JP4424850B2 - 安定な遺伝子製剤 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は遺伝子治療に使用される安定な遺伝子製剤に関する。さらに詳細には、本発明は製造工程中および組成物の保存安定性が良好な遺伝子または該遺伝子を組み込んだベクターを含有する製剤に関する。
背景技術
近年、疾病、特に遺伝病の治療あるいは予防を目的として遺伝子治療が試験的に臨床応用されるようになっている。遺伝子治療に関する研究の初期においては、細胞に導入される遺伝子の導入効率が高いことを主たる理由としてウイルスをベクターとして用いる手法が専ら研究されてきた。しかし、自己翻訳能力を有するプラスミドDNA(pDNA)を動物の筋肉内に直接投与することで遺伝情報を発現できることが見いだされて以来、pDNAがウイルスベクターに比べて安全性が高く、また工業的に生産しやすいため、pDNAを用いる遺伝子治療法が盛んに研究されるようになっている。
pDNAを用いる遺伝子治療の基礎研究における現在の最大の関心事は、pDNAの細胞への導入効率の向上と遺伝情報発現期間の延長である。pDNAの細胞への導入効率の向上を目的としては、pDNAをカチオン性のリポソームに封入する方法やポリマーと複合体を形成させる方法が報告されている。また、遺伝情報発現期間を延長することを目的としては、生体との親和性が高いコラーゲン(特開平9−71542)あるいはポリエチレンビニル酢酸(Journal of Controlled Release 47,123,(1997))を担体として用いた徐放性製剤に関する報告がなされている。これらの目的が解決できたとしても、遺伝子を含有している遺伝子製剤自体が一定の高品質を保持でき、安定かつ経済的に供給できなければ、実際には、遺伝子治療を広く普及させることはできない。
遺伝子製剤における有効成分たる遺伝子の生物活性を製剤の製造工程あるいは保存中に安定に保持させることは重要である。閉環状のpDNAを制限酵素で切断し、それを筋肉内に投与すると遺伝情報の発現が閉環状のpDNAを投与した場合の10%程度に低下することが知られている。よって、遺伝子の生物活性保持のためにpDNAの一次構造を製造工程中あるいは様々な条件が予想される保存中に保持させることが重要となる。
先述の基礎研究においてもpDNAの保存時の安定性に言及した報告が一部にあるが(Proceedings of National Academy of Sciences of the USA,93,7305(1996))、遺伝子製剤の製造あるいは製剤の安定性について系統的な検討はこれまで殆ど行われていない。後述の試験例に示すように、pDNAを単独で含有する、またはpDNAの導入効率を高めるための化合物もしくは遺伝子発現期間を延長するための化合物を添加した遺伝子調製物を、製剤化工程で一般に用いられる凍結乾燥条件に曝すと、あるいは品質が安定に保持されるべき保存状態に曝すと、有効成分であるpDNAは分解を受け、生物活性が著しく損なわれてしまう。
発明の開示
本発明者らは、安定な遺伝子製剤を得ることを目的として鋭意研究を重ねた結果、pDNAを含有する溶液中に糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類(アミノ酸類を除く)を添加した場合、またはコラーゲンまたはゼラチンを含有するときにはアミノ酸類を添加した場合、溶液状態での保存中および/または当該溶液を凍結乾燥する工程中および/または当該溶液の乾燥品の保存中でのpDNAの分解が大きく抑えられることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明は1つの態様として、所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターと、少なくとも1つの糖類および/または少なくとも1つの非疎水性アミノ酸類および/または少なくとも1つのカルボキシル基を2個以上有する有機酸類(アミノ酸類を除く)とを含む安定な遺伝子製剤に関する。
糖類は具体的には単糖、二糖、三糖以上のオリゴ糖またはそれらの糖アルコールであり、より具体的にはグルコース、ガラクトース、フルクトース、シュークロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ソルビトールまたはマンニトールである。
非疎水性アミノ酸類は具体的にはグルタミン酸、アスパラギン酸またはその塩である。
カルボキシル基を2個以上有する有機酸類は具体的にはカルボキシル基を2個もしくは3個有する有機酸またはその塩であり、より具体的にはクエン酸または酒石酸である。
所望の遺伝子を組み込んだベクターは具体的にはプラスミドDNAである。
本発明の遺伝子製剤は、細胞への遺伝子導入を促進する物質、または医学的に許容される添加剤をさらに含んでもよい。細胞への遺伝子導入を促進する物質としてはカチオン性脂質、カチオン性ポリマーまたは疎水性ポリマーがある。医学的に許容される添加剤としては生体親和性材料がある。
本発明遺伝子製剤に含まれる所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターは生体親和性材料に担持されていてもよい。生体親和性材料は具体的にはコラーゲン、ゼラチンまたはそれらの混合物である。
本発明には、溶液状態、ゲル状態あるいは懸濁液状態である所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターを含む調製物を乾燥工程、好ましくは凍結乾燥に付することにより得られる本発明遺伝子製剤が包含される。
また、本発明には、溶液状態、ゲル状態もしくは懸濁液状態である遺伝子製剤または溶液状態、ゲル状態もしくは懸濁液状態の工程を経て製造される遺伝子製剤において、溶液状態、ゲル状態または懸濁液状態における糖類、非疎水性アミノ酸類およびカルボキシル基を2個以上有する有機酸類(アミノ酸類を除く)の全体に対する含有量が約1w/v%以上である本発明遺伝子製剤が包含される。
本発明は別の態様として、所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターを含む遺伝子調製物に、少なくとも1つの糖類および/または少なくとも1つの非疎水性アミノ酸類および/または少なくとも1つのカルボキシル基を2個以上有する有機酸類(アミノ酸類を除く)を添加することからなる、遺伝子製剤を安定化する方法に関する。
さらに別の態様として、本発明は本発明の遺伝子製剤を生体に投与することからなる遺伝子治療方法に関する。
本発明は、もう1つの態様として、所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクター、少なくとも1つのアミノ酸類、および生体親和性材料、特にコラーゲンまたはゼラチンを含む安定な遺伝子製剤に関する。かかる遺伝子製剤は、細胞への遺伝子導入を促進する物質、例えばカチオン性脂質、カチオン性ポリマーまたは疎水性ポリマーをさらに含むことができる。本発明は、所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターが生体親和性材料、特にコラーゲンあるいはゼラチンに担持されていることを特徴とする遺伝子製剤を包含する。
本発明はこの態様においても、溶液状態、ゲル状態あるいは懸濁液状態である所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターを含む調製物を乾燥状態、特に凍結乾燥に付することにより得られる本発明遺伝子製剤を包含する。
また、本発明には、溶液状態、ゲル状態もしくは懸濁液状態である遺伝子製剤または溶液状態、ゲル状態もしくは懸濁液状態の工程を経て製造される遺伝子製剤において、溶液状態、ゲル状態または懸濁液状態におけるアミノ酸類の全体に対する含有量が約1w/v%以上である本発明遺伝子製剤が包含される。
別の態様として、本発明は、所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターと生体親和性材料、特にコラーゲンまたはゼラチンとを含む遺伝子調製物に、少なくとも1つのアミノ酸類を添加することからなる、遺伝子製剤を安定化する方法に関する。
さらに別の態様として、本発明は、上記本発明遺伝子製剤を生体に投与することからなる遺伝子治療方法に関する。
発明を実施するための最良の形態
上記のように、本発明の要旨は、所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターと少なくとも1つの糖類および/または少なくとも1つの非疎水性アミノ酸類および/または少なくとも1つのカルボキシル基を2個以上有する有機酸類とを含む安定な遺伝子製剤、ならびに所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクター、コラーゲンまたはゼラチンおよび少なくとも1つのアミノ酸類を含む安定な遺伝子製剤である。本発明製剤は別の局面では、これら糖類、非疎水性アミノ酸類および/または有機酸類を含む、あるいはコラーゲンまたはゼラチンおよびアミノ酸類を含む、含有される遺伝子またはベクターの安定化(分解抑制作用)増強製剤である。
「所望の遺伝子」としては、遺伝子治療が可能な遺伝子であればいずれでもよい。ここに、遺伝子治療とは、遺伝子を用いて行われる治療を意味する。例えば、遺伝子治療時に発現が要求されるタンパク質の遺伝子情報をコードする遺伝子、細胞内で特定のDNAやRNAと対合し遺伝子の発現を抑制するアンチセンス配列が挙げられる。アンチセンス配列は、ベクター等に組み込まれることなく使用することができる。
「所望の遺伝子を組み込んだベクター」としては、細胞内に導入されたとき、コードした遺伝情報を細胞内で発現するように構成された形態が好ましく、プロモーター等、目的遺伝子の発現に必要な要素を含有する、あるいは染色体への組み込みを可能とする要素を含有するベクター、例えばpDNAが挙げられる。
本発明の遺伝子製剤中には、別個の所望の遺伝子を組み込んだ数種類のベクターが同時に存在してもよい。また、一つのベクターには複数の遺伝情報がコードされていてもよい。遺伝子製剤中に含有されるベクターの量に特に制限はない。
遺伝子治療時に発現が要求されるタンパク質をコードする遺伝子には遺伝病の処置に用いられ得る遺伝子、例えばアデノシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ等の酵素類、GM−CSF、IL−2等のサイトカイン類、または繊維芽細胞増殖因子HST−1(FGF4)をコードする遺伝子が挙げられるがこれに限られるものではない。また、遺伝子治療時に発現が要求される別のタンパク質をコードする遺伝子として、発現されるタンパク質あるいはペプチドが抗原として免疫を誘導し、感染症もしくは腫瘍の予防または治療を行うことを目的とする遺伝子、即ち上記の抗原となり得るタンパク質あるいはペプチドをコードする遺伝子、例えばインフルエンザウイルスの表面タンパク質であるHAやNAまたは核タンパク質であるNPの各タンパク質、C型肝炎ウイルスのE2やNS 1タンパク質、B型肝炎ウイルスのHBs抗原タンパク質、A型肝炎ウイルスのカプシドタンパク質であるVP 1やVP 3、あるいはカプシド様タンパク質、デングウイルスのEgpタンパク質、RSウイルスのFあるいはGタンパク質、狂犬病ウイルスの構造タンパク質であるGやNタンパク質、ヘルペスウイルスのgDタンパク質、日本脳炎ウイルスのE 1あるいはpre−Mタンパク質、ロタウイルスの外殻糖タンパク質VP 7や外殻タンパク質VP 4、ヒト免疫不全ウイルスのgp120やgp160タンパク質、Leishmania majorの主要表面抗原タンパク質、マラリアのスポロゾイドの主要表面抗原(circum sporozoite protein)タンパク質、トキソプラズマの54−kdやCSタンパク質、虫歯の原因となるStreptococcusmutansの菌体表層タンパク質PAcをコードする遺伝子;また、MAGE−1、MAGE−3またはBAGEなどの癌退縮抗原や、チロシナーゼ、Mart−1、gp100、gp75などの組織特異抗原、p15、Mucl、CEA、HPV E6、E7、HPR2/neuなどをコードする遺伝子、および「Immunization with DNA」:Journal of Immunological Methods,176巻,1994年,145−152頁に記載されている遺伝子の核酸を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
「糖類」としては、医学的に許容される単糖、二糖、三糖以上のオリゴ糖もしくはこれらの糖アルコールまたはこれらの誘導体が挙げられる。本発明の遺伝子製剤に添加されることにより、製剤の安定性を改善するならば、糖類の種類は特に限定されない。また、本発明遺伝子製剤は2つ以上の糖類の混合物を含有することができる。
糖類としては例えば、単糖としてグルコース、ガラクトース、フルクトース等が挙げられ、好ましくはグルコースである。二糖としてはシュークロース、マルトース、ラクトース、トレハロースが好ましい例として挙げられる。
糖アルコールとしてはソルビトール、マンニトール等が挙げられ、好ましくはマンニトールである。
糖誘導体には、デオキシ糖、アミノ糖、リン酸エステル類等、およびこれらを構成成分とする二糖がある。
「非疎水性アミノ酸類」とは、アミノ酸類の中でも、非疎水性の性質を有するアミノ酸類を意味する。ここに、「非疎水性」とは、水との親和性が比較的強い性質を意味し、本発明では、グリシンの水親和性を基準として、それよりも水親和性が強い性質を「非疎水性」と称する。なお、水親和性を数値化する指標は、例えばkyte,J.&Doolittele,R.F.,1982,J.Mol.Biol,157,105−132に記載されている。この基準によれば、非疎水性でないアミノ酸はグリシン、アラニン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンである。「非疎水性アミノ酸類」として、好ましくはグルタミン、アスパラギン、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、プロリンが挙げられ、より好ましくはグルタミン、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウムが挙げられる。
コラーゲンまたはゼラチンを含む本発明製剤における「アミノ酸類」としては医学的に許容されるアミノ酸およびその塩、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。本発明の遺伝子製剤に添加されることにより、製剤の安定性を改善するならばアミノ酸類はこれらに限定されない。アミノ酸類としてはグルタミン酸またはアスパラギン酸などの酸性アミノ酸のみならず、一般に塩基性アミノ酸として分類されるリジン、アルギニン、ヒスチジン、および酸性、塩基性アミノ酸以外のグリシン、アラニン、メチオニン、プロリン、シスチン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、イソロイシン、システイン、チロシン、トリプトファン、ロイシンも包含される。よって、本発明におけるアミノ酸類とは、その水溶液における液性とは無関係であり、他に塩基性あるいは中性の側鎖が存在しているアミノ酸も包含される。アミノ酸の塩としてはナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。コラーゲンまたはゼラチンを含む本発明製剤における「アミノ酸類」として、好ましくはグルタミン、アスパラギン、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、プロリン、アルギニン、ヒスチジン、リジンが挙げられる。より好ましくは、コラーゲンとDNAの静電的な相互作用を弱める働きを有するグルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、アルギニン、ヒスチジン、リジンが挙げられ、さらに好ましくはアルギニン、ヒスチジンが挙げられる。
「カルボキシル基を2個以上有する有機酸」としては、医学的に許容されるカルボキシル基を2個以上する有機酸(アミノ酸類を除く)およびその塩、ならびにこれらの誘導体が挙げられる。本発明の遺伝子製剤に添加されることにより、製剤の安定性を改善するならば有機酸類の種類はアミノ酸類以外であれば、特に限定されない。
カルボキシル基を2個以上有する有機酸およびその塩としては、好ましくはカルボキシル基を2あるいは3個含む有機酸およびその塩が挙げられ、より好ましくは飽和または不飽和脂肪族の該有機酸である。カルボキシル基を2あるいは3個含む有機酸およびその塩として、例えばクエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸およびその塩が挙げられ、好ましくはクエン酸、酒石酸の塩である。
本発明の遺伝子製剤には、上記の糖類、非疎水性アミノ酸類およびカルボキシル基を2個以上有する有機酸類のいずれかを含有する製剤およびこれらのうち任意の2者または3者すべてを含有する製剤が含まれ、またいずれの場合でも糖類、アミノ酸類および有機酸類ともに一つ以上を含有することができる。
本発明の遺伝子製剤における、糖類、非疎水性アミノ酸類、カルボキシル基を2個以上有する有機酸類の個別の、またはこれらを混合して用いた場合の全体の含有量、あるいはコラーゲンもしくはゼラチンを含む本発明遺伝子製剤におけるアミノ酸類の含有量は、本発明製剤に含有される遺伝子またはベクターの分解を抑制する効果が得られる量以上に設定することが望ましいが、該遺伝子またはベクターの濃度および量あるいは遺伝子製剤の実施形態によって適宜設定することができる。例えば、pDNAを10μg/mlの濃度で溶解した150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液を凍結乾燥して目的の遺伝子製剤を得る、あるいはこのようにして乾燥した遺伝子製剤を保存する場合には、1%(w/v)以上の糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類を溶液に含有することが好ましい。なお、乾燥前あるいは実施形態である溶液状態の遺伝子製剤の通常用いられるpHはpH5〜pH8の範囲であるが、好ましくはpH6〜pH8の範囲であり、より好ましくはpH7〜pH8の範囲である。
本発明遺伝子製剤には、医学的に許容される添加剤あるいは遺伝子発現を改善し得る物質を添加することができる。糖類、アミノ酸類および有機酸類の量は従ってこれらの添加剤の種類および量によっても変動し得る。
医学的に許容される添加剤として、例えば生体親和性材料あるいはゴマ油、スクワレン等の油類等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
添加剤として使用する生体親和性材料に所望の遺伝子または該遺伝子を含むベクターを担持させれば、本発明遺伝子製剤を徐放性製剤にすることができる。ここに言う生体親和性材料とは、例えば、1)コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、アルブミン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ペクチン、アガロースおよびアラビアゴム、2)グリコール酸、乳酸、アミノ酸の重合体およびこれらの二以上の共重合体、ならびに、3)ハイドロキシアパタイト、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン等を挙げることができるがこれに限られるものではない。好ましい例として、コラーゲン、ゼラチンまたはその混合物が挙げられる。
ここに、「担持させる」とは、所望の遺伝子または該遺伝子を含むベクターを生体親和性材料に均一に分散または包括させることを意味する。
遺伝子発現を改善し得る物質としては、遺伝子の細胞への導入を促進する物質または遺伝子の核への移行を促進する物質を挙げることができる。前者の例として、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、疎水性ポリマー等を挙げることができる。「カチオン性脂質」として、DOTMA(N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N−トリメチルアンモニウムクロライド)、DOSPA(2,3−ジオレイルオキシ−N−[2−(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)、DDAB(ジメチルジオクタクレシルアンモニウムブロミド)、TM−TPS(N,N,NII,NIII−テトラメチル−N,N’,N’’,N’’’−テトラパルミチルスペルミン)、DMRIE(1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロライド(Biochemical Biophysical Research Communication,196,1042(1994))等が挙げられ、これらのカチオン性脂質とDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)等の中性脂質からなるカチオン性リポソーム、カチオン性脂質とコレステロールとの混合物も用いることができる。「カチオン性ポリマー」は遺伝子と静電的な相互作用をするポリマーであり、例えばDOGS(ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン)等のリポポリアミン、AlkCWK18等のペプチド、ポリリジンやその誘導体(Proceedings of Academy Sciences of the USA,89,6094(1992))等のカチオン性ポリアミノ酸およびその誘導体、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミンデンドリマー等が挙げられる。「疎水性ポリマー」は遺伝子と疎水的な相互作用をするポリマーであり、例えばポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等が挙げられる。その他、AlkCWK18等のペプチドも用いることができる。ここに、カチオン性リポソームとしては、例えばDOSPAとDOPEを1:1で含むLIPOFECTAMINE(登録商標、Life Technologies,Inc.,ロックビル,MD,USA)、DOTMAとDOPEを1:1で含むリポソーム、DDABとDOPEを1:2.5で含むLIPOFECTACE(登録商標、Life Technologies,Inc.,ロックビル,MD,USA)、TM−TPSとDOPEを1:1.5で含むCELLFECTIN(登録商標、Life Technologies,Inc.,ロックビル,MD,USA)等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、ここで言うカチオン性脂質とコレステロールの混合物とは、例えばDMRIEとコレステロールのモル比で1:1の混合物であるDMRIE−C(Life Technologies,Inc,,ロックビル,MD,USA)を挙げることできる。あるいは、遺伝子の細胞内におけるエンドソームでの分解を抑えるために、例えばエンドソームの内容物を放出する能力を有する不活化したアデノウイルス、CHEMS(コレステロールヘミスクシネートモルホリン塩)等を用いることもできる。
遺伝子の核への移行を促進する物質としては、HMG−1、2混合物(high mobility group−1,2 mixture:実験医学,12,184(1994))等を挙げることができる。
本発明遺伝子製剤の形状には特に制限はなく、例えば溶液状、懸濁液状、ゲル状、スポンジ状、粉末状、微粒子状、棒状、フィルム状などの形態をとることができる。
溶液状の遺伝子製剤の製造方法としては、例えば、
1)必要に応じて添加剤を添加した所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクターの溶液に糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類を加えて溶解し、均一な溶液状態の遺伝子製剤を得る方法、および
2)必要に応じて添加剤を添加した所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクターの溶液に糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類の溶液を加えて混合し、均一な溶液状態の遺伝子製剤を得る方法、が挙げられる。
あるいは、コラーゲンまたはゼラチンを含む溶液に、必要に応じて添加剤を添加した所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクターの溶液およびアミノ酸類またはアミノ酸類の溶液を加えて溶解または混合し、均一な溶液状態の遺伝子製剤を得る方法も包含される。
微粒子状の遺伝子製剤の製造方法としては、例えば、
1)所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクター、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類、さらに必要に応じて添加剤を添加した溶液を噴霧乾燥する方法、および
2)所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクター、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類、さらに必要に応じて添加剤を添加した溶液を凍結乾燥し、得られたスポンジを粉砕する方法、が挙げられる。
あるいは、コラーゲンまたはゼラチンを含む溶液に、必要に応じて添加剤を添加した所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクターの溶液およびアミノ酸類またはアミノ酸類の溶液を加えて溶解または混合して得た溶液を噴霧乾燥し、あるいは該溶液を凍結乾燥し該凍結乾燥品を粉砕する方法も包含される。
棒状の遺伝子製剤の製造方法としては、例えば、
1)所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクター、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類、さらに必要に応じて添加剤を添加した溶液を噴霧乾燥して得られた微粒子を棒状に圧縮成形する方法、
2)所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクター、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類、さらに必要に応じて添加剤を添加した溶液を凍結乾燥し、得られたスポンジを粉砕して得られた微粒子を棒状に圧縮成形する方法、
3)所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクター、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類、さらに必要に応じて添加剤を添加した溶液を凍結乾燥し、得られたスポンジを棒状に圧縮成形する方法、
4)所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクター、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類、さらに必要に応じて添加剤を添加した溶液を凍結乾燥し、得られたスポンジに水等を加えた後、練合し、ノズルから棒状に押し出し、乾燥する方法、および
5)所望の遺伝子または該遺伝子を含有するベクター、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類、さらに必要に応じて添加剤を添加した溶液を噴霧乾燥し、得られた微粒子を液状あるいは混粘可能な程度に柔らかいゴム状のシリコーンと混合し、硬化剤を加え、ノズルから棒状に押し出す方法、が挙げられる。
あるいは、コラーゲンまたはゼラチンを含む場合は、上記方法にコラーゲンまたはゼラチンおよびアミノ酸類を使用する以外は同様の方法が包含される。
本発明の遺伝子製剤は、治療目的の疾患、標的臓器等に応じ、種々の方法で投与することができる。例えば、皮下、筋肉内等に投与することができ、また腎臓、肝臓、肺、脳等の疾患の対象部位に直接投与することができる。疾患部位に直接投与すれば臓器選択的に治療することができる。
本発明により得られる遺伝子製剤の効果を、所望の遺伝子を含有するベクターとしてプラスミドDNA(pDNA)を用いた場合を例に以下説明する。
1) pDNA単独あるいはpDNAと糖類、非疎水性アミノ酸類およびカルボキシル基を2個以上有する有機酸類以外の添加物(医学的に許容される添加剤、生体親和性材料、遺伝子導入を促進する物質等)を含有した溶液を製剤化すべく一般に用いられる凍結乾燥に付した場合、いずれの場合も凍結乾燥後にpDNAの分解がみられるが、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類を含有する組成で凍結乾燥した場合、これらを含まない組成で凍結乾燥した場合に比べて、pDNAの分解が抑制された。
2) pDNA単独あるいはpDNAと糖類、非疎水性アミノ酸類およびカルボキシル基を2個以上有する有機酸類以外の添加物(医学的に許容される添加剤、生体親和性材料、遺伝子導入を促進する物質等)を含有した溶液を乾燥させて得た乾燥品を40℃で保存した場合、いずれの場合もpDNAの分解が見られるが、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類を含有する組成の溶液を乾燥させて得た乾燥品を保存した場合、これらを含まない場合に比べて、pDNAの分解が抑制された。
3) pDNAとコラーゲンまたはゼラチンを含有する溶液を製剤化すべく一般に用いられる凍結乾燥に付した場合、いずれの場合にも凍結乾燥後にpDNAの分解が見られるが、アミノ酸類を含有する組成で凍結乾燥した場合、これらを含まない組成で凍結乾燥した場合に比べ、pDNAの分解が抑制された。
4) pDNAとコラーゲンまたはゼラチンを含有する溶液を乾燥させて得た乾燥品を40℃で保存した場合、いずれの場合もpDNAの分解が見られるが、アミノ酸類を含有する組成の溶液を乾燥させて得た乾燥品を保存した場合、これらを含まない場合に比べ、pDNAの分解が抑制された。
このような糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類を含有する組成によるpDNAの安定化効果は、上記のような乾燥工程および乾燥状態での保存時のみならず、溶液状態でも得ることができる。特に、遺伝子の導入効率を向上させることを目的に用いられるカチオン脂質類を含有した組成でその効果が顕著である。すなわち、
5) pDNA単独あるいはpDNAと糖類、非疎水性アミノ酸類およびカルボキシル基を2個以上有する有機酸類以外の添加物(医学的に許容される添加剤、生体親和性材料、遺伝子導入を促進する物質等)およびカチオン脂質類を含有した組成の溶液を溶液状態で保存した場合、いずれの場合もpDNAの分解が見られるが、糖類および/または非疎水性アミノ酸類および/またはカルボキシル基を2個以上有する有機酸類を含有する組成の溶液を保存した場合、これらを含まない場合に比べて、pDNAの分解が抑制された。
前記本発明製剤の遺伝子分解抑制(安定化)効果は、後述の試験例と表9に具体的に示されている。
また、本発明で得られたHST−1/FGF4をコードするpDNAとコラーゲンおよびグルコースからなる棒状の遺伝子製剤をマウスの筋肉内に投与した場合、投与後38日間に亘って血中にpDNAが検出され、投与後60日以上に亘ってHST−1遺伝子の発現が血中および投与部位で認められた。一方、溶液でpDNAを投与した場合には、投与後30日間しかHST−1遺伝子の発現が認められなかった。この結果は、pDNAはコラーゲンおよびグルコースからなる棒状の遺伝子製剤から徐放されたのと同時に、遺伝子製剤内で長期間安定に保存されていることを示している。
実施例
以下に実施例、参考例および試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例および試験例により限定されるものではない。
以下の実施例においては、繊維芽細胞増殖因子HST−1(FGF4)の遺伝子(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,2980−2984(1987))を組み込んだプラスミドベクターpCAHST−1を含む製剤の調製につき説明する。HST−1遺伝子産物は巨核球に対して血小板増加因子として作用するものであり、癌の化学療法や放射線療法の際の重篤な副作用である血小板減少症を効果的に抑制することが明らかとなっている(J.Clin,Invest.,96:1125−2230,1995,Oncogene,13:9−19,1996)。pCAHST−1は、発現ベクターpCAGGS(Gene,108,193−200(1991))のCAGプロモーター部とポリA配列との間にHST−1遺伝子を組み込んだプラスミドベクターである。なお、CAGプロモーターは、高発現ベクターとして特開平3−168087号公報に記載されている。
実施例1
アミノ酸を含有する遺伝子製剤(乾燥状態)
10μg/mlのpCAHST−1および10mg/mlのグリシン、アラニン、グルタミン酸一ナトリウムまたはリジン塩酸塩を含有する150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液をそれぞれ調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、乾燥状態の遺伝子製剤を調製した。
実施例2
糖類を含有する遺伝子製剤(乾燥状態)
10μg/mlのpCAHST−1および10mg/mlのグルコース、シュークロース、マルトース、ラクトースまたはマンニトールを含有する150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液をそれぞれ調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、乾燥状態の遺伝子製剤を調製した。
実施例3
カルボキシル基2個以上を含む有機酸類およびアミノ酸を含有する遺伝子製剤( 乾燥状態)
10μg/mlのpCAHST−1および10mg/mlのグルタミン酸一ナトリウム、アスパラギン酸ナリウム、酒石酸ナトリウム二水和物またはクエン酸三ナトリウム二水和物を含有する150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液を調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、乾燥状態の遺伝子製剤を調製した。
実施例4
糖類およびカチオン性脂質を含有する遺伝子製剤(乾燥状態)
3μg/mlのpCAHST−1、24μg/mlのDMRIE−C(Gibco BRL社製、遺伝子導入促進成分)および10mg/mlのシュークロースを含有する150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液を調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、乾燥状態の遺伝子製剤を調製した。
実施例5
糖類および遺伝子導入促進成分を含有する遺伝子製剤(溶液状)
150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液に、pCAHST−1、DMRIE−C(Gibco BRL社製)およびグルコースをそれぞれの最終濃度が3μg/ml、24μg/ml、10mg/mlになるように混合した。このようにして、液状の遺伝子製剤を得た。
実施例6
徐放性遺伝子製剤(ゲル状)
0.1w/w%アテロコラーゲン溶液(500mg)に100μg/mlのpCAHST−1溶液(200μl)および10mg/mlのグルコース、シュークロースまたはグルタミン酸一ナトリウム溶液(500μl)を加え、混合後37℃に保温することによって、ゲル状の遺伝子製剤を調製した。なお、本実施例および以下の実施例・参考例において用いたアテロコラーゲンは(株)高研から入手できる。
実施例7
徐放性遺伝子製剤(スポンジ状)
実施例6で調製した、グルコースを含有するゲル状の遺伝子製剤を凍結乾燥した。これにより500μgのアテロコラーゲン、20μgのpCAHST−1、5mgのグルコース、シュークロースまたはグルタミン酸ナトリウム塩を含有するスポンジ状の遺伝子製剤を得た。
実施例8
徐放性遺伝子製剤(棒状)
0.86w/w%アテロコラーケン溶液(29.1g)に水(60g)、11mg/mlのグルコース溶液(10ml)を加え混合した後、100μg/mlのpCAHST−1溶液(80ml)を加え混合した。得られた溶液を凍結乾燥した後、この凍結乾燥品に適当量の蒸留水を加えて練合した。その後、練合品をシリンジに入れ押し出しを行い、さらに乾燥してpCAHST−1の収率74%の製剤を得た。すなわち、1mgあたり17μgのpCAHST−1、300μgのグルコースを含有する棒状の遺伝子製剤を得た。
参考例1
アミノ酸を加えないこと以外は、実施例1に記載の操作に従い、乾燥状態の組成物を調製した。
参考例2
シュークロースを加えないこと以外は、実施例4に記載の操作に従い、乾燥状態の組成物を調製した。
参考例3
グルコースを加えないこと以外は、実施例5に記載の操作に従い、液状の組成物を得た。
参考例4
糖類の溶液またはグルタミン酸一ナトリウム溶液を加えないこと以外は、実施例6および7に記載の操作に従い、500μgのアテロコラーゲンおよび20μgのpCAHST−1を含有するスポンジ状の組成物を得た。
参考例5
グルコース溶液を加えないこと以外は、実施例8に記載の操作に従い、1mgあたり20μgのpCAHST−1を含有する棒状の乾燥組成物を得た。
参考例6
pCAHST−1溶液を加えないこと以外は、実施例8に記載の操作に従い、1mgあたり300μgのグルコースを含有する棒状の乾燥組成物を得た。
試験例1
凍結乾燥時におけるアミノ酸の遺伝子分解抑制効果
実施例1の遺伝子製剤および参考例1の組成物を、凍結乾燥直後に水に溶解し、アガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を評価した。
アガロース電気泳動は水平型電気泳動ユニット(Mupid、(株)アドバンス)にて、TAE緩衝液中で0.8%アガロースゲルを用いて行った。電気泳動後、エチジウムブロマイドでゲルを染色し、トランスイルミネーター上で撮影した。その映像を写真スキャナーで取り込み、一次構造が保持されたスーパーコイル型pDNA(CC)と切断されたpDNA(OC)のバンドを含むすべてのバンドの強度を解析ソフトで算出し、CCの比率、すなわち一次構造保持率(CC保持率)を計算した。この場合、無処理のpDNAのCC保持率を100とした。試験例2以降においてもアガロース電気泳動を実施する場合にはこの方法を用いた。
得られた結果を以下の表1および図1に示す。図中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:無添加(参考例1)
レーン3:グルタミン酸一ナトリウム(実施例1)
レーン4:グリシン(実施例1)
レーン5:アラニン(実施例1)
レーン6:フェニルアラニン
レーン7:リジン塩酸塩(実施例1)
レーン8:無処理
Figure 0004424850
結果は、グルタミン酸一ナトリウムを製剤に加えることで、アミノ酸無添加の製剤に比べて、pCAHST−1の分解が抑えられることを示している。
試験例2
凍結乾燥時における糖類の遺伝子分解抑制効果
実施例2の遺伝子製剤および参考例1の組成物を、凍結乾燥直後に水に溶解し、試験例1の操作に従い、アガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を評価した。得られた結果を以下の表2および図2に示す。結果は、グルコース、シュークロース、マルトース、ラクトースおよびマンニトールを製剤に加えることで、糖類無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解が大幅に抑えられることを示している。
Figure 0004424850
図2中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:無添加(参考例1)
レーン3:グルコース(実施例2)
レーン4:シュークロース(実施例2)
レーン5:マルトース(実施例2)
レーン6:ラクトース(実施例2)
レーン7:マンニトール(実施例2)
レーン8:無処理
試験例3
凍結乾燥時におけるカルボキシル基2個以上を含む有機酸類およびアミノ酸の遺伝子分解抑制効果
実施例3の遺伝子製剤および参考例1の組成物を凍結乾燥直後に水で溶解し、試験例1に記載の操作に従って、アガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を評価した。得られた結果を以下の表3および図3に示す。結果は、グルタミン酸一ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム二水和物あるいはクエン酸三ナトリウム二水和物を製剤に加えることで、有機酸類無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解が大幅に抑えられることを示している。
Figure 0004424850
図3中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:無添加(参考例1)
レーン3:グルタミン酸一ナトリウム(実施例3)
レーン4:アスパラギン酸ナトリウム(実施例3)
レーン5:酒石酸ナトリウム二水和物(実施例3)
レーン6:クエン酸三ナトリウム二水和物(実施例3)
レーン7:無処理
試験例4
カチオン性脂質を含有する遺伝子溶液の凍結乾燥時におけるシュークロースの遺伝子分解抑制効果
実施例4の遺伝子製剤および参考例2の組成物を凍結乾燥直後に水で溶解し、試験例1の操作に従ってアガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を評価した。得られた結果を以下の表4および図4に示す。結果は、シュークロースを製剤に加えることで、無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解が抑制されることを示している。
Figure 0004424850
図4中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:無添加(参考例2)
レーン3:シュークロース(実施例4)
レーン4:無処理
試験例5
40℃保存時におけるグルコースの遺伝子分解抑制効果(1)
実施例2の遺伝子製剤のうちグルコース処方の乾燥状態の製剤および参考例1の組成物を40℃で1、2、および4週間保存した。保存後のpCAHST−1の一次構造を試験例1の操作に従ってアガロース電気泳動で評価した。得られた結果を以下の表5および図5に示す。結果は、グルコースを製剤に加えることで、グルコース無添加の製剤に比べ、係る条件下でのpCAHST−1の保存安定性が大幅に改善されることを示している。
Figure 0004424850
図5中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:無添加(参考例1/40℃−1週間)
レーン3:無添加(参考例1/40℃−2週間)
レーン4:無添加(参考例1/40℃−4週間)
レーン5:グルコース(実施例2/40℃−1週間)
レーン6:グルコース(実施例2/40℃−2週間)
レーン7:グルコース(実施例2/40℃−4週間)
レーン8:無処理
試験例6
37℃保存時におけるシュークロースの遺伝子分解抑制効果
実施例4の遺伝子製剤および参考例2の組成物を37℃で4週間保存した。保存後のpCAHST−1の構造を試験例1記載のアガロース電気泳動で評価した。得られた結果を以下の表6および図6に示す。結果は、シュークロースを製剤に加えることで、シュークロース無添加の製剤に比べ、係る条件下でのpCAHST−1の保存安定性が大幅に改善されることを示している。
Figure 0004424850
図6中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:無添加(参考例2/37℃−4週間)
レーン3:シュークロース(実施例4/37℃−4週間)
レーン4:無処理
試験例7
40℃保存時におけるグルコースの遺伝子分解抑制効果(2)
実施例5の液状遺伝子製剤および参考例3の組成物を40℃で4週間保存した。保存後のpCAHST−1の一次構造を試験例1記載のアガロース電気泳動で評価した。得られた結果を図7に示す。結果は試験例5における乾燥製剤と同様に、グルコースを製剤に加えることで、グルコース無添加の製剤に比べ、係る条件下でのpCAHST−1の保存安定性が大幅に改善されることを示している。
図7中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:無処理
レーン2:グルコース(実施例5/40℃−4週間)
レーン3:無添加(参考例3/40℃−4週間)
レーン4:分子量マーカー(λHind III)
試験例8
コラーゲン含有時における糖類等の遺伝子分解抑制効果(1)
実施例7のスポンジ状の遺伝子製剤および参考例4のスポンジ状の組成物を150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液で加温下に溶解し、コラゲナーゼで処理した。処理後、試験例1に記載のようにしてアガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を評価した。その結果、グルコース、シュークロースおよびグルタミン酸一ナトリウムを製剤に加えることで、糖類無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解を大幅に抑えることができた(図8、表7)。
Figure 0004424850
図8中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:グルコース(実施例7)
レーン3:シュークロース(実施例7)
レーン4:グルタミン酸一ナトリウム(実施例7)
レーン5:無添加(参考例4)
レーン6:無処理
試験例9
コラーゲン含有時における糖類等の遺伝子分解抑制効果(2)
実施例8の棒状の遺伝子製剤および参考例5の棒状の組成物を137mM NaCl,2.7mM KCl,25mM Tris−HCl(pH7.4)溶液で加温下で溶解し、コラゲナーゼで処理した。処理後、試験例1に記載のようにしてアガロース電気泳動に付し、pCAHST−1の構造を評価した。その結果、グルコースを製剤に加えることで、グルコース無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解を大幅に抑えることができた(図9、表8)。
Figure 0004424850
図9中、CCは一次構造が保持されたスーパーコイル型pCAHST−1を示し、OCは切断されたpCAHST−1を示す。各レーンは次を意味する;
レーン1:分子量マーカー(λHind III)
レーン2:無添加▲1▼(参考例5)
レーン3:無添加▲2▼(参考例5)
レーン4:グルコース▲1▼(実施例8)
レーン5:グルコース▲2▼(実施例8)
レーン6:無処理
試験例10
安定な遺伝子製剤を用いた遺伝子導入
実施例8の棒状の遺伝子製剤(アテロコラーゲン/グルコース−pCAHST−1)および参考例5の棒状の組成物(アテロコラーゲン−pCAHST−1)をそれぞれ50μgのpCAHST−1を含有するように切断した。これらをICRマウス(雌性、6−7週齢)の右大腿部筋肉内に投与した(投与群1:実施例8の遺伝子製剤、投与群2:参考例5の組成物)。また、50μgのpCAHST−1を含有するリン酸緩衝液100μlもマウス右大腿部筋肉内に投与した(投与群3)。
インビボにおける徐放効果を調べるため、血中pCAHST−1の検出、血中および投与部位のHST−1量および血中の血小板数の3つの測定値を利用した。血中のpCAHST−1はPCR法で検出し、血中および投与部位(筋肉組織中)のHST−1量はELISA法で測定し、血中の血小板数は顕微鏡下でのカウントにて、それぞれ経時的に行った。
PCR法では、pCAHST−1(約8kbp)中の262bpを検出するプローブを使用し、Ampridirect法(島津製作所)を用いた。測定限界は、サザンブロッティングで1pg/5μl、エチジウム染色で2pg/5μlであった。ELISA法では、FGF4キット(R&Dシステムス社、アメリカ合衆国、検出限界20pg/ml)を使用した。血小板数の測定は、採血後、血小板以外の血球成分を分解処理し、顕微鏡下でカウントすることにより実施した。
PCR法による血中pCAHST−1の測定結果を図10に示す。投与群1では、血中でpCAHST−1は投与後6時間から検出され、その後38日間に亘って検出された。投与群2では、血中でpCAHST−1は投与後6時間から検出され、その後18日間に亘って検出された。投与群3では、血中でpCAHST−1は投与後7日間のみ検出された。
血中および投与部位でのHST−1量の測定結果をそれぞれ図11、図12に示す。図11中、各記号は次を意味する; 白抜き丸:アテロコラーゲン/グルコース−pCAHST−1(投与群1、実施例8)、黒塗り丸:アテロコラーゲン−pCAHST−1(投与群2、参考例5)、黒塗り四角:pCAHST−1を含有するリン酸緩衝液(投与群3、対照例)、白抜き四角:アテロコラーゲン/グルコース(参考例6)。
図12中、各記号は次を意味する; 白抜き丸:アテロコラーゲン/グルコース−pCAHST−1(投与群1、実施例8)、黒塗り丸:アテロコラーゲン−pCAHST−1(投与群2、参考例5)、黒塗り四角:pCAHST−1を含有するリン酸緩衝液(投与群3、対照例)、白抜き四角:アテロコラーゲン/グルコース(参考例6)。
投与群1では、HST−1量は血中および投与部位共に投与後増加し、30日後に最大に達した後徐々に減少したが、60日後も検出された。投与群2では、投与群1と同様に血中および投与部位でのHST−1量は投与後増加し、30日後に最大に達した後徐々に減少し40日後殆ど検出限界となり、総体的に投与群1に比べて産生されたHST−1量は少なかった。投与群3では、血中および投与部位でのHST−1量は、投与後増加し、10日後に最大に達した後徐々に減少し、30日後には検出されなかった。
血中の血小板数を経時的に測定した結果(図13)、投与群1では、血小板数は投与後増加し、30日後に最大に達した後徐々に減少したが、60日後も増加傾向を維持した。投与群2では、血小板数は投与後徐々に増加し、14日後に最大に達した後減少し、28日以降も低値ながら増加傾向を維持した。投与群3では、血小板数は投与後増加し、10日後に最大に達した後徐々に減少し、25日間に正常値に戻った。
図13中、各記号は次を意味する; 白抜き丸:アテロコラーゲン/グルコース−pCAHST−1(投与群1、実施例8)、黒塗り丸:アテロコラーゲン−pCAHST−1(投与群2、参考例5)、黒塗り四角:pCAHST−1を含有するリン酸緩衝液(投与群3、対照例)、白抜き四角:アテロコラーゲン/グルコース(参考例6)。
対照として、pCAHST−1を含まない参考例6の組成物も同様にマウス右大腿部筋肉内に投与し、投与後、血中および投与部位のHST−1量をELISA法で測定し、血中の血小板数を経時的に測定した。その結果、測定期間中、血中および投与部位でHST−1は検出されなかった。また、測定期間中、血小板数は増加しなかった。このことは、実施例8の遺伝子製剤を用いて得られた投与群1および投与群2でのHST−1の産生および血小板数の増加が、製剤中に含有されたpCAHST−1が細胞内に導入され、細胞内でHST−1の遺伝情報を発現したことによって生じたことを示している。
投与群1と投与群3の結果から、pCAHST−1を単独で投与した場合、HST−1の体内での発現および産生されたHST−1による生物学的な効果は一過的であるのに対して、実施例8の遺伝子製剤では長期間pCAHST−1を徐放すると共に、安定に体内で保持してHST−1の発現期間を延長し、かつ産生されたHST−1による生物学的な効果を長期間維持できることが判った。
投与群1と投与群2の結果から、実施例8と参考例5の遺伝子製剤では共に、pCAHST−1を単独で投与した場合に比べて、pCAHST−1を徐放すると共にHST−1の発現期間を延長できるが、グルコースを含有する実施例8の遺伝子製剤では参考例5の遺伝子製剤に比べて、pCAHST−1を安定に体内で保持し、HST−1の発現期間を高い産生量で延長維持し、それによってHST−1による生物学的な効果をより高い状態で長期間維持できることが判った。
以下、実施例9−12により調製した調製物について試験例11−16を行い、コラーゲンの存在または不存在下におけるアミノ酸または糖類の遺伝子に対する安定性の寄与を主として調べた。
実施例9
アミノ酸を含有する遺伝子製剤(乾燥状態)
10μg/mlのpCAHST−1および10mg/mlのアルギニン、リジン塩酸塩、アスパラギン、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン、グルタミン酸ナトリウム、ヒスチジン、プロリン、セリン、トレオニン、グリシン、アラニン、メチオニン、バリン、イソロイシンあるいは5mg/mlのロイシンを含有する150mM NaCl、10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液をそれぞれ調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、乾燥状態の遺伝子製剤を調製した。
実施例10
糖類を含有する遺伝子製剤(乾燥状態)
10μg/mlのpCAHST−1および10mg/mlのトレハロース、マルチトール、ラクトース、マルトース、グルコース、ソルビトール、コンドロイチン硫酸ナトリウムまたはキシリトールを含有する150mM NaCl、10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液をそれぞれ調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、乾燥状態の遺伝子製剤を調製した。
実施例11
アミノ酸を含有する徐放性遺伝子製剤(スポンジ状)
0.1w/w%アテロコラーゲン溶液(500mg)に20μg/mlのpCAHST−1溶液(1ml)および40mg/mlのアルギニン、リジン塩酸塩、アスパラギン、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン、グルタミン酸ナトリウム、ヒスチジン、プロリン、セリン、トレオニン、グリシン、アラニン、メチオニン、バリン、イソロイシンあるいは20mg/mlのロイシン溶液(125μl)を混合した溶液をそれぞれ調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、スポンジ状の遺伝子製剤を調製した。
実施例12
糖類を含有する徐放性遺伝子製剤(スポンジ状)
0.1w/w%アテロコラーゲン溶液(500mg)に20μg/mlのpCAHST−1溶液(1ml)および40mg/mlのトレハロース、マルチトール、ラクトース、マルトース、グルコース、ソルビトール、コンドロイチン硫酸ナトリウムまたはキシリトール溶液(125μl)を混合した溶液をそれぞれ調製した。調製した溶液の1mlを−40℃で凍結させた後、陰圧下室温で一晩乾燥した。このように凍結乾燥によって、スポンジ状の遺伝子製剤を調製した。
試験例11
凍結乾燥時におけるアミノ酸の遺伝子分解抑制効果
実施例9の遺伝子製剤および参考例1の組成物を、凍結乾燥直後に水に溶解し、試験例1の操作に従い、アガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を解析した。電気泳動後、エチジウムブロマイドでゲルを染色し、トランスイルミネーター上で撮影した。その映像を写真スキャナーで取り込み、一次構造が保持されたスーパーコイル型pDNA(CC)と一ヵ所が切断されたリラックス型pDNA(OC)、さらに切断され開環状になった直鎖型DNA(LS)のバンドの強度を解析ソフトで算出し、下式に従ってアミノ酸の添加による安定化度を計算した。結果を図14に示した。図14中のアミノ酸の順は、疎水親水度(Kyte,J.& Doolittele,R.F.,1982,J.Mol.Biol.157,105−132)の順である。結果は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン、グルタミン酸ナトリウム、ヒシチジン、プロリン、セリンまたはトレオニンを製剤に加えることで、アミノ酸無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解が抑制されていることを示している。
Figure 0004424850
試験例12
凍結乾燥時における糖類の遺伝子分解抑制効果
実施例10の遺伝子製剤および参考例1の組成物を、凍結乾燥直後に水に溶解し、試験例11の操作に従い、アガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を解析した。試験例11と同様に安定化度を算出し、その結果を図15に示した。結果は、糖類を製剤に加えることで、糖類無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解が抑制されていることを示している。
試験例13
コラーゲン含有時におけるアミノ酸類の遺伝子分解抑制効果
実施例11のスポンジ状の遺伝子製剤及び参考例4のスポンジ状の組成物を150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液で加温下に溶解し、コラゲナーゼで処理した。処理後、試験例11に記載したようにしてアガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を評価した。試験例11と同様に安定化度を算出し、その結果を図16に示した。図16中のアミノ酸の順は、疎水親水度(Kyte,J.& Doolittele,R.F.,1982,J.Mol.Biol.157,105−132)の順である。結果は、アミノ酸類を製剤に加えることで、アミノ酸類無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解を大幅に抑えることができたことを示す。
試験例14
コラーゲン含有時における糖類の遺伝子分解抑制効果
実施例12のスポンジ状の遺伝子製剤及び参考例4のスポンジ状の組成物を150mM NaCl,10mM Tris−HCl(pH7.4)溶液で加温下に溶解し、コラゲナーゼで処理した。処理後、試験例11に記載したようにしてアガロース電気泳動に付してpCAHST−1の一次構造を評価した。試験例11と同様に安定化度を算出し、その結果を図17に示した。糖類を製剤に加えることで、糖類無添加の製剤に比べてpCAHST−1の分解を大幅に抑えることができた。
試験例15
40℃保存時におけるアミノ酸類および糖類の遺伝子分解抑制効果
実施例9の遺伝子製剤のうちアスパラギン酸ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウム、プロリン、グルタミン処方の乾燥状態の製剤と実施例10の遺伝子製剤のうちグルコース、シュークロース、マルトース、ラクトース、マンニトール処方の乾燥状態の製剤および参考例1の組成物を40℃で1、2、および4週間保存した。保存後のpCAHST−1の一次構造を試験例1の操作に従ってアガロース電気泳動で評価した。得られた結果を図18に示す。結果は、非疎水性アミノ酸類あるいは糖類を製剤に加えることで、無添加の製剤に比べ、かかる条件下でのpCAHST−1の保存安定性が大幅に改善されることを示している。
試験例16
40℃保存時におけるコラーゲン含有遺伝子製剤に対するアミノ酸類および糖類の遺伝子分解抑制効果
実施例11のスポンジ状の遺伝子製剤のうちリジン、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン処方の乾燥状態の製剤と実施例12のスポンジ状遺伝子製剤のうちグルコース、シュークロース、マルトース、ラクトース、マンニトール処方の乾燥状態の製剤および参考例4のスポンジ状の組成物を40℃で1、2、および4週間保存した。保存後のpCAHST−1の一次構造を試験例13の操作に従ってアガロース電気泳動で評価した。得られた結果を図19に示す。結果は、アミノ酸類あるいは糖類を製剤に加えることで、無添加の製剤に比べ、係る条件下でのpCAHST−1の保存安定性が大幅に改善されることを示している。
発明の効果
試験例1から9にて得られた本発明製剤の遺伝子分解抑制(安定化)効果を以下の表9にまとめる。
Figure 0004424850
Figure 0004424850
Figure 0004424850
産業上の利用の可能性
安定性が増強された遺伝子または遺伝子を組み込んだベクターを含有する安定な遺伝子製剤は、今後利用頻度が高くなると思われる遺伝子治療に安全かつ容易に利用される。本発明製剤は、遺伝子治療が広く普及するための基盤を提供できる。特に本発明製剤は遺伝子または遺伝子を組込んだベクターを常温で流通あるいは保管することを可能とし、コールドチェーンが整備されていない地域で使用可能なDNAワクチンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は、アミノ酸を含有する遺伝子製剤(実施例1)に含まれるpCAHST−1の一次構造の評価結果を示す電気泳動の写真である。
図2は、糖類を含有する遺伝子製剤(実施例2)に含まれるpCAHST−1の一次構造の評価結果を示す電気泳動の写真である。
図3は、カルボキシル基2個を含む有機酸類およびアミノ酸を含有する遺伝子製剤(実施例3)に含まれるpCAHST−1の一次構造の評価結果を示す電気泳動の写真である。
図4は、糖類および遺伝子導入促進成分を含有する遺伝子製剤(実施例4)に含まれるpCAHST−1の一次構造の評価結果を示す電気泳動の写真である。
図5は、糖類を含有する遺伝子製剤(実施例2)を40℃で保存した後、pCAHST−1の一次構造を評価した結果を示す電気泳動の写真である。
図6は、糖類および遺伝子導入促進成分を含有する遺伝子製剤(実施例4)を37℃−4週間保存した後、pCAHST−1の一次構造を評価した結果を示す電気泳動の写真である。
図7は、糖類および遺伝子導入促進成分を含有する溶液状遺伝子製剤(実施例5)を40℃−4週間保存した後、pCAHST−1の一次構造を評価した結果を示す電気泳動の写真である。
図8は、コラーゲンを含有するスポンジ状遺伝子製剤(実施例7)に含まれるpCAHST−1の一次構造の評価結果を示す電気泳動の写真である。
図9は、コラーゲンを含有する棒状の遺伝子製剤(実施例8)に含まれるpCAHST−1の一次構造の評価結果を示す電気泳動の写真である。
図10は、コラーゲンを含有する棒状の遺伝子製剤(実施例8)における血中でのpCAHST−1の検出期間を示すグラフである。
図11は、コラーゲンを含有する棒状の遺伝子製剤(実施例8)における血中のHST−1濃度の経時変化を示すグラフである。
図12は、試験例10における投与部位でのHST−1量の経時変化を示すグラフである。
図13は、実施例10における血中の血小板数の経時変化を示すグラフである。
図14は、アミノ酸を含有する遺伝子製剤(実施例9)に含まれるpCAHST−1の凍結乾燥時の安定化度を示すグラフである(試験例11)。
図15は、糖類を含有する遺伝子製剤(実施例10)に含まれるpCAHST−1の凍結乾燥時の安定化度を示すグラフである(試験例12)。
図16は、アテロコラーゲンおよびアミノ酸を含有する遺伝子製剤(実施例11)に含まれるpCAHST−1の凍結乾燥時における安定化度を示すグラフである(試験例13)。
図17は、アテロコラーゲンおよび糖類を含有する遺伝子製剤(実施例12)に含まれるpCAHST−1の凍結乾燥時における安定化度を示すグラフである(試験例14)。
図18は、アミノ酸を含有する遺伝子製剤(実施例9)および糖類を含有する遺伝子製剤(実施例10)を40℃で保存した場合のpCAHST−1の安定化度を示すグラフである(試験例15)。
図19は、アテロコラーゲンおよびアミノ酸を含有する遺伝子製剤(実施例11)およびアテロコラーゲンおよび糖類を含有する遺伝子製剤(実施例12)を40℃で保存した場合のpCAHST−1の安定化度を示すグラフである(試験例16)。

Claims (8)

  1. 所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターと、クエン酸三ナトリウム二水和物または酒石酸ナトリウム二水和物とを含む安定な凍結乾燥遺伝子製剤。
  2. 所望の遺伝子を組み込んだベクターがプラスミドDNAである請求項1記載の凍結乾燥遺伝子製剤。
  3. 液状態、ゲル状態もしくは懸濁液状態の工程を経て製造される凍結乾燥遺伝子製剤において、溶液状態、ゲル状態または懸濁液状態におけるクエン酸三ナトリウム二水和物または酒石酸ナトリウム二水和物の全体に対する含有量が約1w/v%以上である請求項1記載の凍結乾燥遺伝子製剤。
  4. 細胞への遺伝子導入を促進する物質をさらに含む請求項1ないし3のいずれかに記載の凍結乾燥遺伝子製剤。
  5. 細胞への遺伝子導入を促進する物質が、カチオン性脂質、カチオン性ポリマーまたは疎水性ポリマーである請求項4記載の凍結乾燥遺伝子製剤。
  6. 医学的に許容される添加剤をさらに含む請求項1ないし5のいずれかに記載の凍結乾燥遺伝子製剤。
  7. 添加剤がコラーゲンである請求項6記載の凍結乾燥遺伝子製剤。
  8. 溶液状態、ゲル状態あるいは懸濁液状態である所望の遺伝子または所望の遺伝子を組み込んだベクターを含む調製物を凍結乾燥工程に付することにより得られる請求項1ないし7のいずれかに記載の凍結乾燥遺伝子製剤。
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