JP5678231B2 - 光学ガラス廃材からの希土類元素の分離方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化亜鉛を含有する光学ガラス廃材からLa(ランタン)とGd(ガドリニウム)を分離回収する希土類元素の分離方法に関するものである。
光学ガラスは,通常のシリコンガラスとは異なり、ランタンやガドリニウム、タンタル(Ta)などの希土類元素の酸化物を用いて製造されている。これらの希土類元素は,物理的・化学的性質が互いに似ていることから相互分離が困難であり、高価な金属である。また、産出地が限られているため、価格変動の影響を大きく受ける。しかし、光学ガラス原料には上記希土類元素が含まれているものの、溶解工程やプレス工程、研磨工程などで製造工程でその大部分が廃材として廃棄されており、最終レンズ製品となるのは原料の半分以下である。このため、レンズ製造工程で生じた光学ガラス廃材から希土類元素を効率的に分離回収する技術が必要とされている。
これら希土類元素の分離には、イオン交換樹脂法(固−液抽出法)や溶媒抽出法(液−液分配法)などが知られているが、連続的な工程により大量処理が可能である溶媒抽出法が好ましい。溶媒抽出法とは、分離対象の金属元素を含む水溶液からなる水相と金属元素を抽出する抽出剤及びその希釈溶媒からなる有機相とを接触させて、金属元素を抽出剤に抽出させて分離する方法である。
その抽出剤には、従来より主にリン系化合物が利用されている。例えば、燐酸エステルとしてはジ−2−エチルヘキシルリン酸(di-2-ethylhexyl-phosphoric-acid:略称D2EHPA)等が使用され、ホスホン酸化合物としては2−エチルヘキシルリン酸モノ−2−エチルヘキシルエステル(2-ethylhexyl-phosphoric acid-mono-2-ethylhexyl ester(PC−88A:大八化学工業社製商品名))が使用されている。その他にも、抽出剤としてジグリコールアミド酸も使用されている(例えば、特開2007−327085、特開2011−1584)。
現在、市販され実用化されている抽出剤の内、希土類元素に対する分離係数が高いものとして、上記PC−88Aが広く使用されているが、光学ガラス廃材から希土類元素を分離することには適用できなかった。光学ガラス廃材には酸化亜鉛が相当量含まれており、この酸化亜鉛由来の亜鉛(Zn)とランタンとを抽出剤PC−88Aでは効率よく分離することが出来なかったためである。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、光学ガラス廃材から予め亜鉛を除去した後にその残渣からランタンやガドリニウムなどの希土類元素を効率よく分離することが出来る希土類元素の分離方法を提供することを目的とする。
本発明の目的は、少なくともLa、Gdを含む希土類元素とZnを含有する光学ガラス廃材から、La、Zn、Gdを分離する希土類元素の分離方法であって、以下の各工程を備えることを特徴とする分離方法によって達成される。
(a) 光学ガラス廃材の粉砕物に炭素を添加し、非酸化的雰囲気中で金属亜鉛の沸点以上の温度に加熱して酸化亜鉛を亜鉛に還元すると共に、亜鉛を揮発させ除去する焙焼工程;
(b) 工程(a)で得られた焙焼残渣を加熱しながら塩酸又は硝酸で溶解する工程;
(c) 工程(b)で得られた酸溶解液を水相として、PC−88Aを含有する有機相とpH1〜2の酸性条件下で接触させることにより、Gdを有機相に抽出し、Laを水相に残す工程。
本発明の希土類元素の分離方法によれば、光学ガラス廃材を予め窒素雰囲気中で金属亜鉛の沸点以上の温度に加熱して焙焼し、酸化亜鉛を亜鉛に還元すると共に、亜鉛を選択的に揮発させて除去する。このため、焙焼残渣中に残留する希土類元素群からガドリニウムを抽出剤PC−88Aを用いて効率的に溶媒抽出することが出来る。抽出されずに水相に残留したランタンは酸性条件を変更することにより、有機相に抽出することが出来る。
本発明による光学ガラス廃材からの希土類元素の分離方法の概略工程図
本発明で使用する光学ガラス廃材とは、少なくともLa、Gdを含む希土類元素とZnを含有するガラス廃材であり、その他、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Zr(ジルコニウム)などの希土類元素やB(ホウ素)を含んだものであってもよい。また光学ガラス廃材とは、レンズ製造工程で生じた光学ガラス廃材のみならず、廃棄された光学レンズそのものも含む。
ガラス廃材は、微粉砕し、必要により分級して粒径を揃えておくことが好ましい。焙焼工程(a)で添加する炭素は光学ガラス廃材中に含まれる酸化亜鉛を亜鉛に還元するのに必要な量とする。酸化亜鉛の還元反応は以下のように進むと考えられる。
2ZnO + C → 2Zn + CO2
従って、理論的には酸化亜鉛の1/2モル量の炭素を添加すればよいことになるが、酸化亜鉛の還元反応をより完全に進行させるためには、酸化亜鉛の等モル量以上の炭素を添加するのが好ましい。
また焙焼工程では、ガラス廃材中の酸化亜鉛の還元を促進する必要があるので、非酸化的雰囲気中で加熱する。例えば、窒素雰囲気中で行うことが出来る。不活性ガスであれば同様に使用することが出来る。ヘリウムを始めとする希ガス又は二酸化炭素など還元焙焼時に還元剤である炭素を酸化させず自身も変化しない気体、或いは水素又は一酸化炭素などそれ自身が還元剤となる気体の雰囲気中であればよい。
焙焼工程(a)では、金属亜鉛の沸点(907℃)以上に加熱する。金属亜鉛の蒸発を促進するためには、1000℃以上で加熱することが望ましい。
焙焼工程後の焙焼残渣は塩酸又は硝酸で溶解する。塩酸は濃塩酸でも希塩酸でも用いることが出来るが、濃塩酸(12規定)よりも希塩酸のほうが溶解性は若干よくなる。但し、希釈度が大きい希塩酸(1規定程度)ではNb、Taの溶出量が増加するため好ましくない。従って、3〜6規定塩酸を用いることが好ましい。硝酸を使用する場合に、濃硝酸よりも希硝酸を用いることが好ましい。加熱しながら、焙焼残渣を塩酸で溶解するとランタン(La)、ガドリニウム(Gd)、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)が溶解する。ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)は塩酸に溶解せず、不溶物として分取することが出来る。塩酸溶解時の加熱は加熱還流により行うことが望ましく、これによりランタンはほぼ完全に塩酸に溶解する。なお、後記する実施例1で述べるように、光学ガラス廃材ではなく、光学ガラス原料の酸化ランタンや酸化ホウ素、酸化亜鉛などを混合しただけの模擬試料では、約40℃の加熱でもランタンは塩酸にほぼ完全に溶解するが、光学ガラス原料を混合後融解して製造された光学ガラスの廃材では約40℃の加熱ではランタンは塩酸に完全には溶解しない。反応液を加熱還流することにより、ランタンを塩酸にほぼ完全に溶解させることが出来る。
溶媒抽出工程(c)において得られた有機相を分取し、これを高酸性条件下で水相に接触させれば、有機相中のガドリニウムを効率よく水相に逆抽出することが出来る。
溶媒抽出工程(c)での抽出残液(水相)にはランタンが残留するが、これはpH3〜4の条件下PC−88Aを含有する有機相で抽出することが出来る。この溶媒抽出工程(d)において得られた有機相を分取し、これを高酸性条件下で水相に接触させれば、有機相中のランタンを効率よく水相に逆抽出することが出来る。溶媒抽出工程(d)の抽出残液(水相)にはホウ素(B)が残留する。本発明の分離方法の概略は図1に示したとおりである。
「希土類の科学」(足立吟也著、第1版第1刷(1999)、 pp737、 表30.3)に記載のあるランタン系光学ガラス「TaSF2」の組成に基づき模擬試料を作成した。文献記載の組成は、B23 22wt%、La23 33wt%、Gd25 14wt%、Ta25 11wt%、Nb25 3wt%、ZrO2 5wt%、ZnO 11wt%であるが、ここではZrO2を除外して模擬試料を作成した。模擬試料中の各酸化物の採取量及び組成割合を表1に示す。表中B23の値はホウ酸(H3BO3)採取量から換算した値である。
Figure 0005678231
カーボン源として、木炭を乳鉢で磨砕し試験用標準篩により150μm以下に分級したものを用いた。模擬試料2.2294gに粉砕した炭素0.2236gを混合し、30×150mmのグラファイト製ボートに乗せ、石英管(内径30mm、長さ1000mm)中に入れて、窒素気流下電気炉で石英管外部温度が1040℃になるように加熱した。1040℃に到達後1時間焙焼を行った。温度測定は、石英管外表面に熱電対を接触させて測定した。
焙焼完了後、石英管内壁の付着物を6N塩酸約100mLで洗浄し得られた溶液中の各元素量をICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)にて定量した。一方、焙焼残渣を200mLコニカルビーカーに移し、6N塩酸50mLを加え、40℃で3時間攪拌して溶解した。得られた焙焼残渣溶解液中の各元素量をICP−AESにて定量した。40℃塩酸処理で溶解しなかった残渣を濾別し、さらに6N塩酸50mLを加え、100℃で2時間攪拌して、溶解液を得て各元素量を定量した。
焙焼により揮発した成分、焙焼残渣に残留した成分中40℃塩酸処理で溶解した成分、さらに100℃塩酸処理で溶解した成分の回収量を算出した。結果を表2に示す。回収量は、仕込み量中の各元素の量に対するパーセントで表示している。
Figure 0005678231
この表2から分かるように、還元焙焼により、酸化亜鉛は揮発物としてほぼ全て除去され、分離回収目的物であるランタンは40℃塩酸処理で約90%が溶出した。また、ガドリニウムも約60%が塩酸溶液に溶出した。焙焼残渣から塩酸溶液中に溶出した元素はホウ素、ランタン、ガドリニウムの3つであった。また、Ta、Nbは焙焼残渣中にあって、塩酸不溶であった。
La及びGdのみからなる水溶液を作製し、溶媒抽出法により両者の分離を試みた。0.1N塩酸400mLに0.5376gのLaCl3・7H2O及び0.2071gのGdCl3・6H2Oを溶解させて水相とした。LaとGdの重量比率は、酸化物換算で上記文献と一致させた。調製の結果、水相中の初期濃度はLaが502.7ppm、 Gdが219.0ppmとなった。
有機相として、PC−88Aの6.14gをn−デカン400mLで希釈して、50.1 mmol/L(La及びGdのモル濃度合計の10倍)溶液を作製した。抽出操作は、水相及び有機相を2Lビーカーに入れ、マグネティックスターラーで激しく撹拌し二相を懸濁させ、pHメータを液中に挿入しNaOH及びHCl水溶液を適宜添加して、pH 1.5に調整後、20分間撹拌して抽出処理を行った。その後静置し、有機相と水相に分離した。有機相に抽出された元素(Gd)は6N塩酸溶液を用いて逆抽出(100mL×3回)を行った。水相と逆抽出した塩酸溶液中の各元素量をICP-AESにより定量した。結果を表3に示す。
Figure 0005678231
この結果から、Laの分配係数Log POW(Log POW = Log(CO/C)、CO、Cは有機相及び水相中の濃度)はlogPLa=−1.46、Gdの分配係数はlogPGd=1.84と求められた。この分配係数を用いて抽出シミュレーションを行うと、表4に示すように、抽出2回目でLaは純度99.99%、収率93.41%となり、Laを完全分離かつ高収率で回収することが可能であることが分かった。
Figure 0005678231
光学ガラス廃材を用いて還元焙焼処理を行った。光学レンズの廃材をハンマーにより粗粉砕した後、遊星ボールミルを用いて微粉砕し、試験用標準篩により45μm以下に分級し、これをガラス廃材試料とした。炭素は、実施例1と同様、木炭を磨砕し150μm以下に分級したものを用いた。
ガラス廃材試料2.0gに表5に示す量のカーボンを混合し、30×150mmのグラファイト製ボートに乗せ、石英管(内径30mm、長さ1000mm)中に入れて、窒素気流下電気炉で石英管外部温度が1040℃になるように加熱した。1040℃に到達後1時間焙焼を行った。表5に示す実施例3−3の炭素量0.02gは、レンズ廃材試料中に含まれる酸化亜鉛の約1/2モル量である。実施例3−2、3−5の炭素量0.20gは、レンズ廃材試料中に含まれる酸化亜鉛の約5倍モル量、同様に実施例3−1の炭素量2.00gは、試料中酸化亜鉛の約50倍モル量である。
Figure 0005678231
焙焼完了後、石英管内壁の付着物を6N塩酸約100mLで洗浄し得られた溶液中の各元素量をICP−AESにて定量した。表6に示すように、炭素量を0.2g以上、焙焼温度を1040℃とした実施例3−1,3−2では亜鉛をほぼ完全に揮発除去することが出来た。実施例3−5でも金属亜鉛の沸点(907℃)以上に加熱したが、測定温度は石英管外壁の温度であるため、実際の焙焼温度が沸点(907℃)以上に達していなかったものと推測できる。或いは、マトリックスとの結合の切断や還元反応には活性化エネルギーを要するため、亜鉛の沸点よりも高温にする必要があったものと考えられる。また、添加する炭素量は理論量の1/2モル量(実施例3−3)では十分な還元焙焼とはならず、酸化亜鉛の約半量しか還元して揮発除去させることが出来なかったことから、酸化亜鉛を金属亜鉛に完全に還元するためには、少なくとも等モル量以上が必要と思われる。
Figure 0005678231
続けて、各焙焼残渣を200mLコニカルビーカーに移し、6N塩酸50mLを加え、40℃で一晩攪拌して溶解した。得られた溶解液中の各元素量をICP−AESにて定量した。表7に示すように、主たる回収目的物のLa、Gdの回収率は半分以下であった。
Figure 0005678231
La,Gdは表5に示すように焙焼によって揮発していないことから、焙焼残渣中に存在していることは明らかである。しかし、40℃での塩酸処理で溶解しなかったので、さらに温度を上げて、6N塩酸が還流するまで加熱して溶解することを試みた。すなわち、表6の実施例3−2での40℃塩酸処理を行なった後の不溶物を濾取し、これに再度6N塩酸を添加し、2時間加熱還流を行った。塩酸加熱溶解処理後、溶解液中の元素量を定量した。結果を、表8に示す。
Figure 0005678231
40℃塩酸溶解では44%しか溶出しなかったLaは、100℃での塩酸溶解処理によって、さらに約44%溶解し、Laの総回収率は約88%となった。この点、実施例1の模擬試料では、40℃塩酸処理で焙焼残渣から約90%のLaを塩酸に溶解することが出来ていた。この相違の原因は不明であるが、次のように考えることが出来る。模擬試料は亜鉛や、ホウ素、希土類元素の酸化物を混合しただけのものであり、各酸化物は微小とは言え粒子であり粒塊を形成している。これに対し、実施例3(3−1〜3−5)のレンズ廃材の元となる光学ガラスは、実施例1の模擬試料の原料たる、亜鉛、ホウ素、希土類元素の酸化物を混合しただけでなく、高温融解してガラス状にしたものである。均一構造であり粒塊構造は存在しない。このため、ガラス廃材となっても、各元素酸化物は均一混合物であり、その原子間結合は強固になっているものと推測される。このため、1000℃という還元焙焼した後も、各元素は強固に結合していて、40℃塩酸処理では溶出に不十分であったものと考えられる。
光学ガラス廃材を実施例3−2とほぼ同様な方法で還元焙焼を行い、その焙焼残渣から溶媒抽出法によりLa及びGdの分離を行った。
実施例3と同様の方法にて調製した光学ガラス廃材粉砕試料(分級サイズ、45μm以下)2.0gに炭素0.2gを混合し、30×150mmのグラファイト製ボートに乗せ、石英管(内径30mm、長さ1000mm)中に入れて、窒素気流下電気炉で石英管外部温度が1040℃になるように加熱して1時間焙焼を行った。焙焼完了後、焙焼残渣を200mLコニカルビーカーに移し、6N塩酸50mLを加え加熱還流を行い含有物を溶出させた。
この塩酸溶出液を用いて、溶媒抽出法によりLa及びGdの分離を行った。水相として塩酸溶出液を水で希釈し400mLとしたものを用いた。水相中の各元素濃度は、La:526.0 ppm, Gd:197.5 ppm, B: 91.8 ppmであった。有機相としては、6.6gのPC−88Aをn−デカン400mLに溶解して調製したものを用いた。抽出操作は、水相及び有機相を2Lビーカーに入れ、マグネティックスターラーで激しく撹拌し二相を懸濁させ、pHメータを液中に挿入しNaOH及びHCl水溶液を適宜用いて目的とするpHに調整後、20分間撹拌することにより行い、その後静置して有機相と水相に分離した。
最初の抽出操作はpH1.5の条件下で行った。有機相を分液した後、残余の水相に新たな有機相400mLを混合しpH3.0にて20分間攪拌して2回目の抽出を行った。2回目抽出の有機相を分離後、残余の水相にさらに新たな有機相400mLを混合し、pH4.0にて3回目の抽出を行った。各抽出操作で得られた有機相については6N塩酸水溶液を用いて逆抽出(100mL×3回)を行い、逆抽出した塩酸溶液中の各元素量をICP−AESにより定量した。また、第3回目の抽出操作後の水相(抽出残液)についても各元素量をICP−AESにより定量した。結果を表9に示す。
Figure 0005678231
この結果から、各pHにおける分配係数 Log POWを求めると表10の通りとなった。
Figure 0005678231
この分配係数を用いてpH1.5における抽出シミュレーションを表11に示す。これにより、抽出2回目でLaは純度99.99%、収率98.28%で、水相(抽出残液)中に回収できることが分かった。具体的には2段のミキサ・セトラを使用すれば、LaとGdは高収率で完全に分離回収出来ることが示された。
Figure 0005678231
なお、光学ガラス廃材中のB(ホウ素)はLaと共に水相(抽出残液)に残ることになるが、pH4.0条件下でPC−88Aを用いた溶媒抽出を行えば、Laのみを抽出することができるので、1回の抽出操作でホウ素とLaもほぼ完全に分離することができる(表9参照)。pH3.0条件下は、表9から理解できるように1回の抽出操作では、ホウ素とLaもほぼ完全に分離することは出来ないが、数回の抽出操作を繰り返せば、例えば多段のミキサ・セトラを使用すれば、完全分離可能である。ホウ酸溶液と分離した有機相(La含有)は、塩酸溶液を用いて逆抽出を行い、得られた水相(逆抽出相)に炭酸塩又はシュウ酸塩を加えれば、炭酸ランタン又はシュウ酸ランタンの沈殿として濾別することにより、高純度のLa化合物を得ることができる。

Claims (7)

  1. 少なくともLa、Gdを含む希土類元素とZnを含有する光学ガラス廃材から、La、Zn、Gdを分離する希土類元素の分離方法であって、以下の各工程を備えることを特徴とする分離方法:
    (a)光学ガラス廃材の粉砕物に炭素を添加し、非酸化的雰囲気中で金属亜鉛の沸点以上の温度に加熱して酸化亜鉛を亜鉛に還元すると共に、亜鉛を揮発させ除去する焙焼工程;
    (b)工程(a)で得られた焙焼残渣を加熱しながら塩酸又は硝酸で溶解する工程;
    (c)工程(b)で得られた酸溶解液を水相として、PC‐88Aを含有する有機相とpH2以下の酸性条件下で接触させることにより、Gdを有機相に抽出し、Laを水相に残す工程。
  2. さらに以下の工程を備えることを特徴とする請求項1の希土類元素の分離方法:
    (d)工程(c)後の水相を、PC‐88Aを含有する有機相とpH3〜4の酸性条件下で接触させることにより、水相に残留していたLaを有機相に抽出する工程。
  3. 前記工程(a)の加熱温度が1000℃以上である請求項1の希土類元素の分離方法。
  4. 前記工程(a)の非酸化的雰囲気は窒素雰囲気である請求項1の希土類元素の分離方法。
  5. 前記工程(a)で添加する炭素は、光学ガラス廃材中に含まれる亜鉛の等モル量以上である請求項1の希土類元素の分離方法。
  6. 前記工程(b)の加熱は反応液を加熱還流して行うものである請求項1の希土類元素の分離方法。
  7. 前記光学ガラス廃材は、さらにB、Ta、Nbを含有していることを特徴とする請求項1の希土類元素の分離方法。
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