JP3867160B2 - 遺伝子製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療分野、特に遺伝子治療に関する。特に本発明は、生体内に投与した時に遺伝子ベクターまたは遺伝子を安定に保持、徐放し、長期間にわたりその治療効果を持続させることができ、また希望するときに治療の終了を可能にすることができる遺伝子製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、遺伝子治療に関する基礎研究が盛んに試みられるようになってきており、またその治療への期待は大変に大きいものである。遺伝子治療とは遺伝子を薬剤とし疾患を治療するもので、目的の酵素、サイトカイン等の遺伝子を患者の細胞内に導入し、その遺伝子により体内に目的とする物質が産生され疾患の治療を行うものである。この遺伝子治療は大きく2つに分けることができ、1つは目的の遺伝子を患者染色体内に組み込み、半永久的にその遺伝子の発現を期待するもので、もう1つは染色体に組み込まれることは期待せず一過性の発現を期待するものである。このうち後者の遺伝子治療では、例えば癌細胞に対する免疫能を高めるサイトカイン等の遺伝子を体内に導入する方法としてアデノウィルス等による方法がよく用いられている(Cardiovascular Research, 28, 445(1994): Science,256, 808(1992):Gestroenterology, 106, 1076(1994): TIBTECH, 11, 182(1993): J. Biol. Chem, 266, 3361(1991): Nature Medicine, 1, 583(1995)およびこれらの引用文献)。
ウィルスベクターを用いた場合は、遺伝子の導入効率が一般に高いが、免疫反応のために複数回投与が困難である(J. Biol. Chem., 269, 13695(1994)、Am, J. Respir, Cell Mol, Biol., 10, 369(1994))。有機薬剤又はタンパク製剤をコラーゲンを用いて徐放させる製剤についてはJ. Controlled Release 33, 307-315(1995)等に記載されている。しかし、ここに記載されている通常の薬物(例えばタンパク性薬剤、化学合成された薬物等)を例えばゲル状のコラーゲンに担持させた場合は1日〜2日程度で薬剤が溶け出す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
現在遺伝子治療として行われている遺伝子ベクター(遺伝子を組み込んだベクター)または遺伝子をそのまま投与する方法では、遺伝子ベクターまたは遺伝子は投与後直ちに細胞と接触し、直ちに遺伝子導入が開始されすぐに完了する。また、細胞内に入った遺伝子は細胞分裂によって希釈(コピー数が減少)あるいは細胞内での分解によって減少する。従って、導入された遺伝子の発現は数週間程度しか持続することができず、充分に治療するには短すぎることが欠点となっている。そのため何回かの遺伝子ベクターまたは遺伝子の投与が必要になっている。従って、本発明が解決しようとする課題は、これらの欠点を克服し長期にわたりその治療効果を持続させることができる遺伝子ベクターまたは遺伝子を徐放できる製剤を提供することにある。
また、ウィルスベクター等を用いた遺伝子治療は複数回投与が困難であるため、それを可能にする方法が望まれている。そこで、本発明が解決しようとする第2の課題は、ウィルスベクター等を用いた遺伝子治療において複数回投与を可能にする遺伝子製剤を提供することにある。
また、遺伝子はタンパク製剤に比べれば数週間と長期に発現するので安全性確保のため、遺伝子の体内における発現をいつでも中止できるようにしておくことが望ましい。そこで、本発明が解決しようとする第3の課題は、治療終了を希望する場合には遺伝子導入を直ちに止めることができる遺伝子製剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、遺伝子ベクターまたは遺伝子を徐放させる製剤を種々検討した結果、遺伝子を組み込んだベクターまたは遺伝子を、生体親和性材料からなる担体に担持させた遺伝子製剤を生体に投与したところ、意外にも遺伝子が数か月以上にわたっても発現されることを見出し、さらに本製剤は生体内で複数回投与が可能であることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)遺伝子を組み込んだベクターまたは遺伝子を、生体親和性材料からなる担体に担持させた遺伝子製剤。
(2)生体親和性材料が、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、アルブミン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ペクチン、アガロース、ハイドロキシアパタイト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、またはグリコール酸、乳酸もしくはアミノ酸の重合体もしくはこれらの共重合体、またはこれらの生体親和性材料の2種類以上の混合物である(1)記載の遺伝子製剤。
(3)遺伝子を組み込んだベクターまたは遺伝子を、コラーゲンを含む生体親和性材料からなる担体に担持させた遺伝子製剤。
(4)遺伝子を組み込んだベクターまたは遺伝子を、コラーゲンからなる担体に担持させた遺伝子製剤。
【0005】
(5)遺伝子製剤を生体内に入れた状態において、その状態の遺伝子製剤の中の生体親和性材料の含量が、0.01〜30w/w%である(1)記載の遺伝子製剤。
(6)溶液状、懸濁液状、含水のゲル状、フィルム状、スポンジ状、棒状、または球状である(1)記載の遺伝子製剤。
(7)ベクターが、ウィルスベクター、リポソームベクター、またはウィルスとリポソームによる融合リポソームベクターである(1)記載の遺伝子製剤。
(8)ベクターが、ウィルスベクターである(1)記載の遺伝子製剤。
(9)ベクターが、アデノウィルスベクターである(1)記載の遺伝子製剤。(10)遺伝子を組み込んだベクターまたは遺伝子を、生体親和性材料からなる担体に担持させ、その担持させたものをその遺伝子ベクターまたは遺伝子が透過できる容器に入れた遺伝子製剤。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
「遺伝子を組み込むベクター」としては、遺伝子を細胞内に導入できるものであればいかなるものでもよく、例えばウィルスベクター、リポソームベクター、またはウィルスとリポソームによる融合リポソームベクター等が挙げられる(Cardiovascular Research, 28, 445(1994): Science, 256, 808(1992):Gestroenterology, 106, 1076(1994): TIBTECH, 11, 182(1993): J. Biol. Chem, 266, 3361(1991): Nature Medicine, 1, 583(1995)およびこれらの引用文献)。ウィルスベクターとしては、遺伝子治療において通常のベクターとして用いられるものが使用でき、例えばアデノウィルス、、アデノ関連ウィルス、ワクシニアウィルス、レトロウィルス、HIVウィルス、ヘルペスウィルス等を用いるころができる。例えば上述の文献記載の通常の方法等に従って、導入する遺伝子をウィルスベクターに直接組み込むことで、遺伝子ベクターを調製することができる。
【0007】
リポソームベクターとしては、遺伝子治療において通常のリポソームベクターとして用いられるものが使用でき、例えばDOTMA、DOPE、DOGS等を混合して調整したものが使用できる。カチオニックリポソームベクターを用いた場合、細胞内への導入効率が高い。ウィルスとリポソームによるリポソームベクターとしては、例えばセンダイウィルス(HVJ:hemagglutinating virus of Japan)とリポソームの融合リポソームベクター等が挙げられる。例えば上述の文献記載の通常の方法等に従って、導入する遺伝子をリポソームベクターまたは融合リポソームベクターの内部に封入することで、遺伝子ベクターを調製することができる。封入する遺伝子の形態としては、生体内で遺伝子を発現できればいかなる形態でもよいが、好ましくは生体内で安定なものがよく、例えばプラスミド等がよい。
遺伝子を細胞内に導入する「遺伝子を組み込むベクター」に組み込まずに、遺伝子そのものを、本発明の遺伝子製剤に担持させることもできる。その場合には、遺伝子の形態としては、生体内で遺伝子を発現できればいかなる形態でもよく、例えば、いわゆる発現ベクター等に組み込んでもよい。好ましくは生体内でもより安定なものがよく、例えばプラスミド等がよい。
導入する「遺伝子」については、遺伝子治療が可能な遺伝子であればいずれでもよく、例えばアデノシンデアミナーゼ遺伝子、GM−CSF遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子等が挙げられる。
【0008】
「生体親和性材料」としては、生体親和性に優れ、遺伝子ベクターまたは遺伝子を生体内で安定に保持できるものが好ましい。生体親和性材料としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、アルブミン、ヒアルロン酸、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、キチン、キトサン、アルギン酸、ペクチン、アガロース、ハイドロキシアパタイト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリジメチルシロキサン、またはグリコール酸、乳酸もしくはアミノ酸の重合体もしくはこれらの共重合体、またはこれらの生体親和性材料の2種類以上の混合物等が挙げられる。特に好ましい生体内親和性材料としては、コラーゲンが挙げられ、このコラーゲンに上記他の生体親和性材料を混合することも好ましい。コラーゲンとしては、いかなるものも使用できるが、例えば酸可溶性コラーゲン、酵素可溶化コラーゲン(例えばアテロコラーゲン等)、アルカリ可溶化コラーゲン、側鎖を修飾したコラーゲン、架橋したコラーゲン、遺伝子工学的に製造したコラーゲン等を用いることができる。側鎖を修飾したコラーゲンとしては、例えばサクシニル化またはメチル化したコラーゲン等が挙げられ、架橋したコラーゲンとしては、例えばグリタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアナート、またはポリエポキシ化合物等で処理したコラーゲン等を挙げることができる(フレグランス・ジャーナル 1989-12, 104-109、特公平7-59522号公報)。
【0009】
また、遺伝子ベクター等の安定化、遺伝子の細胞内若しくは核内への導入促進、または遺伝子ベクター等の放出制御のために、必要に応じて「添加剤」を加えることができる。添加剤としては、かかる目的を達成する添加剤を使用できるが、例えば、ショ糖、グリシン、コンドロイチン硫酸、ゼラチン、アルブミン、サイトカイン、HMG−1,−2混合物(High Mobility Group-1,-2 Mixture; 実験医学、 12 184(1994)、BIOTHERAPY、8, 1265(1994))、クロロキン、ポリリジン(Hepatology, 22, 847(1995))、トランスフェクタム(登録商標、和光純薬工業株式会社)等が挙げられる。
【0010】
コラーゲンに他の生体親和性材料または添加剤を混合する場合は、そのうちのコラーゲン等の含量は10w/w%以上がよく、好ましくは30w/w%以上の範囲が挙げられ、さらに好ましくは50w/w%以上の範囲が挙げられ、特に好ましくは70w/w%以上の範囲が挙げられる。
遺伝子製剤の中の生体親和性材料の含量は、遺伝子ベクターまたは遺伝子の大きさ、種類等、および生体内親和性材料の種類等により変わる。
好ましい遺伝子製剤の中の生体親和性材料の含量は、遺伝子製剤を生体内に入れた状態において、その状態の遺伝子製剤の中の生体親和性材料の含量が、0.01〜30w/w%となる遺伝子製剤が挙げられ、さらに好ましくは、0.05〜10w/w%となる遺伝子製剤が挙げられ、特に好ましくは、0.05〜5w/w%となる製剤が挙げられる。
【0011】
また、遺伝子製剤の中の生体親和性材料の含量は、製剤の形態により変化する。例えば、生体親和性材料としてコラーゲンを用いる場合を例として、以下にその含量の好ましい範囲を説明する。
製剤の形態がゲル状であれば、好ましいコラーゲンの含量は、0.01〜25w/w%の範囲が挙げられ、さらに好ましくは、0.05〜10w/w%の範囲が挙げられ、特に好ましくは、0.05〜5w/w%の範囲が挙げられる。ただし、コラーゲンの含量を2%以上の範囲とする場合は、コラーゲンに対し5〜900w/w%の添加剤を加えるのが好ましい。
製剤の形態がフィルム状であれば、好ましいコラーゲンの含量は、乾燥前のコラーゲンの含量として、0.2〜30w/w%の範囲が挙げられ、さらに好ましくは0.3〜5w/w%の範囲が挙げられ、特に好ましくは、0.4〜2w/w%の範囲が挙げられる。ただし、コラーゲンの含量を1%以上の範囲とする場合は、コラーゲンに対し5〜900w/w%の添加剤を加えるのが好ましい。
【0012】
製剤の形態が棒状の固体であれば、好ましいコラーゲンの含量は、乾燥前のコラーゲンの含量として、10〜30w/w%の範囲が挙げられ、コラーゲンに対し5〜100w/w%の添加剤を加えるのが好ましい。
本発明にかかる遺伝子製剤の形状は、特に制限はなく、溶液状、懸濁液状、含水のゲル状、フィルム状、スポンジ状、棒状、球状等が挙げられる。ただし、好ましい形状は、遺伝子を組み込んだベクターまたは遺伝子の種類、大きさ等により変わるが、一般に、液状、懸濁液状、含水のゲル状等の形状が挙げられる。
【0013】
遺伝子製剤の製造方法は、遺伝子製剤を生体内に入れた状態において、その状態の遺伝子製剤の中の生体親和性材料が上記の好ましい範囲内の含量になるように製造する。
溶液状、懸濁液状および含水のゲル状の遺伝子製剤の製造方法としては、例えば、(1)必要に応じて添加剤を添加した溶液状またはゲル状の担体に、遺伝子ベクターもしくは遺伝子(以下、遺伝子ベクター等という)の粉末、溶液、懸濁液またはゲルを混合する方法、(2)必要に応じて添加剤を添加した粉末状の担体に、遺伝子ベクター等の溶液、懸濁液またはゲルを浸透する方法、(3)必要に応じて添加剤を添加したスポンジ状担体に、遺伝子ベクター等の溶液、懸濁液またはゲルを浸透させ、練合する方法等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0014】
固体状の遺伝子製剤の製造方法としては、例えば(1)必要に応じて添加剤を添加した溶液状またはゲル状の担体に、遺伝子ベクター等の粉末、溶液、懸濁液またはゲルを混合し、乾燥する方法、(2)必要に応じて添加剤を添加した粉末状の担体に、遺伝子ベクター等の粉末、溶液、懸濁液またはゲルを混合し、乾燥する方法、(3)必要に応じて添加剤を添加したスポンジ状の担体に、遺伝子ベクター等の溶液、懸濁液またはゲルを浸透させ、乾燥する方法、(4)必要に応じて添加剤を添加したスポンジ状担体に、遺伝子ベクター等の溶液、懸濁液またはゲルを浸透させ、そのまま乾燥するか、または必要に応じて水等を加えた後、練合し、乾燥する方法、(5)(1)〜(4)の方法で得られる固形物を粉砕し、圧縮成形する方法、(6)必要に応じて添加剤を添加した粉末状の担体と遺伝子ベクター等の粉末を混合し、圧縮成形する方法等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。なお、乾燥方法、乾燥時の温度および湿度、混合方法、混合時の温度および湿度、圧縮成形方法、圧縮成形時の温度、湿度、圧縮圧力、担体溶液、遺伝子ベクター溶液の溶液粘度、担体と遺伝子ベクター溶液の混合溶液粘度、pHについては通常の方法と同様に行うことができる。
【0015】
本発明にかかる遺伝子製剤は、治療目的の疾患、標的臓器等に応じ、種々の方法で投与することができる。例えば皮下、筋肉内等に投与することができ、また腎臓、肝臓、肺、脳等の疾患の対象部位に直接投与することができる。疾患部位に直接投与すれば臓器選択的に治療することができる。
本発明では、生体親和性材料として生分解性の材料を用いる場合には、投与後その生体親和性材料を体内より取り出す必要はなく、さらに繰り返して投与することも可能になる。
【0016】
他方、疾患の種類あるいは病状によって遺伝子導入の中止を希望する場合には、遺伝子製剤をそのまま取り出すことが可能であり、遺伝子導入を中止することができる。例えば遺伝子製剤が固形状態であれば手術等によって取り除くか、あるいはウィルスが自由に通過可能なポアサイズを持った容器等に遺伝子ベクター等を入れた遺伝子製剤を用いて遺伝子治療を行い、治療を中止する際にはその容器等を取り除くことができる。具体的には、例えば、特願平3−120115号(国際公開番号W92/20400号)記載の容器(チューブ)を用いて実施できる。
【0017】
【実施例及び比較例】
実施例1
線維芽細胞増殖因子HST−1(FGF4)の遺伝子(Proc, Natl, Acad, Sci. USA,84, 2980-2984(1987)に記載の方法に従って調製した)を組み込んだアデノウィルス(Adexl HST-1;Proc.Natl. Acad. Sci. USA. Vol.91,12368 (1994))109 pfu(plaque forming unit)を含む培養液0.9mlをアテロコラーゲンの中性溶液((株)高研製アテロコラーゲンインプラント:2%アテロコローゲン溶液)0.1mlと混合することで、遺伝子製剤を作成した。尚、上記アデノウィルス(Adexl HST-1)は、アデノウィルスtype5(ATCCカタログNo.VR−5)を、J,Virol 54, 711-719(1985)またはProc. Natl, Acad, Sci, USA, 93, 1320 (1996)、およびCell 13, 181 188 (1978)に従って操作してE1A,E1BおよびE3を一部欠失させ、この非増殖型ウィルスに上記Proc, Natl, Acad, Sci, USA vol 91, 12388(1994)の記載に従って線維芽細胞増殖因子HST−1の遺伝子を組み込むことによって得ることができる。
【0018】
実施例2
2%アテロコラーゲンの中性溶液0.1mlとAdexl HST-1 109pfuを含む培養液0.9mlを混合後、37℃に保温することで、ゲル状の遺伝子製剤を作成する。
実施例3
アテロコラーゲンの中性溶液を凍結乾燥して作成したスポンジを5mm角程度に細かくし、そのスポンジをAdexl HST-1 109pfuを含む培養液1mlに加え一晩放置することで、遺伝子製剤を作成する。
【0019】
実施例4
実施例2で調製するゲル状の遺伝子製剤を凍結乾燥することで、遺伝子製剤を作成する。
実施例5
実施例3で調製する遺伝子製剤を再度凍結乾燥し、その乾燥するスポンジを棒状に圧縮することで、ペレット(棒状圧縮物)の遺伝子製剤を作成する。
【0020】
実施例6
線維芽細胞増殖因子HST−1(FGF4)をサイトメガロウィルス(CMV)プロモーターを持つ発現ベクター(pRc/CMV)に組み込んだプラスミドベクターをリポソーム(DMRIE−C(GIBCO−BRL社製))と混和し、そのリポソームを含む液を、同量のアテロコラーゲンの中性溶液と混合することで、遺伝子製剤を作成する。
実施例7
Adexl HST-1 109pfuを含む培養液1mlをアルギン酸の1%溶液1mlと混合する。そのベクター含有アルギン酸溶液をノズルより塩化カルシウムの0.5%溶液に滴下し、直径約1mmのビーズを得、遠心により集めることで、ビーズ状の遺伝子製剤を作成する。
【0021】
実施例8
Adexl HST-1 109pfuを含む培養液1m1を45℃に加温したアガロースゲルの5%溶液1mlと混合する。その混合液をノズルより10℃のPBS溶液に滴下し直径約1mmのビーズを得、遠心により集めることで、ビーズ状の遺伝子製剤を作成する。
実施例9
実施例1で作成した遺伝子製剤をポリエステルよりなる袋(人工血管を袋としたもの)(マイクロン(登録商標、インターバスキュラー社製))に入れることで、遺伝子製剤を作成する。
【0022】
実施例10
実施例1と同様にして、Adexl HST-1 109pfuを含む培養液を、アテロコラーゲン濃度として最終0.1、0.2、0.4、1.0、2.0w/w%となる様に、アテロコラーゲンの中性溶液と混合し、1m1の遺伝子製剤を作成した。
実施例11
プラスミドpOG44(Stratagene社にて購入)を73.25μg/m1の濃度で含む水溶液5m1をアテロコラーゲンの酸性溶液(2%アテロコラーゲン含有、pH3.5)5gと混合し、凍結乾燥してスポンジを作成する。このスポンジにアテロコラーゲン濃度として、0.4、2、5、10、20W/W%となるように蒸留水を加えることで、ゲル状の遺伝子製剤を作成する。
実施例12
プラスミドpOG44を73.25μg/m1の濃度で含む水溶液5m1をアテロコラーゲンの酸性溶液5gまたは2.5gと混合し、これにヒト血清アルブミン水溶液(80mg/m1)を260μ1あるいは640μ1を加えて混合し、凍結乾燥してスポンジを作成する。このスポンジにアテロコラーゲンとヒト血清アルブミンを合わせた量の濃度として、10w/w%となるように蒸留水を加えることで、ゲル状の遺伝子製剤を作成する。
【0023】
実施例13
実施例11で調整するゲル状の遺伝子製剤をガラス上に伸展して徐々に乾燥させることで、フィルム状の遺伝子製剤を作成する。
実施例14
実施例11または12で調整するゲル状の遺伝子製剤を棒状に押し出し成形し、徐々に乾燥させることで、棒状の遺伝子製剤を作成する。
比較例1
Adexl HST-1 109pfuを含む培養液1m1をマウス腹腔内に投与したところ、投与後約12日目より血小板数が約2倍に増加し、その効果は20〜30日にわたり持続した。また末梢血中のHST−1は最大50ng/mlの濃度が投与後20日目に得られたが、後述する実施例1の製剤の様に一定の濃度を保つことはできず、60日後には血中で検出不可能となった。結果を図1、2に示した。
【0024】
試験例1
実施例1で作成した遺伝子製剤1.0m1をマウス腹腔内に投与したところ、投与後約12日目より血小板数が約2倍に増加し、その効果は50日以上にわたり持続した。また末梢血中のHST−1は80日以上にわたり20ng/mlの濃度が持続した。結果を図1、2に示した。
試験例2
実施例2で作成する遺伝子製剤1.0m1をマウス腹腔内に投与すると、投与後約12日目より血小板数が約2倍に増加し、その効果は60日以上にわたり持続する。
【0025】
試験例3
実施例3で作成する遺伝子製剤をマウス腹腔内に投与すると、投与後約12日目より血小板数が約2倍に増加し、その効果は60日以上にわたり持続する。
試験例4
実施例1で作成する遺伝子製剤をマウス腹腔内に投与し、投与後約3日後に取り出した。その結果、投与後約12日目に血小板数が約2倍に増加し、その後減少し、約25日目に正常値に戻った。その結果を図3に示した。
試験例5
実施例1で作成した遺伝子製剤をマウス腹腔内に投与し、投与後3日目に取り出し、投与後20日目に再び実施例1で作成した遺伝子製剤を投与した。その結果、投与後約12日目に血小板数が約2倍に増加し、その後減少し、約20日目に正常値に戻り、その後直ちに血小板数が約2倍に増加し、その効果は初回投与後40日以上にわたり持続した。その結果を図4に示した。
【0026】
試験例6
実施例10で作成した5種の遺伝子製剤、及びコラーゲンをまったく含まないAdexl HST-1 109pfuを含む培養液1m1をマウス腹腔内に投与し、投与後5日目の末梢血中のHST−1タンパク濃度を測定した。その結果を図5に示した。その結果、HST−1タンパク濃度はコラーゲン濃度に反比例した。
試験例7
Adexl HST-1 109pfuを含む培養液1m1をマウス腹腔内に投与した結果、投与後約12日目の血小板が約2倍に増加し、その後減少し、約35日目に正常値に戻った。初回投与後37日目に再び実施例1で作成したコラーゲンを含む遺伝子製剤1.0mlを投与したところ、直ちに血小板が約2倍に増加し、その効果は持続した。その結果を図6に示した。
比較例2
Adexl HST-1 109pfuを含む培養液1m1をマウス腹腔内に投与し、投与後37日目に再びAdexl HST-1 109pfuを含む培養液1m1を投与した。その結果、初回投与後約12日目の血小板数が約2倍に増加し、その後減少し、約35日目に正常値に戻り、Adexl HST−1の再投与により血小板は増加しなかった。その結果を図6に示した。
試験例7および比較例2の結果から、アデノウィルスベクターは中和抗体の出現により繰り返し投与が非常に困難であるのに対し、実施例1で作成した遺伝子製剤は複数回投与が可能であることが判った。
【0027】
【発明の効果】
本発明の遺伝子製剤は、遺伝子ベクター等を徐放することができると同時に、その徐放する間、生体内で、遺伝子を組み込んだベクター等を安定に保持することができる。従って、細胞とベクターとの接触を遅延させて細胞内への遺伝子導入時期をコントロールすることで、一回の投与による遺伝子発現時期を長期化することができる。
また、本発明の遺伝子製剤は、生体内での中和抗体の出現により複数回投与が困難であった遺伝子ベクター、例えばウィルスベクター等において、複数回投与が可能である。
さらに、本発明の遺伝子製剤は、治療の終了を希望するときは遺伝子製剤を取り除くことができ、遺伝子の発現調節が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1および比較例1における血小板数の経時変化を示すグラフ。
【図2】試験例1および比較例1における末梢血中のHST−1の経時変化を示すグラフ。
【図3】試験例4および比較例1における血小板数の経時変化を示すグラフ。
【図4】試験例5における血小板数の経時変化を示すグラフ。
【図5】試験例6における末梢血中のHST−1量のコラーゲン濃度依存性を示すグラフ。
【図6】試験例7および比較例2における血小板数の経時変化を示すグラフ。
Claims (8)
- 所望の遺伝子を組み込んだベクターまたは遺伝子を、酵素可溶化コラーゲンからなる担体に担持させた遺伝子製剤。
- 酵素可溶化コラーゲンがアテロコラーゲンである請求項1記載の遺伝子製剤。
- 遺伝子製剤の形状が、溶液状、懸濁液状、含水のゲル状、フィルム状、スポンジ状、棒状、または球状である請求項1または2記載の遺伝子製剤。
- 遺伝子製剤の生体含量が、0.01〜30w/w%である請求項3記載の溶液状、懸濁液状、含水のゲル状である遺伝子製剤。
- 0.01〜30w/w%の担体、遺伝子または遺伝子ベクターを含む溶液あるいは含水のゲルを乾燥することにより得られた請求項3記載のフィルム状、スポンジ状、棒状、または球状である遺伝子製剤。
- ベクターが、ウィルスベクターである請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子製剤。
- ウィルスベクターがアデノウィルスベクターである請求項6記載の遺伝子製剤。
- ベクターまたは遺伝子が自由に通過可能なポアサイズを持った容器に収納された請求項1記載の遺伝子製剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17199096A JP3867160B2 (ja) | 1995-07-03 | 1996-07-02 | 遺伝子製剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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