JP2003247127A - ゴム補強用炭素繊維束、ゴム補強用コードおよび繊維強化ゴム材料 - Google Patents

ゴム補強用炭素繊維束、ゴム補強用コードおよび繊維強化ゴム材料

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JP2003247127A
JP2003247127A JP2002046203A JP2002046203A JP2003247127A JP 2003247127 A JP2003247127 A JP 2003247127A JP 2002046203 A JP2002046203 A JP 2002046203A JP 2002046203 A JP2002046203 A JP 2002046203A JP 2003247127 A JP2003247127 A JP 2003247127A
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carbon fiber
fiber bundle
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carbon
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Hajime Kishi
肇 岸
Takao Manabe
隆雄 眞鍋
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、炭素繊維とゴム配合物との接着性に
優れる上に、屈曲変形に対する耐疲労性にも優れたゴム
補強用炭素繊維束、ゴム補強用コードおよび繊維強化ゴ
ム材料を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のゴム補強用炭素繊維束は、X線光
電子分光法により測定される炭素繊維表面の珪素/炭素
比(Si/C)が0.02以下であり、結節強度500
MPa以上であることを特徴とするものである。また、
本発明のゴム補強用コードは、前記ゴム補強用炭素繊維
束100重量部に対し、樹脂組成物を15〜70重量部
含有させてなることを特徴とするものである。さらに、
本発明の繊維強化ゴム材料は、前記ゴム補強用コードに
よりゴムを含んでなる基材が補強されてなることを特徴
とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維とゴム配
合物との接着性と耐疲労性に優れたゴム補強用炭素繊維
束、ゴム補強用コードおよび繊維強化ゴム材料に関する
ものである。さらに詳しくは、タイヤ、ベルト、ホース
等の各種ゴム材料の補強材として好適に使用することが
できるゴム補強用炭素繊維束に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タイヤ、ベルト、ホース等の工業用ゴム
製品は、通常、繊維材料にて補強された複合体であっ
て、繊維とゴムとの間に強固な接着が要求される。従
来、繊維とゴムとの接着方法としては、レゾルシン・ホ
ルマリン・ゴムラテックス混合液(以下、RFL液とい
う)にて予め繊維を処理した後、これを未加硫ゴムと密
着加硫させる方法が良く知られている。
【0003】繊維材料としては、引張強度、引張弾性
率、耐熱性、耐水性、耐疲労性等の特性が要求され、中
でも、外力による変形に耐性を持たせるため、耐疲労
性、繊維/ゴム接着性が重視される。
【0004】炭素繊維は、引張弾性率、引張強度、耐熱
性、耐水性が良好であり、これを用いた繊維強化ゴム材
料は、寸法安定性、耐候性に優れている。しかし、単繊
維同士の擦過による炭素繊維コードの破断が生じやす
く、また炭素繊維コードとゴムとの界面において剥離が
生じやすいため耐疲労性に劣るという課題があった。特
に、湿潤高温環境において長期使用する用途、例えば自
動車エンジンルーム内で使用される動力伝達ベルト等に
おいては、応力負荷状態での耐水性、耐熱性を長期にわ
たって保証する意味での耐久性が要求されるが、そうい
った厳しい環境下での耐疲労性、繊維/ゴム接着性が十
分でないという課題があった。
【0005】特開昭52-56181号公報および特開昭60-181
369号公報にはRFL液にエポキシ樹脂を配合した樹脂組成
物を炭素繊維束に含浸させる方法が開示されている。ま
た、特許1912103号公報には、特定の活性化合物にて繊
維を活性化処理する方法が開示され、特許1510424号公
報には、炭素繊維をポリウレタン樹脂溶液で処理した
後、特定のアクリレート化合物を含むゴム糊で処理する
方法が開示されている。さらに、特開2000-309655号公
報には70℃における粘度が特定範囲にある液状ゴムを
炭素繊維に含浸する方法が開示され、また、特開2001-2
34445号公報には破断伸度が1.7%以上の炭素繊維に
ゴムラテックスを含む樹脂組成物を含浸させ、特定範囲
の柔軟性を有するコードを得る方法が開示されている。
【0006】しかしながら、これらの方法によっても、
炭素繊維強化ゴム材料として実用上問題のない耐久性、
特に耐屈曲疲労性、湿熱環境下における繊維/ゴム接着
性を有するものはなく、充分に満足されるゴム補強用炭
素繊維コードは得られていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、湿潤高温環境下での炭素繊維とゴム
配合物との接着性に優れる上に、屈曲変形に対する耐疲
労性にも優れたゴム補強用炭素繊維束およびゴム補強用
コードを提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、X線光電子分光法により測定される炭素
繊維表面分析による珪素/炭素比(Si/C)が0.0
2以下であり、結節強度500MPa以上であることを
特徴とするゴム補強用炭素繊維束である。
【0009】また、本発明は、該炭素繊維束100重量
部に対し、樹脂組成物を15〜70重量部含有させてな
るゴム補強用コードを提供し、該ゴム補強用コードによ
りゴムを含んでなる基材が補強されてなることを特徴と
する繊維強化ゴム材料を提供する。
【0010】表面珪素/炭素比が上記の特定範囲内にあ
る炭素繊維束を用いることにより、樹脂液の炭素繊維束
内部への含浸性が良好になり、炭素繊維束内部での単繊
維同士の擦過を効果的に抑制でき、高結節強度炭素繊維
の持つポテンシャルを充分活かすことができると考えら
れる。また、かかる表面を有することにより、ゴムを含
有する樹脂との濡れ性が良好となり、湿潤・高温環境に
おいてもその接着強さが保たれると推定される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり炭素
繊維とゴム配合物との接着性に優れる上に、屈曲変形に
対する耐疲労性(以下、単に耐疲労性という)にも優れ
たゴム補強用炭素繊維束を得るため鋭意検討し、炭素繊
維表面に存在する珪素/炭素比(Si/C)を一定値以
下に制御し、なおかつ該炭素繊維の結節強度を一定値以
上とすることによって、意外にも、かかる課題を一挙に
解決することを見出したものである。
【0012】本発明において用いる炭素繊維束は、X線
光電子分光法により測定される炭素繊維表面の珪素(S
i)と炭素(C)の原子数の比である珪素/炭素比(S
i/C)が0.02以下であることが必要である。Si
/Cが0.02を越えた場合、特に湿潤環境下に長期に
晒した際に、ゴムとの接着強度が低下する。また耐疲労
性も好ましくない。より好ましくは、Si/Cが0.0
1以下の場合であり、特に好ましくはSi/Cが0であ
る。
【0013】また、X線光電子分光法により測定される
炭素繊維表面の酸素/炭素比(O/C)が0.08以上
であることが好ましい。0.08未満の場合、ゴムとの
接着強度が低下し、耐疲労性が低下することがある。よ
り好ましくは、O/Cが0.10以上であり、さらに好
ましくはO/Cが0.12以上の場合である。尚、O/
Cは0.2あれば本発明の目的には十分である。
【0014】さらに、X線光電子分光法により測定され
る炭素繊維表面の窒素/炭素比(N/C)が0.04以
上であることが好ましい。0.04未満の場合、ゴムと
の接着強度が低下し、耐疲労性が低下することがある。
より好ましくは、N/Cが0.05以上であり、さらに
好ましくはN/Cが0.06以上の場合である。尚、N
/Cは0.1あれば本発明の目的には十分である。
【0015】ここで、本発明でいう炭素繊維表面の珪素
/炭素比(Si/C)、酸素/炭素比(O/C)、窒素
/炭素比(N/C)はそれぞれ次の手法にて、X線光電
子分光法により得ることができる。
【0016】測定する炭素繊維束にサイジング剤等の後
処理剤が付着している場合は、塩化メチレン、メチルエ
チルケトン、アセトン、エタノールなどの溶媒で洗浄
し、蒸留水で洗い流し、必要に応じて超音波洗浄するな
どしてサイジング剤などを除去後、適当な長さにカット
してステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、下
記条件にて測定できるものである。
【0017】また、ゴム補強用コードなどに使用されて
いる炭素繊維束について測定する場合は、塩化メチレ
ン、メチルエチルケトン、アセトン、エタノールなどの
溶媒で樹脂を除去して炭素繊維束を取り出し同様の方法
で測定できるものである。
【0018】・X線源:AlKα1,2あるいはMgK
α1,2 尚、測定時の帯電に伴うピークの補正は、C1Sの主ピ
ークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合
わせることで実施できる。
【0019】次いで、C1sピーク面積[C1s]は、
282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引く
ことにより求め、Si2pピーク面積[Si2p]は、
94〜114eVの範囲で直線のベースラインを引くこ
とにより求める。
【0020】O1sピーク面積[O1s]は528〜5
40eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより
求める。
【0021】N1sピーク面積[N1s]は、398〜
410eVの範囲で直線のベースラインを引くことによ
り求める。
【0022】表面珪素/炭素比(Si/C)は、上記S
i2pピーク面積[Si2p]、C1sピーク面積[C
1s]の比、及び装置固有の感度補正値より、次式によ
り求めることができる。
【0023】Si/C=([Si2p]/[C1s])
/(感度補正値) 同様に、表面酸素/炭素比(O/C)、窒素/炭素比
(N/C)はそれぞれ次式により求めることができる。
【0024】 O/C=([O1s]/[C1s])/(感度補正値) N/C=([N1s]/[C1s])/(感度補正値) 本発明において用いる炭素繊維束は、その結節強度が5
00MPa以上であることが必要であり、好ましくは6
00MPa以上、より好ましくは700MPa以上であ
ることが良い。500MPa未満であると、耐疲労性が
不足しがちとなり、タイヤ、ベルト等の用途に使用でき
ないことがある。特に、結節強度が750MPaあれ
ば、本発明の効果を奏するに当たり、十分であることが
多い。
【0025】本発明による繊維強化ゴム材料が、強化繊
維として炭素繊維を用いるにもかかわらず耐疲労性に優
れたものとなる理由は、上記したように結節強度が特定
値以上の炭素繊維束を用いること及びゴムを含有する柔
軟な樹脂によって単繊維が保護されることの組み合わせ
による。その機構は単繊維同士の摩擦損傷が相乗効果的
に抑えられたことによるものと推定されるが、繊維束内
部への樹脂含浸を促進するために上記した表面珪素/炭
素比にある炭素繊維束を用いることが必要なのである。
【0026】さらに、本発明に用いる炭素繊維束は、そ
の破断伸度が1.7%以上であり、好ましくは1.8%
以上、より好ましくは1.9%以上であるのが良い。
1.7%未満であると、過大な応力による変形を受ける
とコードが破断し易くなり、タイヤ、ベルト等の用途に
使用できないことがある。尚、本発明の目的には炭素繊
維の破断伸度は2.5%あれば十分である。
【0027】本発明における炭素繊維束は、その表面に
溶解度パラメータ(SP値)が9.0〜12.0(ca
l)1/2/(cm)3/2の範囲にあるサイジング剤を付与
されたものであることが好ましい。該SP値が9.0未
満の場合、ゴム配合物との接着性が充分に得られないこ
とがある。また、SP値が12.0を越える場合、単繊
維同士が凝集しやすく充分な耐疲労性が得られないこと
がある。
【0028】ここで、溶解性パラメータ(SP値)と
は、相溶性の指標であり、Polym.Eng.Sc
i.,14(2),147−154(1974)に記載
されたFedorsの方法により分子構造から求められ
る。
【0029】かかるサイジング剤の炭素繊維束に対する
付着量は、好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲内、
より好ましくは0.3〜1.3重量%の範囲内であるの
がよい。
【0030】これらサイジング剤を炭素繊維束に付与す
る方法としては、例えば、サイジング剤を溶解又は分散
させたサイジング液中に炭素繊維を通過させることで炭
素繊維表面に付着させ、その後加熱して溶媒を除去する
方法がある。
【0031】本発明において溶解性パラメータ(SP
値)が9.0〜12.0となるサイジング剤としてはい
かなるものでも用いることが可能であるが、エポキシ基
を有する化合物が好ましく用いられる。
【0032】本発明におけるエポキシ基を有する化合物
は、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物が好
ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エ
ポキシ樹脂等を使用することができる。かかるエポキシ
樹脂は、用途に応じて、改質剤を添加することも可能で
ある。
【0033】これらエポキシ基を有する化合物を炭素繊
維束に付与する方法としては、エポキシ基を有する化合
物の水系エマルジョンの貯留槽を通過させた後、加熱乾
燥する方法などが用いられる。
【0034】本発明における炭素繊維束は、その目付
が、好ましくは0.3〜1.2g/m、より好ましくは
0.6〜1.1g/mであるのがよい。すなわち、目付
が0.3g/m未満の場合、ゴム材料の補強効果が不足
することがある。また、目付が1.2g/mを越える場
合、炭素繊維束に樹脂液が充分に含浸されず、耐疲労性
が低下してしまうことがある。
【0035】本発明における炭素繊維束は、それを構成
する単繊維の断面形状が実質的に真円状であることが好
ましい。単繊維の断面形状がそれ以外の形状、例えば、
楕円状、空豆状、三つ葉状などであると、単繊維同士の
擦過が多くなり、耐疲労性が低下してしまうことがあ
る。
【0036】ここで、「実質的に真円状である」とは、
単繊維断面の外接円半径Rと内接円半径rとの比(=R
/r)で定義される断面変形度が、1.0〜1.1の範
囲内にあることをいう。
【0037】また本発明は、かかる炭素繊維束100重
量部に対し、樹脂組成物を15〜70重量部含有させて
なるゴム補強用コードである。すなわち、上記炭素繊維
束の内部に樹脂組成物を含浸させ、また繊維束全体の表
面に樹脂を存在せしめてコード形状の材料としたもので
ある。
【0038】樹脂組成物を炭素繊維束の内部に含浸させ
ないと、屈曲変形などの応力変形を受けた際に、単繊維
同士の擦過によるコードの破断が生じることが多い。ま
たコード表面に樹脂が付着していなければ、被着体とし
てのゴムとの界面において、コードの剥離が生じること
がある。樹脂含有量が15重量部未満であると、単繊維
同士の擦過によりコードの耐疲労性が低下し、また表面
樹脂が不足しゴムとの接着性も低下する。逆に樹脂組成
物含量が70重量部を越えるとコードが剛くなりすぎる
傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果と
して耐疲労性が低下する。また、耐熱性、耐水性が低下
することがあり、湿潤高温環境下での接着性が低下す
る。
【0039】本発明のゴム補強用コードに用いる樹脂組
成物には、樹脂組成物100重量%に対して、乾燥後に
40〜80重量%のゴム成分を含有することが好まし
い。ゴム成分が含まれないと、屈曲変形等の応力変形を
受けた際に、単繊維同士の擦過によるコードの破断が生
じたり、ゴム界面においてコードとの剥離が生じたりす
ることがある。また、コードの粘着性が過剰になり、取
り扱い性が悪化することがある。
【0040】該ゴム成分としては、ゴムラテックスが好
ましく用いられる。ゴムラテックスを用いることで、樹
脂組成物全体の粘度が下がり、炭素繊維束の内部への樹
脂含浸が容易になり、樹脂による単繊維の保護の役割を
果たしやすくなる。
【0041】ゴムラテックスとは、一般に、高分子が水
中に安定に分散しているものであり、樹脂組成物を炭素
繊維束に含浸させた後、コード中に残存する水分を加熱
乾燥等により除去しておくのが好ましい。コード中に水
分が残存しているとコードの耐疲労性を損なうボイドの
原因となる場合がある。加熱乾燥の温度としては、10
0〜270℃の範囲が好ましく、150〜240℃の範
囲がより好ましい。
【0042】ゴムラテックスとしては、ブタジエンゴム
ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテッ
クス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテッ
クス、クロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジ
エンゴムラテックス、天然ゴムラテックス、及びビニル
ピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス等が使
用できる。中でも、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
ラテックスやビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴ
ムラテックスは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、
好ましく用いられる。
【0043】さらに本発明のゴム補強用コードに用いら
れる樹脂組成物には、エポキシ樹脂やRFL接着剤(レ
ゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂とラテックスの混
合物)を配合することが好ましい。
【0044】本発明のゴム補強用コードに用いられる樹
脂組成物に好適なエポキシ樹脂としては、脂肪族エポキ
シ樹脂が挙げられる。具体的には、グリセロールポリグ
リシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテ
ル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、
ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリ
コールジグリシジルエーテル等が使用できる。中でも、
グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポ
リグリシジルエーテルは、耐疲労性の向上に特に効果的
であり、好ましく用いられる。
【0045】該エポキシ樹脂は、樹脂組成物100重量
%に対して、乾燥後、20〜80重量%、好ましくは3
0〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%含ま
れているのが良い。20重量%未満であると、被着体の
ゴムとコードの界面あるいは炭素繊維と樹脂の界面にお
いて接着性が不足することがあり、80重量%を越える
と、コードの柔軟性が低下し、耐疲労性が不足すること
がある。
【0046】また、本発明のゴム補強用コードに用いら
れる樹脂組成物に好適に配合されるRFL接着剤とは、
レゾルシン・ホルマリン樹脂とゴムラテックスとの混合
液を意味するものである。このようなRFL接着剤は、
例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含
むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルマリンを添
加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルム
アルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加え
て混合エマルジョンとする方法により調整される。
【0047】RFL調製に用いるゴムラテックスとして
は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、イ
ソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、ク
ロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴム
ラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴ
ムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス等の合成
ゴムラテックスを挙げることができる。このうち、ビニ
ルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスは、
耐疲労性向上に特に効果的であり好ましく用いられる。
レゾルシンとホルマリン初期縮合物とは、アルカリ触媒
化で得られたもので、レゾルシンとホルマリンのモル比
が1:0.3〜1:5、好ましくは1:0.75〜1:
2.0の範囲のものである。この範囲をはずれると、接
着性が不充分になることがある。
【0048】RFLにおけるレゾルシンホルマリン初期
縮合物とゴムラテックスの配合比率は、固形分重量比で
1:3〜1:8、好ましくは1:4〜1:6の範囲であ
る。この範囲を外れると接着性が不充分になることがあ
る。
【0049】本発明において、樹脂組成物による炭素繊
維束の処理は、炭素繊維束を樹脂組成物に浸漬した後、
熱処理することによって行なわれる。この熱処理は、炭
素繊維束に含浸ないしは付着させた樹脂液を定着させる
に足る温度にて行えば良く、通常、100〜270℃にて数分
間処理すれば良い。
【0050】本発明のゴム補強用コードに用いられる樹
脂組成物処理液は、その濃度が10〜50%、好ましく
は20〜40%が良い。10%未満であると、炭素繊維
束内部への樹脂の含浸が不充分となり、耐疲労性が悪化
することがある。50%を超えると、処理液の保存安定
性が悪くなることがあり、固形分の凝集、沈降がおこる
ためディッピング処理が不可能になることがある。ま
た、RFL濃度は10〜40%、さらに好ましくは15
〜30%が良い。10%未満であると、RFL層厚みが
不充分となり、接着力が不充分となることがある。RF
L濃度が40%を越えると、RFL液の保存安定性が悪
くなることがあり、固形分が凝集してくるため濃度低下
等がおこり均一にRFLを付着させることが困難とな
る。
【0051】さらに、本発明のゴム補強用コードはその
コード表面にRFL接着剤が付着されていることが好ま
しい。
【0052】ここで「コード表面に付着する」とは、コ
ードの全断面積の10%に相当する外周部の面積内に全
RFL接着剤の90%以上が偏在している状態を表す。
【0053】コード/ゴム界面にRFL接着剤を偏在す
ることにより、さらにコード/ゴム界面の接着性を高め
るものである。
【0054】ゴム補強用コードの表面にRFL接着剤を
偏在させる方法は特に限定されないが、炭素繊維束に対
し、樹脂組成物を含浸せしめてコード形状の材料とした
前記ゴム補強用コードの表面にさらにRFL接着剤を付
与する方法をとることもできる。
【0055】例えば、次のような方法により製造するこ
とができる。すなわち、炭素繊維束を前記樹脂組成物か
らなる処理液槽を通過させた後、加熱乾燥し、次いで、
RFL接着剤を含む処理液槽を通過させた後、さらに加
熱乾燥炉内を通過させ、コード中の水分を除去する方法
である。
【0056】尚、ゴム補強用コードに含まれる全RFL
接着剤の含有比率は、炭素繊維束100重量部に対し
て、乾燥後に好ましくは1〜20重量部、より好ましく
は2〜15重量部、特に好ましくは3〜10重量部であ
るのがよい。1重量部未満であると、コード/ゴム界面
の接着性が低下することがあり、20重量部を越える
と、コードの柔軟性が低下することやコード作製プロセ
スにおいてロールへの付着(ガムアップ)が生じ、品質
安定性が損なわれることがある。
【0057】さらに、本発明のゴム補強用コードは、A
STM D885−76による、曲げ荷重M−たわみy
曲線の初期勾配(dM/dy)y=0が2500N/m以
下であることが好ましい。より好ましくは2000N/
m以下、さらに好ましくは1000N/m以下である。
2500N/mを越えると、コードの柔軟性が低下し、
ゴム材料が繰り返し変形を受けた際に、応力の集中によ
り、耐疲労性が低下することがある。尚、曲げ荷重M−
たわみy曲線の初期勾配は50N/mあれば取り扱い性
が十分である。
【0058】また本発明のゴム補強用コードは、撚りを
掛けられていることが好ましい。その撚り数は100回
/m以下、好ましくは10回/m〜80回/m、より好
ましくは20回/m〜60回/mが良い。100回/m
を超えると、キンクが発生しやすくなり、強力低下、操
業性悪化につながることがある。なお、撚りの付与は、
樹脂組成物含浸前、後のいずれの工程でもよいが、樹脂
組成物の炭素繊維束内部への含浸を促すため、開繊状態
で樹脂組成物を含浸した後に撚りを付与することがより
好ましい。
【0059】また、撚り構造は、一本のコードに撚りを
加えた片撚り構造でもよく、数本のコードにまず下撚り
を加えた後、さらにそれら数本を合わせ、上撚りを加え
るという所謂もろ撚り構造でもよい。
【0060】以上のように処理したゴム補強用コードを
ゴムを含んでなる基材と密着させ、そのゴムを含んでな
る基材において知られている通常の処理条件にて加硫接
着することによつて、炭素繊維とゴムを含んでなる基材
との間に強固な接着を達成することが可能となる。
【0061】本発明の繊維強化ゴム材料は、ゴムを含ん
でなる基材が、前記コードにより補強されてなるもので
ある。
【0062】ここで基材100重量%中、ゴムは50〜
100重量%含まれていることが好ましい。
【0063】基材に含まれるゴムの具体例としては、ア
クリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素
化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピク
ロロヒドリンンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴ
ム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブ
タジエンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴ
ム、ブチルゴム、フッ素ゴム等を使用することができ
る。
【0064】なお、基材には、主成分であるゴム以外
に、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロ
ン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オ
イル等の軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、加工助剤等を
必要に応じて含ませてもよい。
【0065】本発明の繊維強化ゴム材料は、例えば、次
の方法により製造することができる。すなわち、一方向
に引き揃えたコードを、両面からゴムを主成分として含
むシート状の基材で挟み込んだ後、かかるコード/ゴム
複合体をプレス機内で加熱・加圧し、ゴムを加硫させ、
成形する方法である。
【0066】本発明によるゴム材料は、タイヤ、ベル
ト、ホースのいずれにも好適に使用できる。タイヤの場
合、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが特に好適で
ある。また動力伝達ベルトの場合、水素化アクリロニト
リル−ブタジエンゴムの使用が特に好適である。
【0067】こうした基材に用いるゴムの種類に応じ
て、同種のゴム成分を前述のゴム補強用コードに用いる
樹脂組成物中に含有させることが、繊維強化ゴム材料と
して良好な接着性、耐屈曲疲労性を得るために好まし
い。
【0068】
【実施例】以下、実施例により本発明についてさらに具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限
定されるものではない。
【0069】なお、実施例における炭素繊維束およびコ
ードの作製に当たり、以下に示す原材料を用いた。 <原材料> (炭素繊維束) ・炭素繊維A:炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/
C)0.01、酸素/炭素比(O/C)0.16、窒素
/炭素比(N/C)0.06、結節強度760MPa、
目付0.79g/m、単繊維の断面変形度1.04、サ
イジング剤のSP値11.5(cal)1/2/(cm)
3/2、サイジング剤付着量0.5重量% ・炭素繊維B:炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/
C)0.01、酸素/炭素比(O/C)0.07、窒素
/炭素比(N/C)0.06、結節強度770MPa、
目付0.79g/m、単繊維の断面変形度1.04、サ
イジング剤のSP値11.5(cal)1/2/(cm)
3/2、サイジング剤付着量0.5重量% ・炭素繊維C:炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/
C)0.01、酸素/炭素比(O/C)0.16、窒素
/炭素比(N/C)0.06、結節強度760MPa、
目付0.79g/m、単繊維の断面変形度1.04、サ
イジング剤のSP値10.3(cal)1/2/(cm)
3/2、サイジング剤付着量0.5重量% ・炭素繊維D:炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/
C)0.01、酸素/炭素比(O/C)0.16、窒素
/炭素比(N/C)0.06、結節強度760MPa、
目付0.79g/m、単繊維の断面変形度1.04、サ
イジング剤のSP値8.0(cal)1/2/(c
m)3/2、サイジング剤付着量0.5重量% ・炭素繊維E:炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/
C)0.04、酸素/炭素比(O/C)0.08、窒素
/炭素比(N/C)0.03、結節強度770MPa、
目付0.79g/m、単繊維の断面変形度1.04、サ
イジング剤のSP値11.5(cal)1/2/(cm)
3/2、サイジング剤付着量0.5重量% ・炭素繊維F:炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/
C)0.00、酸素/炭素比(O/C)0.11、窒素
/炭素比(N/C)0.03、結節強度280MPa、
目付0.80g/m、単繊維の断面変形度1.28、サ
イジング剤のSP値11.5(cal)1/2/(cm)
3/2、サイジング剤付着量0.5重量% (ゴムラテックス) ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテック
ス:“ニッポール”(登録商標)2518FS(日本ゼオン
(株)製)、固形分濃度40.5% ・スチレン−ブタジエンゴムラテックス:”ニッポー
ル”LX110(日本ゼオン(株)製)、固形分濃度40.
5% (エポキシ樹脂) ・グリセロールポリグリシジルエーテル:”デナコー
ル”(登録商標)EX-313(ナガセ化成工業(株)製) ・ソルビトールポリグリシジルエーテル:”デナコー
ル”EX-614(ナガセ化成工業(株)製) また、本発明において用いる炭素繊維束の評価方法は、
以下に示すとおりである。 <炭素繊維表面分析> (1)Si/C:表面の珪素/炭素比Si/Cは、次の
手順に従って求める。先ず、溶媒でサイジング剤などを
除去した炭素繊維束をカットしてステンレス製の試料支
持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90゜と
し、X線源としてMgKα1,2 を用い、試料チャンバー
内を1×10-8Torrの真空度に保つ。測定時の帯電に伴
うピークの補正として、まずC1Sの主ピークの結合エネ
ルギー値を284.6 eVに合わせる。C1Sピーク面積は、 2
82〜296 eVの範囲で直線のベースラインを引くことによ
り求め、Si2Pピーク面積は、94 〜 114eVの範囲で直
線のベースラインを引くことにより求める。表面の珪素
/炭素比Si/Cは、上記Si2Pピーク面積とC1Sピー
ク面積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより
算出した原子数比で表す。なお、本発明では島津製作所
(株)製ESCA−750を用い、上記装置固有の感度
補正値は0.81とした。 (2)O/C:表面の酸素/炭素比O/Cは、次の手順
に従って求める。サンプル調製および測定装置へのセッ
トは上記Si/Cの場合と同様である。測定時の帯電に
伴うピークの補正として、まずC1Sの主ピークの結合エ
ネルギー値を284.6 eVに合わせる。C1Sピーク面積は、
282〜296 eVの範囲で直線のベースラインを引くことに
より求め、O1Sピーク面積は、 528〜540 eVの範囲で直
線のベースラインを引くことにより求める。表面の酸素
/炭素比O/Cは、上記O1Sピーク面積とC1Sピーク面
積の比を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出
した原子数比で表す。なお、本発明では島津製作所
(株)製ESCA−750を用い、上記装置固有の感度
補正値は2.85とした。 (3)N/C:表面の窒素/炭素比N/Cは、次の手順
に従って求める。サンプル調製および測定装置へのセッ
トは上記Si/Cの場合と同様である。測定時の帯電に
伴うピークの補正として、まずC1Sの主ピークの結合エ
ネルギー値を284.6 eVに合わせる。C1Sピーク面積は、
282〜296 eVの範囲で直線のベースラインを引くことに
より求め、N1Sピーク面積は、398 〜 410eVの範囲で直
線のベースラインを引くことにより求める。表面窒素濃
度N/Cは、上記N1Sピーク面積とC1Sピーク面積の比
を、装置固有の感度補正値で割ることにより算出した原
子数比で表す。なお、本発明では島津製作所(株)製E
SCA−750を用い、上記装置固有の感度補正値は
1.7とした。 <炭素繊維束の結節強度>JIS L1013−1981に
準じて試料のつかみ間の中央に結節をつくり、引張強度
を測定した。
【0070】測定する炭素繊維束の両端をチャックに挟
み込んで固定する。ここで、チャック間のサンプル長は
250mmとし、炭素繊維束の結び目が、チャック間の
中央部に位置するようにする。
【0071】次に、温度25℃、湿度40%の環境下、
速度50mm/分で、炭素繊維束を引張り、その最大荷
重値を測定する。
【0072】次いで、この最大荷重値を炭素繊維束の断
面積(=炭素繊維束の目付け÷炭素繊維束の密度)で除
した値を結節強度とする。
【0073】尚、ここでは、任意に選択した炭素繊維束
についてn=10(右結びと左結びについて各n=5)
の平均値を結節強度値とした。 <炭素繊維束の破断伸度、引張強度>JIS R7601に従っ
て測定した。なお、引張試験片は、次の樹脂組成物を炭
素繊維束に含浸し、130℃、35分の条件で加熱硬化させ
て作成した。
【0074】樹脂組成:3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボ
キシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチ
ルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部) <単繊維の断面形状>測定する炭素繊維を繊維軸と垂直
な方向からカミソリにより切断し、その断面を走査型電
子顕微鏡により、倍率1万倍、加速電圧15kVの条件
下で写真撮影する。
【0075】得られた断面写真に外接する円と内接する
円をそれぞれ描き、外接円の半径(R)と内接円の半径
(r)の比(=R/r)を、単繊維の断面変形度とす
る。なお、ここでは、任意に選択した炭素繊維束につい
て、n=5の平均値を断面変形度とする。 <コード作製・評価> (1)樹脂含浸(コード作製)および繊維目付・樹脂目
付評価 炭素繊維束を10m/分の速度で搬送し、表1、または
表2に示す組成の樹脂が含まれる処理液槽(1浴目)を
通過させ、170℃の加熱炉内を通過させ、水分を除去
した。得られたものを撚糸機で所定の撚りをかけ、次い
で、表3に示す組成のRFL接着剤が含まれる処理液槽
(2浴目)を通過させた。さらに、170℃の加熱炉内
を通過させ、処理液に含まれる水分を除去し、ゴム補強
用コードを得た。なお、乾燥後コードの1浴目樹脂付着
量、2浴目樹脂(RFL接着剤)の付着量は、炭素繊維
束100重量部に対して、それぞれ22重量部、5重量
部を目安とした。実際の繊維繊度、樹脂付着量の測定
は、一定長さあたりの炭素繊維束の重量(すなわち炭素
繊維束の目付)を予め測定しておき、樹脂含浸後の同一
長さのコード重量(すなわち炭素繊維コードの目付)を
測定することで、差分としての樹脂目付、重量部を計算
した。 (2)ゴム補強用コードの撚り数評価 JIS R7601に記載の方法によって測定した。被
測定コードの両端を掴み間隔が500mmになるように
して、検撚機のクランプに取り付けた。一方のクランプ
を固定し、他方のクランプを回転させ、撚りが完全に解
舒されるまでの回転数を計り、それを2倍した値をコー
ドの撚り数とした。 (3)ゴム補強用コードの耐屈曲疲労性 JIS L1017に記載に準じた方法であり、チュー
ブ試験片を用いるものである。表4の組成のゴムシート
をドラムに捲回し、その上から、前記ゴム補強用コード
を55本/10cmの間隔で捲回し、さらに、その上か
ら、同一のゴムシートを捲回した。
【0076】こうして得たゴムシート/コード/ゴムシ
ートの3層体をドラムから脱型してマンドレルに巻き付
けチューブ状とした。さらに、プレス機内で、ゴムを温
度160℃、圧力9.8MPa、時間30分の条件で加
硫させ、チューブ試験片を作製した。こうしてゴムチュ
ーブの軸方向とコードの配向が一致した繊維強化ゴム材
料(外径27mm、内径13mm、長さ24cm)を得
た。
【0077】前記繊維強化ゴム材料の中央部を90゜に
折り曲げ、チューブ内に圧力0.3MPaの空気を送り
込み、温度25℃の雰囲気中でチューブの両端を同一方
向に850回/分の速さで回転させた。チューブが破壊
に至るまでの時間(破壊寿命)を、耐屈曲疲労性の指標
とした。 (4)ゴム/コード接着性 接着性試験は室温乾燥状態と、吸湿高温状態の2種行っ
た。 室温乾燥条件(RTD):表4の組成のゴムシート(幅
25mm、長さ230mm、厚さ4mm)の表層近くに
7本のコードを並行に埋めこみ(コード中心間の間隔3
mm)、150℃、30分間、20kg/cm2 のプレ
ス圧で加硫した。次いで埋め込んだ偶数番のコード3本
をゴムシートから速度100mm/minで剥ぎ取るの
に要した力をN/本で表した。 吸湿高温条件(H/W):でプレス加硫した試験片を
ガーゼに入れて155℃、30分、蒸気圧4kg/cm2のオ
ートクレーブ処理した後、室温で上記と同様の条件で
引き剥がし強力を測定した。
【0078】各実施例で用いた樹脂の組成、基材のゴム
シート組成及び耐屈曲疲労性、ゴム接着性の評価結果に
ついては、下表1〜5に纏めて示した。表5に示す評価
結果から判るように、本発明によるコードは、屈曲変形
の繰り返しに対して、極めて優れた耐疲労性を発現して
おり、かつ吸湿高温条件に晒した後でも高レベルのゴム
接着性を保持していることが判る。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、炭素繊維とゴム配合物
との間に湿潤高温環境下においてすらも強固な接着を達
成し、かつ、優れた耐疲労性のあるゴム補強材料を提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 9/00 C08L 9/00 D06M 15/41 D06M 15/41 15/55 15/55 15/693 15/693 F16G 1/08 F16G 1/08 A F16L 11/08 F16L 11/08 A // D06M 101:40 D06M 101:40 Fターム(参考) 3H111 AA02 BA11 BA12 BA28 BA34 CC03 DA26 4F072 AA04 AA07 AA08 AB10 AB15 AB22 AC05 AD02 AD23 AG03 AG14 AH04 AH13 AH21 AH31 AH41 AJ04 AL03 AL18 AL19 4J002 AC011 AC031 AC061 AC071 AC081 BP011 CD012 DA016 FA046 FD016 GM01 GN01 4L033 AA09 AB03 AC11 BA15 CA21 4L037 AT03 CS03 FA01 FA05 FA06 PA38 UA20

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】X線光電子分光法により測定される炭素繊
    維表面の珪素/炭素比(Si/C)が0.02以下であ
    り、結節強度500MPa以上であることを特徴とする
    ゴム補強用炭素繊維束。
  2. 【請求項2】X線光電子分光法により測定される炭素繊
    維表面の酸素/炭素比(O/C)が0.08以上である
    ことを特徴とする請求項1記載のゴム補強用炭素繊維
    束。
  3. 【請求項3】溶解度パラメータ(SP値)が9.0〜1
    2.0(cal)1/ 2/(cm)3/2の範囲にあるサイジ
    ング剤が付与されたものであることを特徴とする請求項
    1または2記載のゴム補強用炭素繊維束。
  4. 【請求項4】炭素繊維表面にサイジング剤が該炭素繊維
    束の0.1〜1.5重量%付与されていることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載のゴム補強用炭素繊
    維束。
  5. 【請求項5】前記炭素繊維束の目付が0.3〜1.2g
    /mであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のゴム補強用炭素繊維束。
  6. 【請求項6】前記炭素繊維束を構成する単繊維の断面形
    状が、実質的に真円状であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれかに記載のゴム補強用炭素繊維束。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載の炭素繊維
    束100重量部に対し、樹脂組成物を15〜70重量部
    含有させてなるゴム補強用コード。
  8. 【請求項8】前記樹脂組成物100重量%中に、40〜
    80重量%のゴム成分を含有することを特徴とする請求
    項7に記載のゴム補強用コード。
  9. 【請求項9】前記ゴム成分が、ブタジエンゴム、アクリ
    ロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタ
    ンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴ
    ム、天然ゴム、及びビニルピリジン−スチレン−ブタジ
    エンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種である
    請求項8記載のゴム補強用コード。
  10. 【請求項10】前記樹脂組成物100重量%中に、20
    〜80重量%のエポキシ樹脂を含有することを特徴とす
    る請求項7〜9のいずれかに記載のゴム補強用コード。
  11. 【請求項11】前記エポキシ樹脂が、脂肪族エポキシ樹
    脂である請求項10記載のゴム補強用コード。
  12. 【請求項12】コード表面にレゾルシン・ホルマリン・
    ゴムラテックス(RFL)樹脂が付着されてなる請求項
    7〜10のいずれかに記載のゴム補強用コード。
  13. 【請求項13】JIS R7601による炭素繊維束の
    破断伸度が1.7%以上であり、ゴム成分を含む樹脂組
    成物が含浸されてなり、ASTM D885−76によ
    る曲げ荷重M−たわみy曲線の初期勾配(dM/dy)
    y=0が2500N/m以下である請求項7〜12のい
    ずれかに記載のゴム補強用コード。
  14. 【請求項14】コードの撚り数が、100回/m以下で
    ある請求項7〜13に記載のゴム補強用コード。
  15. 【請求項15】請求項7〜14のいずれかに記載のゴム
    補強用コードによりゴムを含んでなる基材が補強されて
    なることを特徴とする繊維強化ゴム材料。
  16. 【請求項16】前記基材が主として、天然ゴム、クロロ
    プレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレ
    ン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴ
    ムまたは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムから
    なる群から選ばれる少なくとも1種のゴムを含むもので
    あることを特徴とする請求項15記載の繊維強化ゴム材
    料。
  17. 【請求項17】請求項15または16に記載の繊維強化
    ゴム材料が使用されてなるベルト。
  18. 【請求項18】請求項15または16に記載の繊維強化
    ゴム材料が使用されてなるタイヤ。
  19. 【請求項19】請求項15または16に記載の繊維強化
    ゴム材料が使用されてなるホース。
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