JP2003342850A - ゴム補強用炭素繊維コード及び炭素繊維強化ゴム材料 - Google Patents

ゴム補強用炭素繊維コード及び炭素繊維強化ゴム材料

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JP2003342850A
JP2003342850A JP2002151955A JP2002151955A JP2003342850A JP 2003342850 A JP2003342850 A JP 2003342850A JP 2002151955 A JP2002151955 A JP 2002151955A JP 2002151955 A JP2002151955 A JP 2002151955A JP 2003342850 A JP2003342850 A JP 2003342850A
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carbon fiber
fiber bundle
weight
cord
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Takao Manabe
隆雄 眞鍋
Hajime Kishi
肇 岸
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、極めて優れた耐疲労性を発現し、タ
イヤ、ベルト、ホース等の各種ゴム材料に好ましく使用
できる、炭素繊維が使用されてなるゴム補強用コードお
よび繊維強化ゴム材料を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のゴム補強用コードは、結節強度が
500MPa以上の炭素繊維束に、ゴムを含む樹脂組成
物が炭素繊維束100重量部に対して30〜80重量部
含浸されてなることを特徴とするものである。また、本
発明の繊維強化ゴム材料は、かかるゴム補強用コードに
より、ゴムを含んでなる基材が補強されてなることを特
徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タイヤ、ベルト、
ホース等の各種ゴム材料の補強材として好適に使用でき
るゴム補強用コード及び該ゴム補強用コードにより補強
されてなる繊維強化ゴム材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】タイヤ、ベルト、ホース等の各種ゴム材
料には、ナイロン繊維やポリエステル繊維等の有機繊維
とゴムからなる繊維強化ゴム材料が、実用的な耐疲労性
を有することから、広く利用されている。これらの繊維
強化ゴム材料は、ゴムを含んでなる基材が、撚りが付与
された強化繊維束の表層部に接着剤等を付着させてなる
コードにより補強されてなるものである。
【0003】この強化繊維には、引張強度、引張弾性
率、耐熱性、耐水性、耐疲労性等の特性が要求される
が、中でも、外力による変形に耐性を持たせるため、耐
疲労性が重視される。
【0004】炭素繊維は、引張弾性率、引張強度、耐熱
性、耐水性が良好であり、炭素繊維が用いられた繊維強
化ゴム材料は、寸法安定性、耐候性等に優れているが、
一方で単繊維同士の擦過によるコードの破断やコードと
ゴムとの界面において剥離が生じやすく、耐疲労性に劣
りやすい。
【0005】以上のような問題に対して、たとえば特公
昭53−30757号公報に開示されている非水溶性エ
ポキシ化合物を用い、RFLを繊維に対して10〜20
%付着させる処理方法がある。この方法は、炭素繊維に
ゴムとの接着性を向上させる点においては一定の効果を
奏するが、ゴム中での耐疲労性が十分ではない。また、
特開昭60−181369号公報には炭素繊維糸状束に
エポキシ/ゴムラテックスの1浴液を付与した後、熱処
理し、次いでレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物・ゴ
ムラテックスの2浴液を付与した後、熱処理する方法が
提案されている。さらに、特開2001−234445
号公報には、破断伸度が一定値以上の炭素繊維束からな
る実質的に撚りのないゴム補強用コードが開示されてい
る。しかし、これら方法では接着性は満足するものが得
られるが、耐疲労性が実用レベルには達していなかっ
た。このように、現在、ゴム材料の用途において、実用
上問題のない耐疲労性を有するゴム補強用炭素繊維コー
ドは得られていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、優れた耐疲労性を発現し、タイヤ、
ベルト、ホース等の各種ゴム材料に好ましく使用でき
る、炭素繊維が使用されてなるゴム補強用コードおよび
繊維強化ゴム材料を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用する。すなわ
ち、結節強度が500MPa以上の炭素繊維束に、ゴム
を含む樹脂組成物が炭素繊維束100重量部に対して3
0〜80重量部含浸されてなることを特徴とするゴム補
強用コードである。
【0008】また、該ゴム補強用コードを用いて、ゴム
材料が補強されていることを特徴とする繊維強化ゴム材
料である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、結節強度が一定値
以上である炭素繊維束に、ゴムを含む樹脂組成物が一定
量含浸されてなるゴム補強用コード(以下、単にコード
という)でゴムを含んでなる基材を補強することによ
り、高弾性率・高強度を有しながら、意外にも従来にな
く、屈曲変形に対する耐疲労性(以下、単に屈曲変形と
いう)に極めて優れた繊維強化ゴム材料が得られること
を見出したものである。
【0010】本発明において用いる炭素繊維束は、その
結節強度が500MPa以上であることが必要であり、
好ましくは600MPa以上、より好ましくは700M
Pa以上であるのが良い。500MPa未満であると、
耐疲労性が不足しがちとなり、タイヤ、ベルト等の用途
に使用できないことがある。尚、結節強度は高ければ高
いほど好ましいが、750MPaあれば、本発明の効果
を奏するに当たり、十分であることが多い。
【0011】本発明のゴム補強用コードは、ゴムを含む
樹脂組成物が炭素繊維束100重量部に対して30〜8
0重量部含浸していることが必要であり、好ましくは4
0〜70重量部、より好ましくは50〜60重量部であ
るのが良い。30重量部未満であると含浸不良部分が生
じ、樹脂による炭素繊維単糸の擦過防止効果が不十分と
なり、結果としてコードの耐疲労性が悪くなることがあ
る。80重量部を超えると、コードが剛くなりすぎる傾
向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果とし
て耐疲労性が低下する。
【0012】本発明のゴム補強用コードは、200Nの
荷重がかけられた際の伸度(以後、200N時伸度と言
う)が0.3〜1.2%、好ましくは0.4〜1.1
%、さらに好ましくは0.5〜1.0%であるのが良
い。0.3%未満であると、過大な応力変形を受けた際
にゴム補強用コードが破砕し易くなり(耐疲労性の低
下)、タイヤ、ベルト等のゴム資材に使用できないこと
がある。1.2%を超えると、ベルト等用途では寸法安
定性の低下により、動力伝達能力の低下、ベルト寿命の
低下等につながることがあり、タイヤ等用途では、スタ
ンディングウェーブの発生、操縦安定性の低下につなが
ることがある。
【0013】本発明による繊維強化ゴム材料が、強化繊
維として炭素繊維を用いるにもかかわらず耐疲労性に極
めて優れたものとなる原因は、上記したような結節強度
が特定値以上の炭素繊維束を用いること、及びゴムを含
有する柔軟な樹脂を比較的多量に含浸することによって
単繊維が十分に保護されることの組み合わせにより、単
繊維同士の摩擦損傷が相乗効果的に抑えられたことによ
るものと推定される。
【0014】本発明において用いる炭素繊維束は、X線
光電子分光法により測定される炭素繊維表面の珪素(S
i)と炭素(C)の原子数の比である珪素/炭素比(S
i/C)が0.02以下であることが好ましい。Si/
Cが0.02を越えた場合、特に湿潤環境下に長期に晒
した際に、ゴムとの接着強度が低下する。また耐疲労性
も好ましくない。より好ましくは、Si/Cが0.01
以下の場合であり、特に好ましくはSi/Cが0であ
る。
【0015】ここで、本発明でいう炭素繊維表面の珪素
/炭素比(Si/C)は次の手法にて、X線光電子分光
法により得ることができる。
【0016】測定する炭素繊維束にサイジング剤等の後
処理剤が付着している場合は、塩化メチレン、メチルエ
チルケトン、アセトン、エタノールなどの溶媒で洗浄
し、蒸留水で洗い流し、必要に応じて超音波洗浄するな
どしてサイジング剤などを除去後、適当な長さにカット
してステンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、下
記条件にて測定できるものである。
【0017】また、ゴム補強用コードなどに使用されて
いる炭素繊維束について測定する場合は、塩化メチレ
ン、メチルエチルケトン、アセトン、エタノールなどの
溶媒で樹脂を除去して炭素繊維束を取り出し同様の方法
で測定できるものである。
【0018】・X線源:AlKα1,2あるいはMgK
α1,2尚、測定時の帯電に伴うピークの補正は、C1
Sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6
eVに合わせることで実施できる。
【0019】次いで、C1sピーク面積[C1s]は、
282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引く
ことにより求め、Si2pピーク面積[Si2p]は、
94〜114eVの範囲で直線のベースラインを引くこ
とにより求める。
【0020】表面珪素/炭素比(Si/C)は、上記S
i2pピーク面積[Si2p]、C1sピーク面積[C
1s]の比、及び装置固有の感度補正値より、次式によ
り求めることができる。
【0021】Si/C=([Si2p]/[C1s])
/(感度補正値) また、本発明に使用する炭素繊維束は、JIS−R76
01に従って測定される引張強度が好ましくは4000
MPa以上であり、より好ましくは4400MPa以上、特に
好ましくは4800MPa以上であるのが良い。4000M
Pa未満であると、ゴム材料が過大な応力を受けた際に、
コードが破断し易くなり、タイヤ、ベルト等、高度の耐
疲労性が要求される用途に使用できないことがある。
尚、引張強度は高いほど好ましいが、4500MPaあ
れば、本発明に用いる炭素繊維束としては十分であるこ
とが多い。
【0022】さらに前記炭素繊維束は、それを構成する
単繊維の断面形状が、実質的に真円状であるのが良い。
単繊維の断面形状が、それ以外の形状、例えば、楕円
状、空豆状、三つ葉状等であると、単繊維同士の擦過が
生じ易くなり、炭素繊維束の結節強度が不足することが
ある。
【0023】ここに「実質的に真円状である」とは、単
繊維の断面の外接円の半径Rと内接円の半径rの比(=
R/r)で定義される断面変形度が、1〜1.1の範囲
内であることをいう。
【0024】また、前記炭素繊維束は、その繊度が20
00〜10000dtex、より好ましくは3000〜
9000dtex、特に好ましくは4000〜8000
dtexであるのが良い。2000dtex未満である
とゴム材料の補強効果が不足することがあり、1000
0dtexを越えるとコードに樹脂組成物が十分に含浸
されず、ゴム補強用コードの耐疲労性が悪くなることが
ある。
【0025】また、本発明に用いる炭素繊維束は、20
0Nの荷重がかけられた際の伸度(以後、200N時伸
度と言う)が0.2〜0.7%であるものを好ましく用
いることができる。200N時伸度が0.2%に満たな
いと樹脂組成物を含浸してなるゴム補強用コードの耐疲
労性が悪くなることがあり、0.7%を超えるとゴム補
強用コードが用いられてなるゴム資材の性能が悪くなる
ことがある。詳しくは、ベルト等用途では動力伝達能力
が低下することがあり、タイヤ等用途では操縦安定性が
低下することがある。
【0026】本発明に用いる炭素繊維束は、その製造方
法が限定されるものではないが、紡糸工程により前駆体
繊維を得て、その後、耐炎化(熱安定化、不融化)工
程、炭化(炭素化)工程を経て炭素繊維束としたものを
用いることができる。さらに熱処理を施した黒鉛繊維束
も本発明でいうところの炭素繊維束に含むものである。
尚、かかる炭素繊維束を得るに際しての各工程の処理温
度、昇温速度、処理速度、延伸比、張力などの条件は目
的とする炭素繊維束の特性によって適宜選択することが
できる。例えば前駆体繊維束を300℃未満の空気中で
耐炎化処理し、かかる耐炎化繊維を300℃以上200
0℃未満の不活性雰囲気中で炭化処理して炭素繊維束と
したものを用いることができる。更に2000〜300
0℃の不活性雰囲気中で熱処理して黒鉛繊維としたもの
を用いてもよい。
【0027】本発明に用いる炭素繊維束の前駆体繊維束
としては、ポリアクリロニトリル、レーヨン、リグニ
ン、ポリビニルアルコール、ポリアセチレン、ピッチな
どを原料とする各種前駆体繊維束が挙げられるが、特に
これらに限定するものではない。高強度という点では、
ポリアクリロニトリルを原料とした前駆体が好ましく用
いられる。前駆体繊維束はフィラメント数1000〜4
8000が好ましく、さらには6000〜24000が
好ましい。
【0028】前駆体繊維束を得るための紡糸方法として
は、原料に応じて湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸、溶
融紡糸などが挙げられる。操業性の点からは、湿式紡
糸、乾湿式紡糸が好ましく用いられ、乾湿式紡糸がより
好ましい。
【0029】さらに、製品目的によっては得られた炭素
繊維束を仕上げ処理することが好ましい。かかる仕上げ
処理には表面処理やサイジング剤の付与などが含まれ
る。かかる表面処理法としては、気相中での加熱、紫外
線等による酸化、液相中で酸化剤を用いた化学的酸化又
は水溶液中で電気化学的手法により酸化する方法などが
挙げられる。かかる処理によりゴム補強用コードの強化
繊維として用いる場合の樹脂との親和性、例えば接着
性、濡れ性、分散性等の表面特性を高められる。さら
に、サイジング剤を付与することにより集束性を増し、
繊維の取り扱いが容易となる。炭素繊維束の形態として
は、前駆体繊維の単糸を2本以上合わせて撚りをかけて
熱処理をする有撚糸、単糸を2本以上合わせて撚りをか
けて熱処理し、その後撚りを解く解撚糸、実質的に撚り
をかけずに熱処理を行う無撚糸などいずれにも適用でき
るが、ゴム補強用コードの加工性と強度特性のバランス
を考慮すると無撚り糸または解撚糸とするのが好まし
く、さらに、ゴム製品の加工性の面からは無撚り糸とす
るのが好ましい。
【0030】本発明のゴム補強用コードに用いる樹脂組
成物には、樹脂組成物100重量%に対して、20〜8
0重量%のゴム成分を含有することが好ましい。20重
量%未満であると、屈曲変形等の応力変形を受けた際
に、単繊維同士の擦過によるコードの破断が生じたり、
ゴム界面においてコードとの剥離が生じたりすることが
ある。また、80重量%を超えるとコードの粘着性が過
剰になり、取り扱い性が悪化することがある。
【0031】該ゴム成分としては、ゴムラテックスとし
て処理液(前記樹脂組成物の水分散体)中に加えること
ができる。ゴムラテックスを用いることで処理液全体の
粘度が下がり、炭素繊維束の内部への処理液の含浸が容
易になり、樹脂組成物による単繊維の保護の役割を果た
しやすくなる。
【0032】ゴムラテックスとは一般に、高分子が水中
に安定に分散しているものであり、処理液を炭素繊維束
に含浸させた後、コード中に残存する水分を加熱乾燥等
により除去しておくのが好ましい。コード中に水分が残
存しているとコードの耐疲労性を損なうボイドの原因と
なる場合がある。加熱乾燥の温度としては、100〜2
70℃の範囲が好ましく、150〜240℃の範囲がよ
り好ましい。
【0033】ゴムラテックスとしては、ブタジエンゴム
ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテッ
クス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテッ
クス、クロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジ
エンゴムラテックス、天然ゴムラテックス、及びビニル
ピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス等が使
用できる。中でも、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
ラテックスやビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴ
ムラテックスは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、
好ましく用いられる。これらは単独でも使用できるし、
混合して使用することもできる。
【0034】ゴムラテックスの種類は、用いるゴム基材
との相性により適宜選択することができる。例えば、ゴ
ム基材として、天然ゴムを用いる場合には、処理液中の
全ゴム成分100重量%のうち、ビニルピリジン−スチ
レン−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が
50重量%以上を占めることが好ましい。また、ゴム基
材として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる
場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、アク
リロニトリル−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴ
ム成分が、50重量%以上を占めることが好ましい。
【0035】本発明の樹脂組成物に用いることができる
エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ
基を有するものであればいかなる化合物を用いても良
い。
【0036】分子内にエポキシ基を2個以上有する化合
物は特に限定されないが、例えば、分子内に水酸基を有
する化合物から得られるグリシジルエーテル型エポキシ
樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物から得られるグ
リシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル
基を有する化合物から得られるグリシジルエステル型エ
ポキシ樹脂、分子内に不飽和結合を有する化合物から得
られる環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシ
アネートなどの複素環式エポキシ樹脂、あるいはこれら
から選ばれる2種類以上のタイプが分子内に混在するエ
ポキシ樹脂などを用いることができる。
【0037】グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体
例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの
ようなハロゲン含有エポキシド類との反応により得られ
るビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF
と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られ
るビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルと前記
ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビフ
ェニル型エポキシ樹脂、レゾルシノールと前記ハロゲン
含有エポキシド類との反応により得られるレゾルシノー
ル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSと前記ハロゲン含
有エポキシド類との反応により得られるビスフェノール
S型エポキシ樹脂、多価アルコール類と前記ハロゲン含
有エポキシド類との反応生成物であるポリエチレングリ
コール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エ
ポキシ樹脂、ビス−(3,4−エポキシ−6−メチル−
ジシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキ
シシクロヘキセンエポキシドなどの不飽和結合部分を酸
化して得られるエポキシ樹脂、その他ナフタレン型エポ
キシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびこれらのハロ
ゲンあるいはアルキル置換体などが挙げられる。
【0038】中でも、コードの柔軟性の観点から、環状
構造を有しない脂肪族系エポキシ樹脂が好ましく、グリ
セロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグ
リシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシ
ジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポ
リプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど多価
アルコール類とエピクロロヒドリンとの反応物が好まし
く用いることができる。
【0039】とりわけ、グリセロールポリグリシジルエ
ーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルは、耐疲
労性の向上に特に効果的であり、好ましく用いられる。
【0040】本発明で用いるエポキシ樹脂は、エポキシ
当量が50〜500、好ましくは70〜400、さらに
好ましくは100〜300であるのがよい。50未満で
あると、この処理液を炭素繊維に含浸してなるコードが
剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じ
やすく、結果として耐疲労性が低下する。500を超え
るとコードとゴム基材との接着性が不十分になることが
ある。複数種のエポキシ樹脂を用いる場合は、その中の
少なくとも1種類のエポキシ樹脂についてエポキシ当量
が上記範囲を満たすことが好ましく、使用するエポキシ
樹脂の全てが上記範囲であることがより好ましい。
【0041】エポキシ樹脂は、樹脂組成物100重量%
中、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%、
より好ましくは40〜60重量%含まれているのが良
い。20重量%未満であると、ゴム界面においてコード
との接着性が不足することがあり、80重量%を越える
と、コードの柔軟性が低下し、耐疲労性が不足すること
がある。
【0042】本発明では、コード/ゴム基材の接着性を
さらに向上させるため、レゾルシン・ホルマリン・ゴム
ラテックス(以下、RFL)をコード表面に付着させる
ことが好ましい。つまりは、コード表層にRFL層を有
することが好ましい。ここで「コード表面に付着させ
る」或いは「コード表層にRFL層を有する」とは、コ
ードの全断面積の10%に相当する外周部面積内に全R
FLの90%以上が偏在している状態を表す。コード/
ゴム基材界面にRFLを偏在することにより、さらにコ
ード/ゴム基材界面の接着性を高めるものである。
【0043】ゴム補強用コードの表面にRFLを偏在さ
せる方法は特に限定されないが、炭素繊維束に対し、処
理液を含浸せしめてコード形状の材料とした前記ゴム補
強用コードの表面にさらにRFLを付与する方法をとる
こともできる。
【0044】例えば、次のような方法により製造するこ
とができる。すなわち、炭素繊維束を前記樹脂組成物を
含む処理液槽を通過させた後、加熱乾燥し、次いで、R
FLを含む処理液槽を通過させた後、さらに加熱乾燥炉
内を通過させ、コード中の水分を除去する方法である。
【0045】尚、ゴム補強用コードに含まれる全RFL
の付着量は、炭素繊維束100重量部に対して、乾燥後
に好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15
重量部、特に好ましくは3〜10重量部であるのがよ
い。1重量部未満であると、コード/ゴム基材界面の接
着性が低下することがあり、20重量部を超えると、コ
ードの柔軟性が低下することやコード作製プロセスにお
いてロールへの付着(ガムアップ)が生じ、品質安定性
が損なわれることがある。
【0046】RFLの製造方法は特に限定されないが、
レゾルシンとホルマリンを初期縮合させたものを使用し
て調製することができる。特にアルカリ触媒下で初期縮
合して得たレゾルシン・ホルマリン初期縮合物を用いて
RFLを好ましく調製することができる。例えば、水酸
化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性
水溶液内に、レゾルシンとホルマリンを添加混合して、
室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを
初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマル
ジョンとする方法により調製される。
【0047】レゾルシン・ホルマリン初期縮合物は、レ
ゾルシンとホルマリンのモル比が好ましくは1:0.3
〜1:5、さらに好ましくは1:0.75〜1:2.0
の範囲のものを用いることができる。この範囲をはずれ
ると、コード/ゴム基材界面の接着性が不十分になるこ
とがある。
【0048】RFL調製に用いるゴムラテックスとして
は、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、イ
ソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、ク
ロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴム
ラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴ
ムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス等の合成
ゴムラテックスを挙げることができる。
【0049】ゴムラテックスの種類は、用いるゴム基材
との相性により適宜選択することができる。例えば、ゴ
ム基材として、天然ゴムを用いる場合には、処理液中の
全ゴム成分100重量%中、ビニルピリジン−スチレン
−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が50
重量%以上を占めることが好ましい。また、ゴム基材と
して、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる場合
には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成
分が、50重量%以上を占めることが好ましい。
【0050】RFLにおけるレゾルシンホルマリン初期
縮合物とゴムラテックスの配合比率は、固形分重量比で
1:3〜1:8であることが好ましく、1:4〜1:6
の範囲であることがさらに好ましい。この範囲を外れる
と接着性が不十分になることがある。
【0051】本発明において、樹脂組成物による炭素繊
維束の処理は、炭素繊維束を樹脂組成物の水分散体(以
後、処理液と呼ぶ)に浸漬した後、熱処理することによ
って行うことが好ましい。この熱処理は、炭素繊維束に
含浸ないしは付着させた樹脂液を定着させるに足る温度
にて行えば良く、通常、100〜270℃にて数分間処
理すれば良い。
【0052】本発明のゴム補強用コードに用いられる前
記処理液は、適度な濃度に調整し、炭素繊維束の処理に
用いることができる。該処理液は、炭素繊維束への含浸
性を高めるために、水を添加して、濃度を調整すること
ができる。ここで、水とはイオン交換水を用いることが
処理液の安定性の向上から好ましい。また、処理液はそ
の濃度が20〜80重量%、好ましくは30〜70重量
が良い。20重量%未満であると、炭素繊維束内部への
樹脂組成物の含浸が不十分となり、耐疲労性が悪化する
ことがある。80重量%を超えると、処理液の保存安定
性が悪くなることがあり、固形分の凝集、沈降がおこる
ためディッピング処理が不可能になることがある。な
お、30〜80重量%濃度の処理液は、その保存安定性
を向上させるため、界面活性剤を混合したものも好まし
く用いられる。界面活性剤が無い場合、比較的高い濃度
(40〜80重量%)の処理液は極端にその保存安定性
が悪くなる場合がある。ここで、処理液の濃度とは、処
理液に含まれる乾燥後の固形分の重量を、乾燥前の処理
液の重量で除した値である。
【0053】界面活性剤を処理液中に混合する場合の調
整手順は、水、エポキシ化合物、界面活性剤を混合し、
エポキシ化合物の均一分散液とし、これをゴムラテック
スに添加、あるいはゴムラテックスに該均一分散液を混
合することが好ましい。さらに、濃度を調整するため、
これら混合液(水、エポキシ化合物、界面活性剤、ゴム
ラテックス)に水を混合してもよい。
【0054】本発明において、処理液による炭素繊維束
の処理は、炭素繊維束を処理液に浸漬した後、熱処理す
ることにより行うことができる。この熱処理は、炭素繊
維束に含浸ないし付着させた処理液の固形分を定着さ
せ、水分を除去するに足る温度にて行えば良く、通常、
100〜270℃にて数分間処理すれば良い。
【0055】また、前述のRFLは水等の溶媒を添加
し、RFL液として用いることが、炭素繊維束上に均一
に付与するという点において好ましい。ここで水として
はRFL液の安定性向上の点からイオン交換水を用いる
ことが好ましい。
【0056】なお、必要に応じてパラクロロフェノール
及びレゾルシンをホルムアルデヒドと共縮合したクロロ
フェノール化合物や、ポリイソシアネート化合物とブロ
ック化合物との付加物であるブロックドイソシアネート
化合物等をRFL液に添加することができる。
【0057】RFL液の濃度は10〜40重量%が好ま
しく、さらには15〜30重量%が好ましい。10重量
%未満であると、RFLの付着量が不十分となり、接着
力が不十分となることがある。RFL液の濃度が40重
量%を超えると、RFL液の保存安定性が悪くなること
があり、固形分が凝集してくるため濃度低下等がおこり
均一にRFLを付着させることが困難となる。ここで、
RFL液の濃度とは、RFL液に含まれる乾燥後の固形
物質の重量を乾燥前のRFL液の重量で除した値であ
る。
【0058】また本発明のゴム補強用コードは、撚りを
掛けられていることが好ましい。その撚り数は100回
/m以下、好ましくは10回/m〜80回/m、より好
ましくは20回/m〜60回/mが良い。100回/m
を超えると、キンクが発生しやすくなり、強力低下、操
業性悪化につながることがある。なお、撚りの付与は、
処理液含浸前、処理液含浸・熱処理後のいずれの工程で
もよいが、処理液の炭素繊維束内部への含浸を促すた
め、開繊状態で処理液を含浸し、熱処理した後に撚りを
付与することがより好ましい。
【0059】また、撚り構造は、一本のコードに撚りを
加えた片撚り構造でもよく、数本のコードにまず下撚り
を加えた後、さらにそれら数本を合わせ、上撚りを加え
るという所謂もろ撚り構造でもよい。
【0060】以上のように処理したゴム補強用コードを
ゴムを含んでなる基材と密着させ、そのゴムを含んでな
る基材において知られている通常の処理条件にて加硫接
着することによつて、炭素繊維とゴムを含んでなる基材
との間に強固な接着を達成することが可能となる。
【0061】本発明の繊維強化ゴム材料は、ゴムを含ん
でなる基材が、前記コードにより補強されてなるもので
ある。
【0062】ここで基材100重量%中、ゴムは50〜
100重量%含まれていることが好ましい。
【0063】基材に含まれるゴムの具体例としては、ア
クリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素
化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴ
ム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピク
ロロヒドリンンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴ
ム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブ
タジエンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴ
ム、ブチルゴム、フッ素ゴム等を使用することができ
る。
【0064】なお、基材には、主成分であるゴム以外
に、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロ
ン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オ
イル等の軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、加工助剤等を
必要に応じて含ませてもよい。
【0065】本発明の繊維強化ゴム材料は、例えば、次
の方法により製造することができる。すなわち、一方向
に引き揃えたコードを、両面からゴムを主成分として含
むシート状の基材で挟み込んだ後、かかるコード/ゴム
複合体をプレス機内で加熱・加圧し、ゴムを加硫させ、
成形する方法である。
【0066】本発明によるゴム材料は、タイヤ、ベル
ト、ホースのいずれにも好適に使用できる。タイヤの場
合、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが特に好適で
ある。また動力伝達ベルトの場合、水素化アクリロニト
リル−ブタジエンゴムの使用が特に好適である。
【0067】こうした基材に用いるゴムの種類に応じ
て、同種のゴム成分を前述のゴム補強用コードに用いる
樹脂組成物中に含有させることが、繊維強化ゴム材料と
して良好な接着性、耐屈曲疲労性を得るために好まし
い。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定され
るものではない。実施例では、コード及び繊維強化ゴム
材料の製造に当たり、次に示す原材料を用いた。 <原材料> (炭素繊維束) ・炭素繊維A:結節強度740MPa、繊度7800d
tex、炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/C)0.
01、200N時伸度0.5%、引張り強度4800M
Pa、無撚糸 ・炭素繊維B:結節強度300MPa、繊度7800d
tex、炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/C)0.
01、200N時伸度0.5%、引張り強度4800M
Pa、有撚糸 ・炭素繊維C:結節強度740MPa、繊度7800d
tex、炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/C)0.
03、200N時伸度0.5%、引張り強度4800M
Pa、無撚糸 ・炭素繊維D:結節強度730MPa、繊度7800d
tex、炭素繊維表面の珪素/炭素比(Si/C)0.
03、200N時伸度0.1%、引張り強度4800M
Pa、解撚糸 (ゴムラテックス) ・ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテック
ス:ニッポール(登録商標)2518FS(日本ゼオン
(株)製)、固形分濃度40.5% ・スチレン−ブタジエンゴムラテックス:ニッポールL
X110(日本ゼオン(株)製)、固形分濃度40.5
% (エポキシ樹脂) ・グリセロールポリグリシジルエーテル:デナコール
(登録商標)EX−313(ナガセ化成工業(株)製) (界面活性剤) ・ポリオキシエチレンひまし油エーテル:GS−2(三
洋化成工業(株)製)また、実施例において炭素繊維束
の評価方法は、次に示す方法で実施した。 <炭素繊維束の結節強度>JIS L1013−198
1に準じて炭素繊維束の結節強度を求めた。
【0069】測定する炭素繊維束に結節をつくり、両端
をチャックに挟み込んで固定した。ここでチャック間の
サンプル長は250mmとし、炭素繊維束の結節が、チ
ャック間の中央部に位置するようにした。
【0070】測定時の温度は25℃、湿度は40%と
し、速度50mm/分で炭素繊維束を引張り、その最大
荷重値を測定した。
【0071】この最大荷重値を炭素繊維束の断面積(=
炭素繊維束の目付け÷炭素繊維束の密度)で除した値を
結節強度とした。
【0072】尚、ここでは、任意に選択した炭素繊維束
についてn=10(右結びと左結びについて各n=5)
の平均値を結節強度値とした。 <炭素繊維束の200N時伸度>JIS L1017−
1995に準じてゴム補強用コードの200N時伸度を
を求めた。
【0073】測定する炭素繊維束をチャックに挟み込ん
で固定した。ここでチャック間のサンプル長は250m
mとした。
【0074】測定時の温度は25℃、湿度は40%と
し、速度50mm/分で炭素繊維束を引張り、200N
の荷重をかけたときの伸度を測定した。
【0075】尚、ここでは、任意に選択した炭素繊維束
についてn=10の平均値を200N時伸度とした。測
定する炭素繊維束が実質的に無撚りの場合にはそのまま
試験を実施したが、撚りを有する炭素繊維束の場合は解
撚したものを試料とした。 <炭素繊維表面分析> (1)Si/C:表面の珪素/炭素比Si/CはX線光
電子分光法により求めた。X線源としては、MgKα
1,2を用いた。
【0076】本実施例では、溶媒でサイジング剤などを
除去した炭素繊維束をカットしてステンレス製の試料支
持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90°と
し、試料チャンバー内の真空度を1×10-8Torrとし
た。
【0077】尚、測定時の帯電に伴うピークの補正とし
て、まずC1Sの主ピークの結合エネルギー値を284.6 eV
に合わせた。C1Sピーク面積は、282〜296 eVの範囲で
直線のベースラインを引くことにより求め、Si2Pピー
ク面積は、94 〜 114eVの範囲で直線のベースラインを
引くことにより求めた。
【0078】表面の珪素/炭素比Si/Cは、上記Si
2Pピーク面積とC1Sピーク面積の比を、装置固有の感度
補正値で割ることにより算出した原子数比で表した。
【0079】なお、本実施例では島津製作所(株)製E
SCA−750を用いて測定をX線光電子分光法による
測定を行い、上記装置固有の感度補正値は0.81とし
た。 <単繊維の断面形状>単繊維の断面形状は走査型電子顕
微鏡により断面観察し確認した。本実施例では、測定す
る炭素繊維を繊維軸と垂直な方向からカミソリにより切
断し、その断面を走査型電子顕微鏡により、倍率1万
倍、加速電圧15kVの条件下で写真撮影した。
【0080】得られた断面写真に外接する円と内接する
円をそれぞれ描き、外接円の半径(R)と内接円の半径
(r)の比(=R/r)を、単繊維の断面変形度とし
た。
【0081】尚、ここでは、任意に選択した5本の炭素
繊維束について、断面変形度を求め、n=5の平均値を
用いた。 <炭素繊維束の引張強度>JIS R7601に従って測定し
た。なお、引張試験片は、次の樹脂組成物を炭素繊維束
に含浸し、130℃、35分の条件で加熱硬化させて作製し
た。
【0082】樹脂組成:3,4−エポキシシクロヘキシ
ルメチル−3,4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボ
キシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチ
ルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部) 本実施例では、ゴム補強用炭素繊維コードの作製および
その特性の測定は以下の方法で行った。 <コード作製>炭素繊維束を10m/分の速度で搬送
し、処理液が含まれる処理液槽(1浴目)を通過させた
後、200℃の加熱炉内を通過させ、水分を除去した。
【0083】次いで、RFL液が含まれる処理液槽(2
浴目)を通過させた。エアーワイパー圧9.8kPaの
条件で液きりを行い、200℃の加熱炉内を通過させ、
水分を除去し、ゴム補強用コードを得た。
【0084】尚、乾燥後コードの1浴目処理液の固形分
付着量、2浴目RFLの固形分付着量は、炭素繊維束1
00重量部に対して、それぞれ40重量部、5重量部を
目安とした。
【0085】ここで、本実施例では炭素繊維を処理液槽
において浸漬する際に炭素繊維を搬送する装置として、
コンピュートリーターシングルディッピングマシン(米
リッツラー社製)を用いた。
【0086】また、各実施例では、表1に示す組成の繊
維用処理液を1浴目の処理液として用い、表2に示す組
成のRFLを2浴目の処理液として用いた。 <処理液固形分付着量>処理液固形分付着量の測定は、
一定長さあたりの炭素繊維束の重量を予め測定してお
き、処理液含浸、熱処理後の同一長さのコード重量を測
定することで、差分としての処理液固形分付着量(部)
を計算した。 <ゴム基材/コード接着性>ゴム基材/コードの接着性
は下記の通り、室温乾燥状態と、吸湿高温状態の2
種の条件下で剥離接着力を測定することで求めた。
【0087】尚、本実施例では、試験片としてゴムを含
んでなる基材(ゴムシート:幅25mm、長さ230m
m、厚さ4mm)の表層近くに7本のコードを並行に埋
めこみ(コード中心間の間隔3mm)、150℃、30
分間、20kg/cm2のプレス圧で加硫することで得
た繊維強化ゴム材料を使用した。ここで、ゴムを含んで
なる基材として表3に示す組成のゴムシートを使用し
た。 室温乾燥条件:試験片である繊維強化ゴム材料中に埋
め込んだ7本のコードの内、偶数番のコード3本をゴム
シートから速度100mm/minで剥ぎ取るのに要し
た力(剥離接着力)をN/本で表した。 吸湿高温条件:でプレス加硫した試験片をガーゼに
入れて155℃、30分、蒸気圧4kg/cm2のスチ
ーム処理した後、室温で上記と同様の条件で剥離接着
力を測定した。 <ゴム補強用コードの耐屈曲疲労性>JIS L101
7に記載のグッドイヤ法に準じ、チューブ試験片を用い
てチューブが破壊に至るまでの時間(破壊寿命)を測定
し、これを耐屈曲疲労性の指標とした。
【0088】本実施例では、表3の組成のシート状のゴ
ム基材をドラムに捲回し、その上から、各実施例のゴム
補強用コードを55本/10cmの間隔で捲回し、さら
に、その上から、同一のシート状のゴム基材を捲回し
た。
【0089】こうして得たゴム基材/コード/ゴム基材
の3層体をドラムから脱型してマンドレルに巻き付けチ
ューブ状とした。さらに、プレス機内で、ゴムを温度1
60℃、圧力9.8MPa、時間30分の条件で加硫さ
せ、チューブ試験片を作製した。こうしてゴムチューブ
の軸方向とコードの配向が一致した繊維強化ゴム材料
(外径27mm、内径13mm、長さ24cm)を得
た。
【0090】前記繊維強化ゴム材料の中央部を90゜に
折り曲げ、チューブ内に圧力0.3MPaの空気を送り
込み、温度25℃の雰囲気中でチューブの両端を同一方
向に850回/分の速さで回転させ、チューブが破壊に
至るまでの時間(破壊寿命)を測定した。 <ゴム補強用コードの200N時伸度>JIS L10
17−1995に準じてゴム補強用コードの200N時
伸度をを求めた。
【0091】測定するゴム補強用コードをチャックに挟
み込んで固定した。ここでチャック間のサンプル長は2
50mmとした。
【0092】測定時の温度は25℃、湿度は40%と
し、速度50mm/分でゴム補強用コードを引張り、2
00Nの荷重をかけたときの伸度を測定した。
【0093】尚、ここでは、任意に選択したゴム補強用
コードについてn=10の平均値を200N時伸度とし
た。 (実施例1〜4、比較例1〜7)前述の方法に従い、処
理液、ゴム補強用コードおよび繊維強化ゴム材料を得
た。
【0094】各実施例で用いた処理液の組成は表1に、
RFLの組成は表2に、シート状ゴム基材の組成は表3
に示した。ゴム補強用コードとゴム基材間の接着力、耐
屈曲疲労性の指標であるチューブ破壊寿命の評価結果に
ついては表4にまとめて示した。
【0095】表4に示す評価結果から判るように、本発
明によるゴム補強用コードは、屈曲変形の繰り返しに対
して、従来になく極めて優れた耐疲労性を発現している
ことが判る。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、高弾性率・高強度かつ
極めて優れた耐屈曲疲労性を発現する繊維強化ゴム材料
が得られる。また、本発明による繊維強化ゴム材料は、
タイヤ、ベルト、ホース等の各種ゴム材料に特に好適に
使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 21:00 C08L 21:00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結節強度が500MPa以上の炭素繊維束
    に、ゴムを含む樹脂組成物が炭素繊維束100重量部に
    対して30〜80重量部含浸されてなることを特徴とす
    るゴム補強用コード。
  2. 【請求項2】200Nの荷重がかけられた際の伸度が
    0.3〜1.2%である請求項1記載のゴム補強用コー
  3. 【請求項3】X線光電子分光法により測定される炭素繊
    維束表面の珪素/炭素比(Si/C)が0.02以下で
    あることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の
    ゴム補強用コード。
  4. 【請求項4】前記炭素繊維束の引張強度が4000MP
    a以上である請求項1〜3のいずれかに記載のゴム補強
    用コード。
  5. 【請求項5】前記炭素繊維束を構成する単繊維の断面形
    状が、実質的に真円状である請求項1〜4のいずれかに
    記載のゴム補強用コード。
  6. 【請求項6】前記炭素繊維束の繊度が2000〜100
    00dtexであることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかに記載のゴム補強用コード。
  7. 【請求項7】前記樹脂組成物100重量%中のゴム成分
    が、20〜80重量%であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載のゴム補強用コード。
  8. 【請求項8】前記樹脂組成物100重量%中に、エポキ
    シ樹脂が20〜80重量%含有されてなる請求項1〜7
    のいずれかに記載のゴム補強用コード。
  9. 【請求項9】前記ゴム補強用コードが、その表面がRF
    Lで被覆されているものである請求項1〜8のいずれか
    に記載のゴム補強用コード。
  10. 【請求項10】前記炭素繊維束100重量部に対して、
    前記RFLが1〜20重量部付着している請求項1〜9
    のいずれかに記載のゴム補強用コード。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載のゴム
    補強用コードを用いて、ゴム材料が補強されていること
    を特徴とする繊維強化ゴム材料。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010055877A1 (ja) * 2008-11-12 2010-05-20 株式会社ブリヂストン 接着剤組成物
JP2017179634A (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 帝人株式会社 ゴム補強用炭素繊維コード

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