JP6392650B2 - 貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法 - Google Patents

貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、貴金属製錬の各工程において発生した、希土類元素と重金属とを含有する貴金属製錬スラグから、有用物質である希土類元素を回収する方法に関する。
希土類元素は、近年、その特異な物理的性質を活かして、固体電解質、希土類磁石、蛍光体、研磨剤等、多様な分野で用いられている。しかし、希土類元素は、その名の示す通り、埋蔵量の少ない元素である上に、産出地自体が世界的に偏在しており、その供給に不安があるため、従来から、使用済み材料からの希土類元素の回収が強く望まれていた。
使用済み材料からの希土類元素の回収方法について開示されている技術には、その使用済み材料が、希土類元素を用いた研磨剤や希土類磁石等、使用済みの材料中の希土類元素の含有量が比較的高く、かつ、同時に含まれる不純物の種類が限定される場合が多い。
例えば、特許文献1(特開2004−175652号公報)には、研磨廃液から希土類酸化物を回収する技術が、特許文献2(特開2012−237053号公報)には、希土類磁石合金を含む原料を用いる希土類元素の回収技術が、それぞれ開示されている。
一方、希土類元素の含有量および含まれる不純物の多様性の観点から比較すると、上述の使用済み材料には劣るものの、貴金属製錬の各工程において排出される精錬スラグも、相当量の希土類元素を含有するので、希土類元素の回収源として有望と考えられる。なお、貴金属製錬スラグとは、貴金属を含む基体(例えば自動車用廃ガス触媒や石油化学触媒)と還元剤とフラックスとを混合し、電気炉中で還元した際に発生する副生物であり、原料及びフラックスに由来するSi、Ca、Al、Fe等の酸化物以外に、Cu、Ni、Pb等の重金属を含有している。回収後の用途を考慮すると、貴金属製錬スラグから希土類元素を回収するに当たっては、フラックス成分以外に、これらの重金属、特にCuも分離する必要がある。
不純物を含むスラグからの希土類元素の回収方法としては、例えば、特許文献3(国際公開第2012/137495号パンフレット)には、溶媒抽出法を用いた、Snの製錬スラグからの希土類元素の回収方法が提案されている。しかし、溶媒抽出法は、希土類元素の精密分離には好適な方法であるが、分離に使用する有機溶媒が高価な上、火災防止のための特別な設備が必要でコストが高くなるため、希土類元素を安価に一括で回収する目的には不向きである。
なお、特許文献3に開示されている蓚酸塩沈殿形成による希土類元素の分離方法は、処理に用いる薬剤が高価であり、かつ処理液のCOD(化学的酸素要求量)が高いので、排水処理の負荷が高くなる。
また、特許文献3に記載の方法は、UやTh等の放射性物質の分離を主目的としており、CuやPb等の重金属元素の分離については何等開示がない。
溶媒抽出法を用いない希土類元素の回収方法としては、例えば、特許文献4(特開2013−104098号公報)に、水溶液中において、希土類元素の硫酸塩複塩沈殿生成することにより、希土類元素を回収する技術が開示されている。
しかし、この方法の場合、希土類元素の硫酸塩複塩沈殿生成の溶解度積との関係で、処理液の陰イオン濃度を予め4〜10mol/Lという高濃度にしておく必要があり、処理に用いる薬剤のコストが非常に高くなり、かつ、この方法では、沈殿形成に硫酸塩イオンを用いるため、Caを含有する貴金属製錬スラグの場合、難溶性の硫酸Ca(石膏)が生成するので、貴金属製錬スラグからの希土類元素の回収には不向きである。
鉱滓からの希土類元素の回収方法の例としては、特許文献5(国際公開第2013/085052号パンフレット)にAl製錬のボーキサイト残渣を用いる方法が開示されているが、この方法は、上記残渣に含まれる、酸に難溶性のペロブスカイト結晶を溶解するために、酸による浸出を高温高圧で行うという特殊な方法であり、かつ、特許文献5においては、重金属元素の分離に関する考慮は、何等されていない。
特開2004−175652号公報 特開2012−237053号公報 国際公開第2012/137495号パンフレット 特開2013−104098号公報 国際公開第2013/085052号パンフレット
本発明は、上述した各先行技術の問題点に鑑み、高価な有機溶媒抽出法を用いることなく、簡易かつ安価な工程により、貴金属製錬スラグ中に大量に共存するフラックス由来の成分および重金属成分を分離・除去し、高純度の希土類元素を回収することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、以下の希土類元素回収方法が提供される。
第1の方法においては、希土類元素を含む貴金属製錬スラグを硫酸とリン酸を除く無機酸の水溶液中で溶解し、貴金属製錬スラグに含まれる酸可溶成分を浸出した後酸不溶性の固体を固液分離することにより、希土類元素を含む酸浸出液を得る無機酸浸出工程と、前記酸浸出液に金属状態の鉄を添加して、Cu等の鉄と置換析出可能な重金属イオンを金属状態で析出させ、析出した金属を固液分離により除去するセメンテーション工程と、重金属を除去した酸浸出液に酸化剤を添加して酸浸出液中の2価のFeイオンを酸化して3価のFeイオンとする酸化処理工程と、酸化処理後の酸浸出液のpHを5〜7に調整して3価のFeイオンおよびアルミニウムイオンを水酸化物として析出させ、固液分離により除去する中和処理工程、および、AlおよびFeの水酸化物を除去した酸浸出液のpHを8〜10に調整し、希土類元素を水酸化物として析出させ、希土類元素の水酸化物を固液分離により回収する回収工程とを連続して行う。回収した希土類元素の水酸化物は公知の手段により洗浄した後、乾燥または焼成することにより希土類元素の水酸化物または酸化物を得る、貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法が提供される。
第2の方法として、上記の第1の方法における酸化処理工程と中和処理工程を、最初にAlの水酸化物を分離した後、引き続いて2価のFeイオンを酸化して3価のFeイオンとし、3価のFeの水酸化物を分離する二段階の処理としても構わない。
なお、これらの回収方法においては、酸化剤として酸素を含む気体、例えば空気を使用することが好ましい。
第3の方法においては、希土類元素を含む貴金属製錬スラグを硫酸とリン酸を除く無機酸の水溶液中で溶解し、貴金属製錬スラグに含まれる酸可溶成分を浸出した後固液分離することにより、希土類元素を含む酸浸出液を得る無機酸浸出工程と、重金属を除去した酸浸出液のpHを5〜7に調整し、FeイオンおよびAlイオンを水酸化物として析出させ、固液分離により除去する中和処理工程および分離工程と、AlおよびFeの水酸化物を除去した酸浸出液にアンモニウム塩またはアンモニア水を添加してCuを可溶性の銅−アンミン錯体とする錯化処理工程と、酸浸出液のpHを8〜10に調整し、希土類元素を水酸化物として析出させ、希土類元素の水酸化物を固液分離により回収する回収工程とを連続して行い、回収した希土類元素の水酸化物を洗浄した後、乾燥または焼成することにより希土類元素の水酸化物または酸化物を得る、貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法が提供される。
これらの回収方法において、無機酸として塩酸および硝酸の1種または2種を使用することが好ましい。
なお、本発明の希土類元素回収方法は、スズ精錬スラグ等の鉱石の製錬スラグからの希土類元素回収に用いることも可能である。
以上、本発明の回収方法を用いることにより、不純物として重金属元素を含有する貴金属製錬スラグから、安価な工程により、高純度の希土類元素を回収することが可能となった。
本発明の希土類元素回収方法の一実施形態を示すフローチャートである。 本発明の希土類元素回収方法の他の実施形態を示すフローチャートである。 本発明の希土類元素回収方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
図1は、本発明の希土類元素回収方法の第一の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態においては、酸浸出液中に浸出したCu等の、Feより貴な元素の不純物は、金属Feと置換し、金属状態で析出させた後、固液分離により、酸浸出液から分離・除去する。
図2は、本発明の希土類元素回収方法の第二の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態においても、酸浸出液中に浸出したCu等の、Feより貴な元素の不純物は、金属Feと置換し、金属状態で析出させた後、固液分離により、酸浸出液から分離・除去する。
図3は、本発明の希土類元素回収方法の第三の実施形態を示すフローチャートである。この実施形態においては、不純物のCuは、可溶性のCu−アンミン錯体とすることにより、最終的に酸浸出液中に残存させることにより、希土類元素から分離する。Pbについては、水酸化物として析出させるか、もしくはFeの水酸化物に吸着させることにより、酸浸出液から分離・除去する。
以下、図1から図3のフローチャートに基づき、本発明の希土類元素回収方法の詳細について説明する。
[無機酸浸出工程]
本発明において、希土類元素の回収源として、貴金属製錬スラグを用いる。本発明において、貴金属製錬スラグの粒径は特に規定するものではないが、無機酸水溶液中による浸出の速度を考慮すると、0.3mm以下、好ましくは0.15mm以下が好ましい。無機酸水溶液の温度は20〜70℃が好ましい。スラグの粒径を調整するためには、スラグの凝固時に水砕するか、凝固後のスラグを機械的に粉砕すると良い。
貴金属製錬スラグからの酸可溶成分の浸出には、無機酸を用いることが好ましい。有機酸を用いても酸可溶成分を浸出させることが可能であるが、その場合、排液中に有機物が含まれ、COD値が高くなり、排水処理コストの増大を招くため、好ましくない。
無機酸浸出工程に用いる酸としては、塩酸、硝酸、過塩素酸等、いかなる無機酸を用いても良いが、硫酸とリン酸は好ましくない。貴金属製錬スラグには、フラックス由来のCaとAlが多量に含まれており、浸出液に硫酸を用いると、硫酸塩イオンがCaと反応し、難溶性の硫酸Ca(石膏)が形成されるため、スラグ表面が難溶性の石膏で覆われ、酸可溶性成分の浸出を阻害する様になる。また、浸出したCaは硫酸塩イオンと反応して石膏の沈殿を形成し、浸出液の均一撹拌の障害になるとともに、固液分離の手段として濾過を用いた場合、濾過性を損ねる。浸出液にリン酸を用いると、この場合は、難溶性のリン酸Alが形成されるので、硫酸における硫酸Caと同様な現象が生起する。
入手の容易さと価格とを考慮すると、無機酸浸出工程に用いる酸としては、塩酸または硝酸およびそれらの混合液を用いることが好ましい。
なお、無機酸浸出工程における酸浸出反応、および、後述する中和処理工程並びに回収処理工程における水酸化物の析出反応の際には、反応促進の観点から、処理液を機械的に撹拌することが好ましい。
無機酸浸出工程に用いる酸の濃度は、例えば、pH=1以下の溶液でH+がスラグに含まれるCaOのモル量の2倍以上、且つMgOのモル量の2倍以上、且つAl23のモル量の6倍以上、とすることができる。
無機酸浸出反応に必要な時間は、出発物質である貴金属製錬スラグの結晶粒径や含有成分の比率により異なってくるが、通常は1〜2時間である。浸出反応をより完全に行うには2時間以上かけることが望ましい。
なお、無機酸浸出工程においては、浸出反応促進の観点から、反応溶液を公知の撹拌手段により撹拌することが好ましい。
無機酸浸出工程においては、主としてSiO2が不溶解成分として固体で残存するので、固液分離手段を用いて、酸浸出液から分離・除去する。
固液分離手段としては、デカンテーション、濾過、遠心分離等、公知の固液分離手段のいかなるものを用いても構わない。
[セメンテーション工程]
セメンテーションという言葉は、炭化や膠結等、多様な意味を有するが、本明細書においては、酸化還元電位の差により、水溶液中に存在する還元電位が貴な金属イオンが、還元電位が卑な金属によって還元析出する反応を指す言葉として使用する。
本発明の第一の実施形態では、還元剤としての金属にFeを用いる。上述の無機酸浸出工程において得られた酸浸出液に、金属状のFeを入れると、Feよりも貴な還元電位を有するCuイオン、Niイオン、Pbイオン等が、Feの表面に置換析出するので、Cu、NiとPbの析出した金属Feを、公知の固液分離手段を用いて、酸浸出液から分離・除去する。
セメンテーション工程において酸浸出液に添加する金属Feの量は、酸浸出液に含まれるCuイオンおよびPbイオンの全量を置換析出させるのに必要な量であれば足りるが、置換析出反応を速やかに完結させるために、酸浸出液に含まれるCuイオン、Niイオン、Pbイオン及びFeイオンの量の和以上添加することが好ましい。
本発明においては、添加する金属Feの形状は特に規定するものではないが、置換析出反応速度増大のために、比表面積の大きなFe粉を用いることが好ましい。また、工業的な規模で本発明を実施する場合には、微小Feスクラップ片等を用いることも可能である。
セメンテーション工程における置換析出反応の温度は、本発明において特に規定するものではないが、例えば、前工程である無機酸浸出工程の終了後に、得られた酸浸出液を加熱、もしくは冷却することなく、そのままの状態で金属Feを添加しても良い。
置換析出反応の時間も、本発明においては特に規定するものではないが、長過ぎると添加した金属状のFeが化学溶解するので、好ましくない。
[酸化処理工程、中和処理工程]
本発明においては、酸浸出液中に浸出したFeおよびAlは、水酸化物として析出させた後、固液分離により分離・除去する。
貴金属製錬スラグ中のFeの一部が2価の酸化物として存在し、酸浸出工程において、2価のFeイオンとして溶解すること、および、セメンテーション工程において金属Feが2価のFeイオンとして溶解するため、酸浸出液中には2価のFeイオンが存在する。中和処理の際、Feイオンは3価の方が水酸化物として沈澱し易いので、2価の鉄イオンを予め3価に酸化しておく。酸浸出液中にアルカリを添加すると、pH上昇によりAl(OH)3およびFe(OH)3が析出する。これらのプロセスは、酸浸出液のpHを調整した後に酸化反応を行っても構わない。
なお、セメンテーション工程を行わず、後述する錯化処理工程を行う場合には、2価のFeイオンの量が少ないので、酸化を行わなくても鉄イオンを除去することが可能である。この場合は、2価のFeイオンはAl(OH)3の沈澱と共沈するか、吸着するものと考えられる。
酸化剤としては、過酸化水素、過マンガン酸塩、過塩素酸塩等の水可溶性の酸化剤や酸素を用いることができる。酸素は、酸素ガス、空気、酸素含有ガス等の形態で酸浸出液に吹き込めばよい。
これは、Ceイオンを3価から4価へ酸化すると溶解度が減少し、CeがFeと共沈し回収が困難となるため、酸化剤として空気を用いることで、酸浸出液中に溶解している希土類元素イオンの急激な酸化を抑制できることによる。
2価のFeイオンの酸化反応に必要な時間は、酸浸出液に含まれる2価のFeイオンの量により変化する。酸化反応の温度は、20〜70℃が好ましい。
上述のAlおよびFeの水酸化物の析出は、酸浸出液をアルカリで中和して、そのpHを5〜7に調整することにより行う。中和に使用するアルカリは、Na、K、Ca等、アルカリ金属およびアルカリ土類の水酸化物、炭酸塩等を単独または混合して用いる。酸浸出液へのアルカリの添加は、固体状態の薬品をそのまま添加しても、一度水に溶解して水溶液とした後に添加しても、いずれでも良い。なお、アンモニア水(水酸化アンモニウム)を用いる場合については、後述する。
中和による水酸化物の反応温度としては、20〜70℃が好ましい。
中和反応により析出したAlおよびFeの水酸化物は、公知の固液分離手段により、酸浸出液から分離・除去する。
上述の酸化処理工程および中和処理工程は、不純物のAlおよびFeを1段階のプロセスで分離・除去するものであるが、この工程を多段階で行うことも可能である。その場合、第1段階として、アルカリ添加により酸浸出液のpHを5〜7に調整することによりAlイオンと3価のFeイオンを水酸化物として析出させ、それらの水酸化物を公知の固液分離手段により分離・除去した後、第2段階として、酸浸出液に酸化剤を添加して酸浸出液中の2価のFeイオンを酸化して3価のFeイオンとし、3価のFeイオンを水酸化物として析出させた後、その水酸化物を公知の固液分離手段により分離・除去する。この回収方法を用いると、Alの水酸化物とFeの水酸化物が分別して分離でき、副産物として再利用が可能になる。
[回収処理工程および乾燥工程]
AlとFeを分離・除去した酸浸出液に、さらにアルカリを添加して、pHを8以上に調整すると、最終的に希土類元素の水酸化物が析出する。pHの上限は特に規定するものではないが、コストの観点から、pH10以下が好ましい。析出した希土類元素の水酸化物を、公知の固液分離手段を用いて酸浸出液から分離・回収した後、水洗し、電気炉その他の公知の加熱手段により乾燥もしくは焼成し、回収物として希土類元素の水酸化物もしくは酸化物を得る。
なお、この段階で、酸浸出液の残液には、Ca、MgおよびNiが残存する。
[錯化処理工程]
上述の、本発明の第一および第二の実施形態においては、酸浸出液中に含まれる不純物のCuは、セメンテーションにより分離・除去したが、本発明の第三の実施形態においては、錯化剤を配位させて可溶性錯体を形成し、最終的に酸浸出液中にCuを残存させることにより、希土類元素から分離する。
錯化剤としては、入手の容易さと価格の面から、アンモニウムイオンを含有する塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩またはアンモニア水(水酸化アンモニウム)を用いることが好ましい。アンモニウムイオンは通常、Cuイオンに4配位の可溶性錯体を形成するので、アンモニウムイオン量はCuイオン量の4当量以上添加する必要がある。
酸浸出液へのアンモニウムイオンの添加は、中和処理工程と同時か、中和処理工程によりFeとAlを分離・除去した後に行う。
なお、アンモニア水は酸の中和剤としても作用するので、中和処理工程および回収処理工程において、水酸化アルカリ等の中和剤の替りに、アンモニア水を用いてpH調節を行っても構わない。アンモニウムを中和剤として使用する場合には、Cuイオン量の30当量以上、好ましくは40当量添加する。
[pH測定]
本発明においては、反応系のpHは、各種金属の酸浸出速度、水酸化物の形成による分離等に影響を及ぼす重要な因子である。本発明においてpHは、以下で定義される。
本明細書に記載のpHの値は、JIS Z8802に基き、ガラス電極を用い、pH標準液として、酸性域ではシュウ酸塩緩衝液(pH=1.68)およびフタル酸塩緩衝液(pH=4.01)を、中性域では中性りん酸塩緩衝液(pH=6.86)を用いて、3点校正したpH計により測定した値をいう。
また、本明細書に記載のpHは、温度補償電極により補償されたpH計の示す測定値を、反応温度条件下で直接読み取った値である。
[成分分析]
製錬スラグは蛍光X分析装置、溶液はICP−AES(発光分光分析)、回収品はSEM−EDSを用いて測定した。
[実施例1]
希土類元素の回収に供した貴金属製錬スラグの組成を、表1に示す。
Figure 0006392650
ディスクミルで粉砕した供試材のスラグを20g秤取り、それにpH0.05のHCl水溶液250mLを添加し、マグネットスターラーを用い450rpmで撹拌しながら、70℃で2時間酸浸出を行い、静置した後、ろ紙を用いて濾過し、酸浸出液を得た(無機酸浸出工程)。
得られた酸浸出液にFe粉(添川理化学株式会社、純度99.5%、粒径300mesh(<50μm))を0.3g加え、50℃で1時間マグネットスターラーを用い450rpmで撹拌し、静置した後、ろ紙を用いて濾過した(セメンテーション工程)。
セメンテーション後のろ液を50℃に保った状態で、空気を12時間吹き込みFeイオンを酸化させた(酸化処理工程)。
酸化後の溶液を50℃に保った状態で、アンモニア水(NH4OH水溶液 7mol/L)を加え、pH=5に調整し、Fe(OH)3及びAl23を沈殿させ、ろ紙を用いて除去した(中和処理工程および分離工程)。
中和後の溶液を50℃に保った状態で、アンモニア水(NH4OH水溶液 7mol/L)を加えpH8に調整し、希土類水酸化物を沈殿させ、沈殿物はろ紙を用いて分離・回収した(回収工程)。
この回収した沈殿物は、希土類元素を主体とする水酸化物であった。回収工程で得られた沈殿物を脱イオン水で水洗した後、電気炉中、大気雰囲気下で800℃、30分間焼成し、最終的な回収物を得た(乾燥工程)。
無機酸浸出工程、セメンテーション工程および中和処理工程後の酸浸出液、並びに、回収処理工程後の残液に含まれる各成分の質量(mg)を、表2に示す。セメンテーションを行うことにより、酸浸出液中のCuイオン濃度が、当初の1%以下に減少した。
また、焼成後の回収物の組成を、表3に示す。
本発明の回収方法により、純度が高く、かつ、重金属の不純物量の少ない希土類元素の酸化物が得られることが判った。
Figure 0006392650
Figure 0006392650
[実施例2]
実施例1と同様の表1に示す組成の貴金属製錬スラグを用い、セメンテーション操作と酸化処理を行わない手法のフローチャートを図3に示す。
ディスクミルで粉砕した供試材のスラグを20g秤取り、それにpH0.05のHCl水溶液250mLを添加し、マグネットスターラーを用い450rpmで撹拌しながら、70℃で2時間酸浸出を行い、静置した後、ろ紙を用いて濾過し、酸浸出液を得た(無機酸浸出工程)。
酸浸出液を50℃に保った状態で、アンモニア水(NH4OH水溶液 7mol/L)を加え、pH=5に調整し、Fe(OH)3及びAl23を沈殿させ、ろ紙を用いて除去した中和処理工程および分離工程)。
中和後の溶液を50℃に保った状態で、アンモニア水(NH4OH水溶液 7mol/L)を加え(錯化処理工程)、希土類水酸化物を沈殿させ、沈殿物はろ紙を用いて分離・回収した(回収工程)。
この回収した沈殿物は、希土類元素を主体とする水酸化物であった。回収工程で得られた沈殿物を脱イオン水で水洗した後、電気炉中、大気雰囲気下で800℃、30分間焼成し、最終的な回収物を得た(乾燥工程)。
無機酸浸出工程、中和処理工程後の酸浸出液、並びに、回収処理工程後の残液に含まれる各成分の質量(mg)を、表4に示す。
また、焼成後の回収物の組成を、表5に示す。
本発明の回収方法において錯化処理を行うことにより、純度が高く、かつ、重金属の不純物量の少ない希土類元素の酸化物が得られることが判った。
Figure 0006392650
Figure 0006392650

Claims (3)

  1. 希土類元素を含む貴金属製錬スラグを無機酸(ただし硫酸とリン酸を除く)の水溶液中で溶解し、貴金属製錬スラグに含まれる酸可溶成分を浸出した後酸不溶性の固体を固液分離し、希土類元素を含む酸浸出液を得る無機酸浸出工程と、
    前記酸浸出液に金属状態の鉄を添加して、鉄と置換析出可能な金属イオンを金属状態で析出させた後、前記析出した金属を固液分離により除去するセメンテーション工程と、
    前記析出した金属を除去した酸浸出液に酸化剤を添加して酸浸出液中の2価の鉄イオンを酸化して3価の鉄イオンとする酸化処理工程と、
    酸化処理後の酸浸出液のpHを5〜7に調整し、3価の鉄イオンおよびアルミニウムイオンを水酸化物として析出させる中和処理工程と、
    前記析出した鉄およびアルミニウムの水酸化物を固液分離により除去する分離工程と、
    前記水酸化物を除去した酸浸出液のpHを8〜10に調整し、希土類元素を水酸化物として析出させ、前記析出した希土類元素の水酸化物を固液分離により回収する回収工程と、
    を含む、貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法。
  2. 希土類元素を含む貴金属製錬スラグを無機酸(ただし硫酸とリン酸を除く)の水溶液中で溶解し、貴金属製錬スラグに含まれる酸可溶成分を浸出した後酸不溶性の固体を固液分離し、希土類元素を含む酸浸出液を得る無機酸浸出工程と、
    前記酸浸出液に金属状態の鉄を添加して、鉄と置換析出可能な金属イオンを金属状態で析出させた後、前記析出した金属を固液分離により除去するセメンテーション工程と、
    前記析出した金属を除去した酸浸出液のpHを5〜7に調整してアルミニウムイオンを水酸化物として析出させる中和処理工程と、
    前記析出したアルミニウムの水酸化物を固液分離により除去するアルミニウムの分離工程と、
    前記アルミニウムの水酸化物を除去した酸浸出液に酸化剤を添加して酸浸出液中の2価の鉄イオンを酸化して3価の鉄イオンとし、3価の鉄イオンを水酸化物として析出させる酸化工程と、
    前記析出した鉄の水酸化物を固液分離により除去する鉄の分離工程と、
    前記鉄の水酸化物を除去した酸浸出液のpHを8〜10に調整し、希土類元素を水酸化物として析出させ、前記析出した希土類元素の水酸化物を固液分離により回収する回収工程と、
    を含む、貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法。
  3. 酸化剤が空気である、請求項1または2に記載の貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法。
JP2014244687A 2014-12-03 2014-12-03 貴金属製錬スラグからの希土類元素回収方法 Active JP6392650B2 (ja)

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