JP6449221B2 - 粒子組成物、免疫測定用試薬及び免疫測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に抗原又は抗体を固定化した粒子を有する試薬に関する。更に詳しくは、長期保存した後も活性成分の損失が少ない試薬に関する。
免疫測定試薬においては、主要構成要素として固相担体となる磁性粒子やガラスビーズ等の表面に測定対象物質、測定対象物質の類似物質、又は測定対象物質と特異的に結合する物質、例えば、抗原、抗体を固定化したものがある。免疫測定試薬においては、固相上に固定化した物質が一定の活性を維持していることが望まれる。経時的に物質の活性が低下したり、保存状態によって物質の活性が変化したのでは正確な測定結果は期待できず、免疫測定試薬としては、大きな問題である。
固相に固定化される抗原や抗体等の物質自体の形態の違い、例えば、緩衝液等に溶解した液状(液状試薬)であるか、凍結乾燥した状態(凍結乾燥試薬)であるかで、それぞれの形態において様々な安定化方法が提案されている。液状試薬の場合、IgM試薬溶液にウシ血清アルブミン(BSA)を添加し安定化する方法(特許文献1)、標識抗体をアミノ酸及び、その誘導体を添加した安定化する方法(特許文献2)等が提案されている。また、凍結乾燥試薬の場合、酵素標識抗体溶液にスクロース、トレハロース、又はデキストランを添加して凍結乾燥し安定化する方法(特許文献3)、が提案されている。免疫測定試薬においては、固相担体上に抗原や抗体等の物質を固定化したものを液体中で長期保存する必要がある。しかしながら、固相担体上にこれらの物質を固定化し、液状での長期保存するの場合においては、上記安定化方法はで満足のいくものではない。したがって、免疫測定試薬における抗原や抗体等の安定化方法の改善が望まれている。特に、多数検体同時迅速検査を目的とした自動化免疫測定装置の開発において、さらなる免疫測定試薬における抗原や抗体等の安定性の改善が望まれている。
特開平9−127114号公報 特開2011−241206号公報 特開昭60−149972号公報
本発明の目的は、固相担体表面に固定化した抗原又は抗体の安定性を高め、継続的に安定した測定が可能な免疫測定用の試薬、免疫測定方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)、ラクトース、グリシン及び水を含有する粒子組成物(D)であって、ラクトース、グリシン及び水の合計重量に基づいて、ラクトースの含有量が1〜20重量%であり、かつグリシンの含有量が1〜10重量%であり、さらにゼラチンを含む粒子組成物(D)である。
表面に抗原又は抗体を固定化した粒子をラクトース、グリシン及び水を含有する粒子組成物中で保存することにより、粒子表面の抗原又は抗体の安定性が高まる。また、本発明の免疫測定試薬は、長期保存においても、安定な免疫反応を可能にすることで、高感度かつ正確性の高い臨床検査を可能とする。
なお、本発明において、「粒子組成物の安定性」及び「抗原又は抗体の安定性」とは、粒子組成物を作製直後と一定期間保存後の抗原又は抗体の活性の変化が少ないことを意味する。
本発明における粒子組成物(D)としては、表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)、ラクトース、グリシン及び水を含有することを特徴とする。
粒子(C)とは一般的にこの分野で測定されるものであれば特に限定はされず、例えばガラスビーズ、ポリスチレンビーズ、磁性粒子(C1)、マイクロプレート、ラテックス等が代表的なものとして挙げられる。
磁性粒子(C)としては、具体的には、免疫測定において測定時間の短時間化の観点から、例えば特開2014−210680号公報及び特開2013−019889号公報等に記載の公知の磁性シリカ粒子(C11)が好ましい。
粒子(C)を含む粒子組成物(D)は、免役測定用試薬、たんぱく質精製等に使用できるが、これらの中で免役測定用試薬の用途が最も好ましい
磁性シリカ粒子(C11)は、シリカのマトリックス中に平均粒子径が1〜15nmで超常磁性を有する金属酸化物が分散されているものである。超常磁性とは、外部磁場の存在下で物質の個々の原子磁気モーメントが整列し誘発された一時的な磁場を示し、外部磁場を取り除くと、部分的な整列が損なわれ磁場を示さなくなることをいう。
平均粒子径が1〜15nmで超常磁性を示す超常磁性金属酸化物としては、鉄、コバルト、ニッケル及びこれらの合金等の酸化物が挙げられるが、磁界に対する感応性が優れていることから、酸化鉄が特に好ましい。超常磁性金属酸化物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
磁性シリカ粒子(C11)中の超常磁性金属酸化物の含有量の下限は、60重量%が好ましく、さらに好ましくは65重量%であり、上限は95重量%が好ましく、さらに好ましくは80重量%である。超常磁性金属酸化物の含有量が60重量%以上であると、得られた磁性シリカ粒子の磁性が十分であるため、実際の用途面における分離操作に時間がかからない。95重量%以下のものは合成が容易である。
本発明において、抗原(A)としては、一般的この分野で測定されるものであれば特に限定はされず、具体的には下記免疫測定に用いられる抗原が含まれる。
ヌクレオチド鎖(オリゴヌクレオチド鎖、ポリヌクレオチド鎖);染色体;ペプチド鎖(例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等)、タンパク質〔例えばプロカルシトニン、免疫グロブリンA(IgA),免疫グロブリンE(IgE),免疫グロブリンG(IgG),免疫グロブリンM(IgM),免疫グロブリンD(IgD),β2−ミクログロブリン、アルブミン、これらの分解産物、フェリチン等の血清タンパク質〕;酵素〔例えばアミラーゼ(例えば膵型,唾液腺型,X型等)、アルカリホスファターゼ(例えば肝性,骨性,胎盤性,小腸性等)、酸性ホスファターゼ(例えばPAP等)、γ−グルタミルトランスファラーゼ(例えば腎性,膵性,肝性等)、リパーゼ(例えば膵型,胃型等)、クレアチンキナーゼ(例えばCK−1,CK−2,mCK等)、乳酸脱水素酵素(例えばLDH1〜LDH5等)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(例えばASTm,ASTs等)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(例えばALTm,ALTs等)、コリンエステラーゼ(例えばChE1〜ChE5等)、ロイシンアミノペプチダーゼ(例えばC−LAP,AA,CAP等)、レニン、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ等〕及びこれら酵素のインヒビター,ホルモン(例えばPTH,TSH,インシュリン,LH,FSH,プロラクチン等)、レセプター(例えばエストロゲン,TSH等に対するレセプター);リガンド(例えばエストロゲン,TSH等);例えば細菌(例えば結核菌,肺炎球菌,ジフテリア菌,髄膜炎菌,淋菌,ブドウ球菌,レンサ球菌,腸内細菌,大腸菌,ヘリコバクター・ピロリ等)、ウイルス(例えばルベラウイルス,ヘルペスウイルス,肝炎ウイルス,ATLウイルス,AIDSウイルス,インフルエンザウイルス,アデノウイルス,エンテロウイルス,ポリオウイルス,EBウイルス,HAV,HBV,HCV,HIV,HTLV等)、真菌(例えばカンジダ,クリプトコッカス等)、スピロヘータ(例えばレプトスピラ,梅毒トレポネーマ等)、クラミジア、マイコプラズマ等の微生物;当該微生物に由来するタンパク質又はペプチド或いは糖鎖抗原;気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる各種アレルゲン(例えばハウスダスト、例えばコナヒョウダニ,ヤケヒョウダニ等のダニ類、例えばスギ、ヒノキ、スズメノヒエ,ブタクサ,オオアワガエリ,ハルガヤ,ライムギ等の花粉、例えばネコ,イヌ,カニ等の動物、例えば米,卵白等の食物、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等);脂質(例えばリポタンパク質等);プロテアーゼ(例えばトリプシン,プラスミン,セリンプロテアーゼ等);腫瘍マーカータンパク抗原(例えばPSA,PGI,PGII等);糖鎖抗原〔例えばAFP(例えばL1からL3等)、hCG(hCGファミリー)、トランスフェリン、IgG、サイログロブリン、Decay−accelerating−factor(DAF)、癌胎児性抗原(例えばCEA,NCA,NCA−2,NFA等)、CA19−9、PIVKA−II、CA125、前立腺特異抗原、癌細胞が産生する特殊な糖鎖を有する腫瘍マーカー糖鎖抗原、ABO糖鎖抗原等〕;糖鎖(例えばヒアルロン酸、β−グルカン、上記糖鎖抗原等が有する糖鎖等);糖鎖に結合するタンパク質(例えばヒアルロン酸結合タンパク、βグルカン結合タンパク等);リン脂質(例えばカルジオリピン等);リポ多糖(例えばエンドトキシン等);化学物質(例えばT3,T4,例えばトリブチルスズ,ノニルフェノール,4−オクチルフェノール,フタル酸ジ−n−ブチル,フタル酸ジシクロヘキシル,ベンゾフェノン,オクタクロロスチレン,フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の環境ホルモン);人体に投与・接種される各種薬剤及びこれらの代謝物;アプタマー;核酸結合性物質が挙げられる。
本発明において、抗体(B)としては、一般的この分野で測定されるものであれば特に限定はされず、具体的には下記免疫測定に用いられる抗体が含まれる。
ヌクレオチド鎖(オリゴヌクレオチド鎖、ポリヌクレオチド鎖);染色体;ペプチド鎖(例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等)、タンパク質〔例えばプロカルシトニン、免疫グロブリンA(IgA),免疫グロブリンE(IgE),免疫グロブリンG(IgG),免疫グロブリンM(IgM),免疫グロブリンD(IgD),β2−ミクログロブリン、アルブミン、これらの分解産物、フェリチン等の血清タンパク質〕;酵素〔例えばアミラーゼ(例えば膵型,唾液腺型,X型等)、アルカリホスファターゼ(例えば肝性,骨性,胎盤性,小腸性等)、酸性ホスファターゼ(例えばPAP等)、γ−グルタミルトランスファラーゼ(例えば腎性,膵性,肝性等)、リパーゼ(例えば膵型,胃型等)、クレアチンキナーゼ(例えばCK−1,CK−2,mCK等)、乳酸脱水素酵素(例えばLDH1〜LDH5等)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(例えばASTm,ASTs等)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(例えばALTm,ALTs等)、コリンエステラーゼ(例えばChE1〜ChE5等)、ロイシンアミノペプチダーゼ(例えばC−LAP,AA,CAP等)、レニン、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ等〕及びこれら酵素のインヒビター,ホルモン(例えばPTH,TSH,インスリン,LH,FSH,プロラクチン等)、レセプター(例えばエストロゲン,TSH等に対するレセプター);リガンド(例えばエストロゲン,TSH等);例えば細菌(例えば結核菌,肺炎球菌,ジフテリア菌,髄膜炎菌,淋菌,ブドウ球菌,レンサ球菌,腸内細菌,大腸菌,ヘリコバクター・ピロリ等)、ウイルス(例えばルベラウイルス,ヘルペスウイルス,肝炎ウイルス,ATLウイルス,AIDSウイルス,インフルエンザウイルス,アデノウイルス,エンテロウイルス,ポリオウイルス,EBウイルス,HAV,HBV,HCV,HIV,HTLV等)、真菌(例えばカンジダ,クリプトコッカス等)、スピロヘータ(例えばレプトスピラ,梅毒トレポネーマ等)、クラミジア、マイコプラズマ等の微生物;当該微生物に由来するタンパク質又はペプチド或いは糖鎖抗原;気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる各種アレルゲン(例えばハウスダスト、例えばコナヒョウダニ,ヤケヒョウダニ等のダニ類、例えばスギ、ヒノキ、スズメノヒエ,ブタクサ,オオアワガエリ,ハルガヤ,ライムギ等の花粉、例えばネコ,イヌ,カニ等の動物、例えば米,卵白等の食物、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等);脂質(例えばリポタンパク質等);プロテアーゼ(例えばトリプシン,プラスミン,セリンプロテアーゼ等);腫瘍マーカータンパク抗原(例えばPSA,PGI,PGII等);糖鎖抗原〔例えばAFP(例えばL1からL3等)、hCG(hCGファミリー)、トランスフェリン、IgG、サイログロブリン、Decay−accelerating−factor(DAF)、癌胎児性抗原(例えばCEA,NCA,NCA−2,NFA等)、CA19−9、PIVKA−II、CA125、前立腺特異抗原、トロポニンT(TnT)、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT−proBNP)等の心疾患抗原、癌細胞が産生する特殊な糖鎖を有する腫瘍マーカー糖鎖抗原、ABO糖鎖抗原等〕;糖鎖(例えばヒアルロン酸、β−グルカン、上記糖鎖抗原等が有する糖鎖等);糖鎖に結合するタンパク質(例えばヒアルロン酸結合タンパク、βグルカン結合タンパク等);リン脂質(例えばカルジオリピン等);リポ多糖(例えばエンドトキシン等);化学物質(例えばT3,T4,例えばトリブチルスズ,ノニルフェノール,4−オクチルフェノール,フタル酸ジ−n−ブチル,フタル酸ジシクロヘキシル,ベンゾフェノン,オクタクロロスチレン,フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の環境ホルモン);人体に投与・接種される各種薬剤及びこれらの代謝物;アプタマー;核酸結合性物質、これらに対する抗体が挙げられる。尚、本発明において用いられる抗体には、パパインやペプシン等の蛋白質分解酵素、或いは化学的分解により生じるFab、F(ab’)2フラグメント等の分解産物も包含される。
これらのうち、抗体(A)の安定性の観点から、腫瘍マーカータンパク抗原に対する抗体、糖鎖抗原に対する抗体、化学物質に対する抗体、ホルモンに対する抗体、ペプチド鎖に対する抗体及び心疾患抗原に対する抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種の抗体が好ましく、さらに好ましくは抗PSAモノクローナル抗体、抗AFPモノクローナル抗体、抗CEAポリクローナル抗体、抗CA19−9モノクローナル抗体、抗CA19−9モノクローナル抗体、抗T3モノクローナル抗体、抗T4モノクローナル抗体、抗C−ペプチドモノクローナル抗体、抗インスリンポリクローナル抗体、抗NT−proBNPポリクローナル抗体及び抗トロポニンTモノクローナル抗体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明における粒子(C)に、測定対象物質、測定対象物質の類似物質、又は測定対象物質と特異的に結合する物質、具体的には、抗原(A)又は抗体(B)を固定化する方法としては、上述の粒子(C)に測定対象物質等、具体的には、抗原(A)又は抗体(B)を物理吸着させる方法が挙げられるが、より効率良く測定対象物質等、具体的には、抗原(A)又は抗体(B)を固定化させる観点から、グルタルアルデヒド、アルブミン、カルボジイミド、ストレプトアビジン、ビオチン及び官能基を有するアルキルアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機化合物を粒子(C)表面に結合させ、それらを介して測定対象物質等、具体的には、抗原(A)又は抗体(B)を粒子(C)に固定化させるのが好ましい。
本発明において、粒子組成物(D)中の粒子(C)の重量比率は、ラクトース、グリシン及び水の合計の重量に基づいて、0.0001〜50重量%が好ましく、特に好ましくは0.001〜20重量%である。(C)の重量比率が0.0001重量%以上であることで、粒子の取り扱いが容易であり、作業性が高いので好ましい。その一方で(C)の重量比率が50重量%以下であることで十分な安定性の効果があるので好ましい。
粒子組成物(D)中の粒子(C)とラクトースとの重量比(粒子(C)/ラクトース)は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性及び免疫反応性の観点から、0.001/1〜0.25/1が好ましく、さらに好ましくは0.0004/1〜0.2/1である。
粒子組成物(D)中の粒子(C)とグリシンとの重量比(粒子(C)/グリシン)は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性及び免疫反応性の観点から、0.001/1〜0.33/1が好ましく、さらに好ましくは0.002/1〜0.25/1である。
本発明におけるラクトースの濃度は、ラクトース、グリシン及び水の合計の重量をもとに1〜50重量%が好ましく、3〜20重量%がさらに好ましい。その濃度が1重量%以上であると、十分な安定化効果が得られ、その一方で50重量%以下であると粘度が低く好ましい。
本発明におけるグリシンの濃度は、ラクトース、グリシン及び水の合計の重量をもとに1〜50重量%が好ましく、3〜10重量%がさらに好ましい。その濃度が1重量%以上であると、十分な安定化効果が得られ、50重量%以下であるとpHが低くならず十分な安定効果がえられる。
水の重量はラクトース、グリシン及び水の合計の重量をもとに1〜98重量%が好ましく、70〜94重量%がさらに好ましい。
粒子組成物(D)中のラクトース及びグリシンの重量比(ラクトース/グリシン)は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、0.01/1〜5/1が好ましく、さらに好ましくは0.05/1〜4/1であり、最も好ましくは0.6/1〜4/1である。
ラクトース、グリシンのいずれか一方だけでも安定化効果はあるが、十分ではない。ラクトースとグリシンの両方を用いることで、抗原(A)又は抗体(B)の安定性効果が高まる。
本発明の粒子組成物(D)は、粒子(C)、ラクトース、グリシン及び水を含有するものであるが、さらにゼラチンを含んでもよい。
本発明において、ゼラチンとしては、公知のゼラチンが含まれ、具体的には、分子量及び性状に限定はなく、いかなる動物(ホ乳類、鳥類、魚類等)から取得したものであってもよい。ゼラチンとしてはコラーゲンを加熱処理、酸又はアルカリによる化学処理して製造した例えば酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン等を挙げるとができる。さらにこのゼラチンをアミノ基、イミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、水酸基等の官能基を周知の方法を利用し導入し、化学的に修飾したゼラチン誘導体を用いることもできる。
粒子組成物(D)中のゼラチンの含有量は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性及び操作性の観点から、ラクトース、グリシン及び水の合計の重量を基準として、0.01〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜20重量%である。
粒子組成物(D)中のラクトースとゼラチンとの重量比(ラクトース/ゼラチン)は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、1/1〜10/1が好ましい。
また、グリシンとゼラチンとの重量比(グリシン/ゼラチン)は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、0.5/1〜5/1が好ましい。
本発明の粒子組成物(D)中には、さらに牛血清アルブミン、塩化ナトリウム、リン酸等を含有してもよい。
粒子組成物(D)中の牛血清アルブミン、塩化ナトリウム及びリン酸のそれぞれの含有量は、免疫反応性の観点から、ラクトース、グリシン及び水の合計の重量を基準として、0〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜10重量%である。
粒子組成物(D)のpHは、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、3〜10が好ましく、さらに好ましくは4〜9である。
本発明において、粒子組成物(D)は、粒子(C)、ラクトース、グリシン及び水を含有するものであれば特に制限なく製造できるが、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、ラクトース、グリシン及び水を含む水溶液中に粒子(C)を添加して粒子組成物(D)とすることが好ましい。
本発明の粒子組成物(D)の保存条件としては、一般的に免疫測定用試薬の保存で用いられる方法であれば、特に限定はない。
保存温度としては、粒子(C)上に固定化されている測定対象物質、測定対象物質の類似物質、又は測定対象物質と特異的に結合する物質の活性を損なわない一般的保管温度である2℃〜10℃が好ましい。
容器としては、耐久性のある保管容器であれば、特に限定はないが、例えばクライオチューブ(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)、遠沈管(コーニングインターナショナル(株)製)、マイクロチューブ(エッペンドルフ(株)製)、スクリュー管(株)マルエム製)、PCRチューブ(日本ジェネティクス(株)製)が挙げられる。
凍結期間としては、特に限定はないが、粒子(C)上に固定化されている測定対象物質、測定対象物質の類似物質、又は測定対象物質と特異的に結合する物質、具体的には、抗原(A)又は抗体(B)安定性の観点から1年以内が好ましい。
本発明の免疫測定用試薬は、上記粒子組成物(D)を含有するものであれば特に限定なく、免疫測定用試薬として粒子組成物(D)をそのまま使用してもよい。
また、免疫測定用試薬は、上記粒子組成物(D)以外に、牛血清アルブミン、塩化ナトリウム、リン酸等を含有してもよい。
免疫測定用試薬中の牛血清アルブミン、塩化ナトリウム及びリン酸のそれぞれの含有量は、免疫反応性の観点から、ラクトース、グリシン及び水の合計の重量を基準として、0〜30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜10重量%である。
免疫測定用試薬のpHは、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、3〜10が好ましく、さらに好ましくは4〜9である。
本発明の免疫測定方法は、上記免疫測定試薬を用いて試料中の測定対象物質(E)を測定するものである。
本発明における免疫測定方法としては、具体的には以下の3種の方法が含まれる。
<第1の方法>
前記磁性シリカ粒子(C11)が、測定対象物質と特異的に結合する物質(測定対象物質結合物質)、具体的には抗原(A)又は抗体(B)をその表面に固定化しているものであって、前記測定対象物質(E)を含む試料と、前記磁性シリカ粒子(C11)を含むラクトース、グリシン及び水を含有する粒子組成物(D)と、標識物質により標識された測定対象物質結合物質(標識測定対象物質結合物質)(F)とを接触させて、前記磁性シリカ粒子(C11)上に前記測定対象物質結合物質、具体的には抗原(A)又は抗体(B)のと前記測定対象物質(E)と前記標識測定対象物質結合物質、具体的には抗原(A)又は抗体(B)との複合体(標識複合体)(G)を形成させ、前記標識複合体(G)を担持した磁性シリカ粒子をB/F分離して、前記標識複合体中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて前記試料中の測定対象物質(E)を測定する。
<第2の方法>
前記磁性シリカ粒子(C11)が、測定対象物質又は測定対象物質の類似物質,具体的には、抗原(A)又は抗体(B)をその表面に固定化しているものであって、前記測定対象物質(E)を含む試料と、標識物質により標識された測定対象物質と特異的に結合する物質(標識測定対象物質結合物質)(F)と、前記磁性シリカ粒子(C11)を含むラクトース、グリシン及び水を含有する粒子組成物(D)とを接触させて、前記磁性シリカ粒子(C11)上に前記測定対象物質(E)又は測定対象物質の類似物質(E1)と前記標識測定対象物質結合物質(F)との複合体(標識複合体)(G)を形成させ、前記標識複合体(G)を担持した磁性シリカ粒子をB/F分離して、前記標識複合体中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質(E)を測定する。
<第3の方法>
前記磁性シリカ粒子(C11)が、測定対象物質と特異的に結合する物質(測定対象物質結合物質)具体的には、抗原(A)又は抗体(B)をその表面に固定化しているものであって、前記測定対象物質を含む試料と、標識物質により標識された測定対象物質(F)又は測定対象物質の類似物質(標識測定対象物質又はその類似物質)と前記磁性シリカ粒子(C11)を含むラクトース、グリシン及び水を含有する粒子組成物(D)とを接触させて、前記磁性シリカ粒子上に前記測定対象物質結合物質(F)と前記標識測定対象物質又はその類似物質との複合体(標識複合体)(G)を形成させ、前記標識複合体を担持した磁性シリカ粒子をB/F分離して、前記標識複合体中の標識物質量を測定し、その結果に基づいて試料中の測定対象物質を測定する。
測定対象物質としては、一般的にこの分野で測定されるものであれば特に限定はされず、例えば血清,血液,血漿,尿等の生体体液、リンパ液、血球、各種細胞類等の生体由来の試料中に含まれるヌクレオチド鎖、ペプチド鎖、タンパク質、脂質タンパク質、核酸、免疫グロブリン、血液凝固関連因子、抗体、酵素、ホルモン、癌マーカー、心疾患マーカー及び各種薬物等が代表的なものとして挙げられる。更に具体的には、例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等のペプチド鎖、例えばアルブミン,ヘモグロビン,ミオグロビン,トランスフェリン,プロテインA,C反応性蛋白質(CRP)等のタンパク質、例えばC−ペプチド、アンジオテンシンI等のペプチド鎖、例えば高比重リポ蛋白質(HDL),低比重リポ蛋白質(LDL),超低比重リポ蛋白質等の脂質蛋白質、例えばデオキシリボ核酸(DNA),リボ核酸(RNA)等の核酸、例えばアルカリ性ホスファターゼ,アミラーゼ,酸性ホスファターゼ,γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP),リパーゼ,クレアチンキナーゼ(CK),乳酸脱水素酵素(LDH),グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT),グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT),レニン,プロテインキナーゼ(PK),チロシンキナーゼ等の酵素、例えばIgG,IgM,IgA,IgD,IgE等の免疫グロブリン(或はこれらの、例えばFc部,Fab部,F(ab)2部等の断片)、例えばフィブリノーゲン,フィブリン分解産物(FDP),プロトロンビン,トロンビン等の血液凝固関連因子、例えば抗ストレプトリジンO抗体,抗ヒトB型肝炎ウイルス表面抗原抗体(HBs抗原)、抗ヒトC型肝炎ウイルス抗体、抗リュウマチ因子等の抗体、例えば甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺ホルモン(FT3,FT4,T3,T4)、インスリン、副甲状腺ホルモン(PTH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)エストラジオール(E2)等のホルモン、例えばα−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、前立腺特異抗原(PSA)等の癌マーカー、例えばトロポニンT(TnT)、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT−proBNP)等の心疾患マーカー、例えば抗てんかん薬、抗生物質、テオフィリン等の薬物等が挙げられる。
上記したものの中でも、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、抗体、ペプチド鎖、ホルモン、癌マーカー及び心疾患マーカーからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくはペプチド鎖、ホルモン、癌マーカー及び心疾患マーカーからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明の免疫測定方法としては、上記免疫測定用試薬を2〜10℃で1分間〜1年間保存した後、試料中の測定対象物質を測定するものが含まれる。
保存されていた免疫測定用試薬(粒子組成物(D)を含む)を用いて、試料中の測定対象物質を測定することを特徴とする免疫測定方法としては、この分野で一般的に行われる方法として、文献[例えば、酵素免疫測定法第2版(石川栄治ら編集、医学書院)1982年]記載のサンドイッチ法、競合法及び特開平6−130063号公報記載の測定法に準じて行えばよい。
具体的には、例えば、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、電気化学発光免疫測定法(ECLIA)、蛍光酵素免疫測定法(FEIA)、化学発光免疫測定法(CLIA)、ラッテックス光学免疫測定法(LPIA)及びラッテックス粒子計数免疫凝集測定法(CIA)に用いられる検査の測定方法等が挙げられる。
本発明の表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子の保存方法は、表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)を、ラクトース及びグリシンを含有する水溶液中で保存するものである。
表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)をラクトース及びグリシンを含有する水溶液中で保存することにより、抗原(A)又は抗体(B)の活性を維持して保存することができる。
本発明において、水溶液の温度は、抗原(A)又は抗体(B)の安定性の観点から、2〜10℃が好ましい。
以下、実施例により、本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<製造例1>
○表面に抗PSAモノクローナル抗体(B−1)を固定化した粒子(C−1)の作製
1重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン含有水溶液40mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に製造した磁性シリカ粒子(商品名:マグラピッド、三洋化成工業(株)製)40mgを加え、25℃で1時間反応させ、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去した。次いで脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌した後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を5回行った。次いで、この洗浄後の磁性シリカ粒子を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液40mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。そして、脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を10回行った。更にこの洗浄後の磁性シリカ粒子を抗PSAモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)10μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)120mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。反応後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、抗PSAモノクローナル抗体含有リン酸緩衝液を除去した。次いで、磁性シリカ粒子を1重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で12時間浸漬させた。これにより、抗PSAモノクローナル抗体固定化粒子(C−1)を得た。
<製造例2>
○表面に抗AFPモノクローナル抗体(B−2)を固定化した粒子(C−2)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗AFPモノクローナル抗体(ダコ・サイトメーション(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗AFPモノクローナル抗体固定化粒子(C−2)を得た。
<製造例3>
○表面に抗CEAポリクローナル抗体(B−3)を固定化した粒子(C−3)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗CEAモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗CEA ポリクローナル抗体固定化粒子(C−3)を得た。
<製造例4>
○表面に抗CA19−9モノクローナル抗体(B−4)を固定化した粒子(C−4)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗CA19−9 モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗ACA19−9モノクローナル抗体固定化粒子(C−4)を得た。
<製造例5>
○表面に抗T3モノクローナル抗体(B−5)を固定化した粒子(C−5)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗T3モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗T3モノクローナル抗体固定化粒子(C−5)を得た。
<製造例6>
○表面に抗T4モノクローナル抗体(B−6)を固定化した粒子(C−6)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗T4モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗T4モノクローナル抗体固定化粒子(C−6)を得た
<製造例7>
○表面に抗C−ペプチドモノクローナル抗体(B−7)を固定化した粒子(C−7)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗C−ペプチドモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗C−ペプチドモノクローナル抗体固定化粒子(C−7)を得た
<製造例8>
○表面に抗インスリンポリクローナル抗体(B−8)を固定化した粒子(C−8)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗抗インスリンポリクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗インスリンポリクローナル抗体固定化粒子(C−8)を得た
<製造例9>
○表面に抗NT−proBNPポリクローナル抗体(B−9)を固定化した粒子(C−9)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗抗NT−proBNP ポリクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗NT−proBNP ポリクローナル抗体固定化粒子(C−9)を得た
<製造例10>
○表面に抗トロポニンTモノクローナル抗体(B−10)を固定化した粒子(C−10)の作製
製造例1において、「抗PSAモノクローナル抗体」に代えて「抗TNTモノクローナル抗体(フナコシ(株)製)」を使用した以外は同様に行い、抗TNTモノクローナル抗体固定化粒子(C−10)を得た
<実施例1>
○粒子組成物(D−1)の作製
0.1重量%の牛血清アルブミン、0.85重量%の塩化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)、及び10重量%のラクトース1水和物(和光純薬工業(株)製)、5重量%グリシン(和光純薬工業(株)製)を含有させた0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)を調製し、その後抗PSAモノクローナル抗体固定化粒子(C−1)を1mg/mLとなるように添加、攪拌して粒子組成物(D1)を得た。さらに、得られた(D)を1.5mLクライオチューブ(サーモフィッシャーサイエンティフィック(株)製)に1mL移し変えて、4℃で1年間保管したものを、粒子組成物(D−1)とした。
<実施例2〜10>
○粒子組成物(D−2)〜(D−10)の作製
実施例1において、0.02Mリン酸緩衝液中のラクトース1水和物、グリシン及びゼラチンの含有量を表1の含有量(重量%)とし、固定化抗体、粒子濃度、pHを表1に記載のものとする以外は同様にして粒子組成物(D−2)〜(D−10)を得た。
<実施例11〜13>
○粒子組成物(D−11)〜(D−13)の作製
実施例1において、「抗PSAモノクローナル抗体固定化粒子(C−1)」に代えて「抗AFPモノクローナル抗体固定化粒子(C−2)」を用いて、0.02Mリン酸緩衝液中のラクトース1水和物、グリシン及びゼラチンの含有量を表2の含有量(重量%)とし、pHを表2に記載のものとする以外は同様にして粒子組成物(D−11)〜(D−13)を得た。
<実施例14〜21>
○粒子組成物(D−14)〜(D−21)の作製
実施例6において、「抗PSAモノクローナル抗体固定化粒子(C−1)」に代えて製造例3〜10で得た粒子(C−3)〜(C−10)をそれぞれ用いる以外は同様にして粒子組成物(D−14)〜(D−21)を得た。
<比較例1〜5>
○粒子組成物(H−1)〜(H−5)の作製
実施例1において、0.02Mリン酸緩衝液中の各成分の組成を表1に記載のものとする以外は同様にして粒子組成物(H−1)〜(H−5)を得た。
<比較例6〜14>
○粒子組成物(H−6)〜(H−14)の作製
比較例3において、「抗PSAモノクローナル抗体固定化粒子(C−1)」に代えてそれぞれ粒子(C−2)〜(C−10)を用いる以外は同様にして、粒子組成物(H−6)〜(H−14)を得た。
Figure 0006449221
Figure 0006449221
Figure 0006449221
表1〜3において、ラクトースの濃度及びグリシンの濃度は、ラクトース、グリシン及び水の合計の重量をもとにしたものである。また、その他の成分の濃度は、水溶液の重量を基準としたものである。
なお、表1〜3中、ラクトース1水和物、ゼラチン、グルコース及びグルタミン酸は以下のものを用いた。
ラクトース1水和物:和光純薬工業(株)製
ゼラチン:和光純薬工業(株)製
グルコース:和光純薬工業(株)製
グルタミン酸:和光純薬工業(株)製
得られた粒子組成物(D−1)〜(D−21)及び(H−1)〜(H−14)を用いて、以下の方法により免疫測定における粒子組成物の安定性を評価した。安定性の結果を表1〜3に示す。
<評価>
○標識試薬の作製:
抗PSAモノクローナル抗体、西洋ワサビ由来POD(東洋紡製)を用い、文献(エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92,1982,1413−1424)に記載の方法でPOD標識抗PSA抗体を調製した。これを0.5重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)で、POD標識抗PSA体濃度として20nMの濃度に希釈し、標識試薬を調製し、冷蔵(2〜10℃)で保存した。
また、抗AFPモノクローナル抗体、抗CEAモノクローナル抗体、T3、T4、抗CA19−9モノクローナル抗体、抗C−ペプチドモノクローナル抗体、抗インスリンポリクローナル抗体、抗NT−proBNPポリクローナル抗体及び抗トロポニンTモノクローナル抗体についても、抗PSAモノクローナル抗体と同様にPOD標識化し、20nMの濃度に希釈し、標識試薬を調製し、冷蔵(2〜10℃)で保存した。
○化学発光試薬第1液の調製:
ルミノールのナトリウム塩[シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製]0.7g及び4−(シアノメチルチオ)フェノール0.1gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液(10mM、pH8.6)を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第1液を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
○化学発光試薬第2液の調製:
1,000mL及び過酸化水素[和光純薬工業(株)製、試薬特級、濃度30重量%]6.6gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。脱イオン水を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第2液を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
<粒子組成物(D−1)〜(D−10)及び(H−1)〜(H−5)の安定性評価方法>
粒子組成物0.025mLとウマ血清で調製したPSA濃度が1ng/mLの標準PSA液0.025mLを試験管に入れて混合、試験管中で37℃3分間反応させ、抗PSA抗体結合磁性シリカ粒子/PSA複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を3回行った。
続いて、0.5重量%の牛血清アルブミン含有した標識試薬0.025mLを試験管に注入し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗PSA抗体結合磁性シリカ粒子/PSA/POD標識抗PSA抗体複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離し、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を2回行った。
最後に、化学発光試薬第1液0.07mLと化学発光試薬第2液0.07mLとを同時に加え、37℃で43秒間発光反応させ、化学発光試薬を添加後43〜45秒の平均発光量をルミノメーター[ベルトールドジャパン社製「Lumat LB9507」]で測定した。
粒子組成物を用いて、以下の方法により免疫測定における粒子組成物中の粒子(C−1)の表面に固定化された抗体(B)の安定性を評価した。安定性の結果を表1に示す。
安定性については、4℃1年間保管した粒子組成物を用いて免疫反応をして、得られた発光量cpsを(X1)とし、粒子組成物を作製して1週間内に免疫測定を行い、得られた発光量cpsを(X2)として、以下の計算式で安定率を算出した。
安定率(%)=(X1/X2)×100
なお、数値が100%に近いほど、粒子組成物を作製直後(作製後1週間以内)と1年間保存後の抗体の活性の変化が少ないことを意味する。
<粒子組成物(D−11)〜(D−21)及び(H−6)〜(H−14)の安定性評価方法>
粒子組成物(D−11)〜(D−21)を用いて、それぞれの粒子(C)の表面に固定化された抗体(B)に対応する測定対象物質として、それぞれウマ血清で調製したAFP、CEA、CA19−9、FT3、FT4、C−ペプチド、インスリン、NT−proBNP又はトロポニンTの標準液と反応させて抗体結合磁性シリカ粒子/測定対象物質複合体を形成させ、さらにPSAと同様の条件にてそれぞれの標識抗体と免疫反応させて抗体結合磁性シリカ粒子/測定対象物質/POD標識抗体、又は、POD標識抗原複合体を形成させ、(X1)及び(X2)を測定し、安定率を算出した。結果をそれぞれ表2〜3に示す。
表1の実施例1〜10及び比較例1〜5の安定率の比較から、本発明の粒子組成物(D−1)〜(D−10)中のPSAモノクローナル抗体(B−1)を固定化した粒子(C−1)は、比較用の粒子組成物を用いた場合に比べて、安定率が80%以上と高く、本発明の粒子組成物は冷蔵での抗体(B)の安定性が向上していることがわかる。また、表2及び3の実施例11〜21と比較例6〜14との安定率の比較から、抗体の種類を変えても、本発明の粒子組成物とすることで、抗体の安定性が向上することがわかる。したがって、本発明の粒子組成物を用いれば、継続的に安定した測定が可能な免疫測定用の試薬が得られることがわかる。
本発明の粒子組成物及び粒子の保存方法は、免疫測定、臨床検査分野、分子生物学又は生化学等の分野に用いられる細胞の分離ならびに蛋白や核酸などの分離・精製に有用である。

Claims (8)

  1. 表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)、ラクトース、グリシン及び水を含有する粒子組成物(D)であって、ラクトース、グリシン及び水の合計重量に基づいて、ラクトースの含有量が1〜20重量%であり、かつグリシンの含有量が1〜10重量%であり、さらにゼラチンを含む粒子組成物(D)
  2. 粒子(C)が磁性粒子(C1)である請求項1に記載の粒子組成物(D)。
  3. 磁性粒子(C1)が、磁性シリカ粒子(C11)である請求項に記載の粒子組成物(D)。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の粒子組成物(D)を含有する免疫測定用試薬。
  5. 請求項に記載の免疫測定用試薬を用いて、試料中の測定対象物質を測定することを特徴とする免疫測定方法。
  6. 上記免疫測定用試薬を2〜10℃で1分間〜1年間保存した後、試料中の測定対象物質を測定する請求項に記載の免疫測定方法。
  7. 表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)を、ラクトース及びグリシンを含有する水溶液中で保存する、表面に抗原(A)又は抗体(B)を固定化した粒子(C)の保存方法。
  8. 上記粒子(C)を、ラクトース及びグリシンを含有する水溶液中で2〜10℃で保存する請求項に記載の粒子(C)の保存方法。
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