JP2000309655A - プリプレグ及び繊維強化ゴム材料 - Google Patents

プリプレグ及び繊維強化ゴム材料

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JP2000309655A
JP2000309655A JP2000044044A JP2000044044A JP2000309655A JP 2000309655 A JP2000309655 A JP 2000309655A JP 2000044044 A JP2000044044 A JP 2000044044A JP 2000044044 A JP2000044044 A JP 2000044044A JP 2000309655 A JP2000309655 A JP 2000309655A
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rubber
prepreg
fiber
liquid rubber
reinforced
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Haruhiko Kondo
晴彦 近藤
Takao Manabe
隆雄 眞鍋
Hajime Kishi
肇 岸
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】含浸する液状ゴムに未含浸部や欠損部がない高
品質なプリプレグ、耐屈曲疲労性、寸法安定性、及び耐
候性に優れ、タイヤ、ホースなど各種用途に、耐久性良
く安定して適用しうる繊維強化ゴム材料を提供するこ
と。 【解決手段】70℃における粘度が0.01〜100P
a・sである液状ゴムが強化繊維に含浸されてなるプリ
プレグ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状ゴムを加熱、
加圧により強化繊維に含浸されてなるプリプレグ及び、
プリプレグに含まれる液状ゴムのゴム成分が加熱などに
より架橋されてなる繊維強化ゴム材料に関するものであ
る。
【0002】また、本発明は 前記繊維強化ゴム材料が
使用されてなる、自動車やOA機器などに用いられる動
力伝達ベルトに関するものである。
【0003】
【従来の技術】強化繊維とゴムからなる繊維強化ゴム材
料は、タイヤ、ホース、及び自動車やOA機器などに用
いられる動力伝達ベルトなどに適用されている。かかる
用途では、特に耐屈曲疲労性などに代表される耐久性が
求められる。動力伝達ベルトには、歯付ベルト、Vベル
ト、平ベルト、変速ベルトなど様々な形態がある。
【0004】かかる強化繊維に炭素繊維を使用すると、
寸法安定性、耐熱性、及び耐水性に極めて優れる繊維強
化ゴム材料が得られるが、使用の際、炭素繊維の単繊維
同士の擦過により、耐久性が劣化し、材料が大きく損傷
する場合があった。
【0005】かかる問題を解決する試みとして、特開昭
60−85001号公報に、液状樹脂または液状ゴムを
炭素繊維に含浸させて使用する方法が、特開昭61−1
92943号公報や特開昭61−204231号公報
に、特定の撚りを炭素繊維に付与する方法が、特開昭6
2−149977号公報や特開昭62−149978号
公報等に、固形ゴムからなる基材が、溶剤で希釈されて
なる液状ゴムが炭素繊維に含浸されてなる芯材により補
強され、さらにゴム成分が架橋されてなる繊維強化ゴム
材料がそれぞれ開示されている。
【0006】かかる技術によれば、繊維強化ゴム材料の
耐屈曲疲労性は、依然として不足しており、タイヤ、ベ
ルト、ホース等様々な用途に安定して適用しうる繊維強
化ゴム材料には、依然として満足されるものが見い出さ
れていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、含浸する液
状ゴムに未含浸部や欠損部がない高品質なプリプレグ、
耐屈曲疲労性、寸法安定性、及び耐候性に優れ、タイ
ヤ、ホースなど各種用途に、耐久性良く安定して適用し
うる繊維強化ゴム材料を提供せんとするものである。
【0008】また、本発明は、耐屈曲疲労性、寸法安定
性、耐候性に優れ、自動車やOA機器などに、耐久性良
く安定して適用しうる動力伝達ベルトを提供せんとする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は下記の構成を有する。すなわち、70℃に
おける粘度が0.01〜100Pa・sである液状ゴム
が強化繊維に含浸されてなるプリプレグである。
【0010】また、前記課題を解決するために、本発明
は下記の構成を有する。すなわち、前記プリプレグから
得られる繊維強化ゴム材料であって、前記液状ゴムのゴ
ム成分が架橋されてなる繊維強化ゴム材料である。
【0011】また、前記課題を解決するために、本発明
は下記の構成を有する。すなわち、前記繊維強化ゴム材
料が使用されてなる動力伝達ベルトである。
【0012】さらに、前記課題を解決するために、本発
明は下記の構成を有する。すなわち、固形ゴムが、前記
プリプレグに貼付され、さらにゴム成分が架橋された
後、所定の形状に加工されてなる動力伝達ベルトであ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、液状ゴムとは、未架
橋体が、大気圧(1atm)、常温(25℃)下でそれ
ぞれ液体状であり、かつ架橋後のガラス転移温度が25
℃以下の、主としてゴム成分からなる化合物をいう。
【0014】また、固形ゴムとは、未架橋体が、大気圧
(1atm)、常温(25℃)下でそれぞれ固体状であ
り、かつ架橋後のガラス転移温度が25℃以下の、ゴム
成分からなる化合物をいう。
【0015】本発明では、プリプレグは、液状ゴムが加
熱、加圧により強化繊維に含浸されてなるものである。
【0016】本発明において、強化繊維に含浸させる液
状ゴムの70℃における粘度は、0.01〜100Pa
・sであることが必要であり、好ましくは0.1〜50
Pa・s、より好ましくは1〜25Pa・sであるのが
良い。0.01Pa・s未満であると、強化繊維への含
浸時に垂れ落ちにより、液状ゴム内に欠損部が生じ、単
繊維同士の擦過が抑止できず、得られる繊維強化ゴム材
料に耐屈曲疲労性が低下することがある。100Pa・
sを越えると、含浸時に、液状ゴムの未含浸部が生じ、
単繊維同士の擦過が抑止できず、得られる繊維強化ゴム
材料の耐屈曲疲労性が低下することがある。
【0017】本発明でいう液状ゴムとしては、ゴム成分
として、末端に反応性の官能基(以下、反応性官能基と
略記)を有する液状ポリマー(以下、テレケリックポリ
マーと略記)と架橋剤とを含んでなるゴム組成物が一例
として挙げられる。
【0018】テレケリックポリマーの具体例としては、
水酸基末端ポリブタジエン、カルボキシル基末端ポリブ
タジエン、エポキシ基末端ポリブタジエン、水酸基末端
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、カルボキシル
基末端アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エポキ
シ基末端アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、水酸
基末端ポリエステル、イソシアネート基末端ポリエステ
ル、水酸基末端ポリエーテル、イソシアネート基末端ポ
リエーテル等が挙げられる。
【0019】テレケリックポリマーの数平均分子量は、
500〜5000が良く、好ましくは1000〜400
0、より好ましくは2000〜3000が良い。500
未満であると、低温領域で液状ゴムの柔軟性が損なわ
れ、耐寒性が低下することがあり、5000を越える
と、高温領域で液状ゴムが劣化し易くなり、耐熱性が低
下することがある。
【0020】反応性官能基の具体例としては、水酸基、
カルボキシル基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙
げられる。
【0021】反応性官能基が水酸基であるテレケリック
ポリマーと組み合わせる架橋剤としては、トリレンジイ
ソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イ
ソフォロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物
が挙げられる。
【0022】ここでイソシアネート化合物は、フェノー
ル類、オキシム類、ラクタム類等により分子内のイソシ
アネート基がブロックされた、いわゆるブロックイソシ
アネートを用いるのが好ましい。ブロックイソシアネー
トを用いることにより、ある特定の温度まで加熱される
とブロック部分が乖離し、イソシアネート基が再生する
ようになり、含浸温度領域での液状ゴムの粘度の安定性
と、繊維強化ゴム材料を成形する温度における液状ゴム
の架橋反応性を両立できるようになる。
【0023】反応性官能基がカルボキシル基であるテレ
ケリックポリマーと組み合わせる架橋剤としては、ネオ
ペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパントリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキ
シ化合物や、ジグリシジルエーテルビスフェノールA、
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等の芳香族
エポキシ化合物等が挙げられる。
【0024】反応性官能基がイソシアネート基又はエポ
キシ基であるテレケリックポリマーと組み合わせる架橋
剤としては、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペ
ンタミン、イソフォロンジアミン等の脂肪族アミン化合
物や、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメ
タン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン化
合物等が挙げられる。
【0025】テレケリックポリマーの含有量は、全液状
ゴム100重量%に対して、60〜95重量%、好まし
くは65〜90重量%、より好ましくは70〜85重量
%であるのが良い。60重量%未満であると、プリプレ
グの柔軟性が低下し、得られる繊維強化ゴム材料の耐屈
曲疲労性が損なわれることがあり、95重量%を越える
と、プリプレグの粘着性が過多になり、材料の取り扱い
性が損なわれることがある。
【0026】本発明における液状ゴムは、柔軟な骨格を
有するエポキシ樹脂をゴム成分に相当する成分とし、さ
らに硬化剤を含んでなるゴム組成物でも良い。ここでい
う柔軟な骨格を有するエポキシ樹脂とは、その化学構造
式中に、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環を実質的
に有しないエポキシ樹脂のことをいう。
【0027】柔軟な骨格を有するエポキシ樹脂の具体例
としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ダイマー酸ジグリシジルエステル、アリルグリシジルエ
ーテル、エチルヘキシルグリシジルエーテル、ヒマシ油
のポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテ
ル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げ
られる。
【0028】通常、ビスフェノール型エポキシ樹脂等、
分子内に芳香環を含むエポキシ樹脂に硬化剤を配合し、
加熱して架橋すると、ガラス転移温度が25℃を越える
剛直な架橋体が得られ易いのに対して、上述したような
柔軟な骨格を有するエポキシ樹脂に硬化剤を配合し、加
熱して架橋すると、ガラス転移温度が25℃以下である
柔軟な架橋体が得られ易くなる。
【0029】柔軟な骨格を有するエポキシ樹脂のエポキ
シ当量は、250〜2500、好ましくは300〜20
00、より好ましくは400〜1000であるのが良
い。250未満であると、低温領域での液状ゴムの柔軟
性が低下し、耐寒性が劣ったものとなることがあり、2
500を越えると、高温領域での液状ゴムの劣化が進行
し、耐熱性が低下することがある。
【0030】柔軟な骨格を有するエポキシ樹脂と組み合
わせる硬化剤の具体例としては、脂肪族アミン、芳香族
アミン、ジシアンジアミド、ポリアミド、酸無水物、フ
ェノール、イミダゾール、酸ヒドラジド等が挙げられ
る。中でも、脂肪族アミンやポリアミドは、耐寒性、柔
軟性に優れた架橋体が得られ易いことから、好ましく用
いられる。
【0031】柔軟な骨格を有するエポキシ樹脂の含有量
は、全液状ゴム100重量%に対して、60〜95重量
%、好ましくは65〜90重量%、より好ましくは70
〜85重量%であるのが良い。60重量%未満である
と、プリプレグの柔軟性が低下し、得られる繊維強化ゴ
ム材料の耐屈曲疲労性が低下することがあり、95重量
%を越えると、プリプレグの粘着性が過多になり、材料
の取り扱い性が低下することがある。
【0032】本発明では、必要に応じて、熱可塑性樹
脂、熱可塑性エラストマー、及び無機粒子から選ばれる
少なくとも1種を改質剤として液状ゴムに配合しても良
い。これらは、架橋前の液状ゴムのレオロジー制御、架
橋後の液状ゴムの耐亀裂進展性の向上、耐摩耗性の向上
等の改質効果を有する。
【0033】熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリアミ
ド、ポリアミドイミド、ポリアリーレンオキシド、ポリ
アリレート、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレン
グリコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテ
ルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテル
スルホン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ酢
酸ビニル、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルア
セタール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポ
リフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポ
リプロピレン、ポリベンズイミダゾール、ポリメタクリ
ル酸メチルなどが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、
単独、又は複数混合して配合することができる。中で
も、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルブチラールは、架橋後の液状ゴムの耐亀裂進
展性を向上させるのに効果が高く、得られる繊維強化ゴ
ム材料の耐久性がより改善されるようになる。
【0034】熱可塑性エラストマーの具体例としては、
ハードセグメントがポリスチレン、ソフトセグメントが
ブタジエン又はイソプレンであるスチレン系熱可塑性エ
ラストマー、ハードセグメントがポリプロピレン又はポ
リエチレン、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン
共重合体であるオレフィン系熱可塑性エラストマー、ハ
ードセグメントがシンジオタクチック1,2−ポリブタ
ジエン、ソフトセグメントがアタクチック1,2−ポリ
ブタジエンであるブタジエン系熱可塑性エラストマー、
ハードセグメントが短鎖グリコールとイソシアネートの
反応で得られるポリウレタン、ソフトセグメントが長鎖
グリコールとイソシアネートの反応で得られるポリウレ
タンであるウレタン系熱可塑性エラストマー、ハードセ
グメントが芳香族ポリエステル、ソフトセグメントが脂
肪族ポリエステル又はポリエーテルであるエステル系熱
可塑性エラストマー、ハードセグメントがポリアミド、
ソフトセグメントがポリエステル又はポリエーテルであ
るアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これ
ら熱可塑性エラストマーは、単独、又は複数混合して配
合することができる。中でも、スチレン系熱可塑性エラ
ストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーは、架橋後
の液状ゴムの耐亀裂進展性を向上させるのに効果が高
く、得られる繊維強化ゴム材料の耐久性がより改善され
るようになる。
【0035】本発明において、熱可塑性樹脂及び/又は
熱可塑性エラストマーを配合して用いる場合、熱可塑性
樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーは、ポリエチレン
グリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラ
ール、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱
可塑性エラストマーよりなる群から選ばれる少なくとも
1種であるのが好ましく、液状ゴム100重量%に対し
て、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%配合す
るのが良い。1重量%未満であると、架橋前の液状ゴム
のレオロジー制御、架橋後の液状ゴムの耐亀裂進展性の
向上、耐摩耗性の向上等の改質効果が充分に発現しない
ことがあり、20重量%を越えると、液状ゴムが増粘
し、プリプレグに液状ゴムの未含浸部が生じることがあ
る。かかる場合は、ボイド内部で強化繊維の単繊維同士
の擦過により、繊維強化ゴム材料の耐屈曲疲労性が低下
することがある。
【0036】無機粒子の具体例としては、アルミナ、カ
ーボンブラック、カオリン、ケイ酸アルミニウム、ケイ
酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化チタン、三酸
化アンチモン、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、ベントナイト、マイカ、モンモ
リロナイト等が挙げられる。これら無機粒子は、単独、
又は複数混合して配合することができる。中でも、カー
ボンブラックは、架橋後の液状ゴムの耐摩耗性を向上さ
せる効果が高く、得られる繊維強化ゴム材料の耐久性が
より改善されるようになる。
【0037】無機粒子は、液状ゴム100重量%に対し
て、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%配合す
るのが良い。1重量%未満であると、架橋前の液状ゴム
のレオロジー制御、架橋後の液状ゴムの耐摩耗性の向上
等の改質効果が充分に発現しないことがある。20重量
%を越えると、液状ゴムを強化繊維に含浸した際に、単
繊維の表面が無機粒子により損傷を受け、耐屈曲疲労性
が不足することがある。
【0038】本発明において、強化繊維には、アラミド
繊維、ガラス繊維、炭素繊維、ナイロン繊維、ポリエス
テル繊維等が使用できる。中でも、炭素繊維は、高強
度、高弾性率であり、かつ耐熱性や耐水性に優れるため
好ましく用いられる。
【0039】炭素繊維は、その破断伸度が1.6%以
上、好ましくは1.8%以上、より好ましくは、2.0
%以上のものが良い。1.6%未満であると、繊維強化
ゴム材料の耐屈曲疲労性が損なわれることがある。尚、
炭素繊維の破断伸度は、2.3%あれば、本発明の効果
を奏するに当たって充分であることが多い。
【0040】強化繊維の形態としては、長繊維、織物、
組み紐、トウ、ニット、マット等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0041】強化繊維の含有量は、全プリプレグ100
重量%に対して、40〜80重量%、好ましくは50〜
70重量%であるのが良い。40重量%未満であると、
繊維強化ゴム材料の寸法安定性が不足することがあり、
80重量%を越えると、単繊維同士の擦過により、繊維
強化ゴム材料の耐屈曲疲労性が不足することがある。
【0042】本発明において、プリプレグは、液状ゴム
を離型紙上に均一に塗布してフィルムを作製し、このフ
ィルムで強化繊維をその両面から挟み込み、加熱・加圧
し、強化繊維に含浸せしめる方法、あるいは、液状ゴム
を溝付きローラーの溝部に流し込み、搬送される強化繊
維をその溝部に接触させて、液状ゴムを強化繊維に含浸
せしめる方法等によって作製することができる。
【0043】この際、液状ゴムの温度は、40〜140
℃、好ましくは50〜130℃、より好ましくは60〜
120℃とするのが良い。40℃未満であると、液状ゴ
ムの未含浸部が生じることがあり、140℃を越える
と、液状ゴムの欠損部が生じることがある。
【0044】本発明においては、液状ゴムを強化繊維に
含浸せしめる際、液状ゴムが、アセトン、エタノール、
トルエン、水、メチルエチルケトン等の溶媒を実質的に
含まないことが好ましい。これら溶媒が、液状ゴムに含
まれると、プリプレグ中の液状ゴムを加熱等により架橋
せしめる際、繊維強化ゴム材料中にボイドが生じること
がある。かかる場合は、強化繊維の単繊維同士の擦過が
生じ、繊維強化ゴム材料の耐屈曲疲労性が損なわれ易く
なる。
【0045】なお、ここで「溶媒を実質的に含まない」
とは、液状ゴムに含まれる溶媒の含有量が全液状ゴム1
00重量%に対して、1重量%以下、好ましくは0.8
重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに
好ましくは0.2重量%以下であることをいう。
【0046】ここで、溶媒の含有量は、次に示す方法で
測定できる。即ち、直径が50mmのアルミ製カップ
に、液状ゴムを流し込み、その深さが約1mmになるよ
うにする。次に、雰囲気温度が140℃に調整されたオ
ーブン内に、30分間保管後、取り出す。保管前の重量
0と保管後の重量W1から、次式に従い算出する。
【0047】 溶媒含有量(重量%)=(W0−W1)/W0×100 本発明の繊維強化ゴム材料は、固形ゴムからなる基材
が、本発明によるプリプレグからなる芯材により、補強
されることにより得られる。ここで基材とは、繊維強化
ゴム材料の外層にあって、外部との摩耗から芯材を保護
するものであり、芯材とは、繊維強化ゴム材料の内層に
あって、材料の寸法を保持するものである。 また、本
発明の繊維強化ゴム材料は、本発明によるプリプレグの
片面又は両面に、シート状の固形ゴム(以下、固形ゴム
シートと略記)を貼付し、加熱、加圧してゴムを架橋せ
しめることによっても得られる。ここで、固形ゴムシー
トは、外部との摩耗からプリプレグを保護するものであ
り、プリプレグ中の強化繊維は、材料の寸法安定性を保
持するものである。
【0048】ここに固形ゴムの具体例としては、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル
−ブタジエンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、ウ
レタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレン
ゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、多
硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム等が
挙げられる。中でも、水素添加により、分子内の不飽和
結合の一部を飽和させた水素化アクリロニトリル−ブタ
ジエンゴムは、耐熱性に優れ、好ましく用いられる。
【0049】水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム
を含んでなる基材が、本発明によるプリプレグからなる
芯材により補強されてなる繊維強化ゴム材料は、高温状
態においても、極めて優れた耐久性を示す。このため、
モーターやエンジン付近等に高温環境下においても、長
期間の使用に耐えるようになる。
【0050】本発明では、固形ゴムの架橋開始剤とし
て、過酸化物を用いるのが好ましい。固形ゴムが、過酸
化物の存在下、架橋されてなる繊維強化ゴム材料は、高
温状態においても、極めて優れた耐久性を示すようにな
る。
【0051】過酸化物の具体例としては、アセチルアセ
トンパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、クメ
ンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒド
ロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、シクロヘ
キサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、
メチルアセテートパーオキサイド、メチルエチルケトン
パーオキサイド等が挙げられる。
【0052】本発明による繊維強化ゴム材料は、固形ゴ
ムからなる基材と、液状ゴムを含浸してなるプリプレグ
からなる芯材が、レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹
脂とゴムラテックスの混合物からなる接着剤(以下RF
L接着剤と略記)を介して接着されることが好ましい。
【0053】RFL接着剤を使用することにより、基材
と芯材との接着性が強固になり、得られる繊維強化ゴム
材料が、より耐屈曲疲労性に優れたものとなる。
【0054】RFL接着剤は、水酸化ナトリウム等でア
ルカリ性とした水溶液に、レゾルシノールとホルマリン
を加え、室温25℃で数時間放置してレゾルシノールと
ホルムアルデヒドの初期縮合物を得た後、さらにゴムラ
テックスを配合する方法等により作製することができ
る。
【0055】ゴムラテックスの具体例としては、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレン
ゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテック
ス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテッ
クス等が挙げられる。これらの中でも、とりわけ、ビニ
ルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスは、
基材と芯材との接着性強化に有効であり、好ましく用い
られる。
【0056】RFL接着剤は、いわゆる水系接着剤であ
るため、基材と芯材を接着する前に、加熱して含有水分
を除去しておくのが好ましい。
【0057】ここで、水分除去後のRFL接着剤の付着
量は、プリプレグに対して1〜30重量%、好ましくは
2〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%である
のが良い。1重量%未満であると、基材と芯材との接着
性が損なわれることがあり、30重量%を越えると、繊
維強化ゴム材料の柔軟性が損なわれることがある。
【0058】本発明による繊維強化ゴム材料が使用され
てなる動力伝達ベルトは、例えば、次のような方法で作
製することができる。即ち、金属製ドラムに、前記した
ような製法で得られたプリプレグを捲回し、加熱、加圧
により架橋せしめた後、円筒状の成形体を金属製ドラム
から脱型し、輪切りして所定の幅にする方法、あるい
は、前記したような固形ゴムシートを金属製ドラムに捲
回し、その上に前記したような製法で得られたプリプレ
グを捲回し、さらにその上に再び固形ゴムシートを捲回
し、加熱、加圧により架橋せしめた後、円筒状の成形体
を金属製ドラムから脱型し、輪切りして所定の幅にする
方法である。なお、前者の方法よりも、後者の方法によ
る方が、強化繊維が外部から保護される動力伝達ベルト
が得られるため、好ましい。
【0059】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。各実施例、比較例の内容は、表に纏めて示し
た。
【0060】実施例1〜14及び比較例1〜14では以
下の原材料を使用した。 1.液状ゴム (1)テレケリックポリマー ・水酸基末端ポリブタジエン:R-45HT(出光石油化学
(株)製) 数平均分子量2800 ・水酸基末端ポリブタジエン:R-15HT(出光石油化学
(株)製) 数平均分子量1200 ・カルボキシル基末端アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体:CTBN1300*31(宇部興産(株)製) 数平均分
子量3500 ・カルボキシル基末端アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体:CTBN1300*8(宇部興産(株)製) 数平均分子
量3500 (2)架橋剤 ・ブロックイソシアネート(ブロック化ジフェニルメタ
ンジイソシアネート):コロネート2512(日本ポリ
ウレタン工業(株)製) ・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン:スミエ
ポキシELM434(住友化学工業(株)製) (3)エポキシ樹脂 ・ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル:デ
ナコールEX−931(ナガセ化成工業(株)製) エ
ポキシ当量530 ・ダイマー酸とジクリシジルエーテルビスフェノールA
の付加物:エピコート872(油化シェルエポキシ
(株)製) エポキシ当量650 ・ヒマシ油のポリグリシジルエーテル:ヘロキシ505
(油化シェルエポキシ(株)製) エポキシ当量600 (4)硬化剤 ・ジシアンジアミド:DICY−7(油化シェルエポキ
シ(株)製) ・ポリオキシプロピレンアミン:D−2000(ジェフ
ァーソンケミカル(株)製) (5)硬化促進剤 ・3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチ
ルウレア:DCMU−99(保土谷化学工業(株)製) (6)熱可塑性樹脂 ・ポリビニルブチラール:エスレックBM−S(積水化
学工業(株)製) (7)熱可塑性エラストマー ・スチレン系熱可塑性エラストマー:クレイトンFG1
901X(シェル化学(株)製) 2.炭素繊維 ・”トレカ”T700S-12K-50C(登録商標、東レ(株)
製) 引張強度 4900MPa 破断伸度 2.1%
単繊維数 12000 (実施例1〜7、比較例1〜7)下に示す(1)、
(2)の手順で各材料を調合して液状ゴムとし、強化繊
維に含浸してプリプレグとした後、繊維強化ゴム材料を
作製した。さらに繊維強化ゴム材料の耐屈曲疲労試験を
下に示す(3)の手順で実施した。 (1)液状ゴムの調整 原料を、表1〜4に示す組成比でニーダーで混練し、液
状ゴムを調整した。
【0061】ここで液状ゴムの粘度の測定は、次に示す
方法によった。即ち、直径が40mm、アルミニウム材
からなる円形板2枚をその間隔が1mmで平行になるよ
うに設置し、2枚の円形板の隙間を液状ゴムで充満させ
た。
【0062】次に、測定環境を70℃に温調し、液状ゴ
ムを円形板とともに10分間放置した後、周波数0.5
Hzで円形板を往復回転運動させた。この際円形板にか
かるトルク値を検出し、予め作製しておいた粘度−トル
ク値変換曲線を用いて、トルク値70℃における液状ゴ
ムの粘度に置換した。
【0063】ここでは、測定装置としてRheometric Sci
entific社製、粘弾性測定システム拡張型”ARES”
を使用した。 (2)繊維強化ゴム材料の作製 液状ゴムを、コーターで離型紙上に厚みが均一になるよ
う塗布して目付52g/m2のフィルムを得た。
【0064】次に、同一方向に引き揃えた炭素繊維(目
付190g/m2)をこのフィルムで両面から挟み込
み、加熱、加圧して液状ゴムを含浸せしめプリプレグを
得た。
【0065】このプリプレグを繊維方向が同一方向にな
るように32層積層した後、プレス機を用いて温度14
0℃、圧力0.294MPaの条件下で30分間、含有
されるゴムを架橋せしめ、繊維強化ゴム材料とした。 (3)耐屈曲疲労試験 (2)で得た繊維強化ゴム材料から厚さ6.35mm、
幅6.35mm、長さ76.2mmの試験片を切り出し
た。このとき、試験片の長軸方向と繊維方向が一致する
ようにした。
【0066】試験片を、室温25℃で、繊維方向に垂直
に振幅3mm、周波数5Hzで10万回屈曲させた後、
繊維方向の引張強度を測定した。屈曲疲労後の引張強度
(T1a)と屈曲疲労前の引張強度(T1b)の比を引
張強度保持率(=T1a/T1b)とし、繊維強化ゴム
材料の耐屈曲疲労性の指標とした。
【0067】得られた結果を表5と表6にまとめた。こ
れより、実施例に示す繊維強化ゴム材料は、比較例に示
すものよりも、耐屈曲疲労性が大幅に向上しており、タ
イヤのベルト部材や動力伝達ベルトの強化材として優れ
た耐久性を有していた。 (実施例8〜14、比較例8〜14)下に示す(1)、
(2)の手順でプリプレグを作製した後、(3)、
(4)の手順で補強コード、動力伝達ベルトを作製し
た。さらに動力伝達ベルトの耐久性評価を下に示す
(5)の手順で実施した。 (1)液状ゴムの調整 原料を、表7と表8に示す組成比でニーダーで混練し、
液状ゴムを調整した。 (2)プリプレグ作製 炭素繊維ストランドを5m/minで走行させ、溝付き
ローラーで、70℃に加熱した液状ゴムを溝に流し込
み、炭素繊維ストランドをこの溝部に接触させて、液状
ゴムを含浸せしめ、いわゆるヤーンプリプレグを得た。
このヤーンプリプレグにおいて、液状ゴムの含有量は3
5重量%であった。 (3)補強コード ヤーンプリプレグに表11に示す回数の撚りをかけ、表
9に示す組成のRFL接着剤を貯留したバス内を通過さ
せて接着剤を表面に付与した後、150℃のオーブン内
を2分間滞留させ、水分を除去して補強コードとした。
ここでヤーンプリプレグに対するRFLの付着量は5重
量%(水分除去状態)であった。
【0068】炭素繊維ストランドに液状ゴムを含浸せず
に表12に示す回数の撚りをかけ、同じ手順で補強コー
ドとした。ここで炭素繊維ストランドに対するRFLの
付着量は5重量%(水分除去状態)であった。 (4)動力伝達ベルトの作製 歯形の溝を有する金属製ドラム(歯間隔8mm、歯数1
40)に、表10に示す組成の固形ゴムシート(厚さ3
mm)を捲回し、この上から補強コードを等間隔で捲回
し、さらにこの上から同一の固形ゴムシート(厚さ3m
m)を捲回した。
【0069】次に、プレス機を用いて温度140℃、圧
力0.294MPaの条件下で30分間、固形ゴムシー
トを架橋せしめた。
【0070】こうして得た円筒状の成形体を金属製ドラ
ムから脱型し、輪切りして幅25mmとし、歯付き動力
伝達ベルトを得た。ここで、動力伝達ベルト1本内に
は、2本の補強コードが含まれていた。 (5)耐久性評価 駆動歯車(歯数20)と従動歯車(歯数40)からなる
2軸走行試験機に歯付き動力伝達ベルトを取り付け、駆
動歯車を4000回転/分で稼働し、温度65℃、相対
湿度85%に調節した環境内で、ベルトを500時間連
続して走行させた。
【0071】この後、ベルトから長さ250mm、幅2
5mmの試験片を切り出し、室温25℃で試験片を長軸
方向(繊維方向)に30mm/分の速度で、引張強度を
測定した。
【0072】走行後の引張強度(T2a)と走行前の引
張強度(T2b)の比を、引張強度保持率(=T2a/
T2b)とし、動力伝達ベルトの耐久性の指標とした。
【0073】表11と表12に示す結果より、実施例に
示す動力伝達ベルトは、比較例に示すものよりも、耐久
性に優れ、自動車のエンジン用駆動ベルトなどとして充
分実用に耐えるものとなる。
【0074】また、実施例15〜29及び比較例15〜
29では以下の原材料を使用した。3.液状ゴム (1)テレケリックポリマー ・カルボキシル基含有アクリロニトリル−ブタジエン共
重合体:NIPOL DN−601(日本ゼオン(株)
製) 数平均分子量2000 ・カルボキシル基含有ポリブタジエン:NISSO-PB C−
1000(日本曹達(株)製) 数平均分子量1350 (2)架橋剤 ・ジグリシジルエーテルビスフェノールA:Ep100
1(油化シェルエポキシ(株)製) ・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン:ELM
434(住友化学(株)製) (3)エポキシ樹脂 ・ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル:EX
−861(ナガセ化成工業(株)製) エポキシ当量5
51 (4)硬化剤 ・ジアミノジエチルジフェニルメタン:”カヤハード”
A−A(登録商標、日本化薬(株)製)、活性水素当量
63 (5)熱可塑性樹脂 ・ポリエチレングリコール:PEG#4000(日本油
脂(株)製) 4.固形ゴム ・水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム:”ゼット
ポール”2020(登録商標、日本ゼオン(株)製)結
合アクリロニトリル量36重量%、ヨウ素価28 ・ブタジエンゴム:”ニッポール”BR−1220(登
録商標、日本ゼオン(株)製) 5.ゴムラテックス ・ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテック
ス:”ニッポール”2518FS(登録商標、日本ゼオン
(株)製)、固形分濃度40.5% ・スチレン−ブタジエンゴムラテックス:”ニッポー
ル”LX110(登録商標、日本ゼオン(株)製)、固形分
濃度40.5% 6.炭素繊維 ・”トレカ”T300-12K-50B(登録商標、東レ(株)
製):破断伸度1.5%、引張強度3530MPa ・”トレカ”T700S-12K-50C(登録商標、東レ(株)
製):破断伸度2.1%、引張強度4900MPa ・”トレカ”T800H-12K-40B(登録商標、東レ(株)
製):破断伸度1.9%、引張強度5490MPa ここで、破断伸度、引張強度は、JIS R7601に
準拠して測定した値である。 (実施例15〜21、比較例15〜21)下に示す
(1)、(2)の手順で各材料を調合して液状ゴムと
し、強化繊維に含浸してプリプレグとした後、繊維強化
ゴム材料を作製した。さらに繊維強化ゴム材料の耐屈曲
疲労試験を下に示す(3)の手順で実施した。 (1)液状ゴムの調整 原料を、表13、14に示す組成比でニーダーで混練
し、液状ゴムを調整した。
【0075】ここで、液状ゴムの粘度の測定は、次に示
す方法によった。即ち、直径が40mmのアルミニウム
製の円形板2枚を、その間隔が1mmで平行になるよう
に設置し、2枚の円形板の隙間を液状ゴムで充満させ
た。次に、測定環境を70℃に温調し、液状ゴムを円形
板とともに10分間放置した後、周波数0.5Hzで、
円形板を往復回転運動させた。この際円形板にかかるト
ルク値を検出し、これを70℃における液状ゴムの粘度
に換算した。
【0076】ここでは、測定装置として、Rheometric S
cientific社製、粘弾性測定システム拡張型”ARE
S”を使用した。 (2)繊維強化ゴム材料の作製 (1)で得た液状ゴムを、コーターで離型紙上に厚みが
均一になるよう塗布して、フィルム(目付52g/m2)
を得た。次に、同一方向に引き揃えた炭素繊維(目付1
90g/m2)をこのフィルムで両面から挟み込み、加
熱、加圧して液状ゴムを含浸せしめ、プリプレグを得
た。
【0077】このプリプレグを繊維方向が同一方向にな
るように32層積層した後、プレス機を用いて、温度1
40℃、圧力0.294MPaの条件下で30分間、含
有されるゴムを架橋せしめ、繊維強化ゴム材料とした。 (3)耐屈曲疲労試験 (2)で得た繊維強化ゴム材料から厚さ6.35mm、
幅6.35mm、長さ76.2mmの試験片を切り出し
た。このとき、試験片の長軸方向と繊維方向が一致する
ようにした。
【0078】試験片を、室温25℃で、繊維方向に垂直
に振幅3mm、周波数5Hzで10万回屈曲させた後、
繊維方向の引張強度を測定した。屈曲疲労後の引張強度
(T1a)と屈曲疲労前の引張強度(T1b)の比を引
張強度保持率(=T1a/T1b)とし、繊維強化ゴム
材料の耐屈曲疲労性の指標とした。 (実施例22〜29、比較例22〜29)下に示す
(1)、(2)の手順でプリプレグを作製した後、
(3)、(4)の手順で芯材、動力伝達ベルトを作製し
た。さらに動力伝達ベルトの耐屈曲疲労性評価を下に示
す(5)の手順で実施した。 (1)液状ゴムの調整 原料を、表13、14に示す組成比でニーダーで混練
し、液状ゴムを調整した。 (2)プリプレグの作製 炭素繊維ストランドを5m/minで走行させ、溝付き
ローラーで、70℃に加熱した液状ゴムを溝に流し込
み、炭素繊維ストランドをこの溝部に接触させて、液状
ゴムを含浸せしめ、いわゆるヤーンプリプレグを得た。
このヤーンプリプレグにおいて、液状ゴムの含有量は3
5重量%であった。 (3)芯材の作製 (2)で得たヤーンプリプレグに、20回/mの撚りを
かけた後、表5に示す組成のRFL接着剤を貯留したバ
ス内を通過させて、接着剤を表面に付与した後、150
℃の加熱乾燥炉を2分間滞留させ、水分を除去して芯材
とした。ここで、ヤーンプリプレグに対するRFLの付
着量は、5重量%(水分除去状態)であった。 (4)動力伝達ベルトの作製 歯形の溝を有する金属製ドラム(歯間隔8mm、歯数1
40)に、表19に示す組成の固形ゴムからなる基材
(厚さ3mmのシート)を捲回し、この上から(3)で
得た芯材を等間隔で捲回し、さらにこの上から同一の基
材(厚さ3mmのシート)を捲回した。
【0079】プレス機を用いて温度140℃、圧力0.
294MPaの条件下で30分間、芯材及び基材に含ま
れるゴムを架橋せしめた。
【0080】こうして得た円筒状の成形体を金属製ドラ
ムから脱型し、幅25mmにて裁断し、歯付き動力伝達
ベルトを得た。ここで、動力伝達ベルト1本内には、2
本の芯材が含まれていた。 (5)耐屈曲疲労性評価 駆動歯車(歯数20)と従動歯車(歯数40)からなる
2軸走行試験機に、(4)で得た歯付き動力伝達ベルト
を取り付け、駆動歯車を4000回転/分で稼働し、温
度65℃、相対湿度85%に調節した環境内で、ベルト
を500時間連続して走行させた。
【0081】ベルトから長さ250mm、幅25mmの
試験片を切り出し、室温25℃で試験片を長軸方向(芯
材の配向方向)に30mm/分の速度で、引張強度を測
定した。
【0082】走行後の引張強度(T2a)と走行前の引
張強度(T2b)の比を、引張強度保持率(=T2a/
T2b)とし、動力伝達ベルトの耐屈曲疲労性の指標と
した。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
【表7】
【0090】
【表8】
【0091】
【表9】
【0092】
【表10】
【0093】
【表11】
【0094】
【表12】
【0095】
【表13】
【0096】
【表14】
【0097】
【表15】
【0098】
【表16】
【0099】
【表17】
【0100】
【表18】
【0101】
【表19】
【0102】
【表20】
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、ゴム成分の未含浸部、
欠損部がない高品質なプリプレグ、及び、耐屈曲疲労
性、寸法安定性、耐候性に優れ、タイヤ、ホース、ベル
ト等各種用途に適用しうる繊維強化ゴム材料が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16G 1/06 F16G 1/06 5/04 5/04

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】70℃における粘度が0.01〜100P
    a・sである液状ゴムが強化繊維に含浸されてなるプリ
    プレグ。
  2. 【請求項2】前記液状ゴムが、テレケリックポリマーか
    ら主としてなるものであり、かつ該テレケリックポリマ
    ーの数平均分子量が500〜5000である請求項1記
    載のプリプレグ。
  3. 【請求項3】前記液状ゴムが、柔軟な骨格を有するエポ
    キシ樹脂から主としてなるものであり、かつ該エポキシ
    樹脂のエポキシ当量が250〜2500である請求項1
    又は2記載のプリプレグ。
  4. 【請求項4】前記液状ゴムが、熱可塑性樹脂及び/又は
    熱可塑性エラストマーを含んでなる請求項1〜3のいず
    れかに記載のプリプレグ。
  5. 【請求項5】前記熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラ
    ストマーが、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロ
    リドン、ポリビニルブチラール、スチレン系熱可塑性エ
    ラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーよりなる
    群から選ばれる少なくとも1種である請求項4記載のプ
    リプレグ。
  6. 【請求項6】前記強化繊維が炭素繊維である請求項1〜
    5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. 【請求項7】前記炭素繊維の破断伸度が1.6%以上で
    ある請求項6記載のプリプレグ。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレ
    グから得られる繊維強化ゴム材料であって、前記液状ゴ
    ムのゴム成分が架橋されてなる繊維強化ゴム材料。
  9. 【請求項9】固形ゴムからなる基材が、請求項1〜7の
    いずれかに記載のプリプレグからなる芯材により補強さ
    れ、さらにゴム成分が架橋されてなる繊維強化ゴム材
    料。
  10. 【請求項10】前記固形ゴムが、主として、水素化アク
    リロニトリル−ブタジエンゴムからなるものである請求
    項9記載の繊維強化ゴム材料。
  11. 【請求項11】前記固形ゴムが、過酸化物の存在下、架
    橋されてなるものである請求項9又は10記載の繊維強
    化ゴム材料。
  12. 【請求項12】前記基材と前記芯材とが、RFL接着剤
    により接着されてなる請求項9〜11のいずれかに記載
    の繊維強化ゴム材料。
  13. 【請求項13】請求項8〜12のいずれかに記載の繊維
    強化ゴム材料が使用されてなる動力伝達ベルト。
  14. 【請求項14】固形ゴムが、請求項1〜7のいずれかに
    記載のプリプレグに貼付され、さらにゴム成分が架橋さ
    れた後、所定の形状に加工されてなる動力伝達ベルト。
  15. 【請求項15】固形ゴムが、RFL接着剤により前記プ
    リプレグに貼付されてなるものである請求項14記載の
    動力伝達ベルト。
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