にエポキシ樹脂組成物を含浸させた。軸線を中心として円周方向に回転する金型のマンドレル(外径:200mm、面長:2000mm)に含浸した補強繊維を螺旋状に4層巻き付け、スリーブの形状に成形した。離形処理を施した熱収縮性のPETフィルムを成形したスリーブに巻き付けた後、スリーブを200℃のオートクレーブで4時間加熱し、エポキシ樹脂組成物を硬化させた。その後、マンドレルからスリーブを抜き取り、繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。得られたスリーブの厚さは1mmであった。
得られたスリーブの外周面上に接着剤を塗布し、その上にゴム原料であるEPDMゴムコンパウンド(JIS-A硬度:80)を配置して成形した。その後、加硫を行い、表面を研磨して、外径が240mmのゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。
(実施例2)
未硬化液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、および硬化剤の質量比(未硬化液状エポキシ樹脂:反応性希釈剤:硬化剤)を100:10:28とした以外、実施例1と同様な方法によりゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。エポキシ樹脂組成物の粘度は1230mPa・sであった。
(実施例3)
未硬化液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、および硬化剤の質量比(未硬化液状エポキシ樹脂:反応性希釈剤:硬化剤)を100:50:36とした以外、実施例1と同様な方法によりゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。エポキシ樹脂組成物の粘度は620mPa・sであった。
(実施例4)
未硬化液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、および硬化剤の質量比(未硬化液状エポキシ樹脂:反応性希釈剤:硬化剤)を100:100:46とした以外、実施例1と同様な方法によりゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。エポキシ樹脂組成物の粘度は150mPa・sであった。
(実施例5)
未硬化液状エポキシ樹脂であるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂jER828(三菱ケミカル社製)と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤であるアデカグリシロールED-509E(ADEKA社製)とを混合した。この混合物に導電性フィラーであるケッチェンブラックEC600JD(ライオンスペシャリティケミカルズ社製)を添加し、3本ロールミルで分散させた。硬化剤であるハートキュア10(クミアイ化学工業社製)をさらに添加して攪拌し、エポキシ樹脂組成物を調製した。未硬化液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、硬化剤、および導電性フィラーの質量比(未硬化液状エポキシ樹脂:反応性希釈剤:硬化剤:導電性フィラー)は100:30:31:2.5であった。エポキシ樹脂組成物の粘度は21700mPa・sであった。
上記のエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法によりゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。
(比較例1)
未硬化液状エポキシ樹脂であるビスフェノールA型液状エポキシ樹脂jER828(三菱ケミカル社製)に、硬化剤であるハートキュア10(クミアイ化学工業社製)を添加して攪拌し、エポキシ樹脂組成物を調製した。未硬化液状エポキシ樹脂、および硬化剤の質量比(未硬化液状エポキシ樹脂:硬化剤)は100:25であった。
上記のエポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様な方法によりゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。エポキシ樹脂組成物の粘度は2400mPa・sであった。
(比較例2)
エポキシ樹脂用反応性希釈剤として、分子構造内にグリシジル基を2つ有する反応性希釈剤YED-216M(三菱ケミカル社製)を用い、未硬化液状エポキシ樹脂、反応性希釈剤、および硬化剤の質量比(未硬化液状エポキシ樹脂:反応性希釈剤:硬化剤)を100:30:34とした以外、実施例1と同様な方法によりゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブを作製した。エポキシ樹脂組成物の粘度は510mPa・sだった。
<樹脂硬化物の含有率の計算>
実施例1~5、比較例1、2のエポキシ樹脂硬化物、補強繊維、および作製したスリーブの密度を測定し、得られた密度に基づいて、次式によりスリーブのエポキシ樹脂硬化物の含有率を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0007345934000002
<保管前後のスリーブ内径の増加の評価試験>
実施例1~5、比較例1、2で作製した各スリーブについて、保管前後の内径の増加を以下の試験により評価した。
(保管前のスリーブ内径の測定)
スリーブを80℃で24時間乾燥し、その後、スリーブをデシケータに移して室温まで冷却した。次いで、ボアマチックゲージを用いてスリーブの円周方向に位置を変えながら、スリーブの内径を複数回測定した。得られた測定値の平均値を保管前のスリーブ内径とした。その結果を表1に示す。
(保管後のスリーブ内径の測定)
スリーブ内径を測定した保管前のスリーブを、温度40℃、湿度95%の高湿度下で14日間静置して保管した。次いで、ボアマチックゲージを用いてスリーブの円周方向に位置を変えながら、スリーブの内径を複数回測定した。得られた測定値の平均値を保管後のスリーブ内径とした。その結果を表1に示す。
(スリーブの内径の増加率の計算)
測定した保管前後のスリーブ内径に基づいて、次式により保管後の吸湿によるスリーブ内径の増加量、および増加率を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0007345934000003
Figure 0007345934000004
<保管後のスリーブのマンドレルへの装着評価試験>
実施例1~5、比較例1、2の各スリーブについて、保管後のマンドレルへの装着の良否を以下の方法により評価した。
スリーブ内径が199.86mm、ゴム外径が240mm、面長が1300mmである実施例1~5、比較例1、2の各スリーブを、温度40℃、湿度95%の環境に14日間静置して保管した。次いで、複数のエア孔を円筒面に有する外径200mm、面長1300mmのグラビア印刷機の圧胴用マンドレルを用意した。次いで、マンドレルをスリーブの中空部に挿入しながら、マンドレルの端部のエア導入孔からエアをその内部に供給し、エアを円筒面の複数のエア孔からスリーブの内周面に向けて噴射してスリーブを拡径し、マンドレルの全長をスリーブ内に挿入した。その後、エアの供給を停止して拡径したスリーブを元の内径に復元する収縮力を生じさせてスリーブとマンドレルとを装着した。
得られたゴム付きスリーブが装着された圧胴用マンドレル(圧胴ロール)を用いて被印刷体であるOPPフィルムにグラビア印刷を行った。グラビア印刷は、OPPフィルムを圧胴ロールと版胴ロールとの間に配置し、3000Nのニップ荷重をかけながら、走行速度400m/minで8時間行った。ずれの判定は、スリーブとマンドレルとの装着直後の状態を基準にしてグラビア印刷後にスリーブとマンドレルとの間に円周方向または軸方向のずれが生じた場合を「有」、生じなかった場合を「無」と判定した。その結果を表1に示す。
Figure 0007345934000005
表1から明らかなように、補強繊維と、エポキシ樹脂硬化物とを含み、エポキシ樹脂硬化物が未硬化液状エポキシ樹脂と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤と、硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化したもので、温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率が0.05%以下である実施例1~5の繊維強化プラスチック製スリーブは、いずれも保管前後でスリーブの内径の増加が抑制されるため、グラビア印刷に適用した場合、スリーブとマンドレルとの間にずれが生じないことがわかる。
これに対し、エポキシ樹脂用反応性希釈剤を含まないエポキシ樹脂硬化物を備える比較例1、およびグリシジル基を2つ有する反応性希釈剤を含有するエポキシ樹脂硬化物を備える比較例2の繊維強化プラスチック製スリーブは、いずれも保管の前後でスリーブの内径増加率が0.05%を超えているため、スリーブとマンドレルとの間にずれが生じることがわかる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
補強繊維と、エポキシ樹脂硬化物とを含む繊維強化プラスチック製スリーブであって、
前記エポキシ樹脂硬化物は、未硬化液状エポキシ樹脂と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤と、硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化したもので、
温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率が、0.05%以下である繊維強化プラスチック製スリーブ。
[2]
前記エポキシ樹脂用反応性希釈剤が、分子構造内に芳香族炭化水素環を1つ以上有することを特徴とする[1]に記載の繊維強化プラスチック製スリーブ。
[3]
前記エポキシ樹脂組成物が、導電性フィラーをさらに含む[1]に記載の繊維強化プラスチック製スリーブ。
[4]
[1]~[3]のいずれか1つに記載の繊維強化プラスチック製スリーブと、前記スリーブの外周面を被覆するゴム層とを備えるゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブ。
1…繊維強化プラスチック製スリーブ、2…内周面、3…外周面、
4…ゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブ、5…ゴム層。

Claims (4)

  1. 複数のエア孔を外周面に有する円柱状のシリンダに装着される、補強繊維と、エポキシ樹脂硬化物とを含む繊維強化プラスチック製スリーブであって、
    前記エポキシ樹脂硬化物は、未硬化液状エポキシ樹脂と、分子構造内にグリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂用反応性希釈剤と、硬化剤とを含むエポキシ樹脂組成物を硬化したもので、
    温度40℃、湿度95%の環境に14日間保管した際の吸湿による内径増加率が、0.05%以下である繊維強化プラスチック製スリーブ。
  2. 前記エポキシ樹脂用反応性希釈剤が、分子構造内に芳香族炭化水素環を1つ以上有することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック製スリーブ。
  3. 前記エポキシ樹脂組成物が、導電性フィラーをさらに含む請求項1に記載の繊維強化プラスチック製スリーブ。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック製スリーブと、前記スリーブの外周面を被覆するゴム層とを備えるゴム付き繊維強化プラスチック製スリーブ。
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