JP5680055B2 - 固定化生体分子のための組成物の安定化 - Google Patents

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Description

本発明は、固体担体上に固定化された生体分子を安定化するための(a)少なくとも三つの異なるアミノ酸、(b)少なくとも二つの異なるアミノ酸およびサポニンまたは(c)少なくとも一つのジペプチドまたはトリペプチドを含む組成物の使用に関する。本発明はさらに、本発明に従う組成物中に生体分子を包埋することを含む、安定化された生体分子を作製する方法、およびそれらに結合された生体分子を有する固体担体を作製する方法にも関する。本発明はさらに、本発明の方法により作製可能な固体担体または作製された固体担体、および本発明の担体を使用する疾患の診断方法にも関する。
本明細書において、特許出願および製造者のマニュアルを含む多数の文献が引用されている。これらの文献の開示は、本発明の特許性に関連していると考えられなくとも、その全体を参考文献として本明細書中に援用する。より具体的には、すべての参照された文献は、本明細書中に援用されるものとして各個々の文献が具体的および個別に示されているように、同じ程度で本明細書中に援用される。
例えば、診断および治療用途におけるタンパク質様抗体などの固定化生体分子について作業する場合、一つの主要課題は生体分子の活性を維持することである。しかしながら、生体機能的分子の化学的、物理的または生理的特性は、化合物を取り囲んでいる環境の変動によりしばしば著しく変化するので、このことは難しい問題である。例えば、pH、イオン強度、温度または貯蔵における変化は、化合物の特性の可逆的または不可逆的変化を生じさせることができる。特に、例えば、長期貯蔵、輸送または滅菌手順などのストレスにさらされる生体分子は、活性の喪失を防止するために安定化されていなければならない。
臨床免疫診断学のためには、診断アッセイで使用される固定化生体分子の十分な安定化が、‘EUインビトロ診断ガイドライン’(IVDD 98/79/EC)に従った製品の市場投入に必要とされる。
固定化生体分子を含有する埋込み型医療用装置は、例えば、体内のインプラントの位置に依存して、体の組織に存在するさまざまな種類の生物学的作用剤(例えば、酸、塩基、イオンなど)に曝露される。これらの剤のいくつかは、装置の生体分子を分解することができ、損傷さらには装置不全を導く。
従って、固定化生体分子配合物を含有する市販の担体または装置は、生体分子を分解から保護するために糖(例えば、トレハロース)および/または血清由来タンパク質(例えば、アルブミン)などの安定化剤を含有する(Polifke T. & Rauch P, Laborwelt(2007) Vol.6,pp1-4)。
血清由来タンパク質を含有する安定化剤は、それらの安定化効果に加えて、それらは非特異的結合を防止するブロッキング剤としても機能する。しかしながら、アルブミンなどはヒトまたは動物起源であるので、それらは病原体など、例えばウイルスまたはプリオンを含有しているかもしれない。従って、これらの病原体を除去するために、複雑なコストおよび時間集約的な精製方法を適用する必要がある。
滅菌または長期貯蔵などのストレス間に固定化生体分子への損傷を防止するための従来の方法の別の欠点は、これらの方法が前記生体分子は冷凍されていることを必要とすることである(US 5,730,933;Cleland J.L.et al., Journal of Pharmaceutical Sciences(2001) Vol.90,No.3,pp.310-321)。例えば、US 5,730,933は、抗体を滅菌するための方法を開示しており、それによると、これらの抗体の活性は、滅菌の間にそれらを凍結することにより保持することができる。しかしながら、凍結はそれらの生物機能性に影響できる生体分子の立体構造変化を導くことができ、そして固定化生体分子の作製においてのさらなる工程をもたらし、追加の費用を発生させる。さらに、安定化組成物は動物由来である血清タンパク質様アルブミンを含有し、それ故、それらの中に潜伏する生体分子が夾雑しているリスクを負っている。
US 5,730,933
Polifke T. & Rauch P, Laborwelt(2007) Vol.6,pp1-4 Cleland J.L.et al., Journal of Pharmaceutical Sciences(2001) Vol.90,No.3,pp.310-321
従って、治療および診断で使用される固定化生体分子を安定化し及び保護するための改善された方法および手段についての要求が存在する。それ故、本発明の目的は、現技術水準の欠点を回避する生体分子の安定化のための方法および手段の規定である。
従って、本発明は固体担体上に固定化された生体分子の安定化のための、少なくとも二つの異なるアミノ酸を含む組成物の使用に関する。
特に、本発明は、固体担体上の生体分子を安定化するための、(a)少なくとも三つの異なるアミノ酸、(b)少なくとも二つの異なるアミノ酸およびサポニンおよび/または(c)少なくとも一つのジペプチドを含む組成物の使用に関する。
本発明に従って使用される組成物は、意図される使用または状態に応じて液体または固体であることができる。後述のような本発明に従う坦体上に結合された生体分子を覆っている組成物および/または包埋している組成物は、一般に固体であるが、一方、また後述のような本発明の担体を作製する方法において、組成物は通常液体である。組成物の液体部分の除去および/または乾燥後、後述のような本発明に従う坦体上に結合された生体分子を覆っている組成物および/または包埋している組成物は、再び固体である。もし組成物が液体であるならば、水性であるのが好ましい。
図面は以下のことを示す:
生体分子、例えば抗体は、好ましくは、スペーサーまたはリンカー分子の使用により、固体担体へ接着される。抗体はポストコーティング溶液により包埋され、それにより照射などのストレス影響から保護される。 アミノ酸ポストコーティングの保護効果は使用された異なるアミノ酸の数とともに増加した(アミノ酸に依存せず)。アミノ酸は以下の群の代表として選択した:芳香環/正に荷電された/負に荷電された/極性非荷電/非極性脂肪族、の側鎖を有するアミノ酸。5個の異なるアミノ酸から成るポストコーティングでは、25kGyの線量で照射後、非照射対照と比較して約65%の抗原結合能力が維持された;加速エージング過程(45℃で7日間)後、未処理対照と比較して抗原結合能力の約85%が維持された。 アミノ酸ポストコーティングの保護効果は使用された異なるアミノ酸の数とともに増加した(アミノ酸に依存せず)。アミノ酸は以下の群の代表として選択した:芳香環/正に荷電された/負に荷電された/極性非荷電/非極性脂肪族、の側鎖を有するアミノ酸。5個の異なるアミノ酸から成るポストコーティングでは、25kGyの線量で照射後、非照射対照と比較して約65%の抗原結合能力が維持された;加速エージング過程(45℃で7日間)後、未処理対照と比較して抗原結合能力の約85%が維持された。 アミノ酸ポストコーティングの保護効果は、5個以上にアミノ酸の数を増加させてもさらには増強されなかった。25kGyの線量で照射後、非照射対照と比較して、5個より多くのアミノ酸を含有するすべてのポストコーティングで約70%抗原結合能力が維持された;加速エージング後(45℃で7日間)、約85%が維持された。 アミノ酸ポストコーティングの保護効果は、5個以上にアミノ酸の数を増加させてもさらには増強されなかった。25kGyの線量で照射後、非照射対照と比較して、5個より多くのアミノ酸を含有するすべてのポストコーティングで約70%抗原結合能力が維持された;加速エージング後(45℃で7日間)、約85%が維持された。 アミノ酸の組合せは、非滅菌対照と比較して、それぞれ65%(4個のアミノ酸)、85%(8個のアミノ酸)の保護効果を示し、一方、単一アミノ酸の平均効果は、それぞれ22%(4個のアミノ酸)、33%(8個のアミノ酸)の抗原結合能力であった。単一アミノ酸の最大効果は、それぞれ28 %(4個のアミノ酸)、55%(8個のアミノ酸)である。 アミノ酸の組合せは、非滅菌対照と比較して、それぞれ65%(4個のアミノ酸)、85%(8個のアミノ酸)の保護効果を示し、一方、単一アミノ酸の平均効果は、それぞれ22%(4個のアミノ酸)、33%(8個のアミノ酸)の抗原結合能力であった。単一アミノ酸の最大効果は、それぞれ28 %(4個のアミノ酸)、55%(8個のアミノ酸)である。 アミノ酸ポストコーティングへの1mMグリチルリチン酸の添加は、すべてのポストコーティングの保護効果を70〜80%の最大値まで増強する(非照射対照と比較した抗原結合能力)。 5個の異なるアミノ酸(200mM)および1mMグリチルリチン酸から成るアミノ酸ポストコーティングは、それぞれ、未処理対照と比較して、照射後(25kGy)に80%の抗原結合能力および加速エージング過程後に85%の保護効果を示す。アルブミンおよびマンニトールから成るポストコーティングは、照射後(25kGy)65%のみの残存活性しか示さなかった。45℃で7日間の加速エージング後、アルブミンおよびマンニトールでは、いずれのポストコーティングもない対照と同様に、ほとんど残存活性がなかった。 18個のアミノ酸の混合物を、特異的抗原−抗体相互作用を阻害することなしに、ELISAプレートへの非特異的結合をブロックするために使用した。ブロッキング効率は、標準アルブミンブロッキングに匹敵する。 18個の異なるアミノ酸(20g/l)および0.25mMグリチルリチン酸から成るアミノ酸ポストコーティングは、照射後(25kGy)、未処理対照と比較して83%のDNAse活性の保護効果を示した。アルブミンおよびマンニトールから成るポストコーティングは、照射後(25kGy)、95%の残存活性を示した。 18個の異なるアミノ酸(PBS中20g/l)から成るアミノ酸ポストコーティングは、未処理対照の抗原結合能力と比較して、それぞれ、照射後(25kGy)85%および加速エージング過程後90%の保護効果を示した。アミノ酸ポストコーティングへの1mMグリチルリチン酸の添加は、未処理対照の抗原結合能力と比較して、それぞれ、照射後(25kGy)は92%および加速エージング過程後は95%の保護効果を示した。 18個の異なるアミノ酸(PBS中20g/l)から成るアミノ酸ポストコーティングは、55%〜60%の保護効果を示した。ポストコーティングなしでは、無傷のdsDNAの量は20%に減少し、アルブミンおよびマンニトールでは85%が保存された。 凍結乾燥および滅菌後の抗肝炎抗体を保護するために使用されたアミノ酸組成物の抗A型肝炎試験(機能性ELISA)。 サポニンの構造クラスはアミノ酸併用の保護効果を増強する可能性を有する。 グリチルリチン酸を添加した少なくとも3個のアミノ酸の併用および2個のアミノ酸の併用は、50kGyのベータ線照射で滅菌した場合、固定化抗体の最大保護を提供する。 アミノ酸組成物は、異なるストレス条件下で保護を提供する。最高の保護が、異なる線量でのベータ線照射、および温度上昇下での人工的エージングについて提供される。ガンマ線照射またはエチレンオキシド滅菌法ではより少ないが、なお有意義である。 少なくとも5個のアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは長期貯蔵間の保護を提供する。非滅菌サンプルについては、45℃で62日後、約80%の抗原結合能力が温存された。滅菌サンプル(ベータ線、25kGy)では、45℃で62日後、それらの抗原結合能力の約70%を維持した。2個のみのアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、滅菌に関わらず、貯蔵プロセスの間に約40%のみの抗原結合能力しか維持しなかった。ポストコーティングなしでは、20〜30%のみの活性しか保存されなかった。 少なくとも5個のアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは長期貯蔵間の保護を提供する。非滅菌サンプルについては、45℃で62日後、約80%の抗原結合能力が温存された。滅菌サンプル(ベータ線、25kGy)では、45℃で62日後、それらの抗原結合能力の約70%を維持した。2個のみのアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、滅菌に関わらず、貯蔵プロセスの間に約40%のみの抗原結合能力しか維持しなかった。ポストコーティングなしでは、20〜30%のみの活性しか保存されなかった。 ポストコーティング溶液への1mMグリチルリチン酸の添加は保護効果を強化する。少なくとも5個のアミノ酸およびグリチルリチン酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、長期貯蔵間に保護を提供する。非滅菌サンプルについては、45℃で62日後、約90%の抗原結合能力が保存された。滅菌サンプル(ベータ線、25kGy)は、45℃で62日後、それらの抗原結合能力の約80%を維持した。2個のアミノ酸およびグリチルリチン酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、滅菌に関わらず、貯蔵プロセスの間に約70%の抗原結合能力が維持された。ポストコーティングなしでは、20〜30%のみの活性しか保存されなかった。 ポストコーティング溶液への1mMグリチルリチン酸の添加は保護効果を強化する。少なくとも5個のアミノ酸およびグリチルリチン酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、長期貯蔵間に保護を提供する。非滅菌サンプルについては、45℃で62日後、約90%の抗原結合能力が保存された。滅菌サンプル(ベータ線、25kGy)は、45℃で62日後、それらの抗原結合能力の約80%を維持した。2個のアミノ酸およびグリチルリチン酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、滅菌に関わらず、貯蔵プロセスの間に約70%の抗原結合能力が維持された。ポストコーティングなしでは、20〜30%のみの活性しか保存されなかった。 ガンマ線照射で滅菌したサンプルは、18個のアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングで保護した場合、約85%の活性を維持し;この効果はグリチルリチン酸でさらには増強されず;5個のアミノ酸では残存活性は75%であり;2個のアミノ酸では40%のみを維持した。2個のアミノ酸での保護はグリチルリチン酸の添加により改善し、残存活性は65%である。ETOで滅菌したサンプルは、18個のアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングで保護した場合、約85%の活性を維持し;この効果はグリチルリチン酸でさらには増強されない。5または2個のアミノ酸で保護した場合、ほとんど保護効果を有せず;グリチルリチン酸の添加はわずかに保護を増強する。 アミノ酸、ジペプチドまたはそれらの混合物、任意にグリチルリチン酸と一緒のアミノ酸ポストコーティング。 バイアルそれ自体が担体である例が示されている。最初に、乾燥により生体分子を担体に接着させた。続いて、安定化剤溶液を添加し、そして同様に乾燥させた。生体分子(ここでは、インターロイキン8=IL-8)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。示されているのは、ヒト好中性顆粒球に対するIL-8の走化活性である。 バイアルそれ自体が担体である例が示されている。最初に、乾燥により生体分子を担体に接着させた。続いて、安定化剤溶液を添加し、そして同様に乾燥させた。生体分子(ここでは、インターロイキン8=IL-8)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての加速貯蔵(45℃)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。示されているのは、ヒト好中性顆粒球に対するIL-8の走化活性である。 バイアルそれ自体が担体である例が示されている。最初に、乾燥により生体分子を担体に接着させた。続いて、安定化剤溶液を添加し、そして同様に乾燥させた。生体分子(ここでは、dsDNA)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の一部を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。示されているのは、初期値のパーセントでの検出可能DNA量である。 安定化剤それ自体が担体である例が示されている。生体分子および安定化剤溶液を添加し、一緒に乾燥した。生体分子(ここでは、インターロイキン8=IL-8)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。示されているのは、ヒト好中性顆粒球に対するIL-8の走化活性である。 安定化剤それ自体が担体である例が示されている。生体分子および安定化剤溶液を添加し、一緒に乾燥した。生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての貯蔵および/または滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。示されているのは、抗原への特異的結合である。 生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)の生物学的活性に対する異なる脱離溶液の影響。0.5M H2SO4を除いて、この実験で試験された他の脱離溶液は、生体分子の生物学的活性に有意な影響を与えなかった。示されているのは、抗原への特異的結合である。 生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)の脱離は、生体分子を開放多孔性ポリウレタンフォーム(供給元 A、ラージポア)へ接着させた後に試験した。クエン酸緩衝液pH4.75および1M NaClが少量の生体分子しか脱離させなかった一方、有意により多くの生体分子を、それぞれ、1M NaCl+0.02Mイミダゾールおよびリン酸緩衝食塩水で脱離できた。示されているのは、抗原への特異的結合である。 生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)の脱離は、生体分子を開放多孔性ポリウレタンフォーム(供給元 B、スモールポア)へ接着させた後に試験した。0.02Mイミダゾールの有無にかかわらず、クエン酸緩衝液pH4.75およびリン酸緩衝食塩水は1M NaClよりも少しだけ良く脱離した。示されているのは、抗原への特異的結合である。 生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)の脱離は、生体分子を開放多孔性ポリウレタンフォーム(供給元Smith&Nephews、スモールポア)へ接着させた後に試験した。生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての貯蔵および/または滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。抗体の回収は、ほとんど100%(5μg/ml)である。示されているのは、抗原への特異的結合である。 生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)の脱離は、生体分子をPVA−ヒドロゲルへ接着させた後に試験した。生体分子は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての貯蔵および/または滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。抗体の回収率は非常に高かった。示されているのは、抗原への特異的結合である。 例示の切断可能リンカーの化学的構造。 例示の切断可能リンカーの化学的構造。
アミノ酸は、カルボキシルおよびアミノ官能基を有する有機分子として定義される。それらはタンパク質の必須構成要素である。本発明に関連して、用語“アミノ酸”は、お互いに結合されてジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチドまたはタンパク質などのオリゴまたはポリマーを形成していない遊離アミノ酸のことをいう。
安定化組成物中に含有されているアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸ならびに人工アミノ酸またはそれらの誘導体から選択することができる。天然に存在するアミノ酸とは、例えば、タンパク質を構成する20のアミノ酸:グリシン、プロリン、アルギニン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸(本発明に関連して、用語アスパラギン酸およびグルタミン酸はこれらのアミノ酸の塩も含む)、グルタミン、システイン、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、メチオニン、セリン、バリン、チロシン、スレオニンおよびトリプトファンである。他の天然に存在するアミノ酸は、例えば、カルニチン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ホモシステイン、シトルリン、ヒドロキシリジンまたはベータ−アラニンである。
アミノ酸の誘導体は、例えば、N−アセチル−トリプトファン、ホスホノセリン、ホスホノスレオニン、ホスホノチロシン、メラニン、アルギニノコハク酸およびそれらの塩またはDOPAである。人工アミノ酸は、異なる側鎖長および/または側鎖構造を有するアミノ酸および/またはアルファ−C原子と異なった部位にアミノ基を有するアミノ酸である。
本発明の文脈において、用語“安定化 ”は、(固定化)生体分子の構造および/または活性の安定化、生体分子の貯蔵寿命の延長および/またはストレスに対する生体分子の保護を生じる、本発明に従って使用される組成物の何らかの効果に関する。このことは、有意な程度に保持されている生体分子の生物学的活性を生じる。
本発明に関連して使用される用語“ストレス”は、用語“ストレス仲介損傷”と互換的に使用され、生体分子の活性の喪失を生じるいずれかの環境的影響に関する。ストレス要因の例は、加熱、乾燥または、後述の滅菌法により誘導される放射線照射などの放射線照射である。別のストレス要因は化学的環境である。例えば、滅菌に使用されるエチレンオキシドなどのガスは、生体分子の活性の喪失に寄与することができる。
用語“生物学的活性”は、生体分子の天然に存在する活性に関する。生物学的活性は具体的生体分子に依存し、他の(生体)分子への結合親和性または触媒活性を含む。抗体の生物学的活性は、例えば、その抗原の特異的結合を必要とする。核酸プローブの生物学的活性は、例えば、相補的である核酸標的に特異的にハイブリダイズするその能力を必要とする。この関連で、用語“有意な程度に保持されている”とは、ストレスに曝露されていない(固定化)生体分子と比較して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、および最も好ましくは少なくとも80%の、ストレスに曝露された(固定化)生体分子に残存する生物学的活性を意味する。
用語“生体分子”は、タンパク質またはペプチド、炭水化物および核酸などの、好ましくは生分解性の重合体分子、ならびに一次代謝産物、二次代謝産物および天然産物などの小分子を含む、生体により産生できるまたは生体により産生されるいずれかの有機分子を記述する。用語“生体分子”は、生体から単離することができる天然の分子を含むだけでなく、合成的に、半合成的にまたは組換え的に産生される天然に存在する分子または人工的な分子も含む。人工分子は、例えば、導入された改変を有する、天然に存在する分子から誘導されたものである。上述のクラスに属しているもの以外の生分解性重合体分子は、リグニンおよびポリヒドロキシルアルカノエート(天然重合体)、およびポリアルキレンエステル、ポリ乳酸およびその共重合体、ポリアミドエステル、ポリビニルエステル、ポリビニルアルコールおよびポリ酸無水物(人工重合体)である。好ましい生体分子は、医薬的、診断的および/または科学的応用について関係する特性を発揮する。言い換えると、本発明に応用可能な生体分子は、好ましくは生物学的活性を発揮し、そのことがそれらを(1または複数の)薬学的活性剤、(1または複数の)診断薬および/または(1または複数の)研究ツールとして、有用および応用可能にしている。
当業者には、本発明に適用される用語“生体分子”が、真核または原核細胞、組織、ウイルスならびにそれらの断片(例えば、細胞小器官、膜またはカプシド)などの構造内あるいは構造上に含まれている上述の生体分子も含むことが理解されよう。本発明のこの態様において、生体分子は単離形で固体担体に結合することができるか、または前記真核または原核細胞、組織、ウイルスまたはそれらの断片中にあるいは断片上に含まれることができる。もしくは、生体分子を含む構造(好ましくは、それらの表面上に)が、本発明に従う坦体として働くことができる。
本明細書で使用されるように、用語“タンパク質” と互換的に使用される用語“ポリペプチド”は、30個以上のアミノ酸から成るポリペプチドのグループを含む分子のグループを記述する。それらと対照的に、30個までのアミノ酸から成る分子は、“ペプチド”と称される。同様に定義に従うと、用語“ペプチド”は、30個のアミノ酸または未満の長さのタンパク質の断片も記述する。ポリペプチドまたはペプチドは、さらに二量体、三量体およびそれより高次のオリゴマーを形成しても、即ち、1より多くののポリペプチドまたはペプチド分子から成っていてもよい。こうした二量体、三量体などを形成しているポリペプチドまたはペプチド分子は、同一でもあるいは同一でなくてもよい。対応するより高次の構造は、それ故にホモまたはヘテロ二量体、ホモまたはヘテロ三量体などと名付けられる。用語“ポリペプチド”、“タンパク質”および“ペプチド”は、天然に修飾されたポリペプチド/ タンパク質およびペプチドも意味し、ここで該修飾は、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などにより達成される。こうした修飾は、本分野では公知である。
本発明に従う用語“核酸”または“核酸分子”は、cDNAまたはゲノムDNAなどのDNA、およびアンチセンスRNAまたはsiRNAなどのRNAを含む。さらに含まれるのは、DNAまたはRNAの合成または半合成誘導体および混合ポリマーなどの当該技術分野において既知の核酸模倣分子である。こうした核酸模倣分子または核酸誘導体は、ホスホロチオエート核酸、ホスホロアミデート核酸、2’-O-メトキシエチルリボ核酸、モルホリノ核酸、ヘキシトール核酸(HNA)、ロックド核酸(LNA)およびペプチド核酸(PNA)を含む(Braasch and Corey, Chem Biol 2001, 8: 1を参照)。LNAは、リボース環が2’−酸素および4’−炭素間のメチレン結合により制約されているRNA誘導体である。核酸分子は、当業者により容易に認識されるように、追加の非天然または誘導体ヌクレオチド塩基を含有することができる。核酸分子はさらに、リボザイム、アプタマー、プラスミドおよび染色体を含む。核酸分子は、単離形で、またはタンパク質(例えば、ヒストンタンパク質またはリボソームのタンパク質)などの他の生体分子との複合体で、本発明に従って使用することができる。
用語“炭水化物”は、通常アルデヒドまたはケトン官能基の部分ではない各々の炭素原子上に一つ結合された複数のヒドロキシル基を有するアルデヒドまたはケトンである有機化合物に関する。分子の長さに依存して、炭水化物はモノ、オリゴまたはポリサッカリドと称される。炭水化物が非炭水化物分子に結合されると、生じた分子は配糖体と称される。修飾炭水化物は、例えば、N−アセチルエステル、カルボキシル又はスルフェート側鎖を有し、グルクロン酸、イズロン酸、ガラクトサミン、グルコサミンを含有することができる。
好ましい生体分子は、タンパク質、ペプチド、核酸及びそれらの誘導体、炭水化物およびそれらの誘導体、ならびに脂質および脂肪酸、多価アルコールおよびそれらの組み合わせまたは修飾物である。タンパク質の例は、抗体またはそれらの結合特異性を保持するそれらの断片、酵素、受容体、膜タンパク質(任意にそれらの膜貫通ドメインなしで)、増殖因子、アルブミン、グロブリン、サイトカイン、輸送タンパク質、血液凝固因子およびタンパク質ホルモンである。代表的な炭水化物は、アミロペクチン、グリコーゲン、デンプン、アルファ−およびベータ−グルカン、デキストランおよびグリコサミノグリカン様ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸および配糖体などのそれらの誘導体である。
特に好ましいタンパク質は、抗体またはそれらの結合特異性を保持するそれらの断片である。本発明において適用可能な抗体は、例えば、ポリクローナルまたはモノクローナルであることができる。用語“抗体 ”は、まだそれらの結合特異性を保持している抗体の誘導体も含む。抗体の断片には、中でも、Fab断片、F(ab’)2またはFv断片が含まれる。抗体およびそれらの断片を作製するための技術は当該技術分野では公知であり、例えば、Harlow and Lane “ Antibodies, A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988およびHarlow and Lane “Using Antibodies: A Laboratory Manual” Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1998 に記載されている。これらの抗体は、例えば、目的とする分子の免疫沈降、または患者の体液から望まれない分子を除去するために使用することができる。
用語“抗体 ”は合成、キメラ、単鎖およびヒト化抗体またはまだそれらの結合特異性を保持している抗体の誘導体なども含む。多様な手順は当該技術分野において既知であり、そのような抗体および/または断片の作製のために使用することができる。さらに、単鎖抗体の作製のために記載されている技術は、目的の分子またはそれらの断片へ特異的に結合する単鎖抗体を産生するために適応できる。また、トランスジェニック動物を、ヒト化抗体を発現するために使用することができる。最も好ましくは、該抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体の作製については、連続細胞株培養により産生される抗体を提供するいずれの技術も使用できる。そのような技術の例には、ハイブリドーマ技術(Kohler and Milstein Nature 256 (1975), 495-497)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor, Immunology Today 4 (1983), 72 )およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Cole et al., Human Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc. (1985), 77-96)が含まれる。BIAcore systemにおいて用いられた表面プラズモン共鳴を、目的の生体分子のエピトープへ結合するファージ抗体の効率を増加させるために使用できる(Schier, Human Antibody Hybridomas 7 (1996), 97-105; Malmborg, J. Immunol. Methods 183 (1995), 7-13)。用語“抗体 ”が、細胞中で発現することができる抗体構築物、例えば、中でもウイルスまたはプラスミドベクターを介してトランスフェトおよび/または遺伝子導入することができる抗体構築物を含むことも、本発明の文脈において予想される。抗体またはそれらの断片が一度得られたら、該抗体それ自身又はそれをコードするDNAを配列決定することができ、抗体またはそれらの断片を小規模または大規模で組換え的に産生するための情報が提供される。組み換え抗体の作製方法は、当業者には既知である。
本分野では公知であるように、抗体またはそれらの誘導体または断片は、さらに化学的に修飾できる。
該抗体はいずれのクラスの抗体でもよい。該抗体はモノクローナルであり、IgG、IgMまたはIgYクラスであるのが最も好適である。IgY抗体は、ニワトリにおけるIgG抗体の類似体を表す。
用語“接着された”または“接着すること” と互換的に使用される用語“固定化された”または“固定化すること”は、担体上への生体分子の固定に関する。前記固定化または接着または固定は、不可逆的でも可逆的でもよい。固定は、担体の材料と生体分子間に形成される共有結合または非共有結合によるものであることができる。代表的な非共有結合には吸着を導くものが含まれる。担体への(一つまたは複数の)生体分子の固定は、当該技術分野水準で既知のいずれの技術によっても実施することができる(例えば、 Hermanson, G.T., Bioconjugate Technique (2008), 第2版を参照)。
該固定は、例えば、固体担体への生体分子の直接的結合により達成することができる。もしくは、該固定は、固体担体を覆っている、スペーサーおよびリンカー分子(例えば、シランまたはビオチン、アビジンまたはストレプトアビジンなどのタンパク質)などの第三の化合物を介した間接的結合によっても達成できる。本発明を通して使用される用語“覆う”とは、固体担体の完全被覆ならびに部分被覆を含む。両方において、結合は共有結合または非共有結合を介した結合であることができる。共有結合は、例えば、生体分子と担体材料間またはスペーサー/リンカー分子と生体分子間の化学反応により達成できる。非共有結合の例には、ファンデルワールス結合または他の極性結合などの弱い結合が含まれる。そのような非共有結合は、例えば、ポリペプチドまたはペプチドとポリエチレン表面を有する固体担体との間で生じる。
好ましい態様において、生体分子は前記固体担体上に可逆的に接着される。用語“可逆的に接着された”とは、担体へ接着されている場合、該生体分子が適した手段により前記担体から放出されることができることと定義される。接着の種類、例えば、接着が共有結合または非共有結合であるかに依存して、生体分子を放出する異なった手段が適用可能である。例は、生体分子がタンパク質の場合におけるプロテアーゼによる切断、pH変化または温度の変化である。生体分子は必要とされるまで担体に接着されており、そしてその時に初めて坦体から放出される。
上述の技術は、固体担体上に生体分子を固定化する、あるいは可逆的に接着させるための単なる例である。本発明はこれらの例に限定されないことを強調しておく。その代わり、当該技術水準で既知のいずれかの従来法を、固体担体上に(一つまたは複数の)生体分子を固定化する、あるいは可逆的に接着させるために適用できる。
生体分子の可逆的接着は、該生体分子が担体から迅速に放出することができるように選択される。このことに関し、用語“迅速”とは、前記生体分子の50%以上(60%、70%または80%など)が1時間、30分または20分など2時間以内に、30分または20分で60%、30分または20分で70%、30分または20分で80%、好ましくは10分以内に85%以上、および最も好ましくは1分以内に98%以上のようないずれかの組み合わせで放出できることを意味する。このことは、例えば、以下に記載されている方法の一つを適用することにより達成できる。さらに、生体分子の可逆的接着は、該生体分子が臨床応用直前に放出されるように、好ましくは選択される。
可逆的接着は、不可逆的接着同様に共有結合または非共有結合であることができる。
好ましくは、非共有結合は高度の親和性および特異性を有する非共有結合である。そのような非共有結合の例は、ストレプトアビジン−ビオチンまたはアビジン−ビオチン系により形成されるものである。この例において、ストレプトアビジン/アビジンは適した坦体に共有結合で結合されている。ビオチン化生体分子が次ぎに非共有結合で、しかし高い親和性でストレプトアビジン/アビジンに結合される。過剰のビオチンを添加することにより、該結合は競合的に抑制され、そしてビオチン化生体分子が放出される。
生体分子はリンカー、好ましくは切断可能リンカーを介して接着することができる。適したリンカーには、限定されるわけではないが、
a)チオール、メルカプタン、システイン、メルカプトエタノールまたはジチオスレイトールなどの-SH基を有する試薬の添加により容易に切断できる、SDAD(NHS-SS−ジアジリン)、SulfoSAND、DSPなどのジスルフィド架橋を有するリンカー
b)特異的プロテアーゼ、好ましくはヒト酵素で切断できる、ペプチド結合を有するリンカー
c)超音波を介して切断可能であるリンカー
d)例えば、ヒドロキシルアミンにより切断できる、エステル結合様EGSを有するリンカー
e)より高いpH(例えば、pH 11.6)で切断できる、スルホン様BSOCOESを有するリンカー
d)メタ過ヨウ素酸ナトリウムにより切断できる、シス−ジオール様DSTを有するリンカー、
が含まれる。
もしくは、生体分子は、本発明の方法に関連して上に示したおよび以下でさらに詳細に記述する、乾燥により可逆的に接着させてもよい。この態様において、可逆的接着は、生体分子および安定化剤として使用された分子(即ち、アミノ酸、記載されているように、サポニンに関連してしてもよいし、および/または少なくとも一つのジおよび/またはトリペプチドに関連してしてもよい)および固体担体を乾燥後に一緒に固着させることにより達成される。生体分子の放出は、上述の化合物への液体の添加により起こり、こうして坦体から生体分子および安定化分子を溶解させる/可溶化させる。
用語“固体担体”は、本発明の文脈において、固体材料の担体を規定する。担体の材料は、緻密構造であっても、または多孔性構造であってもいずれでもよい。本明細書の以下において記載するように、担体は、ガラス、医療用ステンレス鋼、金属合金(例えば、クロム−コバルト−モリブデン、窒化酸素チタン(chrome cobalt molybdenum, titan nitride oxide))、ヒドロキシアパタイト、シリコン、ポリスチレン、ポリ−L−乳酸;ポリウレタン、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリアクリルニトリル、ポリアミド、PMMA、フリースワディング(fleece wadding)、開放多孔質フォームプラスチックまたはガラス、および網状プラスチックまたはガラス、および海綿(海綿動物)由来の構造体からなる群から選択される材料の坦体であることが好ましい。
本発明の過程において、固体担体に固定化された生体分子が、(a)少なくとも三つの異なるアミノ酸(b)少なくとも二つの異なるアミノ酸およびサポニンまたは(c)少なくとも一つのジペプチド、を含む組成物を適用することにより安定化することができることを意外にも発見した。この組成物は、生体分子を覆い、または包埋し、それらを有害な影響から遮蔽する。用語“覆うこと”と類似して、本明細書を通して使用される用語“包埋すること”は、本発明に従って使用される組成物による、生体分子の部分的な包埋あるいは完全な包埋を含む。添付の実施例で示されるように、本発明に従って使用される組成物に覆われた固定化生体分子、または包埋された固定化生体分子は、エージング(aging)または滅菌などのストレスへの抵抗の著しい増加を示し、その間それらの生物学的活性を本質的に保持している。
本発明の安定化組成物の主な利点は、例えば、アルブミンのような血清由来のタンパク質ではなく、アミノ酸が安定化剤として使用されていることである。後者がヒトまたは動物に由来していることと異なり、本発明に従って使用される安定化組成物のアミノ酸は合成的に製造することができる。従って、ウイルスまたはプリオンのような病原体による汚染の危険性が減少され、または回避される。
生体分子への保護的効果に加えて、安定化組成物は、結合された生体分子を有する固体担体上の遊離結合部位をブロッキングする追加の効果も有することが見出された。
さらに、添付の実施例において確認されるように、本発明に従って使用される安定化組成物は、普遍的に適用可能である:抗体(例えば、IgM、IgG)、酵素(例えば、DNAse)または核酸などの異なる分子の保護に適している。
本発明の生体分子を安定化する方法は、従来の安定化法と異なり、さらなる利点を有しており、生体分子の凍結を必要としない。従って、凍結過程の間に生じうる立体構造変化を回避できる。それ故、本発明の安定化法は、例えば、抗体、特にIgM分子の複合体構造のような不安定なまたは変わり易い生体分子に特に適している。
さらに驚くことに、本発明の安定化組成物中で抗体などの生体分子をインキュベートすることにより、これらの生体分子が生物学的活性(例えば、抗体の場合においては、それらの抗原を結合する)を発揮する能力は、25kGyでの照射により滅菌される場合、未処理対照と比較して少なくとも65%まで保持することができる。
即ち、本発明の安定化組成物により、25kGyで照射される場合、US 5,730,9333で開示された従来の安定化剤と比較して、包埋された生体分子の機能性保持の有意な増加が達成できる。
本発明に従って使用される組成物は、好ましくは、タンパク質またはアミノ酸、ジペプチドおよび/またはトリペプチドではないタンパク質の断片を含有していない。従って、本発明のこの好ましい態様においては、組成物はタンパク質または三つを超えるアミノ酸から成るそれらの断片、またはヒトまたは動物起源である加水分解タンパク質を含有していない。そのような組成物は、それらに埋め込まれた生体分子が夾雑する危険性がない。それはさらに、既知の安定化組成物より費用効率が高い代替物である。
本発明の好ましい態様において、安定化組成物は2から18個の間の、より好ましくは2〜10個、さらにより好ましくは2〜8個、および最も好ましくは2〜5個または5〜8個の異なるアミノ酸を含む。もしくは、該組成物は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個または少なくとも8個の異なるアミノ酸、またはより多くは少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個などの異なるアミノ酸を含む。組成物中の異なるアミノ酸の数は、好ましくは18個を超えない。
添付の実施例から明らかなように、本発明に従った組成物は固定化生体分子を安定化するために使用した場合、2または3個の異なるアミノ酸が存在している場合すでに、その有利な効果を発揮する。該効果は徐々に増加し、安定化組成物中に5〜8個の異なるアミノ酸が存在する場合に最大効果に達する。安定化効果を試験するために適用された手順に依存して、5個の異なるアミノ酸が存在する場合に(促進されたエージングについてなど)、または8個の異なるアミノ酸が存在する場合に(例えば、滅菌など)最大効果に達する。有利な効果は、本発明に従って使用される安定化組成物へのさらなる異なるアミノ酸の添加では減少しない、または本質的に減少せず、好適には保持される。従って、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個の異なるアミノ酸を含む組成物を、固定化生体分子の安定化のために使用できる。
好ましい態様において、該組成物は少なくとも4個または少なくとも5個のアミノ酸を含む。
実施例から明らかなように、本発明に従った組成物が少なくとも4個または少なくとも5個のアミノ酸を含む場合、固体担体に固定化された生体分子の安定性にさらに有利な効果を有している。アミノ酸の組み合わせに依存し、ストレス曝露後の残余生物学的活性は87%にまで達した。
さらに好ましい態様において、組成物は、(a)非極性、脂肪族R基を有するアミノ酸;(b)極性、非荷電R基を有するアミノ酸;(c)正に荷電したR基を有するアミノ酸;(d)負に荷電したR基を有するアミノ酸;および(e)芳香族R基を有するアミノ酸の各群の少なくとも一つのアミノ酸を含む。
天然に存在するアミノ酸は、上記の特徴的な群に分類することができ(Nelson D.L. & Cox M.M., “Lehninger Biochemie” (2005), pp. 122-127)、それぞれから少なくとも一つのアミノ酸を本発明に従った組成物のために選択する。人工アミノ酸などの天然に存在しないアミノ酸もそれに応じて分類できる。少なくとも2個または少なくとも3個など、各群の1個以上のアミノ酸を本発明に従った組成物に含ませることができるが、現在のところ、1個のみのアミノ酸を各群から選択するのが好ましい。当業者はさらに、各群の同数のアミノ酸が、本発明に従って使用される組成物中に存在しなくてもよいことを理解している。むしろ、各群の少なくとも一つのアミノ酸が存在する限り、任意の組み合わせのアミノ酸を選択できる。
好ましい態様において、組成物は、乾燥重量で1%未満、好ましくは、0.5%未満のシステインを少なくとも二つのまたは少なくとも三つのアミノ酸の混合物内に含む。このことは、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個または少なくとも10個のアミノ酸、またはより多くは少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個などの異なるアミノ酸を含む組成物へも適用される。
システインに含まれるSH基のため、システインを含む組成物は、例えば、SH基で起こる酸化を受けやすく、そして不快な匂いを生じ、および/または組成物は褐色の色合いに変色する。これらの望ましくない効果を最小限に抑えるために、特に組成物が医療用装置に関連して使用される場合、組成物中に含まれるシステインは上述のごとく減少させるべきである。しかしながら、たとえこれらの影響が望ましくないにしても、それらは、より高い比率のシステインを含んでいる、またはさもなければ褐色がかった色または不快な匂いをもたらしている本発明の組成物の適合性には影響を及ばさない。
特に好ましい態様において、組成物中に含まれているアミノ酸はアラニン、グルタミン酸、リジン、スレオニンおよびトリプトファンである。一方、本発明のある態様において、本発明に従った組成物は上記5個のアミノ酸より多くを含み、さらに好ましい態様においては、アラニン、グルタミン酸、リジン、スレオニンおよびトリプトファン以外のアミノ酸は組成物中に含まれていない。
代替の好ましい態様において、組成物中に含まれているアミノ酸はアスパラギン酸、アルギニン、フェニル アラニン 、セリン、バリンである。上記と同様に、一方、本発明のある態様において、本発明に従った組成物は上記5個のアミノ酸より多くを含み、さらに好ましい態様においては、アスパラギン酸、アルギニン、フェニルアラニン 、セリン、バリン以外のアミノ酸は組成物中に含まれていない。
別の好ましい態様において、組成物中に含まれているアミノ酸はプロリン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、スレオニンおよびフェニルアラニン;またはチロシン、イソロイシン、ロイシン、スレオニンおよびバリン;またはアルギニン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、グルタミン酸、リジンおよびトリプトファンである。最後のアミノ酸の併用、即ち、アルギニン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、グルタミン酸、リジンおよびトリプトファンは、滅菌後、特に照射後のその特性に関して特に有益であることが示された。アミノ酸の前記併用は、照射後にいかなる不快な匂いまたは変色ももたらさなかった。
再び、本発明のある態様においては、本発明に従った組成物は5個または6個または7個以上のアミノ酸を含むが、さらに好ましい態様においては、この好ましい態様でリストされた組み合わせ以外のアミノ酸は、組成物中に含まれていない。
別の好ましい態様において、組成物は、1%未満、より好ましくは0.3%未満のツイーン(Tween)、好ましくはツイーン80をさらに含む。
ツイーンは、いくつかの医薬品および食品製品で使用される乳化剤および界面活性剤のクラスであるポリソルベートについての一般名称である。それらは油性成分を水性製品内へ可溶化するためにしばしば使用される。ポリソルベートは、脂肪酸でエステル化されたペグ化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)から誘導される油性液体である。ポリソルベートの例は、ポリソルベート20(ツイーン20またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(ツイーン40またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミレート)、ポリソルベート60(ツイーン60またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)およびポリソルベート80(ツイーン80またはポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)である。ツイーン80が、本発明で使用される組成物において最も好適である。
本発明の過程において、1%未満のツイーン(好ましくは、生体分子およびアミノ酸の乾燥質量に関して)の添加が、本発明に従った液体組成物の取り扱い間での泡沫化を回避することが見出されている。
上で示したように、本発明は固体担体上に固定化された生体分子を安定化させるために少なくとも一つのジおよび/またはトリペプチドを含む組成物の使用にも関する。上で与えた定義および上述の好ましい態様は、適用可能な場合、本発明のこの態様に準用する。従って、組成物は少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個または少なくとも10個の異なるジおよび/またはトリペプチドを含むことができる。代表的なジペプチドには、グリシルグルタミン(Gly−Gln、グルタミン単独と比較して増強された安定性を示している)、グリシルチロシン(Gly−Tyr)、アラニルグルタミン(Ala−Gln、後者二つはチロシン単独と比較して水での増加した溶解性を示している)およびグリシルグリシンが挙げられる。さらに天然に存在するジペプチドは、カルノシン(ベータ−アラニル−L−ヒスチジン)、アンセリン(ベータ−アラニル−N−メチルヒスチジン)、ホモアンセリン(N−(4−アミノブチリル)−L−ヒスチジン)、キョートルフィン(L−チロシル−L−アルギニン)、バレニン(またはオフィジン)(ベータ−アラニル−N tau−メチルヒスチジン)、グロリン(N−プロピオニル−γ−L−グルタミル−L−オルニチン−δ−lac エチルエステル)およびバレチン(シクロ−[(6−ブロモ−8−エン−トリプトファン)−アルギニン])である。さらなる人工ジペプチドは、アスパルテーム(N−L−a−アスパルチル−L−フェニルアラニン 1−メチルエステル)およびシュードプロリンである。代表的なトリペプチドには、グルタチオン(γ−グルタミル−システイニル−グリシン)およびその類似体オフタルミン酸(L−γ−グルタミル−L−α−アミノブチリル−グリシン)およびノルオフタルミン酸(γ−グルタミル−アラニル−グリシン)である。さらなるトリペプチドは、イソロイシン−プロリン−プロリン(IPP)、グリプロメイト(Gly−Pro−Glu)、サイロトロピン放出ホルモン(TRH、チロリベリンまたはプロチレリン)(L−ピログルタミル−L−ヒスチジニル−L−プロリンアミド)、メラノスタチン(プロリル−ロイシル−グリシンアミド)、ロイペプチン(N−アセチル−L−ロイシル−L−ロイシル−L−アルギニナール)およびエイセニン(pGlu−Gln−Ala−OH)が挙げられる。本発明に従った医学的応用(以下を参照)に関連して使用される場合、安定化剤として使用される少なくとも一つのトリペプチドおよびより好ましくはすべてのトリペプチドが何らの薬理学的特性も発揮しないことが好ましい。本発明のこの態様に従った組成物は、好ましくは、タンパク質またはアミノ酸、ジペプチドまたはトリペプチドではないタンパク質の断片を含有していない。従って、本発明のこの好ましい態様において、組成物は、タンパク質または3個より多いアミノ酸から成るそれらの断片を含有していない。その代わり、この態様に従った組成物は、好ましくは、少なくとも1個のアミノ酸、好ましくは少なくとも2個、より好ましくは少なくとも3個、さらにより好ましくは少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個の異なるアミノ酸、またはより多くは少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個などの異なるアミノ酸をさらに含む。
好ましい態様において、本発明に従って使用される組成物はサポニンを含む。
サポニンは、天然起源で見い出される、天然起源から誘導されるまたは化学的に合成できる、二次代謝産物を形成している化学化合物のクラスである。サポニンは多様な植物種において特に豊富に観察される。サポニンは、現象的には水溶液中で振盪した場合に石鹸様泡立ちを生み出すことにより、そして構造的には脂溶性トリテルペン誘導体と組み合わされた1またはそれ以上の親水性グリコシド部分を有するそれらの組成物により、両親媒性グリコシドにグループ分けされる。サポニンの例は、グリシルリチン酸、グリシルレチン酸、グルクロン酸、エスチン、ヘデラコサイド(hederacoside)およびジギトニンである。本発明に従った医学的応用(以下を参照)に関連して使用される場合、安定化剤として使用されるサポニンは何らの薬理学的特性も発揮しないことが好ましい。
さらに好ましい態様において、サポニンは、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個または少なくとも10個の異なるアミノ酸、またはより多くは少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個または少なくとも20個の異なるアミノ酸を含む組成物のように、最低アミノ酸数の上記リストに含まれているいずれかの数の異なるアミノ酸を含んでいる組成物中に含まれている。
より好ましい態様において、サポニンは、グリチルリジンまたはグリチルリジン酸としても知られているグリチルリチン酸(グリチルリシン酸とも)またはそれらの誘導体である。
グリチルリチン酸の誘導体は当該技術分野では公知であり、炭水化物部内へのアミノ酸残基の結合、またはグリチルリチン酸のグリコシド鎖内への2−アセトアミド−β−D−グルコピラノシルアミンの導入による、カルボキシルおよび水酸基上でのグリチルリチン酸の変換により生成されるものが含まれる。その他の誘導体は、グリチルリチン酸のアミド、二つのアミノ酸残基および遊離30−COOH官能基を有するグリチルリチン酸のコンジュゲート、グリチルリチン酸分子の炭水化物部でのアミノ酸アルキルエステルの少なくとも一つの残基のコンジュゲートである。具体的な誘導体の例は、例えば、Kondratenko et al. (Russian Journal of Bioorganic Chemistry, Vol 30(2), (2004), pp. 148-153)に見ることができる。
本発明の過程において、上記組成物へのグリチルリチン酸の添加は、安定化剤としてアミノ酸のみを含んでいる組成物を使用するよりも、生体分子がそれらの生物学的活性をより多く保持することを驚くことに発見した。これに関し、グリチルリチン酸単独では固定化生体分子にいかなる安定化または保護的効果も発揮しないことは特に注目に値する。
別の好ましい態様において、安定化組成物はさらに、多価アルコール、好ましくは、キシロース、マンノース、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース、ラフィノース、デキストラン、マンニトール、ソルビトールまたはイノシトールから選択される糖または糖アルコールを含む。
追加の好ましい態様において、組成物の液体態様は緩衝化されており、好ましくは水性溶液であるが、しかし水でもまたは緩衝化されていなくてもよく、好ましくは水性塩溶液である。使用されるべき緩衝液は、とりわけ、覆われる/包埋されるべき生体分子に依存する。生体分子との接触に一般的に適した緩衝液は、例えば、リン酸塩、クエン酸、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、乳酸塩、アンモニウム、グリシン、バルビツール酸塩、HEPES、MOPS、MES、TRISである。抗体に適した代表的な緩衝剤は、以下にさらに記載されている。
別の態様において、本発明は生体分子を安定化する方法、または安定化された生体分子を作製するための方法に関し、(a)固体担体へ生体分子を接着させること、および(b)本発明に従った組成物中に生体分子を包埋することを含んでいる。固定化の可能な方法は上述されており、本方法に適用できる。好ましくは、工程(b)において、生体分子は組成物中に部分的にまたは完全に覆われてまたは包埋されている。
包埋の詳細な手順は、本発明の固体担体を作製する方法、特にその工程(b)(しかし任意に工程(c)、工程(d)および/または工程(e)でも)に関連して以下でさらに説明されている。
本発明はさらに、接着された生体分子を有する固体担体を作製する方法に関し、
(a)固体担体へ生体分子を接着すること;および
(b)本発明に従って記載された組成物中で工程(a)の担体をインキュベートすること;
の工程を含む。
生体分子に関連する用語“接着すること”および“固定化すること”は定義されており、手順の詳細は上述されている。前記定義および記述は、本発明の方法および以下に記載されている他の態様においても同様に適用される。特に、生体分子の接着は、上に定義したように可逆的または不可逆的であることができる。
用語“インキュベートすること”とは、工程(a)に掲げた化合物の坦体への接着を可能にするインキュベーション、および工程(a)で固体担体へ接着された生体分子が工程(b)に掲げた安定化組成物中に包埋される条件下でのインキュベーションを指す。この態様において、固体担体とのインキュベーションに使用されるべき組成物は液体、好ましくは水溶液である。組成物は、本来は固体組成物であってもよい。この態様において、本来的には固体組成物が、好ましい水性媒質に溶解され、そしてそれ故、好ましくは水性溶液に含まれている。
それにより、ポストコーティング層が生体分子の上および/または周りに形成され、とりわけ、それらの接触可能表面を減少させることにより、およびそれらの三次構造の相補的領域と会合することにより、生体分子を安定化する。組成物は、生体分子への適用時には液体であるが、その後脱水され、生体分子を包埋しているまたは覆っている固体組成物を生じる。生体分子は、工程(b)において、組成物中に部分的にまたは完全に包埋することができる。当業者は、固体担体に結合された生体分子へ適応させるのに必要なインキュベーション条件を理解している。インキュベーション条件は、工程および温度に依存し、インキュベーションが20分〜12時間で達成されるものが含まれる。抗体は、例えば、IgM抗体が安定である最高温度の37℃で1時間インキュベートすることができる。IgG抗体は50℃までインキュベートできる。温度範囲は、工程およびインキュベーション時間に依存して、4℃〜50℃、好ましくは20℃〜37℃であることができる。
好ましい態様において、工程(b)におけるインキュベーションは室温にて1時間で達成される。手順の迅速化を図るため、または結果を改善するため、インキュベーション時間および温度は、インキュベーションで使用された物質に従って変化できることが理解される。当業者は、用語“室温”が場所および外気温に依存して異なる温度を意味することを承知している。それは通常17℃から23℃の範囲である。
好ましくは、工程(b)における液体組成物は緩衝化されており、より好ましくは低塩分含有量である。本発明に従う低塩含有量は、0.9 %(w/w)またはそれ未満、好ましくは0.2%(w/w)未満の塩濃度として定義される。一般的には、しかし排他的にではなく、IgGおよびIgYなどの抗体については、より塩基性の緩衝液、例えば、水中15mM炭酸ナトリウムおよび35mM炭酸水素ナトリウムから構成される緩衝液(pH9)が有用である一方、IgMの結合のためには、より中性の緩衝液(pH 7.0〜7.4)、例えば、PBSなどのリン酸緩衝液が好ましい。
生体分子がその上に接着されている固体担体である、工程(a)から生じる固体担体は、本発明の文脈において‘被覆’担体とも称される。
本発明に従った組成物とインキュベートされて、接着された生体分子を覆っているおよび/または包埋している固体担体である、工程(b)から生じる固体被覆担体は、本発明の文脈において‘ポストコーティングされた’担体とも称される。
好ましい態様において、本方法は工程(c)をさらに含む:
(c)工程(b)に適用した組成物を除去すること。
工程(a)、工程(b)、および工程(c)は、上述された順番通りに実行される。
用語“除去すること”とは、工程(b)後の液体組成物の定性的または定量的除去を指す。従って、少なくとも残存量の組成物が、本発明の方法のそれ以降の工程において使用される溶液の質を実質的に変化させない程度まで組成物を除去する。定量的な除去は、担体の乾燥を生じる。例えば、吸引により、例えば、ピペットなどを接続することができる従来型のポンプなど、圧縮、または吹きつけを使用することにより、除去を行うことができる。場合によっては、そのような工程を組合せ、そしてさらに風乾と組み合わせることができる。好ましくは、溶液は、容量にして、少なくとも95%、例えば少なくとも98%、または少なくとも99%、99.5%または99.8%まで除去される。従って、定量的な除去が達成されるさらに好ましい態様においては、本発明の方法は工程(c)を含む:
(c)固体担体を乾燥させること。
乾燥は、風乾、噴霧乾燥凍結乾燥および沈殿などの周知の技術を使用して達成できる。さらに適した技術には、結晶化および微結晶化が含まれる。担体がビーズまたはナノ粒子の場合、乾燥は凍結乾燥により達成できるが、一方、他の担体には他の乾燥技術が好適である。
本発明の代替の好ましい態様において、本方法は、さらに工程(b)の後に工程(c)を含む:
(c)残留液体含量が<20%(w/w)まで担体を乾燥すること。
本発明の好ましい態様に従うと、木材の水分含量を決定するために既知である方法にて、残留液体含量を算出することができる。木材の場合、木材の水分含量(x)を、サンプル中の水分量(mw)と水含有木材サンプル量(mu)とのあいだの比率に100を掛けることで算出することにより、決定する。サンプル中の水分量(mw)は、水分含有木材サンプル量(mu)からその乾燥後のサンプル量を差し引くことにより、決定することができる。従って、木材の水分含量のパーセンテージは、以下の式により算出される:
Figure 0005680055
担体調製物の残留水分含量を、同様にして決定することができ、ここでmwは担体サンプル中の水分量であり、そしてmuはサンプルの完全な乾燥後の担体サンプル量である。海綿状担体の場合、mwはポアの過剰量の水を絞り出した後に測定する。
本発明の別の好ましい態様において、本方法はさらに工程(a)の後に工程(a’)を含む:
(a’)組成物の残留溶液含量がもともと適用した組成物の10%未満、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満、例えば1%未満、0.5%未満、または0.2%未満、になるまで担体を乾燥させる工程。好ましい乾燥方法は、上述されているとおりであり、組成物を除去するために使用される方法を含む。風乾、噴霧乾燥、凍結乾燥、沈殿、結晶化または微結晶化により乾燥させることが最も好ましい。
本発明の方法は、工程(a)に続いて、そして工程(b)の前におよび随意に工程(a’)の後に、工程(a'')をさらに含んでもよい:
(a'')ブロッキング剤を含有する緩衝化水性溶液中で担体をインキュベートし、そして水性溶液を除去すること。
本方法の続いての工程において添加される材料の非特異的結合を防止するため、ブロッキング剤を、固体担体を作製するための方法において使用することができる。このブロッキングは、工程(b)の本発明に従った液体組成物中での担体のインキュベーションの前に、生体分子の立体配座安定性に対する正の効果も有することができる。
これに関し、本発明に従う組成物はブロッキング剤として使用できる。本発明に沿った他のブロッキング剤には、限定されるわけではないが、ヒト血清およびそのような血清のタンパク質(例えば、アルブミン)、ミルク、卵タンパク質、植物由来タンパク質(例えば、ダイズ、コムギ)、(前記タンパク質の加水分解物(例えば、ゼラチン、コラーゲン)を含んで)、が含まれる。
別の好ましい態様において、本発明の方法はさらに、工程(b)、工程(c)または工程(d)の後に、固体担体を滅菌する工程(e)を含む。本発明の方法により作製した固体被覆担体を滅菌する能力は、とりわけ、非滅菌または半滅菌条件下での固体被覆担体の作製を可能にし、この場合、そのようにして作製された担体は、固体被覆担体と体液をin vivoまたはex vivoまたはin vitroで接触させることを含む下記の本発明の方法において依然として使用することができる。このことは、この方法のそしてそのようにして作製された本発明の担体のさらに優れた特徴を表し、というのも、その特徴により、滅菌されていない場合がある担体の作製のコストと比較して、固体担体を作製するためのコストを低減することができるためである。これは、作製プロセスにおいて、滅菌条件を必要としないためである。周知であるように、従来法により調製された担体は、滅菌に適しておらず、完全滅菌条件下で作製しなければならない。さらに、コストに寄与する特徴は、前記担体が、滅菌によりそれらを使用した後にリサイクルすることができる、ということである。リサイクルされた担体は、同一のまたは異なる患者のさらなる処理において、または診断のためのさらなる方法または同一の方法において、引き続いて使用することができる。好ましくは、担体の滅菌またはリサイクルは、担体材料に依存してエチレンオキシド(EO)、ベータ照射、ガンマ照射、X線、熱不活性化、加圧滅菌、またはプラズマ滅菌により達成される。担体が、βまたはγ照射により滅菌されることが最も好ましい。この態様において、10 MeVの電子加速器を使用した、25 kグレイの線量のβ照射が適している。ある程度は、エチレンオキシドを用いた滅菌を、本発明の担体に対して適用することができる。一般的には、固体担体上に接着された/固定化された生物学的材料の所望の活性を害さないように、滅菌の方法が選択されなければならない。このことは、単離形の、お互いにまたは他の生体分子と複合体形成した、または細胞または細胞の断片などのより高次の構造で存在する、上に定義した生体分子について達成できる。どのような種の生細胞に対しても、滅菌の適切な手段は現段階で知られていない。従って、生細胞を生物学的材料として使用しそして担体を滅菌する態様は、本発明の一部ではない。
工程(b)、(c)、(d)または(e)後、担体は必要とされるまで貯蔵が可能である。
別の態様において、本発明は、本発明の方法により作製することができるまたは作製された固体担体に関する。
さらなる態様において、本発明は、接着された生体分子を有する固体担体に関し、ここで前記生体分子は、部分的にまたは完全に、本発明に従う組成物中に覆われている/包埋されている。包埋された生体分子を含むそのような固体担体(“ポスト被覆(post-coated)担体”とも称される)の一つの態様が図1のスキームに描かれている横断図に例示されている。
本発明に関連して、用語“部分的に覆われた”または“部分的に包埋された”とは、少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の生体分子が本発明に従う組成物に覆われているまたは包埋されていることを意味する。
本発明の方法に従う組成物に関連する、とりわけ、生体分子、担体材料接着およびインキュベーション手順または滅菌に関して与えられた定義および説明は、本発明の固体担体に準用される。同様に、本発明の固体担体の特定の優れた特徴は、本発明の方法の特徴の文脈において、本明細書中で上述した。
本発明の固体ポスト被覆担体の好ましい態様に従うと、固体担体に接着されている生体分子は、例えば、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、脂肪酸、多価アルコールおよび上述のそれらの組み合わせまたは修飾物である。タンパク質は、好ましくは抗体、より好ましくは、IgG、IGYまたはIgMクラスの抗体である。その他の好ましいタンパク質は、酵素、増殖因子、アルブミンまたはグロブリン、受容体、ホルモン、膜タンパク質、アルブミン、グロブリン、輸送タンパク質または血液凝固因子などの抗体以外のサイトカイン、タンパク質性アゴニスト及びアンタゴニストである。
別のさらに好ましい態様において、生体分子は疾患を示すマーカータンパク質、病原体、非細胞性病原体、細胞または毒素へ特異的に結合する。本発明に従うと、用語“特異的に結合する”は“特異的に相互作用する”と互換的に使用され、生体分子は、病原体または疾患を示すマーカータンパク質の構造またはエピトープ以外の構造またはエピトープとは本質的に交差反応しないことを意味している。この態様の好ましい生体分子は、上述の抗体である。研究中の抗体パネルの交差反応性は、例えば、従来条件下でのその抗体パネルの、目的とする構造/エピトープに対する結合や、多かれ少なかれ(構造的におよび/または機能的に)非常に類似する構造/エピトープに対する結合を評価することにより、試験することができる。その関連する文脈中の目的とする構造/エピトープ(例えば、疾患を示すタンパク質の構造中の特異的モチーフ)に対して結合するが、その他の構造/エピトープのいずれに対しても結合しないかまたは本質的には結合しない抗体のみが、目的とする構造/エピトープに対して特異的であると考えられ、本発明に従って使用される。対応する方法は、例えば、Harlow and Lane, 1988 and 1999, loc cit、に記載されている。
マーカータンパク質が存在する疾患の例には、様々な由来の重症脂質異常症、ホモ接合性家族性高コレステロール血症、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症、Apo B-100欠損、単離リポタンパク質(a)上昇、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、混合結合組織病、拡張型心筋症(DCM)、凝固因子阻害剤と関連する疾患、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、自己免疫性溶血性貧血、高ガンマグロブリン血症における過粘稠度症候群、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、血漿タンパク異常症多発性神経炎(dysproteinemic polyneuropathies)、骨髄移植、内分泌性眼窩疾患(endocrine orbitopathy)、I型糖尿病(IDDM)、グッドパスチャー症候群、イムノグロブリンまたは免疫複合体沈着による腎症、クリオグロブリン血症、天疱瘡、アトピー性皮膚炎、移植片−対−宿主(GvH)疾患、宿主−対−移植片(HvG)疾患、および様々な形態の脈管炎が含まれる。
特異疾患についての周知のマーカータンパク質は、例えば、プロカルシトニン、TNFαまたはIL-6などのサイトカインおよびc−反応性タンパク質である。
生体分子が結合できる病原体には、細菌または真菌などの感染性疾患を起こすものが含まれる。感染性疾患を起こす非細胞性病原体にはウイルスおよびプリオンが含まれる。
そのような病原体の例には、HIV、HBV、HCV、例えば、単純ヘルペスウイルスなどのヘルペスウイルス、サイトメガロウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルス、連鎖球菌、ブドウ球菌などのグラム陽性菌、大腸菌、緑膿菌などのグラム陰性菌が含まれる。
毒素も、疾患またはある種の体の状態を示すことができる。毒素は有毒物質であり、生細胞または生物によって産生される。毒素は、体組織との接触または体組織への吸収の後、酵素または細胞受容体などの生物学的高分子と相互作用することにより疾患を起こすことができる、例えば、小分子、ペプチドまたはタンパク質であることが可能である。通常、毒素はそれらの重症度が大きく異なっており、軽症および急性(ハチ刺され)からほとんど即座に致命的(ボツリヌス毒素の場合)までの範囲である。
本発明の別の好ましい態様において、固体ポスト被覆担体は、例えばベータ線照射またはガンマ線照射により、本発明の使用および方法のために上述のように滅菌される。適しているのは、例えば、10 MeVの電子加速器を使用し、25 kGyの線量によるベータ線照射である。
本発明に従う固体担体は、治療および診断において使用することができる。
本発明のさらなる側面は、長期貯蔵および/または滅菌のため、接着された生体分子を有する固体担体を安定化するための、本発明に従う組成物の使用である。
生体分子の長期貯蔵および滅菌における大きな課題は、所望の生物学的活性を有する生体分子の不可逆的変化を回避することである。これらの変化は、生体分子がストレスに曝された場合に起こる生体分子の分子修飾を生じることができ、さらに前記生体分子の所望の生物学的活性の喪失、貯蔵によるそれらの減少した安定性、または投与または適用によるアレルギー反応のリスクをそうした製品のレシピエントに与えるかもしれない、新規免疫学的/抗原的特性を生じる。このことは、例えば、多くの治療用タンパク質およびモノクローナル抗体など、複雑な構造および/またはかなり不安定であるタンパク質にとって特に重要である。
研究者は、エチレンオキシドを使用することによる滅菌の間に活性化合物に起こり得る不可逆変化を回避することを試みてきた。しかしながら、エチレンオキシドはしばしばタンパク質と反応する。加えて、エチレンオキシドの副産物の、既知の組織毒性および発癌可能性のため、米国食品医薬品局は、エチレンオキシドおよびその主要反応産物エチレングリコールおよびエチレンクロロヒドリンについての最大残留限界を定めた。本発明の一つの利点は、滅菌がエチレンオキシドを使用しても達成できるように、生体分子は本発明に従う組成物により保護されていることである。
エチレンオキシドと異なり、照射滅菌は高い貫通能力、相対的に低い化学的反応性、および温度、圧力、真空度または湿度を調節することなく即効性の利点を有する。照射滅菌は、産業界で多様な製品で広く用いられ、線量レベルおよびその生物学的効果の両方についてよく知られている。電子ビームおよびガンマ線滅菌が微生物の滅菌に等しく効果的であることは一般に合意されている。
効果的に微生物を殺すのに十分である一方、照射は、タンパク質、DNA、RNAなどの生体分子の構造を一般的に変化させ、もしそれらが保護または安定化されていないとすれば、それらを生物学的に不活性にする。従って、それらの化学的、物理的または生理的特性に有害な影響を及ぼすことなく、生物学的に活性な化合物を効果的におよび安全に滅菌する簡単な方法に対する強い要求が存在する。このことは、本発明に従うと達成された。
医療市場への新規製品または修正製品の導入は、製品が使用された場合、安全性および効力に影響することができる性能のいかなる減少もなく、長期間(1〜5年)貯蔵できるという保証を必要とする。そのような製品については、全期間、熟成(ambient-aged)サンプルは通常存在しないので、全期間サンプルが入手可能になるまで、“加速エージング(accelerated-aging)”試験を実施し、これらの製品についての性能および貯蔵寿命クレームの裏付けとしての実験データを提供する必要がある。
医療用装置の認定試験に加速エージング技術を使用する主な理由は、できるだけ早い時期に製品を市場にもたらすことである。目的は、何らの過度の危険性に曝露することなく、患者(例えば、生活向上用装置の早期使用可能性を介して)および会社(追加売上げをもたらすことおよび市場占有率を高めることにより)の両方に恩恵を与えることである。
加速エージングは、通常の環境または動作ストレスよりも、より厳しくまたはより頻繁に加えるストレスを、より短い時間で製品にかけることにより、比較的長期間にわたる、通常使用条件下での装置または材料の応答を決定しようとする手順として定義できる。試験計画効率の有意な向上は、熱、酸素、化学薬品または照射などの過度の環境ストレスを使用して達成できる。
加速エージングの簡便化されたアプローチは、単一の加速温度で試験すること、次ぎに、温度が10℃上昇する毎に、化学反応の速度が因子Q10増加することを述べているルールを用いること、に基づいている。一般に用いられる医療用ポリマーで選択される典型的な関係はQ10=2である;即ち、使用または貯蔵温度よりそれぞれ10℃上昇するにつれて反応速度が倍になる。
診断または治療に使用される生体分子の十分な貯蔵寿命を達成するため、これらの生体分子は、その変性を防止するために冷凍される必要がある(Cleland et al., (2001), Journal of Pharmaceutical Sciences Vol. 90, pp. 310-321)。さらに、目的の生体分子は、糖(例えば、スクロース、トレハロース、マンニトール)または塩などのいわゆるリオプロテクタント(lyoprotectant)を含有する安定化溶液中でインキュベートされる必要がある。しかしながら、生体分子は凍結により変性する危険性があるため、特に、例えば、IgM抗体のような不安定生体分子のために、4℃または室温での貯蔵法についての要求が存在する。
驚いたことに、本発明に従う安定化組成物中の固体担体に固定化された生体分子(例えば、抗体)をインキュベートすることにより、これらの生体分子は、それらの生物学的活性の有意な喪失なしに、45℃で7日間まで貯蔵することができることを発見した。前述のルールに従うと、この“加速エージング”は、5℃で16週間の貯蔵に相当する。さらに、生体分子は、それらの生物学的活性の有意な喪失なしに、滅菌することができた(添付の実施例参照)。
別の態様において、本発明は、本発明の担体を含む医療用および診断用製品および装置に関する。
さらなる代替の態様において、本発明は、医療用および診断用製品および装置の製造のための、本発明の固体担体の使用を提供する。本発明に従って安定化された生体分子を含む生物学的構成要素、および非生物学的部分の併用であるそのような装置は、生物学的装置併用製品とも称される。
本発明に従う安定化組成物により包埋されている/覆われている、接着された生体分子を有する固体担体は、多様な診断用および医療用/治療用用途に使用することができる。治療用用途または装置には、単独またはその他の要素と組み合わせて、医療用インプラント、カテーテル、ステント、チュービング、体液などの液体での湿潤により接着された生体分子を溶出できるマトリクス(例えば、創傷被覆材)、または体外循環に使用される医療用装置が含まれる。診断的用途には、例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)のような免疫アッセイ、タンパク質チップ、多分析物アッセイ、ウエスタンブロット、ドットブロット、免疫組織化学、受容体−リガンドアッセイおよびイムノPCRが含まれる。
治療アプローチは、医療用装置の文脈において本発明の方法の担体のin vivo用途並びにex vivo用途を含むことができる。従って、固体ポスト被覆担体を含む装置を、in vivo用途のために患者体内に移植することができる。ex vivo用途のためには、固体被覆担体を含む装置を、処置すべき体液の循環と接続することができる。患者の動脈または静脈に由来する血液を、例えば、そのような装置を介して導き、そしてその後患者体内に導管から戻すことができる(血流との接続)。あるいは、体液サンプルは、in vitroで担体と共にインキュベーションすることができる。後者の処置の次の工程において、体液を患者の体内に再導入することができる。
医療用装置の一つの態様は、患者の、例えば、血液、リンパまたは脳脊髄液などの体液を、例えば、患者の体液の循環と装置を接続することにより、接触させること、ろ過することまたは清浄化することを可能にするのに適しており、それにより、本明細書中で上述したように患者を処置する。
さらに、前記装置は、化合物の定量的または定性的検出のために、ならびに、本明細書中の以下の部分でも記載するように、患者の体液サンプル中の特定の細胞または細胞集団(例えば幹細胞、胎児細胞または腫瘍細胞)を捕捉するために適切であることができる。幹細胞は、多能性幹細胞、多分化能幹細胞、または全能性幹細胞を含む。一般的には、異なる細胞株、細胞種、または細胞の分化段階を、細胞表面上に異なる抗原が存在することにより識別することができる。このことは、本発明の担体へ接着された抗体またはそれらの断片などの生体分子を選択することにより、所望の細胞の選択的捕捉を可能にし、ここで前記生体分子は前記抗原に特異的に結合する。胎児細胞を捕捉する場合、本発明の装置の適用は、胎児生命を危険に晒すことがなく、母親から得られた血液サンプルを胎児細胞の捕捉のために使用する羊水穿刺などの潜在的に危険な技術を回避できる。さらに、癌性疾患の診断およびその特徴付けは、富化された腫瘍細胞サンプルの供給により容易になる。
本発明の全体にわたり使用される場合、用語“患者”は、病気を持っている患者または疾患を有する患者、並びに健康な被検体を含む。本発明に従う患者は、医学的配慮、ケア、または治療を受けるいずれかのヒトである。このヒトは、ほとんどの場合、しかし常にではないが、病気であるかまたは傷害を有しており、そしてそのような場合、医師またはその他の医療専門家による治療を必要としている。言い換えると、用語“患者”は、病気であってもなくてもよい“被検体”と互換的に使用される。被検体は、動物であってもよく、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。上述に従って、患者はまた、例えば、疾患状態または健康状態について、緊急にまたは日常的に診断される健康なヒトである。言い換えると、本発明を使用して、患者が特定の疾患(または疾患の組合せ)を患っているかどうか、または疾患またはその組合せを発症する傾向があるかないか、を見いだすことができる。
装置の一つの態様は、少なくとも一部、本発明の固体被覆担体に対応する表面、または本発明の固体被覆担体が接着されている表面により特徴付けられる一過的インプラントまたは永久的インプラントを含む。
これには、骨接合術装置、再建術などのために使用される材料、並びに新規のクラスのステントが含まれる。そのような新規のクラスのステントは、触媒特徴(例えば、刺激性の特徴、阻害性の特徴または排除性の特徴)を有していてもよい。これに関連し、刺激性の特徴の例は、細胞表面上で受容体とクロスリンクし、そしてそのことで白血球などの細胞を活性化できる担体結合抗体またはそれらの断片であり得る。阻害性の特徴の例は、細胞表面上で受容体に結合し、そして不活性化シグナルを誘導する(例えば、白血球に影響して)ことによるか、または活性化分子の結合を防止することにより細胞を不活性化できる、担体結合抗体またはそれらの断片である。排除性の特徴の例は、可溶性因子に結合でき、そしてそれ故に溶液中のそれらの濃度を減少させる、例えば前記因子を涸渇させる、担体結合抗体またはそれらの断片である(例えば、Ig-Therasorb(登録商標)またはLDL-Therasorb(登録商標))。
さらに、医療用または診断用装置のさらに代わりの態様は、その内部壁が、本発明の固体被覆担体である装置であるか、または本発明の固体被覆担体が接着された装置である。そのような装置は、ex vivoワクチン接種用容器、アフェレーシス装置、幹細胞単離装置、パージ装置、シリンジ、および一過性または永続的な血液貯蔵のための装置(例えば、血液バンクにおけるもの、そして日常的な施設または研究施設における研究装置におけるもの)を含むがそれらに限定されるわけではない。診断用(医療用)装置の例は、ELISAプレートであり、ここでプレートの表面(または少なくとも反応ウェルの表面)は、少なくとも一部、本発明の固体被覆担体に対応するか、または本発明の固体被覆担体が接着されている。
本発明は、担体、担体に可逆的に接着された少なくとも一つの生体分子、接着された生体分子を部分的にまたは完全に覆う本発明に従う安定化組成物;および任意に蓋を含む、滅菌容器にも関する。担体へ接着可能である生体分子は上述されている。
好ましい態様において、少なくとも一つの生体分子は、担体から迅速に、好ましくは使用直前に放出することができるように、担体に接着されている。接着の種類(共有結合または非共有結合)に依存して、迅速な放出は、例えば、タンパク質切断、pH値または温度の変化により行うことができる。
好ましい態様において、担体は固体であり、より好ましくは多孔質である。別の好ましい態様において、担体は半固体であり、そして好ましくは、ヒドロゲルまたはゼラチン様たんぱく質混合物を含む。さらに別の好ましい態様において、担体は可溶性であり、そして好ましくは、水性、任意に緩衝溶液に溶解する、タンパク質性および/または炭水化物構造を含む。
本発明はさらに、生体分子のための滅菌容器を作製する方法に関し:(a)容器内に担体を挿入すること;(b)前記担体へ少なくとも一つの生体分子を可逆的に接着させること;(c)少なくとも一つの生体分子が前記安定化組成物により部分的にまたは完全に覆われるように、本発明に従う液体安定化組成物中で、担体と少なくとも一つの可逆的に接着された生体分子をインキュベートすること;(d)容器を密閉すること;および(e)容器を滅菌すること、を含む。
代替の態様において、本発明は生体分子のための滅菌容器を作製する方法に関し:(a)担体へ少なくとも一つの生体分子を可逆的に接着させること;(b)少なくとも一つの接着された生体分子を有する担体を容器内に挿入すること;(c)少なくとも一つの生体分子が前記安定化組成物により部分的にまたは完全に覆われるように、本発明に従う液体安定化組成物中で、前記担体と少なくとも一つの可逆的に接着された生体分子をインキュベートすること;(d)容器を密閉すること;および(e)容器を滅菌すること、を含む。
さらなる代替の態様において、本発明は生体分子のための滅菌容器を作製する方法に関し:(a)担体へ少なくとも一つの生体分子を可逆的に接着させること;(b)少なくとも一つの生体分子が前記安定化組成物により部分的にまたは完全に覆われるように、本発明に従う液体安定化組成物中で担体と少なくとも一つの可逆的に接着された生体分子をインキュベートすること;(c)少なくとも一つの接着された生体分子を有する担体を容器内に挿入すること;(d)容器を密閉すること;および(e)容器を滅菌すること、を含む。
上記の方法は、上述のインキュベーション後に、組成物の液体部分を乾燥する工程または除去する工程をさらに含んでいてもよい。
異なる態様において、本発明は、本発明の方法により作製された容器に関する。
さらに本発明は、上述の診断または治療用途のための本発明の容器の使用に関する。
さらなる態様において、本発明は疾患の診断のための方法を提供し:
(a)疾患についての指標であるマーカータンパク質、好ましくは、非細胞性病原体、細胞または毒素を特異的に結合する担体へ接着された生体分子と、前記病原体またはマーカータンパク質または細胞または毒素との特異的結合を可能にする適した条件下、患者から得られたサンプルと本発明の固体担体を接触させること;および
(b)疾患についての指標である前記マーカータンパク質、好ましくは、前記非細胞性病原体、前記細胞または前記毒素が生体分子に結合されているかどうかを検出すること;
の工程を含む。
サンプルは、血液、血漿、血清、唾液、尿、気管支肺胞洗浄液、胃および腸分泌液、脳脊髄液、腹水、胸水、創部からの滲出液などの体液または液体を含む。
病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質を特異的に結合する、担体へ接着された生体分子の、前記病原体またはマーカータンパク質への特異的結合を可能にする適した条件には、7.0から7.7間のpH値および200〜400mosmol/lのモル浸透圧濃度が含まれる。
好ましい生体分子は上述されている。特に好ましい生体分子には、受容体のような膜結合および細胞内生体分子、並びに可溶性生体分子または受容体またはそれらの機能的断片が含まれる。膜結合生体分子の好ましい機能的断片は、前記生体分子の細胞内または細胞外部分を含有し、従って、それらの膜貫通分画が除外されている。好ましくは、生体分子または受容体は、抗体または上述のその結合活性および特異性を保持しているそれらの断片または誘導体である。最も好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。
本発明の診断方法を用いて診断される疾患の例は、本明細書中で記載された疾患を含む。記載された病原体またはマーカータンパク質は、例えば、抗−p24(HIV)(例えば、Schupbach et al. J.Aquir.Immune Defic. Syndr. (2005),Vol 40 :pp250-256を参照)または、抗−IgB(HCMV)(例えば、Just-Nubling G et al. Infection (2003),318−323を参照)のような抗体の使用により、検出することができる。
病原体または疾患の指標であるマーカータンパク質が接着された抗体に特異的に結合するための適した条件は、患者の体液サンプルと本発明に従う抗体被覆固体担体を、生理学的条件下にて接触させることにより、達成することができる。生理学的条件には、7.0から7.7間のpH値および200〜400mosmol/lのモル浸透圧濃度が含まれる。
病原体または疾患についての指標であるマーカータンパク質が生体分子へ結合されているかどうかの検出は、当該技術分野で公知の方法により達成することができ、そして上述されている。代表的な方法には、ELISA及び免疫沈降法が含まれる。
好ましい態様において、本発明の診断方法は、サンプルと本発明の担体を接触させること(工程(a))に先立って、ウイルスなどの非細胞性病原体、細菌などの細胞、または単細胞真核病原体を富化するため、細胞培養条件下で体液サンプルの材料をインキュベートする工程を含む。細胞培養条件には、7.0から7.7間のpH値、および25〜40℃で培養培地中200〜400mosmol/lのモル浸透圧濃度が含まれる。
さらに、本発明は、本発明に従うポスト被覆されている固体被覆担体を含む診断用組成物を提供する。本発明の診断用組成物は、好ましくは、マーカータンパク質、好ましくは、非細胞性病原体、細胞および毒素の検出の文脈で上述した方法を使用する疾患の診断のために使用されるであろう。
本発明の診断用組成物を用いて診断される疾患の例は、本明細書中で上述したとおりである。
本発明は、固定化生体分子の安定化のためのキットにも関する。本発明に従うキットは、(a)本発明に従う少なくとも一つの安定化組成物、および(b)安定化された生体分子組成物を生成するため、固定化生体分子と少なくとも一つの安定化組成物の有効量を接触させるための説明書;を含む。
好ましい態様において、安定化組成物は、一つまたはそれ以上の固体材料を含む(当該技術分野の水準で知られている凍結乾燥化試薬または粉末化試薬またはその他の化合物)。
キットの多様な構成要素は一つまたはそれ以上のバイアルなどの一つまたはそれ以上の容器に包装することができる。バイアルは、構成要素に加えて、貯蔵のために保存剤または緩衝剤を含むことができる。
実施例は本発明を例示している。
材料&方法
すべての実験は、同一の基本的ELISAアッセイデザインに基づいた。
ELISAプレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用
モノクローナル抗体LO-MM-3(抗マウスIgM、Acris, SM1495p)を、96ウェルELISAプレート(Greiner Bio-one, 655061)の表面に吸着させた。LO-MM-3を、PBS(Ca2+/Mg2+非含有、PAA、H15-002)で2μg/mlの濃度に希釈した。抗体溶液の100μlを、各ウェルにピペットで添加し、5℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄用緩衝液(25x濃縮液、Invitrogen,WB02)で2回洗浄した。
200μlの各アッセイ安定化組成物(ポストコーティング)を、各ウェルにピペットで加えた。少なくとも4ウェルは、同一のポストコーティング液で同じに処理し、以下の分析における平均値および標準偏差を計算した。プレートは外界温度で1時間、ポストコーティング溶液でインキュベートした。ポストコーティング液を廃棄し、プレートを外界温度で少なくとも1時間乾燥した。
アミノ酸をポストコーティングに使用した:L−アラニン(Sigma-Aldrich, A7627)、L−アルギニン(Sigma-Aldrich, A5131)、L−アスパラギン(Sigma-Aldrich, A0884)、L−アスパラギン酸(Sigma-Aldrich, A9256)、L−システイン(Sigma-Aldrich, 1276)、L−グルタミン(AppliChem, A1420)、L−グルタミン酸(Sigma-Aldrich, G1251)、グリシン(Merck, 1042010)、L−ヒスチジン(Sigma-Aldrich, H8125)、L−イソロイシン(Sigma-Aldrich, 12752)、L−ロイシン(Sigma-Aldrich, L8000)、L−リジン(Sigma-Aldrich, L5626)、L−メチオニン(Sigma-Aldrich, M9625)、L−フェニル アラニン(Sigma-Aldrich, P2126)、L−プロリン(Sigma-Aldrich, P0380)、L−セリン(Sigma-Aldrich, S4500)、L−スレオニン(Sigma-Aldrich, T8625)、L -トリプトファン(Sigma-Aldrich, T0254)、L−チロシン(Sigma-Aldrich, T3754)、L−バリン(Sigma-Aldrich, V0500)。
被覆表面のストレス曝露
三つの同一の処理プレートを、異なる環境条件に曝露した。一つのプレートは、照射(ベータ線、25kGy)により滅菌した。照射は、Beta-Gamma-Service,Bruchsal, Germanyで行なった。一つのプレートは、加速エージング過程(45℃で7日間)で処理した。アレニウス式の単純化に基づくと、貯蔵温度を10℃上昇させることにより、反応の速度、即ち、エージングは2倍となる。(Hemmerich, 1998: General Aging Theory and Simplified Protocol for Accelerated Aging of Medical Devicess)。45℃で7日間の加速エージングは、冷蔵貯蔵(5℃)で16週の実時間エージングに相当することを意味する。
ストレス曝露のない同一プレートを、各実験の対照として供した。保護効果は、未処理対照と比較し、ストレス条件後の残存抗体機能性として計算した。
Figure 0005680055
LO-MM-3機能性のELISA検出
乾燥ポストコーティングは、プレートを3回洗浄することによりウェルから取り出した。ELISAプレートを、各ウェルに300μlのブロッキング溶液(PBS中10g/lアルブミン)をピペットで加え、外界温度で1時間インキュベートすることによりブロックした。プレートを3回洗浄した。
LO-MM-3、CH11(マウスIgM 、MBL 、SY001)に対する抗原を、125ng/mlに希釈し、抗原溶液200μlを各ウェルにピペットで加えた。プレートを外界温度で1時間インキュベートし、3回洗浄した。
結合された抗原は、PBSで50ng/mlに希釈された検出抗体LO-MM-9(ビオチン化抗マウスIgM、AbD serotec, MCA199B)により検出した。各ウェルに200μlを添加し、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。
ストレプトアビジン(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識,Pierce, 21126)を、PBSで100ng/mlに希釈した。200μlを各ウェルに加え、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。
HRPのためのReady-to-use ELISA基質溶液(TMB=テトラメチルベンジジン 、Invitrogen, 00-2023)を、蒸留水で1:2に希釈し、200μlを各ウェルにピペットで加えた。プレートを外界温度で20分インキュベートし、光から保護した。呈色反応を停止するため、各ウェルに50μlのH2SO4(蒸留水で1:5に希釈、Merck, 1007311000)を加えた。生じた黄色は、450nmの波長で吸収を測定することにより検出した(Fusion Photometer A153601, PerkinElmer)。
実施例1:少なくとも5アミノ酸から成るポストコーティングは、ストレスに対して最大の保護を示した。
実験法
アミノ酸を0.5M NaOH(Merck, 106482)かまたは0.5M HCl(Merck, 100319)のいずれかに溶解して最大濃度の貯蔵溶液を得た。アミノ酸貯蔵溶液を混合し、ポストコーティング溶液で200mMの総アミノ酸濃度を得た。アミノ酸は、等モル比(2アミノ酸:2x100mM;3アミノ酸:3x67mM;4アミノ酸:4x50mM、5x40mM;など)で使用した。
アミノ酸混合物のpHをおよそ7.0に調整し;そして混合物をPBSでさらに希釈し、200mMの最終濃度を得た。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;滅菌および加速エージング;並びに、一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。
結果
図2および図3に示されるように、アミノ酸ポストコーティングの保護効果は、使用した異なるアミノ酸の数とともに増加した。アミノ酸は以下の群の代表として選択した:芳香環/正に荷電された/負に荷電された/極性非荷電/非極性脂肪族の側鎖を有するアミノ酸。特定のアミノ酸を使用することは必須ではなく;それらは同一の群からの異なるアミノ酸、または類似の特性を有する異なるアミノ酸でそれぞれ置換できる(Taylor, 1985: The Classification of Amino Acids Conservation)。
5個の異なるアミノ酸から成るポストコーティングでは、25kGyでの照射後、非照射対照と比較しておよそ65%の抗原結合能力が維持された(図1);加速エージング過程後(45℃で7日間)、未処理対照と比較して約85%の抗原結合能力が維持された(図2)。
アミノ酸ポストコーティングの保護効果は、5以上にアミノ酸の数を増加させてもさらに増強されなかった。図4および図5に示したように、8、10さらには18アミノ酸でのポストコーティングも実質的に同じ効果しか有さなかった。
実施例2:アミノ酸の併用は、保護効果が一つの特定の単一アミノ酸の寄与ではないことを明らかにした。
実験法
アミノ酸を0.5M NaOH(Merck, 106482)かまたは0.5M HCl(Merck, 100319)のいずれかに溶解して最大濃度の貯蔵溶液を得た。アミノ酸貯蔵溶液を混合し、ポストコーティング溶液で200mMの総アミノ酸濃度を得た。アミノ酸は、等モル比(4アミノ酸:4x50mM、8アミノ酸:8x25mM)で使用した。単一アミノ酸溶液については、アミノ酸を最大溶解濃度で、蒸留水に溶解した(可能ならば400mM)。すべてのポストコーティング溶液のpHをおよそ7.0に調整した。単一アミノ酸の濃度:Ala 400mM、Glu 100mM、Lys 400mM、Thr 400mM、Asn 200mM、Asp 100mM、His 300mM、Pro 400mM、Ser 400mM、Trp 60mM、Val 400mM。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;滅菌および加速エージング;並びに、一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。
結果
図6及び図7にみることができるように、アミノ酸混合物の保護効果は、混合物の一つの単一アミノ酸が寄与することはできなかった。
アミノ酸の併用は、65 %(4アミノ酸)および85%(8アミノ酸)の保護効果を示し、一方、これらの混合物の単一アミノ酸の平均の効果は、非滅菌対照と比較し、22%(4アミノ酸)および33%(8アミノ酸)の抗原結合能力であった。単一アミノ酸の最大効果は、28 %(4個のアミノ酸)および55%(8個のアミノ酸)である。
実施例3: 溶液へのグリチルリチン酸の添加はアミノ酸ポストコーティングの保護効果をさらに増幅する
実験法
アミノ酸を0.5M NaOH(Merck, 106482)かまたは0.5M HCl(Merck, 100319)のいずれかに溶解して最大濃度の貯蔵溶液を得た。アミノ酸貯蔵溶液を混合し、ポストコーティング溶液で200mMの総アミノ酸濃度を得た。アミノ酸は、等モル比(2アミノ酸:2x100mM;3アミノ酸:3x67mM;4アミノ酸:4x50mM、など)で使用した。
グリチルリチン酸(アンモニウム塩、Fluka, 50531)を、50%のエタノール(無水、Sigma-Aldrich, 32205)に溶解し、25mMの貯蔵溶液を得た。グリチルリチン酸を1:25で希釈し、1mMの濃度のポストコーティング溶液を得た。
アミノ酸混合物のpHをおよそ7.0に調整し;そして混合物をPBSでさらに希釈し、200mMの最終アミノ酸濃度を得た。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;滅菌および加速エージング;並びに、一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。
結果
異なるアミノ酸ポストコーティングへのグリチルリチン酸の添加は、図8に示したように、すべてのポストコーティングの保護効果を75〜80 %(非照射対照と比較した抗原結合能力)の最大値まで増強した。
実施例4:アミノ酸ポストコーティングは、少なくともアルブミンおよびマンニトールのような従来の保護物質を含有するポストコーティングに相当する、ストレス条件に対する保護を提供する。
実験法
アミノ酸ポストコーティングは、実施例3に記述したように調製した。ヒトアルブミンは20g/lの濃度およびマンニトールは10g/lの濃度でPBS溶液に希釈して使用した。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;滅菌および加速エージング;並びに、一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述した手順で行った。
結果
図9に示されているように、アミノ酸ポストコーティングは、適用されたストレスの形態に依存し、アルブミンおよびマンニトールに基づいたポストコーティングに相当する保護効果またはさらにより優れている保護効果を提供する。
5個の異なるアミノ酸(200mM)および1mMグリチルリチン酸から成るアミノ酸ポストコーティングは、未処理対照と比較し、照射後(25kGy)80%および加速エージング過程後85%の抗原結合能力の保護効果を示した。アルブミンおよびマンニトールから成るポストコーティングは、照射後(25kGy)、未処理対照の65%の活性を示した。45℃で7日間の加速エージング後、何らのポストコーティングもない対照と同様に、ほとんど活性は残っていなかった。
実施例5:アミノ酸混合物は、例えば、ELISAプレートへの非特異的結合をブロックする。
実験法
LO-MM-3は、材料&方法で記述したようにELISAプレートに吸着させた。プレート表面を、外界温度で1時間300μlのブロッキング溶液でウェルをインキュベートすることによりブロックした。ブロッキングとして、10g/lヒトアルブミンのPBS溶液または20g/lの18個のアミノ酸混合物のPBS溶液を使用した。その後のELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行なった。
結果
アミノ酸混合物も、図10に示されるように、表面への非特異的結合をブロックできる。18個のアミノ酸混合物は、特異的抗原−抗体相互作用を阻害することなくELISAプレートへの非特異的結合をブロックする。ブロッキング効率は、標準アルブミンブロッキングに匹敵する。
実施例6:アミノ酸混合物は、DNAseのような酵素へのストレスに対する防御を提供する。
実験法
ELISAプレートへのDNAseの吸着およびポストコーティングの適用
酵素DNAse(Sigma-Aldrich, DN25)を、96ウェルELISAプレート(Greiner Bio-one, 655061)の表面に吸着させた。DNAseはPBS(Ca2+/Mg2+非含有、PAA, H15-002)で1mg/mlの濃度に希釈した。100μlの酵素溶液を、各ウェルにピペットで添加し、5℃で一晩インキュベートした。プレートをPBS-/-溶液で2回洗浄した。
四つのウェルは同じに処理し、以下の分析における平均値および標準偏差を計算した。プレートへの非特異的結合を、ウェル当たり200μlのブロッキング溶液でブロックし、外界温度で1時間インキュベートした。プレートをPBS-/-溶液で2回洗浄した。200μlの各ポストコーティング溶液を、各ウェルにピペットで加えた。プレートを外界温度で1時間、ポストコーティング溶液でインキュベートした。ポストコーティング溶液を廃棄し、プレートを外界温度で乾燥した。
ブロッキングおよびポストコーティング溶液:
ブロッキング:
20g/lヒトアルブミン(Biotest Pharma)のPBS-/-溶液
ポストコーティング:
20g/lヒトアルブミン+10g/lマンニトール(Serag Wiesner, 219675)のPBS-/-溶液
ブロッキング
20g/lアミノ酸(Ala、Asp、Arg、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val)のPBS-/-溶液
ポストコーティング:
20g/lアミノ酸(Ala、Asp、Arg、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val)+0,25mMグリチルリチン酸(アンモニウム塩,Fluka, 50531)のPBS-/-溶液
被覆表面のストレス曝露
一つのプレートを、照射(ベータ線、25kGy)により滅菌した。照射は、Beta-Gamma-Service, Bruchsal, Germanyを使用して行なった。
ストレス曝露がない同一プレートを対照として供した。保護効果は、未処理対照と比較したストレス条件後の残存するDNAse機能性として計算した。
Figure 0005680055
DNAse機能性の検出
プレートをPBS-/-溶液で3回洗浄した。dsDNA標品(Sigma-Aldrich, d1501)はPBS溶液(Ca2+/Mg2+含有, Hyclone, SH3026401)で1μg/mlに希釈した。各ウェルに50μlのDNA溶液を加え、37℃で1時間インキュベートした。蛍光DNA色素ピコグリーン(Picogreen)(Molecular Probes, P7581)を1:1000(PBS)で希釈し、150μlの色素を各ウェルのDNA溶液に加えた。
ピコグリーン蛍光を測定した;励起フィルターを485nmに設定し、そして発光を530nmで検出した(Fusion Photometer A153601, PerkinElmer)。蛍光シグナルは、DNA濃度と相関した。DNAse活性は、DNA(即ち、蛍光シグナル)の減少として測定した。
結果:
図11に示されているように、アミノ酸ポストコーティングは、DNAseのような酵素についてもストレス(照射)に対する保護効果を提供する。保護は、アルブミンおよびマンニトールに基づいたポストコーティングの保護に匹敵する。
18個の異なるアミノ酸(20g/l)および0.25mMグリチルリチン酸から成るアミノ酸ポストコーティングは、照射後(25kGy)、未処理対照と比較して83%のDNAse活性の保護効果を示す。アルブミンおよびマンニトールから成るポストコーティングは、照射後(25kGy)、未処理対照の95%の活性を示す。
実施例7:アミノ酸ポストコーティングは、IgGインフリキシマブ様治療用抗体にストレスに対する保護を提供する。
実験法:
治療用抗体インフリキシマブ(ヒト化IgG、抗ヒトTNF-α, Centocor, DD7701504)を、ELISAプレート表面に吸着させた。インフリキシマブはPBS-/-溶液で1μg/mlの濃度に希釈し、100μlの溶液を、各ウェルにピペットで加えた。プレートは、5℃で一晩インキュベートし、そして洗浄用緩衝液で2回洗浄した。
ポストコーティングの適用;滅菌および加速エージングは材料&方法の節に記述したように行った。
インフリキシマブ機能性のELISA検出
乾燥されたポストコーティングは、プレートを3回洗浄することによりウェルから取り出した。ELISAプレートは、各ウェルへ300μlのブロッキング溶液(PBS中10g/lアルブミン)をピペットで加え、外界温度で1時間インキュベートすることによりブロックした。プレートを3回洗浄した。
インフリキシマブ、TNF−α(ヒト組換体、R&D, Cat 210-TA)に対する抗原を1 ng/mlに希釈し、200μlの抗原溶液を各ウェルにピペットで加えた。プレートを外界温度で1時間インキュベートし、3回洗浄した。
結合された抗原は、検出用抗体(HRP標識抗ヒトTNF−α、R&D, Cat DTA00C)により検出した。検出用抗体のready-to-use溶液を、PBSで1:2に希釈した。各ウェルに200μlを添加し、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。
HRP(TMB=テトラメチルベンジジン)のためのready-to-use ELISA基質溶液の200μlを各ウェルにピペットで加えた。プレートを外界温度で20分インキュベートし、光から保護した。呈色反応を停止するため、各ウェルに50μlのH2SO4(蒸留水で1:5に希釈)を加えた。生じた黄色は、450nmの波長での吸収を測定することにより検出した。
結果:
図12に示されているように、グリチルリチン酸有りまたは無しのアミノ酸ポストコーティングは、適用されたストレスの形態に依存し、アルブミンおよびマンニトールに基づいたポストコーティングに相当する保護効果またはさらにより優れている保護効果を提供する。
18個の異なるアミノ酸(PBS中20g/l)から成るアミノ酸ポストコーティングは、未処理対照と比較すると、照射後(25kGy)および加速エージング過程後、それぞれ85%および90%の保護効果を示した。アミノ酸ポストコーティングへ1mMグリチルリチン酸を添加すると、未処理対照と比較した抗原結合能力は、照射後(25kGy)92%および加速エージング過程後95%である。アルブミンおよびマンニトールから成るポストコーティングは、照射後(25kGy)、未処理対照の72%の活性を示す。45℃で6日間エージングを促進させた後、アルブミンおよびマンニトールでは15%のみの活性しか残存せず、何らのポストコーティングもない対照と同様であった。
実施例8:アミノ酸ポストコーティングは、核酸(dsDNA)にストレスに対する保護を提供する。
実験法:
dsDNA(Sigma, D1501)を、ELISAプレート表面に吸着させた。DNAは、1mM EDTA(Fluka, 50531)を含むPBS-/-溶液(1mg/ml)に溶解し、潜在的DNAse活性を抑制した。DNAをPBS溶液で1:64に希釈して15μg/mlとし、100μlの溶液を、各ウェルにピペットで加えた。プレートは、5℃で一晩インキュベートし、PBS-/-溶液で2回洗浄した。
ポストコーティングの適用および滅菌は、材料&方法の節に記述したように行った。
ピコグリーンによる無傷のdsDNAの検出
乾燥したポストコーティングは、プレートを3回洗浄することによりウェルから取り出した。各ウェルに、100μlのピコグリーン色素(1:1000に希釈したPBS-/-溶液、Molecular Probes, P7581)を加えた。ピコグリーン蛍光を直後に測定した;励起フィルターを485nmに設定し、発光を530nmで検出した(Fusion Photometer A153601, PerkinElmer)。蛍光シグナルは、無傷のdsDNAの濃度と相関する。
結果:
図13に示されているように、アミノ酸ポストコーティングは、グリチルリチン酸またはマンニトールの添加にかかわらず55〜60%の保護効果を提供する。ポストコーティングなしでは、25kGyで照射した場合、無傷dsDNAの量は20%に減少した。アルブミンおよびマンニトールなどの従来の安定化物質は、約85%の保護を提供する。
実施例9:具体的アミノ酸組成物の保護効果
20mgのヒト抗A型肝炎抗体(ベリグロビン(Beriglobin)(ヒトIgG, AK)、CSL Behring)および40mgの保護用組成物を水に溶解してサンプル当たり525μlの総量となし、そして凍結乾燥した。その後、サンプルを1mlの水に溶解し、HAV(A型肝炎ウイルス)IgG ELISAを使用して機能性について試験した。
組成物:
20g アルギニン
20g ヒスチジン
20g リジン
3g グルタミン酸
2g トリプトファン
20g グリシン
15g アラニン
0.2g ツイーン80
1g グリチルリチン酸アンモニウム塩
NaOHおよび/またはNaClを使用してpHを約7.2に調整した。その後、溶液を滅菌濾過にかけた。
400μlの溶液(40mgの固体化合物に相当する)を125μlのベリグロビン(20mgの抗体に相当する)と混合した。
凍結乾燥:
凍結乾燥は次のように実施した:
初期凍結温度−40℃;
3時間の凍結後、0.1 mBarの真空開始;
23時間の間、約1.5℃/時間の温度上昇;
6時間乾燥、6℃および0.004mBarで一晩。
滅菌:
凍結乾燥サンプルを、25kGyで照射し、そして一つは50kGyのベータ線照射。
結果:
HAV ELISAの結果は、図14に示されている。
乾燥および滅菌後、白色で無臭気の本質的に安定なケーキ状物質を得た。1mlの水を各サンプルに加え、溶解行動をモニターした。溶解は30秒未満以内に起こり、凝集体は存在していなかった。24時間後でも、巨視的または顕微鏡的凝集は検出不能であった。
結論:
組成物の適用は、非照射対照と比較して、ベリグロビンのA型肝炎抗体部分の非常にわずかな喪失しか生じさせなかった。
実施例10:安定化化合物としての異なるサポニンの試験。サポニンの構造クラスは抗体に対する安定化効果を有する。
材料&方法
すべての実験は、同じ基本ELISAアッセイデザイン(上記を参照)に基づいている;
ELISAプレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;
被覆表面のストレス曝露
LO-MM-3機能性のELISA検出。
実験法:
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用および滅菌;並びに一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。照射線量(電子ビーム)は50kGyであった。
結果:
実験の結果は図15に示されている。サポニンの構造クラスは、アミノ酸併用の保護効果を増強する可能性を有する。好適であるのは、サポニングリチルリチン酸の使用である。
実施例11:少なくとも3個の異なるアミノ酸、または少なくとも2個の異なるアミノ酸およびグリチルリチン酸などのサポニン、を含む安定化組成物は、非常に良好な保護を提供する。
材料&方法
すべての実験は、同じ基本ELISAアッセイデザイン(上記を参照)に基づいている;
ELISAプレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;
被覆表面のストレス曝露
LO-MM-3機能性のELISA検出。
実験法:
アミノ酸を0.5M NaOH(Merck, 106482)かまたは0.5M HCl(Merck, 100319)のいずれかに溶解して最大濃度の貯蔵溶液を得た。アミノ酸貯蔵溶液を異なる組み合わせで混合し、ポストコーティング溶液中で20g/lの総アミノ酸濃度を得た。
アミノ酸混合物のpHをおよそ7.0に設定した。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用および滅菌;並びに一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。照射線量(電子ビーム)は50kGyであった。
結果:
実験の結果は図16に示されている。少なくとも3個のアミノ酸の併用、およびグリチルリチン酸を添加した2個のアミノ酸の併用は、50kGyのベータ線照射で滅菌した場合、固定化抗体の最大保護(75%以上)を提供する。
実施例12:好適なアミノ酸組成物は異なるストレス条件下での保護を提供する。
材料&方法
すべての実験は、同じ基本ELISAアッセイデザイン(上記を参照)に基づいている;
ELISAプレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;
被覆表面のストレス曝露
LO-MM-3機能性のELISA検出。
実験法:
使用した組成物:
保護用組成物A(リットル当たりの化合物)
20g アルギニン
20g ヒスチジン
20g リジン
3g グルタミン
2g トリプトファン
20g グリシン
15g アラニン
0.2g ツイーン80
1g グリチルリチン酸アンモニウム塩
NaOHおよび/またはHClを使用し、pHを約7.2に調整した。その後、溶液を滅菌した。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用および滅菌;並びに一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。
結果:
実験の結果は図17に示されている。アミノ酸組成物は、異なるストレス条件下で保護を提供する。最高の保護が、異なる線量でのベータ線照射、および温度上昇下での人工的エージングについて提供される。ガンマ線照射またはエチレンオキシド滅菌法ではより少ないが、なお有意義である。
実施例13:アミノ酸ポストコーティングは、長期貯蔵間の保護を提供する。
実験法:
アミノ酸を0.5M NaOH(Merck, 106482)かまたは0.5M HCl(Merck, 100319)のいずれかに溶解して最大濃度の貯蔵溶液を得た。アミノ酸貯蔵溶液を混合し、ポストコーティング溶液で200mMの総アミノ酸濃度を得た。アミノ酸は等モル比で使用した。
18個のアミノ酸:Ala、Arg、Asp、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val
5個のアミノ酸(1):Asp、Arg、Phe、Ser、Val
5個のアミノ酸(2):Ala、Glu、Lys、Thr、Trp
2個のアミノ酸(1):Asp、Val
2個のアミノ酸(2):Ala、Glu
アミノ酸混合物のpHをおよそ7.0に設定し;混合物を、さらにPBSで希釈して200mMの最終濃度を得た。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用および滅菌;並びに一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。長期貯蔵は、加速エージング過程によりシミュレーションした。プレートを45℃で貯蔵し、貯蔵0、10、25、41および62日後に抗体活性を決定した。このことは、0、6、12、24および36ヶ月の5℃での実時間エージングに等しい。
結果:
少なくとも5個のアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは長期貯蔵間の保護を提供する。非滅菌サンプルについては、45℃で62日後、約80%の抗原結合能力が温存された。滅菌サンプル(ベータ線、25kGy)では、45℃で62日後、それらの抗原結合能力の約70%を維持した。2個のみのアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、滅菌に関わらず、貯蔵プロセスの間に約40%のみの抗原結合能力しか維持しなかった。ポストコーティング溶液への1mMグリチルリチン酸の添加は保護効果を強化する。少なくとも5個のアミノ酸およびグリチルリチン酸を含有する非滅菌サンプルについては、45℃で62日後、約90%の抗原結合能力が保存された。滅菌サンプル(ベータ線、25kGy)は、45℃で62日後、それらの抗原結合能力の約80%を維持した。2個のアミノ酸およびグリチルリチン酸を含有するアミノ酸ポストコーティングは、貯蔵プロセスの間に約70%の抗原結合能力が維持された。
実施例14:アミノ酸ポストコーティングは、異なる滅菌プロセス間の保護を提供する。
実験法:
アミノ酸を0.5M NaOH(Merck, 106482)かまたは0.5M HCl(Merck, 100319)のいずれかに溶解して最大濃度の貯蔵溶液を得た。アミノ酸貯蔵溶液を混合し、ポストコーティング溶液で200mMの総アミノ酸濃度を得た。アミノ酸は等モル比で使用した。
18個のアミノ酸:Ala、Arg、Asp、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val
5個のアミノ酸:Asp、Arg、Phe、Ser、Val
2個のアミノ酸:Asp、Val
アミノ酸混合物のpHをおよそ7.0に設定し;混合物を、さらにPBSで希釈して200mMの最終濃度を得た。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用および滅菌;並びに一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。一つのプレートを照射した(ガンマ線、25kGy)。照射はBeta-Gamma-Service, Bruchsal, Germanyで行なった 。別のプレートを、EO(ETO BO1 サイクル)により滅菌した;滅菌は、Rose GmbH, Trier, Germanyで行なった。
結果:
ガンマ線照射で滅菌したサンプルは、18個のアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングで保護した場合、約85%の活性を維持し;この効果はグリチルリチン酸でさらには増強されず;5個のアミノ酸では残存活性は75%であり;2個のアミノ酸では40%のみを維持した。2個のアミノ酸での保護はグリチルリチン酸の添加により改善し、残存活性は65%である。ETOで滅菌したサンプルは、18個のアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングで保護した場合、約85%の活性を維持し;この効果はグリチルリチン酸でさらには増強されない。5または2個のアミノ酸を含有するポストコーティングは、ほとんど保護効果を有せず;グリチルリチン酸の添加はわずかに保護を増強する。
実施例15:アミノ酸およびジペプチドから成るポストコーティングは、高照射線量に対する保護を提供する
材料&方法
すべての実験は、同じ基本ELISAアッセイデザイン(上記を参照)に基づいている;
ELISAプレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用;
被覆表面のストレス曝露
LO-MM-3機能性のELISA検出。
実験法:
アミノ酸を0.5M NaOH(Merck, 106482)かまたは0.5M HCl(Merck, 100319)のいずれかに溶解して最大濃度の貯蔵溶液を得た。アミノ酸貯蔵溶液を混合し、ポストコーティング溶液中で20g/lの総アミノ酸濃度を得た。ジペプチド単独では10g/lの濃度で使用し、そしてアミノ酸との併用では2g/lの濃度で使用した。
7個のアミノ酸:Arg、His、Lys、Glu、Trp、Gly、Ala
2個のジペプチド:Gly−Tyr、Gly−Gln
アミノ酸混合物のpHをおよそ7.0に設定した。
プレートへのLO-MM-3の吸着およびポストコーティングの適用および滅菌;並びに一般的ELISA手順は、材料&方法の節に記述したように行った。照射線量(電子ビーム)は50kGyであった。
結果:
50kGyのベータ線照射で滅菌されたサンプルは、7個のみのアミノ酸を含有するアミノ酸ポストコーティングで保護された場合、約60%活性を維持した;この効果は、Gly−Tyrまたはジペプチドの併用のようなジペプチドの添加でさらに増強された。グリチルリチン酸は、アミノ酸ジペプチド併用の保護効果をさらには増強しなかった。
実施例16:ガラスバイアル中のインターロイキン−8を滅菌した;バイアルそれ自体が担体である。
実験法:
インターロイキン−8(IL-8, R&A, 208-IL)を、10μg/ml までPBS溶液(Ca2+/Mg2+非含有、PAA, H15−002)で希釈した。5μlの溶液(50ng IL-8)をガラスバイアルに添加し、乾燥するまで4時間回転させた。25μlの安定化溶液(20g/lアミノ酸混合物および1mMグリチルリチン酸(アンモニウム塩、Fluka, 50531))を加え、一晩回転/乾燥させた。
バイアルは≧25kGy(ベータ線照射)で滅菌した。非滅菌対照は、低温状態下で貯蔵した。
アッセイ:
好中性顆粒球は10% ACDA全血から分離した。20mlのACDA血(10%)を2mlのHES(Grifols 662650)で沈降させた。上清を7mlのパーコール(Percoll)(L6143)にピペットで移し、2000xgで20分遠心分離した。単離した顆粒球を1%自己血清中に再懸濁し、0.5x106/mlの細胞数に設定した。
陽性対照として、5μlのIL-8水溶液(50ng)を、25μlの安定化溶液(AおよびB)に溶解した。各滅菌バイアルに1mlのPBS(ca2+/mg2+含有, Hyclone, SH3026401)(1%自己血清で)を加え、乾燥フィルムを溶解させた。
サンプルの走化活性を検出するため、滅菌および非滅菌バイアルからの完全IL-8水溶液および対照を12ウェルプレート内にピペットで加えた。遊走フィルター(3μm、Corning, 3462)を挿入し、500μlの顆粒球浮遊液をフィルター内にピペットで加えた。プレートを、37℃で30分インキュベートした。遊走した細胞の数は、FACSおよび計数ビーズ(Invitrogen,C36950)により各ウェル中の細胞を計数することにより検出した。
結果:
図26を参照。
生体分子(ここでは、インターロイキン8=IL-8)は、もし安定化剤が加えられていなければ、続いての滅菌(≧25kGy照射)の間に生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸存在下では生体分子を保護した。示されているのは、ヒト好中性顆粒球に対するIL-8の走化活性である。
実施例17:ガラスバイアル中のインターロイキン−8を滅菌した;安定化剤それ自体が担体である。
実験:
インターロイキン−8(IL-8)を、10μg/ml までPBS溶液(Ca2+/Mg2+非含有、PAA, H15−002)で希釈した。5μlの溶液(50ng IL-8)および25μlの安定化溶液(20g/lアミノ酸混合物および1mMグリチルリチン酸(アンモニウム塩、Fluka, 50531))を混合し、ガラスバイアル内へピペットで加えた。バイアルを一晩回転/乾燥した。
バイアルは≧25kGyでの照射により滅菌した。非滅菌対照は、低温状態下で貯蔵した。
アッセイ:
好中性顆粒球は10% ACDA全血から分離した。20mlのACDA血(10%)を2mlのHES(Grifols 662650)で沈降させた。上清を7mlのパーコール(L6143)にピペットで移し、2000xgで20分遠心分離した。単離した顆粒球を1%自己血清中に再懸濁し、0.5x106/mlの細胞数に設定した。
陽性対照として、5μlのIL-8水溶液(50ng)を、25μlの安定化溶液(AおよびB)に溶解した。各滅菌バイアルに1mlのPBS(Ca2+/Mg2+含有, Hyclone, SH3026401)(1%自己血清で)を加え、乾燥フィルムを溶解させた。
サンプルの走化活性を検出するため、滅菌および非滅菌バイアルからの完全IL-8水溶液および対照を12ウェルプレート内にピペットで加えた。遊走フィルター(3μm)を挿入し、500μlの顆粒球浮遊液をフィルター内にピペットで加えた。プレートを、37℃で30分インキュベートした。遊走した細胞の数は、各ウェル中の細胞を計数することにより検出した(FACSおよび計数ビーズにより)。
結果:
図29を参照。
生体分子(ここでは、インターロイキン8=IL-8)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての滅菌(≧25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。示されているのは、ヒト好中性顆粒球に対するIL-8の走化活性である。
実施例18:ガラスバイアル中の抗マウスIgGを滅菌した;安定化剤それ自体が担体である。
実験法:
抗マウスIgG(ビオチン化、Jackson ImmunoResearch, 115-065-003)を、PBS(Ca2+/Mg2+非含有、PAA, H15-002)で4μg/mlに希釈した。25μl(100ng)の抗体溶液および25μlの2x濃縮安定化溶液(20g/lアミノ酸混合物および1mMグリチルリチン酸(アンモニウム塩、Fluka, 50531))を混合し、ガラスバイアル内にピペットで加えた。バイアルを一晩、回転/乾燥させた。
バイアルは≧25kGyでの照射により滅菌した。非滅菌対照は、低温状態下で貯蔵した。
アッセイ:
ELISAプレート(Greiner Bio-one, 655061)を抗原(マウスIgG,Innovativ Research,Ir-Ms-Gf)で覆った:抗原を1μg/mlに希釈し、100μlを各ウェルにピペットで加え、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄用緩衝液(25x濃縮、Invitrogen,WB02)で2回洗浄した。プレートをアルブミン(5%)でブロックし、再び3回洗浄した。
すべてのサンプルバイアルに、200μlのPBSを加え、乾燥フィルムを溶解させた(理論上は5μg/ml)。サンプルを、PBSで10ng/mlに希釈した。抗体濃度を計算するため、新鮮な抗体の段階希釈液を調製した。
サンプルおよび標品を、ピペットでELISAプレート(各2x200μl)に加え、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。各ウェルに、200μlのストレプトアビジン溶液(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識、Pierce,21126,PBSで0.1μg/mlに希釈)を加え、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。HRP発色基質TMB(TMB=テトラメチルベンジジン、Invitrogen、00−2023)を、H2Oで1:2に希釈し、200μlを各ウェルに加えた。プレートを、外界温度で15分インキュベートし、光から保護した。呈色反応を停止するため、50μlの希H2SO4(蒸留水で1:5に希釈、Merck, 1007311000)を加え、プレートの吸収を、450nmで検出した(Fusion Photometer A153601, PerkinElmer)。
結果:
図30を参照。
生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての貯蔵および/または滅菌(≧25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、異なるアミノ酸を有する安定化剤溶液は生体分子を保護した。示されているのは、抗原への特異的結合である。
実施例19:抗マウスIgGを滅菌した;担体はポリウレタンフォームである。
実験:
微多孔質ポリウレタン(PU)フォーム(Smith&Nephew, 66012608)から、規定された直径(1cm)を有するサンプルを型取りした。抗マウスIgG(ビオチン化、Jackson ImmunoResearch, 115-065-003)をサンプルに結合させた:抗体は、PBS(Ca2+/Mg2+非含有、PAA, H15-002)または安定化溶液(20g/lアミノ酸混合物および1mMグリチルリチン酸(アンモニウム塩、Fluka, 50531) )のいずれかで5μg/mlに希釈し、そしてPUサンプルを抗体溶液で覆った。サンプルを、37℃で1時間インキュベートした。
抗体溶液を除去し、PUサンプルを2時間風乾した。サンプルは、ベータ線照射(25kGy)により滅菌し、非滅菌対照は低温状態下で貯蔵した。
アッセイ:
ELISAプレート(Greiner Bio-one, 655061)を抗原(マウスIgG,Innovativ Research,Ir-Ms-Gf)で覆った:抗原を1μg/mlに希釈し、100μlを各ウェルにピペットで加え、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄用緩衝液(25x濃縮、Invitrogen,WB02)で2回洗浄した。プレートをアルブミン(5%)でブロックし、再び3回洗浄した。
PUサンプルをPBSで覆い、外界温度で1時間インキュベートした。サンプル溶液を採取し、1:20に希釈し、さらにPBSで1:4に連続的に希釈した。サンプルの抗体濃度を計算するため、新鮮な抗体の段階希釈液を調製した。
サンプルおよび標品を、ピペットでELISAプレート(各2x200μl)に加え、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。各ウェルに、200μlのストレプトアビジン溶液(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識、Pierce,21126,PBSで0.1μg/mlに希釈)を加え、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。HRP発色基質TMB(TMB=テトラメチルベンジジン、Invitrogen、00−2023)を、H2Oで1:2に希釈し、200μlを各ウェルに加えた。プレートを、外界温度で15分インキュベートし、光から保護した。呈色反応を停止するため、50μlの希H2SO4(蒸留水で1:5に希釈、Merck, 1007311000)を加え、プレートの吸収を、450nmで検出した(Fusion Photometer A153601, PerkinElmer)。
結果:
生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての貯蔵および/または滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、安定化剤溶液は生体分子を保護した。抗体の回収率はほとんど100 %(5μg/ml)である。示されているのは、抗原への特異的結合である。
実施例20:抗マウスIgGを滅菌した;担体はPVAヒドロゲルである。
実験法
ポリビニルアルコール(PVA, Sigma, 341584-25g)の7 %(m/v)水溶液(85℃に加熱)を調製した。水溶液を外界温度まで冷却した。抗マウスIgG(ビオチン化、Jackson ImmunoResearch, 115-065-003)を、PBSで200μg/mlまで希釈した。
ヒドロゲル混合物は以下の通りに構成されている:
6.75ml PVA水溶液(7%)
4.5μl 抗マウスIgG(200μg/ml)
2.25 PBSまたは安定化溶液(20g/lアミノ酸混合物および1mMグリチルリチン酸(アンモニウム塩、Fluka, 50531) )。
PVAヒドロゲルを、小さいペトリ皿に注いだ(直径35mM、2ml溶液)。ハイドロゲルフィルムを48時間風乾した。サンプルはベータ線照射(25kGy)によって滅菌し、非滅菌対照は低温状態下で貯蔵した。
アッセイ:
ELISAプレート(Greiner Bio-one, 655061)を抗原(マウスIgG,Innovativ Research,Ir-Ms-Gf)で覆った:抗原を1μg/mlに希釈し、100μlを各ウェルにピペットで加え、4℃で一晩インキュベートした。プレートを洗浄用緩衝液(25x濃縮、Invitrogen,WB02)で2回洗浄した。プレートをアルブミン(5%)でブロックし、再び3回洗浄した。
PVAヒドロゲルを6ウェルプレートに置き、2ml のPBS(Ca2+/Mg2+非含有、PAA, H15-002)で覆った。30分、1時間及び2時間後、PBSを集め、新鮮なPBSで置き換えた。
段階希釈したサンプルおよび標品を、ピペットでELISAプレート(各2x200μl)に加え、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。各ウェルに、200μlのストレプトアビジン溶液(西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識、Pierce,21126,PBSで0.1μg/mlに希釈)を加え、外界温度で1時間インキュベートした。プレートを3回洗浄した。HRP発色基質TMB(TMB=テトラメチルベンジジン、Invitrogen、00−2023)を、H2Oで1:2に希釈し、200μlを各ウェルに加えた。プレートを、外界温度で15分インキュベートし、光から保護した。呈色反応を停止するため、50μlの希H2SO4(蒸留水で1:5に希釈、Merck, 1007311000)を加え、プレートの吸収を、450nmで検出した(Fusion Photometer A153601, PerkinElmer)。
結果:
生体分子(ここでは、抗マウスIgG抗体)は、もし安定化剤が加えられなかったならば、続いての貯蔵および/または滅菌(25kGy照射)間に、その生物学的機能の大部分を失う。対照的に、安定化剤溶液は生体分子を保護した。溶出した抗体の回収率は非常に高かった。示されているのは、抗原への特異的結合である。

Claims (20)

  1. 組成物の使用であって、固体担体上に固定化された生体分子を安定化するため、
    (a)少なくとも三つの異なるアミノ酸、
    (b)少なくとも二つの異なるアミノ酸およびサポニン、または
    (c)少なくとも一つのジペプチドまたはトリペプチド
    を含む、前記組成物の使用。
  2. 該生体分子が前記固体担体上に可逆的に接着されている、請求項1の使用。
  3. 生体分子を安定化することが、生体分子の構造および/または活性を安定化すること、生体分子の貯蔵寿命を延長すること、および/またはストレス仲介損傷に対して生体分子を保護することを含む、請求項1または請求項2の使用。
  4. 該組成物が、少なくとも4個または少なくとも5個の異なるアミノ酸を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用であって、該組成物が、
    (a)非極性、脂肪族R基を有するアミノ酸;
    (b)極性、非荷電R基を有するアミノ酸;
    (c)正に荷電したR基を有するアミノ酸;
    (d)負に荷電したR基を有するアミノ酸;および
    (e)芳香族R基を有するアミノ酸;
    の各群の少なくとも一つのアミノ酸を含む、前記使用。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用であって、該組成物中に含まれるアミノ酸が、
    (a)アラニン、グルタミン酸、リジン、スレオニンおよびトリプトファン;
    (b)アスパラギン酸、アルギニン、フェニルアラニン、セリンおよびバリン;
    (c)プロリン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、スレオニン、フェニルアラニン;
    (d)チロシン、イソロイシン、ロイシン、スレオニン、バリン;および
    (e)アルギニン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、グルタミン酸、リジン、トリプトファン;
    から選択される、前記使用。
  7. 該組成物が、少なくとも二つのまたは少なくとも三つのアミノ酸の混合物内に乾燥重量で1%未満のシステインを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
  8. 該組成物がさらに、1%未満ツイーン(登録商標)を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用。
  9. 該サポニンが、グリチルリチン酸またはそれらの誘導体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
  10. 安定化生体分子を作製する方法であって、
    (a)固体担体へ該生体分子を接着させること;および
    (b)請求項1〜9のいずれか1項で特徴付けられた組成物中に該生体分子を包埋すること、そのため、該包埋された生体分子が、請求項1〜9のいずれか一項で特徴付けられた組成物により部分的にまたは完全に覆われている;
    を含む、前記方法。
  11. 接着された生体分子を有する固体担体を作製する方法であって、
    (a)該固体担体へ該生体分子を接着させること;および
    (b)工程(a)の担体を、請求項1〜9のいずれか一項で特徴付けられた組成物中でインキュベートすること;
    の工程を含む、前記方法。
  12. さらに(c)固体担体を乾燥させること;
    を含む、請求項10または請求項11に記載の方法。
  13. さらに、工程(b)の後にまたは工程(c)の後に該固体担体を滅菌することを含む、
    請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法により作製可能な固体担体、または作製される固体担体。
  15. 該生体分子が、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、脂肪酸、多価アルコールおよびそれらの組み合わせまたは修飾体であり、該タンパク質が、好ましくは抗体、酵素、受容体、サイトカイン、ホルモン、膜タンパク質、増殖因子、アルブミン、グロブリン、輸送タンパク質または血液凝固因子である、請求項14の固体担体。
  16. 該生体分子が疾患についての指標であるマーカータンパク質、非細胞性病原体、細胞または毒素に特異的に結合する、請求項14または15の固体担体。
  17. 医療用装置の製造のための、請求項14〜16のいずれか一項に記載の固体担体の使用。
  18. 該医療用装置がインプラント、チュービング、カテーテル、ステント、チュービング、創傷被覆材または体外循環に使用される医療用装置である、請求項17に記載の使用。
  19. 該担体の滅菌が、エチレンオキシド、ベータ線照射、ガンマ線照射、X線、加熱不活性化、加圧滅菌またはプラズマ滅菌により達成される、請求項13に記載の方法。
  20. 疾患についての指標であるマーカータンパク、非細胞性病原体、細胞または毒素の検出方法であって、
    (a)前記疾患についての指標である前記マーカータンパク質、前記非細胞性病原体、前記細胞または前記毒素に対する、担体に接着された生体分子の特異的結合を可能にするために適した条件下、患者から得られたサンプルと請求項16に記載の固体担体を接触させることであって、ここで前記疾患についての指標である前記マーカータンパク質、前記非細胞性病原体、前記細胞または前記毒素の存在が前記疾患の指標となる;および
    (b)疾患についての指標である前記マーカータンパク質、前記非細胞性病原体、前記細胞または前記毒素が該生体分子へ結合されているかどうかを検出すること;
    の工程を含む、前記方法。
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